説明

非ルーチンリアクターのシャットダウン法

【課題】非ルーチンリアクターのシャットダウン法を提供する。
【解決手段】化学反応プロセスの非ルーチン(非常時)シャットダウンは、プロセスに影響を及ぼす可能性のある望ましくない状態を検出する工程、反応物質の反応を最小限に抑える工程、および反応混合物が反応ゾーンから移し出されるようにプロセスの反応ゾーンを通る物質流を維持する工程を含む、化学反応プロセスを安全に操作する方法により達成される。物質の流れは、反応混合物の実質的に全部が反応ゾーンから移し出され、これにより反応ゾーンをフラッシュするのに充分な時間維持することができる。反応混合物は次いで、アブソーバーなどの附属容器にパージされることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は緊急のシャットダウン状況で化学プロセスハードウェアを操作する方法に関し、さらに詳細には、本発明は部分酸化反応プロセスをモニターし、必要な場合に反応プロセスを安全にシャットダウンする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボン酸、無水物、ニトリル、およびアルケンオキシドなどの酸化生成物を製造するための化学プロセスはよく知られている。これらの化学プロセスの中心部には、温度、圧力、および反応速度などの条件を制御することができる接触酸化リアクターを含む部分酸化反応プロセスがある。これらの反応プロセスは、一般に、原材料、たとえば反応性炭化水素および酸素の混合物を、リアクター装置中に含まれる1以上の反応ゾーンに提供することを含む。各反応ゾーンは、連続反応において反応性炭化水素を様々な酸化生成物にする酸化を触媒することができる1以上の触媒を含有する。このようなプロセスにより、典型的には1以上の所望の酸化生成物、未反応の原材料および1以上の反応副生成物を含む混合生成物が生成される。化学プロセスは、従って、酸化生成物を混合生成物から分離し、集める手段、ならびに廃棄成分を処分するための手段を含むことが多い。酸化リアクターは多くの異なる形態をとることができる。たとえば、周知のタイプのリアクターとしては、これらに限定されないが、バッチリアクター、撹拌槽リアクター、連続撹拌槽リアクター(CSTR)、管状リアクター、シェルおよびマルチプルコンタクトチューブ熱交換器リアクター、マルチパスリアクター、固定床リアクター、流動床リアクター、および噴流層リアクターが挙げられる。これらのうち、シェルおよびマルチプルコンタクトチューブ熱交換器型のリアクターが、商業的規模の部分酸化プロセスにおいて使用するために通常選択される一種である。
【0003】
部分酸化プロセスにおいて一般的に用いられるタイプのシェルおよびマルチプルコンタクトチューブ熱交換器リアクターの例は、米国特許第6,384,274号に例示されている。ここにおいて、プロピレンはリアクター内で酸化されてアクロレインを形成し、アクロレインはその後さらに酸化されてアクリル酸を生成する。米国特許第6,384,274号に記載されている化学プロセスはまた、リアクターの下流に位置し、水性溶液として酸化生成物を分離し、集めるアブソーバーも含む。
【0004】
部分酸化プロセスの反応部分は、単一のリアクターに限定される必要はなく、そのかわりに2以上のリアクターを含むことができる。このような配列は、たとえば、米国特許第6,639,106号に開示されており、これは、プロピレンのアクリル酸への2段階変換(アクロレインが中間生成物である)を行うための第一および第二リアクターを有するプロセスを記載している。米国特許第6,639,106号において、アクロレインを含有する第一リアクターの生成物流出物を、アクロレインがアクリル酸に変換される第二リアクター上に通す前に熱交換器で冷却する。米国特許第6,639,106号において記載されるプロセスはさらに、第二リアクターの下流に位置するアブソーバーも含み、ここでは第二リアクターの混合生成物流れから酸化生成物が分離され、これにより酸化生成物(アクリル酸)を含有する水性溶液が製造される。
【0005】
装置の損傷、人身傷害、および環境への化学物質の事故による放出を回避するために、化学酸化プロセス、たとえば部分酸化プロセスおよび関連する下流プロセスを常にモニターし、制御することが必要とされる。化学反応プロセスに影響を及ぼす可能性があり、かつ化学プロセスの安全性および環境的コンプライアンスを確実にするためには、化学反応プロセスを直ちにシャットダウンすることが必要とされうる、特定の望ましくない状態が生じる場合がある。これらの望ましくない状態には、リアクターの可燃性、下流低減装置の損失または機能不全、反応混合物の封じ込めの喪失(たとえば、リアクター中または周辺の漏れ)、暴走反応、下流プロセスに関連する望ましくない状態(たとえば、アブソーバーへの吸収剤流れの喪失)、または化学反応プロセスにおいて用いられるリアクターおよび他の装置の安全管理、操作またはモニタリングに影響を及ぼす可能性のある他の状態または事象を包含する。
【0006】
安全でない操作条件の潜在的な原因としては、これらに限定されないが、リアクター内容物の汚染、過剰量の試薬の添加(たとえば、装置の欠陥または人為的ミス)、およびリアクター冷却の不足が挙げられる。酸化反応などのある種の化学反応は高度に発熱反応であるので、リアクターを冷却する能力が失われるかまたは減少した場合、化学反応による発熱速度は、熱除去速度を急速に越えることができ、反応混合物の温度は急速に増加する。これにより、反応速度が増加し、さらに高い熱発生率につながる。結果としてリアクター内部は高温になり、触媒損傷および操作圧の増大につながる場合がある。持続した高温および操作圧はやがては機械的故障、火災、爆発、および最終的には化学反応プロセスおよび装置の破壊または操作不能につながる場合がある。
【0007】
過剰の温度および圧力の結果を軽減するために、反応プロセスは緊急リリーフバルブシステムを装備することができる。プロセスがあらかじめ決められた最大セットポイント圧力または温度に到達すると、このようなシステムにより、典型的には反応混合物の少なくとも一部がリアクターから排出される。この方法は壊滅的な被害からプロセス装置を防御することができるが、二次災害、特に環境への化学物質の望ましくない放出にもつながる。
【0008】
化学プロセスは、温度、圧力、流れおよび他の流体特性および反応プロセス内の望ましくないを状態を検出する助けになる特性を測定する先進的な制御システムを利用することもできる。望ましくない状態の初期警告システムにより、工場作業員は安全な操作状態に戻すために必要な防御措置を採用することが可能になる。
【0009】
初期警告システムの一例は、米国特許出願番号2004/00015012号において見いだすことができ、これは、混合フィードガス材料の組成に関連する爆発ダイアグラムデータのデジタル蓄積を含むプロセス条件をモニターし、制御するためのプロセス制御システムの使用を開示している。爆発データは、いつ、反応ゾーンにおける反応混合物が潜在的に爆発性である組成に近づきうるかを予測するために用いられる。爆発性反応混合物の可能性を警告されると、プロセス制御システムはリアクターへのフィード流れを停止することができる。しかしながら、プロセス条件の変化速度および測定許容値などの様々な事実上の制限のために、反応プロセスへのフィード流れの急速な停止は、反応混合物が実際に可燃性または爆発性になるのを防止するために十分でない場合がある。従って、反応プロセス内の安全でない状態に到達する可能性が依然として存在する。この可能性があるので、リアクターへの流れを単純に停止することの欠点の一つは潜在的に爆発性の混合物がリアクター内にトラップされ得ることである。加えて、フィード流れが停止または過剰に減少し、リアクターを空にする試みがなされない場合、反応物質の逆流(後進)およびリアクター中へ生成物が戻る可能性が生じる。従って、物質のリアクターへの流れを単純に停止または減少させる手順では、有害な状態は排除されず、リアクターが着火または爆発する可能性が依然として残る。
【0010】
リアクターへの流れの停止は、他の望ましくない状態、たとえばリアクター封じ込めの喪失(たとえば、リアクターの漏れ)、または反応プロセス内の暴走反応に対する不適切な応答でもある。これは、複数のシャットダウンシナリオに同じ応答を使用することができず、従って操作の複雑性が増大することを意味する。
【特許文献1】米国特許第6,384,274号明細書
【特許文献2】米国特許第6,639,106号明細書
【特許文献3】米国特許出願番号2004/00015012号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
初期警告システムは必須であるが、これらに限定されないが、部分酸化プロセスなどの化学反応プロセスにおける望ましくないプロセス状態が発生する場合に実行することができる改善された決定的で有効な非ルーチンシャットダウン法が依然として必要とされている。従って、化学製造業者らは、化学反応プロセスにおける望ましくない状態を軽減し、また環境放出などの二次災害の発生を回避する方法の出現を歓迎するであろう。化学製造業者らはまた、プロセスの複雑さを最小限にすることができるように複数のシャットダウンシナリオの対処に有効であるシャットダウン法の開発の恩恵を受けるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、化学反応プロセスを安全に操作する方法を提供する。該方法は、反応性炭化水素、オキシダントおよび希釈剤物質からなる群から選択される1以上の原材料を、1以上の原材料が反応性混合物を形成する少なくとも1つの反応ゾーンに提供し;反応性炭化水素をオキシダントと少なくとも1つの反応ゾーンで反応させて、少なくとも1つの反応生成物を含む混合生成物を形成することを含む。このような化学反応プロセスを安全に操作する方法は:
(a)化学反応プロセスに影響を及ぼす可能性のある望ましくない状態の存在を検出し;(b)反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限に抑え;さらに(c)反応混合物の少なくとも一部が少なくとも1つの反応ゾーンから移し出されるように、少なくとも1つの反応ゾーンを通る物質の流れを維持することを含む。
【0013】
反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限に抑える工程は、少なくとも1つの反応ゾーンへの反応性炭化水素の流れを減少させること、少なくとも1つの反応ゾーンへのオキシダントの流れを減少させること、少なくとも1つの反応ゾーンへの希釈剤物質の流れを増大させること、不活性物質を前記の少なくとも1つの反応ゾーンの1以上へ提供することからなる群から選択される少なくとも1つの処置を行うことにより反応混合物の組成を調節することにより行うことができる。不活性物質は、窒素、酸化窒素、亜酸化窒素、アブソーバーオフガス、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、非反応性炭化水素、希ガス、および低減流出物(abatement effluent)からなる群から選択される。あるいは、不活性物質は、乾燥流体、凝縮可能な不活性物質、ならびに乾燥流体および凝縮可能な不活性物質の組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
少なくとも1つの反応ゾーンを通過する物質の流れを維持する工程は:希釈剤物質の流れを維持すること、希釈剤物質の流れを増加させること、および不活性物質を前記の少なくとも1つの反応ゾーンの1以上へ提供すること;からなる群から選択される少なくとも1つの処置をとることにより行われる。具体例において、少なくとも一つの反応ゾーンを通過する物質の流れを維持する工程は、反応ゾーンから反応混合物の実質的に全てを置換するために十分な時間行うことができ、これにより反応ゾーンをフラッシュする。
【0015】
化学反応プロセスは、たとえば、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリル酸、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メチルメタクリレート、および無水マレイン酸からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を製造する接触部分酸化プロセスでありうる。
【0016】
本発明のもう一つ別の具体例において、化学反応プロセスの混合生成物は、未反応原材料および反応副生成物をさらに含み、化学反応プロセスが、少なくとも1つの分離装置において混合生成物から少なくとも1つの反応生成物を分離する工程をさらに含み、化学反応プロセスを安全に操作する方法が、(d)移し出される反応混合物を少なくとも1つの分離装置に導く工程をさらに含む。
【0017】
本発明の方法は、(e)凝縮可能な不活性物質を少なくとも1つの反応ゾーンの1以上に提供し、さらに凝縮可能な不活性物質が少なくとも1つの反応ゾーンを出た後に、凝縮可能な不活性物質を凝縮することにより、少なくとも1つの分離装置から移し出される反応混合物の漏れを最小限に抑える工程をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の1以上の工程(たとえば、工程(a)、(b)、および(c))は、コンピューターシステムを用いて行うことができ、これは、たとえば工程(a)、(b)、および(c)の1以上を行うことができる分配制御システム(DCS)を含むことができる。
【0019】
本発明の方法のさらに別の特定の具体例において、望ましくない状態の存在が検出され、反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限に抑える工程が、反応性炭化水素の流れを減少させ、少なくとも1つの反応ゾーンへのオキシダントの流れを減少させ;凝縮可能な不活性物質を少なくとも1つの反応ゾーンに提供することにより物質の流れを維持し;反応性炭化水素とオキシダントの反応が実質的に停止し、かつ反応性混合物の大部分が少なくとも1つの反応性ゾーンから移し出されるまで凝縮可能な不活性物質の流れを維持することにより行われ;化学反応プロセスを安全に操作する方法は:(d)凝縮可能な不活性物質のリアクターへの流れを停止させ;かつ(e)少なくとも1つの反応ゾーンへの実質的な量の凝縮可能な不活性物質の流れが停止した後に、乾燥流体を含む第二の不活性物質を少なくとも1つの反応ゾーンに提供する工程をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
他のおよびさらなる、特徴および利点は、本発明の様々な具体例の以下の詳細な記載から添付の図面と関連させて明らかになるであろう。図中、同じ参照番号は同じ構造を示し、図中:
図1は、反応ゾーンおよび分離装置を含み、本発明の方法から恩恵を受けることができる化学プロセスの概略図であり、さらに図2は、本発明の方法の具体例を表す流れ図である。
【0021】
本発明の一つの具体例は、接触部分酸化プロセスなどの化学反応プロセスを安全に操作するための方法を提供する。さらに詳細には、図1は、本発明の方法から恩恵を受けることができ、反応手段、たとえば少なくとも1つの反応ゾーンを含有するリアクター装置10、分離手段、たとえば分離装置12、および排出低減手段、たとえば排出低減装置17を含む化学反応プロセスを示す。
【0022】
本発明の一つの具体例において、たとえば、反応装置10は、原材料が供給される少なくとも1つの反応ゾーンを含む。たとえば、図1のプロセスにおいて、反応性炭化水素、オキシダントおよび希釈剤物質は、1以上の原材料フィード流れ、たとえば図1において示される流れ2、4により供給される。1以上の原材料(すなわち、反応性炭化水素、オキシダントおよび希釈剤物質)を、反応ゾーンに供給する前に混合してもよいし、しなくてもよい。以下に詳細に説明するように、任意の凝縮可能な不活性物質流れ8、および任意のリサイクル流れ9も反応ゾーンに供給することができる。
【0023】
少なくとも1つのリアクターは、1つのユニット、または一列になった2以上のユニット(図は省略)を含んでなることができ、任意に直列ユニットの間に中間冷却交換器(図示せず)をさらに含むこともできる。さらに、1以上のリアクターは、所望の反応生成物を製造するために選択された反応性炭化水素の反応を触媒することができる1以上の触媒を含むことができる。たとえば、混合金属酸化物(MMO)触媒は、しばしばアルカンとアルケン、たとえばプロパンとプロピレンが不飽和カルボン酸と不飽和ニトリルに変換される部分酸化反応のために産業面で使用される。部分酸化反応における使用に好適なMMO触媒の例としては、これらに限定されないが:モリブデン、ビスマス、および鉄を含む触媒;モリブデンおよびバナジウムを含む触媒、およびバナジウムおよび燐を含む触媒が挙げられる。このような触媒は当該分野において周知であり、多くのものが商業的に入手可能である。
【0024】
「反応性炭化水素」とは、1以上の所望の反応生成物を製造するための化学反応プロセスの条件、たとえば反応温度、反応圧、および触媒物質の存在などに付された場合に酸素と反応することができる任意の炭化水素でありうる。本明細書において用いられる場合、「炭化水素」なる用語は、炭素および水素を含有し、たとえば、制限なく、硫黄、窒素、酸素および塩素の1以上も含みうる、ありとあらゆる化合物を包含する。
【0025】
本明細書において用いられる場合、「希釈剤物質」なる用語は、典型的にはたとえば反応温度、反応圧、および触媒物質の存在などの化学反応プロセスの条件に付された場合に実質的に反応しない任意の物質を意味する。希釈剤物質は、反応混合物の可燃性の危険性を最小限に抑えるためにしばしば使用され、制限なく、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水蒸気、希ガスなどを包含しうる。
【0026】
原材料は反応ゾーンにおいて混合され、組み合わせられて、反応混合物を形成し、これは次いで、反応混合物組成物が反応性範囲にある場合に反応を受け、反応混合物は適当な圧力と温度の組み合わせに付される。前記の反応性反応混合物の組成および状態は当業者が決定することができる。
【0027】
化学反応プロセスにおいて用いられる適当なオキシダントは、酸素を含む任意の組成物でありうる。例としては、これらに限定されないが、分子酸素、空気、酸素富化空気、オゾン、または0.1〜100体積%の酸素を有する不活性流体の任意の混合物が挙げられる。酸素と混合されるために好適な不活性流体の例は:窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、および水蒸気からなる群から選択される1以上のものを含む。
【0028】
任意の乾燥流体流れ6に関して、ここにおいて用いられる「乾燥」なる用語は、低い水蒸気含量を有する流れ組成物を意味する。特に、本発明の方法の実施の目的で、「低水蒸気含量」なる用語は、32°F(0℃)以下の露点を有するか、0°F(−18℃)以下の露点を有するか、または任意に−20°F(−29℃)以下の露点を有する流れを意味する。乾燥流体は、反応プロセスから水蒸気を移し出すのに特に有利であり、従って、液体の水に感受性であるMMO触媒が反応プロセス中に存在する場合に、この目的に関して好ましい。
【0029】
一つの具体例において、乾燥流体流れ6は、反応プロセスにおいて実質的に非反応性である炭化水素を含むことができ;たとえば、プロピレンが1以上の商業的に入手可能な酸化モリブデンベースのMMO触媒の存在下でアクリル酸に酸化される反応プロセスにおいて、プロパンは一般に非反応性構成成分であると理解される。本発明に関して、非反応性構成成分または化合物は、リアクター装置10内で反応性でないものであり、従ってリアクター装置10と組み合わせられた場合に、化学反応を促進または存続させない。さらに、非反応性構成成分は、リアクター装置10がその操作条件において暴走を経験する場合でさえも、あるいは反応装置10の反応性成分の量または種類が変更される場合にも反応性にならない。
【0030】
もう一つ別の具体例において、乾燥流体流れ6は、不燃性構成成分、たとえば窒素または希ガスを含むことができる。不燃性乾燥流体の使用は、シャットダウン後にリアクター装置10内に残留し得る任意の可燃性残留物、たとえばコークスまたは重質炭化水素の燃焼に対してさらなる防護手段を提供する。
【0031】
いくつかの具体例において、乾燥流体流れ6は、別の不活性物質、または触媒物質と接触すると反応ゾーンにおいて1以上の触媒物質を再活性化する触媒再生要素を含むことができる。この再活性化は、触媒金属の化学的酸化または化学的還元により、触媒物質の効率を改善し、それにより、その収率性能を部分的に回復させる働きをする。触媒効率を改善することができる触媒再生要素の例としては、これらに限定されないが、酸化窒素、亜酸化窒素、空気、熱空気、および蒸気相燐含有薬剤が挙げられる。たとえば、リアクター装置10の反応ゾーンが、直鎖において少なくとも4個の炭素原子を有する炭化水素を酸化して無水マレイン酸にするためのバナジウム−燐−酸素触媒を含む場合、気化したリン酸トリメチルを含む乾燥ガスフィードを乾燥流体流れ6に使用することができる。この具体例において、バナジウム−燐−酸素触媒物質の活性は、リン酸トリメチルにさらされた結果として改善される。加えて、リアクター装置10の反応ゾーンが、プロピレンを酸化してアクロレインおよび/またはアクリル酸を製造するために1以上の商業的に入手可能な酸化モリブデンMMO触媒を含む場合、250℃から550℃の間の温度での空気を含む乾燥フィードが乾燥流体流れ6に使用される。この具体例において、酸化モリブデンMMO触媒の活性は、熱酸素含有ガスにさらされた結果として改善される。
【0032】
凝縮可能な不活性物質流れ8は、周囲条件またはその付近で凝縮することができる少なくとも1つの不活性成分を含む。本明細書において用いられる場合、「周囲条件」なる用語は、25℃、1気圧の条件を意味すると理解される。凝縮可能な不活性物質流れ8は、不燃性構成成分、たとえば水蒸気を含むことができる。いくつかの具体例において、凝縮可能な不活性物質流れ8は、生成物収集プロセスと適合性である1以上の有機構成成分を含むことができ;このような構成成分の例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸、アクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、トルエン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ジメチルフタレート、ジトリルエーテル、および/またはその組み合わせが挙げられる。凝縮可能な不活性物質流れ8中の流体を任意の圧力または温度でリアクター装置10に供給することができる場合、このラインにおける流体は、リアクター装置10の触媒と接触した場合に、潜在的な凝縮を回避するために、好ましくは実質的に飽和または過剰に加熱される。
【0033】
リサイクル流れ9は、リアクター装置10と適合性であるとするならば、化学プロセスのどこかで1以上の流れを含むことができる。組成的に、リサイクル流れ9は1以上の反応物質、不活性物質、酸素、水蒸気、廃ガス、低減装置17からの排出物、およびその混合物を含むことができる。リサイクル流れ9はリアクター装置10に戻される前に任意に加熱してもよい。
【0034】
化学反応プロセスは、酸化生成物を製造するための有機化合物の完全または部分酸化を含む反応でありうる。例としては、これらに限定されないが:アクロレインおよび/またはアクリル酸を得るためのプロピレンの反応(たとえば、米国特許第4,526,221号;米国特許第5,183,936号;米国特許第6,281,386号;米国特許第6,166,248号;および前記米国特許第6,384,274号、米国特許第6,639,106および米国特許出願番号2004/00015012参照(その内容は全体として本発明の一部として参照される));アクロレインおよび/またはアクリル酸を得るためのプロパンの反応;アクリル酸を得るためのアクロレインの反応;メタクロレイン、メタクリル酸、および/またはメチルメタクリレートを得るための、tert−ブタノール、イソブテン、イソブタン、イソブチルアルデヒドまたはtert−ブタノールのメチルエーテル(MTBE)の反応(たとえば、米国特許第6,596,901号;米国特許出願番号2002/0188151参照);メタクリル酸を得るためのメタクロレインの反応;および無水マレイン酸を得るためのブタジエン、n−ブタン、または直鎖において少なくとも4個の炭素原子を有する他の炭化水素の反応(たとえば、米国特許第6,300,505号;日本国特開2000/239268号参照)が挙げられる。
【0035】
図1に示すように、反応排出物流れは、1以上の反応生成物(たとえば、酸化生成物)を含む混合生成物14、ならびに未反応原材料および反応副生成物を含有する。混合生成物14は、リアクター装置10を出て、分離装置12に輸送される。分離装置12は、1以上の酸化生成物を未反応原材料および反応副生成物から分離し、生成物流れ18と廃棄物流れ16を生成する。たとえば、制限なく、分離装置12は、これらに限定されないが、熱交換器、アブソーバーカラム、直接コンデンサー、スプレースクラバー、ベンチュリスクラバー、バブルカラム、または浸透表面を有する別の装置を包含する1以上の装置を含んでなる。プロセス設計の当業者らは、前記のような装置の操作は、反応プロセス流出物、生成物流れ、および/または廃ガス流れを1以上の吸収剤(図示せず)と接触させることが必要でありうることを理解するであろう。分離装置12に関連して使用される適当な吸収剤の例としては、これらに限定されないが、水、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ジメチルフタレート、ジトリルエーテルおよびその混合物が挙げられる。さらに、多くの重合阻害剤が当該分野において公知であり、任意に酸素を添加し、酸化生成物の望ましくない重合を回避するために分離装置12と一緒に有利に使用することができる。
【0036】
アクリル酸を製造するプロセスである化学反応プロセスの一つの具体例において、分離装置12は、アブソーバーカラムの上部に供給される液体吸収剤流れ(図示せず)を利用するアブソーバーカラムを含む。液体吸収剤は好ましくは冷却される(図示せず)。この具体例において用いられる好適な吸収剤としては、たとえば、水、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ジメチルフタレート、ジトリルエーテル、およびその混合物が挙げられる。この具体例において、吸収剤流れは、アブソーバーの下部に入る混合生成物14と接触し、吸収剤流れはアクリル酸生成物の大部分を捕捉し、これにより酸化生成物(たとえばアクリル酸)を未反応生成物および反応副生成物から分離する。未反応生成物および反応副生成物を含有する廃ガス流れ16は、アブソーバーから大気中へ放出される前に、処理のための廃棄物低減装置17へと輸送される。
【0037】
生成物流れ18は、酸化生成物の所望の最終用途に応じて、そのまま使用することもできるし、あるいは生成物流れ18は当該分野において公知の手段、たとえば、蒸留、抽出、または結晶化により、使用前にさらに精製(図示せず)してもよい。
【0038】
廃棄成分(未反応原材料および反応副生成物)を含む廃棄物流れ16は、廃棄物低減装置17に供給される。いくつかの具体例において、廃棄物流れ16の少なくとも一部は任意にリサイクル流れ9を介してリアクター装置10にリサイクルされうる(図示せず)。廃棄物低減装置17は、低減流出物流れ19により環境中へ排出される前に、廃棄物流れ16から有害な成分を除去する。しばしば、廃棄物低減装置17の操作は、政府事業体により要求され、かつ規制される。廃棄物低減装置17は、これらに限定されないが、フレア、熱酸化装置、焼却炉、炉、触媒燃焼(CCU)ユニット、スクラバー、コンデンサー、炭素吸収床、硫酸回収(SAR)ユニット、プラズマリアクター、選択的および非選択的接触還元(SCR/NSCR)ユニット、および湿潤酸化システムをはじめとする1以上の装置を含むことができる。
【0039】
任意に、化学反応プロセスの廃棄物低減手段は、エネルギー回収のための手段、たとえば、廃熱回収ボイラーを含むことができる。さらに、いくつかの具体例において、廃棄物低減装置17に含まれる1以上の装置を別の周辺の化学プロセスと共有することにより、資本および操作コストを最小限に抑えることができる。たとえば、分離手段は、そのそれぞれは廃ガス流れを共通のCCUに輸送する2つの独立した分離装置を含むことができる。低減流出物流れ19の組成は、廃棄物流れ16の組成および廃棄物低減装置17において用いられる特定の装置に応じて変わるが;低減流出物流れ19は、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、炭化水素、および希ガスを包含するリストから選択される1以上のものを含むことができる。いくつかの具体例において、低減流出物流れ19の少なくとも一部は任意にリサイクル流れ9を介してリアクター装置10へリサイクルすることができる(図示せず)。廃棄物低減装置17のいくつかの例において、2以上の流出物流れ(図示せず)、たとえば気体状流出物流れおよび水性流出物流れが生じる。
【0040】
本発明の1つの具体例は、図2に示す流れ図により表される。本発明の方法は、手動により、またはモニタリング基準、セットポイント、および応答コマンドがコンピューターにプログラムされている分配制御システム(DCS)などのコンピューターの使用により行うことができる。当業者らは本発明の方法を手動またはコンピューターの助けを借りて適用し、行うことができる。
【0041】
本発明の方法を実施するためには、いくつかの準備作業が必要である。まず、リアクター装置10のシャットダウンを必要とする望ましくない反応プロセス条件のリストを作成する。本発明の方法が適用される特定の化学反応プロセスの設計および操作の詳細な知識を有する当業者らは、このようなリストを容易に作成するであろう。当該分野における一般的な実施は、危険・操作性(HAZOP)研究などのこのリストを作成するための構造化された検討を行うことを含む。望ましくない反応プロセス条件の一例は、反応混合物が大気中に漏れるリアクター封じ込めの喪失である場合がある。
【0042】
望ましくない反応プロセス条件がリスト化されると、リスト化された望ましくない条件のそれぞれを示す臨界プロセス測定値が特定される。このような臨界プロセス測定値のそれぞれに関して、望ましくない状態が起こらないことを確認するために使用することができる値の許容することができる範囲が次に決定される。用いられる臨界プロセス測定値の種類は、温度、圧力、流れ、供給比、可燃性計算値、および流れ組成(たとえばオンラインアナライザーにより決定される)、ならびにリアクター装置10内のサポート装置の操作状態(たとえば、リアクター冷却循環ポンプ、反応物質フィード気化装置)および分離装置12および関連する装置、および廃棄物低減装置および関連する装置における下流装置の操作状態を含むリストから選択される1以上を含みうる。前記リアクターの漏れ状態を示す臨界プロセス測定の一例は、リアクター圧測定値であり;この測定値は、リアクター圧測定値が5psig(1020mmHg)より低くなると許容範囲外になり得る。
【0043】
図2に関連して、本発明の方法は、一般に、(a)化学反応プロセスに影響を及ぼす可能性のある望ましくない状態の存在を検出し;(b)反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限にし;(c)反応混合物の少なくとも一部が少なくとも1つの反応ゾーンから移し出されるように、少なくとも1つの反応ゾーンを通る物質の流れを維持することを含む。
【0044】
望ましくない状態の存在を検出する工程は、典型的には、反応プロセス状態をモニターする第一工程20、および工程20で集められた臨界プロセス測定値を、化学反応プロセスの詳細に応じて当業者により決定されるそれぞれの許容範囲と比較する第二工程22を含む。反応プロセス状態をモニターする第一工程20は、臨界プロセス測定値のそれぞれからの値を全て集めることにより行うことができる。望ましくない状態の存在を検出する工程は、典型的には決定工程24および26も含む。
【0045】
工程24により表されるように、臨界プロセス測定値が、その許容範囲内にある場合、望ましくない反応プロセス状態は検出されず、反応プロセス操作を通常通り継続することができ、さらにモニタリングの第一工程20を継続することが決定される。この方法は、モニタリングおよび比較工程が頻繁に行われるならばより大きな利点をもたらす。従って、本発明の方法が手動により行われる場合、第一モニタリング工程20および第二比較工程22を少なくとも30分ごとに1回繰り返すことが推奨される。本発明の方法が自動的に(たとえば、プロセス制御コンピューターによる)行われるならば、第一モニタリング工程20および第二比較工程22を少なくとも15分ごとに1回繰り返すことが推奨され、任意に、モニタリングを5分ごとに少なくとも1回、または少なくとも毎分1回、または少なくとも15秒ごとに1回行うことが推奨されうる。
【0046】
臨界プロセス測定値が許容範囲外にある場合、望ましくない反応プロセス状態が検出され、そしてリアクター装置10をシャットダウンするために本発明の方法に従った処置をとらなければならない。
【0047】
工程26において示されるように、望ましくない状態が検出される場合、反応性炭化水素とオキシダントとの反応は、最小限に抑えられ(すなわち、中断され)、少なくとも1つの反応ゾーンを通る物質の流れは、反応混合物の少なくとも一部が少なくとも1つの反応ゾーンから移し出されるように維持される。反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限にする/中断するために、リアクター装置10の操作条件は、反応性炭化水素とオキシダントとの反応が最小限になるように調節される。たとえば、リアクター冷却剤の流れは著しく増加されることができ、これにより反応が遅くなるか、または停止するまで反応ゾーンの温度を著しく低下させる。加えて、反応ゾーンにおける反応性混合物の組成は、たとえば、反応性炭化水素またはオキシダントのリアクター装置10の反応ゾーンへの流れを減少させるか(流れを停止させる地点までさえ)、または希釈剤物質のリアクター装置10の反応ゾーンへの流れを増大させることにより、反応がゆっくりになるか、またはさらには停止するように、調節することができる。加えて、希釈剤物質は乾燥流体流れ6の乾燥流体、凝縮可能な不活性物質流れ9の凝縮可能な不活性物質、リサイクル流れ9の構成物質、リアクター装置10内で反応しないガスを含有する他の流れ、およびその組み合わせでありうる。リアクター装置10の反応ゾーン内で起こる反応を最小限にする/中断するためのこのような調節は、手動またはプログラムされた制御システムのいずれかにより行うことができる。
【0048】
特定の化学反応プロセスの反応を最小限にするかまたは中断するための最善の手段の決定は、充分に当業者の能力の範囲内である。本発明の方法の特定の具体例において、反応ゾーンを通る物質の流れの少なくとも一部を、反応ゾーンから反応混合物の実質的に全てを移し出すために十分な時間維持することにより、反応ゾーンがフラッシュされる。これは、たとえば制限なく、全反応混合物が反応ゾーンから移し出されるまで凝縮可能な不活性物質を反応ゾーンに供給することにより行うことができる。反応ゾーンを通る物質の流れを維持することにより、逆流(すなわち後進)の可能性が最小限に抑えられる。反応ゾーンから反応混合物の実質的に全てを移し出すために必要な時間は、当業者が容易に計算することができ、必ずしも排他的ではないが、リアクター装置のサイズおよび反応プロセスにおいて用いられる原材料の流速に依存する。実際問題として、1以上のフィード流れ、たとえば図1に示される流れ2、4、6および8の通常の流速以上である物質の体積流速を維持することは、この目的に十分であると考えられる。
【0049】
既に記載したように、今まで公知の反応プロセスシャットダウン手順は、望ましくない状態が検出されるとリアクター装置への全物質の流れを停止することのみを含む。この結果、リアクター装置10内に反応混合物が停留する。周知のように、リアクター装置10内の状態はその内容物のその後の燃焼に適する場合があり、これにより爆発が起こる可能性がある。この停留およびその後の爆発は必ず人身傷害の可能性をともなう実質的な財産の損害を引き起こすであろう。この欠点を克服するために、本発明の多くの利点の1つは、炭化水素のオキシダントとの反応を中断/最小限にすることに加えて、リアクター装置10の内容物を不活性物質でフラッシュすることを含む。
【0050】
工程28に示すように、反応混合物の少なくとも一部が少なくとも1つの反応ゾーンから移し出されるように、少なくとも1つの反応ゾーンを通る物質の流れを維持するために、たとえば、凝縮可能な不活性物質をリアクター装置10の反応ゾーンに供給し、かくして反応混合物を同時に希釈しつつ、リアクター装置10から反応混合物を移し出す。反応混合物が可燃性であるか、または可燃性になる潜在性を有するならば、このような希釈により安全域が増大する。図1に示すように、凝縮可能な不活性物質、たとえば水蒸気は、凝縮可能な不活性物質流れ8によりリアクター装置10に供給することができる。リアクター装置10から移し出された反応混合物は、タンクなどの第二の容器、または分離装置12に向けることができ、ここで反応混合物の成分は、化学反応プロセスが制御下におかれるまで、安全に貯蔵され、保持されうる。
【0051】
工程28において導入された凝縮可能な不活性物質をリアクター装置10から移し出すために、乾燥流体がリアクターに供給される追加の任意のフラッシュ工程30を行うことができる。リアクター装置10内の温度は、典型的には、凝縮可能な不活性物質が直ちに凝縮しないように十分高いが;凝縮可能な不活性物質が分離装置12中に移された場合、装置の質量および温度は、凝縮可能な不活性物質を凝縮させるためのヒートシンクとしての働きをすることができる。凝縮は、反応プロセス流出物流れ14上、または分離装置12内に置かれた熱交換器(図示せず)により促進することもできる。凝縮可能なガスの第一フラッシュを用いる1つの利点は、かかる不活性物質の凝縮に際して、その体積は大幅に減少し、これにより分離装置12内での反応混合物格納に利用可能な体積が最大化され、これにより移し出された反応混合物の分離装置12からの漏れが最小限に抑えられることである。
【0052】
工程26、28、および30は、図2において連続した順序で示されているが、これらの工程は同時に行うこともできるし、あるいは別の異なる順序で行うこともできることが指摘される。たとえば、望ましくない状態が検出された一つの場合において、本発明の方法は、(1)リアクターへの反応物質の流れを減少させること;(2)リアクターへのオキシダント流れを減少させること;(3)リアクターへ乾燥流体および凝縮可能な不活性物質を同時に流すことを含みうる。リアクターへの反応物質流れおよびオキシダント流れを減少させることは、それぞれの流れの100%までの減少をはじめとする、これらの流れの減少を含みうる。任意に、リアクターへの反応物質およびオキシダント流れが減少した後、乾燥流体を凝縮可能な不活性物質の添加の直前に添加することができる。さらに別の例において、反応物質およびオキシダント流れは、同時に減少させることができ、次いで凝縮可能な不活性物質を供給し、続いて乾燥流体を添加することができる。
【0053】
既に記載したように、本発明の反応プロセスは、有機化合物を酸化して酸化生成物を産生することを含む多くの反応を含むことができる。例としては、これらに限定されないが:無水フタル酸を得るためのo−キシレンまたはナフタレンの反応;アントラキノンを得るためのインダンの反応;エチレンオキシドを得るためのエチレンの反応;プロピレンオキシドを得るためのプロピレンの反応;および炭化水素の酸化的脱水素化(ODH)が挙げられる。
【0054】
さらに、本明細書において用いられる場合、「酸化」なる用語は、「アンモ酸化」(すなわち、アンモニアの存在下での酸化)も包含することを意図され、本発明の反応プロセスの例は、これらに限定されないが、アクリロニトリルを得るためのプロピレンのアンモ酸化反応;シアン化水素を得るためのメタンのアンモ酸化反応;およびアクリロニトリルを得るためのプロパンのアンモ酸化反応をさらに含むことができる。
【実施例】
【0055】
実施例1
本発明の方法の1つの非制限的例において、アクリル酸を製造するための接触部分酸化プロセスに関して、望ましくない反応プロセス状態のリストを作成した。この例の反応プロセスにおいて、プロピレン、空気、および不活性物質(水蒸気)の組み合わせられたフィードをシェルおよびマルチプルコンタクトチューブリアクターに供給し、1以上の商業的に入手可能な酸化モリブデンMMO触媒の存在下、プロピレンをアクロレインとアクリル酸に酸化するために十分なプロセス条件下で反応させる。特定された望ましくない反応プロセス条件のリストは、次のものを含むが、これらに限定されない:
可燃性リアクターフィード混合物
高いリアクター圧
反応プロセス漏れ
暴走反応/急速に上昇する触媒温度
高い触媒温度
低い触媒温度
不適切な反応物質とオキシダントフィード比
不適切なオキシダントと不活性物質比
リアクター冷却剤(塩)ポンプが操作不能
低レベルのリアクター冷却剤(塩)タンク
不完全な反応(反応プロセス流出物中の高アクロレイン比)
火が検出されること
フィード中の液体プロピレン
リアクター流出物ラインにおける高圧
エアコンプレッサーが操作不能。
【0056】
臨界プロセス測定値を次にこれらの条件に関して同定し、それぞれの測定値についての許容範囲を同定した。望ましくない反応プロセス状態の発生を同定し、必要な場合に反応プロセスシャットダウンを開始するために、これらの臨界プロセス測定値を連続してモニターするための制御システムソフトウェアを設定した。開始した場合、反応プロセスシャットダウンは:
(1)水蒸気(不活性物質)を維持しつつ、空気(オキシダント)およびプロピレン(反応物質)流れを停止することにより酸化反応を中断すること;
(2)反応混合物を水蒸気(凝縮可能な不活性物質)流れでリアクターから移し出すこと;
(3)凝縮可能な不活性物質をリアクターから熱空気(乾燥流体)流れで移し出すことを含んでいた。この例は、本発明の非ルーチンシャットダウン法が多くの異なる望ましくない反応プロセス操作条件に対処するために充分に適していることを示す。従って、本発明の方法は、反応プロセスをシャットダウンする必要性に対応する、複雑さが最小である、安全および環境的に適合する方法を提供する。
【0057】
実施例2
本発明の非制限的実施例の1つにおいて、反応プロセスは、アクリル酸を製造するための化学プロセスの一部として起こった。化学プロセスは、関連する中間冷却器と一列に配列された2つのシェル・アンド・チューブリアクター(本明細書においては「直列リアクター」と呼ぶ)、直列リアクターの下流のアブソーバー、およびアブソーバーからのオーバーヘッド流れを受容する熱酸化装置を含む。シェル・アンド・チューブリアクター容器のそれぞれは、商業的に入手可能な酸化モリブデン(MMO)酸化触媒が充填された、直径1.5”(37.5mm)の約10,000個のチューブを含む。直列リアクターおよび関連する配管の体積は、約5,557立方フィート(157立方メートル)である。この例のプロセスは、化学プロセス内の望ましくない状態を感知することができるコンピューターベースの制御システムも含む。
【0058】
ルーチン操作条件下で、プロピレン、空気および水蒸気の組み合わせられたフィードは、プロピレンを酸化してアクロレインおよびアクリル酸にするために十分なプロセス条件下で反応プロセスに連続して提供される。その操作の結果として、直列リアクターは、プロピレン、酸素、窒素、アクロレイン、およびアクリル酸を含む反応混合物を含有する;反応の程度はリアクターチューブの長さ方向に沿って変化するので、反応混合物内の成分の正確な濃度も同様に変化する。従って、直列リアクターの出口付近の反応混合物は、入口末端付近の反応混合物よりも実質的に多くのアクリル酸を含有する。アクリル酸を含むリアクター出口流れは、連続して直列リアクターから取出され、アブソーバー中へ向けられ、ここでリアクター出口流れは、非水性吸収剤、たとえばこれらに限定されるわけではないが、ビフェニル、ジフェニルエーテルおよび/またはジメチルオルトフタレートと接触させることができる。アクリル酸を含む生成物流れは、アブソーバーの底部から連続して取出され、窒素および廃棄成分を含む気体状アブソーバーオーバーヘッド流れがアブソーバーの頭頂部から連続して取出される。アブソーバーオーバーヘッド流れは、熱酸化装置に移され、ここで廃棄成分は焼却され、窒素を含み、実質的に廃棄成分を含まない流出物流れが大気中に排出される。
【0059】
この実施例のシナリオにおいて、熱酸化装置は意外にも操作不能になる。この化学プロセスについての環境上の許可の要件にしたがって、非官能性熱酸化剤の発生により反応装置のシャットダウン(すなわち、反応性炭化水素およびオキシダントの反応の最小化および/または中断)が必要になる。従って、この望ましくない状態を感知するためにプログラムされた制御システムは、本発明のシャットダウン法にしたがって反応する。制御システムは、プロピレンおよび空気の直列リアクターへの流れを停止させることにより反応を中断する。しかしながら、リアクターへの水蒸気流れは、シャットダウンの間、維持される。さらに詳細には、水蒸気流れは、このような直列リアクターが75psig(6バール)の水蒸気で60,000ポンド/時(27,216kg/時)の割合で少なくとも2分間フラッシュされるように増加される。この水蒸気の流速は、パージに最も有効なリアクターチューブを通る栓流を有効に発生させるために十分である。
【0060】
凝縮可能な不活性水蒸気の流れは、反応混合物をリアクター装置の反応ゾーンから移し出し、アブソーバー装置中へと下流に押し出す。本発明の方法に従って、吸収剤の流れを水蒸気添加の間アブソーバーへと維持し、これにより、たとえばアクリル酸などの反応混合物からの可溶性成分を捕獲し、アブソーバーの格納効率が改善される。この吸収剤の任意の流れはまた、反応混合物を冷却する働きをし、移し出された反応混合物が可燃性ならば燃焼の可能性を軽減する。
【0061】
所定量の水蒸気が供給された後、水蒸気流れを停止する。150psig(11バール)の乾燥窒素ガスの流れ(−80F/−62C露点、99.9%+純度)をその後リアクターに5,557ACFM(157立方メートル/分)の速度で少なくとも1分間供給する。窒素のこの流速は、リアクターチューブを通る栓流を有効に発生させるために十分であり、これはフラッシングに最も有効である。窒素流れにより、水蒸気はリアクターから移し出され、下流へ押し出されてアブソーバー中へ入る。したがって、この窒素添加は、全水蒸気が凝縮される前にリアクターチューブからパージされることを確実にする働きをし、これにより触媒を湿分ダメージから保護する。水蒸気がアブソーバーに達したら、凝縮され、アブソーバーの底部から抜き取ることができる。従って、アブソーバーにおける水蒸気の体積効果は顕著ではなく、あらかじめパージされた反応混合物はアブソーバーから移し出されない。かくして、反応混合物の成分は、格納され、後に改善されるためにアブソーバー内に残留し得る。本発明の方法に従って、窒素添加の間、吸収剤の流れは任意にアブソーバーに維持されることができ、これによりアブソーバー内の水蒸気凝縮の速度が改善される。
【0062】
リアクター装置の反応ゾーンから反応混合物がアブソーバー装置に、移し出され、輸送される好ましい具体例において本発明の方法を実施することができ、少なくともリアクターの体積と同じくらいの大きさ、さらには少なくともリアクターおよびその関連する配管と同じくらいの大きさの体積を有するアブソーバー装置を使用するのが有利であることは、当業者には容易に理解されるであろう。このような具体例において、反応ゾーンからの反応混合物の実質的に全てを移し出す(すなわち、反応ゾーンをフラッシュする)ために反応ゾーンに供給される不活性物質の合計体積は、アブソーバー装置の体積以下である。さらに、水蒸気が凝縮可能な不活性物質として使用される場合、吸収剤の冷却能力が、水蒸気を完全に凝縮するための水蒸気処理速度に対応することができるのが有利であり、アブソーバー装置がリアクター装置よりも大きな(あるいは、所望によりリアクター装置およびその関連する配管の体積よりも大きな)体積を有することが必要とされる。本開示の恩恵を受ける当業者には、凝縮可能な不活性物質(水蒸気)添加の停止と乾燥流体(窒素)の流れの開始の間の短い遅れの発生は、本発明の方法の有用性を実質的に損なわないことは明らかであろう。これは、リアクターチューブ内の水蒸気は水蒸気流れが停止した場合に直ちに凝縮しないからである。したがって、実際問題として、これらの工程間の短い遅れは、約30分を越えるべきでないのが推奨される。
【0063】
このシャットダウン法を実施する結果、リアクターの「停留」に関連する危険な状態が回避され、同時に大気への低減されない放出が防止される。本発明のシャットダウン法は、反応プロセス外で起こる望ましくない状態(たとえば、反応の下流で起こる望ましくない廃棄物低減プロセス状態)により開始される非ルーチンシャットダウンシナリオを取り扱うために十分適用可能であることも、この例から明らかである。
【0064】
本明細書に記載される本発明は、従って、目的を達成するため、および記載された目的および利点、ならびに他の固有のものを達成するためによく適合される。本発明のいくつかの現在好ましい具体例を開示の目的で記載したが、所望の結果を得るために、手順の詳細において多くの変更をなすことができる。たとえば、本発明は粗(メタ)アクリル酸の精製をプロセスの一部として有する任意の工業プロセスを含み得る。これらおよび他の同様の改変は、当業者自身には容易に示唆され、本明細書に開示されている本発明の精神および添付の請求の範囲内に含まれることを意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】反応ゾーンおよび分離装置を含み、本発明の方法から恩恵を受けることができる化学プロセスの概略図である。
【図2】本発明の方法の1態様を表す流れ図である。
【符号の説明】
【0066】
2 流れ
4 流れ
6 乾燥流体流れ
8 不活性物質流れ
9 リサイクル流れ
10 リアクター装置
12 分離装置
14 混合生成物
16 廃棄物流れ
17 廃棄物低減装置
18 生成物流れ
19 低減流出物流れ
20 第一モニタリング工程
22 第二比較工程
24、26 決定工程
28、30 工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学反応プロセスを安全に操作する方法であって、ここで該プロセスは反応性炭化水素、オキシダントおよび希釈剤物質からなる群から選択される1以上の原材料を、1以上の原材料がある組成を有する反応性混合物を形成する少なくとも1つの反応ゾーンに提供し;少なくとも1つの反応ゾーンにおいて、反応性炭化水素をオキシダントと反応させて、少なくとも1つの反応生成物を含む混合生成物を形成することを含み、
当該化学反応プロセスを安全に操作する方法は:
(a)化学反応プロセスに影響を及ぼす可能性のある望ましくない状態の存在を検出し;
(b)反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限にし;さらに
(c)反応混合物の少なくとも一部が少なくとも1つの反応ゾーンから移し出されるように、少なくとも1つの反応ゾーンを通る物質の流れを維持すること
を含む、化学反応プロセスを安全に操作する方法。
【請求項2】
反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限にする工程が:少なくとも1つの反応ゾーンへの反応性炭化水素の流れを減少させること、少なくとも1つの反応ゾーンへのオキシダントの流れを減少させること、少なくとも1つの反応ゾーンへの希釈剤物質の流れを増大させること、前記の少なくとも1つの反応ゾーンの1以上へ不活性物質を提供すること;からなる群から選択される少なくとも1つの処置を行うことにより反応混合物の組成を調節することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記不活性物質が、窒素、酸化窒素、亜酸化窒素、アブソーバーオフガス、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、非反応性炭化水素、希ガス、低減流出物からなる群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項4】
不活性物質が、乾燥流体、凝縮可能な不活性物質、および乾燥流体と凝縮可能な不活性物質の組み合わせからなる群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの反応ゾーンを通る物質の流れを維持する工程が:希釈剤物質の流れを維持すること、希釈剤物質の流れを増加させること、および不活性物質を前記の少なくとも1つの反応ゾーンの1以上へ提供すること;からなる群から選択される少なくとも1つの処置を行うことにより行われる請求項1記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの反応ゾーンを通る物質の流れを維持する工程が、反応混合物の実質的に全部を反応ゾーンから移し出すために十分な時間行われ、これにより反応ゾーンをフラッシュする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記の望ましくない状態が、反応混合物の可燃性、高いリアクター圧、下流の排出低減の停止、反応混合物の封じ込めの喪失、暴走反応、急速に上昇する触媒温度、高い触媒温度、低い触媒温度、不適切な反応物質とオキシダントの供給比、不適切なオキシダントと不活性物質の比、リアクター冷却システム操作不能、反応物質冷却システム中の低レベルの冷却剤、不完全な反応、検出された炎、フィード中の液体プロピレン、リアクター流出物ラインにおける高圧、関連する空気コンプレッサー操作不能、関連する下流プロセスにおける望ましくない状態、および反応の安全な操作に影響を及ぼす任意の状態、からなる群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項8】
望ましくない状態の存在を検出する工程が:分析器、流量計、熱電対、および圧力指示器;からなる群から選択される1以上の装置を用いて、化学反応プロセスに影響を及ぼす可能性のある1以上のプロセス状態をモニターすることを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
化学反応プロセスが:(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリル酸、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、メチルメタクリレート、および無水マレイン酸;からなる群から選択される少なくとも1つの生成物を製造するための接触部分酸化プロセスである請求項1記載の方法。
【請求項10】
反応性炭化水素をオキシダントと反応させる工程が:アクリル酸を製造するためのプロパンの反応;無水フタル酸を製造するためのo−キシレンまたはナフタレンの反応、アントラキノンを製造するためのインダンの反応、アクリル酸を製造するためのプロピレンの反応、アクリロニトリルを製造するためのプロピレンのアンモ酸化;シアン化水素を製造するためのメタンのアンモ酸化;アクリロニトリルを製造するためのプロパンのアンモ酸化、メチルメタクリレートを製造するためのイソブテンの反応、メチルメタクリレートを製造するためのMTBEの反応、および炭化水素の酸化的脱水素化(ODH)からなる群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項11】
方法が、触媒を再生する工程をさらに含み、かつ空気、酸化窒素、亜酸化窒素、および気相リン含有物質、並びにそれらの混合物からなる群から選択される不活性物質を、少なくとも1つの反応ゾーンの1以上に提供することにより工程(b)および(c)の1以上を達成する、少なくとも1つの反応ゾーンの1以上が少なくとも1つの触媒物質を含有する請求項1記載の方法。
【請求項12】
化学反応プロセスの混合生成物が、未反応原材料および反応副生成物をさらに含み、かつ化学反応プロセスが、少なくとも1つの分離装置において混合生成物から少なくとも1つの反応生成物を分離する工程をさらに含み、化学反応プロセスを安全に行う方法が、(d)移し出される反応混合物を少なくとも1つの分離装置に導く工程、をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
(e)凝縮可能な不活性物質を少なくとも1つの反応ゾーンの1以上に提供すること、および凝縮可能な不活性物質が少なくとも1つの反応ゾーンを出た後に、凝縮可能な不活性物質を凝縮することにより、少なくとも1つの分離装置からの、移し出された反応混合物の漏れを最小限にする工程をさらに含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
望ましくない状態の存在を検出する工程が、反応混合物の組成を決定すること、および当該組成とあらかじめ存在する可燃性組成データとを比較することを含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
工程(a)、(b)、および(c)の1以上が、コンピューターシステムを用いて行われる請求項1記載の方法。
【請求項16】
コンピューターシステムが、工程(a)、(b)、および(c)の1以上を行うことができる分配制御システム(DCS)を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
望ましくない状態の存在が検出され、反応性炭化水素のオキシダントとの反応を最小限にする工程が、少なくとも1つの反応ゾーンへの、反応性炭化水素の流れを減少させること、およびオキシダントの流れを減少させること;凝縮可能な不活性物質を少なくとも1つの反応ゾーンに提供することにより物質の流れを維持すること;反応性炭化水素とオキシダントの反応が実質的に停止し、さらに反応性混合物の大部分が少なくとも1つの反応ゾーンから移し出されるまで、凝縮可能な不活性物質の流れを維持すること;により行われ、さらに
化学反応プロセスを安全に操作する方法が:
(d)凝縮可能な不活性物質のリアクターへの流れを停止させる工程;および
(e)少なくとも1つの反応ゾーンへの、凝縮可能な不活性物質の、実質的な量の流れが停止した後に、乾燥流体を含む第二の不活性物質を少なくとも1つの反応ゾーンに提供する工程をさらに含む請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−143730(P2006−143730A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−335352(P2005−335352)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】