非周期パルス逐次的横方向結晶化のためのシステムおよび方法
非周期パルス逐次的横方向結晶化のための開示されたシステムおよび方法は、薄膜を処理することに関する。(選択方向に薄膜を進行させながら)薄膜を処理する方法は、第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスにより薄膜の第1の領域を照射し、第3のレーザパルスおよび第4のレーザパルスにより薄膜の第2の領域を照射することを含み、第1のレーザパルスと第2のレーザパルスとの間の時間間隔は、第1のレーザパルスと第3のレーザパルスとの間の半分の時間間隔よりも短い。いくつかの実施形態において、各パルスは、形成されたビームを提供し、冷却の際横方向から結晶化する溶融区域を形成するために、その厚さの全体にわたって、薄膜を溶融させるのに十分な流束量を有する。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は互いに隣接している。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は、離間して配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、合衆国法典第35巻第119(e)条のもとで、2010年1月12日に出願された米国特許出願第61/294,288号および2009年12月31日に出願された米国特許出願第61/291,663号に対する優先権を主張し、各々の開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本明細書に引用される特許、特許出願、特許公報および刊行物は、すべて、それらの全体が参考文献として本明細書に明示的に援用される。特許出願の教示と援用された文献の教示との間に矛盾が生じた場合には、特許出願の教示が支配するものとする。
【背景技術】
【0003】
半導体プロセシングの分野において、多くの技術が、非結晶シリコン薄膜を多結晶薄膜に変換することについて記載されている。このような技術の1つは、逐次的横方向結晶化(「SLS(sequential lateral solidification)」)である。SLSは、耐熱性がない基板(例えばガラスやプラスチック)など(しかし限定されない)の基板上の結晶粒を伸ばした多結晶薄膜を生成することができるパルスレーザ結晶化工程である。SLSシステムおよびプロセスの例は、共同所有された米国特許第6,322,625号、第6,368,945号、第6,555,449号および第6,573,531号に記載されており、その全体の内容は、参考文献として本明細書に援用される。
【0004】
SLSは、基板上の非結晶薄膜または多結晶薄膜の領域を溶融するために位置制御レーザパルスを用いる。薄膜の溶融領域は、その後、指向的に凝固された微細構造または多数の位置制御された大型単結晶領域に、横方向から結晶化する。一般に、溶解/結晶化工程は、薄膜の表面にわたって逐次的に繰り返される。その後、イメージセンサ、アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ(「AMLCD」(active-matrix liquid crystal display))およびアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED(active-matrix organic light-emitting diode))ディスプレイ装置などのような1つ以上の装置が、結晶化薄膜から製造されることができる。AMLCDおよびAMOLEDのディスプレイ装置において、薄膜トランジスタ(「TFT」)またはTFT回路の規則的配列構造は、透明基板上に製造され、各々のトランジスタまたは回路は、画素コントローラを務める。
【0005】
従来のSLSシステムにおいて、成功した結晶化における1つの要因は、レーザパルスに対してサンプルを平行移動させるステージの精密さである。現在のGEN−4の2次元(「2D」)投射SLSシステム向けの、ステージの平行移動速度は、約数十cm/秒(例えば18cm/秒)である。これらのようなステージは、動作の完全な直線からの、ある歪みを有する。その歪みは、本明細書において総体的にステージのぶれ(stage wobble)と呼ばれる。本明細書で用いられる「ステージのぶれ」は、レーザ経路において平行移動させるにつれて、その所期の位置からのステージ位置の変動および歪みを表す。例えば、ステージがx方向に移動している場合、このような変動は、ステージのy方向への意図しないわずかな動作になりえる、2D投射システムは、SLSを実行するための2次元的にパターン化されたビームを生成する。他の方法は、SLSを実行するためのラインビームを生成することができる。
【0006】
従来の単一スキャンツーショットSLSにおけるステージのぶれに関連する1つの問題は、2つの逐次的レーザパルスから作られた素材(すなわちツーショット素材)における長い結晶粒界の非等距離間隔である。単一スキャンSLSプロセスは、単一スキャンにおいて基板上の領域を完全に結晶させることができるSLSプロセスを表す。ツーショットSLSは、2つのレーザパルスによって、このような領域の所定の部分を完全に結晶させるSLSプロセスを表す。2つのパルス間のステージのぶれは、第1のパルスと第2のパルスの非対称性オーバーラップをもたらす場合がある。理想的には、第2のパルスのビームレットは、ツーショットプロセスによって生成された結晶粒界間の一定の間隔を達成するように、第1のパルスのビームレットによって照射された領域間に集中させられる。ステージのぶれのために第2のパルスのビームレットが申し分なく配置されないならば、1列の粒が、近隣の列の粒よりも短くなる場合もあるし、多くの粒が、列の幅(例えば閉塞された粒)を十分には延伸していない、より広い列に残存する場合もある。その上、投射光学素子における様々な異常によって引き起こされたビームレットの歪みは、また、スキャンにおける第2のパルスの非対称性オーバーラップを局部的にもたらすかもしれない。本明細書で用いられる「ビーム歪み」は、非均一のビームレットの形成をもたらす場合がある投射光学素子における異常を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非周期パルスSLSの方法およびツールは、レーザの位置制御逐次的トリガを用いて記載される。本システムは、結晶化プロセスにおいて別個の非周期レーザパルス(すなわち、各レーザパルスが別々の溶融サイクルおよび結晶化サイクルをもたらすという点で別個)を生成するために複数のレーザまたは単一のレーザを実行することができる。単一スキャンにおける薄膜の選択領域を照射し結晶させるために、1つ以上のレーザが、協調的なパルスシーケンスにおいて用いられる。例えば、2つの異なるレーザ源からのレーザパルスの迅速なシーケンスは、単一の源パルスレートと比較して、局所的領域を処理する際に効果的なパルスレートを高める能力を提供する。それは、ステージの平行移動速度を低下させる必要なしに、連続パルス間のより大きなオーバーラップをも可能にする。2つのレーザからのパルス間の薄膜のオーバーラップ領域は、70%または95%を超える場合があり、場合によっては99%を超える場合がある。この高度のオーバーラップは、ステージのぶれおよびレーザビームの歪みの問題を軽減するために用いられることができる。
【0008】
任意の実施形態において、非周期パルス逐次的横方向結晶化のための開示されたシステムおよび方法は、薄膜を処理することに関する。(選択方向に薄膜を進行させながら)薄膜を処理する方法は、第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスにより薄膜の第1の領域を照射し、第3のレーザパルスおよび第4のレーザパルスにより薄膜の第2の領域を照射することを含み、第1のレーザパルスと第2のレーザパルスとの間の時間間隔は、第1のレーザパルスと第3のレーザパルスとの間の半分の時間間隔よりも短い。いくつかの実施形態において、各パルスは、形成されたビームを提供し、冷却の際横方向から結晶化する溶融区域を形成するために、その厚さの全体にわたって、薄膜を溶融させるのに十分な流束量を有する。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は互いに隣接している。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は、離間して配置される。
【0009】
任意の実施形態において、第1のレーザ源は、前記第1のレーザパルスと前記第3のレーザパルスとを生成し、第2のレーザ源は、前記第2のレーザパルスと前記第4のレーザパルスとを生成する。いくつかの実施形態において、第1のレーザ源および第2のレーザ源は、一定の速度でパルスを発する。いくつかの実施形態において、第1のレーザ源および第2のレーザは、同一である。いくつかの実施形態において、第1のレーザ源と第2のレーザとは、異なる。いくつかの実施形態において、薄膜は、選択方向において連続的に進行される。
【0010】
任意の実施形態において、第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスの各々から提供されるビームは、薄膜の第1の領域においてオーバーラップし、第3のレーザパルスおよび第4のレーザパルスの各々から提供されるビームは、薄膜の第2の領域においてオーバーラップする。領域の各々におけるオーバーラップは、例えば、90%を超える、95%を超える、または99%を超えるオーバーラップになりえる。
【0011】
任意において、形成されたビームは、マスクを通じてレーザパルスを方向づけることにより取得される、および/または複数のビームレットを含む。いくつかの実施形態において、ビームレットは、薄膜の端に対して傾いて位置決めされることができる。いくつかの実施形態において、薄膜の端は、スキャン方向に対して傾いて位置決めされることができる。いくつかの実施形態において、形成されたビームは、ドットパターンになりえる。
【0012】
任意の実施形態において、第1の領域および第2の領域は、互いに離間されて配置され、薄膜の未照射の領域によって分離される。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は、例えば10%または1%オーバーラップする。
【0013】
任意の実施形態において、電子装置は、第1の領域および第2の領域の各々において製造され、領域の大きさは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むようなサイズである。
【0014】
1つの態様において、本開示は、記載された方法に従って処理された薄膜に関する。薄膜は、薄膜の第1の領域および第2の領域の各々において薄膜トランジスタを有する装置を含む電子装置を作るために用いられことができる。
【0015】
1つの態様において、本開示は、薄膜を処理する方法に関連し、本方法は、選択方向に等速度で薄膜を進行させている間に、プライマリレーザ源からのレーザパルスによって提供される第1のビームによって薄膜の第1の領域を照射することと、セカンダリレーザ源からのレーザパルスによって提供される第2のビームによって薄膜の第2の領域を照射することと、プライマリレーザ源からのレーザパルスによって提供される第3のビームによって薄膜の第3の領域を照射することとを含む。いくつかの実施形態において、第1のビーム、第2のビームおよび第3のビームの各ビームは、照射された薄膜領域のその厚さの全体にわたって薄膜を溶融させ、かつ1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために、冷却の際に横方向から結晶化するために十分な流束量を有し、第1の領域と第2の領域との間の照射のオーバーラップは、第2の領域と第3の領域との間の照射のオーバーラップよりも大きい。
【0016】
1つの態様において、本開示は、薄膜を選択方向に進行させながら薄膜を処理する方法に関する。本方法は、第1回目において、プライマリレーザ源からのレーザパルスから第1の形づくられたビームレットを生成し、第1の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第1の溶融区域を形成するために第1の形づくられたビームレットで薄膜の第1の領域を照射することと、第2回目において、セカンダリレーザ源からのレーザパルスから第2の形づくられたビームレットを生成し、第2の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第2の溶融区域を形成するために第2の形づくられたビームレットで薄膜の第1の領域を照射することと、第3回目において、プライマリレーザ源からの他のレーザパルスから第3の形づくられたビームレットを生成し、第3の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第3の溶融区域を形成するために第3の形づくられたビームレットで薄膜の第2の領域を照射することとを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1回目と第3回目との間の時間間隔は、第1回目と第2回目との間の時間間隔の2倍以上である。
【0017】
1つの態様において、本開示は、薄膜を処理するためのシステムに関し、レーザパルスを生成するためのプライマリレーザ源およびセカンダリレーザ源と、レーザパルスからの形づくられたビームレットを生成するためのシステムと、基板上の薄膜を保護するためのワーク表面と、ビームパルスに対して薄膜を移動し、それによって薄膜の表面上にレーザビームパルスの伝搬方向を生成するためのステージと、プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第1の組のビームレットによって照射される、移動可能なステージの中に装着された薄膜の第1の領域と、セカンダリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第2の組のビームレットによって照射される薄膜の第2の領域と、プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第3の組のビームレットによって照射される薄膜の第3の領域とを提供するためにレーザパルスを同期させたステージのための命令を処理するためのコンピュータとを含む。いくつかの実施形態において、処理命令は、第1の領域および第2の領域を照射するために、ビームパルスに対して薄膜を伝搬方向に移動するために提供され、第1の領域と第2の領域との間の照射のオーバーラップは、第2の領域と第3の領域との間の照射のオーバーラップよりも大きい。いくつかの実施形態において、本システムは、また、サンプル配列のためのシステムを含む。
【0018】
以下の記載は、以下の図面への参照により、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】逐次的横方向結晶化(SLS)プロセスに用いられるシステムを表す。
【図2A】SLSプロセスにおいて用いられるマスクを表す。
【図2B】SLSプロセスを図示する。
【図2C】SLSプロセスを図示する。
【図2D】SLSプロセスを図示する。
【図3】ツーショットSLSプロセスを用いたツーショットスキャンを表す。
【図4A】SLSプロセスにおいて用いられるマスクを表す。
【図4B】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4C】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4D】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4E】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4F】図4Aにおいて表されたマスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。
【図4G】図4Aにおいて表されたマスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。
【図4H】図4Aにおいて表されたマスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。
【図5A】従来のツーショットSLSプロセスにおける時間対パルスエネルギーのグラフである。
【図5B】本開示の実施形態による、選択的に進行されるツーショットSLSプロセスのための時間対パルスエネルギーのグラフである。
【図5C】本開示の実施形態による、第2のパルスが第1のパルスよりも高いエネルギーを有する選択的に進行されるツーショットSLSプロセスのための時間対パルスエネルギーのグラフである。
【図6】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスに用いられるシステムである。
【図7A】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスに用いられる垂直のマスクを表す。
【図7B】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおけるツーショットスキャンを表す。
【図7C】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける別のオーバーラップスキームを表す。
【図7D】本開示の実施形態による、ビームレットが薄膜の端に対してタイトルづけられた場合の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【図7E】本開示の実施形態による、ビームレットが薄膜の端に対してタイトルづけられた場合の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【図7F】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける歪みを表す。
【図7G】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける歪みを表す。
【図7H】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける歪みを表す。
【図8】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【図9】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスによって処理された薄膜を表す。
【図10A】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスにおける我々のためのマスクを表す。
【図10B】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
非周期パルスSLSの方法およびツールは、複数のレーザの位置制御逐次的トリガを用いて記載される。複数のレーザは、結晶化プロセスにおいて別個の非周期レーザパルス(すなわち、各レーザパルスが別々の溶融サイクルおよび結晶化サイクルをもたらすという点で別個)を生成することができる。単一スキャンにおける薄膜の選択領域を照射し結晶させるために、2つ以上のレーザが、協調的なパルスシーケンスにおいて用いられる。2つの異なるレーザ源からのレーザパルスの迅速なシーケンスは、単一の源パルスレートと比較して、局所的領域を処理する際に効果的なパルスレートを高める能力を提供する。それは、ステージの平行移動速度を低下させる必要なしで、連続パルス間のより大きなオーバーラップをも可能にする。2つのレーザからのパルス間の薄膜のオーバーラップ領域は、70%または95%を超える場合があり、場合によっては99%を超える場合がある。この高度のオーバーラップは、ステージのぶれおよびレーザビームの歪みの問題を軽減するために用いられることができる。
【0021】
さらに、非周期パルスSLS方法およびツールは、電子素子の中に形成される薄膜のそれらの領域のみを結晶させるために、薄膜の選択領域結晶化(SAC)を実行するために用いられることもできる。非周期パルスSLSの方法およびツールは、2つ以上のレーザの第1のパルス間のオーバーラップ(およびあるケースでは実質的なオーバーラップ(すなわち70%を超えるオーバーラップ))を可能にすることによりSACを提供する。その結果として薄膜の第1の領域における細長い結晶成長をもたらし、そしてレーザの繰り返しレートによって決定される休止期間が続き、その後2つ以上のレーザの第2のパルスにおける実質的なオーバーラップが、結果として薄膜の第2の領域における細長い結晶成長をもたらす。非周期レーザパルスシーケンスに供給するレーザパルス間のタイミングおよび照射領域における実質的なオーバーラップは、図5A〜図5Cに示され、以下で詳細に説明される。このような方法およびシステムは、高い処理能力で、従来の2次元投射SLSプロセスに用いることができる。
【0022】
低温多結晶Si(LTPS(Low-temperature polycrystalline Si))技術は、十分な輝度および/または寿命で、大径のAMOLEDディスプレイを作るために必要になることが予想される。SLSは、この発展にとって興味深いレーザベースのLTPS技術の1つであり、それに対応して、SLSシステムは、十分な処理能力(より高いパルス繰り返しレートおよび/またはパルス当たりのより高いエネルギー)を達成するために、より多くのレーザパワーを有するだけでなく、より大型のパネルを処理するために、より大型のステージが必要となることが予想される。より高速のステージおよびより高いパルス繰り返しレートは、単独で、ぶれおよび微細構造(ステージの不活性およびパルス間のより少ない時間)上のその影響を低減するのに既に有用であるかもしれない一方で、より大型のステージおよびより小さな粒の必要性は、ステージ設計を難問なものにし、ステージを高価なものにするだろう。非周期パルシングは、ステージ設計の難問を顕著に低減する一方で、他方では、2つのパルス間のステージ歪みにおいて実質的に変化がない点にまで、連続する2つのオーバーラップするパルス間の時間を徹底的に低減することができる。
【0023】
パルス間のオーバーラップを高めることは、そのビームレット間の特有のオーバーラップ上のステージのぶれおよび画像歪の負の影響を低減する際の、ある長所を有する。非周期パルスSLSは、ステージ運動に対して、任意の方向に方向づけられたビームレットを用いて実行することができる。但し、実際には、垂直に(例えば、ステージ平行移動の方向に垂直)方向づけられたビームレットは、パルスオーバーラップの増加をもたらすために用いることができ、それによって本方法からより大きな有益性を得る。ツーショットSLSプロセスのような長い矩形のビームレットを用いたSLSスキームにとって、最高度のパルスオーバーラップは、略垂直に方向づけられたビームレットを用いることにより確立されることができる。水平のビームレットが、記載された非周期パルスSLS方法に従って用いられていてもよい一方で、垂直のビームレットの利用は、パルス間の高度のオーバーラップを達成するのに好適である。垂直のビームレット配列は、「高周波数レーザを用いた薄膜の均一の逐次的横方向結晶化のためのシステムおよび方法(Systems and Methods for Uniform Sequential Lateral Solidification of Thin Films Using High Frequency Lasers)」(米国特許出願第12/063,814号)に記載されており、その開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される。
【0024】
単一スキャンツーショットSLSは、非周期パルスSLSの特徴および有利性について、よりよく説明するためにまず記載される。図1は、2D−SLSプロセスに用いることができるシステムの例を示す。光源(例えばエキシマレーザ110)は、鏡130、140および160、望遠鏡135、ホモジナイザ145、ビーム分割器155およびレンズ165のような光学素子を介して通過するのに先立ってパルス幅拡張器120および減衰器プレート125を介して通過するパルスレーザビームを生成する。その後、レーザ光パルスは、マスク170(それは平行移動ステージ(図示せず)上にあってもよい)および投射光学素子195を介して通過する。投射光学素子は、レーザビームのサイズを低減し、同時に、所望の位置で薄膜199にぶつかる光学的エネルギーの強度を高める。薄膜199は、ビーム下の薄膜199を正確に位置決めすることができ、かつ薄膜199上の所望の位置でレーザビームによって生成されたマスク170の画像の焦点を合わせる(または焦点をずらす)のを支援することができる精密x−y−z軸ステージ198上に備えられる。いくつかの実施形態において、ステージは、基板および投射レンズが互いに移動することができるように、(基板が配置される)ワーク表面および/または投射レンズを移動させるための技術を含むことができる。
【0025】
SLSプロセスにおいて用いることができるレーザ結晶化システムは、主としてレーザ源によって要求される特性を有する。例えば、パルス当たりの低エネルギーをもつ高周波数レーザ(数kHzまたはそれ以上、数十kHzまたはそれ以上に達する)は、「ラインスキャンSLS」と呼ばれるものを実行するための、長い細線を生成するために用いることができる。ビーム長は、1つ以上のディスプレイの寸法よりも典型的には大型であり、ディスプレイが切断されるガラスパネルの寸法の分数またはガラスパネルの寸法に等しい場合がある。分数は、パネルのおよそ2分の1からおよそ16分の1まで(例えばパネルの4分の1)である場合がある。高出力(例えば300Hzまたは600Hzまたはそれ以上、300Wまたは600Wまたはそれ以上)を有する低周波数レーザは、パルス当たりのエネルギーが高く(約1ジュール)なりすぎるにつれて、このラインスキャンSLSスキームに適用可能ではなく、その代りに、薄膜の表面にわたって曲がりくねった方式でスキャンされる長方形ビームが形成される。このようなレーザを用いる独特のSLSシステム(一例として日本鉄鋼所株式会社(日本)から市販で入手可能)は、約0.5mmから2.0mmの特徴的な短い軸寸法、および約15ミリメートルから30mmの特徴的な長い軸寸法をもつ矩形のレーザパルスを生成するために2次元(2D)投射システムを用いる。逐次的横方向結晶化に用いられる溶融区域の少なくとも1つの寸法は、横方向の粒成長の約1〜2倍(例えば、約2μmから6μmまで)である。よって、矩形のレーザビームは、より小さな寸法の複数のこのようなビームレットを提供するためにマスクされてもよい。また適切な寸法の複数のビームレットは、マスクと同様の光パターンを生成する混信パターンを生成するなど、マスクを用いる代わりに、他の手段のビームの光学的操作を用いて提供されることができる。
【0026】
ハイレベルの均一性をもつ結晶質膜に至るこのような複数のビームレットを用いた1つのSLSスキームにおいて、多結晶半導体薄膜を生成するための比較的迅速な手段を提供して、薄膜を完全に結晶させるために、薄膜の所定の領域は、2つの別個のレーザパルスで照射される。このスキームは、一般的にツーショットSLSと呼ばれる。ツーショットのさらなる詳細な記述および他のSLSの方法およびシステムは、「連続動作逐次的横方向結晶化を提供するための方法およびシステム(Method and System for Providing a Continuous Motion Sequential Lateral Solidification)」と題された米国特許第6,368,945号において見出すことができ、その全体の内容は、参考文献として本明細書に援用される。ツーショットSLSは、ビームパルスが配列ビームレットにパターン化された場合、単一スキャンSLSと呼ばれる単一スキャンにおいて実行することができ、それらの長軸は、「単一スキャン(連続動作逐次的横方向結晶化)を提供するための方法およびシステム(Method and System for Providing a Single-Scan, Continuous Motion Sequential Lateral Solidification)」と題された米国特許第6,908,835号(その開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される)において論じられたように、典型的にはスキャン方向に平行に配列される。
【0027】
図2Aは、単一スキャン(連続動作SLSプロセス)のための図1のシステムを用いたSLSスキームにおいて用いることができる米国特許第6,908,835号に記載されたようなマスクを図示する。マスクは、薄膜を照射する複数のビームレットを生成するためにレーザビームを伝搬し形づくる、複数の矩形のスリットの2重の配列210および215を含む。マスクの他の(非スリット)部分は、不透明である。マスクは、透明基板(例えばクオーツ)から製造されることができ、任意の形状または寸法の特徴を有するマスクを形成するために従来の技術によってエッチングされる金属または誘電体コーティングを含むことができる。マスク実例は、単に概略であるように意図されており、スリットの寸法および縦横比は、大幅に変更することができ、かつ、照射領域における薄膜を溶融するために必要とされる処理の所望の速度、エネルギー密度およびパルス当たりの使用可能エネルギーに関連づけられることは、理解されるべきである。1組のスリット210は、第2の組のスリット215からx軸およびyの軸に片寄る。一般に、所定のスリットの幅対長さの縦横比は、(例えば、1:5〜1:200の間、またはそれ以上に)変更することができる。マスクフィーチャーの長さ265は、基板表面上で製造される装置の寸法に相応するように選択される。マスクフィーチャーの幅260および間隔240は、変更してもよい。いくつかの実施形態において、幅260は溶融帯内の小粒核形成を回避するのに十分なくらいに小さく(さらに、各々のレーザパルスのための横方向結晶成長を最大にするのに十分なくらいに大きく)なるように選択される。単なる例として、マスクフィーチャーは、約25〜1000マイクロメートル(μm)の長さ265および約2〜5マイクロメートル(μm)幅260を有することができ、その各々は、後続の投射光学素子において生じる任意の縮小係数(例えば4〜6倍の縮小)により乗算されることができる。
【0028】
作動中、ステージは、図2Aのマスクにおけるスリットの長軸がスキャン方向に実質的に平行に位置するように、負のx方向に薄膜を連続的に移動させる。薄膜が移動するにつれて、レーザは、マスクによって形づくられる所定の周波数(例えば300Hz)でパルスを生成する。薄膜速度(例えばステージ速度)は、それが移動するにつれて、後続のレーザパルス内のビームレットがオーバーラップするように選択される。
【0029】
図2B〜図2Dは、薄膜が負のx方向にスキャンされるにつれて、スリット210の2重配列の第2の(右の)組およびスリット215の2重配列の第1の(左の)組に対応する照射間のオーバーラップを示す薄膜の領域上に焦点を合わせる、図2Aに示されたようなマスクを用いたツーショットSLSプロセスを表す。この例において、マスクスリット210は、約5μmの幅260を有しており、約2μmの間隔240を置くことにより各々が離間して配置される。第1のパルスの間、薄膜の領域は、第1のレーザパルスで照射される。図2Bに示されるように、領域は、マスクの第2の配列210から第1の組のビームレットで照射され、レーザパルスは、サンプル上の領域211、212、213を溶融する。ここで、各溶解領域214は、約5μm幅かつ約2μm間隔217で離間して配置され、その各々は、後続の投射光学素子において生じる任意の縮小係数(例えば4〜6倍の縮小)により乗算されることができる。この第1のレーザパルスは、溶融境界216から始まり溶融領域に続く照射領域211、212および213における結晶成長を引き起こす。その結果、図2Cに示されるように、多結晶シリコン221が、照射領域にて生ずる。
【0030】
薄膜は、x方向に平行移動し続ける、また、(マスクの第1の配列215から第2の組のビームレットをもつ領域の照射に起因する)第2の照射は、最近結晶化された領域221および溶融させる最初の結晶種領域224にわたって、残存する非結晶領域223、225、227、229(図2Cに示される)を溶融させる。図2Dに示されるように、中央部分228を外側に形成する結晶構造は、溶融させられた領域の結晶化に際して成長する。その結果、均一の長粒多結晶シリコン領域が形成される。さらに、図2Dは、長粒境界235、236、237および238によって他方から各々が分離した結晶学的な4つの列231、232、233および234を表す。長粒境界235、236、237および238は、各々の溶融された領域の中央に対応する。これらの結晶学的な列の各々の内部で、複数の実質的に平行に横方向から成長した結晶239、241、242、243、244が見出される。
【0031】
図3は、2つの後続のレーザパルスによって照射された薄膜の典型的な実例を示す。前述のように、ビームレットが照射し、それにより所定の行の個別の照射領域380を溶融させる場合、その領域における結晶を冷却する際に、領域の端から領域の中央に向かって成長する。したがって、ビームレットの端がx方向(スキャンと平行)に配列される照射領域の中央部350においても同様に成長し、結晶粒は、y方向(スキャンに垂直)に実質的に延伸する。薄膜は、薄膜が負のx方向に移動し、それによりスキャンが正のx方向に進行するにつれて、図2Aのマスクによって第1の組のビームレット(スリット215に対応する)が形づくられた第1のパルスと、図2Aのマスクによって第2の組のビームレット340(またスリット215に対応する)が形づくられた第2のパルスとで照射された第1の組の結晶化領域345を含む。サンプルをスキャンする場合、第2のレーザパルスによって生成された第2の組の結晶化領域340の端部結晶粒370は、第1のレーザパルスによって生成された第1の組の結晶化領域345の前方部結晶粒365と部分的にオーバーラップする。第2のレーザパルスによって生成された第3の組の結晶化領域340’の結晶は、第1の組の結晶化領域345の個別の領域間の空間を埋める第1の組の結晶化領域345の側と部分的にオーバーラップする。薄膜がx方向においてスキャンされるにつれて、その全表面は、結晶されることができる。
【0032】
ビームレットが比較的長いので、結晶化領域の多くは、y方向に方向づけられた結晶粒を有する。対照的に、前部領域および末端領域360および370において、それぞれ、結晶のいくつかは、領域のまさに端部から成長する。したがって、それらは、x方向(スキャンと平行)に実質的に延伸し、他は、スキャン方向に傾いて成長する。これらの領域は「エッジ領域」として知られている。ここで、ビームの端(それは溶融された部分において複製される)が、横成長の所望の方向に関して斜めになる角度で端から内へ延伸する粒の横成長に至るので、アーティファクトが生じるかもしれない。
【0033】
逐次的横方向結晶化の上記方法によれば、全体領域は、2つのレーザパルスだけしか用いずに結晶化されることができる。この方法は、2つのレーザパルス(「ショット」)のみが完全なる結晶化に必要であるという事実に暗に指して、以下「ツーショット」プロセスと呼ばれる。ツーショットプロセスのさらに詳細な記述は「逐次的横方向結晶化を用いた多結晶薄膜半導体が処理される均一の大粒状および結晶粒界位置を生成する方法」題された米国特許第6,555,449号において見出され、その全体が参考文献として援用される。
【0034】
先に記載されたツーショットSLSプロセスは、例えば約730mm×920mmのサイズのガラスパネルを用いて作られる、小径アクティブマトリクス型ディスプレイ(例えば自動車用途)を製作するためのシリコンフィルムを結晶させることに用いられることができる。より大型のパネル上の処理は、例えば約2200mm×2500mm(またはさらに大きい)に達する大径アクティブマトリクス型ディスプレイ(例えばモニタまたはテレビの用途)を作るために必要とされる。大型のパネルを製作するためのツールの開発における障害は、パネルを平行移動させるために用いられる線形のステージであり、従来のツーショットSLSプロセスにおいて必要とされる精密さにより、このような大型のステージを操作させることは簡単ではない。以下は、特にステージのぶれの影響を記載し、不十分に精密なステージを用いて上記SLSを実行する際のいくつかの問題の記載である。
【0035】
図4A〜図4Eは、先に記載されたツーショットSLSプロセスに関連する限界および課題を表す。図4Aは、ビームレットを生成するためにツーショットSLSプロセスにおいて用いられる特徴的なマスクパターンを表す。ツーショットSLSプロセスのためのマスク400は、スリットアレイ402、404(それは図3Aに示されたマスクと同等であり、互いに片寄って配列される)の2重の列を含む。スリット402および404は、三角形の先細り端を有するように示されているが、他の形状を持ったスリットも用いることができる。例えば、台形の先細りおよび/または丸い端をもつスリットも用いられてもよい。矩形のスリットも、図2Aおよび図3Aに示されたように、用いられてもよい。他のいくつかの例のスリット形状またはエッジ形状だけでなくビームレットおよびギャップ幅を選択する際のより詳細な記述のために国際公開2005/029546号および米国特許第6,908,835号を参照されたい。これらの開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される。
【0036】
図4Bは、薄膜トランジスタ(TFT)または回路420および電極430を含む複数の画素415が展開される薄膜410上のツーショットSLSプロセスを表す。前述のように、これは、各レーザパルスがビームレットの配列にパターン化された単一スキャンSLSプロセスであり、その長軸はスキャン方向と平行に配列される。ビームパルスは、第1の結晶化領域440および第2の結晶化領域450を含む複数の結晶化領域を形成する。表された結晶化領域440および450は、約25mmの長さで、約1.2mmの幅である。「ピクセルピッチ」(画素の中心−中心間距離)は、マトリックスの直径およびマトリックスにおけるノード数に依存し(ここで、マトリックスはLCDまたはOLED表示装置のためのアクティブマトリクスバックプレーンに対応してもよく、ノードはこのようなアクティブマトリクスバックプレーンにおける個別の画素に対応してもよい)、大型テレビのような大型マトリクスのための600μm(またはそれ以上)と同じくらい大型である。表された第2の結晶化領域450は、第1の領域440を約50%オーバーラップする。線460は、スキャン方向(それはパルスのスキャン方向である)を表し、線の非線形性は、パルスの不十分なオーバーラップをもたらす、スキャンの間のステージの(y方向の)ぶれの影響を表す。
【0037】
図4Cは、先に論じられた方法および図4Aに示されたマスクパターンを用いたツーショットSLSスキャンを表す。第1のレーザショットは、領域440(それは図4C(点線)の符号460(すなわち第1の溶融区域)として表される)に対応するパターンにおける薄膜の一部を照射し溶融させる。第2のショットは、領域450(それは図4C(実線)の470(すなわち第2の溶融区域)として表される)に対応するパターンにおける薄膜の一部を照射し溶融させる。溶融区域の各々は、結晶化領域460および470を冷却して形成する。図4Cを見て分かるように、結晶化領域460および470は、マスクによって生成されたビームレットの各々に対応する複数の領域461および471などをそれぞれ備えているため、複数の領域461および471の間に未照射の領域がある。各溶融区域は、次のレーザビームが薄膜の表面に衝突して領域471に結晶化される溶融区域を生成する前に、冷めて、領域461に結晶化される。図4Cは、また、第1の結晶化領域460および第2の結晶化領域470のオーバーラップ部分480を示す。例えば、オーバーラップ部分480は、領域461aおよび471aのオーバーラップを含む。したがって、領域480は、図2〜図3に関して上記のような領域480における横方向から結晶化された粒の対応する伸びにより、領域461の右側および領域471の左側に対応するオーバーラップされた別個の射光によって完全に結晶される。
【0038】
図4Cの領域480における配列不良によって図示されるように、ステージのぶれは、後続のレーザパルス間のレーザパルスの配列不良を引き起こす場合がある。ステージのぶれのために、第1のレーザパルスからの照射領域461の第1の列は、第2のレーザパルスからの照射領域471の第1の列に精密に配列しない。この配列不良は、第2のレーザパルスの間の照射領域の非対称性オーバーラップをもたらす。したがって、第2のパルスからの照射領域471の第1の列は、第1のレーザパルスからの照射領域461の第1の列から、図4Dに示される矢印465の方向の距離に移動されることができる。
【0039】
レーザパルスの配列不良は、最終製品における不揃いな間隔で配置される長粒境界をもたらす。長粒境界は、2つの横方向から成長している結晶前面が接するときに形成される中心線である。図4Eは、ツーショットSLS後の領域480における長粒境界の位置の概略図である。最終製品において、490’、491’、492’および493’として長粒境界に対応する中心線を表す。図4Eを見て分かるように、中心線は一律な間隔で配置されない。図4Eは、さらに、長粒境界490’、491’、492’および493’によって分離され、かつ領域490のための横方向からの拡張粒(490A、490B、490Cなどとして表された)を含む4つの結晶学的領域490、491、492および493を表す。中心線または長粒境界490’、491’、492’および493’は、電子流への障壁を生成することができ、結果として生ずるTFTにおける電子移動度を低減することができる。電子移動度の低減は、さらに、TFTのチャンネル領域内の、およびそのソース領域とドレイン領域と間の長粒境界の正確な位置に依存する。長粒境界の均一の間隔は、より均一の材料を提供するために好適である。
【0040】
図4Eを見て分かるように、結晶学的領域は、均一な間隔で配置されず、領域491は、領域490より広い。中心線におけるこの非均一性(それはツーショットプロセスの間のステージのぶれによって形成された結晶学的な列における非均一性に関連する)は、材料の均一性に影響を与えるだけでなく、用いることができるビームレットの幅およびピッチに最小寸法を設ける。すなわち、非均一性のため、小さなビームレット幅および間隔が利用可能ではない。場合によっては低性能をもたらす一方で、短粒は、より均一の薄膜トランジスタ(「TFT」)(それはアクティブマトリクス有機発光素子にとって特に重要である)を取得するために、時に所望される(例えば、小粒は、TFTのチャンネル領域において(の近くで)常駐するそれらの粒にわたって、より効果的な平均化効果が起こることを可能にする)。さらに、広列の幅を十分に延ばさない広列における粒に起因する閉塞された粒は、不十分なデバイス性能をもたらす場合がある。
【0041】
先に記載されたツーショットSLSプロセスでの別の問題は、歪みである。投射光学素子において用いられるレンズには収差(例えば非点収差)(それはビームの歪みをもたらす場合がある)がある場合がある。特に、中心から離れると、ビームにおける歪みは、結晶化薄膜において顕著であるかもしれない。図4Fは、図4Aにおいて表された2重配列マスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。単なる例示的な例として、図4Fの右下隅1200に向かうビームレットは、漸増的に歪曲されている。ツーショットSLSにおいて、図4Gにおいて示されるように、第1のパルス1210および第2のパルス1220は、ツーショット領域に約50%オーバーラップする。ツーショット領域におけるそれらのオーバーラップ部分間の局所的な歪みは、異なるかもしれない。例えば、ビームレット1200の第2の(右)配列の下方部が、歪みのために斜めになるならば、第1のレーザパルス1240におけるビームレットの第2の配列と第2のレーザパルス1230におけるビームレットの第1の(左)配列との間のオーバーラップは、結果として生じるツーショット材の中心線の間隔における非均一性を引き起こす。図4Hにおいて示されるように、各々のビームレットの中心線間の間隔は、スキャンの垂直方向に沿って均一ではない。例えば、スキャンの上方部における中心線間の間隔は、比較的等しい。その一方で、スキャンの下方部間の間隔はそうではない。下方部における微細構造は、したがって、図4Eにおける微細構造に類似するだろう。
【0042】
非周期パルスSLS
非周期パルスSLSは、例えばステージのぶれおよび/または画像歪に起因する後続の照射の際のビームレットの不十分なオーバーラップに対抗して、結晶化プロセスをより堅牢にするための方法を提供する。
【0043】
本システムは、非周期レーザパルス(すなわち時間領域において等間隔でないパルス)を用いる。1つの実施形態において、本システムは、時間領域において密な間隔で配置された一連のパルスを生成するために、複数のレーザ源(複数のレーザ共振器(例えばチューブ)を有する単一のレーザ源を用いても可能なように)からのパルスの協調的なトリガを用いることにより、非周期レーザパルスを生成する。複数のレーザ源が単一のレーザシステムに提供されてもよい。レーザシステムは、1つ以上のレーザビームを生成するために、コンピュータ制御技術および1つ以上のレーザ共振器を用いるコンピュータ制御システムである。各レーザビームは、1つのレーザ源に対応する。各レーザビームは、スタンドアロン型レーザから、または1つのレーザシステム内に含まれる複数のレーザ共振器の一部であるレーザ共振器から生成することができる。
【0044】
非周期レーザパルスの典型的なプロファイルは、図5に示される。y軸はパルス強度を表わし、x軸は時間を表わす。図5Aは、従来のツーショットSLSプロセスに用いることができるレーザの周期的なパルスレートを表す。レーザ繰り返しレートは、時間領域において均一な間隔で配置されるレーザパルスパターンをもたらす。図5Bは、第2のパルス500が第1のパルス510に近い時間関係で放たれる場合の本明細書に開示された非周期パルスの例を表わす。その後、第3のパルス520は、第1のパルス510と第2のパルス500との間の間隔よりも異なる時間間隔で放たれる。図5Cは、2つのレーザのレーザパワー(エネルギー密度)が異なる1つの実施形態を図示する。したがって、照射された薄膜は、非周期パルスレートおよび非均一の照射エネルギーに遭遇する。第1のパルス510と第2のパルス500との間の比較的短い時間のために、図7A〜図7Bに関して論じられるように、第1のパルス510および第2のパルス500によって照射された領域は、増大したオーバーラップに遭遇する。さらに、複数のレーザにおける各レーザは、一定の繰り返しレートでパルスを発することができる。
【0045】
第1のパルス510と第2のパルス500との間の遅延領域は、第1のパルス510と第3のパルス520との間の時間間隔の半分である場合がある。いくつかの実施形態において、第1のパルス510と第2のパルス500との間の時間間隔が、第1のパルス510と第3のパルス520との間の時間間隔の10分の1未満、または20分の1未満、または100分の1未満である。第1のパルス510と第2のパルス510との間の遅延領域は、約3マイクロ秒〜約1ミリ秒、約5マイクロ秒〜約500マイクロ秒、および好ましくは、約8マイクロ秒〜約100マイクロ秒である。
【0046】
例えば、遅延は、数マイクロ秒(例えば40cm/秒のステージ速度および3.5のμm変位に対して、タイミングは、8.75マイクロ秒になるだろう)くらいに短くなりえる。ステージ速度が60cm/秒くらいに速くなれば、タイミングは、5.83マイクロ秒になるだろう。n−ショットプロセスにおいて(すなわち所定の領域における2つ以上のレーザ照射(例えば、所定の領域における3、4、5またはn個の射光)によるプロセスにおいて)、オーバーラップは、より大きくなるかもしれない。このようなn−ショットSLSプロセスは、米国特許出願第11/372,161号に記載されており、その全体の内容は、参考文献として本明細書に援用される。例えば、n−ショットプロセスにおいて、タイミングは、5マイクロ秒、または、それどころか3マイクロ秒もありえる。横成長速度が約10ミクロン/秒に達するので、約0.3マイクロ秒の半値全幅(FWHM)パルスで6ミクロン幅の領域を溶融させる場合、薄膜は、横方向から約0.5マイクロ秒未満で結晶化される。
【0047】
いくつかの実施形態において、変位は、3.5ミクロン以上であってもよい。したがって、遅延は、数十マイクロ秒、50マイクロ秒に達する、または100マイクロ秒以上にも、ことによると数100マイクロ秒くらいに大きくなりえる。上限は、1200Hzにて組み合わされる2つの600Hzのレーザの繰り返しレートに近づくくらいに(しかし等しくはない)高くできる(すなわち、833マイクロ秒)。例えば、70%のオーバーラップに対して、遅延は、500マイクロ秒になるだろう。但し、2つの300Hzのレーザが用いられれば、遅延は、1ミリ秒になるだろう。
【0048】
複数のレーザ共振器(例えばチューブ)を有するツールは、米国特許第7,364,952号(その開示の全体は参考文献として本明細書に明示的に援用される)において論じられたように、(1)複数のパルスを同時に作動させ、続いて組み合わせることにより、パルスエネルギーを増加させることと、(2)様々なチューブを遅作動させ、続いてそれらを組み合わせることにより、パルス期間を増加させることとが、既に開示されている。言いかえれば、パルスは、改善された単一の溶融化サイクルおよび結晶化サイクルを提供するために組み合わせられる。非周期パルスSLSは、個別の溶融化/結晶化サイクルにおいて様々なレーザのパルスを用いるという点で異なる。但し、パルスは、ステージが高速で移動している間に、それらが大幅なオーバーラップを見せる時間領域に十分に近い。
【0049】
図5は、2つの密な間隔で配置されたパルスまたはレーザパルスの「列」を利用する非周期パルスパターンを示す。但し、3〜5つのレーザまたはレーザ共振器に対応する多くの数の密な間隔で配置されたパルス(例えば3〜5)が利用されてもよい。このような実施形態(異なるレーザ(例えば2つの異なるレーザエネルギー源または同一のレーザエネルギー源の2つの異なるレーザキャリアのいずれか1つからのレーザビーム)からの多くの密な間隔で配置されたパルスが用いられる)において、目標とされた領域は、相応なより多くの回数を照射され、より細長い結晶ドメインとともに結晶化領域を提供してもよい。例えば、n個のレーザ源からのn個のパルスは、密な間隔で配置されてもよいし、単一の領域は、単一スキャンにおいて記載されたようなn個の照射に遭遇するだろう。ビームレットは、ツーショットSLSと同様の幅を有していてもよいが、それらの間の間隔は、多くの照射を提供するために増加されてもよい。また、ツーショットプロセスにおいて取得することができる粒よりも長い粒(パルストレインにおけるパルス数によって限られる粒の長さ)をもたらす、(個別の溶融区域に各々に対応する)結晶化領域間のオーバーラップは、50%(または1×横成長の長さ)よりも広いかもしれない。より長い粒材は、より高いパフォーマンスTFTに有用かもしれない。
【0050】
パルストレインにおける2つの連続パルスは、同一のエネルギー密度である必要がない。例えば、薄膜が第1のパルスの影響により高温のままであれば、第2のパルスは、より低いエネルギー密度であるかもしれない。同様に、より高いエネルギー密度は、第1のパルス(結晶質よりもわずかに優れて吸収する非結晶)の光学的性質における変化を補正するために用いられてもよい。第2のパルスのエネルギー密度のための適切な選択は、したがって、両方の影響を考慮して(ことによると、その他のものと同様に)なされてもよい。したがって、図5Cに示されるように、第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスは、異なるエネルギー密度を有することができる。
【0051】
非周期パルスSLSを実行するためのシステム
非周期パルスSLSを実行する1つの方法は、複数のレーザ源(例えばデュアルレーザ源)を実装する。デュアルレーザ源を用いてSLSを実行するためのシステムは、図6に示される。第2のレーザ110’および2つのレーザの発射およびステージの動きを制御するためのコンピューティング配置またはコンピュータシステム600が図6に記載されている以外は、図6は図1と同様である。したがって、コンピュータシステム600は、レーザパルスのステージ位置の制御された発射のためのコンピュータ読み取り可能媒体およびコンピュータ読み取り可能命令を提供する。本システムは、薄膜における複数の部分の同時スキャンを可能にするために、複数の投射レンズを含むこともできる。薄膜の複数の部分の同時スキャンを可能にするためのシステムは、「薄膜を処理するためのシステムおよび方法(System and Method for Processing Thin Films)」と題された米国特許第7,364,952号に開示されており、その開示の全体は参考文献として本明細書に明示的に援用される。デュアルレーザ源を用いた方法およびシステムが記載されているが、付加的なレーザも同様に用いられてもよい。非周期パルスSLSを実行する他の方法は、バーストモードにおけるおよび/またはビームストップに関連した高い周波数レーザを動作することを含む。双方の実施形態は、以下で、より詳細に論じられるだろう。さらに、本システムは、ビームレットを生成するための機能(マスクが機能するものと同一の機能)を実行する設定に基づいた干渉を組み込んでもよい。
【0052】
非周期レーザパルスパターンは、好ましくは、同一の繰り返しレートの複数のレーザのオフセット発射(off-set firing)によって取得される。単一レーザを用いて非周期レーザパルスパターンを生成するための技術が存在してもよいが、現時点では、それほど効果的でないと見なされる。1つの技術において、ある繰り返しレートを有するレーザのトリガメカニズムは、連続パルス間の交互の長短の時間間隔を有する非周期パルスシーケンスを生成するために変更される。エキシマレーザのようなレーザは、出力が減少し始める後のある最適なパルスレートまで、パルス繰り返しレートとともに増加する最大出力を有する。言いかえれば、この最適なパルスレートを超えて、パルスがもつことができる最大エネルギーは、迅速に減少するだろう。したがって、ある最大のパルスエネルギーを有する所定のレーザのための2つの連続パルス間の時間間隔を減少させることは、結果的に、特に短時間間隔に続くパルスのためのパルスエネルギーの劣化をもたらすかもしれない。
【0053】
単一のレーザを用いた非周期レーザパルスパターンを生成するための別の技術において、非周期パルスパターンは、例えば数kHz〜10kHzの繰り返しレートを有し、連続するレーザパルスの短いシーケンス(例えば急激なバースト)間の中断時間を提供するのに適した、高出力/パルス速度モードにおいて動作される単一のレーザから取得される、本明細書に記載された方法およびシステムにおいて使用するのに適している典型的なレーザシステムは、高周波レーザ(例えばCymer社(米国サンディエゴ)によって開発され、TCZ Pte.社(シンガポール)から市販で入手可能なレーザ結晶化ツールにおいて用いられるレーザ)や、例えばJENOPTIK Laser, Optik, Systeme GmbH社から市販で入手可能で、Innovavent GmbH社から市販で入手可能なレーザ結晶化ツールにおいて用いられるダイオード励起固体レーザを含む。但し、Coherent社(米国サンタクララ)から市販で入手可能なように、これらの高周波レーザは、パルス当たりの相応な低エネルギーを有しており、結局、パルス寸法は、パルスレーザ当たりの高エネルギーと比較して縮小される。
【0054】
薄膜199は、非結晶半導体薄膜または多結晶半導体薄膜(例えばシリコン薄膜)になりえる。薄膜は、連続薄膜または不連続膜になりえる。例えば、薄膜が不連続膜であるならば、それはリソグラフィでパターン形成された薄膜または選択的に堆積された薄膜でありえる。薄膜が選択的に堆積された薄膜であるならば、それは、化学蒸着薄膜、スパッタ薄膜または溶解処理薄膜(例えばシリコン系インクのインクジェット印刷)によることができる。
【0055】
全域非周期パルスSLS
図7Aおよび図7Bは、垂直のマスク700(図7Aにおいて示される)を用いた非周期パルスSLSプロセスを表す。垂直のマスク700は、任意の先細り端をもつ垂直に位置決めされた(例えば、スキャン方向に垂直に配列された)スリット710(配列)を含む。スリット710は、同様の形状の複数のビームレットを生成するためにレーザビームを送り形づくる。マスクの他の(非スリット)部分は、不透明である。マスク実例が、単に概略であるように意図されており、スリットの数と同様にスリットの寸法および縦横比が、大幅に変更することができ、かつ、照射領域における薄膜を溶融ために必要とされる処理の所望の速度、エネルギー密度およびパルス当たりの使用可能エネルギーに関連づけられることは、理解されるべきである。一般に、所定のスリットの幅対長さの縦横比は、(例えば、1:5〜1:200〜1:5000の間、またはそれ以上に)変更することができる。他の実施形態において、マスクは、背景が透過的で、中央の「ドット」が不透明なドットマスクになりえる。ドットマトリックスマスクのさらなる詳細な記述は、米国特許第7,645,337号(その全体は参考文献として本明細書に組み込まれる)において見出される。
【0056】
先に論じられたツーショットSLSに関して上記のように、図7Bは、第1の2つのレーザパルスが時間内に一緒に発生し、続いて遅延があり、第2の2つのレーザパルスもまた時間内に一緒に発生する、2組の2つのレーザパルスによって照射された薄膜の典型的な実例を示す。そのプロセスは、プライマリレーザからのパルスに対応する2つの照射ステップ、およびセカンダリレーザからのパルスに対応する2つの照射ステップによる、少なくとも4つの照射ステップを含む。本ステップは、以下の通りである。薄膜が負のx方向に移動し、したがって、スキャンが正のx方向に進行するにつれて、(1)図7Aのマスクによって第1の組のビームレット(点線)に形づくられたプライマリレーザからの第1のパルスにより照射された領域711に対応する第1の照射、(2)図7Aのマスクによって第1の組のビームレット(実線)に形づくられたセカンダリレーザからの第1のパルスにより照射された領域712に対応する第2の照射、(3)図7Aのマスクによって第3の組のビームレット(グレーエリアにおける点線)に形づくられたプライマリレーザからの第2のパルスにより照射された領域713に対応する第3の照射、および(4)図7Aのマスク(グレーエリアにおける実線)によって形づくられたセカンダリレーザからの第2のパルスにより照射された領域714に対応する第4の照射。第1の照射領域711および第2の照射領域712がオーバーラップする場合、それらは第1のツーショット結晶化領域715を生成する。第3の照射領域713および第4の照射領域714がオーバーラップする場合、それらは第2のツーショット結晶化領域716を生成する。
【0057】
サンプルを(好ましくは一定のステージ速度で)スキャンする場合、第1の結晶化領域711および第2の結晶化領域712と第3の結晶化領域713および第4の結晶化領域714との間のオーバーラップは、約50%を上回る。好ましくは、第1の結晶化領域711および第2の結晶化領域712と第3の結晶化領域713および第4の結晶化領域714との間のオーバーラップは、約70%を上回る、約90%を上回る、約95%を上回る、または約99%を上回る。領域711に対応する第1の照射は、その厚さの全体にわたって領域を溶融させる。溶融領域は、その後、横方向の結晶化領域を形成するために固体の端(solid edge)から横方向に結晶化する。第1のセカンダリレーザパルスによって生成された第2の照射は、第1の組のビームレットによって生成された個別のビームレット領域間の未照射の領域に及び、さらに第1の結晶化領域711とのオーバーラップに及ぶ。冷却と同時に、第2の領域における結晶は、x方向(スキャンの方向に平行)に、横方向から実質的に延伸された結晶粒を形成するために、第2の溶融領域の端から成長する。したがって、オーバーラップは、50%超から約99%までの範囲になりえるが、全体領域が2つのレーザパルスにおいて結晶するように、オーバーラップが選択される。このように十分に結晶する薄膜の領域は「ツーショット結晶化領域」と呼ばれる。この例の第1の結晶化領域711の照射において、第1のツーショット結晶化領域715をもたらす第2の結晶化領域712の照射が続く。その後、第3の結晶化領域713および第4の結晶化領域の照射は、第2のツーショット結晶化領域716をもたらす。2つ以上のレーザパルスが、パルストレインに用いられるならば、全体領域がパルストレインにおけるパルス数によって結晶されるようにオーバーラップが選択されることができる。
【0058】
第1のツーショット結晶化領域715と第2のツーショット結晶化領域716との間の最大オーバーラップは、第2のパルスの第1のビームレットが第1のパルスの第1のビームレットと第2のビームレットとの間に正確に位置決めされるようにすることができる。この最大オーバーラップは、垂直に配列されたビームレットのビームレットピッチの2分の1の最少変位に対応する。スキャン方向に垂直に方向づけられないという意味で、(後述のように)ビームレットが垂直配列に対して傾斜されるならば、最少変位は、傾斜角の余弦で除算されたビームレットピッチの2分の1である。(上記のように)n−ショットプロセスにおいて、第2のパルスの第1のビームレットは、第1のパルスの第1のビームレットの中心線の近くに位置決めされてもよく、最大オーバーラップは、相応して広い。第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップが、より短いのであれば、第1のツーショット結晶化領域715および第2のツーショット結晶化領域716は、より狭くなりえる。オーバーラップがより短い場合には、「羽根(wings)」が単一のオーバーラップしないビームレットのみによって照射された第1のツーショット結晶化領域715および第2のツーショット結晶化領域716に隣接した「羽根」があるだろう。
【0059】
図7Cは、第2のパルス1110(実線)が、第1のパルス1100(点線)からビームレットピッチの1.5倍の位置に位置決めされた場合の別のオーバーラップスキームを表す。ツーショット領域に対応する第1のパルス(プライマリレーザに対応)と第2のパルス(セカンダリレーザに対応)との間のオーバーラップは、約70%〜約99%までの範囲になりえる。図7Cに示されたようなより小さなオーバーラップは、より小さなツーショット結晶化領域1120をもたらす。より小さなオーバーラップ(したがってパルス間のより大きな遅延)が、第2のパルスで照射される前に、第1のパルス後に薄膜を十分に冷却することを可能にすることは、有用でありえる。
【0060】
より小さなオーバーラップは、単独で、または前記のような第2のパルスエネルギー密度の調整と組み合わせて、用いることができる。さらに、より小さなオーバーラップは、ビーム内のエネルギー密度の非均一性の影響を緩和するのに有用になりえる。薄膜の完全な溶融に依存するプロセスとして、SLSは、パルスからパルス、またはパルスの様々な部分間のエネルギー密度における特徴的な変動に対して、比較的影響を受けない。エネルギー密度の変動は、単一のビームレットによって照射された領域の幅のいくつかの穏やかな変動をもたらすことができる。よって、ツーショットプロセスにおいて、エネルギー密度の変動は、溶融領域間のオーバーラップにおけるいくつかの穏やかな変動(および、それにより起因する微細構造)をもたらすことができる。したがって、薄膜の一部が、1つのパルスの低エネルギー密度により照射され、別のパルスの低エネルギー密度により同様に照射されない、ということは好ましい。例えば、ビームの小断面が光学システムにおける欠陥による低減されたエネルギー密度を有しているならば、薄膜における1つの部分がビームのこの低減されたエネルギー密度部分により2度照射されないように、2つのパルス間の変位を増加させることは好ましい。
【0061】
作動中、図7Bにおける矢印720によって示されたパルススキャン方向を達成するために、ステージは、x方向に沿って薄膜を連続的に移動し、その結果、図7Aのマスクにおけるスリットの長軸は、スキャン方向に実質的に垂直に位置する。薄膜が移動するにつれて、レーザは、マスクによって形づくられる所定の周波数(例えば300Hz)でパルスを生成する。ステージ動作として、後続のレーザパルスが薄膜のオーバーラップ領域711および712を照射するように、双方のレーザからのレーザパルスの発射間のオフセットおよび薄膜速度が選択される。
【0062】
薄膜速度および第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスの繰り返しレート(周波数)は、薄膜上の後続のツーショット結晶化領域の位置を決定する。1つ以上の実施形態において、第1のツーショット結晶化領域715および第2のツーショット結晶化領域716は、745でオーバーラップすることもできる。したがって、薄膜がx方向にスキャンされるにつれて、全体の膜面が結晶化されることができる。(図7Bに示されたように)領域711および712がビームレットのピッチの2分の1のみ転置されれば、その後、領域715と716との間のオーバーラップは、ビームレット間のオーバーラップと同じくらい短くなりえる(それはツーショットSLSの場合0〜1倍の横方向成長の長さである)。したがって、715と716との間のオーバーラップは、712の領域の右端と713の領域の左端との間のビームレットオーバーラップのみに、最小限にすることができる。第1のツーショット結晶化領域と第2のツーショット結晶化領域との間のオーバーラップは、したがって、約0.5μm〜約3μmまでの範囲になりえる。
【0063】
図7Bにおける第1の領域711および第2の領域712と第3の領域713および第4の領域714との増加されたオーバーラップは2つの個別のレーザの利用を通じて、前述のように達成されることができる。第2の領域712および第4の領域714をもたらす第2のパルスおよび第4のパルスの結晶化をもたらすパルスをセカンダリレーザが発射している間、プライマリレーザは、第1の領域711および第3の領域713の結晶化をもたらすパルスを発射する。パルスの発射は、例えばコンピュータ制御システムにより引き起こされることができる。2つのレーザが用いられるので、第1の領域711および第2領域712は、例えば、所定の一定のステージ速度で目下のレーザ周波数で1つのレーザを用いて生じるものよりも、多大の範囲にオーバーラップすることができる。但し、本システムおよび方法は、複数のレーザ源の利用に依存しないこと、むしろ非周期レーザパルスの生成を必要とすることは、強調されるべきである。上述のように、十分に高いレーザ繰り返しレートによるレーザは、存在し、かつレーザパルスの急激なバースト間の中断時間を提供するために、ある意味で動作されることができる。レーザパワーおよび周波数の開発は、スループット率を向上させ、このようなアプローチの商業上の魅力を増加させるだろう。
【0064】
非周期パルスSLSを用いた傾斜スキャン
いくつかの実施形態において、TFTの配列が後ほど薄膜にて製造される場合、TFTチャネル配向に対する長粒境界の配向をわずかに傾斜することができるならば、それは有用かもしれない。TFTがアクティブマトリクス装置または薄膜の配列配向および/または端に平行に配列されるならば、対角線のビームレットは、例えばこのような傾斜工学を果たすために用いられる(米国特許第7,160,763号「微細構造の配列不良を通じての多結晶TFTの均一性(Polycrystalline TFT Uniformity Through Microstructure Mis- Alignment)」(その開示の全体は参考文献として本明細書に明示的に援用される)を参照)。ここで、ビームレットは、TFTの均一性を向上させるようにチャネル領域に対して傾斜される。図7Dおよび7Eは、薄膜のy軸に対して、ビームレットを傾斜することを表す。図7Dは、図7Eよりも小さな傾斜角を表し、図7Eに示されたように、第1のショットと第2のショットとの間に増加されたオーバーラップをもたらすことができる。
【0065】
傾斜角は、0度〜約90度までの範囲になりえる。ビームレットのある傾斜角(例えば、垂直の(y)方向に対する(すなわちスキャン方向に垂直な方向))が定められると、ある遅延時間は、d=0.5×(λ/cosα)と等しい平行移動距離を与えるために逐次的パルス間で計算されてもよい。ここで、λはビームレットピッチである。
【0066】
図7Dにおいて示されるように、例えば、75度の傾斜および5.5/1.5のμmのビームレット幅および間隔(すなわちλ=7.0μm)のために、平行移動距離は、約13.5μmである。これは、10cm/秒のスキャン速度で、連続パルス間の135μsの遅延に対応する。45度の傾斜は、TFTがディスプレイまたはパネルの端に対して垂直または水平に配列されたのと同一のTFT均一性を有するために、用いられてもよい。2+ツーショットプロセスは、また、例えば、第1のツーショットのために45度の傾斜を用いて実行され、第1のツーショットのものに135度の傾斜(すなわち垂直)をもつツーショットが続く。また、45度および90度近く(例えば、垂直に近い)よりも大きな傾倒角度も、例えば、ディスプレイデザインが以前に仮定されたものに対して回転された90度である場合可能である。傾斜角が連続するトレインパルス(より小さな角度に対してより大きな)によって処理された領域間のオーバーラップに作用している間、スキャン対スキャンのオーバーラップは、すべてのケースにおいてビームレット幅の約2分の1ほどの短さのままでありえる。傾斜ビームレットは、後述されるように、全域結晶化プロセスおよび選択領域結晶化プロセスの両方において用いることができる。
【0067】
一旦薄膜がx方向に完全にスキャンされたならば、マスクされたビームは、薄膜の残りをスキャンするためにy方向に移すことができる。図7Bに示されるように、各々のツーショット領域715、716間のオーバーラップ領域745に加えて、第1のスキャン730と第2のスキャン740との間のオーバーラップ領域750も生成する。したがって、ビームレット端は、オーバーラップ領域に位置を定められてもよい。その後、図4Cに示される従来の単一スキャンツーショットSLSにおけるオーバーラップされた射光によるように、適切に微細構造の存続を保証するためにビーム端をオーバーラップする必要性がある。前述のように、これは、粒の長軸がビームレットの中心線に垂直に実質的に方向づけられることを保証するために、ビーム端の工学技術の利用を含んでいてもよい。水平配列の間に、1つのビームレットの端部は、オーバーラップ領域745の次のパルスの対向端部に自然にオーバーラップする(傾斜ビームレットの場合は当てはまらない)。傾斜ビームレットのために、1つのビームレットの終端は、ビームレットの長さおよび傾斜により要求されるような別のビームレットの対向端部によりオーバーラップしなければならない。したがって、パルスのタイミングは、それらのビーム端の中心線が正確にオーバーラップするようなでなければならない。その後、ビームレット傾斜および角度は、このようなビーム端間のオーバーラップを最小限にするために最適化されることができる。
【0068】
非水平のビームレット配列にとって、ビーム端は、オーバーラップ750によって示されたパターン化されたビームの上部および下部にも存在するだろう。スキャンからスキャンに微細構造の存続を保証するために(すなわち、スキャンに際して形成された異なる領域の最適な縫い合わせを保証するために)、これらのエッジ領域は、適切な方式(ある意味では、ビームレットの中心線が、オーバーラップし、かつビームレットの傾斜および長さが、オーバーラップが最小限にされるように選択されることを意味する)においてオーバーラップする必要もある。レーザパルスのステージ同期制御は、オーバーラップ領域750において精密な縫い合わせを達成することが要求される。
【0069】
x方向におけるパルスの位置調整の不安定性は、一般に、ステージ速度における変動だけでなく、パルスのタイミングの不正確(例えばシヌソイドかもしれない)から生じるかもしれない。パルス間のオーバーラップは、位置調整のこの不安定性によって作用されるかもしれない。パルスのタイミングの不正確は、通常は非常に短く、主としてジッタ(それはパルストリガ電子素子における不正確さに対応する)の結果である。ジッタは、約数ナノ秒またはそれ以上で生じるかもしれない。ジッタの結果として薄膜上でパルスを位置決めする際の移動は、非常に短く、本出願にとって無視できるものと見なされるべきである。例えば、パルスにおける10ナノ秒の遅延、トリガは、20cm/秒のステージ速度に対して2nmだけのサンプルレベルで移動することを引き起こす。速度変化の結果として薄膜上でパルスを位置決めする際の移動も、非常に短くてもよいし、その上、ぶれの場合のように緩やかな移動である。したがって、2つのパルスの調子を合わせた密接な位置調整は、このような変動に起因する微細構造の均一性への影響を最小限にするために有用になる。
【0070】
ビーム歪み
本開示の方法およびシステムは、ビーム歪みの影響を軽減することもできる。開示された非周期パルスSLSシステムおよび方法において、ツーショット領域内の第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップが約70%よりも大きいので、ツーショット領域の第1のパルスおよび第2のパルスのオーバーラップ部分は、それらがさらに同様の程度の歪みの対象になるようにビームパスのさらに密に配置された部分である。よって、最終的な結晶化薄膜は、このような歪みによって顕著に作用されないようにすべきである。図7F〜図Hは、図4F〜図Hに示されたようなビームレット形成の同一の歪みを表す。再び、図7Fにおけるビームレット1300の底部の右部分は、歪曲されている。但し、図7Gおよび図7Hは、図7Bにおける領域711および712に関して記載されたような非周期パルスSLSプロセスを表す。図7Fが水平に整列されたマスクを表している一方で、図4Fは垂直に整列されたマスクを表していることに留意されたい。但し、図4F〜図4Hおよび図7F〜図7Hの例示的な例において、等しい程度の歪みは、x方向およびy方向の両方に与えられ、したがって、それは水平に整列されたビームレットのように同一の方式で、垂直に整列されたビームレットに作用する。非周期パルスSLSプロセスにおけるビームレットの中心線が調整される場合、図7Fにある歪みが中心線(図7H)の規則性に作用せず、したがって、結晶粒界に作用しないことが理解されることができる。この有益性は、第1のパルスおよび第2のパルスのオーバーラップ部分の間のビームパス内のより綿密な間隔に、したがってそれらの間の光学歪みにおけるより大きな類似性から、派生する。
【0071】
このように、上記の非周期SLSシステムおよび方法は、薄膜の全域結晶化に適用可能である。例えば、非周期SLSは、薄膜上で密に配置された複数のTFTの広域スキャンに用いることができる。
【0072】
非周期パルスSLSを用いた選択領域結晶化
いくつかの実施形態において、非周期パルスシーケンスは、ある関心領域のみ(例えば、ディスプレイまたはセンサ配列のようなアクティブマトリクス装置の画素TFTまたは回路)を選択的に結晶させるために、さらに用いることができる。この選択領域結晶化(SAC)の実施形態において、オーバーラップは、図7Bに示された領域715と領域716とに間などにはあるが、第1のツーショット結晶化領域と第2のツーショット結晶化領域との間にはない。例えば、図8は、第1のツーショット領域830と第2のツーショット領域840との間にオーバーラップがない場合に非周期パルスSLSプロセスを用いてスキャンされた、TFT825を密な間隔で配置した薄膜820を表す。このプロセスは、図7Aに示された同一のマスクを用いて実行される。図7Bに示された実施形態のように、薄膜は、2つのツーショット結晶化領域(すなわち、プライマリレーザおよびセカンダリレーザの各々から第1のパルスに対応する第1のツーショット結晶化領域830、および第2のプライマリレーザおよびセカンダリレーザの各々から第2のパルスに対応する第2のツーショット結晶化領域840)を形成するために、少なくとも4つの照射ステップを含む。ツーショット結晶化領域830および840を生成するための照射ステップは、薄膜が負のx方向に移動すると同時の、(1)プライマリレーザからの第1のパルスでの領域811に対応する第1の照射ステップと、(2)セカンダリレーザからの第1のパルスでの領域812に対応する第2の照射ステップと、(3)プライマリレーザからの第2のパルスでの領域813に対応する第3の照射ステップと、(4)セカンダリレーザからの第2のパルスでの領域814に対応する第4の照射ステップである。1つ以上の実施形態において、SACにおいて実行されたマスク/ビームレットのサイズは、1つ以上の十分な結晶化領域が2つのパルス(またはnパルス)で形成され、かつ各結晶化領域がマトリックス型電子装置または回路の少なくとも1つのノードを含むのに十分に大きくなるように、選択される。
【0073】
図7Bにおいて示される実施形態とは対照的に、第1の結晶化領域811および第2の結晶化領域812のみが互いにオーバーラップし、第3の結晶化領域813およびだい4の結晶化領域814が互いにオーバーラップする。この実施形態において、第1のツーショット領域830と第2のツーショット領域840との間にオーバーラップはない。よって、マトリックス型電子素子の周期性と一致させるために、第1のツーショット領域830と第2のツーショット領域840との間の間隔を増加させるために、サンプルが保持されるステージは、より速い速度で移動することができる。ステージ速度におけるこのような増大は、全体の処理能力の著しい増大をもたらすことができる。例えば、ディスプレイの画素アレイにおいて、例えば数百μmまたはそれ以上のピッチを有する電子素子の密度は、むしろ低く(例えば1mm以上)、処理能力における大幅な増大は、それらの領域のみを結晶させることにより達成されることができる。したがって、薄膜上の選択された領域の最大限の結晶化を達成するために、ステージは、所定のレーザパルス速度に対して、より高速の速度で移動されることができる。SAC非周期パルスSLSシステムのための処理能力の典型的な値は、本出願の「実施例」の節において参照される。このように、非周期パルスSACの処理能力改善は、大型のテレビ受像機製作に必要とされるような、大型のパネル(例えばGen8パネル(〜2.20×2.50m2))のためのより競争的な処理能力を可能にする。
【0074】
非周期パルスを用いる単一スキャンプロセスは、したがって、関心領域のパルス間の増大されたオーバーラップおよびそれらの領域の範囲を越えて低下されたオーバーラップにより、薄膜上のパルスの非周期配置を引き起こす。単一スキャンのパルスのこのような非周期配置は、また、関心領域の処理の間の低速のスキャン速度と、ある関心領域間の高速のスキャン速度とを有するように、スキャン速度を変更することを通じて周期的なレーザパルスを用いて確立されてもよい。このような急激な加減速は、関心領域上に迅速にパルスを転送するために、例えば光学的方法を用いて、確立されてもよい。このような光学的方法は、ビームステアリング素子または急速移動鏡または振動マスクを含むことができる。単一スキャンSACのSLSプロセスのこのような具体化は、このような光学的方法でまさに必要とされ、したがって非周期パルスシステムの利用よりは好適でないかもしれない。また、ステージのぶれに関連づけられた誤差の低減に関する非周期パルスの利点はない。
【0075】
周期的なレーザパルスを用いた別の単一スキャンSACプロセスは、1つの対象の領域を結晶させるために、各々のパターン化されたビームを2つ以上のパターン化されたセグメント(各々は十分に大きい)に分割し、複数セグメントが複数の関心領域に同時にオーバーラップするような間隔の距離を配置されることを含む。スキャンは、後続の照射に際して、サンプルが、パルスの1つのセグメントが、パルスの別のセグメントで以前に処理された領域とオーバーラップするようなピッチの整数倍に等しい距離を移動した、このような速度で進行する。各々のセグメントのビームパターンの適切な設計によって、第2の照射は、第1の照射から、増大された結晶の横方向の伸張を提供することができる。ビームの部分を遮断すること(マスキング)によりセグメントを生成することは、セグメント間の大きな間隔の結果として無駄になる。もっと正確に言えば、ビーム分割技術は、同一の光学パスまたは異なる光学パス上に、ビームの部分を転送するために用いられてもよい。単一スキャンSACのSLSプロセスのこのような具体化には、ビーム歪みの影響を低減するように、密にパターン化されたビームの部分をオーバーラップする利点がない。また、ステージのぶれに関連づけられた誤差の低減に関する非周期パルスの利点はない。
【0076】
上記のように、選択領域結晶化は、例えばマトリックス型電子装置または回路において、関心領域のみを結晶させることを含む。このように、結晶化領域の位置は、マトリックス型電子装置または回路のノードの位置に対して整列される必要がある。サンプル配列のステップは、様々な技術により達成されてもよい。1つの技術において、サンプル配列は、電子装置を作るためのさらなる処理ステップにおいて、その位置が再現できるような方式で、サンプルを位置決めするための能力をさらに有する結晶化システムを用いて容易に確立されてもよい。例えば、結晶化に先立って且つ結晶化プロセスが整列されて検出される基準または位置合わせマークをパネルが備えている場合、1つの共通の手段がある。サブミクロン精度がこのような装置の様々な特徴をオーバーレイする場合に薄膜トランジスタを作るために、サンプル配列のこのような方法は、リソグラフ手順において一般的に用いられる。SACにおけるサンプル配列は、リソグラフィと同じくらいの精密さは必要としない。例えば、結晶化領域は、両側の数ミクロンまたは10ミクロン以上、対象の領域よりも大きくなりえる。
【0077】
別の技術において、サンプル配列は、電子装置を製造するのに先立って、結晶化領域の位置を検出することにより確立される。このような技術は、電子素子が配置されるべきで領域自体の検出を通じて、またはこのような配列の目的(例えば基準)のために最適化された付加的な結晶化領域の検出を通じて、達成されてもよい。投射結晶化システムの利用には、このようなサンプル配列に対する利点があってもよい。本システムは、サンプル配列で後に使用される薄膜または基板上の基準または位置合わせマークを生成するために用いることができる。パターン化されたビームレットは、後続のリソグラフィ工程(その後、リソグラフィで規定される基準と置き換わられてもよい)の少なくとも1つ(第1)におけるパネル配列において用いることができる、十分に明らかにされた特徴を生成するために用いることができる。完全なる溶融および関連する横方向成長の有益性は、垂直の長粒境界が、暗視顕微鏡検査を用いてはっきり見ることができる、それらに関連した突部を有することである。さらに、非結晶から結晶質への相変化は、光学的性質における変化への結果として、顕微鏡ではっきり見ることができる。
【0078】
サンプル配列のためのシステムは、基準を検出し、その基準に対して既知の位置にサンプルを整列するための自動化システムを含むことができる。例えば、システムは、動きを制御し、且つ薄膜上の基準を検出することができる光検出器に応答するためのコンピュータ装置を含むことができる。光検出器は、例えばCCDカメラになりえる。
【0079】
図9は、SACプロセスによって処理された薄膜910を表す。薄膜910の画素920は、図9において水平に位置決めされる(一方で、図7および図8においては垂直に位置決めされている)。図9において、複数のツーショット領域930、940、950および960が、画素920のTFT970上でオーバーラップする。
【0080】
先に論じられたSLS方法と比較して、非周期パルスSACのSLSにおけるビーム幅は、多くの場合、より小さく(それは、結晶化されるための領域の幅と同じくらい広いことのみが必要である)てもよい。よって、ビーム長を増加させるために用いることができる余剰エネルギーは、有効である。より長いビーム長は、ビームパルスのスキャンの間に同時に薄膜の複数の領域を結晶化させるように、大径投射レンズを用いておよび/または個別の光学パスにビームを分割することにより、実現することができる。単一スキャンで処理された領域の長さを増加させることは、薄膜を十分に結晶化させるのに必要とされるスキャン数を低減することができる。スキャン速度は、実際には、ステージのための緩和設計メトリクスのさらなる有益性を追加する従来のSLS向け未満であってもよい。緩和設計メトリクスは、時間領域におけるパルスの密な間隔およびステージのぶれおよびビーム歪みのような歪みに対する増大された頑強性の結果として、非周期パルスSLSの共通の有益性である。
【0081】
非周期パルスSLSを用いて、SACの利点を最大化することは、画素TFTまたは回路のレイアウトを最適化するだけでなく、パターン化されたビームの寸法を最適化することも必要とされる。画素TFTおよび回路設計における改善は、例えば、結晶化される必要のある領域の幅を低減するための用いることができる。図9に示されるように、最適化は、90度ずつサブ画素配置を回転させて、画素TFTおよび回路のレイアウトを再配置することを含んでもよい。例えば、660のμm画素のピッチを有する55インチのディスプレイにおいて、電子素子の幅は、せいぜい約300μmであるかもしれない。したがって、薄膜の660μmのうちの300μmのみが結晶化を必要とされる。さらに、次のグループ化されたTFT/回路領域へのより大きな領域をスキップすることにより追随される全域を結晶化させるためにビームの単一ペアを用いることができるように、近隣の列において結晶化させられるための2つの領域は、互いに密接に配置されてもよい。より単純な画素回路(多くの場合単なる単一のTFT)を有する液晶ディスプレイにとって、結晶化される領域は、狭くなり、広径のレンズまたは多くの投射レンズにわたるビーム幅のさらなる低減、および結果として生ずるビーム長の引伸は、それほど魅力的でなくなる。
【0082】
したがって、SACは、ある関心領域のみを選択的に結晶化させ、且つ中間的な薄膜の領域をスキップすることにより、結晶化プロセスにおける増産を引き起こす。同様に、選択された領域上で照射するための能力は、完全な領域結晶化のための前記のようなビームレットの精密なスキャン対スキャンオーバーラップを果たすための必要性を回避するために、さらに用いることができ、したがって、端工学の利用をさらに含むオーバーラップされたビーム端のための必要性を不要にする。ビームレットの長さは、結晶化されるべきTFTまたは回路に対応する寸法に、精密に一致させることができる。したがって、ビームレットの長さは、整数のTFTまたは回路がその中に適合するように選択することができる。近隣の画素TFTまたは回路の間に、結晶化させられる必要のない、いくつかの残りの空間があるだろう。この空間は、例えばアクティブマトリクスのノードを接続する長電極のために提供される。
【0083】
さらに、ビームレットは、画素TFTまたは回路の寸法に対応する長さを各々有するビームレットの組を生成するために、それらの長さに沿って細分されることができる。図10Aは、このようなSAC結晶化スキームで使用されるマスク1010を開示する。オーバーラップは、ビームレットの末端部で必要とされない。よって、図10Aにおけるマスクには矩形の端がある。このマスク1010は、各々がTFT1040を有する画素1030を離間して配置した図10Bに示される薄膜1020により用いることができる。ここで、そのマスクにおけるスリットのサイズは、スキャンに際してそれらの領域のみが結晶化されるように、TFT1040のサイズよりもわずかに大きめに選択される。
【0084】
TFTまたは回路が薄膜上に配置されるマスクにおいてスリットのみを有することによって、システムの光学上の熱負荷は、投影レンズに関して特に軽減することができる。図6に示されるように、投射光学素子195は、マスク170から下流である。したがって、マスクがより多くの光をマスク化していれば、投影レンズは、より少ない光を受信し、低減された過熱に遭遇するだろう。
【0085】
SACにおいて、ビームパルスは、狭くすることができる。また、第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップは、いくつかの実施形態において50%未満である。その一方で、次のパルスへの時間は、なお相当に長い。したがって、パルス間の時間は、それでもなお非常に短くてもよく、また、非周期スキャンSLSの利点が維持される。ツーショット結晶化領域がオーバーラップしない一方で、第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップが制限された、いくつかのSAC実施形態において、これらの領域のいずれか側面の羽根は、近隣のツーショット結晶化領域の羽根とオーバーラップしてもよい。
【実施例】
【0086】
前述のように、選択領域結晶化を用いた非周期パルスSLSは、高い処理能力を有することができる。600Hz(1ジュール/パルス)で各々放射し、2つの50mmの視野投射レンズを用いて5cm×0.3mmパルス寸法を2回生成する、2本のチューブを有する1.2kWのレーザを想定すると、Gen8パネルから660ミクロンの画素間隔を作るディスプレイは、その結果、22×250cm/(600Hz×660μm)+21の全体に対し各々1秒の(または約160秒の)ターンアラウンドタイムで、22回のスキャンにおいて処理されることができる。結果として生ずるスキャン速度は、その結果40cm/秒に近い。30秒の装着/取り外し(loading and unloading)期間で、これは、30日×24時間×3600秒×(l/(160+30)秒)、または約13.6kのパネル/月の処理能力をもたらすことができる。本装置のための85%の動作可能時間をさらに想定すると、これは11.6kパネル/月の処理能力をもたらすことができる。
【0087】
位相の異なる(すなわち、周期的な1200Hzのパルスシーケンスに組み合わせられた)2本のチューブから生成された1.2kWのレーザ、および5cmx0.6mmのパルス寸法(単一の50mmの視野投影レンズ)を用いた従来のSLSを実行すると、パルス間の50%のオーバーラップを達成するための適切なステージ速度は、36cm/秒であり、スキャン数は倍(すなわち44回)になる。よって、従来のSLSを用いたパネル当たり処理時間は、SAC非周期パルスSLSの上記の実施例のものよりも、2倍以上の処理時間である。
【0088】
本発明の実施例が示され記載されたが、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変更および修正がなされてもよいことは、当業者にとって容易に明白だろう。一例として、薄膜を静止させたままビームを移動させる実施形態と同様に、レーザビームを静止させたままレーザ源に対して薄膜を移動させることにより、選択方向に薄膜を進行させることが達成されうることは、十分に理解される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、合衆国法典第35巻第119(e)条のもとで、2010年1月12日に出願された米国特許出願第61/294,288号および2009年12月31日に出願された米国特許出願第61/291,663号に対する優先権を主張し、各々の開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本明細書に引用される特許、特許出願、特許公報および刊行物は、すべて、それらの全体が参考文献として本明細書に明示的に援用される。特許出願の教示と援用された文献の教示との間に矛盾が生じた場合には、特許出願の教示が支配するものとする。
【背景技術】
【0003】
半導体プロセシングの分野において、多くの技術が、非結晶シリコン薄膜を多結晶薄膜に変換することについて記載されている。このような技術の1つは、逐次的横方向結晶化(「SLS(sequential lateral solidification)」)である。SLSは、耐熱性がない基板(例えばガラスやプラスチック)など(しかし限定されない)の基板上の結晶粒を伸ばした多結晶薄膜を生成することができるパルスレーザ結晶化工程である。SLSシステムおよびプロセスの例は、共同所有された米国特許第6,322,625号、第6,368,945号、第6,555,449号および第6,573,531号に記載されており、その全体の内容は、参考文献として本明細書に援用される。
【0004】
SLSは、基板上の非結晶薄膜または多結晶薄膜の領域を溶融するために位置制御レーザパルスを用いる。薄膜の溶融領域は、その後、指向的に凝固された微細構造または多数の位置制御された大型単結晶領域に、横方向から結晶化する。一般に、溶解/結晶化工程は、薄膜の表面にわたって逐次的に繰り返される。その後、イメージセンサ、アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ(「AMLCD」(active-matrix liquid crystal display))およびアクティブマトリクス方式有機発光ダイオード(AMOLED(active-matrix organic light-emitting diode))ディスプレイ装置などのような1つ以上の装置が、結晶化薄膜から製造されることができる。AMLCDおよびAMOLEDのディスプレイ装置において、薄膜トランジスタ(「TFT」)またはTFT回路の規則的配列構造は、透明基板上に製造され、各々のトランジスタまたは回路は、画素コントローラを務める。
【0005】
従来のSLSシステムにおいて、成功した結晶化における1つの要因は、レーザパルスに対してサンプルを平行移動させるステージの精密さである。現在のGEN−4の2次元(「2D」)投射SLSシステム向けの、ステージの平行移動速度は、約数十cm/秒(例えば18cm/秒)である。これらのようなステージは、動作の完全な直線からの、ある歪みを有する。その歪みは、本明細書において総体的にステージのぶれ(stage wobble)と呼ばれる。本明細書で用いられる「ステージのぶれ」は、レーザ経路において平行移動させるにつれて、その所期の位置からのステージ位置の変動および歪みを表す。例えば、ステージがx方向に移動している場合、このような変動は、ステージのy方向への意図しないわずかな動作になりえる、2D投射システムは、SLSを実行するための2次元的にパターン化されたビームを生成する。他の方法は、SLSを実行するためのラインビームを生成することができる。
【0006】
従来の単一スキャンツーショットSLSにおけるステージのぶれに関連する1つの問題は、2つの逐次的レーザパルスから作られた素材(すなわちツーショット素材)における長い結晶粒界の非等距離間隔である。単一スキャンSLSプロセスは、単一スキャンにおいて基板上の領域を完全に結晶させることができるSLSプロセスを表す。ツーショットSLSは、2つのレーザパルスによって、このような領域の所定の部分を完全に結晶させるSLSプロセスを表す。2つのパルス間のステージのぶれは、第1のパルスと第2のパルスの非対称性オーバーラップをもたらす場合がある。理想的には、第2のパルスのビームレットは、ツーショットプロセスによって生成された結晶粒界間の一定の間隔を達成するように、第1のパルスのビームレットによって照射された領域間に集中させられる。ステージのぶれのために第2のパルスのビームレットが申し分なく配置されないならば、1列の粒が、近隣の列の粒よりも短くなる場合もあるし、多くの粒が、列の幅(例えば閉塞された粒)を十分には延伸していない、より広い列に残存する場合もある。その上、投射光学素子における様々な異常によって引き起こされたビームレットの歪みは、また、スキャンにおける第2のパルスの非対称性オーバーラップを局部的にもたらすかもしれない。本明細書で用いられる「ビーム歪み」は、非均一のビームレットの形成をもたらす場合がある投射光学素子における異常を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非周期パルスSLSの方法およびツールは、レーザの位置制御逐次的トリガを用いて記載される。本システムは、結晶化プロセスにおいて別個の非周期レーザパルス(すなわち、各レーザパルスが別々の溶融サイクルおよび結晶化サイクルをもたらすという点で別個)を生成するために複数のレーザまたは単一のレーザを実行することができる。単一スキャンにおける薄膜の選択領域を照射し結晶させるために、1つ以上のレーザが、協調的なパルスシーケンスにおいて用いられる。例えば、2つの異なるレーザ源からのレーザパルスの迅速なシーケンスは、単一の源パルスレートと比較して、局所的領域を処理する際に効果的なパルスレートを高める能力を提供する。それは、ステージの平行移動速度を低下させる必要なしに、連続パルス間のより大きなオーバーラップをも可能にする。2つのレーザからのパルス間の薄膜のオーバーラップ領域は、70%または95%を超える場合があり、場合によっては99%を超える場合がある。この高度のオーバーラップは、ステージのぶれおよびレーザビームの歪みの問題を軽減するために用いられることができる。
【0008】
任意の実施形態において、非周期パルス逐次的横方向結晶化のための開示されたシステムおよび方法は、薄膜を処理することに関する。(選択方向に薄膜を進行させながら)薄膜を処理する方法は、第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスにより薄膜の第1の領域を照射し、第3のレーザパルスおよび第4のレーザパルスにより薄膜の第2の領域を照射することを含み、第1のレーザパルスと第2のレーザパルスとの間の時間間隔は、第1のレーザパルスと第3のレーザパルスとの間の半分の時間間隔よりも短い。いくつかの実施形態において、各パルスは、形成されたビームを提供し、冷却の際横方向から結晶化する溶融区域を形成するために、その厚さの全体にわたって、薄膜を溶融させるのに十分な流束量を有する。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は互いに隣接している。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は、離間して配置される。
【0009】
任意の実施形態において、第1のレーザ源は、前記第1のレーザパルスと前記第3のレーザパルスとを生成し、第2のレーザ源は、前記第2のレーザパルスと前記第4のレーザパルスとを生成する。いくつかの実施形態において、第1のレーザ源および第2のレーザ源は、一定の速度でパルスを発する。いくつかの実施形態において、第1のレーザ源および第2のレーザは、同一である。いくつかの実施形態において、第1のレーザ源と第2のレーザとは、異なる。いくつかの実施形態において、薄膜は、選択方向において連続的に進行される。
【0010】
任意の実施形態において、第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスの各々から提供されるビームは、薄膜の第1の領域においてオーバーラップし、第3のレーザパルスおよび第4のレーザパルスの各々から提供されるビームは、薄膜の第2の領域においてオーバーラップする。領域の各々におけるオーバーラップは、例えば、90%を超える、95%を超える、または99%を超えるオーバーラップになりえる。
【0011】
任意において、形成されたビームは、マスクを通じてレーザパルスを方向づけることにより取得される、および/または複数のビームレットを含む。いくつかの実施形態において、ビームレットは、薄膜の端に対して傾いて位置決めされることができる。いくつかの実施形態において、薄膜の端は、スキャン方向に対して傾いて位置決めされることができる。いくつかの実施形態において、形成されたビームは、ドットパターンになりえる。
【0012】
任意の実施形態において、第1の領域および第2の領域は、互いに離間されて配置され、薄膜の未照射の領域によって分離される。いくつかの実施形態において、第1の領域および第2の領域は、例えば10%または1%オーバーラップする。
【0013】
任意の実施形態において、電子装置は、第1の領域および第2の領域の各々において製造され、領域の大きさは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むようなサイズである。
【0014】
1つの態様において、本開示は、記載された方法に従って処理された薄膜に関する。薄膜は、薄膜の第1の領域および第2の領域の各々において薄膜トランジスタを有する装置を含む電子装置を作るために用いられことができる。
【0015】
1つの態様において、本開示は、薄膜を処理する方法に関連し、本方法は、選択方向に等速度で薄膜を進行させている間に、プライマリレーザ源からのレーザパルスによって提供される第1のビームによって薄膜の第1の領域を照射することと、セカンダリレーザ源からのレーザパルスによって提供される第2のビームによって薄膜の第2の領域を照射することと、プライマリレーザ源からのレーザパルスによって提供される第3のビームによって薄膜の第3の領域を照射することとを含む。いくつかの実施形態において、第1のビーム、第2のビームおよび第3のビームの各ビームは、照射された薄膜領域のその厚さの全体にわたって薄膜を溶融させ、かつ1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために、冷却の際に横方向から結晶化するために十分な流束量を有し、第1の領域と第2の領域との間の照射のオーバーラップは、第2の領域と第3の領域との間の照射のオーバーラップよりも大きい。
【0016】
1つの態様において、本開示は、薄膜を選択方向に進行させながら薄膜を処理する方法に関する。本方法は、第1回目において、プライマリレーザ源からのレーザパルスから第1の形づくられたビームレットを生成し、第1の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第1の溶融区域を形成するために第1の形づくられたビームレットで薄膜の第1の領域を照射することと、第2回目において、セカンダリレーザ源からのレーザパルスから第2の形づくられたビームレットを生成し、第2の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第2の溶融区域を形成するために第2の形づくられたビームレットで薄膜の第1の領域を照射することと、第3回目において、プライマリレーザ源からの他のレーザパルスから第3の形づくられたビームレットを生成し、第3の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第3の溶融区域を形成するために第3の形づくられたビームレットで薄膜の第2の領域を照射することとを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1回目と第3回目との間の時間間隔は、第1回目と第2回目との間の時間間隔の2倍以上である。
【0017】
1つの態様において、本開示は、薄膜を処理するためのシステムに関し、レーザパルスを生成するためのプライマリレーザ源およびセカンダリレーザ源と、レーザパルスからの形づくられたビームレットを生成するためのシステムと、基板上の薄膜を保護するためのワーク表面と、ビームパルスに対して薄膜を移動し、それによって薄膜の表面上にレーザビームパルスの伝搬方向を生成するためのステージと、プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第1の組のビームレットによって照射される、移動可能なステージの中に装着された薄膜の第1の領域と、セカンダリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第2の組のビームレットによって照射される薄膜の第2の領域と、プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第3の組のビームレットによって照射される薄膜の第3の領域とを提供するためにレーザパルスを同期させたステージのための命令を処理するためのコンピュータとを含む。いくつかの実施形態において、処理命令は、第1の領域および第2の領域を照射するために、ビームパルスに対して薄膜を伝搬方向に移動するために提供され、第1の領域と第2の領域との間の照射のオーバーラップは、第2の領域と第3の領域との間の照射のオーバーラップよりも大きい。いくつかの実施形態において、本システムは、また、サンプル配列のためのシステムを含む。
【0018】
以下の記載は、以下の図面への参照により、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】逐次的横方向結晶化(SLS)プロセスに用いられるシステムを表す。
【図2A】SLSプロセスにおいて用いられるマスクを表す。
【図2B】SLSプロセスを図示する。
【図2C】SLSプロセスを図示する。
【図2D】SLSプロセスを図示する。
【図3】ツーショットSLSプロセスを用いたツーショットスキャンを表す。
【図4A】SLSプロセスにおいて用いられるマスクを表す。
【図4B】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4C】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4D】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4E】ツーショットSLSプロセスを用いた画素配列のツーショットスキャンを表す。
【図4F】図4Aにおいて表されたマスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。
【図4G】図4Aにおいて表されたマスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。
【図4H】図4Aにおいて表されたマスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。
【図5A】従来のツーショットSLSプロセスにおける時間対パルスエネルギーのグラフである。
【図5B】本開示の実施形態による、選択的に進行されるツーショットSLSプロセスのための時間対パルスエネルギーのグラフである。
【図5C】本開示の実施形態による、第2のパルスが第1のパルスよりも高いエネルギーを有する選択的に進行されるツーショットSLSプロセスのための時間対パルスエネルギーのグラフである。
【図6】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスに用いられるシステムである。
【図7A】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスに用いられる垂直のマスクを表す。
【図7B】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおけるツーショットスキャンを表す。
【図7C】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける別のオーバーラップスキームを表す。
【図7D】本開示の実施形態による、ビームレットが薄膜の端に対してタイトルづけられた場合の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【図7E】本開示の実施形態による、ビームレットが薄膜の端に対してタイトルづけられた場合の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【図7F】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける歪みを表す。
【図7G】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける歪みを表す。
【図7H】本開示の実施形態による非周期パルスSLSプロセスにおける歪みを表す。
【図8】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【図9】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスによって処理された薄膜を表す。
【図10A】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスにおける我々のためのマスクを表す。
【図10B】本開示の実施形態による選択領域結晶化の非周期パルスSLSプロセスを表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
非周期パルスSLSの方法およびツールは、複数のレーザの位置制御逐次的トリガを用いて記載される。複数のレーザは、結晶化プロセスにおいて別個の非周期レーザパルス(すなわち、各レーザパルスが別々の溶融サイクルおよび結晶化サイクルをもたらすという点で別個)を生成することができる。単一スキャンにおける薄膜の選択領域を照射し結晶させるために、2つ以上のレーザが、協調的なパルスシーケンスにおいて用いられる。2つの異なるレーザ源からのレーザパルスの迅速なシーケンスは、単一の源パルスレートと比較して、局所的領域を処理する際に効果的なパルスレートを高める能力を提供する。それは、ステージの平行移動速度を低下させる必要なしで、連続パルス間のより大きなオーバーラップをも可能にする。2つのレーザからのパルス間の薄膜のオーバーラップ領域は、70%または95%を超える場合があり、場合によっては99%を超える場合がある。この高度のオーバーラップは、ステージのぶれおよびレーザビームの歪みの問題を軽減するために用いられることができる。
【0021】
さらに、非周期パルスSLS方法およびツールは、電子素子の中に形成される薄膜のそれらの領域のみを結晶させるために、薄膜の選択領域結晶化(SAC)を実行するために用いられることもできる。非周期パルスSLSの方法およびツールは、2つ以上のレーザの第1のパルス間のオーバーラップ(およびあるケースでは実質的なオーバーラップ(すなわち70%を超えるオーバーラップ))を可能にすることによりSACを提供する。その結果として薄膜の第1の領域における細長い結晶成長をもたらし、そしてレーザの繰り返しレートによって決定される休止期間が続き、その後2つ以上のレーザの第2のパルスにおける実質的なオーバーラップが、結果として薄膜の第2の領域における細長い結晶成長をもたらす。非周期レーザパルスシーケンスに供給するレーザパルス間のタイミングおよび照射領域における実質的なオーバーラップは、図5A〜図5Cに示され、以下で詳細に説明される。このような方法およびシステムは、高い処理能力で、従来の2次元投射SLSプロセスに用いることができる。
【0022】
低温多結晶Si(LTPS(Low-temperature polycrystalline Si))技術は、十分な輝度および/または寿命で、大径のAMOLEDディスプレイを作るために必要になることが予想される。SLSは、この発展にとって興味深いレーザベースのLTPS技術の1つであり、それに対応して、SLSシステムは、十分な処理能力(より高いパルス繰り返しレートおよび/またはパルス当たりのより高いエネルギー)を達成するために、より多くのレーザパワーを有するだけでなく、より大型のパネルを処理するために、より大型のステージが必要となることが予想される。より高速のステージおよびより高いパルス繰り返しレートは、単独で、ぶれおよび微細構造(ステージの不活性およびパルス間のより少ない時間)上のその影響を低減するのに既に有用であるかもしれない一方で、より大型のステージおよびより小さな粒の必要性は、ステージ設計を難問なものにし、ステージを高価なものにするだろう。非周期パルシングは、ステージ設計の難問を顕著に低減する一方で、他方では、2つのパルス間のステージ歪みにおいて実質的に変化がない点にまで、連続する2つのオーバーラップするパルス間の時間を徹底的に低減することができる。
【0023】
パルス間のオーバーラップを高めることは、そのビームレット間の特有のオーバーラップ上のステージのぶれおよび画像歪の負の影響を低減する際の、ある長所を有する。非周期パルスSLSは、ステージ運動に対して、任意の方向に方向づけられたビームレットを用いて実行することができる。但し、実際には、垂直に(例えば、ステージ平行移動の方向に垂直)方向づけられたビームレットは、パルスオーバーラップの増加をもたらすために用いることができ、それによって本方法からより大きな有益性を得る。ツーショットSLSプロセスのような長い矩形のビームレットを用いたSLSスキームにとって、最高度のパルスオーバーラップは、略垂直に方向づけられたビームレットを用いることにより確立されることができる。水平のビームレットが、記載された非周期パルスSLS方法に従って用いられていてもよい一方で、垂直のビームレットの利用は、パルス間の高度のオーバーラップを達成するのに好適である。垂直のビームレット配列は、「高周波数レーザを用いた薄膜の均一の逐次的横方向結晶化のためのシステムおよび方法(Systems and Methods for Uniform Sequential Lateral Solidification of Thin Films Using High Frequency Lasers)」(米国特許出願第12/063,814号)に記載されており、その開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される。
【0024】
単一スキャンツーショットSLSは、非周期パルスSLSの特徴および有利性について、よりよく説明するためにまず記載される。図1は、2D−SLSプロセスに用いることができるシステムの例を示す。光源(例えばエキシマレーザ110)は、鏡130、140および160、望遠鏡135、ホモジナイザ145、ビーム分割器155およびレンズ165のような光学素子を介して通過するのに先立ってパルス幅拡張器120および減衰器プレート125を介して通過するパルスレーザビームを生成する。その後、レーザ光パルスは、マスク170(それは平行移動ステージ(図示せず)上にあってもよい)および投射光学素子195を介して通過する。投射光学素子は、レーザビームのサイズを低減し、同時に、所望の位置で薄膜199にぶつかる光学的エネルギーの強度を高める。薄膜199は、ビーム下の薄膜199を正確に位置決めすることができ、かつ薄膜199上の所望の位置でレーザビームによって生成されたマスク170の画像の焦点を合わせる(または焦点をずらす)のを支援することができる精密x−y−z軸ステージ198上に備えられる。いくつかの実施形態において、ステージは、基板および投射レンズが互いに移動することができるように、(基板が配置される)ワーク表面および/または投射レンズを移動させるための技術を含むことができる。
【0025】
SLSプロセスにおいて用いることができるレーザ結晶化システムは、主としてレーザ源によって要求される特性を有する。例えば、パルス当たりの低エネルギーをもつ高周波数レーザ(数kHzまたはそれ以上、数十kHzまたはそれ以上に達する)は、「ラインスキャンSLS」と呼ばれるものを実行するための、長い細線を生成するために用いることができる。ビーム長は、1つ以上のディスプレイの寸法よりも典型的には大型であり、ディスプレイが切断されるガラスパネルの寸法の分数またはガラスパネルの寸法に等しい場合がある。分数は、パネルのおよそ2分の1からおよそ16分の1まで(例えばパネルの4分の1)である場合がある。高出力(例えば300Hzまたは600Hzまたはそれ以上、300Wまたは600Wまたはそれ以上)を有する低周波数レーザは、パルス当たりのエネルギーが高く(約1ジュール)なりすぎるにつれて、このラインスキャンSLSスキームに適用可能ではなく、その代りに、薄膜の表面にわたって曲がりくねった方式でスキャンされる長方形ビームが形成される。このようなレーザを用いる独特のSLSシステム(一例として日本鉄鋼所株式会社(日本)から市販で入手可能)は、約0.5mmから2.0mmの特徴的な短い軸寸法、および約15ミリメートルから30mmの特徴的な長い軸寸法をもつ矩形のレーザパルスを生成するために2次元(2D)投射システムを用いる。逐次的横方向結晶化に用いられる溶融区域の少なくとも1つの寸法は、横方向の粒成長の約1〜2倍(例えば、約2μmから6μmまで)である。よって、矩形のレーザビームは、より小さな寸法の複数のこのようなビームレットを提供するためにマスクされてもよい。また適切な寸法の複数のビームレットは、マスクと同様の光パターンを生成する混信パターンを生成するなど、マスクを用いる代わりに、他の手段のビームの光学的操作を用いて提供されることができる。
【0026】
ハイレベルの均一性をもつ結晶質膜に至るこのような複数のビームレットを用いた1つのSLSスキームにおいて、多結晶半導体薄膜を生成するための比較的迅速な手段を提供して、薄膜を完全に結晶させるために、薄膜の所定の領域は、2つの別個のレーザパルスで照射される。このスキームは、一般的にツーショットSLSと呼ばれる。ツーショットのさらなる詳細な記述および他のSLSの方法およびシステムは、「連続動作逐次的横方向結晶化を提供するための方法およびシステム(Method and System for Providing a Continuous Motion Sequential Lateral Solidification)」と題された米国特許第6,368,945号において見出すことができ、その全体の内容は、参考文献として本明細書に援用される。ツーショットSLSは、ビームパルスが配列ビームレットにパターン化された場合、単一スキャンSLSと呼ばれる単一スキャンにおいて実行することができ、それらの長軸は、「単一スキャン(連続動作逐次的横方向結晶化)を提供するための方法およびシステム(Method and System for Providing a Single-Scan, Continuous Motion Sequential Lateral Solidification)」と題された米国特許第6,908,835号(その開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される)において論じられたように、典型的にはスキャン方向に平行に配列される。
【0027】
図2Aは、単一スキャン(連続動作SLSプロセス)のための図1のシステムを用いたSLSスキームにおいて用いることができる米国特許第6,908,835号に記載されたようなマスクを図示する。マスクは、薄膜を照射する複数のビームレットを生成するためにレーザビームを伝搬し形づくる、複数の矩形のスリットの2重の配列210および215を含む。マスクの他の(非スリット)部分は、不透明である。マスクは、透明基板(例えばクオーツ)から製造されることができ、任意の形状または寸法の特徴を有するマスクを形成するために従来の技術によってエッチングされる金属または誘電体コーティングを含むことができる。マスク実例は、単に概略であるように意図されており、スリットの寸法および縦横比は、大幅に変更することができ、かつ、照射領域における薄膜を溶融するために必要とされる処理の所望の速度、エネルギー密度およびパルス当たりの使用可能エネルギーに関連づけられることは、理解されるべきである。1組のスリット210は、第2の組のスリット215からx軸およびyの軸に片寄る。一般に、所定のスリットの幅対長さの縦横比は、(例えば、1:5〜1:200の間、またはそれ以上に)変更することができる。マスクフィーチャーの長さ265は、基板表面上で製造される装置の寸法に相応するように選択される。マスクフィーチャーの幅260および間隔240は、変更してもよい。いくつかの実施形態において、幅260は溶融帯内の小粒核形成を回避するのに十分なくらいに小さく(さらに、各々のレーザパルスのための横方向結晶成長を最大にするのに十分なくらいに大きく)なるように選択される。単なる例として、マスクフィーチャーは、約25〜1000マイクロメートル(μm)の長さ265および約2〜5マイクロメートル(μm)幅260を有することができ、その各々は、後続の投射光学素子において生じる任意の縮小係数(例えば4〜6倍の縮小)により乗算されることができる。
【0028】
作動中、ステージは、図2Aのマスクにおけるスリットの長軸がスキャン方向に実質的に平行に位置するように、負のx方向に薄膜を連続的に移動させる。薄膜が移動するにつれて、レーザは、マスクによって形づくられる所定の周波数(例えば300Hz)でパルスを生成する。薄膜速度(例えばステージ速度)は、それが移動するにつれて、後続のレーザパルス内のビームレットがオーバーラップするように選択される。
【0029】
図2B〜図2Dは、薄膜が負のx方向にスキャンされるにつれて、スリット210の2重配列の第2の(右の)組およびスリット215の2重配列の第1の(左の)組に対応する照射間のオーバーラップを示す薄膜の領域上に焦点を合わせる、図2Aに示されたようなマスクを用いたツーショットSLSプロセスを表す。この例において、マスクスリット210は、約5μmの幅260を有しており、約2μmの間隔240を置くことにより各々が離間して配置される。第1のパルスの間、薄膜の領域は、第1のレーザパルスで照射される。図2Bに示されるように、領域は、マスクの第2の配列210から第1の組のビームレットで照射され、レーザパルスは、サンプル上の領域211、212、213を溶融する。ここで、各溶解領域214は、約5μm幅かつ約2μm間隔217で離間して配置され、その各々は、後続の投射光学素子において生じる任意の縮小係数(例えば4〜6倍の縮小)により乗算されることができる。この第1のレーザパルスは、溶融境界216から始まり溶融領域に続く照射領域211、212および213における結晶成長を引き起こす。その結果、図2Cに示されるように、多結晶シリコン221が、照射領域にて生ずる。
【0030】
薄膜は、x方向に平行移動し続ける、また、(マスクの第1の配列215から第2の組のビームレットをもつ領域の照射に起因する)第2の照射は、最近結晶化された領域221および溶融させる最初の結晶種領域224にわたって、残存する非結晶領域223、225、227、229(図2Cに示される)を溶融させる。図2Dに示されるように、中央部分228を外側に形成する結晶構造は、溶融させられた領域の結晶化に際して成長する。その結果、均一の長粒多結晶シリコン領域が形成される。さらに、図2Dは、長粒境界235、236、237および238によって他方から各々が分離した結晶学的な4つの列231、232、233および234を表す。長粒境界235、236、237および238は、各々の溶融された領域の中央に対応する。これらの結晶学的な列の各々の内部で、複数の実質的に平行に横方向から成長した結晶239、241、242、243、244が見出される。
【0031】
図3は、2つの後続のレーザパルスによって照射された薄膜の典型的な実例を示す。前述のように、ビームレットが照射し、それにより所定の行の個別の照射領域380を溶融させる場合、その領域における結晶を冷却する際に、領域の端から領域の中央に向かって成長する。したがって、ビームレットの端がx方向(スキャンと平行)に配列される照射領域の中央部350においても同様に成長し、結晶粒は、y方向(スキャンに垂直)に実質的に延伸する。薄膜は、薄膜が負のx方向に移動し、それによりスキャンが正のx方向に進行するにつれて、図2Aのマスクによって第1の組のビームレット(スリット215に対応する)が形づくられた第1のパルスと、図2Aのマスクによって第2の組のビームレット340(またスリット215に対応する)が形づくられた第2のパルスとで照射された第1の組の結晶化領域345を含む。サンプルをスキャンする場合、第2のレーザパルスによって生成された第2の組の結晶化領域340の端部結晶粒370は、第1のレーザパルスによって生成された第1の組の結晶化領域345の前方部結晶粒365と部分的にオーバーラップする。第2のレーザパルスによって生成された第3の組の結晶化領域340’の結晶は、第1の組の結晶化領域345の個別の領域間の空間を埋める第1の組の結晶化領域345の側と部分的にオーバーラップする。薄膜がx方向においてスキャンされるにつれて、その全表面は、結晶されることができる。
【0032】
ビームレットが比較的長いので、結晶化領域の多くは、y方向に方向づけられた結晶粒を有する。対照的に、前部領域および末端領域360および370において、それぞれ、結晶のいくつかは、領域のまさに端部から成長する。したがって、それらは、x方向(スキャンと平行)に実質的に延伸し、他は、スキャン方向に傾いて成長する。これらの領域は「エッジ領域」として知られている。ここで、ビームの端(それは溶融された部分において複製される)が、横成長の所望の方向に関して斜めになる角度で端から内へ延伸する粒の横成長に至るので、アーティファクトが生じるかもしれない。
【0033】
逐次的横方向結晶化の上記方法によれば、全体領域は、2つのレーザパルスだけしか用いずに結晶化されることができる。この方法は、2つのレーザパルス(「ショット」)のみが完全なる結晶化に必要であるという事実に暗に指して、以下「ツーショット」プロセスと呼ばれる。ツーショットプロセスのさらに詳細な記述は「逐次的横方向結晶化を用いた多結晶薄膜半導体が処理される均一の大粒状および結晶粒界位置を生成する方法」題された米国特許第6,555,449号において見出され、その全体が参考文献として援用される。
【0034】
先に記載されたツーショットSLSプロセスは、例えば約730mm×920mmのサイズのガラスパネルを用いて作られる、小径アクティブマトリクス型ディスプレイ(例えば自動車用途)を製作するためのシリコンフィルムを結晶させることに用いられることができる。より大型のパネル上の処理は、例えば約2200mm×2500mm(またはさらに大きい)に達する大径アクティブマトリクス型ディスプレイ(例えばモニタまたはテレビの用途)を作るために必要とされる。大型のパネルを製作するためのツールの開発における障害は、パネルを平行移動させるために用いられる線形のステージであり、従来のツーショットSLSプロセスにおいて必要とされる精密さにより、このような大型のステージを操作させることは簡単ではない。以下は、特にステージのぶれの影響を記載し、不十分に精密なステージを用いて上記SLSを実行する際のいくつかの問題の記載である。
【0035】
図4A〜図4Eは、先に記載されたツーショットSLSプロセスに関連する限界および課題を表す。図4Aは、ビームレットを生成するためにツーショットSLSプロセスにおいて用いられる特徴的なマスクパターンを表す。ツーショットSLSプロセスのためのマスク400は、スリットアレイ402、404(それは図3Aに示されたマスクと同等であり、互いに片寄って配列される)の2重の列を含む。スリット402および404は、三角形の先細り端を有するように示されているが、他の形状を持ったスリットも用いることができる。例えば、台形の先細りおよび/または丸い端をもつスリットも用いられてもよい。矩形のスリットも、図2Aおよび図3Aに示されたように、用いられてもよい。他のいくつかの例のスリット形状またはエッジ形状だけでなくビームレットおよびギャップ幅を選択する際のより詳細な記述のために国際公開2005/029546号および米国特許第6,908,835号を参照されたい。これらの開示の全体は、参考文献として本明細書に明示的に援用される。
【0036】
図4Bは、薄膜トランジスタ(TFT)または回路420および電極430を含む複数の画素415が展開される薄膜410上のツーショットSLSプロセスを表す。前述のように、これは、各レーザパルスがビームレットの配列にパターン化された単一スキャンSLSプロセスであり、その長軸はスキャン方向と平行に配列される。ビームパルスは、第1の結晶化領域440および第2の結晶化領域450を含む複数の結晶化領域を形成する。表された結晶化領域440および450は、約25mmの長さで、約1.2mmの幅である。「ピクセルピッチ」(画素の中心−中心間距離)は、マトリックスの直径およびマトリックスにおけるノード数に依存し(ここで、マトリックスはLCDまたはOLED表示装置のためのアクティブマトリクスバックプレーンに対応してもよく、ノードはこのようなアクティブマトリクスバックプレーンにおける個別の画素に対応してもよい)、大型テレビのような大型マトリクスのための600μm(またはそれ以上)と同じくらい大型である。表された第2の結晶化領域450は、第1の領域440を約50%オーバーラップする。線460は、スキャン方向(それはパルスのスキャン方向である)を表し、線の非線形性は、パルスの不十分なオーバーラップをもたらす、スキャンの間のステージの(y方向の)ぶれの影響を表す。
【0037】
図4Cは、先に論じられた方法および図4Aに示されたマスクパターンを用いたツーショットSLSスキャンを表す。第1のレーザショットは、領域440(それは図4C(点線)の符号460(すなわち第1の溶融区域)として表される)に対応するパターンにおける薄膜の一部を照射し溶融させる。第2のショットは、領域450(それは図4C(実線)の470(すなわち第2の溶融区域)として表される)に対応するパターンにおける薄膜の一部を照射し溶融させる。溶融区域の各々は、結晶化領域460および470を冷却して形成する。図4Cを見て分かるように、結晶化領域460および470は、マスクによって生成されたビームレットの各々に対応する複数の領域461および471などをそれぞれ備えているため、複数の領域461および471の間に未照射の領域がある。各溶融区域は、次のレーザビームが薄膜の表面に衝突して領域471に結晶化される溶融区域を生成する前に、冷めて、領域461に結晶化される。図4Cは、また、第1の結晶化領域460および第2の結晶化領域470のオーバーラップ部分480を示す。例えば、オーバーラップ部分480は、領域461aおよび471aのオーバーラップを含む。したがって、領域480は、図2〜図3に関して上記のような領域480における横方向から結晶化された粒の対応する伸びにより、領域461の右側および領域471の左側に対応するオーバーラップされた別個の射光によって完全に結晶される。
【0038】
図4Cの領域480における配列不良によって図示されるように、ステージのぶれは、後続のレーザパルス間のレーザパルスの配列不良を引き起こす場合がある。ステージのぶれのために、第1のレーザパルスからの照射領域461の第1の列は、第2のレーザパルスからの照射領域471の第1の列に精密に配列しない。この配列不良は、第2のレーザパルスの間の照射領域の非対称性オーバーラップをもたらす。したがって、第2のパルスからの照射領域471の第1の列は、第1のレーザパルスからの照射領域461の第1の列から、図4Dに示される矢印465の方向の距離に移動されることができる。
【0039】
レーザパルスの配列不良は、最終製品における不揃いな間隔で配置される長粒境界をもたらす。長粒境界は、2つの横方向から成長している結晶前面が接するときに形成される中心線である。図4Eは、ツーショットSLS後の領域480における長粒境界の位置の概略図である。最終製品において、490’、491’、492’および493’として長粒境界に対応する中心線を表す。図4Eを見て分かるように、中心線は一律な間隔で配置されない。図4Eは、さらに、長粒境界490’、491’、492’および493’によって分離され、かつ領域490のための横方向からの拡張粒(490A、490B、490Cなどとして表された)を含む4つの結晶学的領域490、491、492および493を表す。中心線または長粒境界490’、491’、492’および493’は、電子流への障壁を生成することができ、結果として生ずるTFTにおける電子移動度を低減することができる。電子移動度の低減は、さらに、TFTのチャンネル領域内の、およびそのソース領域とドレイン領域と間の長粒境界の正確な位置に依存する。長粒境界の均一の間隔は、より均一の材料を提供するために好適である。
【0040】
図4Eを見て分かるように、結晶学的領域は、均一な間隔で配置されず、領域491は、領域490より広い。中心線におけるこの非均一性(それはツーショットプロセスの間のステージのぶれによって形成された結晶学的な列における非均一性に関連する)は、材料の均一性に影響を与えるだけでなく、用いることができるビームレットの幅およびピッチに最小寸法を設ける。すなわち、非均一性のため、小さなビームレット幅および間隔が利用可能ではない。場合によっては低性能をもたらす一方で、短粒は、より均一の薄膜トランジスタ(「TFT」)(それはアクティブマトリクス有機発光素子にとって特に重要である)を取得するために、時に所望される(例えば、小粒は、TFTのチャンネル領域において(の近くで)常駐するそれらの粒にわたって、より効果的な平均化効果が起こることを可能にする)。さらに、広列の幅を十分に延ばさない広列における粒に起因する閉塞された粒は、不十分なデバイス性能をもたらす場合がある。
【0041】
先に記載されたツーショットSLSプロセスでの別の問題は、歪みである。投射光学素子において用いられるレンズには収差(例えば非点収差)(それはビームの歪みをもたらす場合がある)がある場合がある。特に、中心から離れると、ビームにおける歪みは、結晶化薄膜において顕著であるかもしれない。図4Fは、図4Aにおいて表された2重配列マスクを用いたビームレット形成における歪みを表す。単なる例示的な例として、図4Fの右下隅1200に向かうビームレットは、漸増的に歪曲されている。ツーショットSLSにおいて、図4Gにおいて示されるように、第1のパルス1210および第2のパルス1220は、ツーショット領域に約50%オーバーラップする。ツーショット領域におけるそれらのオーバーラップ部分間の局所的な歪みは、異なるかもしれない。例えば、ビームレット1200の第2の(右)配列の下方部が、歪みのために斜めになるならば、第1のレーザパルス1240におけるビームレットの第2の配列と第2のレーザパルス1230におけるビームレットの第1の(左)配列との間のオーバーラップは、結果として生じるツーショット材の中心線の間隔における非均一性を引き起こす。図4Hにおいて示されるように、各々のビームレットの中心線間の間隔は、スキャンの垂直方向に沿って均一ではない。例えば、スキャンの上方部における中心線間の間隔は、比較的等しい。その一方で、スキャンの下方部間の間隔はそうではない。下方部における微細構造は、したがって、図4Eにおける微細構造に類似するだろう。
【0042】
非周期パルスSLS
非周期パルスSLSは、例えばステージのぶれおよび/または画像歪に起因する後続の照射の際のビームレットの不十分なオーバーラップに対抗して、結晶化プロセスをより堅牢にするための方法を提供する。
【0043】
本システムは、非周期レーザパルス(すなわち時間領域において等間隔でないパルス)を用いる。1つの実施形態において、本システムは、時間領域において密な間隔で配置された一連のパルスを生成するために、複数のレーザ源(複数のレーザ共振器(例えばチューブ)を有する単一のレーザ源を用いても可能なように)からのパルスの協調的なトリガを用いることにより、非周期レーザパルスを生成する。複数のレーザ源が単一のレーザシステムに提供されてもよい。レーザシステムは、1つ以上のレーザビームを生成するために、コンピュータ制御技術および1つ以上のレーザ共振器を用いるコンピュータ制御システムである。各レーザビームは、1つのレーザ源に対応する。各レーザビームは、スタンドアロン型レーザから、または1つのレーザシステム内に含まれる複数のレーザ共振器の一部であるレーザ共振器から生成することができる。
【0044】
非周期レーザパルスの典型的なプロファイルは、図5に示される。y軸はパルス強度を表わし、x軸は時間を表わす。図5Aは、従来のツーショットSLSプロセスに用いることができるレーザの周期的なパルスレートを表す。レーザ繰り返しレートは、時間領域において均一な間隔で配置されるレーザパルスパターンをもたらす。図5Bは、第2のパルス500が第1のパルス510に近い時間関係で放たれる場合の本明細書に開示された非周期パルスの例を表わす。その後、第3のパルス520は、第1のパルス510と第2のパルス500との間の間隔よりも異なる時間間隔で放たれる。図5Cは、2つのレーザのレーザパワー(エネルギー密度)が異なる1つの実施形態を図示する。したがって、照射された薄膜は、非周期パルスレートおよび非均一の照射エネルギーに遭遇する。第1のパルス510と第2のパルス500との間の比較的短い時間のために、図7A〜図7Bに関して論じられるように、第1のパルス510および第2のパルス500によって照射された領域は、増大したオーバーラップに遭遇する。さらに、複数のレーザにおける各レーザは、一定の繰り返しレートでパルスを発することができる。
【0045】
第1のパルス510と第2のパルス500との間の遅延領域は、第1のパルス510と第3のパルス520との間の時間間隔の半分である場合がある。いくつかの実施形態において、第1のパルス510と第2のパルス500との間の時間間隔が、第1のパルス510と第3のパルス520との間の時間間隔の10分の1未満、または20分の1未満、または100分の1未満である。第1のパルス510と第2のパルス510との間の遅延領域は、約3マイクロ秒〜約1ミリ秒、約5マイクロ秒〜約500マイクロ秒、および好ましくは、約8マイクロ秒〜約100マイクロ秒である。
【0046】
例えば、遅延は、数マイクロ秒(例えば40cm/秒のステージ速度および3.5のμm変位に対して、タイミングは、8.75マイクロ秒になるだろう)くらいに短くなりえる。ステージ速度が60cm/秒くらいに速くなれば、タイミングは、5.83マイクロ秒になるだろう。n−ショットプロセスにおいて(すなわち所定の領域における2つ以上のレーザ照射(例えば、所定の領域における3、4、5またはn個の射光)によるプロセスにおいて)、オーバーラップは、より大きくなるかもしれない。このようなn−ショットSLSプロセスは、米国特許出願第11/372,161号に記載されており、その全体の内容は、参考文献として本明細書に援用される。例えば、n−ショットプロセスにおいて、タイミングは、5マイクロ秒、または、それどころか3マイクロ秒もありえる。横成長速度が約10ミクロン/秒に達するので、約0.3マイクロ秒の半値全幅(FWHM)パルスで6ミクロン幅の領域を溶融させる場合、薄膜は、横方向から約0.5マイクロ秒未満で結晶化される。
【0047】
いくつかの実施形態において、変位は、3.5ミクロン以上であってもよい。したがって、遅延は、数十マイクロ秒、50マイクロ秒に達する、または100マイクロ秒以上にも、ことによると数100マイクロ秒くらいに大きくなりえる。上限は、1200Hzにて組み合わされる2つの600Hzのレーザの繰り返しレートに近づくくらいに(しかし等しくはない)高くできる(すなわち、833マイクロ秒)。例えば、70%のオーバーラップに対して、遅延は、500マイクロ秒になるだろう。但し、2つの300Hzのレーザが用いられれば、遅延は、1ミリ秒になるだろう。
【0048】
複数のレーザ共振器(例えばチューブ)を有するツールは、米国特許第7,364,952号(その開示の全体は参考文献として本明細書に明示的に援用される)において論じられたように、(1)複数のパルスを同時に作動させ、続いて組み合わせることにより、パルスエネルギーを増加させることと、(2)様々なチューブを遅作動させ、続いてそれらを組み合わせることにより、パルス期間を増加させることとが、既に開示されている。言いかえれば、パルスは、改善された単一の溶融化サイクルおよび結晶化サイクルを提供するために組み合わせられる。非周期パルスSLSは、個別の溶融化/結晶化サイクルにおいて様々なレーザのパルスを用いるという点で異なる。但し、パルスは、ステージが高速で移動している間に、それらが大幅なオーバーラップを見せる時間領域に十分に近い。
【0049】
図5は、2つの密な間隔で配置されたパルスまたはレーザパルスの「列」を利用する非周期パルスパターンを示す。但し、3〜5つのレーザまたはレーザ共振器に対応する多くの数の密な間隔で配置されたパルス(例えば3〜5)が利用されてもよい。このような実施形態(異なるレーザ(例えば2つの異なるレーザエネルギー源または同一のレーザエネルギー源の2つの異なるレーザキャリアのいずれか1つからのレーザビーム)からの多くの密な間隔で配置されたパルスが用いられる)において、目標とされた領域は、相応なより多くの回数を照射され、より細長い結晶ドメインとともに結晶化領域を提供してもよい。例えば、n個のレーザ源からのn個のパルスは、密な間隔で配置されてもよいし、単一の領域は、単一スキャンにおいて記載されたようなn個の照射に遭遇するだろう。ビームレットは、ツーショットSLSと同様の幅を有していてもよいが、それらの間の間隔は、多くの照射を提供するために増加されてもよい。また、ツーショットプロセスにおいて取得することができる粒よりも長い粒(パルストレインにおけるパルス数によって限られる粒の長さ)をもたらす、(個別の溶融区域に各々に対応する)結晶化領域間のオーバーラップは、50%(または1×横成長の長さ)よりも広いかもしれない。より長い粒材は、より高いパフォーマンスTFTに有用かもしれない。
【0050】
パルストレインにおける2つの連続パルスは、同一のエネルギー密度である必要がない。例えば、薄膜が第1のパルスの影響により高温のままであれば、第2のパルスは、より低いエネルギー密度であるかもしれない。同様に、より高いエネルギー密度は、第1のパルス(結晶質よりもわずかに優れて吸収する非結晶)の光学的性質における変化を補正するために用いられてもよい。第2のパルスのエネルギー密度のための適切な選択は、したがって、両方の影響を考慮して(ことによると、その他のものと同様に)なされてもよい。したがって、図5Cに示されるように、第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスは、異なるエネルギー密度を有することができる。
【0051】
非周期パルスSLSを実行するためのシステム
非周期パルスSLSを実行する1つの方法は、複数のレーザ源(例えばデュアルレーザ源)を実装する。デュアルレーザ源を用いてSLSを実行するためのシステムは、図6に示される。第2のレーザ110’および2つのレーザの発射およびステージの動きを制御するためのコンピューティング配置またはコンピュータシステム600が図6に記載されている以外は、図6は図1と同様である。したがって、コンピュータシステム600は、レーザパルスのステージ位置の制御された発射のためのコンピュータ読み取り可能媒体およびコンピュータ読み取り可能命令を提供する。本システムは、薄膜における複数の部分の同時スキャンを可能にするために、複数の投射レンズを含むこともできる。薄膜の複数の部分の同時スキャンを可能にするためのシステムは、「薄膜を処理するためのシステムおよび方法(System and Method for Processing Thin Films)」と題された米国特許第7,364,952号に開示されており、その開示の全体は参考文献として本明細書に明示的に援用される。デュアルレーザ源を用いた方法およびシステムが記載されているが、付加的なレーザも同様に用いられてもよい。非周期パルスSLSを実行する他の方法は、バーストモードにおけるおよび/またはビームストップに関連した高い周波数レーザを動作することを含む。双方の実施形態は、以下で、より詳細に論じられるだろう。さらに、本システムは、ビームレットを生成するための機能(マスクが機能するものと同一の機能)を実行する設定に基づいた干渉を組み込んでもよい。
【0052】
非周期レーザパルスパターンは、好ましくは、同一の繰り返しレートの複数のレーザのオフセット発射(off-set firing)によって取得される。単一レーザを用いて非周期レーザパルスパターンを生成するための技術が存在してもよいが、現時点では、それほど効果的でないと見なされる。1つの技術において、ある繰り返しレートを有するレーザのトリガメカニズムは、連続パルス間の交互の長短の時間間隔を有する非周期パルスシーケンスを生成するために変更される。エキシマレーザのようなレーザは、出力が減少し始める後のある最適なパルスレートまで、パルス繰り返しレートとともに増加する最大出力を有する。言いかえれば、この最適なパルスレートを超えて、パルスがもつことができる最大エネルギーは、迅速に減少するだろう。したがって、ある最大のパルスエネルギーを有する所定のレーザのための2つの連続パルス間の時間間隔を減少させることは、結果的に、特に短時間間隔に続くパルスのためのパルスエネルギーの劣化をもたらすかもしれない。
【0053】
単一のレーザを用いた非周期レーザパルスパターンを生成するための別の技術において、非周期パルスパターンは、例えば数kHz〜10kHzの繰り返しレートを有し、連続するレーザパルスの短いシーケンス(例えば急激なバースト)間の中断時間を提供するのに適した、高出力/パルス速度モードにおいて動作される単一のレーザから取得される、本明細書に記載された方法およびシステムにおいて使用するのに適している典型的なレーザシステムは、高周波レーザ(例えばCymer社(米国サンディエゴ)によって開発され、TCZ Pte.社(シンガポール)から市販で入手可能なレーザ結晶化ツールにおいて用いられるレーザ)や、例えばJENOPTIK Laser, Optik, Systeme GmbH社から市販で入手可能で、Innovavent GmbH社から市販で入手可能なレーザ結晶化ツールにおいて用いられるダイオード励起固体レーザを含む。但し、Coherent社(米国サンタクララ)から市販で入手可能なように、これらの高周波レーザは、パルス当たりの相応な低エネルギーを有しており、結局、パルス寸法は、パルスレーザ当たりの高エネルギーと比較して縮小される。
【0054】
薄膜199は、非結晶半導体薄膜または多結晶半導体薄膜(例えばシリコン薄膜)になりえる。薄膜は、連続薄膜または不連続膜になりえる。例えば、薄膜が不連続膜であるならば、それはリソグラフィでパターン形成された薄膜または選択的に堆積された薄膜でありえる。薄膜が選択的に堆積された薄膜であるならば、それは、化学蒸着薄膜、スパッタ薄膜または溶解処理薄膜(例えばシリコン系インクのインクジェット印刷)によることができる。
【0055】
全域非周期パルスSLS
図7Aおよび図7Bは、垂直のマスク700(図7Aにおいて示される)を用いた非周期パルスSLSプロセスを表す。垂直のマスク700は、任意の先細り端をもつ垂直に位置決めされた(例えば、スキャン方向に垂直に配列された)スリット710(配列)を含む。スリット710は、同様の形状の複数のビームレットを生成するためにレーザビームを送り形づくる。マスクの他の(非スリット)部分は、不透明である。マスク実例が、単に概略であるように意図されており、スリットの数と同様にスリットの寸法および縦横比が、大幅に変更することができ、かつ、照射領域における薄膜を溶融ために必要とされる処理の所望の速度、エネルギー密度およびパルス当たりの使用可能エネルギーに関連づけられることは、理解されるべきである。一般に、所定のスリットの幅対長さの縦横比は、(例えば、1:5〜1:200〜1:5000の間、またはそれ以上に)変更することができる。他の実施形態において、マスクは、背景が透過的で、中央の「ドット」が不透明なドットマスクになりえる。ドットマトリックスマスクのさらなる詳細な記述は、米国特許第7,645,337号(その全体は参考文献として本明細書に組み込まれる)において見出される。
【0056】
先に論じられたツーショットSLSに関して上記のように、図7Bは、第1の2つのレーザパルスが時間内に一緒に発生し、続いて遅延があり、第2の2つのレーザパルスもまた時間内に一緒に発生する、2組の2つのレーザパルスによって照射された薄膜の典型的な実例を示す。そのプロセスは、プライマリレーザからのパルスに対応する2つの照射ステップ、およびセカンダリレーザからのパルスに対応する2つの照射ステップによる、少なくとも4つの照射ステップを含む。本ステップは、以下の通りである。薄膜が負のx方向に移動し、したがって、スキャンが正のx方向に進行するにつれて、(1)図7Aのマスクによって第1の組のビームレット(点線)に形づくられたプライマリレーザからの第1のパルスにより照射された領域711に対応する第1の照射、(2)図7Aのマスクによって第1の組のビームレット(実線)に形づくられたセカンダリレーザからの第1のパルスにより照射された領域712に対応する第2の照射、(3)図7Aのマスクによって第3の組のビームレット(グレーエリアにおける点線)に形づくられたプライマリレーザからの第2のパルスにより照射された領域713に対応する第3の照射、および(4)図7Aのマスク(グレーエリアにおける実線)によって形づくられたセカンダリレーザからの第2のパルスにより照射された領域714に対応する第4の照射。第1の照射領域711および第2の照射領域712がオーバーラップする場合、それらは第1のツーショット結晶化領域715を生成する。第3の照射領域713および第4の照射領域714がオーバーラップする場合、それらは第2のツーショット結晶化領域716を生成する。
【0057】
サンプルを(好ましくは一定のステージ速度で)スキャンする場合、第1の結晶化領域711および第2の結晶化領域712と第3の結晶化領域713および第4の結晶化領域714との間のオーバーラップは、約50%を上回る。好ましくは、第1の結晶化領域711および第2の結晶化領域712と第3の結晶化領域713および第4の結晶化領域714との間のオーバーラップは、約70%を上回る、約90%を上回る、約95%を上回る、または約99%を上回る。領域711に対応する第1の照射は、その厚さの全体にわたって領域を溶融させる。溶融領域は、その後、横方向の結晶化領域を形成するために固体の端(solid edge)から横方向に結晶化する。第1のセカンダリレーザパルスによって生成された第2の照射は、第1の組のビームレットによって生成された個別のビームレット領域間の未照射の領域に及び、さらに第1の結晶化領域711とのオーバーラップに及ぶ。冷却と同時に、第2の領域における結晶は、x方向(スキャンの方向に平行)に、横方向から実質的に延伸された結晶粒を形成するために、第2の溶融領域の端から成長する。したがって、オーバーラップは、50%超から約99%までの範囲になりえるが、全体領域が2つのレーザパルスにおいて結晶するように、オーバーラップが選択される。このように十分に結晶する薄膜の領域は「ツーショット結晶化領域」と呼ばれる。この例の第1の結晶化領域711の照射において、第1のツーショット結晶化領域715をもたらす第2の結晶化領域712の照射が続く。その後、第3の結晶化領域713および第4の結晶化領域の照射は、第2のツーショット結晶化領域716をもたらす。2つ以上のレーザパルスが、パルストレインに用いられるならば、全体領域がパルストレインにおけるパルス数によって結晶されるようにオーバーラップが選択されることができる。
【0058】
第1のツーショット結晶化領域715と第2のツーショット結晶化領域716との間の最大オーバーラップは、第2のパルスの第1のビームレットが第1のパルスの第1のビームレットと第2のビームレットとの間に正確に位置決めされるようにすることができる。この最大オーバーラップは、垂直に配列されたビームレットのビームレットピッチの2分の1の最少変位に対応する。スキャン方向に垂直に方向づけられないという意味で、(後述のように)ビームレットが垂直配列に対して傾斜されるならば、最少変位は、傾斜角の余弦で除算されたビームレットピッチの2分の1である。(上記のように)n−ショットプロセスにおいて、第2のパルスの第1のビームレットは、第1のパルスの第1のビームレットの中心線の近くに位置決めされてもよく、最大オーバーラップは、相応して広い。第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップが、より短いのであれば、第1のツーショット結晶化領域715および第2のツーショット結晶化領域716は、より狭くなりえる。オーバーラップがより短い場合には、「羽根(wings)」が単一のオーバーラップしないビームレットのみによって照射された第1のツーショット結晶化領域715および第2のツーショット結晶化領域716に隣接した「羽根」があるだろう。
【0059】
図7Cは、第2のパルス1110(実線)が、第1のパルス1100(点線)からビームレットピッチの1.5倍の位置に位置決めされた場合の別のオーバーラップスキームを表す。ツーショット領域に対応する第1のパルス(プライマリレーザに対応)と第2のパルス(セカンダリレーザに対応)との間のオーバーラップは、約70%〜約99%までの範囲になりえる。図7Cに示されたようなより小さなオーバーラップは、より小さなツーショット結晶化領域1120をもたらす。より小さなオーバーラップ(したがってパルス間のより大きな遅延)が、第2のパルスで照射される前に、第1のパルス後に薄膜を十分に冷却することを可能にすることは、有用でありえる。
【0060】
より小さなオーバーラップは、単独で、または前記のような第2のパルスエネルギー密度の調整と組み合わせて、用いることができる。さらに、より小さなオーバーラップは、ビーム内のエネルギー密度の非均一性の影響を緩和するのに有用になりえる。薄膜の完全な溶融に依存するプロセスとして、SLSは、パルスからパルス、またはパルスの様々な部分間のエネルギー密度における特徴的な変動に対して、比較的影響を受けない。エネルギー密度の変動は、単一のビームレットによって照射された領域の幅のいくつかの穏やかな変動をもたらすことができる。よって、ツーショットプロセスにおいて、エネルギー密度の変動は、溶融領域間のオーバーラップにおけるいくつかの穏やかな変動(および、それにより起因する微細構造)をもたらすことができる。したがって、薄膜の一部が、1つのパルスの低エネルギー密度により照射され、別のパルスの低エネルギー密度により同様に照射されない、ということは好ましい。例えば、ビームの小断面が光学システムにおける欠陥による低減されたエネルギー密度を有しているならば、薄膜における1つの部分がビームのこの低減されたエネルギー密度部分により2度照射されないように、2つのパルス間の変位を増加させることは好ましい。
【0061】
作動中、図7Bにおける矢印720によって示されたパルススキャン方向を達成するために、ステージは、x方向に沿って薄膜を連続的に移動し、その結果、図7Aのマスクにおけるスリットの長軸は、スキャン方向に実質的に垂直に位置する。薄膜が移動するにつれて、レーザは、マスクによって形づくられる所定の周波数(例えば300Hz)でパルスを生成する。ステージ動作として、後続のレーザパルスが薄膜のオーバーラップ領域711および712を照射するように、双方のレーザからのレーザパルスの発射間のオフセットおよび薄膜速度が選択される。
【0062】
薄膜速度および第1のレーザパルスおよび第2のレーザパルスの繰り返しレート(周波数)は、薄膜上の後続のツーショット結晶化領域の位置を決定する。1つ以上の実施形態において、第1のツーショット結晶化領域715および第2のツーショット結晶化領域716は、745でオーバーラップすることもできる。したがって、薄膜がx方向にスキャンされるにつれて、全体の膜面が結晶化されることができる。(図7Bに示されたように)領域711および712がビームレットのピッチの2分の1のみ転置されれば、その後、領域715と716との間のオーバーラップは、ビームレット間のオーバーラップと同じくらい短くなりえる(それはツーショットSLSの場合0〜1倍の横方向成長の長さである)。したがって、715と716との間のオーバーラップは、712の領域の右端と713の領域の左端との間のビームレットオーバーラップのみに、最小限にすることができる。第1のツーショット結晶化領域と第2のツーショット結晶化領域との間のオーバーラップは、したがって、約0.5μm〜約3μmまでの範囲になりえる。
【0063】
図7Bにおける第1の領域711および第2の領域712と第3の領域713および第4の領域714との増加されたオーバーラップは2つの個別のレーザの利用を通じて、前述のように達成されることができる。第2の領域712および第4の領域714をもたらす第2のパルスおよび第4のパルスの結晶化をもたらすパルスをセカンダリレーザが発射している間、プライマリレーザは、第1の領域711および第3の領域713の結晶化をもたらすパルスを発射する。パルスの発射は、例えばコンピュータ制御システムにより引き起こされることができる。2つのレーザが用いられるので、第1の領域711および第2領域712は、例えば、所定の一定のステージ速度で目下のレーザ周波数で1つのレーザを用いて生じるものよりも、多大の範囲にオーバーラップすることができる。但し、本システムおよび方法は、複数のレーザ源の利用に依存しないこと、むしろ非周期レーザパルスの生成を必要とすることは、強調されるべきである。上述のように、十分に高いレーザ繰り返しレートによるレーザは、存在し、かつレーザパルスの急激なバースト間の中断時間を提供するために、ある意味で動作されることができる。レーザパワーおよび周波数の開発は、スループット率を向上させ、このようなアプローチの商業上の魅力を増加させるだろう。
【0064】
非周期パルスSLSを用いた傾斜スキャン
いくつかの実施形態において、TFTの配列が後ほど薄膜にて製造される場合、TFTチャネル配向に対する長粒境界の配向をわずかに傾斜することができるならば、それは有用かもしれない。TFTがアクティブマトリクス装置または薄膜の配列配向および/または端に平行に配列されるならば、対角線のビームレットは、例えばこのような傾斜工学を果たすために用いられる(米国特許第7,160,763号「微細構造の配列不良を通じての多結晶TFTの均一性(Polycrystalline TFT Uniformity Through Microstructure Mis- Alignment)」(その開示の全体は参考文献として本明細書に明示的に援用される)を参照)。ここで、ビームレットは、TFTの均一性を向上させるようにチャネル領域に対して傾斜される。図7Dおよび7Eは、薄膜のy軸に対して、ビームレットを傾斜することを表す。図7Dは、図7Eよりも小さな傾斜角を表し、図7Eに示されたように、第1のショットと第2のショットとの間に増加されたオーバーラップをもたらすことができる。
【0065】
傾斜角は、0度〜約90度までの範囲になりえる。ビームレットのある傾斜角(例えば、垂直の(y)方向に対する(すなわちスキャン方向に垂直な方向))が定められると、ある遅延時間は、d=0.5×(λ/cosα)と等しい平行移動距離を与えるために逐次的パルス間で計算されてもよい。ここで、λはビームレットピッチである。
【0066】
図7Dにおいて示されるように、例えば、75度の傾斜および5.5/1.5のμmのビームレット幅および間隔(すなわちλ=7.0μm)のために、平行移動距離は、約13.5μmである。これは、10cm/秒のスキャン速度で、連続パルス間の135μsの遅延に対応する。45度の傾斜は、TFTがディスプレイまたはパネルの端に対して垂直または水平に配列されたのと同一のTFT均一性を有するために、用いられてもよい。2+ツーショットプロセスは、また、例えば、第1のツーショットのために45度の傾斜を用いて実行され、第1のツーショットのものに135度の傾斜(すなわち垂直)をもつツーショットが続く。また、45度および90度近く(例えば、垂直に近い)よりも大きな傾倒角度も、例えば、ディスプレイデザインが以前に仮定されたものに対して回転された90度である場合可能である。傾斜角が連続するトレインパルス(より小さな角度に対してより大きな)によって処理された領域間のオーバーラップに作用している間、スキャン対スキャンのオーバーラップは、すべてのケースにおいてビームレット幅の約2分の1ほどの短さのままでありえる。傾斜ビームレットは、後述されるように、全域結晶化プロセスおよび選択領域結晶化プロセスの両方において用いることができる。
【0067】
一旦薄膜がx方向に完全にスキャンされたならば、マスクされたビームは、薄膜の残りをスキャンするためにy方向に移すことができる。図7Bに示されるように、各々のツーショット領域715、716間のオーバーラップ領域745に加えて、第1のスキャン730と第2のスキャン740との間のオーバーラップ領域750も生成する。したがって、ビームレット端は、オーバーラップ領域に位置を定められてもよい。その後、図4Cに示される従来の単一スキャンツーショットSLSにおけるオーバーラップされた射光によるように、適切に微細構造の存続を保証するためにビーム端をオーバーラップする必要性がある。前述のように、これは、粒の長軸がビームレットの中心線に垂直に実質的に方向づけられることを保証するために、ビーム端の工学技術の利用を含んでいてもよい。水平配列の間に、1つのビームレットの端部は、オーバーラップ領域745の次のパルスの対向端部に自然にオーバーラップする(傾斜ビームレットの場合は当てはまらない)。傾斜ビームレットのために、1つのビームレットの終端は、ビームレットの長さおよび傾斜により要求されるような別のビームレットの対向端部によりオーバーラップしなければならない。したがって、パルスのタイミングは、それらのビーム端の中心線が正確にオーバーラップするようなでなければならない。その後、ビームレット傾斜および角度は、このようなビーム端間のオーバーラップを最小限にするために最適化されることができる。
【0068】
非水平のビームレット配列にとって、ビーム端は、オーバーラップ750によって示されたパターン化されたビームの上部および下部にも存在するだろう。スキャンからスキャンに微細構造の存続を保証するために(すなわち、スキャンに際して形成された異なる領域の最適な縫い合わせを保証するために)、これらのエッジ領域は、適切な方式(ある意味では、ビームレットの中心線が、オーバーラップし、かつビームレットの傾斜および長さが、オーバーラップが最小限にされるように選択されることを意味する)においてオーバーラップする必要もある。レーザパルスのステージ同期制御は、オーバーラップ領域750において精密な縫い合わせを達成することが要求される。
【0069】
x方向におけるパルスの位置調整の不安定性は、一般に、ステージ速度における変動だけでなく、パルスのタイミングの不正確(例えばシヌソイドかもしれない)から生じるかもしれない。パルス間のオーバーラップは、位置調整のこの不安定性によって作用されるかもしれない。パルスのタイミングの不正確は、通常は非常に短く、主としてジッタ(それはパルストリガ電子素子における不正確さに対応する)の結果である。ジッタは、約数ナノ秒またはそれ以上で生じるかもしれない。ジッタの結果として薄膜上でパルスを位置決めする際の移動は、非常に短く、本出願にとって無視できるものと見なされるべきである。例えば、パルスにおける10ナノ秒の遅延、トリガは、20cm/秒のステージ速度に対して2nmだけのサンプルレベルで移動することを引き起こす。速度変化の結果として薄膜上でパルスを位置決めする際の移動も、非常に短くてもよいし、その上、ぶれの場合のように緩やかな移動である。したがって、2つのパルスの調子を合わせた密接な位置調整は、このような変動に起因する微細構造の均一性への影響を最小限にするために有用になる。
【0070】
ビーム歪み
本開示の方法およびシステムは、ビーム歪みの影響を軽減することもできる。開示された非周期パルスSLSシステムおよび方法において、ツーショット領域内の第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップが約70%よりも大きいので、ツーショット領域の第1のパルスおよび第2のパルスのオーバーラップ部分は、それらがさらに同様の程度の歪みの対象になるようにビームパスのさらに密に配置された部分である。よって、最終的な結晶化薄膜は、このような歪みによって顕著に作用されないようにすべきである。図7F〜図Hは、図4F〜図Hに示されたようなビームレット形成の同一の歪みを表す。再び、図7Fにおけるビームレット1300の底部の右部分は、歪曲されている。但し、図7Gおよび図7Hは、図7Bにおける領域711および712に関して記載されたような非周期パルスSLSプロセスを表す。図7Fが水平に整列されたマスクを表している一方で、図4Fは垂直に整列されたマスクを表していることに留意されたい。但し、図4F〜図4Hおよび図7F〜図7Hの例示的な例において、等しい程度の歪みは、x方向およびy方向の両方に与えられ、したがって、それは水平に整列されたビームレットのように同一の方式で、垂直に整列されたビームレットに作用する。非周期パルスSLSプロセスにおけるビームレットの中心線が調整される場合、図7Fにある歪みが中心線(図7H)の規則性に作用せず、したがって、結晶粒界に作用しないことが理解されることができる。この有益性は、第1のパルスおよび第2のパルスのオーバーラップ部分の間のビームパス内のより綿密な間隔に、したがってそれらの間の光学歪みにおけるより大きな類似性から、派生する。
【0071】
このように、上記の非周期SLSシステムおよび方法は、薄膜の全域結晶化に適用可能である。例えば、非周期SLSは、薄膜上で密に配置された複数のTFTの広域スキャンに用いることができる。
【0072】
非周期パルスSLSを用いた選択領域結晶化
いくつかの実施形態において、非周期パルスシーケンスは、ある関心領域のみ(例えば、ディスプレイまたはセンサ配列のようなアクティブマトリクス装置の画素TFTまたは回路)を選択的に結晶させるために、さらに用いることができる。この選択領域結晶化(SAC)の実施形態において、オーバーラップは、図7Bに示された領域715と領域716とに間などにはあるが、第1のツーショット結晶化領域と第2のツーショット結晶化領域との間にはない。例えば、図8は、第1のツーショット領域830と第2のツーショット領域840との間にオーバーラップがない場合に非周期パルスSLSプロセスを用いてスキャンされた、TFT825を密な間隔で配置した薄膜820を表す。このプロセスは、図7Aに示された同一のマスクを用いて実行される。図7Bに示された実施形態のように、薄膜は、2つのツーショット結晶化領域(すなわち、プライマリレーザおよびセカンダリレーザの各々から第1のパルスに対応する第1のツーショット結晶化領域830、および第2のプライマリレーザおよびセカンダリレーザの各々から第2のパルスに対応する第2のツーショット結晶化領域840)を形成するために、少なくとも4つの照射ステップを含む。ツーショット結晶化領域830および840を生成するための照射ステップは、薄膜が負のx方向に移動すると同時の、(1)プライマリレーザからの第1のパルスでの領域811に対応する第1の照射ステップと、(2)セカンダリレーザからの第1のパルスでの領域812に対応する第2の照射ステップと、(3)プライマリレーザからの第2のパルスでの領域813に対応する第3の照射ステップと、(4)セカンダリレーザからの第2のパルスでの領域814に対応する第4の照射ステップである。1つ以上の実施形態において、SACにおいて実行されたマスク/ビームレットのサイズは、1つ以上の十分な結晶化領域が2つのパルス(またはnパルス)で形成され、かつ各結晶化領域がマトリックス型電子装置または回路の少なくとも1つのノードを含むのに十分に大きくなるように、選択される。
【0073】
図7Bにおいて示される実施形態とは対照的に、第1の結晶化領域811および第2の結晶化領域812のみが互いにオーバーラップし、第3の結晶化領域813およびだい4の結晶化領域814が互いにオーバーラップする。この実施形態において、第1のツーショット領域830と第2のツーショット領域840との間にオーバーラップはない。よって、マトリックス型電子素子の周期性と一致させるために、第1のツーショット領域830と第2のツーショット領域840との間の間隔を増加させるために、サンプルが保持されるステージは、より速い速度で移動することができる。ステージ速度におけるこのような増大は、全体の処理能力の著しい増大をもたらすことができる。例えば、ディスプレイの画素アレイにおいて、例えば数百μmまたはそれ以上のピッチを有する電子素子の密度は、むしろ低く(例えば1mm以上)、処理能力における大幅な増大は、それらの領域のみを結晶させることにより達成されることができる。したがって、薄膜上の選択された領域の最大限の結晶化を達成するために、ステージは、所定のレーザパルス速度に対して、より高速の速度で移動されることができる。SAC非周期パルスSLSシステムのための処理能力の典型的な値は、本出願の「実施例」の節において参照される。このように、非周期パルスSACの処理能力改善は、大型のテレビ受像機製作に必要とされるような、大型のパネル(例えばGen8パネル(〜2.20×2.50m2))のためのより競争的な処理能力を可能にする。
【0074】
非周期パルスを用いる単一スキャンプロセスは、したがって、関心領域のパルス間の増大されたオーバーラップおよびそれらの領域の範囲を越えて低下されたオーバーラップにより、薄膜上のパルスの非周期配置を引き起こす。単一スキャンのパルスのこのような非周期配置は、また、関心領域の処理の間の低速のスキャン速度と、ある関心領域間の高速のスキャン速度とを有するように、スキャン速度を変更することを通じて周期的なレーザパルスを用いて確立されてもよい。このような急激な加減速は、関心領域上に迅速にパルスを転送するために、例えば光学的方法を用いて、確立されてもよい。このような光学的方法は、ビームステアリング素子または急速移動鏡または振動マスクを含むことができる。単一スキャンSACのSLSプロセスのこのような具体化は、このような光学的方法でまさに必要とされ、したがって非周期パルスシステムの利用よりは好適でないかもしれない。また、ステージのぶれに関連づけられた誤差の低減に関する非周期パルスの利点はない。
【0075】
周期的なレーザパルスを用いた別の単一スキャンSACプロセスは、1つの対象の領域を結晶させるために、各々のパターン化されたビームを2つ以上のパターン化されたセグメント(各々は十分に大きい)に分割し、複数セグメントが複数の関心領域に同時にオーバーラップするような間隔の距離を配置されることを含む。スキャンは、後続の照射に際して、サンプルが、パルスの1つのセグメントが、パルスの別のセグメントで以前に処理された領域とオーバーラップするようなピッチの整数倍に等しい距離を移動した、このような速度で進行する。各々のセグメントのビームパターンの適切な設計によって、第2の照射は、第1の照射から、増大された結晶の横方向の伸張を提供することができる。ビームの部分を遮断すること(マスキング)によりセグメントを生成することは、セグメント間の大きな間隔の結果として無駄になる。もっと正確に言えば、ビーム分割技術は、同一の光学パスまたは異なる光学パス上に、ビームの部分を転送するために用いられてもよい。単一スキャンSACのSLSプロセスのこのような具体化には、ビーム歪みの影響を低減するように、密にパターン化されたビームの部分をオーバーラップする利点がない。また、ステージのぶれに関連づけられた誤差の低減に関する非周期パルスの利点はない。
【0076】
上記のように、選択領域結晶化は、例えばマトリックス型電子装置または回路において、関心領域のみを結晶させることを含む。このように、結晶化領域の位置は、マトリックス型電子装置または回路のノードの位置に対して整列される必要がある。サンプル配列のステップは、様々な技術により達成されてもよい。1つの技術において、サンプル配列は、電子装置を作るためのさらなる処理ステップにおいて、その位置が再現できるような方式で、サンプルを位置決めするための能力をさらに有する結晶化システムを用いて容易に確立されてもよい。例えば、結晶化に先立って且つ結晶化プロセスが整列されて検出される基準または位置合わせマークをパネルが備えている場合、1つの共通の手段がある。サブミクロン精度がこのような装置の様々な特徴をオーバーレイする場合に薄膜トランジスタを作るために、サンプル配列のこのような方法は、リソグラフ手順において一般的に用いられる。SACにおけるサンプル配列は、リソグラフィと同じくらいの精密さは必要としない。例えば、結晶化領域は、両側の数ミクロンまたは10ミクロン以上、対象の領域よりも大きくなりえる。
【0077】
別の技術において、サンプル配列は、電子装置を製造するのに先立って、結晶化領域の位置を検出することにより確立される。このような技術は、電子素子が配置されるべきで領域自体の検出を通じて、またはこのような配列の目的(例えば基準)のために最適化された付加的な結晶化領域の検出を通じて、達成されてもよい。投射結晶化システムの利用には、このようなサンプル配列に対する利点があってもよい。本システムは、サンプル配列で後に使用される薄膜または基板上の基準または位置合わせマークを生成するために用いることができる。パターン化されたビームレットは、後続のリソグラフィ工程(その後、リソグラフィで規定される基準と置き換わられてもよい)の少なくとも1つ(第1)におけるパネル配列において用いることができる、十分に明らかにされた特徴を生成するために用いることができる。完全なる溶融および関連する横方向成長の有益性は、垂直の長粒境界が、暗視顕微鏡検査を用いてはっきり見ることができる、それらに関連した突部を有することである。さらに、非結晶から結晶質への相変化は、光学的性質における変化への結果として、顕微鏡ではっきり見ることができる。
【0078】
サンプル配列のためのシステムは、基準を検出し、その基準に対して既知の位置にサンプルを整列するための自動化システムを含むことができる。例えば、システムは、動きを制御し、且つ薄膜上の基準を検出することができる光検出器に応答するためのコンピュータ装置を含むことができる。光検出器は、例えばCCDカメラになりえる。
【0079】
図9は、SACプロセスによって処理された薄膜910を表す。薄膜910の画素920は、図9において水平に位置決めされる(一方で、図7および図8においては垂直に位置決めされている)。図9において、複数のツーショット領域930、940、950および960が、画素920のTFT970上でオーバーラップする。
【0080】
先に論じられたSLS方法と比較して、非周期パルスSACのSLSにおけるビーム幅は、多くの場合、より小さく(それは、結晶化されるための領域の幅と同じくらい広いことのみが必要である)てもよい。よって、ビーム長を増加させるために用いることができる余剰エネルギーは、有効である。より長いビーム長は、ビームパルスのスキャンの間に同時に薄膜の複数の領域を結晶化させるように、大径投射レンズを用いておよび/または個別の光学パスにビームを分割することにより、実現することができる。単一スキャンで処理された領域の長さを増加させることは、薄膜を十分に結晶化させるのに必要とされるスキャン数を低減することができる。スキャン速度は、実際には、ステージのための緩和設計メトリクスのさらなる有益性を追加する従来のSLS向け未満であってもよい。緩和設計メトリクスは、時間領域におけるパルスの密な間隔およびステージのぶれおよびビーム歪みのような歪みに対する増大された頑強性の結果として、非周期パルスSLSの共通の有益性である。
【0081】
非周期パルスSLSを用いて、SACの利点を最大化することは、画素TFTまたは回路のレイアウトを最適化するだけでなく、パターン化されたビームの寸法を最適化することも必要とされる。画素TFTおよび回路設計における改善は、例えば、結晶化される必要のある領域の幅を低減するための用いることができる。図9に示されるように、最適化は、90度ずつサブ画素配置を回転させて、画素TFTおよび回路のレイアウトを再配置することを含んでもよい。例えば、660のμm画素のピッチを有する55インチのディスプレイにおいて、電子素子の幅は、せいぜい約300μmであるかもしれない。したがって、薄膜の660μmのうちの300μmのみが結晶化を必要とされる。さらに、次のグループ化されたTFT/回路領域へのより大きな領域をスキップすることにより追随される全域を結晶化させるためにビームの単一ペアを用いることができるように、近隣の列において結晶化させられるための2つの領域は、互いに密接に配置されてもよい。より単純な画素回路(多くの場合単なる単一のTFT)を有する液晶ディスプレイにとって、結晶化される領域は、狭くなり、広径のレンズまたは多くの投射レンズにわたるビーム幅のさらなる低減、および結果として生ずるビーム長の引伸は、それほど魅力的でなくなる。
【0082】
したがって、SACは、ある関心領域のみを選択的に結晶化させ、且つ中間的な薄膜の領域をスキップすることにより、結晶化プロセスにおける増産を引き起こす。同様に、選択された領域上で照射するための能力は、完全な領域結晶化のための前記のようなビームレットの精密なスキャン対スキャンオーバーラップを果たすための必要性を回避するために、さらに用いることができ、したがって、端工学の利用をさらに含むオーバーラップされたビーム端のための必要性を不要にする。ビームレットの長さは、結晶化されるべきTFTまたは回路に対応する寸法に、精密に一致させることができる。したがって、ビームレットの長さは、整数のTFTまたは回路がその中に適合するように選択することができる。近隣の画素TFTまたは回路の間に、結晶化させられる必要のない、いくつかの残りの空間があるだろう。この空間は、例えばアクティブマトリクスのノードを接続する長電極のために提供される。
【0083】
さらに、ビームレットは、画素TFTまたは回路の寸法に対応する長さを各々有するビームレットの組を生成するために、それらの長さに沿って細分されることができる。図10Aは、このようなSAC結晶化スキームで使用されるマスク1010を開示する。オーバーラップは、ビームレットの末端部で必要とされない。よって、図10Aにおけるマスクには矩形の端がある。このマスク1010は、各々がTFT1040を有する画素1030を離間して配置した図10Bに示される薄膜1020により用いることができる。ここで、そのマスクにおけるスリットのサイズは、スキャンに際してそれらの領域のみが結晶化されるように、TFT1040のサイズよりもわずかに大きめに選択される。
【0084】
TFTまたは回路が薄膜上に配置されるマスクにおいてスリットのみを有することによって、システムの光学上の熱負荷は、投影レンズに関して特に軽減することができる。図6に示されるように、投射光学素子195は、マスク170から下流である。したがって、マスクがより多くの光をマスク化していれば、投影レンズは、より少ない光を受信し、低減された過熱に遭遇するだろう。
【0085】
SACにおいて、ビームパルスは、狭くすることができる。また、第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップは、いくつかの実施形態において50%未満である。その一方で、次のパルスへの時間は、なお相当に長い。したがって、パルス間の時間は、それでもなお非常に短くてもよく、また、非周期スキャンSLSの利点が維持される。ツーショット結晶化領域がオーバーラップしない一方で、第1のパルスと第2のパルスとの間のオーバーラップが制限された、いくつかのSAC実施形態において、これらの領域のいずれか側面の羽根は、近隣のツーショット結晶化領域の羽根とオーバーラップしてもよい。
【実施例】
【0086】
前述のように、選択領域結晶化を用いた非周期パルスSLSは、高い処理能力を有することができる。600Hz(1ジュール/パルス)で各々放射し、2つの50mmの視野投射レンズを用いて5cm×0.3mmパルス寸法を2回生成する、2本のチューブを有する1.2kWのレーザを想定すると、Gen8パネルから660ミクロンの画素間隔を作るディスプレイは、その結果、22×250cm/(600Hz×660μm)+21の全体に対し各々1秒の(または約160秒の)ターンアラウンドタイムで、22回のスキャンにおいて処理されることができる。結果として生ずるスキャン速度は、その結果40cm/秒に近い。30秒の装着/取り外し(loading and unloading)期間で、これは、30日×24時間×3600秒×(l/(160+30)秒)、または約13.6kのパネル/月の処理能力をもたらすことができる。本装置のための85%の動作可能時間をさらに想定すると、これは11.6kパネル/月の処理能力をもたらすことができる。
【0087】
位相の異なる(すなわち、周期的な1200Hzのパルスシーケンスに組み合わせられた)2本のチューブから生成された1.2kWのレーザ、および5cmx0.6mmのパルス寸法(単一の50mmの視野投影レンズ)を用いた従来のSLSを実行すると、パルス間の50%のオーバーラップを達成するための適切なステージ速度は、36cm/秒であり、スキャン数は倍(すなわち44回)になる。よって、従来のSLSを用いたパネル当たり処理時間は、SAC非周期パルスSLSの上記の実施例のものよりも、2倍以上の処理時間である。
【0088】
本発明の実施例が示され記載されたが、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変更および修正がなされてもよいことは、当業者にとって容易に明白だろう。一例として、薄膜を静止させたままビームを移動させる実施形態と同様に、レーザビームを静止させたままレーザ源に対して薄膜を移動させることにより、選択方向に薄膜を進行させることが達成されうることは、十分に理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜を処理する方法であって、
選択方向に薄膜を進行させている間に、
第1のレーザパルスと第2のレーザパルスとで前記薄膜の第1の領域を照射することであって、各々のレーザパルスは、形成されたビームを提供し、冷却に際して横方向からそれぞれ結晶化する第1の溶融区域および第2の溶融区域を形成するために、その厚さの全体にわたる前記薄膜を溶融させるのに十分である流束量を有し、前記第2の溶融区域は、前記第1の溶融区域から形成された1つ以上の横方向からの成長結晶の伸長である1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却する際に結晶化することと、
第3のレーザパルスおよび第4のレーザパルスにより前記薄膜の第2の領域を照射することであって、各々のパルスは、形成されたビームを提供し、冷却に際して横方向からそれぞれ結晶化する第3の溶融区域および第4の溶融区域を形成するために、その厚さの全体にわたる薄膜を溶融させるのに十分である流束量を有し、前記第4の溶融区域は、前記第3の溶融区域から形成された1つ以上の横方向からの成長結晶の伸長である1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却する際に結晶化することと
を備え、
前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間の時間間隔は、前記第1のレーザパルスと前記第3のレーザパルスとの間の半分の時間間隔よりも短いことを特徴とする方法。
【請求項2】
第1のレーザ源は、前記第1のレーザパルスと前記第3のレーザパルスとを生成し、第2のレーザ源は、前記第2のレーザパルスと前記第4のレーザパルスとを生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレーザ源および前記第2のレーザ源は、一定の繰り返しレートでパルスを発することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記薄膜は、選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のレーザパルスおよび前記第2のレーザパルスの各々から提供される前記ビームが前記薄膜の前記第1の領域でオーバーラップし、前記第3のレーザパルスおよび前記第4のレーザパルスの各々から提供されるビームが前記薄膜の前記第2の領域でオーバーラップし、前記薄膜の前記第1の領域および前記第2の領域の各々における前記レーザパルス間のオーバーラップは、90%を超えるオーバーラップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記オーバーラップは、95%を超えるオーバーラップを備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オーバーラップは、99%を超えるオーバーラップを備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記形成されたビームは、マスクを通じて前記レーザパルスが方向づけられることにより取得されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記形成されたビームは、複数のビームレットを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のビームレットは、前記薄膜の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ビームレットは、ビームレットが人工的に作り出された端を備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記形成されたビームは、ドットパターンを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の領域は、前記第1の領域をオーバーラップすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の領域および前記第2の領域は、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記薄膜の前記第1の領域および前記第2の領域の各々において電子装置を製造することを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の領域および前記第2の領域のサイズは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレーザ源および前記第2のレーザ源は、2つの異なるレーザであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のレーザ源および前記第2のレーザ源は、1つのレーザシステム内の2つの個別のレーザ共振器であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のパルスと前記第3のパルスとの間に第4のパルスを備え、前記第4のパルスおよび前記第2のパルスの間の時間間隔が前記第4のパルスと前記第3のパルス間との間の時間間隔よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1の方法により処理されたことを特徴とする薄膜。
【請求項22】
請求項1の方法により処理された薄膜を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項23】
前記薄膜の前記第1の領域および前記第2の領域の各々において薄膜トランジスタを備えることを特徴とする請求項22に記載の電子装置。
【請求項24】
薄膜を処理する方法であって、
選択方向に薄膜を進行させている間に、
複数の第1のレーザパルスによって提供される複数の第1のビームによって前記薄膜にわたって複数の第1の領域を照射することと、
複数の第2のレーザパルスによって提供される複数の第2のビームによって前記薄膜にわたって複数の第2の領域を照射することと
を備え、
前記第1のビームおよび前記第2のビームの各ビームは、照射領域におけるその厚さの全体にわたって薄膜を溶融させるのに十分な流束量を有し、前記溶融された照射領域は、1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却の際に続いて横方向から結晶化し、
前記第1の領域および前記第2の領域の各々の組の間の照射におけるオーバーラップは、第1の組の前記第1の領域および前記第2の領域と後続の組の前記第1の領域および前記第2の領域との間の照射におけるオーバーラップよりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記第1の組の前記第2の溶融された照射領域は、前記第1の組の前記第1の溶融された照射領域から形成された前記1つ以上の横方向からの成長結晶の伸長である1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却の際に結晶化することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
プライマリレーザ源は、前記複数の第1のレーザパルスを生成し、セカンダリレーザ源は、前記複数の第2のレーザパルスを生成することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
一組の前記第1の領域および前記第2の領域における前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、90%を超えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
一組の前記第1の領域および前記第2の領域における前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、95%を超えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
一組の前記第1の領域および前記第2の領域における前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、99%を超えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の組の前記第2の領域と前記最も近い第2の組の前記第1の領域との間のオーバーラップは、10%未満であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の組の前記第2の領域と前記最も近い第2の組の前記第1の領域との間のオーバーラップは、1%未満であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の組の前記第2の領域と前記第2の組の前記第1の領域との間のオーバーラップは、0%であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の組の前記第2の領域と前記第2の組の前記第1の領域とは、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記プライマリレーザ源および前記セカンダリレーザ源は、一定の繰り返しレートでパルスを発することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記薄膜は、選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ビームは、複数のビームレットを備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記複数のビームレットは、前記薄膜の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の領域および前記第2の領域のサイズは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するように選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項40】
非周期レーザパルスを用いた、薄膜を処理するためのシステムであって、
レーザパルスを生成するためのプライマリレーザ源およびセカンダリレーザ源と、
前記レーザパルスから形づくられたビームレットを生成するための手段と、
基板上の薄膜を保護するためのワーク表面と、
ビームパルスに対して前記薄膜を移動し、それによって、前記薄膜の表面にレーザビームパルスの伝搬方向を生成するためのステージと、
前記プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第1の組のビームレットによって照射される、移動可能な前記ステージの中に装着された前記薄膜の第1の領域と、前記セカンダリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第2の組のビームレットによって照射される前記薄膜の第2の領域と、前記プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第3の組のビームレットによって照射される前記薄膜の第3の領域とを提供するためにレーザパルスを同期させたステージのための命令を処理するためのコンピュータと
を備え、
前記処理命令は、前記第1の領域および前記第2の領域ならびに前記第3の領域を照射するために、前記ビームパルスに対して前記薄膜を伝搬方向に移動するために提供され、
前記第1の領域と前記第2の領域との間の照射のオーバーラップは、前記第2の領域と前記第3の領域との間の照射のオーバーラップよりも大きいことを特徴とするシステム。
【請求項41】
前記手段は、マスクを備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記手段は、光学制御システムを備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記レーザビームパルスを達成するための投影レンズを備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項44】
前記レーザビームパルスを生成するための複数の投射レンズを備えることを特徴とする請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
各々の前記複数の投射レンズは、前記薄膜の部分を処理するために、レーザビームを生成することを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、90%を超えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項47】
前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、95%を超えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項48】
前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、99%を超えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項49】
前記第2の領域と前記第3の領域との間のオーバーラップは、10%未満であることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項50】
前記第2の領域と前記第3の領域との間のオーバーラップは、1%未満であることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項51】
前記第2の領域と前記第3の領域との間のオーバーラップは、0であることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項52】
前記第2の領域および第3の領域は、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項53】
前記プライマリレーザ源および前記セカンダリレーザ源は、一定の繰り返しレートでパルスを発することを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項54】
前記薄膜は、前記レーザ源に対して選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項55】
内部に備えられる少なくとも2つの基準に関して前記薄膜を位置決めするための手段を備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項56】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項57】
前記1つ以上の形づくられたビームレットは、前記基板の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の領域と前記第2の領域との間の照射における前記オーバーラップから形成された領域のサイズは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するために選択されることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項59】
非周期レーザパルスを用いた、薄膜を処理する方法であって、
選択方向に薄膜を進行させている間に、
第1回目において、プライマリレーザ源からの第1のレーザパルスから第1の形づくられたビームレットを生成し、第1の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第1の溶融区域を形成するために前記第1の形づくられたビームレットで前記薄膜の第1の領域を照射することと、
第2回目において、セカンダリレーザ源からの第2のレーザパルスから第2の形づくられたビームレットを生成し、第2の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第2の溶融区域を形成するために前記第2の形づくられたビームレットで前記薄膜の第1の領域を照射することと、
第3回目において、前記プライマリレーザ源からの第3のレーザパルスから第3の形づくられたビームレットを生成し、第3の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第3の溶融区域を形成するために前記第3の形づくられたビームレットで前記薄膜の第2の領域を照射することと
を備え、
前記第1回目と前記第3回目との間の時間間隔は、前記第1回目と前記第2回目との間の時間間隔の2倍以上であること特徴とする方法。
【請求項60】
前記第1の形づくられたビームレットおよび前記第2の形づくられたビームレットの各々から提供される前記溶融区域は、横方向から延伸された結晶成長を提供するように位置決めされることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第1のビームレットと前記第2のビームレットと前記第3のビームレットとの各ビームレットは、照射された薄膜領域のその厚さの全体にわたって前記薄膜を溶融させるのに十分な流束量を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記薄膜は、選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記第1のレーザパルスおよび前記第2のレーザパルスの各々から提供された前記ビームレットは、前記薄膜の前記第1の領域においてオーバーラップし、前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間のオーバーラップは、90%を超えることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間のオーバーラップは、95%を超えることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間のオーバーラップは、99%を超えることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項67】
各形づくられたビームレットは、マスクを通じて前記レーザパルスを方向づけることにより取得されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項68】
各形づくられたビームレットは、複数のビームレットを備えることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項69】
前記形づくられたビームレットは、ドットパターンのマスクから形成されたビームレットを備えることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項70】
前記第1および前記第2領域は、互いに隣接することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の領域および前記第2の領域は、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の形づくられたビームレット、前記第2の形づくられたビームレットおよび前記第1の形づくられたビームレットは、前記薄膜の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の領域および前記第2の領域のサイズは、マトリックス型電子装置に属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するように選択されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項1】
薄膜を処理する方法であって、
選択方向に薄膜を進行させている間に、
第1のレーザパルスと第2のレーザパルスとで前記薄膜の第1の領域を照射することであって、各々のレーザパルスは、形成されたビームを提供し、冷却に際して横方向からそれぞれ結晶化する第1の溶融区域および第2の溶融区域を形成するために、その厚さの全体にわたる前記薄膜を溶融させるのに十分である流束量を有し、前記第2の溶融区域は、前記第1の溶融区域から形成された1つ以上の横方向からの成長結晶の伸長である1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却する際に結晶化することと、
第3のレーザパルスおよび第4のレーザパルスにより前記薄膜の第2の領域を照射することであって、各々のパルスは、形成されたビームを提供し、冷却に際して横方向からそれぞれ結晶化する第3の溶融区域および第4の溶融区域を形成するために、その厚さの全体にわたる薄膜を溶融させるのに十分である流束量を有し、前記第4の溶融区域は、前記第3の溶融区域から形成された1つ以上の横方向からの成長結晶の伸長である1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却する際に結晶化することと
を備え、
前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間の時間間隔は、前記第1のレーザパルスと前記第3のレーザパルスとの間の半分の時間間隔よりも短いことを特徴とする方法。
【請求項2】
第1のレーザ源は、前記第1のレーザパルスと前記第3のレーザパルスとを生成し、第2のレーザ源は、前記第2のレーザパルスと前記第4のレーザパルスとを生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレーザ源および前記第2のレーザ源は、一定の繰り返しレートでパルスを発することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記薄膜は、選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のレーザパルスおよび前記第2のレーザパルスの各々から提供される前記ビームが前記薄膜の前記第1の領域でオーバーラップし、前記第3のレーザパルスおよび前記第4のレーザパルスの各々から提供されるビームが前記薄膜の前記第2の領域でオーバーラップし、前記薄膜の前記第1の領域および前記第2の領域の各々における前記レーザパルス間のオーバーラップは、90%を超えるオーバーラップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記オーバーラップは、95%を超えるオーバーラップを備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オーバーラップは、99%を超えるオーバーラップを備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記形成されたビームは、マスクを通じて前記レーザパルスが方向づけられることにより取得されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記形成されたビームは、複数のビームレットを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のビームレットは、前記薄膜の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ビームレットは、ビームレットが人工的に作り出された端を備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記形成されたビームは、ドットパターンを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の領域は、前記第1の領域をオーバーラップすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の領域および前記第2の領域は、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記薄膜の前記第1の領域および前記第2の領域の各々において電子装置を製造することを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の領域および前記第2の領域のサイズは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレーザ源および前記第2のレーザ源は、2つの異なるレーザであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のレーザ源および前記第2のレーザ源は、1つのレーザシステム内の2つの個別のレーザ共振器であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のパルスと前記第3のパルスとの間に第4のパルスを備え、前記第4のパルスおよび前記第2のパルスの間の時間間隔が前記第4のパルスと前記第3のパルス間との間の時間間隔よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1の方法により処理されたことを特徴とする薄膜。
【請求項22】
請求項1の方法により処理された薄膜を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項23】
前記薄膜の前記第1の領域および前記第2の領域の各々において薄膜トランジスタを備えることを特徴とする請求項22に記載の電子装置。
【請求項24】
薄膜を処理する方法であって、
選択方向に薄膜を進行させている間に、
複数の第1のレーザパルスによって提供される複数の第1のビームによって前記薄膜にわたって複数の第1の領域を照射することと、
複数の第2のレーザパルスによって提供される複数の第2のビームによって前記薄膜にわたって複数の第2の領域を照射することと
を備え、
前記第1のビームおよび前記第2のビームの各ビームは、照射領域におけるその厚さの全体にわたって薄膜を溶融させるのに十分な流束量を有し、前記溶融された照射領域は、1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却の際に続いて横方向から結晶化し、
前記第1の領域および前記第2の領域の各々の組の間の照射におけるオーバーラップは、第1の組の前記第1の領域および前記第2の領域と後続の組の前記第1の領域および前記第2の領域との間の照射におけるオーバーラップよりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記第1の組の前記第2の溶融された照射領域は、前記第1の組の前記第1の溶融された照射領域から形成された前記1つ以上の横方向からの成長結晶の伸長である1つ以上の横方向からの成長結晶を形成するために冷却の際に結晶化することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
プライマリレーザ源は、前記複数の第1のレーザパルスを生成し、セカンダリレーザ源は、前記複数の第2のレーザパルスを生成することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
一組の前記第1の領域および前記第2の領域における前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、90%を超えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
一組の前記第1の領域および前記第2の領域における前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、95%を超えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
一組の前記第1の領域および前記第2の領域における前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、99%を超えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の組の前記第2の領域と前記最も近い第2の組の前記第1の領域との間のオーバーラップは、10%未満であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の組の前記第2の領域と前記最も近い第2の組の前記第1の領域との間のオーバーラップは、1%未満であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の組の前記第2の領域と前記第2の組の前記第1の領域との間のオーバーラップは、0%であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の組の前記第2の領域と前記第2の組の前記第1の領域とは、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記プライマリレーザ源および前記セカンダリレーザ源は、一定の繰り返しレートでパルスを発することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記薄膜は、選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ビームは、複数のビームレットを備えることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記複数のビームレットは、前記薄膜の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の領域および前記第2の領域のサイズは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するように選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項40】
非周期レーザパルスを用いた、薄膜を処理するためのシステムであって、
レーザパルスを生成するためのプライマリレーザ源およびセカンダリレーザ源と、
前記レーザパルスから形づくられたビームレットを生成するための手段と、
基板上の薄膜を保護するためのワーク表面と、
ビームパルスに対して前記薄膜を移動し、それによって、前記薄膜の表面にレーザビームパルスの伝搬方向を生成するためのステージと、
前記プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第1の組のビームレットによって照射される、移動可能な前記ステージの中に装着された前記薄膜の第1の領域と、前記セカンダリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第2の組のビームレットによって照射される前記薄膜の第2の領域と、前記プライマリ源からのレーザパルスによって提供される1つ以上の形づくられた第3の組のビームレットによって照射される前記薄膜の第3の領域とを提供するためにレーザパルスを同期させたステージのための命令を処理するためのコンピュータと
を備え、
前記処理命令は、前記第1の領域および前記第2の領域ならびに前記第3の領域を照射するために、前記ビームパルスに対して前記薄膜を伝搬方向に移動するために提供され、
前記第1の領域と前記第2の領域との間の照射のオーバーラップは、前記第2の領域と前記第3の領域との間の照射のオーバーラップよりも大きいことを特徴とするシステム。
【請求項41】
前記手段は、マスクを備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記手段は、光学制御システムを備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記レーザビームパルスを達成するための投影レンズを備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項44】
前記レーザビームパルスを生成するための複数の投射レンズを備えることを特徴とする請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
各々の前記複数の投射レンズは、前記薄膜の部分を処理するために、レーザビームを生成することを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、90%を超えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項47】
前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、95%を超えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項48】
前記第1の領域と前記第2の領域との間のオーバーラップは、99%を超えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項49】
前記第2の領域と前記第3の領域との間のオーバーラップは、10%未満であることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項50】
前記第2の領域と前記第3の領域との間のオーバーラップは、1%未満であることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項51】
前記第2の領域と前記第3の領域との間のオーバーラップは、0であることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項52】
前記第2の領域および第3の領域は、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項53】
前記プライマリレーザ源および前記セカンダリレーザ源は、一定の繰り返しレートでパルスを発することを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項54】
前記薄膜は、前記レーザ源に対して選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項55】
内部に備えられる少なくとも2つの基準に関して前記薄膜を位置決めするための手段を備えることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項56】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項57】
前記1つ以上の形づくられたビームレットは、前記基板の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の領域と前記第2の領域との間の照射における前記オーバーラップから形成された領域のサイズは、マトリックス型電子装置のノードに属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するために選択されることを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項59】
非周期レーザパルスを用いた、薄膜を処理する方法であって、
選択方向に薄膜を進行させている間に、
第1回目において、プライマリレーザ源からの第1のレーザパルスから第1の形づくられたビームレットを生成し、第1の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第1の溶融区域を形成するために前記第1の形づくられたビームレットで前記薄膜の第1の領域を照射することと、
第2回目において、セカンダリレーザ源からの第2のレーザパルスから第2の形づくられたビームレットを生成し、第2の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第2の溶融区域を形成するために前記第2の形づくられたビームレットで前記薄膜の第1の領域を照射することと、
第3回目において、前記プライマリレーザ源からの第3のレーザパルスから第3の形づくられたビームレットを生成し、第3の組の結晶化領域を形成するために冷却の際に横方向から結晶化する第3の溶融区域を形成するために前記第3の形づくられたビームレットで前記薄膜の第2の領域を照射することと
を備え、
前記第1回目と前記第3回目との間の時間間隔は、前記第1回目と前記第2回目との間の時間間隔の2倍以上であること特徴とする方法。
【請求項60】
前記第1の形づくられたビームレットおよび前記第2の形づくられたビームレットの各々から提供される前記溶融区域は、横方向から延伸された結晶成長を提供するように位置決めされることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第1のビームレットと前記第2のビームレットと前記第3のビームレットとの各ビームレットは、照射された薄膜領域のその厚さの全体にわたって前記薄膜を溶融させるのに十分な流束量を有することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記薄膜は、選択方向に連続的に進行させることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記薄膜の端は、前記選択方向に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記第1のレーザパルスおよび前記第2のレーザパルスの各々から提供された前記ビームレットは、前記薄膜の前記第1の領域においてオーバーラップし、前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間のオーバーラップは、90%を超えることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間のオーバーラップは、95%を超えることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のレーザパルスと前記第2のレーザパルスとの間のオーバーラップは、99%を超えることを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項67】
各形づくられたビームレットは、マスクを通じて前記レーザパルスを方向づけることにより取得されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項68】
各形づくられたビームレットは、複数のビームレットを備えることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項69】
前記形づくられたビームレットは、ドットパターンのマスクから形成されたビームレットを備えることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項70】
前記第1および前記第2領域は、互いに隣接することを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項71】
前記第1の領域および前記第2の領域は、互いに離間して配置され、前記薄膜の未照射の領域によって分離されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の形づくられたビームレット、前記第2の形づくられたビームレットおよび前記第1の形づくられたビームレットは、前記薄膜の端に対して傾いて位置決めされることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の領域および前記第2の領域のサイズは、マトリックス型電子装置に属する1つの回路を含むのに十分に大きな結晶化領域を形成するように選択されることを特徴とする請求項59に記載の方法。
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C−4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図1】
【図6】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C−4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図1】
【図6】
【公表番号】特表2013−512566(P2013−512566A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541069(P2012−541069)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/033565
【国際公開番号】WO2011/065992
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(506118526)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/033565
【国際公開番号】WO2011/065992
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(506118526)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (25)
【Fターム(参考)】
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