説明

非接触給電装置及び自律移動装置用給電システム

【課題】非接触給電装置において、電動車の停止位置がずれても給電効率を損なうことなく高効率の給電を可能とする。
【解決手段】非接触給電装置1は、自律移動装置2(電動車)の有する二次コイル21に電磁結合する一次コイル11と、二次コイル21側の受電状態を取得する通信手段12と、一次コイル11側の給電状態を取得する給電状態取得手段13と、給電状態取得手段13によって得られた一次コイル11側の給電状態及び通信手段12によって得られた二次コイル21側の受電状態から給電効率を取得する給電効率取得手段14と、給電効率取得手段14によって得られた給電効率を最大とするように一次コイル11の位置を移動させる位置決め手段15と、給電効率が所定の値以下のときに、通信手段12を介して二次コイル21側にリトライ信号を送信するリトライ指示手段16と、非接触給電装置1の各手段を制御する制御手段10と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体にコイル間の電磁結合により給電を行う非接触給電装置及び自律移動装置用給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動車の二次コイルと給電装置側の一次コイルとを互いに電磁結合可能な状態に配設し、これらのコイルを介して給電装置側から電動車側に、接触を前提とすることなく給電することが行われている。このような非接触給電装置において、一次コイルと二次コイルを互いに異なる方向へ直動又は回転させることにより、一次コイルと二次コイルの位置合わせを行い、給電効率低下の抑止を図る装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−9512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような非接触給電装置においては、一次コイルと二次コイルの位置ずれを補正する機構を備えているものの、位置ずれ補正に対して給電効率をフイードバックするものではないので、必ずしも最良の給電状態が得られるとは限らない。
【0004】
本発明は、上記課題を解消するものであって、電動車の停止位置がずれても給電効率を損なうことなく高効率の給電を可能とする非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、移動体側の二次コイルに電磁結合する一次コイルを固定側に有し、前記一次コイル側から二次コイル側に給電を行う非接触給電装置であって、二次コイル側の受電状態を取得する通信手段と、一次コイル側の給電状態を取得する給電状態取得手段と、前記給電状態取得手段によって得られた一次コイル側の給電状態及び前記通信手段によって得られた二次コイル側の受電状態から給電効率を取得する給電効率取得手段と、前記給電効率取得手段によって得られた給電効率を最大とするように一次コイルの位置を移動させる位置決め手段と、を備えたものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の非接触給電装置において、前記通信手段は、一次コイルと二次コイルとの電磁結合を利用して通信するものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の非接触給電装置において、前記位置決め手段は、前記給電効率が所定変化幅よりも変化したときに、その給電効率が最大になるように再度一次コイルの位置を移動させるものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の非接触給電装置において、前記位置決め手段を動作させて得た最大の給電効率が所定の値以下のときに、前記通信手段を介して移動体側にリトライ信号を送信するリトライ指示手段をさらに備えたものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の非接触給電装置と、前記非接触給電装置の周辺に設定された給電位置まで自律的に走行し停止して当該非接触給電装置から電力を受電してその電力により自律的に移動する移動体である自律移動装置と、を備えた自律移動装置用給電システムにおいて、前記自律移動装置は、走行するための走行手段と、前記走行手段を制御する制御手段と、当該自律移動装置に搭載された機器を駆動させる電力を蓄えるバッテリと、前記非接触給電装置の一次コイルに電磁結合して前記バッテリに蓄える電力を当該一次コイル側から受電する二次コイルと、前記非接触給電装置と通信を行う通信手段と、を備え、前記通信手段が前記非接触給電装置から前記リトライ信号を受信したときに、前記制御手段は前記走行手段を制御して前記給電位置への接近と停止をやり直す位置決め動作を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、二次コイルに対する一次コイルの位置ずれ補正に際し、給電効率取得手段によって得られた給電効率を最大とするように一次コイルの位置を移動させるので、二次コイルを備えた移動体、例えば電動車の停止位置がずれても、給電効率を損なうことなく高効率の給電を行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、もともと電磁結合するように備えたコイルの構成を用いて通信を行うので、別個の無線アンテナ等を省略でき、安価に通信手段を構成できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、給電中に外乱によりコイル間の位置ずれが生じた場合においても、給電効率が最大となるように補正して給電できる。
【0013】
請求項4の発明によれば、非接触給電装置側で位置決め調整可能な範囲を超えている場合に、移動体側によって位置決め調整可能な状態にすることができるので、高効率の給電を行うことができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る非接触給電装置について、図面を参照して説明する。図1は、非接触給電装置1と、この給電装置によって給電される自律移動装置2のブロック構成を示す。固定側の非接触給電装置1は、移動体側である自律移動装置2に対して、両装置が有する一次コイル11と二次コイル21間の電磁結合によって接触を前提とすることなく給電を行う装置である。自律移動装置2は、電気を動力源として自律的に移動する電動車である。ここで非接触とは、機械的に電気接続した電流路を形成しない、という意味である。なお、図1における各ブロック間を結ぶ線と矢印は、電力や制御信号の主な流れのみを示している。
【0016】
非接触給電装置1は、所定方向から接近する自律移動装置2の有する二次コイル21に電磁結合する一次コイル11と、二次コイル21側の受電状態を取得する通信手段12と、一次コイル11側の給電状態を取得する給電状態取得手段13と、給電状態取得手段13によって得られた一次コイル11側の給電状態及び通信手段12によって得られた二次コイル21側の受電状態から給電効率を取得する給電効率取得手段14と、給電効率取得手段14によって得られた給電効率を最大とするように一次コイル11の位置を移動させる位置決め手段15と、を備えている。
【0017】
さらに、非接触給電装置1は、位置決め手段15を動作させて得た最大の給電効率が所定の値以下のときに、通信手段12を介して二次コイル21側にリトライ信号を送信するリトライ指示手段16と、一次コイル11に電力を供給する電源回路11aと、給電効率取得手段14からの情報に基づいて電源回路11a、位置決め手段15、及びリトライ指示手段16を制御する制御手段10と、を備えている。また、給電状態取得手段13は、電流計13aと電圧計13bを有し、これらにより一次コイル11に投入される電力量、すなわち給電状態を把握する。位置決め手段15は、位置決め機構を駆動するためのモータMを備えている。
【0018】
一次コイル11は、自律移動装置2側に設置された二次コイル21を通じて自律移動装置2側に電力を伝送し、自律移動装置2の電力源となるバッテリ21bを充電する。通信手段12は、二次コイル21の受電状態の情報を受信すると共に、自律移動装置2に対して位置決めリトライなどの指示信号を送信することができる。位置決め手段15は、一方向に直動し、一次コイル11と二次コイル21との位置ずれを補正することができる。
【0019】
自律移動装置2は、一次コイル11に電磁結合する二次コイル21と、二次コイル21側の受電状態を取得する受電状態取得手段23と、受電状態取得手段23によって得られた二次コイル21側の受電状態を非接触給電装置1に送信する通信手段22と、二次コイル21から電力を受け取ると共に、受電した電力をバッテリ21bに充電する電源回路21aと、通信手段22及び受電状態取得手段23を制御する制御手段20と、を備えている。また、受電状態取得手段23は、電流計23aと電圧計23bを有し、これらにより二次コイル21が受け取る電力量、すなわち受電状態を把握する。なお、制御手段20は、例えば、制御用コンピュータやその周辺機器によって構成される。
【0020】
また、自律移動装置2は、走行するための走行手段50を備えており、走行手段50は走行動作を行うための電力をバッテリ21bから供給されて駆動されると共に制御手段20によって制御される。自律移動装置2は、非接触給電装置1の周辺に設定された給電位置まで走行手段50によって自律的に走行して停止し、非接触給電装置1から電力を受電し、その電力により自律的に移動する。バッテリ21bは、自律移動装置2に搭載された各機器を駆動させるため、受電した電力を蓄える。この電力によって駆動される各機器は、上述の走行手段50の他に、制御用コンピュータ等であってもよい。
【0021】
次に、図2(a)(b)、図3(a)(b)を参照して、非接触給電装置1と自律移動装置2の具体的な構造を説明する。非接触給電装置1は、図2(a)に示すように、外形が略四角形の筐体3を有し、筐体3の内部に図1に示した上述の給電効率取得手段14等を内蔵し、図示しない商用電源、又はその他の電源に接続されて自律移動装置2の走行面上に設置されている固定側の装置である。筐体3の上部には、自律移動装置2と通信を行う通信手段12の一部(無線アンテナ)が設けられている。
【0022】
非接触給電装置1の前方(図の手前)の下部には、開口31が設けられており、その開口31から前方方向(矢印x方向)に進退自在に駆動される平板状の一次コイル保持体4が設けられている。一次コイル保持体4には一次コイル11が内蔵されて固定されている。一次コイル保持体4の上面41と開口31の上縁部とは、摺動可能に接触し、又は適切な隙間を有して配置されており、その上縁部は、一次コイル保持体4の上面41に異物が乗ってしまった場合に、開口31の上縁部が異物除去手段として機能する。開口31の上縁部に異物除去用のブラシやゴム片を配置することもできる。なお、図2(a)は、一次コイル保持体4が筐体3から突出した状態を示し、図2(b)は一次コイル保持体4が筐体3内に収納された状態を示す。
【0023】
自律移動装置2は、図3(a)に示すように、装置本体5の下部に左右2つの駆動輪51(図では重なっていて一方しか見えない)と前後2つの補助輪52を有し、装置本体5に内蔵したバッテリ21bと駆動モータ(不図示)によって駆動輪51を駆動して自律的に移動する。上述の走行手段50は、これらの駆動輪51、補助輪52、駆動モータ等によって構成されている。自律移動装置2は、図1に示した上述の二次コイル21を装置本体5の下部に内蔵すると共に、受電状態取得手段23等(不図示)を装置本体5に内蔵している。また、装置本体5の上部には、非接触給電装置1との間で通信を行う通信手段22の一部(無線アンテナ)、及び自律移動装置2が周辺通行人やユーザ等の外部に対して警告などの表示を行うディスプレイ53が設けられている。なお、図3(b)は、二次コイル21を内蔵した部分を拡大して示している。
【0024】
次に、図4(a)(b)、図5を参照して、一次コイル11と二次コイル21の位置決め構造について説明する。図4(a)は、自律移動装置2が、非接触給電装置1に対して矢印yの方向から接近して所定位置に停止した状態を示す。一次コイル11は、一次コイル保持体4に保持されて、非接触給電装置1の筐体3内部に収納されており、二次コイル21は、自律移動装置2の装置本体5の下部に保持されている。
【0025】
図4(b)は、一次コイル保持体4が、所定位置に停止した自律移動装置2に向かって非接触給電装置1側から矢印x方向に沿って移動し、一次コイル11が二次コイル21の下部に配置された状態を示す。一次コイル保持体4は、モータM(不図示)によって駆動される位置決め手段15によって矢印x方向(前後方向)に沿って直動する。
【0026】
図5は、一次コイル11と二次コイル21の間の電力伝送効率、すなわち給電効率が一次コイル11と二次コイル21のx方向の離間距離によって変化する様子を示す。停止した自律移動装置2に保持されて固定された二次コイル21に対して、一次コイル11のx方向における位置が変化すると、給電効率Eは、図5の曲線aによって示すように、山形の変化を示す。
【0027】
ここで、再び図1を参照して、給電効率Eの取得について説明する。上述の給電効率Eは、一次コイル11が二次コイル21に電磁結合して給電する際に、非接触給電装置1における給電状態と、自律移動装置2における受電状態とに基づいて、給電効率取得手段14によって求められる。非接触給電装置1側における給電状態は、一次コイル11における電流値と電圧値で表すことができ、これらの値は給電状態取得手段13の電流計13aと電圧計13bによって計測されて給電効率取得手段14に送られる。
【0028】
同様に、自律移動装置2側における受電状態は、二次コイル21における電流値と電圧値で表すことができる。これらの値は受電状態取得手段23の電流計23aと電圧計23bによって計測され、通信手段22を介して非接触給電装置1の給電効率取得手段14に送られる。給電効率取得手段14は、一次コイル11、二次コイル21双方の電圧値と電流値からそれぞれのコイルにおける電力を計算し、その電力の比から給電効率Eを算出する。
【0029】
非接触給電装置1の制御手段10は、給電効率取得手段14によって得られた給電効率Eを最大とするように位置決め手段15を制御して一次コイル11の位置を移動させる。すなわち、非接触給電装置1は、給電効率Eの情報をフイードバックして一次コイル11と二次コイル21の位置ずれを補正するので、自律移動装置2の停止位置がずれていても給電の効率を損なうことなく高効率の給電を行うことができる。
【0030】
次に、上述の図1乃至図5に加え、図6のフローチャートを参照して、非接触給電装置1による自律移動装置2への給電処理の一連の流れを説明する。自律移動装置2が、受電のために非接触給電装置1の前面の所定位置に停止すると、非接触給電装置1は、互いの通信手段12,22を介した通信により停止を検知して、以下の給電処理の動作を開始する。なお、自律移動装置2が停止したことを検知する停止検知センサを設けて、そのセンサの出力により給電処理の動作を開始するようにしてもよい。
【0031】
非接触給電装置1は、まず、位置決め手段15を駆動し(S1)、一次コイル保持体4を移動させ一次コイル11を二次コイル21に接近させると共に給電効率Eの変化を調べる(S2)。すなわち、非接触給電装置1は、この位置決めの段階において、給電効率Eを求めるための給電動作を行う。位置決めの段階では、自律移動装置2はバッテリ21bへの充電は行わない。一次コイル11が二次コイル21に接近して、コイル間の相対距離が近づくと、図5に示した特性により、給電効率Eが増加傾向となり、給電効率Eがピークに近づくと給電効率Eの増加率は小さくなり、ピークを超えたところで、給電効率Eは減少傾向となる。この給電効率Eが増加傾向から減少傾向に転じたら(S2でYES)、位置決め手段15による一次コイル保持体4の移動を停止する(S3)。
【0032】
上述の一次コイル11の停止位置において、給電効率Eは一次コイル11の直動方向におけるピーク値となるが、自律移動装置2の位置が何らかの原因で一次コイル11の直動方向に直交する方向にずれていると、この停止位置は、一次コイル11と二次コイル21の最良の位置ではないことになる。このような状況を回避して最良の位置にするため、給電効率Eの大きさが所定値以上かどうかを調べる。もし、給電効率Eが所定値以上でなければ(S4でNO)、非接触給電装置1の制御手段10は、リトライ指示手段16、及び通信手段12を介して自律移動装置2にリトライ信号を発し(S10)、位置決め手段15を駆動して一次コイル保持体4、従って一次コイル11を筐体3の内部に収納する。一方、自律移動装置2の通信手段22が非接触給電装置1からリトライ信号を受信すると、自律移動装置2の制御手段20は、あらためて位置決め動作を行うため、走行手段50を制御して装置本体5を給電位置から一旦離脱させると共に、再度、給電位置への接近と停止をやり直す。
【0033】
給電効率Eが所定値以上の場合(S4でYES)、自律移動装置2は、一次コイル11から供給される電力を二次コイル21、電源回路21aを介してバッテリ21bに充電する。この充電の間においても、非接触給電装置1の制御手段10は、給電効率Eの変動を監視しており、その変動が所定の変化幅よりも変化した場合(S6でYES)、給電中に外乱によりコイル間の位置がずれるなどの何らかの異常が発生したものとして、位置決め手段15を駆動して一次コイル11を筐体3の内部に収納し(S12)、制御をステップS1に戻す。外乱等によるコイルの位置ずれは、ステップS1〜S4,及びステップS10,S11によって解消されることになる。
【0034】
給電効率Eの変化が所定変化幅以上ではない場合(S6でNO)、充電完了を監視しつつ給電を続行する。充電完了は、自律移動装置2からの受電状態の情報に基づいて判断することができる。充電が終了すると(S7でYES)、非接触給電装置1は給電を停止し(S8)、一次コイル11を筐体3の内部に収納し(S9)、一連の給電処理動作を終了する。上述の各ステップにおける繰り返しは、非接触給電装置1における所定の制御周期に従って行われる。
【0035】
上述のように、非接触給電装置1は、バッテリ21bに充電中にリアルタイムで給電効率Eを監視し、給電効率Eが著しく変化した場合には、外乱により一次コイル11と二次コイル21との相対位置がずれたと見做して一旦一次コイル11を収納し、再度位置決め動作をやり直す。これにより、給電効率Eが最大となる状態で一次コイル11を位置決めして給電することができる。
【0036】
次に、図7を参照して、本発明の他の実施形態に係る非接触給電装置1を説明する。図7は、前出の図1と同様に、非接触給電装置1と同給電装置によって給電される自律移動装置2のブロック構成を示す。なお、各ブロック間を結ぶ線と矢印は、電力や制御信号の主な流れのみを示している。この図に示す非接触給電装置1は、図1に示した非接触給電装置1における通信手段12と自律移動装置2における通信手段22を用いた通信の替わりに、一次コイル11と二次コイル21との電磁結合を利用して通信を行う点が図1に示したものと異なり、他の点は同様である。
【0037】
非接触給電装置1は、電磁結合を利用して通信を行うために、制御手段10と一次コイル11との間に、電力を伝送する周波数とは異なる周波数の高周波信号を発信する通信データ発信回路17と、二次コイル21から送信される高周波信号を受信する通信データ受信回路18とを備えている。リトライ指示手段16からのリトライ信号は、通信データ発信回路17を介して自律移動装置2側に送信される。
【0038】
同様に、自律移動装置2は、高周波信号を発信する通信データ発信回路27と、一次コイル11から送信される高周波信号を受信する通信データ受信回路28とを備えている。このような非接触給電装置1によれば、もともと電磁結合するように備えた給電用の一次コイル11と二次コイル21の構成を用いて通信を行うので、別個の無線アンテナ等を省略でき、安価に通信手段を構成できる。
【0039】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上記では、通信手段としてアンテナを介する電波やコイル間の電磁結合を用いる例を示したが、赤外線などの光を用いて通信を行うようにしてもよい。また、上記では、一次コイル11と二次コイル21のそれぞれが1つのコイルから成り、互いの一面を対向させて電磁結合させた例を示しているが、いずれかのコイル又は両方のコイルを複数用いて、互いにコイル間に嵌挿させて複数の面で対向させるようにしてもよい。また、コイルは走行面に平行、すなわち水平に設けることに限らず、垂直に設けるようにしてもよい。また、位置決め手段15は、一次コイル11を一方向に直動するだけに限らず、一次コイル11を2方向に移動して位置決する機能を備えることもがきる。また、自律移動装置2が、その装置本体5に対して二次コイル21の位置を移動させる駆動装置を備え、自律移動装置2がリトライ信号を受信したときに、自律移動装置2自身がこの駆動装置を用いて、装置本体5の移動を行うことなく、二次コイル21を移動させるようにしてもよい。自律移動装置2が移動すると共にこの駆動装置を用いて二次コイル21を移動させるようにしてもよい。
【0040】
また、非接触給電装置1とともに自律移動装置用給電システムを構成する自律移動装置2は、自律的に移動するための種々の手段を備えることができる。これらは、例えば、所定の移動目標地までの走行経路を生成する経路生成手段、走行領域の地図情報、障害物検出手段、地図上の自己位置を認識する自己位置認識手段等である。制御手段20は、これらの手段を用いて自己位置を認識しつつ障害物を回避しながら走行手段50を制御して走行経路に沿って装置本体5を移動させる。なお、自律移動装置2は、少なくとも、非接触給電装置2の近傍位置から、給電位置まで自律的に移動可能であればよい。すなわち、自律移動装置2は、通常、所定軌道上を走行しており、受電の必要性に応じて、所定軌道を離れて最寄りの給電位置に自律的に移動する、という構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る非接触給電装置と同給電装置によって給電される自律移動装置のブロック構成図。
【図2】(a)は同上非接触給電装置の給電可能な状態における斜視図、(b)は同非接触給電装置の非給電状体における斜視図。
【図3】(a)は同上非接触給電装置によって給電される自律移動装置の外形側面図、(b)は(a)のA部拡大図。
【図4】(a)は同上非接触給電装置に自律移動装置が接近した状態を示す一部破断側面図、(b)は同上非接触給電装置が自律移動装置に給電する際の動作を説明する一部破断側面図。
【図5】同上非接触給電装置の有する一次コイルと自律移動装置の有する二次コイルの相対位置と給電効率の関係を説明するグラフ。
【図6】同上非接触給電装置が行う給電処理のフローチャート。
【図7】本発明の他の実施形態に係る非接触給電装置と同給電装置によって給電される自律移動装置のブロック構成図。
【符号の説明】
【0042】
1 非接触給電装置
2 自律移動装置
11 一次コイル
12 通信手段
13 給電状態取得手段
14 給電効率取得手段
15 位置決め手段
16 リトライ指示手段
20 制御手段
21 二次コイル
21b バッテリ
22 通信手段
50 走行手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体側の二次コイルに電磁結合する一次コイルを固定側に有し、前記一次コイル側から二次コイル側に給電を行う非接触給電装置であって、
二次コイル側の受電状態を取得する通信手段と、
一次コイル側の給電状態を取得する給電状態取得手段と、
前記給電状態取得手段によって得られた一次コイル側の給電状態及び前記通信手段によって得られた二次コイル側の受電状態から給電効率を取得する給電効率取得手段と、
前記給電効率取得手段によって得られた給電効率を最大とするように一次コイルの位置を移動させる位置決め手段と、を備えたことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
前記通信手段は、一次コイルと二次コイルとの電磁結合を利用して通信することを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記位置決め手段は、前記給電効率が所定変化幅よりも変化したときに、その給電効率が最大になるように再度一次コイルの位置を移動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非接触給電装置。
【請求項4】
前記位置決め手段を動作させて得た最大の給電効率が所定の値以下のときに、前記通信手段を介して移動体側にリトライ信号を送信するリトライ指示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の非接触給電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の非接触給電装置と、前記非接触給電装置の周辺に設定された給電位置まで自律的に走行し停止して当該非接触給電装置から電力を受電してその電力により自律的に移動する移動体である自律移動装置と、を備えた自律移動装置用給電システムにおいて、
前記自律移動装置は、走行するための走行手段と、前記走行手段を制御する制御手段と、当該自律移動装置に搭載された機器を駆動させる電力を蓄えるバッテリと、前記非接触給電装置の一次コイルに電磁結合して前記バッテリに蓄える電力を当該一次コイル側から受電する二次コイルと、前記非接触給電装置と通信を行う通信手段と、を備え、前記通信手段が前記非接触給電装置から前記リトライ信号を受信したときに、前記制御手段は前記走行手段を制御して前記給電位置への接近と停止をやり直す位置決め動作を行うことを特徴とする自律移動装置用給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−345588(P2006−345588A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166422(P2005−166422)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】