説明

非接触送電システム、非接触送電装置、およびインピーダンスの調整方法

【課題】本発明は、送電アンテナと受電アンテナとの相対位置関係により変動するインピーダンスを電圧定在波比の計測より推定し、推定されたインピーダンスを所定のインピーダンスに変換することにより最適な伝送効率を得る為の技術を開示することを目的とする。
【解決手段】電気エネルギーを動力源として利用する車両等の機器に対して非接触状態で送電を行うシステムにおいて、機器に搭載されて電力を受電する受電側アンテナと、受電側アンテナに対して電力を送電する送電側アンテナとを備えて、非接触状態で、電気エネルギーを動力源として利用する機器に送電を行う。交流電力を送電する伝送線路のインピーダンスは、検出回路により検出される伝送線路の反射特性に基づいて、伝送線路に設けられる整合回路のインピーダンスを調整することにより整合される。これらの調整は制御回路により調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の技術は、電気エネルギーを動力源として利用する機器に非接触で給電する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車車両の新たな走行駆動技術として、電気エネルギーを動力源として電動機により駆動力を発生する電気自動車や、内燃機関と電動機との補完により駆動力を発生する、いわゆるハイブリッド自動車車両の開発が進められ実用化されてきている。
【0003】
電気エネルギーは車両に搭載されている蓄電装置により車両内に蓄積される。蓄電装置にはニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの再充電可能な二次電池が使用されており、二次電池への充電は車両外部の電源からの給電により行われることが一般的である。
【0004】
給電の方法として、車両外部の電源と二次電池を含む蓄電装置との間をケーブルで接続する場合の他、非接触状態で給電する方法が注目されており、その一例が特許文献1で挙げられている。
【0005】
特許文献1では、車両外部の電源から非接触状態で充電電力を電動車両へ送電するために、高周波電力ドライバと、一次コイルと、一次自己共振コイルとを備える車両用給電装置が開示されている。高周波電力ドライバにより電源からの電力が高周波電力に変換され、一次コイルによって一次自己共振コイルに与えられる。一次自己共振コイルは車両にある二次自己共振コイルとの間で磁気的に結合され、非接触状態で車両に電力が送電される。
【0006】
また、コイルまたはアンテナを利用して非接触給電を行う技術として、特許文献2、非特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【特許文献2】特表2009−501510号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】アリステディス カラリス(Aristeidis Karalis)、他2名、「エフィシェント ワイヤレス ノンラディエイティブ ミッドレンジ エネルギー トランスファ(Efficient wireless non-radiative mid-range energy transfer)」、[online]、2007年4月27日、アニュアル オブ フィジックス(Annals of Physics)323 (2008) p.34-48、[平成21年11月20日検索], インターネット<URL:www.sciencedirect.com>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非接触給電では、送電アンテナと受電アンテナとの相対位置関係がずれた場合や、外気の温度や湿度が変化した場合などに伝送効率が低下するおそれがある。こうした現象にどのように対処し、高い伝送効率を維持するかが非接触給電システムの課題となる。
【0010】
背景技術の特許文献2では電力送電部(共振器;アンテナ)に関する技術が開示されているものの、送電アンテナと受電アンテナとの相対位置関係がずれた場合や外気の温度・湿度の変化などによる伝送効率の低下現象に対してどのような制御を行うかに関する技術は開示されていない。
また、背景技術の特許文献1では実施形態2において、送電アンテナと受電アンテナとの相対位置関係がずれた場合に対処する方法として、二次自己共振コイルの容量成分または誘導成分を調整し共振周波数を制御する技術が開示されている。
然しながら、二次自己共振コイルの容量成分または誘導成分を調整し共振周波数を変化させる方法では、二次自己共振コイル自体の固有共振周波数が変化する為、一次自己共振コイルと二次自己共振コイルとの共振周波数が更に変化することになり、効率的に送電を行うことが極めて困難になる。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みて、送電アンテナと受電アンテナとの相対位置関係により変動するインピーダンスを電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio、以下、VSWRと略記する)の計測より推定し、推定されたインピーダンスを所定のインピーダンスに変換することにより最適な伝送効率を得る為の技術を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願に開示される技術に係る非接触送電システムは、電気エネルギーを動力源として利用する機器に対して非接触状態で送電を行う非接触送電システムである。
機器に搭載され、電磁気的結合により受電する受電側アンテナと、受電側アンテナに対して電磁気的結合により送電する送電側アンテナと、電源から受ける電力を送電側アンテナから受電側アンテナへ送電可能な交流電力に変換する交流電力ドライバと、交流電力を送電する伝送線路の反射特性を検出する検出回路と、伝送線路に設けられ、インピーダンスを調整可能な整合回路と、検出回路により検出される反射特性に基づいて伝送線路のインピーダンスが整合するように整合回路のインピーダンスを調整する制御回路とを備える。
【0013】
本願に開示の非接触送電システムでは、交流電力ドライバが電源から受ける電力を送電可能な交流電力に変換して送電側アンテナに供給する。送電する送電側アンテナは受電側アンテナと電磁気的に結合して、非接触状態で、電気エネルギーを動力源として利用する機器に送電される。交流電力を送電する伝送線路のインピーダンスは、検出回路により検出される伝送線路の反射特性に基づいて、伝送線路に設けられる整合回路のインピーダンスを調整することにより整合される。これらの調整は制御回路により調整される
【0014】
また、本願に開示される技術に係るインピーダンスの調整方法は、電気エネルギーを動力源として利用する機器に対して非接触状態で送電を行うに当り、伝送線路のインピーダンスを整合させる整合回路のインピーダンスを調整する方法である。
給電指令に対して、伝送線路において整合回路をバイパスするステップと、給電時の電力に比して低電力を出力するステップと、低電力出力状態で伝送線路の反射特性を計測するステップと、電力出力を停止するステップと、計測のステップにより計測される反射特性に対応して伝送線路のインピーダンスを整合させるインピーダンス候補から予め定められた順序で整合回路のインピーダンスを選択するステップと、選択のステップによる選択の後、低電力出力を再開するステップと、再開された低電力出力状態で伝送線路の反射特性を再計測するステップと、再計測のステップにより計測された反射特性が規定値を越えて改善するか否かを判断するステップと、改善されていないと判断される場合に、再度、出力停止のステップに戻ることにより行われる。
【発明の効果】
【0015】
本願に開示される技術に係る非接触送電システム、および整合回路のインピーダンスの調整方法によれば、送電に先立ち伝送線路の反射特性の検出を行い、計測された反射特性に対応して整合回路のインピーダンスを調整する。整合回路のインピーダンスの調整により伝送線路のインピーダンスが調整される。伝送線路のインピーダンスと反射特性とは所定の関係を有しているので、反射特性に基づいて伝送線路のインピーダンスを整合された状態とすることができる。これにより、非接触送電において電力伝送効率を改善にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】非接触送電システムを示す図である。
【図2】送電側アンテナと受電側アンテナとの相対位置関係に応じた系全体のインピーダンスの変化例を表すスミスチャートの概略図である。
【図3】送電装置の回路ブロック図である。
【図4】受電装置の回路ブロック図である。
【図5】整合定数設定回路を示す図である。
【図6】整合回路構成例を示す図である。
【図7】可変キャパシタンス部の構成例を示す図である。
【図8】可変インダクタンス部の構成例を示す図である。
【図9】送電装置の動作時のフローである。
【図10】受電装置の動作時のフローである。
【図11】受電側アンテナの出力切替状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は非接触送電システムを電気自動車あるいはハイブリッド自動車への送電に適用する場合のシステム構成図である。車両2が電気自動車あるいはハイブリッド自動車である。車両2が送電エリア1に入庫している状態を示す。送電エリア1には送電装置10が埋設されており、車両2に搭載されている受電装置20との間で、非接触送電が行われる。
【0018】
非接触送電では、送電装置10の送電側アンテナ11から受電装置20の受電側アンテナ21への電磁波による電磁的結合により電力の送電が行われる。なお、電磁的結合は、送電側アンテナ11と受電側アンテナ21の磁場の共鳴(共鳴法)により行われる。送電側アンテナ11は、送電エリア1の地表面に沿って、電磁的結合がなされる結合面11Aが配置される。受電側アンテナ21は、車両2の下面に沿って、電磁的結合がなされる結合面21Aが配置される。送電側アンテナ11は、所定周波数の交流電力を給電する交流電力ドライバを含む送電部12により駆動される。送電部12は制御回路13により制御される。また、受電側アンテナ21にて受電された交流電力は受電部22により整流されて蓄電池等に蓄積される。受電部22は制御回路23により制御される。
【0019】
送電側アンテナ11と受電側アンテナ21との間隔は、送電側アンテナ11の設置位置が同じであっても車両2の車種ごとに異なる場合がある。車種ごとに車高や受電側アンテナ21の車両2への取付位置が異なるからである。送電側アンテナ11と受電側アンテナ21との間隔が異なると送電側アンテナ11と受電側アンテナ12との間の相互インダクタンス等のインダクタンス成分が異なる。また、キャパシタンス成分も異なることが考えられ、アンテナ間の間隔に応じて送電側および受電側を含む系全体のインピーダンスが異なる。また、車両2が送電エリア1に入庫する場合、入庫位置に応じて送電側アンテナ11に対する受電側アンテナ21の相対位置は異なる。アンテナ間の間隔の違いの場合と同様に、相互インダクタンス等のインダクタンス成分やキャパシタンス成分も異なることが考えられる。アンテナ間の中心軸の軸ずれに応じて送電側および受電側を含む系全体のインピーダンスが異なる。
ここで、間隔とは、送電側アンテナ11の結合面11Aと送電側アンテナ21の結合面21Aとの距離であり、軸ずれとは送電側アンテナ11と送電側アンテナ21との中心軸のずれ量である。
【0020】
また、送電装置10の送電部12に備えられる交流電力ドライバより送電側アンテナ11に供給される交流電力の所定周波数とは、送電側アンテナ11、及び受電側アンテナ21の各々に固有な共振周波数を示す。送電側アンテナ11、及び受電側アンテナ21の共振周波数は概略同一の共振周波数を有する構成であるものとする。
【0021】
図2は送電側アンテナ11と受電側アンテナ21との相対位置関係に応じた系全体のインピーダンスの変化例を表すスミスチャートである。曲線30は、アンテナ間の間隔が第1の距離である場合の特性曲線である。送電側アンテナ11と受電側アンテナ21とのアンテナ中心軸の軸ずれの変化に対応するインピーダンス値の変化例を表す。曲線31は、アンテナ間の間隔が第1の距離と異なる第2の距離である場合の特性曲線である。
但し、図2のスミスチャートは実測した系全体のインピーダンス値を正規化のインピーダンス(例えば、75Ω)で正規化した値をプロットしたものである。スミスチャートの中心(「1」と表記)が正規化されたインピーダンス値の点である。
【0022】
例として、図2のスミスチャートに、VSWR値が所定の値であるVSWR円32を描く。このVSWR円32は、正規化のインピーダンス値(VSWR値が1.0である)を中心にとり、半径の大きさがVSWR値を表す。図2において、VSWR円32と曲線30において点33Cの1点で接し、曲線31において点33A、点33Bの2点で交わっている。点33A、点33B、および点33Cはそれぞれ系のインピーダンス値を表す。つまり、曲線31の場合では、所定のVSWR値を取る系全体のインピーダンス値が2つあり、曲線30の場合では、所定のVSWR値を取る系全体のインピーダンス値が1つあることを示す。
【0023】
図3は送電装置10の回路ブロック図である。制御回路13、高周波電源回路12A、VSWR計12B、切替回路12C、整合回路12D、および送電側アンテナ11を備える。更に、送電エリア1にはエリア内検出センサ14を備える。
【0024】
制御回路13は、VSWR計12Bおよびエリア内検出センサ14から受信した信号をもとに、高周波電源回路12A、切替回路12C、整合回路12Dを制御する。
【0025】
高周波電源回路12Aは、インバータや増幅器などで構成される交流電力ドライバを含み、VSWR計12Bおよび整合回路12Dを通じて送電側アンテナ11に交流電力を供給する。
【0026】
VSWR計12Bは、高周波電源回路12Aから送電側アンテナ11へと送られる交流電力が系全体を通して反射して形成される定在波の程度についての指標であるVSWR値を計測し、制御回路13に結果を送信する。
【0027】
切替回路12Cは、制御回路13からの制御により、整合回路12DをVSWR計12Bと送電側アンテナ11との間に接続するか、それとも整合回路12Dをバイパスさせるかを切り替える。
【0028】
整合回路12Dは、高周波電源回路12Aから供給される交流電力を送電側アンテナ11へ効率よく供給するために、制御回路13からの制御により、系全体のインピーダンス整合をとる。
【0029】
送電側アンテナ11は、インダクタンス成分とキャパシタンス成分とを有するLC共振コイルであり、後述する受電装置20の受電側アンテナ21との間で電磁気的に結合され、受電側アンテナ21へ電力を送電する。
【0030】
エリア内センサ14は、送電エリア1に車両2が進入したか否かを検出し、その結果を制御回路13に送信する。
【0031】
図4は、受電装置20の回路ブロック図である。受電装置20は、制御回路23、受電側アンテナ21、切替回路22A、整合回路22B、パーキング信号検出センサ24、給電信号検出センサ25、および充電回路22Cを備える。
【0032】
制御回路23は、パーキング信号検出センサ24および給電信号検出センサ25から受信した信号をもとに、切替回路22Aおよび充電回路22Cを制御する。
切替回路22Aは、制御回路23から受信した信号により、受電側アンテナ21の(閉ループ:図11(a)の状態)にするか、受電側アンテナ21を整合装置22Bを介して充電回路22Cに接続するか(図11(b)の状態)、受電側アンテナ21の出力点を開放(開ループ:図11(c)の状態)にするかを切替える。
【0033】
整合回路22Bは、受電側アンテナ21に受電された交流電力が反射されずに充電回路22Cへと供給されるように、受電側アンテナ21から整合回路22Bに至る系のインピーダンス整合をとる。
【0034】
充電回路22Cは、受電側アンテナ21に受電され整合回路22Bを介して供給される電力をバッテリー等の蓄電装置(不図示)に充電する回路である。ここで、蓄電装置とは、たとえば受電側アンテナ21から供給される交流電力を直流電力に変換および平滑化する整流平滑回路、およびリチウムイオンまたはニッケル水素などの二次電池や大容量のキャパシタから成る。制御回路23から制御され充電制御を行う。
【0035】
受電側アンテナ21は、インダクタンス成分とキャパシタンス成分とを有するLC共振コイルであり、送電側アンテナ11との間で電磁気的に結合され、送電側アンテナ11より交流電力を受電する。
【0036】
図5は、送電装置10の制御回路13内部にある整合定数設定回路40の一例である。比較器41、系全体のインピーダンステーブル42、および整合定数設定器43を備える。
【0037】
比較器41は、VSWR計12Bにより測定されるVSWR値を系全体のインピーダンステーブル42のアドレスにあたるVSWR値と比較し、一致したアドレスに格納されている系全体のインピーダンス値を取得する。この場合、切替回路12Cは、整合回路12Dをバイパスするように回路が切り替えられている。これにより、VSWR計12Bは、整合回路12Dが有するインピーダンス成分を除いた系全体のインピーダンスに対してVSRW値を取得することができる。
【0038】
系全体のインピーダンステーブル42に格納されている系全体のインピーダンス値は、整合回路12Dをバイパスした系に対して計測したVSWR値ごとに、保存されている。この場合、図2に例示するように、整合回路12Dをバイパスした系全体について取得されるVSWR値は、系に応じて1つまたは2つの場合がある。図2において、曲線30については点33Cの1点であり、曲線31については点33A、33Bの2点である。曲線31における異なる点33A、33Bは、系全体のインピーダンスに関し、VSRW値が同じであるものの互いにリアクタンス成分が異なる。曲線31の点33A、33Bに対応して、系全体のインピーダンステーブル42に、同じVSWR値に対して互いに異なる系全体のインピーダンス値が格納される。図5においては、VSWR値がVSWR1の場合に2つのインピーダンス値Z11、Z12が格納される場合である。
【0039】
整合定数設定器43では、系全体のインピーダンステーブル42に格納されている系全体のインピーダンス値に対して、図6〜8において後述の整合回路12Dを構成する回路素子ごとの設定値を取得する。ここで、整合回路12Dが構成する整合インピーダンスはリアクタンス成分である。リアクタンス成分はインダクタンス成分とキャパシタンス成分とにより構成されるため、設定値として、図6〜8に例示される回路におけるインダクタンス成分とキャパシタンス成分とが決定される。
【0040】
図6は、整合回路12Dの整合回路構成例を示す。整合回路12Dは可変キャパシタンス部C11、C12、C21、およびC22と可変インダクタンス部Lを備える。可変インダクタンス部Lは系全体のインピーダンスに対し並列に接続され、可変キャパシタンス部C11、C12、C21、およびC22は可変インダクタンス部Lの端子ごとに端子を挟んで直列に2つ接続される。
【0041】
図7は、図6に例示する整合回路12Dの回路構成例のうち、可変キャパシタンス部C11、C12、C21、およびC22の構成例を示す。ここでは、可変キャパシタンス部C11、C12、C21、およびC22は何れも同じ構成を有しているものとする。互いに直列接続された容量素子Cjk1〜nおよびスイッチSW−Cjk1〜nが、並列に複数組接続された構成を有している。個々の容量素子Cjk1〜nは、例えば、可変キャパシタンス部C11、C12、C21、およびC22の総キャパシタンス/(2×n)の重みのキャパシタンス値を有する容量アレイとなる。
【0042】
図8は、図6に例示する整合回路12Dの回路構成例のうち、可変インダクタンス部Lの構成例を示す。可変インダクタンス部Lの端子間に、スイッチSW−L1i〜ni、誘導素子L1〜n、およびスイッチSW−L1o〜noが直列接続されている。また、互いに隣接する誘導素子L1とL2、L2とL3、〜、Ln−1とLnのうち一方の端子の間は、スイッチSW−L2t〜ntを介して接続されている。更に、互いに隣接する誘導素子L1とL2、L2とL3、〜、Ln−1とLnのうち、一方の端子と他方の端子との間は、スイッチSW−L2f〜nfを介して接続されている。各々の誘導素子L1〜Lnは、スイッチSW−L1i〜ni、SW−L1o〜no、SW−L2t〜nt、SW−L2f〜nfに応じて、直列あるいは並列に接続される。例えば、誘導素子L1とL3を直列に接続し使用する場合は、スイッチSW−L1i、SW−L2t、SW−L3f、およびSW−L3oを接続し、他のスイッチは開放する。可変インダクタンス部Lも可変キャパシタンス部C11、C12、C21、およびC22と同様に、個々の誘導素子L1〜Lnは、可変インダクタンス部Lの総インダクタンス/2×nの重みを有する誘導アレイとすることができる。
【0043】
次に、送電装置10と受電装置20の動きについてフローチャートを用いて説明する。
【0044】
送電装置10の動作時のフローチャートを図9に示す。送電装置10の動作開始(ST0)後、送電装置10はエリア内検出センサ14により車両2の送電エリア1への入庫が検知されるまで待機する(ST2:NO)。
【0045】
エリア内検出センサ14により車両2の入庫が検知された後(ST2:YES)、高周波電源回路12Aは受電装置20に備えられる受電側アンテナ21に電流が流れる程度の低電力で電力出力する(ST4)。
【0046】
この状態で送電装置10に備えられているVSWR計12BによりVSWR値を測定し(ST6)、受電装置20にある、受電側アンテナ21から充電回路22Cへの電力経路が形成された時のVSWR値、即ち給電規定値と比較する。計測されたVSWR値が給電規定値より低い値を取るとき給電処理を行う処理に移行する(ST8:YES)。
【0047】
VSWR測定結果が給電規定値より高い値であり給電処理へ移行しない場合には(ST8:NO)、VSWR値の測定時間を計測する(ST10)。計測時間が所定時間に満たない場合には処理(ST6)に戻りVSWR値の計測を繰り返す(ST10:NO)。所定時間が経過した場合(ST10:YES)には、受電装置20は充電しないものと判断し電力送出を停止し(ST12)この動作フローを終了する(ST36)。
【0048】
尚、この間、送電装置10に備えられている切替回路12Cは、VSWR計12Bと整合回路12Dとを接続する構成、あるいは整合回路12DをバイパスしてVSWR計12Bと送電側アンテナ11とを接続する構成、の何れの構成でも良い。
【0049】
給電処理へ移行すると(ST8:YES)、受電装置20の処理フロー(図10)において後述するように切替回路22Aは、受電側アンテナ21が整合回路22Bを介し充電回路22Cに接続されたこと(図10の処理(SR4)を検出した後、再度VSWR値を計測し(ST14)、その後、一端、電力送出を停止する(ST16)。電力送出の停止期間に、系全体のインピーダンステーブル42(図5)より計測されたVSWR値に対応する系全体のインピーダンス値を取得する(ST18)。
【0050】
ここで、図2のスミスチャートに曲線30、31として例示するように、系全体のインピーダンス値の特性曲線は、アンテナ間の中心軸の軸ずれ量をパラメータとして得られる。また、送電側アンテナ11と受電側アンテナ21との間隔ごとに固有の特性曲線が得られる。アンテナ間の間隔が異なれば系全体のインピーダンス値が異なり、更に、アンテナ間の中心軸の軸ずれ量に応じて系全体のインピーダンス値が異なるためである。図2のスミスチャートでの例示では、特性曲線ごとに同じVSWR値を有するインピーダンス値は1つまたは2つ存在することがわかる。このことから、図5にある系全体のインピーダンステーブル42は、アンテナ間の間隔、すなわち系全体のインピーダンス値の特性曲線(曲線30、31)ごとに用意され、VSWR値と系全体のインピーダンス値とを関連づける。インピーダンス値の特性曲線に応じて同じVSWR値に対して2つの異なるインピーダンス値が関連付けられる場合がある。更に、アンテナ間の間隔が異なる系全体のインピーダンステーブル42間においても、インピーダンス値の特性曲線によっては同じVSWR値に対して各々の系全体のインピーダンステーブル42でインピーダンス値が関連付けられる場合がある。1つの系全体のインピーダンステーブル42において、あるいは複数の系全体のインピーダンステーブル42も含めて、計測されるVSWR値に対して複数のインピーダンス値が得られる場合がある。
【0051】
系全体のインピーダンステーブル42が1つである場合、系全体のインピーダンステーブル42内に処理(ST14)で測定されたVSWR値に対するインピーダンス候補が1つ存在する場合は(SWR2〜SWRnの場合)、そのインピーダンス値(Z2〜Zn)を取得する(ST18)。1つの系全体のインピーダンステーブル42において同じVSWR値に対して複数のインピーダンス候補がある場合(SWR1の場合)、複数の候補(Z11およびZ12)の中から予め定められた条件に応じて系全体のインピーダンス値を取得する(ST18)。例えば、系全体のインピーダンステーブル42の格納順に取得するという条件が設定されている場合にはインピーダンス値(Z11)が取得される。系全体のインピーダンステーブル42が複数ある場合、複数の系全体のインピーダンステーブル42から予め定められた条件に応じて1つの系全体のインピーダンステーブル42を選択する。系全体のインピーダンステーブル42が選択された後は、上記と同様に、系全体のインピーダンステーブル42内の同じVSWR値に対するインピーダンス値の数に応じてインピーダンス値の取得を行う(ST18)。インピーダンス値が取得されたら、整合定数設定器43に系全体のインピーダンス値を入力し、入力されたインピーダンス値に対応した整合回路12Dの設定値を整合値として取得する(ST20)。ここで、設定値とは、整合回路12Dを構成するインダクダンス部とキャパシタンス部との素子パラメータの組み合わせである。なお、本実施形態では、インピーダンステーブル42を用いてVSWR値に対する入力されたインピーダンスの際の整合回路12Dの整合値を取得したが、インピーダンステーブル42に相当する関数を用いて整合回路12Dの整合値を演算して取得しても良い。
【0052】
処理(ST20)にて取得された整合値を整合回路12D入力し、整合回路12D内部のリアクタンス部を設定する。そして、切替回路12Cに整合回路12Dと高周波電源回路12Aとを接続するよう指令し(ST22)、低電力で送電を開始し(ST24)、再度VSWR値を計測する(ST26)。
【0053】
計測されたVSWR値が改善されたか否か整合規定値をもって判断し(ST28)測定されたVSWR値が整合規定値以下のとき、系全体のインピーダンスが整合されたとする。VSWR値が改善されたと判断される場合は(ST28:YES)処理(ST30)に進む。
【0054】
計測されるVSWR値が改善されたと判断されない場合(ST28:NO)、送電を停止し(ST16)、系全体のインピーダンステーブル42から、先ほど参照したテーブル42にある同じVSWR値を採る次のインピーダンス値を取得する、テーブル42に同じVSWR値を有する次のインピーダンス値がない場合には次のテーブル42から同じVSWR値を採るインピーダンス値を取得する(ST18)。その後は処理(ST20)に移行し先ほどと同様な処理を繰り返す。整合回路12Dの設定値を新たに取得された整合値に変更した上で(ST22)低電力で送電を行い(ST24)、VSWR値を測定してVSWR値が改善するか否かを判断する(ST28)。
【0055】
以上の処理を測定されるVSWR値が改善されるまで繰り返す。処理(ST14)で測定したVSWR値から得られる整合回路12Dの設定値をすべて試した結果、測定されるVSWR値が整合規定値以下になる場合が見つからなかった場合は、整合規定値を引き上げ、再度上記の処理を行う(ST16〜ST28)。
【0056】
計測されるVSWR値が改善されることが確認されたら(ST28:YES)、送電装置10から受電装置20に送電を行うため、駆動回路12Aは制御回路13の制御により、出力を増大させる(ST30)。これにより、電力送電が開始され、充電回路22Cへの充電が行われる。
【0057】
受電装置20は、充電が終わると受電側アンテナ21を開ループ状態にする。これにより、送電装置10のVSWR計12Bにより計測されるVSWR値が変化することで、受電装置20の充電完了が検出され、送電装置10は充電終了を検知する(ST32:YES)。充電終了を検知した送電装置10の制御回路13は高周波電源回路12Aの出力を停止させる(ST34)。送電装置10は動作を終了する(ST36)。
【0058】
次に受電装置20の動作時のフローチャートを図10に示す。動作開始(SR0)時において、受電装置20は、車両2に搭載されるパーキング信号検出センサ24から出力されるパーキング信号の検出待ちの状態で待機する(SR2:NO)。
【0059】
パーキング信号が制御回路23に出力されると(SR2:YES)、受電装置20の切替回路22Aは受電側アンテナ21を閉ループ状態に接続する(SR4)。
【0060】
しかる後、制御回路23は給電信号検出センサ25から車両2のリモコンキーなどから運転者が指令することなどにより伝達される給電信号が入力されるか否かを検出する(SR6)。
【0061】
所定時間の経過を待っても給電指令が検出されない場合(SR6:NO)、受電アンテナ21を開ループ状態となるよう切替回路22Aを制御し(SR14)、動作を終了する(SR16)。
【0062】
所定時間の経過までに給電指令が検出されると(SR6:YES)、制御回路23は受電側アンテナ21と整合回路22Bとが接続されるように切替回路22Aを制御し、充電回路22Cへの電力経路を形成する(SR8)。
【0063】
受電側アンテナ21に接続された充電回路22Cは、バッテリーの充電を開始する(SR10)。バッテリーの充電が終了するまで充電状態が保持される(SR12:NO)。バッテリーの充電が終了すると(SR12:YES)、制御回路23は切替回路22Aを制御し、受電側アンテナ21と充電回路22Dとの接続を切断した上で、受電側アンテナ21を開ループ状態にする(SR14)。受電装置20は動作を終了する(SR16)。
【0064】
ここで、本実施形態において、高周波電源回路12Aは交流電力ドライバの一例であり、VSWR計12Bは反射特性を検出する検出回路の一例である。
【0065】
以上、詳細に説明したように、実施形態によれば、送電装置10から送電を行う前に、伝送線路の反射特性の検出をVSWR計12Bによって行い、計測された反射特性に対応する伝送線路のインピーダンス候補を比較器41を用い系全体のインピーダンステーブル42から予め定められた順序で求める。整合定数設定器43に先ほど求めた伝送線路のインピーダンス候補を入力し、入力した伝送線路のインピーダンス候補に対応した設定値を整合回路12Dへ出力する。整合回路12Dは入力された設定値に対応したインピーダンスの調整を行うことにより伝送線路のインピーダンスが整合される。これにより、非接触送電において電力伝送効率を改善にすることができる。
【0066】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
たとえば、電気エネルギーを動力源として利用する機器として、本願の実施形態では車両2を例にして説明したが、本願はこれに限定されるものではない。例えば、携帯電話機、デジタル・カメラ、およびノート・パソコンといった携帯型機器、ならびに、テレビ、ホームシアターおよびデジタル・フォト・フレームといった据え置き型機器でもよい。さらに、蓄電装置を使用せず、非接触送電だけで稼働させることも可能である。
【0067】
また、送電側アンテナ11と受電側アンテナ12との間の間隔およびアンテナ間の中心軸の軸ずれにより、送電側および受電側を含む系全体のインピーダンスが異なることを実施形態において述べた。しかしながら、系全体のインピーダンスの相違はこれに限定されるものではない。例えば、外気の温度や湿度が異なることに伴い外気の誘電率が異なることにより、系全体のインピーダンスが異なる場合が考えられる。
【0068】
このことから、外気の誘電率変化に影響を及ぼす温度や湿度等に対応したVSWR値と系全体のインピーダンス値とを関連付けることも可能である。この場合、外気の温度および湿度ごとに系全体のインピーダンステーブルを用意し使用する際、外気の温度および湿度を計測する手段を備え、計測することによりあらかじめ参照するデータを絞り込むことができる。
【0069】
反射特性を検出する検出回路は、本願の実施例におけるVSWR計でなくとも良く、例えば、送電部12から送電側アンテナ11へと供給される電流量を計測する回路や供給される電圧の波形を計測する回路など、交流電力の反射の多少を検出することができるものでも構わない。
【0070】
図6には、整合回路12Dが可変コンデンサ部C11〜C22と可変インダクタンス部Lとを備える場合を一例として示したが、各部の個数および構成はこれに限定されるものではない。さらに、図7および図8は、それぞれ可変コンデンサ部C11〜C21および可変インダクタンス部Lの具体例であるが、キャパシタンス及びインダクタンスの値を設定可能な構成であれば、図7および図8の構成に限定されるものではなく他の回路構成であってもよい。
【0071】
整合回路12Dは、外部制御によりリアクタンス成分を変えることにより系全体のインピーダンス整合を採る構成である。同様な構成は、整合回路12Dに代えて受電装置20にある整合回路22Bに置き換えることも可能である。この場合、送電装置10でVSWR計12Bを用いVSWR値を計測し、受電装置20の整合回路22Bのリアクタンス成分を設定する。送電装置10にVSWR計12Aを設ける場合、送電装置10から受電装置20のへ、整合回路22Bのインピーダンスを設定するために必要な情報を伝達する手段を用意する。尚、VSWR計は受電回路20に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 送電エリア
2 車両
10 送電装置
11 送電側アンテナ
11A 結合面
12 送電部
13、23 制御回路
12A 高周波電源回路
12B 定在波比(VSWR)計
12C 切替回路
12D 整合回路
14 エリア内検出センサ
20 受電装置
21 受電側アンテナ
21A 結合面
22 受電部
22A 切替回路
22B 整合回路
22C 充電回路
24 パーキング信号検出センサ
25 給電信号検出センサ
30 アンテナ間の間隔が第1の距離である特性曲線
31 アンテナ間の間隔が第2の距離である特性曲線
32 VSWR円
33A 曲線31との交点
33B 曲線31との交点
33C 曲線30との接点
40 整合定数設定回路
41 比較器
42 系全体のインピーダンステーブル
43 整合定数設定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを非接触状態で送電装置から受電装置に送電を行う非接触送電システムであって、
前記受電装置は、電磁的結合により受電する受電側アンテナを備え、
前記送電装置は、
前記受電側アンテナに対して前記電磁的結合により送電する送電側アンテナと、
電源から受ける電力を、前記送電側アンテナから前記受電側アンテナへ送電可能な交流電力に変換する交流電力ドライバと、
該交流電力ドライバと前記送電側アンテナを接続し、前記交流電力を送電する伝送線路と、
前記伝送線路の反射特性を検出する検出回路と、
前記伝送線路上に設けられ、インピーダンスを調整可能な整合回路と、
前記検出回路により検出される反射特性に基づいて前記送電装置と前記受電装置を含む系全体のインピーダンスを整合するように前記整合回路のインピーダンスを調整する制御回路とを備えることを特徴とする非接触送電システム。
【請求項2】
前記整合回路のインピーダンス調整の際、前記整合回路をバイパスする経路に前記伝送線路を切り替える切替回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の非接触送電システム。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記整合回路がバイパスされた前記伝送線路について前記検出回路により検出される反射特性に対する、前記伝送線路のインピーダンス候補、あるいは該インピーダンス候補の各々に付加して前記伝送線路をインピーダンス整合する前記整合回路のインピーダンス候補、を対応付ける対応付部を備えることを特徴とする請求項2に記載の非接触送電システム。
【請求項4】
前記対応付部は、
前記反射特性と前記インピーダンス候補とを対応付けるテーブルと、
前記検出回路により検出される反射特性に対応するインピーダンス候補を取得するため、該反射特性と前記テーブルに格納されている反射特性とを比較する比較器とを備えることを特徴とする請求項3に記載の非接触送電システム。
【請求項5】
前記テーブルは、前記送電側アンテナと前記受電側アンテナとの対向面の間隔ごとに備えられることを特徴とする請求項4に記載の非接触送電システム。
【請求項6】
前記制御回路は、給電指令に対して、
給電時の電力に比して低電力の出力を前記交流電力ドライバに指令するステップと、
前記低電力出力指示のステップによる前記交流電力ドライバの低電力出力状態で、前記検出回路に反射特性の計測を指示するステップと、
前記計測指示のステップの後、前記交流電力ドライバからの電力出力の停止を指示するステップと、
前記出力停止指示のステップによる前記交流電力ドライバからの電力出力の停止状態で、前記インピーダンス候補から予め定められた順序で前記整合回路のインピーダンスを選択するステップと、
前記選択のステップによる前記整合回路のインピーダンスの選択後、再度、前記交流電力ドライバを低電力で出力指示するステップと、
前記低電力の再出力指示のステップによる前記交流電力ドライバの低電力出力状態で、再度、前記検出回路に反射特性の計測を指示するステップと、
前記計測の再指示のステップにより計測された反射特性が規定値を越えて改善するか否かを判断するステップと、
前記改善判断のステップにより改善されていないと判断される場合に、再度、前記出力停止指示のステップに戻るステップとを含む制御を行うことを特徴とする請求項3乃至5の少なくとも何れか1項に記載の非接触送電システム。
【請求項7】
前記整合回路は、
キャパシタンスの値を変更可能な可変キャパシタンス部と、
インダクタンスの値を変更可能な可変インダクタンス部とを備え、
前記可変キャパシタンス部は、
複数の容量素子と、
前記容量素子の各々を前記伝送線路に接続するか否かを切り替え可能な複数の第1スイッチとを備え、
前記可変インダクタンス部は、
複数の誘導素子と、
前記誘導素子の各々を前記伝送線路に接続するか否かを切り替え可能な複数の第2スイッチとを備え、
前記制御回路は、
前記複数の第1および第2スイッチのうち導通するスイッチを切り替えて、前記整合回路のリアクタンスを調整することを特徴とする請求項1乃至6の少なくとも何れか1項に記載の非接触送電システム。
【請求項8】
前記可変キャパシタンス部は、互いに直列接続された前記容量素子および前記第1スイッチが、並列に複数組接続されていることを特徴とする請求項7に記載の非接触送電システム。
【請求項9】
前記可変インダクタンス部は、前記誘導素子と該誘導素子の両端子に接続される2つの前記第2スイッチとが、並列に複数組接続されると共に、更に、前記第2スイッチが、互いに隣接する前記誘導素子のうち、一方の端子間と一方および他方の端子間とに接続されていることを特徴とする請求項7に記載の非接触送電システム。
【請求項10】
電気エネルギーを非接触状態で送電装置から受電装置に送電を行う非接触送電装置であって、
前記受電装置に搭載される受電側アンテナに対して電磁的結合により送電する送電側アンテナと、
電源から受ける電力を、前記送電側アンテナから前記受電側アンテナへ送電可能な交流電力に変換する交流電力ドライバと、
該交流電力ドライバと前記送電側アンテナを接続し、前記交流電力を送電する伝送線路と、
前記伝送線路の反射特性を検出する検出回路と、
前記伝送線路上に設けられ、インピーダンスを調整可能な整合回路と、
前記検出回路により検出される反射特性に基づいて前記伝送線路のインピーダンスが整合するように前記整合回路のインピーダンスを調整する制御回路とを備えることを特徴とする非接触送電装置
【請求項11】
電気エネルギーを非接触状態で送電装置から受電装置に送電を行うに当り、前記送電装置と前記受電装置を含む系全体のインピーダンスを整合させる整合回路のインピーダンスの調整方法であって、
給電指令に対して、
前記伝送線路において前記整合回路をバイパスするステップと、
給電時の電力に比して低電力を出力するステップと、
低電力出力状態で前記伝送線路の反射特性を計測するステップと、
電力出力を停止するステップと、
前記計測のステップにより計測される反射特性に対応して前記伝送線路のインピーダンスを整合させるインピーダンス候補から前記整合回路のインピーダンスを選択するステップと、
前記選択のステップによる選択の後、低電力出力を再開するステップと、
再開された低電力出力状態で前記伝送線路の反射特性を再計測するステップと、
前記再計測のステップにより計測された反射特性が規定値を越えて改善するか否かを判断するステップと、
改善されていないと判断される場合に、再度、前記出力停止のステップに戻ることを特徴とするインピーダンスの調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−10546(P2012−10546A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146165(P2010−146165)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】