説明

非線形特性解析装置及び送信機

【課題】電力増幅器の非線形特性解析の高精度化を図ることのできる非線形特性解析装置を得る。
【解決手段】レベル可変手段3は、2トーン信号発生手段2からの2トーン信号を二つの異なる平均電力レベルに変化させる。2トーン信号の一部を分岐した2トーン信号を入力信号とし、2トーン信号を電力増幅器1で増幅した2トーン信号を出力信号として、非線形特性算出手段9は、これら入力信号と出力信号とから電力増幅器1の動的非線形特性を算出する。非線形特性平均化手段10は、非線形特性算出手段9より算出された動的非線形特性を平均化する。非線形特性合成手段11は、非線形特性平均化手段10で平均化された異なる平均電力レベルの非線形特性を合成して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅器のAM−AM、AM−PM特性を解析する非線形特性解析装置及びこれを用いた送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信に用いられる電力増幅器では、線形性が確保されていない場合に信号波形に歪みが生じ、送信帯域外、特に隣接帯域に電力が漏洩する。この漏洩電力は電波法規によって厳しく規制されており、歪みの規格を満たすように回路を設計・製造する必要がある。このような背景から、予め歪みの規格を満たすように回路を設計するために、歪み解析の高精度化が求められている。
従来の非線形特性解析装置として、例えば、特許文献1には、ネットワークアナライザのCW (Continuous Wave) 1トーンを掃引することで電力増幅器の非線形特性を測定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−201273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の非線形特性解析装置では、CW1トーン入力時の非線形特性(静的非線形特性)を測定するため、電力増幅器のメモリ効果を観測できない。このため、静的非線形特性を用いたメモリ効果を考慮しない歪み解析手法では、歪みの計算結果と実測結果が異なるという課題があった。この問題は、特に広帯域システムにおいては深刻な問題であった。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解消するためになされたものであり、電力増幅器の非線形特性解析の高精度化を図ることのできる非線形特性解析装置及び送信機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る非線形特性解析装置は、電力増幅器のAM−AM、AM−PM特性を解析する非線形特性解析装置であって、二つの周波数成分から構成される2トーン信号を発生する2トーン信号発生手段と、2トーン信号発生手段により発生された2トーン信号を少なくとも二つの異なる平均電力レベルに変化させるレベル可変手段と、レベル可変手段により平均電力レベルが調整された2トーン信号の一部を分岐する入力信号分岐手段と、入力信号分岐手段により分岐された2トーン信号を検出する入力信号検出手段と、レベル可変手段により平均電力レベルが調整された2トーン信号を増幅する電力増幅器と、電力増幅器により増幅された2トーン信号の一部を分岐する出力信号分岐手段と、出力信号分岐手段により分岐された2トーン信号を検出する出力信号検出手段と、入力信号検出手段により検出された2トーン信号と出力信号検出手段によって検出された2トーン信号から、電力増幅器の動的非線形特性を算出し、算出した動的非線形特性を平均電力レベル毎に保存する非線形特性算出手段と、非線形特性算出手段により算出された動的非線形特性を平均化し、平均電力レベル毎に保存する非線形特性平均化手段と、非線形特性平均化手段に保存された異なる平均電力レベルの非線形特性を合成して出力する非線形特性合成手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の非線形特性解析装置は、異なる平均電力レベルにおいて、2トーン信号入力時の電力増幅器の動的非線形特性を解析し、これらを合成するようにしたので、電力増幅器の非線形特性解析の高精度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による非線形特性解析装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1の非線形特性解析装置における動的非線形特性を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2による非線形特性解析装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3による非線形特性解析装置を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4による非線形特性解析装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態5による非線形特性解析装置を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態6による非線形特性解析装置を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態8による非線形特性解析装置の信号を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態9による送信機を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による非線形特性解析装置を示す構成図である。
図1に示す非線形特性解析装置は、電力増幅器1、2トーン信号発生手段2、レベル可変手段3、出力端子4、入力信号分岐手段5、出力信号分岐手段6、入力信号検出手段7、出力信号検出手段8、非線形特性算出手段9、非線形特性平均化手段10、非線形特性合成手段11を備え、電力増幅器1のAM−AM特性(入力振幅に対する出力振幅の特性)や電力増幅器のAM−PM特性(入力振幅に対する出力位相の特性)を解析するものである。
【0010】
2トーン信号発生手段2は、二つの周波数成分から構成される2トーン信号を発生する手段である。レベル可変手段3は、2トーン信号発生手段2により発生された2トーン信号を少なくとも二つの異なる平均電力レベルに変化させる手段である。出力端子4は、電力増幅器1で増幅された信号が出力される端子である。入力信号分岐手段5は、レベル可変手段3により平均電力レベルが調整された2トーン信号の一部を分岐する手段である。出力信号分岐手段6は、電力増幅器1から出力された出力信号を分岐する手段である。入力信号検出手段7は、入力信号分岐手段5により分岐された2トーン信号を検出する手段である。出力信号検出手段8は、出力信号分岐手段6で分岐された2トーン信号を検出する手段である。非線形特性算出手段9は、入力信号検出手段7により検出された2トーン信号と、出力信号検出手段8によって検出された2トーン信号から、電力増幅器1の動的非線形特性を算出し、算出した動的非線形特性を平均電力レベル毎に保存する手段である。非線形特性平均化手段10は、非線形特性算出手段9により算出された動的非線形特性を平均化し、平均電力レベル毎に保存する手段である。非線形特性合成手段11は、非線形特性平均化手段10に保存された異なる平均電力レベルの非線形特性を合成して出力する手段である。
【0011】
このように、実施の形態1は、二つの周波数成分から構成される2トーン信号を発生する2トーン信号発生手段2を有し、2トーン信号入力時の電力増幅器1の動的非線形特性を解析するものである。また、2トーン信号の平均電力レベルをレベル可変手段3により変化させることで、異なる出力電力レベルにおいて動的非線形特性を取得する。さらに、異なる出力電力レベルにおいて得られた動的非線形特性を非線形特性合成手段11により合成する。すなわち、この実施の形態1の特徴とするところは、異なる平均電力レベルにおいて、2トーン信号入力時の電力増幅器の動的非線形特性を解析し、これらを合成することで非線形特性の解析精度を向上するものである。
【0012】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
2トーン信号発生手段2では、異なる二つの周波数成分f1およびf2から成る2トーン信号を発生させる。2トーン信号発生手段2より発生された2トーン信号は、レベル可変手段3により平均電力レベルがA dBmとなるように調整される。レベル可変手段3で平均電力レベルが調整された2トーン信号は、入力信号分岐手段5を介して、一方は電力増幅器1に出力され、他方は入力信号検出手段7に出力される。電力増幅器1に出力された2トーン信号は、電力増幅器1で増幅され、出力信号分岐手段6を介して出力信号検出手段8に出力される。入力信号検出手段7に出力された信号は、入力信号が検出され、非線形特性算出手段9に出力される。出力信号検出手段8に出力された信号は、出力信号が検出され、非線形特性算出手段9に出力される。非線形特性算出手段9には、入力信号検出手段7、および出力信号検出手段8からの出力が入力され、両者の時間波形から瞬時利得、および瞬時位相(動的非線形特性)が算出される。このとき、瞬時利得G(t)、および瞬時位相θ(t)は、入力信号検出手段7からの複素信号Vin(t)と出力信号検出手段8からの複素信号Vout(t)とを用いて、以下の式(1)のように表される。
【0013】
G(t)=|Vout(t)/Vin(t)|・・・(1)
θ(t)=∠(Vout(t)/Vin(t))・・・(2)
上記の(1)、(2)式を用いて算出された動的非線形特性は、入力電力の平均電力レベルがA dBm時の特性(例えば第1の非線形特性)として非線形特性算出手段9内の図示しないメモリに保存される。図2(a)に非線形特性算出手段9の効果を表す図を示す。
【0014】
次に、2トーン信号発生手段2より発生された2トーン信号は、レベル可変手段3により平均電力レベルがB dBm(A<B)となるように調整される。2トーン信号のPAPR(Peak to Average Ration)は3dBであるため、例えば、平均電力B dBmは飽和電力から3dBバックオフに設定することで、飽和近傍の非線形特性を解析する。また、平均電力A dBmは、例えば飽和電力からさらにバックオフをとった6dBバックオフにおいて非線形特性を解析する。レベル可変手段3で平均電力レベルが調整された2トーン信号は、前述の平均電力レベルがA dBmの2トーン信号と同様、上記(1)、(2)式に基づき、動的非線形特性が算出される。このとき算出された動的非線形特性は、入力電力の平均電力レベルがB dBm時の特性(例えば第2の非線形特性)としてメモリに保存される。
【0015】
非線形特性平均化手段10には、非線形特性算出手段9において保存された第1の非線形特性、および第2の非線形特性が出力される。非線形特性平均化手段10では、第1の非線形特性、および第2の非線形特性がそれぞれ平均化され、それぞれ第1の平均非線形特性、および第2の平均非線形特性として図示しないメモリに保存される。図2(b)に非線形特性平均化手段10の効果を表す図を示す。図2(b)において、四角印のプロットが平均非線形特性である。
【0016】
非線形特性合成手段11には、非線形特性平均化手段10において保存された第1の平均非線形特性、および第2の平均非線形特性が出力される。図2(c)は、平均電力A dBm時に取得した第1の平均非線形特性、および平均電力B dBm時に取得した第2の非線形特性を示している。平均電力B dBm時に取得した第2の平均非線形特性は、飽和領域の非線形特性を得ることができるものの、信号の存在確率が少ない低出力・中出力領域の特性が上反り傾向となっており、第1の平均非線形特性と一致しないことが分かる。このため、低出力・中出力領域では、平均電力A dBm時に取得した第1の平均非線形特性、飽和領域では、平均電力B dBm時に取得した第2の平均非線形特性を用い、両者を合成する。すなわち、非線形特性合成手段11では、第1の平均非線形特性と第2の平均非線形特性が、ある任意の平均出力電力点を基準として合成される。例えば、平均出力電力C dBmを基準とする場合,平均出力電力がC dBmよりも小さい電力領域では、第1の平均非線形特性を、平均出力電力がC dBm以上の電力領域では第2の平均非線形特性を用い、両者を合成する。図2(d)に非線形特性合成手段11の効果を表す図を示す。なお、本実施の形態では異なる二つの平均電力で解析した非線形特性を合成する例を示したが、例えば、3dBバックオフ、6dBバックオフ、9dBバックオフ・・・と必要に応じてある電力ステップ間隔で非線形特性を解析し、それらを合成することもできる。
【0017】
このように、実施の形態1では、2トーン信号発生手段2を備え、2トーン信号の平均電力レベルをレベル可変手段3により変化させることで、異なる平均電力レベルにおいて、2トーン信号入力時の電力増幅器1の動的非線形特性を解析する。さらに、異なる平均電力レベルにおいて取得した動的非線形特性を平均化し合成することで、高精度な動的非線形特性を得ることができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
なお、位相特性についても上述した利得特性と同様の手法で算出することで、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
また、出力信号検出手段8では出力信号分岐手段6で分岐した信号を入力するようにしたが、電力増幅器1で増幅された2トーン信号を検出できるのであれば、出力信号分岐手段6を削除しても同様の効果を得ることができる。
【0018】
以上説明したように、実施の形態1の非線形特性解析装置によれば、電力増幅器のAM−AM、AM−PM特性を解析する非線形特性解析装置であって、二つの周波数成分から構成される2トーン信号を発生する2トーン信号発生手段2と、2トーン信号発生手段2により発生された2トーン信号を少なくとも二つの異なる平均電力レベルに変化させるレベル可変手段3と、レベル可変手段3により平均電力レベルが調整された2トーン信号の一部を分岐する入力信号分岐手段5と、入力信号分岐手段5により分岐された2トーン信号を検出する入力信号検出手段7と、レベル可変手段3により平均電力レベルが調整された2トーン信号を増幅する電力増幅器1と、電力増幅器1により増幅された2トーン信号の一部を分岐する出力信号分岐手段6と、出力信号分岐手段6により分岐された2トーン信号を検出する出力信号検出手段8と、入力信号検出手段7により検出された2トーン信号と出力信号検出手段8によって検出された2トーン信号から、電力増幅器1の動的非線形特性を算出し、算出した動的非線形特性を平均電力レベル毎に保存する非線形特性算出手段9と、非線形特性算出手段9により算出された動的非線形特性を平均化し、平均電力レベル毎に保存する非線形特性平均化手段10と、非線形特性平均化手段10に保存された異なる平均電力レベルの非線形特性を合成して出力する非線形特性合成手段11とを備えたので、電力増幅器の非線形特性解析の高精度化を図ることができる。
【0019】
また、本実施の形態を計算に適用する場合には、2トーン信号を使用するため、ハーモニックバランス解析によって容易に計算することが可能である。さらに、本実施の形態を測定に適用する場合には、2トーン信号を使用するため、変調器が不要となり、簡易な構成で測定系の構築ができる。
【0020】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2の非線形特性解析装置を示す構成図である。
実施の形態2における非線形特性解析装置は、電力増幅器1、レベル可変手段3、出力端子4、入力信号分岐手段5、出力信号分岐手段6、入力信号検出手段7、出力信号検出手段8、非線形特性算出手段9、非線形特性平均化手段10、非線形特性合成手段11、第1の切替手段30、第2の切替手段31、Nトーン信号発生手段200を備えている。実施の形態2の非線形特性解析装置と、図1に示した実施の形態1の非線形特性解析装置との違いは、実施の形態1における2トーン信号発生手段2に代えてNトーン信号発生手段200を設け、かつ、第1の切替手段30、および第2の切替手段31を設けた点である。
【0021】
実施の形態1で用いた2トーン信号発生手段2は、PAPR(Peak to Average Ration)が3dBの2トーン信号を発生する。このため、飽和電力から3dBバックオフを確保した状態で電力増幅器1を動作させなければ、飽和電力近傍の動的非線形特性を観測することが出来ない。この場合、2トーン信号と同等のPAPRを有する変調波信号、例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)信号を想定した場合には、精度の高い動的非線形特性を取得することが出来る。しかしながら、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号やLTE(Long Term Evolution)信号などPAPRが3dBよりも大きな変調波信号を想定した場合には、通常、飽和電力から十分バックオフを確保した状態で電力増幅器1を動作させるため、2トーン信号では動的非線形特性を精度良く模擬できない可能性がある。また、信号帯域幅が広帯域な変調波信号を想定した場合、帯域内の周波数特性が無視できなくなり、2トーン信号では精度良く動的非線形特性を模擬できない可能性がある。
【0022】
これに対処するため、実施の形態2では、図3に示すように、Nトーン信号発生手段200によって発生されたNトーン信号(Nは3以上の任意の整数)を用いて動的非線形特性を取得する。例えば4トーンの場合、PAPRは6dB、8トーンの場合、PAPRは9dBとなる。また、Nトーン信号生成手段は、NPR(Noise Power Ratio)を測定する際に用いるテスト信号を発生することもできる。NPRを測定する際に用いるテスト信号はPAPRが10dB程度となる。
【0023】
すなわち、この実施の形態の特徴とするところは、Nトーン信号発生手段200を備えることで、PAPRや信号帯域幅の異なる様々な変調波信号に対応した高精度な動的非線形特性を短時間で取得し、非線形特性の解析精度を向上するものである。また、第1の切替手段30及び第2の切替手段31は、Nトーン信号発生手段200により発生されたNトーン信号の電力レベルを変化させる場合と変化させない場合とを切り替え、平均電力レベルを調整する切替手段を構成するものである。図3における他の構成は実施の形態1の図1に示した構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0024】
次に、実施の形態2の動作について説明する。
Nトーン信号発生手段200では、任意のNトーン信号が生成、送信される。送信されたNトーン信号は、レベル可変手段3と、第1の切替手段30および第2の切替手段31によって、平均電力レベルを変化する場合と平均電力レベルを変化しない場合に分けられる。その後、非線形特性算出手段9、非線形特性平均化手段10、および非線形特性合成手段11により、動的非線形特性が算出され、平均化/合成される。例えば、Nトーン信号発生手段200で4トーン信号が生成、送信され、第1の切替手段30、および第2の切替手段31によって、平均電力レベルを変化する場合には、6dBバックオフ、12dBバックオフ・・・と必要に応じてある電力ステップ間隔で非線形特性を解析し、それらを合成する。一方、第1の切替手段30、および第2の切替手段31によって、平均電力レベルを変化しない場合においては、非線形特性合成手段11は、ある一点の平均電力レベルで取得した動的非線形特性を算出し、平均化する。
【0025】
それ以外の動作については、実施の形態1で既に説明しているため省略する。このように、実施の形態2の非線形特性解析装置では、Nトーン信号発生手段200を備え、Nトーン信号入力時の動的非線形特性を解析することで、PAPRや信号帯域幅の異なる様々な変調波信号に対応した高精度な動的非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
【0026】
また、実施の形態2では、2トーン信号よりもPAPRの大きなNトーン信号を用いるため、解析回数が減り計算時間もしくは測定時間を短縮することが可能である。また、本実施の形態を計算に適用する場合には、Nトーン信号を使用するため、ハーモニックバランス解析によって容易に計算することが可能である。さらに、本実施の形態を測定に適用する場合には、Nトーン信号を使用するため、変調器が不要となり、簡易な構成で測定系の構築ができる。
【0027】
以上説明したように、実施の形態2の非線形特性解析装置によれば、電力増幅器のAM−AM、AM−PM特性を解析する非線形特性解析装置であって、N個(Nは3以上の任意の実数)の周波数成分から構成されるNトーン信号を発生するNトーン信号発生手段と、Nトーン信号発生手段により発生されたNトーン信号の電力レベルを変化させる場合と変化させない場合とを切り替え、平均電力レベルを調整する切替手段と、切替手段により平均電力レベルが調整されたNトーン信号の一部を分岐する入力信号分岐手段と、入力信号分岐手段により分岐されたNトーン信号を検出する入力信号検出手段と、切替手段により平均電力レベルが調整されたNトーン信号を増幅する電力増幅器と、電力増幅器により増幅されたNトーン信号の一部を分岐する出力信号分岐手段と、出力信号分岐手段により分岐されたNトーン信号を検出する出力信号検出手段と、入力信号検出手段により検出されたNトーン信号と出力信号検出手段によって検出されたNトーン信号から、電力増幅器の動的非線形特性を算出し、算出した動的非線形特性を平均電力レベル毎に保存する非線形特性算出手段と、非線形特性算出手段により算出された動的非線形特性を平均化し、平均電力レベル毎に保存する非線形特性平均化手段と、非線形特性平均化手段に保存された異なる平均電力レベルの非線形特性を合成して出力する非線形特性合成手段とを備えたので、電力増幅器の非線形特性解析の高速化と高精度化を図ることができる。
【0028】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3の非線形特性解析装置を示す構成図である。
実施の形態3における非線形特性解析装置は、電力増幅器1、レベル可変手段3、出力端子4、入力信号分岐手段5、出力信号分岐手段6、入力信号検出手段7、出力信号検出手段8、非線形特性算出手段9、非線形特性平均化手段10、非線形特性合成手段11、変調波信号源19、第1の切替手段30、第2の切替手段31を備えている。実施の形態3の非線形特性解析装置と、図3に示した実施の形態2の非線形特性解析装置との違いは、実施の形態2におけるNトーン信号発生手段200に代えて変調波信号源19を設けた点である。他の構成は実施の形態2の図3に示した構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0029】
実施の形態1や実施の形態2では、実運用時に用いられる変調波信号を模擬するために、2トーン信号発生手段2、またはNトーン信号発生手段200を設けているが、本実施の形態では、変調波信号そのものを用いて動的非線形特性を解析する。すなわち、この実施の形態の特徴とするところは、入力信号として変調波信号そのものを用いることで、短時間に高精度な動的非線形特性を取得し、非線形特性の解析精度を向上するものである。
【0030】
次に、実施の形態3の動作について説明する。
変調波信号源19では、運用時に用いられる変調波信号が生成、送信される。送信された変調波信号は、第1の切替手段30、および第2の切替手段31によって、平均電力レベルを変化する場合と平均電力レベルを変化しない場合に分けられる。その後、非線形特性算出手段9、非線形特性平均化手段10、および非線形特性合成手段11により、動的非線形特性が算出され、平均化/合成される。なお、切替手段30によって、平均電力レベルを変化しない場合においては、非線形特性合成手段11は、ある一点の平均電力レベルで取得した動的非線形特性を算出し、平均化する。それ以外の動作については、実施の形態1で既に説明しているため省略する。
【0031】
以上説明したように、実施の形態3の非線形特性解析装置によれば、変調波信号源19を備え、実運用時に用いられる変調波信号入力時の動的非線形特性を解析することで、短時間に高精度な動的非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。なお、変調波信号源19は、例えば、W−CDMA信号、OFDM信号、LTE信号などを生成する。
【0032】
実施の形態4.
図5(a)は、実施の形態4の非線形特性解析装置を示す構成図である。
本実施の形態の非線形特性解析装置と図1に示した実施の形態1の非線形特性解析装置との違いは、実施の形態1における2トーン信号発生手段2に代えて周波数間隔変化型2トーン信号発生手段2aを設けた点である。他の構成は実施の形態1の図1に示した構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0033】
実施の形態1で用いた2トーン信号発生手段2は、2トーンの周波数間隔Δf(=|f1−f2|)が固定であるため、電力増幅器1が差周波成分に依存して大きく変化するような強いメモリ効果歪みを有する場合、変調波入力時の動的非線形特性を精度良く模擬できない可能性がある。これに対処するため、実施の形態4では、図5(b)に示すように、2トーン信号の周波数間隔Δfを変化させる。
【0034】
すなわち、この実施の形態の特徴とするところは、2トーン信号の周波数間隔Δfを変化させる周波数間隔変化型2トーン信号発生手段2aを備えることで、電力増幅器1のメモリ効果歪みを考慮した高精度な動的非線形特性を取得し、非線形特性の解析精度を向上するものである。
【0035】
次に、実施の形態4の動作について説明する。
図5(a)において、周波数間隔変化型2トーン信号発生手段2aでは、周波数間隔Δfの異なる2トーン信号が順に生成、送信される。送信された2トーン信号は、非線形特性算出手段9、非線形特性平均化手段10、および非線形特性合成手段11により、動的非線形特性が算出され、平均化/合成される。なお、このときの動作については、実施の形態1で既に説明しているため省略する。非線形特性合成手段11には、周波数間隔Δf毎に合成された非線形特性が存在するため、さらにこれらを平均化することで、差周波依存性を持つ歪みを表現することができる。
【0036】
以上説明したように、実施の形態4の非線形特性解析装置によれば、周波数間隔変化型2トーン信号発生手段2aを備え、周波数間隔Δfの異なる2トーン信号入力時の動的非線形特性を解析することで、電力増幅器1のメモリ効果歪みを考慮した高精度な動的非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
【0037】
また、本実施の形態を計算に適用する場合には、ハーモニックバランス解析によって容易に計算することが可能である。さらに、本実施の形態を測定に適用する場合には、Nトーン信号を使用するため、変調器が不要となり、簡易な構成で測定系の構築ができる。
なお、ここでは周波数間隔Δfの異なる2トーン信号を生成する例を示したが、周波数間隔Δfの異なるNトーン信号を生成した場合についても同様の効果を得ることができる。Nトーン信号を用いた場合には、解析回数が減り計算時間もしくは測定時間を短縮することが可能である。
【0038】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5の非線形特性解析装置を示す構成図である。
本実施の形態の非線形特性解析装置と図1に示した実施の形態1の非線形特性解析装置との違いは、入力信号検出手段7の前段側に、入力信号分岐手段5により分岐された2トーン信号をダウンコンバートする第1の周波数変換手段12を備えると共に、出力信号検出手段8の前段側に電力増幅器1により増幅された2トーン信号をダウンコンバートする第2の周波数変換手段13を備えた点である。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
実施の形態5では、入力信号検出手段7及び出力信号検出手段8の前段側に第1の周波数変換手段12及び第2の周波数変換手段13を備えたので、実施の形態1と比較して、入力信号検出手段7及び出力信号検出手段8からの信号の時間変動が緩和される。すなわち、本実施の形態の特徴とするところは、入力信号分岐手段5及び出力信号分岐手段6からの出力をダウンコンバートすることで、高精度な動的非線形特性を取得し、非線形特性の解析精度を向上するものである。
【0040】
次に、実施の形態5の非線形特性解析装置の動作について説明する。
図6において、入力信号分岐手段5からの出力は第1の周波数変換手段12により、RFからIFまたはBB(ベースバンド)に周波数変換される。第1の周波数変換手段12により周波数変換された信号は、入力信号検出手段7を介して、非線形特性算出手段9に出力される。一方、出力信号分岐手段6からの出力は第2の周波数変換手段13により、RFからIFまたはBBに周波数変換される。第2の周波数変換手段13により周波数変換された信号は、出力信号検出手段8を介して、非線形特性算出手段9に出力される。非線形特性算出手段9以降の動作は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0041】
以上のように、この実施の形態5によれば、入力信号分岐手段5及び出力信号分岐手段6からの出力を周波数変換することで、高精度な動的非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
なお、第1の周波数変換手段12及び第2の周波数変換手段13は同一のローカル発振器を用いて構成しても良い。その場合、第1の周波数変換手段12及び第2の周波数変換手段13の個体ばらつきを抑えることができ、回路の小形化も期待できる。
【0042】
以上説明したように、実施の形態5の非線形特性解析装置によれば、入力信号検出手段7の前段側に、入力信号分岐手段5により分岐された2トーン信号をダウンコンバートする第1の周波数変換手段12を備えると共に、出力信号検出手段8の前段側に出力信号分岐手段6により分岐された2トーン信号をダウンコンバートする第2の周波数変換手段13を備えたので、高精度な動的非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
【0043】
実施の形態6.
図7は、実施の形態6の非線形特性解析装置を示す構成図である。
本実施の形態の非線形特性解析装置と図1に示した実施の形態1の非線形特性解析装置との違いは、入力信号検出手段7の出力側に、入力信号検出手段7の出力信号を遅延させる遅延回路14を備えた点である。これ以外は実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
これにより,実施の形態1と比較して、入力信号検出手段7及び出力信号検出手段8からの信号のタイミング調整が可能となる。すなわち、本実施の形態の特徴とするところは、入力信号検出手段7及び出力信号検出手段8からの信号のタイミング調整を行うことで、高精度な動的非線形特性を取得し、非線形特性の解析精度を向上するものである。
【0045】
次に、実施の形態6の非線形特性解析装置の動作について説明する。
図7において、入力信号検出手段7と出力信号検出手段8の出力信号は、電力増幅器1の遅延分だけ、信号のタイミングにずれが生じる。このため、入力信号検出手段7からの出力は遅延回路14によりタイミング調整を行った後、非線形特性算出手段9に出力する。これにより、非線形特性算出手段9に入力される入力信号検出手段7からの信号と出力信号検出手段8からの信号とはそのタイミングを合わせることができる。非線形特性算出手段9以降の動作は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0046】
なお、上記例では、遅延回路14は入力信号検出手段7の後段側に設けたが、入力信号分岐手段5と入力信号検出手段7との間に接続された場合においても、同様の効果を得ることができる。すなわち、入力信号分岐手段により分岐され、非線形特性算出手段9に入力される2トーン信号を遅延させることができるならば、遅延回路14の設置位置は限定されない。
【0047】
以上説明したように、実施の形態6の非線形特性解析装置によれば、入力信号分岐手段5により分岐され、非線形特性算出手段9に入力される2トーン信号を遅延させる遅延回路14を備え、入力信号検出手段7からの出力信号と出力信号検出手段8からの出力信号とをタイミング調整するようにしたので、高精度な動的非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
【0048】
実施の形態7.
実施の形態7では、レベル可変手段3により2以上の複数レベルに変化される電力増幅器の出力電力のうち、少なくとも一つは飽和電力から信号のPAPR分だけバックオフをとった出力電力とする。例えば、2トーンの場合は3dBバックオフ、4トーンの場合は6dBバックオフ、8トーンの場合は9dBバックオフで解析する。実施の形態7における非線形特性解析装置の図面上の構成は実施の形態1〜5のいずれかであるため、ここでの説明は省略する。
【0049】
図2(c)では、第2の平均非線形特性は飽和電力から3dBバックオフで取得した平均非線形特性を示している。2トーン信号のピーク対平均電力比は3dBであるため、飽和電力から3dBバックオフを確保することで、飽和領域の非線形特性を得ることができる。また、少なくとも一つを飽和電力から3dBバックオフとした場合、その他は3dBよりも大きいバックオフとする。
【0050】
以上説明したように、実施の形態7の非線形特性解析装置によれば、レベル可変手段3により2以上の複数レベルに変化される電力増幅器の出力電力のうち、少なくとも一つは飽和電力から信号のPAPR分だけバックオフをとった出力電力としたので、飽和領域まで非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
【0051】
実施の形態8.
この実施の形態では、2トーンの周波数間隔を変調波信号帯域幅と同じにする。なお、実施の形態8における非線形特性解析装置の図面上の構成は実施の形態1〜5のいずれかであるため、ここでの説明は省略する。
例えば、図8に示す変調波信号の場合、2トーンの周波数間隔をΔf1とする。差周波に依存して生じるメモリ効果は、信号帯域幅が広いほど強く観測されるため、変調波信号の最大帯域幅に相当する周波数間隔を2トーン信号で実現することで、変調波信号入力時に生じるメモリ効果を近似した非線形特性を得ることができる。
【0052】
以上説明したように、実施の形態8の非線形特性解析装置によれば、2トーンの周波数間隔を変調波信号帯域幅と同じにすることで、変調波信号入力時に生じるメモリ効果を近似した非線形特性を得ることができる。またこの実施の形態においては、周波数間隔を変化させることがないため、短時間に精度の高い動的非線形特性を取得することができ、非線形特性の解析精度を向上させることができる。
【0053】
実施の形態9.
図9は、実施の形態9における送信機を示す構成図である。
本実施の形態の送信機は実施の形態1の非線形特性解析装置を用いたものであり、図1に示した実施の形態1の非線形特性解析装置との違いは、歪み計算手段15、メモリ16、バイアス電圧判別手段17、バイアス電圧可変手段18、変調波信号源19、切替スイッチ20を備えた点である。
【0054】
ここで、歪み計算手段15は、非線形特性合成手段11によりバイアス電圧毎に出力された電力増幅器1の動的非線形特性から歪みレベルを計算する手段である。メモリ16は、歪み計算手段15により計算された歪みレベルをバイアス電圧毎に保存する記憶手段である。バイアス電圧判別手段17は、バイアス電圧毎の歪みレベルから、歪みレベルが最小となるバイアス電圧を判別する手段である。バイアス電圧可変手段18は、電力増幅器1のバイアス電圧を予め決められた任意の範囲内で変化させる手段であり、バイアス電圧判別手段17により判別されたバイアス電圧を電力増幅器1に供給するよう構成されている。また、変調波信号源19は、変調波信号を発生させる信号源である。切替スイッチ20は、2トーン信号発生手段2と変調波信号源19とを選択して電力増幅器1に送出するためのスイッチである。
【0055】
この実施の形態9は、2トーン信号発生手段2に加えて変調波信号源19を備え、切替スイッチ20により、変調波信号源19より送信される変調波信号または2トーン信号発生手段2より送信される2トーン信号を選択するものである。また、通常運用モードと、非線形特性解析モードとの二つの動作モードを有し、通常運用モードでは、変調波信号源19を選択し、非線形特性解析モードでは、2トーン信号発生手段2を選択する。すなわち、この実施の形態9の特徴とするところは、電力増幅器1のバイアス電圧をある任意の電圧範囲において変化させ、各バイアス電圧毎に取得した動的非線形特性を用いて歪みを計算し、計算した歪みが最小となるバイアス電圧を供給することで、非線形歪みを改善するものである。
【0056】
次に、実施の形態9の送信機の動作について説明する。
まず、非線形特性解析モードについて説明する。
図9において、切替スイッチ20では、2トーン信号発生手段2が選択される。バイアス電圧可変手段18はバイアス電圧初期値V0を供給する。このときの非線形特性合成手段11の出力を得るまでの動作は、実施の形態1と同様であるためここでの説明は省略する。歪み計算手段15には、非線形特性合成手段11からの出力が入力され、AM−AM/AM−PM特性を用いて歪みが計算され、その結果がバイアス電圧と共にメモリ16に保存される。
【0057】
以降、バイアス電圧は、バイアス電圧可変手段18により任意の電圧範囲V0<V<VNにおいて任意の電圧ステップで変化され、バイアス電圧毎に計算された歪みの値がバイアス電圧と共にメモリ16に保存される。バイアス電圧判別手段17には、メモリ16に保存された歪みの値が入力され、歪みが最小となるバイアス電圧が判別される。バイアス電圧判別手段17により選定されたバイアス電圧は、バイアス電圧可変手段18に出力され、バイアス電圧可変手段18により電力増幅器1に供給される。
【0058】
次に、通常運用モードについて説明する。
切替スイッチ20では、変調波信号源19が選択される。変調波信号源19より入力された変調波信号は、入力信号分岐手段5を介して電力増幅器1に入力される。このとき、電力増幅器1には、非線形特性解析モードにおいて選定されたバイアス電圧が供給されている。電力増幅器1に入力された変調波信号は増幅され、出力信号分岐手段6を介して出力端子4から出力される。
なお、変調波信号源19が2トーン信号発生手段2を兼ねる場合でも同様の効果が得られる。また、上記例では、実施の形態1の非線形特性解析装置を用いたが、実施の形態2〜8の非線形特性解析装置を用いて構成してもよい。
【0059】
以上説明したように、実施の形態9の送信機によれば、実施の形態1から実施の形態8のうちのいずれかの非線形特性解析装置を用いた送信機であって、電力増幅器1のバイアス電圧を予め決められた任意の範囲内で変化させるバイアス電圧可変手段18と、非線形特性合成手段11によりバイアス電圧毎に出力された電力増幅器1の動的非線形特性から歪みレベルを計算する歪み計算手段15と、歪み計算手段15により計算された歪みレベルをバイアス電圧毎に保存する記憶手段と、バイアス電圧毎の歪みレベルから、歪みレベルが最小となるバイアス電圧を判別するバイアス電圧判別手段17とを備え、バイアス電圧判別手段17により判別されたバイアス電圧をバイアス電圧可変手段18を介して電力増幅器1に供給するようにしたので、送信機としての電力増幅器1の非線形歪みを改善することができる。
【0060】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 電力増幅器、2 2トーン信号発生手段、2a 周波数間隔変化型2トーン信号発生手段、3 レベル可変手段、4 出力端子、5 入力信号分岐手段、6 出力信号分岐手段、7 入力信号検出手段、8 出力信号検出手段、9 非線形特性算出手段、10 非線形特性平均化手段、11 非線形特性合成手段、12 第1の周波数変換手段、13 第2の周波数変換手段、14 遅延回路、15 歪み計算手段、16 メモリ(記憶手段)、17 バイアス電圧判別手段、18 バイアス電圧可変手段、19 変調波信号源、20 切替スイッチ、30 第1の切替手段、31 第2の切替手段、200 Nトーン信号発生手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力増幅器のAM−AM、AM−PM特性を解析する非線形特性解析装置であって、
二つの周波数成分から構成される2トーン信号を発生する2トーン信号発生手段と、
前記2トーン信号発生手段により発生された2トーン信号を少なくとも二つの異なる平均電力レベルに変化させるレベル可変手段と、
前記レベル可変手段により平均電力レベルが調整された2トーン信号の一部を分岐する入力信号分岐手段と、
前記入力信号分岐手段により分岐された2トーン信号を検出する入力信号検出手段と、
前記レベル可変手段により平均電力レベルが調整された2トーン信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器により増幅された2トーン信号の一部を分岐する出力信号分岐手段と、
前記出力信号分岐手段により分岐された2トーン信号を検出する出力信号検出手段と、
前記入力信号検出手段により検出された2トーン信号と前記出力信号検出手段によって検出された2トーン信号から、前記電力増幅器の動的非線形特性を算出し、算出した動的非線形特性を平均電力レベル毎に保存する非線形特性算出手段と、
前記非線形特性算出手段により算出された動的非線形特性を平均化し、平均電力レベル毎に保存する非線形特性平均化手段と、
前記非線形特性平均化手段に保存された異なる平均電力レベルの非線形特性を合成して出力する非線形特性合成手段とを備えた非線形特性解析装置。
【請求項2】
電力増幅器のAM−AM、AM−PM特性を解析する非線形特性解析装置であって、
N個(Nは3以上の任意の実数)の周波数成分から構成されるNトーン信号を発生するNトーン信号発生手段と、
前記Nトーン信号発生手段により発生されたNトーン信号の電力レベルを変化させる場合と変化させない場合とを切り替え、平均電力レベルを調整する切替手段と、
前記切替手段により平均電力レベルが調整されたNトーン信号の一部を分岐する入力信号分岐手段と、
前記入力信号分岐手段により分岐されたNトーン信号を検出する入力信号検出手段と、
前記切替手段により平均電力レベルが調整されたNトーン信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器により増幅されたNトーン信号の一部を分岐する出力信号分岐手段と、
前記出力信号分岐手段により分岐されたNトーン信号を検出する出力信号検出手段と、
前記入力信号検出手段により検出されたNトーン信号と前記出力信号検出手段によって検出されたNトーン信号から、前記電力増幅器の動的非線形特性を算出し、算出した動的非線形特性を平均電力レベル毎に保存する非線形特性算出手段と、
前記非線形特性算出手段により算出された動的非線形特性を平均化し、平均電力レベル毎に保存する非線形特性平均化手段と、
前記非線形特性平均化手段に保存された異なる平均電力レベルの非線形特性を合成して出力する非線形特性合成手段とを備えた非線形特性解析装置。
【請求項3】
2トーン信号発生手段またはNトーン信号発生手段は、トーン信号の周波数間隔が可変な周波数間隔可変信号発生手段であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の非線形特性解析装置。
【請求項4】
入力信号検出手段の前段側に、入力信号分岐手段により分岐された2トーン信号またはNトーン信号をダウンコンバートする第1の周波数変換手段を備えると共に、出力信号検出手段の前段側に出力信号分岐手段により分岐された2トーン信号またはNトーン信号をダウンコンバートする第2の周波数変換手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の非線形特性解析装置。
【請求項5】
入力信号分岐手段により分岐され、非線形特性算出手段に入力される2トーン信号またはNトーン信号を遅延させる遅延回路を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の非線形特性解析装置。
【請求項6】
レベル可変手段により複数レベルに変化される電力増幅器の出力電力のうち、少なくとも一つは、飽和電力から入力信号のPAPRと同等のバックオフをとった出力電圧レベルであることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の非線形特性解析装置。
【請求項7】
2トーン信号発生手段またはNトーン信号発生手段は、変調波信号の信号帯域幅と同じ周波数間隔を有する2トーン信号またはNトーン信号を発生することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の非線形特性解析装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の非線形解析装置を用いた送信機であって、
前記電力増幅器のバイアス電圧を予め決められた任意の範囲内で変化させるバイアス電圧可変手段と、
非線形特性合成手段によりバイアス電圧毎に出力された前記電力増幅器の動的非線形特性から歪みレベルを計算する歪み計算手段と、
前記歪み計算手段により計算された歪みレベルをバイアス電圧毎に保存する記憶手段と、
前記バイアス電圧毎の歪みレベルから、当該歪みレベルが最小となるバイアス電圧を判別するバイアス電圧判別手段とを備え、
前記バイアス電圧判別手段により判別されたバイアス電圧を前記バイアス電圧可変手段を介して前記電力増幅器に供給することを特徴とする送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−38772(P2013−38772A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145699(P2012−145699)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】