説明

非金属電気伝導性および熱伝導性ナノ構造体ベースアダプター

電源からの比較的高い電流を外部回路に劣化せずに提供する伝導性アダプターを提供する。アダプターは伝導性ナノ構造体ベースの材料から形成されかつ相対する末端を有する伝導性部材を含む。アダプターはまた伝導性部材の一端に位置するコネクター部分を包含し、コネクター部分と接触して伝導性部材中の伝導性ナノ構造体の数を最大にする為のものである。アダプターは伝導性部材とコネクター部分との間に位置するカップリング構造を有し、実質的に均一な接触を伝導性部材中の伝導性ナノ構造とコネクター部分との間に提供する。そのような伝導性アダプターの製法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気および熱アダプター、より詳しくはナノスケールの伝導性部材と従前の電気および/または熱回路システムとの間の相互作用を最大にするようにデザインされたナノ構造体ベースアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
システム中での導電体と他の部材、例えばコネクターとの結合は、接着剤の使用および/または機械的手段(例えば、クリンピングまたははんだ接合)の使用を通常包含する。これらの全てがいくつかの利点を有している。
【0003】
接着剤
部材間の電気または熱接触はしばしば接着剤によって提供されうる。例えば、電解キャパシター中の高い表面積部材の接合はコンプレックスセルロースバインダーおよびアルミまたはチタンフォイルによって形成される。この種のバインダーシステムはキャパシターの性能を著しく低下しうる実質的に高い内部抵抗を形成する。この内部抵抗は、またキャパシター時間定数(τ=RC)を増大するためにも作用する。他のバインダーの例には各成分のエポキシ結合が含まれる。そのような結合は、熱源近くの飛行機やジェットエンジンの部材の結合に見られるような(1)機械的結合を提供すること、および(2)熱の保持の二つの機能を有することがある。
【0004】
熱結合の場合、優れた接触域の提供がしばしば難しい。例えば、一体回路ハウジングとヒートシンクとの間の結合でのよい接触は、20℃以上の熱抵抗が接合を通して150Watt/cmを稼働するのに必要であるものを提供することは難しい。
【0005】
機械的手段
電流または熱エネルギーは二つの接触する表面を少しの、または50以下の原子接触点において透過しなければならないということが、電気接触のクールマンーウィルスドルフ(Kuhlmann-Wilsdorf)理論および電気接触の為のR.ホルム(R. Holm)理論よる同様のものによって示されてきた。興味ある点は、このことが接触面積の総量に強く基づくのではなく、接触間のクランピング力に基づく点である。コネクターとそれに対応する接触部材との間の実際の接触に存在する表面積の全量のこの限定は、大きな電気的または熱的接触抵抗を一般に導入しうる。
【0006】
はんだ接合
この接触抵抗を克服し、全体の伝導性を改善するためには、効果的な接触面積が増大される必要がある。これを達成するための一つの手段は、はんだ付である。しかしながら、一般にはんだに用いられている鉛−錫合金、または鉛フリーのはんだ(例えば、銀−アンチモン−錫)でさえはんだ接合点または接合部に金属間化合物または層を形成する傾向が高い。金属間化合物の形成は、例えばはんだ中に存在する錫−銅などが一般に熱導体および導電体に用いられている導体、例えば銅にカップルしたときに早い拡散を示すから、起こるのである。更に、金属間化合物または層の形成は常温でも起こり続けている。このような結合物の形成の結果、金属間層自体が脆く(即ち、劣化しやすく)電気的および熱的に抵抗性であり、これらの接合部分が熱膨張に異なる係数を有しているときには特に、抵抗の増大やはんだ付け部分に大きな機械的欠陥さえおこる。
【0007】
このことは、熱的結合部分や電気接合部分の両方で実際に起こる。金属間化合物の形成によるはんだシステムの劣化の例は、自動車産業や、航空産業およびミサイル技術においても広く報告されている。
【0008】
この問題に対する一般的なアプローチは、熱発生部材と熱排出部材との間に「銀粉含有グリース」の導入である。このグリースは、グリースが熱抵抗を増大するとも考えられるが、熱の道を別に提供するので、熱移動を増大するのである。充填剤、例えば銀粉はこのグリースに添加されて、加熱を改良する。
【0009】
この問題に加えて、電気移動や熱移動の効率を増大することや維持することはこれらの伝導性ナノ構造体によって可能であるが、巨大世界における装置に対する伝導性に含まれる接合や、伝導性ナノ構造体の数を最大にするためのデザインが現在は存在していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの問題において、電気抵抗や熱抵抗を最小にして全体の伝導性を向上することは行われているが、ナノスケールの伝導性部材と一般の電気および/または熱回路システムとの間の効果的な相互作用を可能にする方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一つの態様では、伝導性アダプターを提供する。アダプターは、ある態様では、導電性ナノ構造体ベース材料から形成され、相対する末端を有する伝導性部材を含む。そのような材料は、ナノチューブから製造されたワイヤー、ヤーン、テープ、リボン、またはシートの一つであってよい。ある態様では、伝導性部材は炭素、銅、銀、ホウ素、ホウ素ニトリド、MoSまたは同様の化合物、若しくはそれらの組合せの一つから形成されてよい。アダプターは、また伝導性部材の一端に位置してコネクター部分と接触して伝導性部材内部で導電性ナノ構造体の数を最大にして、ナノスケール環境と従前の電気および/または熱回路システムとの間の効率的な伝導を可能にするためのコネクター部分を有する。一つの態様では、コネクター部分は、銅、アルミニウム、金、銀、銀コート化銅、カドミウム、ニッケル、錫、ビスマス、ヒ素、これらの金属の合金、ホウ素、ホウ素ニトリド、ガラス状カーボン、セラミック、シリコン、シリコン化合物、ガリウムヒ素、それらの組合せ、または導電性および/または熱伝導性である他の材料の一つから形成されてもよい。アダプターは、さらに伝導性部材とコネクター部分との間位置するカップリング機構を包含し、それにより伝導性部材中の伝導性ナノ構造体ベース材料とコネクター部分との間に実質的に均一な接合を提供する。一つの態様では、カップリング機構は、実質的に低抵抗なカップリングを可能にするガラス状カーボン材料であって良い。カップリング機構は、コネクター部分上の接触表面領域に渡って、コネクター部分に対して実質的に均質な接触を有する伝導性部材を提供することができる。
【0012】
別の態様では、コネクター部分は、伝導性部材の相対する末端の少なくとも一つ上に、例えば電気メッキなどで付着されても良い。この態様では、コネクター部分が金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、ビスマス、錫、亜鉛、カドミウム、錫−ニッケル合金、銅合金、錫−亜鉛合金、ビスマス−銅合金、カドミウム−ニッケル合金、他の導電性金属およびそれらの合金、若しくはそれらの組合せの一つから形成されてもよい。更に、伝導性部材は少なくとも一つの方向に伝導性部材の延長を可能にするデザインが付与されても良い。
【0013】
本発明の別の態様では、伝導性部材の製造方法が提供される。その方法は、最初に、導電性ナノ構造体ベース材料から形成された伝導性部材および伝導性部材に接合しうるコネクター部分と提供する工程が包含される。一つの態様では、伝導性部材は、ナノチューブから製造されたワイヤー、ヤーン、テープ、リボン、またはシートの一つであってよい。ナノチューブは炭素、銅、銀、ホウ素、ホウ素ニトリド、MoSまたは同様の化合物、若しくはそれらの組合せの一つから形成されてもよい。一つの態様では、コネクター部分は、銅、アルミニウム、金、銀、銀コート化銅、カドミウム、ニッケル、錫、ビスマス、ヒ素、これらの金属の合金、ホウ素、ホウ素ニトリド、ガラス状カーボン、セラミック、シリコン、シリコン化合物、ガリウムヒ素、それらの組合せ、または導電性および/または熱伝導性である他の材料の一つから形成されてもよい。また、カップリング機構は伝導性部材とコネクター部分との間の接合部に置いても良い。ある態様では、カップリング機構は、ガラス状カーボンプレカーサー、例えばフルフリルアルコール、レゾール樹脂または加熱処理して結合部に付着しうるガラス状カーボンを形成すると知られている材料であってよい。伝導性部材およびコネクター部分は、結合部が加熱されてガラス状カーボンプレカーサーが熱分解してガラス状カーボンの低抵抗カップリング機構を形成するが、それらは互いに保持されても良い。一つの態様では、熱分解の最低温度は、約400℃以上の布巾であるべきである。この温度に感受性のある材料は本発明には適当でないということを認識するべきである。更に、熱分解は伝導性部材をカップリングするために従前の手段に対して実質的に優れた接触抵抗を提供するために、この結合部で完結する必要はない。
【0014】
本発明の別の態様では、伝導性部材の別の製造方法を提供する。この方法では、まず導電性ナノ構造体ベース材料から形成され、相対する末端を有する伝導性部材を提供する。一つの態様では、伝導性部材はナノチューブから製造されたワイヤー、ヤーン、テープ、リボン、またはシートの一つであってよい。ナノチューブは炭素、銅、銀、ホウ素、ホウ素ニトリド、MoSまたは同様の化合物、若しくはそれらの組合せの一つから形成されてもよい。次に、コネクター部分は、コネクター部分と接触して伝導性部材内部で導電性ナノ構造体の数を最大にして、ナノスケール環境と従前の電気および/または熱回路システムとの間の効率的な伝導を可能にするための伝導性部材の少なくとも一つの末端に付着されても良い。ある態様では、付着は、伝導性部材の相対する末端の各々上にコネクター部分を電気メッキすることにより行っても良い。そのような態様では、金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、ビスマス、錫、亜鉛、カドミウム、錫−ニッケル合金、銅合金、錫−亜鉛合金、ビスマス−銅合金、カドミウム−ニッケル合金、他の導電性金属およびそれらの合金、若しくはそれらの組合せの一つが用いられて、伝導性部材の相対する末端の各々上にコネクター部分を付着する。この方法は、更に、パターン化された伝導性部材を提供して、少なくとも一つの方向に伝導性部材の延長を行っても良い。特に、伝導性部材のデザインは、それがX軸、Y軸またはそれらの組合せの一つに沿って伝導性部材の延長を可能にするように行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A−B】本発明の一態様に基づく、ナノチューブを製造する化学蒸着システムを表す図である。
【0016】
【図2】本発明の一態様に基づく、電気および熱伝導性アダプターを表す図である。
【0017】
【図3】本発明の別の態様に基づく、電気および熱伝導性アダプターを表す図である。
【0018】
【図4A−E】本発明の種々の態様に基づく、延長可能な電気および熱伝導性アダプターを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
二つの可動性伝導体(例えば、高エネルギーキャパシター、グラウンドストラップ、母線または母線パイプ、またはパルス発生回路)の間の比較的高い電流パルスを波形を変化させずにまたは結合部を加熱せずに外部回路にかける必要性は、伝導パスの注意深い技術を要求する。このことは、伝導体が一般的に使用されている銅伝導体において、疲労的損傷の原因となりうる動きをする場合に重要である。この要求を満足するために、本発明は、一つの態様において、ナノ構造体ベースの伝導性部材、例えばカーボンナノチューブから例えばリボンや、回転ケーブルまたはシートの形態で製造されるものを使用して比較的高い電流パルスをかけるアプローチを提供する。
【0020】
現在、ナノチューブを成長させて、これらのナノチューブからシートやケーブル構造体を形成する種々の方法や改良が存在する。これらには、(1)化学蒸着(CVD)、大気圧または高圧下に約400℃以上の温度でおこる一般的製法、(2)アーク放電、高い真空度を有するチューブに達する高温法、および(3)レーザー摩耗が含まれる。
【0021】
本発明は、一つの態様で、CVD法または適当なナノ構造体、例えばカーボンナノチューブを生成する為に当業者に既知の同様のガス相熱分解法を用いる。CVD法の成長温度は、比較的低い範囲、例えば約400℃〜1350℃であり得る。単壁(SWNT)または複壁(MWNT)であろうとカーボンナノチューブは、本発明の態様では、試薬炭素含有ガス(即ち、ガス相炭素源)の存在下にナノスケール触媒粒子に暴露することによって成長させても良い。特に、ナノスケール触媒粒子は試薬カーボン含有ガス中に粒子を添加することにより、または金属有機プレカーサーまたは非金属触媒から粒子をその中で合成することにより導入しても良い。SWNTおよびMWNTの両方が形成されるが、ある場合には、SWNTが、比較的高い成長速度および熱伝導性、電子特性および強度に有利なロープ状構造体の形成する傾向を有するので、選択される。
【0022】
本発明に関連して得られた個々のカーボンナノチューブの強度は、約30GPa以上であってよい。この場合、強度は欠陥に感受性である。しかしながら、本発明で形成されたカーボンナノチューブの弾性率(elastic modulus)は欠陥に感受性でなく、約1〜1.2TPaで変化しうる。更に、これらのナノチューブの破損歪は、一般に構造体にありがちなパラメーターであって、本発明では約10%〜最大約25%であってよい。
【0023】
更に、本発明のナノチューブは比較的小さな直径で提供されうる。本発明の態様では、本発明で製造されたナノチューブが1nm以下から約10nmの範囲の直径で提供されうる。
【0024】
本発明のナノチューブは、リッツ(Litz)ワイヤーまたはケーブルと同様に高い電流を保持する伝導性部材として使用されうる。しかしながら、コネクター部分にはんだ付けされるリッツワイヤーやケーブルと違って、本発明のナノチューブ伝導性部材は、比較的低いインピーダンスを示す。特に、電流パルスが短ければ短いほど、銅のリボンやリッツワイヤーと比べてナノチューブベースのワイヤーケーブルやリボンがよりすぐれた性能を示すことが本発明では観測される。この良い性能を示す理由は、パルスの効果的周波数含量、即ち四角形で短い(例えば、約100ms〜約1ms以下)電流パルスの波形をフーリエ変換することから計算されるが、非常に高い。特に、本発明の個々のカーボンナノチューブは、導電性パスウェイとして作用し、小さなサイズのために、全体の構造がこれらのナノチューブから製造されているときには、構造体全体が非常に多くの伝導性エレメント、例えば1014/cm以上のオーダーを有する。
【0025】
本発明のカーボンナノチューブは伝導性の基礎的な手段として弾道伝導性(ballistic conduction)を表すことができる。従って、本発明で製造される材料はAC電流条件下で銅や他の金属伝導性部材よりも大きな優位性を示す。しかしながら、伝導性部材を外部回路に接合することは、本質的にナノチューブの各々が電気的または熱的に接触されて接合部分での接触抵抗を避けることが必要である。
【0026】
カーボンから合成されるナノチューブの特許出願は参照することができるが、他の化合物、例えばホウ素、MoS、またはそれらの組み合わせが本発明によるナノチューブの合成に用いられてもよい。例えば、ホウ素ナノチューブが、異なる化学プレカーサーをもちいて成長されてもよいと理解される。また、ホウ素は個々のカーボンナノチューブの抵抗性を低下するのに用いられてもよい。さらに、他の方法、例えばプラズマCVD等が本発明のカーボンナノチューブの形成に用いられてもよい。
【0027】
ナノチューブ形成システム
図1Aでは、米国特許出願11/488,387号(この記載をここに導入する。)と同様に、ナノチューブの製法に用いるためのシステム10が示されている。システム10は、一態様において、合成チャンバー11を有していてもよい。合成チャンバー11は一般に、反応ガス(即ち、ガス状炭素源)を供給する導入端111、長いナノチューブの合成が起こるホットゾーン112および反応生成物、即ちナノチューブと排気ガスが排出および回収される出口端114を備えている。合成チャンバー11は一態様では、炉116中に伸びるクォーツチューブ115を備えてもよい。システム10で得られるナノチューブは、一方では、個々の単壁ナノチューブ、そのようなナノチューブの束および撚った単壁ナノチューブ(例えば、ナノチューブのロープ)であってもよい。
【0028】
本発明の一態様では、システム10は実質上密閉されたハウジング12を有し、それにより合成チャンバー11内から外部へ気体中の潜在的に危険な粒子が出ることを最小にする。ハウジング12はまた、酸素がシステム10内に入って合成チャンバー11内に到達することを防止する働きを有してもよい。特に、合成チャンバー11内の酸素の存在は、一体性に悪影響を与え、ナノチューブの形成にも悪影響を与える。
【0029】
システム10はまた、システム10の合成チャンバー11内でCVD法で形成された合成ナノチューブを回収するための可動ベルト120をハウジング12内に備えてもよい。特に、ベルト120はその上に回収されたナノチューブを実質的に連続の延長構造121、例えば不織シートを形成するように用いられてもよい。そのような不織シートは、圧縮された実質的に不揃いの混合ナノチューブ113、ナノチューブ束または撚ったナノチューブ(ナノチューブのロープ)からシートとして取り扱うのに十分な構造的一体性を有するものにしてもよい。
【0030】
製造されたナノチューブ113を回収するために、ベルト120合成チャンバー11の出口端114に近接する位置において、ナノチューブがベルト120の上に載るようにしてもよい。一つの態様では、ベルト120は図1Aに記載しているように、出口端114からのガス流に実質的に平行に配置してもよい。また、ベルト120は出口端114からのガス流と実質的に垂直に配置して、ナノチューブを保持するガス流がその中を通過して本質的に多孔質であってもよい。ベルト120は、一般のコンベヤーベルトと同様に連続ループにしてもよい。この場合、ベルト120は回転するエレメント122(例えば、ローラー)に当たってロープ状にしてよく、機械的装置、例えば電気モーターで駆動しても良い。ある態様では、モーターはコントロールシステム、例えばコンピューターやマイクロプロセッサーの使用によってコントロールして、張力や速度を適正化しても良い。
【0031】
別の態様では、不織シートの変わりに、製造された単壁ナノチューブ113は合成チャンバー11から回収して、ヤーン131を形成しても良い。特にナノチューブ113は合成チャンバー11から排出されるので、それらは束132にまとめられて、スピンドル134の導入端133に供給され、その中で実質的に回転または撚りをかけてヤーン131にする。ヤーン131への連続的な撚りは十分な角歪を生みだし、新しいナノチューブ113がスピンドル134に達する部分付近で回転して、ヤーン形性プロセスとなることも注目すべきである。更に、連続的な張力もヤーン131にかけられるか、または回収チャンバー13の前で、ある速度を可能にすることにより、スプール135に廻りに巻き上げることを可能にしても良い。
【0032】
典型的には、ヤーン131の形成はナノチューブ113の束から行われ、それは更に撚りをかけたヤーンにしてもよい。また、ヤーン131の撚りはシステム10内のある点で固定されて、回収されたナノチューブは更に巻き付けて加撚ヤーン131にしてもよい。この二つのモードは本発明に適用される。
【0033】
伝導性アダプター
二つの可動性コンダクター、例えば高エネルギーキャパシター、グランドストラップ、母線若しくは母線パイプ、またはパルス発生回路、の間で高い電流パルスを波形の変形や接合部での加熱をなしに外部回路に移行するために、本発明は一態様で伝導性アダプター20、例えば図2に示すものを提供する。伝導性アダプター20は、導電性ナノ構造体ベース材料21、コネクター部分22および実質的に低い抵抗カップリングを可能にする材料から形成されたカップリング機構23を備えても良く、伝導性に実際に含まれる伝導性ナノ構造体の数を実質的に最大にする。
【0034】
ある態様によれば、アダプター20は伝導性ナノ構造体ベース材料から形成された伝導性部材を含む。ある態様に置いて、伝導性ナノ構造体ベースの材料は上記米国特許出願11/488,387号と同様の方法で形成されたヤーン、リボン、ワイヤー、ケーブル、テープまたはシート(例えば、編織シートまたは不織シート)であってよい。ある態様では、伝導性部材21は炭素、銅、銀、ホウ素ニトリド、ホウ素、MoS、またはその組合せから形成されてもよい。更に、伝導性部材21が形成される材料は、ある態様では、ある種のグラファイト、例えばピログラフファイバー(pyrograph fiber)が含まれる。
【0035】
アダプター20は伝導性部材21が接合されうるコネクター部分22を有してもよい。ある態様では、コネクター部分22は金属材料、例えば銅、アルミニウム、金、銀、銀被覆銅、カドミウム、ニッケル、錫、ビスマス、ヒ素、これらの金属の合金、ホウ素、ホウ素ニトリド、それらの組合せ、または導電性および/または熱伝導性である他の材料の一つから形成されてもよい。コネクター部分22はまた、非金属材料、例えばガラス状カーボンを有するもの、セラミックス、シリコン、シリコン化合物、ヒ素化ガリウムまたは同様の材料およびそれらの組合せであって、材料が電気的におよび/または熱的に伝導性である限り、使用出来る。コネクター部分22は、ある態様では、伝導性部材21と組み合わせた時に、伝導性部材21に通電されうる電源からの比較的高い電流を実質的に劣化せずに外部回路に直接流すことを可能にする。
【0036】
そうするためには、アダプター20は伝導性部材21とコネクター部分22の間に位置するカップリング構造23を含んで、それにより導電性部材21をコネクター部分22に接合してもよい。ある態様では、カップリング構造23は実質的に低い抵抗カップリングを提供しうるガラス状カーボン材料から形成されてもよい。ガラス状カーボンは一般に、カーボンナノチューブに関連する炭素の形であって、アモルファス炭素のマトリックスを含むリボン状グラフェンを多くの量含んでいる。これらのリボンは実質上sp結合ナノチューブと同様のsp結合リボンであってよい。結果として、それらは比較的良好な熱的および電気的伝導性を有している。ガラス状カーボンを形成するプレカーサー材料の例としては、フルフリルアルコール、レゾール樹脂(即ち、触媒化アルキルーフェニルホルムアルデヒド)、PVA、またはガラス状カーボン材料を形成しうる他の液状樹脂または材料があげられる。もちろん、他の市販のガラス状カーボン材料またはプレカーサーを用いても良い。
【0037】
また、カップリング構造23はコネクター部分22上の接触表面領域でコネクター部分22に実質的に均一な接触を有する伝導性部材21を提供してもよい。この場合、カップリング構造23は電気的および熱的移動の効率を向上するために実際に伝導性を有する伝導性部材21内の伝導性ナノ構造体の数を実質的に最大にするように働いてもよい。例えば、電源からの比較的高い電流で伝導性部材21に通電されていているものは実質的に減少することなく外部回路に送られ得る。従って、本発明のアダプター20は従前の電気的および/または熱的回路システムに使用の標準コネクターに効率的な伝導を可能にするために用いられる。特に、アダプター20はナノスケール環境と従前の電気的および/または熱的回路システムとの間での電気的および/または熱的伝導による相互作用を効率よくできる。
【0038】
比較目的で、ガラス状カーボンの電気的および熱的伝導特性はグラファイトのそれと比較される。下記表1に記載されているように、グラフェンリボンの存在はガラス状カーボンの電気的および熱的伝導性をグラファイトに見られるものに向上出来る。
【0039】
【表1】

【0040】
他の態様では、本発明の伝導性アダプターの製法を提供する。この製法は、まず、導電性ナノ構造体ベース材料から形成された伝導性部材(例えば、伝導性部材21)および伝導性部材に接合しうるコネクター部分(例えば、コネクター部分22)を提供する工程を含む。ナノ構造体ベース材料は、ある態様では、伝導性カーボンナノチューブ、例えばカーボンナノチューブから形成されたヤーン、テープ、ケーブル、リボンまたはシートから製造されたものであってよい。一方、コネクター部分は、金属材料、例えば銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金、カドミウム、錫、ビスマス、ヒ素、これらの金属の合金、ホウ素、ホウ素ニトリド、他の伝導性金属、金または銀で被覆された伝導性金属、またはそれらの組合せから形成されてもよい。コネクター部分は非金属材料、例えばガラス状カーボン形状を有するもの、セラミックス、シリコン、シリコン化合物、ヒ素化ガリウム、または同様の材料であって、それらが電気的および/または熱的に伝導性であるものから製造されてもよい。
【0041】
次に、カップリング構造(例えば、カップリング構造23)は伝導性部材とコネクター部分との間の接合部に存在してもよい。ある態様では、カップリング構造はガラス状カーボンプレカーサー、例えば、フルフリルアルコール、レゾール樹脂、PVA、または加熱処理してガラス状カーボン材料を形成しうる材料を接合部分に付着できるものであってよい。ガラス状カーボン樹脂または材料が伝導性部材中のカーボンナノチューブを「濡らすwet)」傾向は個々のナノチューブを被覆することを促進し、各ナノチューブは電子または熱移動に貢献すると認識すべきである。
【0042】
伝導性部材およびコネクター部分は、互いに保持してもよく、それらの接合部分をガラス状カーボンプレカーサーが熱分解してガラス状カーボン低抵抗カップリング構造を形成するのに十分な温度範囲に加熱してもよい。ある態様では、熱分解の最低温度は少なくとも約400℃〜450℃付近であるべきである。もし熱分解が不活性雰囲気下で行われるならば、温度は熱分解が完結するまで、高くする必要があってもよい。
【0043】
この温度に感受性の材料は本発明に好適ではないと認識される。更に、伝導性部材のカップリングの為の従来の手段に対して実質的に優れた接触抵抗を提供するならば、熱分解はこの接合部分で完結する必要はない。
【0044】
図3を参照して、本発明の別の態様によれば、伝導性アダプター30は電源からの比較的高い電流を外部回路に波形を崩さずに接合部を実質的に加熱せずに送る為のものである。
【0045】
図3に示される態様では、アダプター30は伝導性ナノ構造ベース材料から得られた伝導性部材31を備える。伝導性ナノ構造ベース材料は、ある態様では、上記米国特許出願11/488,387号と同様の方法で形成されたヤーン、リボン、ケーブル、テープまたはシート(例えば、編織シートまたは不織シート)であってよい。ある態様では、伝導性部材31は炭素、銅、銀、ホウ素ニトリド、ホウ素、MoS、またはその組合せから形成されてもよい。更に、伝導性部材31が形成される材料は、ある態様では、ある種のグラファイト、例えばピログラフファイバー(pyrograph fiber)が含まれる。
【0046】
上述のように、アダプター30は伝導性部材31の相対する末端の各々にコネクター部分32を備えていてもよい。本発明のある態様では、コネクター部分32は、伝導性部材31の各末端上に付着した被膜、例えばメッキ被膜であってよい。伝導性部材31へのコネクター部分32の付着またはメッキは当業者に既知の方法を用いて行われてよい。メッキされたコネクター部分32の例としては、金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、ビスマス、錫、亜鉛、カドミウム、錫−ニッケル合金、銅合金、錫−亜鉛合金、ビスマス−銅合金、カドミウム−ニッケル合金、他の伝導性金属およびその合金、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0047】
ある態様では、コネクター部分32は、伝導性部材31上に実質的に均一に付着(deposition)またはメッキされて、コネクター部分32上の接触表面領域に伝導性部材31中のナノチューブの実質的に均一な接触を可能にする。同様に、コネクター部分32は電気的および熱的移動の効率を高め、接触抵抗を減少する為に伝導性を実際に有する伝導性部材31中の伝導性ナノ構造体の数を実質的に最大にするように働く。この場合、電源から伝導性部材31に通電される比較的高い電流は実質的に減少することなく外部回路に送られる。従って、アダプター30はナノスケール環境と従前の熱的および/または電気的回路システムとの間に、電気および/または熱の伝導、並びにおよび従前の電気的および/または熱的回路システムに使用の標準コネクターに対する伝導を通して効果的な相互作用性を可能にするように用いられる。
【0048】
本発明の更なる態様について、図4A−Bをみれば、アダプター40がアダプター40の抵抗性を下げたりまたは実質的に変えたりせずに、少なくとも1方向、例えば長さ方向に拡大または膨張するようにデザインされてよい。換言すれば、アダプター40の抵抗または抵抗特性はアダプター40の伸びや膨張に無関係であり、それが実施的に極端に行われても同じである。
【0049】
ある態様では、アダプター40は伝導性ナノ構造体ベースの材料から形成された伝導性材料41を有する。そのような材料は上記米国特許出願11/488,387号と同様の方法で形成されたカーボンナノチューブから形成されたシート(例えば、編織シートまたは不織シート)または複数のテープやリボンであってよい。更に、伝導性部材31が形成される材料は、ある態様では、ある種のグラファイト、例えばピログラフファイバー(pyrograph fiber)が含まれる。
【0050】
しかしながら、図3に示されたアダプター30とは異なって、アダプター40の伝導性材料41は種々のパターンを付与されまたはエッチングされてよく、その例としては図4Aや4Bに示されるように、アダプター40をアダプター40の相対する末端から軸方向に引っ張ったとき(図4B)、長さ方向(即ち、X方向)に延びるまたは膨張することを可能にする。図4Aや4Bのパターンの他に、伝導性材料41は、そのパターンやデザインがアダプター40の延長を可能にする限り、他のパターンやデザインを含んでもよい。
【0051】
長さ方向に延長することを示されているが、アダプター40は幅方向(即ち、Y軸方向)に延長するようにデザインしてもよい。図4C〜4Dに見られるように、伝導性部材41は、当業者の既知のパターンを付与して、アダプター40をその幅方向に延長または延長可能にしてもよい。伝導性材料41は長さ方向および幅方向の両方に(即ち、2方向に)延長を可能なパターンにしてもよいと認識されるべきである。
【0052】
図4Eに見られ得る所望の延長について、アダプター40は2層以上の伝導性部材41を有し、一方の上に別の層があって、両者は長さ方向に実質的に非結合であって、アダプター40がZ軸方向に延長されうるようにしてもよい。その態様において、伝導性部材41はそれらの各々の端部43で他方に結合されてもよい。ある態様では、端部43の結合を上述したように、ガラス状カーボンを用いて行ってもよい。
【0053】
延長可能であることに加えて、伝導性部材41は形状記憶性能を有するようにしてもよい。特に伝導性部材41が形成されるナノチューブは伝導性部材41が1、2または3方向に延長された後(図4B)、その最初の長さ、幅または形(図4A)に実質的に戻るようにしてもよい。
【0054】
伝導性部材41の上に付与されるパターン、デザインまたはエッチングは、ある態様では、当業者に既知の方法、例えばスタンピング、レーザーエッチング等で実施してもよい。
【0055】
アダプター40は伝導性部材41の相対する末端の各々にコネクター部分42を備えてもよい。本発明の態様では、コネクター部分42は伝導性部材41条に直接付着した被膜、例えばメッキ被膜であってよい。コネクター部分42の伝導性部材41への付着(deposition)またはメッキは当業者に既知の方法で行ってよい。ある態様では、コネクター部分は、金属材料、例えば、金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、ビスマス、錫、亜鉛、カドミウム、錫−ニッケル合金、銅合金、錫−亜鉛合金、ビスマス−銅合金、カドミウム−ニッケル合金、他の伝導性金属および合金、またはそれらの組合せから形成されてもよい。コネクター部分は非金属材料、例えばガラス状カーボン形状を有するもの、同様のものであって、それらが電気的および/または熱的に伝導性であるものから製造されてもよい。この点に関して、アダプター40は図4Dに示されるように幅方向に延長されまたは延長可能にデザインされてもよく、コネクター部分42は伝導性部材41に沿って幅方向に延長されまたは延長可能にデザインされてもよい。
【0056】
本発明によれば、コネクター部分42は伝導性部材41上に実質的に均一に付着またはメッキして、コネクター部分42上の接触表面領域に伝導性部材41中のナノチューブが実質上均一に接触するようにする。この場合、コネクター部分42は電気的および熱的移動の効率を高めるために伝導性である伝導性部材41内の伝導性ナノ構造体の数を実質的に最大にするように作用しうる。本発明のアダプター40は、ナノスケール環境と従前の電気的および/または熱改組システム間に電気的および/または熱的伝導により相互作用を可能にし、また、従前の電気的および/または熱的回路システムに用いるための標準コネクターに対する伝導を可能にするように用いられてもよい。
【0057】
アダプター20、30および40は、電流伝導性部材、例えば高電流伝導性部材、キャパシター、バッテリー電極、燃料電池電極、並びに熱伝導用、高振動伝導用および他の用途に用いてもよい。アダプター40については、その延長性、形状記憶性能並びに熱および電気伝導特性の故に、アダプター40は、種々の構造体や機械的用途、例えば、航空工学に関するもの、例えば、丸みを帯びた最近の飛行機の羽上の伝導性部材として用いてもよい。
【実施例1】
【0058】
電流導電性部材として使用するワイヤーが本発明のカーボンナノチューブを用いて製造されたヤーンから製造されうる。ある態様では、複数のカーボンナノチューブヤーンがガラス状カーボン樹脂で被覆され、結合されてワイヤーを形成した。次いで、ワイヤーは約125℃で約1時間加熱された。この加熱段階の次に、ワイヤーを高熱炉に入れて、不活性雰囲気下で少なくとも450℃の温度で更に1時間加熱された。
【0059】
カーボンナノチューブから製造されたヤーンは半導体部材状態で抵抗約0.5x10ー5〜約4x10ー4を有すると観測された。
【0060】
カーボンナノチューブから形成されたワイヤーの熱伝導性も測定した。例として、カーボンナノチューブから形成されたワイヤーの熱伝導性は約5ワット/m°K〜約70ワット/m°Kであった。熱伝導性がこのように広い範囲であるのは、これらのパラメーターに関係するチューブの直径やチューブの長さに広いバラツキがあるからである。
【0061】
ガラス状カーボン樹脂がナノチューブ材料を「濡らす(wet)」傾向は、個々のチューブの塗布を促進して、各チューブが電子または熱移動に寄与しうる。また、カーボンナノチューブヤーンおよびガラス状カーボン樹脂の熱的膨張係数は近接するヤーンとの接触部で殆ど応力がみられない。
【0062】
カーボンナノチューブヤーンから形成されたワイヤーが電気および熱伝導体として比較的優れているので、これらのヤーンはある態様では、通常の商業的方法によって絶縁性複線ケーブルにしてもよい。これらのケーブルは、一般的に用いられている末端コネクター(即ち、コネクター部分)と組み合わせて、ナノスケール環境と従前の電気および/または熱回路システムとの間の効率的な相互作用を可能にされうる。
【実施例2】
【0063】
上記ワイヤーと同様に、カーボンナノチューブテープまたはリボンをカーボンナノチューブ生地のストリップから製造しうる。ある態様では、複数のストリップは各ストリップの表面にフルフリルアルコール(即ち、ガラス状カーボンプレカーサー)を塗布することにより集合し、近接するストリップの集合体を機械的に圧着した。ストリップへのプレカーサーの量はストリップの厚さに依存する。適当な場合、集合体は飽和される。圧着時に集合体ストリップ(即ち、テープまたはリボン)は約125℃で約1時間加熱された。この加熱ステップの後、テープまたはリボンは高温炉に移され、そこで不活性環境下に少なくとも450℃の温度で約1時間加熱された。
【0064】
得られたテープまたはリボンは、(i)高振動トランスポート、例えば高振動シグナル用の高電流伝導部材、並びに(ii)熱意同様の高効率熱伝導部材として使用されうる。
【0065】
また、重量に基づくが、本発明のテープは銅やアルミニウムよりも実質的に良く伝導するので、得られたテープまたはリボンは一般に用いられている末端コネクター部分と組み合わせて、ナノスケール環境および従前の電気的および/または熱的回路システムとの間の効率的な相互作用を可能にする。
【0066】
比較的低い振動の場合でも、テープまたはリボンにおける集合体は実質50MHzを超える振動数でも伝導性であり、その接合部を加熱してもよい。それにもかかわらず、集合体は短い期間、空気中では約400℃以上の温度かつ不活性雰囲気でそれより高い温度で、劣化せずに耐えることが可能である。
【実施例3】
【0067】
上記ワイヤー、テープ、ヤーン、リボンまたは複数のリボン伝導性部材を標準のコネクター(即ち、コネクター部分)を集合することは、本発明の以下の方法によって、行っても良い。
【0068】
ある態様では、コネクター部分の接触表面の内側を例えば、リンゴ酸(1%)触媒化フルフリルアルコールで塗布しても良い。その後、ワイヤー、ヤーン、テープまたはリボン伝導性部材をコネクター部分に導入した。コネクター部分は次いで約125℃で約1時間加熱された。その後、温度を不活性ガス環境下に少なくとも1時間約450℃に上げた。
【0069】
得られた一般的に用いられる末端コネクター部分を有するワイヤー、ヤーン、テープまたはリボン伝導性部材を用いて、ナノスケール環境と従前の電気的および/または熱的回路システムとの間の効果的な相互作用を可能にする。
【実施例4】
【0070】
上記実施例で得られたテープ、リボンまたはワイヤーは熱回収または電流収穫に用いられる熱コレクターまたは電流コレクターに結合しても良い。特に、テープ、リボンまたはワイヤー(即ち、伝導性部材)はまず、ガラス状カーボン樹脂で被覆されうる。次いで、塗布された伝導性部材は銅または銀被覆銅コネクター部分に組み合わせられ得る。その後、各々の伝導性部材と各々のコネクター部分との間の接合部におけるガラス状カーボンプレカーサーを熱分解して、コネクター部分と伝導性部材とを結合しても良い。熱分解方法は、約400℃以上の温度で行われうる。
【0071】
また、熱分解は、ヘリウム、アルゴンまたは窒素環境下または真空中で行って良い。熱分解の期間は接合部分のプレカーサー材料の量に依存する。ガラス状カーボン樹脂が水を放出して硬化することから、熱分解方法の反応生成物用の出口パスを提供するのが好ましい。もしそうしないのならば、熱分解時間を長くしても良い。
【0072】
完了したならば、得られた適合性伝導性部材は熱の回収または電流の収穫に使用する銅熱コレクターまたは銅銀電流コレクターに結合される。
【実施例5】
【0073】
本発明のナノチューブから得られた伝導性部材はコネクター部分に結合して、キャパシター電極として使用されても良い。コネクター部分として用いる為に、約5〜50ミクロン、好ましくは約25ミクロンの範囲の厚さのアルミニウム(またはチタニウム)フォイルのサンプルをアセトン、ヘキサンおよびメタノールで洗浄した。サンプルを次いで、1%リンゴ酸で触媒化されたフルフリルアルコールで被覆された。被覆方法は非常に薄い(約0.01〜約10ミクロン、好ましくは約0.5ミクロン)を提供するのに必要な手段で行われた。
【0074】
次に、密度約0.5mg/cmを有するカーボンナノチューブシートを上記被覆されたフォイル上に置いた。このシートはアルコールの表面張力でフォイルに弱く結合していた。被覆フォイルを空気乾燥し、約100℃にセットしたオーブンに移動して、1時間以上重合させた。この重合方法の後、被覆フォイルはまた、オーブンに移動して、少なくとも400℃まで約20℃/分以下でゆっくり加熱し、この温度で少なくとも1時間保持した。次いで、任意の速度で常温に冷却し、優れたキャパシター電極として使用される。
【0075】
これらの実施例は非常に保守的であると理解される。より早い技術、例えばマイクロウェーブをもちいて加熱して、重合や変形段階を一製造工程で非常に早いスピードで行っても良い。ガラス状カーボンの塗装が薄ければ薄いほどまた主たる水反応生成物の環境への拡散距離が短ければ短いほど、加熱方法が早い。
【実施例6】
【0076】
本発明から製造されるカーボンナノチューブのシートは、多くの用途を有している。これらの用途の多くは、シートを基材(即ち、コネクター部分)にガラス状カーボン材料を用いて結合してもよい。特定の用途の例は、上述のキャパシター電極の他に、バッテリーの電極または燃料電池の電極が挙げられる。使用される基材は、銅、チタニウム、ステンレススチール、または非金属ポリマーまたはセラミックスのフォイルであってよい。これら用途や同様の用途にとって、ガラス状カーボンプレカーサーが実質上薄層で提供されて、カーボンナノチューブシートへの浸透を抑制して、シート性能の劣化を防止することも重要である。
【0077】
これを実行する直接の手段は、ガラス状カーボンプレカーサーの正確な層をフォイルまたは基材コネクター部分にロールし、次いでカーボンナノチューブシートをこの基材コネクター部分に載置してもよい。その後、得られたアッセンブリをまず約100℃の比較的低い温度で硬化して、ガラス状カーボン樹脂を重合する。次に、高温熱処理を400℃を超える温度で樹脂の多くをガラス状カーボン材料に変換するのに十分な時間処理で行っても良い。当業者に知られている他の手段、例えば静電スプレー、ウェブ塗装またはブラシ塗装を用いても良い。
【実施例7】
【0078】
カーボンナノチューブシートの基材コネクター部分への結合したものは、別の用途、例えば、レーダーシグナルの吸収(EMIシールディング)や他の望ましい特性、例えば光保護(lighting protection)に用いても良い。そのような用途にとって、結合剤がカーボンナノチューブシートに進入することが絶対ではない。従って、ガラス状カーボン材料は、キャパシター、バッテリーや燃料電池用途より注意深く塗装する必要はない。一つの態様では、この実施例の用途の基材はグラファイトエポキシ、e−ガラスエポキシまたは他のマトリックスの組合せであっても良い。
【0079】
本発明は特定の態様を参照して説明しているが、種々の変更や同等物は本発明の範囲と精神から離れることなく、置換されることは当業者に理解される。また、多くの変更は、本発明の範囲や精神から逸脱することなく特定の場合、例示、材料、組成、方法の工程についても行われる。そのような変更全ては以下に記載する特許請求の範囲の記載に入るものと理解される。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導性ナノ構造体ベース材料から形成され、相対する末端を有する伝導性部材;
伝導性部材の一端に位置するコネクター部分であって、伝導性部材内部でコネクター部分と接触する伝導性ナノ構造体の数を最大にして、ナノスケール環境と従前の電気および/または熱回路システムとの間の効率的な伝導を可能にするコネクター部分、を有するアダプター。
【請求項2】
伝導性部材がナノチューブから製造されたワイヤー、ヤーン、テープ、リボン、またはシートの一つである請求項1記載のアダプター。
【請求項3】
ナノチューブが炭素、銅、銀、ホウ素、ホウ素ニトリド、MoSまたは同様の化合物、若しくはそれらの組合せの一つから形成される請求項2記載のアダプター。
【請求項4】
伝導性部材がグラファイト材料を含む請求項1記載のアダプター。
【請求項5】
コネクター部分が、銅、アルミニウム、金、銀、銀被覆銅、カドミウム、ニッケル、錫、ビスマス、ヒ素、これらの金属の合金、ホウ素、ホウ素ニトリド、ガラス状カーボン、セラミックス、シリコン、シリコン化合物、ガリウムヒ素、それらの組合せ、または電気および/または熱伝導性である他の材料の一つから形成される請求項1記載のアダプター。
【請求項6】
コネクター部分が電源から比較的高い電流を伝導性部材で保持して実質的な減衰なく外部回路に送ることを可能にする請求項1記載のアダプター。
【請求項7】
コネクター部分が伝導性部材の相対する末端上の少なくとも一つに付着(deposited)される請求項1記載のアダプター。
【請求項8】
コネクター部分が伝導性部材の相対する末端の各表面に電気メッキされる請求項7記載の導電性アダプター。
【請求項9】
付着コネクター部分が金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、ビスマス、錫、亜鉛、カドミウム、錫−ニッケル合金、銅合金、錫−亜鉛合金、ビスマス−銅合金、カドミウム−ニッケル合金、他の伝導性金属およびそれらの合金、若しくはそれらの組合せの一つから形成される請求項7記載のアダプター。
【請求項10】
伝導性部材が少なくとも一方向に延びることを許容したパターンを包含する請求項7記載のアダプター。
【請求項11】
パターンがX軸、Y軸またはその組合せの一つにそって延びている請求項10記載のアダプター。
【請求項12】
伝導性部材が、延長した場合に、アダプターの抵抗に妥協せず、または本質的に変更する請求項10記載のアダプター。
【請求項13】
伝導性部材中の伝導性ナノ構造体ベース材料とコネクター部分との間の実質的に均一な接合を提供するために、伝導性部材とコネクター部分との間にカップリング機構を包含する請求項1記載のアダプター。
【請求項14】
カップリング機構がコネクター部分に対して伝導性部材の実質上低抵抗カップリングを提供する請求項13記載のアダプター。
【請求項15】
カップリング機構がガラス状カーボン材料から形成される請求項13記載のアダプター。
【請求項16】
ガラス状カーボン材料がフルフリルアルコール、レゾール樹脂、PVA、またはガラス状カーボン材料を形成しうる他の液状樹脂または材料を包含するプレカーサー材料から製造される請求項15記載のアダプター。
【請求項17】
ガラス状カーボン材料が、伝導性部材とコネクター部分との間の電気伝導性または熱伝導性を向上しうる請求項15記載のアダプター。
【請求項18】
熱伝導材、電気伝導材、EMI用途、高電流移動材、RF用途、パルス用途、熱電および/または電力発生、センサー用途または他の同様の用途の一つに用いられる請求項1記載のアダプター。
【請求項19】
従前の電気および/または熱回路システムに用いるための標準コネクターに対する効率的な導体に用いる請求項1記載の導電性アダプター。
【請求項20】
伝導性部材とコネクター部分との間の接合が、約400℃以上の温度でも劣化せずに耐えることができる請求項1記載のアダプター。
【請求項21】
伝導性ナノ構造体ベース材料から形成された伝導性部材と伝導性部材に接合しうるコネクター部分とを提供する工程、
伝導性部材とコネクター部分との間に接合部に、ガラス状カーボンプレカーサー材料を置く工程、および、
接合部を加熱してガラス状カーボンプレカーサーを熱分解して、伝導性部材内部でコネクター部分に接触する伝導性ナノ構造体の数を最大にして、伝導率を向上しうるガラス状カーボン材料を形成する工程、
を有する伝導性部材の製造方法。
【請求項22】
提供する工程において、伝導性部材がナノチューブから製造されたワイヤー、ヤーン、テープ、リボン、またはシートの一つである請求項21記載の製造方法。
【請求項23】
提供する工程において、ナノチューブが炭素、銅、銀、ホウ素、ホウ素ニトリド、MoSまたは同様の化合物、若しくはそれらの組合せの一つから形成される請求項22記載の製造方法。
【請求項24】
提供する工程において、伝導性部材がグラファイト材料である請求項21記載の製造方法。
【請求項25】
提供する工程において、コネクター部分が、銅、アルミニウム、金、銀、銀被覆銅、カドミウム、ニッケル、錫、ビスマス、ヒ素、これらの金属の合金、ホウ素、ホウ素ニトリド、ガラス状カーボン、セラミックス、シリコン、シリコン化合物、ガリウムヒ素、それらの組合せ、または導電性および/または熱伝導性である他の材料の一つから形成される請求項21記載の製造方法。
【請求項26】
ガラス状カーボンプレカーサー材料を置く工程において、ガラス状カーボンプレカーサーがフルフリルアルコール、レゾール樹脂、PVA、またはガラス状カーボン材料を形成しうる他の液状樹脂または材料を包含するプレカーサー材料から得られる請求項21記載の製造方法。
【請求項27】
加熱工程において、ガラス状カーボン材料が、伝導性部材とコネクター部分との間の電気伝導性または熱伝導性を向上しうる請求項21記載の製造方法。
【請求項28】
加熱工程において、ガラス状カーボン材料が伝導性部材とコネクター部分との間の実質的に均一な接合を提供する請求項21記載の製造方法。
【請求項29】
加熱工程において、ガラス状カーボン機構が伝導性部材のコネクター部分に対する実質的に低抵抗カップリングを提供する請求項21記載の製造方法。
【請求項30】
加熱工程が接合部分での温度を約400〜約450℃またはそれ以上の温度に上げて、熱分解工程を完結する請求項21記載の製造方法。
【請求項31】
伝導性ナノ構造体ベース材料から形成され、相対する末端を有する伝導性部材を提供する工程、および、
伝導性部材内部でコネクター部分と接触する伝導性ナノ構造体の数を最大にするために伝導性部材の少なくとも一端にコネクター部分を付着して、ナノスケール環境と従前の電気および/または熱回路システムとの間の効率的な伝導を可能にする工程、
を有する伝導性アダプターの製造方法。
【請求項32】
提供する工程において、伝導性部材がナノチューブから製造されたワイヤー、ヤーン、テープ、リボン、またはシートの一つを含む請求項31記載の製造方法。
【請求項33】
提供する工程が、ナノチューブから製造されたヤーン、テープ、リボンの複数を結合して伝導性部材を作成することを含む請求項32記載の製造方法。
【請求項34】
提供する工程において、ナノ構造体ベースの材料が炭素、銅、銀、ホウ素、ホウ素ニトリド、MoSまたは同様の化合物、若しくはそれらの組合せの一つから形成される請求項31記載の製造方法。
【請求項35】
提供する工程において、伝導性部材がグラファイト材料を含む請求項31記載の製造方法。
【請求項36】
付着工程が伝導性部材の相対する末端の各々上のコネクター部分を電気メッキすることを含む請求項31記載の製造方法。
【請求項37】
付着工程が、金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、ビスマス、錫、亜鉛、カドミウム、錫−ニッケル合金、銅合金、錫−亜鉛合金、ビスマス−銅合金、カドミウム−ニッケル合金、他の導電性金属およびそれらの合金、若しくはそれらの組合せの一つを伝導性部材の相対する末端の各々の上に電気メッキして、コネクター部分を提供する請求項31記載の製造方法。
【請求項38】
更に、伝導性部材上にデザインを施して、少なくとも一方向に伝導性部材を延長することを可能にする請求項31記載の製造方法。
【請求項39】
更に、伝導性部材上にデザインを施して、X軸、Y軸またはそれらの組合せに沿って伝導性部材を延長することを可能にする請求項31記載の製造方法。
【請求項40】
デザインを施す工程において、伝導性部材が、延長されたときに、伝導性部材の抵抗を妥協せずまたは実質的に変更する請求項39記載の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4A−4B】
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【図4C−4D】
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【図4E】
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【公表番号】特表2011−508364(P2011−508364A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520290(P2010−520290)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/072379
【国際公開番号】WO2009/021069
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(506243220)ナノコンプ テクノロジーズ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】