説明

音叉型振動子の周波数調整方法並びにその方法によって周波数調整された音叉型振動子

音叉型振動子の圧電振動片には、基部と複数の脚部とが備えられている。各脚部には、表裏主面と両側面で極の異なる励振電極が形成され、両側面の励振電極がお互いに共通接続されている。また、圧電振動片の各脚部の先端部に周波数調整するための金属膜が形成され、ビーム照射によって先端部の側面もしくは先端面の少なくとも一面に形成した金属膜を除去することにより周波数調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、音叉型振動子の周波数調整方法並びにその方法によって周波数調整された音叉型振動子に係る。
【背景技術】
音叉型振動子(以下、これを振動子と呼ぶ)の生産工程の1つとして発振周波数調整工程がある。この工程における従来の周波数調整方法として、例えば、特開2002−164759号公報に開示された振動子の周波数調整方法がある。
この特開2002−164759号公報に開示された振動子には、その内部に圧電振動片(以下、これを振動片と呼ぶ)が設けられている。この振動片には、基部と2本の脚部とが備えられている。また、2本の脚部の表裏主面には周波数調整するための金属膜が形成されている。
この特開2002−164759号公報に開示された振動子の周波数調整方法では、振動片の脚部の表裏主面に形成された周波数調整用錘としての金属膜の表裏主面一部をレーザ照射によって除去しながら発振周波数を調整する。つまり、金属膜に対してレーザを照射して、この金属膜を部分的に除去し、これによって振動子の発振周波数を高くしてその発振周波数を測定する。そして、振動子の周波数測定値が目標値に達するまでレーザ照射と周波数測定とを繰り返す。
具体的にYAGレーザ等を使用した場合、1ヶ所のレーザ照射により、金属膜上に直径20μm程度の金属膜が除去され、除去エリア(以下、これを除去ドットと呼ぶ)が生じる。これによって、振動子の発振周波数は2〜3ppmだけ上昇することになる。つまり、レーザ照射の度に振動子の発振周波数が2〜3ppmずつ上昇していき、このレーザ照射後の発振周波数を測定して、周波数測定値が目標値に達した時点で周波数調整作業を終了する。
ところで、上述のような周波数調整方法では、脚部の表裏主面の金属膜に対して直交する方向からレーザを照射するため、粗調整する際には複数の除去ドットを形成する。特に、調整前の発振周波数と目標周波数との差が比較的大きい場合、形成する除去ドットの数が多くなる。しかしながら、上述のような周波数調整方法では、除去ドットの増加に比例して、脚部の表裏主面の限られた金属膜の領域に対する周波数調整作業が不安定になったり、振動子の生産効率の低下を招く。
また、近年、振動子の小型化が求められており、これに伴なって、振動子に設けられた振動片の小型化も求められている。そのため、振動片の小型化に伴い、調整用の金属膜の領域も小さくなるので、従来の振動子の周波数調整方法を用いて、限られた調整用の金属膜の領域で、金属膜周波数調整量を大きくする(粗調整)ことは難しい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型の振動片であっても、小型の振動片表面に形成された金属膜の一部をビーム照射によって除去しながら振動子の発振周波数を調整していく調整手法に対して、その周波数調整作業の安定化を図り、振動子の生産効率を向上させることにある。
【発明の開示】
−発明の概要−
そこで、上記の目的を達成するため、本発明にかかる音叉型振動子の周波数調整方法は、基部と複数の脚部とを備えるとともに、前記各脚部に周波数調整するための金属膜を形成した圧電振動片の前記金属膜の一部を、ビーム照射によって除去することにより、この圧電振動片を設けた音叉型振動子の発振周波数を調整する周波数調整方法において、前記金属膜を前記各脚部の側面もしくは先端面の少なくとも一面を含む先端部に形成し、この側面もしくは先端面の少なくとも一面に形成した前記金属膜を除去することにより周波数調整を行うことを特徴とする。
本発明によれば、上記金属膜を上記各脚部の側面もしくは先端面の少なくとも一面を含む先端部に形成し、この側面もしくは先端面の少なくとも一面に形成した上記金属膜を除去することにより周波数調整を行うので、圧電振動片の小型化により限られた調整用の上記金属膜の領域をより有効に活用可能となる。
また、上記主面に形成された上記金属膜の有効エリアを確保することが可能となるので、後工程で施す別手法による微調整手法(ミーリング法、パーシャル蒸着法等)による金属膜の付加除去が安定して実施可能となる。つまり、ミーリング法では、上記側面のみをレーザで除去して粗調整した後、残った上記主面の上記金属膜の全てを微調整用の質量として使用することが可能となるので、安定した上記金属膜除去による微調整が実施可能となる。パーシャル蒸着法では、上記側面のみをレーザで除去して粗調整した後、残った上記主面の上記金属膜の全てを微調整用の下地金属として使用することが可能となるので、安定した金属膜付加による微調整が実施可能となる。
上記方法において、上記脚部の幅方向の少なくとも一側部の稜部分に対して上記脚部の厚み方向へビーム照射して、上記脚部の上記側面に形成した上記金属膜を厚み方向へライン状に除去することにより周波数調整を行ってもよい。
この場合、上述の作用効果に加えて、上記脚部の幅方向の少なくとも一側部の稜部分に対して上記脚部の厚み方向へビーム照射して、上記脚部の上記側面に形成した上記金属膜を厚み方向へライン状に除去することにより周波数調整を行うので、1回のビーム照射での上記側面の上記金属膜の除去ドットもライン状に大きく形成することが可能となる。そのため、周波数調整効率が極めて高くなり、周波数調整にばらつきを生じることなく、極めて安定した周波数調整作業が可能となる。
また、上記脚部主面の上記金属膜の領域に大小に影響されることなく、上記脚部側面の上記金属膜による一定の周波数調整量を確保することが可能となるので、周波数調整作業効率を低下させることなく圧電振動片の小型化に対応することが可能となる。
上記方法において、上記脚部の幅方向の上記一側面から上記表裏主面を経由して上記他側面へとビーム照射して、上記脚部に形成した上記金属膜を上記表裏主面と上記両側面の全周にわたってライン状に除去することにより周波数調整を行ってもよい。
この場合、上述の作用効果に加えて、上記脚部の幅方向の上記一側面から上記主面を経由して上記他側面へとビーム照射することにより、上記脚部に形成された上記金属膜を上記表主面と上記両側面だけでなく、当該脚部を透過して上記脚部に形成された上記金属膜を上記裏主面も除去され、1回のビーム照射で上記各脚部主面の上記金属膜の一部が全周にわたってライン状に除去されるので、周波数調整にばらつきを生じることなく、極めて効率的かつ安定した周波数調整作業が可能となる。
また、上記脚部主面の金属膜の領域に大小に影響されることなく、上記脚部主面の上記金属膜による一定の周波数調整量を確保することが可能となるので、小型化された圧電振動片の周波数調整量を大きくして、振動子の生産効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
上記方法において、上記脚部の先端部の稜部分に対して上記脚部の厚み方向へビーム照射して、上記脚部の上記先端面に形成した上記金属膜を厚み方向へライン状に除去することにより周波数調整を行ってもよい。
この場合、上述の作用効果に加えて、上記脚部の先端部の稜部分に対して上記脚部の厚み方向へビーム照射して、上記脚部の上記先端面に形成した上記金属膜を厚み方向へライン状に除去することにより周波数調整を行うので、1回のビーム照射での先端面の上記金属膜の除去ドットもライン状に大きく形成することが可能となる。そのため、周波数調整効率が極めて高くなり、周波数調整にばらつきを生じることなく、極めて安定した周波数調整作業が可能となる。
また、上記脚部主面の上記金属膜の領域に大小に影響されることなく、上記脚部先端面の金属膜による一定の周波数調整量を確保することが可能となるので、周波数調整作業効率を低下させることなく圧電振動片の小型化に対応することが可能となる。
上記方法において、上記脚部の上記先端面と上記表裏主面とをビーム照射して、上記脚部に形成した上記金属膜を上記表裏主面と上記先端面とにわたってライン状に除去することにより周波数調整を行ってもよい。
この場合、上述の作用効果に加えて、上記脚部の上記先端面と上記表裏主面とをビーム照射して、上記脚部に形成された金属膜を表主面と先端面だけでなく、当該脚部を透過して上記脚部に形成された金属膜を裏主面も除去され、1回のビーム照射で各脚部主面の上記金属膜の一部が表裏主面と上記先端面とにわたってライン状に除去されるので、周波数調整にばらつきを生じることなく、極めて効率的かつ安定した周波数調整作業が可能となる。
また、上記脚部主面の上記金属膜の領域に大小に影響されることなく、上記脚部主面の金属膜による一定の周波数調整量を確保できるので、小型化された圧電振動片の周波数調整量を大きくし、振動子の生産効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
上記方法において、上記脚部に形成された上記金属膜をビーム照射して上記金属膜をライン状に除去することにより周波数粗調整する粗調整工程と、上記金属膜をライン状に除去する第1の周波数微調整、または、上記金属膜をドット状に除去する第2の周波数微調整のうち、いずれか1つ以上を選択的に実施する微調整工程と、を有してもよい。
この場合、上述の作用効果に加えて、周波数粗調整を行う上記粗調整工程と、調整量が比較的大きな上記第1の周波数微調整と、調整量が比較的小さい上記第2の周波数微調整を選択的に実施する上記微調整工程とを有するので、より少ない回数での目標とする周波数までの周波数調整が可能となり、極めて効率的で短時間に周波数調整が実施可能となる。しかも、上記周波数粗調整と上記2パターンの周波数微調整を組み合わせることで分解能の極めて高い発振周波数の調整を行うことが可能となり、高精度な周波数調整が実施可能となる。また、これらの周波数調整を上記圧電振動片の上記脚部の先端側からの距離がお互いに異なる位置に実施した場合には、これらの位置も組み合わせることでより分解能が高まり、更なる高精度での周波数調整が行える。
上記方法において、上記脚部に形成された上記金属膜をビーム照射して上記金属膜をライン状に除去することにより周波数粗調整する粗調整工程と、上記金属膜をライン状に除去する第1の周波数微調整と、上記金属膜をドット状に除去する第2の周波数微調整とを同時に実施する微調整工程とを有してもよい。
この場合、上述の作用効果に加えて、周波数粗調整を行う上記粗調整工程と、調整量が比較的大きな上記第1の周波数微調整と、調整量が比較的小さい上記第2の周波数微調整とを同時に実施する上記微調整工程を有するので、より少ない回数での目標とする周波数までの周波数調整が可能となり、極めて効率的で短時間に周波数調整が実施可能となる。しかも、上記周波数粗調整と上記2パターンの周波数微調整を組み合わせることで分解能の極めて高い発振周波数の調整を行うことが可能となり、高精度な周波数調整が実施可能となる。また、これらの周波数調整を上記圧電振動片の上記脚部の先端側からの距離がお互いに異なる位置に実施した場合には、これらの位置も組み合わせることでより分解能が高まり、更なる高精度での周波数調整が行える。また、上記第1の周波数微調整と上記第2の周波数微調整とを同時に実施するので、上述した第1の周波数微調整と第2の周波数微調整のうち、いずれか1つ以上を選択的に実施する場合と比べて、周波数測定回数を減らすことが可能となり、周波数調整作業の時間短縮を図ることが可能となる。
上記方法において、具体的に、上記第1の周波数微調整は、上記粗調整した領域より上記基部側の上記金属膜をライン状に除去し、上記第2の周波数微調整は、上記基部側の上記金属膜をドット状に除去してもよい。なお、上述の周波数調整工程において、粗調整工程の後に微調整工程を行うことが好ましいが、これに限定されることはなく、任意に設定変更してもよい。
この場合、上述の作用効果に加えて、上記第1の周波数微調整は、上記粗調整した領域より上記基部側の上記金属膜をライン状に除去し、上記第2の周波数微調整は、上記基部側の上記金属膜をドット状に除去するので、周波数粗調整と、第1の周波数微調整及び第2の周波数微調整とを区別することが容易となり、これら周波数粗調整と第1の周波数微調整と第2の周波数微調整とを組み合わせることで短時間で高精度の周波数調整を行うことが可能となる。
また、上記方法において、上記ラインの幅を可変させてもよい。
この場合、ラインの幅を可変させることで周波数調整幅を容易に変更させることが可能となる。
以上のように、本発明にかかる音叉型振動子の周波数調整方法では、周波数調整作業の安定化を図り、小型の音叉型振動子の生産効率を向上させることが可能となる。特に、ウエハで一体形成された小型の圧電振動片を切り離す前に各圧電振動片に対して連続して周波数調整する場合、極めて効率的で有効である。
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる音叉型振動子は、上述した音叉型振動子の周波数調整方法によって周波数調整されたことを特徴とする。
本発明によれば、目標周波数に一致した周波数の発信信号を発する音叉型振動子を提供することが可能となる。また、周波数調整作業の短縮化に伴う振動子の生産効率の向上により、コストの低廉な音叉型振動子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本実施の形態に係る水晶ウエハを示す平面図である。
図2は、図1の水晶ウエハの1つの音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。
図4は、図2のB−B線に沿った断面図である。
図5(a)〜(d)は、本実施の形態のレーザ照射工程における音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図6は、本実施の他の形態に係る、除去ライン幅を可変させた音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図7は、本実施の他の形態に係る、各脚部の両側面に形成した金属膜を厚み方向にライン状に除去した音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図8は、本実施の他の形態に係る、各脚部の先端部の先端面および両側面に金属膜を形成した音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図9は、本実施の他の形態に係る、各脚部の表裏主面と両側面に形成した金属膜を全周にわたってライン状に除去するとともに、先端面に形成した金属膜を厚み方向にライン状に除去した音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図10は、本実施の他の形態に係る、各脚部の表裏主面と先端面に形成した金属膜を先端面から表裏主面へとわたってライン状に除去するとともに、両側面に形成した金属膜を厚み方向にライン状に除去した音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図11は、本実施の他の形態に係る、各脚部の先端部の先端面に金属膜を形成した音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図12は、本実施の他の形態に係る、各脚部の先端面に形成した金属膜を厚み方向にライン状に除去した音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図13は、本実施の他の形態に係る、各脚部の表裏主面と先端面に形成した金属膜を先端面から表裏主面へとわたってライン状に除去した音叉型水晶片を模式的に示した図である。
図14は、本実施の形態の変形例に係る水晶振動子の内部構成を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態に係る周波数調整方法の説明の前に、音叉型振動子について説明する。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す本実施の形態では、音叉型振動子として水晶振動子に本発明を適用し、圧電振動片として音叉型水晶片に本発明を適用した場合を示すが、これに限定されるものではなく、これら水晶振動子と音叉型水晶片とは好適な実施の形態の一つである。
−水晶振動子(本発明でいう音叉型振動子)の説明−
図1は、本形態に係る水晶ウエハ1(以下、これをウエハと呼ぶ)を示す平面図であり、図2は、図1のウエハ1の1つの音叉型水晶片2(以下、これを水晶片と呼ぶ)を模式的に示したもので、第1及び第2の励振電極23,24(下記参照)の配設状態を示す図である。また、図3は、図2のA−A線に沿った断面図であり、図4は、図2のB−B線に沿った断面図である。
1枚のウエハ1には、フォトリソグラフィ等の工法により、複数個の水晶片2,2・・・が形成されている。これら水晶片2,2・・・を切り離す前に、各水晶片2,2・・・に、第1及び第2の励振電極23,24及び周波数調整用の金属膜26,27が形成されている。また、各水晶片2,2・・・には、各水晶片2,2・・・に対応した検査電極11,12が設けられている。この検査電極11,12は、図示しない導電パターンにより第1及び第2の励振電極23,24に接続されている。このウエハ1では、検査電極11,12から周波数調整対象とする水晶片2の第1及び第2の励振電極23,24へ電圧が印加されて、水晶片2が励振される。そして、励振された状態で水晶片2の周波数測定が行えるようになっている。なお、水晶振動子は、第1及び第2の励振電極23,24が形成された水晶片2をパッケージ(図示省略)に搭載し、パッケージの上部に水晶片2を覆うように平板状のキャップ(図示省略)を取り付けて水晶片2を気密封止して製造される。
また、図2に示すように、上記ウエハ1の中に形成される1つの水晶片2には、基部20と2本の脚部21,22が備えられている。また、各脚部21,22には、第1及び第2の励振電極23,24が形成されている。第1の励振電極23は、一方の脚部21の表裏主面励振電極23a,23bと他方の脚部22の両側面励振電極23c,23dとから構成され、これら第1の励振電極23a,23b,23c,23dは、接続されている。同様に、第2の励振電極24は、他方の脚部22の表裏主面励振電極24a,24bと一方の脚部21の両側面励振電極24c,24dとから構成され、これら第2の励振電極24a,24b,24c,24dは、接続されている。これら第1及び第2の励振電極23,24は、金属蒸着によって各脚部21,22上に形成されたクロム(Cr)と、このクロムの上層にフォトリソグラフィ等の工法により形成された金(Au)等とからなる薄膜である。この薄膜の膜厚は、例えばクロムが0.02μm、金が0.40μmに設定されている。
また、図3に示すように、この音叉型水晶片2の各脚部21,22の先端部には、それぞれ周波数調整用錘としての金属膜26,27が形成されている。これら金属膜26,27は、それぞれ第1の励振電極24c,24dと、第2の励振電極23c,23dとに接続されている。
金属膜26は、脚部21の外側面に形成された外側面金属膜26a、表面側に形成された表主面金属膜26b、裏面側に形成された裏主面金属膜26c、及び内側面に形成された内側面金属膜26dから構成されている。また、金属膜27は、脚部22の外側面に形成された外側面金属膜27a、表面側に形成された表主面金属膜27b、裏面側に形成された裏主面金属膜27c、及び内側面に形成された内側面金属膜27dから構成されている。これら金属膜26,27は、金属蒸着によって各脚部21,22上に形成されたクロム(Cr)と、このクロムの上層にフォトリソグラフィ等の工法により形成された金(Au)等とからなる薄膜である。この薄膜の膜厚は、例えばクロムが0.02μm、金が0.40μm、銀が2.00μmに設定されている。なお、この実施の形態では、第1及び第2の励振電極23、24に連なって金属膜26、27のクロムおよび金層が形成されている。
金属膜26,27は、その一部が、後述する周波数調整装置に備えられたビーム照射機からのビーム照射によって除去されることで、振動子1の発振周波数を調整するためのものである。そのため、金属膜26,27は、周波数調整前の振動子1の発振周波数が目標周波数よりも低くなるように形成されている。
−周波数調整動作の説明−
次に、上述の如く構成された水晶片2の周波数調整方法について、ビーム照射としてレーザビーム照射を例に説明する。なお、本実施の形態では、下記する周波数調整装置を用いるが、これに限定されるものではなく、本実施の形態は一実施の形態であり、ビーム照射を行うことが可能な他の形態の周波数調整装置であってもよい。
本実施の形態にかかる水晶片2の周波数調整装置(図示省略)では、真空チャンバ(図示省略)を用いている。この真空チャンバには、ウエハ1を周波数調整台(図示省略)に載置して周波数調整を行う処理室(図示省略)と、外部からこの処理室にウエハ1を搬入するための扉を備えた前室(図示省略)とが設けられ、これら処理室と前室とは連結している。さらに、周波数調整装置には、ウエハ1の位置を認識する画像認識装置(図示省略)と、周波数調整装置を制御するコントローラ(図示省略)と、水晶片2の発振周波数を逓倍する逓倍機(図示省略)と、レーザを照射するレーザ照射機(図示省略)と、が設けられている。
−レーザ照射前準備−
発振周波数を調整しようとするウエハ1を外部から真空チャンバの前室の内部に搬入する。その後、前室に設けられた扉を閉めて、真空チャンバの内部を真空引きする。そして、前室から周波数調整台にウエハ1を搬送する際、画像認識装置によってウエハ1を撮像する。その撮像データはコントローラに送信され、これによってウエハ1に形成されている各水晶片2,2・・・の位置が予め認識される。つまり、この際、水晶片2上の粗調整と微調整のレーザ照射エリアが設定されることになる。
また、周波数調整台にウエハ1が載置されると、先ず、ウエハ1に形成されている各水晶片2,2・・・に対して第1番目のもの(例えば図1における左上隅の水晶片2)から順に対応した検査電極11,12に所定電圧が印加されて各振動子の励振が行われる。そして、その発振周波数が逓倍機によって逓倍される。この逓倍された周波数信号に基づいて、周波数カウンタが各水晶片2,2・・・の発振周波数をカウントし、そのカウント信号がコントローラに送信される。このカウント信号を受けたコントローラにおいて、コントローラ内の算出手段(図示省略)が、各水晶片2,2・・・の発振周波数と目標周波数との差を算出する。これにより、各水晶片2,2・・・に対する発振周波数の調整量が決定されることになる。
−レーザ照射工程−
上述したレーザ照射前準備において決定された発振周波数の調整量に基づく調整信号は、レーザ制御手段(図示省略)に送られる。このレーザ制御手段では、ウエハ1上に形成されている各水晶片2,2・・・に対する発振周波数を前記目標周波数との差だけ変化させるためにレーザ照射を行うべきレーザ照射エリアを選択してエリア決定を行う。そして、レーザ照射機は、このレーザ制御手段による決定に従って制御され、この決定されたレーザ照射エリア(レーザ照射座標)に対するレーザ照射を連続して行う。このレーザ照射機によるレーザ照射は、上述した周波数測定と同様に、ウエハ1上に形成されている各水晶片2,2・・・に対して第1番目の水晶片2(例えば図1における左上隅の水晶片2)から順に行う。
以下、具体的なレーザ照射の形態について、ウエハ1上に形成されている1つの水晶片2の周波数調整を例にし、図5を参照して説明する。
−粗調整(調整量大)の場合(本発明でいう粗調整工程)−
図5(a)に示すように、脚部21の金属膜26の先端部から、外側の稜部分に対して、脚部21の厚み方向へレーザ照射し、外側面金属膜26aを厚み方向へライン状に除去する。そして、ここを始点として脚部21の内側に向かって連続してレーザ照射することにより、脚部21の表裏主面に形成された金属膜26b,26cを幅方向にライン状に除去し、脚部21の内側の稜部分を終点として、脚部21の厚み方向へレーザ照射することで、内側面金属膜26dを厚み方向にライン状に除去する。
ここで、レーザ照射機によるレーザ照射は、脚部21の金属膜26の先端部から、脚部22の金属膜27の先端部について連続して照射することができる。つまり、脚部22の金属膜27の先端部から、内側の稜部分に対して、脚部22の厚み方向へレーザ照射し、内側面金属膜27dを厚み方向へライン状に除去する。そして、ここを始点として脚部22の外側に向かって連続してレーザ照射することにより、脚部22の表裏主面に形成された金属膜27b,27cを幅方向にライン状に除去し、脚部22の外側の稜部分を終点として、脚部22の厚み方向へレーザ照射することで、外側面金属膜27aを厚み方向にライン状に除去する。
以上のように、1ヶ所(1回)のレーザ照射により、脚部21,22の金属膜26,27は、それぞれ脚部21,22の表裏主面と両側面(内外側面)の全周にわたってライン状に除去される。この1ヶ所のレーザ照射により約500〜600ppmの調整ができる。
−第1の微調整(調整量中)の場合(本発明でいう第1の周波数微調整、及び微調整工程の一つ)−
図5(b)に示すように、図5(a)に示す粗調整された領域より脚部21,22の基部20側の金属膜26,27から、脚部21,22の内外側面金属膜26a,26d,27a,27d(図3参照)のいずれか1つ以上を選択し、脚部21,22の稜部分に対して、脚部21,22の厚み方向へレーザ照射することにより、脚部21,22の幅方向の一端部を厚み方向へライン状に除去する。
または、図5(c)に示すように、図5(a)に示す粗調整された領域より脚部21,22の基部20側の金属膜26,27から、脚部21,22の表裏主面金属膜26b,26c,27b,27c(図3参照)のいずれか1つ以上を選択し脚部21,22の表裏主面と直交する方向へレーザ照射することにより、脚部21,22の幅方向へライン状に除去する。
以上のように、1ヶ所(1回)のレーザ照射により、脚部21,22の金属膜26,27を、幅方向か、あるいは厚み方向へライン状に除去される。図5(b)では、金属膜26dと27aにおいて厚み方向へライン状に1ヶ所ずつ除去し、各脚部21,22でライン除去の個数を同一としている。この1ヶ所のレーザ照射により約100〜150ppmの調整ができる。なお、各脚部21,22でライン除去の位置は、図5(b)に示す位置に限定することはなく、例えば、金属膜26aと27dにおいて厚み方向へライン状に1ヶ所ずつ除去するなど、任意に設定可能である。また、各脚部21,22でライン除去の位置は、図5(c)に示す位置に限定することはなく、例えば、図5(c)に示す粗調整された領域よりも各脚部21,22の基部20側に離された位置に設定してもよい。
−第2の微調整(調整量小)の場合(本発明でいう第2の周波数微調整、及び微調整工程の一つ)−
図5(b)、(c)に示す粗調整および微調整された領域より脚部21,22の基部20側の金属膜26,27から、脚部21,22の表裏主面金属膜26b,26c,27b,27cのいずれか1つ以上を選択し、脚部21,22の主面と直交する方向へレーザ照射することにより、ドット状に除去する。図5(d)では、表裏主面金属膜26b,26cに2ヶ所をドット除去(26cについては図示省略)し、表裏主面金属膜27b,27cにも2ヶ所をドット除去(27cについては図示省略)することで、各脚部21,22でドット除去の個数を同一としている。この1ヶ所のレーザ照射により約50〜75ppmの調整ができる。なお、図5(d)では、表裏主面金属膜26b,26cに2ヶ所をドット除去し、表裏主面金属膜27b,27cに2ヶ所をドット除去しているが、これに限定することはなく、調整する周波数によって任意に可変可能である。
具体的に、上記した図5に示す調整として、例えば、発振周波数と目標周波数との差が1,700ppmである場合、各脚部21,22の金属膜26,27に対して粗調整(1ヶ所で500ppmとした場合)と同様のレーザ照射を3回行うことで、発振周波数と目標周波数との差が200ppmの状態で周波数粗調整が完了し、各脚部21,22の金属膜26,27に対して第1の微調整(1ヶ所で100ppmとした場合)と同様のレーザ照射を1回ずつ行うことで、発振周波数と目標周波数との差がなくなった状態で周波数微調整が完了する。また、発振周波数と目標周波数との差が1,350ppmである場合、各脚部21,22の金属膜26,27に対して粗調整(1ヶ所で600ppmとした場合)と同様のレーザ照射を2回行うことで、発振周波数と目標周波数との差が150ppmの状態で周波数粗調整が完了し、各脚部21,22の金属膜26,27に対して第2の微調整(1ヶ所で75ppmとした場合)と同様のレーザ照射を1回ずつ行うことで、発振周波数と目標周波数との差がなくなった状態で周波数微調整が完了する。
−測定工程−
上述した各周波数調整におけるレーザ照射動作が終了した後、再び、全ての水晶片2,2・・・に対して発振周波数の測定動作に移る。この発振周波数の測定動作では、上述したレーザ照射が行われた順に、つまり第1番目の水晶片2(例えば図1における左上隅の水晶片2)から順に、各水晶片2,2・・・に対して周波数測定を行ない、各水晶片2,2・・・の発振周波数が目標周波数に一致しているか否かを判定する。この際、発振周波数が目標周波数に一致している場合には、ウエハ1は真空チャンバから取り出されて後工程に搬送される。一方、発振周波数が目標周波数に一致していない場合には、上述と同様の周波数調整動作が再度行われる。
以上のように、本発明の実施形態では、ウエハ1の段階で各水晶片2を一括して周波数調整を実施しているので、生産効率を飛躍的に向上させることができる。
なお、本実施の形態では、上述した粗調整工程後に、2パターンの微調整を組み合わせることで分解能の極めて高いより高精度な周波数調整が実施している。しかしながら、目的の周波数と調整前の周波数の近似状況によって、上述した粗調整工程と、第1の微調整、あるいは第2の微調整のうち1つの周波数調整のみ(本発明でいう微調整工程)とで実施することも可能である。また、2パターンの周波数微調整のみ(本発明でいう微調整工程)を組み合わせることも可能である。さらに、上記実施形態では、予め設定された周波数調整量に応じて各調整作業(粗調整工程、微調整工程)を完了させ、周波数測定作業を実施しているが、各調整作業が終了するたびに周波数測定作業を実施させてもよい。
また、本実施の形態では、図5に示すように、全てのラインの幅を同一に設定しているが、これに限定されるものではなく、例えば図6に示すようにラインの幅を可変させてもよい。この場合、ラインの幅を可変させることで、より少ない回数のレーザ照射により水晶片2の周波数調整を行うことができる。また、この時の周波数調整の設定はラインの幅を可変させることだけなので、周波数調整幅を容易に変更させることができる。
また、本実施の形態では、粗調整工程を行ってから微調整工程を行って周波数調整を完了させているが、これに限定されることではない。例えば、粗調整工程、粗調整工程、微調整工程を順に行うなど、粗調整工程と微調整工程との回数及び順番は任意に設定してもよい。また、粗調整工程もしくは微調整工程だけを行ってもよい。具体的に、図7に示すように、各脚部21,22の内外側面金属膜26a,26d,27a,27dだけをライン状に除去する第1の微調整工程のみを行ってもよい。
また、本実施の形態にかかる微調整工程は、第1の微調整を行ってから第2の微調整を行っているが、これに限定されることではない。例えば、第2の微調整を行ってから第1の微調整を行ってもよく、第1の微調整と第2の微調整とのどちらか一方だけの微調整を行ってもよく、第1の微調整と第2の微調整とを同時に行ってもよい。特に、第1の微調整と第2の微調整とを同時に行った場合、第1の周波数微調整と第2の周波数微調整のうち、いずれか1つ以上を選択的に実施する場合と比べて、周波数測定回数を減らすことができ、周波数調整作業の時間短縮を図ることができる。
また、本実施の形態では、各脚部21,22の先端部に、図2,3に示すような金属膜26,27を形成しているが、図2,3に示す形態に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、各脚部21,22の先端部の先端面に先端面金属膜26e,27eを形成してもよい。
各脚部21,22の先端部に図8に示す金属膜26,27を形成した場合、金属膜26,27の除去を図9、図10に示すように行うことができる。すなわち、図9に示すように、脚部21,22の金属膜26,27は、それぞれ脚部21,22の表裏主面金属膜26b,26c,27b,27cと内外側面金属膜26a,26d,27a,27dとが全周にわたってライン状に除去されるとともに、先端面金属膜26e,27eが厚み方向にライン状に除去されてなる(図3参照)。また、図10に示すように、脚部21,22の金属膜26,27は、それぞれ脚部21,22の表裏主面金属膜26b,26c,27b,27cと先端面金属膜26e,27eとが各脚部26,27の先端面から表裏主面へとわたってライン状に除去されるとともに、内外側面金属膜26a,26d,27a,27dが厚み方向にライン状に除去されてなる(図3参照)。
また、図2では、各脚部26,27には、内外側面金属膜26a,26d,27a,27dが形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示すように各脚部21,22の先端部に先端面金属膜26e,27eを形成してもよい。この場合は、図12に示すように、先端面金属膜26e,27eが厚み方向にライン状に除去されてもよい。また、図13に示すように、それぞれ脚部21,22の表裏主面金属膜26b,26c,27b,27cと先端面金属膜26e,27eとが各脚部26,27の先端面から表裏主面へとわたってライン状に除去されてもよい。なお、図12、図13に示す金属膜26,27のライン除去は、図8に示す金属膜26,27にも対応できる。
−本実施の形態の変形例−
次に、本実施の形態の変形例について図14とともに説明する。上述した実施の形態では、ウエハ7上に複数の水晶片2,2・・・を形成し、これら水晶片2を切り離す前に、各水晶片2に対して連続して周波数調整動作を行うようにしたものについて説明した。本変形例では、上述した水晶片2をセラミックパッケージ3に組み込んだものに対して周波数調整を行っている。なお、この変形例では、パッケージ3にセラミックを用いているが、これに限定されるものではなく、絶縁物で形成されたパッケージであれば、他の形態を用いてもよい。
図14は本変形例にかかる音叉型振動子(以下、水晶振動子という)の内部構成を示す平面図である。この14図に示すように、水晶振動子には、水晶片2、セラミックパッケージ3及びリード電極5が備えられている。セラミックパッケージ3は上方が開放された箱形体からなり、このセラミックパッケージ3には所定位置に図示しない電極配線が施されている。リード電極5は、水晶片2の第1及び第2の励振電極23,24(例えば、図2参照)に接続されているとともに、水晶片2の基部20を支持している。そして、セラミックパッケージ3の上部には水晶片2を覆うように平板状のキャップ(図示省略)が取り付けられており、これによって音叉型水晶片2が気密封止されている。
この変形例にかかる水晶振動子では、上述した実施の形態の場合と同様に、レーザ照射動作において、セラミックパッケージ3上に形成されている水晶片2に対してレーザ照射機からのレーザ照射を行う。このレーザ照射動作は、上述した実施の形態の場合と同様に、水晶片2の発振周波数を目標周波数との差だけ変化させるためのレーザ照射エリアが予め決定されることで行われる。レーザ照射が終了した後、発振周波数の測定動作を行い、最終的に周波数調整が行われる。
この変形例にかかる水晶振動子によれば、目的の周波数と調整前の周波数の近似状況によって、後工程で別による微調整(ミーリング法、パーシャル蒸着法等)を行うことができる。
また、上述した実施の形態では、レーザ照射による3パターンの周波数微調整を組み合わせることで分解能の極めて高いより高精度な周波数調整が実施している。この上述した実施の形態にかかる周波数調整方法に、この変形例にかかる周波数調整方法を組み合わせることで、よりに高精度な周波数調整を実施することができる。
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
また、この出願は、2003年3月28日に日本で出願された特願2003−090067号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。
【産業上の利用可能性】
本発明は、音叉型振動片などの圧電振動片に形成された周波数調整用錘としての金属膜の一部をビーム照射(レーザビーム、電子ビーム等)によって除去することで音叉型振動子の発振周波数調整を行う場合の調整作業の高効率化を図るのに好適である。特に、ウエハで一体形成された小型の圧電振動片を切り離す前に各圧電振動片に対して連続して周波数調整する場合、極めて効率的で好適である。また、本発明は、特に音叉型振動子が水晶振動子である場合、好適である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と複数の脚部とを備えるとともに、前記各脚部に周波数調整するための金属膜を形成した圧電振動片の前記金属膜の一部を、ビーム照射によって除去することにより、この圧電振動片を設けた音叉型振動子の発振周波数を調整する周波数調整方法において、
前記金属膜を前記各脚部の側面もしくは先端面の少なくとも一面を含む先端部に形成し、この側面もしくは先端面の少なくとも一面に形成した前記金属膜を除去することにより周波数調整を行うことを特徴とする音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項2】
前記脚部の幅方向の少なくとも一側部の稜部分に対して前記脚部の厚み方向へビーム照射して、前記脚部の前記側面に形成した前記金属膜を厚み方向へライン状に除去することにより周波数調整を行うことを特徴とする請求項1記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項3】
前記脚部の幅方向の前記一側面から前記表裏主面を経由して前記他側面へとビーム照射して、前記脚部に形成した前記金属膜を前記表裏主面と前記両側面の全周にわたってライン状に除去することにより周波数調整を行うことを特徴とする請求項1記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項4】
前記脚部の先端部の稜部分に対して前記脚部の厚み方向へビーム照射して、前記脚部の前記先端面に形成した前記金属膜を厚み方向へライン状に除去することにより周波数調整を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項5】
前記脚部の前記先端面と前記表裏主面とをビーム照射して、前記脚部に形成した前記金属膜を前記表裏主面と前記先端面とにわたってライン状に除去することにより周波数調整を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項6】
前記脚部に形成された前記金属膜をビーム照射して前記金属膜をライン状に除去することにより周波数粗調整する粗調整工程と、
前記金属膜をライン状に除去する第1の周波数微調整、または、前記金属膜をドット状に除去する第2の周波数微調整のうち、いずれか1つ以上を選択的に実施する微調整工程と、を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項7】
前記脚部に形成された前記金属膜をビーム照射して前記金属膜をライン状に除去することにより周波数粗調整する粗調整工程と、
前記金属膜をライン状に除去する第1の周波数微調整と、前記金属膜をドット状に除去する第2の周波数微調整とを同時に実施する微調整工程と、を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項8】
前記第1の周波数微調整は、前記粗調整した領域より前記基部側の前記金属膜をライン状に除去し、
前記第2の周波数微調整は、前記基部側の前記金属膜をドット状に除去することを特徴とする請求項6または7に記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項9】
前記ラインの幅を可変させることを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載の音叉型振動子の周波数調整方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の音叉型振動子の周波数調整方法によって周波数調整されたことを特徴とする音叉型振動子。

【国際公開番号】WO2004/100365
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505966(P2005−505966)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002985
【国際出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】