説明

音声中継装置

【課題】拠点や話者などが異なる各々の音声を放音させる放音点を利用者が任意に決められるようにする。
【解決手段】音声分配装置は、複数の差込部の中から利用者によって選択された差込部と、利用者によって指定された音声データ送信元の会議端末の通信アドレスまたは利用者によって指定された音声の特徴情報との入力を受け付け、これらを対応付けてメモリに記憶する。そして、音声分配装置は、音声データ送信元の会議端末から送信されてきた音声データから、その会議端末の通信アドレスまたは当該音声データが表す音声の特徴情報を取得し、取得した通信アドレス又は特徴情報と対応付けてメモリに記憶されている差込部の識別子を特定し、特定した識別子によって識別される差込部に差し込まれている放音装置に、前記送信されてきた音声データを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声データを中継する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスピーカの中からいずれかを選択し、選択したスピーカから音声を出力する技術が知られている。例えば、特許文献1には、人間の移動を検出し、移動先に設置されたスピーカから音声を出力する技術が開示されている。また、特許文献2には、出力選択スイッチの切り替え動作に応じて、音声信号の出力先を切り替える技術が開示されている。そして、特許文献3には、椅子に着座した人間が音を聞くときの指向方向を検出し、分散して配置された複数のスピーカのうち、検出した指向方向に応じたスピーカに音声信号を供給する技術が開示されている。また、特許文献4には、テレビ会議システムにおいて、発言者が表示されている位置の近くのスピーカからその発言者の音声を出力する技術が開示されている。
【特許文献1】特開昭58−147297号公報
【特許文献2】特開平10−336786号公報
【特許文献3】実開平04−027699号公報
【特許文献4】特開平07−58859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、会議システムにおいては、通信回線を介して音声が伝達されるため、音質が劣化してしまう。そのため、会議システムでは、声質によって話者を判別するのが難しく、誰が発言を行っているのかわかりにくい。さらに、多地点を接続する会議システムにおいては、互いに異なる拠点にいる複数の話者の音声が同じスピーカから放音されるため、どの拠点にいるどの話者が発言を行っているのかわかりにくい。そこで、利用者が、他拠点にいる各々の話者の音声をどこから放音させるかを決められれば便利である。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、拠点や話者などが異なる各々の音声を放音させる放音点を利用者が任意に決められるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、音声が放音される複数の放音点の中から利用者によって選択された放音点と、利用者によって指定された音声データ送信元を識別する送信元識別情報または利用者によって指定された音声の特徴情報との入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力受付手段が入力を受け付けた、前記放音点と前記送信元識別情報または前記音声の特徴情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記音声データ送信元から送信されてきた音声データから、当該音声データ送信元を識別する送信元識別情報または当該音声データが表す音声の特徴情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記送信元識別情報または前記特徴情報と対応付けて前記記憶手段に記憶されている放音点を特定する放音点特定手段と、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置される放音手段に、前記送信されてきた音声データを供給するデータ供給手段とを備えることを特徴とする音声中継装置を提供する。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、各々の前記放音点に配置された複数の差込口と、前記放音手段を有し、前記差込口に抜き差し自在な放音装置と、前記放音装置が差し込まれた前記差込口を検出する検出手段とを備え、前記入力受付手段は、前記検出手段によって検出された前記差込口が配置された放音点と、利用者によって指定された音声データ送信元を識別する送信元識別情報または利用者によって指定された音声の特徴情報との入力を受け付け、前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された差込口に差し込まれた前記放音装置に、前記送信されてきた音声データを供給し、前記放音装置は、前記データ供給手段によって音声データが供給されると、当該音声データに応じた音声を前記放音手段から放音してもよい。
【0006】
本発明の好ましい態様において、前記入力受付手段は、前記検出手段によって検出された前記差込口が配置された放音点と、当該放音点から音声が放音されるときの音量を表す音量情報との入力を受け付け、前記記憶手段は、前記入力受付手段が入力を受け付けた前記放音点と前記音量情報とを対応付けて記憶し、前記放音点特定手段によって特定された放音点と対応付けて前記記憶手段に記憶されている音量情報を抽出する音量情報抽出手段を備え、前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された差込口に差し込まれた前記放音装置に、前記送信されてきた音声データと前記音量情報抽出手段によって抽出された音量情報とを供給し、前記放音装置は、前記データ供給手段によって前記音声データ及び前記音量情報が供給されると、当該音声データに応じた音声を当該音量情報が表す音量で前記放音手段から放出してもよい。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記放音装置は、画像を表示する表示手段を備え、前記入力受付手段は、前記検出手段によって検出された前記差込口が配置された放音点と、当該差込口に差し込まれた放音装置にて表示する画像を表す画像データとの入力を受け付け、前記記憶手段は、前記入力受付手段が入力を受け付けた前記放音点と前記画像データとを対応付けて記憶し、前記放音点特定手段によって特定された放音点と対応付けて前記記憶手段に記憶されている画像データを抽出する画像データ抽出手段を備え、前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された差込口に差し込まれた前記放音装置に、前記送信されてきた音声データと前記画像データ抽出手段によって抽出された画像データとを供給し、前記放音装置は、前記データ供給手段によって前記画像データが供給されると、当該画像データに応じた画像を前記表示手段に表示してもよい。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、各々の前記放音点に配置された複数の前記放音手段を備え、前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された放音手段に、前記送信されてきた音声データを供給し、前記放音手段は、前記データ供給手段によって音声データが供給されると、当該音声データに応じた音声を放音してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、拠点や話者などが異なる各々の音声を放音させる放音点を利用者が任意に決めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[構成]
(会議システムの構成)
図1は、本実施形態に係る会議システム1の構成を示す図である。同図に示すように、会議システム1は、複数の会議端末5を備えている。各々の会議端末5は、互いに異なる拠点に設置されており、インターネットなどのネットワークNを介して接続されている。これらの会議端末5は、利用者の映像や音声を表すデータを互いに送受信することができる。これにより、異なる拠点にいる利用者同士が、会議端末5を利用して、互いに映像や音声をやり取りしながら遠隔会議を行うことができる。図2は、会議端末5の外観を示す図である。同図に示すように、この会議端末5は、情報処理装置10と、複数の放音装置20と、音声分配装置30とを備えている。
【0011】
(情報処理装置の構成)
次に、情報処理装置10の構成について説明する。情報処理装置10は、例えばパーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)が記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、利用者の映像や音声を他拠点に設置された会議端末5とやり取りする処理を行う。例えば、情報処理装置10は、利用者の音声を収音し、収音した音声を表す音声データを他の会議端末5へと送信する。また、情報処理装置10は、他の会議端末5から音声データが送信されてくると、その音声データを音声分配装置30に供給する。また、図に示すように、情報処理装置10は、操作部11と表示部12とを備えている。この操作部11は、例えばキーボードであり、利用者の操作を受け付ける。表示部12は、例えば液晶ディスプレイであり、画像データに応じた画像を表示する。
【0012】
(放音装置の構成)
次に、放音装置20の構成について説明する。図3は、放音装置20の外観を示す図である。この放音装置20は、薄い板状の形状を有しており、その大きさは例えば幅25mm×長さ75mmである。図に示すように、放音装置20は、放音部21と、接点端子22と、表示部23とを備えている。放音部21は、静電型の平面スピーカとD/A変換器などを備えた放音手段である。この放音部21は、表示部23の背面側に設けられており、表示部23を振動板として用いて、音声データに応じた音声を放音する。接点端子22は、音声分配装置30側の接点端子と接触される端子である。表示部23は、例えば電子ペーパであり、画像データに応じた画像を表示する表示手段である。
【0013】
(音声分配装置の構成)
次に、音声分配装置30の構成について説明する。この音声分配装置30は、単体で又は放音装置20と協働して、音声中継装置として機能する。まず、音声分配装置30の取り付け構造について説明する。図2に示すように、音声分配装置30には、断面形状が略コの字状に形成された取付部301が設けられている。図4は、音声分配装置30を図2中の矢線V方向から見た側面図である。同図に示すように、取付部301は、情報処理装置10の表示部12の上縁部を挟み込むように配置される。これにより、音声分配装置30が情報処理装置10に固定される。また、図2に示すように、音声分配装置30には、通信ケーブル302が設けられている。この通信ケーブル302は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルであり、先端に設けられたコネクタ303が情報処理装置10の接続口13に差し込まれることにより、情報処理装置10に接続される。これにより、音声分配装置30と情報処理装置10との間で、USB規格に従って通信を行うことができる。
【0014】
続いて、音声分配装置30の構成について説明する。図5は、音声分配装置30の構成を示すブロック図である。同図に示すように、音声分配装置30は、制御部31と、通信部32と、複数の差込部33とを備えている。制御部31は、メモリを有しており、音声分配装置30の各部を制御する。このメモリは、データを記憶する記憶手段であり、差込部33を管理する管理テーブルTなどを記憶している。通信部32は、通信ケーブル302を介して接続された情報処理装置10と通信を確立し、データの送受信を行う。差込部33は、図4に示すように、放音装置20が差し込まれる差込口である。各々の差込部33は、図2に示すように、1列に並べて配置されている。各々の差込部33が配置された地点は、音声が放音される放音点となる。この差込部33には、図示せぬ係止部が設けられており、差込部33に放音装置20が差し込まれると、この係止部の作用により、「カチッ」という音がして放音装置20が差込部33の内部で固定されるようになっている。また、放音装置20が差込部33の内部で固定されているときに、放音装置20がさらに押し込まれると、「カチッ」という音がして、係止部による固定が解除される。これにより、放音装置20を差込部33から取り出すことができる。つまり、放音装置20は、差込部33に対して抜き差し自在になっている。
【0015】
図5に示すように、各々の差込部33は、記憶部35と、接点端子36と、検出部37とを備えている。各差込部33の記憶部35、接点端子36及び検出部37は、バスBを介して制御部31に接続されている。記憶部35は、例えばメモリであり、自差込部33に割り当てられた識別子を記憶している。接点端子36は、自差込部33に放音装置20が差し込まれたときに、その放音装置20の接点端子22に接触される端子である。検出部37は、自差込部33に放音装置20が差し込まれると、放音装置20が接続されたことを検出する。
【0016】
ここで、制御部31のメモリに記憶されている管理テーブルTについて説明する。図6は、管理テーブルTの一例を示す図である。同図に示すように、管理テーブルTでは、上述した「差込部の識別子」と「接続状態」とが対応付けられている。この「接続状態」は、差込部33に放音装置20が差し込まれているか否かを表す情報である。この管理テーブルTでは、いずれの「差込部の識別子」にも、「OFF」という接続状態が対応付けられている。これは、いずれの差込部33にも、放音装置20が差し込まれていないことを表している。
【0017】
[動作]
次に、会議システム1の動作について説明する。
(設定処理)
まず、利用者が、他拠点の話者の音声の放音点を設定する設定処理について説明する。この場合、利用者は、他拠点の話者の人数分の放音装置20を音声分配装置30の差込部33のいずれかに差し込む。つまり、利用者は、音声が放音される複数の放音点の中からいずれかを選択する。ここでは、図1において、拠点Aにいる利用者U0が、放音装置20p,20q,20rを図7に示すように差し込んだ場合を想定する。なお、以下の説明では、音声分配装置30の各差込部33を区別する場合には、図中の左側から順に「差込部33a」〜「差込部33j」と呼ぶ。
【0018】
放音装置20pが差し込まれると、放音装置20pの接点端子22と差込部33bの接点端子36とが接触する。これにより、差込部33bの検出部37は、放音装置20pが接続されたことを検出し、その記憶部35に記憶されている「2」という識別子と検出信号とを制御部31に送信する。同様にして、差込部33dの検出部37は、放音装置20qが接続されたことを検出し、その記憶部35に記憶されている「4」という識別子と検出信号とを制御部31に送信する。さらに、差込部33jの検出部37も、放音装置20rが接続されたことを検出し、その記憶部35に記憶されている「10」という識別子と検出信号とを制御部31に送信する。制御部31は、送信されてきた差込部の識別子及び検出信号に基づいて、放音装置20が差し込まれた差込部33を検出する。つまり、制御部31とこれらの検出部37とが協働して、検出手段として機能する。続いて、制御部31は、この検出結果に基づいて、メモリに記憶されている管理テーブルTの接続状態を更新する。この例では、図6に示した管理テーブルTにおいて、差込部の識別子「2」,「4」,「10」に対応付けられた接続状態が「OFF」から「ON」に変更される。
【0019】
次に、利用者U0は、情報処理装置10の操作部11を操作して、放音装置20を差し込んだ各々の差込部33に対して、その差込部33に差し込まれた放音装置20から放音させる音声を判別する情報を登録する。このとき、利用者U0は、1つの拠点にいる話者が複数人である場合には、その音声の音声データの送信元となる会議端末5の通信アドレスと、その音声の特徴情報とを登録し、1つの拠点にいる話者が1人である場合には、その音声の音声データの送信元となる通信アドレスだけを登録する。この通信アドレスは、音声データの送信元となる会議端末5を識別する送信元識別情報である。また、音声の特徴情報は、話者の声質を表す情報である。この特徴情報としては、例えば周波数特性が用いられる。つまり、利用者は、音声データ送信元を識別する送信元識別情報または音声の特徴情報を指定する。このように、1つの拠点にいる話者が1人である場合に通信アドレスだけを登録するのは、音声データの送信元となる会議端末5の通信アドレスだけでその話者を特定することができるからである。また、利用者U0は、情報処理装置10の操作部11を操作して、放音装置20を差し込んだ各々の差込部33に対して、その差込部33に差し込まれた放音装置20にて表示させる文字画像を表す文字データを登録する。
【0020】
この例では、差込部33b,33d,33jに対して、以下のような内容が登録された場合を想定する。まず、差込部33bに対しては、図1において、拠点Bに設置された会議端末5の通信アドレス「192.168.0.2」及び話者U1の音声の特徴情報F1と、話者U1がいる拠点Bと話者U1の名前を表す「東京 佐藤」という文字データとが登録される。また、差込部33dに対しては、拠点Bに設置された会議端末5の通信アドレス「192.168.0.2」及び話者U2の音声の特徴情報F2と、話者U2がいる拠点Bと話者U2の名前を表す「東京 鈴木」という文字データとが登録される。さらに、差込部33jに対しては、拠点Cに設置された会議端末5の通信アドレス「192.168.0.3」と、話者U3がいる拠点Cと話者U3の名前を表す「大阪 加藤」という文字データとが登録される。
【0021】
この場合、情報処理装置10は、これら差込部33の識別子と、その差込部33に対して登録された通信アドレスまたは音声の特徴情報と、文字データとを対応付けて、割り当て情報Eを作成する。そして、情報処理装置10は、作成した割り当て情報Eを音声分配装置30に送信する。音声分配装置30の制御部31は、情報処理装置10から送信されてきた割り当て情報Eを通信部32によって受信し、メモリに記憶させる。つまり、制御部31は、放音装置が差し込まれた差込口が配置された放音点と、利用者によって指定された音声データ送信元を識別する送信元識別情報または利用者によって指定された音声の特徴情報と、当該差込口に差し込まれた放音装置にて表示する画像を表す画像データとの入力を受け付ける入力受付手段である。そして、メモリは、制御部31が入力を受け付けた放音点と、送信元識別情報または音声の特徴情報と、画像データとを対応付けて記憶する。図8は、このときにメモリに記憶される割り当て情報Eを示す図である。同図に示すように、この割り当て情報Eでは、差込部33bの識別子「2」と、通信アドレス「192.168.0.2」及び「特徴情報F1」と、「東京 佐藤」という文字データとが対応付けられている。また、この割り当て情報Eでは、差込部33dの識別子「4」と、通信アドレス「192.168.0.2」及び「特徴情報F2」と、「東京 鈴木」という文字データとが対応付けられている。さらに、この割り当て情報Eでは、差込部33jの識別子「10」と、通信アドレス「192.168.0.3」と、「大阪 加藤」という文字データとが対応付けられている。
【0022】
(割り当て処理)
次に、他拠点の話者の音声を、設定された放音点に割り当てる割り当て処理について説明する。ここでは、まず図1において、拠点Bにいる話者U1の音声を表す音声データD1が、拠点Bに設置された会議端末5から拠点Aに設置された会議端末5へと送信された場合を想定する。この音声データD1には、拠点Bに設置された会議端末5の通信アドレスである「192.168.0.2」が付加されている。音声データD1が送信されてくると、拠点Aに設置された会議端末5の情報処理装置10は、この音声データD1を音声分配装置30に送信する。
【0023】
図9は、このときに音声分配装置30及び放音装置20にて行われる割り当て処理を示すシーケンス図である。まず、音声分配装置30の制御部31は、情報処理装置10から送信されてきた音声データD1を通信部32によって受信する(ステップS11)。続いて、制御部31は、受信した音声データD1から、その送信元となる会議端末5の通信アドレスと音声の特徴情報とを取得する(ステップS12)。つまり、制御部31は、音声データ送信元から送信されてきた音声データから、当該音声データ送信元を識別する送信元識別情報または当該音声データが表す音声の特徴情報を取得する取得手段である。この例では、音声データD1に付加されている「192.168.0.2」という通信アドレスと、音声データD1が表す音声の特徴情報F1とが取得される。続いて、制御部31は、メモリに記憶されている割り当て情報Eにおいて、取得した通信アドレス又は音声の特徴情報と対応付けられた差込部の識別子を特定する(ステップS13)。つまり、制御部31は、上述にて取得された送信元識別情報または音声の特徴情報と対応付けて記憶手段に記憶されている放音点を特定する放音点特定手段である。この例では、図8に示した割り当て情報Eにおいて、通信アドレス「192.168.0.2」及び特徴情報F1に対応付けられた「2」という識別子が特定される。
【0024】
続いて、制御部31は、メモリに記憶されている割り当て情報Eにおいて、特定した差込部の識別子と対応付けられた文字データを抽出する(ステップS14)。つまり、制御部31は、上述にて特定された放音点と対応付けて記憶手段に記憶されている画像データを抽出する画像データ抽出手段である。この例では、図8に示した割り当て情報Eにおいて、差込部の識別子「2」に対応付けられた「東京 佐藤」という文字データが抽出される。続いて、制御部31は、ステップS11にて受信した音声データD1と抽出した文字データとを、ステップS13にて特定した識別子が割り当てられた差込部33に差し込まれた放音装置20に送信する(ステップS15)。つまり、制御部31は、上述にて特定された放音点に配置される放音手段に、送信されてきた音声データを供給するデータ供給手段である。この例では、音声データD1及び「東京 佐藤」という文字データが差込部33bに送られ、さらに差込部33bの接点端子36を介して、差込部33bに差し込まれた放音装置20pに送信される。音声データD1及び文字データが送信されてくると、放音装置20pは、接点端子22を介してこれらのデータを受信する(ステップS16)。続いて、放音装置20pは、受信した音声データD1に応じた音声を放音部21から放音するとともに、受信した文字データに応じた文字画像を表示部23に表示する(ステップS17)。これにより、差込部33bに差し込まれた放音装置20pにおいて、拠点Bにいる話者U1の音声が放音されるとともに、話者U1がいる拠点Bと話者U1の名前を表す「東京 佐藤」という文字画像が表示される。
【0025】
また、図1において、拠点Bにいる話者U2の音声を表す音声データD2が、拠点Bに設置された会議端末5から拠点Aに設置された会議端末5へと送信された場合を想定する。この場合、上述したステップS12では、音声データD2に付加されている「192.168.0.2」という通信アドレスと、音声データD2が表す音声の特徴情報F2とが取得される。続いて、ステップS13では、図8に示した割り当て情報Eにおいて、通信アドレス「192.168.0.2」及び音声の特徴情報F2に対応付けられた「4」という識別子が特定される。続いて、ステップS14では、図8に示した割り当て情報Eにおいて、差込部の識別子「4」に対応付けられた「東京 鈴木」という文字データが抽出される。続いて、ステップS15では、音声データD2及び「東京 鈴木」という文字データが、差込部33dの接点端子36を介して、差込部33dに差し込まれた放音装置20qに送信される。そして、ステップS17では、差込部33dに差し込まれた放音装置20qの放音部21から音声データD2に応じた音声が放音されるとともに、放音装置20qの表示部23にこの文字データに応じた文字画像が表示される。これにより、差込部33dに差し込まれた放音装置20qにおいて、拠点Bにいる話者U2の音声が放音されるとともに、話者U2がいる拠点Bと話者U2の名前を表す「東京 鈴木」という文字画像が表示される。
【0026】
さらに、図1において、拠点Cにいる話者U3の音声を表す音声データD3が、拠点Cに設置された会議端末5から拠点Aに設置された会議端末5へと送信された場合を想定する。この場合、上述したステップS12では、音声データD3に付加されている「192.168.0.3」という通信アドレスが取得される。続いて、ステップS13では、図8に示した割り当て情報Eにおいて、通信アドレス「192.168.0.3」に対応付けられた「10」という識別子が特定される。続いて、ステップS14では、図8に示した割り当て情報Eにおいて、差込部の識別子「10」に対応付けられた「大阪 加藤」という文字データが抽出される。続いて、ステップS15では、音声データD3及び「大阪 加藤」という文字データが、差込部33jの接点端子36を介して、差込部33jに差し込まれた放音装置20rに送信される。そして、ステップS17では、差込部33jに差し込まれた放音装置20rの放音部21から音声データD3に応じた音声が放音されるとともに、放音装置20rの表示部23にこの文字データに応じた文字画像が表示される。これにより、差込部33jに差し込まれた放音装置20rにおいて、拠点Cにいる話者U3の音声が放音されるとともに、話者U3がいる拠点Cと話者U3の名前を表す「大阪 加藤」という文字画像が表示される。
【0027】
図10は、音声分配装置30において音声が放音される様子を示す図である。上述したように、この例では、拠点Bにいる話者U1の音声が、差込部33bに差し込まれた放音装置20pから放音され、拠点Bにいる話者U2の音声が、差込部33dに差し込まれた放音装置20qから放音され、拠点Cにいる話者U3の音声が、差込部33jに差し込まれた放音装置20rから放音される。このように、話者U1〜話者U3の音声は、それぞれ異なる放音点から放音される。また、各々の放音装置20には、その放音装置20から放音される音声の話者に関する情報が表示される。これにより、利用者U0は、他拠点にいる話者が発言を行ったときに、その話者を容易に識別することができる。また、利用者U0は、例えば遠くの拠点にいる話者の音声を自分の位置から離れた差込部33に差し込んだ放音装置20から放音させるようにし、近くの拠点にいる話者の音声を自分の位置から近い差込部33に差し込んだ放音装置20から放音させるようにしてもよい。これにより、利用者U0は、音声の話者が遠くの拠点にいるのか、あるいは近くの拠点にいるのかを直感的に把握することができる。以上説明したように、本実施形態によれば、拠点や話者などが異なる各々の音声を放音させる放音点を利用者が任意に決めることができる。
【0028】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の各変形例を適宜組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した実施形態において、放音装置20が差し込まれた差込部33毎に、その放音装置20から放音される音声の音量を調節できるようにしてもよい。この場合、利用者は、情報処理装置10の操作部11を操作して、放音装置20を差し込んだ各々の差込部33に対して、その差込部33に差し込まれた放音装置20から音声が放音されるときの音量を設定する。そして、情報処理装置10は、上述した割り当て情報Eを作成するときに、差込部33の識別子に、その差込部33に対して設定された音量を表す音量情報を対応付ける。この場合、音声分配装置30の制御部31は、情報処理装置10からこの音量情報を含む割り当て情報Eを受信する。そして、メモリは、上述した差込部33の識別子とこの音量情報とを対応付けて記憶することになる。また、制御部31は、上述したステップS13にて差込部の識別子が特定されると、メモリに記憶されている割り当て情報Eにおいて、特定された識別子と対応付けられた音量情報を抽出する。つまり、制御部31は、特定された放音点と対応付けて記憶手段に記憶されている音量情報を抽出する音量情報抽出手段である。そして、制御部31は、上述したステップS15において、上述した音声データ及び文字データに加えて、抽出した音量情報を送信する。この場合、放音装置20は、上述したステップS17において、受信した音声データに応じた音声をこの音量情報が表す音量で放音部21から放音する。これにより、例えば特定の話者の音量だけを大きくしたりすることができる。
【0029】
(変形例2)
上述した実施形態において、放音装置20が差込部33から抜き取られた場合には、この放音装置20から放音されていた音声を別の放音点から放音させてもよい。この場合、制御部31は、上述したステップS15にて音声データを送信する前に、メモリに記憶されている管理テーブルTにおいて、上述したステップS13にて特定された差込部の識別子と対応付けられた接続状態が「ON」であるか否かを判別する。そして、制御部31は、この接続状態が「ON」である場合には、上述した実施形態と同様の処理を行い、この接続状態が「OFF」である場合には、上述したステップS11にて受信したデータを他の放音点へと送信する。他の放音点としては、情報処理装置10がスピーカなどの放音手段を備えている場合には、情報処理装置10の放音手段であってもよいし、同一拠点にいる他の話者の音声が放音される他の放音装置20であってもよい。
【0030】
(変形例3)
上述した実施形態において、各々の放音装置20は、当該放音装置20に割り当てられた識別子を記憶する記憶部を備えていてもよい。この場合、利用者は、情報処理装置10の操作部11を操作して、差込部33に差し込んだ各々の放音装置20に対して、その放音装置20から放音させる音声を判別する情報を登録する。そして、情報処理装置10は、これらの放音装置20の識別子と、その放音装置20に対して登録された通信アドレスまたは音声の特徴情報と、文字データとを対応付けて、割り当て情報を作成する。この場合、上述したステップS13では、メモリに記憶されている割り当て情報において、取得した通信アドレスまたは音声の特徴情報と対応付けられた放音装置の識別子が特定される。また、ステップS14では、メモリに記憶されている割り当て情報において、特定した放音装置の識別子と対応付けられた文字データが抽出される。そして、ステップS15では、上述した音声データ及び文字データが、特定した放音装置の識別子が割り当てられた放音装置20に送信される。
【0031】
(変形例4)
上述した実施形態において、放音装置20は、音声分配装置30から抜き差し自在に設けられていたが、音声分配装置30の差込部33毎に複数の放音部が固定して設けられていてもよい。この複数の放音部としては、例えばアレイスピーカが用いられる。つまり、音声分配装置30は、各々の放音点に配置された複数の放音手段を備えてもよい。この場合には、上述した放音装置20に代えて差込部33に差し込まれる差込部材が用いられる。そして、利用者は、他拠点の話者の人数分の差込部材を音声分配装置30の差込部33のいずれかに差し込む。この場合、音声分配装置30の制御部31は、上述したステップS15において、上述した音声データ及び文字データを、ステップS13にて特定した識別子が割り当てられた差込部33の放音部に送信する。
また、この場合には、音声分配装置30の放音部毎にスイッチを設け、このスイッチが押された放音部によって音声が放音されるようにしてもよい。
【0032】
(変形例5)
上述した実施形態では、放音部21が静電型の平面スピーカを備える例を挙げて説明したが、放音部21が他の形状又は方式のスピーカを備えていてもよい。例えば、放音部21が、電磁型のスピーカを備えていてもよい。また、放音装置20の形状も図3に示した例に限らない。
また、上述した実施形態では、複数の差込部33が1列に並べて配置されていたが、差込部33の配列はこれに限らない。例えば、複数の差込部33がマトリックス状に並べて配置されていてもよいし、地球儀を模した球体の表面に沿って並べて配置されていてもよい。
【0033】
(変形例6)
上述した実施形態では、情報処理装置10の操作部11が利用者の操作を受け付けていたが、音声分配装置30が操作部を備え、利用者の操作を受け付けてもよい。この場合、制御部31には、この操作部の操作によって、利用者によって登録された情報が入力される。そして、制御部31は、入力された情報に基づいて上述した割り当て情報Eを作成する。
【0034】
(変形例7)
上述した情報処理装置10、放音装置20、音声分配装置30の動作は、1又は複数のハードウェア構成によって実現されてもよいし、CPUが1又は複数のプログラムを実行することによって実現されてもよい。また、このCPUによって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態に係る会議システムの構成を示す図である。
【図2】前記会議システムの会議端末の外観を示す図である。
【図3】前記会議端末の放音装置の外観を示す図である。
【図4】前記会議端末の音声分配装置の側面図である。
【図5】前記音声分配装置の構成を示すブロック図である。
【図6】前記音声分配装置が記憶する管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】前記放音装置が差し込まれる様子を示す図である。
【図8】前記音声分配装置に記憶される割り当て情報を示す図である。
【図9】前記音声分配装置と前記放音装置の割り当て処理を示すシーケンス図である。
【図10】前記音声分配装置において音声が放音される様子を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1…会議システム、5…会議端末、10…情報処理装置、20…放音装置、21…放音部、22…接点端子、23…表示部、30…音声分配装置、31…制御部、32…通信部、33…差込部、35…記憶部、36…接点端子、37…検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声が放音される複数の放音点の中から利用者によって選択された放音点と、利用者によって指定された音声データ送信元を識別する送信元識別情報または利用者によって指定された音声の特徴情報との入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力受付手段が入力を受け付けた、前記放音点と前記送信元識別情報または前記音声の特徴情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記音声データ送信元から送信されてきた音声データから、当該音声データ送信元を識別する送信元識別情報または当該音声データが表す音声の特徴情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記送信元識別情報または前記特徴情報と対応付けて前記記憶手段に記憶されている放音点を特定する放音点特定手段と、
前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置される放音手段に、前記送信されてきた音声データを供給するデータ供給手段と
を備えることを特徴とする音声中継装置。
【請求項2】
各々の前記放音点に配置された複数の差込口と、
前記放音手段を有し、前記差込口に抜き差し自在な放音装置と、
前記放音装置が差し込まれた前記差込口を検出する検出手段とを備え、
前記入力受付手段は、前記検出手段によって検出された前記差込口が配置された放音点と、利用者によって指定された音声データ送信元を識別する送信元識別情報または利用者によって指定された音声の特徴情報との入力を受け付け、
前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された差込口に差し込まれた前記放音装置に、前記送信されてきた音声データを供給し、
前記放音装置は、前記データ供給手段によって音声データが供給されると、当該音声データに応じた音声を前記放音手段から放音する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声中継装置。
【請求項3】
前記入力受付手段は、前記検出手段によって検出された前記差込口が配置された放音点と、当該放音点から音声が放音されるときの音量を表す音量情報との入力を受け付け、
前記記憶手段は、前記入力受付手段が入力を受け付けた前記放音点と前記音量情報とを対応付けて記憶し、
前記放音点特定手段によって特定された放音点と対応付けて前記記憶手段に記憶されている音量情報を抽出する音量情報抽出手段を備え、
前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された差込口に差し込まれた前記放音装置に、前記送信されてきた音声データと前記音量情報抽出手段によって抽出された音量情報とを供給し、
前記放音装置は、前記データ供給手段によって前記音声データ及び前記音量情報が供給されると、当該音声データに応じた音声を当該音量情報が表す音量で前記放音手段から放出する
ことを特徴とする請求項2に記載の音声中継装置。
【請求項4】
前記放音装置は、画像を表示する表示手段を備え、
前記入力受付手段は、前記検出手段によって検出された前記差込口が配置された放音点と、当該差込口に差し込まれた放音装置にて表示する画像を表す画像データとの入力を受け付け、
前記記憶手段は、前記入力受付手段が入力を受け付けた前記放音点と前記画像データとを対応付けて記憶し、
前記放音点特定手段によって特定された放音点と対応付けて前記記憶手段に記憶されている画像データを抽出する画像データ抽出手段を備え、
前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された差込口に差し込まれた前記放音装置に、前記送信されてきた音声データと前記画像データ抽出手段によって抽出された画像データとを供給し、
前記放音装置は、前記データ供給手段によって前記画像データが供給されると、当該画像データに応じた画像を前記表示手段に表示する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の音声中継装置。
【請求項5】
各々の前記放音点に配置された複数の前記放音手段を備え、
前記データ供給手段は、前記放音点特定手段によって特定された放音点に配置された放音手段に、前記送信されてきた音声データを供給し、
前記放音手段は、前記データ供給手段によって音声データが供給されると、当該音声データに応じた音声を放音する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−124133(P2010−124133A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294721(P2008−294721)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】