説明

音声認識システム

【課題】 ユーザの属する地域が変わったことを通知すると共に、ユーザに音声認識辞書を切り替える意思があるかどうかを確認し、ユーザからの指示を受けてから辞書を切り替えることによって、使用する音声認識辞書に関してユーザの意思を正確に反映させる。
【解決手段】 スイッチ−表示装置5は表示パネルを有しており、スイッチの表示によって車両の走行地域が変化したことを通知し、辞書切り替えを行うかどうかを確認する。また、スイッチ操作によってユーザからの辞書指示を受け付け、対話形式制御部9を介して辞書切り替え指示部4に対し切り替え指示を与える。音声出力装置8は走行地域が変化した旨の通知や辞書切り替えの確認を音声にて行う。対話形式制御部9には地域解析部7が接続されており、ここから解析結果を定期的に取得してその走行地域が現在使用中の音声認識辞書に対応する地域と一致しているかどうかを監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが属する地域の変化に応じて、その地域で使用する音声認識辞書を切り替える音声認識システムに係り、特に、辞書切り替えに際してユーザの意思を尊重した音声認識システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、音声認識システムでは、音声認識辞書に音声データからなる辞書データを登録しておき、ユーザによって発話された音声を音声データとして入力する。そして、この音声データと音声認識辞書の辞書データとを音響解析で比較し、辞書内から最も特性が一致するデータを出力するようになっている。
【0003】
このような音声認識システムを車両等の移動体に搭載すれば、移動体を操縦しながら音声だけで様々な機器を操作することが可能となる。具体的には、ナビゲーション装置において地名や施設名を発話することで目的地を設定したり、TVやラジオにおいて放送局名の発話だけで、その放送局を選局することができる。このため、機器操作に際して移動体の操縦がおろそかになることがなく、優れた安全性を確保することができる。
【0004】
ところで、音声認識システムに組み込まれる音声認識辞書では、単一の辞書に全国全ての地名や施設名、放送局名を登録しようとすると、登録件数が膨大になる。その結果、辞書容量や認識処理時間が増大して、認識精度が低下するおそれがあった。そこで、この問題を回避するために、地域に該当する認識対象語句だけに絞り込んだ音声認識辞書を複数用意し、地域ごとに音声認識辞書を切り替えている。この手法をとる音声認識システムによれば、音声認識辞書1つあたりの登録データ件数を大幅に減らすことができるので、辞書容量の縮小化と認識処理時間の短縮化を進めることが可能となり、認識精度が向上する。特に、移動体に搭載する音声認識システムでは、移動に応じて現在位置が頻繁に変わるため、極めて有効である。
【0005】
例えば、特許文献1では、音声認識機能を備えた車載用地図表示装置において、音声認識辞書の認識対象語を、予め設定された車両走行経路等に関連する地名情報に限定することで、認識対象語彙数を抑制して処理速度の低下を防止している。
【特許文献1】特開平9−42987号公報
【0006】
ここで、車載用の音声認識システムの従来例について図6〜図8を用いて詳しく説明する。図6に示す音声認識システム1には、音声認識処理部2、音声認識辞書群を格納したメモリ3、辞書切り替え指示部4が設けられている。このうち音声認識処理部2は、発話された音声を音声データとして入力し、この音声データと音声認識辞書内の辞書データとを音響解析で比較して音声認識辞書内から最も特性が一致するものを辞書IDなどの方法で出力するようになっている。
【0007】
メモリ3に格納された各音声認識辞書は、地域1の辞書や地域2の辞書というように、予め規定された走行地域ごとに設けられており、各走行地域に応じた辞書データが絞り込まれて登録されている。辞書切り替え指示部4は使用中の音声認識辞書を他の音声認識辞書に切替える部分であり、スイッチ−表示装置5が接続されている。スイッチ−表示装置5はスイッチを表示して、このスイッチの操作によってユーザからの辞書切り替え指示を受け付けるユーザインターフェース部である。
【0008】
以上の構成を有する従来例の作用は次の通りである。まず、スイッチ−表示装置5は、メモリ3に格納された音声認識辞書を表示するが、この時、辞書の名称リストとして辞書に対応する走行地域名をリスト表示する(図7参照)。ユーザは、このリストから切替えたい辞書(図7に即して言えば、辞書に対応した走行地域)をキー操作により選択する。続いて、スイッチ−表示装置5は選択がなされたイベントと、選択された走行地域(より正確には走行地域に対応する辞書)の情報を辞書切り替え指示部4に伝える。辞書切り替え指示部4は、音声認識処理部2に対しメモリ3内で該当する音声認識辞書を参照するように指示し、音声認識処理部2は指示された音声認識辞書を使用して音声認識処理を行う。
【0009】
しかし、上記の従来例では以下のような問題点があった。すなわち、車両の走行地域が変わるたびにユーザ自身がスイッチ−表示装置5を操作して地域名を選択し、辞書の切り替えを行わなければならなかった。そのため、車両の走行する地域が、例えば東京都から埼玉県に変わったとしても、ユーザがそれを認知していなければ、辞書の切り替え操作をし忘れることがあった。その結果、走行地域が変化したにもかかわらず、使用する辞書の切り替えを行っておらず、現実に使用している音声認識辞書が、本来その地域で使用しなくてはならない音声認識辞書になっていないケースがあった。このような事態を「地域と辞書との不一致」と呼んでいる。また、地域変化に伴う辞書の切り替え操作をユーザに強いているので、ユーザは現在位置がどの地域に属するのかを常に意識する必要があり、煩わしさを感じることが多かった。
【0010】
この問題を解決するために提案されたものが図8に示した従来例である。この従来例では、辞書切り替え指示を受け付けるスイッチ−表示装置5に代えて、GPS等を用いて車両の現在位置(自車位置)を検出する現在位置検出部6と、現在位置を取得して現在位置が属する走行地域を解析する地域解析部7とが設置されており、車両の走行地域が変化した場合にこれを認識して、使用する音声認識辞書を地域に合せて自動的に切り替えるようになっている。なお、図6に示した従来例と同一の構成部材に関しては同一符号を付して説明は省略する。
【0011】
以上の従来例では、地域解析部7が現在位置検出部6から車両の現在位置を取得し、その現在位置がどの走行地域内にあるかを解析する。そして、解析結果である地域が、メモリ3内の音声認識辞書に対応した地域と一致しているかどうかを監視する。この時、車両の走行地域が使用中の音声認識辞書に対応した地域と異なった場合、地域が変化したと判断し、地域が変わったことを示すイベントと、その地域情報(地域に対応する辞書情報)を辞書切り替え指示部4に伝える。辞書切り替え指示部4は音声認識処理部2にメモリ3内で該当する音声認識辞書を参照するように指示し、音声認識処理部2は指示された音声認識辞書を使用して音声認識処理を行うようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、ユーザが2つの地域A,Bの境界付近に住んでいて、ユーザの住んでいる場所は地域Aであるが、ユーザの行動範囲としては地域Bの方が多く、地域Aに位置する場合でも使用する音声認識辞書は地域Bに対応するものであってほしい場合がある。また、ラジオやTVの場合、地域Aから地域Bに車両が移ったとしても、その境界付近でいきなり地域Aに該当する放送局の受信ができなくなるわけではなく、地域Bに入っても車両が地域Aに近い範囲を移動していれば受信可能な状態は続く。このケースで、ユーザは地域Aから地域Bに入った途端に音声認識辞書を切替えて欲しくないこともある。さらに、複数の地域を頻繁にまたいで移動する場合に、音声認識辞書を自動的に切り替えると、辞書がたびたび切り替わることになり、ユーザが混乱する要因となる。この場合にも、走行地域に対応していない音声認識辞書をユーザが使いたいことがあり得る。
【0013】
ところが、図8に示した従来例では音声認識辞書を走行地域に応じて機械的に切り替えてしまうので、ユーザが走行地域に対応した辞書とは異なる辞書を使いたくてもこれを使うことができず、ユーザの意思を忠実に反映させることができなかった。すなわち、図7の従来例においては「地域と辞書との不一致」は発生しなくなる反面、「辞書とユーザの意思との不一致」が生じることになり、使用感が低下するおそれがあった。
【0014】
本発明は、上記のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、ユーザの属する地域が変わったことを通知すると共に、ユーザに音声認識辞書を切り替える意思があるかどうかを確認し、ユーザからの指示を受けてから辞書を切り替えることにより、たとえ「地域と辞書と不一致」があったとしても、それがユーザの意思である限りはユーザの意思に基づいた音声認識辞書を使用することができ、ユーザの意思を正確に反映させることが可能な、使用感の高い音声認識システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的を達成するために、請求項1の発明は、予め規定された地域ごとに対象語句である辞書データを絞り込んだ音声認識辞書が複数格納されており、発話された音声を音声データとして入力し前記音声データと前記音声認識辞書内の辞書データとを音響解析で比較して前記音声認識辞書内から前記音声データと最も特性が一致する辞書データを出力する音声認識処理手段が設けられ、前記音声認識処理手段はユーザの属する地域に応じて音声認識辞書を使用するように構成され、さらに、ユーザの属する地域を解析する地域解析手段と、使用する前記音声認識辞書の切り替えを指示する辞書切り替え指示手段とが設けられた音声認識システムにおいて、前記地域解析手段から解析結果を取得してユーザの属する地域がある地域から別の地域に変わった時、地域の変化をユーザに通知する地域変化通知手段と、前記地域解析手段から解析結果を取得してユーザの属する地域がある地域から別の地域に変わった時、新たな地域に対応した音声認識辞書に切り替えるかどうかをユーザに確認する辞書切り替え確認手段と、ユーザから前記音声認識辞書を切り替える旨の指示を受け付けて前記辞書切り替え指示手段に切り替え指示を与える指示受付手段とが設けられ、前記地域変化通知手段、前記辞書切り替え確認手段及び前記指示受付手段にはユーザとの対話形式でこれらの手段を制御する対話形式制御手段が接続されたことを特徴としている。
【0016】
このような請求項1の発明によれば、地域解析手段がユーザの属する地域を解析し、ユーザの属する地域が変わった場合には地域変化通知手段が地域の変化をユーザに知らせる。と同時に、辞書切り替え確認手段が新たな地域に対応した音声認識辞書に切り替えるかどうかをユーザに確認する。つまり、地域が変わったことをユーザに知らせるだけであり、音声認識辞書を自動的に切り替えるものではなく、辞書切り替えを確認した上で、指示受付手段がユーザの指示を受け付けて初めて辞書切り替えを実施する。したがって、音声認識辞書を切り替えるか否かはユーザ自身が決めることができる。しかも、対話形式制御手段によって地域変化の通知、辞書切り替えの確認及び指示受付をユーザとの対話形式で制御することができるため、ユーザは各動作を確実且つ容易に行うことができる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1記載の音声認識システムにおいて、前記指示受付手段は、ユーザによる音声認識辞書の選択を受け付けるように構成されたことを特徴とするものである。
このような請求項2の発明によれば、辞書の切替え指示を受け付ける時、ユーザが属する地域に関係なく、ユーザが好きな音声認識辞書を選ぶことができるため、ユーザの意思を的確に反映させることが可能である。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の音声認識システムにおいて、前記地域変化通知手段は、前記指示受付手段がユーザからの指示を受け付けるまで地域変化を通知し続けるように構成されたことを特徴としている。
ユーザの属する地域が変化しても音声認識辞書を切り替えなければ、「地域と辞書との不一致」が続いていることになるので、請求項3の発明においては、ユーザからの切り替え指示を受け付けるまでは地域変化の通知を継続しておく。これにより、「地域と辞書の不一致」はユーザの意思に基づくものであることを常に提示しておくことができる。したがって、ユーザが自分の意思で辞書の切り替えを留保していることをうっかり忘れることがなく、ユーザは任意のタイミングで辞書切り替えを確実に実施できる。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明の音声認識システムによれば、ユーザの属する地域が変化した場合に、これをユーザに通知すると共に、ユーザに音声認識辞書を切り替える意思があるかどうかを確認し、切り替え指示を受け付けた上で辞書の切り替えを実施するため、ユーザの意思通りの音声認識辞書を使用することができ、優れた使用感を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態(「実施形態」という)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、図6及び図8の従来例と同じく、車載用の音声認識システムに適用されるものであって、上記従来例と同一の部材に関しては同一符号を付して説明は省略する。
【0021】
〔1.構成〕
図1に示すように、本実施形態の構成上の特徴は、対話形式制御部9が設けられ、ここにスイッチ−表示装置5及び音声出力装置8が接続されている点にある。対話形式制御部9はユーザとの対話形式でこれらの装置5,8を制御するものである。スイッチ−表示装置5は表示パネルを有しており、請求項で言うところの地域変化通知手段、辞書切り替え確認手段及び指示受付手段の役割を果たすものである。すなわち、スイッチの表示によって車両の走行地域が変化したことを通知し、辞書切り替えを行うかどうかを確認するものである。また、スイッチ−表示装置5は、表示されたスイッチをユーザが操作することでユーザからの辞書指示を受け付け、対話形式制御部9を介して辞書切り替え指示部4に対し切り替え指示を与えるようになっている。
【0022】
音声出力装置8はスピーカを有しており、走行地域が変化した旨の通知や、辞書切り替えの確認を音声にて行う部分である。対話形式制御部9には地域解析部7が接続されており、ここから解析結果を定期的に取得して、その走行地域が現在使用中の音声認識辞書に対応する地域と一致しているかどうかを監視するものである。
【0023】
〔2.作用〕
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について、図2のフローチャートを用いて説明する。
<ステップ1>走行地域の解析
地域解析部7は現在位置検出部6より検出される車両の現在位置情報を取得し、現在位置がどの走行地域内にあるかを解析して、その結果を対話形式制御部9へ伝える。
【0024】
<ステップ2>走行地域の監視
対話形式制御部9は地域解析部7から伝えられた走行地域が使用中の音声認識辞書に対応した地域と一致しているかどうかを監視する。
<ステップ3>地域変化の有無
さらに、対話形式制御部9は、車両の走行地域が使用中の音声認識辞書に対応した地域と異なるかどうかによって、走行地域の変化の有無を判断する。
【0025】
<ステップ4>地域変化の通知及び辞書切り替えの確認
そして、対話形式制御部9が車両の走行地域が変化したと判断した場合に、スイッチ−表示装置5及び音声出力装置8に対して走行地域が変わったことを伝え、地域が変わったことを示すイベントとその地域情報(地域に対応する辞書情報)を辞書切り替え指示部4に伝える。スイッチ−表示装置5では、図3に示すように、「走行地域が、○○(地域)に変わりました。検索の対象語句を○○地域に切り替えますか?」といったメッセージを表示パネルに表示する。このようなメッセージを表示することで、走行地域が変化したことをユーザに通知すると同時に、辞書切り替えを実施するか否かを確認することができる。また、音声出力装置8が上記メッセージ表示を音声にて出力する。
【0026】
<ステップ5>キー操作待機
さらにスイッチ−表示装置5は、上記メッセージ表示の下方に、ユーザによる質問に対する回答としてYes/Noを示すスイッチを表示し、スイッチー表示装置5からのキー操作イベントを待つ。
<ステップ6>ユーザによるYes/Noキー操作
ユーザは、スイッチ−表示装置5にて表示されているYesの該当キーか、Noの該当キーのいずれかを操作して、辞書を切り替えるか、切り替えないかを選択する。
【0027】
<ステップ7>辞書の切り替え
上記ステップ6にてユーザがYesの該当キーを操作した場合、対話形式制御部9は、辞書切替え指示部4に対して通知イベントと地域解析部7で解析した地域に該当する辞書情報を送出する。
<ステップ8>辞書切り替え指示
辞書切替え指示部4が音声認識処理部2に対してメモリ3内で該当する音声認識辞書を参照するように指示する。
<ステップ9>音声認識処理
音声認識処理部2は指示された音声認識辞書を使用して以降の音声認識処理を行う。
【0028】
<ステップ10>辞書の非切り替え
上記ステップ6にてユーザがNoの該当キーを操作した場合、対話形式制御部9は音声出力装置8に対して、例えば、「了解しました、今は切り替えを行いません。後で切替えたくなったら呼んでください。」といった音声出力を指示、音声出力装置8は音声を出力する。と同時に、スイッチ−表示装置5に対して、辞書切り替え手動操作モードに入るためのキーを表示するように指示する。なお、実質的には辞書の切り替えであるが、スイッチ−表示装置5では辞書に対応する地域名を切り替えるように表示される。具体的には、対話形式制御部9はスイッチ−表示装置5に「地域切替」キーをアサインするよう指示し、スイッチ−表示装置5は表示パネルの画面左下に「地域切替」キーを表示する(図4参照)。
【0029】
<ステップ11>ユーザによる「地域切替」キー操作
暫くしてユーザが辞書の切り替えを行いたくなった場合、ユーザはスイッチ−表示装置5にて表示される「地域切替」を操作する。
<ステップ12>リスト表示
ユーザが「地域切替」キーを操作すると、スイッチ−表示装置8はメモリ3に格納されている音声認識辞書に対応する地域を選択させるリスト表示(図8参照)を行う。
【0030】
<ステップ13>地域名の選択
ユーザは、そのリストから切替えたい辞書に対応する地域名をキー操作によって選択する。そして、ユーザがいずれかの地域名のキーを操作した場合、上記ステップ7の「辞書の切り替え」へと移行する。すなわち、対話形式制御部9は、辞書切替え指示部4に対して通知イベントと、ステップ13にて選択した地域に該当する辞書情報を送出する。続いて、上記ステップ8,9へと移る。
【0031】
〔3.効果〕
以上のような本実施形態によれば、地域解析部7が走行地域を解析して、走行地域が変化した場合には、スイッチ−表示装置5及び音声出力装置8がメッセージ表示及び音声出力を行うことで、地域変化の通知、辞書切り替えの確認、さらには指示受付といった各動作をユーザとの対話形式で制御可能である。しかも、辞書の切替え指示を受け付ける時、実際の走行地域に関係なく、ユーザが好きな音声認識辞書を選ぶことができ、ユーザの意思を的確に反映させた音声認識処理が実現可能である。また、走行地域が変化した後、ユーザが音声認識辞書を切り替えない間は、「地域切替」キーを表示しておくため、「地域と辞書との不一致」状態の継続はユーザの意思であることが明白となり、ユーザは任意のタイミングで辞書切り替えを確実に実施できる。
【0032】
〔4.他の実施の形態〕
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、メッセージの文章例やキーの配置構成等は適宜変更可能である。例えば上記実施形態では、ユーザ操作はキー操作を前提として記述したが、この操作を音声認識等の手法で行ってもよい。すなわち、指示受付手段を音声認識システムに組み込み、ユーザからの音声によって指示を受け付けるようにしてもよい。このような実施形態によれば、さらなる操作性の向上を期待することができる。
【0033】
また、実施形態の動作に関しても適宜変更可能であり、図5のフローチャートに示すように動作する実施形態も包含する。この実施形態では、上記ステップ7においてユーザがYesの該当キーを操作した後、切り替える辞書をユーザ自身が選択するようになっている。すなわち、上記実施形態では、ユーザによる「地域切替」キー操作にて行っていた操作を、この実施形態ではユーザのYesキー操作時にて実施している。
【0034】
より詳しくは、ステップ6において、ユーザがYesキーを操作した場合、対話形式制御部9は、メモリ3に格納されている音声認識辞書に対応する地域を選択させるリスト表示(図8参照)をスイッチ−表示装置5に表示させる。つまり、ステップ6からステップ12へと移行する。この実施形態では、Yesキー操作によりユーザの辞書切り替え意思を確認した後、直ちに走行地域に対応する辞書に自動的に切り替わるのではなく、さらに、どの辞書を使うのかまで、ユーザに選択させることができる。このため、ユーザの意思を細かく反映させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本実施形態のフローチャート。
【図3】本実施形態におけるメッセージの表示例を示した説明図。
【図4】本実施形態にて「地域切替」キーの表示例を示した説明図。
【図5】本発明の他の実施形態のフローチャート。
【図6】従来の音声認識システムの構成を示す機能ブロック図。
【図7】辞書の名称リストとして辞書に対応する走行地域名をリスト表示例を示した説明図。
【図8】従来の音声認識システムの構成を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
【0036】
1…音声認識システム
2…音声認識処理部
3…メモリ
4…辞書切り替え指示部
5…スイッチ−表示装置
6…現在位置検出部
7…地域解析部
8…音声出力装置
9…対話形式制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め規定された地域ごとに対象語句である辞書データを絞り込んだ音声認識辞書が複数格納されており、発話された音声を音声データとして入力し前記音声データと前記音声認識辞書内の辞書データとを音響解析で比較して前記音声認識辞書内から前記音声データと最も特性が一致する辞書データを出力する音声認識処理手段が設けられ、前記音声認識処理手段はユーザの属する地域に応じて音声認識辞書を使用するように構成され、さらに、ユーザの属する地域を解析する地域解析手段と、使用する前記音声認識辞書の切り替えを指示する辞書切り替え指示手段とが設けられた音声認識システムにおいて、
前記地域解析手段から解析結果を取得してユーザの属する地域がある地域から別の地域に変わった時、地域の変化をユーザに通知する地域変化通知手段と、
前記地域解析手段から解析結果を取得してユーザの属する地域がある地域から別の地域に変わった時、新たな地域に対応した音声認識辞書に切り替えるかどうかをユーザに確認する辞書切り替え確認手段と、
ユーザから前記音声認識辞書を切り替える旨の指示を受け付けて前記辞書切り替え指示手段に切り替え指示を与える指示受付手段とが設けられ、
前記地域変化通知手段、前記辞書切り替え確認手段及び前記指示受付手段にはユーザとの対話形式でこれらの手段を制御する対話形式制御手段が接続されたことを特徴とする音声認識システム。
【請求項2】
前記指示受付手段は、ユーザによる音声認識辞書の選択を受け付けるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の音声認識システム。
【請求項3】
前記地域変化通知手段は、前記指示受付手段がユーザからの指示を受け付けるまで地域変化を通知し続けるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の音声認識システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−98566(P2006−98566A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282851(P2004−282851)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】