説明

音響整合層及びその製造方法、並びに、超音波トランスデューサ

【課題】 音響整合層を含む超音波トランスデューサにおいて、送信された超音波の被検体への伝搬効率をさらに向上させると共に、超音波トランスデューサ内における多重反射に起因するノイズを低減する。
【解決手段】 超音波トランスデューサにおいて、超音波を送受信する振動子を形成する圧電体層10と被検体との間において音響インピーダンスを整合させる音響整合層14であって、互いに音響インピーダンスの異なる複数の材料を用い、該複数の材料の混合割合を堆積された膜の厚さに応じて変化させながら成膜を行うことにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波用探触子において、超音波の送受信を行う振動子と被検体との間の音響インピーダンスを整合させるために用いられる音響整合層及びその製造方法、並びに、振動子及び音響整合層を含む超音波トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
図13に、一般的な超音波診断装置において用いられている超音波用探触子の構造を示す。超音波用探触子100は、超音波の送信及び受信を行う複数の振動子101を含んでいる。振動子101としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinyl difluoride)に代表される高分子圧電材料等を含む圧電体102に、電極103が取り付けられた圧電素子が用いられる。各電極103は、リード線104を介して、超音波診断装置本体に含まれる電子回路に接続されている。
【0003】
振動子101の後方(超音波の送信方向の反対側)には、バッキング層105が設けられている。バッキング層105は、超音波を吸収して速やかに減衰させることにより、探触子内における超音波の多重反射に起因するノイズを抑制する。バッキング層105としては、エポキシ樹脂やゴム等のように、超音波を吸収し易い材料が用いられる。
【0004】
また、振動子101の前方(超音波の送信方向側)には、音響整合層106が配置されている。さらに、音響整合層106の前方には、超音波を集束することによって所望の深度に焦点を形成するために、シリコンゴム等の音響レンズ材107が配置されている。
【0005】
ここで、振動子の材料としてPZTのようなセラミックス体を用いる場合には、被検体である生体と振動子との間における音響伝搬性が大きく異なってしまうので、送信された超音波の多くの割合が、それらの境界において反射されてしまう。その結果、超音波を被検体の内部に効率良く伝搬させることができなくなったり、反射された超音波が振動子の内部において多重反射することによりノイズを生じさせてしまう。そこで、一般的な超音波用探触子においては、音響整合層として、超音波トランスデューサと生体との間に、それらの間の音響インピーダンス(音響インピーダンス=物質の密度×超音波の速度)を有する部材を配置することにより、超音波の伝搬損失やノイズの低減を図っている。なお、振動子の材料として一般的なPZTの音響インピーダンスは35MRayl程度であり、生体の音響インピーダンスは1.5MRayl程度である。
【0006】
一般に、音響整合層を含む超音波トランスデューサを作製する際には、振動子と音響整合層とが、接着剤や、音響整合層の材料自体の接着性を利用して互いに張り合わせられる。この接着剤としては、一般に、エポキシ系、ウレタン系、シリコン系等の音響インピーダンスが比較的小さいもの(例えば、2MRayl〜5MRayl程度)が用いられている。そのため、接着剤の存在そのものや、接着剤を塗布する際に生じた接着ムラが、振動子と音響整合層との間における超音波の透過に影響を及ぼすという問題が生じている。
【0007】
また、従来、音響整合層としては、音響インピーダンスが4MRayl〜5MRayl程度の部材や、音響インピーダンスが10MRayl程度の材料と、音響インピーダンスが2MRayl〜3MRayl程度の材料とを順次積層した部材が用いられる場合が多い。超音波の反射率は、互いに接する2つの物質の音響インピーダンスの差が大きいほど高くなるので、後者のように、振動子と被検体との間で音響インピーダンスを段階的に変化させる方が、超音波の伝搬損失やノイズを効果的に低減することができる。
【0008】
一方、振動子から発生した超音波は、音響整合層を伝搬する間に少なからず減衰するので、伝搬距離を短くするために、音響整合層の厚さをなるべく薄くする方が望ましい。しかしながら、音響整合層全体を厚くすることなく、音響整合層を構成する層の数を増やすためには、各層を薄くしなければならないので、材料を薄く加工して張り合わせる等の手間がかかる上に、製造歩留まりが低いのが問題となっている。また、複数の層を張り合わせる際には、接着剤が用いられる場合が多いので、音響整合層内の層間においても超音波の反射が生じてしまう。さらに、所望の音響インピーダンスを有すると共に、超音波を吸収し難く、且つ、上記のような製造工程に耐え得る材料の選定も困難である。そのような事情から、現状では、音響整合層を構成する層の数を2〜3層とするのが限界である。
【0009】
ところで、近年、エアロゾルデポジション(aerosol deposition)法(以下、AD法ともいう)と呼ばれる成膜方法の研究が進められている。AD法とは、原料の粉体(成膜粉)を含むエアロゾルを生成し、それをノズルから噴射して基板に吹き付けることにより成膜する方法である。ここで、エアロゾルとは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいう。なお、AD法は、噴射堆積法、又は、ガスデポジション法とも呼ばれている。AD法においては、高速で噴射された原料の粉体が下層に衝突して食い込むと共に破砕し、その際に生じた破砕面が下層に付着するというメカニズムで成膜が為される。この成膜メカニズムは、メカノケミカル反応と呼ばれており、この反応により、不純物を含まない、緻密で強固な膜を形成することが可能になる。そのため、このような特殊な成膜メカニズムを活かした新たな材料開発や、様々なアプリケーションへの適用が期待されている。
【0010】
特許文献1には、有機バインダーを使用することなく圧電セラミックスを製造すると共に、接着剤を用いず、また裁断工程を必要とすることなく、高性能なトランスデューサを高歩留まりで生産するために、AD法を用いることが開示されている。即ち、圧電素子層、音響整合層およびダンピング層を基本構成要素とする超音波トランスデューサにおいて、上記圧電素子層は、複数の圧電素子と電極とを、超微粒子を噴射堆積することによって積層した積層圧電素子である(第1頁)。
【0011】
また、特許文献1には、AD法を用いて音響整合層を作製すること(第3頁)や、音響整合層用のノズル及び材料超微粒子を複数用いることにより、多層の音響整合層を持つ超音波トランスデューサを形成すること(第4頁)についても示唆されている。
しかしながら、AD法によって良質な膜を形成するためには、成膜粉の種類に応じたエアロゾルの噴射圧力、基板の硬さ、成膜温度等の成膜条件を整えることが重要となるので、音響整合層を構成する層を形成する毎にノズルを交換すると、上記の成膜条件が整うまでに時間を要してしまい、効率が悪い。また、音響整合層を構成する層の数(即ち、材料の種類)に応じてノズルを用意するとすれば、装置が複雑且つ大掛かりとなってしまう。
【特許文献1】特許第3356820号公報(第1頁、第3頁、第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の点に鑑み、本発明は、音響整合層を含む超音波トランスデューサにおいて、超音波の被検体に対する伝搬効率をさらに向上させると共に、超音波トランスデューサ内における多重反射に起因するノイズを低減することができる音響整合層及びその製造方法、並びに、そのような音響整合層を含む超音波トランスデューサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る音響整合層は、超音波トランスデューサにおいて、超音波を送受信する振動子を形成する圧電体層と被検体との間において音響インピーダンスを整合させる音響整合層であって、互いに音響インピーダンスの異なる複数の材料を用い、該複数の材料の混合割合を堆積された膜の厚さに応じて変化させながら成膜を行うことにより形成されている。
【0014】
また、本発明に係る音響整合層の製造方法は、超音波トランスデューサにおいて、超音波を送受信する振動子を形成する圧電体層と被検体との間における音響インピーダンスを整合させる音響整合層の製造方法であって、音響整合層の第1の原料である第1の粉体を第1の容器に収納し、第1の粉体を含むエアロゾルを生成する工程(a)と、第1の原料と音響インピーダンスが異なる上記音響整合層の第2の原料である第2の粉体を容器に収納し、第2の粉体を含むエアロゾルを生成する工程(b)と、工程(a)において生成されたエアロゾルを噴射ノズルから噴射して第1のエアロゾルビームを生成し、該第1のエアロゾルビームに対して気体を噴射又は吸引することにより、第1のエアロゾルビームの噴射圧力を制御する工程(c)と、工程(b)において生成されたエアロゾルを噴射ノズルから噴射して第2のエアロゾルビームを生成し、該第2のエアロゾルビームに対して気体を噴射又は吸引することにより、第2のエアロゾルビームの噴射圧力を制御する工程(d)と、第1及び第2のエアロゾルビームを上記圧電体層又は上記圧電体層上に形成された電極層上の同一領域に向けて噴射することにより、第1及び第2の原料を所定の割合で上記圧電体層又は上記電極層上に堆積させる工程(e)とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、音響整合層における音響インピーダンスを、厚さ方向に傾斜して変化させるので、音響インピーダンスの不整合に起因する不要な反射を効率良く低減することができる。従って、超音波の伝搬効率を向上させると共にノイズを低減させることができるので、超音波画像の生成効率や画質を向上することができる。また、本発明によれば、そのような音響整合層を、エアロゾルデポジション法を用い、複数の原料の混合割合を変化させることによって形成するので、音響インピーダンスが段階的に変化する複数の層を含む音響整合層や、音響インピーダンスが連続的に変化する音響整合層を、接着剤を用いることなく、容易且つ効率的に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサを示す断面図である。図1に示す超音波トランスデューサ1は、圧電体10の両端に電極11及び12が形成された振動子13と、電極11を介して振動子13に積層された音響整合層14とを含んでいる。また、超音波トランスデューサ1は、振動子13における音響整合層14とは反対側の面に配置されているバッキング層15を含んでも良い。
【0017】
圧電体10としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等を用いることができ、本実施形態においては、PZT(音響インピーダンス:約35MRayl)を用いている。この圧電体10の両端に形成された電極11及び12に、パルス状の電気信号又は連続波の電気信号を送って電圧を印加すると、圧電体10が伸縮して超音波を発生する。また、圧電体10は、伝搬する超音波を受信することにより伸縮して電気信号を発生する。この電気信号は、電極11及び12並びにそれらの電極と接続された配線を介して、超音波受信信号として出力される。
電極11及び12の材料としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)等の金属又はそれらの金属を含む合金等を用いることができ、本実施形態においては、白金が用いられている。
【0018】
本実施形態に係る音響整合層14は、互いに異なる組成を有する複数の層14a、14b、…を含んでいる。これらの層14a、14b、…は、後述するAD法により接着剤等を用いることなく振動子13や下層の上に直接形成されており、音響インピーダンスが厚さ方向に段階的に変化するように配置されている。なお、図1には、5層構成の音響整合層14が示されているが、層の数は2層以上であれば何層でも構わない。本実施形態において、層14aは、PZTによって形成されており、層14eは、音響インピーダンスが比較的生体に近いポーラスアルミナによって形成されている。また、層14b〜14dは、PZT及びポーラスアルミナを含んでおり、層14b、14c、14dの順に、PZTが次第に減少し、ポーラスアルミナが次第に増加するように、それらの混合割合が決定されている。
【0019】
バッキング層15は、超音波トランスデューサ13の背面(超音波送信方向の反対側の面)から発生した超音波を速やかに減衰させ、超音波用探触子内におけるノイズを低減させるために設けられている。バッキング層15は、ポリイミド樹脂や、金属粉入りエポキシ樹脂や、フェライト粉入りゴムのように、超音波を吸収し易い材料によって形成されている。
【0020】
次に、本実施形態に係る音響整合層の製造方法について、図2〜図5を参照しながら説明する。本実施形態において製造される音響整合層は、図1に示す振動子13上に形成される。
図2は、本実施形態に係る音響整合層を製造する際に用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。この成膜装置は、原料の粉体(成膜粉)を下層に吹き付けて堆積させるエアロゾルデポジション(AD)法を用いている。
【0021】
図2に示す成膜装置は、成膜が行われる成膜チャンバ20と、成膜チャンバ20内を排気することにより所定の真空度に維持する排気ポンプ21と、膜が形成される基板22を保持する基板ステージ23とを含んでいる。基板ステージ23は、3次元的に移動する可動ステージであり、後述する制御部31の制御の下で移動することにより、成膜対象領域を変化させる。
【0022】
また、この成膜装置は、第1のエアロゾル生成室24a及び第2のエアロゾル生成室24bと、第1のエアロゾル搬送ライン25a及び第2のエアロゾル搬送ライン25bと、第1の噴射ノズル26a及び第2の噴射ノズル26bと、第1のコンプレッサ(圧縮ポンプ)27a及び第2のコンプレッサ27bと、第1のエア供給ライン28a及び第2のエア供給ライン28bと、第1の制御弁29a及び第2の制御弁29bと、第1のサイドノズル30a及び第2のサイドノズル30bと、制御部31とを含んでいる。
【0023】
エアロゾル生成室24a及び24bは、原料の微小な粉体(成膜粉)が配置される容器である。エアロゾル生成室24a及び24bには、ガスボンベ等の圧縮ガス供給ラインがそれぞれ接続されており、そこから窒素(N)、酸素(O)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、又は、乾燥空気等のキャリアガスが導入される。それにより、エアロゾル生成室24a及び24bにおいて、成膜粉が吹き上げられてエアロゾルが生成される。エアロゾル生成室24a及び24bにおいてそれぞれ生成されたエアロゾルは、エアロゾル搬送管25a及び25bを介して成膜チャンバ20に導入され、噴射ノズル26a及び26bから基板27に向けてそれぞれ噴射される。噴射ノズル12a及び12bの開口の向きは、それぞれのノズルから噴射されたエアロゾルが、基板27の成膜面において重なるように調節されている。
【0024】
コンプレッサ27aは、エア供給ライン28aを介してサイドノズル30aにエアを圧送する。エア供給ライン28aには、制御部31の制御の下で動作する制御弁29aが設けられており、これにより、サイドノズル30aへのエアの供給が調節される。同様に、コンプレッサ27bは、制御弁29bが設けられたエア供給ライン28bを介して、サイドノズル30bにエアを圧送する。
【0025】
図3は、図2に示す噴射ノズルとサイドノズルとの位置関係を説明するための図である。ここで、図3には、図2の噴射ノズル及びサイドノズルを含む領域を、図の左側から見た様子が示されているため、噴射ノズル26b及びサイドノズル30bが示されている。しかしながら、噴射ノズル26a及びサイドノズル30aも、図2と同様の位置関係となるように配置されている。
【0026】
図3に示すように、噴射ノズル26b及びサイドノズル30bは、ノズルガイド32によって支持されている。サイドノズル30bは、噴射ノズル26bの開口付近に配置されており、噴射ノズル26bから噴射されたエアロゾルに向けて、気体、例えば、エアを吹き付ける。
【0027】
ここで、AD法による成膜を行うためには、成膜粉の種類、基板等に吹き付けられるエアロゾル(エアロゾルビーム)の圧力(成膜粉の噴射圧力)、基板の硬さ等の基板条件、成膜温度の4つの条件がバランス良く満たされている必要がある。これらの条件の内の1つでも欠けてしまうと、形成された膜の性能が変化してしまったり、成膜速度が低下したり、或いは、成膜そのものがされなくなってしまう。そこで、エアロゾルにエアを吹き付けてエアロゾルの気流を擾乱させることにより、上記の4つの条件の内、成膜粉の噴射圧力に関する条件を変化させて、噴射圧力を制御する。それにより、成膜粉が基板等に堆積するのを妨げたり、堆積可能な成膜粉の割合を減少させることができる。反対に、エアの吹き付けを停止したり、エアの噴出量又は噴出速度を減らして、成膜条件に適合する元の成膜粉噴射圧力が速やかに回復させることにより、成膜粉の堆積を再開させたり、堆積可能な成膜粉の割合を増加させることができる。
【0028】
図3に示すように、サイドノズル30bから噴射されるエアの方向は、エアロゾルの進行方向に対して方向余弦を有する方向であることが望ましい。即ち、図3の(a)に示すように、エアロゾルビームの進行方向に対して、エアが負の速度成分を有している場合や、図3の(b)に示すように、エアロゾルの進行方向に対して、エアが正の速度成分を有している場合には、エアロゾルが有する基板方向への速度成分を変化させることができるので、上記の成膜粉噴射圧力に関する条件を効果的に変化させることができる。
再び、図2を参照すると、制御部31は、形成する膜パターンに応じて、基板ステージ23と噴射ノズル26a及び26bとの相対的位置を制御すると共に、制御弁29a及び29bの開閉を制御する。
【0029】
図4及び図5は、本実施形態に係る音響整合層の製造方法を説明するための図である。
まず、PZT部材10に電極層11を形成したものを用意し、図4の(a)に示すように、電極層11側を成膜面として、図2に示す基板ステージ23にセットする。PZT部材10としては、PZT板材を用いても良いし、AD法によってPZT厚膜を形成し、必要に応じてそれを熱処理したものを用いても良い。また、電極層11は、PZT部材10上に、例えば、スパッタリングや真空蒸着法を用いて、白金等の導電膜を成膜することによって形成される。なお、電極層11の厚さは、200nm〜300nm以上とすることが望ましい。その理由は、電極層11の上にAD法による成膜を行う場合には、原料の粉体を下層に吹き付ける際に粉体が下層に食い込むアンカーリングと呼ばれる現象が生じるので、通常のアンカーリングの深さ10nm〜300nm程度を考慮すると、電極層として良好に機能させるためには、上記程度の厚さが必要となるからである。さらに、成膜チャンバ20内を所定の温度に保つと共に、排気ポンプ21を用いて所定の真空度まで排気する。
【0030】
次に、図2に示す成膜装置において、音響整合層を作製するための2種類の成膜粉の内で、一方(材料A)をエアロゾル生成室24aに配置し、他方(材料B)をエアロゾル生成室24bに配置する。材料Aとしては、例えば、マグネシウム(約10.0MRayl)、シリカ(SiO、約12MRayl〜約15MRayl)、水晶、ガラス(約13MRayl〜約15MRayl)、大理石(約16MRayl)、PZT(約35MRayl)、アルミナ(Al、約40MRayl)等のように、音響インピーダンスが比較的振動子(PZT)に近い材料が用いられる。また、材料Bとしては、ポーラスシリカ、ポーラスアルミナ等のように、音響インピーダンスが比較的生体に近い材料が用いられる。これらのポーラス体の音響インピーダンスは、そこに含まれる空孔の度合いによって異なるが、通常は、上記シリカやアルミナの音響インピーダンスの0.1倍〜1.0倍程度の範囲である。本実施形態においては、材料AとしてPZTを用い、材料Bとしてポーラスアルミナを用いている。さらに、エアロゾル生成室24a及び24bにおいて、エアロゾルの生成をそれぞれ開始する。
【0031】
次に、制御弁29a及び29bを開いてサイドノズル30a及び30bからエアを噴出させると共に、エアロゾル生成室24a及び24bにおいて生成されたエアロゾルを噴射ノズル26a及び26bにそれぞれ導入して噴射させる。それにより、図4の(a)に示すように、噴射ノズル26aから噴射されたエアロゾルと、噴射ノズル26bから噴射されたエアロゾルとは、サイドノズル30a及び30bから噴出するエアによってそれぞれ擾乱される。
【0032】
次に、図2に示す制御弁29aを閉じることにより、図4の(b)に示すように、噴射ノズル26aから噴射されるエアロゾルの噴射圧力を回復させる。そして、基板ステージ23を移動させながら、エアロゾルビーム33aを電極層11上に吹き付けることにより、所定の厚さを有するPZTの層14aを形成する。
【0033】
次に、図2に示す制御弁29aを所定の量だけ開くと共に、制御弁29bを所定の量だけ閉じることにより、図4の(c)に示すように、エアロゾルビーム33a及び33bの噴射圧力が所定の比となるように調整する。それにより、成膜面において、PZTとポーラスアルミナとが混合されて堆積する。さらに、基板ステージ23を移動させることにより、層14a上に、所定の厚さを有し、所定の割合M:N(例えば、M>N)で混合されたPZT及びポーラスアルミナを含む層14bを形成する。
【0034】
続いて、図2に示す制御弁29aを徐々に開くと共に、制御弁29bを徐々に閉じることにより、図5の(a)及び(b)に示すように、エアロゾルビーム33aの噴射圧力を次第に抑制し、反対に、エアロゾルビーム33の噴射圧力を次第に回復させる。それにより、PZTとポーラスアルミナが所定の割合M:Nで混合された層14c(例えば、M=N)及び14d(例えば、M<N)を順次形成する。層14b〜14dにおいては、PZTの混合割合が次第に減少し、それに伴い、ポーラスアルミナの混合割合が次第に増加する。なお、図4の(c)〜図5の(b)においては、説明のために、エアロゾルビーム33a及び33bの噴射圧力の比を3段階に変化させているが、噴射圧力の比の変化の度合いを小刻みにすることにより、さらに多数の層を形成することが可能である。
【0035】
次に、図2に示す制御弁29aを全開にすると共に、制御弁29bを完全に閉じることにより、図5の(c)に示すように、噴射ノズル26aから噴射されるエアロゾルを遮断し、エアロゾルビーム33bの噴射圧力を回復させる。それにより、層14d上に、所定の厚さを有するポーラスアルミナの層14eを形成する。なお、2層構成の音響整合層を作製する場合には、図4の(b)に示すように、1種類の材料を用いて第1層目を形成したあと、2種類の材料を混合して成膜する工程を省いて、図5の(c)に示すように、もう一方の材料を用いて第2層目を形成すれば良い。
【0036】
このようにして層14a〜14eを含む音響整合層14を形成した後で、PZT部材10を基板ステージ23から取り外し、PZT部材10の電極層11の反対側に、スパッタリングや真空蒸着法を用いて電極層12(図1)を形成し、さらに、バッキング層15を配置する。これにより、音響整合層14及びバッキング層15を含む超音波トランスデューサ1が作製される。なお、バッキング層15を配置する際には、接着剤を用いてエポキシ樹脂等の吸音材を電極層12に貼り付けても良いし、AD法を用いて電極層12上に吸音材の厚膜を形成しても良い。後者の場合には、接着剤に起因する超音波の反射を抑制することができるので、バッキング層15による超音波の減衰効果を高めることができる。
【0037】
図6は、図1に示す音響整合層14を構成する層の数と、振動子と生体との間における超音波の透過率との関係を、計算により求めた結果を示している。図6に示すように、音響整合層を配置しない場合(層の数=0)に透過率が約8%であるのに対して、接着剤を介することなく音響整合層を設けることにより、透過率は増加している。例えば、1層構成の音響整合層(層の数=1)の場合には、透過率は約12%となり、約1.5倍に増加している。また、従来、技術上の問題により限界とされてきた2層構成の音響整合層の場合には、透過率は約14%であるが、層の数を10に増やすことにより、透過率は約18.5%(0層の場合の約2.3倍、2層の場合の約1.3倍)まで上昇し、層の数を30に増やすことにより、透過率は約20%(0層の場合の約2.5倍、2層の場合の約1.4倍)まで上昇する。ここで、透過率は、超音波の送信時及び受信時の双方に影響を与えるので、例えば、透過率が2倍上昇すると、往路及び復路で超音波の透過効率が4倍(2倍×2倍)に向上することを意味する。即ち、送受信の感度に換算すると、12dB程度上昇するので、超音波画像の画質を各段に向上させることができる。そのような多数の層を含む音響整合層は、本実施形態に係る音響整合層の製造方法を用いることにより、容易に作製することができる。
【0038】
図7は、複数の層によって構成される音響整合層における音響インピーダンスの理想的な分布を4端子計算によって求めた結果を示す図である。音響整合層を構成する複数の層の音響インピーダンスは、層の厚さ方向にリニアに変化させるのではなく、図7に示すように分布させることが、最も効率が良く望ましい。例えば、音響整合層を35層で構成する場合には、音響インピーダンスを、振動子(PZT)に近い方から4層目において約25MRayl、10層目において約15MRayl、22層目において約5MRayl、35層目において約2MRaylとなるように変化させる。従来、所望の音響インピーダンスを有する材料を選定することは困難であったが、本実施形態に係る音響整合層の製造方法におけるように、異なる複数の材料の混合割合を変化させることにより、図7に示すような音響インピーダンスの分布を容易に実現することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、2つの噴射ノズルから噴射されたエアロゾルをそれぞれ擾乱させることにより、エアロゾルビームの噴射圧力を調節し、それらのエアロゾルビームを同一領域に吹き付けることにより、2種類の材料が所望の割合M:N(M≧0、N≧0)で混合された膜を効率良く形成することができる。ここで、M=0又はN=0の場合とは、噴射ノズル26a及び26b(図2)の内の一方から噴射されるエアロゾルを遮断することにより、他方の噴射ノズルのみから成膜粉を下層に吹き付けることを表す。そのため、所望の音響インピーダンスをそれぞれ有する複数の層を、所望の数だけ、接着剤を用いることなく容易に積層することができる。従って、そのようにして作製された音響整合層を超音波トランスデューサに適用することにより、振動子と被検体との間における音響インピーダンスの不整合による反射を極力低減させることができる。そのため、超音波送受信時における感度を飛躍的に向上させることができる。また、音響整合層の内部における不要な散乱や反射も低減するので、超音波帯域を向上させることもできる。従って、本実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサを用いることにより、超音波診断装置における超音波画像の生成効率や画質を向上させることができる。その結果、病変の早期発見等、医療診断における診断精度を向上させることができる。
【0040】
ここで、本実施形態においては、噴射ノズルから噴射されたエアロゾルにエアを吹き付けることによりエアロゾルを擾乱させたが、反対に、サイドノズルからエアロゾルを吸引することによっても同様の効果を得ることができる。その場合には、図2に示すコンプレッサ29a及び29bの替わりに排気ポンプを設ければよい。なお、サイドノズルは、必ずしも図2に示すように噴射ノズルの開口の直近に配置する必要はなく、例えば、基板の直前や、エアロゾル搬送ラインの途中に配置しても良い。
【0041】
また、本実施形態においては、2種類の原料の粉体を用いて音響整合層を作製しているが、3種類以上の原料の粉体を用いても良い。その場合には、図2に示す成膜装置に、粉体の種類の数に応じて、エアロゾル生成室、噴射ノズル、コンプレッサ、制御弁、及び、サイドノズルを設ければ良い。
【0042】
さらに、本実施形態においては、音響整合層14を構成する全ての層をAD法によって形成しているが、一部においては接着剤を用いて隣接する層を張り合わせても構わない。例えば、音響整合層14の内で、被検体に当接される側に近い領域の音響インピーダンスは、接着剤の音響インピーダンス(例えば、2MRayl〜5MRayl程度)と比較的近似する場合が多いので、そのような領域においては接着剤による不要な反射等の悪影響が少ないからである。
なお、本実施形態においては、圧電体層10と音響整合層14との間に白金の電極層11を形成したが、音響整合層14の圧電体層10側(層14a)に配置される材料としてマグネシウム等の金属を用いる場合には、電極層11を設ける必要はない。
【0043】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサを示す断面図である。
図8に示す超音波トランスデューサ2は、振動子13上に形成された音響整合層40を含んでいる。本実施形態に係る音響整合層40は、振動子13側(図の下側)において、比較的圧電体層10に近い音響インピーダンスZを有しており、生体に当接される側(図の上側)において、比較的生体に近い音響インピーダンスZを有している。また、それらの間において、音響インピーダンスは、ZからZに向けて厚さ方向に傾斜しながら連続的に変化する。このように、音響整合層における音響インピーダンスを変化させることにより、音響整合層内部における超音波の反射をほとんど無くして、超音波の送受信感度及び帯域をさらに向上させることができる。
【0044】
このような音響整合層は、本発明の第1の実施形態に係る音響整合層の製造方法と同様に図2に示す成膜装置を用いると共に、2つのエアロゾルビームの噴射圧力の比を調節する際に、制御弁29a及び29bの開閉を、膜厚に応じて連続的に変化させることにより作製することができる。
【0045】
次に、本発明の第1又は第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサが複数配列された超音波トランスデューサアレイの製造方法について、図9及び図10を参照しながら説明する。
まず、図9の(a)に示すように、PZT層50と、電極層51と、音響整合層52を含み、アレイに相当する面積を有する積層体53を作製する。この積層体53は、図4及び図5を用いて説明した超音波トランスデューサの製造方法と同様にして作製することができる。
【0046】
次に、図9の(b)に示すように、積層体53に、音響整合層52側から溝54を形成する。その際に、PZT層50の途中まで溝54に入れることにより、溝54によって分けられた複数の超音波トランスデューサ55の一部を繋げたままにしておく。
次に、図9の(c)に示すように、溝54にエポキシ樹脂等の充填材56を注入して硬化させる。さらに、図9の(c)に示す破線までPZT層50を研磨することにより、複数の超音波トランスデューサ55を互いに分離させる。これにより、図9の(d)に示すように、複数の超音波トランスデューサ55が1次元に配置された超音波トランスデューサアレイ57が作製される。
【0047】
また、図10の(a)に示すように、超音波トランスデューサアレイ57において、圧電体層50の音響整合層52が形成されていない方の面(図の上側)に、スパッタリングや真空蒸着等により電極層(共通電極)58を形成し、図10の(b)に示すように、その上にバッキング層59を配置する。なお、電極層58を形成する替わりに、配線が形成された基板を配置しても良い。
さらに、各超音波トランスデューサ55の電極層51及び共通電極58から配線を引き出すと共に、超音波トランスデューサアレイ57を筐体に収納することにより、超音波用探触子が完成する。
【0048】
次に、本発明の第1又は第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサが複数配列された超音波トランスデューサアレイの別の製造方法について、図11及び図12を参照しながら説明する。
まず、図11の(a)に示すように、PZT層60と、電極層61と、音響整合層62と、電極層63とバッキング層64とを含み、アレイに相当する面積を有する積層体65を作製する。この積層体65は、図4及び図5を用いて説明した超音波トランスデューサの製造方法と同様にして作製することができる。
【0049】
次に、図11の(b)に示すように、積層体65に、バッキング層64側から溝66を形成する。その際に、音響整合層62の途中まで溝66に入れることにより、溝66によって分けられた複数の超音波トランスデューサ67の一部を繋げたままにしておく。
【0050】
次に、図12の(a)に示すように、溝66にエポキシ樹脂等の充填材68を注入して硬化させる。さらに、図12の(a)に示す破線まで音響整合層62を研磨することにより、複数の超音波トランスデューサ67を互いに分離させる。これにより、図12の(b)に示すように、複数の超音波トランスデューサ67が1次元に配置された超音波トランスデューサアレイ69が作製される。
さらに、各超音波トランスデューサ67の電極層62及び63から配線を引き出すと共に、超音波トランスデューサアレイを筐体に収納することにより、超音波用探触子が完成する。
【0051】
ここで、図9及び図11に示すように、上記の超音波トランスデューサの製造方法においては、積層体53又は65に、1つの方向に溝54又は66を形成することにより1次元超音波トランスデューサアレイを作製したが、異なる2つの方向に溝を形成することにより、2次元超音波トランスデューサアレイを作製しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、超音波用探触子において超音波の送受信を行う超音波トランスデューサにおいて利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る音響整合層を製造する際に用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。
【図3】図3に示す噴射ノズルとサイドノズルとの位置関係を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る音響整合層の製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る音響整合層の製造方法を説明するための図である。
【図6】音響整合層を構成する層の数と超音波の透過率との関係を示す図である。
【図7】複数の層によって構成される音響整合層における音響インピーダンスの理想的な分布を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサの構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第1又は第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサアレイの製造方法について説明するための図である。
【図10】本発明の第1又は第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサアレイの製造方法について説明するための図である。
【図11】本発明の第1又は第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサアレイの別の製造方法について説明するための図である。
【図12】本発明の第1又は第2の実施形態に係る音響整合層を含む超音波トランスデューサアレイの別の製造方法について説明するための図である。
【図13】従来の超音波用探触子の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1、2、55、67 超音波トランスデューサ
10、102 圧電体
11、12、103 電極
13、101 振動子
14、40、52、62、106 音響整合層
14a、14b、… 層
15、59、64、105 バッキング層
20 成膜チャンバ
21 排気ポンプ
22 基板
23 基板ステージ
24a、24b エアロゾル生成室
25a、25b エアロゾル搬送ライン
26a、26b 噴射ノズル
27a、27b コンプレッサ(圧縮ポンプ)
28a、28b エア供給ライン
29a、29b 制御弁
30a、30b サイドノズル
31 制御部
32 ノズルガイド
33a、33b エアロゾルビーム
50、60 圧電体層
51、58、61、63 電極層
53、65 積層体
54、66 溝
56、68 充填材
57、69 超音波トランスデューサアレイ
100 超音波用探触子
104 リード線
107 音響レンズ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサにおいて、超音波を送受信する振動子を形成する圧電体層と被検体との間において音響インピーダンスを整合させる音響整合層であって、
互いに音響インピーダンスの異なる複数の材料を用い、前記複数の材料の混合割合を堆積された膜の厚さに応じて変化させながら成膜を行うことにより形成された前記音響整合層。
【請求項2】
原料の粉体を前記圧電体層又は前記圧電体層上に配置された電極層に吹き付けて堆積させるエアロゾルデポジション法を用いて成膜を行うことにより形成された請求項1記載の音響整合層。
【請求項3】
前記複数の材料の混合割合が、下層からの距離に応じて段階的に変化している、請求項1又は2記載の音響整合層。
【請求項4】
前記複数の材料の混合割合が、下層からの距離に応じて連続的に変化している、請求項1又は2記載の音響整合層。
【請求項5】
被検体に対して超音波を送受信する超音波トランスデューサであって、
圧電体層と、
前記圧電体層又は前記圧電体層上に配置された電極層上に形成された音響整合層であって、請求項1〜4のいずれか1項記載の音響整合層と、
を具備する超音波トランスデューサ。
【請求項6】
超音波トランスデューサにおいて、超音波を送受信する振動子を形成する圧電体層と被検体との間における音響インピーダンスを整合させる音響整合層の製造方法であって、
前記音響整合層の第1の原料である第1の粉体を第1の容器に収納し、前記第1の粉体を含むエアロゾルを生成する工程(a)と、
前記第1の原料と音響インピーダンスが異なる前記音響整合層の第2の原料である第2の粉体を容器に収納し、前記第2の粉体を含むエアロゾルを生成する工程(b)と、
工程(a)において生成されたエアロゾルを噴射ノズルから噴射して第1のエアロゾルビームを生成し、該第1のエアロゾルビームに対して気体を噴射又は吸引することにより、第1のエアロゾルビームの噴射圧力を制御する工程(c)と、
工程(b)において生成されたエアロゾルを噴射ノズルから噴射して第2のエアロゾルビームを生成し、該第2のエアロゾルビームに対して気体を噴射又は吸引することにより、第2のエアロゾルビームの噴射圧力を制御する工程(d)と、
第1及び第2のエアロゾルビームを前記圧電体層又は前記圧電体層上に形成された電極層上の同一領域に向けて噴射することにより、前記第1及び第2の原料を所定の割合で前記圧電体層又は前記電極層上に堆積させる工程(e)と、
を具備する音響整合層の製造方法。
【請求項7】
ステップ(c)及び(d)の各々が、前記圧電体層又は前記電極層上に堆積する前記第1の原料と前記第2の原料との割合M:Nを、M≧0、N≧0の範囲で変化させるように、第1及び第2のエアロゾルビームの噴射圧力をそれぞれ変化させることを含む、請求項6記載の音響整合層の製造方法。
【請求項8】
ステップ(c)及び(d)の各々が、前記割合を、前記第1及び第2の原料が堆積した厚さに応じて段階的に変化させるように、第1及び第2のエアロゾルビームの噴射圧力をそれぞれ変化させることを含む、請求項7記載の音響整合層の製造方法。
【請求項9】
ステップ(c)及び(d)の各々が、前記割合を、前記第1及び第2の原料が堆積した厚さに応じて連続的に変化させるように、第1及び第2のエアロゾルビームの噴射圧力をそれぞれ変化させることを含む、請求項7記載の音響整合層の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−101204(P2006−101204A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284937(P2004−284937)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】