説明

顔料分散組成物、顔料分散組成物の製造方法、着色重合性組成物、カラーフィルタ、及びカラーフィルタの製造方法

【課題】高い顔料分散性とその安定性に優れ、コントラストに優れた着色膜を形成しうる顔料分散組成物、該顔料分散組成物を用い、コントラストに優れ、表面粗さの低減された着色膜を形成しうる着色重合性組成物を提供する。
【解決手段】ジケトピロロピロール系顔料、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜30質量部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜20質量部のフタルイミドアルキル化キナクリドン、及び、少なくとも一種の有機溶剤を含有する顔料分散組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散組成物、該顔料分散組成物の製造方法、該顔料分散組成物を含む着色重合性組成物、該着色重合性組成物を用いてなるカラーフィルタ、及び該カラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散組成物と、多官能モノマー、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂及びその他の成分とを含有して着色重合性組成物とし、これを用いてフォトリソ法などにより着色パターンを形成することで製造されている。
【0003】
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途ではモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にあり、この用途拡大の傾向に伴い、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途においても同様に色特性の高いものが求められるようになっている。
【0004】
上記のような要求に対しては一次粒子径を微細化した顔料を用いることが有効である。顔料の一次粒子径を微細化する方法として、例えば、顔料を、室温で固体かつ水不溶性の合成樹脂、食塩等の水溶性無機塩、及び前記合成樹脂を少なくとも一部溶解する水溶性有機溶剤と共に、ニーダー等で機械的に混練した後(以下、顔料、水溶性無機塩、及び水溶性有機溶剤を含む混合物を混練することをソルトミリングと呼ぶ)、水洗により、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、顔料の一次粒子の粉砕と結晶成長が並行して起こるため、最終的に粒度分布が狭く、平均粒子径が小さいわりに表面積の小さい顔料が得られ、カラーフィルタのように微細な粒子径の顔料を高濃度に分散する必要のある用途の顔料を得るのに適した方法である。
【0005】
しかしながら、このようにして作られた顔料は、脱塩後の乾燥過程で激しい凝集を引き起こすため、分散性及び分散安定性が良好でない場合が多く、このような顔料を用いると分散性、分散安定性に優れた顔料分散物は得難い。顔料の分散性が不充分である場合には、顔料分散物を含む重合性組成物により形成された着色パターンにフリンジ(エッジ部のギザギザ)や表面凹凸が生じ、製造されるカラーフィルタの色度や寸法精度が低下したり、コントラストが著しく劣化したりするという問題がある。
更に、顔料の分散安定性が悪い場合には、時間の経過に伴い、着色重合性組成物の構成成分が凝集を起こして粘度が上昇し、ポットライフが極めて短くなるという問題もある。また、このような着色重合性組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、塗布工程での膜厚の均一性が低下し、それに起因して露光工程での感度変動、現像工程でのアルカリ溶解性の変動、不均一などの問題が生じ易い。特に、大面積のカラーフィルタを作製するために着色重合性組成物による着色膜をガラス基板上に形成する際に、スリット塗布(又はダイ塗布ともいう)を行った場合に、塗布面にスジなどの欠陥が出やすく、塗布面状性が低下し、これがカラーフィルタの画素欠陥となるという問題点があった。
そのため、顔料の分散性及び分散安定性を向上するための方法として、ロジン又はロジン誘導体や、合成高分子化合物をソルトミリング時に添加する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、ジケトピロロピロール系顔料については、ソルトミリング時に顔料誘導体を添加することにより微粒化を促進し、コントラストを向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
しかしながら、前記した従来技術によれば、顔料粒子の微細化と画像のコントラストのみに着目した場合、ある程度の改善効果が得られるものの、微細化したジケトピロロピロール系顔料においては、カラーフィルタ作製のための工程、特に、現像、ポストベーク、UV洗浄を繰り返し行った場合に表面が荒れる、という問題点があった。
【特許文献1】特開平7−13016号公報
【特許文献2】特開平8−179111号公報
【特許文献3】特開2001−220520号公報
【特許文献4】特開2007−31539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の第1の目的は、高い顔料分散性とその安定性に優れ、コントラストに優れた着色膜を形成しうる顔料分散組成物及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、コントラストに優れた被膜を形成することが可能で、更に、表面が平滑なカラーフィルタを形成しうる着色重合性組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、高いコントラストを有し、表面の平滑なカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
即ち、本発明の顔料分散組成物は、ジケトピロロピロール系顔料、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜30質量部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜20質量部のフタルイミドアルキル化キナクリドン、及び、少なくとも一種の有機溶剤を含有することを特徴とする。
【0009】
前記ジケトピロロピロール系顔料の平均一次粒子径は10nm〜30nmであることが好ましい。
本発明の顔料分散物に用いられるジケトピロロピロール系顔料は、ジケトピロロピロール系顔料、水溶性無機塩、及び、該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤を機械的に混練する工程と、該水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤を除去する工程と、接触させた該ジケトピロロピロール顔料を乾燥する工程と、該乾燥工程前に前記ジケトピロロピロール系顔料に樹脂を接触させる工程と、を有する方法により得られるものであることが好ましい。
ここで、添加される樹脂は、酸価50〜300mgKOH/gの高分子化合物であることが好ましい。
【0010】
本発明の顔料分散組成物の製造方法は、平均一次粒子径が10nm〜30nmであるジケトピロロピロール系顔料に、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜30質量部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜20質量部のフタルイミドアルキル化キナクリドンの少なくとも一部を添加する工程と、ジケトピロロピロール系顔料、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1〜30質量部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び該ジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1〜20質量部のフタルイミドアルキル化キナクリドンを有機溶剤と共に分散する工程とを有する。
【0011】
本発明の着色重合性組成物は、前記本発明の顔料分散組成物と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有し、さらに、アルカリ可溶性樹脂を更に含有することが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、前記本発明の着色重合性組成物を用いて形成されることが好ましく、特に、本発明の着色重合性組成物により形成された着色領域を備える態様であることが好ましい。
また、カラーフィルタの製造方法は、基板上に、前記本発明の着色重合性組成物を用いて、好ましくは塗布法により膜を形成し、形成された膜を露光し、その後、未硬化の膜を現像、除去することを特徴とする。
【0012】
本発明の顔料分散組成物は、ジケトピロロピロール系顔料に対し、特定量のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール、及び、フタルイミドアルキル化キナクリドンを有機溶剤中で分散してなるものである。
本発明においては、ジケトピロロピロール系顔料に対し、フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及びフタルイミドアルキル化キナクリドンを併用することによって、分散安定性及びコントラストに優れた顔料分散組成物、粘度安定性に優れ、コントラストが高く更に表面平滑性に優れたカラーフィルタを形成しうる着色重合性組成物、コントラストが高く表面の平滑性に優れたカラーフィルタ、を得ることができる。
フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及びフタルイミドアルキル化キナクリドンを併用することにより、ジケトピロロピロール系顔料の安定性向上に大きな相乗効果を発揮するため、この顔料を含んで構成された組成物により、コントラストに優れ、表面平滑性の高い着色膜を形成することが可能となる。この作用機構は定かではないが、2種類の異なる母核を有するフタルイミドアルキル化顔料誘導体が、ジケトピロロピロール顔料の表面のそれぞれ異なるサイトと強く相互作用することによって、不安定なジケトピロロピロール表面が保護され、それぞれを単独で用いた場合に比較して、これらの相乗効果により予想外の優れた安定性が得られ、この顔料を含む着色重合性組成物により、顔料が均一、且つ、安定に分散され、コントラストが高く、表面平滑性に優れた着色膜の形成が可能になるものと思われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い顔料分散性とその安定性に優れ、コントラストに優れた着色膜を形成しうる顔料分散組成物及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、粘度安定性に優れ、コントラストに優れかつ表面平滑性に優れた被膜を形成すること可能な着色重合性組成物を提供することができる。この着色重合性組成物は、カラーフィルタの製造に適するものである。
更に、本発明によれば、高いコントラストを有し、表面の平滑なカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の顔料分散組成物、顔料分散組成物の製造方法、着色重合性組成物、カラーフィルタ、及びその製造方法について詳細に説明する。
【0015】
<顔料分散組成物>
本発明の顔料分散組成物は、(A)ジケトピロロピロール系顔料、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜30質量部の(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜20質量部の(C)フタルイミドアルキル化キナクリドン、及び、(D)少なくとも一種の有機溶剤を含有することを特徴とし、必要に応じて、他の成分を含有することもできる。
【0016】
〔(A)ジケトピロロピロール系顔料〕
本発明におけるジケトピロロピロール系顔料(以下、「DPP系顔料」と称する場合がある。)は、下記一般式(A)で表される構造の赤〜橙色の顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。
【0017】
【化1】

【0018】
上記一般式(A)中、X,Yは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シアノ基、アリール基、ハロゲン基を示す。
ここで、アルキル基は飽和もしくは不飽和のアルキル基であり、アルキル基、アリール基は、さらに置換基を有するものであってもよい。アルキル基に導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基などが挙げられ、アリール基に導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
【0019】
上記一般式(A)で表されるDPP系顔料の具体例を、カラーインデックスナンバーで示すと、C.I.Pigment Red 254、255、264、及びC.I.Pigment Orange 71が挙げられる。これらの中で、本発明においては、C.I.Pigment Red 254が特に好ましく用いることができる。
【0020】
本発明に用いられるDPP系顔料の粒子径は、高コントラストのカラーフィルタを得るために小サイズで分布が狭いことが好ましく、平均一次粒子径は10nm〜30nmであることが好ましい。この範囲の粒子を用いることで、分散安定性に優れた分散液を得ることができ、この分散液を用いることで高コントラストの着色硬化膜を形成することができる。
ここで、DPP系顔料の粒子径は、例えば、顔料を透過型電子顕微鏡にて倍率10万倍で撮影した画像から測定できる。また、平均粒子径については、例えば、粒子の長径と短径の平均値を測定し、これを500個の粒子について行い、その平均値を平均粒子径とすることができる。本発明における平均一次粒子径は、この方法によって測定されたものである。
このような平均一次粒子径を有するジケトピロロピロール系顔料は、乾式粉砕法、湿式粉砕法、再結晶法、アシッドペースト法等の公知の方法で得ることができるが、粒径分布の狭い微細な粒子を得る為に、本発明ではソルトミリングで微細化を行うことが好ましい。以下、ソルトミリングで微細化されたジケトピロロピロール系顔料を得る場合について詳述する。
【0021】
本発明では、微細化されたジケトピロロピロール系顔料が、
ジケトピロロピロール系顔料、水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤を機械的に混練(ソルトミリング)した後に、前記水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤を除去し、更に乾燥させる工程と、
該乾燥前に前記ジケトピロロピロール系顔料に樹脂を接触させる工程と、
を有する方法によって得られることが好ましい。
また、ここで、ソルトミリング後、且つ、乾燥工程前に添加される樹脂は、酸価50〜300mgKOH/gの高分子化合物であることが好ましい。
ソルトミリング処理を行う際には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記樹脂の他に、目的に応じて顔料分散助剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を併用してもよい。
それぞれについて、以下で詳述する。
【0022】
(DPP系顔料)
ソルトミリングに用いるジケトピロロピロール系顔料の種類としては上述の通りである。ソルトミリング後に上述の好ましい粒子径を得るために、ソルトミリング前のジケトピロロピロール系顔料の粒子径としては、平均一次粒子径が20nm〜300nmであることが好ましく、25nm〜200nmであることがより好ましく、最適には30nm〜150nmであることが好ましい。
【0023】
本発明において、ソルトミリングに用いるDPP系顔料は公知の方法で合成してもよいし、市販の商品を使用してもよい。具体的な商品名としては、イルガフォアレッドBT−CF、イルガフォアレッドB−CF、IRGAZIN RED 2030、IRGAZIN DPP RED 80 、IRGAZIN DPP RED BTR、IRGAZIN DPP RED BL 、CROMOPHTAL RED 2030、CROMOPHTAL DPP RED BP等を挙げることができる。
【0024】
本発明においては、DPP系顔料を単独でソルトミリングすることが好ましいが、DPP系顔料と他の有機顔料とを組み合わせてソルトミリングを行うこともできる。
DPP系顔料と組み合わせて用いられる有機顔料としては、例えば、以下のものが挙げられる。
即ち、C.I. Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,270,272,279、
C.I. Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214、
【0025】
C.I. Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64、
C.I. Pigment Green 7,10,36,37、
C.I. Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,79のCl置換基をOHに変更したもの,80、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42、
C.I.Pigment Brown 25,28、
C.I.Pigment Black 1,7、等である。
【0026】
また、本発明において、DPP系顔料と組み合わせて用いられる有機顔料としては、下記の顔料がより好ましい。
即ち、C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185、
C.I.Pigment Orange 36
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242である。
【0027】
本発明におけて、所望により、DPP系顔料に対して他の有機顔料を組み合わせて用いる場合には、DPP系顔料の割合は、求められる色相によって任意に変えることができるが、一般的には全有機顔料に対して、0.1質量%以上100質量%未満である。
【0028】
(水溶性無機塩)
ソルトミリングに用いられる水溶性無機塩は、水に溶解するものであれば特に限定されず、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0029】
水溶性無機塩の粒子径は小さい方がより高い微粒化効果を得られるが、小サイズの無機塩は高価であるため、0.1μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜50μmがより好ましい。
【0030】
ソルトミリング工程で用いる水溶性無機塩の量は、処理効率と生産効率の両面から、DPP系顔料を含む全有機顔料の1〜30質量倍、特に5〜25量倍であることが好ましい。有機顔料に対する無機塩の量比が大きいほど微細化効率が高いが、1回の顔料の処理量が少なくなるため、上記範囲とすることが好ましい。
【0031】
(水溶性有機溶剤)
水溶性有機溶剤は、有機顔料、無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ、用いる水溶性無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。
但し、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤を用いることが好ましい。
【0032】
水溶性有機溶剤としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。
【0033】
また、水溶性有機溶剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
水溶性有機溶剤の添加量としては、前記水溶性無機塩に対して5質量%〜80質量%が好ましい。より好ましくは水溶性無機塩に対して10質量%〜60質量%であり、最適には水溶性無機塩に対して15質量%〜50質量%である。
添加量が上記範囲において、均一な混練が可能となり、粒子径が均一になりやすく、且つ、混練組成物のやわらかさが処理に適切な範囲に維持され、混練時に剪断力が適度に付加されるために、所望の微細化効果が得られる。
水溶性有機溶剤のソルトミリング工程における添加のタイミングとしては、工程の初期に全てを添加してもよいし、分割して添加してもよい。
【0034】
(樹脂)
本発明における微細化ジケトピロロピロール系顔料の製造においては、微細化されたジケトピロロピロール系顔料の乾燥時の強い凝集を防止し、容易に分散できるようにするため、顔料と水溶性無機塩などとを混練し、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去した後、乾燥工程に付す前にジケトピロロピロール系顔料に樹脂を接触させることが好ましい。
ここで、DPP系顔料に樹脂を接触させるとは、DPP系顔料の表面の少なくとも一部に樹脂を付着させることを意味する。
【0035】
このDPP系顔料に樹脂を接触させる処理は、乾燥前のいずれの工程で行っても良く、例えばソルトミリング工程(混練)の初期または途中、ソルトミリング工程後、ソルトミリング後の分散工程中、水洗工程後等に、固形樹脂または樹脂溶液を添加することにより行えばよい。
【0036】
DPP系顔料に接触させる樹脂としては、酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物が好ましい。DPP系顔料に、酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物を接触させることにより、柔らかい粉体顔料を得ることができ、分散性及び分散安定性の高い微細化DPP系顔料を得ることができる。
本発明で用いる酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物は、水不溶性であるものが好ましく、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。
天然樹脂としてはロジンが代表的で、変性天然樹脂としてはロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体及びそれらのオリゴマーが用いられる。
また、合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアマイド樹脂等が挙げられる。
【0037】
酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物の分子内に存在する酸基としては、特に制限はないが、スルホン酸基、燐酸基、カルボン酸基、フェノール基、スルホンアミド基等が挙げられ、特に好ましい酸基としては、カルボン酸基である。
酸価としては50〜300mgKOH/gが好ましいが、更に好ましくは50〜250mgKOH/gであり、最適には70〜250mgKOH/gである。
酸価をこの範囲に調整することにより、微細化DPP系顔料における、優れたアルカリ溶解性、乾燥時の凝集防止効果、保存安定性、分散性が達成される。
【0038】
酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物の分子量は、重量平均分子量で1000以上50000以下が好ましく、更に好ましくは3000以上30000以下であり、最適には4000以上25000以下である。分子量をこの範囲に調整することにより、微細化DPP系顔料における、優れたアルカリ溶解性、乾燥時の凝集防止効果、分散性が達成される。
【0039】
(顔料吸着性基を含有する高分子化合物)
また、酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物としては、顔料吸着性基を有する高分子化合物も好ましい。
顔料吸着性基を有する高分子化合物として、具体的には、下記一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択される1種の単量体に由来する重合単位を含む重合体であることが好ましい(以下、「特定重合体」と称する)。中でも、特定重合体としては、下記一般式(1)で表される単量体に由来する重合単位を含む重合体であることが特に好ましい。
【0040】
【化2】

【0041】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子、又はアルキル基を表す。Rは、単結合、又は2価の連結基を表す。Yは、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。Zは、含窒素複素環基を有する基を表す。
【0042】
で表されるアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基や、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基としては、炭素数1〜5であるものが好ましく、炭素数1〜3のものが好ましい。
【0043】
で表される好ましいアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。
中でも、Rとしては、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0044】
一般式(1)におけるRで表される2価の連結基としては、アルキレン基、又はアルキレン基を含む2価の基が好ましい。該アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。
また、このアルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
で表される好ましいアルキレン基として、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
【0045】
で表されるアルキレン基を含む2価の基としては、上記アルキレン基がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子)を介して2以上連結したものであってもよい。
また、Rで表されるアルキレン基を含む2価の基としては、上記アルキレン基におけるZに結合する方の末端に、−O−、−S−、−C(=O)O−、−CONH−、−C(=O)S−、−NHCONH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)S−、−OC(=O)−、−OCONH−、及び−NHCO−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造が結合したものであってもよい。
【0046】
一般式(1)におけるZで表される含窒素複素環基を構成する含窒素複素環構造として、具体的には、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、及び環状イミド構造を有するものが挙げられる。
これらの含窒素複素環構造は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、脂肪族エステル基、芳香族エステル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
【0047】
Zで表される含窒素複素環基は、中でも、炭素数が6以上である含窒素複素環構造を有する基であることがより好ましく、炭素数が6以上12以下である含窒素複素環構造を有する基であることが特に好ましい。
炭素数が6以上である含窒素複素環構造として、具体的には、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、及び環状イミド構造が好ましく、下記一般式(2)、(3)又は(4)で表される構造であることが特に好ましい。
【0048】
【化3】

【0049】
一般式(2)中、Xは、単結合、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基など)、−O−、−S−、−NR−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれるいずれかである。ここでRは、水素原子又はアルキル基を表す。Rがアルキル基を表す場合のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
上記した中でも、一般式(2)におけるXとしては、単結合、メチレン基、−O−、又は−C(=O)−が好ましく、−C(=O)−が特に好ましい。
【0050】
一般式(4)中、Y及びZは、各々独立に、−N=、−NH−、−N(R)−、−S−、又は−O−を表す。Rはアルキル基を表し、該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
上記した中でも、一般式(4)における、Y及びZとしては、−N=、−NH−、及び−N(R)−が特に好ましい。Y及びZの組み合わせとしては、Y及びZのいずれか一方が−N=であり他方が−NH−である組み合わせ(イミダゾリル基)が好ましいものとして挙げられる。
【0051】
一般式(2)、(3)、又は(4)中、環A、環B、環C、及び環Dは、各々独立に、芳香環を表す。該芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環等が挙げられ、中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、フェノキサジン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環が特に好ましい。
【0052】
具体的には、一般式(2)における環A及び環Bとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
一般式(3)における環Cとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
一般式(4)における環Cとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
【0053】
一般式(2)、(3)又は(4)で表される構造の中でも、分散性、分散液の経時安定性の点からは、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましく、一般式(2)又は(4)においては、ベンゼン環が更に好ましく、一般式(3)においては、ナフタレン環が更に好ましい。
【0054】
また、本発明におけるマレイミド誘導体とは、N位がアルキル基やアリール基などの置換基により置換されているマレイミドを意味する。
【0055】
以下、一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体の好ましい具体例(単量体M−1〜M−30)を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0056】
【化4】



【0057】
【化5】

【0058】
【化6】

【0059】
本発明における特定重合体は、一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位を、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体の中でも、一般式(1)で表される単量体が顔料への吸着性が高いことから好ましい。
【0060】
本発明における特定重合体中、一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位の含有量は、重合体に含有される全構造単位を100質量%とした場合に、5質量%以上含有することが好ましく、10〜50質量%含有することがより好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位の含有量は5質量%以上であることが好ましい。また、顔料分散組成物を含有する光重合性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位の含有量は50質量%以下であることが好ましい。
【0061】
本発明における特定重合体は、酸基を有する単量体に由来する重合単位を含むことが好ましい。特定重合体が酸基を有する単量体に由来する重合単位を含むことで、顔料分散組成物を光重合性組成物に適用した場合において、未露光部の現像除去性に優れる。
酸基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸又はその無水物類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0062】
本発明における特定重合体は、酸基を有する単量体に由来する重合単位を、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
特定重合体において、酸基を有する単量体に由来する重合単位の含有量は、好ましくは50mgKOH/g以上であり、特に好ましくは50〜300mgKOH/gである。即ち、現像液中での析出物の生成抑制という点では、酸基を有する単量体に由来する重合単位の含有量は50mgKOH/g以上であることが好ましい。顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、酸基を有する単量体に由来する重合単位の含有量は50〜300mgKOH/gであることが好ましい。
なお、本発明における特定重合体が50〜300mgKOH/gの酸価を有する場合には、その特定重合体を、前述の酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物として用いることができる。
【0063】
また、本発明における特定重合体は、その効果を損なわない範囲において、更に、ビニルモノマーに由来する重合単位を含んでいてもよい。
ここで使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0064】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
【0065】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0066】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0067】
本発明における特定重合体の好ましい分子量は、重量平均分子量(Mw)で1000〜50000の範囲、数平均分子量(Mn)で400〜30000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)で3000〜30000の範囲、数平均分子量(Mn)で1000〜20000の範囲であることがより好ましい。
特に、重量平均分子量(Mw)で4000〜20000の範囲、数平均分子量(Mn)で1500〜15000の範囲であることが最も好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるための観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は1000以上であることが好ましい。また、処理顔料を含有する光重合性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は50000以下であることが好ましい。
【0068】
特定重合体は、例えば、一般式(1)で表される単量体と、共重合成分として他のラジカル重合性化合物と用い、通常のラジカル重合法によって製造することができる。一般的には、懸濁重合法或いは溶液重合法などを用いる。
このような特定重合体を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
【0069】
また、ラジカル重合の際には、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、更に連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノール及びドデシルメルカプタン)を使用することもできる。
【0070】
これらの、微細化DPP系顔料の製造工程における、乾燥前の工程においてDPP系顔料に接触させる樹脂は、DPP系顔料を含む有機顔料トータルに対して1質量%〜80質量%添加することが好ましい。更に好ましい添加量はDPP系顔料を含む有機顔料トータルに対して5質量%〜60質量%であり、最適にはDPP系顔料を含む有機顔料トータルに対して7質量%〜35質量%である。
添加量が1質量%〜80質量%の範囲内であると、乾燥時の充分な凝集防止効果が得られると共に、好ましい色相のカラーフィルタが得られる。
【0071】
(顔料誘導体)
本発明では、ジケトピロロピロール系顔料の微細化を促進する為に、ソルトミリング時に顔料誘導体を添加してもよい。
顔料誘導体が有する好ましい骨格としては、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等骨格が挙げられる。また、ナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も好ましい骨格に含まれる。これらの骨格の中で、色相及び微細化促進効果の観点で特に好ましいものは、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、及びアゾ系顔料である。
また、添加できる顔料誘導体の例としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報、特開2001−220520号公報、特開2007−186681号公報等に記載されているものを使用できる。
本発明においてソルトミリング時に顔料誘導体を添加する場合、DPP系顔料100質量部に対して、顔料誘導体は0.1〜20質量部の割合で用いられることが好ましく、0.5〜10質量部の範囲で使用することがより好ましい。含有量が、DPP系顔料100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲において、優れた微細化効果が得られる。
【0072】
本発明においてソルトミリング時に顔料誘導体を添加する場合、混練前にDPP系顔料と顔料誘導体とを粉体で配合して用いるのが一般的であるが、混練の途中から顔料誘導体を添加してもよい。また、顔料誘導体は一度に全量を添加してもよいし、何度かに分割して添加することもできる。
【0073】
本発明においてソルトミリング時に顔料誘導体を添加する場合、使用できる化合物の一例を示す。
【0074】
【化7】

【0075】
【化8】

【0076】
【化9】

【0077】
【化10】

【0078】
【化11】

【0079】
(ソルトミリング工程及びその後の工程)
本発明におけるソルトミリング工程は、ジケトピロロピロール系顔料、水溶性無機塩、及び該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤、更に、必要に応じて、樹脂(好ましくは酸価が50〜300mgKOH/gである高分子化合物)を機械的に混練する工程である。
この工程では、ニーダーやプラネタリーミキサー、連続式の微粒化装置等、任意の装置で行うことができるが、微粒化時の温度は10℃〜150℃が好ましく、20℃〜120℃がより好ましく、最適には30℃〜90℃が好ましい。150℃以上で微粒化を行うと、粒子の成長速度が微粒化速度に勝り、微粒化が進みにくくなることがある。また、10℃以下で微粒化を行うことは微粒化時の発熱により、制御が困難となり、製造安定性に齟齬を来たすため、好ましくない。ソルトミリング処理は目的の粒子径が得られる任意の時間行うことができるが、通常は2時間〜24時間であり、生産性を考慮すると2時間〜15時間が好ましい。
【0080】
上述のようなソルトミリング工程後は、混練物中の水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去することにより、微細化した加工顔料が得られる。
まず、ソルトミリング工程後は、得られた混練物に対して脱塩処理を行うことが一般的である。
脱塩処理は任意の公知の装置を使用して行うことができるが、混練物及び温水を分散槽に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌する方法が一般的である。
分散後の顔料は、ろ過及び洗浄を行うことが一般的である。ろ過及び洗浄は公知の任意の装置を使用して行うことができるが、フィルタープレスを用いることが一般的であり、本発明でもフィルタープレスを用いることが好ましい。
【0081】
脱塩処理及びろ過後の顔料は、乾燥させることが一般的である。乾燥には、通常、オーブンが用いられることが多いが、スプレードライ法や真空乾燥法を用いることもできる。特に、スプレードライ法では、乾燥凝集の弱い、分散の容易な顔料粉体が得られることが知られている。
オーブンで乾燥させる場合の温度は通常30℃〜150℃であるが、30℃〜120℃が好ましく、最適には40℃〜90℃である。150℃より高い温度で乾燥を行うと、激しい乾燥凝集を引き起こし、分散することが難しくなることがある。また、30℃より低い温度での乾燥は、長時間を要するため、生産性の観点で好ましくない。
乾燥後の処理顔料中の水分量は、通常0.01%〜10%であり、好ましくは0.05%〜5%、最適には0.05%〜3%である。
【0082】
本発明の顔料分散組成物は、DPP系顔料を含有するが、前記した微細化DPP系顔料の少なくとも一種を用いて構成されることが好ましい。
本発明の顔料分散組成物は、必要に応じて他の顔料や、染料と組み合わせて用いることもできる。組合せの具体例を以下に示す。
【0083】
例えば、赤の顔料として、ジケトピロロピロール系顔料の少なくとも一種(前述の微細化DPP系顔料を含む)と、ビスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、又はペリレン系赤色顔料との混合などを用いることができる。また、好ましい色相を得るために、ジケトピロロピロール系顔料とアントラキノン系顔料とを組み合わせて使用することも好ましい。ジケトピロロピロール系顔料として好ましい顔料はC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255,C.I.ピグメントレッド264等が挙げられるが、色相、分光特性の点でC.I.ピグメントレッド254が好ましい。アントラキノン系顔料として好ましいものとしては、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド177等が挙げられるが、色相、分光特性の点からC.I.ピグメントレッド177を用いることが好ましい。
ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対するアントラキノン系顔料の好ましい含有量は0〜200質量部、最適には0〜120質量部である。
また、色相、分光特性、コントラストの観点で、C.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド177にC.I.ピグメントイエロー150やC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー138等の黄色顔料を併用することも好ましい。この中でも、C.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド177にC.I.ピグメントイエロー150を併用する組合せは、コントラストの観点で特に好ましい。
【0084】
併用可能な顔料としては、特に制限はなく、上記ジケトピロロピロール系顔料の項で既述の一連の公知顔料を用いることができるが、好ましい組合せとしては上述の通りである。併用可能な顔料は、コントラストの観点で、微細化DPP系顔料と同程度まで微細化されていることが好ましい。
【0085】
併用可能な染料としては、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用途として用いられている公知の染料を使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素である。
【0086】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0087】
本発明の顔料分散組成物において、DPP系顔料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料分散組成物中におけるDPP系顔料及び所望により併用される他の顔料を含む顔料の総含有量としては、該顔料分散組成物の全固形分(質量)に対する顔料の割合として、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
また、本発明の顔料分散組成物中の全ての顔料にたいしてDPP系顔料は50質量%以上含まれることが好ましく、70質量%以上含まれることがより好ましい。顔料の全てが1種又は2種以上のDPP系顔料であってもよい。
【0088】
〔(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドン〕
本発明の顔料分散組成物は、前記(A)ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜30質量部の(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール、及び、前記(A)ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜20質量部の(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンを含有する。
【0089】
(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールは、少なくとも一つのフタルイミドアルキル基がジケトピロロピロールに結合したジケトピロロピロールである。なお、フタルイミドアルキル基として代表的なフタルイミドメチル基は以下に示す構造を有する。
【0090】
【化12】

【0091】
フタルイミドメチル化ジケトピロロピロールは、下記一般式(B)で表される構造のジケトピロロピロール系顔料誘導体である。
【0092】
【化13】

【0093】
前記一般式(B)中、X,Yは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シアノ基、アリール基、又は、ハロゲン基を示す。nは、フタルイミドメチル基の置換数を示し、1〜3の整数を表す。上記一般式(B)中のX及びYは、前記一般式(A)におけるX及びYと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
【0094】
(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールは、公知の製造法で、例えば、ジケトピロロピロール系赤色顔料を、硫酸中で、パラホルムとフタルイミド或いはヒドロキシメチルフタルイミドと反応させること等により容易に製造することができ、この合成方法については、特開昭62−149759号公報等に詳細に記載され、これを参照することができる。この合成に用いうるジケトピロロピロール系赤色顔料としては、例えばC.I.Pigment Red 254、255、264、及びC.I.Pigment Orange 71、73等が挙げられ、合成の容易さと色相の観点で特にC.I.Pigment Red 255を用いることが好ましい。
(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールとしては、フタルイミドメチル基の置換数1〜3のフタルイミドメチル化ジケトピロロピロールとフタルイミド化されていないジケトピロロピロール系赤色顔料の混合物を用いることもできる。この際のジケトピロロピロール系赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 254、255、264、及びC.I.Pigment Orange 71、73の様なジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。
【0095】
(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンは、少なくとも一つのフタルイミドアルキル基がキナクリドン環上の水素原子と置換され結合したキナクリドンである。なお、フタルイミドアルキル基として代表的なフタルイミドメチル基は、以下に示す構造を有する。
【0096】
【化14】

【0097】
フタルイミドメチル化キナクリドンは、下記一般式(C)で表される構造のキナクリドン系顔料誘導体である。
【0098】
【化15】

【0099】
前記一般式(C)中、X及びYはそれぞれ独立に水素原子、メチル基又は塩素原子を表す。nは、フタルイミドメチル基の置換数を示し、1〜3の整数を表す。
【0100】
上記構造に代表される本発明に用いうる(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンとしては、例えば、フタルイミドメチル化無置換キナクリドン、フタルイミドメチル化ジメチルキナクリドン、フタルイミドメチル化ジクロロキナクリドン等が挙げられる。
本発明の顔料分散組成物に含まれる(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンは、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合物であってもよい。
(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンは、例えば、キナクリドン系赤色顔料を、硫酸中で、パラホルムとフタルイミド或いはヒドロキシメチルフタルイミドと反応させること等により容易に製造することができる。この方法については、特開昭55−108466号公報等に記載されており、これを参照することができる。
【0101】
(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンとしては、フタルイミドメチル基の置換数1〜3のフタルイミドメチル化キナクリドンとフタルイミド化されていないキナクリドン系赤色顔料の混合物を用いることもできる。この際のキナクリドン系赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 19の様な無置換キナクリドン顔料、C.I.Pigment Red 122の様なジメチルキナクリドン顔料、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 209の様なジクロロキナクリドン顔料等が挙げられる。
【0102】
本発明の顔料分散組成物は、前記(A)ジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1〜30質量部の(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール、(A)ジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1〜20質量部の(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンを含有することを要するが、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールの特に好ましい含有量としてはジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1質量部〜25質量部であり、最適には0.5質量部〜20質量部である。また、(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンの特に好ましい含有量としてはジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1質量部〜15質量部であり、最適には0.5質量部〜15質量部である。
【0103】
両者の添加量の割合としては、上記それぞれの含有量の範囲であって、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロールの添加量が(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンに対して等量もしくは多い方が、好ましい。この範囲のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及びフタルイミドアルキル化キナクリドンを含有することにより、高い顔料分散性、高いコントラスト及び、カラーフィルタの優れた表面平滑性を得ることができる。
本発明において、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンはそれぞれ1種類ずつを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0104】
本発明の顔料分散組成物の調製において、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンは、(A)ジケトピロロピロール顔料にいずれのタイミングで添加しても構わないが、少なくとも一部はジケトピロロピロールの微細化を行った後(好ましくは平均一次粒子径が10nm〜30nmとなった後)に添加されることが好ましい。具体的には、例えばソルトミリング終了後の混練物への添加、脱塩分散時の添加、乾燥粉砕後の顔料粉体への添加、分散を行う前の顔料分散組成物への添加、顔料分散途中の添加等が挙げられる。少なくとも一部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及びフタルイミドアルキル化キナクリドンをジケトピロロピロールの微細化後に添加することにより、高い顔料分散性、高いコントラスト、及びカラーフィルタの優れた表面平滑性を得ることができる。
【0105】
本発明の顔料分散組成物には、分散安定性を高め、高いコントラストを得るために、上述の(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドン以外の顔料誘導体を併用することも好ましい。
併用できる好ましい顔料誘導体としては、分散剤と親和性のある部位を有しかつDPP系顔料表面に吸着し得るものを挙げることができる。分散剤の吸着点となり得る部位を有し、かつDPP系顔料表面に吸着し得る顔料誘導体を用いることで、DPP顔料表面に分散剤が吸着しやすくなり、DPP系顔料を微細な粒子として顔料分散組成物中に分散させることができ、また、その再凝集をも防止することができる。
【0106】
併用できる好ましい顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。母体骨格となる有機顔料は、具体的には、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ベンゾイミダゾロン系顔料等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系顔料の骨格を有し、上記(B)成分に包含されない顔料誘導体や、キナクリドン系顔料の骨格を有し、上記(C)成分に包含されない誘導体なども顔料誘導体として併用しうる。
また、母体骨格としては、一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。
この中でも好ましい母体骨格としては、アゾ系顔料であり、また、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料の母体骨格を有し、前記本発明の必須成分とは異なる構造を有する顔料誘導体もこのましいものとして挙げられる。
【0107】
本発明において好ましく併用できる顔料誘導体としては、例えば特開平3−153780号公報、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報、特開2007−186681号公報等に記載されているものが挙げられる。
本発明において、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドン以外の顔料誘導体を併用する場合、併用する他の顔料誘導体の添加量は、質量換算で、顔料分散組成物中に含まれる顔料100部(ジケトピロロピロール系顔料を含む)に対して0.1部〜30部であることが好ましく、0.5部〜30部であることがより好ましく、最適には1部〜25部である。この範囲において良好な分散性及び高コントラストが得られる。(B)成分、(C)成分以外の他の顔料誘導体を用いる場合の、他の顔料誘導体の総量は、(B)成分及び(C)成分の総量に対して、10倍量以下とすることが好ましい。
【0108】
〔(D)有機溶剤〕
本発明の顔料分散組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含有する。
本発明の顔料分散組成物の調製に用いられる(D)有機溶剤としては、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
有機溶剤は、顔料分散組成物の用途に応じて選択され、組成物中に1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶剤の添加量は、顔料分散組成物の用途などに応じて適宜選択されるが、後述する着色重合性組成物の調製に用いる場合には、取り扱い性の観点から、顔料等を含む固形分濃度が5〜50質量%となるように添加することができる。
【0109】
〔他の成分〕
−分散剤−
本発明の顔料分散組成物には、含有する顔料の分散性を向上させる観点から、分散剤を添加することが好ましい。
本発明に用いうる分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に、直鎖状高分子化合物、末端変性型高分子化合物、グラフト型高分子化合物、ブロック型高分子化合物に分類することができる。
【0110】
高分子分散剤は、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子化合物、グラフト型高分子化合物、ブロック型高分子化合物が好ましい構造として挙げることができる。
以下、本発明に好適な高分子分散剤である、ブロック型高分子化合物、グラフト型高分子化合物、及び末端変性型高分子化合物のそれぞれについて説明する。
【0111】
(ブロック型高分子化合物)
高分子分散剤として用いられるブロック型高分子化合物としては、特に限定されないが、顔料吸着ブロックと、顔料に吸着しないブロックと、からなるブロック型高分子化合物が挙げられる。
顔料吸着ブロックを構成する単量体としては、特に制限されないが、例えば、顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーが挙げられる。具体的には、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、酸性基を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマーなどを挙げることができる。
以下、顔料吸着ブロックを構成する単量体として好適な、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、酸性基を有するモノマー、及び塩基性窒素原子を有するモノマーについて説明する。
【0112】
有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマーとしては、例えば、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系の色素構造や、例えば、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等の複素環構造を有するモノマーを挙げることができる。
より具体的には、特に制限されないが、以下のような構造のモノマーを挙げることができる。
【0113】
【化16】

【0114】
【化17】

【0115】
酸性基を有するモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーや、スルホン酸基を有するビニルモノマー、リン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。
更に、カルボキシル基の前駆体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。
なお、これらの中では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0116】
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、また、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
【0117】
塩基性窒素原子を有するモノマーとしては、複素環を有するモノマーとして、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾールなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、(メタ)アクリルアミド類として、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等、が挙げられる。
【0118】
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基を有するモノマーを用いることも可能である。
具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
【0119】
【化18】

【0120】
更に、イオン性官能基を含有するモノマーを利用することができる。
イオン性ビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)の例としては、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子);塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0121】
前述のような顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーは、分散する顔料の種類に応じて、適宜、選択することができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0122】
顔料に吸着しないブロックを構成する単量体としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルなどの顔料吸着基を有しない単量体を挙げることができる。
顔料に吸着しないブロックを構成するこれらの単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、アルカリ現像処理が必要な顔料分散組成物に適用する場合には、上記の顔料に吸着しないブロックを構成する単量体と、酸性基を有するビニルモノマーと、を併用してもよい。
【0123】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−フェニルビニル、(メタ)アクリル酸1−プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0124】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0125】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0126】
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0127】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル及びフェニルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0128】
ビニルケトン類の例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどが挙げられる。
オレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド類の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロニトリルの例としては、メタクリロニトリル、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0129】
前記酸性基を有するビニルモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーや、スルホン酸基を有するビニルモノマー、リン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。
更に、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。
なおこれらの中では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0130】
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとしては、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
更に、酸性基を有するビニルモノマーとして、フェノール性ヒドロキシル基を含有するビニルモノマーやスルホンアミド基を含有するビニルモノマーなども利用することができる。
【0131】
本発明におけるブロック型高分子化合物を得る方法としては、従来公知の方法が利用して得ることができる。
例えば、リビング重合、イニファータ法等が知られている。更に他の方法として、顔料吸着基を有する単量体又は顔料吸着基を有しない単量体をラジカル重合する際に、チオールカルボン酸、又は、2−アセチルチオエチルエーテル、10−アセチルチオデカンチオール等の分子内にチオエステルとチオール基とを含有する化合物を共存させて重合して得られた重合体を水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリで処理して、片末端にチオール基を有する重合体とし、得られた片末端にチオール基を有する重合体の存在下でもう一方のブロックの単量体成分をラジカル重合する方法も知られている。これらの中でも、リビング重合が好適である。
【0132】
ブロック型高分子化合物の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは3,000〜100,000の範囲とすることが好ましく、5,000〜50,000の範囲がより好ましい。重量平均分子量が3,000以上であると、安定化効果をより効果的に得ることができ、また、重量平均分子量が100,000以下であると、より効果的に吸着して良好な分散性を発揮することができる。
【0133】
ブロック型高分子化合物としては、市販品を利用することも可能である。具体的な例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−2000、2001」、EFKA社製「EFKA4330、4340」等を挙げることができる。
【0134】
(グラフト型高分子化合物)
高分子分散剤として用いられるグラフト型高分子化合物については、特に制限されないが、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられ、更に、特開平9−171253号公報や、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー出版部、1989年)などにあるように、重合性オリゴマー(以下、マクロモノマーと称する)を共重合成分とするグラフト型高分子化合物も好適に挙げることができる。
【0135】
グラフト型高分子化合物の枝部は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカプロラクトン等が好適に挙げられる。中でも、下記一般式(5)で表される構成単位を枝部に有するグラフト型高分子化合物がより好ましい。
【0136】
【化19】

【0137】
一般式(5)中、R74は、水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Qはシアノ基、炭素原子数6〜30のアリール基、又は、−COOR75(ここで、R75は水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基、又は炭素原子数6〜30のアリール基を表す)を表す。
【0138】
一般式(5)中、R74で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、特に、メチル基が好ましい。このアルキル基に導入しうる置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基等が挙げられる。
このようなアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、カルボキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
74としては、水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0139】
一般式(5)中、Qで表されるアリール基は置換基を有していてもよく、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、特に、炭素原子数6〜12のアリール基が好ましい。このアリール基に導入しうる置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。
このようなアリール基のうち、無置換アリール基、又は、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、特に、無置換アリール基、又は、アルキル基で置換されたアリール基が好ましい。
【0140】
一般式(5)のQが−COOR75である場合、R75で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましく、特に、炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。このアルキル基に導入しうる置換基としては、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
このようなアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、2−ブロモプロピル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ビシクロ〔3.2.1〕オクト−2−イル基、1−アダマンチル基、ジメチルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジブチルアミノカルバモイルメチル基などが挙げられる。
このようなアルキル基のうち、無置換アルキル基、又は、ハロゲン原子、アリール基、若しくは水酸基で置換されたアルキル基が好ましく、特に、無置換アルキル基が好ましい。
【0141】
一般式(5)のQが−COOR75である場合、R75で表されるアリール基は置換基を有していてもよく、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、特に、炭素原子数6〜12のアリール基が好ましい。
このアリール基に導入しうる置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基、等が挙げられる。
このようなアリール基のうち、無置換アリール基、又は、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、特に、アルキル基で置換されたアリール基が好ましい。
【0142】
このようなR75のうち、水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基が好ましく、特に、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましい。
【0143】
このような一般式(5)で表される構成単位を枝部に有するグラフト型高分子化合物の枝部の具体的な例としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−ベンジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−スチレン)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−(メタ)アクリル酸)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−アクリロニトリル)などが挙げられる。
【0144】
一般式(5)で表される構成単位を枝部に有するグラフト型高分子化合物の合成には、公知のいずれの方法を用いてもよい。
具体的には、一般式(5)で表される構成単位を有するマクロモノマーと、該マクロモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、の共重合が挙げられる。
【0145】
一般式(5)で表される構成単位を有するマクロモノマーのうち、好ましいものは、下記一般式(6)で表されるものである。
【0146】
【化20】

【0147】
一般式(6)中、R76は、水素原子、又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Wは、単結合、又は、以下に示す連結基、若しくは以下に示す2価の基の任意の組合せで構成された連結基を表し、Aは、前記した一般式(5)で表される構成単位を有する基を表す。
【0148】
【化21】

【0149】
上記連結基において、Z、及びZは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シアノ基、又はヒドロキシル基を表し、Zは、水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。
【0150】
このような一般式(6)で表されるマクロモノマーの具体的な例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0151】
【化22】

【0152】
上記マクロモノマーの具体的の構造中のAは、前記一般式(6)におけるAと同義である。
【0153】
市販品として入手できるこのようなマクロモノマーとしては、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6,000、商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)及び片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(Mn=6,000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6,000、商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0154】
上記マクロモノマーの分子量としては、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1,000〜20,000であるのが好ましく、2,000〜15,000であるのがより好ましい。上記数平均分子量が上記範囲内であると、分散剤としての立体反発効果をより効果的に得ることができる。
【0155】
上記に記載したマクロモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、顔料の分散性、分散安定性を向上させるために、前記「顔料吸着ブロックを構成する単量体」を用いることが好ましい。また、その他の共重合成分として、前記「顔料に吸着しないブロックを構成する単量体」を共重合させてもよい。
【0156】
上記グラフト型高分子化合物の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは3,000〜100,000の範囲とすることが好ましく、5,000〜50,000の範囲がより好ましい。重量平均分子量が3,000以上であると、安定化効果をより効果的に得ることができ、また、重量平均分子量が100,000以下であると、より効果的に吸着して良好な分散性を発揮することができる。
【0157】
前記グラフト型高分子化合物の市販品としては、ルーブリゾール社製「ソルスパース24000、28000、32000、38500、39000、55000」、BYK Chemie社製「Disperbyk−161、171、174」等が挙げられる。
【0158】
(末端変性型高分子化合物)
高分子分散剤として用いられる末端変性型高分子化合物としては、例えば、特開平9−77994号公報や、特開2002−273191号公報などに記載されているポリマーの末端に官能基を有する高分子化合物を挙げることができる。
【0159】
ポリマーの末端に官能基を有する高分子化合物を合成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法や、これらを組み合わせた方法などを挙げることができる。
1.官能基含有の重合開始剤を用いて重合(例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合など)で合成する方法
2.官能基含有の連鎖移動剤を用いてラジカル重合で合成する方法
【0160】
ここで導入する官能基は、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基、及びイオン性官能基から選択される部位などが挙げられる。また、これらの吸着部位に誘導できる官能基であっても構わない。
【0161】
前記1.の合成方法で用いられる、ポリマー末端に官能基を導入しうる重合開始剤(官能基含有の重合開始剤)としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、2,2’−アゾビス(2−シアノペンタノール)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロライド)、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0162】
前記2.の合成方法で用いられる、ポリマー末端に官能基を導入しうる連鎖移動剤(官能基含有の連鎖移動剤)としては、例えば、メルカプト化合物(例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メカルプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メカルプルイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、メルカプトアセトフェノン、ナフタレンチオール、ナフタレンメタンチオール等)、これらメルカプト化合物の酸化体であるジスルフィド化合物、及びハロゲン化合物(例えば、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸など)が挙げられる。
【0163】
ポリマーの末端に官能基を有する高分子化合物を重合に用いられるモノマーとしては、例えば、ラジカル重合性モノマーとして、前記「顔料に吸着しないブロックを構成する単量体」を用いることができる。
【0164】
末端変性型高分子化合物の分子量としては、重量平均分子量1,000〜50,000であることが好ましい。上記数平均分子量が1,000以上であると、分散剤としての立体反発効果をより効果的に得ることができ、50,000以下であると、より効果的に立体効果を抑制し、顔料への吸着の時間をより短縮できる。
【0165】
末端変性型高分子化合物の市販品としては、ルーブリゾール社製「ソルスパース3000、17000、27000」等を挙げることができる。
【0166】
本発明において、分散剤としては、グラフト型高分子化合物、末端変性型高分子化合物が好ましく、中でも、有機色素構造或いは複素環構造を有する単量体に由来する共重合単位を含有するグラフト型高分子化合物、末端基として、有機色素構造、複素環構造、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、又はウレタン基を有する末端変性型高分子化合物が特に好ましい。
【0167】
また、本発明においては、必要により分散樹脂を用いることができる。分散樹脂を用いることにより、処理顔料の分散安定性、保存性が向上する。
本発明に用いられる分散樹脂の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基等を有する樹脂が好ましい。
側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等があり、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体がある。
【0168】
これらは、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、などのカルボキシル基を有するモノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロライド、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N,Nジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、マレイミド、N−フェニルマレイミドなどの1種以上の共重合成分を共重合させたポリマーが挙げられる。中でも好ましいものは、構成モノマーとして少なくとも(メタ)アクリル酸或いは(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む(メタ)アクリル樹脂であり、(メタ)アクリル酸及びスチレンを含む(メタ)アクリル樹脂も好適である。これらのアクリル共重合成分は上記に限定されるものではない。
【0169】
また、これらの分散樹脂は、側鎖にエチレン性二重結合を付加させることもできる。側鎖に二重結合を付与することにより、光硬化性が高まり、解像性、密着性を更に向上させることができる。
エチレン性二重結合を導入する合成手段として、例えば、特公昭50−34443号公報、特公昭50−34444号公報などに記載の方法等が挙げられる。具体的には、カルボキシル基や水酸基にグリシジル基、エポキシシクロヘキシル基及び(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物やアクリル酸クロライドなどを反応させる方法が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アリルクロライドなどの化合物を使用し、カルボキシル基や水酸基を有する樹脂に反応させることにより側鎖に重合基を有する樹脂を得ることができる。
【0170】
特に、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートを反応させた樹脂が好ましい。これらの具体的化合物としては例えばダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有Polyurethane acrylic oligomer。Diamond Shamrock Co. Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセルCF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl 3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。
【0171】
また、少なくとも、下記一般式(7)で表されるモノマーと、少なくとも酸性基を有するモノマー(上記した共重合成分を挙げることができる。)との共重合反応によって得られるポリマーも使用することができる。
一般式(7)
C=CRC(=O)OCRC(=R)=CR
【0172】
上記一般式(7)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、及びアリール基から選ばれる基を表す。
【0173】
前記ハロゲン原子の具体例としては、Cl、Br、Iなどが挙げられる。
前記アルキル基は、直鎖、分岐、又は環状であってもよく、例えば、メチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基などが挙げられ、炭素数1〜7のものが好ましい。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、フリル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0174】
上記の中で、分散樹脂としては、種々のモノマーを選択し、溶解度と酸価をコントロールすることができることから、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。これらの分散樹脂のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量の好ましい範囲は1,000〜80,000であり、より好ましくは3,000〜50,000であり、もっとも好ましくは3,000〜20.000である。80,000以下とすることで良好な分散性と液の流動性が得られ、また良好な現像性が得られる。
【0175】
これらの分散樹脂は、顔料分散組成物の調製する際の顔料の分散時に用いるだけでなく、後述する着色重合性組成物の調製時に添加して用いることができる。
【0176】
分散剤の添加量は、顔料に対して、0.5〜100質量%となるように添加することが好ましく、3〜100質量%がより好ましく、5〜80質量%が特に好ましい。
分散剤の量がこの範囲内であると、十分な顔料分散効果が得られる。ただし、分散剤の最適な添加量は、使用する顔料、溶剤などの組み合わせ等により、適宜、調整される。
なお、より具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5質量%〜100質量%の範囲が好ましく、10質量%〜80質量%の範囲がより好ましい。
【0177】
また、本発明の顔料分散組成物においては、上記分散剤以外にも、分散性向上の目的で、界面活性剤等を用いることもできる。
【0178】
本発明の顔料分散組成物を用いて着色重合性組成物を調製し、これをカラーフィルタの製造に適用することで、コントラストが高く、表面の平滑性に優れたカラーフィルタを得ることができる。
【0179】
〔顔料分散組成物の調製〕
本発明の顔料分散組成物は、各種の混合機、分散機を使用して混合分散する混合分散工程を経ることによって、調製することができる。
なお、混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
本発明の顔料分散組成物の製造方法においては、まず、(A)ジケトピロロピロール系顔料を微細化し、その平均一次粒子径が10nm〜30nmの範囲となった時点で、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンの所定の添加量のうち、少なくとも一部、好ましくは全量を添加する工程を実施し、その後、(A)ジケトピロロピロール系顔料、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンを有機溶剤と共に分散する工程を実施することが好ましい。(A)ジケトピロロピロール系顔料の平均一次粒子径が10nm〜30nmの範囲となる前に、(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンの一部を添加することも可能であるが、所定の添加量の全量が(A)ジケトピロロピロール系顔料の平均一次粒子径が10nm〜30nmの範囲となって微細化が完了した後に添加される方がより好ましい。
また、分散を開始する時点で(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンの所定の添加量の全量が添加されていることが好ましいが、分散を開始する時点で所定の添加量の一部が添加されていなくてもよい。その場合は、例えば分散途中に、残量を添加することもできる。
【0180】
本発明の製造方法について具体的に説明すれば、例えば、(A)ジケトピロロピロール顔料と(B)フタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び(C)フタルイミドアルキル化キナクリドンの所定の添加量のうち、少なくとも一部、さらに、ここで、必要に応じて併用される分散剤とを予め混合し、更に、ホモジナイザー等で予め分散しておいたものを、有機溶剤とともに、ジルコニアビーズ等を用いたメディア攪拌型分散機(例えば、GETZMANN社製のディスパーマット)等を用いて微分散させることによって、本発明の顔料分散組成物を調製することができる。
【0181】
本発明ではメディア攪拌型分散機を用いて微分散処理を行う場合、短時間で被分散体にダメージを与えることなくマイルドに分散する目的で、平均粒径0.01mm以上0.2mm以下のメディアを用いることが好ましい。ここで、本発明における平均粒径とは、メディアの円相当径をいい、メディア100個の最長径と最短径の平均値をもって求めたものである。具体的には、メディアを実体顕微鏡で拡大撮影し、その画像から粒径を求めることができる。
本発明では、0.01mm以上0.2mm以下のメディアで分散を行う前に、粗大粒子を予め破砕するために予備分散を行うことが好ましい。予備分散では、粗大粒子を粉砕することが目的である為、より大きなサイズのメディアを用いた方が好ましく、平均粒径0.3mm以上1.0mm以下のメディアを用いることが好ましく、更に好ましくは0.4mm以上1.0mm以下のメディアである。
分散時間としては、用いる装置、顔料分散組成物の量等によって最適な時間を設定すれば良いが、通常は1〜24時間程度である。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)、特開2007−16206号公報等に記載されている。
【0182】
得られた顔料分散組成物は、ジケトピロロピロール顔料の分散性と分散安定性に優れるため、ジケトピロロピロール顔料を着色剤として含有する種々の用途、例えば、以下に説明する着色重合性組成物などに好適に使用しうる。
【0183】
<着色重合性組成物>
本発明の着色重合性組成物は、既述の本発明の顔料分散組成物と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含んでなり、更に、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
以下、本発明の着色重合性組成物に含まれる各成分について詳述する。
【0184】
〔顔料分散組成物〕
本発明の着色重合性組成物は、前記した本発明の顔料分散組成物の少なくとも一種を用いて構成されるものである。着色重合性組成物を構成する本発明の顔料分散組成物の詳細については、既述の通りである。
本発明の着色重合性組成物中における顔料分散組成物の含有量としては、着色重合性組成物の全固形分(質量)に対して、顔料の含有量が5〜70質量%の範囲となる量が好ましく、15〜60質量%の範囲となる量がより好ましい。顔料分散組成物の含有量がこの範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
【0185】
〔光重合性化合物〕
本発明の着色重合性組成物は、少なくとも1種の光重合性化合物を含有する。
本発明に用いることができる光重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。光重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
【0186】
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0187】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0188】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0189】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0190】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0191】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0192】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(a)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0193】
一般式(a)
CH=C(R)COOCHCH(R’)OH
(ただし、R及びR’は、それぞれ、H又はCHを示す。)
【0194】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0195】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0196】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な着色重合性組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。
例えば、次のような観点から選択される。感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
【0197】
また、着色重合性組成物得中の他の成分(例えば、アルカリ可溶性樹脂などのバインダーポリマー、光重合開始剤、着色剤(顔料)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。
また、基板等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。付加重合性化合物は、着色重合性組成物中の不揮発性成分に対して、好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。
【0198】
〔光重合開始剤〕
本発明の着色重合性組成物を構成する光重合開始剤としては、例えば、特開平57−6096号公報に記載のハロメチルオキサジアゾール、特公昭59−1281号公報、特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等活性ハロゲン化合物、米国特許第4318791号、欧州特許出願公開第88050等の各明細書に記載のケタール、アセタール、又はベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許第4199420号明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、仏国特許発明第2456741号明細書に記載の(チオ)キサントン類又はアクリジン類化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン類又はロフィンダイマー類等の化合物、特開平8−015521号公報等のスルホニウム有機硼素錯体等、等を挙げることができる。
【0199】
本発明における光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾイル系、キサントン系、活性ハロゲン化合物(トリアジン系、オキサジアゾール系、クマリン系)、アクリジン系、ビイミダゾール系、オキシムエステル系等が好ましい。
【0200】
前記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1などを好適に挙げることができる。
【0201】
前記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを好適に挙げることができる。
【0202】
前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノンを好適に挙げることができる。
【0203】
前記ベンゾイン系又はベンゾイル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ゼンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベゾエート等を好適に挙げることができる。
【0204】
前記キサントン系光重合開始剤としては、例えば、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、モノイソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン等を好適に挙げることができる。
【0205】
前記活性ハロゲン化合物(トリアジン系,オキサジアゾール系,クマリン系)としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルビフェニル)−s−トリアジン、p−ヒドロキシエトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル−s−トリアジン、3,4−ジメトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−ベンズオキソラン−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン,2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール,3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を好適に挙げることができる。
【0206】
前記アクリジン系光重合開始剤としては、例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等を好適に挙げることができる。
【0207】
前記ビイミダゾール系光重合開始剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等を好適に挙げることができる。
【0208】
上記以外に、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0209】
本発明では、以上の光重合開始剤に限定されるものではなく、他の公知のものも使用することができる。例えば、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に記載のα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物、J.C.S.Perkin II(1979)1653−1660、J.C.S.PerkinII(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載のオキシムエステル化合物等が挙げられる。
また、これらの光重合開始剤を併用することもできる。
【0210】
光重合開始剤の着色重合性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。光重合開始剤の含有量がこの範囲内であると、重合反応を良好に進行させて強度の良好な膜形成が可能である。
【0211】
〔アルカリ可溶性樹脂〕
本発明の着色重合性組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。着色重合性組成物にアルカリ可溶性樹脂を含有することで、該着色重合性組成物をフォトリソ法によるパターン形成に適用した際において、パターン形成性をより向上させることができる。
【0212】
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
【0213】
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
【0214】
線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
【0215】
これらの中では、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。
【0216】
上記以外に、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0217】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の好適なものとしては、特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸とを合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
【0218】
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0219】
また、前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕等を挙げることができる。
【0220】
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい共重合可能な他の単量体は、CH=CR、CH=C(R)(COOR)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、CH=CR、及び/又は、CH=C(R)(COOR)である。
【0221】
アルカリ可溶性樹脂の着色重合性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは、1〜20質量%であり、特に好ましくは、2〜15質量%である。
【0222】
〔溶剤〕
本発明の着色重合性組成物は、一般に、前述の各成分と共に溶剤を用いることで、好適に調製することができる。
用いられる溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル;3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン;等が挙げられる。
【0223】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0224】
〔その他成分〕
本発明の着色重合性組成物には、必要に応じて、増感色素、エポキシ樹脂、フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、熱重合防止剤、充填剤、上記アルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
【0225】
〔増感色素〕
本発明の着色重合性組成物は、必要に応じて増感色素を添加してもよい。増感色素は、この増感色素が吸収しうる波長の露光により上記光重合開始剤のラジカル発生反応等や、それによる前記光重合性化合物の重合反応が促進させることができる。
このような増感色素としては、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
【0226】
(分光増感色素又は染料)
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類、(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、等が挙げられる。
【0227】
【化23】

【0228】
より好ましい分光増感色素又は染料の例を以下に例示する。
特公平37−13034号公報に記載のスチリル系色素;特開昭62−143044号公報に記載の陽イオン染料;特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩;特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物;特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類;特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンテン染料;特開平2−226148号公報及び特開平2−226149号公報記載のアクリジン類;特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類;特公昭46−42363号公報記載のシアニン類;特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素;特開平2−85858号公報、特開平2−216154号公報の共役ケトン色素;特開昭57−10605号公報記載の色素;特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体;特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素;特開昭62−31844号公報、特開昭62−31848号公報、特開昭62−143043号公報記載のキサンテン系色素;特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン;特開平2−179643号公報記載の色素;特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素;特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素;特開昭59−89303号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−129257号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−334897号公報記載のベンゾピラン系色素が挙げられる。
【0229】
(350〜450nmに極大吸収波長を有する色素)
増感色素の他の好ましい態様として、以下の化合物群に属しており、且つ、350〜450nmに極大吸収波長を有する色素が挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)が挙げられる。
【0230】
更に好ましい増感色素の例としては、下記一般式(XIV)〜(XVIII)で表される化合物が挙げられる。
【0231】
【化24】

【0232】
(一般式(XIV)中、Aは硫黄原子又は−NR60−を表し、R60はアルキル基又はアリール基を表し、L01は隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R61、R62はそれぞれ独立に水素原子又は1価の非金属原子団を表し、R61、R62は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
以下に、一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例〔(F−1)〜(F−5)〕を示す。
【0233】
【化25】

【0234】
【化26】

【0235】
(一般式(XV)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L02−による結合を介して連結している。ここで−L02−は−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(XIV)に示したものと同義である。)
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−6)〜(F−8)〕が挙げられる。
【0236】

【化27】

【0237】
【化28】

【0238】
(一般式(XVI)中、Aは硫黄原子又は−NR69−を表し、L03は隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R63、R64、R65、R66、R67及びR68はそれぞれ独立に1価の非金属原子団の基を表し、R69はアルキル基又はアリール基を表す。)
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−9)〜(F−11)〕が挙げられる。
【0239】
【化29】

【0240】
【化30】

【0241】
(一般式(XVII)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−、又は−NR73−を表し、R73は置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基を表し、L04、L05はそれぞれ独立に、隣接するA、A及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R71、R72はそれぞれ独立に1価の非金属原子団であり、互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することもできる。)
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−12)〜(F−15)〕が挙げられる。
【0242】
【化31】

【0243】
また、そのほかに、本発明に用いられる好適な増感色素として、下記式(XVIII)で表されるものが挙げられる。
【0244】
【化32】

【0245】
(一般式(XVIII)中、Aは置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R74)−を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、又は=N(R74)を表す。R74、R75、R76は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の非金属原子団を表し、AとR74、R75、R76とは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
【0246】
ここで、R74、R75、R76が1価の非金属原子団を表すとき、好ましくは、置換若しくは無置換の、アルキル基又はアリール基を表す。
次に、R74、R75、R76の好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0247】
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N,N−ジアリールウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリールウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アリール−N−アリールウレイド基、N,N−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N,N−ジアリール−N−アリールウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アルキルウレイド基、N−アルキル−N−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
【0248】
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
【0249】
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、又は多環芳香族環から誘導される基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等が挙げられ、これらは、更にベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
【0250】
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基のうち、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基、アルキリデン基(メチレン基等)が挙げられる。
【0251】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
【0252】
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR74、R75、又はR76として好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
【0253】
74、R75、又はR76として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0254】
74、R75、又はR76として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、(水素原子以外の)1価の非金属原子団の基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
【0255】
なお、R75、及びR76の更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。また、R74の更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。その理由は定かではないが、このような置換基を有することで、光吸収により生じる電子励起状態と開始剤化合物との相互作用が特に大きくなり、開始剤化合物のラジカル、酸又は塩基を発生させる効率が向上するためと推定される。
【0256】
次に、一般式(XVIII)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環を表し、置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環の具体例としては、一般式(XVIII)におけるR74、R75、又はR76についての前述の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしてはアミノ基を有するアリール基が挙げられる。
【0257】
次に、一般式(XVIII)におけるYについて説明する。Yは、一般式(XVIII)中の含窒素複素環に二重結合を介して直結する非金属原子又は非金属原子団であり、より具体的には、酸素原子、硫黄原子、又は=N(R74)を表す。ここで、R74は、水素原子、又は1価の非金属原子団を表す
また、一般式(XVIII)におけるXは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R74)−を表す。R74は、Yにおけるのと同義である。
【0258】
次に、本発明に用いられる一般式(XVIII)で表される化合物の好ましい態様である、一般式(XVIII−1)で表される化合物について説明する。
【0259】
【化33】

【0260】
上記一般式(XVIII−1)中、Aは置換基を有してもよい、芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R74)−を表す。R74、R77、R78は、それぞれ独立に、水素原子又は、1価の非金属原子団であり、AとR74、R77、R78は、それぞれ互いに、脂肪族性又は芳香族性の環を形成するために結合することができる。Arは、置換基を有する、芳香族環又はヘテロ環を表す。但し、Ar骨格上の置換基は、そのハメット値の総和が0より大きいことを要する。ここでハメット値の総和が0より大きいとは、1つの置換基を有し、その置換基のハメット値が0より大きいものであってもよく、複数の置換基を有し、それらの置換基におけるハメット値の総和が0より大きいものであってもよい。
【0261】
一般式(XVIII−1)中、A及びR74は一般式(XVIII)におけるものと同義であり、R77は一般式(XVIII)におけるR75と、R78は一般式(XVIII)におけるR76と同義である。また、Arは、置換基を有する、芳香族環又はヘテロ環を表し、一般式(XVIII)におけるAと同義である。
ただし、一般式(XVIII−1)におけるArに導入可能な置換基としては、ハメット値の総和が0以上であることが必須であり、そのような置換基の例としては、トリフルオロメチル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホキシド基、アミド基、カルボキシル基等を挙げることができる。これら置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF、m:0.43、p:0.54)、カルボニル基(例えば−COHm:0.36、p:0.43)、エステル基(−COOCH、m:0.37、p:0.45)、ハロゲン原子(例えばCl、m:0.37、p:0.23)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、スルホキシド基(例えば−SOCH、m:0.52、p:0.45)、アミド基(例えば−NHCOCH、m:0.21、p:0.00)、カルボキシル基(−COOH、m:0.37、p:0.45)等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。このうち、Arの好ましい例としては置換基を有するフェニル基を挙げることができ、Ar骨格上の好ましい置換基としてはエステル基、シアノ基が挙げられる。置換の位置としてはAr骨格上のオルト位に位置していることが特に好ましい。
【0262】
以下に、本発明に係る一般式(XVIII)で表される増感色素の好ましい具体例〔例示化合物(F1)〜例示化合物(F56)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0263】
【化34】

【0264】
【化35】

【0265】
【化36】

【0266】
【化37】

【0267】
【化38】

【0268】
【化39】

【0269】
【化40】

【0270】
【化41】

【0271】
本発明に適用可能な前記増感色素の中でも、前記一般式(XVIII)で表される化合物が、深部硬化性の観点から好ましい。
【0272】
上記の増感色素に関しては、本発明の着色重合性組成物の特性を改良する目的で、以下のような種々の化学修飾を行うことが可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、架橋硬化膜の高強度化や、架橋硬化膜からの色素の不要な析出抑制効果向上を得ることができる。
【0273】
増感色素の含有量は、着色重合性組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
増感色素の含有量がこの範囲であることで、超高圧水銀灯の露光波長に対して高感度であり、膜深部硬化性が得られると共に、現像マージン、パターン形成性の点で好ましい。
【0274】
(エポキシ樹脂)
本発明の着色重合性組成物は、形成された塗膜の強度を上げるために、熱重合成分として、エポキシ樹脂を用いることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、脂環式エポキシ化合物などのエポキシ環を分子中に2個以上有する化合物である。
例えば、ビスフェノールA型としては、エポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170など(以上東都化成製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103など(以上ナガセ化成製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上ダイセル化学製)の他に、これらの類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型も挙げることができる。また、Ebecryl 3700、3701、600(以上ダイセルユーシービー製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。
【0275】
クレゾールノボラック型としては、エポトートYDPN−638、YDPN−701、YDPN−702、YDPN−703、YDPN−704など(以上東都化成製)、デナコールEM−125など(以上ナガセ化成製)、ビフェニル型としては、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルビフェニルなど、脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2081、2083、2085、エポリードGT−301、GT−302、GT−401、GT−403、EHPE−3150(以上ダイセル化学製)、サントートST−3000、ST−4000、ST−5080、ST−5100など(以上東都化成製)、Epiclon430、同673、同695、同850S、同4032(以上大日本インキ製)などを挙げることができる。
また、1,1,2,2−テトラキス(p−グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(p−グリシジルオキシフェニル)メタン、トリグリシジルトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、o−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、他にアミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
【0276】
この中で好ましいのは「分子量/エポキシ環の数」が100以上であり、より好ましいものは130〜500である。「分子量/エポキシ環の数」が小さいと硬化性が高く、硬化時の収縮が大きく、また、大きすぎると硬化性が不足し、信頼性に欠ける、平坦性が悪くなるなどの懸念が生じる。
具体的な好ましい化合物としては、エポトートYD−115、118T、127、YDF−170、YDPN−638、YDPN−701、プラクセルGL−61、GL−62、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’ジグリシジルビフェニル、セロキサイド2021、2081、エポリードGT−302、GT−403、EHPE−3150などが挙げられる。
【0277】
(フッ素系有機化合物)
本発明の着色重合性組成物は、フッ素系有機化合物を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に、流動性)を向上させ、塗布厚の均一性や省液性を改善することができる。
すなわち、フッ素系有機化合物を含有する着色重合性組成物は、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させて被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上するため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成が可能である点で有効である。
【0278】
フッ素系有機化合物中のフッ素含有率は3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であると、塗布厚均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中への溶解性も良好である。
【0279】
フッ素系有機化合物としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0280】
フッ素系有機化合物は、特に、本発明の着色重合性組成物を用い、薄い塗膜を形成する際、塗布ムラや厚みムラの防止に効果的である。また、更には、液切れを起こしやすいスリット塗布に本発明の着色重合性組成物を適用する際も効果的である。
フッ素系有機化合物の添加量は、着色重合性組成物の全質量に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。
【0281】
(熱重合開始剤)
本発明の着色重合性組成物には、熱重合開始剤を含有させることも有効である。
熱重合開始剤としては、例えば、各種のアゾ系化合物、過酸化物系化合物が挙げられる。
前記アゾ系化合物としては、アゾビス系化合物を挙げることができ、前記過酸化物系化合物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
【0282】
(界面活性剤)
本発明の着色重合性組成物には、塗布性を改良する観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、前述のフッ素系界面活性剤の他に、ノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤を使用できる。
中でも、前記のノニオン系界面活性剤でパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤や、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の具体例としては、大日本インキ化学工業(株)製のメガファック(登録商標)シリーズ、3M社製のフロラード(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
【0283】
また、カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(森下産業社製))、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
更に、アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商社製)等が挙げられる。
【0284】
(その他の添加剤)
上記以外に、本発明の着色重合性組成物には各種の添加物を添加することができる。
添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの、アルコール可溶性ナイロン、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから形成されたフェノキシ樹脂などのアルカリ可溶の樹脂;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化社製)及びイソネットS−20(三洋化成社製);2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等がある。
【0285】
また、未硬化部のアルカリ溶解性を促進し、着色重合性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、本発明の着色重合性組成物に、有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸を添加することが好ましい。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0286】
更に、本発明の着色重合性組成物には、熱重合防止剤を添加してもよい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0287】
本発明の着色重合性組成物は、既述の本発明の顔料分散組成物に対し、光重合性化合物、及び光重合開始剤、更には、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂や溶剤、界面活性剤等の添加剤を加えることで、調製することができる。
【0288】
本発明の着色重合性組成物は、本発明の顔料分散組成物を含むことから、着色剤として含まれる顔料の分散安定性に優れる。また、本発明の着色重合性組成物を用いて作製した着色皮膜は、色材が均一且つ安定に分散されていることからコントラストが高く、表面の平滑性に優れる。
そのため、本発明の着色重合性組成物は、カラーフィルタの着色領域を形成するために用いられることが好ましい。
【0289】
<カラーフィルタ、及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタは、基板上に、前述の本発明の着色重合性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0290】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、本発明の着色重合性組成物の膜を、塗布により形成し、好ましくは、プリベーク、次いで、露光、及び現像を順次行うことを特徴とする。
このような方法により、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質で、かつ、低コストに作製することができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0291】
〔塗布〕
本発明では、カラーフィルタの製造にあたり、着色重合性組成物の膜を塗布により形成する。塗布方法としては、スピン、スリットアンドスピン、スリット等の公知の方法を用いることができるが、生産性の観点で、スリット塗布を用いることが好ましい。
本発明のカラーフィルタに用いられる基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコーン基板や、プラスチック基板が挙げられる。
これらの基板上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層が設けられたりしていてもよい。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
【0292】
この他に、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板(以下、「TFT方式液晶駆動用基板」という。)を用い、この駆動用基板上にも、本発明の着色重合性組成物を用いてなる着色パターンを形成し、カラーフィルタを作製することができる。
TFT方式液晶駆動用基板における基板としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。例えば、TFT方式液晶駆動用基板の表面に、窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を形成した基板を用いることができる。
【0293】
本発明においては、本発明の着色重合性組成物を基板に塗布する方法としてスリット塗布を用いることが好ましい。このスリット塗布の条件としては、塗布基板の大きさによって条件は異なるが、例えば、第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)に対して塗布を行う場合、スリットノズルからの着色重合性組成物の吐出量は、通常、500〜3000マイクロリットル/秒、好ましくは800〜2000マイクロリットル/秒であり、また、塗工速度は、通常、50〜300mm/秒、好ましくは100〜250mm/秒である。
また、このスリット塗布工程で用いられる着色重合性組成物の固形分としては、通常、10〜23%、好ましくは13〜20%である。
【0294】
基板上に本発明の着色重合性組成物による塗膜を形成する場合、該塗膜の厚み(プリベーク処理後)としては、一般に0.3〜5.0μmであり、望ましくは0.5〜4.0μm、最も望ましくは0.5〜3.0μmである。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5〜5.0μmの範囲が好ましい。
【0295】
〔プリベーク〕
前述のようにして、基板上に本発明の着色重合性組成物の膜が好ましくは塗布法により形成された後、プリベークを行うことが好ましい。
なお、必要によっては、プリベーク前に真空処理を施すこともできる。
真空乾燥の条件は、真空度が、通常、0.1〜1.0torr(13〜133Pa)、好ましくは0.2〜0.5torr(27〜67Pa)程度である。
また、所望によりプリベーク処理を行う際には、ホットプレート、オーブン等を用いて50〜140℃の温度範囲で、好ましくは70〜110℃程度であり、10〜300秒の条件にて行うことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
【0296】
〔露光〕
前記形成された膜は乾燥後、或いは、所望によりプリベークされた後、塗布膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光が行われる。
露光の際に使用される放射線としては、特に、g線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
なお、液晶表示装置用のカラーフィルタを製造する際には、プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション露光機により、主として、h線、i線を使用した露光が好ましく用いられる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。
なお、TFT方式液晶駆動用基板を用いてカラーフィルタを製造する際には、用いられるフォトマスクは、画素(着色パターン)を形成するためのパターンの他、スルーホール或いはコの字型の窪みを形成するためのパターンが設けられているものが使用される。
【0297】
〔現像〕
上記の露光後には、現像が行われる。この現像により、露光後の塗布膜の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。
現像温度としては、通常20〜30℃であり、現像時間としては20〜90秒である。
現像液としては、本発明の着色重合性組成物を露光し、露光部を重合硬化させた後、未硬化部における着色重合性組成物の塗膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。
具体的には、種々の有機溶剤を組合せてなる現像液やアルカリ性の水溶液を用いることができる。
【0298】
現像液に用いられる有機溶剤としては、本発明の着色重合性組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
また、アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
【0299】
現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像むらを防ぐこともできる。また、基板を傾斜させて現像することもできる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
【0300】
現像処理後は、余剰の現像液を洗浄除去するリンス処理を経て、乾燥を施した後、硬化を完全なものとするために、所望により加熱処理(ポストベーク)が施される。
リンス処理は通常は純水で行うが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
【0301】
リンス処理後、水切り、乾燥をした後に、通常、100℃〜250℃の加熱処理を行う。このポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱であり、200℃〜250℃の加熱(ハードベーク)で行われることが好ましい。
この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
ポストベークの後、次色の塗布を行う前にUV洗浄を行うことが好ましい。UV洗浄はガラス基板洗浄機等(例えばLC4000、日立電子エンジニアリング(株)製)にて行うことが可能であり、UV照射量としては、通常100mJ/cm〜1000mJ/cm程度である。UV洗浄を行うことにより、現像残渣の除去が行えたり、次色のパターン形成性を向上させたりすることができる。
【0302】
上記の工程を順次行うことで、本発明のカラーフィルタを製造することができる。
また、上記の工程を所望の色相数に合わせて各色毎(3色或いは4色)に順次繰り返し行うことにより、複数色の着色された硬化膜(着色パターン)が形成されてなるカラーフィルタを作製することができる。
【実施例】
【0303】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示す。
まず、実施例及び比較例で用いられる成分について説明する。
【0304】
<樹脂Bの合成>
前記例示した単量体M−11を7.5部、メタクリル酸メチル31.25部、メタクリル酸11.25部、及びメトキシプロピレングリコール167質量部を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して78℃まで昇温する。これにジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬(株)製V−601)を0.1部加え、78℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、更にV−601を0.1部加え、3時加熱攪拌し、樹脂Bの30%溶液を得た。得られた樹脂Bは、ソルトミリング時、顔料の乾燥工程前に使用される樹脂である。
【0305】
<樹脂Aの合成>
上記樹脂Bの合成において使用された単量体及びその仕込み量を、下記表1に記載の単量体及び仕込み量に代えた以外は、同様にして樹脂Aを合成した。得られた樹脂Aは、ソルトミリング時、顔料の乾燥工程前に使用される樹脂である。
下記表1は、樹脂A、Bを合成する際に用いられる単量体とその仕込み量、合成された樹脂A、樹脂Bの重量平均分子量、及び、酸価を示す。ここで、重量平均分子量は、以下の条件のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により,ポリスチレン換算によって行った値を用いている。
使用カラム:TSKgel MultiporeHXL−M
(細孔多分散型リニアカラム)東ソー製
溶離液 :THF
流量 :1.0ml/min
温度 :40℃
検出条件 :RI
システム :高速 GPC 装置一式 (東ソ− HLC−8220)
【0306】
また、酸価は、下記方法により測定した値である。
(酸価の測定方法)
0.1N・KOHエタノール溶液で滴定し、算出した。溶液の酸価は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の酸価の測定方法に準じて、1−メトキシ−2−プロピルアセテートに、一定量の樹脂を溶解させ、フェノールフタレインを指示薬としてKOH/エタノール溶液にて滴定し、測定を行った。
【0307】
【表1】

【0308】
上記表1中、単量体M−11は、前述の一般式(1)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体の好ましい具体例として挙げられた例示単量体を指す。また、表1中、樹脂Aの合成に用いられるモノマーの詳細は以下の通りである。
St:スチレン
BzMA:メタクリル酸ベンジル
MAA:メタクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
【0309】
次に、実施例及び比較例において、顔料分散組成物を調製する際に用いられる各種の分散剤について説明する。
樹脂(1):AA−6/単量体M−11/スチレン/メタクリル酸
=55/10/20/15(質量%)の共重合体
(重量平均分子量20,000)
AA−6:片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー
(Mn=6000、東亜合成化学工業(株)製)
樹脂(2):マレイミド/スチレン/メタクリル酸=20/65/15(質量%)
の共重合体(重量平均分子量20,000)
【0310】
また、ソルトミリング及び顔料分散組成物の調製で使用される顔料誘導体の構造は下記の通りである。
【0311】
【化42】

【0312】
【化43】

【0313】
[実施例1]
(ソルトミリングを用いた処理顔料の製造法)
本発明における(A)ジケトピロロピロール顔料であるイルガフォアレッドBT−CF(チバジャパン(株)製、ピグメントレッド254)50g、水溶性無機塩である塩化ナトリウム500g(平均粒子径10μm)、及び水溶性有機溶剤であるジエチレングリコール(東京化成社製)150gをステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で10時間混練した。
次に、この混合物に前記にようにして合成した樹脂A溶液(固形分30質量%)25gを添加し混合し、この混合物を約3リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした。その後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、60℃の熱風オーブンで約24時間乾燥して、表面の少なくとも一部に樹脂Aが付着している表面処理された(A)ジケトピロロピロール顔料を得た。
得られた処理顔料の粒子径を、透過型電子顕微鏡にて測定したところ、平均一次粒子径にて30nmであった。粒子の測定は、倍率10万倍で、顔料の長径と短径の平均値を500個測定したときの平均値を用いている。
【0314】
〔実施例1〕
<顔料分散組成物の調製>
下記組成(1)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で1時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
【0315】
〔組成(1)〕
・上記の方法で得られた表面処理ジケトピロロピロール顔料〔(A)成分〕 86部
・顔料誘導体(1)(前記構造) 10部
・顔料誘導体(3)〔前記構造:(B)成分〕 10部
〔(A)成分100部に対して13.4部〕
・顔料誘導体(4)〔前記構造:(C)成分〕〕 5部
〔(A)成分100部に対して6.69部〕
・Disperbyk−2001(BYK Chemie社製) 33部
・樹脂(1)の30%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液 50部
・樹脂(2)の30%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液 50部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 767部
【0316】
続いて、上記より得られた混合溶液を、0.8mmφジルコニアビーズ((株)ニッカトー製)を用いたビーズ分散機(ディスパーマット、GETZMANN社製)にて20分予備分散を行った。その後、0.10mmφジルコニアビーズ((株)ニッカトー製)を用いたビーズ分散機ウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)にて、2時間本分散を行い、実施例1の赤色顔料分散組成物を得た。
【0317】
〔顔料分散組成物の評価〕
得られた顔料分散組成物の分散性、分散安定性を評価した。
調製された顔料分散組成物について、調製直後の粘度η1(25℃)と、調製後一週間経過した後の粘度η2(25℃)とをE型粘度計を用いて測定した。η1とη2は共に9cpであり、良好な分散性及び分散安定性を示すことが確認された。
【0318】
〔実施例2〕
<着色重合性組成物の調製>
上記実施例1で得られた顔料分散組成物を用いて、下記の組成(2)の着色重合性組成物を作製した。
なお、赤色顔料分散組成物A及び黄色顔料分散組成物Aは下記のようにして調製した。
【0319】
(赤色顔料分散組成物A)
上記処理顔料の製造法において、「イルガフォアレッドBT−CF」の代わりに、「レッド顔料(BASF社製「クロモフタルレッドA2B」:PR177)」を用いた以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、一次平均粒子径28nmの処理顔料を得た。その後、得られた処理顔料を用い、「顔料誘導体(1)」の代わりに「顔料誘導体(5)」を用いた以外は、実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物Aを得た。
また、黄色顔料分散組成物Aは下記のようにして調製した。
(黄色顔料分散組成物A)
上記処理顔料の製造法において、「イルガフォアレッドBT−CF」の代わりに、「イエロー顔料(ランクセス社製「E4GN−GT:P.Y.150」)」を用いた以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、一次平均粒子径30nmの処理顔料を得た。その後、得られた処理顔料を用い、「顔料誘導体(1)」の代わりに「顔料誘導体(6)」を用いた以外は、実施例1と同様にして黄色顔料分散組成物Aを得た。
【0320】
〔組成(2)〕
・実施例1で得られた赤色顔料分散組成物 800部
・上記赤色顔料分散組成物A 800部
・上記黄色顔料分散組成物A 400部
・ジペンタエリスリトールペンタヘキサアクリレート(光重合性化合物) 80部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル]−
2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン(光重合開始剤) 30部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[質量比])共重合体(重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分30%)(アルカリ可溶性樹脂) 300部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) 590部
・3−エトキシプロピオン酸エチル(溶剤) 400部
【0321】
<着色重合性組成物を用いたカラーフィルタの作製>
得られた着色重合性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.650となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面を、200mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように光硬化処理及び現像処理が施された塗膜を220℃のオーブンで30分加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ構成用の着色皮膜を形成し、単色の着色領域を備える着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
作製した基板に対して更に、ガラス基板洗浄機(LC4000、日立電子エンジニアリング(株)製)にてUV洗浄(20mW/cmにて500mJ/cm)した後、上記プリベーク、上記現像、上記ポストベークを再度実施した。その後、さらに上記UV洗浄、上記プリベーク、上記現像、上記ポストベークを実施し、評価用着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を得た。
【0322】
上記のようにして調製された着色重合性組成物(カラーレジスト液)、及び、該着色重合性組成物から作製された評価用着色フィルタ基板(カラーフィルタ)について、以下のように評価した。結果は表2に示す。
【0323】
−1.粘度の測定−
調製された着色重合性組成物(カラーレジスト液)について、調製直後の粘度η1(25℃)と、調製後一週間経過した後の粘度η2(25℃)とをE型粘度計を用いて測定した。
【0324】
−2.コントラストの測定・評価−
以下のようにして、作製された評価用着色フィルタ基板(カラーフィルタ)のコントラストを測定した。
即ち、評価用着色フィルタ基板を2枚の偏光板の間に置き、偏光軸が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン(株)社製のBM−5を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。(この評価法は、「1990年第7回 色彩光学コンファレンス、512色表示10.4“サイズTFT−LCD用カラーフィルター、植木、小関、福永、山中」を参考にした)。
【0325】
−3.表面粗さの測定−
作製された評価用着色フィルタ基板(カラーフィルタ)について、着色皮膜表面の表面粗さを、原子間力顕微鏡(NanoScope IIIa、ナノワールド社製)を用いて測定した。
【0326】
[実施例3]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(1)0.8gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、処理顔料を得た。平均一次粒子径は26nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0327】
[実施例4]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(2)0.9gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、処理顔料を得た。平均一次粒子径は23nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0328】
[実施例5]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(2)0.9gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、また、混練後「樹脂A溶液(固形分30質量%)」の代わりに前記合成例で得られた「樹脂B溶液(固形分30質量%)」を用いた以外は実施例1と同様にして処理顔料を得た。平均一次粒子径は23nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0329】
[実施例6]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(2)0.9gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、また、混練後「樹脂A溶液(固形分30質量%)」の代わりに「樹脂B溶液(固形分30質量%)」を用いた以外は実施例1と同様にして処理顔料を得た。平均一次粒子径は23nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、「顔料誘導体(1)10部」の代わりに「顔料誘導体(2)10部」を用いた以外は実施例2と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例1と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0330】
[実施例7]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(2)0.9gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、また、混練後「樹脂A溶液(固形分30質量%)」の代わりに「樹脂B溶液(固形分30質量%)」を用いた以外は実施例1と同様にして処理顔料を得た。平均一次粒子径は23nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、「顔料誘導体(1)10部、顔料誘導体(3)10部、顔料誘導体(4)5部」の代わりに「顔料誘導体(2)11部、顔料誘導体(3)7部、顔料誘導体(4)7部」を用いた以外は実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0331】
[比較例1]
実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、処理顔料を得た。平均一次粒子径は30nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、「上記の方法で得られた処理顔料86部」の代わりに「上記の方法で得られた処理顔料103部」とし、また、「顔料誘導体(3)」及び「顔料誘導体(4)」を用いない以外は、実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0332】
[比較例2]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(1)0.8gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、処理顔料を得た。平均一次粒子径は26nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、「上記の方法で得られた処理顔料86部」の代わりに「上記の方法で得られた処理顔料103部」とし、また、「顔料誘導体(3)」及び「顔料誘導体(4)」を用いない以外は、実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0333】
[比較例3]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(1)0.8gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、処理顔料を得た。平均一次粒子径は26nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、「顔料誘導体(3)10部、顔料誘導体(4)5部」の代わりに「顔料誘導体(3)15部」を用いた以外は実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0334】
[比較例4]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(1)0.8gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、処理顔料を得た。平均一次粒子径は26nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、「顔料誘導体(3)10部、顔料誘導体(4)5部」の代わりに「顔料誘導体(4)15部」を用いた以外は実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0335】
[比較例5]
実施例1において、ソルトミリングの際に、更に、顔料誘導体(4)1gを添加した以外は、実施例1と同様にしてソルトミリングを行い、処理顔料を得た。平均一次粒子径は24nmであった。その後、得られた処理顔料を用い、「上記の方法で得られた処理顔料86部」の代わりに「上記の方法で得られた処理顔料103部」とし、また、「顔料誘導体(3)」及び「顔料誘導体(4)」を用いない以外は、実施例1と同様にして赤色の顔料分散組成物を得た。更に、実施例2と同様にして赤色の着色重合性組成物を得た後、実施例2と同様の評価を行った。結果は表2に示す。
【0336】
【表2】

【0337】
表2に明らかなように、実施例1の本発明の顔料分散組成物を用いて調製された実施例2〜実施例7の着色重合性組成物は、保存後の粘度上昇が見られないことから、含まれる有機顔料の分散安定性に優れることがわかる。また、この着色重合性組成物を用いて形成された着色フィルタ(カラーフィルタ)は、コントラストに優れ、表面粗さが小さい着色皮膜を形成し得ることが分る。
これらの結果により、本発明の着色重合性組成物によれば、高いコントラストを有し、表面粗さなどに起因する画素欠陥が低減されたカラーフィルタが得られることが推測される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジケトピロロピロール系顔料、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜30質量部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜20質量部のフタルイミドアルキル化キナクリドン、及び、少なくとも一種の有機溶剤を含有する顔料分散組成物。
【請求項2】
前記ジケトピロロピロール系顔料の平均一次粒子径が10nm〜30nmである請求項1に記載の顔料分散組成物。
【請求項3】
前記ジケトピロロピロール系顔料が、
ジケトピロロピロール系顔料、水溶性無機塩、及び、該水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤を機械的に混練する工程と、
該水溶性無機塩と前記水溶性有機溶剤を除去する工程と、
接触させた該ジケトピロロピロール顔料を乾燥する工程と、
該乾燥工程前に前記ジケトピロロピロール系顔料に樹脂を接触させる工程と、
を有する方法により得られるジケトピロロピロール系顔料である請求項1又は請求項2に記載の顔料分散組成物。
【請求項4】
前記樹脂が、酸価50〜300mgKOH/gの高分子化合物である請求項3に記載の顔料分散組成物。
【請求項5】
平均一次粒子径が10nm〜30nmであるジケトピロロピロール系顔料に、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜30質量部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び該ジケトピロロピロール系顔料100質量部に対し0.1〜20質量部のフタルイミドアルキル化キナクリドンの少なくとも一部を添加する工程と、
ジケトピロロピロール系顔料、該ジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1〜30質量部のフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及び該ジケトピロロピロール系顔料100質量部あたり0.1〜20質量部のフタルイミドアルキル化キナクリドンを有機溶剤と共に分散する工程と
を有する顔料分散組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の顔料分散組成物と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する着色重合性組成物。
【請求項7】
アルカリ可溶性樹脂を更に含有する請求項6に記載の着色重合性組成物。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の着色重合性組成物を用いてなるカラーフィルタ。
【請求項9】
基板上に、請求項6又は請求項7に記載の着色重合性組成物を塗布して塗膜を形成し、形成された膜を露光し、その後、現像するカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2009−251586(P2009−251586A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103496(P2008−103496)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000180058)山陽色素株式会社 (30)
【Fターム(参考)】