説明

顕微鏡システム

【課題】合焦精度を向上させ、且つ、観察体の画像の取得処理速度を向上可能な顕微鏡システムの提供。
【解決手段】第一の撮像手段15が撮像する領域よりも手前の領域を撮像する第二の撮像手段20が撮像した画像を用いて、第一の撮像手段の撮像位置での当該領域についての対物レンズ12の合焦位置を調整する自動合焦制御手段21と、第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と第二の撮像手段が撮像する観察体における分割領域との距離と、載置手段11の水平方向への移動速度とに応じて、第二の撮像手段で撮像された観察体における分割領域を第一の撮像手段の撮像位置に搬送するタイミングと、第二の撮像手段で撮像された観察体における分割領域の像の結像位置を第一の撮像手段の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように制御する搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察体の位置を移動させながら、一つの観察体に対し複数領域に分割した顕微鏡画像を撮像し、撮像した個々の顕微鏡画像を合成することで、高解像度及び広画角な画像を形成する顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、細胞や組織診といった病理診断においては、診断箇所の見落としを防止するために観察体の全体像を把握したいという要請がある。また、情報処理技術の発達により、このような病理診断においても画像の電子情報化が促進されており、ビデオカメラ等を介して取り組む顕微鏡観察像についても旧来の銀塩フィルム並の高い解像度を得たいという要請がある。
【0003】
これらの要望を実現するために、予め観察体の撮像対象領域を小区画に分割し、分割した夫々の小区画の領域を高解像度に撮像し、得られた小区画の領域毎の顕微鏡画像を繋ぎ合わせることにより、観察体の画像を再構築するいわゆるバーチャル顕微鏡システムがある。このような顕微鏡システムを用いれば、実際に観察体が存在しない環境でも観察体の顕微鏡観察を行うことができる。
【0004】
ところで、この種の顕微鏡システムにおいて、撮像対象領域全体に焦点が合った鮮明な画像を得るためには、例えば、画素が1次元配列されたライン状の撮像素子を撮像手段として用いるとともに、撮像対象領域をライン状の小区画の領域に分割し、分割したライン状の領域毎に撮像位置に搬送して、焦点位置を合わせる必要がある。そこで、近年、画素が1次元配列された撮像素子を用いた顕微鏡システムが提案されている。
【0005】
しかし、画素が1次元配列された撮像素子を、撮像対象とするライン状の小区画の領域毎に撮像位置に搬送し、搬送を停止後、焦点位置を合わせるのでは、処理が煩雑化し時間がかかる。
【0006】
しかるに、観察体としての試料を撮像手段及び搬送手段を介して走査中に焦点位置を自動的に調整するようにした顕微鏡システムが例えば、次の特許文献1,2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2007−525689号公報
【特許文献2】特開2006−189510号公報
【0008】
特許文献1に記載の顕微鏡システムは、ステージが水平方向に移動し、対物レンズが高さ方向に移動している間、ライン状のスキャンカメラが間断なく撮像して、1ライン分の撮像対象領域に対し複数の高さ位置の画像データを取得し、取得した複数の画像データ中でコントラスト値が最大となる高さ位置を最適の焦点位置として対物レンズを調整するように構成されている。
【0009】
また、特許文献2に記載の顕微鏡システムは、ラインセンサが1ライン分の撮像対象領域が撮像位置に位置するように、ステージをX方向に移動させた後、ラインセンサをZ方向に移動させながら、複数個のライン状の画像を撮像し、それら複数個のライン状の画像を用いて合焦点を計算し、計算した合焦点と移動前の合焦点との比較を介して合焦位置を調整するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載の顕微鏡システムでは、最適な合焦位置を検出するために、1ライン分の撮像対象領域を撮像位置に移動させた状態において、当該撮像対象領域に対して対物レンズが最適な焦点位置に位置しない状態の画像を対物レンズの移動量に応じて複数撮像することになるので、その分、合焦位置の調整時間が遅くなる。
【0011】
また、特許文献2に記載の顕微鏡システムも、1ライン分の撮像対象領域を撮像位置に移動させた状態において、当該撮像対象領域に対してZ方向に移動しながら撮像した複数個のライン状の画像を用いて合焦点を計算し、計算した合焦点と移動前の合焦点との比較を介して合焦位置を調整するので、その分、合焦位置の調整時間が遅くなる。
【0012】
しかも、特許文献1,2のいずれの顕微鏡システムも、1ライン分の撮像対象領域を撮像位置に移動させた後に、当該撮像対象領域に対して焦点位置の調整を行うようにしているため、搬送手段による搬送を停止させずに合焦動作を行ってはいるものの、当該撮像対象となっているライン状の領域を撮像位置に搬送後に、合焦処理の調整時間分、画像の取得処理が遅くなってしまう。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、合焦精度を向上させ、且つ、観察体の画像の取得処理の速度を向上させることが可能な顕微鏡システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明による顕微鏡システムは、観察体を載置する載置手段と、前記載置手段に載置された観察体と対峙する対物レンズと、前記対物レンズを経由した観察体からの光を観察体の像として結像する結像光学系と、観察体の像が分割領域ごとに撮像位置に位置するように、前記載置手段を水平方向に駆動する水平方向駆動手段と、撮像位置に位置する観察体における分割領域の像を撮像する第一の撮像手段と、前記第一の撮像手段により撮像された複数の画像を合成して観察体の拡大画像を作成する画像処理手段とを有するバーチャル顕微鏡システムであって、前記載置手段と前記対物レンズのうちの少なくとも一方を垂直方向に駆動する垂直方向駆動手段と、前記結像光学系を経由した光を、前記第一の撮像手段に向かう第一の光路と、該第一の撮像手段とは異なる方向に向かう第二の光路とに分岐する光路分岐手段と、前記第二の光路を経由した所定の位置に配置され、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像する分割領域よりも前記水平方向駆動手段による駆動方向の手前に位置する分割領域の像を、撮像する第二の撮像手段と、前記第二の撮像手段が撮像した観察体における分割領域の画像を用いて、当該分割領域における観察体の画像の合焦度を検出し、検出した合焦度に応じて、観察体における当該分割領域の像の結像位置を前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるために必要な前記載置手段と前記対物レンズとの垂直方向の相対位置を算出するとともに、該算出した相対位置に該載置手段及び該対物レンズが位置するように垂直方向駆動手段を作動させて、当該分割領域についての該載置手段及び該対物レンズの合焦位置を調整する自動合焦制御手段と、前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が2つの撮像領域で撮像する観察体における分割領域との距離と、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度とに応じて、前記第二の撮像手段の2つの撮像領域で撮像された観察体における分割領域を前記水平方向駆動手段を介して前記第一の撮像手段の撮像位置に搬送するタイミングと、前記第二の撮像手段の2つの撮像領域で撮像された観察体における分割領域の像の結像位置を前記自動合焦制御手段を介して前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように制御する搬送・合焦位置調整タイミング制御手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
また、本発明による顕微鏡システムは、観察体を載置する載置手段と、前記載置手段に載置された観察体と対峙する対物レンズと、前記対物レンズを経由した観察体からの光を観察体の像として結像する結像光学系と、観察体の像が分割領域ごとに撮像位置に位置するように、前記載置手段を水平方向に駆動する水平方向駆動手段と、撮像位置に位置する観察体における分割領域の像を撮像する第一の撮像手段と、前記第一の撮像手段により撮像された複数の画像を合成して観察体の拡大画像を作成する画像処理手段を有するバーチャル顕微鏡システムであって、前記載置手段と前記対物レンズのうちの少なくとも一方を垂直方向に駆動する垂直方向駆動手段と、前記結像光学系を経由した光を、前記第一の撮像手段に向かう第一の光路と、該第一の撮像手段とは異なる方向に向かう第二の光路とに分岐する光路分岐手段と、前記第二の光路を第三の光路と第四の光路に分岐するとともに、前記結像光学系の結像点が前記第一の撮像手段の撮像面に位置するときに、該結像光学系の結像点に共役な2つの結像点が、該第三の光路と該第四の光路とに垂直に交差する所定の位置から等距離離れた前方位置及び後方位置に夫々位置するように、該第三の光路と該第四の光路とに光路長差をつけた光路差光学系と、前記第三の光路と前記第四の光路とに跨って垂直に交差する所定の位置に夫々配置され、該第三の光路と該第四の光路を夫々経由した、観察体における同一の分割領域であって、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像する分割領域よりも前記水平方向駆動手段が駆動する水平方向に対して手前に位置する分割領域の像を、夫々撮像する2つの撮像領域を有する第二の撮像手段と、前記第二の撮像手段が2つの撮像領域で撮像した観察体における同一の分割領域の画像を用いて、当該分割領域における観察体の画像の合焦度を検出し、検出した合焦度に応じて、観察体における当該分割領域の像の結像位置を前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるために必要な前記載置手段と前記対物レンズとの垂直方向の相対位置を算出するとともに、該算出した相対位置に該載置手段及び該対物レンズが位置するように垂直方向駆動手段を作動させて、前記第一の撮像手段の撮像位置に位置する観察体における当該分割領域についての該載置手段及び該対物レンズの合焦位置を調整する自動合焦制御手段と、前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が撮像する観察体における分割領域との距離と、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度と、前記自動合焦制御手段による合焦位置の調整時間とに応じて、前記第二の撮像手段で撮像された観察体における分割領域を前記水平方向駆動手段を介して前記第一の撮像手段の撮像位置に搬送するタイミングと、前記第二の撮像手段で撮像された観察体における分割領域の像の結像位置を前記自動合焦制御手段を介して前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように制御する搬送・合焦位置調整タイミング制御手段とを備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、前記光路分岐手段は、入射光を透過光と反射光とに分ける光学面を有し、前記第二の撮像手段が撮像対象とする観察体における分割領域が、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像対象とする観察体における分割領域よりも前記水平方向駆動手段が駆動する水平方向に対して手前に位置するように、前記光学面が傾斜しているのが好ましい。
【0017】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、前記第二の撮像手段の2つの撮像領域は、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像する観察体の像における分割領域よりも前記水平方向駆動手段が駆動する水平方向に対して手前に位置する分割領域の像を、夫々撮像するように、前記第三の光路及び前記第四の光路の夫々の中心軸からずれた位置に夫々配置されているのが好ましい。
【0018】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が撮像する観察体における分割領域との距離をD(mm)、前記自動合焦制御手段による前記第一の撮像手段の撮像位置に位置する観察体における分割領域に対する合焦位置の調整時間をTf(sec)、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度をSh(mm/sec)としたとき、次の条件式を満足するのが好ましい。
Sh(mm/sec)×Tf(sec)≦D(mm)
【0019】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、前記自動合焦調整手段による前記載置手段及び前記対物レンズの垂直方向への移動量の演算時間をTv(sec)、該自動合焦調整手段により調整した前記垂直方向駆動手段を介して駆動する前記載置手段及び前記対物レンズの垂直方向の移動速度をSv(mm/sec)、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度をSh(mm/sec)、前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が撮像する観察体における分割領域との距離をD(mm)、前記載置手段及び前記対物レンズの垂直方向への移動量D2(mm)としたとき、次の条件式を満足するのが好ましい。
(Tv(sec)+D2(mm)/Sv(mm/sec))≦D(mm)/Sh(mm/sec)
【0020】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、さらに、前記第一の撮像手段での露光量に応じて、前記水平方向駆動手段を介して駆動する前記載置手段の水平方向への移動速度を調整する水平方向移動速度調整手段を有するのが好ましい。
【0021】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、前記第一の撮像手段が、ラインセンサカメラであるのが好ましい。
【0022】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、前記第一の撮像手段が、TDIカメラであるのが好ましい。
【0023】
また、本発明の顕微鏡システムにおいては、前記垂直方向駆動手段が、ピエゾ素子であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、合焦精度を向上させ、且つ、観察体の画像の取得処理の速度を向上させることが可能な顕微鏡システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1にかかる顕微鏡システムの全体の概略構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の顕微鏡システムにおける光路分岐手段18、光路差光学系19、第二の撮像手段20a,20bの一配置構成例を示す説明図である。
【図3】実施例1の顕微鏡システムにおいて、撮像対象範囲内を走査する第一の撮像手段15による一回の撮像領域と走査方向の一例を示す説明図である。
【図4】実施例1の顕微鏡システムの第一の撮像手段15と第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bとにおける、同一時点で撮像対象とする分割領域の違いを概念的に示す図3の部分拡大説明図であり、(a)は時刻t1における第一の撮像手段15、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bの夫々が撮像対象とする分割領域を示す図、(b)は時刻t2における第一の撮像手段15、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bの夫々が撮像対象とする分割領域を示す図である。
【図5】実施例1の顕微鏡システムにおける観察体の分割領域の像を撮像する第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bでの前ピント位置と後ピント位置のコントラスト値の特性を夫々示すグラフである。
【図6】図5に示す後ピント位置のコントラスト値から前ピント位置のコントラスト値の差分特性を示すグラフである。
【図7】図6に示すコントラスト値の差分特性を部分的に拡大して示す説明図である。
【図8】実施例1の顕微鏡システムにおける第一の撮像手段15が撮像する観察体における分割領域と第一の撮像手段15が撮像する時点において第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像する観察体における分割領域との距離を概念的に示す説明図である。
【図9】実施例1の顕微鏡システムにおける観察体の撮像処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施例1の顕微鏡システムにおける光路分岐手段18、光路差光学系19、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bの他の配置構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施例1
図1は本発明の実施例1にかかる顕微鏡システムの全体の概略構成を示す説明図である。
実施例1の顕微鏡システムは、載置手段11と、対物レンズ12と、結像光学系13と、水平方向駆動手段14と、第一の撮像手段15と、画像処理手段16と、垂直方向駆動手段17と、光路分岐手段18と、光路差光学系19と、第二の撮像手段20と、自動合焦制御手段21と、合焦位置情報記憶手段22と、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23を備えている。図1中、1は顕微鏡本体、2はパーソナルコンピュータの中央演算処理装置を備えて構成された顕微鏡本体と接続するホストシステムである。
【0027】
載置手段11は、スライドガラス標本等の観察体50を載置することが可能な面を有し、水平方向駆動手段14の駆動により水平方向(XY方向)に移動可能なステージで構成されている。
対物レンズ12は、載置手段11に載置された観察体50と対峙するようにして、顕微鏡本体1に対して垂直方向(Z方向)に移動可能なステージ1aに取り付けられている。また、対物レンズ12における鏡筒部のステージ1a側は、ピエゾ素子を備えた、ピエゾ素子部17b1として構成されている。
結像光学系13は、対物レンズ12を経由した観察体50からの光を観察体の像として結像する。
【0028】
水平方向駆動手段14は、ステッピングモータ14aと、XY方向駆動制御手段14bとで構成されている。ステッピングモータ14aは、その回転により、載置手段11を水平方向(XY方向)に駆動する。XY方向駆動制御手段14bは、観察体50の像が分割領域ごとに撮像位置に位置するように、ステッピングモータ14aの駆動量及び駆動方向を制御する。また、XY方向駆動制御手段14bは、後述する水平方向移動速度調整手段24からのステッピングモータ14aの駆動速度の指示に基づき、ステッピングモータ14aの駆動速度も制御する。
第一の撮像手段15は、ラインセンサカメラで構成され、撮像位置に位置する観察体50におけるライン状の分割領域の像を撮像する。図1においては、ラインセンサは、紙面に対して垂直な方向(Y方向)に荷電結合素子が直線状に配列されている。なお、第一の撮像手段15は、TDIカメラで構成してもよい。
画像処理手段16は、ホストシステム2の内部に設けられ、第一の撮像手段15により撮像された複数の画像を貼り合わせて観察体の拡大画像を作成する。
【0029】
垂直方向駆動手段17は、ステッピングモータ17a1とZ方向駆動制御部17a2とで構成された垂直方向粗動手段17aと、ピエゾ素子部17b1とピエゾ素子駆動制御部17b2とで構成された垂直方向微動手段17bを有している。
ステッピングモータ17a1は、その回転により、対物レンズ12を取り付けたステージ1aを垂直方向(Z方向)に駆動する。Z方向駆動制御部17a2は、対物レンズ12が、おおよその合焦位置に位置するように、ステッピングモータ17a1の駆動量及び駆動方向を制御する。
ピエゾ素子部17b1は、電圧を与えることにより、対物レンズ12を垂直方向(Z方向)に駆動する。ピエゾ駆動制御部17b2は、対物レンズ12が正確な合焦位置に位置するように、ピエゾ素子部17b1の駆動量及び駆動方向を制御する。
なお、図1の例では、垂直方向駆動手段17は、対物レンズ12を垂直方向に駆動するように構成されているが、垂直方向駆動手段17は、載置手段11と対物レンズ12のうちの少なくとも一方を垂直方向(Z方向)に駆動する構成であればよく、例えば、ステッピングモータ17a1やピエゾ素子部17b1を、載置手段11を垂直方向(Z方向)に駆動するように設けた構成でもよい。あるいは、垂直方向駆動手段17は、載置手段11と対物レンズ12の両方を垂直方向(Z方向)に駆動ように、ピングモータ17a1やピエゾ素子部17b1を設けて構成してもよい。
なお、図1の例では、垂直方向駆動手段17は、駆動部材として、ステッピングモータとピエゾ素子とを用いて構成されているが、ピエゾ素子のみを用いて構成してもよい。
【0030】
光路分岐手段18は、例えば、ハーフミラーやビームスプリッタなどの入射光を透過光と反射光とに分ける光学面18aを有する光学部材で構成されている。そして、光路分岐手段18は、図2に示すように、光学面18aを介して、結像光学系13を経由した光を第一の撮像手段15に向かう第一の光路W1と、第一の撮像手段15とは異なる方向に向かう第二の光路W2とに分岐する。また、光学面18aは、第二の撮像手段20が撮像対象とする観察体50における分割領域が、第一の撮像手段15が撮像する時点において第一の撮像手段15が撮像対象とする観察体50における分割領域よりも水平方向駆動手段14が駆動する水平方向に対して手前に位置するように、傾斜角度がつけられている。図1の例では、光学面18aは、結像光学系13と第一の撮像手段15との間の光軸に対し45°からα°ずれた角度で傾斜している。
【0031】
光路差光学系19は、ハーフミラー19aとミラー19bを有して構成され、第二の光路W2を、第三の光路W3と第四の光路W4とに分岐する。また、図2に示すように、結像光学系13の結像点P1が第一の撮像手段15の撮像面に位置するときに、結像光学系13の結像点P1に共役な2つの結像点P2,P3が、第三の光路W3と第四の光路W4とに垂直に交差する所定の位置Mから等距離L離れた前方位置及び後方位置に夫々位置するように、第三の光路W3と第四の光路W4とに光路長差をつけている。
【0032】
第二の撮像手段20は、ラインセンサカメラで構成されており、2つの撮像領域20a,20bを有している。なお、第二の撮像手段20は、2つのラインセンサカメラに撮像領域20a,20bを備えた構成でもよいし、あるいは、1つのラインセンサカメラに2つの撮像領域20a,20bを備えた構成でもよい。
2つの撮像領域20a、20bは、第三の光路W3と第四の光路W4とに跨って垂直に交差する所定の位置に夫々配置されている(なお、図1、図2においては、ラインセンサは、紙面に対して垂直な方向(Y方向)に荷電結合素子が直線状に配列されている)。そして、第三の光路W3と第四の光路W4を夫々経由した、観察体50における同一の分割領域であって、第一の撮像手段15が撮像する時点において第一の撮像手段15が撮像する分割領域よりも水平方向駆動手段14が駆動する水平方向(XY方向)に対して手前に位置する分割領域の像を、夫々撮像する。
【0033】
この点について、図3及び図4を用いて詳しく説明する。
図3は実施例1の顕微鏡システムにおいて、撮像対象範囲内を走査する第一の撮像手段15による一回の撮像領域と走査方向の一例を示す説明図、図4は実施例1の顕微鏡システムの第一の撮像手段15と第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bとにおける、同一時点で撮像対象とする分割領域の違いを概念的に示す図3の部分拡大説明図であり、(a)は時刻t1における第一の撮像手段15、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bの夫々が撮像対象とする分割領域を示す図、(b)は時刻t2における第一の撮像手段15、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bの夫々が撮像対象とする分割領域を示す図である。
【0034】
例えば、図3に示すように、観察体50における観察対象50bを含む領域(撮像対象領域)50aに対し、太字で示す矩形領域を、第一の撮像手段15、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bが撮像対象とする分割領域とし、矢印方向に複数回に分けて走査する場合を想定する。その場合、図4(a)に示すように、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bが、観察体50の撮像対象領域50aにおける座標(x1,y1〜yk)の領域mnを撮像対象とする分割領域とするときには、第一の撮像手段15は、撮像対象領域50aにおける座標(x1,y1〜yk)の領域mnよりも手前(図4では左側)の領域mn-1を撮像対象とする分割領域とする。また、図4(a)の状態から時間が経過して、図4(b)に示すように、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bが、観察体50の撮像対象領域50aにおける座標(x2,y1〜yk)の領域mn+1を撮像対象とする分割領域とするときには、第一の撮像手段15は、撮像対象領域50aにおける座標(x2,y1〜yk)の領域mn+1よりも手前(図4では左側)の座標(x1,y1〜yk)の領域mnを撮像対象とする分割領域とする。
【0035】
自動合焦制御手段21は、合焦演算部21aと、ホストシステム2に内蔵された垂直方向駆動制御部21bとで構成されている。
合焦演算部21aは、第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像した観察体50における同一の分割領域の画像を用いて、当該分割領域における観察体50の画像の合焦度を検出し、検出した合焦度に応じて、観察体50における当該分割領域の像の結像位置を第一の撮像手段15の撮像面に位置させるために必要な載置手段11と対物レンズ12との垂直方向(Z方向)の相対位置(ここでは、対物レンズ12のZ方向の座標位置)を算出する。
垂直方向駆動制御部21bは、合焦演算部21aが算出した、載置手段11と対物レンズ12との垂直方向(Z方向)の相対位置(ここでは、対物レンズ12のZ方向の座標位置)に載置手段11及び対物レンズ12が位置するように垂直方向駆動手段17を作動させて、第一の撮像手段15の撮像位置に位置する観察体50における当該分割領域についての載置手段11及び対物レンズ12の合焦位置を調整する。
【0036】
この点について、図5〜図7を用いて詳しく説明する。
図5は実施例1の顕微鏡システムにおける観察体の分割領域の像を撮像する第二の撮像手段20の2つの20a,20bでの前ピント位置と後ピント位置のコントラスト値の特性を夫々示すグラフ、図6は図5に示す後ピント位置のコントラスト値から前ピント位置のコントラスト値の差分特性を示すグラフ、図7は図6に示すコントラスト値の差分特性を部分的に拡大して示す説明図である。
図5では第二の撮像手段20の撮像領域20aで撮像された画像のコントラスト値をA、第二の撮像手段20の撮像領域20bで撮像された画像のコントラスト値をBで示してある。また、図5中、F0は合焦位置である。
図6に示すように、合焦位置F0では、これらのコントラスト値の差A−Bがゼロになる。
また、図7に示すように、合焦位置F0近傍では、合焦位置F0からのZ方向へのずれの度合いに比例して変位信号が直線状に変化する。このため、第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像した時点での載置手段11及び対物レンズ12のZ座標がわかれば、第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像対象とする分割領域に対する載置手段11及び対物レンズ12の合焦位置でのZ座標が求まることになる。
【0037】
自動合焦制御手段21では、まず、合焦演算部21aが、第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像した観察体50における同一の分割領域の画像から、夫々の画像のコントラスト値An,Bnを検出する。次いで、合焦演算部21aが、検出したコントラスト値An,Bnの差分An−Bnを変位信号Vnとして算出する。
次いで、合焦演算部21aは、算出したAn−Bnの差分に基づき、合焦位置F0からのZ方向へのずれ量Z_nを検出する。次いで、検出した合焦位置からのZ方向のずれ量Z_nを、現時点での対物レンズのZ座標に対して減算(前ピント位置の場合)又は加算(後ピント位置の場合)する。これにより、撮像対象とする分割領域に対する対物レンズ12の合焦位置F0でのZ座標が求まる。
例えば、図7において、変位信号VBが検出されたときには、対物レンズ12が合焦位置F0からのずれ量Z_Bずれた、後ピント位置に位置することを示している。この場合は、現在のZ座標の位置にZ_B加算したZ座標の位置が合焦位置となる。また、変位信号VAが検出されたときには、対物レンズ12が合焦位置F0からのずれ量Z_Aずれた、前ピント位置に位置することを示している。この場合は、現在のZ座標の位置にZ_A減算したZ座標の位置が合焦位置となる。
【0038】
次いで、自動合焦制御手段21は、垂直方向駆動制御部21bが、算出したZ座標の位置に載置手段11及び対物レンズ12が位置するように、後述する顕微鏡コントローラ30に信号を送る。そして、顕微鏡コントローラ30にZ方向駆動制御部17a2、ピエゾ素子駆動制御部17b2を作動させ、ステッピングモータ17a1、ピエゾ素子部17b1をZ軸に沿って所定方向に所定量移動させることによって、第一の撮像手段15の撮像位置に位置する観察体50における当該分割領域についての載置手段11及び対物レンズ12の合焦位置を調整する。
【0039】
なお、図1の例では、垂直方向駆動手段17は、対物レンズ12のみを垂直方向(Z方向)に駆動するように構成されているので、合焦演算部21aは、対物レンズ12のみの垂直方向(Z方向)の座標位置を算出し、垂直方向駆動制御部21bは、合焦演算部21aが算出した座標位置に対物レンズ12が位置するように垂直方向駆動手段17を作動させるように構成されている。
【0040】
合焦位置情報記録手段22は、自動合焦制御手段21を介して調整した合焦位置における載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の座標を記録する。
【0041】
搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23は、第一の撮像手段15が撮像する観察体における分割領域と第一の撮像手段15が撮像する時点において第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像する観察体50における分割領域との距離と、水平方向駆動手段14を介して駆動される載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度と、自動合焦制御手段21による合焦位置の調整時間とに応じて、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像された観察体50における分割領域を、水平方向駆動手段14を介した載置手段11の水平方向(XY方向)への移動により第一の撮像手段15の撮像位置に搬送するタイミングと、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像された当該分割領域の像の結像位置を自動合焦制御手段21を介して第一の撮像手段15の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように制御する。
【0042】
なお、自動合焦制御手段21による合焦位置の調整時間は、次のようにして求まる。
搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23は、自動合焦制御手段21が算出した載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の座標と、その直前に合焦位置情報記録手段22に記録された載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の座標との相対的な位置関係から、載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)への移動量を算出する。そして、算出した載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)への移動量を、垂直方向駆動手段17を介して駆動する載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の移動速度で除算する。
【0043】
ここで、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23による搬送・合焦位置調整のタイミング制御について、図4及び図8を用いて詳しく説明する。
図8は実施例1の顕微鏡システムにおける第一の撮像手段15が撮像する観察体における分割領域と第一の撮像手段15が撮像する時点において第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像する観察体における分割領域との距離を概念的に示す説明図である。
例えば、図4における垂直方向(Z方向)の座標が(x2,y1〜yk)である領域mn+1を第一の撮像手段15で撮像するとき、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23は、搬送・合焦位置調整のタイミングを次のように制御する。
図4(a)に示す時刻t1において、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bが撮像対象とする、水平方向(XY方向)の座標が(x1,y1〜yk)である領域mnに対し、自動合焦制御手段21が算出した載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の座標がz1であるとする。また、図4(b)に示す時刻t2において、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bが撮像対象とする、水平方向(XY方向)の座標が(x2,y1〜yk)である領域mn+1に対し、自動合焦制御手段21が算出した載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の座標がz2であるとする。
【0044】
即ち、時刻t2において垂直方向(Z方向)の座標が(x2,y1〜yk)である領域mn+1を第一の撮像手段15で撮像する場合における載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の合焦位置はz2であるが、その直前の時刻1において座標が(x1,y1〜yk)である領域mnを第一の撮像手段15で撮像する場合には、載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の合焦位置はz1に調整されている。そこで、時刻t2において合焦位置z2に調整するために必要な載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向への移動量は、z2−z1で求まる。
【0045】
ここで、図4(b)に示す第一の撮像手段15が撮像する、観察体50における分割領域(即ち、水平方向(XY方向)の座標が(x1,y1〜yk)である領域)mnと、第一の撮像手段15が撮像する時点において第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像する、観察体50における分割領域(即ち、水平方向(XY方向)の座標が(x2,y1〜yk)である領域)mn+1との距離(|x2−x1|)がD(mm)、水平方向駆動手段14を介して駆動される載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度がSh(mm/sec)、載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)への移動量z2−z1がD2(mm)、自動合焦調整手段21の合焦演算部21aによる載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)への移動量の演算時間をTv(sec)、垂直方向駆動手段17を介して駆動する載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の移動速度をSv(mm/sec)とする。
このとき、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23は、載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度Sh(mm/sec)と載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の移動速度Sv(mm/sec)の少なくとも一方を、次の条件式(1)を満足するように調整する。
(Tv(sec)+D2(mm)/Sv(mm/sec))≦D(mm)/Sh(mm/sec) …(1)
これにより、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像された観察体50における分割領域が、水平方向駆動手段14を介した載置手段11の水平方向(XY方向)への移動により第一の撮像手段15の撮像位置に搬送されるタイミングと、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像された観察体50における分割領域の像の結像位置を自動合焦制御手段21を介して第一の撮像手段15の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように、搬送・合焦位置の調整タイミングが制御される。
【0046】
なお、上記条件式(1)の左辺(Tv(sec)+D2(mm)/Sv(mm/sec))は、自動合焦調整手段21による第一の撮像手段15の撮像位置に位置する観察体50における分割領域に対する合焦位置の調整時間に相当する。ここで、この調整時間をTf(sec)とするとき、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23は、載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度Sh(mm/sec)と合焦位置の調整時間Tfの少なくとも一方を、次の条件式(2)を満足するように調整する。
Sh(mm/sec)×Tf(sec)≦D(mm) …(2)
【0047】
また、実施例1の顕微鏡システムは、さらに、第一の撮像手段15での露光量に応じて、水平方向駆動手段14を介して駆動する載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度を調整する水平方向移動速度調整手段24をホストシステム2に備えている。
適切な露光状態の画像を撮像するためには、撮像対象の明るさに応じて、露光時間を変える必要がある。水平方向移動速度調整手段24は、第一の撮像手段15での露光量を検出する。そして、第一の撮像手段15での露光量が少ないときに、載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度が遅くなり、第一の撮像手段15での露光量が多いときに、載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度が速くなるように、光量に応じたステッピングモータ14aの駆動速度を検出する。そして、検出した駆動速度を、顕微鏡コントローラ30を経由して、XY方向駆動制御手段14bに送信する。
【0048】
その他、図1の顕微鏡システムは、スライドローダー25、スライドローダー制御部26、マクロ撮像用CCDカメラ27、落射照明光学系28、透過照明光学系29、顕微鏡コントローラ30、画像記録部31、モニター32、操作部33を備えている。
スライドローダー25は、観察体50としてのスライドガラス標本を搬送して、載置手段11の載置面へセットする。
スライドローダー制御部26は、スライドローダー25の動作方向・速度を制御する。
マクロ撮像用CCDカメラ27は、載置手段11上のスライドガラス標本における標本面全体を撮像する。この標本面全体の画像は、観察体50における撮像対象領域50aを設定するために用いる。
落射照明光学系28は、例えば、落射照明用光源28aと、コレクタレンズ28bと、落射用フィルタユニット28cと、落射シャッタ28dと、落射視野絞り28eと、落射開口絞り28f、フィルタキューブ等に設けられたミラー面28gを備えている。
透過照明光学系29は、例えば、透過照明用光源29aと、コレクタレンズ29bと、透過用フィルタユニット29cと、透過視野絞り29dと、透過開口絞り29eと、コンデンサ光学素子ユニット29fと、トップレンズユニット29gを備えている。
【0049】
顕微鏡コントローラ30は、ホストシステム2、XY方向駆動制御手段14b、Z方向駆動制御部17a2、ピエゾ素子駆動制御部17b2、スライドローダー制御部26、さらには図示省略した顕微鏡本体1に備わる位置センサ等と接続しており、ホストシステム2からの命令信号を受けて、各駆動制御部に対し駆動制御の作動指示を行うとともに、顕微鏡本体1からの位置情報等をホストシステム2に送信するように構成されている。
画像記録部31は、画像処理手段16が作成した合成画像を記録する。
【0050】
ホストシステム2は、制御プログラムの実行によって顕微鏡システム全体の動作制御を司るCPU(中央演算装置)と、このCPUが必要に応じてワークメモリとして使用するメインメモリと、各種のプログラムやデータを記憶しておく例えばハードディスク装置などの補助記憶装置とを有する、ごく標準的な構成のコンピュータである。
モニター32は、ホストシステム2に接続され、この顕微鏡システムの各構成要素との間で各種データの授受を管理するインタフェースユニットを備えて構成されている。
操作部33は、ホストシステム2に接続され、マウスやキーボード等といったユーザからの各種の指示を取得するための入力部を備えて構成されている。
【0051】
次に、実施例1の顕微鏡システムの動作について、図9を用いて説明する。
図9は実施例1の顕微鏡システムにおける観察体の撮像処理手順を示すフローチャートである。
実施例1の撮像装置では、まず、スライドローダー25が搬送手段11へ観察体50を備えたスライドガラス標本を移動する(ステップS1)。次いで、水平方向駆動手段14が、搬送手段11に載置されたスライドガラス標本をマクロ画像撮像用CCDカメラ27の撮像位置へ搬送する(ステップS2)。次いで、マクロ画像撮像用CCDカメラ27が、スライドガラス標本における観察対象を含む領域50a全体のマクロ画像を撮像する(ステップS3)。次いで、実施例1の撮像装置は、ホストシステム2を介して、合焦位置情報記録手段22に、マクロ画像撮像時の合焦位置を初期値として記録させる(ステップS4)。次いで、実施例1の撮像装置は、ホストシステム2を介して、観察体50における撮像対象領域全域を設定する(ステップS5)。次いで、実施例1の撮像装置は、ホストシステム2を介して、撮像対象領域50aにおける分割撮像の開始領域mn(n:n=1)を設定する(ステップS6)。次いで、水平方向駆動手段14が、搬送手段11に載置されたスライドガラス標本における分割撮像の開始領域mnを第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bの撮像位置へ搬送する(ステップS7)。次いで、第二の撮像手段が、2つの撮像領域20a,20bで、領域mnを撮像する(ステップS8)。次いで、合焦演算部21aが、撮像された領域mnについての合焦座標を演算する(ステップS9)。
ここまでのステップS1〜S9は、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23による搬送・合焦位置の調整タイミング制御が作動する前段階のステップである。搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23による搬送・合焦位置の調整タイミング制御は、以下の各ステップにおいて作動する。
【0052】
水平方向駆動手段14が、領域mnを第一の撮像手段15の撮像位置に搬送する。このとき、次の領域mn+1が、第二の撮像手段の2つの撮像領域20a,20bの撮像位置に搬送される(ステップS10)。
次いで、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bが領域mn+1を撮像し(ステップS11)、合焦演算部21aが、撮像された領域mn+1についての合焦座標を演算する(ステップS12)。
また、ステップS10〜S12に並行して、垂直方向駆動制御部21bが、合焦演算部21aが演算した領域mnについての合焦座標の位置に、合焦位置を調整する(ステップS13)。
次いで、第一の撮像手段15が、領域mnを撮像する(ステップS14)。
次いで、合焦位置情報記録手段22が、垂直方向駆動制御部21bにより調整された領域mnについての合焦位置を記録する(ステップS15)。
これらステップS10〜S15の処理を撮像対象領域全域が終了するまで繰り返す(ステップS16,S17)。
【0053】
ここで、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23は、上述したステップS10〜S12の処理とステップS13の処理との処理のタイミングを次のように制御する。
即ち、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23は、例えば、自動合焦制御手段21が算出した分割領域mn+1についての載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の座標と、その直前に合焦位置情報記録手段22に記録された分割領域mnについての載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の座標との相対的な位置関係から、載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)への移動量を算出する。そして、算出した載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)への移動量と、垂直方向駆動手段17を介して駆動する載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向(Z方向)の移動速度とから、自動合焦制御手段21による合焦位置の調整時間を求める。そして、第一の撮像手段15が撮像する観察体における分割領域mnと第一の撮像手段15が撮像する時点において第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像する観察体50における分割領域mn+1との距離と、水平方向駆動手段14を介して駆動される載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度と、自動合焦制御手段21による合焦位置の調整時間とに応じて、第二の撮像手段の2つの撮像領域20a,20bで撮像された観察体50における分割領域mnが、水平方向駆動手段14を介した載置手段11の水平方向(XY方向)への移動により第一の撮像手段15の撮像位置に搬送されるタイミングと、第二の撮像手段の2つの撮像領域20a,20bで撮像された当該分割領域mnの像の結像位置が自動合焦制御手段21を介して第一の撮像手段15の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するようにして、搬送・合焦位置の調整タイミングを制御する。
【0054】
なお、第一の撮像手段15が撮像した夫々の分割領域の画像は、画像処理手段16が隣り合う座標の領域同士を合成する。これによって、観察体の拡大した合成画像が作成される。
また、画像記録部31は、画像処理手段16が作成した合成画像を記録する。
【0055】
実施例1の顕微鏡システムによれば、合成画像を作成するための撮像対象となる領域を分割して撮像する第一の撮像手段15が撮像する時点において、第一の撮像手段15が撮像する分割領域よりも水平方向駆動手段14が駆動する水平方向に対して手前に位置する分割領域の像を撮像することができるように、載置手段光路分岐手段18、光路差光学系19、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bを備えたので、第一の撮像手段15の撮像位置に当該分割領域が水平方向駆動手段14を介して搬送されるよりも前の時刻において、合焦位置を検出するために当該分割領域を撮像することができる。
このため、第一の撮像手段15の撮像位置に当該分割領域を搬送するタイミングと、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像した画像情報を用いて合焦位置を算出し、合焦位置を調整するタイミングとが略一致するように制御することが可能となり、第一の撮像手段15の撮像位置に当該分割領域を搬送した後、第一の撮像手段15が撮像するまでの間における、合焦位置の調整のための時間をカットして、撮像処理時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0056】
また、実施例1の顕微鏡システムによれば、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像することによって、自動合焦制御手段21を介して合焦位置が調整された分割領域を第一の撮像手段15が撮像するので、合焦精度の高い画像が得られる。
【0057】
また、実施例1の顕微鏡システムによれば、自動合焦制御手段21が、第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像した観察体50における同一の分割領域の画像を用いて、当該分割領域における観察体の画像の合焦度を検出し、検出した合焦度に応じて、観察体50における当該分割領域の像の結像位置を第一の撮像手段15の撮像面に位置させるために必要な載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向の相対位置(合焦位置)を算出し、算出した相対位置に載置手段11及び対物レンズ12が位置するように垂直方向駆動手段17を作動させて、第一の撮像手段15の撮像位置に位置する観察体における当該分領域についての載置手段11及び対物レンズ12の合焦位置を調整するとともに、合焦位置情報記録手段22が、自動合焦制御手段21を介して調整した合焦位置における載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向の座標を記録し、さらに、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23が、自動合焦制御手段21が算出した載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向の座標と、その直前に合焦位置情報記録手段22に記録された載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向の座標との相対的な位置関係から載置手段11及び対物レンズ12の垂直方向への移動量を算出することによって、自動合焦制御手段21による当該分割領域の像の結像位置が第一の撮像手段15の撮像面に位置するようにしたので、当該分割領域に対しては、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bによる合焦位置の検出のための撮像、自動合焦制御手段21による垂直方向駆動手段17を介して駆動する載置手段11及び対物レンズ12の合焦位置への垂直方向(Z方向)の移動が1回で済み、合焦位置の調整のために要する処理を効率化することができる。
【0058】
しかも、実施例1の顕微鏡システムによれば、搬送・合焦位置調整タイミング制御手段23が、第一の撮像手段15が撮像する観察体50における分割領域と第一の撮像手段15が撮像する時点において第二の撮像手段20が2つの撮像領域20a,20bで撮像する観察体50における分割領域との距離と、水平方向駆動手段14を介して駆動される載置手段11の水平方向(XY方向)への移動速度と、自動合焦制御手段21による合焦位置の調整時間とに応じて、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像された観察体50における分割領域を水平方向駆動手段14を介して第一の撮像手段15の撮像位置に搬送するタイミングと、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bで撮像された観察体50における分割領域の像の結像位置を自動合焦制御手段21を介して第一の撮像手段15の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように制御するので、第一の撮像手段15の撮像位置に当該分割領域を搬送した後、第一の撮像手段15が撮像するまでの間において、合焦位置の調整のための時間をカットでき、撮像処理時間を大幅に短縮することができる。
【0059】
このように、実施例1の顕微鏡システムによれば、合焦精度を向上させ、且つ、観察体の画像の取得処理の速度を向上させることができる。
【0060】
なお、実施例1の顕微鏡システムでは、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bが撮像対象とする観察体50における分割領域が、第一の撮像手段15が撮像する時点において第一の撮像手段15が撮像対象とする観察体50における分割領域よりも水平方向駆動手段14が駆動する水平方向に対して手前に位置するように、光学面18aを、結像光学系13と第一の撮像手段15との間の光軸に対し45°からα°ずれた角度で傾斜させているが、例えば、図10に示すように、光学面18aを、結像光学系13と第一の撮像手段15との間の光軸に対し45°の角度で傾斜させるとともに、第二の撮像手段20の2つの撮像領域20a,20bを、第一の撮像手段15が撮像する時点において第一の撮像手段15が撮像する観察体50の像における分割領域よりも水平方向駆動手段14が駆動する水平方向に対して手前に位置する分割領域の像を、夫々撮像するように、第三の光路W3及び第四の光路W4の夫々の中心軸からずれた位置に夫々配置してもよい。
このようにしても、図1の例と同様、第一の撮像手段15の撮像位置に当該分割領域が水平方向駆動手段14を介して搬送されるよりも前の時刻において、合焦位置を検出するために当該分割領域を撮像することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の顕微鏡システムは、バーチャルスライドを用いて病理診断を行う医療、医学の分野に有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 顕微鏡本体
1a ステージ
2 ホストシステム
11 載置手段
12 対物レンズ
13 結像光学系
14 水平方向駆動手段
14a ステッピングモータ
14b XY方向駆動制御手段
15 第一の撮像手段
16 画像処理手段
17 垂直方向駆動手段
17a 垂直方向粗動手段
17a1 ステッピングモータ
17a2 Z方向駆動制御部
17b 垂直方向微動手段
17b1 ピエゾ素子部
17b2 ピエゾ素子駆動制御部
18 光路分岐手段
18a 光学面
19 光路差光学系
19a ハーフミラー
19b ミラー
20 第二の撮像手段
20a,20b 撮像領域
21 自動合焦制御手段
21a 合焦演算部
21b 垂直方向駆動制御部
22 合焦位置情報記録手段
23 搬送・合焦位置調整タイミング制御手段
24 水平方向移動速度調整手段
25 スライドローダー
26 スライドローダー制御部
27 マクロ撮像用CCDカメラ
28 落射照明光学系
29 透過照明光学系
30 顕微鏡コントローラ
31 画像記録部
32 モニター
33 操作部
50 観察体
50a 撮像対象領域
50b 観察対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察体を載置する載置手段と、前記載置手段に載置された観察体と対峙する対物レンズと、前記対物レンズを経由した観察体からの光を観察体の像として結像する結像光学系と、観察体の像が分割領域ごとに撮像位置に位置するように、前記載置手段を水平方向に駆動する水平方向駆動手段と、撮像位置に位置する観察体における分割領域の像を撮像する第一の撮像手段と、前記第一の撮像手段により撮像された複数の画像を合成して観察体の拡大画像を作成する画像処理手段とを有するバーチャル顕微鏡システムであって、
前記載置手段と前記対物レンズのうちの少なくとも一方を垂直方向に駆動する垂直方向駆動手段と、
前記結像光学系を経由した光を、前記第一の撮像手段に向かう第一の光路と、該第一の撮像手段とは異なる方向に向かう第二の光路とに分岐する光路分岐手段と、
前記第二の光路を経由した所定の位置に配置され、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像する分割領域よりも前記水平方向駆動手段による駆動方向の手前に位置する分割領域の像を、撮像する第二の撮像手段と、
前記第二の撮像手段が撮像した観察体における分割領域の画像を用いて、当該分割領域における観察体の画像の合焦度を検出し、検出した合焦度に応じて、観察体における当該分割領域の像の結像位置を前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるために必要な前記載置手段前記対物レンズの垂直方向の相対位置を算出するとともに、該算出した相対位置に該載置手段及び該対物レンズが位置するように垂直方向駆動手段を作動させて、当該分割領域についての該載置手段及び該対物レンズの合焦位置を調整する自動合焦制御手段と、
前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が撮像する観察体における分割領域との距離と、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度とに応じて、前記第二の撮像手段で撮像された観察体における分割領域を前記水平方向駆動手段を介して前記第一の撮像手段の撮像位置に搬送るタイミング前記第二の撮像手段で撮像された観察体における分割領域の像の結像位置を前記自動合焦制御手段を介して前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように制御する搬送・合焦位置調整タイミング制御手段とを備えることを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項2】
観察体を載置する載置手段と、前記載置手段に載置された観察体と対峙する対物レンズと、前記対物レンズを経由した観察体からの光を観察体の像として結像する結像光学系と、観察体の像が分割領域ごとに撮像位置に位置するように、前記載置手段を水平方向に駆動する水平方向駆動手段と、撮像位置に位置する観察体における分割領域の像を撮像する第一の撮像手段と、前記第一の撮像手段により撮像された複数の画像を合成して観察体の拡大画像を作成する画像処理手段を有するバーチャル顕微鏡システムであって、
前記載置手段と前記対物レンズのうちの少なくとも一方を垂直方向に駆動する垂直方向駆動手段と、
前記結像光学系を経由した光を、前記第一の撮像手段に向かう第一の光路と、該第一の撮像手段とは異なる方向に向かう第二の光路とに分岐する光路分岐手段と、
前記第二の光路を第三の光路と第四の光路に分岐するとともに、前記結像光学系の結像点が前記第一の撮像手段の撮像面に位置するときに、該結像光学系の結像点に共役な2つの結像点が、該第三の光路と該第四の光路とに垂直に交差する所定の位置から等距離離れた前方位置及び後方位置に夫々位置するように、該第三の光路と該第四の光路とに光路長差をつけた光路差光学系と、
前記第三の光路と前記第四の光路とに跨って垂直に交差する所定の位置に夫々配置され、該第三の光路と該第四の光路を夫々経由した、観察体における同一の分割領域であって、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像する分割領域よりも前記水平方向駆動手段が駆動する水平方向に対して手前に位置する分割領域の像を、夫々撮像する2つの撮像領域を有する第二の撮像手段と、
前記第二の撮像手段が2つの撮像領域で撮像した観察体における同一の分割領域の画像を用いて、当該分割領域における観察体の画像の合焦度を検出し、検出した合焦度に応じて、観察体における当該分割領域の像の結像位置を前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるために必要な前記載置手段前記対物レンズの垂直方向の相対位置を算出するとともに、該算出した相対位置に該載置手段及び該対物レンズが位置するように垂直方向駆動手段を作動させて、前記第一の撮像手段の撮像位置に位置する観察体における当該分割領域についての該載置手段及び該対物レンズの合焦位置を調整する自動合焦制御手段と、
前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が2つの撮像領域で撮像する観察体における分割領域との距離と、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度と、前記自動合焦制御手段による合焦位置の調整時間とに応じて、前記第二の撮像手段の2つの撮像領域で撮像された観察体における分割領域を前記水平方向駆動手段を介して前記第一の撮像手段の撮像位置に搬送するタイミングと、前記第二の撮像手段の2つの撮像領域で撮像された観察体における分割領域の像の結像位置を前記自動合焦制御手段を介して前記第一の撮像手段の撮像面に位置させるタイミングとが略一致するように制御する搬送・合焦位置調整タイミング制御手段とを備えることを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項3】
前記光路分岐手段は、入射光を透過光と反射光とに分ける光学面を有し、
前記第二の撮像手段が撮像対象とする観察体における分割領域が、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像対象とする観察体における分割領域よりも前記水平方向駆動手段が駆動する水平方向に対して手前に位置するように、前記光学面が傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記第二の撮像手段の2つの撮像領域は、前記第一の撮像手段が撮像する時点において該第一の撮像手段が撮像する観察体の像における分割領域よりも前記水平方向駆動手段が駆動する水平方向に対して手前に位置する分割領域の像を、夫々撮像するように、前記第三の光路及び前記第四の光路の夫々の中心軸からずれた位置に夫々配置されていることを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が撮像する観察体における分割領域との距離をD(mm)、前記自動合焦制御手段による前記第一の撮像手段の撮像位置に位置する観察体における分割領域に対する合焦位置の調整時間をTf(sec)、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度をSh(mm/sec)としたとき、次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡システム。
Sh(mm/sec)×Tf(sec)≦D(mm)
【請求項6】
前記自動合焦調整手段による前記載置手段及び前記対物レンズの垂直方向への移動量の演算時間をTv(sec)、該自動合焦調整手段により調整した前記垂直方向駆動手段を介して駆動する前記載置手段及び前記対物レンズの垂直方向の移動速度をSv(mm/sec)、前記水平方向駆動手段を介して駆動される前記載置手段の水平方向への移動速度をSh(mm/sec)、前記第一の撮像手段が撮像する観察体における分割領域と該第一の撮像手段が撮像する時点において前記第二の撮像手段が撮像する観察体における分割領域との距離をD(mm)、前記載置手段及び前記対物レンズの垂直方向への移動量D2(mm)としたとき、次の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡システム。
(Tv(sec)+D2(mm)/Sv(mm/sec))≦D(mm)/Sh(mm/sec)
【請求項7】
さらに、前記第一の撮像手段での露光量に応じて、前記水平方向駆動手段を介して駆動する前記載置手段の水平方向への移動速度を調整する水平方向移動速度調整手段を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項8】
前記第一の撮像手段が、ラインセンサカメラであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項9】
前記第一の撮像手段が、TDIカメラであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項10】
前記垂直方向駆動手段が、ピエゾ素子であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−81211(P2011−81211A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233775(P2009−233775)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】