説明

風力発電装置

【課題】本発明の目的は、強風の場合でも損傷するおそれがなく、定格回転数の範囲内でドラム型風車を回転させて発電を継続して行うことが可能な風力発電装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の風力発電装置1は、ガイド部2の隣接するガイド板23の間の開口部24に移動可能に設けられた風力調整板6と、外部の風Wの大きさに応じてドラム型風車3の回転を制動するように構成されたブレーキ機構7とを備えている。風力調整板6は、外部の風Wを風受け部分62で受けて移動し、開口部24の開口面積を変化させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風力発電装置は、大きく長い回転翼を風力エネルギーで回転させる方式を採用しているものが主流であった(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、回転翼(プロペラ)がタワーの先端に設けられており、装置全体の重心位置が高くなっている。したがって、突風などの強風を受けた場合、タワーの根元部分が折れて、風力発電装置が倒れるおそれがある。また、特許文献1の風力発電装置は、回転翼の回転等によって低周波音が生じ、近隣に住む住民への健康に影響をもたらすことが問題となっている。
【0004】
このような問題に対処するために、ドラム型風車を採用した小型の風力発電装置が提案されている(特許文献2)。
特許文献2の風力発電装置は、円筒形状のガイド部と、このガイド部の内側に設置されたドラム型風車とを備えている。この風力発電装置では、ガイド部によって導かれた外部の風でドラム型風車を回転させ、ドラム型風車の回転によって発電装置が駆動するようになっている。特許文献2の風力発電装置は、ドラム型風車が低い位置に設置されて重心が低くなっているため、突風等の強風によって倒れることもない。また、ドラム型風車を用いた小型の風力発電装置では、低周波音が生じないという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−295361号公報
【特許文献2】特開2007−64207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の風力発電装置は、強風の際に装置全体が倒れることはないが、強風によってドラム型風車が定格回転数以上に回転する可能性がある。この際、設計値を上回る過重がドラム型風車の回動軸などにかかり、風力発電装置が損傷するおそれがある。したがって、従来では風速が毎秒20mになった時点で、風力発電装置の運転を停止させていた。しかしながら、風速が毎秒20m以上になるたびに風力発電装置の運転を停止させると、発電処理が途切れることになり、継続して電力を供給することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、強風の場合でも損傷するおそれがなく、定格回転数の範囲内でドラム型風車を回転させて発電を継続して行うことが可能な風力発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明によれば、複数のガイド板を円周上に配置したガイド部と、該ガイド部の内側に配置され、複数の回転翼が取付けられたドラム型風車と、該ドラム型風車の回動軸に連結された発電装置とを備え、前記ガイド部によって導かれた外部の風で前記ドラム型風車を回転させ、前記ドラム型風車の回転によって前記発電装置を駆動する風力発電装置において、風受け部分を有し、前記ガイド部の隣接するガイド板の間の開口部に移動可能に設けられた風力調整板であって、前記外部の風を前記風受け部分で受けて移動し、前記開口部の開口面積を変化させるように構成された風量調節板と、前記外部の風の大きさに応じて前記ドラム型風車の回転を制動するように構成されたブレーキ機構とを備えている風力発電装置が提供される。
【0009】
また、本発明の別の実施態様によれば、前記ドラム型風車の回転をロックするロック機構を備え、前記外部の風の大きさが所定の大きさ以上になったときに、前記ロック機構が前記ドラム型風車の前記回動軸を制動するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る風力発電装置によれば、複数のガイド板を円周上に配置したガイド部と、該ガイド部の内側に配置され、複数の回転翼が取付けられたドラム型風車と、該ドラム型風車の回動軸に連結された発電装置とを備え、前記ガイド部によって導かれた外部の風で前記ドラム型風車を回転させ、前記ドラム型風車の回転によって前記発電装置を駆動する風力発電装置において、風受け部分を有し、前記ガイド部の隣接するガイド板の間の開口部に移動可能に設けられた風力調整板であって、前記外部の風を前記風受け部分で受けて移動し、前記開口部の開口面積を変化させるように構成された風量調節板と、前記外部の風の大きさに応じて前記ドラム型風車の回転を制動するように構成されたブレーキ機構とを備えているので、強風の際に開口部から入る風の風量を小さくしつつ、ブレーキ機構によってドラム型風車の回転を制動することができる。これにより、強風の際でもドラム型風車を定格回転数の範囲内で回転させることができるので、風力発電装置の運転を停止する必要がなく、継続して発電を行うことができる。
また、強風の際でもドラム型風車を定格回転数の範囲内で回転させることができるので、風力発電装置が損傷することもない。
【0011】
また、本発明に係る風力発電装置によれば、前記ドラム型風車の回転をロックするロック機構を備え、前記外部の風の大きさが所定の大きさ以上になったときに、前記ロック機構が前記ドラム型風車の前記回動軸を制動するように構成されている。
極めて強い風(例えば、風速毎秒30m以上)の場合は、設計値を上回る過重がドラム型風車の回動軸などにかかり、風力発電装置が損傷するおそれがあるが、本発明によれば、そのような場合はドラム型風車の回転をロックして、風力発電装置の損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る風力発電装置の側方断面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る風力発電装置の風量調節板の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る風力発電装置のロック機構及び回動軸のロック受け部を示した図であり、(a)はロック機構の側方図と下方から見た平面図であり、(b)はロック受け部の側方図と上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る風力発電装置を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る風力発電装置を示した図である。図1(a)は、実施形態に係る風力発電装置の側方断面図であり、図1(b)は(a)におけるA−A線断面図である。また、図2は、実施形態に係る風力発電装置の風量調節板の斜視図である。
【0015】
図1(a)に示すように、風力発電装置1は、風を内部に案内するガイド部2と、ガイド部2により案内された風を受けて回転するドラム型風車3と、ドラム型風車3に連結された発電装置4と、風力発電装置1の上部に設けられた屋根部5とを備えている。例えば、風力発電装置1の大きさとしては、直径(外径)が10センチメートルから8メートルまでのものがある。
【0016】
図1(a)に示すように、ガイド部2は、上下一対の上側支持板21及び下側支持板22を備えており、上側支持板21及び下側支持板22は略円形形状になっている。上側支持板21と下側支持板22との間には、断面R形状の複数のガイド板23が配置されている。図1(b)に示すように、複数のガイド板23は、上側支持板21及び下側支持板22の円周に沿って等間隔で且つ放射状に配列されている。ここで、隣設するガイド板23の間には、外部の風Wが流入する開口部24が設けられている。
【0017】
ガイド板23の材料としては、直径数十センチメートル〜数メートルの風力発電装置1を構成する場合には、ステンレールやアルミなどが用いられる。また、直径数十センチメートル未満の風力発電装置1を構成する場合には、ガイド板23の材料として、アルミやプラスチックなどが用いられる。
【0018】
また、ガイド板23の枚数としては、風力発電装置1の直径に応じて20〜30枚となる。具体的には、風力発電装置1の直径が5メートルの場合には、ガイド板23は、30枚程度が適当である。
【0019】
図1(a)に示すように、ドラム型風車3は、上下一対の上側支持プレート31及び下側支持プレート32を備えている。上側支持プレート31と下側支持プレート32との間には、上下に延びる回動軸33が設けられており、回動軸33は、上側支持プレート31及び下側支持プレート32上に配置された軸受け34a,34bにより回転可能に取付けられている。また、ドラム型風車3の回動軸33は、発電装置4の回動軸41に連結されている。
【0020】
図1(b)に示すように、上側支持プレート31と下側支持プレート32との間には、複数の第1の回転翼35Aと、複数の第2の回転翼35Bとが配置されている。第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bは、R形状の断面を有し、且つ、回動軸33に対して放射状に配置されている。このように、第1の回転翼35A及び第2の回転翼35BをR形状の断面にすることにより、外部の風Wが流入した際のドラム型風車3に対する抵抗を小さくしつつ、ドラム型風車3を効率的に回転させることができる。
なお、第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bの2種類の回転翼を用いる構成は、直径が1メートルから8メートルの風力発電装置1に適している。
【0021】
また、図1(a)及び(b)に示すように、ドラム型風車3の中心部には、上下方向に風を導出する導出路36が設けられている。導出路36は、回動軸33に沿って略円筒形の空間として構成されている。また、図1(a)に示すように、下側支持プレート32の下部には、ドラム型風車3が傾くのを抑制しつつ、回転を容易にするための車輪37が複数設けられている。
【0022】
第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bの材料としては、直径数十センチメートル〜数メートルの風力発電装置1を構成する場合には、ステンレールやアルミなどが用いられる。直径数十センチメートル未満の風力発電装置1を構成する場合には、第1の回転翼35A及び第2の
回転翼35Bの材料として、アルミやプラスチックなどが用いられる。
【0023】
また、第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bの枚数としては、両者を併せて、風力発電装置1の直径に応じて8〜20枚となる。具体的には、風力発電装置1の直径が5メートルの場合には、第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bの枚数は両者併せて20枚程度が適当である。
【0024】
図1(a)に示すように、発電装置4は、下側支持板22の下方に設けられており、板部材42上に固定されている。この板部材42には、風力発電装置1全体の発電制御を行うための制御ユニット43が設けられている。制御ユニット43は、電圧変換を行うためのトランスや、各種制御を行うマイクロコンピュータとして構成されたコントローラを備えている。
【0025】
本実施形態の特徴として、図1(b)に示すように、ガイド部2の開口部24の各々には、開口部24に移動可能な風量調節板6が設けられている。図2に示すように、風量調節板6は、断面R形状を有する板状部分61と、板状部分61の側端部61aから外側に向かって突出する風受け部分62とを備えている。
【0026】
図2に示すように、風量調節板6の板状部分61の下部には、複数の移動用車輪63が取付けられている。また、図1(b)及び図2に示すように、ガイド部2の下側支持板22上には、移動用車輪63が走行するためのレール25が設けられており、レール25は、開口部24に向かって角度αで傾斜している。ここで、角度αの大きさは、風量調節板6全体の重さや風受け部分62の長さなどに応じて15〜30度に設定される。また、レール25は、溝(図示せず)を有しており、風量調節板6の移動用車輪63は、溝に案内されて走行するようになっている。なお、別の例として、レール25を凸状に形成し、風量調節板6の移動用車輪63側に溝を形成するようにしてもよい。
【0027】
図2に示す風量調節板6の板状部分61のR形状は、ガイド部2の上側及び下側支持板21,22の円周に沿った形状となっており、板状部分61の幅方向の長さlは、開口部24を完全に閉鎖できるように、開口部24の幅方向の長さとほぼ一致するように設定されている。また、風量調節板6が停止した状態で風量調節板6の板状部分61が開口部24側に突き出ないように、板状部分61の幅方向の長さlは、ガイド板23の厚さとほぼ一致させるか、ガイド板23の厚さより小さくなっているのが好ましい。また、風受け部分62の長さlは、風量調節板6全体の重さやレール25の傾斜などに応じて3〜5cmに設定される。
【0028】
また、ガイド部2のガイド板23の位置(レール25の傾斜面の下側位置)には、風量調節板6を格納する戸袋64(図2の2点鎖線参照)が設けられている。戸袋64には、風量調節板6の板状部分61のみが格納され、風量調節板6の風受け部分62は、戸袋64の外側に位置するようになっている。例えば、外部の風Wの風速が小さく風量調節板6がレール25上を移動しない場合において、風量調節板6全体が外部の風Wによってがたつかず、がたつきによる騒音の発生を防ぐことができる。
【0029】
次に、風量調節板6が風受け部分62で外部の風Wを受けた際の動作を詳しく説明する。
風量調節板6は、風速が毎秒15m未満の場合にはレール25上を走行せず、図1(b)に示すように、ガイド部2のガイド板23の位置に停止したままになっている。
風量調節板6は、風速が毎秒15m以上30m未満の場合には、レール25に沿って開口部24に向かって移動し(図2の矢印方向)、開口部24の開口面積を小さくするようになっている。ここで、風速が毎秒20mの場合に、風量調節板6が開口部24の開口面積の半分程度を閉鎖するように設定するのが好ましい。なお、風が毎秒15m未満にまで小さくなった場合には、風量調節板6は、レール25の傾斜によってガイド部2のガイド板23の位置まで戻ることになる。
また、風量調節板6は、風速が毎秒30m以上になった場合には、レール25の一番高い位置まで移動し、開口部24を完全に閉鎖するようになっている。
【0030】
また、図1(a)に示すように、ガイド部2には、上側支持板21の近傍の位置にドラム型風車3の回転を制動する第1のブレーキ手段7Aが設けられるとともに、下側支持板22の近傍の位置にドラム型風車3の回転を制動する第2のブレーキ手段7Bが設けられている。
第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bは、ガイド部2の内周面に沿って複数個所に設けられている。例えば、第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bは、風力発電装置1の直径が10センチメートルから1メートルの場合にはガイド部2の内周面に沿って2箇所に設けられ、風力発電装置1の直径が1メートルから8メートルの場合にはガイド部2の内周面に沿って4箇所に設けられる。
【0031】
一方、図1(a)に示すように、ドラム型風車3の上側支持プレート31には、ベルト状の第1の受け部材38Aが上側支持プレート31の外周に沿って設けられており、ドラム型風車3の下側支持プレート32には、ベルト状の第2の受け部材38Bが下側支持プレート32の外周に沿って設けられている。第1のブレーキ手段7Aは、第1の受け部材38Aに対応する位置に配置されており、第2のブレーキ手段7Bは、第2の受け部材38Bに対応する位置に配置されている。
第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bは、ドラム型風車3の第1及び第2の受け部材38A,38Bを把持する油圧式のブレーキ装置で構成されており、これにより、風力発電装置1の回転を制動するようになっている。
【0032】
図1(a)に示すように、第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bは、制御ユニット43に電気的に接続されており、制御ユニット43の制御によって作動するようになっている。本実施形態では、風力発電装置1の外部に風速計8が設置されており、風速計8で計測された値が制御ユニット43に入力されるようになっている。
【0033】
制御ユニット43は、風速計8が毎秒20m以上の風速を計測した場合に第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bを作動させて、これにより、ドラム型風車3の回転が制動されるようになっている。ここで、第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bは、風速計8の計測した風速に応じてブレーキの強さを変化させるように制御され、これにより、ドラム型風車3が定格回転数の範囲内で回転するようになっている。
【0034】
また、図1(a)に示すように、ガイド部2の上側支持板21の上側には、ドラム型風車3の回動軸33の回転をロックするロック機構9が設けられている。図3(a)に示すように、ロック機構9は、円板部材91と、円板部材91の下側に取付けられた十字状の棒部材92とを備えている。円板部材91及び棒部材92は、鉄で形成されている。
【0035】
また、図1(a)に示すように、回動軸33の上端部には、ロック機構9と対向する位置にロック受け部33aが設けられている。図3(b)に示すように、ロック受け部33aは、円板形状で形成されており、ロック受け部33aには、上方に突出した4つの突出部33bが、ロック受け部33aの円周に沿って等間隔で設けられている。ここで、ロック機構9の棒部材92の長さlは、ロック受け部33aの突出部33bの間の長さlよりも長くなるよう設定されている。ドラム型風車3の回動軸33の回転をロックする場合、ロック機構9の十字状の棒部材92が、ロック受け部33aの突出部33bの間に入り込み、これにより、回動軸33が回転しないようにロックされる。
【0036】
図1(a)に示すように、ロック機構9は、制御ユニット43に電気的に接続されており、制御ユニット43の制御によって作動するようになっている。制御ユニット43は、風速計8が毎秒30m以上の風速を計測した場合に、まず、第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bのブレーキの強さを大きくして、ドラム型風車3の回転を停止させる。ドラム型風車3の回転が停止した後に、制御ユニット43は、ロック機構9を作動させる。この際、ロック機構9が下方に向かって移動し、十字状の棒部材92がロック受け部33aの突出部33bの間に入り込む。これにより、回動軸33が回転しないようにロックされる。なお、制御ユニット43は、風速計8が毎秒30m未満の風速を計測した場合には、ロック機構9の解除動作(すなわち、ロック機構9を上方に移動させる)を行う。これにより、ドラム型風車3が再び回転するようになる。
【0037】
次に、本実施形態に係る風力発電装置1の全体の動作を、図面を参照しながら説明する
【0038】
図1(a)及び(b)に示すように、風力発電装置1の直径方向から吹き付ける風Wは、開口部24から入って、ガイド部2のガイド板23によって内部に向かって案内される。そして、ガイド部2によって導かれた風Wは、ドラム型風車3の第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bに吹き付けて、これにより、ドラム型風車3が一定方向(図1(a)の時計回り方向CW)に回転する。なお、第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bに吹き付けられた風Wは、ドラム型風車3の中心部の導出路36を介して上下方向に導出される。
【0039】
ここで、ドラム型風車3が回転すると、ドラム型風車3の回動軸33に連結された発電装置4の回動軸41が回転し、発電装置4により発電が行われることとなる。このとき、制御ユニット43の図示しないトランスにより電圧変換がなされ、波形整形あるいは整流が行われる。発電装置4によって発電された電力は、図示しない蓄電池に蓄電されるか、あるいは、図示しない電流経路を介して図示しない負荷に供給されることになる。
【0040】
本実施形態に係る風力発電装置1は、風受け部分62を有する風力調整板6であって、外部の風Wを風受け部分62で受けて開口部24に向かって移動し、開口部24の開口面積を変化させるように構成された風量調節板6と、外部の風Wの大きさに応じてドラム型風車3の回転を制動するように構成された第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bとを備えている。
従来では、風速が毎秒20m以上になった場合は、風力発電装置が損傷するおそれがあるため、風力発電装置の運転を停止させていた。
本実施形態では、風速が毎秒15m以上の風の場合、風量調節板6がレール25に沿って開口部24に向かって移動し、開口部24の開口面積が小さくなる。加えて、制御ユニット43は、風速計8が毎秒20m以上の風速を計測した場合に第1及び第2のブレーキ手段7A,7Bを作動させ、ドラム型風車3の回転が制動されるようになっている。これにより、風速が毎秒20m以上になった場合でもドラム型風車3を定格回転数の範囲内で回転させることができるので、風力発電装置1の運転を停止する必要がなく、継続して発電を行うことができる。
また、風速が毎秒20m以上になった場合でも、ドラム型風車3を定格回転数の範囲内で回転させることができるので、風力発電装置1が損傷することもない。
【0041】
また、本実施形態によれば、風速が毎秒30m以上になった場合には、風量調節板6が、レール25の一番高い位置まで移動し、開口部24が完全に閉鎖されるようになっている。加えて、風力発電装置1は、ドラム型風車3の回転をロックするロック機構9を備え、外部の風Wの風速が毎秒30m以上になったときに、ロック機構9がドラム型風車3の回動軸33を制動するように構成されている。
風速が毎秒30m以上という極めて強い風の場合においては、設計値を上回る過重がドラム型風車3の回動軸33などにかかり、風力発電装置1が損傷するおそれがあるが、本実施形態によれば、開口部24を閉鎖しつつドラム型風車3の回動軸33をロックして、風力発電装置1の損傷を防ぐことができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0043】
上述した実施形態では、第1の回転翼35A及び第2の回転翼35Bの2種類の回転翼を用いているが、この構成に限定されない。例えば、風力発電装置1の直径が10センチメートルから1メートルの場合では、ドラム型風車3を、長さが同一の1種類の回転翼のみで構成してもよい。
【0044】
上述した実施形態では、ガイド部2の開口部24の全てに風量調節板6を設けているが、この構成に限定されない。例えば、風力発電装置1の直径が10センチメートルから1メートルの場合では、直径が大きいものに比べて、風力発電装置1に流入する風の量が少なくなるので、風量調節板6の数を減らしてもよい。このような場合、風量調節板6を開口部24に対して1つおきに配置してもよい。これにより、風力発電装置1の製造コストを抑えることができる。
【0045】
上述した実施形態では、2つのブレーキ手段7A,7Bによってドラム型風車3の外周にある受け部材38A,38Bを把持する構成となっているが、この構成に限定されない。例えば、風力発電装置1の直径が10センチメートルから1メートルの場合では、直径が大きいものに比べて、ドラム型風車3の回転を制動するための制動力が小さくて済むため、回動軸33を直接把持してドラム型風車3の回転を制動してもよい。例えば、ガイド部2の上側支持板21の上側に回動軸33を把持する油圧式のブレーキ装置を配置して、ドラム型風車3の回転を制動してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、十字状の棒部材92がロック受け部33aの突出部33bの間に入り込むことによってドラム型風車3の回動軸33の回転がロックされるが、この構成に限定されない。例えば、風力発電装置1の直径が10センチメートルから1メートルの場合では、ロック機構9をシャフトで構成し、ドラム型風車3の回動軸33にシャフトが嵌合する穴を形成するようにしてもよい。この構成によれば、シャフトがドラム型風車3の回動軸33に向かって延び、回動軸33の穴に嵌合することによって回動軸33の回転がロックされる。
【符号の説明】
【0047】
1 風力発電装置
2 ガイド部
3 ドラム型風車
4 発電装置
5 屋根部
6 風量調節板
7A,7B ブレーキ手段
8 風速計
9 ロック機構
21,22 支持板
23 ガイド板
24 開口部
31,32 支持プレート
33 ドラム型風車の回動軸
33a 回動軸のロック受け部
33b ロック受け部の突出部
38A,38B ブレーキ手段の受け部材
41 発電装置の回動軸
42 板部材
43 制御ユニット
61 板状部分
62 風受け部分
63 移動用車輪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガイド板を円周上に配置したガイド部と、該ガイド部の内側に配置され、複数の回転翼が取付けられたドラム型風車と、該ドラム型風車の回動軸に連結された発電装置とを備え、前記ガイド部によって導かれた外部の風で前記ドラム型風車を回転させ、前記ドラム型風車の回転によって前記発電装置を駆動する風力発電装置において、
風受け部分を有し、前記ガイド部の隣接するガイド板の間の開口部に移動可能に設けられた風力調整板であって、前記外部の風を前記風受け部分で受けて移動し、前記開口部の開口面積を変化させるように構成された風量調節板と、
前記外部の風の大きさに応じて前記ドラム型風車の回転を制動するように構成されたブレーキ機構と
を備えていることを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記ドラム型風車の回転をロックするロック機構を備え、
前記外部の風の大きさが所定の大きさ以上になったときに、前記ロック機構が前記ドラム型風車の前記回動軸を制動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−241692(P2012−241692A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115918(P2011−115918)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【特許番号】特許第4801796号(P4801796)
【特許公報発行日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(597012448)
【Fターム(参考)】