説明

食器/食卓用具を洗浄する方法

【課題】食器洗浄用の洗剤成分には、個体のものも、液体のものもある。これらの成分を固体或いは液体組成物とするには、困難でコストがかかることがある。様々な型の食器洗浄機械の分配装置に適しており、相容性のない成分及び様々な物理形態の成分を同時に送達させることのできる、多区画の水溶性パウチを提供する。
【解決手段】食器洗浄における機械洗浄の使用に好適な水溶性パウチであって、概ね重ねておかれた又は重ねておくことのできる関係にある複数の区画を備え、各区画に1つ以上の洗剤活性物質又は補助成分を含有しており、体積が約5〜約70mlで、長手方向/横方向の縦横比の範囲が約2:1〜約1:8、好ましくは約1:1〜約1:4であるパウチ。この水溶性パウチは、食器洗浄用洗剤の最適な送達を可能にするものである。多区画パウチを製造するための方法、及びパウチを入れるための包装についてもまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄の分野にあり、概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備える水溶性パウチの形態の機械洗浄用製品を使用して、自動食器洗浄機械で食器/食卓用具を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単位用量の食器洗浄用洗剤は、消費者が製品を測定する必要が回避され、それによって、より精密な投与が実現され、無駄な過剰投与又は過少投与が回避されるので、一部の消費者には、より魅力的で都合が良いことがわかっている。この理由から、錠剤形態の自動食器洗浄用洗剤製品が、非常に一般的になってきている。パウチ形態の洗剤製品も当該技術分野で公知であり、漂白剤及び/又は他の刺激性物質を含有することがある食器洗浄用組成物に消費者の指が接触するのを回避できるという、錠剤を超える利点を有する。
【0003】
自動食器洗浄過程は、普通、初めの予備洗浄サイクルと、本洗浄サイクルと、いくつかの高温すすぎサイクルとを伴う。洗剤が初めの水で失われる可能性があるので、本洗浄サイクルの初めに洗剤を送達させるときの方が、予備洗浄サイクルで洗剤を送達させるときよりも、より良い性能が得られる。洗濯洗浄機械では、洗剤を槽内又は分配装置内に置くことができるが、食器洗浄機では、洗剤は、一般に、予備洗浄の際に過早に溶解するのを回避するために、分配装置を介して本洗浄時に送達される。したがって、洗剤の量は、分配装置の容積によって制限される。分配装置は、製造業者によって容積及び形が異なる。遊離形態(すなわち、粉末、ペースト、及び液体)の洗剤の場合、分配装置の容積が決定的な要因となる。錠剤など、単位用量の形態の場合には、分配装置の形状寸法及び形もまた、非常に重要な役割を果たす。
錠剤は、すべての機械に適した大きさ及び形状を有するように設計することができる。洗剤錠剤の欠点の1つは、それらの製造過程に、粉末の締固めをする追加工程が必要になるという事実である。これが、酵素活性を低下させ、錠剤を形成する成分の溶解速度を遅らせ、若しくは複雑で高価な崩壊剤系の使用を必要とし、又は洗剤活性成分の差分溶解の実現を困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食器洗浄用洗剤組成物で使用される洗剤成分には、液体のものもある。これらの液体成分を固体洗剤組成物に含むのに、困難でコストがかかることがある。ある成分はまた、液体形態で洗剤製造業者に輸送・供給することが好ましく、それを固体洗剤組成物に含めるのに、時にはコストがかかる追加の過程・工程が必要となる。これらの洗剤成分の一例が、界面活性剤、特に、室温で通常液体であるか、又は通常液体形態で洗剤製造業者に輸送・供給される、非イオン性界面活性剤である。その他の例が、有機溶媒である。
【0005】
液体成分を固体洗剤組成物に組み込む現在の方法には、例えば、混合、凝塊形成、又は噴霧技術による、固体キャリアへの液体成分の吸収が挙げられる。通常、固体洗剤組成物は、これら液体成分を固体洗剤に組み込むのが困難で高額であるので、これら液体洗剤成分を少量しか含まない。さらに、液体成分を固体洗剤組成物に組み込むことは、組成物の溶解特徴に(例えば、界面活性剤ゲル相を形成する結果として)影響を及ぼし、感水成分による水分の取り込みを増加させ、また流動性の問題を招き得る。様々な成分を、その自然の状態、すなわち液体又は固体にすることのできる、洗剤組成物を有することが有利である。これが製造過程を容易にし、成分安定性を向上させ、さらに、固体成分の送達の前後で液体成分を送達できるようにする。例えば、活性成分の差分溶解は、酵素/漂白剤組成物の場合に、食器洗浄液中の漂白剤によって酵素が酸化されるのを回避するのに有益である。また、漂白剤を芳香剤から分離するのに有利である。
【0006】
錠剤の場合、活性物質の洗浄への非効率的な送達に寄与し得るある他の要因は、キャリア材料、例えば、活性液体材料、結合剤、崩壊剤を結合させることのできる多孔質材料を添加する必要があることである。とりわけ、液体界面活性剤を粉末形態の洗剤組成物に組み込むことが、処理をかなり困難にし、界面活性剤ゲル相の形成を通じて溶解を不十分なものにするという問題を引き起こし得る。
様々な型の食器洗浄機械の分配装置に適しており、相容性のない成分及び様々な物理形態の成分を同時に送達させることのできる、多区画の単位用量形態が依然として必要とされている。また、強度、取扱い、及び溶解特徴が改善され、並びに美的に優れた、多区画パウチ製品及び多区画パウチのための簡易製造過程も必要とされている。
【0007】
洗浄性製品などの製品を持つ水溶性パウチを作製するための最も一般的な過程は、いわゆる、垂直式の成形−充填−密封過程である。これにより、フィルムを折り畳むことによって垂直チューブを形成する。チューブの底端部を密封して、開放パウチにする。このパウチを部分的に充填してヘッドスペースを形成し、続いて開放パウチの頂部を合わせて密封してパウチを密閉し、次の開放パウチにする。次いで、第1パウチを切断し、この過程を繰り返す。このようにして形成されるパウチは、普通、枕形をしている。
パウチを作製するための第2の公知の過程は、一連のモールドを有する金型の使用、及びフィルムからこれらのモールド内で、その後充填・密封することのできる開放パウチを形成することによるものである。この方法は、パウチのフィルム材料をより効率的に使用し、パウチの形状及び使用する成分の点から、過程はより柔軟性がある。しかし、その過程は、容易で効率的な方式で大量のパウチを(時間単位当りで)生産できないので、産業用途にはあまり適切ではない。
【0008】
提案される第3の過程は、円形槽の表面上に存在するモールド内にパウチを形成することである。これにより、フィルムが槽上を循環し、ポケットが形成され、充填機械の下方を通過して開放ポケットを充填する。充填及び密封は、槽が描く円の最高点(頂部)で行う必要があり、例えば、通常、回転槽が下方への円形移行を始める直前に充填を実践し、槽が下方に移行を始めた直後に密封を実践する。
垂直充填機械に関係する1つの問題は、過程があまり効率的でないことであり、例えば、ある工程から次の工程に過程速度が変化するので、過程が断続的で非常に遅く、各パウチ形成工程からは、通常、1次元的に1列のパウチしか得られず、それ故に1分間に限られた量のパウチしか形成することができない。しかも、その方式がパウチを完全に充填せず、各パウチの垂直寸法に沿って実質的に密封し、フィルムを伸張させることができないので、製品用量当りに大量のフィルムが使用される。形成されるパウチの形にはまた、あまり柔軟性がない。
【0009】
モールドを持つ金型を使用する第2過程に関係する問題には、過程が断続的(又は指標付け過程)であり、遅く、加速及び減速を伴い、それが全体的な速度を低下させ、さらに開放パウチからの製品のこぼれを引き起こすという事実もまた挙げられる。この過程の生産量はまた(時間単位当りで)、あまり多くない。
円形槽過程は、速度変化を伴わず(加速/減速がなく)、2次元的に配置されたパウチを容易に提供でき、パウチの形をある程度まで変えることができるので、欠点のいくつかを克服する。しかし、円形移行では製品が密封する領域にこぼれるため、パウチからのこぼれがかなりの量になる可能性があり、これが密封(漏れ密封)に関わる問題を引き起こし得る。その過程はまた、こぼれがいっそうの問題となるので、パウチを完全に充填することができない。この過程はまた、液体製品を使用するときには、円形移行のためにさらに大量にこぼれやすく、より重大な問題を有することになる。しかも、充填及び密封は、槽の円形経路の最高点周りで実践されなければならず、したがってパウチ形成過程の全体的な速度及び生産量が大いに減少する。
【0010】
しかも、公知のすべての過程は、主に単一区画パウチを作製するために設計される。前述の問題を克服する、多区画水溶性パウチを作製するための過程、すなわち、生産速度が速く、各パウチに使用されるフィルムの量を最小限に抑える連続過程が、依然として必要とされている。強度が改善され、機械洗浄で使用するのに適合された、多区画水溶性パウチを作製するための過程もまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[発明の概要]
本発明の第1の態様によれば、水溶性パウチの形態における機械洗浄用製品が提供される。このパウチは、概ね重ねておかれた又は重ねておくことのできる関係にある複数の区画を備えており、例えば、複数の区画を、対称的に、次々に上に重ねて、又は横に並べて(折り畳んで、重ねておいた関係にできるように)、又は使用時に区画を重ねておくことのできる他のいかなる都合の良い配列にも配置することができる。各区画には、1つ以上の洗剤活性成分又は洗剤補助成分を含有する。本明細書では、複数の区画を備える水溶性パウチを、多区画パウチと呼ぶ。区画が重ねておかれた関係にある多区画パウチは、1つ以上の区画が感水成分を含むときには、感水成分を含む区画を中間又は底部層内に置くことができるので周囲環境に露出する表面積が少なく、したがって周囲から水分を取り込む可能性が低減されるので、特に有利である。
【0012】
好ましくは、パウチの容積が、約5〜約70ml、好ましくは約15〜約60ml、より好ましくは約18〜57mlであり、パウチの長手方向/横方向の縦横比の範囲が、約2:1〜約1:8、好ましくは約1:1〜約1:4である。長手方向寸法は、パウチの区画を長手方向に重ねておいて、すなわち次々に上に重ねて、最大フットプリントを有する基部の1つを下にしてパウチを置くとき、約2kgの静荷重下のパウチの最大高さとして定義する。横方向寸法は、同じ条件下で、長手方向に垂直な平面にあるパウチの最大幅として定義する。これらの寸法は、大部分の食器洗浄機の分配装置に十分に適したものである。パウチの形は幅広く変化させることができるが、利用可能な容積を最大限にするために、好ましいパウチは、大部分の分配装置のフットプリントとできる限り同様の、一般に長方形の底部を有する。
【0013】
一実施形態では、水溶性パウチの複数の区画は、概ね重ねておかれた関係にあり、パウチは、概ね対向する上方及び下方外壁面と、パウチの側面を形成するスカート様側壁面と、異なる区画を個々に分離する1つ以上の内部区分壁面とを備えており、前記各上方及び下方外壁面とスカート様側壁面とが、熱成形、真空成形、又はこれらの組み合わせによって形成される。
それ故に、本発明の他の態様によれば、概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備える水溶性パウチの形態における機械洗浄用製品であって、各区画に1つ以上の洗剤活性物質、又は補助成分が含有されており、パウチが、概ね対向する上方及び下方外壁面と、スカート様側壁面と、1つ以上の内部区分壁面とを備え、前記各上方、下方外壁面及び前記スカート様側壁面が、熱成形、真空成形、又はこれらの組み合わせによって形成される製品が提供される。
【0014】
好ましい一実施形態では、水溶性多区画パウチの各内部区分壁面が、単一密封線に沿って外壁面又は側壁面に固定され、又は少なくとも部分的には重複していない複数の密封線に沿ってパウチの外壁面及び側壁面の両方に固定される。各区分壁面が、熱又は溶媒密封によって、1つ以上の外壁面又は側壁面に固定されることが好ましい。
特に好ましい実施形態では、多区画パウチの少なくとも1つの内部区分壁面が、第1連続密封線に沿って上方又は下方外壁面に固定され、前記外壁面と前記区分壁面の一方又は両方が、第2連続密封線に沿ってスカート様側壁面に固定され、密封線が、熱密封の場合には本質的に重複しておらず、溶媒密封の場合には少なくとも部分的には重複していない。
【0015】
重複していない密封線は、同時でないいくつかの熱密封工程に関する過程によって作製された多区画パウチの場合にとりわけ有利である。理論に拘束されることを意図しないが、熱密封のメカニズムは、フィルムから水分を蒸発させる工程に関すると考えられており、したがって2つの密封を同時に形成しない限り、うまく重複した密封を得るのは非常に困難である。熱密封は、パウチを感水成分で充填する場合に好ましい。溶媒密封は、加工コストを削減し、より強い密封を形成し、過程を速めることができる。部分的には重複していない密封によって、様々な大きさの複数の区画を重ね合わせることができる。
好ましくは、多区画パウチの少なくとも1つの内部区分壁面が、スカート様壁面のウエスト線を画定する第1密封線に沿って上方外壁面に固定され、第2の重複していない又は少なくとも部分的には重複していない密封が、好ましくは下方外壁面の方向で、ウエスト線を画定する密封線の下方にずれている。スカート様側壁面がまた、マットレス様の外観を提供するように、最終パウチでわずかに皺が寄り、又は襞をつけてあることが好ましい。
【0016】
したがって、本発明の他の態様によれば、概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備える水溶性パウチの形態の機械洗浄用製品であって、各区画に1つ以上の洗剤活性成分が含有されており、前記パウチが、概ね対向する上方及び下方外壁面と、スカート様側壁面と、1つ以上の内部区分壁面とを備え、少なくとも1つの内部区分壁面が、第1連続密封線に沿って上方又は下方外壁面に固定され、前記外壁面と前記区分壁面の一方又は両方が、第2連続密封線に沿ってスカート様側壁面に固定され、前記密封線が少なくとも部分的には重複していない製品が提供される。
他の実施形態では、水溶性パウチは、横に並んでいるが、概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備える(例えば、区画を次々に上に折り畳むことができる)。パウチは、概ね対向する上方及び下方外壁面と、1つ以上のスカート様側壁面と、1つ以上の外部区分壁面とを備えており、前記各上方及び下方外壁面とスカート様側壁面とが、熱成形、真空成形、又はこれらの組み合わせによって形成される。
【0017】
一実施形態では、水溶性パウチの複数の区画の少なくとも1つが、粉末又は高密度化粉末組成物を含む。粉末組成物は、普通、ビルダー、アルカリ性源、酵素、漂白剤など、食器洗浄用洗剤で使用される伝統的な固体材料を含む。粉末組成物は、乾燥粉末、含水粉末、凝集体、カプセル化された材料、押出品、錠剤、又はこれらの混合物の形態にすることができる。いくつかの区画が様々な粉末組成物を含む水溶性パウチを有することも有用であり、普通、異なる区画内における組成物は、相容性のない活性物質、又は食器洗浄過程の様々な時点で送達する必要のある活性物質を含む。漂白剤と酵素とを異なる区画内に有することが有利である。
好ましい一実施形態では、少なくとも1つの粉末区画が、粒子状漂白剤を含む。
漂白剤は、好ましくは、過ホウ酸塩類及び過炭酸塩類を含む無機過酸化物類と、フタロイルアミドペルオキシヘキサン酸などの予備成形されたモノペルオキシカルボン酸類とジアシル過酸化物類を含む有機過酸類とから選択される。
【0018】
粉末組成物の場合、例えば、同じ若しくは異なる区画内で、粉末圧縮の程度及び/又は粉末組成物の粒径を変化させることによって、差分溶解を実現することができる。差分溶解を実現するための他のやり方は、厚さが異なる、又は使用条件下で溶解の程度若しくは速度が異なる水溶性フィルムを使用することである。フィルム溶解度は、例えば、pH、温度、イオン強度、又は他のいかなる手段によっても制御することができる。洗剤活性物質の段階的又は逐次送達を実現する目的では、パウチの各区画が、使用時条件下で、異なる崩壊速度又は溶解特性を有することが好ましい。
他の実施形態では、水溶性パウチの複数の区画の少なくとも1つが、液体組成物を含む。液体組成物は、以下で説明する非イオン活性剤や有機溶媒など、食器洗浄用洗剤で使用される伝統的な液体材料を含む。好ましい実施形態では、液体組成物が洗浄性酵素を含む。液体組成物を含む1つの区画と、固体組成物を含む他の区画とを有する水溶性パウチが、特に有用である。液体組成物、特に第2包装内に封入された液体組成物の場合、互いに水分が移動するのを回避するために、組成物中の水分含有量をフィルム中の水分含有量と同様にすることが望ましい。
【0019】
組成物中の水分含有量がフィルム中よりも低い場合、水分がフィルムから組成物に移って、水溶性パウチを脆性にすることがある。また同様の理由から、組成物中とフィルム中の可塑剤の量を同様にすることが望ましい。
他の実施形態では、水溶性パウチの複数の区画の少なくとも1つが、ペースト形態の組成物を含む。多区画パウチはまた、ゲル又はワックスの形態の組成物も含むことができる。
好ましい実施形態では、水溶性パウチの複数の組成物の少なくとも1つが、水溶性パウチと両立できる有機溶媒系を含む。有機溶媒系は、単に液体キャリアとして働くだけでなく、好ましい組成物では、溶媒は、調理汚れ、焼き汚れ、又は焦げ汚れを取り除くのを助けることができ、それ故にそれ自体で洗剤機能を有する。有機溶媒系(単一溶媒化合物又は溶媒化合物の混合物を含む)の揮発性有機物含有量は、約1mmHgを超える、より好ましくは0.1mmHgを超えるものが溶媒系の約50重量%未満、好ましくは約20重量%未満、より好ましくは約10重量%未満であることが好ましい。本明細書では、溶媒系の揮発性有機物含有量は、25℃での規定圧及び大気圧より高い蒸気圧を有する溶媒系中の、有機成分の含有量として定義する。
【0020】
本発明で使用する有機溶媒系は、アルカノールアミン類、アルキルアミン類、アルキレンアミン類、及びこれらの混合物を含む有機アミン溶媒;芳香族アルコール、脂肪族アルコール(好ましくはC〜C10)、環式脂肪族アルコール、及びこれらの混合物を含むアルコール溶媒;C〜Cの(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、及びこれらの混合物を含む、グリコール及びグリコール誘導体;並びに、有機アミン溶媒、アルコール溶媒、グリコール及びグリコール誘導体から選択される混合物から選択されることが好ましい。好ましい一実施形態では、有機溶媒が、有機アミン(特にアルカノールアミン)溶媒及びグリコールエーテル溶媒を、好ましくは約3:1〜約1:3の重量比で含んでおり、グリコールエーテル溶媒が、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びこれらの混合物から選択される。グリコールエーテルが、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとプロピレングリコールブチルエーテルとの、特に重量比が約1:2〜約2:1の混合物であることが好ましい。
【0021】
本明細書に記載する機械洗浄用製品を使用して、自動食器洗浄機械で食器/食卓用具を洗浄する方法もまた提供する。この方法は、洗剤活性物質の、洗浄機械の1回以上の予備洗浄、本洗浄、又はすすぎサイクルへ同時又は逐次送達に好適であるが、特に本洗浄又はすすぎサイクルへの送達に好適である。
【0022】
本発明の他の態様によれば、水溶性パウチを作製するための方法が提供される。このパウチは、洗濯及び食器洗浄を含め、機械洗浄で使用するのに好適であり、それぞれが洗剤活性成分を含む、概ね重ねておかれた又は重ねておくことのできる関係にある複数の区画を備える。この方法は、i)第1移動(好ましくは回転)エンドレス表面上に解放可能に取り付けられた、充填し任意で密封したパウチの第1移動ウェブを形成する工程と、ii)第2移動(好ましくは回転)エンドレス表面上に解放可能に取り付けられ充填し、密封されたパウチの第2移動ウェブを形成する工程と、iii)前記第1及び第2移動ウェブを重ねておき、密封又は固定して、重ねておかれ密封されたウェブを形成する工程と、iv)前記重ねておかれ密封されたウェブを、複数の水溶性多区画パウチに分離する工程とを含む。好ましい一実施形態では、第2移動エンドレス表面は、前記第1移動エンドレス表面と同時に移動する。これが、連続的な方式で方法を実施するのを容易にする。
【0023】
充填された開放パウチの第1ウェブは、例えばパウチ形成材料のフィルムなど、いかなるウェブ封鎖手段でも密閉することができるが、好ましい一実施形態では、パウチの第2ウェブで密閉することが好ましく、これにより、フィルムの余分な層を使用するのを回避する。ウェブ封鎖手段は、好ましくは、第1エンドレス表面、並びにその上に取り付けられた開放パウチの第1ウェブと同時に移動する。好ましい実施形態では、パウチの第2ウェブを裏返してから、開放パウチの第1ウェブを封鎖し、これは、ウェブ密封過程で重ね合わせが容易になるという観点から好ましい。
開放パウチの第1移動ウェブは、例えば、一連のモールドを有する金型に水溶性フィルムを送ることによって形成することができる。モールドは、都合のよいいかなる大きさ及び形状にもすることができるが、本発明で使用するには、大部分の食器洗浄機の分配装置に十分なフットプリントを有する長方形のモールドが好ましい。分配装置に適しているという利点の他に、長方形のパウチは、本来、フィルム上に様々なフィルム厚さの領域を有しており、これがパウチの溶解特性の改善に寄与することがある。
【0024】
開放パウチは、熱成形を使用して、例えばモールドを加熱することによって、又は、高温空気の吹込みや加熱ランプを使用するなど、他のいかなる公知のやり方でも熱を加えることによって形成することができる。望むなら、フィルムをモールド内に入れるのを助けるために、真空支援を取り入れることができる。開放パウチは、代替的に真空成形によって形成することもでき、この場合、方法を容易にするために熱支援を提供することができる。一般に、熱成形は、主に塑性変形過程であり、真空成形は、主に弾性変形過程である。いかなる所望の弾性/塑性度のパウチをも生産するために、2つの技術を組み合わせることができる。
【0025】
開放パウチの第1ウェブを第1回転エンドレス表面上に形成することが好ましく、この表面が、パウチの充填時に水平又はほぼ水平であることが好ましい。
したがって、本発明の他の態様によれば、概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備え、各区画が洗剤活性物質又は補助成分を含む水溶性パウチを作製するための方法であって、第1移動エンドレス表面上に解放可能に取り付けられた解放パウチの水平又はほぼ水平の移動ウェブを形成し充填する工程と、開放パウチのウェブを、それと同時に移動する、予備成形し充填し密封したパウチの重ねておかれた移動ウェブで密閉する工程とを含む方法が提供される。第1エンドレス表面が、開放パウチの第1移動ウェブの充填工程時に、水平又はほぼ水平に連続移行し、好ましくは水平に直線的に連続移行することが好ましい。
【0026】
好ましい実施形態では、開放パウチの第1開放ウェブが、1つ以上の製品送りストリームの量を各開放パウチに充填するための手段を備える、製品充填ステーションを用いて充填される。この充填ステーションを、充填工程時に開放パウチの第1ウェブと同時に移動するように配置することが好ましく、これによって、充填時の開放パウチの加速/減速が回避され、必然的に洗剤のこぼれ及び密封領域の汚染が回避される。開放パウチの第1ウェブの水平直線移行によって、開放パウチを全充填又はより完全に充填することができ、フィルムがより十分に利用される。あるいは、充填ステーションを据え付けることができる。
【0027】
洗剤製品は、単一の製品送りストリームを供給するための単一送り装置又は手段を有する個々の投与又は分配装置を通じて、各開放パウチに送達することができ、これは、単一の予備混合組成物をパウチに送達する場合に好ましい。多成分液体組成物の場合、複数の製品送りストリームを供給するための多数の送り装置又は手段を用いて各パウチを充填することができ、各送り装置が様々な液体組成物(又はその成分)を送達するので、予備混合工程の必要が回避される。多成分粉末組成物の場合、やはり多数の送り装置を用いて各パウチを充填することができ、各送り装置が、製品の別個の層を形成するために、粉末組成物(又はその成分)を送達する。粉末組成物の場合、密封部が汚染されるのを回避するために、開放パウチの孔と同じ大きさ又は孔よりわずかに小さい大きさのオリフィスを有する、マスキングベルトを備えることが有利である。
【0028】
開放パウチの第1ウェブは、充填後に、フィルムで任意に密閉し、密封してから、パウチの第2移動ウェブを重ねておいて密封することができる。パウチの第2ウェブは、別個に作製することができるが、好ましい実施形態では、パウチの充填時にパウチの第2ウェブを水平又はほぼ水平にする。好ましい一実施形態では、開放パウチの第2移動水平ウェブを充填する工程は、第2エンドレス表面と同時に移動する第2製品充填ステーションを使用して達成される。一実施形態では、充填ステーションは、前述の開放パウチの第1ウェブに関する充填ステーションの場合のように、複数の製品送りストリームを送達するための手段を備える。第1ウェブ自体をフィルムで密封してから2つのウェブを重ねておく場合には、必要ならば、2つのウェブを不連続密封線に沿って互いに固定することができる。
【0029】
第1及び第2エンドレス表面のそれぞれと、パウチの対応するウェブとは、パウチの充填時の水平直線移動又は曲線移動に適合させることができるが、ここでは、開放パウチの第1移動ウェブの充填工程時に、第1エンドレス表面が水平に直線移行し、開放パウチの第2移動ウェブの充填工程時に、第2エンドレス表面がほぼ水平に直線又は曲線移行することが好ましい。
第2エンドレス表面が、第1エンドレス表面と反対方向に回転することが好ましい。
第2ウェブのパウチを、充填後に、フィルム封鎖手段で覆い、密閉し、密封してから、パウチの第1ウェブ上に重ねておき、2つのウェブを密封することもまた好ましい。本発明では、公知のいかなる媒質、例えば直接適用、赤外線、超音波、無線周波数、レーザによっても実践できる熱密封の使用が好ましい。本発明では、代替的に溶媒密封を使用することもできる。
【0030】
このようにして形成された2区画パウチのウェブを、その後、例えばそれ自体が公知の切断手段によって、個々のパウチに分割する。パウチを、一定速度にて一定のピッチで生産することが好ましく、これが包装方法の自動化を容易にすることができる。本明細書で前述した方法は、2区画パウチの製造を指向しているが、同様の様式で、例えばパウチの3つ以上のウェブを重ねておいて密封することによって、2つより多くの区画を持つ多区画パウチを製造することができる。本発明では、少なくとも1つの区画を水平に複数の区画に分割する、多区画パウチもまた非常に有用である。
【0031】
他の方法態様によれば、洗濯及び食器洗浄を含め、機械式洗浄で使用するのに好適で、概ね重ねておかれた又は重ねておくことのできる関係にある複数の区画を備え、各区画が洗剤活性物質又は補助成分を含む水溶性パウチを作製するための方法であって、
a)移動するエンドレス表面上に解放可能に取り付けられた開放パウチの移動ウェブを形成し部分的に充填する工程であって、この部分充填が、例えば同じモールド内で第2区画を形成するのに十分な空間を残すためのものである工程と、
b)前記移動ウェブをそれと同時に移動するウェブ封鎖手段によって密閉し密封する工程であって、密閉して重ねておかれた複数の開放区画を形成するように、ウェブ封鎖手段を、部分的に充填したパウチに導入する工程と、
c)重ねておかれた開放区画を、前記移動ウェブと同時に移動する第2ウェブ封鎖手段を用いて、充填し、密閉し、密封する工程と、
d)前記ウェブを複数の水溶性多区画パウチに分離する工程と
を含む方法が提供される。
【0032】
前述の方法では、多区画パウチの形成に必要な移動エンドレス表面が1つだけであり、これが資本コストの観点から有益なことがある。各パウチは、単一モールド内で形成される。開放パウチのウェブを形成した後、各開放パウチを部分的に充填し、密閉し、密封して、第2開放区画を形成し、その後それ自体を充填し、密閉し、密封する。好ましい一実施形態では、密封工程は、溶媒密封を用いて実施される。
本明細書で使用する用語「充填」には、パウチ又はその区画の「部分的」及び「完全」充填が含まれる。製品が開放パウチ又は区画の容積の少なくとも約90%を充填するときに、開放パウチ又は区画は完全に充填されたとみなす。「部分的」充填は、それに準ずるものである。
【0033】
この方法をわずかに修正した形態では、密封工程を、方法の後半の段階で実施する。それ故に、この態様によれば、洗濯及び食器洗浄を含め、機械洗浄で使用するのに好適で、概ね重ねておかれた又は重ねておくことのできる関係にある複数の区画を備え、各区画が洗剤活性物質又は補助成分を含む水溶性パウチを作製するための方法であって、
a)移動するエンドレス表面上に解放可能に取り付けられた開放パウチの移動ウェブを形成し部分的に充填する工程と、
b)前記移動ウェブを、それと同時に移動するウェブ封鎖手段で密閉する工程であって、密閉して重ねておかれた複数の開放区画を形成するように、ウェブ封鎖手段を、部分的に充填したパウチに導入する工程と、
c)重ねておかれた開放区画を、前記移動ウェブと同時に移動する第2ウェブ封鎖手段を用いて充填し密閉する工程と、
d)前記ウェブと、前記第1及び第2ウェブ封鎖手段とを密封する工程と、
e)前記ウェブを複数の水溶性多区画パウチに分離する工程と
を含む方法が提供される。
【0034】
この方法の好ましい実施形態では、前記密封工程は、超音波密封を用いて実施される。
この手法の他の変形形態では、工程(a)で、開放パウチのウェブを、洗剤活性物質又は補助成分を含む第1組成物で部分的又は完全に充填し、その後、第2区画を形成するための十分な空間を提供するために、組成物を高密度化するか、又はパウチを拡大する。粉末組成物の場合、高密度化は、締固め、タッピング、鍛造、振動などによって達成することができ、例えば、かさ密度が少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、特には少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%増加するように高密度化することが好ましい。最終かさ密度は、好ましくは少なくとも約0.6g/cc、より好ましくは少なくとも約0.8g/cc、特には少なくとも約1g/ccである。パウチを拡大するための手段には、モールドの大きさ又は容積を変更するための手段、例えば、可動床部位、変更可能な大きさ又は体積の挿入などが挙げられる。
【0035】
代替的な実施形態例では、開放パウチの移動ウェブを密閉し密封する工程の後で、重ねておかれた開放区画を形成することもできる。それ故に、更なる方法態様によれば、概ね重ねておかれた又は重ねておくことのできる関係にある複数の区画を備え、各区画が洗剤活性物質又は補助成分を含む水溶性パウチを作製するための方法であって、
a)移動するエンドレス表面上に解放可能に取り付けられた開放パウチの移動ウェブを形成し部分的に充填する工程と、
b)密閉された複数の区画を形成するように、前記移動ウェブを、それと同時に移動するウェブ封鎖手段で密閉し密封する工程と、
c)密閉された区画の上方に重ねておかれた複数の開放区画を形成するように、工程(b)で形成された密閉区画の一部又はすべての中に凹部を形成する工程と、
d)重ねておかれた開放区画を、前記移動ウェブと同時に移動する第2ウェブ封鎖手段を用いて充填し、密閉し、密封する工程と、
e)前記ウェブを複数の水溶性多区画パウチに分離する工程と
を含む方法が提供される。
【0036】
かさねて、この方法をわずかに修正した形態でも、密封工程は、方法の終わりの方の段階で実施される。それ故に、更に他の方法態様によれば、概ね重ねておかれた又は重ねておくことのできる関係にある複数の区画を備え、各区画が洗剤活性物質又は補助成分を含む水溶性パウチを作製するための方法であって、
a)移動するエンドレス表面上に解放可能に取り付けられた開放パウチの移動ウェブを形成し充填する工程と、
b)密閉された複数の区画を形成するように、前記移動ウェブを、それと同時に移動するウェブ封鎖手段で密閉する工程と、
c)密閉された区画の上方に重ねておかれた複数の開放区画を形成するように、工程(b)で形成した密閉された区画の一部又はすべての中に凹みを形成する工程と、
d)重ねておかれた開放区画を、前記移動ウェブと同時に移動する第2ウェブ封鎖手段を用いて充填し密閉する工程と、
e)前記ウェブと、前記第1及び第2ウェブ封鎖手段とを密封する工程と、
f)前記ウェブを複数の水溶性多区画パウチに分離する工程と
を含む方法が提供される。
【0037】
凹みを形成する目的で、密閉された区画には、必要ならば、圧縮した区画から空気を通気できるようにウェブ内に設けられた通気穴などの手段によって、前述の粉末圧縮又は締固め段階をなすことができる。
これらすべての方法態様では、エンドレス表面が、移動ウェブの開放パウチ及び重ねておかれた開放区画の充填工程時に、水平又はほぼ水平に、好ましくは直線的に連続移行することが好ましい。あるいは、断続的に移行することもできるが、これはあまり好ましくない。充填工程を、エンドレス表面と同時に移動する製品充填ステーションを使用して達成することも好ましい。好適には、製品充填ステーションに、複数の製品送りストリームの量を前記各区画に充填するための手段を含むことができる。
【0038】
好ましくは、本明細書に記載のいずれかの方法によって形成された多区画パウチが、粉末組成物を含有した複数の区画と、液体、ゲル、又はペースト組成物を含有した複数の区画とを備える。しかも、適切な送りステーションを使用することによって、いくつかの異なる若しくは独特な粉末組成物、及び/又は、異なる若しくは独特な液体、ゲル、若しくはペースト組成物が組み込まれた多区画パウチを製造できることが理解される。これは、新規の視覚的及び/又は他の感覚的効果を示す単位用量形態を製造するのに特に有用なことがあり得る。
それ故に、他の方法態様では、感覚的に独特な多数の群で複数の多区画パウチを形成するための方法であって、多数の区画群のそれぞれを対応する感覚的に独特な組成物で充填する工程を含み、得られる群が、色、形、大きさ、模様、又は飾りの点で独特であるか、又は、匂い、音、感触などの特有の感覚信号を提供する点で独特である方法が提供される。
【0039】
本発明はまた、透き通った容器、例えば、複数の水溶性パウチ、又は視覚的若しくは感覚的に独特な多数の群で単位用量の洗剤製品が入った、透明若しくは透過性のカートン、又はボトルなどの外部包装を含む展示包装も提供する。本明細書では、視覚的に独特とは、その群が、形、色、大きさ、模様、飾りなどの点で識別できることを意味する。さもなければ、その群は、匂い、音、感触などの特有の感覚信号を提供する点で独特である。
【0040】
好ましい一実施形態では、透き通った、好ましくは透明の食器洗浄用洗剤包装であって、独特なパウチ又は他の単位用量群の数が、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4、特に好ましくは少なくとも6であり、各包装当りの単位用量の数が、少なくとも約10、好ましくは少なくとも約16、より好ましくは少なくとも約20である包装が提供される。好ましくは、単位用量が多区画パウチであり、場合によっては各区画自体が、個々のパウチ内の他の区画のものと異なって、視覚的又はさもなければ、それ以外の様式で独特である。好ましい一実施形態では、パウチ群が色の点で独特である。多区画パウチの場合、パウチの少なくとも1つの群が、視覚的に、例えば色の点で、パウチの1つ以上の他の群における対応する区画とは異なる独特な1つの区画を有する。このような実施形態では、すべてのパウチ群が、少なくとも1つの「共通」区画、すなわち、各群が同じ外観の区画を有することが好ましい。視覚的に独特な区画は、液体、ゲル、又はペーストを含有しており、共通の区画に、粉末又は錠剤が含有されていることが好ましい。パウチは、無作為に又は順番に、包装内にいかなる形態で、例えば層を含む好適な配置で配置することができ、各パウチが、同じ層上のパウチの残りの区画のいずれに対しても異なる色の少なくとも1つの区画を備える。包装は、輸送時にパウチを保護するのに十分な強度であれば、プラスチック又はいかなる他の適切な材料からも作製することができる。この種の包装はまた、パウチがいくつ残っているかを見るためにユーザが包装を開ける必要がないので非常に有用であり、様々な色のパウチが、外部から非常に容易に区別される。あるいは、包装が、おそらく印又は絵によって包装の視覚的に独特な内容物を示す、透き通ってない外包装を有することもできる。
【0041】
他の実施形態では、パウチの独特な群は、様々な芳香剤を含有している。芳香剤は、それに関係する色、例えば、レモン香には黄色、イチゴ香には桃色、海の香には青色などにすることができる。
本明細書に記載の、多区画パウチを作製するための方法は、前述の感覚的に独特な多数の群で複数のパウチを形成するように適合させることができ、多数の区画群のそれぞれが、対応する感覚的に独特な組成物で充填される。これが、本発明の展示包装の製造を簡略化する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[発明の詳細な説明]
本発明は、大多数の食器洗浄機の分配装置に置くのに最適な形及び寸法の、多区画水溶性パウチを想定している。本発明のパウチは、単位用量形態の利便性を失うことなしに、食器洗浄機械の分配装置の最適な使用、並びに食器洗浄用組成物の最適な送達及び保管を可能にする。多区画単位用量の遂行には、別個の区画内に粉末、液体、又はペーストを含む、単位用量形態が挙げられる。特に有用な組成物は、焼き汚れ、調理汚れ、又は焦げ汚れを取り除くことのできる有機溶媒を含有するものである。本発明はまた、異なる区画内に含有されている組成物の差分送達が可能な多区画の遂行も想定している。
本発明はまた、多区画水溶性パウチを製造するための方法も想定している。この方法は、高速で、非常に多用途的であり、さらに、水溶性フィルムを効率的に使用できるようにする。
【0043】
最後に、本発明は、改善された展示特性を有し、その中のパウチの量を消費者が非常に容易に評価できる、洗剤包装を想定している。
本発明で使用する食器洗浄用組成物又は成分は、パウチの内部容積空間内に含有されており、通常、水溶性材料の障壁によって外部環境から隔てられている。通常、パウチの異なる区画内に含有されている組成物の異なる成分は、水溶性材料の障壁によって互いに隔てられている。
水溶性パウチの区画は、互いを異なる色にすることができ、例えば、第1区画を緑色又は青色にして、第2区画を白色又は黄色にすることができる。パウチの区画の1つを不透明又は半不透明にして、パウチの第2区画を透過性、透明、又は半透明にすることができる。パウチの区画は、同じ大きさで同じ内部容積を有するようにすることができ、又は異なる大きさで異なる内部容積を有するようにすることもできる。
【0044】
適切な水溶性パウチには、例えば、第1区画内に遊離粉末、高密度化粉末、又は錠剤を含み、第2区画内に液体、ペースト、又はワックス状、透過性ゲル洗剤を含む、2区画パウチを含めることができる。第2の液体、ペースト、又はゲル区画にはまた、遅延又は逐次放出効果を可能にする、例えばマイクロビーズ、ヌードル、又は1つ以上のパール状球体の形態の、別個に包装された粉末も含有することができる。第1区画が錠剤を含む場合、この錠剤には、部分的又は完全に第2区画を収容するような大きさ及び幾何学形状(例えば、四角形、円形、楕円形)の凹みを有することができる。第1区画に粉末を含むパウチでは、異なる色にできる層に粉末を配置することができる。
【0045】
あるいは、2区画パウチが、2つの区画内に同じ又は異なる色の粉末を含むこともでき、粉末は、1つ以上の色の小粒子を含むか、又は一様な色を有する。2つの区画の1つはまた、例えばマイクロビーズ、ヌードル、又は1つ以上のパール状球体の形態の、別個の高密度化粉末相(遅延又は制御放出が可能)を含むこともできる。他の2区画パウチは、2つの区画内に、単相又は多相の、液体、ペースト、ワックス状又は透過性ゲル洗剤を含み、各区画が、同じ若しくは異なる色及び/又は密度の、多相液体又はゲルを含む。
これらの区画の一方又は両方はまた、例えばマイクロビーズ、ヌードル、又は1つ以上のパール状球体の形態の、別個の高密度化粉末相(遅延又は制御放出が可能)を含むこともできる。前述のすべての2区画パウチの区画は、重ねておかれた又は重ねておくことのできる(例えば横に並んだ)関係にすることができる。
【0046】
3つの区画を有する多区画パウチは、サンドイッチ様の配列で、重ねておかれたいかなる幾何学形状の区画をも有することができ、例えば、2つの外側区画内に遊離又は締固め粉末を有し、中央の区画内に液体、ペースト、ワックス状又は透過性ゲルを有する。反対に、液体、ペースト、ワックス状又は透過性ゲルを、おそらく懸濁された固体及び斑点状物を含有する2つの外側区画内にし、粉末を中央の区画内にすることができる。多区画パウチはまた、第1区画内に1つより多くの凹みを持つ錠剤を有することもでき、他の多数の区画が錠剤の凹み内に全体的又は部分的に収容されている。
パウチは、一列に包装することができ、穿孔線によって各パウチを個々に分離可能である。したがって、各パウチは、エンドユーザが列の残りから個々に引き剥がすことができる。
【0047】
本発明の使用に特に好適なのは、液体組成物を含む第1区画と、粉末組成物を含む第2区画とを有し、液体組成物と固体組成物の重量比が約1:30〜約30:1、好ましくは約1:1〜約1:25、より好ましくは約1:15〜約1:20の多区画パウチである。
圧縮力下の変形性及び分配装置への適性の理由から、液体成分を含有するパウチ又はパウチ区画には、普通、体積が、前記区画の容積空間の約50%まで、好ましくは約40%まで、より好ましくは約30%まで、より好ましくは約20%まで、より好ましくは約10%までの気泡を含有する。
パウチは、水溶性又は水分散性のパウチ材料製にすることが好ましく、本明細書で以下に示す方法によって、最大孔径が20ミクロンのガラスフィルタを使用した後で測定したときに、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は少なくとも95%の水溶解度を有する。
【0048】
50グラム0.1グラムのパウチ材料を、予備計量した400mlビーカーに加え、蒸留水245ml±1mlを加える。これを、600rpmに設定された磁性攪拌器で、30分間激しく攪拌する。次いで、混合物を、前記で定義した孔径(最大20ミクロン)を持つ折り畳み定量焼結ガラスフィルタで濾過する。回収した濾液からいかなる従来方法によっても水分を乾燥させ、残った材料の重量を決定する(それが溶解又は分散した部分である)。その後、%溶解度又は%分散度を計算することができる。
好ましいパウチ材料は、ポリマー材料、好ましくはフィルム又はシートに成形されるポリマーである。パウチ材料は、当該技術分野で公知のように、ポリマー材料の、例えば、注型、吹込み成形、押出成形、又は吹込み押出成形によって得ることができる。
【0049】
パウチ材料として使用するのに好適な、好ましいポリマー、コポリマー、又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド類、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル類、セルロースエステル類、セルロースアミド類、ポリビニルアセテート類、ポリカルボン酸類及び塩、ポリアミノ酸類又はペプチド類、ポリアミド類、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー類、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、並びにキサンタン及びカラゴムなどの天然ゴム類から選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート類から選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアルコールコポリマー類及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマーの濃度、例えばPVAポリマーが、少なくとも60%である。
【0050】
ポリマーは、いかなる重量平均分子量をも有することができ、好ましくは約1000〜1,000,000、より好ましくは約10,000〜300,000、さらに好ましくは約20,000〜150,000を有することができる。
ポリマーの混合物はまた、パウチ材料として使用することができる。これは、その用途及び要求される必要に応じて、区画又はパウチの機械特性及び/又は溶解特性を制御するのに、有益であり得る。好適な混合物には、例えば、一方のポリマーが他方のポリマーよりも高い水溶解度を有し、及び/又は、一方のポリマーが他方のポリマーよりも高い機械的強度を有する混合物が含まれる。異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、重量平均分子量約10,000〜40,000、好ましくは約20,000のPVA又はそのコポリマーと、重量平均分子量約100,000〜300,000、好ましくは約150,000のPVA又はそのコポリマーとの混合物もまた好適である。
【0051】
例えば、通常約1重量%〜35重量%のポリラクチドと約65重量%〜99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとを混合することによって得られる、ポリラクチドやポリビニルアルコールなどの、加水分解可能な水溶性ポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物もまた本発明に好適である。
本発明の使用に好ましいのは、材料の溶解特徴を改善するために、約60〜約98%、好ましくは約80〜約90%加水分解したポリマーである。
最も好ましいパウチ材料は、クリス−クラフト・インダストリアル・プロダクツ(Chris-Craft Industrial Products)(米国インディアナ州ゲーリー)から販売されている、商品名モノゾール(Monosol)M8630として知られるPVAフィルム、並びに対応する溶解及び変形特徴のPVAフィルムである。本発明の使用に好適な他のフィルムとしては、アイセロ(Aicello)から供給される商品名PTフィルム又はKシリーズフィルム、又はクラレ(Kuraray)から供給されるVF−HPフィルムとして知られるフィルムが挙げられる。
【0052】
本発明のパウチ材料はまた、1つ以上の添加物成分も含むことができる。例えば、可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物を添加するのが有益であり得る。他の添加物としては、洗浄水、例えば有機ポリマー分散剤などに送達される、機能性洗剤添加物が挙げられる。
本明細書の洗剤及び洗浄性組成物は、従来の洗浄成分を含むことができ、洗浄機能を有する有機溶媒、及びキャリア機能、希釈機能、又は他の特殊機能を有する有機溶媒もまた含むことができる。この組成物は、一般的に構築され、漂白剤、界面活性剤、アルカリ源、酵素、増粘剤(液体、ペースト、クリーム、又はゲル組成物の場合)、耐食剤(例えば、ケイ酸ナトリウム)、及び分解結合剤(粉末、顆粒、又は錠剤の場合)から選択できる、1つ以上の洗剤活性成分を含む。きわめて好ましい洗剤成分には、ビルダー化合物、アルカリ源、界面活性剤、酵素、及び漂白剤が挙げられる。
特に指定のない限り、本明細書で以下に記載する成分は、有機溶媒組成物、及び/又は洗剤、又は洗浄性組成物に組み込むことができる。
【0053】
有機溶媒は、食卓用具/調理用具、並びに自動食器洗浄機械の様々な部品と互換性のあるように選択すべきである。さらに、溶媒系は、使用を有効及び安全にすべきであり、揮発性有機物含量は、1mmHg以上(好ましくは0.1mmHg以上)が溶媒系の約50重量%未満、好ましくは約30重量%未満、より好ましくは約10重量%未満である。また、非常に穏やかな心地良い匂いにすべきである。本発明で使用する個々の有機溶媒は、一般に、沸点が約150℃を超え、引火点が約100℃を超え、蒸気圧が、25℃の大気圧条件下で、約1mmHgより低く、好ましくは0.1mmHgより低い。本発明で使用できる溶媒としては:i)ベンジルアルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、フルフリルアルコール、1,2−ヘキサンジオール、及びその他類似物質などのアルコール類;ii)アルカノールアミン(例えば、一級アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン)、二級アルカノールアミン(ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール)、三級アルカノールアミン(トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン))、アルキルアミン(一級アルキルアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、シクロヘキシルアミン)、二級アルキルアミン(ジメチルアミン))、アルキレンアミン(一級アルキレンアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン))、及びその他類似物質などのアミン類;iii)乳酸エチル、メチルエステル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、及びその他類似物質などのエステル類;iv)エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、及びその他類似物質などのグリコールエーテル類;v)プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、トリエチレングリコール、組成物及びジプロピレングリコール及びその他類似物質などのグリコール類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
界面活性剤
自動食器洗浄で使用するための本発明の方法では、洗剤界面活性剤は、単独で、又は他の成分(すなわち、泡抑制剤)との組み合わせで、低発泡性であることが好ましい。本発明で好適な界面活性剤としては、アルキルスルフェート類、アルキルエーテルスルフェート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルグリセリルスルホネート類、アルキル及びアルケニルスルホネート類、アルキルエトキシカルボキシレート類、N−アシルサルコシネート類、N−アシルタウレート類、アルキルスクシネート類、アルキルスルホスクシネート類など、ここで当該アルキル、アルケニル、又はアシル部位がC〜C20、好ましくはC10〜C18直鎖又は分岐鎖状の、陰イオン性界面活性剤;クロリンエステル類(米国特許第A−4228042号、米国特許第A−4239660号、及び米国特許第A−4260529号)、モノC〜C16N−アルキル又はアルケニルアンモニウム界面活性剤など、ここで残りのN位がメチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基で置換された、陽イオン性界面活性剤;非イオン性アルコキシル化界面活性剤(特に、C〜C18の第1級アルコール由来のエトキシレート類)、エトキシル化−プロポキシル化アルコール(例えば、BASFポリ−タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18)、エポキシキャップしたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、BASFポリ−タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18B、PCT国際公開特許WO−A−94/22800を参照)、エーテルキャップしたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、並びに、BASFワイアンドット社(BASF-Wyandotte Corp.)(米国ミシガン州ワイアンドット)のプルロニック・タージェント(PLURONIC Tergent)(登録商標)、リバースド・プルロニック・タージェント(REVERSED PLURONIC Tergent)(登録商標)、及びテトロニック・タージェント(TETRONIC Tergent)(登録商標)などのブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマー化合物を含む、低曇点及び高曇点の非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物;C12〜C20アルキルアミンオキシド類(本発明の使用に好ましいアミンオキシド類としては、C12ラウリルジメチルアミンオキシド、C14及びC16ヘキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる)、並びにミラノール(Miranol)(商標)C2Mなどのアルキル両性カルボン酸界面活性剤など、両性界面活性剤;ベタイン類やスルタイン類などの双性界面活性剤;並びにこれらの混合物が挙げられる。本発明に好適な界面活性剤については、例えば、米国特許第A−3,929,678号、米国特許第A−4,259,217号、EP−A−0414549、PCT国際公開特許WO−A−93/08876、及び同WO−A−93/08874に開示されている。界面活性剤は、通常、組成物の約0.2重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%の濃度で存在する。本発明の使用に好ましい界面活性剤は低発泡性であり、低曇点非イオン性界面活性剤、及び高発泡性界面活性剤と、それに対する泡抑制剤として作用する低曇点非イオン性界面活性剤との混合物が挙げられる。
【0055】
ビルダー
本発明の洗剤及び洗浄性組成物での使用に好適なビルダーとしては、クエン酸塩類、炭酸塩類、及びポリリン酸塩類などの水溶性ビルダー、例えばトリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、及びトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムの混合物;並びに、結晶性層状ケイ酸塩類(EP−A−0164514及びEP−A−0293640)などの部分水溶性又は不溶性ビルダー、及びゼオライトA、B、P、X、HS、及びMAPを含むアルミノケイ酸塩類が挙げられる。ビルダーは、通常、組成物の約1重量%〜約80重量%、好ましくは約10重量%〜約70重量%、最も好ましくは約20重量%〜約60重量%の濃度で存在する。
SiO:NaOの比が1.8〜3.0、好ましくは1.8〜2.4、最も好ましくは2.0の非晶性ケイ酸ナトリウムも本発明で使用できるが、長期保存安定性の観点からきわめて好ましいのは、総ケイ酸塩(非晶性及び結晶性)を約22%未満、好ましくは約15%未満含有する組成物である。
【0056】
酵素
本発明で好適な酵素としては、ケアザイム(Carezyme)及びセルザイム(Celluzyme)(ノボ・ノルディスク(Novo Nordisk)A/S)などの細菌性及び真菌性セルラーゼ類;ペルオキシダーゼ類;アマノ(Amano)−P(アマノ・ファーマスーティカル社(Amano Pharmaceutical Co.))、M1リパーゼ・タージェント(Lipase Tergent)(登録商標)、リポマックス・タージェント(Lipomax Tergent)(登録商標)(ギスト・ブロケーズ(Gist-Brocades))、リポラーゼ・タージェント(Lipolase Tergent)(登録商標)及びリポラーゼ・ウルトラ・タージェント(Lipolase UltraTergent)(登録商標)(ノボ(Novo))などのリパーゼ類;クチナーゼ類;エスペラーゼ・タージェント(Esperase Tergeny)(登録商標)、アルカラーゼ・タージェント(Alcalase Tergent)(登録商標)、ドゥラザイム・タージェント(Durazym Tergent)(登録商標)、及びサビナーゼ・タージェント(Savinase Tergent)(登録商標)(ノボ(Novo))、並びにマキサターゼ・タージェント(Maxatase Tergent)(登録商標)、マキサカル・タージェント(Maxacal Tergent)(登録商標)、プロテアーゼ・タージェント(Properase Tergent)(登録商標)、及びマキサペム・タージェント(Maxapem Tergent)(登録商標)(ギスト・ブロケーズ(Gist-Brocades))などのプロテアーゼ類;ピュラフェクト・Ox・Am・タージェント(Purafect Ox Am Tergent)(登録商標)(ジェネンコア(Genencor))、並びにターマミル・タージェント(Termamyl Tergent)(登録商標)、バン・タージェント(Ban Tergent)(登録商標)、ファンガミル・タージェント(Fungamyl Tergent)(登録商標)、ドゥラミル・タージェント(Duramyl Tergent)(登録商標)、及びナタラーゼ・タージェント(Natalase Tergent)(登録商標)(ノボ(Novo))などのα及びβアミラーゼ類;ペクチナーゼ類;並びにこれらの混合物が挙げられる。酵素は、小球、顆粒、又は共顆粒として、通常、組成物の約0.0001重量%〜約2重量%の範囲の濃度で純粋な酵素としてここに添加することが好ましい。
【0057】
漂白剤
本発明に好適な漂白剤としては、塩素系及び酸素系漂白剤、特には、過ホウ酸ナトリウム1水和物及び4水和物や放出速度を制御するために任意でコーティングした過炭酸ナトリウムなどの無機過水和物塩(例えば、硫酸塩/炭酸塩コーティングに関してGB−A−1466799を参照)、有機過オキソ酸漂白剤前駆体及び/又は遷移金属含有漂白剤触媒(特にマンガン又はコバルト)を有する前形成有機過オキソ酸及びこれらの混合物が挙げられる。無機過水和物塩は、通常、組成物の約1重量%〜約40重量%、好ましくは約2重量%〜約30重量%、より好ましくは約5重量%〜約25重量%の範囲の濃度で組み込む。本発明の使用に好適な過オキソ酸漂白剤前駆体としては、過安息香酸及び置換型過安息香酸の前駆体;陽イオン性過オキソ酸前駆体;TAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びペンタアセチルグルコースなどの過酢酸前駆体;3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS)などの過ノナン酸前駆体;アミド置換型アルキル過オキソ酸前駆体(EP−A−0170386);並びにベンゾオキサジン過オキソ酸前駆体(EP−A−0332294及びEP−A−0482807)が挙げられる。漂白剤前駆体は、通常、組成物の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で組み込まれ、前形成有機過オキソ酸自体は、通常、組成物の約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本発明の使用に好ましい漂白剤触媒としては、トリアザシクロノナンマンガン及び関連錯体(米国特許第A−4246612号、米国特許第A−5227084号);ビスピリジルアミンCo、Cu、Mn、Fe及び関連錯体(米国特許第A−5114611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(米国特許第A−4810410号)が挙げられる。
【0058】
低曇点非イオン性界面活性剤及び泡抑制剤
本発明の使用に好適な泡抑制剤に、低曇点の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用する「曇点」とは、温度が上昇すると界面活性剤の可溶性が低下する非イオン性界面活性剤の公知の特性であり、観測可能な第2相が現れる温度を「曇点」と呼ぶ(カーク・オスマー(Kirk Othmer)、360〜362頁参照)。本明細書で使用する「低曇点」非イオン性界面活性剤とは、曇点が30℃未満、好ましくは約20℃未満、より好ましくは約10℃未満、最も好ましくは約7.5℃未満の、非イオン性界面活性剤系成分として定義される。典型的な低曇点非イオン性界面活性剤としては、非イオン性アルコキシル化界面活性剤、特に一級アルコールから誘導されるエトキシレート類、並びにポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(PO/EO/PO)リバースブロックポリマーが挙げられる。また、このような低曇点の非イオン性界面活性剤としては、例えば、エトキシ化−プロポキシ化アルコール(例えば、BASFポリ−タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18)及びエポキシキャップしたポリ(オキシアルキル化)アルコール(例えば、BASFポリ・タージェント(Poly-Tergent)(登録商標)SLF18B非イオンシリーズ、例えば米国特許第A−5,576,281に記載のもの)が挙げられる。
好ましい低曇点界面活性剤は、次式を有するエーテルキャップしたポリ(オキシアルキル化)泡抑制剤である。
【0059】
【化1】

【0060】
式中、Rは平均約7〜約12個の炭素原子を有する直鎖アルキル炭化水素、Rは約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素、Rは約1〜約4個の炭素原子の直鎖アルキル炭化水素、xは約1〜約6の整数、yは約4〜約15の整数、zは約4〜約25の整数である。
【0061】
その他の低曇点非イオン性界面活性剤は、次式を有するエーテルキャップしたポリ(オキシアルキル化)泡抑制剤である:
O(RIIO)CH(CH)ORIII
式中、Rは、約7〜約12個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカルから成る群から選択され、RIIは、同じ基でも異なる基でもよく、上記のいずれかの分子のうち分岐鎖又は直鎖状C〜Cのアルキレンから成る群から独立して選択され、nは1〜約30の数であり、RIIIは、
(i)1〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員環の置換又は非置換複素環と、
(ii)約1〜約30個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換、環式又は非環式、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカルとから成る群から選択され、
(b)ただし、Rが(ii)のときには、(A)R1の少なくとも1つがC〜Cアルキレン以外のもの、又は(B)Rが6〜30個の炭素原子を有し、さらに、Rが8〜18個の炭素原子を有する場合には、RはC〜Cアルキル以外のものである。
【0062】
本発明に好適な他の成分には、分散性、再付着防止性、汚れ放出性、又は他の洗浄特性発明を有する有機ポリマーが挙げられ、その濃度は、組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは約0.5重量%〜約15重量%、最も好ましくは約1重量%〜約10重量%である。本発明で好ましい再付着防止ポリマーとしては、ソカラン(Sokalan)PA30、PA20、PA15、PA10、ソカラン(Sokalan)CP10(BASF社(BASF GmbH))、アキュゾル(Acusol)45N、480N、460N(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas))などのアクリル酸含有ポリマー、ソカラン(Sokalan)CP5などのアクリル酸/マレイン酸コポリマー、及びアクリル/メタクリルコポリマーが挙げられる。本発明で好ましい汚れ放出ポリマーとしては、アルキル及びヒドロキシアルキルセルロース(米国特許第A−4,000,093号)、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン及びそのコポリマー、並びに、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物のテレフタレートエステルベースの非イオン性及び陰イオン性ポリマーが挙げられる。
【0063】
重金属イオン封鎖剤及び結晶成長阻害剤は、一般に、組成物の約0.005重量%〜約20重量%、好ましくは重量で約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約7.5重量%、最も好ましくは重量で約0.5重量%〜約5重量%の濃度で、本発明の使用に好適であり、例えば、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、エチレンジホスホネート、ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホネート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミノテトラアセテート、エチレンジアミン−N,N’−ジサクシネートの塩及び遊離酸の形態が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物は、組成物の約0.05重量〜約10重量%、好ましくは約0.1重量〜約5重量%の濃度の有機銀コーティング剤(特に、ウィンターシャル(Wintershall)(ドイツ、ザルツベルゲン(Salzbergen))から販売されているヴィノグ(Winog)70などのパラフィン類)などの腐食防止剤、窒素含有腐食防止剤化合物(例えば、ベンゾトリアゾール及びベンズイマダゾール、GB−A−1137741参照)、並びに、組成物の約0.005重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1重量%、より好ましくは約0.02重量%〜約0.4重量%の濃度の、Mn(II)化合物、とりわけ有機リガンドのMn(II)塩類を含有することができる。
【0065】
本発明に好適な他の成分としては、着色剤、約0.01〜約5%の濃度の酢酸ビスマスやクエン酸ビスマスなどの水溶性ビスマス化合物、約0.01%〜約6%の濃度のカルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、塩素漂白剤スカベンジャーなどの酵素安定剤、石灰石鹸分散剤(PCT国際公開特許WO−A−93/08877参照)、泡抑制剤(PCT国際公開特許WO−A−93/08876及びEP−A−0705324参照)、ポリマー染料転移阻害剤、光学的光沢剤、芳香剤、充填剤、及び粘土が挙げられる。
液体洗剤組成物は、少量の、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低分子量の一級又は二級アルコールを含有することができ、本発明の液体洗剤中で使用することができる。少量で使用する他の好適なキャリア溶媒としては、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ソルビトール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
ここで使用する第1及び/又は第2移動ウェブを形成するための過程は、水溶性フィルムが、表面の水平又はほぼ水平の部分に向かって連続的に移動し、最終的にはその上に到達するように、水溶性フィルムを連続的にエンドレス表面上、好ましくはエンドレス表面の水平又はほぼ水平の部分上に、又はさもなければ、この表面の非水平部分上に送ることに関する。もちろん、例えば異なる溶解度又は放出特徴を有する区画が必要な場合には、第1及び第2移動ウェブの作製に、異なるフィルム材料及び/又は異なる厚さのフィルムを採用することができる。
第1及び第2ウェブを作製するための好ましい一実施形態では、エンドレス表面の一部分が、移動方向に垂直な軸周りを通常は約180度回転し、次いで反対方向に移動し、普通は再度水平直線移行するまで、水平に直線移行を続ける。最終的には、表面は、再度回転してその初期位置に達する。他の実施形態では、表面が曲線移行、例えば円形移行して、表面の少なくとも一部分が、単一の有限時間、ほぼ水平になる。採用する場合、このような実施形態は、主に第2移動ウェブを作製するのに役立つ。
【0067】
本明細書で使用する用語「エンドレス表面」は、表面が少なくとも1方向で、好ましくは1方向だけにエンドレスであることを意味する。例えば、表面は、好ましくは以下で詳細に説明するように、モールドを備える回転プラテン・コンベヤベルトの一部分である。
表面の水平又はほぼ水平の部分は、通常、幅を横切るモールドの列の数、モールドの大きさ、及びモールド間の空隙の大きさに応じて、いかなる幅にもすることができる。水平に直線的な様式で動作するように設計されている場合、エンドレス表面の水平部分は、通常、表面のこの部分上で(表面の連続水平移行を有するエンドレス表面上で実施することが好ましい中に)行う必要のある過程・工程の数、工程ごとに必要な時間、及びこれらの工程に必要な表面の最適速度に応じて、いかなる長さにもすることができる。もちろん、方法全体にわたって連続的に低速又は高速を使用することによって、表面の長さを短く又は長くする必要があることがある。例えば、水平部分にいくつかの工程を実践する場合には、その部分を、例えば水平部分に2つの工程を実施する場合よりも長く又は低速にする必要がある。
【0068】
表面の幅を、1.5メートルまで、又はさらに1.0メートルまで、好ましくは30〜60cmにすることが好ましいことがある。エンドレス表面の水平部分を、2〜20メートル、さらに4〜12メートル、さらには6〜10メートル、又はさらに9メートルにすることが好ましいことがある。
表面は、通常、方法全体にわたって一定速度で移動するが、いかなる一定速度にもすることができる。1〜80m/分、さらに10〜60m/分、さらには2〜50m/分、又はさらに30〜40m/分の速度が好ましいことがある。
方法は、パウチのウェブを形成し、パウチを充填し、パウチの第2移動ウェブを重ねておき、2つの移動ウェブを密封し、重ねておかれたウェブを切断して複数の多区画パウチに分離することのできるそういった時間に、水平移行を有するエンドレス表面上で実践することが好ましい。次いで、パウチを表面から取り外し、表面を、移行方向に垂直な軸周りで通常約180度回転させて、その後反対方向に、通常はやはり水平に移動させて、その後、工程a)を再開した後で再び回転させる。
【0069】
好ましくは、表面が、移動回転ベルト、例えばコンベヤベルト又はプラテン・コンベヤベルトの一部分であり、及び/又は、好ましくはそれに取り外し可能に連結されている。そのため、表面を取り外して、他の寸法を持つ又は異なる形又は寸法のモールドを有する他の表面と交換できることが好ましい。これにより、機器を容易に洗浄し、さらに様々な種類のパウチの生産に使用することができる。
これは、例えば一連のプラテンを有するベルトにすることができ、その数及び大きさは、表面の水平部分の長さ及び回転サイクルの直径によって左右し、例えば、50〜150個、さらに60〜120個、又はさらに70〜100個のプラテンを有し、例えばそれぞれの長さ(プラテン及び表面の移行方向)が5〜150cm、好ましくは10〜100cm、又はさらに20〜45cmになる。
【0070】
そのため、プラテンが合わせてエンドレス表面又はその一部を形成し、通常はモールドがプラテンの表面上に備えられており、例えば各プラテンが多数のモールド、例えば幅方向に20個まで、さらに2〜10個、又はさらに3〜8個、及び、例えば縦方向、すなわちプラテンの移行方向に15個まで、さらに1〜10個、さらには2〜6個、又はさらに2〜5個のモールドを有することができる。
表面、又は通常は表面に連結されたベルトは、いかなる公知の方法をも使用することにより連続的に移動させることができる。表面又は表面に連結されたベルトを駆動する、無伸長鎖システムの使用が好ましい。
【0071】
プラテン・コンベヤベルトを使用する場合、これが、a)主ベルト(好ましくは鋼製)と、b)一連のプラテンとを含有することが好ましく、プラテンは、1)プラテンが前述のモールドを持つエンドレス表面を形成するように、モールドを具える表面と、2)真空シュート連結と、3)好ましくはプラテンと真空シュート連結の間に基板とを備えている。そのため、プラテン間の接合部から空気が漏れないように、プラテンを主ベルト上に取り付けることが好ましい。それでプラテン・コンベヤベルトが、全体として、固定真空システム(真空チャンバ)に沿って(上方;下方を)移動することが好ましい。
【0072】
表面が2つ以上の異なる真空システムに連結され、それぞれが異なる陰圧を与え、及び/又は、そのような陰圧を短い若しくは長い時間範囲、又は短い若しくは長い持続時間与えることが好ましいことがある。例えば、第1真空システムが、モールド/縁部の間又はそれに沿った領域を連続的に陰圧を与え、他のシステムが、ある時間量に関して真空を引くだけで、フィルムをモールド内に引き込むことが好ましいことがある。例えば、フィルムが一旦表面の水平部分上にきた後で、0.2〜5秒、さらに0.3〜3秒、さらには2秒、又はさらに0.5〜1.5秒間、フィルムをモールド内に引き込む真空にすることができる。この真空は、−100mbar〜−1000mbar、又はさらに−200mbar〜−600mbarの陰圧を与えるようなものにすることが好ましい。
【0073】
例えば、2つ以上の真空システム、又は好ましくはポンプを前述のシュートに連結して、各真空システムを各シュートに連結し、好ましくはシステムをシュート内で相互連結させないようにして、それ故に真空を互いに完全に分離し、モールド/縁部の間又はそれに沿って、真空を制御してモールド/表面に送達させるのを保証することが好ましいことがある。
したがって、すべてのプラテン及び主ベルトが、通常同じ一定速度で連続移行することを理解すべきである。
表面又は前述のプラテンを、耐久性があって洗浄が容易な耐食性材料製にすることが好ましい。モールド領域を含めて、表面又はプラテンが、好ましくはニッケルと混合したアルミニウム製で、又は任意で、外層だけがニッケル及び/若しくはニッケルとアルミニウムの混合物を含むことが好ましいことがある。
【0074】
少なくとも表面のモールド間及び/又はモールド内の上層、好ましくは少なくともモールド間の上層を、変形可能な弾性材料製にすることが好ましい。材料は、通常、摩擦係数が0.1以上、好ましくは0.3以上であるようなものである。例えば、モールド間であるが、さらにモールド内にある上層を、ゴム、シリコーン材料、又はコルク、好ましくはゴム又はシリコーンゴム製にすることができる。また、材料があまり硬すぎず、例えば、ショア値が10〜90のシリコーンゴムと同様のものにすることもまた好ましい。
モールドは、必要なパウチ寸法に応じて、いかなる形、長さ、幅、及び深さにもすることができる。必要ならば、モールドの大きさ及び形状を表面ごとに異なるものにすることもまたできる。例えば、最終的なパウチの容積を、5〜300ml、さらに10〜150ml、さらには20〜100ml、又はさらに80mlまでにし、それに従ってモールドの大きさを調整するのは好ましいことがある。
【0075】
典型的には表面の上に又は表面上部に、好ましくはその水平部分上にフィルムを送ることが、連続的に実践され、それ故に通常は方法全体にわたって一定速度で実施される。これは、いかなる公知の方法にもよって、好ましくはフィルムをそこから巻き戻すローラを使用して実践することができる。フィルムは、ローラから表面に、例えばベルトによって、好ましくは変形可能な弾性ベルト、例えば、シリコーンゴムを含めてゴム又はシリコーン材料のベルトによって導かれる、いかなる手段によっても輸送することができる。材料は、通常、摩擦係数が0.1以上、好ましくは0.3以上になるようなものである。
ローラが、少なくとも100m/分、さらに120〜700m/分、さらには150〜500m/分、又はさらに250〜400m/分の速度でフィルムを巻き戻すことは好ましいことがある。
【0076】
表面上に一旦達すると、いかなる手段によっても、フィルムをその位置に保持する、例えば表面上に固定又は定着させることができる。例えば、フィルムをモールドがない表面縁部上に、把持具又は留め具で保持し、又はローラで押し付け、又はベルトによって押さえて保持することができる。
操作及びフィルムの位置決めを容易にするために、精度を改善し、位置合わせの信頼性をより良いものにするために、及びフィルム表面(すなわち、把持具、留め具、ローラ、又はベルトで位置決めされた表面)を緩めすぎないように、しかもフィルム上の張力を軽減するか又は確実により均一にするために、フィルム上を真空にすることによって、それ故にフィルムを表面上の固定位置に引き込むか又は引っ張ることによって、フィルムをその位置に保持することが好ましい。これは、通常、フィルムを保持する表面を通して、例えばフィルムの下方を、真空(又は陰圧)にすることによって実践される。この方法はまた、フィルム幅が表面より大きい場合にも好適であるので、このシステムは、把持具又は留め具を使用するよりもより柔軟性がある。
【0077】
フィルムの縁部に沿って、それ故に通常は表面の縁部を、及び/又はモールド間若しくはモールド周りの表面領域上を、通常はモールドの縁部に沿って、真空にすることが好ましい。(少なくとも)表面の縁部に沿って、真空にすることが好ましい。
前記表面が、当該技術分野で公知の真空を引くことのできる装置又はいわゆる真空チャンバに連結された、複数の穴をそこに備えることが好ましい。それ故に、表面が、表面の縁部に沿った穴、及び/又はモールドの周り又はモールド間に穴を有することが好ましい。
穴は小さく、好ましくは直径が0.1mm〜20mm、さらに0.2〜10mm、さらには0.5〜7、又はさらに1〜5mmであることが好ましい。
【0078】
穴の少なくとも一部をモールド縁部の近くにして、本発明の好ましい一実施形態で密閉又は密封領域として働くモールド縁部周りの領域にある皺を軽減することが好ましく、モールド
縁部と、第1穴又は最近接穴の縁部との間の距離を、モールドの縁部から0.25〜20mm、いっそう好ましくは0.5〜5mm、又はさらに1〜2mmにすることが好ましい。
穴の列が、表面の縁部、及び/又はモールドの縁部に沿っていることが好ましく、穴が2列又は3列以上存在することは好ましいことがある。
前述の様式で多数の小さい穴を使用することにより、フィルムの張力が確実により均一となり、フィルムを定着させるのに必要な張力が低減され、固定が改善され、フィルムに皺が生じる可能性が低減される。
【0079】
真空を使用してフィルムをその場に固定することは、その後、やはり真空を適用することによってフィルムをモールド内に引き込むときにとりわけ有益であり、これについては以下で説明する。
前述のように、いかなる方法によっても開放パウチをモールド内に形成することができ、好ましい方法としては、フィルムをモールド内に引き込むための(少なくとも)真空又は陰圧の使用が挙げられる。好ましい方法には(また)、フィルムを加熱及び/又は加湿して、フィルムをより柔軟にし又はさらに伸張させ、その結果、モールドの形状にすることが含まれ、フィルム上に、フィルムをモールド内に引っ張る真空を適用することと組み合わせることが好ましく、又はこれらの方法すべての組み合わせが挙げられる。
【0080】
本発明で、少なくとも真空を使用することが好ましい。パウチが粉末を含む場合には、いくつか多くの理由から、フィルムにピンを刺すことが有利である。第1に、パウチ形成時にフィルムに欠陥が生じる可能性を低減するためであり、例えば、フィルムの伸張が速すぎると、フィルムを破裂させる欠陥が生じることがある。第2に、例えば粉末が漂白剤を含む場合に生成される酸素のように、パウチ内に封入された製品から発生するいかなる気体をも放出させるためであり、第3に、芳香剤を連続的に放出させるためである。さらに加熱及び/又は加湿も使用するときには、真空を使用する前、使用中、又は使用した後にこれを使用することができるが、真空を適用中又は適用前に使用することが好ましい。
【0081】
それ故に、本明細書でより詳細に説明するように、各モールドが1つ以上の穴を備え、これらの穴が、穴の上方のフィルムに穴を通じて真空を提供することのできるシステムに連結されていることが好ましい。本明細書で説明するように、真空システムを、それぞれが異なる区画に分離された、少なくとも2つの異なるユニットを備える真空チャンバにすることが好ましい。
熱は、いかなる手段によっても与えられることができ、例えば直接的に、フィルムを表面上に送る前、若しくは表面上に一旦到達させた後、加熱要素の下方若しくは高温気体中に通過させることによって、又は間接的に、例えば表面を加熱し、若しくはフィルム上に高温物体を適用することによって、例えば50〜120℃、若しくはさらに60〜90℃の温度まで、好ましくは例えば赤外光によって加熱する。
【0082】
フィルムは、いかなる手段によっても加湿することができ、例えば直接的に、フィルムを表面上に送る前、若しくは表面上に一旦到達させた後、フィルム上に加湿剤(水、フィルム材料の溶液、又はフィルム材料のための可塑剤を含む)を噴霧することによって、又は間接的に、表面を加湿することによって、若しくはフィルム上に含水物体を置くことによって加湿する。
開放パウチの第1及び第2ウェブの充填は、物体を充填する(移動させる)ためのいかなる方法によっても実践することができる。最も好ましい正確な方法は、製品形態及び必要な充填速度によって左右する。
一方法が、例えば、フラッド投与(flood dosing)であり、開放パウチのウェブが、水平又はほぼ水平に連続移行して、単位時間ごとに製品の設定された量又は体積を精確に投与するための装置を有する固定投与ユニットの下方を通過する。
【0083】
この方法の問題又は欠点は、製品が、通常は密封領域として働く、開放パウチ間の領域に分配されることがあることであり、これは、製品を無駄にするだけでなく、密封を困難にすることもある。この問題は、製品が流動性の液体の形態である場合にとりわけ深刻である。ペースト又はゲル形態の製品は、この種の充填方法に従順しやすい。
一般に、好ましい方法には、開放パウチの上方に位置決めされた分配ユニットを使用し、ノズルを備えたエンドレス回転表面を有し、通常は連続的に回転可能に移動する、ライン充填での連続移行が挙げられ、これによって、ノズルがパウチと同じ速度で同じ方向に移動し、各開放パウチが、分配工程の持続時間、1つ又は複数の同一ノズルの下方にくるものである。充填工程の後、ノズルが回転して元の位置に戻り、次の分配/充填工程を開始する。あらゆるノズル又はいくつかのノズルを合わせて、1回転の間にノズルごとに、それ故に例えば、1つのパウチ内に、製品の設定された量又は体積だけが精確に分配されることを制御できる装置に連結することが好ましい。
【0084】
充填/分配システムを、1分当り10〜100サイクル(充填工程)、さらには30〜80サイクル、又はさらに40〜70サイクルで実践できるようにすることが好ましいことがある。これは、もちろん、開放パウチの大きさ、表面の速度などに応じて調整される。
水平直線移行する表面に好適な、開放パウチを充填するためのきわめて好ましい方法は、往復移行式充填方法である。この方法は好ましくは、戻り可能(移行方向を変更可能)で速度可変の移動充填ステーションを使用する。充填ステーションは、通常、製品を開放パウチ内に分配する必要のある時間に、それぞれが(充填する)開放パウチと同じ速度で同じ方向に移動する、一連のノズルを有する。その後、通常はパウチが満たされると、パウチに充填した1つ又は複数のノズルが、パウチに沿った移動を停止し、反対方向に戻って再び停止し、充填するために静止している次の(1つ又は複数の)開放パウチの上方に位置決めされ、その後パウチの速度に達するまで、開放パウチと同じ速度及び方向で反対方向に再度移動を開始して、この速度を続け、前述の充填サイクルのようにパウチの分配及び充填を開始する。戻り移動速度は、充填時の移動速度よりも速くすることができる。
【0085】
あらゆるノズル又は多数のノズルを合わせて、1回転の間にノズルごとに、それ故、例えば1つのパウチ内に、製品の設定された量又は体積だけが精確に分配されることを制御できる装置に連結することが好ましい。
本発明の方法で使用する充填ユニット又はステーションは、好ましくは、流量計、及び/又は、開放パウチごとに製品の正確な量又は体積を投与するための容積流量ポンプを使用するが、とりわけ容積式ポンプが非常に精確であることがわかった。これにより、製品の必要量又は体積がポンプに導入され、次いでノズルに送られる。例えば、システムが、充填サイクルごとに60個のパウチを充填するようなものである場合、通常は、60個の容積流量ポンプに連結された60個のノズルが設けられており(ノズル・パウチごとに1つのポンプ)、このすべてのポンプが、製品を持つ汎用タンクに連結されている。
【0086】
ポンプは、分配される製品に応じて調整することができる。例えば、製品が粘性の液体である場合、高速充填で表面の移動が必要な場合において、ポンプを頑丈にする必要がある。
使用できる他の方法としては、磁気流量計又は質量流量計を使用する流量測定、並びに圧力流量充填/測定(圧力を一定に保ち、充填時間、それにより体積を制御する)が挙げられる。
また、充填前に、それぞれの表面積が開放パウチの表面積以下である開口部を持つ第2表面が、開放パウチの連続移行ウェブの上方に置かれ、開放パウチのウェブの方向にウェブの速度で移動し、各開口部が充填工程時に1つの開放パウチの上方に位置決めされたままであり、モールドの少なくとも一部分の間の空間が前記表面によって覆われ、好ましくは前記第2表面が回転可能に移動するエンドレスベルトである、充填システムを使用することが好ましいことがある。
【0087】
次いで、充填は、この表面又はベルト上の開口部を通して行われるので、製品が開口パウチ内にだけ入り、開放パウチ間の覆われた領域には入らないようにすることができる。このことは、通常はパウチを閉じるときに密封領域として働く開放パウチ間(モールド間)の領域に製品を残さず、それがより優れた又は容易な密封を確実にするので有利である。
次いで、充填した開放パウチを密閉するが、これはいかなる方法でも実践することができる。これをは水平位置にあって一定の連続移行をしているときに、好ましくは前述のエンドレス表面の水平部分上で実践することがまた好ましい。
第2移動ウェブの場合には、第2材料又はフィルム、好ましくは水溶性フィルムを、開放パウチのウェブの上方又は上に連続的に送ることによって密閉し、次いで好ましくは第1フィルムと第2フィルムを合わせて、通常はモールド間、それ故にパウチ間の領域で密封することが好ましい。密閉材料を、開放パウチと同じ速度で同じ方向に移動させて、開放パウチ上に送ることが好ましい。
【0088】
第1移動ウェブの場合、密閉材料が、密閉し充填したパウチの第2ウェブであり、密閉が、前述のように、すなわち密閉し充填したパウチを、好ましくは一定速度で開放パウチと同じ方向に移動させて開放パウチ上に連続的に置き、続いてそれを第1フィルムに密封することによって達成されることが好ましい。あるいは、第2ウェブに関して前述した材料のフィルムを使用して第1移動ウェブを密封してから、パウチの第1及び第2移動ウェブを重ねておいて密封することもできる。このような実施形態は、製品を含有する多数の多種液体組成物の場合に、又はパウチを横に並べて重ねておいた関係で製造する必要がある場合に好ましいことがある。
【0089】
密封は、いかなる方法によっても実践することができる。密封は、不連続的に、例えばパウチのウェブを他の密封領域及び密封機器に移送することによって、実践することができる。ただし、密封は、パウチの密閉ウェブを一定速度で連続的に移動させる間に、連続的に、好ましくは一定速度で実施することが好ましく、水平位置で、やはり好ましくは表面の前記水平位置上で実践することも好ましいことがある。
好ましい方法には、熱密封、溶媒溶接、及び溶媒又は加湿密封が挙げられる。これにより、密封を形成する領域だけを、熱又は溶媒で処理することが好ましいことがある。熱又は溶媒は、いかなる方法でも与えることができ、好ましくは密閉材料上に、好ましくは密封を形成する領域上だけに与える。
【0090】
熱密封を使用するときには、モールドで封入されていない、パウチの一部分の大きさの空洞を持ち、パウチの模様を有するローラを、ローラの下方を通過するウェブパウチ上で(連続的に)転がすことが好ましいことがある。これによって、加熱ローラが、密封される、すなわちパウチ間の、モールド縁部周りの領域だけに接触する。通常、密封温度は、50〜300℃、又はさらに80〜200℃であるが、もちろんフィルム材料に応じて左右する。前述の戻り可能な可動式充填/投与装置として動作する、可動式の戻り可能な密封装置もまた有用であり、これは、ある時間モールド間の縁部周りの領域に接触して密封を形成し、次いで密封領域から離れて移動して後方に戻り、次の密封サイクルを開始するものである。熱密封の場合、第2ウェブの第1ウェブへの密封領域が、パウチの個々の第1及び/又は第2ウェブの密封領域に重複しないことが重要である。
【0091】
溶媒、加湿密封又は溶接を使用する場合にもまた、熱を加えることが好ましいことがある。好ましい加湿又は溶媒密封/溶接方法には、溶媒をモールド間の領域上、又は密封材料上に選択的に適用することが挙げられ、これは、溶媒をこれらの領域に噴霧又は印刷し、次いでこれらの領域に圧力をかけて密封を形成することによってなされるものである。例えば、前述の密封ロール及びベルトを(やはり任意で熱も加えて)使用することができる。
次いで、切断装置によって、パウチの重ねておかれ密封されたウェブを切断することができ、切断装置が、パウチを個々に切断して、別個の重ねておかれた多区画パウチにし、ウェブを部分的に切断して、横に並べて重ねておかれた配置を介して多区画パウチを形成する。
【0092】
切断は、いかなる公知の方法によっても実践することができる。切断を、やはり連続的に、好ましくは一定速度で、好ましくは水平位置にあるときに実践することが好ましいことがある。ただし、切断工程を、必ずしも水平位置で実施する必要はなく、連続的に実践する必要もない。例えば、密閉された(密封された)パウチのウェブを切断装置に移送することができ、例えば、切断装置が動作する、他の表面に移送することができる。とは言え、方法を容易にするために、切断工程を事前の工程と同じ表面上で実行することが好ましいことがある。
【0093】
切断装置は、例えば鋭利な物体又は高温物体にすることができ、後者の場合には、それがフィルム/密封領域を通して「燃やす」ことになる。ナイフなどの鋭利な工具を持ち、パウチの大きさの空洞及び模様を持つローラが好ましいことがあり、鋭利な工具が切断する領域だけに接触するように、パウチの上を転がすものである。パウチのウェブが、一方向に(例えば、連続的及び/又は水平に、例えばやはり本明細書のエンドレス表面上で)移動するときにもまた好ましいことがあり、移動方向に沿ってパウチ間の領域に接触する固定装置を使用して、パウチを移動方向に連続的に切断することができる。次いで、断続的な切断工程によって、例えば、領域上に切断装置を短時間適用し、切断装置を取り除き、この動作を次の組のパウチにも繰り返すことによって、パウチを、パウチのウェブの幅方向に沿って切断することができる。
【0094】
本発明で使用するときには、パウチは、使用前の製品を保持するのに好適な、例えばパウチに入った組成物が水と接触する前にパウチから組成物を放出させない、いかなる形態、形状、及び材料にもすることができる。この遂行は正確には、例えば、パウチ内の組成物の種類及び量、組成物を保持し、保護し、送達又は放出するのに必要なパウチの特徴、パウチ内の区画の数によって左右する。
本発明で好ましいのは、液体組成物を含む1つの区画と、粉末又は高密度化粉末組成物を含む他の区画とを有する水溶性パウチである。液体区画の製造時には、通常、気泡が形成される。この気泡が、パウチの圧縮性を低減させ、したがって、パウチをその中に置いた後で分配装置を密閉するのを容易にすることができる。気泡の直径と、パウチのフットプリントの最大側方寸法との比が、約1:5〜約1:2であるときに、密閉が容易になることがわかった。好ましい泡の直径は、約9〜約16mmである。泡の寸法は、方法パラメータによって制御することができる。
【0095】
使用時には、水溶性パウチは、普通、洗浄機械の分配装置内に置かれ、食器洗浄方法の本サイクル中に放出される。しかし、一部の食器洗浄機械の分配装置は完全に水密性でなく、これには主に2つの理由があり、すなわち、分配装置が水を進入させるいくつかの孔を有するか、又は分配装置が、食器洗浄方法の高温によって経時的に変形することのあるゴムバンドで密封されているためである。分配装置内に水が進入すると、パウチ内容物の一部が過早に漏れ、それ故に予備洗浄の終わりには失われることがある。この問題は、パウチが低粘度の液体組成物を含む場合に特に深刻であり、かなりの量の製品が、本洗浄サイクルの前に失われることがある。この問題は、パウチ又は少なくともその液体区画を、予備洗浄で残存させ、本洗浄サイクル開始時又は開始後に放出するようになされたフィルム材料で作製することによって、克服することができる。ヨーロッパの機械では、予備洗浄は、普通、洗剤なしの冷水サイクル(約20度以下)であり、約10〜15分続く。
【0096】
以下で定義する試験によるフィルム材料の水溶解度が、冷水条件(20℃より下)下で、水に少なくとも10分間、好ましくは少なくとも15分間曝したときに、約50%未満、より好ましくは約20%未満、特には約5%未満であり、温水条件(30℃より上、好ましくは40℃より上)下で、水に約5分間、好ましくは約3分間曝したときに、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、特には少なくとも約95%であることが好ましい。本明細書では、このようなフィルム材料を、冷水にほぼ不溶性で、温水に可溶性であると呼ぶ。時には、これを「温水可溶性」と略す。
パウチ材料50グラム±0.1グラムを予備計量した400mlビーカーに加えて、蒸留水245ml±1mlを加える。これを、水浴を使用して所望の温度に保持し、600rpmに設定した磁性攪拌器上で所望の時間激しく攪拌する。次いで混合物を、最大孔径20μmの折畳んだ定性燒結ガラスフィルタを通して濾過する。従来のいかなる方法によっても、回収した濾液から水分を乾燥させ、残っている材料の重量を決定する(それが溶解又は分散した部分である)。その後、%溶解度又は%分散度を計算することができる。
【0097】
冷水に不溶性で温水に可溶性の市販のフィルムとしては、アイセロ(Aicello)から入手可能なBP26、アクアフィルム(Aquafilm)から入手可能なL10及びL15、クラレ(Kuraray)から入手可能なVF−M及びVM−S、並びにモノソル(Monosol)から入手可能なE−2060が挙げられる。
【0098】
好ましい一実施形態では、多区画パウチは、液体組成物を含む第1区画と、粉末又は高密度化粉末組成物を含む第2区画とを備える。好ましくは、液体区画が、前述の温水可溶性材料製であり、粉末又は高密度化粉末区画が、冷水可溶性材料製、すなわち、冷水条件下(25℃より低い)で、水に5分間好ましくは3分間曝したときに、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも95重量%の範囲で可溶性の材料製である。ヨーロッパの食器洗浄機械の動作様式(冷水で満たされており、加熱器を用いて冷水を加熱する)のために、温水可溶性材料製の区画は、冷水可溶製材料製の区画よりも溶解に長い時間がかかる。この種のパウチは、液体組成物を遅延放出することができるので、洗剤組成物の最適な使用が提供される。液体組成物が洗浄性酵素を含むことが好ましく、これが酵素保存安定性の観点から有利であり、酵素は、漂白剤、並びに粉末又は高密度粉末組成物中に含有される高アルカリ性材料から隔てられている。しかも、液体含有区画(冷水にほぼ不溶性で温水に可溶性)は、固体含有区画(冷水可溶性)よりも溶解又は分解に長い時間がかかるので、洗浄溶液中の、漂白剤及び酵素、並びに界面活性剤及び酵素の間のマイナスの相互作用が最小限に抑えられ、食器洗浄方法の終わりの方の段階で、改善されたタンパク質汚れの除去や斑点利益が提供される。
【0099】
固体組成物、とりわけ酸素漂白剤を含有する組成物が入ったパウチ区画には、普通、生成される酸素を漏出させるためにピンを刺す。ただし、ピンを刺して形成された穴はまた、芳香剤又は悪臭も漏出させる。例えば界面活性剤は、それに関わる不快な匂いを有することが多く、補助包装内にこのようなパウチが包装されているときには、不快な界面活性剤臭が包装のヘッドスペース内に濃縮され、ユーザが包装を開けるたびに放出される。液体含有区画はピンホールなしで作製しなければならないので、界面活性剤を液体組成物中に含めることによって、この問題を回避することができる。それ故に、他の実施形態によれば、液体組成物が界面活性剤を含む。液相中に界面活性剤を有することの他の利点とは、界面活性剤を固体材料上に積荷する問題を回避することである。さらなる利点は、界面活性剤が、固体組成物よりもいくらか遅れて放出されることであり、これが、界面活性剤と食物/食器表面との間の相互作用によって悪影響を受けることのある、漂白剤及び酵素の性能をより良いものにする。
芳香剤を固体組成物中に導入することが好ましく、ピンを刺すことで、製品を食器洗浄機で使用する前に、芳香剤を緩やかに放出させることができる。
【0100】
冷水にほぼ不溶性で温水に可溶性のフィルムは、比較的湿分及び可塑剤含量が低いので、熱密封を用いて密封するのにかなりの時間及び温度を必要とする。これらの要件は、例えばフィルムをモールド内に伸張させる部位にピンホールなどのフィルムの損傷を招き、それが漏れを引き起こして、パウチに液体が含有されている場合に特に問題となることがある。したがって、液体を収容する、冷水にほぼ不溶性で温水に可溶性のフィルム製の区画を、密封前にフィルムを部分的に水和させる溶媒を使用して密封することが好ましく、これが、密封に必要な時間及び温度を短縮/低下させ、強力な密封を形成し、ピンホールの形成を回避させる。液体組成物を含む1つの区画と、粉末組成物を含む他の区画とを有し、液体区画が冷水にほぼ不溶性で温水に可溶性の材料で作製され、粉末区画が冷水に可溶性の材料で作製される、差分溶解性のパウチの好ましい一実施形態では、液体区画を溶媒密封によって密封する一方で、液体区画を熱密封によって粉末区画に密封することが好ましい。
【0101】
パウチはまた、分配装置の外側、例えば、カトラリー・バスケット内、ネット内、又は食器洗浄機のドア上に置くこともできる。この場合、パウチ全体を、例えば前述のものなどのフィルム材料で作製することが好ましく、これにより、少なくとも本洗浄サイクル開始まで、パウチ内容物が保護される。
パウチに入った製品は、水に容易に溶解又は分散するような性質であるが、とりわけ酸及び炭酸塩源を基剤とした発泡源である、発泡源、水膨潤ポリマー、若しくは粘土などの分解剤が、本発明のパウチ自体中、及び/又は製品中に存在することが好ましい。好適な酸としては、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸などの有機カルボン酸が挙げられ、好適な炭酸塩源としては、炭酸、重炭酸、過炭酸のナトリウム塩が挙げられる。分解補助剤若しくは発泡源、又はその両方の好ましい濃度は、パウチに入った全組成物の、0.05重量%〜15重量%、さらには0.2重量%〜10重量%、又はさらに0.3重量%〜5重量%である。
【実施例】
【0102】
[実施例で使用する略語]
実施例では、成分名の略語は以下の意味を有する。
【0103】
【表1】

【0104】
以下の実施例では、濃度はすべて重量パーセント(%)で表す。
【0105】
実施例1〜8
実施例1〜4の組成物を、2つの区画の層状PVA長方形基部パウチに導入する。2区画パウチは、クリス−クラフト・インダストリアル・プロダクツ(Chris-Craft Industrial Products)により供給されるモノゾール(Monosol)M8630フィルム製である。17.2gの粒子状組成物と、4gの液体組成物とを、パウチの異なる2つの区画内に置く。パウチの寸法は、2kgの荷重下で、長さ3.7cm、幅3.4cm、高さ1.5cmである。それ故に、長手方向/横方向の縦横比は、1.5:3.2又は1:2.47になる。パウチは、2エンドレス表面方法を使用して製造され、両表面は、本明細書に記載のように水平に連続直線移行する。この方法によれば、パウチの第1ウェブは、第1エンドレス表面上に取り付けられた開放パウチの第1移動ウェブを形成して充填され、開放パウチの第1ウェブを、それと同時に移動する、充填し密封したパウチの第2ウェブで密封することによって準備される。
パウチを、ボッシュ・シーメンス(Bosch Siemens)6032食器洗浄機械の25ml分配装置区画内に導入し、分配装置を閉じ、洗浄機械をその通常55℃プログラムで運転させる。
【0106】
【表2】

【0107】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備える水溶性パウチの形態の機械洗浄用製品を使用して、自動食器洗浄機械で食器/食卓用具を洗浄する方法であって、
前記パウチは、
液体組成物を含む第1区画と、
粉末組成物を含む第2区画と
を有し、
前記液体組成物と前記固体組成物との重量比が1:30〜30:1であり、
各区画に1つ以上の洗剤活性物質又は補助成分が含有されており、前記パウチの容積が5〜70mlで、パウチの長手方向/横方向の縦横比の範囲が2:1〜1:8であり、
前記粉末組成物は感水成分を含む、方法。
【請求項2】
前記パウチが、
概ね対向する上方及び下方外壁面と、
スカート様側壁面と、
1つ以上の内部区分壁面と
を備え、
前記各上方及び下方外壁面と前記スカート様側壁面とが、熱成形、真空成形、又はこれらの組み合わせによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備える水溶性パウチの形態の機械洗浄用製品を使用して、自動食器洗浄機械で食器/食卓用具を洗浄する方法であって、
各区画に1つ以上の洗剤活性物質又は補助成分が含有されており、
前記パウチは、
液体組成物を含む第1区画と、
粉末組成物を含む第2区画と
を有し、
前記液体組成物と前記固体組成物との重量比が1:30〜30:1であり、
前記パウチが、
概ね対向する上方及び下方外壁面と、
スカート様側壁面と、
1つ以上の内部区分壁面と
を備え、
前記各上方及び下方外壁面と前記スカート様側壁面とが、熱成形、真空成形、又はこれらの組み合わせによって形成され、
前記粉末組成物は感水成分を含む、方法。
【請求項4】
各内部区分壁面が、単一密封線に沿ってパウチの外壁面又は側壁面に、又は少なくとも部分的には重複していない複数の密封線に沿ってパウチの外壁面及び側壁面の両方に固定されている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
各区分壁面が、熱密封又は溶媒密封によって1つ以上の外壁面又は側壁面に固定されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの内部区分壁面が、第1連続密封線に沿って上方又は下方外壁面に固定され、
前記外壁面と前記区分壁面の一方又は両方が、第2連続密封線に沿ってスカート様側壁面に固定され、
前記密封線が熱密封の場合には本質的に重複しておらず、溶媒密封の場合には少なくとも部分的には重複していない、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2密封線によって画定される、長手方向に延びるウエスト状領域を有し、
前記第1密封線又はその重複していない部分が、第2密封線の内側にそこから長手方向にずれて設置されており、
前記ウエスト状領域及びスカート様側壁面が互いに概ね同一の広がりを持つ、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
概ね重ねておかれた関係にある複数の区画を備える水溶性パウチの形態の機械洗浄用製品を使用して、自動食器洗浄機械で食器/食卓用具を洗浄する方法であって、
各区画に1つ以上の洗剤活性物質又は補助成分が含有されており、
前記パウチは、
液体組成物を含む第1区画と、
粉末組成物を含む第2区画と
を有し、
前記液体組成物と前記固体組成物との重量比が1:30〜30:1であり、
前記パウチが、
概ね対向する上方及び下方外壁面と、
スカート様側壁面と、
1つ以上の内部区分壁面と
を備え、
少なくとも1つの内部区分壁面が、第1密封線に沿って上方又は下方外壁面に固定され、
前記外壁面と前記区分壁面の一方又は両方が、第2密封線に沿ってスカート様側壁面に固定され、
前記密封線が少なくとも部分的には重複せず、
前記粉末組成物は感水成分を含む、機械洗浄用製品。
【請求項9】
前記第1及び第2密封線によって画定される、長手方向に延びるウエスト状領域を有し、
前記第1密封線又はその重複していない部分が、第2密封線の内側にそこから長手方向にずれて設置され、
前記ウエスト状領域及びスカート様側壁面が互いに概ね同一の広がりを持つ、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の区画の少なくとも1つが、粒子状漂白剤を含む粉末組成物を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の区画の少なくとも1つが、洗浄性酵素を含む液体組成物を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の区画の少なくとも1つが、ペースト形態、ゲル形態、またはワックス形態の組成物を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の区画の1つ以上が、調理の汚れ、焼き汚れ、及び焦げ汚れの除去に有効な有機溶媒系を含み、
前記有機溶媒系が、アルコール類、アミン類、エステル類、グリコールエーテル類、グリコール類、テルペン類、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の区画のそれぞれが、使用条件下で異なる崩壊速度又は溶解特性を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記区画の少なくとも1つが、約20℃より低い冷水にほぼ不溶性で、約30℃より高い温水に可溶性の材料から作製され、
好ましくは他の区画の少なくとも1つが、20℃より低い冷水に可溶性の材料から作製される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
液体組成物を含有した第1区画と、
粉末又は高密度化粉末組成物を含有した第2区画と
を備え、
前記第1区画が温水可溶性の材料製で、前記第2区画が冷水可溶性の材料製である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記液体組成物が、洗浄性酵素または界面活性剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記液体組成物と前記固体組成物との重量比が1:1〜1:25である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2009−263670(P2009−263670A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130029(P2009−130029)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【分割の表示】特願2006−107885(P2006−107885)の分割
【原出願日】平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】