説明

飲料供給装置の温水タンク

【目的】消費電力を低減して飲料の調製に適した所定の温度の温水を確保し、安定して飲料を供給することができる飲料供給装置の温水タンクを提供することを目的とする。
【構成】高温の温水を貯留する上部の高温温水層域には熱伝導率が小さい上部断熱層75aを貼り付け、その下部に貯留される中温温水層域および低温温水層域には高温温水層域に貼り付けた断熱材よりも熱伝導率が大きい下部断熱層75bを貼り付ける。この上部断熱層75aと下部断熱層75bの接合部と略一致する温水タンク70内には熱伝導率の小さい仕切り板72を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調製した飲料をカップに注いで提供する飲料供給装置(カップ式自動販売機)の飲料の調製に用いる温水を貯留する温水タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からコーヒー豆を挽いた挽き豆に高温の温水を供給して抽出したコーヒー液に砂糖やミルクを加えて調製したコーヒー飲料や濃縮シロップを希釈して氷を投入したシロップ飲料を販売するカップ式自動販売機が知られている。当該カップ式自動販売機では、購入客が貨幣を投入し、例えば、コーヒー飲料の選択ボタンを押すと、貯蔵しているコーヒー豆をミルで挽いた挽き豆に温水タンクで貯留している高温の温水を供給して抽出したコーヒー液に砂糖やミルクを加えて調製したコーヒー飲料をカップ供給装置から供給されたカップに注いで販売口から購入客に販売する。また、購入客がメロン飲料の選択ボタンを押すと、冷却水槽に貯留している冷却水で冷やされた濃縮メロンシロップと炭酸水がカップに注がれ、さらに製氷機に貯蔵している氷が投入されてメロン飲料となり、販売口から購入客に販売される。このように、カップ式自動販売機にはコーヒー飲料などのホット飲料の調製に使用する温水を高温(93〜97℃)の状態に保持して貯留する温水タンクを備えている。
【0003】
図8はカップ式自動販売機(飲料供給装置)を示す概念図である。カップ式自動販売機1は、カップ供給装置(図示せず)から供給されてベンドステージSに載置した飲料容器であるカップCにその機内で調製したホット飲料またはコールド飲料を注入して販売する装置であり、水リザーバ10、冷却水槽15、製氷機30、温水タンク34、ミキシングボウル40、41、コーヒーブリュア42、原料容器45、ミル46などを備えている。
【0004】
希釈液供給部2は、冷水、炭酸水などの希釈液をカップCに注入するためのものであり、水リザーバ10、水ポンプ11、給水弁12を有している。給水弁12を開成すると水道水は水リザーバ10に貯えられ、水ポンプ11を駆動することによって圧送された水は冷水回路13または温水回路33に供給される。冷水回路13に供給された水は、冷却水槽15に貯留する冷却水15aに浸漬した水冷却コイル16を経由することにより冷却される。図には明示しないが冷却水15aにはコイル状の蒸発管(蒸発器)が浸漬してあり、蒸発管に冷媒を循環させることにより冷媒が蒸発する際の蒸発熱により蒸発管の周囲に着氷したアイスバンク(氷魂)の蓄熱量を利用した熱交換により冷却水15aを略0℃に保つようにしている。水冷却コイル16には給水弁17と冷水管路18とが接続してある。また、給水弁17には、カップCに炭酸水を供給するカーボネータ19が接続してあり、水ポンプ11を駆動して給水弁17を開成するとカーボネータ19に冷水が供給される。冷水管路18には、冷水弁20を介して冷水注出ノズル21が接続してあり、コールド飲料注出時(販売時)には水ポンプ11を駆動して冷水弁20を開成すると、冷水注出ノズル21からカップCに冷水を注入する。
【0005】
カーボネータ19は、冷却水槽15に貯留する冷却水15aに浸漬してあり、炭酸ガスボンベ22から炭酸ガスが供給され、この炭酸ガスが冷水に溶解して、冷水は炭酸水となる。カーボネータ19には、炭酸水弁23を介して炭酸水注出ノズル24が接続してあり、炭酸水弁23を開成すると、炭酸ガスボンベ22から供給される炭酸ガスの圧力でカーボネータ19から押し出された炭酸水がカップCに注入される。また、冷却水槽15に貯留する冷却水15aには、複数のシロップ冷却コイル25が浸漬してあり、シロップ飲料の原液となる各種のシロップがそれぞれ貯蔵してある複数のシロップコンテナ26がシロップ売切装置27を介して接続してある。各シロップコンテナ26には、それぞれ、炭酸ガスボンベ22から炭酸ガスが供給され、シロップ冷却コイル25にはシロップ弁28を介してシロップ注出ノズル29が接続されている。そして、シロップ弁28を開成すると、シロップコンテナ26に貯蔵してあるシロップが炭酸ガスボンベ22から供給される炭酸ガスの圧力で押し出され、シロップ売切装置27からシロップ冷却コイル25を通流したシロップは冷却されて、シロップ注出ノズル29からカップCに注入される。
【0006】
製氷機30は、水リザーバ10に製氷用水導入配管30aを介して接続してあり、製氷用水導入配管30aを通じて水リザーバ10から供給された水を用いて氷を製造し、当該氷をストッカに貯蔵する。図には明示しないが製氷機30は、製氷部としての円筒状のパイプの外周面に蒸発管(蒸発器)を螺旋状に巻回させてあり、蒸発管に冷媒を循環させることにより水リザーバ10から供給された水をその内壁面に着氷させる。パイプの内部にはスクリュ形状のオーガが配設してあり、モータによって回転駆動したオーガでパイプの内壁面に着氷させた氷を切削しつつ上方に押し上げる。パイプの上部には、固定刃が設けてあり、この固定刃によってオーガで押し上げられた氷を圧縮してチップ状の氷にする。また、パイプの上方には、製造したチップ状の氷を貯蔵するストッカが設けてある。そして、製氷機30によって製造された氷は、アイス飲料を販売するときにアイスダクト30bを通じてカップCに必要量が投入される。
【0007】
温水タンク34は、水ポンプ11の駆動と同時に給水弁32が開成されて温水回路33から供給された水が貯えられ、内部に備えられたヒータ(図示せず)により加熱されて高温(例えば93〜97℃)の温水になる。また、温水タンク34には複数の湯弁35が配設してある。各湯弁35は、湯管路36によってミキシングボール40、41およびコーヒーブリュア42に接続してあり、湯弁35を開成すると湯管路36を通った温水がミキシングボール40、41またはコーヒーブリュア42に供給される。ミキシングボール40は、原料容器43から供給された原料と温水タンク34から供給された温水を攪拌してホット飲料を調製してホット飲料注出ノズル44からカップCに注入する。コーヒーブリュア42は、コーヒー豆を収容している原料容器45から供給されたコーヒー豆をミル46で挽いた挽き豆(原料)に温水タンク34から供給された温水を注いで混合、攪拌してコーヒー飲料を抽出する。コーヒー飲料の抽出滓は滓バケツ49に廃棄される。また、コーヒーブリュア42には、ミキシングボール41が接続してあり、砂糖、クリームなどを収容している原料容器47から供給された原料とコーヒー飲料を攪拌してコーヒー飲料注出ノズル48からカップCに注入する。
【0008】
このようなカップ式自動販売機で温水、冷水、氷を作るようにした冷媒回路に、冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒とする圧縮機と、冷媒と水とを熱交換させて温水を作る温水用熱交換器と、冷媒と冷水用の水とを熱交換させて冷水を作る冷水用熱交換器と、冷媒と製氷用の水とを熱交換させて氷を作る製氷用熱交換器と、冷水用熱交換器に接続された冷水側膨張弁と、製氷用熱交換器に接続された製氷側膨張弁と、温水を作る際には圧縮機からの高温高圧の冷媒を温水用熱交換器に循環させ、冷水を作る際には冷水側膨張弁からの冷媒を冷水用熱交換器に循環させ、製氷する際には製氷側膨張弁からの冷媒を製氷用熱交換器に循環させる循環路切換器とを有して、圧縮機からの冷媒により温水、冷水または氷を作るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−81772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した冷媒回路を備えたカップ式自動販売機で高温の温水を作る際は圧縮機からの高温高圧の冷媒と温水タンクに貯留されている低温の温水とを温水用熱交換器に循環させることにより高温高圧の冷媒と低温水との間で熱交換がおこなわれて加熱された高温(例えば90℃)の温水が温水タンクに環流して貯留される。温水タンクでは外壁面からの放熱により温度が低下した温水が対流によりタンク下層部(底部付近)へ移動するため、この温度が低下した温水を温水ポンプで温水用熱交換器へ送出して高温高圧の冷媒との熱交換により加熱した高温の温水として温水タンクの上層部へ戻すようにしている。
【0010】
このように温水タンクから温水用熱交換器に温水を送出する温水ポンプは、送出する温水温度が高く(例えば50℃以上)なると温水ポンプの寿命が短くなる原因となり飲料供給装置の信頼性を損なう虞があるため、温水ポンプで送出する温水の温度は低く(例えば50℃以下)することが望ましい。
しかしながら、このように温水用熱交換器で高温に加熱した温水を温水タンクに環流させて貯留していると、貯留している温水全体の温度が上昇してタンク底部に貯留している温水が70〜80℃の高温になり、温水ポンプの寿命低下を招く虞が生じる。
【0011】
また、温水用熱交換器での熱交換量が外気温度低下などの理由により減少して温水温度が十分に上昇しなかった温水を高温の温水が貯留してあるタンク上層部に環流させると温水タンクに貯留している温水温度を低下させることになる。
さらに、温水タンク内の温水量が飲料販売により減少すると給水開口から水が供給されるが、流入した水によりタンク内の温水が攪拌されてタンク内に形成された高温の温水層がくずれ、上層部に貯留している飲料調製に適した高温の温水の温度低下、下層部に貯留している低温領域の温水の温度上昇を招くことになる。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて、消費電力を低減して飲料の調製に適した所定の温度の温水を確保し、安定して飲料を供給することができる飲料供給装置の温水タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る飲料供給装置の温水タンクは、原料と温水とから飲料を調製して供給する飲料供給装置に設けられ、前記飲料の調製に使用する温水を貯留している温水タンクにおいて、
前記温水タンクの外壁面の下部に形成した断熱層の熱抵抗をその上部に形成した断熱層の熱抵抗より小なる抵抗値としたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る飲料供給装置の温水タンクは、上記請求項1において、前記熱抵抗の大きな上部断熱層と熱抵抗の小さな下部断熱層の接合部と略一致する前記温水タンク内に熱伝導率の小さい仕切り板を設けたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る飲料供給装置の温水タンクは、上記請求項1または請求項2において、前記温水タンクに供給する水の供給開口をタンク底部近傍に水平方向に設け、その開口には供給した水の上方への流れを抑制する庇を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る飲料供給装置の温水タンクは、上記請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、前記飲料供給装置には、冷媒を圧縮させて高温高圧にさせる圧縮機と、前記圧縮機で圧縮させた高温高圧の冷媒と温水とを熱交換させる温水用熱交換器と、前記温水用熱交換器から供給される冷媒を蒸発させて前記圧縮機に環流させる蒸発器とを接続した冷媒循環経路を形成した冷媒回路を備え、
前記温水タンクには、その底部から低温の温水を送出して前記温水用熱交換器で熱交換させて環流させる温水循環経路と、当該温水循環経路を循環する温水の温度を検出して温度信号を出力する温度センサと、前記温水循環経路から第1開閉弁を介して高温の温水を前記仕切り板の上方に環流させる高温水環流口と、前記温水循環経路から第2開閉弁を介して中温の温水を前記仕切り板の下方に環流させる中温水環流口と、を設け、
前記温度センサが出力する温度信号に基づいて前記第1開閉弁および第2開閉弁を開閉制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に係る飲料供給装置の温水タンクは、上記請求項4において、前記冷媒が二酸化炭素であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、温水タンクの外壁面の下部に形成した断熱層の熱抵抗をその上部に形成した断熱層の熱抵抗より小なる抵抗値としたことにより、温水タンク内の上層部に貯留している温水からの放熱を最小限に抑えて高温の状態に保ちつつ、下層部の温水を低温層として貯留できるので、消費電力を低減して飲料の調製に適した所定の温度の温水を確保し、温水ポンプで送出する温水温度を低くして温水ポンプの寿命低下を来さない温度まで低下させることにより安定して飲料を供給することができる飲料供給装置の温水タンクを提供することが可能となる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、熱抵抗の大きな上部断熱層と熱抵抗の小さな下部断熱層の接合部と略一致する温水タンク内に熱伝導率の小さい仕切り板を設けたことにより、高温温水の層と低温温水の層との間における対流が仕切り板により区切られ、温水混合による熱拡散をなくすことができる。また、仕切り板の熱伝導率が小さいため、熱伝導による熱拡散を少なくすることができる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、温水タンクに供給する水の供給開口をタンク底部近傍に水平方向に設け、その開口には供給した水の上方への流れを抑制する庇を設けたことにより、供給された水が温水タンク内に水平に流入して鉛直方向の速度成分が庇により抑制されるので、上層部に貯留している高温の温水層域に擾乱を与えることなく給水することが可能となる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、温水タンクには、その底部から低温の温水を送出して温水用熱交換器で熱交換させて環流させる温水循環経路と、当該温水循環経路を循環する温水の温度を検出して温度信号を出力する温度センサと、温水循環経路から第1開閉弁を介して高温の温水を仕切り板の上方に環流させる高温水環流口と、温水循環経路から第2開閉弁を介して中温の温水を仕切り板の下方に環流させる中温水環流口と、を設け、温度センサが出力する温度信号に基づいて第1開閉弁および第2開閉弁を開閉制御する制御手段を有することにより、飲料の調製に適した高温の温水をつくることが可能になり、高温に達しなかった温水が高温の温水を貯留する上層部に流入するのを防止するとともに、温水用熱交換器で得た熱量を捨てることなく、温水タンクへ環流させることができる。また、中間温水層の温度低下を補い、高温温水層から低温温水層間の温度分布の維持をすることができる。このように、冷媒回路に備えた温水用熱交換器で加熱した高温の温水を飲料供給装置の温水タンクに環流させることにより消費電力を低減して飲料の調製に適した所定の温度の温水を確保し、安定して飲料を供給することができる飲料供給装置の温水タンクを提供することが可能となる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、冷媒として二酸化炭素を用いることにより、環境負荷が小さく、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料供給装置の温水タンクの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、従来と同一構成に関しては同一符号を用いる。
図1は本発明に係る飲料供給装置の温水タンクの実施の形態を示す概念図である。飲料供給装置1(あるいはカップ式自動販売機)における冷却水槽15に貯留する冷却水15aの冷却、製氷機30の氷の製造、および温水タンク70に貯留する温水70aの加熱には、冷媒回路50が適用してある。冷媒回路50は、圧縮機51、温水用熱交換器52、ガスクーラ53、内部熱交換器54、電子膨張弁55、および蒸発器56、57、並びにこれらを接続する冷媒循環経路Lにより構成され、冷媒を循環させるものである。この冷媒回路50で使用する冷媒としては、不燃性、安全性、不腐食性を有し、更にオゾン層への影響が少ない二酸化炭素を用いている。
【0023】
圧縮機51は、内部熱交換器54からの冷媒(二酸化炭素)を圧縮して高温高圧の状態にするものである。この圧縮機51は、2回に分けて冷媒圧縮を行う2段式圧縮機であり、1回目の冷媒圧縮を行う第1圧縮機51aと、2回目の冷媒圧縮を行う第2圧縮機51bとを有し、これらの間に中間熱交換器58を設けてある。中間熱交換器58は、第1圧縮機51aによる1回目の冷媒圧縮により圧縮された冷媒を冷却、すなわち放熱させて該冷媒を第2圧縮機51bに送るものである。このように、冷媒を2回に分けて圧縮を行う2段式圧縮機の第1圧縮機51aと第2圧縮機51bとの間に冷媒を冷却する中間熱交換器58を設けて冷媒圧縮を行うと、第2圧縮機51bの負荷を低減して冷却効率の向上を図ることができるので、消費電力を低減して冷媒を所望の高温高圧の状態に圧縮することができる。圧縮機51には、圧縮機51を運転するための電源の周波数を変換するインバータ51cが接続してあり、飲料供給装置1の熱負荷に見合った適切な電源周波数で圧縮機51を運転する。この圧縮機51としては、レシプロ圧縮機、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機などがある。
【0024】
冷媒循環経路Lには、第1圧縮機51aで圧縮させた高温高圧の冷媒を放熱させて第2圧縮機51bに供給させる中間熱交換器58を備えた第1冷媒経路L1と、第1圧縮機51aで圧縮させた高温高圧の冷媒を第2圧縮機51bに直接供給させる第2冷媒経路L2とを設け、第1冷媒経路L1には弁を開閉して冷媒の中間熱交換器58への通流および停止をさせる電磁弁62を備え、第2冷媒経路L2には弁を開閉して冷媒の第2圧縮機51bへの通流および停止をさせる電磁弁63を備えている。そして、冷却水の冷却能力や製氷能力を強く要求される場合には、電磁弁62を開成状態にする一方、電磁弁63を閉成状態にして圧縮機51を運転すると、第1圧縮機51aで圧縮された温度60℃〜70℃、圧力3〜5MPaの冷媒は中間熱交換器58に送られてここで放熱されて温度40〜50℃、圧力3〜5MPaの冷媒となって第2圧縮機51bへ供給されるので第2圧縮機51bの負荷が軽減され、第2圧縮機51bによる2回目の圧縮動作により圧縮された冷媒は温度70〜80℃、圧力8〜9MPaとなり、温水用熱交換器52へ供給される。このように、第1圧縮機51aで圧縮された冷媒を中間熱交換器58で放熱させて第2圧縮機51bで圧縮すると、第2圧縮機51bの冷媒圧縮動作の負荷が軽減され、冷却効率が改善され、消費電力を低減できる。この冷却水冷却時や製氷時に発生する冷媒の廃熱を利用して低温の温水を温水用熱交換器52で加熱することができるのでさらに消費電力を低減することができる。
【0025】
また、温水タンク70に貯留している温水の加熱能力を強く要求される場合には、電磁弁62を閉成状態にする一方、電磁弁63を開成状態にして圧縮機51を運転すると、第1圧縮機51aで圧縮された温度60〜70℃、圧力3〜5MPaの冷媒が中間熱交換器58で放熱されることなく第2圧縮機51bへ直接供給されて圧縮されると、第2圧縮機51bによる2回目の圧縮動作により圧縮された冷媒は温度110〜120℃、圧力10〜12MPaの高温高圧の状態になる。
【0026】
温水用熱交換器52は、第2圧縮機51bによる2回目の圧縮で110〜120℃の高温になった冷媒を温水タンク70から温水ポンプ81で送出された30〜50℃の低温の温水と熱交換させて約95℃の高温の温水を作るもので、その内部には、第2圧縮機51bで圧縮された高温高圧の冷媒が通流する冷媒管路52aと、温水が通流する温水管路52bとが、互いに熱交換可能な態様で配設してあり、冷媒管路52aを通流する冷媒の移動方向と温水管路52bを通流する温水の移動方向が逆方向の移動方向となるように設けてある。温水タンク70の底部に貯留され温水ポンプ81で送出されて温水管路52bに流入した30〜50℃の低温の温水は高温の冷媒と熱交換して約95℃の高温の温水となり温水タンク70に環流し、110〜120℃の高温の冷媒は温水と熱交換して冷媒管路52aから流出するときには50〜60℃の温度に下がるが、互いに熱交換可能な態様で配設してある冷媒管路52aを通流する冷媒の移動方向と温水管路52bを通流する温水の移動方向とを逆方向の移動方向としているので、冷媒との熱交換で温められた温水を温水管路52bから流出する直前で冷媒管路52aに流入してきた110〜120℃の高温の冷媒と熱交換して加熱するので、温水管路52bから流出する温水を効率よく約95℃の高温の温水とすることができる。
【0027】
温水タンク70は、タンク本体71の内部に仕切り板72、温度センサ73、ヒータ74を備えている。そして、給水弁12を開成して水リザーバ10に貯えられた水は、水ポンプ11を駆動すると同時に給水弁32を開成すると温水回路33を通流して温水タンク70の底部から仕切り板72の下方に供給され、湯量センサ(図示せず)が満水信号を出力すると水ポンプ11を停止するとともに給水弁32を閉成して給水を停止する。供給された水は仕切り板72の下方に貯留されて30〜50℃の比較的低温の温水となり、仕切り板72の上方に貯留されている約95℃の高温の温水とは区分けされた状態で貯留される。このように温水タンク70に仕切り板72を設けているので、高温温水の層と低温温水の層との間における対流が仕切り板72により区切られ、混合による熱拡散をなくすことができる。また、熱伝導率の小さい仕切り板72を設けることにより、熱伝導による熱拡散を少なくすることができる。
【0028】
温水用熱交換器52の冷媒管路52aを循環する冷媒と熱交換可能な態様で配設されている温水管路52b入口側(図中上側)に連通する温水循環経路82は温水ポンプ81を介して温水タンク70の底部に接続され、温水管路52b出口側(図中下側)に連通する温水循環経路83には環流する温水の温度を検出して温度信号を出力する温度センサ84が設けられ、温水循環経路83の一方の流出口(高温水環流口)は電磁弁(第1開閉弁)85を介して仕切り板72上方に貯留している高温温水層上方空間に配設され、他方の流出口(中温水環流口)は電磁弁(第2開閉弁)86を介して仕切り板72下方に貯留している中低温温水層に配設されている。温水ポンプ81が駆動されて温水タンク70底部から温水用熱交換器52に送出された30〜50℃の低温の温水が温水管路52bを循環する際に冷媒管路52aを循環する110〜120℃の高温の冷媒と熱交換されて約95℃の高温の温水となって温水循環経路83を環流してくると、温度センサ84が出力する温度信号に基づいて制御手段100(図2参照)が電磁弁85を開成して電磁弁86を閉成すると温水タンク70の仕切り板72上方の高温温水層域に環流して貯留される。温水循環経路82、83は例えば断熱材で周囲を覆うなどして断熱され、加熱された高温の温水の温度低下を最小限に抑えるようにしている。そして湯弁35が開成されると高温温水層域の温水が調理部(図示せず)に供給されて飲料が調製される。
【0029】
また、冷却水槽15に貯留している冷却水15aの冷却能力や製氷機30を冷却して氷を製造する製氷能力を強く要求される場合には、冷媒管路52aに供給される冷媒の温度は70〜80℃となるので、冷媒と熱交換して温水管路52bから流出する温水は60〜70℃の温度となり、温度センサ84が出力する温度信号に基づいて制御手段100が電磁弁85を閉成して電磁弁86を開成すると温水タンク70の仕切り板72下方の中低温温水層域に環流されて、高温温水層域の温水の温度低下を防止することができる。また、温度センサ73は温水タンク70の仕切り板72の上層部に貯留されている温水の温度を検出した温度信号を制御手段100に出力し、制御手段100は温度信号により得られた温度が所定の下限温度(例えば93℃)を下回るとヒータ74に通電して所定の上限温度(例えば97℃)まで加熱するようにしている。
【0030】
ガスクーラ53は、温水用熱交換器52から供給された冷媒を放熱させるもので、例えば銅管とアルミフィンとで構成したフィンチューブタイプのものがある。
内部熱交換器54は、ガスクーラ53から供給された冷媒と、蒸発器56、57から環流する低温低圧の冷媒とを熱交換させるもので、その内部には、ガスクーラ53で放熱させた冷媒が移動する冷媒管路54aと、蒸発器56、57で蒸発させた冷媒が移動する冷媒管路54bとが、互いに熱交換可能な態様で配設してある。
【0031】
電子膨張弁55は、内部熱交換器54で熱交換させた冷媒を断熱膨張させ、該冷媒を減圧して低温低圧の状態に調整するもので、蒸発温度センサ91a、水温センサ91b、庫内温度センサ91cから出力される検出信号に基づいて膨張機構制御部91が予めメモリ(図示せず)に格納しているプログラムやデータに従って、電子膨張弁55の弁開閉量を可変制御する。
【0032】
蒸発器56、57は、電子膨張弁55で低温低圧の状態に断熱膨張させた冷媒を蒸発させるものであり、冷却水槽15および製氷機30のそれぞれの冷熱源として配設してある。冷却水槽15に貯留している冷却水15a中には蒸発管をコイル状にした蒸発器56を配設してある。製氷機30では、円筒状のパイプ(図示せず)の外周面に蒸発管を螺旋状に巻回することにより蒸発器57を配設してある。これら蒸発器56、57は、電子膨張弁55から2方に分岐したそれぞれの経路に接続してある。分岐したそれぞれの経路において、蒸発器56の上流側には電磁弁59が設けてあり、蒸発器57の上流側には電磁弁60が設けてある。そして、電磁弁59を開成させると蒸発器56に電子膨張弁55で断熱膨張させた冷媒が送出され、電磁弁60を開成させると蒸発器57に電子膨張弁55で断熱膨張させた冷媒が送出される。また、蒸発器56、57の下流側の経路は、互いに集合して内部熱交換器54を介して第1圧縮機51aに接続してある。
【0033】
なお、製氷機30の蒸発器57と電磁弁60との間の経路、および蒸発器57の下流側で集合する手前の経路には、継手手段であるセルフシールカップリング61、61が設けてある。そして、メンテナンス時には、セルフシールカップリング61、61を外すことにより製氷機30が冷媒循環経路Lから脱着可能になっている。
次に、図2を参照して本発明に係る飲料供給装置の温水タンクの実施の形態を詳細に説明する。温水タンク70のタンク本体71外壁面には断熱層75が形成され、断熱層75は上部に形成した上部断熱層75aの熱抵抗よりその下部に形成した下部断熱層75bの熱抵抗を小なる抵抗値としている。具体的には、高温の温水を貯留する上部の高温温水層域には熱伝導率が小さい断熱材(上部断熱層75a)を貼り付け、その下部に貯留される中温温水層域および低温温水層域には高温温水層域に貼り付けた断熱材よりも熱伝導率が大きい断熱材(下部断熱層75b)を貼り付けるようにする。または、熱伝導率の同じ断熱材を使用して、厚みを厚くした断熱材(上部断熱層75a)を高温温水を貯留する上部の高温温水層域に貼り付け、その下部に貯留される中温温水層域および低温温水層域には高温温水層域に貼り付けた断熱材よりも厚みを薄く加工した断熱材(下部断熱層75b)を貼り付けるようにしてもよい。これにより、高温温水層域からの放熱量を減らして消費電力を低減して飲料の調製に適した所定の温度の温水を確保し、温水ポンプ81が送出する温水の温度を低く(例えば50℃以下)して安定して飲料を供給することができる飲料供給装置の温水タンクを提供することができる。さらに、低温温水層域の温度が50℃より上昇することを避けるために、放熱による熱損失が許容される範囲で低温温水が貯留される位置には断熱材を貼り付けない部分を設けるようにしてもよい。断熱材(断熱層75)としては熱伝導率が低い真空層を内包した真空断熱材や多孔質の樹脂類が適している。
【0034】
この上部断熱層75aと下部断熱層75bの接合部と略一致する温水タンク70内には熱伝導率の小さい仕切り板72を設けている。この仕切り板72はヒータと一体化させた構成としてもよい。気孔を内包したセラミックスなどの断熱材料の上面にヒータを設けて仕切り板72を構成すると、上面に設けたヒータが温水を加熱しているときも、中温温水層域に温度変化を与えることがない。
【0035】
水リザーバ10に温水回路33で連通する水の供給開口76は水ポンプ11を駆動すると同時に給水弁32を開成すると温水タンク70の底部から仕切り板72の下方に水が供給される。温水タンク70の底部に温水ポンプ81を介して接続された温水循環経路82は温水用熱交換器52の冷媒管路52aを循環する冷媒と熱交換可能な態様で配設されている温水管路52bを介して温水循環経路83に連通し、高温水環流口77は電磁弁85を介して仕切り板72上方に貯留している高温温水層域上方空間に配設され、中温水環流口78は電磁弁86を介して仕切り板72下方に貯留している中温温水層域に配設される。そして、温水循環経路83を環流する温水の温度を検出して温度信号を出力する温度センサ84が出力する温度信号に基づいて制御手段100が電磁弁85、86を開閉制御する。
【0036】
図3は温水タンク70外壁面全領域に均等に熱抵抗の大きい断熱材を形成した場合と、上部のみ熱抵抗の大きい断熱材を形成して断熱し、下部は上部より熱抵抗が小さい断熱材を形成した場合とについて温水タンク70内の温度分布を比較したグラフである。この図に示すように、断熱材の熱抵抗が大きい領域では領域内での温度差が小さく、略同じ温度の温水が断熱領域に貯留されるが、熱抵抗を小さくした領域では温度低下量が増え、底部の温水送出口付近の温水温度が低下する。このように、断熱材の熱抵抗、断熱領域の形成比率を適切に選択することによって、高温温水の量と温水送出口での温水温度を所望の値にして、温水ポンプ81を通過する温水温度を50℃以下とすることができる。
【0037】
次に、図4を参照して温水タンクの実施の形態2を説明する。上述した実施の形態では、温水タンク70の高温温水層域とするべき温度領域の下部にあたる面に水平に仕切り板72を設けていたが、この実施の形態2では、中温水環流口78から供給される温水により中温温水層域を形成し、より高温温水層域と低温温水層域とを熱的に分離するために中温温水層域と低温温水層域との分離面にもう一枚の仕切り板72aを追加して設けている。このように、高温温水層域と中温温水層域との間に切り板72を、中温温水層域と低温温水層域との間に仕切り板72aを設けることにより、確実に高温温水の量の確保と温水ポンプ81で温水を送出する温水送出口での温水温度を所望の値にすることができ、温水ポンプ81を通過する温水温度を50℃以下にして、消費電力を低減して飲料の調製に適した所定の温度の温水を確保し、安定して飲料を供給することができる飲料供給装置の温水タンクを提供することができる。尚、図中、各温水層間を連通する通路が壁面近傍になるように示されているが、仕切り板72、72aに穴やスリットを設けるようにしてもよい。
【0038】
次に、図5を参照して温水タンク70に供給する水の供給開口76について説明する。図5(a)は供給開口76の鳥瞰図、(b)は正面図、(c)は側面図を示し、水ポンプ11を駆動すると同時に給水弁32を開成すると水リザーバ10に貯えられた水は温水回路33を通流して供給開口76から温水タンク70の底部に供給されるが、供給された水は温水タンク70の底部に貯留するようにして、タンク上部に貯留している高温温水層域に流入することによる高温の温水の低温化を防止する必要がある。この温水タンク70に供給する水の供給開口76をタンク底部近傍に水平方向に設け、その開口には供給した水の上方への流れを抑制する庇76aを設けたことにより、供給された水が水平方向に流入して上方へ流れることが抑制されるので、鉛直方向の速度成分が抑えられて、上層部に貯留している高温温水層域に擾乱を与えることなく給水が可能となる。
【0039】
以上のような構成を有する飲料供給装置1で加熱した温水を温水タンク70に貯留する基本動作について説明する。
まず、図6を参照して温水タンク70の仕切り板72下方に貯留している低温水を温水用熱交換器52に送出して高温の冷媒と熱交換して高温水とする場合を説明する。この場合、第1冷媒経路L1に備えた電磁弁62を閉成状態にする一方、第2冷媒経路L2に備えた電磁弁63を開成状態にして圧縮機51を運転すると、第1圧縮機51aで圧縮された温度60〜70℃、圧力3〜5MPaの冷媒が中間熱交換器58で放熱されることなく第2圧縮機51bへ直接供給されて圧縮され、第2圧縮機51bによる2回目の圧縮動作により圧縮された冷媒は温度110〜120℃、圧力10〜12MPaの高温高圧の状態になり、温水用熱交換器52の冷媒管路52aに供給される。
【0040】
温水ポンプ81の駆動により温水タンク70底部から温水循環経路82を通流して温水用熱交換器52に送出された30〜50℃の低温水は温水管路52bを循環して冷媒管路52aを通流する110〜120℃の高温の冷媒と熱交換されると約95℃の高温水となり温水循環経路83を環流してくると、温度センサ84が出力する温度信号に基づいて制御手段100が電磁弁85を開成して電磁弁86を閉成すると高温水環流口77から温水タンク70の仕切り板72上方の高温温水層域に流出して貯留される。
【0041】
温水用熱交換器52の冷媒管路52aを循環して温水と熱交換して50〜60℃の温度に冷却された冷媒はガスクーラ53で放熱して冷却され、内部熱交換器54を通じて電子膨張弁55に送出され、電子膨張弁55で減圧されて断熱膨張して低温低圧の状態になり、開成状態にある電磁弁59を介して蒸発器56に送出される。蒸発器56に送出された冷媒は冷却水槽15の冷却水15aから熱を与えられて蒸発する。冷却水15aは冷媒が蒸発する際の蒸発熱により蒸発器56の周囲に着氷したアイスバンク(氷魂)の蓄熱量を利用した熱交換により略0℃に保たれる。
【0042】
蒸発器56で蒸発した冷媒は、内部熱交換器54に送出されて熱交換を行った後、圧縮機51(第1圧縮機51a)に送出され、圧縮機51で圧縮されて上記移動を繰り返して循環することになる。
尚、冷媒温度を110〜120℃に高めて温水と熱交換して約95℃の高温水とすると同時に冷媒を蒸発器56に送出して冷却水槽15の冷却水15aを冷却する実施例で説明しているが、温水を約95℃の高温水とすると同時に製氷機30で製氷する場合には、電磁弁59を閉成状態にして電磁弁60を開成状態にし、冷媒を蒸発器57に送出して製氷機30で氷を製造する。
【0043】
次に、図7を参照して冷却水槽15に貯留している冷却水15aの冷却能力を強く要求される場合について説明する。この場合、第1冷媒経路L1の電磁弁62と蒸発器56の経路にある電磁弁59を開成状態にする一方、第2冷媒経路L2の電磁弁63と蒸発器57の経路にある電磁弁60を閉成状態にする。したがって、冷媒循環経路Lは、第1圧縮機51a、中間熱交換器58、第2圧縮機51b、温水用熱交換器52、ガスクーラ53、内部熱交換器54、電子膨張弁55、蒸発器56から内部熱交換器54を介して第1圧縮機51aに接続する。
【0044】
この場合、第1圧縮機51aで圧縮されて中間熱交換器58で放熱された冷媒は第2圧縮機51bに送出され、第2圧縮機51bで8〜9MPaに圧縮されて70〜80℃の冷媒温度になる。第2圧縮機51bで圧力8〜9MPa、温度70〜80℃になった冷媒は、温水用熱交換器52の冷媒管路52aを循環して、温水タンク70から送出されて温水管路52bを循環している温水と熱交換を行うと50℃〜60℃になる。冷媒と熱交換して温水管路52bから流出する温水は60〜70℃の温度となり、温度センサ84が出力する温度信号に基づいて制御手段100が電磁弁85を閉成して電磁弁86を開成すると中温水環流口78から温水タンク70の仕切り板72下方の中温温水層域に環流される。
【0045】
温水用熱交換器52の冷媒管路52aを循環して温水と熱交換して50〜60℃の温度に冷却された冷媒は、さらに、ガスクーラ53で周囲温度程度まで冷却された後、内部熱交換器54で蒸発器56から第1圧縮機51aに環流する低温低圧の冷媒と熱交換することで温度差(エンタルピ差)を拡大し、冷却能力を高める。内部熱交換器54で熱交換した冷媒は電子膨張弁55に送出され、電子膨張弁55によって絞られた後に膨張すると減圧されて断熱膨張して温度−10〜−20℃、圧力2〜3MPaの低温低圧の状態になる。
【0046】
低温低圧の状態の冷媒は、開成状態にある電磁弁59を介して蒸発器56に送出され、蒸発器56の配設部位である冷却水槽15の冷却水15aから熱を与えられて蒸発する。この冷媒が蒸発する際の蒸発熱により蒸発器56の周囲に着氷したアイスバンク(氷魂)の蓄熱量を利用した熱交換により冷却水15aを略0℃に保つようにしている。この結果、冷却水15aに浸漬している水冷却コイル、カーボネータ、シロップコンテナに接続されたシロップ供給配管などが冷却され、希釈水、炭酸水、シロップが冷やされる。
【0047】
蒸発器56で蒸発した冷媒は、内部熱交換器54に送出されて熱交換を行った後、圧縮機51(第1圧縮機51a)に送出され、圧縮機51で圧縮されて上記移動を繰り返して循環することになる。
製氷機30を冷却して氷を製造する製氷能力を強く要求される場合、蒸発器57の経路にある電磁弁60を開成状態にする一方、蒸発器56の経路にある電磁弁59を閉成状態にする。冷媒循環経路Lは、第1圧縮機51a、中間熱交換器58、第2圧縮機51b、温水用熱交換器52、ガスクーラ53、内部熱交換器54、電子膨張弁55、蒸発器57から内部熱交換器54を介して第1圧縮機51aに接続する。
【0048】
この場合、冷媒循環経路Lにおける冷媒は、第1圧縮機51aで圧縮されて中間熱交換器58で放熱された後に第2圧縮機51bに送出され、2回に分けて圧縮されて高温高圧の状態になった後、温水用熱交換器52の冷媒管路52aを循環してガスクーラ53で放熱して冷却される。そして、ガスクーラ53で冷却された冷媒は、内部熱交換器54を通じて電子膨張弁55に送出され、電子膨張弁55で減圧されて断熱膨張して低温低圧の状態になる。低温低圧の状態の冷媒は、開成状態にある電磁弁60を介して蒸発器57に送出される。蒸発器57に送出された冷媒が蒸発することにより、蒸発器57の配設部位である製氷機30のパイプ(図示せず)は熱を奪われて冷却される。この結果、製氷機30のパイプの内部に氷が発生し、モータ(図示せず)により駆動したオーガ(図示せず)が氷を切削することによりチップ状の氷が製造される。そして、蒸発器57で蒸発した冷媒は、内部熱交換器54に送出されて熱交換を行った後、圧縮機51(第1圧縮機51a)に送出され、圧縮機51で圧縮されて上記移動を繰り返して循環することになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態である飲料供給装置を示した概念図である。
【図2】本発明の実施の形態である飲料供給装置の温水タンクを示した概念図である。
【図3】図2に示した温水タンク内の温度分布を比較したグラフである。
【図4】本発明の実施の形態2である飲料供給装置の温水タンクを示した概念図である。
【図5】図2に示した温水タンクの水の供給開口を示した図である。
【図6】図1に示した飲料供給装置で温水を加熱している概念図である。
【図7】図1に示した飲料供給装置で冷却水を冷却している概念図である。
【図8】従来の飲料供給装置を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 飲料供給装置(カップ式自動販売機)
15 冷却水槽
30 製氷機
50 冷媒回路
51 圧縮機
52 温水用熱交換器
52a 冷媒管路
52b 温水管路
56 蒸発器
57 蒸発器
58 中間熱交換器
70 温水タンク
72 仕切り板
72a 仕切り板
75 断熱層
75a 上部断熱層
75b 下部断熱層
76 供給開口
76a 庇
77 高温水環流口
78 中温水環流口
81 温水ポンプ
82 温水循環経路
83 温水循環経路
84 温度センサ
85 電磁弁(第1開閉弁)
86 電磁弁(第2開閉弁)
100 制御手段
L 冷媒循環経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料と温水とから飲料を調製して供給する飲料供給装置に設けられ、前記飲料の調製に使用する温水を貯留している温水タンクにおいて、
前記温水タンクの外壁面の下部に形成した断熱層の熱抵抗をその上部に形成した断熱層の熱抵抗より小なる抵抗値としたことを特徴とする飲料供給装置の温水タンク。
【請求項2】
前記熱抵抗の大きな上部断熱層と熱抵抗の小さな下部断熱層の接合部と略一致する前記温水タンク内に熱伝導率の小さい仕切り板を設けたことを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置の温水タンク。
【請求項3】
前記温水タンクに供給する水の供給開口をタンク底部近傍に水平方向に設け、その開口には供給した水の上方への流れを抑制する庇を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飲料供給装置の温水タンク。
【請求項4】
前記飲料供給装置には、冷媒を圧縮させて高温高圧にさせる圧縮機と、前記圧縮機で圧縮させた高温高圧の冷媒と温水とを熱交換させる温水用熱交換器と、前記温水用熱交換器から供給される冷媒を蒸発させて前記圧縮機に環流させる蒸発器とを接続した冷媒循環経路を形成した冷媒回路を備え、
前記温水タンクには、その底部から低温の温水を送出して前記温水用熱交換器で熱交換させて環流させる温水循環経路と、当該温水循環経路を循環する温水の温度を検出して温度信号を出力する温度センサと、前記温水循環経路から第1開閉弁を介して高温の温水を前記仕切り板の上方に環流させる高温水環流口と、前記温水循環経路から第2開閉弁を介して中温の温水を前記仕切り板の下方に環流させる中温水環流口と、を設け、
前記温度センサが出力する温度信号に基づいて前記第1開閉弁および第2開閉弁を開閉制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の飲料供給装置の温水タンク。
【請求項5】
前記冷媒が二酸化炭素であることを特徴とする請求項4に記載の飲料供給装置の温水タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−101833(P2008−101833A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284469(P2006−284469)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】