説明

飲水装置

【課題】交換作業を不要としつつ細菌の除去を簡単かつ効率よく行うことができる飲水装置を得る。
【解決手段】飲用水を貯留した貯水容器(飲水貯留部)2と、当該貯水容器2の飲用水を取り出す蛇口4と、前記貯水容器2および蛇口4を連通し第1の開閉弁V1が設けられる飲用水供給管6とを備え、前記飲用水供給管6の蛇口4と第1の開閉弁V1との間に、水道管(図示せぬ)から第2の開閉弁V2を介して導入した水が供給される水道水導入管6を連通させる。これにより、第1の開閉弁V1を閉弁した状態で第2の開閉弁V2を開弁することにより、遊離残留塩素が含まれた水道水を蛇口4から取り出すことができ、飲用水供給管5の連通部51よりも下流側を消毒し、水道水の水圧によって洗浄もできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留部に溜められた飲用水を、蛇口を介して取り出すようにした飲水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲水装置としては、カートリッジタイプのボトルから注水される飲用水を一旦貯水部に溜め、この貯水部から流下する飲用水が取水管を介してコック(蛇口)から取り出されるようになっており、上記取水管に中空糸膜からなる濾材を交換自在に設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許 WO2007/094364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の飲水装置にあっては、取水管に中空糸膜からなる濾材が設けられたことにより、貯留部や取水管内に滞留した水に増殖した一般細菌を除去できるのであるが、濾材を定期的に交換する必要があり、この濾材の交換作業が面倒なものとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、交換作業を不要としつつ細菌の除去を簡単かつ効率よく行うことができる飲水装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明の飲水装置にあっては、飲用水を貯留した飲水貯留部と、当該飲水貯留部の飲用水を取り出す蛇口と、前記飲水貯留部および蛇口を連通し第1の開閉弁が設けられる飲用水供給管と、を備え、前記飲用水供給管の前記蛇口と前記第1の開閉弁との間に、水道管から第2の開閉弁を介して導入した水が供給される水道水導入管を連通させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲水装置によれば、第2の開閉弁を閉弁した状態で第1の開閉弁を開弁することにより、蛇口から飲水貯留部の飲用水を通常通り取り出すことができる。そして、第1の開閉弁を閉弁して第2の開閉弁を開弁することにより、蛇口から水道水導入管の水道水を取り出すことができる。このとき、水道水に含まれる遊離残留塩素によって第1の開閉弁よりも下流側の飲用水供給管を消毒することができる。したがって、第1の開閉弁と第2の開閉弁を切り換えるのみで、濾過材などの交換作業を行うことなく細菌の除去を簡単かつ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる飲水装置の各使用モードに対応した開閉弁の開閉状態を表形式で示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる飲水装置の各使用モードに対応した開閉弁の開閉状態を表形式で示す説明図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる飲水装置の各使用モードに対応した開閉弁の開閉状態を表形式で示す説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
[第1実施形態]
図1および図2は、本発明の第1実施形態にかかる飲水装置1を示した図である。
【0011】
本実施形態の飲水装置1は、一般にガロンボトルと称される飲水貯留部としてのカートリッジタイプの貯水容器2から、必要量の飲用水を取り出し使用すことができるようになっている。なお、飲水貯留部は、飲用水を適宜補充できる固定式の貯水タンクでもよい。
【0012】
飲水装置1は、図1に示すように、箱型のケース本体3を備え、このケース本体3の上部には、貯水容器2の注水口2aを水密に挿入保持する水受部31が設けられ、貯水容器2を天地逆にした状態で注水口2aが水受部31に着脱自在にセットされる。ケース本体3の外側には、貯水容器2内の飲用水を取り出す蛇口4が設けられており、この蛇口4と水受部31とは、ケース本体3内に配索された飲用水供給管5によって連通される。この飲用水供給管5の途中には第1の開閉弁V1が設けられ、この第1の開閉弁V1を開弁および閉弁することによって、飲用水供給管5を連通状態および遮断状態にできる。したがって、通常は、第1の開閉弁V1を開弁した状態で蛇口4を開閉することにより、貯水容器2内の飲用水を必要量だけ取り出すことができる。
【0013】
ここで、本実施形態では、飲用水供給管5の蛇口4と第1の開閉弁V1との間に、図示省略した水道管から第2の開閉弁V2を介して導入した水道水(市水)が供給される水道水導入管6を連通するようにしている。なお、上述した第1および第2の開閉弁V1、V2や蛇口4はそれぞれ手動で開閉されるようになっている。
【0014】
そして、飲水装置1を使用する際、通常は、第1の開閉弁V1を開弁した状態にする一方、第2の開閉弁V2は閉弁した状態にされる。この状態で蛇口4を開くことにより、貯水容器2内の飲用水は飲用水供給管5を介して自然落下により流下して蛇口4から取り出すことができる。もちろん、蛇口4を閉めることにより、水の供給は停止される。
【0015】
一方、水道水を使用したいときは、第1の開閉弁V1を閉弁した後、第2の開閉弁V2を開弁することにより、水道水導入管6から飲用水供給管5との連通部51に水道水が流入し、この連通部51よりも下流側の飲用水供給管5を介して蛇口4から水道水を取り出すことができる。
【0016】
なお、貯水容器2から飲用水を取り出す際は、上述したようにその飲用水が飲用水供給管5を自然落下し、その水圧は低いのであるが、水道水を取り出す際は、通常、水道水の水圧は100kPa〜750kPa程度もあり、さらには水撃現象により1MPa以上に及ぶこともある。このため、水圧による水道水の逆流により水受部31からの吹き出しや水撃現象による配管の破損を防止するために第1の開閉弁V1は必要不可欠であり、かつ、この第1の開閉弁V1は十分な耐水圧性能を有することが必要となる。
【0017】
また、水道水には遊離残留塩素が含まれており、貯水容器2の飲用水に切り換えて水道水を利用した際は、飲用水供給管5の連通部51よりも下流側に遊離残留塩素を含んだ水道水を流通させることができる。したがって、水道水に切り換えることにより、飲用水供給管5の連通部51よりも下流側を消毒できるとともに、それの水圧によって洗浄もできることになる。
【0018】
ところで、本実施形態の飲水装置1では、第1および第2の開閉弁V1、V2を設けたことにより、図2に示すように、(1)飲用水利用時の飲用水モードと、(2)水道水利用時の水道水モードと、(3)お手入れ時の消毒洗浄モードと、の各使用態様を設定することができる。また、同図には、それら各使用態様に合わせてそれぞれのモードにおける第1の開閉弁V1、第2の開閉弁V2および蛇口4の開閉状態が示されている。
【0019】
つまり、(1)の飲用水モードでは、第1の開閉弁V1が開弁されるとともに、第2の開閉弁V2が閉弁された状態で蛇口4を開閉することになる。(2)の水道水モードでは、第1の開閉弁V1が閉弁されるとともに、第2の開閉弁V2が開弁された状態で蛇口4を開閉することになる。(3)の消毒洗浄モードでは、水道水モードと同様に、第1の開閉弁V1が閉弁されるとともに、第2の開閉弁V2が開弁された状態で蛇口4を開閉することになる。
【0020】
以上の構成により、本実施形態の飲水装置1によれば、第2の開閉弁V2を閉弁した状態で第1の開閉弁V1を開弁することにより、蛇口4から貯水容器2内の飲用水を通常通り取り出すことができる。そして、第1の開閉弁V1を閉弁して第2の開閉弁V2を開弁することにより、蛇口4から水道水導入管6の水道水を取り出すことができる。
【0021】
このように、水道水を取り出した際には、水道水に含まれる遊離残留塩素によって第1の開閉弁V1よりも下流側の飲用水供給管5を消毒することができる。したがって、このように消毒洗浄モードにするには、第1開閉弁V1と第2の開閉弁V2とを切り換えるのみで、濾過材などの交換作業を行うことなく細菌の除去を簡単かつ効率よく行うことができる。
【0022】
また、この消毒洗浄モードでは、水道水の水圧により水道水が通過する配管内面のヌメリなどの付着物を剥がして蛇口4から流し出すことができ、配管をより清潔に保つことができる。
【0023】
さらに、貯水容器2内の飲用水が空になった場合にも、第1の開閉弁V1を閉弁し第2の開閉弁V2を開弁して水道水モードとすることにより、引き続き水(水道水)を蛇口4から取り出すことができる。そのため、貯水容器2内の飲用水が空になった非常時に、水道水を飲用水としても代用することができ、特に有利である。
【0024】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図3は、本実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図である。
【0025】
本実施形態の飲水装置1Aは、上記第1実施形態と同様にして、飲用水供給管5の蛇口4と第1の開閉弁V1との間に、図示省略した水道管から第2の開閉弁V2を介して導入した水道水が供給される水道水導入管6を連通するようにしている。
【0026】
ここで、本実施形態の飲水装置1Aが上記第1実施形態の飲水装置1と主に異なる点は、水道水導入管6に、第2の開閉弁V2と直列に中空糸膜フィルタ7を配置したことにある。すなわち、水道水導入管6は、第2の開閉弁V2が設けられる主通路61を備えており、この主通路61に中空糸膜フィルタ7が設けられている。
【0027】
本実施形態では、中空糸膜フィルタ7は、水道水導入管6の第2の開閉弁V2よりも下流側に配置されており、第2の開閉弁V2を開弁することにより、この第2の開閉弁V2を通過した水道水が中空糸膜フィルタ7で濾過された後に飲用水供給管5へと導入される。
【0028】
また、本実施形態の飲水装置1Aにあっても、上記第1実施形態と同様に、(1)飲用水利用時の飲用水モードと、(2)水道水利用時の水道水モードと、(3)お手入れ時の消毒洗浄モードと、を設定できるようになっており、第1の開閉弁V1、第2の開閉弁V2および蛇口4の開閉は図2と同様であるため、本実施形態では各使用モードに対応した開閉弁の開閉状態を示す表は省略するものとする。また、本実施形態にあっても第1、第2の開閉弁V1、V2および蛇口4は、それぞれ手動で開閉されるようになっている。
【0029】
ところで、水道水導入管6を介して供給される水道水は、図示省略した水道管が老朽化している場合には固形異物や浮遊物が混入している場合があり、これが飲水装置1Aに導入された際には、飲用水供給管5などの細い管路の目詰まりや第1の開閉弁V1および蛇口4などのバルブ類への咬み込みなどを起こして、飲水装置1Aの不具合を起こす虞がある。しかしながら、本実施形態では、第2の開閉弁V2の下流側に配置された中空糸膜フィルタ7によって、水道水に混入した固形異物や浮遊物などを捕捉できる。また、このように中空糸膜フィルタ7は固形異物や浮遊物などを捕捉できるが、消毒成分である遊離残留塩素はその中空糸膜フィルタ7を通過するため、目的とする消毒洗浄を行うことができるようになっている。
【0030】
以上の構成により、本実施形態の飲水装置1Aによれば、上記第1実施形態の飲水装置1と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、水道水導入管6の主通路61に中空糸膜フィルタ7が配置されたことにより、水道水に混入した固形異物や浮遊物を除去して、飲水装置1Aに目詰まりなどの不具合が発生するのを抑制することができる。
【0031】
また、中空糸膜フィルタ7によって飲水装置1Aの配管内に異物が付着するのを抑制できるため、飲水装置1Aをより衛生的に保つことができる。
【0032】
さらに、中空糸膜フィルタ7は導入される水道水を浄化するため、水道水を飲用水とする場合の安全性を向上することができる。
【0033】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図4は、本実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図、図5は、本実施形態にかかる飲水装置の各使用モードに対応した開閉弁の開閉状態を表形式で示す説明図である。
【0034】
本実施形態の飲水装置1Bは、上記第1実施形態と同様にして、飲用水供給管5の蛇口4と第1の開閉弁V1との間に、図示省略した水道管から第2の開閉弁V2を介して導入した水道水が供給される水道水導入管6を連通するようにしている。
【0035】
ここで、本実施形態の飲水装置1Bが上記第1実施形態の飲水装置1と主に異なる点は、水道水導入管6に、活性炭と中空糸膜フィルタとを備えた浄水器8およびこの浄水器8と直列に配置される第3の開閉弁V3を、第2の開閉弁V2と並列に配置したことにある。
【0036】
すなわち、本実施形態の水道水導入管6は、第2の開閉弁V2が設けられる主通路61と、当該主通路61の第2の開閉弁V2を迂回するバイパス通路62とを備えており、このバイパス通路62に上流側から順に第3の開閉弁V3および浄水器8が配置されている。
【0037】
浄水器8は、中空糸膜フィルタによって水道水に混入した固形異物や浮遊物などのを除去できるとともに、活性炭によって遊離残留塩素や臭い成分などを除去できるようになっており、浄水器8を通した場合には、味覚的にいやな味や臭いを水道水から取り除いた浄水を得ることができる。なお、水道水を浄水器8で濾過した水を浄水として以下述べるものとする。
【0038】
ところで、本実施形態では、水道水導入管6に、第2の開閉弁V2を設けた主通路61と、第3の開閉弁V3および浄水器8を設けたバイパス通路62と、が並列配置されている。これにより、第2の開閉弁V2を設けた主通路61からは、水道水を直接飲水装置1Bに取り込むことができるとともに、第3の開閉弁V3を設けたバイパス通路62からは、水道水を浄水器8で濾過した浄水を飲水装置1Bに取り込むことができ、2系統の水道水導入経路が構成される。
【0039】
したがって、飲水装置1Bは、図5に示すように、(1)飲用水利用時の飲用水モードと、(2)水道水利用時の水道水モードと、(3)浄水利用時の浄水モードと、(4)水道水のお手入れ時の消毒洗浄モードと、(5)浄水の貯水容器補充時の浄水補充モードと、の各使用態様を設定することができる。また、同図には、それら各使用態様に合わせてそれぞれのモードにおける第1の開閉弁V1、第2の開閉弁V2、第3の開閉弁V3および蛇口4の開閉状態が示されている。
【0040】
つまり、(1)の飲用水モードでは、第1の開閉弁V1が開弁されるとともに、第2および第3の開閉弁V2、V3が閉弁された状態で蛇口4を開閉することになる。(2)の水道水モードでは、第1および第3の開閉弁V1、V3が閉弁されるとともに、第2の開閉弁V2が開弁された状態で蛇口4を開閉することになる。(3)の浄水モードでは、第1および第2の開閉弁V1、V2が閉弁されるとともに、第3の開閉弁V3が開弁された状態で蛇口4を開閉することになる。(4)の消毒洗浄モードでは、(2)と同様に第1および第3の開閉弁V1、V3が閉弁されるとともに、第2の開閉弁V2が開弁された状態で蛇口4を開閉することになる。(5)の浄水補充モードでは、第2の開閉弁V2および蛇口4が閉弁されるとともに、第3の開閉弁V3が開弁された状態で第1の開閉弁V1を開閉することになる。
【0041】
ここで、(3)の浄水モードでは、浄水器8を通した浄水を蛇口4から取り出すことができるのであるが、この浄水は、いやな味や臭いを取り除いた水であるため美味しく飲用できる。しかし、その浄水は、遊離残留塩素も活性炭により取り除かれるので、飲水装置1Bの配管内に浄水が滞留した場合には、その水が痛み易くなる。このときは、(4)の消毒洗浄モードに切り換えることにより、遊離残留塩素を含んだ水道水を飲水装置1Bに導入できるので、第1の開閉弁V1よりも下流側の飲用水供給管5を消毒することができる。
【0042】
また、(5)の浄水補充モードは、水道水を浄水器8に通して得られる浄水は、上述したように臭い成分などを取り除いた美味しい水であるため、第2の開閉弁V2および蛇口4を閉弁した状態で第3の開閉弁V3を開弁することにより、浄水を、開弁した第1の開閉弁V1を介して水受部31から貯水容器2内に供給できることになる。したがって、貯水容器2内の飲用水が空になった場合は浄水を簡単に補充できる。この際、定常的に浄水を補充する場合は、カートリッジタイプの貯水容器2に代えて固定式の貯水タンクとすることが好ましい。
【0043】
以上の構成により、本実施形態の飲水装置1Bによれば、上記第1実施形態の飲水装置1と同様の作用効果を奏するのはもちろんこと、水道水導入管6に水道水を浄水器8に通すバイパス通路62を設けたので、貯水容器2の飲用水のみならず、浄水器8で濾過していやな味や臭いを取り除いて浄水化した水道水も使用できるので経済的である。
【0044】
また、浄水使用後においても、長期停止前に遊離残留塩素が混入した水道水を導入して消毒洗浄しておくことにより、雑菌繁殖を抑制して飲水装置1Bを長期に亘って衛生的に使用することができる。
【0045】
さらに、貯水容器2に水道水から作り出した浄水を補充できるので、この点からも経済的となる。特に、水道水が断水される場合は、前もって貯水容器2に浄水を満タンに補充しておくことにより、断水時に安心して対応することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、上記特徴的な構成を第1実施形態に適用した場合を例示したが、これに限ることなく、第2実施形態に適用してもよい。この場合、第2実施形態の作用効果に加えて本実施形態の作用効果を奏することができる。
【0047】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について図面を参照して説明する。図6は、本実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図、図7は、本実施形態にかかる飲水装置の各使用モードに対応した開閉弁の開閉状態を表形式で示す説明図である。
【0048】
本実施形態の飲水装置1Cは、上記第3実施形態と同様にして、水道水導入管6に、活性炭と中空糸膜フィルタとを備えた浄水器8およびこの浄水器8と直列に配置される第3の開閉弁V3を、第2の開閉弁V2と並列に配置している。
【0049】
ここで、本実施形態の飲水装置1Cが上記第3実施形態の飲水装置1Bと主に異なる点は、貯水容器2の下流側に、この貯水容器2から供給される水量を検出する水量検出部としての水量センサ9を設け、かつ、第1、第2および第3の開閉弁V1、V2、V3をそれぞれ自動開閉構造とし、それら自動開閉される第1・第2および第3の開閉弁V1、V2、V3を、飲水装置1Cの使用態様に応じて開閉制御する制御部としての電磁弁制御ユニット10を設けたことにある。
【0050】
水量センサ9は、貯水容器2の注水口2aを挿入する水受部31の内部に設けられ、貯水容器2から流下する飲用水の流量を検出して、貯水容器2内の飲用水が空になった状態を検知できるようになっている。
【0051】
また、第1・第2および第3の開閉弁V1、V2、V3をそれぞれ自動開閉構造とするにあたって、第1の開閉弁V1を第1の電磁弁VE1で構成し、第2の開閉弁V2を第2の電磁弁VE2で構成し、かつ、第3の開閉弁V3を第3の電磁弁VE3で構成してある。
【0052】
したがって、飲水装置1Cの使用態様に応じた各モードの切り換えは、電磁弁制御ユニット10からそれぞれの電磁弁VE1、VE2、VE3に開閉指令信号を送ることにより、手動によることなく自動で開閉制御できるようになっている。
【0053】
また、本実施形態の飲水装置1Cの使用態様は、上記第3実施形態の飲水装置1Bと同様であり、図7に示すように、(1)の飲用水モード、(2)の水道水モード、(3)の浄水モード、(4)の消毒洗浄モードおよび(5)の浄水補充モードを実行できるようになっている。このとき、図5に示した第1の開閉弁V1は第1の電磁弁VE1、第2の開閉弁V2は第2の電磁弁VE2、第3の開閉弁V3は第3の電磁弁VE3となっている。
【0054】
さらに、本実施形態では、電磁弁制御ユニット10は、図示省略したコントローラが接続されており、このコントローラのボタン操作で各モードを簡単に設定できるようになっている。
【0055】
特に、(2)の水道水モードや(4)の消毒洗浄モードに設定する際、必ず第1の開閉弁V1(第1の電磁弁VE1)を閉弁してから第2の開閉弁V2(第2の電磁弁VE2)を開弁する必要がある。つまり、第1の開閉弁V1(第1の電磁弁VE1)を閉弁しておかないと、水道水の水圧で漏水や配管の破損を生じる虞があるが、本実施形態ではモードに応じて必ず第1の電磁弁VE1が自動で閉弁されるため、各種不具合を無くすことができる。
【0056】
また、本実施形態では、貯水容器2の下流側に水量センサ9が設けられているが、貯水容器2が空になった状態をその水量センサ9で検知して電磁弁制御ユニット10に出力することにより、前記コントローラのボタン操作に依ることなく自動で(3)の浄水モード、つまり、第1の電磁弁VE1を閉弁し第3の電磁弁VE3を開弁して、蛇口4からは水切れを起こすことなく自動的に浄水を取り出すことができる状態に設定できる。
【0057】
また、コントローラのボタン操作、もしくは水量センサ9の検出信号により第1の電磁弁VE1を閉弁して第2の電磁弁VE2または第3の電磁弁VE3を開弁する使用態様((2)、(3)、(4)のモード)では、第1の電磁弁VE1を閉弁してから第2または第3の電磁弁VE2、VE3を開弁するまでの時間を0〜数秒の範囲で可変設定できるようにすることが好ましい。このように設定することにより開閉弁の動作完了をより確実に実行することができる。
【0058】
以上の構成により、本実施形態の飲水装置1Cによれば、上記第3実施形態の飲水装置1Bと同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、開閉弁V1、V2、V3を電磁弁VE1、VE2、VE3で構成して自動開閉構造とし、それぞれの電磁弁を電磁弁制御ユニット10で開閉制御するようにしたので、飲水装置1Cの使用態様をボタン操作などによって簡単かつ正確に実行することができる。
【0059】
また、複数の開閉弁の開閉切り換えを正確に行うことができるため、それら開閉弁の操作ミスに起因する漏水事故や配管破損を無くすことができる。さらに、貯水容器2の飲用水切れを起こした場合はスムーズに浄水モードに自動切り換えして、蛇口4からは常に水を取り出す状態を維持することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、上記特徴的な構成を第3実施形態に適用した場合を例示したが、これに限ることなく、第1または第2実施形態に適用してもよい。この場合、第1または第2実施形態の作用効果に加えて本実施形態の作用効果を奏することができる。
【0061】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について図面を参照して説明する。図8は、本実施形態にかかる飲水装置を模式的に示す全体斜視図である。
【0062】
本実施形態の飲水装置1Dは、上記第4実施形態と同様にして、貯水容器2の下流側に、この貯水容器2から供給される水量を検出する水量センサ9を設け、かつ、第1、第2および第3の開閉弁V1、V2、V3をそれぞれ自動開閉構造とし、それら自動開閉される第1・第2および第3の開閉弁V1、V2、V3を、飲水装置1Cの使用態様に応じて開閉制御する電磁弁制御ユニット10を設けている。
【0063】
ここで、本実施形態の飲水装置1Dが上記第4実施形態の飲水装置1Cと主に異なる点は、水道水導入管6が繋がる連通部51と蛇口4との間の飲用水供給管5に、貯水容器2または水道水導入管6から導入される水を電気分解する電解槽11を設けるとともに、この電解槽11と上記連通部51との間に、導入水量を安定化させる流量調整部12および電解槽11の電解電圧を制御するための流量検出部としての流量センサ13を設けたことにある。
【0064】
電解槽11はケース本体3内に収納されるようになっており、このケース本体3の上部には、前記各実施形態と同様に水受部31が設けられ、この水受部31に天地逆にした貯水容器2の注水口2aが挿入されるようになっている。なお、水受部31には、上記第4実施形態と同様に水量センサ9が組み込まれている。
【0065】
電解槽11は、電界隔膜111で仕切られた陽極室112と陰極室113とが並設され、陽極室112には陽極板114が設けられるとともに、陰極室113には陰極板115が設けられ、それら陽極板114と陰極板115とは電界隔膜111を挟んで互いに対向する位置関係で配置されている。
【0066】
そして、連通部51と蛇口4との間の飲用水供給管5は途中で分断されて、上流側供給管52と下流側供給管53となり、それら上流側供給管52と下流側供給管53との間に電解槽11が設けられる。
【0067】
流量調整部12および流量センサ13は上流側供給管52に直列に設けられ、流量調整部12よりも流量センサ13が下流側に位置するようにして配置される。流量調整部12は、たとえば、オリフィスによって簡単な構造として構成することができる。
【0068】
上流側供給管52の下流側端末部52aは電解槽11の下部に連通され、貯水容器2から供給される飲用水、もしくは水道水導入管6から供給される水道水や浄水器8を通過した浄水が、電解槽11内に供給されるようになっている。そして、電解槽11の陽極板114および陰極板115に直流電圧を印加して電気分解することにより、陽極室112内では、排水となる酸性水が生成されるとともに、陰極室113内では、飲用として好ましいアルカリイオン水が生成されるようになっている。
【0069】
また、下流側供給管53の上流側始端部53aは、電解槽11の陰極室113の上部に連通され、この陰極室113で生成されたアルカリイオン水を取り出して蛇口4に案内するようになっている。一方、陽極室112の上部には排水管14が連通され、この排水管14の下流側をケース本体3の内部に脱着自在となった排水タンク15に連通して、陽極室112で生成された酸性水が排水タンク15に排出されて溜められるようになっている。排水管14には、上流側から順に流量センサ16および第4の電磁弁VE4が設けられている。
【0070】
なお、排水される酸性水は、排水管14を飲水装置1Dの外部に配索して直接放流することも可能であるが、上述したように排水タンク15に溜めることにより、その排水を他の目的に有効活用してもよく経済的となる。
【0071】
さらに、本実施形態では、流量センサ13よりも下流側の上流側供給管52と排水管14とが、第5の電磁弁VE5を設けた放出管17によって連通され、必要に応じてその第5の電磁弁VE5を開弁することにより、上流側供給管52から供給される水(飲用水、水道水、浄水)を排水タンク15内に放出できるようになっている。この排水タンク15には、タンク内に溜められる排水量を検出する水量センサ18が設けられ、この水量センサ18によって排水タンク15内の満水状態を検知できるようになっている。
【0072】
さらにまた、下流側供給管53には、これを通過するアルカリイオン水の一部を取り出すイオン水取出管20が連通され、このイオン水取出管20に設けたPHセンサ19によってアルカリイオン水のPHが測定される。このイオン水取出管20の下流側は排水管14に繋がって、測定後の水は排水タンク15に放出される。
【0073】
また、ケース本体3の外側面には、操作ボタンや表示ランプなどを備えた電解槽11の操作表示部21が設けられる。また、ケース本体3内には電解槽制御部22が設けられ、この電解槽制御部22は、流量センサ13や水量センサ18およびPHセンサ19などの検出信号を入力して、陽極板114および陰極板115に印加する電解電圧を制御するとともに、第4および第5の電磁弁VE4、VE5を開閉する駆動信号を出力するようになっている。また、電解槽制御部22は、操作表示部21と信号をやり取りするようになっており、操作表示部21の操作信号を電解槽制御部22が入力するとともに、電解槽11の運転状態を操作表示部21に表示できるようになっている。
【0074】
電解槽制御部22は、プラグ23aによって図示省略したコンセントに電気的に接続される電源部23を備え、この電源部23から供給される電力によって電解槽制御部22が駆動される。
【0075】
ところで、電解槽11に導入される水は、飲用水または水道水もしくは浄水であるが、これらが上流側供給管52に導入される際、貯水容器2から自然落下により供給される水圧の低い飲用水と違って、水道管を供給源とする水道水や浄水は水圧が高くて流量変動が大きくなる。また、自然落下による飲用水を電解槽11で電気分解する場合は、電極に印加する電解電圧を低く抑えないと、生成されるアルカリイオン水のPH値が飲用に適さない値となってしまう虞がある。このため、上流側供給管52を流れる水を流量調整部12で安定化させるとともに、流量センサ13で流量を検出して電解電圧を適正に制御することで、電解槽11を安全かつ安定して駆動させることができる。
【0076】
なお、本実施形態にあっても、第1、第2および第3の電磁弁VE1、VE2、VE3を開閉制御することにより、飲水装置1Dの使用態様を各種設定できる。この使用態様は、第1、第2および第3の電磁弁VE1、VE2、VE3を用いたことにより、図7に示した第4実施形態の使用態様と同様であり、(1)の飲用水モード、(2)の水道水モード、(3)の浄水モード、(4)の消毒洗浄モードおよび(5)の浄水補充モードを実行できる。このとき、第1、第2および第3の電磁弁VE1、VE2、VE3および蛇口4の開閉は図7と同様であるため、本実施形態では各使用モードに対応した開閉弁の開閉状態を示す表は省略するものとする。
【0077】
以上の構成により、本実施形態の飲水装置1Dによれば、上記第4実施形態の飲水装置1Cと同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、飲用水供給管5の途中に電解槽11を設けて、この電解槽11に貯水容器2または水道水導入管6から導入される水を導入して電気分解するようになっている。したがって、貯水容器2の飲用水および水道水導入管6から供給される水道水や浄水のいずれも電気分解の電解水として利用でき、電解槽11で生成されたアルカリイオン水を蛇口4からいつでも取り出すことができる。
【0078】
また、電解槽11に飲用水または水道水や浄水を導入する配管に流量調整部12および流量センサ13を設けたので、流量調整部12で流量を安定化させて、その安定化した流量を流量センサ13で検出した信号によって電解電圧(電流)を適正に制御できるようになり、電解槽11を安全かつ安定して駆動させることができる。
【0079】
なお、本実施形態では、上記特徴的な構成を第4実施形態に適用した場合を例示したが、これに限ることなく、第1〜第3実施形態のいずれか1つにあっても適用することができる。この場合、第1〜第3実施形態が奏する作用効果に加えて本実施形態の作用効果を奏することができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【0081】
例えば、各種配管に他の濾過器や他の機能部品が適宜配置された飲水装置にあっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B、1C、1D 飲水装置
2 貯水容器(飲水貯留部)
4 蛇口
5 飲用水供給管
6 水道水導入管
V1 第1の開閉弁
V2 第2の開閉弁
V3 第3の開閉弁
VE1 第1の電磁弁(自動開閉される開閉弁)
VE2 第2の電磁弁(自動開閉される開閉弁)
VE3 第3の電磁弁(自動開閉される開閉弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲用水を貯留した飲水貯留部と、当該飲水貯留部の飲用水を取り出す蛇口と、前記飲水貯留部および蛇口を連通し第1の開閉弁が設けられる飲用水供給管と、を備え、
前記飲用水供給管の前記蛇口と前記第1の開閉弁との間に、水道管から第2の開閉弁を介して導入した水が供給される水道水導入管を連通させたことを特徴とする飲水装置。
【請求項2】
前記水道水導入管は、前記第2の開閉弁が設けられる主通路を備えており、
前記主通路に、中空糸膜フィルタを配置したことを特徴とする請求項1に記載の飲水装置。
【請求項3】
前記水道水導入管は、前記第2の開閉弁が設けられる主通路と、当該主通路の前記第2の開閉弁を迂回するバイパス通路と、を備えており、
前記バイパス通路に、活性炭と中空糸膜フィルタとを備えた浄水器および第3の開閉弁を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の飲水装置。
【請求項4】
前記飲水貯留部の下流側に、当該飲水貯留部から供給される水量を検出する水量検出部を設けるとともに、前記開閉弁をそれぞれ自動開閉構造とし、当該自動開閉される開閉弁を飲水装置の使用態様に応じて開閉制御する制御部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項に記載の飲水装置。
【請求項5】
前記水道水導入管が繋がる連通部と前記蛇口との間の前記飲用水供給管に、前記飲水貯留部または前記水道水導入管から導入される水を電気分解する電解槽を設けるとともに、
前記電解槽と前記連通部との間に、導入水量を安定化させる流量調整部および電解槽の電解電圧を制御するための流量検出部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項に記載の飲水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−255357(P2011−255357A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134253(P2010−134253)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】