説明

養生板

【課題】鉄がもつ強度・硬度と、ゴムがもつしなやかさを併せ持つ敷き鉄板の代替としての養生板を提供する。
【解決手段】養生板の総質量当たり、50〜60%のゴム成分、13〜16%の熱可塑性合成樹脂成分、及び残部の各種添加剤・充填剤から成る養生板であり、養生板の厚さ方向に水抜き孔としての透孔を穿設し、養生板の上面に複数個の突起を突設し、突起と突起の間の溝部を水路とし、同時に突起を歩行時の滑り止めとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養生板に関する。より詳細に述べれば、本発明は、熱可塑性合成樹脂とゴムを主要成分として特定比率で含有し、硬度とゴム弾性を満たす養生板に関する。
【背景技術】
【0002】
昭和57年6月20日(株)彰国社発行の「建築大辞典」第1567頁は、養生を「概略(1)モルタルやコンクリートが十分に硬化するまで適切な温度条件に維持すること、(2)工事箇所の防護の意、例えば、左官・塗装工事などで作業箇所の周辺、並びに仕上がり面を保護すること、(3)工事現場における危険防止、(4)植物を育成し、或いは天然、人為の災害から保護するために手当すること等」と定義している。従って、本発明の養生板は、この定義の養生に使用される。
【0003】
また、市街地などの現場で、歩道通行人に危害や迷惑をかけないように歩道上に設ける仮設構造物として「養生構台」がある。本発明の養生板は、養生構台にも使用される。
【0004】
また、本発明の養生板は、工場・倉庫等建家内の緩衝材、荷台養生、ゴルフ場の歩経路、或いは駐車場、各種イベント会場等の置き敷き簡易舗装材として使用することができる。
【0005】
本発明の養生板は、限定された使用態様では、いわゆる敷き鉄板の代替として使用できる。
【0006】
従来から工事現場、仮設道路等では、鉄板、いわゆる「敷き鉄板」が使用されている。敷き鉄板は、その耐荷重特性を生かして、溝の架橋や、クレーン等重機のアウトリガーの支持用等に使用されている。然しながら、クレーン等重機を必要としない小規模建設現場、或いは建家内では、敷き鉄板の耐荷重特性が、逆に欠点になることがある。即ち、敷き鉄板には多様なサイズがあるが、その質量は約300Kg〜1800Kgあるので、移動、運搬、敷設には、クレーンを必要とし、コストを引き上げる要因になっている。
【0007】
市場調査をした結果、当業界では、クレーン等重機を必要としない小規模建設現場、建家内の使用、イベント会場の置き敷き簡易舗装材等用途、使用目的によっては、敷き鉄板のような高耐荷重性や硬度を必要とせず、人力による移動、運搬、敷設が可能な敷き鉄板の代替品が要求されていること、および敷き鉄板のような高耐荷重性や硬度を必要とせず、ゴム弾性と、適度の硬度を兼ね備えた敷き鉄板の代替品が要求されていることが分かった。
【0008】
特に、北海道のような寒冷地でも、ゴム弾性があり、荷重が負荷された際の復元性、低温特性に優れている敷き鉄板の代替品としての養生板が要求されていることが分かった。抽象的には、鉄がもつ強度・硬度と、ゴムがもつしなやかさを併せ持つような養生板が要求されていることが分かった。具体的には、−30℃及び常温における切断時伸びが、それぞれ、少なくとも50%及び120%であること、並びに−30℃及び常温における降伏点伸びが、それぞれ、少なくとも50%及び110%であることが要求されていることが分かった。
【0009】
これらの要望に応えるべく、樹脂製の敷板が各種提案されている。
【0010】
たとえば、特許文献1は、再生ポリエチレンに対し、古タイヤを粉砕した再生ゴム粉を8〜20質量%混入したことを特徴とする樹脂製敷板を開示している。
【0011】
特許文献1の段落0018には、再生ゴム粉の混入量が8〜20質量%及び再生ポリエチレンの混入量が92〜80質量%であると記載されている。
【0012】
特許文献1は、切断時伸び(%)及び降伏点伸び(%)等ゴム弾性に関する正確な情報が記載されていない。然しながら、再生ポリエチレンが92〜80質量%と、ゴム成分に比べて大量に使用しているので、当然ゴム弾性を犠牲にしていることが推断される。
【0013】
特許文献1の段落0006には、「このような樹脂製敷板は、前述のような一般廃棄物から産業廃棄物までの再生オレフィン樹脂(市販されている)で製造されているため、弾性が小さく、舗面上などに敷設された場合には、鉄板ほどではないにしても、車両などの通過により舗面などへの衝撃が大きく、また騒音も大きいという欠点がある。さらに、滑り抵抗も小さく、車両あるいは作業員がスリップしやすく、安全性が多少損なわれるという欠点がある。」と記載されている。また、同じく段落0007には、「本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、敷設された舗面などを良好に保護可能であり、騒音も小さく滑り抵抗が従来に比較して大きな樹脂製敷板を提供することを目的とする。」と記載されている。
【0014】
これらの記載からも特許文献1に記載されている樹脂製敷板が、ゴム弾性の向上を目的とするものではなく、騒音を小さく滑り抵抗が従来の樹脂製敷板に比べて大きくすることを目的とするものであることが分かる。
【特許文献1】特開2008−50841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明が解決しようとする第1の課題は、鉄がもつ強度・硬度と、ゴムがもつしなやかさを併せ持つ敷き鉄板の代替としての養生板を提供することである。
【0016】
発明が解決しようとする第2の課題は、北海道のような寒冷地でも、ゴム弾性があり、荷重が負荷された際の復元性、低温特性に優れている敷き鉄板の代替品としての養生板を提供することである。
【0017】
発明が解決しようとする第3の課題は、再生熱可塑性合成樹脂の産業上の用途を拡大することである。
【0018】
発明が解決しようとする第4の課題は、再生ゴム、並びにゴム粉の産業上の用途を拡大することである。
【0019】
従来の樹脂製敷板は同じ大きさの敷き鉄板と比べ、40kg程度と軽いことから人力での移動が可能である。しかし、従来の樹脂製敷板を、水を多量に使用する工事現場或いは雨水が滞留したり、もしくは地下水が滲出し易い軟弱地盤に敷設した場合、養生板の下面に水が滞留すると、養生板が浮き上がったり、移動することがあり、危険である。従って、発明が解決しようとする第5の課題は、養生板を水を多量に使用する工事現場或いは雨水が滞留したり、もしくは地下水が滲出し易い軟弱地盤に敷設した場合、養生板と路面の界面に滞留した水を速やかに排水し、且つ歩行した際に滑るのを防止する養生板を提供することである。
【0020】
発明が解決しようとするその他の課題及び利点は、以下逐次明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によると、上記各課題は次の各項に述べる手段によって解決される。
1.養生板の総質量当たり、50〜60%のゴム、13〜16%の熱可塑性合成樹脂、及び残部の各種添加・充填剤から成る養生板。
【0022】
2.上記1項において、−30℃における切断時伸びを、少なくとも50%、並びに−30℃における降伏点伸びを、少なくとも50%にする。
【0023】
3.上記1または2項において、熱可塑性合成樹脂成分として未使用熱可塑性合成樹脂及び/又は再生熱可塑性合成樹脂を使用する。
【0024】
4.上記1または2項において、ゴム成分として、未使用の天然又は合成ゴム、再生ゴム、ゴム粉、及びこれら混合物から成る群から選択された1種を使用する。
【0025】
5.上記1〜4のいずれか1項において、養生板の厚さ方向に水抜き孔としての透孔を穿設し、養生板の上面に前記透孔を介して複数個の突起を突設し、突起と突起の間の溝部を水路とし、同時に突起を歩行時の滑り止めとする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明によれば、添加剤・充填材を適宜選択して配合することにより鉄がもつ強度・硬度と、ゴムがもつしなやかさを併せ持つ敷き鉄板の代替としての養生板を提供することができる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、北海道のような寒冷地でも、ゴム弾性があり、荷重が負荷された際の復元性、低温特性に優れている敷き鉄板の代替品としての養生板を提供することができる。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、再生熱可塑性合成樹脂の産業上の用途を拡大することができる。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、再生ゴム、並びにゴム粉の産業上の用途を拡大することができる。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、養生板を路面に敷設した場合、養生板と路面の界面に滞留した水を速やかに排水し、且つ歩行した際に滑るのを防止する養生板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明で使用される熱可塑性合成樹脂成分としては、特段に限定されず、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等任意に選択できる。ただし、安価、各種機械的性質、化学的性質、安全性、信頼性等の観点から、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンが特に好ましい。
【0032】
本発明で使用される熱可塑性合成樹脂成分としては、未使用の熱可塑性合成樹脂の他に、再生熱可塑性合成樹脂を使用することを排除しない。再生熱可塑性合成樹脂品としては、たとえば、再生ポリエチレン、使用済み農業用ポリ塩化ビニルフィルムに添加剤を加えることなく、再生処理した顆粒成形材料(JISK6930)が例示される。無論、再生熱可塑性合成樹脂品は、ポストコンシューマ材料及びプレコンシューマ材料を包含する。
【0033】
本発明に従って、熱可塑性合成樹脂成分は、未使用の熱可塑性合成樹脂を単独で、または再生熱可塑性合成樹脂を単独で使用しても、未使用の熱可塑性合成樹脂とそれと同種または異種の再生熱可塑性合成樹脂を混合して使用してもよい。
【0034】
本発明で使用する代表的な熱可塑性合成樹脂成分は、未使用のポリエチレン単独、再生ポリエチレン単独、未使用のポリエチレンと再生ポリエチレンの混合が例示される。
【0035】
本発明で使用する別の代表的な熱可塑性合成樹脂成分は、未使用のポリ塩化ビニル単独、再生ポリ塩化ビニル単独、未使用のポリ塩化ビニルと再生ポリ塩化ビニルの混合が例示される。
【0036】
本発明で使用するさらに別の代表的な熱可塑性合成樹脂成分は、未使用のポリエチレンと未使用のポリ塩化ビニルの混合、未使用のポリエチレンと未使用のポリ塩化ビニルと再生ポリエチレンの混合、未使用のポリエチレンと未使用のポリ塩化ビニルと再生ポリ塩化ビニルの混合、及び未使用のポリエチレンと未使用のポリ塩化ビニルと再生ポリ塩化ビニルと再生ポリエチレンの混合が例示される。
【0037】
本発明に従って、未使用の熱可塑性合成樹脂と再生の熱可塑性合成樹脂を混合して使用する場合、それぞれの混合比率は、コスト、混合物の物性等を勘案して、適宜選定することが好ましい。
【0038】
本発明で使用されるゴム成分としては、特段に限定されず、未使用の天然及び合成ゴムから任意に選択できる。
【0039】
本発明で使用されるゴム成分としては、未使用の天然及び合成ゴムの他に、各種再生ゴムを使用することを排除しない。再生ゴムとしては、たとえば、JISK6313が規定する自動車用タイヤ、チューブ及びその他のゴム製品の使用済みのゴムなどを再生したもの、或いはJISK6316が規定するゴムチップ及びゴム粉末を包含するゴム粉が例示される。無論、本発明で使用される再生ゴム成分には、プレコンシューマ材料を包含する。
【0040】
本発明に従って、ゴム成分は、未使用の天然及び合成ゴムを単独で、または再生ゴムを単独で使用しても、未使用の天然及び合成ゴムと、各種再生ゴムを混合して使用してもよい。
【0041】
本発明に従って、未使用の天然及び合成ゴムと各種再生ゴムを混合して使用する場合、それぞれの混合比率は、コスト、混合物の物性等を勘案して、適宜選定することが好ましい。
【0042】
本発明において、ゴム成分の配合量は、養生板の総質量当たり50〜60%、好ましくは58〜60%である。50質量%以下の場合、混練作業が難しくなり、加工性が非常に悪くなるので好ましくない。また、60質量%以上の場合、目標とする硬度にならず、さらに徒にコストを引き上げるので好ましくない。
【0043】
本発明において、熱可塑性合成樹脂の配合量は、養生板の総質量当たり13〜16%、好ましくは14〜16%で配合することが好ましい。13質量%以下の場合、ゴム成分が増えるため、硬度が出なくなり、16質量%以上の場合、熱可塑性合成樹脂成分が増えるため、ゴム弾性がなくなり、伸びが100%以下になるので、好ましくない。
【0044】
本発明の養生板の製造に当たっては、湿式シリカ等補強性充填剤、ハードクレー等充填剤、変性フェノール樹脂等粘着付与剤、微結晶ワックス等老化防止剤、ステアリン酸等滑剤、酸化亜鉛等加硫促進剤、無水フタル酸等スコーチ防止剤、硫黄等加硫剤等プラスチック・ゴム用各種充填・添加剤を、要望する物性に合わせて所定量配合する。
【0045】
本発明の養生板のデュロメーターA硬度は約97で、従来の樹脂製養生板と大差はない。然しながら、本発明の養生板が従来の樹脂製養生板と異なる最も特徴的な物性は、切断時伸びと降伏点伸びである。即ち、本発明の養生板の常温及び−30℃における切断時伸びは、それぞれ、120%及び50%である。これらは、従来の樹脂製養生板と比べて、それぞれ、2.4倍及び2.5倍である。また、本発明の養生板の常温及び−30℃における降伏点伸びは、それぞれ、110%及び50%である。これらは、従来の樹脂製養生板と比べて、それぞれ、11倍及び5倍である。
【0046】
前述したように、本発明の養生板は、モルタルやコンクリートが十分に硬化するまで適切な温度条件に維持する資材、工事箇所の防護資材、工事現場における危険防止用資材、植物を育成し、或いは天然、人為の災害から保護する資材、養生構台、工場・倉庫等建家内の緩衝材、荷台養生、ゴルフ場の歩経路、或いは駐車場、各種イベント会場等の置き敷き簡易舗装材等多様な用途に使用される。
【0047】
ところで、本発明の養生板は、敷き鉄板に比べて比重が約1/7と小さい。そのため、本発明の養生板を、水を多量に使用する工事現場或いは雨水が滞留したり、もしくは地下水が滲出し易い軟弱地盤に敷設した場合、養生板の下面に水が滞留すると、養生板が浮き上がったり、移動することがあり、危険である。従って、発明が解決しようとする第5の課題は、養生板を水を多量に使用する工事現場或いは雨水が滞留したり、もしくは地下水が滲出し易い軟弱地盤に敷設した場合、養生板と路面の界面に滞留した水を速やかに排水し、且つ歩行した際に滑るのを防止するような構造にすることが重要である。そのために、図1に示されるように、本発明の養生板1の厚さ方向に水抜き穴としての複数個の透孔2を穿設し、養生板の上面に複数個の突起3を突設し、突起と突起の間の溝部4を水路とすることにより、養生板1と敷設面(図示されていない)との界面に発生した水を、先ず透孔2から養生板の上面に向けて抜き、次いで、突起と突起の間の溝部4を水路として排水する構造にする。
【0048】
また、本発明の養生板の上面に突設された複数の突起は、歩行した際の滑り防止手段を兼ねる。
【0049】
従って、本発明の養生板の上面に突設される突起の形状は特段に限定されない。即ち、本発明の養生板の上面に突設される突起の形状は円形、角形、或いはそれらの組合せ、若しくは意匠を兼ねた図研、模様等任意に選択される。また、水路を形成するという点からは、所定の長さの凸条の方が排水効率がよい。
【0050】
本発明の養生板の形状、質量等は、特段に限定されず、所望により任意に選定できる。然しながら、汎用性を考慮すると、たとえば、幅×長さ×厚さ:1,000×2,000×10mm、質量:22kg、突起の高さ:2mm、透孔直径:10〜15mmである。
【0051】
以下、実施例及び比較例を参照して本発明を具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例で、主要原料であるゴム成分、及び熱可塑性合成樹脂成分であるポリエチレンは、下記のものを使用した。
天然ゴム:タイ国産、グレード:RSS No.3
SBR:JSR(株)、グレード:SBR1502
ハイスチレン:JSR(株)、グレード:JSR0061
再生ゴム:プレス成型時に発生したバリの再生ゴム(JISK6313:2006の3.記載の中で「その他の再生ゴムA級、略号C1」に該当する。)
粉砕ゴム:プレス成型時に発生したバリの粉砕ゴム(JISK6316:1998の4.記載の中で「4類」に該当する。)
再生ポリエチレン:新興産業(株)製軟化点120℃以下の低密度ポリエチレン再生品。
【0052】
以下の実施例及び比較例で行った試験方法および試料作製方法を表−1に示した。
【0053】
【表1】

【実施例1】
【0054】
表−2に記載した配合量(質量%)で、ゴム、ポリエチレン、及び充填剤、添加剤を使用して、1,000mm(w)×2,000mm(L)×10mm(t),質量22kgの養生板をプレス成型により製造した。養生板の上表面には、高さ2mm及び直径16mmの突起を45mm間隔で突設し、突起と突起の対角線上に直径15mmの透孔を穿設した。
【0055】
実施例1で製造した養生板のデュロメーターA硬度、デュロメーターD硬度、引張強さ(JISK6251、単位MPa)、切断時伸び(JISK6251、単位%)、比重、及び曲げ強さ(JISK7171、単位MPa)、切断時伸び(常温、及び−30℃)及び降伏点伸び(常温、及び−30℃)を測定して表−2に併記した。
【実施例2】
【0056】
表−2に記載した配合量(質量%)で、ゴム、ポリエチレン、及び充填剤、添加剤を使用して、1,000mm(w)×2,000mm(L)×10mm(t),質量22kgの養生板をプレス成型により製造した。養生板の上表面には、高さ2mm及び直径16mmの突起を45mm間隔で突設し、突起と突起の対角線上に直径15mmの透孔を穿設した。
【0057】
実施例2で製造した養生板のデュロメーターA硬度、デュロメーターD硬度、引張強さ(JISK6251、単位MPa)、切断時伸び(JISK6251、単位%)、比重、及び曲げ強さ(JISK7171、単位MPa)、切断時伸び(常温、及び−30℃)及び降伏点伸び(常温、及び−30℃)を測定して表−2に併記した。
【実施例3】
【0058】
表−3に記載した配合量(質量%)で、ゴム、ポリエチレン、及び充填剤、添加剤を使用して、1,000mm(w)×2,000mm(L)×10mm(t),質量22kgの養生板をプレス成型により製造した。養生板の上表面には、高さ2mm及び直径16mmの突起を45mm間隔で突設し、突起と突起の対角線上に直径15mmの透孔を穿設した。
【0059】
実施例3で製造した養生板のデュロメーターA硬度、デュロメーターD硬度、引張強さ(JISK6251、単位MPa)、切断時伸び(JISK6251、単位%)、比重、及び曲げ強さ(JISK7171、単位MPa)、切断時伸び(常温、及び−30℃)及び降伏点伸び(常温、及び−30℃)を測定して表−3に併記した。
【実施例4】
【0060】
表−3に記載した配合量(質量%)で、ゴム、ポリエチレン、及び充填剤、添加剤を使用して、1,000mm(w)×2,000mm(L)×10mm(t),質量22kgの養生板をプレス成型により製造した。養生板の上表面には、高さ2mm及び直径16mmの突起を45mm間隔で突設し、突起と突起の対角線上に直径15mmの透孔を穿設した。
【0061】
実施例4で製造した養生板のデュロメーターA硬度、デュロメーターD硬度、引張強さ(JISK6251、単位MPa)、切断時伸び(JISK6251、単位%)、比重、及び曲げ強さ(JISK7171、単位MPa)、切断時伸び(常温、及び−30℃)及び降伏点伸び(常温、及び−30℃)を測定して表−3に併記した。
【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
[比較例1〜4]
実施例1〜4と同じ手順で養生板を製造した。比較例1〜4で製造した養生板のデュロメーターA硬度、デュロメーターD硬度、引張強さ(JISK6251、単位MPa)、切断時伸び(JISK6251、単位%)、比重、及び曲げ強さ(JISK7171、単位MPa)、切断時伸び(常温、及び−30℃)及び降伏点伸び(常温、及び−30℃)を測定して表−4(比較例1及び2)と表−5(比較例3及び4)に併記した。
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
[考察]
実施例1〜4の結果から、養生板の総質量当たり、ゴム成分が50〜60%、及びポリエチレン(熱可塑性合成樹脂成分)が13〜16%の範囲で所要の物性を得ることができることが分かった。
また、比較例1では、ポリエチレンを使用せず、ハードクレーで硬度の上昇を企図したが、デュロメーターA硬度が90で、所期の硬度以下となった。また、ハードクレーを増量したために、比重が大きくなり、製品質量が大きくなった。比較例2では、比較例1においてハードクレーで硬度の上昇を企図した結果、比重が大きくなったため、その部分を再生ポリエチレンで補った。その結果、比重は低くなったが、10.5質量%では不足であり、硬度がハードクレーを配合した比較例1より低くなった。比較例3ではポリエチレン・ハードクレーを使用し硬度の上昇を企図したが、デュロメーターA硬度が89で、所期の硬度以下となった。また、比較例1と同様にハードクレーを増量したために、比重が大きくなり、製品質量が大きくなった。比較例4ではゴム量・ポリエチレン量を増量し、比重の低下と硬度の上昇を企図したが、−30℃における切断時伸びおよび降伏点伸びがそれぞれ30%、20%となり、低温特性が悪くなる結果となった。
なお、比較例1では、養生板の総質量当たり、ゴム成分が63.9%及びポリエチレン(熱可塑性合成樹脂成分)が0.0%、比較例2では、ゴム成分が62.8%及びポリエチレン(熱可塑性合成樹脂成分)が10.5%、比較例3では、ゴム成分が49.5%及びポリエチレン(熱可塑性合成樹脂成分)が12.5%、比較例4では、ゴム成分が61.0%及びポリエチレン(熱可塑性合成樹脂成分)が16.5%である。
実施例1〜4、及び比較例1〜4の結果から、本発明の「養生板の総質量当たり、50〜60%のゴム成分、13〜16%の熱可塑性合成樹脂成分、及び残部の各種添加剤・充填剤から成る養生板」を構成するゴム成分及び熱可塑性合成樹脂成分の数値限定した量比に臨界性があることが立証された。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は下記に例示する産業上の利用可能性がある。
養生板の総質量当たり50〜60%のゴム成分、13〜16%の熱可塑性合成樹脂成分、及び残部の各種添加剤・充填剤から構成したので、鉄がもつ強度・硬度と、ゴムがもつしなやかさを併せ持ち、且つ、同じ面積、厚さの場合、質量が敷き鉄板の約1/7と軽量なので、敷き鉄板では敷設不可能であった軟弱路面や、建家内、クレーン或いは重機による搬送、敷設が不可能な路面での用途が拡大する。
【0069】
−30℃及び常温における切断時伸びが、それぞれ、少なくとも50%及び120%、並びに−30℃及び常温における降伏点伸びが、それぞれ、少なくとも50%及び110%なので、北海道のような寒冷地でもゴム弾性を維持し荷重が負荷された際の復元性、低温特性に優れているので、使用可能温度帯域が拡大する。
【0070】
再生熱可塑性合成樹脂、特に、安価で優れた特性を有し、加工性に優れた代表的な熱可塑性合成樹脂であるポリエチレン、ポリ塩化ビニルの再生品を使用することにより、コスト低減を可能にし、再生ポリエチレン、再生ポリ塩化ビニルの用途を拡大する。
【0071】
ゴム成分として、再生ゴムまたはゴム粉を使用することにより、全量を未使用の天然または合成ゴムとするより大幅なコスト低減を可能にし、且つ再生ゴム及びゴム粉の用途を拡大する。
【0072】
本発明の養生板は、敷き鉄板に比べて、比重が約1/7で軽量である上に、養生板の厚さ方向に水抜き孔としての透孔を穿設し、養生板の上面に前記透孔を介して複数個の突起を突設し、突起と突起の間の溝部を水路とし、同時に突起を歩行時の滑り止めとしたので、水を多用する工事現場、水が発生し易い軟弱路面等に敷設した場合、養生板と敷設面との界面に発生した水を、先ず透孔から養生板の上面に向けて抜き、次いで、前記透孔を介して突設された突起と突起の間の溝部を水路として排水することができ、且つ、養生板の上面に突設された複数の突起は、歩行した際の滑り防止手段を兼ねるので、従来の敷き鉄板では敷設不可能であった路面にも敷設でき、用途の拡大が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による養生板の一実施態様を示す平面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 本発明による養生板
2 透孔
3 突起
4 突起間の溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
養生板の総質量当たり、50〜60%のゴム成分、13〜16%の熱可塑性合成樹脂成分、及び残部の各種添加剤・充填剤から成る養生板。
【請求項2】
−30℃における切断時伸びが、少なくとも50%、並びに−30℃における降伏点伸びが、少なくとも50%である請求項1に記載した養生板。
【請求項3】
熱可塑性合成樹脂成分として未使用熱可塑性合成樹脂及び/又は再生熱可塑性合成樹脂を使用する請求項1又は2に記載した養生板。
【請求項4】
ゴム成分として、未使用の天然又は合成ゴム、再生ゴム、ゴム粉、及びこれらの混合物から成る群から選択された1種を使用する請求項1〜2のいずれか1項に記載した養生板。
【請求項5】
養生板の厚さ方向に水抜き孔としての透孔を穿設し、養生板の上面に複数個の突起を突設し、突起と突起の間の溝部を水路とし、同時に突起を歩行時の滑り止めとした請求項1〜4のいずれか1項に記載した養生板。

【図1】
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【公開番号】特開2010−37808(P2010−37808A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201853(P2008−201853)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【出願人】(000241795)北越工業株式会社 (86)
【Fターム(参考)】