説明

香味料カプセル化およびその方法

プロラミンを備えた香味料をカプセル化する方法。ゼインのようなプロラミンは好適な溶媒に溶かされる。香味料はプロラミン溶液と混合される。プロラミンと香味料溶液は乾燥され、これにより、プロラミンによってカプセル化された香味料を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香味料を保持すべく自然な成分を使用して、香味料をカプセル化する方法に関する。特に、香味料をカプセル化すべくゼイン等のプロラミンを使用することにより自然食品の代替物が得られる。
【背景技術】
【0002】
香味料は任意の食物処方において重要であり、完成品の品質およびコストに影響を及ぼす。製品が最初に生産された後にできるだけ長期間にわたって消費者の嗜好に合う製品を製造すべく香味料および芳香を利用することは重要である。しかしながら、香味料に関連した複合システムは通常操作が困難であり、且つ高価である。例えば、多くの香味料は、硫化ジメチルおよびアセトアルデヒドのような、室温にて、あるいは室温以下にて蒸発する、非常に揮発性の高いトップノートを含む。これらのトップノートは、通常食品に新鮮な風味を付与するものである。芳香および香味料は、通常繊細、且つ揮発性が高いので、それらの保持は食品メーカーが懸念するところである。製造および格納工程、食品材料を包装する工程において、通常芳香化合物の濃度を低減することにより、あるいは芳香のない要素を生産することにより、全体的な風味が変化する。また、付加的に、製品は店舗の棚に並ぶと、酸化、加水分解、腐敗、および他の過程により、所望の特性および芳香が失われる。
【0003】
加工および格納工程において芳香の劣化を限定し、且つ食品中の芳香および風味を保持すべく、食品や飲料に使用するに先立って揮発性を備えた香味料成分をカプセル化することは好適である。様々な工程がカプセル化に対して行われることにより、食品における蒸発、反応、あるいは遷移からある程度保護される。カプセル化は、1つの材料、あるいは複数の材料(活性物質またはコア材料として公知)の混合物が別の材料やシステム(シェル、壁材料、マトリックス、キャリアあるいはカプセル材料と呼ぶ)内に覆われるか、捕捉される技術である。香味料のカプセル化は、様々な方法を使用して試みられ商業化されたが、これらは通常製品の最終用途、コア物質の物理的および化学的性質、格納および加工時に要求される安定度、香味料の最大の入手可能な量、並びに生産費により決定される。さらに、壁材料に対するコア物質の比率等、他の多くの要因により、カプセル化された香味料の抗酸化安定性に影響が付与される。
【0004】
噴霧乾燥は、食品および薬品工業において通常使用される商用のカプセル化の工程である。工程は、通常加工デンプンであるキャリア材料にカプセル化される物質を分散して水の懸濁液としてスラリーを形成する工程を含む。スラリーは続いて加熱室に供給され、ここで小液滴を形成すべく霧化され、乾燥されて粉末となる。この技術により非常に微少な粉末が生成される。表1は、噴霧乾燥技術の効果および短所の概要を示す。表2は、香味料をカプセル化すべく所望の特性を備え噴霧乾燥技術と組み合わされて現在使用される様々な主な材料のいくつかを示す。リストされた材料は完全に網羅したリストではない。多くのカプセル化は、リストに示した任意の、または全ての複合物の実際の合成物である。
【0005】
【表1】

【0006】
【表2】

近年、清潔なラベルの形成およびラベルが要求されている。消費者の中には防腐剤および人工成分がない製品を要求し、天然成分により開発された製品を消費することを好む者もいる。プロラミンは、当該技術分野において現在使用されている人工成分を潜在的に置換する例である。プロラミンは、穀物の種子に見られるプロリン含有量が高い植物貯蔵タンパク質の群である。含水アルコールにおける可溶性、および加水分解に際して比較的大きな量のアミド窒素およびプロリン、環状非極性アミノ酸を生成することを特徴とする。グリアジンは小麦由来のプロラミン・タンパク質である。ホルデインは大麦由来のプロラミン・タンパク質である。セカリン(secalin )はライ麦由来のプロラミン・タンパク質である。また、ゼインはトウモロコシ穀粒かトウモロコシ由来のプロラミン・タンパク質である。
【0007】
ゼインは、比較的純粋な形態にて抽出されるわずかな穀物のタンパク質のうちの1つで、自然の状態にて生分解性を備える高分子材料である。ゼインは分枝鎖アミノ酸に豊富な無臭、且つ無定形の粉末である。ゼインは、トウモロコシの種類および使用される分離法に応じて、トウモロコシ胚乳タンパク質の44乃至79%を構成する。自然界におけるゼインの唯一の既知の機能は、トウモロコシ穀粒の成長中の種子において窒素の貯蔵庫として作用することである。多くの他の市販のタンパク質と異なり、ゼインは特異な熱可塑性および疎水性を有する。ゼインは水および油に対して高い耐性を有し、無味無臭で透明且つ堅固な膜および繊維を形成する独特の機能を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
「清潔なラベル」の食品および香味料の複雑さの傾向に照らして、人工成分や変性成分を低減すべく香味料のカプセル化用に天然の合成物をより多く使用する方法に対する要求がある。さらに、劣化または損失から香味料のような感光性を備えた物質を保護すべく天然のタンパク質を利用する必要がある。香味料を遮断したり弱化させたりすることなく高価な香味料材料を保持し、且つ高い風味付けおよび品質保持期限を維持するカプセル化法がさらに要求される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、損失または劣化から香味料を保護すべくカプセル化において通常使用される、人工成分あるいは変成成分に対する要求を低減または除去するために少なくとも1つのプロラミンを使用して、香味料をカプセル化する方法を提供する。用語「カプセル化」は、ここで、少なくとも1つのプロラミンを含む被覆構造体によりマトリックス粒子の表面全体を覆う工程の他部分的に覆う工程や、合成物のマトリックス内に捕捉する工程の両者を示す。
【0010】
少なくとも1つのプロラミンは食品等級溶媒に溶かされ、香味料と混合され乾燥されて、香味料のカプセル化された粉末を形成する。カプセル化された香味料は、天然成分により開発された製品を製造すべく食品に適用することができる。一実施例において、少なくとも1つのプロラミンが約80%乃至90%のエタノールおよび約10%乃至20%の水の濃度の変化するエタノールおよび水を含む溶媒に溶かされる。一実施例において、約10%乃至約40%のプロラミンが、溶媒に付加される。別例において、約10%乃至約20%のプロラミンが、溶媒に付加される。一実施例において、香味料の量は、約15%乃至約75%の範囲にある。一実施例において、カプセル化された香味料は、50マイクロメートル未満の粒子径を有する。別例において、カプセル化された香味料は、100マイクロメートル未満の粒子径を有する。カプセル化された香味料は、約25%乃至約99.9%のゼインおよび約0.01%乃至約75%の香味料を含む。試運転において、ゼイン・プロラミンはライム、バルサミコ酢およびパルメザンチーズを含む香味料をプロラミンによりカプセル化することに使用された。
【0011】
本発明のさらなる課題および効果は後述する明細書から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
食品に風味付けは複雑な処理を含んでいる。特に天然の香味料は、通常より高価であり、且つときに入手困難な原料に由来する。カプセル化方法は数に限りがあるが、タンパク質、炭水化物、脂質、ゴムおよびセルロースを含む広範囲の様々な材料が使用可能である。カプセル化材料の選択は、予期される製品課題および要件、コア物質の性質、カプセル化の工程、および経済性を含む多くの要因により決定される。本発明において、プロラミンにより香味料をカプセル化するための方法は、人工成分や変性成分に対する天然の代替物を消費者に供給する。プロラミンは、トウモロコシ、モロコシ、雑穀、小麦およびライ麦を含む多くの穀物に見られる種子貯蔵タンパク質であるが、これらに限定されるものではない。ハイレベルなアミノ酸プロリンおよびグルタミンを有する傾向にあるため、これらは周知である。ゼイン・プロラミンは、アルファ、ベータ、デルタおよびガンマ形態の混合物として存在し、容易に市場にて入手可能である。
【0013】
ゼインは、極性および非極性の両者を示し且つ含水エタノールおよび含水イソプロパノールのようなより低い脂肪族アルコールおよび水を含む2成分の溶媒に溶けるが、他の様々な有機溶媒にも溶ける。表3、4および5は、2002年出版のJohn W. LawtonによるCereal Chemistry Journalの79巻No.1のゼイン調査に見られるゼインのための溶媒をリスト化したものである。表3は、ゼインのための主要な溶媒をリスト化したものであり、少なくとも10%(w/v)の溶液を形成する。各主要な溶媒の臨海曇り点もリスト化され、これは、溶解固形物がもはや完全には可溶でなく、第2段階として沈殿し、冷却時に溶液に曇った外観を付与する温度を示す。乳化剤は乳剤を安定させるべく付加可能である。後述の表にリスト化された溶媒のすべてが食品等級溶媒であるわけではないが、各々ゼイン・プロラミンを溶かすことができる。
【0014】
【表3】

主要な溶媒の全ては、グリコール、グリコール−エーテル、アミノ・アルコール、ニトロ−アルコール酸(nitro−alcohols acids)、アミドあるいはアミンである。ゼイン用の好適な溶媒となる1つの物質において、分子は、極性基および非極性基間の好適な均衡を保持する必要がある。さらに、水の他芳香族炭化水素も無水アルコールの溶解力を向上させるものといえる。ケトンと水の混合物により好適な2成分の溶媒がさらに形成される。
【0015】
2成分の溶媒の溶媒和する力は、2つの成分の比率により決定される。
表4は、2成分の溶媒系に対するゼインの可溶性をリスト化したものであり、ここで、より低い脂肪族アルコール、ケトンやグリコールが、主成分であり、水、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、ニトロパラフィン(nitroparafins)、アルデヒドや、環状エーテルが、二次成分である。含水アルコールに付加的に、アセトン、イソプロパノールおよびイソブタノールの水溶液もゼインのための好適な溶媒である。
【0016】
【表4】

アルコールとアルデヒドの混合物に付加的に水を使用する3成分の溶媒混合物も、ゼインを溶かすために使用することができる。表5は、ゼインのための3成分の溶媒をリスト化したものである。
【0017】
【表5】

本発明による一実施例を後述する。プロラミンはプロラミンを溶かすことができる溶媒に溶かされプロラミン溶液を形成する。上述したように、表3乃至5はゼインのようなプロラミンを溶かすことができる複数の溶媒をリスト化したものである。グリコールのようなより高い沸点を備えた溶媒は、取り払うためにより高温が要求され、これにより香味料の損失が増加するものといえる。本発明と組み合わせた使用において、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、酢酸、乳酸、アセトン、酢酸エチル、ベンジルアルコールおよびこれらの任意の混合物を含む食用のカプセル化された香味料を生産することができる食品等級溶媒を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。ここに使用されるように、用語「食品等級」は通常健康に有害な影響を及ぼすことなく人間が摂取可能な特定の合成物の所定の限度の量を示す。食品等級合成物の例は、21連邦規制基準C.F.R.の172条、182条および184条の下にリスト化されたものを含む、アメリカ食品医薬品局(「FDA」)によって「通常安全なものと認識される(「GRAS」)」合成物を含む。
【0018】
プロラミンの溶解とは、プロラミンを含む溶液、分散系や、乳剤を形成すべく分散を包含するものと意図される。粘性により流体は攪拌に抵抗し、これにより分解が防止され、より大きな粒子径を導出する。したがって、溶液の粘性は、本発明による最終製品の香味料カプセル化の特性に影響を付与するであろう。例えば、本発明の範囲を限定するものではないが、以下の表6に、本発明と組み合わせて使用された様々なプロラミン溶液のための粘性測定を示す。非遺伝子組み換えのゼインは、その遺伝物質が遺伝子工学技術を使用して変更されていないゼインを示す。
【0019】
【表6】

上記表6は、本発明と組み合わせて使用される様々なプロラミン溶液、およびそれらの測定された粘性をリスト化したものである。結果は使用される加工条件、およびプロラミンの質により変化する。一実施例において、使用されるプロラミン溶液の粘性は約4.0センチポイズ(cP)(4.0mPa・s)より大きい。別例において、プロラミン溶液の粘性は約4cP(4mPa・s)乃至約120cP(120mPa・s)の範囲にある。
【0020】
エタノール対水が90:10の溶液に溶かした10%のゼインを使用する実施例において、得られる粘性は、約11.5cP(11.5mPa・s)乃至11.9cP(11.9mPa・s)の範囲にあり、より好ましくは約11.7cP(11.7mPa・s)である。エタノール対水が80:20の溶液において10%のゼインを使用する別例において、プロラミン溶液は、約10.9cP(10.9mPa・s)乃至約11.3cP(11.3mPa・s)の粘性を有し、より好ましくは約11.1cP(11.1mPa・s)の粘性を有する。エタノール対水が90:10の溶液に15%のゼインを準備した実施例において、粘性は約21.1cP(21.1mPa・s)乃至約21.5cP(21.5mPa・s)にあり、より好ましくは約21.3cP(21.3mPa・s)である。エタノール対水が80:20の溶液において15%のゼインを使用する別例において、プロラミン溶液は、約57.7cP(57.7mPa・s)乃至約61.1cP(61.1mPa・s)の粘性を有し、より好ましくは約57.9cP(57.9mPa・s)の粘性を有する。別例において、エタノール対水が50:50の溶液は約4.5cP(4.5mPa・s)の粘性となる。本実施例において、遠心分離が溶解しないゼインを分離させることに必要であった。したがってより低いゼイン濃度が得られた。ゼイン量が減少すると、有効なゼイン濃度は減少した。例えば、エタノール対水が50:50の溶液に溶かした10%のゼインは、2.5%未満のゼイン濃度を生じたが、同じ溶液に溶かした15%のゼインは、3.9%未満のゼインを生じた。非遺伝子組み換えの10%のゼインは、同じ溶液に1.1%未満のゼイン濃度を生じた。しかしながら、様々な乾燥方法を使用して、カプセル化された香味料のバッチ量が後述の方法を使用して得られる。
【0021】
プロラミンが溶かされると、香味料がプロラミン溶液に付加され、高い剪断力下の機械的攪拌により混合される。「高い剪断力」とは、プロラミン溶液の全体にわたって香味料を分散させるか溶かすべく溶液を高速にして、且つ機械的に混合または融合させることを示す。ここに使用されるように、用語「風味」は「香味料」と同義であり、抽出物、精油、香油、蒸留液、樹脂、バルサム、ジュース、植物抽出物、風味、芳香、並びに精油、含油樹脂、香油や抽出物、タンパク質加水分解物、蒸留液、あるいは香辛料、果物またはフルーツジュース、野菜または野菜ジュース、食用のイースト菌、薬草、樹皮、芽、根、葉や同様の植物材料、肉、シーフード、鶏肉、卵、乳製品や、これらの発酵製品に由来する芳香成分を含む、焙煎、加熱や、酵素性分解した任意の製品、あるいは風味および芳香のうち少なくともいずれか一方を付与する機能を有する任意の物質を含む芳香成分を示すが、これらに限定されるものではない。試運転において、後述の例に示すように、ライム、バルサミコ酢およびパルメザンチーズの香味料がカプセル化された。しかしながら、当業者は、本明細書により、通常任意の数の香味料が本発明と組み合わせて使用可能であることを認識するであろう。カプセル化は、乾燥後に75%のレベルの香味料を含むように形成された。
【0022】
混合した香味料およびプロラミンの溶液は、粒子を形成すべく乾燥される。任意の数の好適な乾燥方法が存在する。例えば、乾燥方法は回転ディスクによる噴霧化の他、ノズルや回転アトマイザによる噴霧化のような他の噴霧乾燥技術を含む。乾燥のような加工条件は、サンプルの粘性、表面張力および密度を含む複数の要因により決定される。回転ディスクによる噴霧化により、約5乃至100マイクロメートル(μm)の寸法範囲の、精密に分散された球状の、あるいは均一な径を有する球状の高品質な粉末が形成される。
【0023】
回転ディスクによる噴霧化において、ノズルが回転ディスクの中央部に流体を案内する。遠心力により、流体が搬送され、ディスクの端から流体が取り払われる。液体は微小な液滴や微粒子に分解され、これらはサイクロンセパレータ、即ち遠心分離機を使用して溶媒を取り払うことによって形成され、集められる。粒子は外部への遠心力によってそれらの質量により移動する。空気の進入により、「二重渦(double−vortex)」と呼ばれる二重の渦をなす迅速な回転運動が自動的に行われる。この二重渦運動は、螺旋状に下方へ流れる外部の流れ、および螺旋状に上方に流れる内部の流れに由来し、生じる。流れの両者の境界において、空気が一方から他方へ流れる。気流中の粒子は外部の壁に向かって揺動され、基部に位置される受容空間によってセパレータから離間する。下記の例において、3インチ(約7.62cm)のディスクは、約8,500rpm(1/60s−1)または約10,000rpm(1/60s−1)のディスク速度、約53乃至65g/分の供給速度、および約50℃乃至55℃の出口温度にて噴霧化に使用された。これにより、プロラミンマトリックス内にカプセル化された香味料の粉末が得られる。
【0024】
本発明は、後述する例を参照してさらに開示されるが、これらに限定されるものではないものといえる。後述の表7、8および9は、90:10の比率のエタノールおよび水の混合物をプロラミンの溶媒として使用した、ライム、パルメザンチーズ、およびバルサミコ酢香味料のそれぞれのカプセル化を示す。当業者は、これらおよび他の香味料が任意の数の製造業者から容易に市場にて入手可能であることを認識するであろう。
【0025】
【表7】

表7の例において、90重量%のエタノールおよび10重量%の水からなる180グラムの溶液が準備され、20グラムのゼインが10%ゼイン溶液を形成すべく付加され、溶かされた。乾燥後の理論的な量が15%になるように所定量のライム油香味料がゼイン溶液に付加された。ライムを15%の量形成すべく、約3.53グラムのライム油がゼイン溶液に付加された。これは、ゼインの量と付加された香味料の合計による3.53グラムのライム油の除算に基づき計算された(この例において、3.53/[20+3.53]=0.15)。したがって、「香味料の量」は下記式によってここに計算される、即ち
[数]
(香味料の量)/(香味料の量+付加された固体の量)。
表7の例において、香味料の付加に続き、香味料およびプロラミン溶液が、高い剪断力下にて混合された。混合溶液は、回転ディスク噴霧化方法を使用して乾燥された。ここで、約8,000rpm(1/60s−1)のディスク速度、約62g/分の供給量、且つ約51℃の出口温度にて3インチ(約7.62cm)のディスクが使用された。約14.28グラムの製品がサイクロンセパレータ(61%の産出)に収集された。これらにより得られた乾燥粉末粒子は、約42マイクロメートルの平均粒径を備え、約1乃至120マイクロメートルの粒径分布を有していた。寸法サンプルの10%が20マイクロメートル未満であり、50%が42マイクロメートル未満であり、90%が77マイクロメートル未満であった。
【0026】
【表8】

表8において、例は10%のゼイン溶液を使用して、表7の例と同様に準備された。例えば、本発明の範囲を限定するものではないが、表8の例10において、90重量%のエタノールおよび10重量%の水からなる180グラムの溶液が準備され、20グラムのゼインが10%ゼイン溶液を形成すべく付加され、溶かされた。乾燥後の理論的な量が55%になるように所定量のパルメザンチーズ香味料がゼイン溶液に付加された。パルメザンチーズを55%の量形成すべく、約24.4グラムのパルメザンチーズがゼイン溶液に付加された。これは、ゼインの量と付加された香味料の合計による24.4グラムのパルメザンチーズの除算に基づき計算された(この例において、24.4/[20+24.4]=約0.55)。香味料およびプロラミン溶液が続いて混合溶液を形成すべく高い剪断力下にて混合された。混合溶液は、回転ディスク噴霧化方法を使用して乾燥された。ここで、約8,000rpm(1/60s−1)のディスク速度、約76g/分の供給量、且つ約51℃の出口温度にて3インチ(約7.62cm)のディスクが使用された。約29グラムの製品がサイクロンセパレータに収集された。これにより得られた乾燥粉末粒子は、約20乃至160マイクロメートルの粒径分布を有していた。寸法サンプルの10%は、34マイクロメートル未満であり、50%は58マイクロメートル未満であり、90%は98マイクロメートル未満であった。
【0027】
【表9】

表9の例は、表7および8の上記の例と同様に準備された。例えば、本発明の範囲を限定するものではないが、表9の例16において、90重量%のエタノールおよび10重量%の水からなる90グラムの溶液が準備され、10グラムのゼインが10%ゼイン溶液を形成すべく付加され、溶かされた。乾燥後の理論的な量が75%になるように所定量のバルサムの香味料がゼイン溶液に付加された。バルサムを75%の量形成すべく、約30グラムのバルサムの香味料がゼイン溶液に付加された。これは、ゼインの量と付加された香味料の合計による30グラムのバルサムの香味料の除算に基づき計算された(この例において、30/[10+30]=0.75)。香味料およびプロラミン溶液は続いて混合溶液を形成すべく高い剪断力下にて混合された。混合溶液は、回転ディスク噴霧化方法を使用して乾燥された。ここで、約8,000rpm(1/60s−1)のディスク速度、約52g/分の供給量、且つ約51℃の出口温度にて3インチ(約7.62cm)のディスクが使用された。約4.65グラムの製品がサイクロンセパレータに収集された。これにより得られた乾燥粉末粒子は、約22乃至210マイクロメートル(μm)の粒径分布を有していた。寸法サンプルの10%は、36マイクロメートル未満であり、50%は59マイクロメートル未満であり、90%は100マイクロメートル未満であった。
【0028】
上述した例はエタノールおよび水の濃度レベルに対する具体的な値を示すが、ゼイン、エタノールおよび水のレベルは変更可能である。例えば、表6に示すように、エタノール対水が80:20の比率もプロラミンを溶かすことに使用することができるが、本発明の範囲は、これに限定されるものではない。試運転において、80重量%のエタノールおよび20重量%の水からなる360グラムの溶液が準備され、40グラムのゼインが10%ゼイン溶液を形成すべく付加され、溶かされた。所定量のライム油が、乾燥後の理論量が55%となるようにゼイン溶液に付加された。ライム油を55%の量形成すべく、約48.8グラムのライム油がゼイン溶液に付加された。これは、上述したように計算された(ゼインの量と付加された香味料の合計(88.8グラム)による48.8グラムのライム香味料の除算に基づき0.55、即ち55%)。香味料およびプロラミンの溶液が、続いて混合溶液を形成すべく高い剪断力下にて混合された。混合溶液は、回転ディスク噴霧化方法を使用して乾燥された。ここで、約8,000rpm(1/60s−1)のディスク速度、約51℃の出口温度にて3インチ(約7.62cm)のディスクが使用された。これにより得られた乾燥粉末粒子は、約1乃至120マイクロメートル(μm)の粒径分布を有していた。寸法サンプルの10%は、12マイクロメートル未満であり、50%は27マイクロメートル未満であり、90%は57マイクロメートル未満であった。
【0029】
香味料のカプセル化に共通する他の成分も組み込み可能であり、これらは、炭水化物、親水コロイド、ゴム、乳化剤、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、およびエチルセルロースおよびヒドロキシプロピル・セルロースのようなセルロース材料を含むが、これらに限定されるものではない。本発明を所定の実施例に関して特に示し上述したが、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく態様および詳細に様々な変更が可能であることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中に少なくとも1つのプロラミンを溶かし、これによりプロラミン溶液を形成する工程と、
香味料を前記プロラミン溶液と混合する工程と、
前記混合溶液を乾燥し、これによりプロラミンにカプセル化された香味料を形成する工程とを含むことを特徴とする香味料をカプセル化する方法。
【請求項2】
前記溶媒はエタノールと水との2成分の溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2成分の溶媒はエタノール対水が約90:10の混合物であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロラミン溶液は、少なくとも約4.0cP(mPa・s)の粘性を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記2成分の溶媒はエタノール対水が約80:20の混合物であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、酢酸、乳酸、アセトン、酢酸エチル、ベンジルアルコール、およびこれらの任意の混合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロラミンはゼインを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プロラミン溶液は10%のゼイン溶液をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プロラミンにカプセル化された香味料は約75重量%以下の香味料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記香味料はライム、パルメザンチーズ、およびバルサミコ酢から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合工程は高剪断力下にて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥工程は、回転ディスク噴霧化方法を使用して行なわれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記乾燥工程は、粒子径が50マイクロメートル未満の前記カプセル化された香味料の形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記プロラミンにカプセル化された香味料は、粒子径が100マイクロメートル未満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記プロラミンにカプセル化された香味料は、約1乃至250マイクロメートルの粒径分布を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法によって生産された、プロラミンにカプセル化された香味料。
【請求項17】
少なくとも1つのプロラミンによってカプセル化された香味料であって、該少なくとも1つのプロラミンは、約25重量%乃至99.9重量%の間にあることを特徴とする少なくとも1つのプロラミンによってカプセル化された香味料。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロラミンはゼインを含むことを特徴とする請求項17に記載の香味料。
【請求項19】
前記カプセル化された香味料は約1乃至約250マイクロメートルの粒径分布を含むことを特徴とする請求項17に記載の香味料。
【請求項20】
前記カプセル化された香味料は約50マイクロメートル未満の粒子径を有することを特徴とする請求項17に記載の香味料。
【請求項21】
前記カプセル化された香味料は約100マイクロメートル未満の粒子径を有することを特徴とする請求項17に記載の香味料。
【請求項22】
前記香味料はライム油、パルメザンチーズおよびバルサミコ酢から構成される群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の香味料。

【公表番号】特表2012−516154(P2012−516154A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548226(P2011−548226)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/022102
【国際公開番号】WO2010/088211
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(500208519)フリト−レイ ノース アメリカ インコーポレイテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】FRITO−LAY NORTH AMERICA,INC.
【Fターム(参考)】