説明

駆動制御、電力変換及び始動制御のための装置

モータ(552)の第1相巻線と接続してフロントエンド昇圧回路(553)を形成するフロントエンド昇圧部分回路(551)と、モータ(555)の第2相巻線と接続してバックエンド昇圧回路(554)を形成するバックエンド昇圧部分回路(554)とを有する、スイッチ磁気抵抗モータ(SRM)または永久磁石ブラシレス直流(DC)モータ(PMBDCM)のための電力変換器。フロントエンド昇圧部分回路(551)は、第1相巻線(552)によって提供されるインダクタンスと協働して、第1の段階的に上昇する電圧を発生させる。バックエンド昇圧部分回路(554)は、第2相巻線(555)によって提供されるインダクタンスと協働して、第2の段階的に上昇する電圧を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PMBDCM又は2相SRM駆動システムにおける駆動制御、電力変換及び始動制御のための装置に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願番号60/382,608、60/382,609及び60/382,610に基づく優先権を主張するものであり、さらに本出願は、これと同日に出願された代理人整理番号L1081.03101、L1081.03103、L1081.03104及びL1081.03105を有する、出願人の同時係属中のPCT国際特許出願に記載される開示内容をここに参照により援用するものである。
【背景技術】
【0003】
可変速度のモーター駆動は、家庭用機器の改善、特に連邦政府のエネルギー効率に対する既定及び提案中の要件に適合する能力の改善に対して、ますます重要な役割を担うことが期待されている。この種のモーター駆動では、コスト減少が重要である。コスト減少は、一つ以上のサブシステム、すなわちモーター、電力変換器及びコントローラによりもたらされる。全ての既存のモーター駆動システムの中でも、これらサブシステムのコスト減少に対して最大の可能性を提供するものは、スイッチ磁気抵抗機器(SRM: switched reluctance machine)であり、コストを実質的に下げることができる主要なサブシステムとして、電力変換器が挙げられる。以下、従来の2相SRM用電力変換器のトポロジーについて簡単に説明する。
【0004】
図1は、2相のSRMの駆動に関連する従来技術の非対称電力変換器を例示する。電力変換器100は、SRMの各相の巻線101,102に対して、制御可能な電力装置2つと、制御されない電力装置2つとを有する。つまり、4台の制御可能電力装置103〜106と、4台の非制御電力装置107〜110とが、電力変換器100の動作のために必要である。この電力変換器100の主な利点は、正又は負の直流(DC)リンク電圧を印加する能力に対して十分に制御可能であるということであり、したがって、SRMの操作モードを低減も制限もしない。この電力変換器のトポロジーの不利な点としては、8台の電力装置を使うということである。電力変換器100の回路動作のより詳細な説明が、例えば、非特許文献1に記載されている。
【0005】
図2は、2相のSRMの駆動に関する従来技術のスイッチ・パー・フェーズ電力変換器を図示する。電力変換器200の回路トポロジーは、DC入力ソース電圧201を機器側の電力変換器に等しく分割することに基づいている。これは、この回路が相巻線202,203につき制御可能電力装置1つと非制御電力装置1つを必要としているということに帰結する。したがって、全体としては、電力変換器200は、2相のSRMに対し、2つの制御可能な電力装置204,205と、2つの非制御電力装置206,207を必要とする。この回路設計の主な利点としては、非対称変換器と比較して、電力装置の数を低減できる(例えば、計4台)ことである。この回路の不利な点は、利用可能なDCソース電圧を半減させ、したがって、装置や機器に必要な定格電流を倍に上げ、結局、機器の動作効率が低くなってしまうことである。この回路のより詳細な説明も、例えば、非特許文献1に記載されている。
【0006】
図3は、2相のSRMの駆動に関連する従来技術のC−ダンプ電力変換器を図示する。電力変換器300の回路は、3台の制御可能な電力装置301〜303及び3台の非制御ダイオード304〜306を用い、結局、6台の電力装置を用いることになる。これは、図1と図2に示される回路間の中間の回路である。機器の巻線307,308への全DCソース電圧309は正の方向にのみ印加可能であることから、動作モードは、この回路のために多少制限される。更に、この回路は、C−ダンプ・キャパシタ311に貯蔵しておいたエネルギーを消失させるための、外部のインダクタ310又は抵抗器(図示せず)を必要とする。電力抵抗器(図示せず)を用いれば、熱に対する考慮が大きくなるため、システムの効率が低下しパッケージ容量が大型化するのに対し、外部のインダクタ310を用いれば、コストが上昇する。したがって、この回路は、2相のSRMの用途に対して理想的でない。この回路についてのより詳細な記述は、非特許文献1や特許文献1に見いだすことができる。
【0007】
図4は、2相のSRMの駆動に関する従来技術のスイッチ・パー・フェーズ電力変換器を図示する。必要な電力変換器400は、位相405,406につき、非制御電力装置が1つずつ(401,402)と制御電力装置が1つずつ(403,404)であり、したがって、4台の電力装置があってはじめて機能する。更に、電力変換器400は機器中に特別な巻線を必要とし、これはバイファイラ巻線として知られているものである。この特別な巻線は、機器巻線中の銅の容量を増やし、その結果、機器のコストを増加させる。その上、電力スイッチ403,404は、それぞれの位相の巻線の間のリーク・インダクタンスにより、高電圧にさらされる。このリーク・インダクタンスは、実際の機器では最小に抑えることができるが除去はできない。したがって、全DCソース電圧407は電流を完全に制御しつつ機器に電圧を加えることができるにもかかわらず、この変換器回路は、広く使われていない。この回路のより詳細な記述は、非特許文献1や特許文献2に見出すことができる。
【0008】
この操作のために必要な電力装置の総数に関して、他の全ての電力変換器回路トポロジーは、上記のカテゴリーのうちの1つにあてはまる。上記のとおり、従来の2相のSRMを操作するためには、最低4台の電力装置が必要であることが分かる。
【0009】
しかし一般には、通常、2相のSRMを駆動するために用いられる商用の電力変換器は、2つ以上の制御可能なスイッチと、2個以上のダイオードを有している。制御可能なスイッチ2つとダイオード2つしか要しない回路は、損失が大きい(低効率)という短所があり、また機器中にバイファイラ巻線が必要となる場合もあり、これにより機器の電力密度が低下する。したがって、高効率での操作、全範囲での速度の制御、変換器の実装のコンパクト性や、中でも最も重要であるシステムの全体的なコスト、といった点について考慮すれば、既存の解決法は魅力的ではない。
【0010】
電力変換器開発における基礎分野の挑戦により、電力装置(制御可能型及び非制御型の両方とも)の数は、DCモーター駆動や交直両用モーター駆動などに一般に用いるような、シングル・クォードラント・チョッパー駆動と同等のレベルまで、低減される。これらの駆動については、例えば、非特許文献1に記載されている。電力装置の数がこのレベルになったとき、ブラシレスSRM駆動が、可変速度の用途に対して、商業上の競争力を持つ。更に、ブラシレスSRMは高効率という優れた利点を有し、何故なら、SRMにはブラシも整流子も存在しないからである。また、ブラシレスSRMは、更に高速駆動性、高い信頼性、メインテナンスフリー動作、より大きなオーバーロード能力、そしてとりわけ、DCモーター駆動上のコスト利点を与える。
【0011】
なお、ここで引用される全ての参考文献は、参照事項としてこの開示内容に組み入れられる。
【非特許文献1】Switched Reluctance Motor Drives, R. Krishnan, CRC Press, June 2001
【特許文献1】米国特許第4,684,867号
【特許文献2】米国特許第4,500,824号
【発明の開示】
【0012】
本発明は、複数の位相のスイッチ磁気抵抗モーター(SRM)用の変換器のトポロジーに関し、相巻線につき1つの制御可能なスイッチと、1つのダイオードとを有する永久磁石ブラシレス直流(DC)モーター駆動システム(PMBDCM)に関する。これらの変換器のトポロジーは、降圧回路、昇圧回路及び昇降圧回路を使用する。降圧回路、昇圧回路及び昇降圧回路並びにこれらの操作に関する補足的な記載は、電力エレクトロニクスにおける標準的な教科書であれば、どの本からでも見出すことができると考えられ、例えば、"Power Electronics : Converters, Applications And Design", N. Mohan, T. M. Undeland & W. P. Robins, John Wiley and Sons, 1989を挙げることができる。
【0013】
従来技術の降圧、昇圧又は昇降圧の各DC変換器が動作するためには、外部のインダクタが必要である。これらの従来技術のDC変換器をモーター駆動の用途に用いて可変速駆動システムを提供する場合、この動作のためには、やはりインダクタを必要とする。本発明は、降圧変換器、昇圧変換器又は昇降圧の変換器を動作させるために、モーターの相巻線のインダクタンスを使用し、外部のインダクタによって提供されるインダクタンスに頼ることなく、エネルギー変換を行うものである。
【0014】
本発明は、1つの制御可能なスイッチと、1つのダイオード(例えば高速スイッチングダイオード)又は任意の2つのダイオード(例えば高速スイッチング1つにその他の低速ダイオードを1つ)を有する回路のトポロジーを用いることで、従来技術の電力変換器の不利益を克服する。制御可能なスイッチの数を1つに減らし、ダイオードを1つに減らすことにより、電力変換器の部品及び組立のコストは、全ての他の利用可能なトポロジーよりも必然的に低くなる。
【0015】
したがって、本発明の目的は、従来技術の装置で生じる欠点及び問題を解決することにある。
【0016】
発明の別の目的は、電力変換器に必要な電力装置の数を低減することにある。
【0017】
発明の更に別の目的は、非常に効率の高い電力変換器を提供することにある。
【0018】
発明の更なる目的は、全範囲速度制御可能な電力変換器を提供することにある。
【0019】
発明の更なる目的は、電力変換器の実装のサイズを低減することにある。
【0020】
発明の更なる目的は、ブラシレスDCモーター駆動の全体的なコストを低減することにある。
【0021】
スイッチ磁気抵抗モーター(SRM)又は永久磁石ブラシレス直流(DC)モーター(PMBDCM)のための電力変換器であって、モーターの第1相巻線に接続してフロントエンド昇圧回路を形成する、フロントエンドの昇圧部分回路と、モーターの第2相巻線に接続してバックエンド昇圧回路を形成する、バックエンド昇圧部分回路とを備える電力変換器により、本発明の全部又は一部の目的を達成することができる。フロントエンド昇圧部分回路は、第1相巻線により与えられるインダクタンスと協働して第1の段階的に上昇する電圧を発生させ、バックエンド昇圧部分回路は、第2相巻線により与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に上昇する電圧を発生させる。
【0022】
モーターの第1相巻線に接続して昇圧回路を形成する、昇圧部分回路と、モーターの第2相巻線に接続して降圧回路を形成する、降圧部分回路とを有するSRM又はPMBDCMのための電力変換器により、本発明の全部又は一部の目的を更に達成することができる。昇圧部分回路は第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に上昇する電圧を発生させ、降圧部分回路は第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に減少する電圧を発生させる。
【0023】
モーターの第1相巻線に接続して昇圧回路を形成し、モーターの第2相巻線に接続して第1降圧回路を形成する、昇圧部分回路を有するSRM又はPMBDCMのための電力変換器により、本発明の全部又は一部の目的を更に達成することができる。更に、電力変換器は、モーターの第3相巻線に接続して第2降圧回路を形成する降圧部分回路を有する。昇圧部分回路は、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に上昇する電圧を発生させ、また、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に減少する電圧を発生させる。また、降圧部分回路は、第3相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に減少する電圧を発生させる。
【0024】
モーターの第1相巻線に接続してフロントエンド降圧回路を形成する、フロントエンド降圧部分回路と、モーターの第2相巻線に接続してバックエンド降圧回路を形成するバックエンド降圧部分回路とを有するSRM又はPMBDCMのための電力変換器により、本発明の全部又は一部の目的を更に達成することができる。フロントエンド降圧部分回路は第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に減少する電圧を発生させ、バックエンド降圧部分回路は第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に減少する電圧を発生させる。
【0025】
モーターの第1相巻線に接続して昇降圧回路を形成する昇降圧部分回路と、モーターの第2相巻線に接続して昇圧回路を形成する昇圧部分回路とを有するSRM又はPMBDCMのための電力変換器により、本発明の全部又は一部の目的を更に達成することができる。昇降圧部分回路は、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に上昇する電圧を発生させ、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に減少する電圧を発生させる。昇圧部分回路は、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に上昇する電圧を発生させる。
【0026】
本発明の好適な具体例は、更に明細書の以下のパラグラフに記載され、添付の図面と共に参照することで、更に良く理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図5Aは、2相のスイッチ磁気抵抗モーター(SRM)又は永久磁石ブラシレス直流モーター(PMBDCM)を駆動するための、フロントエンド昇圧ステージ及びバックエンド昇圧ステージを有するフェーズ電力変換器につき、単一の制御可能なスイッチを例示する。
【0028】
電力変換器500はフロントエンド整流器を有しており、このフロントエンド整流器は、SRM駆動システムの電力レベルに依存して1つか4つのダイオードを有していてもよい。例示のために、単一の電源整流器ダイオード502が図示される。DC電源キャパシタ503は、DCリンクフィルタを形成する。
【0029】
2相のSRMの2つの巻線は、A相巻線504及びB相巻線508として示され、これらはA相トランジスタ505及びB相トランジスタ510のそれぞれの制御可能なスイッチと、これらのフリーホイーリング(自発型)ダイオードであるA相ダイオード506及びB相ダイオード509とを有している。中間キャパシタ507は、B相巻線508にエネルギーを与えるための中間エネルギー蓄積フィルタであり、このエネルギーは、A相トランジスタ505、A相ダイオード506、A相巻線504及び中間キャパシタ507の昇圧動作から得られる。A相トランジスタ505及びB相トランジスタ510は、あらゆる自己整流スイッチ、例えばパワートランジスタ、IGBT、MOSFETやGTO等でよい。この種の制御可能な電力装置は、スイッチとも呼ばれる。
【0030】
図5Bは、SRM又はPMBDCMモーター用のフロントエンド昇圧回路及びバックエンド昇圧回路を有する電力変換器のブロック図を例示する。電力変換器550は、フロントエンド昇圧部分回路551を有しており、これはSRM又はPMBDCMモーター(図示せず)の第1相巻線552に接続してフロントエンド昇圧回路553を形成する。バックエンド昇圧部分回路554は、モーターの第2相巻線555に接続してバックエンド昇圧回路556を形成する。フロントエンド昇圧部分回路553は、第1相巻線552によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に上昇する電圧557を発生させ、バックエンド昇圧部分回路554は、第2相巻線555によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に上昇する電圧558を発生させる。
【0031】
図6は、図5Aに例示される電力変換器のA相巻線の通電を例示する。A相巻線504を有する昇圧回路は、A相巻線504に制御された電流を与え、また、中間キャパシタ507にそのエネルギーを蓄積することにより、B相巻線508を動作させるためのエネルギーを与える。これは、以下から理解されるだろう。
【0032】
そのエミッタに関して正となるようにゲートを制御する(ゲーティングする)ことにより、A相トランジスタ505をオンにすることで、電流を導通することを可能にし、よって、A相巻線504に電源DC電圧Vs 511を印可することが可能になる。このゲーティング動作により、A相巻線504、A相トランジスタ505、DC電源Vs511及びそのDC電源キャパシタ503に電流601が流れる。この昇圧回路は外部のインダクタを必要とせず、代わりに、同じ目的のためにA相巻線504を用いる。
【0033】
図7は、図5Aに例示される電力変換器のフロントエンド昇圧回路の昇圧動作を例示する。フロントエンド昇圧回路701は、A相トランジスタ505と、A相ダイオード506と、中間キャパシタ507と、A相巻線504と、DC電源キャパシタ503とを備える。A相トランジスタ505がそのゲート信号をゼロ電圧に駆動することによってオフにされれば、装置は導通を停止する。A相トランジスタ505がオフにされれば、A相巻線504の電流701は、別の経路に向かわざるを得ず、これはDC電源キャパシタ503、A相巻線504、A相ダイオード506及び中間キャパシタ507によってなされる。これにより、中間キャパシタ507は充電され、A相巻線504から中間キャパシタ507へエネルギーが移動する。A相巻線504の前後での電圧は、V-Vである点に注意されたい。通常、V512は、電源電圧Vs511より大きい。したがって、A相巻線504の前後に印加される電圧は負であり、そのため、この中の電流は減少し、この中の電流は整流される。これからわかるように、A相トランジスタ505の前後での電圧低下が、通常通りのソース電圧と比較して無視できると仮定すれば、A相巻線504は、およそVs511の電圧を得る。したがって、A相トランジスタ505が導通されればVs511がA相巻線504の前後に印加され、A相トランジスタ505がオフにされればA相巻線504がV-Vの電圧を得る。A相トランジスタ505のオン/オフを行うだけで、A相巻線504の電流が制御される。
【0034】
しかしながら、A相巻線504の前後にゼロ電圧を印加する方法はない。このように、電流制御動作中の巻線は、巻線の前後にゼロ電圧を与えることができる回路と比較して、オンとオフとの間の電圧の変化率がより高くなる。V 512がソース電圧Vs511より大きくなった場合であっても、A相トランジスタ505がオフにされた時は電流が流れる経路がないため、A相巻線504からの電流を中間キャパシタ507に充電させても問題にならない。
【0035】
中間キャパシタ507の前後の高い電圧は、B相巻線508に入力される電圧の役目を果たすが、これは有益である。電圧が高ければ、より迅速な電流の強制がB相巻線508に対して可能になり、ゆえに、トルクと同様に電流を精密に制御できるようになる。A相巻線504からエネルギーの一部が、中間キャパシタ507へ移され、昇圧動作であるので、その前後の電圧は、ソース電圧Vs511より高くなる。
【0036】
図8は、図5Aに例示される電力変換器のB相巻線の通電を例示する。電力変換器500のバックエンド昇圧回路は、インダクタとしてのB相巻線508と、制御可能なB相トランジスタ510と、B相ダイオード509と、DC電源キャパシタ503と、中間キャパシタ507とを備える。DC電源キャパシタ503及び中間キャパシタ507は、それぞれ、入力フィルタ及び出力フィルタである。フロントエンド昇圧回路のデューティサイクルは、第2昇圧回路への電圧入力を決める。第2昇圧回路の入力キャパシタに蓄積されたエネルギーは、B相巻線508により機械的な動力に変換され、その一部は、A相巻線504の動作と同様に、DC電源キャパシタ503に循環される。B相トランジスタ510をオンにすることで、B相巻線508の前後への電圧Vの印可が可能になり、よって、B相トランジスタ510及びB相巻線508に電流801が導通できるようになる。
【0037】
図9は、図5Aに例示される電力変換器のバックエンド昇圧回路の昇圧動作を例示する。バックエンド昇圧回路901は、B相トランジスタ510と、B相ダイオード509と、中間キャパシタ507と、B相巻線508と、DC電源キャパシタ503とを備えている。B相トランジスタ510をオフにすれば、スイッチからの電流902をB相ダイオード509及びDC電源キャパシタ503に迂回させ、よって、中間キャパシタ507及びB相巻線508を通る電流経路が完成する。オフの間、B相巻線508の前後の電圧は、V-Vとなる。DC電源キャパシタ503に充電する間、この電圧は増加し、中間キャパシタ507の前後の電圧は低減する。これにより、B相巻線508の前後に負の電圧が印加される。それゆえに、所望の通り、B相巻線508において電流902の減衰が生じる。
【0038】
B相トランジスタ510のオン/オフにより、B相巻線508の電流を制御する。昇圧動作のため、B相巻線508からのエネルギーの一部が、DC電源キャパシタ503へ移動される。中間キャパシタ507の全電圧が、B相巻線508に印加される。このため、迅速な電流上昇と精密な制御が実現される。
【0039】
電力変換器500及び550は、以下の利点を与える:
1.全てのスイッチの定格は、ソース電圧、V511、中間キャパシタ電圧、V512の最大に等しい。2Vのソース電圧を有する従来技術のスプリットサプライ変換器では、スイッチ定格は2Vである。更に、この従来技術の回路では、単一のダイオードフロントエンド整流器を用いることができないため、フロントエンド整流器を選択することが制限される。
2.B相トランジスタ510及びA相トランジスタ505のスイッチングを、高速で最低限とすることができる。
3.外部のインダクタを要しない。
4.キャパシタの電圧定格が、V511又はV512である。
5.中間キャパシタ507を、DC電源キャパシタ503よりかなり小さくすることが可能である。
6.プルーフトポロジーに適合する。
7.従来技術のスプリットDC電源変換器の場合のようには、DCリンク入力電圧が低下せず、このため、電圧電源を効率よく利用でき、よって、機器内の電流が低くなる。すなわち、従来技術のスプリット位相電力変換器の場合のように、実用電圧がDCソース電圧の半分程度に低い他の変換器トポロジーと比較して、DCリンク電圧をフルに利用して、機器に動力を供給する。
8.DCリンク電圧の性能を低下させることなくまた外部のインダクタを必要とせずに、相巻線につき1つの制御可能なスイッチ及びダイオードにより動作できる。
9.昇圧動作なので、他の駆動システムの制御を弱めてしまうフラックスに生じる電力出力を犠牲にすることなく、モーター駆動を高速で動作させることができるが、これは、高速で必要な高い電圧が、変換器の昇圧動作によって与えられるからである。
10.昇圧ステージのため、ソース電圧より高い電圧が、より迅速に電流を上昇させ、高いダイナミックレスポンスをもたらす。
11.制御可能なスイッチ群の各エミッタが共に接続される。したがって、ゲート回路から制御回路を分離する必要性がなく、実装に対してコストを低く、コンパクトにすることができる。
12.制御可能なスイッチ群の各エミッタが結合されるので、電流及び電圧の検知にかかるコストが低くなり、分離する必要性がなくなる。これにより、コストの低い方法で回転子位置の推定ができるようになり、低いコストで大きな生産量の用途に最も適している。
13.この変換器トポロジーは、あらゆる奇数(1を超える)又は偶数の位相数のSRMに用いることができる。
14.この変換器トポロジーはまた、奇数(1を超える)又は偶数の固定子位相を有する半波制御されたPMBDCMに用いることができる。
【0040】
しかしながら、A相巻線504及びB相巻線508の整流に利用可能な電圧は、V-Vである。速度が低いか高い作動状態の下では、利用可能な電圧は、DCソース電圧V511より非常に低い場合がある。これにより、これらの位相中の電流の導通が引き伸ばされる。したがって、電流の整流を進歩させるに適する技術は、この変換器の制御にとって望ましい。
【0041】
図10Aは、フロントエンド昇圧及びバックエンド降圧を有する位相電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを例示する。図11は、図10Aに例示される電力変換器の昇圧ステージ及び降圧ステージのそれぞれの構成を例示する。昇圧ステージ1101は、A相巻線504と、A相トランジスタ505と、A相ダイオード506と、中間キャパシタ507とを有している。降圧ステージ1102は、B相巻線508と、B相トランジスタ510と、B相ダイオード509と、中間キャパシタ507とを有している。電力変換器1000は、AC電源501を整流する単一の電源整流ダイオード502により電力供給される。
【0042】
図10Bは、SRM又はPMBDCMモーター用の昇圧回路及び降圧回路を有する電力変換器のブロック線図を例示する。電力変換器1050は、SRM又はPMBDCMモーター(図示せず)の第1相巻線1052に接続して昇圧回路1053を形成する昇圧部分回路1051を有している。降圧部分回路1054は、モーターの第2相巻線1055に接続して降圧回路1056を形成する。昇圧部分回路1051は第1相巻線1052によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に上昇する電圧1057を発生させ、降圧部分回路1054は第2相巻線1055によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に減少する電圧1058を発生させる。
【0043】
図12は、図10Aに例示される電力変換器のA相巻線の通電を例示する。交流電源501を半波整流しているため、A相巻線504は、交流電源501の正の半サイクルの間だけ電力が供給される。交流電源501の正の半波の間にA相トランジスタ505をオンしてAC電源501の前後にA相巻線504を接続することにより、電流1201が、A相巻線504、A相トランジスタ505、交流電源501及び電源整流器ダイオード502を流れることができるようになる。
【0044】
図13は、図10Aに例示される電力変換器の昇圧動作を例示する。A相トランジスタ505がオフにされれば、電流1301は、A相トランジスタ505からA相ダイオード506及び中間キャパシタ507まで迂回して流れ、このように、交流電源501及びA相巻線504を介してキャパシタを充電する。これにより、A相巻線504を流れる電流1301が減少及び減衰することが可能になる。
【0045】
このように、制御可能なA相トランジスタ505のオン/オフを切り替えることで、A相巻線504を流れる電流の制御だけでなく、交流電源501を流れる電流も制御される。電流制御により、正弦波の形をなぞるプロファイルを与えることにより、入力電流もこの形に制御され、また、力率は統一されるように制御される。これらの両方の特徴ともに、独自のものである。しかしながら、半波整流では、交流電源の電流の正の半サイクルだけが制御され、また、A相巻線504は、この正の半サイクルの間だけ電力が供給される。このような欠点に対しては、電源整流器ダイオード502の代わりに全波整流器を用いることで対応することができる。
【0046】
図14は、図10Aに例示される電力変換器の降圧ステージの通電を例示する。中間キャパシタ507は、A相トランジスタ505が作動しない時だけでなく、制御可能に作動している時にも充電される。したがって、B相巻線508に動力を供給するために蓄積されたエネルギーが、中間キャパシタ507に存在する。B相巻線508の通電は、B相トランジスタ510をオンにすることによってなされ、そしてこのB相トランジスタ510は、中間キャパシタ507、B相巻線508及びB相トランジスタ510から構成される回路を完結させる。これにより、B相巻線508に電流1401が流れるようになる。
【0047】
図15は、図10Aに例示される電力変換器の降圧ステージのフリーホイーリングを例示する。電流をオフにするか制御する必要が生じたときに、B相トランジスタ510をオフにする。この操作により、B相巻線508とB相ダイオード509とを備える電流1501の経路が有効になる。これは、フリーホイーリングとして知られ、ダイオードは理想的でその電圧低下は無視できると仮定すれば、B相巻線508の前後の電圧はほぼ0である。これにより、電流1501が減衰し、最終的にゼロになる。
【0048】
電力変換器1000及び1050は、以下の利点を与える:
1.単一のキャパシタベースである。
2.位相につき1つの制御可能なスイッチ及び1つのダイオードである。
3.整流は、1つのダイオードにより簡単に行われる。
4.2つの位相SRM駆動に対して部品数が最少である。
5.このコンセプトは、あらゆる位相数に拡張可能である。たとえば、3相の機器が、2つの昇圧ステージと1つの降圧ステージ、あるいは個数がその逆のものを有していてもよい。4相機器では、2つの昇圧電力ステージと2つの降圧電力ステージを有していてもよく、それら全ては1つのキャパシタのみを用いる。
6.入力電流波形の整形と統一的な力率での動作が与えられる。
7.両方の制御可能なスイッチエミッタが結合されるので、ゲーティング回路を著しく単純化でき、また低コストアプリケーション用のゲーティング及び制御回路の分離が必要ない。
8.降圧電力変換器ステージ及び昇圧電力変換器ステージは、外部のインダクタを必要とせず、電力変換のための機器巻線を用いる。
【0049】
しかしながら、フリーホイーリングのため、より遅い電流減衰がB相巻線508に生じる場合もある。したがって、この問題を回避するため、事前にスイッチオフをプログラムすることによりB相巻線508の制御に注意を及ぼすべきである。また、半波電流制御が交流側に対して使われるので、A相巻線504のハーフタイムの制御及び通電が存在する。これらの欠点の両方とも、フロントエンドの中に全波整流器を導入することによって解決される。
【0050】
図16は、そのフロントエンドで全波整流器を有する、図10Aの電力変換器を例示する。昇圧ステージ1101が統一の力率を可能にし、また入力電流波形を正弦波形へ整形できるよう、電力変換器1600は、全波フロントエンド整流器1601を有する。またこれは、昇圧ステージ入力にいつでも利用可能な電力供給を与える。それゆえに、A相巻線504は、いつでも制御可能である。再び、電力変換器1600は、電力変換器1000及び1050と同じ利点を有し、しかもこれらの不利益はない。
【0051】
図17Aは、2つの降圧ステージを有する昇圧フロントエンド及び昇圧バックエンドを有し、2つの制御可能なスイッチで3相のモーターを制御する電力変換器を例示する。図17Bは、全波フロントエンド整流器を有する図17Aの電力変換器を例示する。2つの制御可能なスイッチだけで3相のSRM駆動のために、フロントエンド昇圧及びバックエンド降圧の基本的発明をここに組み合わせる。同時に、C相巻線1701及びA相巻線504はA相トランジスタ505により制御される。B相トランジスタ510は、B相巻線508のみを制御する。
【0052】
ここでも、統一の力率の動作及び入力電流波形の整形という利点は、半波及び全波の整流の両方の場合に対して達成される。このシステムは、3相SRMを制御する2つの制御可能なスイッチに独自の特徴を与える。
【0053】
A相トランジスタ505を制御することにより、AC電源501、電源整流器ダイオード502又は電源全波整流器1751、C相巻線1701及びA相トランジスタ505を介して昇圧通電により、C相巻線1701に電流が流れるようにする。C相巻線1701がエネルギーを与えられる昇圧である一方、A相巻線504は、V512、A相ダイオード1702、A相巻線504及びA相トランジスタ505を介し、降圧モードで、中間キャパシタ507の前後のDCリンク電圧によりエネルギーが与えられる。A相トランジスタ505がオフにされるとき、A相巻線504の電流がフリーホイーリングダイオード1703を介してフリーホイールする一方で、C相巻線1701は、フリーホイーリングダイオード1703を介して中間キャパシタ507を充電する。
【0054】
B相巻線508は、V512からの降圧モードでB相トランジスタ510により制御され、電流は、フリーホイーリングB相ダイオード509を経由して制御され又は整流される。したがって、A相及びB相が降圧モードで制御される一方、C相巻線1701は昇圧モードによって制御される。この説明は、半波整流及び全波整流の両方の場合に適用できる。
【0055】
図17Cは、SRM又はPMBDCMモーター用の昇圧―降圧及び降圧回路を有する電力変換器のブロック図を例示する。電力変換器1770は、SRM又はPMBDCMモーター(図示せず)の第1相巻線1772に接続して昇圧回路1773を形成する、昇圧―降圧部分回路1771を有している。昇圧―降圧部分回路1771は、モーターの第2相巻線1774に接続して第1降圧回路1775を形成する。更に、降圧部分回路1776は、モーターの第3相巻線1777に接続して第2降圧回路1778を形成する。昇圧―降圧部分回路1771は、第1相巻線1772によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に上昇する電圧1179を発生させ、第2相巻線1774によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に減少する電圧1780を発生させる。降圧部分回路1776は、第3相巻線1777によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に減少する電圧1781を発生させる。
【0056】
電力変換器1700、1750及び1770は、以下の利点を与える:
1.本来の昇圧回路及び降圧回路トポロジーの全ての利点を有している。
2.3つの位相機器を制御するためには、2つの制御可能なスイッチだけでよい。
【0057】
しかしながら、スイッチングに慎重な制御が働かない場合は、位相A及び位相Cの制御が重なり合い、トルクの発生が若干低下することになる。また、このトポロジーでは、わずかに低い出力となる場合がある。
【0058】
図18は、フロントエンド降圧及びバックエンド昇圧を有する位相電力変換器につき、単一の制御可能なスイッチを例示する。
【0059】
図19は、図18に例示される電力変換器の昇圧ステージ及び降圧ステージのそれぞれの構成を例示する。電力変換器のフロントエンドは、降圧ステージ電力変換器1901であり、これは、ソース電圧よりも低い電圧を印加することを意味するものであり、また、バックエンドは、昇圧ステージ1902であり、そこでは、入力電圧は、出力電圧よりも低い。電力変換器1800は、電源から機器へ、また機器から別の電源へと、電力を変換する。
【0060】
降圧ステージ1901は、DC電源キャパシタ503及び制御可能なその電圧Vs511と、A相トランジスタ505と、A相巻線504と、中間のキャパシタ507と、A相ダイオード506とを有している。フロントエンド整流器は、半波用又は全波用であってもよい。降圧の動作は、A相トランジスタ505により制御され、その動作は、前述の降圧ステージに類似している。これは、中間キャパシタ507に出力電圧を与え、この出力電圧は、中間キャパシタ507と、B相巻線508と、制御可能なB相トランジスタ510と、B相ダイオード509と、DC電源キャパシタ503と、これの前後の電圧とを有する昇圧ステージへの入力電圧の役目を果たす。B相トランジスタ510は、前述の昇圧動作を制御する役目を果たす。したがって、充分に制御可能な2つの位相SRM駆動が、この回路から派生する。
【0061】
電力変換器1800は、以下の利点を与える:
1.2つの位相SRM駆動に対して位相につき1つのスイッチだけでよい。
2.このコンセプトは、あらゆる位相数に適用可能である。
3.このコンセプトは、半波制御されたPMBDCM駆動に適用可能で、かつあらゆる位相数に適用可能である。
4.独立した位相制御が可能である。
5.部品のコンパクト性及び少ない部品数が可能となる。
6.降圧フロントエンドのため、その出力中間キャパシタ507の前後の電圧は良好に制御されて機器の動作速度の関数になり、適切な量のB相巻線508を供給するための電圧を与える。したがって、B相巻線508に対するスイッチングが最小限に抑えられるので、B相トランジスタ510のスイッチング損失を低減できる。これにより、変換器の効率を改善し、それゆえに、全体の駆動システムを改善する。
【0062】
図20Aは、降圧フロントエンド及び降圧バックエンド電力ステージを有する位相電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを例示する。フロントエンド降圧ステージは、図18で示すのと同じである。このバックエンド降圧ステージは、中間キャパシタ507と、B相巻線508と、B相トランジスタ510と、フリーホイーリングB相ダイオード509とを有している。バックエンド降圧ステージの働きは、すでにここに記載済みである。ゆえに簡潔さのため、この記載の繰返しはここでは省略する。
【0063】
図20Bは、SRM又はPMBDCMモーター用のフロントエンド降圧回路及びバックエンド降圧回路を有する電力変換器のブロック図を例示する。電力変換器2000は、SRM又はPMBDCMモーター(図示せず)の第1相巻線2052に接続してフロントエンド降圧回路2053を形成するフロントエンド降圧部分回路2051を有している。バックエンド降圧部分回路2054は、モーターの第2相巻線2055に接続してバックエンド降圧回路2056を形成する。フロントエンド降圧部分回路2051は、第1相巻線2052によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に減少する電圧2057を発生させる。バックエンド降圧部分回路2054は、第2相巻線2055によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に減少する電圧2058を発生させる。
【0064】
電力変換器2000及び2050は、以下の利点を与える:
1.降電力ステージ変換器及び昇電力ステージ変換器のトポロジーのほとんどすべての利点を保持する。
2.B相巻線508のスイッチングを最小限に抑え、よってより高い効率を与える。
3.B相巻線508の電流整流を長くすることができる。したがって、B相トランジスタ510の整流を促進させるにあたり注意を要する。
4.外部のインダクタを使わず、代わりに、機器巻線を、電力変換のための降圧電力ステージ及び回路の動作に用いる。
【0065】
図21Aは、フロントエンド昇降圧及び昇圧バックエンド電力ステージを有する位相電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを例示する。電力変換器2100のフロントエンド変換器は昇降圧ステージ回路2101であり、そのバックエンドは単純な昇圧ステージ回路2102である。2つの変換器ステージの動作に対してはインダクタが必要であり、このインダクタは通常は、外部かつ機器に無関係なものである。本発明では、変換器ステージの動作に対して、インダクタとして機器巻線を用いる。
【0066】
電力変換器2000は、フロントエンド整流器を有し、これはSRM駆動システムの電力レベルに従い単一又は4つのダイオードを有していてもよい。ここでは例示のため、単一の電源整流器ダイオード502が示される。DC電源キャパシタ503は、DCリンクフィルタを形成する。2相のSRMの2つの巻線は、A相巻線504及びB相巻線508として示され、これらは、A相トランジスタ505及びB相トランジスタ510のそれぞれの制御可能なスイッチと、これらのフリーホイーリングA相ダイオード506及びB相ダイオード509を有している。中間キャパシタ507は、B相巻線508にエネルギーを与えるための中間エネルギー蓄積フィルタであり、そのエネルギーは、A相トランジスタ505、A相ダイオード506、A相巻線504及び中間キャパシタ507の昇降圧動作から得られる。
【0067】
昇降圧回路2101は、A相巻線504へ制御された電流を与え、またB相巻線508にDC電源電圧Vs511を与える。昇降圧型回路2101は、外部のインダクタを必要とせず、代わりに、同じ目的で機器のA相巻線504を用いる。
【0068】
昇圧回路2102は、インダクタとしてのB相巻線508と、制御可能なB相トランジスタ510と、B相ダイオード509と、入力フィルタ及び出力フィルタのそれぞれのためのDC電源キャパシタ503及び中間キャパシタ507とを有している。フロントエンド昇降圧型回路2101のデューティサイクルが、昇圧回路2102への電圧入力を決定する。昇圧回路の入力キャパシタに蓄積されるエネルギーは、B相巻線508を通して機械的動力に変換されて、また一部はDC電源キャパシタ503に循環される。
【0069】
図21Bは、SRM又はPMBDCMモーター用の昇降圧回路及び昇圧回路を有する電力変換器のブロック図を例示する。電力変換器2100は、SRM又はPMBDCMモーター(図示せず)の第1相巻線2152に接続して昇降圧回路2153を形成する昇降圧部分回路2151を有している。昇圧部分回路2154は、モーターの第2相巻線2155に接続して昇圧回路2156を形成する。昇降圧部分回路2151は、第1相巻線2152によって与えられるインダクタンスと協働して第1の段階的に上昇する電圧2157を発生させ、第1相巻線2152によって与えられるインダクタンスと協働して段階的に減少する電圧2158を発生させる。昇圧部分回路2154は、第2相巻線2155によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に上昇する電圧2159を発生させる。
【0070】
電力変換器2100及び2150は、以下の利点を与える:
1.全てのスイッチ定格は、電源電圧V511又はVのいずれが高くとも、これらの最大値と等しい。2V電源電圧を有する従来技術のスプリット供給変換器では、スイッチ定格は、2Vに等しい。更に、単一のダイオードフロントエンド整流器はこの従来技術の回路に用いることができないので、このことはフロントエンド整流器の選択幅を制限する。
2.B相トランジスタ510及びA相トランジスタ505のスイッチングは、高速で最小限にできる。
3.フロントエンド昇降圧ステージ回路2101及びバックエンド昇圧回路2102のステージの動作のためには、外部のインダクタは必要でない。
4.キャパシタの電圧定格は、V又はVのいずれが高くとも、これらのいずれかに等しい。
5.中間キャパシタ507を、DC電源キャパシタ503よりかなり小さくできる。
6.プルーフトポロジーに適合する。
7.従来技術のスプリットDC電源変換器の場合のようには、DCリンク入力電圧が低下せず、このため、電圧電源を効率よく利用でき、よって、機器内の電流が低くなる。
8.電力変換器2100は、DCリンク電圧及び外部のインダクタの性能を低下させることなく、位相につき1つの制御可能なスイッチ及びダイオードを提供する。
9.昇圧動作なので、他の駆動システムの制御を弱めてしまうフラックス中に生じる電力出力を犠牲にすることなく、モーター駆動を高速で動作させることができるが、これは、高速で必要な高い電圧が、変換器の昇圧動作によって与えられるからである。
10.昇圧ステージのため、電源電圧より高い電圧が電流をより迅速に上昇させることができ、高いダイナミックレスポンスに貢献する。
11.機器の定格ないし名目の速度の動作の下で、フロントエンド昇降圧回路2101は降圧モードで動作させることができるため、B相巻線508のスイッチングを低減し、損失を低減する。また、非常に微細に電流の制御ができ、電流の変化率を最小にすることができ、音響雑音を低減できる。
12.電力変換器2100が、偶数と奇数のあらゆる位相SRMの数に対して使用可能である。
13.電力変換器2100は、半波制御の偶数又は奇数の位相PMBDCM制御に適用でき、類似の利点及び低コストを得ることができる。
14.偶数の位相番号が利用可能でない場合、変換器を2つの位相で使って昇圧ステージと電力変換の昇降圧ステージを用いる1つの位相を使用できるようにし、あるいはその逆、すなわち3相機器も可能である。
【0071】
図22は、両方の相巻線に対して独立したエネルギー源を有する図21Aの電力変換器を例示する。独立したエネルギーの保存が、DC電源キャパシタ503及び中間キャパシタ507に与えられる。これには、始動におけるB相巻線508の動作が、A相巻線504の動作から独立するという利点がある。B相巻線508が所与の始点でエネルギーを与えられる必要がある場合、中間キャパシタ507がエネルギーを有しない限り動作させることができないということを意味する。また、図21Aに関して上記のように、A相巻線504にエネルギーを与えない限り、それはエネルギーを有することができない。
【0072】
電力変換器2100に関して、A相巻線504にエネルギーを与えることは、必要ない又は意図しない方向にトルクが発生する可能性につながり、始動時の性能が低下する。昇圧ステージの入力キャパシタにエネルギーを与えることにより、この可能性を除去する。交流電源501からエネルギーを与えるこの独立した方法では、電力変換器2200が追加の電源整流器ダイオード2201を有することができるようになり、A相及びB相の独立した動作が可能になる。
【0073】
電力変換器2200は、2つの位相SRMの機器位相において、電流を独立して制御する新しい電力変換器トポロジーを提供する。電力変換器2200は、外部のインダクタを必要とせず、機器位相への電圧入力を可変として使用可能である。また、あらゆる偶数又は奇数の位相SRMに対して、またPMBDCM機器に対して拡張することができるので、SRM及びPMBDCM機器のブラシレス機器のサブセットのための変換器となりうる。位相につき1つの制御可能なスイッチ及び1つのダイオードを有するという特徴を有する。前方の変換器の動作により、入力力率の制御及び入力交流線電流の波形整形がこの発明で可能である。
【0074】
電力変換器2200は、偶数の位相機器に対して、SRMの位相につき1つの制御可能なスイッチ及び1つのダイオードを有する。フロントエンド変換器は昇降圧ステージ回路2101であり、後端は単純な昇圧ステージ回路2102である。2つの変換器ステージを動作させるには、インダクタが必要であり、このインダクタは通常は、外部かつ機器に無関係なものである。電力変換器2200は、変換器ステージの動作用のインダクタとして機器巻線を用いる。
【0075】
電力変換器2200は、2つのフロントエンド整流器と、電源整流器ダイオード502と、電源整流器ダイオード2201とを有している。DC電源キャパシタ503と中間キャパシタ507が、DCリンクフィルタを形成する。2相のSRMの2つの巻線は、A相巻線504及びB相巻線508として示され、これらは、A相トランジスタ505及びB相トランジスタ510のそれぞれの制御可能なスイッチと、これらのフリーホイーリングダイオードであるA相ダイオード506及びB相ダイオード509を有している。また中間キャパシタ507は、B相巻線508にエネルギーを与えるための中間エネルギー蓄積フィルタであり、そのエネルギーは、A相トランジスタ505、A相ダイオード506、A相巻線504及び中間キャパシタ507の昇降圧動作から得られる。この構成は、A相巻線504の動作から独立しているB相巻線508へのエネルギーを入力し、またその逆の入力も可能にする。特に2相の機器駆動システムのために、これは非常に重要である。
【0076】
回転子極がB相巻線508の固定子極の近傍にある際にB相巻線508が起動のためにエネルギーが与えられる必要がある場合を想定する。この場合、B相巻線508に動力を供給するためには、中間キャパシタ507にエネルギーがあることが要求される。しかし、駆動動作の初期には、エネルギーが存在しないので、中間キャパシタ507を満たす別の方法を講じる必要がある。これには、A相巻線504の通電を必要とするが、こうすることは理想的でない。よって、望ましくない効果がより短い間隔に対して発生する。用途によっては、受け入れられないものもあろう。この問題は、ここで完全に除去される。
【0077】
更に、この変換器により、2相の機器動作が可能になる。電力変換器2200は、キャパシタを充電するための2つの独立した方法を有しているため、高い故障許容能力が与えられる。たとえば、フロントエンドダイオードのうちの1つが故障したような場合でも、エネルギー源が一つ、機器システムを駆動するために残っている。これは、非常に重大であり、また多くの用途に対して重要である。
【0078】
全波整流を与えるフロントエンド整流器に2つのダイオードを使用することにより、1つのダイオードで半波整流を行うことと比較して、入力高調波を低減する。またこれにより、均一に入力電流を分布させ、ダイオードの損失が過度に増加することなく、このため、冷却の必要が過度に増加しない。これにより、システム及びその動作の信頼性が増加するが、それは、ダイオードの1つが故障しても、システムの動作を妨げないからである。
【0079】
電力変換器2200は、以下の利点を与える:
1.電力変換器2100及び2150により与えられる全ての利益及び利点が与えられる。
2.あらゆる時点でB相巻線508は独立して動作するという追加的な利点を有する。
3.また、交流供給電流、正の半サイクルが電源整流器ダイオード502により、負の半分サイクルが電源整流器ダイオード2201により、全整流がなされるので、電源電流がバランスするようになる。
4.A相巻線504への最小の整流電圧は、少なくとも交流線電圧の最大値と等しくなるよう与えられる。A相巻線504への整流電圧は、昇降圧回路2101が降圧モードで動作する場合は、より低くなる。これは、重要な要因である。
5.整流器動作のための2つのフロントエンドダイオードにより全波の動作が与えられるため、入力側での高調波が最小限に抑えられる。
6.2-ダイオードのシステムにより、障害の許容範囲が増加する。
7.2-ダイオードのシステムは、機器側の変換器に接続し、A相巻線504及びB相巻線508の独立した動作を与える。
8.2-ダイオードシステムは、2つの位相のために必要なエネルギーを、それぞれのキャパシタに均一に分配する。これは、B相巻線508に要するエネルギーは、A相巻線504を流れる必要がないことを意味し、高効率のモーター駆動システムをもたらす。
9.電力変換器2200の特徴は、どんな位相数にでも適用できることであり、特に2相のSRM又はPMBDCM機器に対して効果的である。
10.フロントエンド整流器中のダイオードの数は、全波動作用に2つだけであり、電力損失及び変換器の実装中のヒートシンクに要するスペースを低減する。
11.B相巻線の動作は、A相巻線504の動作から独立しているが、これは、そのためのエネルギー源が独立しているからである。B相巻線508は、それ自身の整流を通して交流電源からエネルギーを得る。さもなければ、B相巻線508の励起のために利用可能なエネルギーは、A相巻線504の動作に大きく依存することになる。これにより、起動時に真に独立するシステムを構築し、起動時のより微細な制御及び微細な機器動作をもたらす。
12.電力変換器2200が位相の独立した動作を与えるため、個々の位相へのエネルギー可用性に関して、この機器は、一般に3よりも多い位相を必要とする他の従来技術の方式と異なり、2つの位相で動作させることができ、そこでは場合に応じて、2又は3の位相が、第3又は第4の位相の通電のために、(第3または第4の位相DCリンクの)DCリンクを充電する。電力変換器2200は、そのような制限を取り除き、それを2つあるいはそれ以上の位相に対して適するようにする。
【0080】
図23は、インバーターモジュールの1の位相レッグを用いる位相電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを例示する。電力変換器2300は、インバーターモジュール2301の位相レッグを用いるので、制御可能なスイッチと迅速なダイオードとを別々に実装する必要を回避する。制御可能なスイッチ2302、2303及びそれぞれ接続された相巻線504,508のための高速の逆並列ダイオード2304、2305は、すでにインバーターモジュールの中に逆並列に接続されている。
【0081】
電力変換器2300は、コンパクト性及び価格の利点のため、インバーターモジュール2301を用いる。インバーターモジュール2301が整流タイプの低速操作ダイオードを用いる場合でも、これらは、安価で損失が非常に低い。したがって、その熱実装要求は、電流のフリーホイーリングに必要又はSRMの反作用的な電流を取り扱うために必要な、高速のダイオードの実装のための要求と同じ程度には厳しくない。
【0082】
本発明は、全ての偶数の位相SRMに拡張することができ、また、半波制御によるPMBDCM機器に拡張することができる。よって、これは、SRM及びPMBDCM機器のブラシレス機器のサブセットのための変換器とすることができる。更に、電力変換器2300は1つの制御可能なスイッチパッケージを有し、これは、逆並列のダイオードと、相巻線につき1つの低速のダイオードとを有している。
【0083】
電力変換器2300は、降圧ステージ2306であるフロントエンド変換器を有し、バックエンドは、単純な昇圧ステージ2307である。インバーター位相モジュールを用いることで、1つの装置中でフリーホイーリング及び反作用電流のハンドリングのために用いられる制御可能なスイッチ及び高速のダイオードの実装要求を、単純化する。これらの装置の両方は、1つのパッケージの中で利用可能であり、低い生産量であっても、コンパクト性及び低コストのために有用である。
【0084】
4相機器は、インバーターモジュールの2本の位相レッグを有する4象限チョッパーモジュールを用いることができる。このようなモジュールは、商業上利用可能である。同様に、6相機器は、3相のフルブリッジインバーターモジュールを用いることができる。
【0085】
電力変換器2300はフロントエンド整流器を有し、これは、SRM駆動システムの電力レベルに依存して、1つ又は4つのダイオードを有していてもよい。例示のために、単一の電源整流器ダイオード502のステージが示される。DC電源キャパシタ503は、DCリンクフィルタを形成する。2相のSRMの2つの巻線は、A相巻線504及びB相巻線508として示され、これは、A相トランジスタ505及びB相トランジスタ510のそれぞれの制御可能なスイッチと、これらの逆並列のフリーホイーリングダイオードとを有している。A相ダイオード506及びB相ダイオード509はステアリングダイオードであり、これらは低速である。それゆえに、これらは導通電圧低下の低い整流型であってもよい。これらは、電流をステアリングするために、それぞれA相巻線504及びB相巻線508に直列に接続される。中間キャパシタ507は、B相巻線508にエネルギーを与えるための中間エネルギー蓄積フィルタである。
【0086】
この回路の動作は、次の通りである。A相巻線504は、A相トランジスタ505をオンにすることによってエネルギーが与えられる。電流が命令値を上回る時又は完全に消すべき時は、これはオフにされる。電流は、B相トランジスタ510の逆並列のダイオード2305により引き継がれる。常に、中間キャパシタ507は充電されている。電力変換器2300の動作は、降圧変換器であるステップダウンチョッパーの動作と同様である。B相巻線508は、中間キャパシタ507に蓄積されるエネルギーから、B相トランジスタ510をオンにすることにより電力供給される。電流を完全にオフする場合または軽減する場合、B相トランジスタ510がオフにされる。これにより、A相トランジスタ505の逆並列のダイオード2304が、電流をDC電源キャパシタ503へ導くことができるようになり、これによりB相巻線508の電流が減衰し、結局電流はゼロになる。これが、変換器の昇圧動作である。したがって、変換器の降圧及び昇圧動作は、この装置で実現する。降圧及び昇圧装置の利点は、このケースにも適用できるが、若干異なる点もある。
【0087】
電力変換器2300は、以下の利点を与える:
1.全てのスイッチ定格は、電源電圧V511又はVのいずれが高い場合でも、これらの最大値に等しい。2Vソース電圧による従来技術のスプリットサプライ変換器では、スイッチ定格は2Vに等しい。更に、単一のダイオードフロントエンド整流器はこの従来技術の回路に用いることができないため、フロントエンド整流器の選択を制限する。
2.制御可能なスイッチ2302と2303のスイッチングは、高速で最小限にすることができる。
3.変換器のフロントエンド降圧ステージとバックエンド昇圧ステージの操作に対して、外部のインダクタを必要としない。
4.コンデンサーの定格電圧は、V又はVのいずれが高い場合でも、V又はVである。
5.中間キャパシタ507を、DC電源キャパシタ503よりかなり小さくすることができる。
6.従来技術のスプリットDC電源変換器の場合のようには、DCリンク入力電圧が低下せず、このため、電圧電源を効率よく利用でき、よって、機器内の電流が小さくなる。
7.電力変換器2300は、DCリンク電圧と外部インダクタの性能を低下させることなく、位相につき1つの制御可能なスイッチとダイオードを与える。
8.第2変換器ステージの昇圧動作なので、他の駆動システムの制御を弱めてしまうフラックスに生じる電力出力を犠牲にすることなく、モーター駆動を高速で動作させることができるが、これは、高速で必要な高い電圧が、変換器の昇圧動作によって与えられるからである。
9.昇圧ステージなので、ソース電圧より高い電圧が与えられれば、電流は高速で上昇し、高いダイナミックレスポンスに貢献する。
10.機器の定格ないし名目の速度動作の下で、A相変換器ステージは降圧モードで動作させることができるため、B相巻線508のスイッチングを低減し、損失を低減する。また、非常に微細に電流の制御ができ、電流の変化率を最小にすることができ、音響雑音を低減できる。
11.電力変換器2300が、偶数のあらゆる位相SRM数に対して使用可能である。
12.電力変換器2300は、半波制御の偶数の位相PMBDCM制御に適用でき、類似の利点及び低コストを得ることができる。
13.インバーター位相レッグモジュール2301を用いるため、容易に利用可能なインバーター位相レッグモジュール2301を用いることにより、実装コストを削減でき、より多くの用途でSRMの使用を可能にする。
14.外部インダクタなしで、A相のための降圧動作とB相のための昇圧動作のそれぞれが、この発明で与えられ、付随する利点も同時に与えられる。
【0088】
しかしながら、電力変換器2300の効率は、他の構成よりわずかに低い。これは、制御可能なスイッチ2302、2303又は逆並列のダイオード2304、2305によるものであり、これらは伝導の間は常にステアリングダイオード506、509と直列である。これにより、全体の伝導電圧降下が大きくなり、そのため損失が生じる。また、逆並列のダイオードにより与えられるフリーホイーリングのため、電流制御と位相の伝導を独立に行うことは可能でない。後続する位相で電流を流し始めるために、逆並列のダイオードとそのスイッチを同時に導通させる必要がある。このため、電流の不連続とトルク不連続が生じることがある。これは、低性能であるが生産量の多い機器等の用途に対しては、さほど重大な不利益ではない。その上、位相間の相互インダクタンスのため、相巻線に循環電流が生じる可能性があり、これは、機器の適当な設計によって最小にすることはできるが、必ずしも排除することはできない。繰り返すが、低性能の用途のためには、これは厳しい不利益でない。
【0089】
ここで議論される不利益は、図24に示される回路により克服される。図24は、位相電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを例示し、これは、インバーターモジュールの1つの位相レッグを用い、モーターの相巻線を流れる電流の循環を抑止する。電力変換器2400は、インバーターモジュール2301の位相レッグを用いるため、制御可能なスイッチと高速のダイオードを別個に実装する必要性を回避する。制御可能なスイッチ2302、2303及びそれぞれ接続された相巻線504,508のための高速の逆並列ダイオード2304、2305は、すでにインバーターモジュールの中に逆並列に接続されている。
【0090】
電力変換器2400は、コンパクト性と価格の利点のため、インバーターモジュール2301を用いる。インバーターモジュール2301が整流タイプの低速のステアリングダイオードを用いる場合でも、これらは、安価で損失が非常に低い。したがって、その熱実装要求は、電流のフリーホイーリングに必要又はSRMの反作用的な電流を取り扱うために必要な、高速のダイオードの実装のための要求と同じ程度には厳しくない。
【0091】
本発明は、全ての偶数の位相SRMに拡張することができ、また、半波制御によるPMBDCM機器に拡張することができる。よって、これは、SRM及びPMBDCM機器のブラシレス機器のサブセットのための変換器とすることができる。
【0092】
更に、電力変換器2400は1つの制御可能なスイッチパッケージを有し、これは、逆並列のダイオードと、電流ステアリングのための相巻線につき1つの低速ダイオードとを有している。電力変換器2300は、スイッチ2302と、A相巻線504と、ダイオード506と、ソース電圧を与えるキャパシタ503とを備える降圧ステージ2306であるフロントエンド変換器を有している。バックエンド変換器は、スイッチ2303と、B相巻線508と、ダイオード509と、電源電圧Vs512を与えるキャパシタ507とを備える単純な昇圧ステージ2307である。インバーター位相モジュール2301を用いることで、1つの装置中でフリーホイーリング及び反作用電流のハンドリングのために用いられる制御可能なスイッチ及び高速のダイオードの実装要求を、単純化する。これらの装置の両方は、1つのパッケージの中で利用可能であり、低い生産量であっても、コンパクト性及び低コストのために有用である。
【0093】
4相の機器の場合は、インバーターモジュールの2つの位相レッグを有する4象限チョッパーモジュールを用いることができる。このようなモジュールは、商業上利用可能である。同様に、6相機器は、3相のフルブリッジインバーターモジュールを用いることができる。
【0094】
電力変換器2400はフロントエンド整流器を有し、これは、SRM駆動システムの電力レベルに依存して、1つ又は4つのダイオードを有していてもよい。例示のために、全波電源整流ステージ2401が示される。DC電源キャパシタ503は、キャパシタ2402とキャパシタ507とともにDCリンクフィルターの部品を形成する。2相のSRMの2つの巻線は、A相巻線504及びB相巻線508として示され、これらは、A相トランジスタ2302及びB相トランジスタ203のそれぞれの制御可能なスイッチと、これらの逆並列のフリーホイーリングダイオード2304及び2305をそれぞれ有している。A相ダイオード506とB相ダイオード509はステアリングダイオードであり、これらは低速である。それゆえに、これらは導通電圧低下の低い整流型であってもよい。これらは、電流をステアリングするために、それぞれA相巻線504及びB相巻線508に直列に接続される。中間キャパシタ507は、B相巻線508にエネルギーを与えるための中間エネルギー蓄積フィルタである。
【0095】
DC電源キャパシタ503と、中間キャパシタ507と、循環防止キャパシタ2402とは直列に接続され、かつ整流化された交流電源501と並列に接続される。DC電源で3つのキャパシタ503、2402及び507を用いることにより、またこれらが機器位相に接続されることにより、機器位相とA相巻線504とB相巻線508との間での循環電流が、位相間で高い相互結合がある場合であっても、回避される。巻線間でこのような循環電流を回避する必要であるのは、循環防止キャパシタ2402の前後の小さい電圧だけである点に留意すべきである。
【0096】
この回路の動作は、次の通りである。A相巻線504は、A相トランジスタ2302をオンにすることによってエネルギーが与えられ、そして、同時に、A相の前後での電圧はほぼ電圧512に等しく、これにより、A相巻線504の電流が増加する。電流が命令値を上回るとき又は完全に消すべきときは、これはオフにされる。電流は、B相トランジスタ2303の逆並列のダイオード2305により引き継がれる。電流のための経路は、ここでは、ダイオード2304と、A相巻線504と、ダイオード506と、キャパシタ2402及び507とから成るので、A相巻線504の前後に負の電圧を印可することになり、このため電流が減衰することが強制される。全ての時間、DC電源キャパシタと、循環防止キャパシタ2402と、中間キャパシタ507とは、整流化された交流電源から充電されている。循環防止キャパシタ2402は他の2つのキャパシタより非常に小さいため、その電圧も著しく小さい。更に、この電圧は、A相トランジスタ505のゲート駆動回路に電力を供給するために用いることができ、これは有意な利点である。またこれは、3つのキャパシタの前後の電荷の分布を与え、循環防止キャパシタ2402が意図したよりも多量の電荷を蓄積することを防止する。この変換器部品の動作は、降圧変換器である段階的減少チョッパーの動作に類似する。B相巻線508は、B相トランジスタ510をオンにすることにより、中間キャパシタ507に蓄積されたエネルギーからエネルギーが供給される。電流を完全にオフする場合または軽減する場合、B相トランジスタ2303がオフにされ、これにより、A相トランジスタ2302の逆並列のダイオードが、電流をDCリンク入力キャパシタへ導くことができるようになり、これによりB相巻線508の電流が減衰し、結局電流はゼロになる。
【0097】
電力変換器2400は、以下の利点を与える:
1.全てのスイッチの定格は、電源電圧の最大値に等しい。2V電源電圧による従来技術のスプリットサプライ変換器では、スイッチ定格は2Vに等しい。
更に、単一のダイオードフロントエンド整流器はこの従来技術の回路に用いることができないため、フロントエンド整流器の選択を制限する。
2.制御可能なスイッチ2302と2303のスイッチングは、高速で最小限にすることができる。
3.変換器のフロントエンド降圧ステージとバックエンド昇圧ステージの操作に対して、外部のインダクタを必要としない。
4.キャパシタの定格電圧は、DCリンクのほぼ半分であり、循環防止キャパシタ2402の定格電圧は、非常に小さい。
5.循環防止キャパシタ2402は、DC電源キャパシタ503および中間キャパシタ507よりも非常に小さくすることができる。
6.このトポロジーは、外部インダクタなしに、位相につき1つの制御可能なスイッチとステアリングダイオードを与える。
7.この変換器トポロジーは、あらゆる偶数の位相SRMに対して用いることができる。
8.同じ変換器トポロジーが、半波制御された偶数の位相PMBDCMの制御に適用でき、同様の利点と低コストをもたらす。
9.インバーター位相レッグモジュール2301を用いることで、実装コストを削減し、容易に利用可能なインバーター位相レッグモジュール2301を用いることにより、より多くの用途でSRMの使用を可能にする。
10.外部インダクタなしに、位相A及びBのための降圧動作を本発明でも提供することができ、また、付随する利点もある。
11.位相間の相互インダクタンスにもかかわらず、相巻線での循環電流が発生する可能性は、この変換器トポロジーにおいて排除され、それは、電流循環として作用する中間キャパシタ2402の電圧のためである。
12.循環防止キャパシタ2402に蓄積されるエネルギーが、トップスイッチをゲートで制御するために用いられる。これにより、トップスイッチのゲート回路に対する別個の電源の必要性を排除しつつ、循環防止キャパシタ2402でのエネルギー蓄積が防止される。エネルギー蓄積をこのように無効にすることができることは、重要な技術革新を与える。
【0098】
しかしながら、電力変換器2400の効率は、この構成のためにわずかに低くなる。これは、制御可能なスイッチ2302、2303又は逆並列のダイオード2304、2305によるものであり、これらは伝導の間は常にステアリングダイオード506、509と直列である。これにより、全体の伝導電圧降下が大きくなり、効率を損失する。逆並列のダイオードにより与えられるフリーホイーリングのため、電流制御と位相の伝導を独立に行うことは可能でない。後続する位相で電流を流し始めるために、フリーホイーリングの逆並列のダイオードと関連するスイッチを同時に導通させる必要がある。このため、この変換器を用いるためには、電流の不連続とトルク不連続を許容する必要がある。これは、低性能であるが生産量の多い機器等の用途に対しては、さほど重大な不利益ではないことに注意すべきである。従来技術のスプリットDC電源変換器の場合、DCリンク入力電圧は低下し、電圧源の利用が低下し、それゆえに、機器位相に大きな電流が流れるようになる。これは、フロントエンド整流回路に倍電圧回路を用いることで克服することができるが、スイッチの定格電圧は大きくなる。
【0099】
上述の説明は、本発明を例示し記載するものである。しかしながら、ここでの開示内容は、本発明の好適な具体例のみを示して記載するものであるが、本発明は、様々な他の組合わせ、修正及び環境で使用ができると考えられる。また、ここで説明したように、いわゆる当業者において上記の教示と同一であると考えられる本発明の思想の範囲内で、本発明を変形又は修正することができる。
【0100】
ここに記載される具体例は、既知の発明の実施の最良の形態を説明する意図であり、また当業者が、これら及びその他の具体例において、本発明の特定の用途又は使用により要求されるであろう様々な修正をもって本発明を利用できるようにする意図である。したがって、この発明の詳細な説明は、本発明をここで明らかにした形態に限定する意図ではない。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】2相のSRMの駆動用の従来技術の非対称電力変換器の回路図
【図2】2相のSRMの駆動用の従来技術における単一のスイッチ・パー・フェーズ電力変換器の回路図
【図3】2相のSRMの駆動用の従来技術におけるC−ダンプ電力変換器の回路図
【図4】2相のSRMの駆動用の従来技術における単一のスイッチ・パー・フェーズ電力変換器の回路図
【図5A】2相のSRM又はPMBDCMの駆動用の、フロントエンド昇圧ステージ及びバックエンド昇圧ステージを有する単一の制御可能なスイッチ・パー・フェーズ電力変換器の回路図
【図5B】フロントエンド昇圧回路とバックエンド昇圧回路とを有するSRM又はPMBDCMモーター用の電力変換器のブロック線図
【図6】図5Aに図示される電力変換器のA相巻線の通電を図示する回路図
【図7】図5Aに図示される電力変換器のフロントエンド昇圧回路の昇圧動作を図示する回路図
【図8】図5Aに図示される電力変換器の相巻線の通電を図示する回路図
【図9】図5Aに図示される電力変換器のバックエンド昇圧回路の昇圧動作を図示する回路図
【図10A】フロントエンド昇圧及びバックエンド降圧を有する位相電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを図示する回路図
【図10B】SRM又はPMBDCMモーターのための昇圧回路及び降圧回路を有する電力変換器のブロック線図
【図11】図10Aに図示される電力変換器の昇圧ステージ及び降圧ステージのそれぞれの構成を図示する回路図
【図12】図10Aに図示される電力変換器のA相巻線の通電を図示する回路図
【図13】図10Aに図示される電力変換器の昇圧動作を図示する回路図
【図14】図10Aに図示される電力変換器の降圧ステージ通電を図示する回路図
【図15】図10Aに図示される電力変換器用のフリーホイーリング(自発型)降圧ステージを図示する回路図
【図16】自身のフロントエンドに全波整流器を有する図10Aの電力変換器を図示する回路図
【図17】図17Aは、2つの制御可能なスイッチで3相のモーターを制御する2つの降圧ステージを有する、フロントエンド昇圧及びバックエンドを有する電力変換器を図示する回路図、図17Bは、全波フロントエンド整流器を有する図17Aの電力変換器を図示する回路図
【図17C】SRM又はPMBDCMモーター用の昇圧-降圧回路及び降圧回路を有する電力変換器のブロック線図
【図18】フロントエンド降圧及びバックエンド昇圧を有するフェーズ電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを図示する回路図
【図19】図18に図示される電力変換器の昇圧ステージ及び降圧ステージのそれぞれの構成を図示する回路図
【図20A】降圧フロントエンド電力ステージ及び降圧バックエンド電力ステージを有するフェーズ電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを図示する回路図
【図20B】SRM又はPMBDCMモーター用の、フロントエンド降圧回路及びバックエンド降圧回路を有する、電力変換器のブロック線図
【図21A】フロントエンド昇降圧電力ステージ及び昇圧バックエンド電力ステージを有するフェーズ電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを図示する回路図
【図21B】SRM又はPMBDCMモーター用の、昇降圧回路及び昇圧回路を有する電力変換器のブロック図
【図22】両方の相巻線のための独立したエネルギー源を有する、図21Aの電力変換器を図示する回路図
【図23】インバーターモジュールの1つのフェーズレッグを用いるフェーズ電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを図示する回路図
【図24】インバーターモジュールの1つのフェーズレッグを用い、モーターの相巻線を流れる電流の循環を抑止するフェーズ電力変換器につき単一の制御可能なスイッチを図示する回路図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1相巻線と第2相巻線とを有する、スイッチ磁気抵抗モーター又は永久磁石ブラシレス直流(DC)モーターのための電力変換器であって、
電力変換器は、
モーターの第1相巻線に接続してフロントエンド昇圧回路を形成するフロントエンド昇圧部分回路と、
モーターの第2相巻線に接続してバックエンド昇圧回路を形成するバックエンド昇圧部分回路と、を備え、
フロントエンド昇圧部分回路は、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に上昇する電圧を発生させ、
バックエンド昇圧部分回路は、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に上昇する電圧を発生させる、
電力変換器。
【請求項2】
1つのキャパシタが、フロントエンド昇圧部分回路とバックエンド昇圧部分回路とにより共有され、フロントエンド昇圧部分回路から受け取るエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーをバックエンド部分回路に与える、
請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
フロントエンド昇圧部分回路とバックエンド昇圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項1に記載の電力変換器。
【請求項4】
フロントエンド昇圧部分回路とバックエンド昇圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項2に記載の電力変換器。
【請求項5】
交流を直流に整流する整流器と、
整流器によって与えられる直流からエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを用いて、フロントエンド昇圧部分回路とバックエンド昇圧部分回路とにDC電圧源を与えるDC蓄積キャパシタと、
を更に備える請求項2に記載の電力変換器。
【請求項6】
フロントエンド昇圧部分回路の電気的構造とバックエンド昇圧部分回路の電気的構造とが協働して、DC電圧源の全ポテンシャル又はそれより多くを、第1相巻線と第2相巻線の各々へ印加する、
請求項5に記載の電力変換器。
【請求項7】
第1相巻線と第2相巻線とを有する、スイッチ磁気抵抗モーター又は永久磁石ブラシレス直流(DC)モーターのための電力変換器であって、
電力変換器は、
モーターの第1相巻線と接続して昇圧回路を形成する昇圧部分回路と、
モーターの第2相巻線と接続して降圧回路を形成する降圧部分回路と、を備え、
昇圧部分回路は、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に上昇する電圧を発生させ、
降圧部分回路は、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に減少する電圧を発生させる、
電力変換器。
【請求項8】
1つのキャパシタが、昇圧部分回路と降圧部分回路とにより共有され、昇圧部分回路から受け取るエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを降圧部分回路に与える、
請求項7に記載の電力変換器。
【請求項9】
1つのキャパシタが、昇圧部分回路と降圧部分回路とにより共有され、降圧部分回路から受け取るエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを昇圧部分回路に与える、
請求項7に記載の電力変換器。
【請求項10】
昇圧部分回路と降圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項7に記載の電力変換器。
【請求項11】
昇圧部分回路と降圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項8に記載の電力変換器。
【請求項12】
昇圧部分回路と降圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項9に記載の電力変換器。
【請求項13】
交流を直流に整流する整流器と、
整流器によって与えられる直流からエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを用いて、昇圧部分回路と降圧部分回路とにDC電圧源を与えるDC蓄積キャパシタと、
を更に備える請求項7に記載の電力変換器。
【請求項14】
交流を直流に整流して、昇圧部分回路と降圧部分回路とにDC電圧源を与える全波整流器、
を更に備える請求項7に記載の電力変換器。
【請求項15】
昇圧部分回路および降圧部分回路のための制御可能なスイッチが、インバーターモジュールのフェーズレッグによって提供される、
請求項11に記載の電力変換器。
【請求項16】
制御可能なスイッチを相互接続する共通のターミナルが、第1相巻線と第2相巻線の各々のターミナルに接続される、
請求項11に記載の電力変換器。
【請求項17】
共有の1つのキャパシタのターミナルが、昇圧部分回路と降圧部分回路のそれぞれのダイオードの各々のターミナルに接続される、
請求項16に記載の電力変換器。
【請求項18】
交流を直流に整流する電力源整流器と、
電力源整流器によって与えられる直流からエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを用いて、昇圧部分回路と降圧部分回路とにDC電圧源を与えるDC蓄積キャパシタと、
を更に備える請求項16に記載の電力変換器。
【請求項19】
昇圧部分回路と降圧部分回路とを組み合わせた電気的構造が協働して、共有の1つのキャパシタの前後に生じる電圧をDC電圧源の電圧未満に制限する、
請求項18に記載の電力変換器。
【請求項20】
フロントエンド昇圧部分回路の電気的構造とバックエンド昇圧部分回路の電気的構造とが協働して、第1相巻線と第2相巻線の各々に、DC電圧源の全ポテンシャルを印加する、
請求項18に記載の電力変換器。
【請求項21】
昇圧部分回路と降圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備え、
昇圧部分回路および降圧部分回路のための制御可能なスイッチが、インバーターモジュールのフェーズレッグによって提供される、
請求項7に記載の電力変換器。
【請求項22】
制御可能なスイッチを相互接続する共通のターミナルが、第1相巻線と第2相巻線の各々のターミナルに接続される、
請求項21に記載の電力変換器。
【請求項23】
昇圧回路と降圧回路とが協働して、統一の力率を提供する、
請求項7に記載の電力変換器。
【請求項24】
昇圧回路と降圧回路とが協働して、入力交流波形を提供する、
請求項7に記載の電力変換器。
【請求項25】
第1相巻線と第2相巻線とを有する、スイッチ磁気抵抗モーター又は永久磁石ブラシレス直流(DC)モーターのための電力変換器であって、
電力変換器は、
モーターの第1相巻線に接続して、第1整流器を備える第1降圧回路を形成する第1降圧部分回路と、
モーターの第2相巻線に接続して、第2整流器を備える第2降圧回路を形成する第2降圧部分回路と、
DC電圧源と並列に接続される、3つの直列に接続されたキャパシタと、を備え、
第1降圧部分回路は、第1相巻線によって提供されるインダクタンスと協働して、段階的に減少する電圧を発生させ、
第2降圧部分回路は、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に減少する電圧を発生させ、
3つの直列に接続されたキャパシタにおける第1キャパシタの第1ターミナルは、第1整流器によって第1相巻線に接続され、
第1キャパシタの第2ターミナルは、第2整流器によって第2相巻線に接続され、
第1キャパシタは、電流が第1相巻線および第2相巻線を同時に循環することを防止する、
電力変換器。
【請求項26】
第1降圧部分回路と第2降圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチを備え、
第1降圧部分回路および第2降圧部分回路のための制御可能なスイッチが、インバーターモジュールのフェーズレッグによって提供される、
請求項25に記載の電力変換器。
【請求項27】
3つの直列に接続されたキャパシタにおける第2キャパシタは、第1の制御可能なスイッチにおける第1のスイッチのゲーティング動作のために蓄積されたエネルギーを利用する、
請求項26に記載の電力変換器。
【請求項28】
第1相巻線と第2相巻線と第3相巻線とを有する、スイッチ磁気抵抗モーター又は永久磁石ブラシレス直流(DC)モーターのための電力変換器であって、
電力変換器は、
モーターの第1相巻線に接続して昇圧回路を形成し、モーターの第2相巻線に接続して第1降圧回路を形成する昇圧-降圧部分回路と、
モーターの第3相巻線に接続して第2降圧回路を形成する降圧部分回路と、を備え、
昇圧-降圧部分回路は、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的な電圧を発生させ、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に減少する電圧を発生させ、
降圧部分回路は、第3相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に減少する電圧を発生させる、
電力変換器。
【請求項29】
1つのキャパシタが、昇圧部分回路と降圧部分回路とにより共有され、昇圧-降圧部分回路から受け取るエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを降圧部分回路に与える、
請求項28に記載の電力変換器。
【請求項30】
昇圧-降圧部分回路が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備え、
降圧部分回路が、1つの制御可能なスイッチと、2つの整流器とを備える、
請求項28に記載の電力変換器。
【請求項31】
昇圧-降圧部分回路が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備え、
降圧部分回路が、1つの制御可能なスイッチと、2つの整流器とを備える、
請求項29に記載の電力変換器。
【請求項32】
交流電圧をDC電圧に整流して、昇圧部分回路と降圧部分回路とにDC電圧を与える整流器、
を更に備える請求項28に記載の電力変換器。
【請求項33】
整流器が、全波整流器である請求項32に記載の電力変換器。
【請求項34】
昇圧回路と第1降圧回路と第2降圧回路とが協働して、統一の力率を提供する、
請求項28に記載の電力変換器。
【請求項35】
昇圧回路と第1降圧回路と第2降圧回路とが協働して、入力交流波形を提供する、
請求項28に記載の電力変換器。
【請求項36】
第1相巻線と第2相巻線とを有する、スイッチ磁気抵抗モーター又は永久磁石ブラシレス直流(DC)モーターのための電力変換器であって、
電力変換器は、
モーターの第1相巻線に接続してフロントエンド降圧回路を形成するフロントエンド降圧部分回路と、
モーターの第2相巻線に接続してバックエンド降圧回路を形成するバックエンド降圧部分回路と、を備え、
フロントエンド降圧部分回路は、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に減少する電圧を発生させ、
バックエンド降圧部分回路は、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に減少する電圧を発生させる、
電力変換器。
【請求項37】
1つのキャパシタが、フロントエンド降圧部分回路とバックエンド降圧部分回路とによって共有され、フロントエンド降圧部分回路から受け取るエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーをバックエンド降圧部分回路に与える、
請求項36に記載の電力変換器。
【請求項38】
フロントエンド降圧部分回路とバックエンド降圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項36に記載の電力変換器。
【請求項39】
フロントエンド降圧部分回路とバックエンド降圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項37に記載の電力変換器。
【請求項40】
交流を直流に整流する整流器と、
整流器によって与えられる直流からエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを用いて、フロントエンド降圧部分回路とバックエンド降圧部分回路とにDC電圧源を与えるDC蓄積キャパシタと、
を更に備える請求項37に記載の電力変換器。
【請求項41】
フロントエンド降圧部分回路の電気的構造とバックエンド降圧部分回路の電気的構造とが協働して、第1相巻線と第2相巻線の各々へ、DC電圧源の全ポテンシャルを印加する、
請求項40に記載の電力変換器。
【請求項42】
第1相巻線と第2相巻線とを有する、スイッチ磁気抵抗モーター又は永久磁石ブラシレス直流(DC)モーターのための電力変換器であって、
電力変換器は、
モーターの第1相巻線に接続して昇降圧回路を形成する昇降圧部分回路と、
モーターの第2相巻線に接続して昇圧回路を形成する昇圧部分回路と、を備え、
昇降圧部分回路は、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第1の段階的に上昇する電圧を発生させ、第1相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、段階的に減少する電圧を発生させ、
昇圧部分回路は、第2相巻線によって与えられるインダクタンスと協働して、第2の段階的に上昇する電圧を発生させる、
電力変換器。
【請求項43】
1つのキャパシタが、昇降圧部分回路と昇圧部分回路とによって共有され、昇降圧部分回路から受け取るエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを昇圧部分回路に与える、
請求項42に記載の電力変換器。
【請求項44】
昇降圧部分回路と昇圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項42に記載の電力変換器。
【請求項45】
昇降圧部分回路と昇圧部分回路の各々が、1つの制御可能なスイッチと、1つの整流器とを備える、
請求項43に記載の電力変換器。
【請求項46】
交流を直流に整流する整流器と、
整流器によって与えられる直流からエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを用いて、昇降圧部分回路と昇圧部分回路とにDC電圧源を与えるDC蓄積キャパシタと、
を更に備える請求項43に記載の電力変換器。
【請求項47】
昇降圧部分回路と昇圧部分回路とを組み合わせた電気的構造が協働して、共有の1つのキャパシタの前後に生じる電圧をDC電圧源と等しい最小電圧に制限する、
請求項46に記載の電力変換器。
【請求項48】
昇降圧部分回路の電気的構造と昇圧部分回路の電気的構造とが協働して、第1相巻線と第2相巻線の各々に、DC電圧源の全ポテンシャルを印加する、
請求項46に記載の電力変換器。
【請求項49】
交流を直流に整流する第1整流器と、
共有の1つのキャパシタに蓄積されたエネルギーから発生する電流を交流電源に帰還させる第2整流器と、
第1整流器によって提供される直流からエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを用いて、DC昇降圧部分回路と昇圧部分回路とに電圧電源を提供するDC蓄積キャパシタと、
を更に備える請求項43に記載の電力変換器。
【請求項50】
交流の全波を直流に整流する2つの整流器、を更に備え、
2つの整流器は、昇降圧部分回路と昇圧部分回路とに接続されて、第1相巻線と第2相巻線とに対して独立した通電及び遮断を与える、
請求項43に記載の電力変換器。
【請求項51】
直流からエネルギーを蓄積し、蓄積されたエネルギーを用いて、昇降圧部分回路と昇圧部分回路とにDC電圧電源を与えるDC蓄積キャパシタ、を更に備え、
昇降圧部分回路と昇圧部分回路とを組み合わせた電気的構造が協働して、共有の1つのキャパシタの前後に生じる電圧をDC電圧源の電圧未満に制限する、
請求項50に記載の電力変換器。
【請求項52】
昇降圧部分回路の電気的構造と昇圧部分回路の電気的構造とが協働して、第1相巻線と第2相巻線の各々に、DC電圧源の全ポテンシャルを印加する、
請求項51に記載の電力変換器。
【請求項53】
昇降圧部分回路と昇圧回路とが協働して、統一の力率を提供する、
請求項42に記載の電力変換器。
【請求項54】
昇降圧回路と昇圧回路とが協働して、入力交流波形を提供する、
請求項42に記載の電力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図17C】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2006−512881(P2006−512881A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−508494(P2004−508494)
【出願日】平成15年5月27日(2003.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/016630
【国際公開番号】WO2003/100958
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(501326584)バージニア テック インテレクチュアル プロパティーズ インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】