説明

駆動機構、及び画像形成装置

【課題】よりコストが安く、且つ低騒音化を図ることが可能な駆動機構を提供すること。
【解決手段】プリンタ101における駆動系の所定部分を、少なくとも1つの開口面46を有する筐体2と、開口面46を塞ぐように配置した側壁部材5とで囲う囲み部と、被駆動部材を駆動させるモーター71、72、73と、モーター71、72、73の動力を被駆動部材に伝達するための伝達機構とを備え、伝達機構は、ギア6、6´を有し、少なくともモーター71、72、73とギア6、6´が、囲み部内に設けられている、駆動機構である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、及びファクシミリ等の画像形成装置では、給紙カセットに収納されている紙が、転写ユニットに搬送されて、トナー画像が転写される。次に、紙が定着ユニットに搬送されて転写されたトナー画像の定着が行われる。そして、最後にトナー画像の形成された紙は、装置外へと排出される。
【0003】
このような紙の搬送は、搬送路に複数設けられている搬送ローラによって行われ、これらの搬送ローラは、搬送路の側方に設けられたモーターからの動力がギア等の伝達機構によって搬送ローラの軸に伝達されることによって回転される。
【0004】
一方、近年オフィスなどの環境において画像形成装置の低騒音化が要請されており、搬送ローラを駆動するためのモーター並びにギアの回転音、及びモーター並びにギアの振動が筐体に伝わり発生する振動音等の騒音が問題となっている。
【0005】
この騒音を低減するために、伝達機構を筐体で覆った構成が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この特許文献1の駆動装置では、駆動伝達機構がケーシング内に設けられ、ケーシング内には、吸音部材が貼られている。更に、駆動モーターが振動伝達吸収部材を介してケーシングの表面に配置されており、このような構成によって、騒音の低減化が図られている。
【特許文献1】特開平9―230658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の駆動装置では、伝達機構のみがケーシング内に配置されているため低騒音化が十分に図られていなかった。
【0008】
また、振動伝達吸収部材、及び吸音部材を設ける必要があるため、部品点数が増加し、製造作業に時間がかるため、コストが高くなっていた。
【0009】
本発明は、上記従来の駆動機構の課題を考慮して、よりコストが安く、且つ低騒音化を図ることが可能な駆動機構、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
画像形成装置における駆動系の所定部分を、少なくとも1つの開口面を有する筐体と、前記開口面を塞ぐように配置した本体フレームとで囲う囲み部と、
被駆動部材を駆動させるモーターと、
前記モーターの動力を前記被駆動部材に伝達するための伝達機構とを備え、
前記伝達機構は、歯車を有し、
少なくとも前記モーターと前記歯車が、前記囲み部内に設けられている、駆動機構である。
【0011】
又、第2の本発明は、
前記伝達機構は、
前記伝達を接続、遮断、又は切り替えるためのクラッチを備え、
前記クラッチは、前記囲み部内に設けられている、第1の本発明の駆動機構である。
【0012】
又、第3の本発明は、
前記伝達機構は、
前記歯車の回転を停止させるためのソレノイドを有し、
前記ソレノイドは、前記筐体内に設けられている、第1の本発明の駆動機構である。
【0013】
又、第4の本発明は、
前記本体フレームは、前記記録媒体が搬送される搬送路の側壁を形成し、
前記筐体は、前記本体フレームの、前記搬送路と反対側に設けられている、第1の本発明の駆動機構である。
【0014】
又、第5の本発明は、
前記筐体は、
少なくとも1つの開口面を有する第1ホルダと、
前記第1ホルダの開口面を塞ぐように配置された、少なくとも1つの開口面を有する第2ホルダとを有し、
前記第2ホルダの前記開口面は、前記筐体の開口面であり、
少なくとも前記モーターは、前記第1ホルダ内に配置されている、第4の本発明の駆動機構である。
【0015】
又、第6の本発明は、
前記筐体が、制振材料によって形成されている、第1の本発明の駆動機構である。
【0016】
又、第7の本発明は、
現像剤画像が形成される記録媒体を収納する給紙カセットと、
像担持体上に前記現像剤画像を形成する画像形成ユニットと、
前記現像剤画像を前記記録媒体に転写する転写ユニットと、
前記転写された前記現像剤画像を前記記録媒体に定着するための定着ユニットと、
前記給紙カセットから供給された前記記録媒体を前記転写ユニットへと搬送するための搬送機構と、
前記給紙カセット、前記画像形成ユニット、前記転写ユニット、前記定着ユニット、及び前記搬送機構を動作させるための複数のモーターと、
第1〜10のいずれかの本発明の駆動機構とを備え、
少なくとも1個の前記モーターが、前記囲み部内に配置されている、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、よりコストが安く、且つ低騒音化を図ることが可能な駆動機構、及び画像形成装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる画像形成装置の一例としてのプリンタについて図面を用いて説明するとともに、本発明の駆動機構の一例についても説明する。
【0019】
(実施の形態1)
はじめに、本発明にかかる実施の形態1のプリンタの全体構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1におけるプリンタ101の外観図である。又、図2は、本発明の実施の形態1におけるプリンタ101の側面構成図である。図1に示すように、本実施の形態1のプリンタ101は、底部に、画像が形成される用紙を収納するための給紙カセット102を備えており、上面に、トナー画像が形成された用紙が排出される排出トレー116を備えている。
【0021】
また、図2に示すように、本実施の形態1におけるプリンタ101は、タンデム方式を用いたカラープリンタであり、ブラック用の画像形成ユニット103、イエロー用の画像形成ユニット104、シアン用の画像形成ユニット105、およびマゼンダ用の画像形成ユニット106を備えている。これら画像形成ユニット103、104、105、106によって形成された各画像を、用紙に転写する前に重ね合わせる中間転写ベルト107が配置されている。
【0022】
この中間転写ベルト107上に形成されたトナー画像を、給紙カセット102から給紙された用紙に転写するための二次転写ローラ108が設けられている。また、中間転写ベルト107内には、二次転写ローラ108に対向して配置されている対向ローラ117が設けられており、この対向ローラ117の回転により中間転写ベルト107が回転する。さらに、用紙に転写されたトナー画像を定着するための定着ユニット109が設けられており、定着ユニット109は、対向するヒートローラ109aと、加圧ローラ109bを有している。
【0023】
次に、画像形成ユニットについて説明するが、4つの画像形成ユニット103、104、105、106の基本的構成は同じであるため、ブラック用の画像形成ユニット103を例に挙げて説明する。
【0024】
図1に示すように、ブラック用の画像形成ユニット106は、感光体ドラム110、帯電ユニット111、現像ユニット112、およびクリーニングユニット114等から構成されている。又、中間転写ベルト107を挟んで、感光体ドラム110と対向して一次転写ローラ113が設けられている。また、4つの画像形成ユニット103、104、105、106の、それぞれの帯電ユニット111によって帯電されたそれぞれの感光体ドラム110の表面を光走査することによって静電潜像を形成する、レーザースキャナーユニット(以下、LSUと呼ぶ)115が設けられている。このLSU115は、4つの画像形成ユニット103、104、105、106の下方に配置されている。
【0025】
また、LSU115の下方には、各装置構成の制御を行うための制御基板等が配置された制御部119が設けられている。
【0026】
又、給紙カセット102から二次転写ローラ108、及び定着ユニット109を順に通過し、排出トレー116へと紙を搬送する搬送路120が、装置正面15a側に上下方向に形成されている(図中、実線矢印参照)。
【0027】
この搬送路の二次転写ローラ108の下流側には、給紙カセット102から搬送されてきた紙を一旦停止させ、二次転写のタイミングに合わせて、二次転写ローラ108と中間転写ベルト107の間へと紙を送り出す一対のレジストローラ121a、121bが設けられている。この一対のローラのうちレジストローラ121aが回転駆動可能に構成されており、搬送されてきた紙を一旦停止させることによって紙の斜め送りが防止される。
【0028】
又、搬送路120の装置正面101a側には、紙の両面にトナー画像を形成する際に、片面にトナー画像が形成された紙を再度、二次転写ローラ108へと搬送するための両面搬送路122が設けられている。この両面搬送路122は、レジストローラ121a、121bの上流側で搬送路120に合流している(図中、合流地点をPとして示している。)。
【0029】
図3は、本実施の形態1のプリンタ101の正面101a側のカバー118を開いた状態を示す部分斜視図である。又、図4は、図3の側面図である。図3及び図4に示すように、カバー118は、下方の支点118aを中心に回動可能である(図4矢印参照)。また、カバー118よりも内側に配置された、二次転写ローラ108及びレジストローラ121aが設けられたユニット125が、下方の回転軸125aを中心に回動可能に構成されている。尚、ユニット125は、図2中、斜線で示した箇所に相当する。また、図3に示すように、ユニット125の二次転写ローラ108及びレジストローラ121aが配置されている側に対向するように搬送ガイド250が設けられている。
【0030】
また、正面101aから見て、搬送ガイド250の左側には側壁部材240が設けられ、搬送ガイド250の右側には側壁部材5が設けられている。図5は、図3からカバー118、ユニット125、及び制御部119を除いた図である。
【0031】
図3及び図5に示すように、側壁部材5には、ユニット125を閉じた際に、ユニット125に設けられている二次転写ローラ108の軸が挿入される軸受け51と、レジストローラ121aの軸が挿入される軸受け52が設けられている。
【0032】
また、ユニット125の回転軸125aが挿入される軸受け53が設けられており、軸受け51、52、53は、上から順に配置されている。尚、側壁部材5及び軸受け51、52のプリンタ101内における位置を分かりやすくするため、中間転写ベルト107、対向ローラ117、及びレジストローラ121bが一点鎖線で示されている。
【0033】
また、側壁部材240にも、これらの軸受け51、52、53に対向する位置に軸受けが設けられており、側壁部材240に形成された軸受けのうち、図4、図5において、回転軸125aの軸受け243が示されている。又、側壁部材240には、ファン241が設けられている。更に、搬送ガイド250の側壁部材5側には、本実施の形態1の駆動機構1が設けられている。
【0034】
次に、本発明にかかる実施の形態1の駆動機構1について説明する。
【0035】
本実施の形態1の駆動機構1は、図5に示すように、側壁部材5と、側壁部材5に取り付けられた筐体2と、筐体2の中に配置されたモーター、ギア、クラッチ、及びソレノイドなどの伝達部材を備えている。また、筐体2は、搬送ガイド250の反対側に設けられている第1ホルダ3と、第1ホルダ3と側壁部材5の間に挟まれて設けられている第2ホルダ4とから構成されている。この第1ホルダ3の搬送ガイド250と反対側の面を3aとすると、正面101a側から見て、面3aが、装置右側面(図2における紙面奥行き方向)を向き、ファン241が装置左側面(図2における紙面手前方向)に向くことになる。
【0036】
図6(a)は、第1ホルダ3及び第1ホルダ3内に配置されている構成を示す図である。図6(b)は、(a)からモーターを取り外した状態を示す図である。
【0037】
図6(a)に示すように、第1ホルダ3は、側壁31と、側壁31の周囲に垂直に形成された縁部32と有する箱形状であり、側壁31と対向した開口面36とを有している。第1ホルダ3には、内部に、複数のギア6、3つのモーター71、72、73、ソレノイド8、及び電磁クラッチ9が設けられている。尚、第1ホルダ3は、内部にリブなどが設けられている。
【0038】
又、図6(a)(b)に示すように、第1ホルダ3の、モーター71、72、73に対応する部分に、モーターを冷却するための空気穴33、34、35が形成されている。尚、空気穴34、35は、側壁31に設けられているが、空気穴33は、後述する図7(b)に示すように縁部32に設けられている。又、モーター71、72、73の軸が、71a、72a、73aとして示されている。
【0039】
また、複数のギア6のうち図中右下方に配置されているギア61の上方には、ギアの回転を停止するためのソレノイド8が設けられている。また、第1ホルダ3の中央近傍には、3つの電磁クラッチ9、10、11が設けられている。
【0040】
図7(a)は、第1ホルダ3に第2ホルダ4を取り付けた状態を示す図である。また、図7(b)は、第1ホルダ3に第2ホルダ4を取り付けた状態を(a)とは反対側(図5中矢印E方向)から見た図である。図7(a)、(b)に示すように、第1ホルダ3と同様に、第2ホルダ4は、側壁41と、側壁41の周囲に垂直に形成された縁部42を有する箱形状であり、側壁41に対向した開口面46を有している。そして、第2ホルダ4の側壁41が、第1ホルダ3の開口面36を塞ぐように、第1ホルダ3と第2ホルダ4は組み付けられている。
【0041】
上述したように第1ホルダ3と第2ホルダ4によって構成され、内部にギア6、6´等が配置された筐体2が、その開口面46が塞がれるように、側壁部材5に取り付けられ、図5に示す駆動機構1が構成される。尚、側壁部材240、搬送ガイド250、及び側壁部材5は、一体成形されたものである。また、側壁部材5は、第2ホルダ4の開口面46を塞ぐように、その表面が階段状に形成されている。
【0042】
上述したモーター71、72、73のうちモーター71の回転駆動による動力は、ギア6、6´等を介して図2に示した定着ユニット109のヒートローラ109aに伝達される。また、モーター72による動力は、二次転写ローラ108、及び中間転写ベルト107を駆動する対向ローラ117に伝達され、ブラック用画像形成ユニット103の現像ユニット112にも伝達される。また、モーター73の動力は、レジストローラ121aに伝達される。
【0043】
又、筐体2を第1ホルダ3と第2ホルダ4の2つに分けることにより、第1ホルダ3に配置されたモーター71、72、73からの出力は、一旦第2ホルダ4に配設したギア6´等を含む伝達部材に連結され、再び、第1ホルダ3のギア6等を含む伝達部材に戻るように構成される。このように立体的に伝達部材を配置することにより、駆動機構の省スペース化を図ることが可能となる。
【0044】
又、駆動機構1の筐体2を構成する第1ホルダ3及び第2ホルダ4は制振材料によって形成されている。この制振材料としては、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)にフィラーを加えたものを用いることが出来る。尚、側壁部材5は、ポリカABSを材料として形成されている。
【0045】
以上のように、本実施の形態の駆動機構1は、側壁部材5及び筐体2によって構成された囲み部12(図5参照)によって、ギア6、6´、モーター71、72、73、ソレノイド8、及び電磁クラッチ9、10、11が囲まれている。
【0046】
尚、本発明の本体フレームの一例は、本実施の形態の側壁部材5に相当し、本発明の歯車の一例は、本実施の形態のギア6、6´に相当する。
【0047】
又、本発明の像担持体の一例は、本実施の形態の感光体ドラム110に相当する。又、本発明の転写ユニットの一例は、二次転写ローラ108、中間転写ベルト107、及びその内側に配置された4つの一次転写ローラ113並びに対向ローラ117に相当し、本発明の搬送機構の一例は、本実施の形態では、レジストローラ121aに相当する。また、本発明の定着ユニット用のモーターの一例は、本実施の形態1のモーター71に相当し、本発明の搬送機構用のモーターの一例は、モーター73に相当する。本発明の画像形成ユニット用のモーター及び転写ユニット用のモーターの一例は、本実施の形態1では、対向ローラ117及びブラック用画像形成ユニット103の現像ユニット112に伝達される動力を発生するモーター72に相当する。
【0048】
図8(a)は、図6(a)のソレノイド8近傍の拡大図である。又、図8(b)は、ソレノイド8近傍の正面模式図である。ソレノイド8は、フラッパー型のソレノイドであり、第1ホルダ3の側壁31にビス300によって固定されている。ソレノイド8は、コイル部81とその中央に設けられた鉄芯82を有している。また、コイル部81は枠83によって覆われており、その下方には、ギア61の回転を停止するために、ギア61の歯61aに噛み合うように形成された停止部材84が設けられている。この停止部材84は、水平部84aと、水平部84aの先端から下方に向かって垂直に設けられ、歯61aと嵌合する嵌合部84bとを有しており、枠83に形成されている支点O(図8(b)参照)を中心にして回動可能に構成されている。また、水平部84aの両端のうち、嵌合部84bと反対側の端側には、バネ部材85の一端が固定されている。このバネ部材85の他端は、枠83の側面に形成された凸部83aに固定されている。
【0049】
以上のような構成のソレノイド8では、コイル部81に通電すると、磁力によって、停止部材84が支点Oを中心に回動し、水平部84aの嵌合部84b側が持ち上げられ、枠83の下側部分83bに当接する。このように嵌合部84bがギア61の上方に持ち上げられるため、ギア61が自由に回転することが出来る。一方、コイル部81への通電を停止すると、磁力が生じなくなりバネ部材85の弾性力によって、支点Oを中心にして停止部材84が回転し、嵌合部84bが下がって歯61aとかみ合い、ギア61が回転出来なくなる(図8(b)中、一点鎖線、及び矢印R参照)。
【0050】
このソレノイド8の動作時に、停止部材84とコイル部81の枠83の下側部分83b(図8(a)、(b)参照)との衝突音や、停止部材84とギア61との衝突音が発生することになるが、第1ホルダ3と第2ホルダ4によって覆われているため、遮音による低騒音化を図ることが出来る。
【0051】
更に、ソレノイド8が、ビス300によって制振材料で形成されている第1ホルダ3に直接取り付けられているため、動作時に発生する振動を短時間で減衰させることが可能となる。
【0052】
次に、図6及び図7(a)に示された電磁クラッチ9、10、11について説明するが、電磁クラッチ9、10、11は同様の構成であるため、電磁クラッチ9について主に説明する。
【0053】
又、図9(a)は、電磁クラッチ9近傍の拡大図である。尚、図9(a)は、図7(b)のS部分の図である。又、図9(b)は、図9(a)から第1ホルダ3の側壁31を取り除いた状態を示す図である。図9(b)に示すように、電磁クラッチ9は、出力軸91と、電磁石を介して出力軸91に回転可能に挿入された入力ギアを有している。また、出力軸91の側壁31側には、支持部材92が設けられており、この支持部材92は、図示しないコイル部を支持しており、出力軸91は、コイル部及び支持部材92に対して回転自在に構成されている。この支持部材92には、出力軸91の回転に伴って支持部材92が回転することを防止するための回り止め部材93が設けられている。この回り止め部材93は、樹脂で形成されており、側壁31に形成された貫通孔31aに嵌合している。また、支持部材92には、コイル部を通電制御するためのハーネスを接続するコネクタ94が設けられている。尚、コネクタ94と対応する側壁31の部分には、コネクタ用貫通孔31bが形成されている。
【0054】
このような電磁クラッチ9に通電された場合、他のギアから入力ギアに駆動力が伝達されて入力ギアが回転すると、電磁力により出力軸91も回転し、出力軸91を介して他のギアへと動力が伝達される。一方、電磁クラッチ9に通電されていない場合、入力軸が回転しても出力軸91が回転しないため、動力は伝達されない。このように電磁クラッチ9をオン・オフすることによって動力の伝達を接続、又は遮断することが出来る。
【0055】
ここで、電磁クラッチ9を通電した時には、出力軸91の回転力が伝わり、支持部材92も回転しようとするが、回り止め部材93が貫通孔31aの縁に接触することによって支持部材92の回転は防止される。ここで、誤差や組立作業の行い易さを考慮し、回り止め部材93の方が貫通孔31aより大きく形成されているため、回り止め部材93と貫通孔31aの間には隙間が存在している。このため、回り止め部材93が貫通孔31aの縁に接触するときに、接触音が発生することになる。しかしながら、本実施の形態では、電磁クラッチ9が第1ホルダ3と第2ホルダ4によって覆われているため、遮音による低騒音化を図ることが出来る。
【0056】
更に、回り止め部材93が樹脂で形成されており、貫通孔31aが設けられている第1ホルダ3も制振材料によって形成されているため、接触音をより低減させることが可能となる。尚、電磁クラッチ10、11においても同様の効果が発揮される。又、図7(b)中、電磁クラッチ10の軸10a及び回り止め部材10bと、電磁クラッチ11の軸11a及び回り止め部材11bを示す。
【0057】
以上のように、本実施の形態では、ギア6、6´、モーター71、72、73、ソレノイド8、及び電磁クラッチ9、10、11が全て第1ホルダ3、第2ホルダ4、及び側壁部材5によって構成された囲み部12によって囲まれているため、遮音による低騒音化を図ることが出来る。
【0058】
また、第1ホルダ3及び第2ホルダ4を制振材料によって形成することで、駆動部品から発生する振動の低減化を図ることが出来るため、ギア、及びモーターによる定常音の静音化を図ることが出来、ソレノイド及び電磁クラッチによる非定常音の静音化を図ることが可能となる。また、制振材料を用いることによって、高周波数の振動を減衰させることが出来るため、耳障り音の低減化を図ることが可能となる。
【0059】
尚、上記実施の形態では、ギア6、6´、モーター71、72、73、ソレノイド8、及び電磁クラッチ9、10、11の全てが、囲み部12によって覆われていたが、モーター及びギアのみが覆われていてもよい。また、上記実施の形態では、第1ホルダ3及び第2ホルダ4が制振材料によって形成されているが、制振材料でなくポリカABSなどの通常の樹脂材料によって形成されていてもよい。少なくともギア6、6´、モーター71、72、73が囲み部12によって覆われることによって、例えば特許文献1に示す従来の構成と比較して、静音化を達成することが出来る。又、モーター71、72、73のうち、1つのみが囲み部12によって囲まれていてもよい。
【0060】
また、本発明の駆動機構の位置は、上記実施の形態で説明した位置に限らない。設けられる位置が変更される場合、駆動機構の構成及び形状は、適宜変更可能であり、上記実施の形態で説明したソレノイド8、電磁クラッチ9の用いられ方も適宜変更可能である。例えば、モーターからの伝達機構中に複数の電磁クラッチ及びギアを組み合わせることによって伝達を切り替え、正逆回転可能な搬送ローラを実現できる。
【0061】
また、本実施の形態の伝達機構の一例は、本実施の形態のギア6、6´、モーター71、72、73、ソレノイド8、及び電磁クラッチ9、10、11に相当するが、例えば、ソレノイド8、電磁クラッチ9、10、11が設けられていない構成であってもよく、動力伝達のためのベルトが設けられていても良い。
【0062】
また、本実施の形態の筐体2は、第2ホルダ4と第1ホルダ3から構成されているが、2つの部材から構成されず、1つの部材から構成されていてもよい。
【0063】
尚、本実施の形態では、側壁部材5は、搬送ガイド250及び側壁部材240と一体成形されていたが、別々に成形されていても良い。また、側壁部材5は、第2ホルダ4の開口面46を塞ぐように配置するため、階段状の複雑な形状をしているが、複数の部分に分割されていてもよい。
【0064】
又、本実施の形態では、第1ホルダ3及び第2ホルダ4が制振材料で形成されており、側壁部材5は制振材料で形成されていないが、側壁部材5も制振材料で形成されていてもよい。また、第1ホルダ3及び第2ホルダ4の全部が制振部材でなく、少なくとも一部が制振材料で形成されていてもよいが、その場合、ソレノイド8が固定されている部分、又は貫通孔31aの周囲が制振材料で形成されている方が低騒音化の点からより好ましい。尚、上述した駆動機構1において、第1ホルダ3及び第2ホルダ4をポリカABS樹脂で形成した場合と、本実施の形態のように、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)にフィラーを加えたもので形成した場合を比較すると、変性PPEにフィラーを加えたものの方が騒音を低減出来た。
【0065】
又、本実施の形態の画像形成装置の一例として、カラーのプリンタ101を挙げて説明したが、カラーでなくモノクロ用であってもよく、更にプリンタに限らず、複写機や、ファクシミリであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の駆動機構は、よりコストが安く、且つ低騒音化を図ることが可能な効果を有し、プリンタ、複写機、及びファクシミリ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明にかかる実施の形態1におけるプリンタ101の外観図
【図2】本発明にかかる実施の形態1におけるプリンタ101の側面構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1におけるプリンタ101のカバー118を開いた状態の部分斜視図
【図4】本発明にかかる実施の形態1におけるプリンタ101のカバー118を開いた状態の部分側面図
【図5】本発明にかかる実施の形態1における搬送機構1、搬送ガイド250、及び側壁を示す図
【図6(a)】本発明にかかる実施の形態1における第1ホルダ3と第1ホルダ3の内側に配置されている伝達機構の構成を示す図
【図6(b)】図6(a)からモーターを取り外した状態を示す図
【図7(a)】本発明にかかる実施の形態1における第2ホルダ4と第2ホルダ4の内側に配置されている伝達機構の構成を示す図
【図7(b)】図7(a)の反対側から見た図
【図8(a)】本発明にかかる実施の形態1におけるソレノイド8近傍の構成を示す図
【図8(b)】本発明にかかる実施の形態1におけるソレノイド8近傍の構成を示す正面模式図
【図9】(a)本発明にかかる実施の形態1における電磁クラッチ9近傍の外観図、(b)図9(a)から側壁31を取り除いた状態を示す図
【符号の説明】
【0068】
1 駆動機構
2 筐体
3 第1ホルダ
4 第2ホルダ
5 側壁部材
6、6´ ギア
8 ソレノイド
9、10、11 電磁クラッチ
12 囲み部
31、41 側壁
32、42 縁部
71、72、73 モーター
81 コイル部
82 鉄芯
83 枠
84 停止部材
85 バネ部材
91 出力軸
92 支持部材
93 回り止め部材
94 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置における駆動系の所定部分を、少なくとも1つの開口面を有する筐体と、前記開口面を塞ぐように配置した本体フレームとで囲う囲み部と、
被駆動部材を駆動させるモーターと、
前記モーターの動力を前記被駆動部材に伝達するための伝達機構とを備え、
前記伝達機構は、歯車を有し、
少なくとも前記モーターと前記歯車が、前記囲み部内に設けられている、駆動機構。
【請求項2】
前記伝達機構は、
前記伝達を接続、遮断、又は切り替えるためのクラッチを備え、
前記クラッチは、前記囲み部内に設けられている、請求項1記載の駆動機構。
【請求項3】
前記伝達機構は、
前記歯車の回転を停止させるためのソレノイドを有し、
前記ソレノイドは、前記囲み部内に設けられている、請求項1記載の駆動機構。
【請求項4】
前記本体フレームは、前記記録媒体が搬送される搬送路の側壁を形成し、
前記筐体は、前記本体フレームの、前記搬送路と反対側に設けられている、請求項1記載の駆動機構。
【請求項5】
前記筐体は、
少なくとも1つの開口面を有する第1ホルダと、
前記第1ホルダの開口面を塞ぐように配置された、少なくとも1つの開口面を有する第2ホルダとを有し、
前記第2ホルダの前記開口面は、前記筐体の開口面であり、
少なくとも前記モーターは、前記第1ホルダ内に配置されている、請求項4記載の駆動機構。
【請求項6】
前記筐体が、制振材料によって形成されている、請求項1記載の駆動機構。
【請求項7】
現像剤画像が形成される記録媒体を収納する給紙カセットと、
像担持体上に前記現像剤画像を形成する画像形成ユニットと、
前記現像剤画像を前記記録媒体に転写する転写ユニットと、
前記転写された前記現像剤画像を前記記録媒体に定着するための定着ユニットと、
前記給紙カセットから供給された前記記録媒体を前記転写ユニットへと搬送するための搬送機構と、
前記給紙カセット、前記画像形成ユニット、前記転写ユニット、前記定着ユニット、及び前記搬送機構を動作させるための複数のモーターと、
請求項1〜10のいずれかに記載の駆動機構とを備え、
少なくとも1個の前記モーターが、前記囲み部内に配置されている、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−68487(P2010−68487A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235721(P2008−235721)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】