説明

駐車場情報取得装置、駐車場情報取得方法、及び駐車場情報取得システム

【課題】駐車場に入庫せずとも、当該駐車場の混雑状況に係る情報を得ることの可能な駐車場情報表示装置、駐車場情報取得方法、及び駐車場情報取得システムを提供する。
【解決手段】
ナビゲーション装置10として具現化された駐車場情報表示装置は、GPS受信部21、ジャイロセンサ22、及び車速センサ23から入力される情報に基づいて車両の現在位置を算出する。この車両の現在位置が、予め設定された目的地の周辺に到達したときに、車両の走行情報の収集と、通過した駐車場の記憶とを開始し、車両が駐車場に入庫されたときに、走行情報の収集と通過した駐車場の記憶とを終了する。これら走行情報と、記憶された駐車場とから、上下両方向に車両が走行した道路に設けられて、該車両が通過した駐車場を満車であるとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駐車場の混雑状況に係る情報を取得する装置、駐車場情報取得方法、及び駐車場情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のように、車両が入庫される駐車場の混雑状況に係る情報を、車両に搭載されたナビゲーション装置によって取得する技術が知られている。同文献に記載の技術では、目的地の周辺に車両が到達したときから当該駐車場に車両が入庫するまでの時間が当該車両の駐車待ち時間として算出される。そして算出された駐車待ち時間がナビゲーション装置から情報管理サーバに送信されると、該情報管理サーバでは、車両の駐車待ち時間から駐車場の混雑状況に係る情報が生成されて、この混雑状況に係る情報が複数のナビゲーション装置に提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−85890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ナビゲーション装置によれば、駐車場の混雑状況に係る情報が、当該駐車場の混雑度合いに応じたかたちで提供される。しかしながら、ナビゲーション装置において取り扱われる駐車待ち時間とは、あくまで車両が駐車場に入庫することによってはじめて算出されるものである。そのため、車両が駐車場に入庫しなかったとき、例えば、一旦駐車場の周辺に車両が到達したものの、当該駐車場が満車であるために駐車場の周辺から車両が離れたとき等には、駐車場の混雑状況に係る情報は得られないことになる。
【0005】
この発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、駐車場に入庫せずとも、当該駐車場の混雑状況に係る情報を得ることの可能な駐車場情報取得装置、駐車場情報取得方法、及び駐車場情報取得システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車両の現在位置が目的地の周辺であるか否かを判断する位置判断手段と、前記車両の現在位置が前記目的地の周辺であると前記位置判断手段が判断したときに、前記車両が走行路から入庫可能な駐車場を該車両が通過したか否かを判断する走行状況判断手段と、前記車両が前記駐車場を通過したと前記走行状況判断手段により判断したときに、該駐車場が満車であると判断する満車判断手段とを備えることをその要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明では、目的地の周辺において、車両の走行路から入庫可能な駐車場があるにもかかわらず、車両が駐車場に入庫されることなく、駐車場を通過したときには、その駐車場が満車であると満車判断手段によって判断するようにしている。そのため、車両の入庫を伴うことなく、駐車場の混雑状況、より正確には駐車場が満車であるか否かを判断することができる。これにより、車両が駐車場に入庫せずとも、当該駐車場の混雑状況に係る情報を得ることができる。それゆえに、駐車場への入庫が完了してはじめて駐車場の混雑状況に係る情報が得られる装置と比較して、駐車場の混雑状況に係る情報が得られやすくなることから、駐車場の混雑状況に係る情報の量を増大することが可能にな
るとともに、一台の車両による一回の駐車動作で、複数の駐車場の混雑状況に係る情報を得ることも可能になる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の駐車場情報取得装置において、前記車両が通過した前記駐車場を記憶する記憶手段と、前記車両が前記走行路を走行した後に該走行路に対向する対向路を走行したか否かを判断する走行判断手段とを備え、前記車両が前記対向路を走行したと前記走行判断手段により判断したときに、前記満車判断手段によって、前記走行路及び対向路を走行することによって通過した前記駐車場が満車であると判断することをその要旨とする。
【0009】
走行路を走行しているときに空車の駐車場が見つからなかった場合、走行路から入庫可能な駐車場の駐車状態を再度確認するため、あるいは走行路と対向する対向路から入庫可能な駐車場に対して新たに駐車を試みるため、目的地の周辺あるいは目的地の周辺外にて車両の走行方向を転換して対向路に進入することが少なくない。
【0010】
この点、請求項2に記載の発明によるように、車両の走行に際して、ある走行路を走行して以降に、これに対向する対向路を走行したときに、走行路及び対向路を走行することによって通過した駐車場が満車であるとすれば、満車判断手段による判断の精度が向上される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の駐車場情報取得装置において、前記満車判断手段は、前記走行路における前記車両が走行した範囲と前記対向路における前記車両が走行した範囲とが道路の幅方向で重複する領域にて、前記車両が通過した駐車場が満車であると判断することをその要旨とする。
【0012】
走行路を通過しているときに空車の駐車場が見つからなかった場合、車両の運転者は、目的地により近い箇所にて方向転換することによって対向路に進入するとともに、対向路側に空車の駐車場を見つけようとすることが少なくない。加えて、運転者は、対向路にて駐車場を探索する場合、その探索領域は、走行路にて駐車場を探索した領域に等しいことが多い。つまり、対向路における車両の走行領域は、走行路において運転者が駐車場を探索した領域に等しい可能性がある。
【0013】
この点、請求項3に記載の発明によれば、対向路及びこれに対応する走行路、すなわち、対向路と走行路とにおける車両の走行領域が重複する範囲を車両が走行することによって通過した駐車場を満車であると満車判断手段によって判断されるようにしているため、満車判断手段による判断の精度が向上する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の駐車場情報取得装置において、前記目的地として駐車場が設定されているときには、前記満車判断手段は、前記目的地に設定されている駐車場よりも後に通過した駐車場が満車であると判断することをその要旨とする。
【0015】
駐車場が目的地として設定されているとき、目的地から所定の距離内に他の駐車場が設けられていたとしても、車両の運転者は、目的地である駐車場に入庫することを優先させるため、目的地以前に通過する他の駐車場に車両を入庫する確率は、目的地あるいは目的地以降に通過する駐車場に入庫する確率よりも低い。そのため、上記目的地以前の駐車場を通過することには、該駐車場の混雑状況が反映されていない可能性がある。
【0016】
この点、請求項4に記載の発明によるように、駐車場が目的地として設定されているときには、該目的地よりも後に通過した駐車場については満車判断手段によって満車である
と判断されるようにしている。これにより、目的地である駐車場に入庫することができないために、目的地以外の他の駐車場を探さなければならない状況下において通過したと推定される駐車場が満車と判断されるようになることから、満車判断手段による判断の精度が向上される。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の駐車場情報取得装置において、前記目的地が前記車両の前記走行路の反対車線側に設定されているとき、前記満車判断手段は、前記走行路を走行することによって通過した前記駐車場を判断の対象としないことをその要旨とする。
【0018】
車両が走行している道路の反対車線沿いに目的地が設定されているとき、車両の運転者は、目的地と同一の車線側に設けられた駐車場に入庫しようとする確率に対して、走行路側に設けられた駐車場に入庫しようとする確率は低い。そのため、車両が走行路側の駐車場を通過することには、該駐車場の混雑状況を反映されていない可能性がある。
【0019】
この点、請求項5に記載の発明によるように、目的地の反対車線側に設けられた駐車場が、満車判断手段による判断の対象とされないようにすれば、満車判断手段による判断の精度が向上される。
【0020】
請求項6に記載の発明は、車両の目的地から所定の距離内である目的地の周辺に設けられた駐車場の混雑状況に係る情報を取得する方法であって、前記車両の現在位置が、前記目的地の周辺に位置するとともに、前記車両が該車両の走行路から入庫可能な駐車場を通過したときに、前記駐車場が満車であるとすることをその要旨とする。
【0021】
請求項6に記載の発明にでは、目的地の周辺において、車両の走行路から入庫可能な駐車場があるにもかかわらず、車両が駐車場に入庫されることなく、駐車場を通過したときには、その駐車場が満車であるとする。そのため、車両の入庫を伴うことなく、駐車場の混雑状況、より正確には駐車場が満車であるか否かの情報を得ることができる。これにより、駐車場への入庫が完了してはじめて駐車場の混雑状況に係る情報が得られる方法と比較して、駐車場の混雑状況に係る情報が得られやすくなることから、駐車場の混雑状況に係る情報の量を増大することが可能になるとともに、一台の車両によって複数の駐車場の混雑状況に係る情報を得ることも可能になる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、車両と、前記車両に搭載されて該車両の目的地から所定の距離内である目的地の周辺に設けられた駐車場の混雑状況に係る情報を取得する駐車場情報取得装置と、前記駐車場情報取得装置と通信可能なセンタとを備える駐車場情報取得システムであって、前記駐車場情報取得装置は、前記車両の現在位置が、前記目的地の周辺に位置するとともに、前記車両が該車両の走行路から入庫可能な駐車場を通過したときに、前記駐車場が満車であると判断するとともに、判断結果を前記センタに送信し、前記センタは、受信した前記判断結果を記憶するとともに、前記駐車場情報取得装置の前記判断結果の送信要求に応じて該駐車場情報取得装置に前記判断結果を送信することをその要旨とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、駐車場情報取得装置は、目的地の周辺において、車両の走行路から入庫可能な駐車場があるにもかかわらず、車両が駐車場に入庫されることなく、駐車場を通過したときには、その駐車場が満車であると判断する。そして、駐車場情報取得装置はこうした判断結果をセンタに送信する。その後、判断結果を受信したセンタは、該結果を記憶するとともに、駐車場情報取得装置から送信される判断結果の送信要求に応じて、駐車場情報取得装置に対して判断結果を送信する。そのため、車両の入庫を伴うことなく、駐車場の混雑状況、より正確には駐車場が満車であるか否かの情報を得るこ
とができる。これにより、駐車場への入庫が完了してはじめて駐車場の混雑状況に係る情報が得られる方法と比較して、駐車場の混雑状況に係る情報が得られやすくなることから、駐車場情報取得システム内で授受される駐車場の混雑状況に係る情報の量を増大することができるとともに、一台の車両による一回の駐車動作で、複数の駐車場の混雑状況に係る情報を得ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る一実施の形態の駐車場情報取得装置を用いた駐車場情報取得システムを模式的に示す図。
【図2】駐車場情報取得装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】駐車場情報取得処理の手順を示すフローチャート。
【図4】駐車場満車判定の手順を示すフローチャート。
【図5】駐車場情報の取得方法を模式的に示す図。
【図6】駐車場情報の取得方法を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る駐車場情報取得装置、駐車場情報取得方法、及び駐車場情報取得システムの一実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1は、自車両及び他車両に搭載されたナビゲーション装置として具現化された駐車場情報取得装置を用いて、これら車両が取得した駐車場情報を収集、管理するとともに、該収集した駐車場情報から生成した情報を各車両に提供する駐車場情報取得システムを模式的に示している。
【0026】
図1に示されるように、駐車場情報取得システムは、各車両C1,C2によって取得された駐車場情報が格納されるとともに、該駐車場情報から各車両C1,C2に提供する駐車場情報を生成するサーバSを有する。サーバSは、サーバSからの駐車場情報を受信するとともに、該駐車場情報を車両C1,C2に送信する基地局BTSと、任意のネットワークNを介して接続されている。基地局BTSは、車両C1,C2が取得した駐車場情報を受信するとともに、該駐車場情報をサーバSに送信する。
【0027】
駐車場情報取得システムにおいては、車両C1,C2によって取得された駐車場情報は、基地局BTSが介在する通信によってサーバSに収集される。その後、サーバSは収集した駐車場情報から、車両C1,C2に提供するための駐車場情報を生成する。サーバSは、基地局BTSを介して車両C1,C2からの駐車場情報送信要求を受信すると基地局BTSを介して生成した駐車場情報を車両C1,C2に送信する。
【0028】
上記車両C1,C2が備えるナビゲーション装置の概略構成について、図2を参照して説明する。なお、ナビゲーション装置は便宜上、車両C1に搭載されているものとして説明する。
【0029】
図2に示されるように、ナビゲーション装置10は、当該ナビゲーション装置10での各種処理を実施するCPU11と、CPU11にて実施される各種処理に係るプログラムが予め格納されたROM12と、CPU11でのプログラムの実行により生じたデータが一時的に格納されるRAM13とを備えている。これらCPU11、ROM12、及びRAM13は、同一のバスBSに接続されているため、各種データの送受信が相互に可能となっている。
【0030】
また、バスBSには、通信インターフェース(I/F)14と車両側インターフェース(I/F)15とが接続されている。通信I/F14により、ナビゲーション装置10と上記基地局BTSとの通信が可能である。車両側I/F15には、GPS(Global Posit
ioning System )受信部22が接続され、GPS受信部21の受信した位置情報LがCPU11に入力される。すなわち、CPU11は電波航法によって自車の現在位置を特定する。また、車両側I/F15には、ジャイロセンサ22が接続され、ジャイロセンサの検出した自車両C1の進行方向の変化、詳細には道路を含む平面上での左右方向への回転角度RがCPU11に入力される。加えて、車両側I/F15には、車速センサ23が接続され、車速センサ23の検出した自車両C1の走行速度VがCPU11に入力される。つまり、CPU11は、上記電波航法に加えて、上記ジャイロセンサ22と車速センサ23とから入力された情報に基づく自律航法によっても現在位置を特定する。
【0031】
他方、バスBSには、経路データ16aと地図描画データ16bとが格納された地図データ記憶部16が接続されている。経路データ16aには、リンクID、接続ノード(ノード)、及びリンクコスト等が含まれる。なお、ノードは、道路の交差点や、道路種別等の道路の属性が変化する点に設けられる点であり、リンクは、こうしたノード間を接続する道路のことである。一方、地図描画データ16bには全国の地図を描画するための背景データ、道路形状データ等が含まれる。
【0032】
また、バスBSには、画像プロセッサ17を介して各種画像を表示するディスプレイ31が接続されている。画像プロセッサ17は、各種画像に関する情報、例えば上記地図描画データ16bや、上記サーバSから送信された駐車場情報等を、ディスプレイ31にて表示可能な情報に変換する。なお、駐車場情報は、ディスプレイ31上に表示された駐車場アイコンの色を駐車場の混雑状況に応じて変更する、駐車場上に文字情報として混雑状況を示す等のかたちでディスプレイ31上に表示される。
【0033】
次に、ナビゲーション装置10のCPU11にて実施される駐車場情報取得処理について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、駐車場情報の取得処理の手順を示すフローチャートであり、図4は、駐車場情報の取得処理のうち、駐車場の混雑状況を判定する駐車場満車判定の手順を示すフローチャートである。
【0034】
図3に示されるように、上記電波航法あるいは自律航法によって検出された現在位置が、運転者によって予めナビゲーション装置10に設定された目的地の周辺に到達すると(ステップS11:YES)、目的地が案内経路に対して走行車線側にあるか、すなわち、目的地が車両の走行路沿いにあるか否かが判断される(ステップS12)。なお、目的地の周辺とは、設定された目的地から所定の距離内、例えば500m内の範囲のことである。また、車両の走行路とは、車両が走行している側の車線のことであって、該走行している車線に対向する車線は含まれない。
【0035】
そして、目的地が車両の走行路沿いにあるとともに(ステップS12:YES)、該目的地が駐車場でない場合には(ステップS13:NO)、目的地の周辺に到達したときから走行情報の収集を開始する(ステップS15)。一方、目的地が駐車場である場合には(ステップS13:YES)、目的地を通過した後から(ステップS14:YES)、走行情報の収集を開始する(ステップS15)。なお、ナビゲーション装置10によって収集される走行情報とは、通過したリンクのIDと、該リンクを車両が走行したときの走行方向と、所定期間毎に得られた自車両の現在位置とであるとともに、これら収集された情報は上記RAM13に記憶される。走行情報の取得を開始してから(ステップS15)、車両が走行している車線側に設けられた駐車場を通過する毎に、該駐車場を記憶することを開始する(ステップS16)。この記憶される駐車場とは、車両が通過したリンク沿いに位置する施設情報のうちで駐車場を示す情報のことである。また、車両が走行している車線側に設けられた駐車場とは、該道路が一条線、すなわち上り方向の車線と下り方向の車線とが少なくとも1つずつ含まれる複数の車線が1つのリンクに対応付けられているとともに、該リンクの走行方向として上下両方向が定義されている道路においては、進行方
向側に設けられた駐車場のことである。他方、道路が二条線、例えば互いに逆向きの進行方向のみが定義されるとともに、平行に設けられた道路同士にあっても、進行方向側に設けられた駐車場のことを示す。なお、通過した駐車場は上記RAM13に保存される。
【0036】
先のステップS15による走行情報の収集と、ステップS16による通過駐車場の記憶とは、車両がいずれかの駐車場に入庫されるまで実施される(ステップS17:YES)。なお、車両が駐車場に入庫されたことは、該車両の備えるサイドブレーキが運転者によって操作されたこと、車両の現在位置が、地図情報に記憶されたいずれかの駐車場内から所定時間以上移動しないこと、車両が自動変速機を有している場合(AT車)には、運転者によってギアがパーキングレンジに位置されたこと等によって判断するようにすればよい。
【0037】
車両が駐車場に入庫されると(ステップS17)、走行情報の収集が終了されるとともに(ステップS18)、先のステップS15からステップS18までにわたり収集された走行情報、及び通過駐車場の情報から、車両が通過した駐車場の混雑状況が判定される(ステップS19)。なお、ここでの混雑状況の判定とは、駐車場が満車であるか否かを判定するものである。また、走行情報の収集の終了にあわせて、上記駐車場の記憶も終了される(ステップS18)。駐車場の満車判定が終了すると(ステップS19)、その結果が上記通信I/F14を介して基地局BTSに送信されるとともに、基地局BTSは受信した結果をサーバSに送信する。
【0038】
先のステップS19における駐車場満車判定について、図4を参照して以下に詳述する。なお、該判定はリンク毎に実施されるものであって、該リンク沿いの駐車場について満車であるか否かの判定がなされる。図4に示されるように、駐車場満車判定においては、まず、該判定に使用されていないリンクが存在すると(ステップS21:YES)、判定に使用されていないリンクのいずれかが読み出されるとともに、該リンクには両方向の定義、言い換えれば、上り方向(走行路)と下り方向(対向路)との両走行方向が定義されているか否かが判断される(ステップS22)。なお、リンクの読み出しは、駐車場満車判定が完了していないリンクが複数ある場合、それらリンクの有するリンクIDが小さいものから順に読み出されて、上記判定がなされることになる。上述のように、一条線は上下方向が定義されている一方、二条線においては、一つの車線につき一つの走行方向しか定義されていない。
【0039】
読み出されたリンクに両方向の定義がなされているときには(ステップS22:YES)、上記走行情報に含まれている車両の走行方向から、車両が上下両方向に当該リンクを走行したか否かを判断する(ステップS23)。上下両方向を走行しているとともに、一方の車線(走行路)における車両の走行領域と、他方の車線(対向路)における車両の走行領域とが、これら車線間の中点を通るとともに該車線に平行な線に対して対称である、つまり走行路と対向路とにおける走行領域が道路の幅方向で重複しているときには通過した駐車場が満車であるとする(ステップS23:YES、ステップS24)。一方、いずれかの方向にしか走行していないときには通過した駐車場が満車であるか空車であるかが不明であるとする(ステップS23:NO、ステップS25)。
【0040】
他方、先のステップS22にて、読み出されたリンクに両方向の定義がなされていないと判断されたときには(ステップS22:NO)、上記走行情報に含まれる現在位置から、車両が走行した軌跡を生成し(ステップS26)、この生成された走行軌跡に、上下両方向への車両の走行が含まれているか否かが判断される(ステップS27)。例えば、互いに平行であって且つ走行方向が逆である二条線について、上記現在位置同士を結んだ軌跡を生成する。そして、該軌跡が、下記(A)及び(B)の二つの条件を満たすときに、上記走行軌跡には、上下両方向への車両の走行が含まれていると判断する。
【0041】
(A)二条線を構成する二車線の両方、すなわち走行路と対向路とにわたっていること。
(B)一方の車線(走行路)における車両の走行領域と、他方の車線(対向路)における車両の走行領域とが、これら車線間の中点を通るとともに該車線に平行な線に対して対称である、つまり走行路と対向とにおける走行領域が重複していること。
【0042】
先のステップS27にて、走行軌跡に上下両方向への走行が含まれていると判断されたときには(ステップS27:YES)、通過した駐車場が満車であると判断する一方(ステップS24)、走行軌跡に上下方向への走行が含まれていないと判断されたときには、通過した駐車場が満車である空車であるかが不明であると判断される(ステップS28)。
【0043】
先の図3及び図4による駐車場情報取得処理を用いて、目的地の周辺における駐車場の混雑状況を判定する例を、図5及び図6を参照して以下に説明する。なお、図5は、単一のリンクについて互いに逆である2つの走行方向が定義されている場合、つまり、車両の走行した道路が一条線である場合の判定例である。一方、図6は、単一の走行方向を有するとともに互いに平行な二つのリンクの各々に対して、互いに逆である走行方向が定義されている場合、つまり、車両の走行した道路が二条線である場合の判定例である。また、図5及び図6のいずれの場合においても、駐車場以外の施設が目的地として設定されているものとする。
【0044】
図5に示されるように、目的地Gの周辺の道路には、ノードN1とノードN2とを結ぶリンクL1と、ノードN2とノードN3とを結ぶリンクL2とが含まれる。これらリンクL1,L2の各々には、該リンクL1,L2を走行する車両の走行方向として、上り方向U1,U2と下り方向D1,D2との互いに逆である2つの方向が定義されている。リンク1沿いには、上り方向U1の車線である上り車線沿いに、駐車場P1、目的地G、及び駐車場P2が設けられている一方、下り方向D1の車線である下り車線側に、駐車場P6が設けられている。他方、リンク2沿いには、上り方向U2の車線である上り車線側に、駐車場P3が設けられている一方、下り方向D2の車線である下り車線側に、駐車場P4,P5が設けられている。
【0045】
ノードN1に到達したときに、車両Cが目的地の周辺に到達したとすると(ステップS11:YES)、リンクL1、その走行方向である上り方向U1、及び車両Cの現在位置の収集が開始される(ステップS15)。加えて、通過した駐車場として、リンクL1の上り車線側に設けられた駐車場P1が記憶されるとともに(ステップS16)、車両は未だ入庫されていないことから(ステップS17:NO)、駐車場P2も記憶される(ステップS16)。次いで、車両CがリンクL2を走行すると、リンクL2、走行方向である上り方向U2、車両Cの現在位置が収集されるとともに(ステップS15)、通過した駐車場P3が記憶される(ステップS16)。
【0046】
そして、車両CがノードN3に対応する交差点で方向転換、いわゆるUターンをすることによって、リンクL2の下り方向D2の車線に進入すると、リンクL2、下り方向D2、車両Cの現在位置が収集されるとともに(ステップS15)、通過した駐車場P4,P5が記憶される(ステップS16、ステップS17:NO)。そして、車両CがリンクL1の下り方向D1の車線を走行して駐車場P6に入庫されると、車両Cが走行したリンクL1、走行方向である下り方向D1と、車両の現在位置とが収集される(ステップS15〜ステップS18)。
【0047】
このように、車両Cは、リンクL1の上り方向U1、リンクL2の上り方向U2、リン
クL2の下り方向D2、及びリンクL1の下り方向D1を走行した後に駐車場P6に入庫されたことから、リンクL1及びリンクL2のいずれについても、上下両方向に走行している。加えて、上下両方向、言い換えれば走行路と対向路とにおいて、車両Cが走行した領域が重複していることから、駐車場P6に入庫する以前に通過した駐車場P1,P2,P3,P4,P5は全て満車であるとされる(ステップS19、ステップS21〜ステップS24)。
【0048】
他方、図6は、図5と道路、目的地G、及び駐車場P1,P2,P3,P4,P5,P6の配置は同一である。しかしながら、駐車場P1,P2と駐車場P6との間の道路、及び、駐車場P3と駐車場P4,P5との間の道路には中央分離帯M1,M2が設けられている。そのため、中央分離帯M1を境界として、先の図5における上り方向U1には、ノードN1とノードN2とを結ぶリンクL1が対応付けられているとともに、下り方向D1には、ノードN5とノードN6とを結ぶリンクL4が対応付けられている。また、中央分離帯M2を境界として、先の図5における上り方向U2には、ノードN2とノードN3とを結ぶリンクL2が対応付けられているとともに、下り方向D2には、ノードN4とノードN5とを結ぶリンクL3が対応付けられている。
【0049】
先の図5と同様に、車両CがノードN1に到達したとき、目的地Gの周辺に到達したとし(ステップS11)、リンクL1を走行することで駐車場P1、目的地G、駐車場P2を通過するとともに、リンクL2を走行することで駐車場P3を通過した後に、ノードN3及びノードN4に対応する交差点で方向転換(Uターン)する。そして、リンクL3を走行することで駐車場P4、駐車場P5を通過するとともに、リンクL4を走行して駐車場P6に入庫されるものとする。
【0050】
このように、図6に記載の道路には、対向する車線のそれぞれに異なるリンクIDが対応付けられているとともに、各々のリンクL1,L2,L3,L4には、単一の走行方向しか定義されていない(ステップS22:NO)。そのため、上記各リンクL1,L2,L3,L4を走行する際に記憶された車両Cの現在位置を結んだ軌跡Tが生成される(ステップS26)。該軌跡Tには、ノードN1側からノードN3側へ向かう走行方向、すなわち上り方向の軌跡Tuと、ノードN4側からノードN6側へ向かう走行方向、すなわち下り方向の軌跡Tdとが含まれる。加えて、上り方向の軌跡Tuの全体にわたり、下り方向の軌跡Tdが生成されていることから、上り方向の軌跡Tu側に沿って設けられた駐車場P1,P2,P3と、下り方向の軌跡Td側に沿って設けられた駐車場P4,P5との全てが満車であるとされる(ステップS24)。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態に係るナビゲーション装置、駐車場情報取得方法、及び駐車場情報取得システムによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)目的地の周辺において、車両Cがある走行路を走行して以降に、これに対向する対向路を走行したときに、走行路及び対向路を走行することによって通過した駐車場が満車であることとした。例えば、両方向の定義があるリンクL1,L2が対応付けられている道路では、各リンクL1,L2において両方向への走行がなされたときに、通過した駐車場が満車であると判断するようにした(ステップS23:YES)。また例えば、両方向の定義がないリンクL1,L2,L3,L4が対応付けられている道路では、車両Cの走行した軌跡Tに、両方向への走行が含まれているときに、通過した駐車場が満車であると判断するようにした(ステップS27:YES)。これにより、車両が駐車場に入庫せずとも、当該駐車場の混雑状況に係る情報を得ることができる。それゆえに、駐車場への入庫が完了してはじめて駐車場の混雑状況に係る情報が得られる装置と比較して、駐車場の混雑状況に係る情報が得られやすくなることから、駐車場の混雑状況に係る情報の量を増大することが可能になるとともに、一台の車両による一回の駐車動作で、複数の駐車場の混雑状況に係る情報を得ることも可能になる。
【0052】
(2)一方の車線、すなわち走行路と、これに対応する他方の車線、すなわち対向路とにおける重複する領域を、車両Cが走行することによって通過した駐車場P1,P2,P3,P4,P5を満車であるとした。これにより、駐車場の満車判断に係る精度が向上する。
【0053】
(3)駐車場P1,P2,P3,P4,P5,P6が目的地Gとして設定されているときには、該目的地Gよりも後に通過した駐車場については満車であると判断されるようにした(ステップS13:YES)。これにより、駐車場の満空判断に係る精度が向上される。
【0054】
(4)目的地Gが車両の走行している車線側にない場合に通過した駐車場については、混雑状況の判断の対象とされないようにした(ステップS12:NO)。これにより、目的地Gの反対車線側に設けられた駐車場が、満車判断手段による判断の対象とされないため、駐車場の満車判断に係る精度が向上される。
【0055】
なお、上記実施の形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・上記単一の走行方向のみが定義された二つの道路とは、互いに平行となるように隣り合った一方通行の二つの道路であってもよい。
【0056】
・目的地Gの周辺において車両Cが方向転換するものとした。これに限らず、例えば一旦目的地Gの周辺外まで走行した後に方向転換し、再び目的地Gの周辺内を走行した場合にも、上記駐車場の満車であるか否かの判断を行ってもよい。この場合、目的地Gの周辺内に存在するノードのいずれかを通過した時間と、再びノードを通過したときの時間との差分を算出し、この算出された時間が所定の閾値以下であるときに、上記満車判定を実施するようにしてもよい。これにより、駐車場の満車判断に係る精度が向上さえることになる。
【0057】
・車両Cが走行した走行路や該走行路から入庫することの可能な駐車場の位置を記憶するようにした。これに限らず、走行路や駐車場を記憶することなく、走行路から入庫可能な駐車場を車両Cが通過したことを、道路情報、駐車場の位置情報、及び車両Cの現在位置に基づいて検出することによって、該駐車場が満車であることをリアルタイムに判断する構成としてもよい。
【0058】
・目的地Gの周辺において車両Cが一旦方向転換する場合に限らず、目的地Gの周辺を車両Cが周回する場合にも、その周回経路から入庫可能な駐車場については該駐車場が満車であると判定できる。
【0059】
・満車であると判断した駐車場を示す情報は、車両Cに搭載したナビゲーション装置10に所定期間記憶させてもよい。また、こうして記憶させた情報を車々間通信によって他車に提供するようにしてもよい。
【0060】
・目的地Gがナビゲーション装置10の案内する案内経路に対して走行車線側にない場合であっても(ステップS12:NO)、走行車線側に設けられた駐車場の満車判定を実施するようにしてもよい。
【0061】
・目的地Gとして駐車場が設定されている場合であっても(ステップS13:YES)、目的地Gを通過する以前から、走行情報を収集するようにしてもよい。すなわち、目的地Gよりも以前に通過した駐車場を満車判定の対象とするようにしてもよい。
【0062】
・目的地Gとして駐車場が設定されているときには(ステップS13:YES)、目的地Gを通過したときに(ステップS14:YES)、該目的地Gである駐車場が満車であると判断するようにしてもよい。
【0063】
・走行路における走行領域と対向路における走行領域とが幅方向において重複する領域に設けられた駐車場を満車とするようにした。これに限らず、これら走行領域が幅方向において重複せずとも、例えば、両方向の定義を有するリンクに対応する道路であれば、両方向を走行してさえいれば、該リンクの両方向側に設けられた駐車場が満車であると判断するようにしてもよい。
【0064】
・走行路及び対向路を走行したときに、通過した駐車場が満車であると判断するようにした。これに限らず、対向路の走行を伴わずとも、走行路から入庫可能な駐車場を通過した時点で、該駐車場が満車であると判断するようにしてもよい。なお、走行路から入庫可能な駐車場とは、例えば、走行路が一条線であれば道路両側の駐車場のことであるとともに、二条線であれば進行方向側、すなわち走行している道路沿いの駐車場のことである。また、走行路が一条線であっても、走行路と対向路との間に中央分離帯が設けられている場合には、二条線である場合と同様に、走行している道路沿いの駐車場が入庫可能な駐車場である。
【符号の説明】
【0065】
10…ナビゲーション装置(駐車場情報取得装置)、11…CPU(位置判断手段、走行状況判断手段、満車判断手段、走行判断手段)、12…ROM、13…RAM(記憶手段)、14…通信側インターフェース(I/F)、15…車両側インターフェース(I/F)、16…地図データ記憶部、16a…経路データ、16b…地図描画データ、17…画像プロセッサ、21…GPS受信部、22…ジャイロセンサ、23…車速センサ、31…ディスプレイ、BTS…基地局、C,C1,C2…車両、G…目的地、L1,L2,L3,L4…リンク、N1,N2,N3,N4,N5,N6…ノード、P1,P2,P3,P4,P5,P6…駐車場、S…サーバ(センタ)、T…軌道。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置が目的地の周辺であるか否かを判断する位置判断手段と、
前記車両の現在位置が前記目的地の周辺であると前記位置判断手段が判断したときに、前記車両が走行路から入庫可能な駐車場を該車両が通過したか否かを判断する走行状況判断手段と、
前記車両が前記駐車場を通過したと前記走行状況判断手段により判断したときに、該駐車場が満車であると判断する満車判断手段とを備える
ことを特徴とする駐車場情報取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車場情報取得装置において、
前記車両が通過した前記駐車場を記憶する記憶手段と、
前記車両が前記走行路を走行した後に該走行路に対向する対向路を走行したか否かを判断する走行判断手段とを備え、
前記車両が前記対向路を走行したと前記走行判断手段により判断したときに、前記満車判断手段によって、前記走行路及び対向路を走行することによって通過した前記駐車場が満車であると判断する
ことを特徴とする駐車場情報取得装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車場情報取得装置において、
前記満車判断手段は、前記走行路における前記車両が走行した範囲と前記対向路における前記車両が走行した範囲とが道路の幅方向で重複する領域にて、前記車両が通過した駐車場が満車であると判断する
ことを特徴とする駐車場情報取得装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の駐車場情報取得装置において、
前記目的地として駐車場が設定されているときには、前記満車判断手段は、前記目的地に設定されている駐車場よりも後に通過した駐車場が満車であると判断する
ことを特徴とする駐車場情報取得装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の駐車場情報取得装置において、
前記目的地が前記車両の前記走行路の反対車線側に設定されているとき、前記満車判断手段は、前記走行路を走行することによって通過した前記駐車場を判断の対象としない
ことを特徴とする駐車場情報取得装置。
【請求項6】
車両の目的地から所定の距離内である目的地の周辺に設けられた駐車場の混雑状況に係る情報を取得する方法であって、
前記車両の現在位置が、前記目的地の周辺に位置するとともに、前記車両が該車両の走行路から入庫可能な駐車場を通過したときに、前記駐車場が満車であるとする
ことを特徴とする駐車場情報取得方法。
【請求項7】
車両と、前記車両に搭載されて該車両の目的地から所定の距離内である目的地の周辺に設けられた駐車場の混雑状況に係る情報を取得する駐車場情報取得装置と、前記駐車場情報取得装置と通信可能なセンタとを備える駐車場情報取得システムであって、
前記駐車場情報取得装置は、前記車両の現在位置が、前記目的地の周辺に位置するとともに、前記車両が該車両の走行路から入庫可能な駐車場を通過したときに、前記駐車場が満車であると判断するとともに、判断結果を前記センタに送信し、
前記センタは、受信した前記判断結果を記憶するとともに、前記駐車場情報取得装置の前記判断結果の送信要求に応じて該駐車場情報取得装置に前記判断結果を送信する
ことを特徴とする駐車場情報取得システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215049(P2011−215049A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84594(P2010−84594)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】