説明

駐車支援制御装置および駐車支援制御システム

【課題】 駐車支援制御が行われる際に、ドライバが効率よく車両を所望の位置に停止させられるようにする。
【解決手段】 車両偏向角θの初期値θ0や距離Lの初期値L0を設定しておき、車両停止制御が開始されると、これら初期値θ0、L0に対する車両偏向角θもしくは距離Lの比から正規化された係数Rを求め、この係数Rにて車体速度VLの目標速度VREFを求める。これにより、車両VLが目標駐車位置に到達したときに、車両VLの車体速度Vが非常に小さくなっているため、目標駐車位置に車両VLを精度良く停止させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援制御中における車両停止制御により車両を所望の位置に精度良く停止させることができる駐車支援制御装置および駐車支援制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1などにおいて、車両駐車時にドライバが効率よく車両を所望の位置に停止させられるように、駐車支援制御を行うことができる駐車支援制御装置が提案されている。この駐車支援制御装置では、車両を停止させる際、自動ブレーキによって制動力を発生させるようになっている。
【特許文献1】特開2003−11760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1などでは、駐車支援制御装置による車両の停止が自動ブレーキによって行われるということしか記載されておらず、具体的にどのように車両を停止させれば車両を精度良く所望の位置に停止させられるかについては何も開示されていない。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、駐車支援制御が行われる際に、ドライバが効率よく車両を所望の位置に停止させられる駐車支援制御装置および駐車支援制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、移動軌跡に沿って移動する車両(VL)の現在位置を求める現在位置検出手段(110)と、現在位置から目標駐車位置へ移動するまでの前車両(VL)の変位量(θ、L)を求める変位量演算手段(115、120)と、目標駐車位置に到達したと判定し得る車両(VL)の変位量を基準変位量として、現在位置における車両(VL)の変位量が基準変位量に近づくほど車両(VL)の速度が遅くなるように目標速度(VREF)を設定する目標速度設定手段(150、175)と、車両(VL)が目標速度となるように制動要求を行い、変位量が基準変位量となると車両(VL)を停止させる制動要求手段(155、160、180)とを備えていることを特徴としている。
【0006】
このように、車両(VL)の変位量が基準変位量に近づくほど車両(VL)の目標速度(VREF)が遅くなるようにする。これにより、車両(VL)が目標駐車位置に到達したときに、車両(VL)の車体速度(V)が非常に小さくなっているため、目標駐車位置に車両(VL)を精度良く停止させることが可能となる。
【0007】
なお、ここでいう車両(VL)の変位量(θ、L)としては、例えば、請求項4に示されるような現在位置から目標駐車位置までの距離(L)、もしくは、請求項5に示されるような現在位置における車両(VL)の向きと目標駐車位置における車両(VL)の向きとの為す角度として定義される車両偏向角(θ)が挙げられる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、制御開始条件設定手段(125)にて、変位量の初期値に相当する変位量初期値(θ0、L0)を設定すると共に、この変位量初期値(θ0、L0)に基づき、車両(VL)が移動軌跡のどの位置に達したときに車両停止制御を開始するかという車両停止制御開始位置を決定する。また、車体速度初期値設定手段(135)にて、変位量が変位量初期値(θ0、L0)となったときに車速検出手段(100)で求められた車体速度(V)を車体速度初期値(V0)として設定する。そして、目標速度設定手段(150、175)にて、現在位置が車両停止制御開始位置に達すると、変位量初期値(θ0、L0)に対する変位量(θ、L)の比を車体速度初期値(V0)に掛けあわせた値を目標速度(VREF)として設定することを特徴としている。
【0009】
このように、変位量初期値(θ0、L0)および車体速度初期値(V0)を設定しておき、変位量初期値(θ0、L0)に対する変位量(θ、L)の比を車体速度初期値(V0)に掛けあわせた値を目標速度(VREF)として設定することができる。これにより、車両(VL)の変位量が基準変位量に近づくほど車両(VL)の目標速度(VREF)が遅くなるようにすることができる。
【0010】
なお、車両停止制御開始位置は、例えば、請求項3に示されるように、移動経路中における変位量(θ、L)が変位量初期値(θ0、L0)となる位置もしくはそれよりも前の位置に設定されると好ましい。
【0011】
また、現在位置は、例えば、請求項6に示されるように、車両(VL)に備えられる各車輪(4FL、4FR、4RL、4RR)それぞれに対応して備えられる車輪速度センサ(5FL、5FR、5RL、5RR)の検出信号から少なくとも後輪2輪(4RL、4RR)の移動量を求めると共に、車両(VL)に備えられる操舵角センサ(51)の検出信号からステアリング角を求め、移動量およびステアリング角に基づいて移動軌跡に沿った車両(VL)の移動量を求めることにより求めることが可能である。
【0012】
以上では、本発明を駐車支援制御装置として、つまり車両(VL)に備えられる各種デバイスを駆動するための制御を実行する装置として記載しているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、請求項7に示されるように、上記請求項1から請求項6に記載の発明における駐車支援装置を、車両(VL)に備えられる車輪(4FL、4FR、4RL、4RR)に制動力を付与する制動力付与手段(2、3)を有した駐車支援制御システムとして捉えることも可能である。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0015】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した車両に搭載される駐車支援制御システムについて、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態の駐車支援制御システムの全体構成を示す図である。図中、車両VLの右前輪、左前輪、右後輪、左後輪をそれぞれに対応する構成要素にFL、FR、RL、RRを付して表わしてある。
【0017】
本実施形態の駐車支援制御システムは、ブレーキ制御ECU1、油圧ブレーキ装置2、電動パーキングブレーキ(以下、PKBという)3、各車輪4FL、4FR、4RL、4RR毎に備えられたホイールシリンダ(以下、W/Cという)41FL、41FR、41RL、41RR車輪速度センサ5FL、5FR、5RL、5RR、車内LANバス6、エンジンECU7、駐車支援制御ECU8、警告表示・警報装置9および各種センサ類50を備えた構成となっている。
【0018】
これらの構成要素のうち、ブレーキ制御ECU1、エンジン制御ECU7、駐車支援制御ECU8、警告表示・警報装置9およびセンサ類50は、それぞれ車内LANバス6に接続され、車内LANバス6を介して互いに信号の送受を行えるようになっている。
【0019】
ブレーキ制御ECU1は、コンピュータにより構成されており、車内LANバス6を介して駐車支援制御ECU8からの制動要求、および各車輪速度センサ5FL〜5RRやセンサ類50からのセンサ信号を入力し、後述する油圧ブレーキ装置2およびPKB3を制御するための駆動信号やエンジン制御ECU7への制御信号を出力する。
【0020】
油圧ブレーキ装置2は、各車輪4FL〜4RRに対して制動力を付与する制動力付与手段に相当するものである。図2は、この油圧ブレーキ装置2の具体的な配管構成を示した図である。この図を参照して、油圧ブレーキ装置2について説明する。
【0021】
マスタシリンダ(以下、M/Cという)10は、運転者により図示しないブレーキペダルが踏み込まれると、センサ類50に含まれる後述するブレーキ操作量センサ53で検出されるブレーキペダルの踏力に応じたM/C圧を発生させる。このM/C10には、第1配管系統11および第2配管系統21が接続されており、これら各配管系統11、21に対して各W/C41FL〜41RRがダイアゴナル接続されている。
【0022】
M/C10で発生させられたブレーキ液圧は、それぞれ第1配管系統11および第2配管系統21を介して各車輪に備えられたW/C41FL〜41RRに伝達され、第1の制動力を発生するようになっている。
【0023】
以下では、第1配管系統11、特に、右前輪4FRに関わる配管系統を中心に説明するが、他の車輪および第2配管系統についても同様である。
【0024】
第1配管系統11には、右前輪4FRおよび左後輪4RLのそれぞれに対して、ABS制御時に各W/C41FR、41RLの増圧および保持を調整する増圧制御弁14a、14bが設けられている。増圧制御弁14a、14bそれぞれに並列に逆止弁141a、141bが設けられ、増圧制御弁14a、14bの遮断時にW/C圧が過剰となった場合に液流をM/C10側へ逃がすようになっている。
【0025】
増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLの間から伸びる減圧管路12にはABS制御におけるW/C41FR、41RLの減圧、保持を調整する減圧制御弁15a、15bが設けられている。この減圧管路12はリザーバ16と接続されている。
【0026】
リザーバ16に貯溜されるブレーキ液は、モータ20により駆動されるポンプ17によって汲み上げられたのち、増圧制御弁14a、14bと後述するマスタカット弁(以下、SM弁という)18の間に返流される。なお、ポンプ17の吐出口には逆止弁171が設けられ、ポンプ17の吐出口に高いブレーキ液圧が加えられないようになっている。
【0027】
M/C10と増圧制御弁14a、14bの間には、SM弁18が配置されている。このSM弁18は、非通電時は連通状態、通電時には図示方向の逆止弁による遮断状態となる2位置弁である。SM弁18は、遮断状態のときには、W/C41FR、41RL側の圧が逆止弁のばねによるクラッキング圧分だけM/C10側の圧よりも高くなったときにリリースされ、圧を逃がす構造となっている。このSM弁18には、並列に逆止弁181が設けられており、M/C10側からW/C41FR、41RL側への流動のみが許容されるようになっている。
【0028】
M/C10とSM弁18の間と、リザーバ16とは吸引管路13で接続されている。
【0029】
第1配管系統11のM/C10とSM弁18の間には油圧センサ30が設けられ、M/C10が発生したブレーキ液圧が検出できるようになっている。この油圧センサ30で検出されるブレーキ液圧は、M/C10の図示しないセカンダリ室の発生圧力であるが、第2配管系統が接続されるプライマリ室にも同圧が発生しているので、油圧センサ30により実質的にM/C圧を検出することができる。
【0030】
また、増圧制御弁14a、14bとW/C41FR、41RLの間にも油圧センサ19a、19bが設けられ、それぞれのW/C圧が検出できるようになっている。
【0031】
これら、油圧センサ30および油圧センサ19a、19bの出力信号は、ブレーキ制御ECU1に入力される。
【0032】
上記増圧制御弁14a、14b、減圧制御弁15a、15bは2位置弁であり、ブレーキペダルの非操作時および通常ブレーキ時などの非通電(OFF)時には図示の弁体位置、すなわち、増圧制御弁14a、14bは連通状態、減圧制御弁15a、15bは遮断(カット)状態にある。また、SM弁18も通常の非通電時には図示の弁体位置、すなわち連通状態にある。
【0033】
これら各制御弁は、ブレーキ制御ECU1からの作動信号により駆動される。また、ポンプ17、27を駆動するモータ20もブレーキ制御ECU1からの作動信号により駆動される。
【0034】
続いて、この油圧ブレーキ装置2の基本的な制御方法について説明する。
【0035】
運転者によりブレーキペダルが踏み込まれるときの通常のブレーキ操作においては、全ての制御弁(SM弁18、増圧制御弁14a、減圧制御弁15a)は非通電(OFF)状態とされる。このため、M/C圧がそのままW/C41FR、41RLに作用し、W/C圧=M/C圧となる。
【0036】
ABS制御中は、タイヤロックを回避するためにW/C圧を減圧する過程と制動力を回復するためにW/C圧を増圧する過程とでそれぞれ動作が異なる。なお、SM弁18はABS制御中は、通常OFF(連通状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引する。
【0037】
まず、ABS制御の減圧過程では、増圧制御弁14aを通電状態(ON)すなわち遮断(カット)状態とし、かつ、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御する。これにより、連通/カットの切換えが繰り返されて、W/C41FRよりブレーキ液が所定の変化勾配でリザーバ16へ流れ出しW/C圧が減圧される。
【0038】
ABS制御の増圧過程では、減圧制御弁15aを非通電状態(OFF)すなわちカット状態とし、かつ、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御する。これにより、連通/カットの切換えが繰り返されて、M/C10よりブレーキ液がW/C41FRに供給されてW/C圧は増圧される。
【0039】
次に、駐車支援制御中には、駐車支援制御ECU8からの制動要求信号に基づいて、ブレーキ制御ECU1が油圧ブレーキ装置2に対して制御信号を出力することで、各車輪4FL〜4RRに対して所望のW/C圧が発生させられる。
【0040】
具体的には、駐車支援制御中にW/C圧を増加させようとするときには、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、減圧制御弁15aをOFF(カット状態)にする。また、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、増圧制御弁14aをOFF/ONのデューティー比制御により所定の変化勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C圧を増加させる。このとき、必要に応じてM/C10から吸引管路13、リザーバ16を介してブレーキ液がポンプ17の吸引口に補充される。
【0041】
一方、駐車支援制御中にW/C圧を減少させようとするときには、SM弁18をON(カット状態)に、かつ、増圧制御弁14aをON(カット状態)にするとともに、ポンプ17を駆動してリザーバ16よりブレーキ液を吸引して吐出圧を発生させた状態で、油圧センサ19aの検出値との比較を行いながら、減圧制御弁15aをON/OFFのデューティー比制御により所定の勾配で、あるいは設定された目標の圧力までW/C41FRよりブレーキ液を吸引してW/C圧を減少させる。このとき、増圧制御弁14aおよびSM弁18がともにカット状態であるため、ポンプ17の吐出圧は増大するが、その圧がSM弁18の逆止弁のばねのクラッキング力より大きくなるとリリースされて圧力が低下する。
【0042】
次に、PKB3について説明する。PKB3は、基本的にはドライバによるパーキングブレーキスイッチ(図示せず)の操作によって駆動されるものであるが、駐車支援制御における制動にも適宜用いられる。このため、このPKB3も、上述した油圧ブレーキ装置2と共に制動力付加手段に相当するものとなる。
【0043】
PKB3は、ブレーキワイヤ31R、31Lにて後輪4RL、4RRの各ブレーキキャリパと接続されている。このPKB31は、ブレーキ制御ECU1からの制御信号により動作する図示しないモータおよびギア機構からなるアクチュエータが、ブレーキワイヤ31R、31Lを介して左右後輪4RR、4RLのブレーキキャリパを駆動することにより、制動力すなわち、第2の制動力を発生させる。PKB3のモータは、制御信号に基づきデューティー駆動されて正転または逆転させられる。これにより、第2の制動力の大きさが制御されるようになっている。
【0044】
このとき、デューティー比に応じた制動力が発生し、目標の制動力となったらPKB3のモータがロックし、モータロックが検出されるとモータの駆動電流が遮断、すなわち、制御信号が解除されて、PKB3は制御停止(制御禁止)の状態となる。このPKB3の制御停止状態ではギア機構は動かないので、第2の制動力は維持され、ロック状態となる。
【0045】
このPKB3は、駐車支援制御中にブレーキ制御ECU1からの制御信号によって行われる以外に、運転者により図示しないパーキングブレーキスイッチをON/OFF操作した場合にも、その操作信号に基づきブレーキ制御ECU1がPKB3の第2駆動信号を出力することにより駆動されるようになっている。
【0046】
車輪速度センサ5FL〜5RRは、図2に示すように、各車輪4FL〜4RRの回転速度を検出できるように、各車輪4FL〜4RRそれぞれに備えられ、それぞれの出力信号が直接ブレーキ制御ECU1に入力されるように構成されている。車輪速度センサ5FL〜5RRには、例えばホール素子による半導体式速度センサが用いられ、低速度でも確実な車輪回転パルスを得ることで、駐車時の速度でも正確な車速が検出できるようになっている。
【0047】
エンジン制御ECU7は、アクセル操作量センサ52からのアクセル操作量であるアクセル開度信号や、エンジン回転数、水温や排気中の酸素濃度などに基づき走行状態に応じて燃料噴射量を調整してエンジン70へ指令値を与えることによりエンジン出力を制御する。これにより、自動変速機(AT)71および車軸72R、72Lを介して回転駆動される左右の前輪4FR、4FLの駆動力が調整されるようになっている。
【0048】
なお、AT71は、エンジン70の回転を車軸72R、72Lに伝達するトルクコンバータを内蔵した公知の装置であり、図示しない制御装置により変速制御されるものである。本実施形態では、クリープ現象により車両を低速で走行させる(以下、クリープ走行という)状態を積極的に利用して駐車支援制御を行うものであり、AT71の制御に関しては特に関係ないため、AT71の制御装置については説明を省略する。
【0049】
駐車支援制御ECU8は、駐車支援制御装置に相当するもので、図示しない駐車支援制御実行用のスイッチを通じて、車庫入れ駐車を行うための駐車支援制御もしくは縦列駐車を行うための駐車支援制御を実行するという指令信号を受け取ると、車庫入れ駐車もしくは縦列駐車を行うときの最終的な目標駐車位置を求めると共に、その目標駐車位置までの移動軌跡を求める。このとき、移動軌跡は、センサ類50に含まれる後述する障害物センサ54により計測される障害物までの距離xを参照し、自車両VLが障害物に接触しないような経路として求められる。そして、求められた移動軌跡に沿って、車両VLが所望の車速で移動するように、駐車支援制御ECU8からブレーキ制御ECU1に向けて制動力制御信号を出力することで、制動力の制御が行われ、目標駐車位置にたどり着くようにする駐車支援制御が実行されるようになっている。
【0050】
また、駐車支援制御ECU8は、この駐車支援制御の一制御として車両停止制御を行い、車両VLが目標駐車位置に精度良く停止できるようする。以下、車庫入れ駐車を行う場合と縦列駐車を行う場合に分けて、駐車支援制御ECU8が行う処理について説明する。
【0051】
車庫入れ駐車を行うための駐車支援制御中には、駐車支援制御ECU8は、まず、車両VLが求めた移動軌跡のどこの位置まで移動したときに車両停止制御を開始するかという車両停止制御開始位置を決定する。この車両停止制御開始位置の決定手法について図3を参照して説明する。
【0052】
図3は、車両VLが後方の空きスペースに車庫入れ駐車するときの様子を示した模式図である。まず、車両VLを空きスペースに向かって移動させたときに、どのような移動軌跡を辿るかが求められる。そして、求められた移動軌跡から考えて、例えば、車両VLがあとは真っ直ぐ後方にのみ移動すれば目標駐車位置まで移動できると想定される距離(例えば、40〜50cm)が初期値L0として記憶され、車両VLから目標駐車位置までの距離Lが初期値L0になる位置もしくはその手前が車両停止開始位置に決定される。
【0053】
また、実際に車庫入れ駐車が開始されたときには、車両VLが移動するにつれて目標駐車位置までの距離が変化していく。このため、駐車支援制御ECU8は、車庫入れ駐車中、車両VLが求めた移動軌跡のどこを移動中であるかという現在位置を求める。このときの現在位置は、例えば、車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号に基づいて求められる各車輪4RL〜4RRの移動距離およびセンサ類50に含まれる後述する操舵角センサ51の検出信号に基づいて求められるステアリング角から求められる。そして、求められた現在位置と移動軌跡の対応関係に基づいて、現在位置から目標駐車位置までの距離Lが求められる。
【0054】
その後、現在位置が車両停止制御開始位置と一致すると、そこから車両停止制御を開始させるべく、駐車支援制御ECU8は、記憶させておいた初期値L0と現在位置から目標駐車位置までの距離Lを比較することで、現在位置における車両Vの目標速度VREFを設定する。このため、この目標速度VREFを実現できるように、駐車支援制御ECU8は、エンジン制御ECU7やブレーキ制御ECU1に向けて駆動力制御信号や制動力制御信号を出力する。
【0055】
一方、縦列駐車を行うための駐車支援制御中にも、駐車支援制御ECU8は、車両VLが求めた移動軌跡のどこの位置まで移動したときに車両停止制御を開始するかという車両停止制御開始位置を決定する。この車両停止制御開始位置の決定手法について図4を参照して説明する。
【0056】
図4は、車両VLが左後方の空きスペースに縦列駐車するときの様子を示した模式図である。この図に示されるように、縦列駐車を行う際に、車両VLの向きが目標駐車位置での車両VLの向きに対して為す角度、つまり車両偏向角θが変化していく。
【0057】
このとき、まず車両VLが空きスペース方向に向くよう車両偏向角θが大きくなるように移動させられ、車両VLが空きスペース方向に向き終わると、その後は、徐々に車両偏向角θが減少するように車両VLが移動させられることで、車両VLが空きスペース内に駐車させられることになる。
【0058】
したがって、この縦列駐車の一連の動きのうちの最後の動き、つまり、徐々に車両偏向角θが減少するときのどこかの位置、例えば、車両偏向角θが最も大きくなった位置(もしくはその少し前の位置)、もしくは車両偏向角θが最も大きくなってから減少していく途中の位置における車両偏向角θが初期値θ0(例えば、5°)として決定される。そして、この初期値θ0となる位置もしくはその手前(例えば、初期値θ0から所定角度手前)の位置が車両停止制御開始位置に決定される。
【0059】
また、駐車支援制御ECU8は、縦列駐車を行う際に、車両VLが求めた移動軌跡のどこを移動中であるかという現在位置を求める。このときの現在位置は、例えば、センサ類50に含まれる車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号に基づいて求められる各車輪4RL〜4RRの移動距離および操舵角センサ51で求められるステアリング角から求められる。さらに、求められた現在位置と移動軌跡の対応関係に基づいて、現在位置での車両偏向角θが求められる。
【0060】
その後、現在位置が車両停止制御開始位置と一致すると、そこから車両停止制御を開始させるべく、駐車支援制御ECU8は、記憶させておいた初期値θ0と現在位置での車両偏向角θを比較することで、車両VLを停止させる際の目標速度VREFを設定する。このため、この目標速度VREFを実現できるように、駐車支援制御ECU8は、エンジン制御ECU7やブレーキ制御ECU1に向けて駆動力制御信号や制動力制御信号を出力する。
【0061】
警告表示・警報装置9は、ランプやディスプレイ等の警告表示器およびブザーやスピーカ等の警報器を備えたもので、各種制御を実行していること等をランプ点灯やディスプレイ表示、ブザーやスピーカを通じての警告音によってドライバに報知するものである。
【0062】
センサ類50には、操舵角センサ51、アクセル操作量センサ52、ブレーキ操作量センサ53、障害物センサ54が含まれている。
【0063】
操舵角センサ51は、ステアリングの操舵角、つまりステアリング角度を検出するものである。アクセル操作量センサ52は、アクセルペダルの操作量を検出するものである。ブレーキ操作量センサ53は、ブレーキペダルの操作量を検出するものである。
【0064】
障害物センサ54は、車両VL周辺の障害物を検出するためのもので、車両の前部および後部の例えばバンパーに設けられたコーナーソナーにより車両の前方および後方に存在する障害物までの距離xを計測し、その微分信号と共に車内LANバス6を介してブレーキ制御ECU1や駐車支援制御ECU8などへ送る。なお、距離xの微分信号は、前方または後方の走行車両などの障害物との相対速度に相当する。
【0065】
以上のように本実施形態の駐車支援制御システムが構成されている。このように構成される駐車支援制御システムでは、図示しない駐車支援制御開始用のスイッチが投入され、車庫入れ駐車もしくは縦列駐車を行うということが要求されると、駐車支援制御ECU8内の図示しない駐車支援制御開始フラグがセットされると共に、車庫入れ駐車と縦列駐車のいずれを行うかを示すフラグがセットされ、車庫入れ駐車もしくは縦列駐車を行うための駐車支援制御が実行される。そして、警告表示・警報装置9にて、駐車支援制御が実行されていることがドライバに報知される。
【0066】
具体的には、駐車支援制御ECU8において、車輪速度センサ5FL〜5RRや油圧センサ19a、19b、29a、29bおよびセンサ類50からの検出信号などに基づいて、車庫入れ駐車や縦列駐車を行うときの目標駐車位置およびそこまでの移動軌跡が求められ、求められた移動軌跡に沿って、車両VLが所望の車速で移動するように、駐車支援制御ECU8からエンジン制御ECU7やブレーキ制御ECU1が駆動力制御信号や制動力制御信号に向けて出力されることで、駆動力の制御や制動力の制御が行われ、目標駐車位置にたどり着くようにする駐車支援制御が実行される。
【0067】
そして、この駐車支援制御中に、本発明の特徴部分に関わる車両停止制御が実行される。具体的には、駐車支援制御ECU8は、図5に示す車両停止制御のフローチャートに基づく各種処理を実行する。以下、図5を参照して車両停止制御の詳細について説明する。
【0068】
まず、ステップ100では、現在の車体速度Vが取得される。この車体速度Vは、車輪速度センサ5FL〜5RRの検出信号に基づき求められる各車輪4FL〜4RRの車輪速度から、周知の演算手法(例えば、転動輪車輪速度のうち早い方の値を車体速度とする手法など)を用いて求められる。
【0069】
続く、ステップ105では、駐車支援制御中であるか否かが求められる。この判定は、上述した駐車支援制御開始フラグがセットされているか否かに基づいて行われる。このステップで否定判定された場合には、駐車支援制御中ではないため、車両停止制御を行う必要はないものとして、そのまま処理が完了となる。
【0070】
一方、ステップ105で肯定判定されると、ステップ110に進み、上述したように、車両VLが求めた移動軌跡のどこを移動中であるかという現在位置が求められる。そして、ステップ115に進み、車両偏向角θが取得される。この車両偏向角θは、求められた現在位置と移動軌跡の対応関係に基づいて現在車両VLがどの方向を向いているかを求め、それと目標駐車位置での車両VLの向きとを比べることで求められる。
【0071】
次に、ステップ120に進み、駐車残り距離L、すなわち現在位置から目標駐車位置までの距離Lが求められる。この距離Lも、上述したように、先に求められた現在位置と移動軌跡の対応関係に基づいて求めることができる。
【0072】
さらに、ステップ125に進み、車両停止制御の開始条件を設定するべく、上述したようにして距離Lの初期値L0や車両偏向角θの初期値θ0が求められ、これらが記憶される。そして、例えば、車庫入れ駐車の場合には距離Lが初期値L0になる少し前(例えばL=L0+α)、縦列駐車の場合には車両偏向角θが初期値θ0になる少し前(例えばθ=θ0+β)が車両停止制御開始位置として設定され、車両がこの位置に達したことが車両停止制御の開始条件として設定される。
【0073】
この後、ステップ130に進み、車両停止制御中であるか否か、つまり車両停止制御の開始条件を満たしているか否かが判定される。具体的には、上述したステップ125で設定されたように、車庫入れ駐車の場合には距離Lが初期値L0になる少し前(例えばL=L0+α)まで達しているかが判定され、縦列駐車の場合には車両偏向角θが初期値θ0になる少し前(例えばθ=θ0+β)まで達しているかが判定される。これにより、車両停止制御の開始条件を満たしていれば、車両停止制御中であるとして、ステップ135に進み、満たしていなければ、まだ車両停止制御を行う必要がないものとして、そのまま処理が完了となる。
【0074】
ステップ135では、車両停止制御中であった場合の車体速度Vを初期値V0とし、これが記憶される。そして、ステップ140に進み、縦列駐車を行うための駐車支援制御であるか否かが判定される。これは、駐車支援制御開始用のスイッチが投入されたときに車庫入れ駐車と縦列駐車のいずれを行うかを示すフラグがセットされていることから、このフラグに基づいて判定される。
【0075】
ここで肯定判定された場合には、ステップ145に進み、車両偏向角θが0になっているか否かが判定される。ここで、車両偏向角θが0になっていなければ、ステップ150に進んで車両停止制御を行うべく、目標速度VREFが演算される。このとき、目標速度VREFが次式のように求められる。
【0076】
(数1)
目標速度VREF=θ/θ0×V0
つまり、車体速度Vの初期値V0を基準速度として、初期値θ0に対する現在の車両偏向角θの比が係数Rとして求められる。そして、この係数Rが初期値V0に対して乗算されることで、目標速度VREFが求められる。このとき、現在の車両偏向角θは初期値θ0から徐々に減少するため、求められた係数Rは1未満となり、目標速度VREFは目標駐車位置に近づくにつれて徐々に小さなものとなる。
【0077】
そして、ステップ155では、車体速度Vが目標速度VREFとなるように、駐車支援制御ECU8からブレーキ制御ECU1に向けて制動力制御信号が出力される。このため、油圧ブレーキ装置2が上述したように各車輪4FL〜4RRのW/C圧を増加させる形態となり、各車輪4FL〜4RRに制動力制御信号に応じたW/C圧が発生させられる。これにより、車体速度Vが目標速度VREFとなるような制動力が発生させられることになる。
【0078】
一方、ステップ145で否定判定された場合には、ステップ160に進む。車両偏向角θが0であれば、車両VLが停止状態であるということを意味しているため、車両VLの停止を維持できるように、駐車支援制御ECU8からブレーキ制御ECU1に向けて制動力制御信号が出力される。これにより、各車輪4FL〜4RRのW/C圧が車両VLの停止を維持できるような値とされる。
【0079】
また、上述したステップ140で否定判定された場合には、ステップ165で車庫入れ駐車を行うための駐車支援制御であるか否かが判定される。これも、駐車支援制御開始用のスイッチが投入されたときに車庫入れ駐車と縦列駐車のいずれを行うかを示すフラグがセットされていることから、このフラグに基づいて判定される。
【0080】
ここで肯定判定された場合には、ステップ170に進み、距離Lが0になっているか否かが判定される。ここで、距離Lが0になっていなければ、ステップ175に進んで車両停止制御を行うべく、目標速度VREFが演算される。このとき、目標速度VREFが次式のように求められる。
【0081】
(数2)
目標速度VREF=L/L0×V0
つまり、車体速度Vの初期値V0を基準速度として、初期値L0に対する現在の距離Lの比が係数Rとして求められる。そして、この係数Rが初期値V0に対して乗算されることで、目標速度VREFが求められる。このとき、現在の距離Lは初期値L0から徐々に減少するため、係数Rは1未満となり、目標速度VREFは目標駐車位置に近づくにつれて徐々に小さなものとなる。
【0082】
そして、ステップ180では、ステップ155と同様の処理が行われる。これにより、車体速度Vが目標速度VREFとなるような制動力が発生させられることになる。一方、ステップ170で否定判定された場合には、ステップ160に進み、上記と同様に、各車輪4FL〜4RRのW/C圧が車両VLの停止を維持できるような値とされる。
【0083】
このようにして、駐車支援制御における車両停止制御が実行される。図6は、このような車両停止制御が実行される場合のタイミングチャートであり、(a)は、車体速度Vおよび目標速度VREFの変化、(b)は、車両偏向角θもしくは距離Lの変化、(c)は、係数Rの変化を示している。
【0084】
この図に示されるように、車両停止制御が開始されると、その時の車体速度Vが初期値V0として設定される。そして、初期値L0に対する距離Lの比、もしくは、初期値θ0に対する車両偏向角θの比として求められる係数Rが目標駐車位置に近づくほど小さな値となるため、目標速度VREFが徐々に小さくなる。このため、車体速度VLを緩やかに低下させることが可能となり、目標駐車位置では、車体速度VLを非常に小さ苦することが可能となる。このため、車両VLを精度良く目標駐車位置で停止させることが可能となる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の駐車支援制御システムでは、駐車支援制御中に車両停止制御を行い、この車両停止制御により、目標駐車位置に近づくほど車体速度Vの目標速度VREFが小さくなるようにしている。すなわち、目標駐車位置における車両偏向角θや距離L(つまり車両偏向角θ=0もしくは距離L=0)を基準変位量(零点)と考え、縦列駐車の場合には車両偏向角θを車両VLの変位量とし、車庫入れ駐車の場合には目標駐車位置までの距離Lを車両VLの変位量として、これらの変位量が基準変位量に近づけば近づくほど目標速度VREFが小さくなるようにしている。
【0086】
具体的には、車両偏向角θの初期値θ0や距離Lの初期値L0を設定し、これら初期値θ0、L0に対する車両偏向角θもしくは距離Lの比から正規化された係数Rを求め、この係数Rにて車体速度VLの目標速度VREFを求めるようにしている。
【0087】
このため、車両VLが目標駐車位置に到達したときに、車両VLの車体速度Vが非常に小さくなっているため、目標駐車位置に車両VLを精度良く停止させることが可能となる。また、上記のように、正規化された係数Rを用いて目標速度VREFを求めるようにしているため、乗車人数によって車両の慣性が変わったとしても、停止長さが変わってしまうなどの影響を受けることはない。さらに、車両停止制御が開始される場所が変わったとしても、同じ目標駐車位置に精度良く車両VLを停止させることが可能である。
【0088】
(他の実施形態)
上記実施形態では、油圧ブレーキ装置2を用いて車両VLの車体速度Vが目標速度VREFとなるように制動力を発生させているが、PKB3と協働して、もしくはPKB3のみによって制動力を発生させても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、制動力を制御することで車両停止制御を実行するようにしているが、駐車支援制御ECU8からエンジン制御ECU7に向けて制御信号を送り、駆動力を制御することによって行うことも可能であるし、制動力と駆動力の双方を制御することでも可能である。
【0090】
また、車両VLの現在位置は、車両VLのステアリング角から旋回曲率を求め、旋回曲率と車両VLの移動量から車両VLの向き変化量を求めて、車両VLの向きの変化量と移動量から求めても良い。
【0091】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態における駐車支援制御システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す駐車支援制御システムに備えられた油圧ブレーキ装置2の具体的な配管構成を示した図である。
【図3】車両VLが後方の空きスペースに車庫入れ駐車するときの様子を示した模式図である。
【図4】車両VLが左後方の空きスペースに縦列駐車するときの様子を示した模式図である。
【図5】車両停止制御のフローチャートである。
【図6】車両停止制御が実行される場合のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1…ブレーキ制御ECU、2…油圧ブレーキ装置、3…PKB、4FL〜4RR…車輪、5FL〜5RR…車輪速度センサ、7…エンジン制御ECU、8…駐車支援制御ECU、10…M/C、41FL〜41RR…W/C、50…センサ類、51…操舵角センサ、52…アクセル操作量センサ、53…ブレーキ操作量センサ、54…障害物センサ、VL…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(VL)を停止させる目標駐車位置を求めると共に、該目標駐車位置に移動するための移動軌跡を求め、該移動軌跡に沿って前記車両(VL)を移動させる支援を行う駐車支援制御を実行し、この駐車支援制御中に前記車両(VL)の前記目標駐車位置への到達を判定した場合に車両停止制御を実行する駐車支援制御装置において、
前記移動軌跡に沿って移動する前記車両(VL)の現在位置を求める現在位置検出手段(110)と、
前記現在位置から前記目標駐車位置へ移動するまでの前車両(VL)の変位量(θ、L)を求める変位量演算手段(115、120)と、
前記目標駐車位置に到達したと判定し得る前記車両(VL)の前記変位量を基準変位量として、前記現在位置における前記車両(VL)の前記変位量が前記基準変位量に近づくほど前記車両(VL)の速度が遅くなるように目標速度(VREF)を設定する目標速度設定手段(150、175)と、
前記車両(VL)が前記目標速度となるように制動要求を行い、前記変位量が前記基準変位量となると前記車両(VL)を停止させる制動要求手段(155、160、180)とを備えていることを特徴とする駐車支援制御装置。
【請求項2】
前記車両(VL)の車体速度(V)を求める車速検出手段(100)と、
前記変位量の初期値に相当する変位量初期値(θ0、L0)を設定すると共に、この変位量初期値(θ0、L0)に基づき、前記車両(VL)が前記移動軌跡のどの位置に達したときに前記車両停止制御を開始するかという車両停止制御開始位置を決定する制御開始条件設定手段(125)と、
前記変位量が前記変位量初期値(θ0、L0)となったときの前記車体速度(V)を車体速度初期値(V0)として設定する車体速度初期値設定手段(135)と、をさらに有しており、
前記目標速度設定手段(150、175)は、前記現在位置が前記車両停止制御開始位置に達すると、前記変位量初期値(θ0、L0)に対する前記変位量(θ、L)の比を前記車体速度初期値(V0)に掛けあわせた値を前記目標速度(VREF)として設定することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援制御装置。
【請求項3】
前記制御開始条件設定手段(125)は、前記車両停止制御開始位置として、前記移動経路中における前記変位量(θ、L)が前記変位量初期値(θ0、L0)となる位置もしくはそれよりも前の位置を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車支援制御装置。
【請求項4】
前記変位量演算手段は、前記変位量として前記現在位置から前記目標駐車位置までの距離(L)を求めることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の駐車支援制御装置。
【請求項5】
前記変位量演算手段は、前記変位量として前記現在位置における前記車両(VL)の向きと前記目標駐車位置における前記車両(VL)の向きとの為す角度として定義される車両偏向角(θ)を求めることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の駐車支援制御装置。
【請求項6】
前記現在位置演算手段(115)は、前記車両(VL)に備えられる各車輪(4FL、4FR、4RL、4RR)それぞれに対応して備えられる車輪速度センサ(5FL、5FR、5RL、5RR)の検出信号から少なくとも後輪2輪(4RL、4RR)の移動量を求めると共に、前記車両(VL)に備えられる操舵角センサ(51)の検出信号からステアリング角を求め、前記移動量および前記ステアリング角に基づいて前記移動軌跡に沿った前記車両(VL)の移動量を求めることで前記現在位置を求めることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の駐車支援制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の駐車支援制御装置を備えると共に、
前記車両(VL)に備えられる車輪(4FL、4FR、4RL、4RR)に制動力を付与する制動力付与手段(2、3)を有し、
前記制動要求手段(155、160、180)からの前記制動要求に基づいて前記制動力付与手段(2、3)を駆動させ、前記目標速度(VREF)となるような制動力を付与するように構成されていることを特徴とする駐車支援制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−30746(P2007−30746A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218767(P2005−218767)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】