説明

駐車枠検出装置及び駐車枠検出方法

【課題】この発明は、駐車枠の線の左右両端の候補となる直線を精度良く検出でき、無関係な直線を駐車枠の線の両端と誤検出することを防止でき、駐車枠を精度良く検出することを目的としている。
【解決手段】この発明は、車両後方を撮像する撮像手段と、撮像した後方画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、エッジを抽出された画像を俯瞰画像に変換する画像変換手段と、変換された俯瞰画像を左右の領域に分割する領域分割手段と、分割された左右領域からハフ変換により領域毎にそれぞれ直線を検出する直線検出手段と、検出された直線が幅を有する線の端であるか否かを判定する第1の判定手段と、幅を有する線の端であると判定された複数の直線から左右の領域毎に2本の直線の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定する第2の判定手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駐車枠検出装置及び駐車枠検出方法に係り、特に、撮像手段により撮像した車両後方の画像から画像処理技術により駐車場の駐車枠を検出する駐車枠検出装置及び駐車枠検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を後退させて駐車枠に入れるときに、撮像手段により撮像した車両後方の画像を画像処理技術により、歪みを補正した画像及び真上から見下ろしたような俯瞰画像に変換して、運転者に提示する駐車支援装置が実用化されている。駐車支援装置による歪み補正画像は、周囲の視野を確保しつつ駐車枠の線が直線として見えるため、車両が駐車枠に接近するときに運転者にとって有効な画像である。一方、駐車支援装置による俯瞰画像は、車両に近接するエリアの距離感が掴みやすいこと、駐車枠の線と車両との関係が直感的にわかりやすいことから、駐車位置に近づいたときに有効な画像である
撮像した車両後方の画像から駐車枠を検出する方法としては、画像の2値化やエッジ抽出による直線の特徴点抽出、真上から見下ろした俯瞰画像への変換、ハフ変換(Hough変換)による直線抽出、駐車枠の線の線間の幅の判定、といった処理が用いられている。(特許文献1・特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−285083号公報
【特許文献2】特開2008−213744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記撮像手段により撮像した車両後方の画像から駐車枠の線を検出する画像処理技術において、画像中に駐車枠の白色の線だけが写っている場合はよいが、実際の駐車場では様々な状況が存在する。
例えば、
・駐車枠の線の色が白以外(黄色、橙色等)
・駐車枠の線以外の線分(影、地面の汚れ、他車両のボディー等)の写り込み
・駐車枠の線がはっきり写っていない(薄い、途切れ途切れ、消えかかっている)
といった状況が存在する。
このような状況下では、前述従来手法では対応できないため、駐車枠を精度良く検出することができなかった。
【0005】
この発明は、駐車枠の線の左右両端の候補となる直線を精度良く検出でき、無関係な直線を駐車枠の線の両端と誤検出することを防ぐことができ、駐車枠を精度良く検出することができる駐車枠検出装置及び駐車枠検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両後方を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像した後方画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、前記エッジ抽出手段によりエッジを抽出された画像を俯瞰画像に変換する画像変換手段と、前記画像変換手段により変換された俯瞰画像を左右の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により分割された左右領域からハフ変換により領域毎にそれぞれ直線を検出する直線検出手段と、前記直線検出手段により検出された直線が幅を有する線の端であるか否かを判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段により幅を有する線の端であると判定された複数の直線から左右の領域毎に2本の直線の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定する第2の判定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の駐車枠検出装置は、俯瞰画像を左右の領域に分割するため、駐車枠の線の左右両端の候補となる直線を精度良く検出することができる。
また、この発明の駐車枠検出装置は、直線が幅を有する線の端であるか否かを判定するため、無関係な直線を駐車枠の線の両端と誤検出することを防ぐことができる。
さらに、この発明の駐車枠検出装置は、複数の直線から2本の直線の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定するため、無関係な直線を駐車枠の線の両端と誤検出することを防ぐことができる。
これにより、この発明の駐車枠検出装置は、駐車枠を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は駐車枠検出装置のシステム構成図である。(実施例)
【図2】図2は駐車枠検出装置の駐車枠検出のフローチャートである。(実施例)
【図3】図3は撮像手段のカメラで撮像した画像を示す図である。(実施例)
【図4】図4はエッジの俯瞰画像変換を示す図である。(実施例)
【図5】図5はハフ変換による直線検出を示す図である。(実施例)
【図6】図6は直線候補の抽出を示す図である。(実施例)
【図7】図7は輝度画像から変換した俯瞰画像を示す図である。(実施例)
【図8】図8は直線候補の輝度変化の検証を示す図である。(実施例)
【図9】図9は直線候補抽出を示す図である。(実施例)
【図10】図10は左の領域における各直線候補の輝度変化の検証を示す図である。(実施例)
【図11】図11は右の領域における各直線候補の輝度変化の検証を示す図である。(実施例)
【図12】図12は直線候補の組合せ検証のフローチャートである。(実施例)
【図13】図13は左の領域における各直線候補の組み合わせの検証を示す図である。(実施例)
【図14】図14は駐車枠の判定のフローチャートである。(実施例)
【図15】図15は駐車枠の判定を示す図である。(実施例)
【図16】図16は駐車支援装置のシステム構成図である。(実施例)
【図17】図17は撮像手段のカメラで撮像した画像示す図である。(実施例)
【図18】図18は歪み補正画像から俯瞰画像への自動切換えを示す図である。(実施例)
【図19】図19は駐車支援装置による動作フローチャートである。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜図19は、この発明の実施例を示すものである。
車両を後退させて駐車枠に入れるときに画像を表示して運転者に提示する駐車支援装置は、歪み補正画像と俯瞰画像とを切換えて表示している。歪み補正画像と俯瞰画像との切換は、運転者が自らスイッチ操作をして切換えることができるが、駐車後退時は周囲確認やハンドル操作などの運転タスクが集中するため、画像切換のスイッチ操作に煩わしさがある。
この発明の出願人は、画像切換のスイッチ操作の煩わしさを解消するために、前記歪み補正画像と俯瞰画像とを自動的に切り換える方法を採用した駐車支援装置を既に出願している。この駐車支援装置は、図17に示すように、撮像手段により撮像した車両後方の画像G1から駐車場1の駐車枠2の左右の線3・3を検出し、車両と線3・3とが平行になった場合に、線3・3の後端3a・3aを検出して、車両と線後端3a・3aとの距離がしきい値以下になったときに、画像切換を自動で行うものである。なお、符号4・4は、駐車場1の左右の輪留めである。なお、駐車枠2の線3・3の色は、通常、白であるが、白以外に黄色、橙色等のものがある。
【0011】
図16に示すように、画像を自動的に切換える駐車支援装置5は、車両後方を撮像する撮像手段のカメラ6と、画像を表示する表示手段のモニタ7と、カメラ6により撮像された車両の後方画像をモニタ7に表示させる支援制御手段8とを備えている。カメラ6は、車両の後部に取り付けた超広角のバックカメラ等の撮像機器からなる。モニタ7は、車両の車室内に配置されたカーナビゲーションシステムのモニタ等の表示機器からなる。
前記支援制御手段8は、前記カメラ6により撮像された車両後方の駐車枠2を含む画像(図17参照。)を取り込んで記録する画像記録手段9と、画像記録手段9に記録された画像G1の情報から表示画像の切換えを判定して後段の歪み補正画像変換手段11又は俯瞰画像変換手段12に出力する画像切換え判定手段10と、入力された画像G1の歪みを補正して歪み補正画像G2に変換する歪み補正画像変換手段11と、入力された画像G1を俯瞰画像G3に変換する俯瞰画像変換手段12と、歪み補正画像G2又は俯瞰画像G3を切換えて表示(図18参照。)させるように前記モニタ7に出力する画像出力手段13とを備えている。
【0012】
前記駐車支援装置5は、図19に示すように、動作プログラムが開始(101)されると、カメラ6により撮像された車両後方の画像G1を画像記録手段9に取り込んで記録し(102)、記録した画像G1から駐車枠2の線3・3の位置と角度を算出し(103)、車両と線3・3とが平行であるかを判断(104)する。
この判断(104)がNOの場合は、歪み補正画像変換手段11により画像を歪み補正画像G2に変換し(105)、モニタ7に歪み補正画像G2を出力し(106)、プログラムを終了する(107)。前記判断(104)がYESの場合は、画像切換え判定手段10により線後端3a・3aの検出、輪留め4・4の検出、車速パルスのカウントを行い(108)、画像出力手段13によりモニタ7に出力する画像を切り換えるかを判断する(109)。
この判断(109)がNOの場合は、歪み補正画像変換手段11により画像G1を歪み補正画像G2に変換し(105)、画像出力手段13によりモニタ7に歪み補正画像G2を出力し(106)、プログラムを終了する(107)。一方、この判断(109)がYESの場合は、俯瞰画像変換手段12により画像G1を俯瞰画像G3に変換し(110)、画像出力手段13によりモニタ7に出力する画像を歪み補正画像G2から俯瞰画像G3に切換えて出力し(106)、プログラムを終了する(107)。
【0013】
前記駐車支援装置5においては、駐車を支援するための情報として利用するために、図1〜図15に示すように、撮像した車両後方の画像Gから駐車枠2を駐車枠検出装置及び駐車枠検出方法により検出している。駐車支援装置5は、駐車枠検出装置及び駐車枠検出方法により検出した駐車枠2の情報を、例えば、画像切換え判定手段10における画像切換えの判断や、歪み補正画像変換手段11及び俯瞰画像変換手段12による画像変換などに利用する。
図1に示すように、車両後方の画像から駐車枠を検出する駐車枠検出装置14は、車両後方を撮像する撮像手段としてのカメラ15を備え、このカメラ15により撮像した後方画像から駐車枠2の検出を行う検出制御手段16を備えている。
検出制御手段16は、前記カメラ15により撮像された車両後方の画像G4を取り込んで記録(図3参照)する画像記録手段17と、前記画像記録手段17に記録された後方画像G4からエッジeを抽出するエッジ抽出手段18と、前記エッジ抽出手段18によりエッジeを抽出された画像を俯瞰画像G5に変換(図4参照)する画像変換手段19と、前記画像変換手段19により変換された俯瞰画像G5を左右の領域20・20に分割(図5参照)する領域分割手段21と、前記領域分割手段21により分割された左右領域20・20からハフ変換により領域20・20毎にそれぞれ直線22・22を検出(図5参照)する直線検出手段23と、前記直線検出手段23により検出された直線22・22が幅を有する線の端であるか否かを判定する第1の判定手段24と、前記第1の判定手段24により幅を有する線の端であると判定された複数の直線22・22から左右の領域20・20毎に2本の直線22・22の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定する第2の判定手段25と、を備えている。
なお、この実施例の駐車枠検出装置14は、駐車支援装置5に内蔵されているので、駐車枠検出装置14のカメラ15、画像記録手段17を、駐車支援装置5のカメラ6、画像記録手段9で代替することができる。
駐車枠検出装置14は、画像G4からエッジeを抽出して、このエッジeを抽出した画像を俯瞰画像G5に変換し、この俯瞰画像G5を左右の領域20・20に分割し、左右領域20・20からハフ変換により領域20・20毎にそれぞれ直線22・22を検出し、検出された直線22・22が幅を有する線(この実施例においては駐車枠2の線3・3)の端であるか否かを判定し、幅を有する線の端であると判定された複数の直線22・22から左右の領域20・20毎に2本の直線の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定する。
【0014】
次に、駐車枠検出装置14による駐車枠の検出を説明する。図2に示すように、駐車枠検出装置14は、駐車枠検出のプログラムが開始されると(201)、カメラ15により撮像された車両後方の画像G4を画像記録手段17に取り込んで記録(図3参照)し(202)、記録した画像G4から縦エッジeを抽出して俯瞰画像G5に変換(図4参照)する(203)。駐車枠検出装置14では、駐車動作の最終段で、車両が駐車枠2の左右の線3・3とほぼ平行になっている状態で画像を切り換えるため、画像G4から線3・3の方向に延びる縦エッジeのみ抽出すれば良い。
前記変換(203)による俯瞰画像G5上のエッジe点を投票点としてハフ変換処理(図5参照)により、左右の直線22・22の候補を検出する(204)。このとき、俯瞰画像G5を右半分と左半分との領域20・20に分割し、左右領域20・20のそれぞれでハフ変換による直線22・22の候補の検出を行う。
直線22・22の検出(204)は、図5に示すように、俯瞰画像G5の各候補点p(x,y)の座標値x,yから、
ρ=xsin(θ)+ycos(θ)
の式により、θminからθmaxまでρの値を計算して、ρ−θ空間に投票する。
俯瞰画像G5の左右の領域20・20のそれぞれで投票点数が最も高かった箇所PL1(ρL1,θL1)とPR1(ρR1,θR1)を第1の候補の直線(以下「第1直線」と記す。)22L1・22R1とし、2番目に高い箇所をPL2(ρL2,θL2)とPR2(ρR2,θR2)を第2の候補の直線(以下「第2直線」と記す。)22L2・22R2とし、3番目に高い箇所をPL3(ρL3,θL3)とPR3(ρR3,θR3)を第3の候補の直線(以下「第3直線」と記す。)22L3・22R3として抽出(図6参照)する。
左右の領域20・20における直線22・22の候補の検出(204)に続き、輝度画像を俯瞰画像G5に変換(図7参照)する(205)。カメラ15により撮像された画像G4上の各画素が俯瞰画像G5上のどの画素と対応しているかを計算して画像を変換する。このとき、予め計算結果をテーブルに格納しておき、変換時にテーブルを参照するようにしてもよい。
【0015】
変換した輝度の俯瞰画像G5から各直線候補(直線候補とは、直線である可能性が高いという意味ではなく、直線であり、線3・3の幅方向両端のエッジeの候補という意味である。)の輝度変化を検証(図8参照)する(206)。第1の判定である検証(206)では、図8に示すように、直線候補である第1〜第3直線22L1〜22L3・22R1〜22R3の、それぞれ左右両側の近傍エリアA・Aの輝度平均L・Rを求める。
求めた輝度平均L・Rの差の絶対値が閾値(th)未満(|輝度平均L−輝度平均R|<th)ならばNGとして直線候補とせず、輝度平均L・Rの差の絶対値が閾値(th)以上(|輝度平均L一輝度平均R|≧th)ならばOKとして直線候補とする。さらに、輝度平均L・Rの大小関係から、輝度平均Lが輝度平均R未満(輝度平均L<輝度平均R)ならば左エッジとし、輝度平均Lが輝度平均R以上(輝度平均L≧輝度平均R)ならば右エッジとし、駐車枠2の幅を有する線3・3の左エッジか右エッジかを判定する。
前記第1の判定である輝度変化の検証(206)について、図9〜図11によりさらに詳述する。図9に示すように、俯瞰画像G5を右半分と左半分とに分割した左右領域20・20において、それぞれ直線候補として第1〜第3直線22L1〜22L3・第1〜第3直線22R1〜22R3が抽出された場合について説明する。
図10(C)に示すように、左領域20の第3直線22L3は、輝度平均L・Rの差の絶対値が閾値(th)未満なので、直線候補から除外する。図10(A)、(B)に示すように、左領域20の第1直線22L1、第2直線22L2は、輝度平均L・Rの差の絶対値が閾値(th)以上なので、直線候補とする。このとき、輝度平均L・Rの差の絶対値の大小関係から、第1直線22L1は左エッジ(黒−白)、第2直線22L2は右エッジ(白−黒)とする。
図11(A)〜(C)に示すように、右領域20の第1直線22R1〜第3直線22R3は、いずれも輝度平均L・Rの差の絶対値が閾値(th)以上なので、直線候補とする。このとき、輝度平均L・Rの差の絶対値の大小関係から、第1直線候補22R1は右エッジ(白−黒)、第2直線22R2は左エッジ(黒−白)、第3直線22R3は左エッジ(黒−白)とする。
【0016】
図2に示すように、各直線候補の輝度変化の検証(206)に続き、左領域20の第1〜第3直線22L1〜22L3の組合せ(22L1−22L2、22L1−22L3、22L2−22L3)の妥当性、右領域20の第1〜第3直線22R1〜22R3の組合せ(22R1−22R2、22R1−22R3、22R2−22R3)の妥当性を検証し、各組合せがOKかNGか判定する(207)。さらに、各組合せの検証結果から、直線候補の組合せを決定する(208)。
前記第2の判定である組合せの検証(207)においては、図12に示すように、検証のプログラムが開始されると(301)、2本の直線候補の原点からの距離ρが小さい方を左エッジ、2本の直線候補の原点からの距離ρが大きい方を右エッジとし(302)、ρの左右関係と輝度平均L・Rの左右関係が一致するかを判断する(303)。この判断(303)がYESの場合は、距離ρの差の絶対値が一定範囲内かを判断する(304)。この判断がYESの場合は、2本の直線候補の角度θの差の絶対値が一定値以下かを判断する(305)。この判断(305)がYESの場合は、組合せOKとし(306)、プログラムを終了する(307)。
一方、前記判断(303)、(304)、(305)がNOの場合は、組合せNGとし(308)、プログラムを終了する(307)。
この組合せの検証(207)において、例えば、左領域20の場合は、第1直線22L1−第2直線22L2の組合せの判定がOKならば、第1直線22L1−第2直線22L2を直線候補とする。第1直線22L1−第2直線22L2の判定がNGならば、第1直線22L1−第3直線22L3の組合せを判定する。第1直線22L1−第3直線22L3の判定がOKならば、第1直線22L1−第3直線22L3を直線候補とする。第1直線22L1−第3直線22L3の判定がNGならば、第2直線22L2−第3直線22L3の組合せを判定する。第2直線22L2−第3直線22L3の判定がOKならば、第2直線22L2−第3直線22L3を直線候補とする。第2直線22L2−第3直線22L3の判定がNGならば、直線候補なしとする。また、右領域20の場合も、同様に第1〜第3直線22R1〜22R3の組合せを判定し、直線候補の有無を決定する。
【0017】
図9の左領域20においては、第1直線22L1、第2直線22L2が残ったため、第1直線22L1−第2直線22L2の組合わせを検証し、図11の右領域20においては、第1直線22R1〜第3直線22R3が残ったため、第1直線22R1−第2直線22R2、第1直線22R1−第3直線22R3、第2直線22R2−第3直線22R3の各組合せの妥当性を検証する。
【0018】
・ρの左右関係と輝度平均L・Rの左右関係が一致するか?
ρは、原点から直線までの距離(図5参照)を表す。原点は左端にあるため、ρの値が小さい(距離が短い)ほうが左、ρの値が大きい(距離が長い)ほうが右になる。図13に示すように、左領域20においては、原点に近い左側の第1直線22L1のρ1の値よりも、原点から遠い右側の第2直線22L2のρ2の値の方が大きい。
図10に示す左領域20において、第1直線22L1、第2直線22L2の関係は、輝度差の方向(第1直線22L1が左、第2直線22L2が右)とρの左右関係(第1直線22L1が左、第2直線22L2が右)が一致する。
図11に示す右領域20において、第1直線22R1、第2直線22R2の関係は、輝度差の方向(第1直線22R1が右、第2直線22R2が左)とρの左右関係(第1直線22R1が左、第2直線22R2が右)が一致しない。第1直線22R1、第3直線22R3の関係は、輝度差の方向(第1直線22R1が右、第3直線22R3が左)とρの左右関係(第1直線22R1が右、第3直線22R3が左)が一致する。第2直線22R2、第3直線22R3の関係は、輝度差の方向(第2直線22R2が左、第3直線22R3が左)が同じであるためNGとする。
【0019】
・ρの差の絶対値が一定範囲内か?
ρの差の絶対値は、直線間の距離(図5参照)であるため、駐車枠2の線3・3の線幅(線の太さ)を表す。距離が一定範囲内になっているか確認する。あらかじめ検出すべき駐車枠2の線3・3の線幅について最小値と最大値を決めておき、
最小値<ρの差の絶対値<最大値 → OK
とする。
【0020】
・θの差の絶対値が一定値以下か?
θの差の絶対値は、直線間の角度差(図5参照)を表す。角度差が一定値以下(平行)になっているか確認する。駐車伜2の線3・3の線幅(線の太さ)は一定であるため、平行でない場合は線3・3ではないものとする。
【0021】
図2に示すように、直線候補の組合せの決定(208)の後、駐車枠2の有無の判定を行う(209)。駐車枠2の判定においては、図14に示すように、判定のプログラムが開始されると(401)、左右の領域20・20とも駐車伜2の線3・3を示す直線候補(図15において、左領域20の第1直線22L1−第2直線22L2・右領域20の第1直線22R1−第3直線22R3)が存在するかを判断する(402)。
この判断(401)がYESの場合は、線3と線3との原点からの距離ρの差(図15においては、第2直線22L2、第3直線22R3間の距離)が一定範囲内かを判断する(403)。この判断(403)がYESの場合は、線3と線3との原点に対する角度θの差(図5参照)が一定範値以下かを判断する(404)。この判断(404)がYESの場合は、駐車枠2が存在するとし(405)、プログラムを終了する(406)。
一方、前記判断(402)、(403)、(404)がNOの場合は、駐車枠2が存在しないとし(407)、プログラムを終了する(406)。
【0022】
この駐車枠2の有無の判定(209)においては、左右の領域20・20のそれぞれにおいて、直線22の組合せ(22L1−22L2、22L1−22L3、22L2−22L3)及び直線22の組合せ(22R1−22R2、22R1−22R3、22R2−22R3)のうち、OKの組み合わせが存在した場合、駐車枠2かどうかの判定を行うものである。
左領域20の第1〜第3直線22L1〜22L3の組合わせのうち右側の線(図15においては第2直線22L2)を、右領域20の第1〜第3直線22R1〜22R3の組合わせのうち左側の線(図15においては第3直線22R3)を選択する。
左領域20の第2直線22L2と右領域20の第3直線22R3との原点からの距離ρの差が一定範囲内かを確認する。あらかじめ検出すべき駐車枠2の線3・3の幅について最小値と最大値を決めておき、
最小値<ρの差<最大値 → OK
とする。
さらに、左領域20の第2直線22L2と右領域20の第3直線22R3との原点に対する角度θの差が一定値以下(平行)であるか確認する。角度θの差が一定値以下ならば、駐車枠2の左右の線3・3は平行であるものとする。
【0023】
図2に示すように、駐車枠2の有無の判定(209)の後は、プログラムを終了する(210)。この駐車枠検出装置14による駐車枠2の判定結果の情報は、前記駐車支援装置5において、画像切換えの判断などに利用される。
【0024】
このように、駐車枠検出装置14は、カメラ15と、画像記録手段17と、エッジ抽出手段18と、画像変換手段19と、領域分割手段21と、直線検出手段23と、第1の判定手段24と、第2の判定手段25とを備え、画像G4からエッジeを抽出して、このエッジeを抽出した画像を俯瞰画像G5に変換し、この俯瞰画像G5を左右の領域20・20に分割し、左右領域20・20からハフ変換により領域20・20毎にそれぞれ直線22・22を検出し、検出された直線22・22が幅を有する線の端であるか否かを判定し、幅を有する線の端であると判定された複数の直線22・22から左右の領域20・20毎に2本の直線の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定する。
この駐車枠検出装置14は、俯瞰画像G5を左右の領域20・20に分割するため、駐車枠2の線3・3の左右両端の候補となる直線を精度良く検出することができる。また、この駐車枠検出装置14は、右領域20の直線22及び左領域20の直線22が幅を有する線の端であるか否かを判定するため、無関係な直線22・22を駐車枠2の線3・3の両端と誤検出することを防ぐことができる。さらに、この駐車枠検出装置14は、複数の直線22L1〜22L3から2本の直線の組合せをつくり、また複数の直線22R1〜22R3から2本の直線の組合せをつくり、この組合せが駐車枠2の幅を有する線3・3の両端であるか否かを判定するため、無関係な直線を駐車枠2の線3・3の両端と誤検出することを防ぐことができる。
これにより、この駐車枠検出装置14は、駐車枠2を精度良く検出することができる。
【0025】
また、駐車枠検出装置14は、以下のような効果を奏することができる。
前記第1の判定手段24は、ハフ変換により検出された各直線22及び各直線22の両側近傍に一定幅のエリアA・Aを設定し、各エリアA・A内の画素の輝度平均を算出し、各直線22及び各直線22において両側のエリアA・Aの輝度平均の差を算出し、この差の絶対値が予め定められた値未満の時には、この直線22及び直線22を以降の判定の対象としない。
これにより、駐車枠検出装置14は、駐車枠2の幅を有する線3・3の両端のどちらにも当てはまらない直線を除くことにより、無関係な直線を駐車枠2の1本の線3あるいは線3の左右両端と誤検出することを防ぐことができる。
【0026】
前記第2の判定手段25は、各直線22及び各直線22において両側のエリアA・Aの輝度平均の大小関係から、直線22及び直線22が幅を有する線のどちら側の端に該当するかを検出し、任意に選択された2本の直線22及び2本の直線22が幅を有する線の同じ側の端である場合には、この2本の直線22及び2本の直線22の組合せを以降の判定の対象としない。
これにより、駐車枠検出装置14は、幅を有する線3・3の両端に該当しない2本の直線の組合せを除くことにより、無関係な直線を駐車枠2の1本の線3あるいは線3の左右両端と誤検出することを防ぐことができる。
【0027】
また、前記第2の判定手段25は、輝度平均の大小関係から検出された2本の直線22の位置関係及び2本の直線22の位置関係が、直線が幅を有する線の両側の端に該当した場合でも、直線が幅を有する線の両側の端としてありえない位置関係にある場合には、この2本の直線22の組合せ及び2本の直線22の組合せを以降の判定の対象としない。
これにより、駐車枠検出装置14は、ありえない位置関係にある2本の直線22の組合せ及び2本の直線22の組合せを除くことにより、無関係な直線を駐車枠2の1本の線3あるいは線3の左右両端と誤検出することを防ぐことができる。
【0028】
さらに、前記第2の判定手段25は、2本の直線22間の距離及び2本の直線22間の距離が予め設定された範囲内にない場合には、この2本の直線22の組合せ及び2本の直線22の組合せを以降の判定の対象としない。
これにより、駐車枠検出装置14は、駐車枠2の線3・3の幅としてありえない2本の直線の組合せを除くことにより、無関係な直線を駐車枠2の1本の線3あるいは線3の左右両端と誤検出することを防ぐことができる。
【0029】
さらにまた、前記第2の判定手段25は、2本の直線22間の角度差及び2本の直線22間の角度差が予め設定された範囲内にない場合には、この2本の直線22の組合せ及び2本の直線22の組合せを以降の判定の対象としない。
これにより、駐車枠検出装置14は、線幅が変化している2本の直線22の組合せあるいは直線22の組合せを除くことにより、無関係な直線を駐車枠2の1本の線3あるいは線3の左右両端と誤検出することを防ぐことができる。
【0030】
また、前記エッジ抽出手段18は、カメラ15の画像G4から縦エッジeを抽出する。
これにより、駐車枠検出装置14は、駐車枠2の左右の線3・3に対して車両が平行である時に駐車枠2を検出する場合、エッジ抽出の計算量を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、駐車枠の線の左右両端の候補となる直線を精度良く検出でき、無関係な直線を駐車枠の線の両端と誤検出することを防ぐことができ、駐車枠を精度良く検出することができるものであり、駐車枠にかぎらず、線状の図形の検出に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 駐車場
2 駐車枠
左の線
右の線
5 駐車支援装置
14 駐車枠検出装置
15 カメラ
16 検出制御手段
17 画像記録手段
18 エッジ抽出手段
19 画像変換手段
20 左の領域
20 右の領域
21 領域分割手段
22 左の直線
22 右の直線
23 直線検出手段
24 第1の判定手段
25 第2の判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像した後方画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段と、
前記エッジ抽出手段によりエッジを抽出された画像を俯瞰画像に変換する画像変換手段と、
前記画像変換手段により変換された俯瞰画像を左右の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により分割された左右領域からハフ変換により領域毎にそれぞれ直線を検出する直線検出手段と、
前記直線検出手段により検出された直線が幅を有する線の端であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により幅を有する線の端であると判定された複数の直線から左右の領域毎に2本の直線の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定する第2の判定手段とを備えることを特徴とする駐車枠検出装置。
【請求項2】
前記第1の判定手段は、ハフ変換により検出された各直線の両側近傍に一定幅のエリアを設定し、各エリア内の画素の輝度平均を算出し、各直線において両側のエリアの輝度平均の差を算出し、この差の絶対値が予め定められた値未満の時には、この直線を以降の判定の対象としないことを特徴とする請求項1に記載の駐車枠検出装置。
【請求項3】
前記第2の判定手段は、各直線において両側のエリアの輝度平均の大小関係から、直線が幅を有する線のどちら側の端に該当するかを検出し、任意に選択された2本の直線が幅を有する線の同じ側の端である場合には、この2本の直線の組合せを以降の判定の対象としないことを特徴とする請求項2に記載の駐車枠検出装置。
【請求項4】
前記第2の判定手段は、輝度平均の大小関係から検出された2本の直線の位置関係が、直線が幅を有する線の両側の端に該当した場合でも、直線が幅を有する線の両側の端としてありえない位置関係にある場合には、この2本の直線の組合せを以降の判定の対象としないことを特徴とする請求項3に記載の駐車枠検出装置。
【請求項5】
前記第2の判定手段は、2本の直線間の距離が予め設定された範囲内にない場合には、この2本の直線の組合せを以降の判定の対象としないことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の駐車枠検出装置。
【請求項6】
前記第2の判定手段は、2本の直線間の角度差が予め設定された範囲内にない場合には、この2本の直線の組合せを以降の判定の対象としないことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に駐車枠検出装置。
【請求項7】
前記エッジ抽出手段は、画像から縦エッジを抽出することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に駐車枠検出装置。
【請求項8】
画像からエッジを抽出して、このエッジを抽出した画像を俯瞰画像に変換し、
この俯瞰画像を左右の領域に分割し、
左右領域からハフ変換により領域毎にそれぞれ直線を検出し、
検出された直線が幅を有する線の端であるか否かを判定し、
幅を有する線の端であると判定された複数の直線から左右の領域毎に2本の直線の組合せをつくり、この組合せが幅を有する線の両端であるか否かを判定することを特徴とする駐車枠検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−80497(P2012−80497A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226638(P2010−226638)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】