説明

骨格を備えた創傷洗浄装置

創傷を洗浄して治療又は予防を施すための装置が提供され、この装置においては、適合可能な創傷被覆材に接続されているリザーバからの生理的に活性な物質を含む灌注流体と、被覆材からの創傷滲出物とが、被覆材及び流体洗浄用手段を通って被覆材へと戻る流路の全体にわたって流体を移動させるためのデバイスによって、再循環される。生物分解性の骨格が、創傷床の上の被覆材の下に存在して、組織の成長を促進する。洗浄手段(これは、単相の、たとえばミクロフィルトレーションシステムである可能性もあり、或いは二相の、たとえば透析システムである可能性もある)が、創傷の治癒にとって有害な物質を除去し、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体が、創傷床へ戻される。被覆材、被覆材及び骨格を含むアセンブリ、及びこの装置を使用する処置の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置及び医療用創傷被覆材、並びに創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するためのそのような装置を使用して創傷を処置する方法に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、さまざまな創傷、特に慢性の創傷に容易に適用して、創傷の治癒にとって有害な物質をそれらの創傷から洗浄する一方で、何らかの治療面で、とりわけ創傷の治癒にとって有益な物質を保持することができる装置、創傷被覆材、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明以前に、吸引及び/又は灌注装置が知られており、創傷の治療中に創傷からの滲出物を除去するために使用される傾向があった。このような創傷治療の既知の形態においては、創傷からの除去物は、とりわけ滲出度合いの高い状態にある場合には、廃棄へ、たとえば回収バッグへ排泄される。
【0004】
創傷の治癒にとって有害な物質は、このようにして除去される。
【0005】
しかし、このような治療が施される際には、成長因子、細胞基質の成分、及び創傷からの滲出物のその他の生理的に活性な成分など、創傷の治癒を促進する上で有益な物質が、それらの物質が潜在的に最も有益となる可能性のある部位、すなわち創傷床にとっては、失われる。
【0006】
このような既知の形態の創傷被覆材、並びに、吸引及び/又は灌注治療システムによってしばしば被覆材の下に形成される創傷環境によって、ひいては身体自体の組織治癒プロセスの最適な実行が損なわれ、治癒が遅れる結果となり、且つ/或いは、新しい組織の成長が弱くなり、創傷床に十分に固着して創傷床から成長する強固な立体構造を有さない結果となる可能性がある。これは、とりわけ慢性の創傷においては著しく不利な点である。
【0007】
したがって、創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去し、その一方で創傷床と接触した状態で創傷の治癒を促進する上で有益な物質を保持することができる治療システムを提供できれば、望ましいであろう。
【0008】
透析は、血液などの体液を生体外で処置して、身体にとって有害な物質を全身的にそれらの体液から洗浄する既知の方法である。血液透析液との接触によってそのような物質を除去し、その一方でまた血液、細胞、タンパク質などの物質を保持することが、透析の主な目的である。さらなる好ましい治療効果を有する可能性があり、また透析膜に対する透過性を有するその他の物質は、それらの透析膜を通じてシステムへと失われる可能性がある。再循環における体液内のそうした物質のバランスは、このようにしてさらに失われる可能性がある。
【0009】
創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去しつつ、創傷床と接触した状態で創傷の治癒を促進する上で有益な物質を実質的に薄めることなく、また同時にそのような物質を創傷に対して継続的に供給して再循環させることができる治療システムを提供できれば、望ましいであろう。
【0010】
体液を処置するための透析は、処置された流体が身体内へ戻されるため、全身療法でもある。
【0011】
これは、処置された流体が身体の外部で、たとえば創傷へ再循環される局所療法とは対照的である。
【0012】
透析はまた、血液などの体液も血液透析液も大量に必要とし、したがって関連するデバイスは、ポータブルではない傾向がある。
【0013】
滲出度合いの高い状態にある場合でさえ、慢性の創傷が生成する処置対象の流体は、内部の身体システムと比べて相対的に少なく、創傷及び/又はその環境内に保持されるべき何らかの治療面で有益な物質も相対的に少ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、
a)既知の吸引及び/又は灌注治療システムに関する上述の不利な点のうちの少なくともいくつかを取り除くこと、及び
b)創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去し、その一方で創傷床と接触した状態で創傷の治癒を促進する上で有益な物質を保持することができる治療システムを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、
a)既知の透析システムに関する上述の不利な点のうちの少なくともいくつかを取り除くこと、及び
b)創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去し、その一方で創傷床と接触した状態で創傷の治癒を促進する上で有益な物質を保持することができ、且つ
c)身体に全身的に影響を及ぼすことのない治療システムを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、
a)既知の透析システムに関する上述の不利な点のうちの少なくともいくつかを取り除くこと、及び
b)創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去し、その一方で創傷床と接触した状態で創傷の治癒を促進する上で有益な物質を保持することができ、且つ
c)ポータブルな治療システムを提供することである。
【0017】
創傷の下及びまわりに存在する組織への血管による供給と、そうした組織内での循環は、妥協される場合が多い。本発明のさらなる目的は、この影響をなくす上で有益な治療効果のある分量の物質を保持及び供給し、その一方で有害な物質を除去し、それによって創傷の治癒を促進する治療システムを提供することである。
【0018】
創傷治癒のための別の既知の装置は、創傷の全体を覆って設置されるように構成されているオープンセルフォーム(open-cell foam)のセクションと、吸引ポンプへ連結するためにフォームセクション(foam section)内に挿入されている柔軟性チューブと、フォームセクション及びチュービング(tubing)の上を覆って創傷のまわりの皮膚に接着するように構成されている柔軟性ポリマーシートとを含む。この方法では組織の成長を活性化して促進する見込みがあると主張されている。
【0019】
とりわけ慢性の創傷において著しく不利な点は、使用中に肉芽組織が、創傷フィルム被覆材と創傷床の間に存在するスポンジに吸い込まれることである。
【0020】
この成長中の肉芽組織は、被覆材を交換する際に通常は外傷を伴って及び/又は鋭い創面切除によって必ず除去しなければならず、或いは非透過性の創傷接触層を使用することによって最小限に抑えなければならない。
【0021】
したがって、このような既知の治療システムの不利な点を取り除くことができる治療システムを提供できれば、望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
したがって本発明の第1の態様によれば、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置が提供され、これは、
a)流体流路であって、
i)創傷の全体に亘って相対的な流体密封又は流体密閉を形成できるバッキング層と、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体供給チューブへ接続するための少なくとも1つの流入パイプと、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体除去チューブへ接続するための少なくとも1つの流出パイプと、を有し、
前記流入パイプ又はそれぞれの流入パイプ並びに前記流出パイプ又はそれぞれの流出パイプが前記創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントが、前記創傷の全体に亘って相対的な流体密封又は流体密閉を形成し、
少なくとも1つの流入パイプが流体再循環チューブへ接続され、少なくとも1つの流出パイプが流体除去チューブへ接続されている、適合可能な創傷被覆材と、
ii)流体除去チューブに接続されている少なくとも1つの流入ポートと、流体再循環チューブに接続されている少なくとも1つの流出ポートとを有する1つの流体洗浄用手段と、
iii)前記バッキング層の下に配置されて、使用中には創傷床と接触した状態で設置されるように構成されている1つの生物分解性の骨格と、
を含んでなる1つの流体流路と、
b)前記流体供給チューブによって(任意選択で或いは必須として、供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段を介して)前記流路の完全体(integer)へ接続されている1つの流体リザーバと、
c)前記創傷被覆材及び前記流体洗浄用手段、並びに、任意選択で或いは必須として前記流体供給チューブを通じて流体を移動させるための1つのデバイスと、
d)前記流路から排流するための手段と、
を含んでなり、これによって、前記流体リザーバから前記流体供給チューブを介して(任意選択で或いは必須として前記流れを切り替えるための手段を介して)前記流路を満たすように流体を供給し得、且つ、前記デバイスによって前記流路全体にわたって再循環させ得ることを特徴とする。
【0023】
1つのチューブ、たとえば流体供給チューブ、流体再循環チューブ、或いは流体除去チューブ(の接合端部)に接続されているもの又は接続するためのものとしての装置のオペレーションとの関連から何らかのパイプについて説明している場合、そのパイプとそのチューブは、創傷からの循環流体が通る流路内の単一の完全体を形成することができる。
【0024】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明のこの第1の態様の装置に関するすべての実施形態では、とりわけ慢性の創傷において著しく有利な点は、使用中に肉芽組織が、創傷フィルム被覆材と創傷床の間に存在する骨格上へ及び/又はその内部へと成長するよう促されることである。
【0025】
この効果は、創傷細胞が増殖するのを補助する栄養素と、創傷の治癒に有益に関与している、及び/又は創傷治癒プロセスにとって好ましいその他の分子とを含む、流体リザーバからの灌注物を創傷床の全体にわたって循環させることによって、さらに高めることができる。
【0026】
さらなる特に有利な点は、骨格が創傷フィルム被覆材と創傷床の間に残されて生物分解されるため、被覆材を交換する際にこの成長中の肉芽組織を除去する必要がないことである。これによって、外傷及び創面切除に対するいかなる必要性も最小限に抑えられる。
【0027】
さらに特有の利点は、骨格によって創傷領域内の組織の過成長が防止されることである。
【0028】
この装置の特に有利な点は、床ずれを伴う使用時にある。このデバイスは創傷の底に設置することができ、患者はこのデバイスを下にして横たわることができ、且つこのデバイスの効用に悪影響を及ぼすことも、創傷をさらに傷つけることもない。これは、その他の医療上の理由から患者がその姿勢から動けない場合に決定的に重要となる。
【0029】
骨格は、実質的に創傷の全面にわたって設置され、そのサイズ及び構成は、個々の創傷に合うように調整することができる。骨格は、さまざまな開口質の半剛性の材料から形成することができる。
【0030】
本明細書では「開口質の」という用語によって、多孔質の、アパーチャ(aperture)を有する、有穴質の、オープンメッシュ(open-mesh)の、スリットを有する、切り込みの入った、及び/又は切れ目のある材料を意味する。
【0031】
この材料は、組織の修復及び創傷の治癒のプロセスに関与する細胞があらゆる方法で侵入できるように、及び/又は血管が内側へ成長できるように十分に開口質でなければならず、また創傷の過成長及び吸引下での崩壊を防止するために十分に剛性でなければならない。
【0032】
生物分解性の骨格用の適切なバイオマテリアルは、ポリ(グリコール酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、及びそれらのエステルなどの、ポリ(ヒドロキシ酸)及びそのエステル、並びに、それらのコポリマー及び混合物を含む。
【0033】
適切なバイオマテリアルはまた、ポリ(テレフタル酸)、ポリ(アジピン酸)、並びに、それらのコポリマー及び混合物などのポリ(無水酸)を含む。
【0034】
さらに、分解コンフォメーション又は未変性コンフォメーションにおける、たとえばコラーゲン、フィブロネクチン、もしくはフィブリンなどの実質的にタンパク質ベースのポリマーをそのままの分子として、或いはタンパク質分解処理や化学処理を経た分子として、組み換えDNA技術を通じて生成される、たとえばコラーゲン、フィブロネクチン、もしくはフィブリン、又はそれらの断片などの、核酸組み換え技術によって生成される変性タンパク質ベースのポリマー、或いはそれらの混合物など、生物学的に由来する生物分解性の高分子材料を使用することができる。
【0035】
さらに許容可能な骨格は、タンパク質ベースの骨格と、グリコソアミノグリカン、キトサン、セルロース、アルギン酸分子などの炭水化物ベースのポリマーとの組合せであろう。
【0036】
適切な材料はまた、皮膚、消化管、結合組織などの創傷内に設置できるようにする手段において加工された人間又は動物由来の組織を含む。
【0037】
骨格は、さまざまな開口質の半剛性の形態で形成することができる。
【0038】
これらの形態は、基本的にシート、層、フィルム、柔軟性パネル、メッシュ、ネット、ウェブ、格子などの平面の形態とすることができる。これらは、乾燥した、水和した、或いはゲルベースのフォーミュレーションとして創傷内に設置することができる。
【0039】
開口質又は有穴質の骨格の一実施形態は、創傷の形状に合わせて切り取られたハニカム状のポリマーシートのセクションを含む。
【0040】
骨格は、シート、層、フィルム、柔軟性パネル、メッシュ、ネット、ウェブ、格子など、基本的に平面の開口質且つ半剛性の形態にある場合、創傷内へ挿入する際に創傷床に十分に適合できる構成で設計することができる。
【0041】
そしてこの形状への適合性は、創傷被覆材に関連して後述するように、より深い創傷上で創傷被覆材が使用される場合の、特に創傷被覆材を骨格及び創傷床の方向へ促すために創傷フィラー(filler)が使用される場合の実施形態において、特に有利な点である。
【0042】
たとえばこのような骨格は、図18bに示されている流入マニフォールドに関連して後述するように、複数のマルタ十字架又は定型化されたバラによく似た深くギザギザの入った円板の形態とすることができる。この形態は、創傷内へ、特により深い創傷内へ挿入する際に、創傷床に接近して場合によっては重なるアームによって、創傷床に十分に適合することができる。
【0043】
骨格の形態は、折り曲げられ、しわを付けられ、ひだを付けられ、押し込みを付けられ、縮れを付けられ、しわくちゃにされ、くしゃくしゃにされ、或いはねじられて立体の形態にされたシート、層、フィルム、柔軟性パネル、メッシュ、ネット、ウェブ、格子などの立体の形態とすることもできる。
【0044】
或いはこれらの形態は、多層構造のフィルム、柔軟性パネル、メッシュ、ネット、ウェブ、格子、又は立体のメッシュ、ネット、ウェブ、格子、及び好ましくはフォームなど、もともと立体の形態とすることができる。これらは、乾燥した、水和した、或いはゲルベースのフォーミュレーションとして創傷内に設置することができる。
【0045】
開口質又は有穴質の骨格の一実施形態は、生物分解性のポリマーメッシュのセクションを含み、これによって、創傷床の方向へ流体を供給し、骨格の孔を通じて組織液を排出し、細胞が内側へ成長して、吸引力の影響下で最終的に新しい組織が骨格に取って代わることができる。
【0046】
この装置の好ましい実施形態は、編まれた平面又は立体のメッシュ、とりわけ立体のメッシュのセクションを含む。この装置の好ましい実施形態は、生物分解性の骨格として立体のメッシュ、スポンジ、或いはフェルトのセクションを含んでなる。
【0047】
このような骨格は、さまざまな厚さ及び剛性を有することができるが、デバイスの作動中に患者がこのデバイスを下にして横たわらなければならない場合には、患者の快適性のために軟らかい材料を使用することが好ましい。
【0048】
生物分解性の骨格がメッシュを含んでなる場合、そのメッシュは、織られていないもの、織られたもの又は編まれたもの、好ましくは編まれたもの、また好ましくは立体のものとすることができる。
【0049】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明のこの第1の態様の装置に関するすべての実施形態では、特に有利な点は、創傷被覆材が、適用される身体の部位の形状に適合する傾向があることである。
【0050】
この創傷被覆材は、創傷の全体を覆って相対的な流体密封又は流体密閉を形成できる創傷対向面を有する1つのバッキング層と、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体供給チューブ又は再循環チューブへ接続するための少なくとも1つの流入パイプと、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体除去チューブへ接続するための少なくとも1つの流出パイプと、を含んでなり、
その流入パイプ又はそれぞれの流入パイプ並びにその流出パイプ又はそれぞれの流出パイプが創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントが、相対的な流体密封又は流体密閉を形成する。
【0051】
本明細書で使用されている「相対的な流体密封又は流体密閉」という用語は、流体及び微生物が透過できず、最大で50%atm.まで、さらに通常では最大で15%atm.までの正圧又は負圧を創傷に加えることができる状態を示す。本明細書で使用されている「流体」という用語は、濃厚な滲出物などのゲル、水などの液体、及び空気や窒素などの気体を含む。
【0052】
適用されるバッキング層の形状は、創傷の領域全体にわたって創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するのに適した任意の形状とすることができる。
【0053】
そのような形状の例としては、流体を含むことができ、たとえばポリマーフィルムの、バッキング層の実質的に平らなフィルム、シート、又は膜、或いはバッグ、チェンバ、ポーチ、又はその他の構造が含まれる。
【0054】
バッキング層は、最大で100ミクロン、好ましくは最大で50ミクロン、さらに好ましくは最大で25ミクロンの(一般的には均一の)厚さ、及び最小では10ミクロンの厚さをしばしば有するフィルム、シート、又は膜とすることができる。
【0055】
その最大の対角線寸法は、(たとえば胴体の大規模な創傷用としては)最大で500mm、(たとえば腋窩及び鼠蹊部の創傷用としては)最大で100mm、四肢の創傷用としては(たとえば静脈性下腿潰瘍及び糖尿病性足部潰瘍などの慢性の創傷用としては)最大で200mmとすることができる。
【0056】
被覆材は、弾性的に変形可能であることが望ましい。これは、結果として患者の快適性を高め、創傷の炎症のリスクを少なくすることができるためである。
【0057】
そのための適切な材料としては、たとえば酢酸ビニル及びポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物と共にポリエチレン、たとえば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマーなどのポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリカーボネートなどのポリエステル、ポリアミド、たとえば6−6及び6−10、並びに疎水性ポリウレタンなど、水性の流体を吸収しない合成高分子材料が含まれる。
【0058】
これらは親水性とすることもでき、したがって親水性ポリウレタンも含まれる。
【0059】
これらには、熱可塑性エラストマー及びエラストマー混合物、たとえば任意選択で或いは必須として高衝撃ポリスチレンと混合される酢酸エチルビニルなどのコポリマーも含まれる。
【0060】
これらは、エラストマーポリウレタン、とりわけソリューションキャスティング法によって形成されたポリウレタンをさらに含む。
【0061】
この創傷被覆材用の好ましい材料は、熱可塑性エラストマー及び回復可能なシステムを含む。
【0062】
バッキング層は、創傷の全体を覆って、並びに/或いは(1つ又は複数の)流入パイプ及び流出パイプを囲んで、相対的な流体密封又は流体密閉を形成することができる。
【0063】
しかし、とりわけ創傷被覆材の外周のまわり、すなわち相対的な流体密封の外側では、創傷のまわりの皮膚の浸軟を防止するために、水蒸気透過性の高い材料が好ましい。これは、液体、たとえば水、血液、或いは創傷からの滲出物と接触している際には水蒸気透過性が高まる切り替え可能な材料とすることもできる。これは、たとえば Smith & Nephew の Allevyn(商標)、IV3000(商標)、及び OpSite(商標)の各被覆材で使用されている材料とすることができる。
【0064】
バッキング層の創傷対向面の外周部分は、たとえば創傷のまわりの皮膚に付着させるための接着フィルムを有することができる。
【0065】
これは、たとえば創傷被覆材の創傷対向面の外周を囲んで創傷被覆材を流体密封状態で適切な位置に保持する上で十分である場合、粘着剤とすることができる。
【0066】
代替として、又は追加として、適切な場合には、被覆材を適切な位置に固定して漏れを防止するために、光切り替え可能接着剤を使用することができる(光切り替え可能接着剤とは、フォトキュアリングによってその接着が弱まる接着剤である。その使用は、被覆材を除去する際の外傷を少なくする上で有益となることがある)。したがってバッキング層は、透明又は半透明の材料(これについては、上で列挙されている材料が、適切な材料の例であることが理解できるであろう)でできた、バッキング層の近位面のまわりに広がるフランジ又はへりを有することができる。
【0067】
これは、被覆材を適切な位置に固定して漏れを防止するための光切り替え可能接着剤のフィルムをその近位面上に、また不透明な材料の層をその遠位面上に有する。
【0068】
被覆材を除去し、且つその被覆材を除去する際に必要以上の外傷を生じさせないために、近位の創傷のまわりに広がるフランジ又はへりの遠位面上の不透明な材料の層は、適切な波長の放射線をフランジ又はへりに当てる前に除去される。
【0069】
創傷のまわりの皮膚に付着させるための接着フィルムを有する創傷被覆材の外周部分、すなわち相対的な流体密封の外側が、水蒸気透過性の高い材料又は切り替え可能な材料でできている場合、その接着フィルムも、そこから連続している場合には、高い又は切り替え可能な水蒸気透過性を有するべきであり、たとえば Smith & Nephew の Allevyn(商標)、IV3000(商標)、及び OpSite(商標)の各被覆材で使用されているような接着剤とすべきである。
【0070】
創傷被覆材の創傷対向面の外周を囲んで創傷被覆材を流体密封状態で適切な位置に保持するために真空状態が適用される場合、創傷被覆材には、創傷を囲んだ状態で被覆材を密封するためのシリコン製のフランジ又はへりを提供することができる。これによって、接着剤が不要となり、それに関連して患者の皮膚に外傷が生じる必要もなくなる。
【0071】
灌注物及び/又は創傷の滲出物の内部、並びにその流れが至る、及び通る場所では、被覆材はいくらかの大きな正圧下にあり、この正圧が周辺のポイントにおいて作用して、被覆材が創傷のまわりの皮膚から持ち上げられ、外れてしまう傾向がある。
【0072】
したがって装置のこのような使用においては、創傷上のそうした正圧に対抗して創傷の全体を覆ってそのような密封又は密閉を形成して保持するための手段を提供して、この目的から周辺のポイントにおいて機能させることが必要となる可能性がある。
【0073】
そのような手段の例としては、上述のような、被覆材を適切な位置に固定して漏れを防止するための光切り替え可能接着剤が含まれる。
【0074】
光切り替え可能接着剤の接着はフォトキュアリングによって弱まり、それによって被覆材を除去する際の外傷が少なくなるため、上述のように、たとえばフランジ上にさらに強力な接着剤のフィルムを使用することもできる。
【0075】
患者の皮膚に対する外傷もやむを得ないようなさらに極限の状況において使用するための適切な流体接着剤の例としては、基本的にシアノアクリレートから構成される接着剤及び類似の組織接着剤が含まれ、これらは、創傷の縁部、及び/又は創傷被覆材のバッキング層の近位面のまわりに、たとえばフランジ又はへり上に塗布される。
【0076】
このような手段のさらなる適切な例としては、接着剤(たとえば粘着剤を伴う)及び非接着剤、並びに弾性を有する及び有さないストラップ、バンド、ループ、ストリップ、ひも、包帯、たとえば圧縮包帯、シート、カバー、スリーブ、ジャケット、シース、ラップ、ストッキング及びタイツ、たとえばこの方法で治療が施される際に四肢の創傷の全体を覆ってそこに適切な圧力をかけて圧縮力でフィットする弾性を有する管状のタイツや弾性を有する管状のストッキング、並びにこの方法で治療が施される際に四肢の創傷の全体を覆ってそこに適切な圧力をかけて圧縮力でフィットする膨張可能なカフ、スリーブ、ジャケット、ズボン、シース、ラップ、ストッキング、及びタイツが含まれる。
【0077】
このような手段はそれぞれ、創傷被覆材のバッキング層の外周を越えて広がるように創傷被覆材の全体を覆って配置することができ、必要に応じて創傷のまわりの皮膚及び/又は創傷自体に接着又はその他の形で固定され、また必要に応じて(たとえば弾性の包帯やストッキングを使用して)創傷の外周を囲んで創傷被覆材を流体密封状態で適切な位置に保持するのに十分な程度まで圧縮を加える。
【0078】
このような手段はそれぞれ、被覆材のその他の構成要素、とりわけバッキング層と一体化することができる。
【0079】
別法として、これは、たとえば接着フィルムを使用して、被覆材、とりわけバッキング層に永久に連結するか、又は取り外し可能に連結することができ、或いはこれらの構成要素は、相互にVelcro(商標)、押し込み式、スナップ式、又はねじ込み式とすることができる。
【0080】
この手段と被覆材は、永久に相互に連結されることのない別々の構造とすることができる。
【0081】
創傷上にさらに高い正圧を加えるためのさらに適切なレイアウトでは、前に明示したように、硬質のフランジ又はへりが、創傷被覆材のバッキング層の近位面の外周のまわりに広がる。
【0082】
このフランジ又はへりは、その近位面上にくぼみがあり、まわりの導流路又は導管を画定している。
【0083】
これは吸引口を有し、この吸引口は、フランジ又はへりの中を通って導流路又は導管と連通し、ポンプや、真空状態のパイプ供給など、真空状態を適用するためのデバイスへ接続することができる。
【0084】
バッキング層は、その近位面のまわりに広がるフランジ又はへりと一体化するか、又は、たとえば熱融着によって、連結することができる。
【0085】
必要とされる創傷の全体を覆う相対的な流体密封又は流体密閉を形成するために、また創傷被覆材の創傷対向面の外周の下に灌注物及び/又は滲出物が流れ出るのを防止するために、装置の使用中には、被覆材は、創傷のまわりの皮膚上にセットされる。
【0086】
そしてデバイスは、フランジ又はへりの内部に真空状態を適用し、ひいては創傷上の正圧に対抗して創傷のまわりの周辺ポイントにおいて作用する密封又は密閉を形成して保持する。
【0087】
上述したすべての接着の手段、及び創傷のまわりの周辺ポイントにおいて創傷上の正圧又は負圧に対抗して創傷の全体を覆って密封又は密閉を形成して保持するための手段と共に、外周を密封する創傷被覆材は、楕円形、とりわけ円形など、一般的に丸い形状であることが好ましい。
【0088】
創傷の全体を覆って、(1つ又は複数の)流入パイプ及び(1つ又は複数の)流出パイプのまわりに、またそれらが創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントにおいて、相対的な流体密封又は流体密閉を形成するために、バッキング層は、これらのその他の構成要素と一体化することができる。
【0089】
別法として、これらの構成要素は、相互に単なる押し込み式、スナップ式、又はねじ込み式とすることもでき、或いは共に接着又は熱融着することもできる。
【0090】
その流入パイプ又は流出パイプ或いはそれぞれの流入パイプ又は流出パイプは、(任意選択で或いは必須として、(任意選択で或いは必須として、供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段を介した)流体再循環チューブ及び/又は流体供給チューブ、或いは、流体除去チューブの接合端部へそれぞれ雄部材として接続するためのチューブ、パイプ又はホース、或いはノズル、ホール、開口、オリフィス、ルーア、スロット又はポートを形成するための手段を介した)流体再循環チューブ及び/又は流体供給チューブの接合端部へそれぞれ雌部材として接続するためのファンネル、ホール、開口、オリフィス、ルーア、スロット、ポートなどのアパーチャの形態とすることができる。
【0091】
これらの構成要素は、一体化されている場合には、通常は同じ材料から作成される(これについては、上で列挙されている材料が、適切な材料の例であることが理解できるであろう)。
【0092】
或いはこれらは、押し込み式、スナップ式、又はねじ込み式である場合には、同じ材料から作成することも、異なる材料から作成することもできる。いずれの場合においても、上で列挙されている材料は、すべての構成要素に適した材料の例である。
【0093】
その又はそれぞれのパイプは、一般的にはバッキング層の下ではなく中を通る。そのような場合、バッキング層は、その又はそれぞれのパイプと、その又はそれぞれの接合しているチューブとの間のいくらかの実質的な遊びや、いずれかの方向への圧力の下での変形に対抗するための剛性の、及び/又は弾性的に柔軟性のない、或いは硬質の領域を有することができる場合が多い。
【0094】
これは、流体再循環チューブ及び/又は流体供給チューブ或いは流体除去チューブの接合端部へ接続するための関連するそれぞれのチューブ、パイプ又はホース、或いはノズル、ホール、開口、オリフィス、ルーア、スロット又はポートのまわりから遠方へ(創傷から外側へ)突出している突起によって、強化、補強、又はその他の形で強固にすることができる場合が多い。
【0095】
代替として、又は追加として、適切な場合には、バッキング層は、バッキング層を強化、補強、又はその他の形で強固にするために、バッキング層の近位面のまわりに広がる硬質のフランジ又はへりを有することができる場合が多い。
【0096】
創傷被覆材は、使用中には創傷内のバッキング層の下に、本明細書で言及されている骨格以外のいかなる完全体も含むことはできない。
【0097】
しかしこれは、実状に即した流速で創傷を灌注するのに十分な機能的な表面領域にわたって灌注物を行き渡らせるためのシステムを提供することはできない。
【0098】
とりわけ慢性の創傷の透析において、創傷の治癒にとって有害な物質の濃度が相対的に高い状況で使用するのに適するためには、創傷への灌注物及び/又は創傷からの滲出物が、創傷床と接触した状態で創傷床の上に存在する骨格を覆っている被覆材の下でより均一に行き渡るか、又はより入り組んだ経路内を通ることができるシステムを提供することが有利になる可能性がある。
【0099】
したがって被覆材の一形態は、流入マニフォールドから骨格へと放射状に延びて、アパーチャ内で終端し、それらのアパーチャを介して循環流体を骨格へ直接供給するパイプ、チューブ、又は小管の「ツリー」形態と共に提供される。同様に、流出マニフォールドが存在し、そこから小管が放射状に延びて骨格へと至り、開口内で終端し、流体を骨格から直接回収する。
【0100】
これらのパイプなどは、それぞれ流入又は流出マニフォールドから、使用中に創傷の中を規則的に又は不規則に放射状に延びることができるが、規則的な延び方の方が好ましいかもしれない。より深い創傷用のさらに適切なレイアウトでは、パイプなどは、半球状且つ同心円状に骨格へと放射状に延びる。
【0101】
より浅い創傷の場合、パイプなどのこのようなレイアウトの適切な形態の例としては、パイプなどが、平らな半楕円形内を同心円状に骨格へと放射状に延びる形態が含まれる。
【0102】
パイプなどのレイアウトのその他の適切な形態としては、(1つ又は複数の)流入パイプ及び/又は(1つ又は複数の)流出パイプから延びているパイプ、チューブ、又は小管を、それらがバッキング層の創傷対向面の中及び/又は下を通って骨格上へと延びるポイントに有する形態が含まれる。これらは、パイプなどに沿って穿孔、アパーチャ、ホール、開口、オリフィス、スリット、又はスロットを備えた出口のない穴を有することができる。
【0103】
そしてこれらのパイプなどは、事実上、循環流体を直接骨格へ供給する流入パイプマニフォールドや、流体を直接創傷から回収する流出マニフォールドをそれぞれ形成している。
【0104】
これは、バッキング層の下の骨格の大部分にわたるチューブ、パイプ、小管などの中のホール、開口、オリフィス、スリット、又はスロットを介して行われる。
【0105】
チューブ、パイプ、又は小管は、創傷内及び創傷被覆材の内部に対して良好な適合性を有する弾性的に柔軟性のある、たとえばエラストマー系の、好ましくは軟質の構造であることが望ましいかもしれない。
【0106】
この方法で治療が施される場合、チューブ、パイプ、小管などのレイアウトは、創傷の深さ及び/又は容量によって変わる可能性がある。
【0107】
したがって、より浅い創傷の場合、チューブ、パイプ、小管などのこのようなレイアウトの適切な形態の例としては、基本的にらせん状のチューブなどの1つ又は複数から構成される形態が含まれる。
【0108】
この方法で治療が施される場合のより深い創傷用のさらに適切なレイアウトは、ヘリックス又はらせん状のヘリックスのチューブなどの1つ又は複数を含むレイアウトとすることができる。
【0109】
より浅い創傷用のその他の適切なレイアウトとしては、被覆材の使用中に創傷内で流体を循環させる出口のない穴が穿孔されている流入パイプ又は流出パイプマニフォールドを有するレイアウトが含まれる。
【0110】
これらの一方又は両方は、他方をたとえば1つ又は複数のまっすぐな出口のない穴が穿孔されている放射状のチューブ、パイプ、又はノズルとすることができるような形態とすることができる。
【0111】
別の適切なレイアウトは、
流入パイプ及び/又は流出パイプマニフォールドが、それぞれ流入及び/又は流出チューブ、パイプ、又は小管を介して循環流体を直接骨格へ供給し、或いは流体を直接創傷から回収し、
流入マニフォールド及び/又は流出マニフォールドが、スタック内で相互に永久に連結されている層内のスロットによって形成され、
流入及び/又は流出チューブ、パイプ、又は小管が、スタック(図10aでは、そのようなスタックの分解等角図が示されているが、これは限定的なものではない)内で相互に永久に連結されている層を通るアパーチャによって形成されるレイアウトである。
【0112】
また本明細書でも言及されるように、適用されるバッキング層は、この治療システムに適していて、最大で50%atm.、さらに通常では最大で25%atm.の正圧又は負圧を創傷に加えることができる任意のバッキング層とすることができる。
【0113】
したがってこれは、微生物が透過できないフィルム、シート、又は膜である場合が多く、これは実質的に平らであり、その上にかかるあらゆる圧力差に依存し、従来の創傷被覆材において使用されるこのようなフィルム又はシートと同様の(一般的には均一の)厚さ、すなわち最大で100ミクロン、好ましくは最大で50ミクロン、さらに好ましくは最大で25ミクロン、及び最小では10ミクロンの厚さを有する場合が多い。
【0114】
バッキング層は、相互に一体化されていないその他の構成要素の間のいくらかの実質的な遊びに対抗するための剛性の、及び/又は弾性的に柔軟性のない、或いは硬質の領域を有することができる場合が多く、たとえば突出している突起によって、強化、補強、又はその他の形で強固にすることができる。
【0115】
被覆材のこのような形態は、創傷床に対して十分に適合可能とはならず、事実上、バッキング層とバッキング層の下の骨格とによって画定されるチェンバ、中空、又は空洞を形成することができる。
【0116】
創傷被覆材の内部は、滲出度合いの高い状態の創傷の場合でさえ、創傷床に適合することが望ましいかもしれない。したがって被覆材の一形態は、バッキング層の下に創傷フィラーを伴って提供される。これは、創傷の形状に対して良好な適合性を有する弾性的に柔軟性のある、たとえばエラストマー系の、好ましくは軟質の構造であることが好ましい。これは、それ自体の弾性によってバッキング層とは反対方向に促され、骨格上に、したがって創傷床に対して緩やかな圧力をかける。
【0117】
創傷フィラーは、被覆材のその他の構成要素、とりわけバッキング層と一体化することができる。
【0118】
或いはこれは、必要とされる創傷の全体を覆う相対的な流体密封又は流体密閉を崩壊させないために、たとえば接着フィルムを使用してそれら/それに、又はたとえば熱融着によって近位面から延びているフランジ又はへりに、永久に連結することができる。
【0119】
あまり通常ではないケースでは、創傷フィラーは、たとえば接着フィルムを使用してバッキング層に取り外し可能に連結されるか、或いはこれらの構成要素は、相互に押し込み式、スナップ式、又はねじ込み式とすることができる。
【0120】
創傷フィラーとバッキング層は、永久に相互に連結されることのない別々の構造とすることができる。
【0121】
創傷フィラーは、創傷の形状に対する良好な適合性を有する、固体の完全体の、好ましくは弾性的に柔軟性のある、たとえばエラストマー系の、及び好ましくは軟質の構造とするか、又はそのような構造を含むことができる。そのような創傷フィラーの適切な形態の例は、適切な材料、たとえば弾性を有する熱可塑性の材料から形成されているフォームである。この創傷被覆材用の好ましい材料としては、小さなアパーチャ又は孔を有する網目状のろ過ポリウレタンフォームが含まれる。
【0122】
代替として、又は追加として、これは、これを創傷の形状へと促す流体又は固体によって満たされている、バッグ、チェンバ、ポーチ、又はその他の構造など、フィルム、シート、又は膜によって画定されている1つ又は複数の適合可能な中空体の形態とするか、又はそのような中空体を含むことができる。
【0123】
このフィルム、シート、又は膜は、従来の創傷被覆材のバッキング層において使用されているフィルム又はシートと同様の(一般的には均一の)厚さを有する場合が多い。
【0124】
これは、最大で100ミクロン、好ましくは最大で50ミクロン、さらに好ましくは最大で25ミクロン、及び最小では10ミクロンの厚さであり、弾性的に柔軟性があり、たとえばエラストマー系であり、及び好ましくは軟質である場合が多い。
【0125】
このようなフィラーは、被覆材のその他の構成要素、とりわけバッキング層と一体化されるか、或いはたとえば接着フィルムを使用してそれら/それに、又はたとえば熱融着によってフランジに、永久に連結される場合が多い。
【0126】
フィルム、シート、又は膜によって画定されている1つ又は複数の中空体の中に含まれる適切な流体の例としては、空気、窒素、アルゴンなどの気体、さらに通常では大気圧をわずかに上回る正圧のかかった空気、及び水や生理食塩水などの液体が含まれる。
【0127】
例としては、シリコンゲル、たとえば CaviCare(商標)ゲル、或いは好ましくはセルロースゲル、たとえば Intrasite(商標)の架橋材料などの親水性の架橋セルロースゲルなどのゲルも含まれる。また例としては、エアロゾルフォームも含まれ、このエアロゾルシステムの気相は、空気、又は窒素やアルゴンなどの不活性ガス、さらに通常では大気圧をわずかに上回る正圧のかかった空気、及びプラスチックの小片などの固体の微粒状物質である。
【0128】
もちろんバッキング層は、十分に適合可能な、及び/又はたとえば下向きにくぼんだシートである場合、創傷フィラーの上ではなく下に位置することができる。
【0129】
このタイプのレイアウトでは、創傷フィラーが創傷被覆材を骨格及び創傷床の方向へ促すためには、これは、通常は創傷のまわりの皮膚にしっかりと接着するか、又はその他の形で取り外し可能に取り付けなければならないであろう。
【0130】
これは、創傷フィラーとバッキング層が、永久に相互に連結されることのない別々の構造である実施形態において、特に当てはまる。
【0131】
この方法で治療が施される場合のより深い創傷用のこうしたレイアウトでは、このような取り付け用の手段によって、創傷の全体を覆って密封又は密閉を形成して保持することもできる。
【0132】
フィラーがバッキング層の上にあり、(1つ又は複数の)流体流入パイプ及び(1つ又は複数の)流体流出パイプがバッキング層の創傷対向面の中を通っている場合、これらのパイプは、バッキング層の上の創傷フィラーの中又はまわりを通ることができる。
【0133】
被覆材の一形態は、アパーチャ、ホール、開口、オリフィス、スリット、又はスロット、或いはチューブ、パイプ、小管、又はノズルを有するバッグ、チェンバ、ポーチ、又はその他の構造など、フィルム、シート、又は膜によって画定されている弾性的に柔軟性のある、たとえばエラストマー系の、及び好ましくは軟質の中空体であるか、又はそのような中空体を含む創傷フィラーをバッキング層の下に伴って提供される。これは、少なくとも1つのアパーチャ、ホール、開口、オリフィス、スリット、又はスロットを通じて、少なくとも1つの流入又は流出パイプと連通している。
【0134】
中空体の中に含まれている流体は、次いで装置内の循環流体となることができる。
【0135】
その中空体又は中空体のそれぞれは、フィルム、シート、又は膜内のホール、開口、オリフィス、スリット、又はスロット、或いはチューブ、パイプ、又はホースなどを介して、循環流体を直接骨格へ供給したり、流体を直接創傷から回収したりする事実上の流入パイプ又は流出パイプマニフォールドをそれぞれ形成している。
【0136】
この方法で治療が施される場合、フィラーのタイプは、創傷の深さ及び/又は容量によって大部分を決定することもできる。
【0137】
したがって、より浅い創傷の場合、創傷被覆材の構成要素としての適切な創傷フィラーの例としては、基本的に循環流体を直接骨格へ供給したり、流体を直接創傷から回収したりする流入パイプ及び/又は流出パイプマニフォールドを画定している1つ又は複数の適合可能な中空体から構成される創傷フィラーが含まれる。
【0138】
この方法で治療が施される場合のより深い創傷用のさらに適切な創傷フィラーは、固体の完全体を少なくとも部分的に囲む、たとえばポリマーフィルム、シート、又は膜によって画定されている1つ又は複数の適合可能な中空体を含む創傷フィラーとすることができる。これによって、より良好な剛性をシステムに提供することができ、取り扱いが便利になる。
【0139】
バッキング層の下の創傷フィラーが、(1つ又は複数の)流入パイプと(1つ又は複数の)流出パイプとをそれらが創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントで直接接続することによって、事実上の1つの流入パイプ又は流出パイプマニフォールドを形成していない場合、骨格を灌注するためには、1つ又は複数の穴、導流路、導管、通路、パイプ、チューブ、小管、及び/又はスペースなどが、(1つ又は複数の)流体流入パイプ及び(1つ又は複数の)流体流出パイプがバッキング層の創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントから、バッキング層の下の創傷フィラーの中又はまわりを通ることが適切である。
【0140】
あまり通常ではないケースでは、創傷フィラーは、バッキング層の下の創傷フィラーを通ってそのような穴、導流路、導管、通路、及び/又はスペースを形成できる孔を有するオープンセルフォームである。
【0141】
フィラーが、たとえばポリマーフィルム、シート、又は膜によって画定されている1つ又は複数の適合可能な中空体であるか、又はそのような中空体を含む場合、そのフィラーには、流体が創傷被覆材の下の骨格へと流れることを認めるための手段を提供することができる。
【0142】
これらは、(1つ又は複数の)流体流入パイプ及び(1つ又は複数の)流体流出パイプがバッキング層の創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントから、バッキング層の下の創傷フィラーの中又はまわりを通るパイプ、チューブ、小管、又はノズルの形態とすることができる。
【0143】
ここまでに記載されている、被覆材の使用中に流体を創傷内に循環させる出口のない穴が穿孔されている流入パイプ又は流出パイプマニフォールドを含むより浅い創傷用の適切なレイアウトはすべて、バッキング層の下の創傷フィラーの下で使用することができる。
【0144】
簡単に言えば、適切なレイアウトとしては、一方又は双方のマニフォールドが(規則的な、たとえば楕円形又は円形の、或いは不規則な)環状又はトーラス状であり、任意選択でその環又はトーラスから分岐している出口のない穴が穿孔されている放射状のチューブ、パイプ、又はノズルを有し、及び/又は
曲がりくねった、曲折した、屈曲した、ジグザグ状の、蛇行した、又は犂耕状の(すなわち犂で耕した溝のような様式の)パターンであり、或いは
スタック内で相互に連結されている層内のスロット及びそうした層を通るアパーチャによって画定されているレイアウトが含まれる。
【0145】
装置の流路に戻ると、供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段は、創傷に対して、
a)流体リザーバとの連通状態に置くが、
b)流体再循環チューブに対しては閉じられた状態、及び、
c)その逆、
を同時に可能にするいかなる形態をとることもできる。
【0146】
したがって、創傷被覆材の創傷対向面の中及び/又は下を通る流入パイプが1つしかない場合、流体リザーバは、流体供給チューブによって、希望に応じて流れを切り替えるための手段を介して、流路へ、そして流体再循環チューブ又は流体除去チューブへと接続される。
【0147】
この場合、供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段は、Tバルブなどのレギュレータとすることができる。これは、流体再循環チューブ又は流体除去チューブと、流体供給チューブという2つの部分に交互に接続され、これによって、供給と再循環の間における望ましい流れの切り替えが達成される。
【0148】
複数の流入パイプが存在する場合、これらは、それぞれ流体が創傷へと流れることを認めるためのバルブやその他の制御デバイスなどの第1のレギュレータ及び第2のレギュレータを有する流体供給チューブ又は流体再循環チューブへそれぞれ接続することができる。
【0149】
供給と再循環の間における望ましい流れの切り替えは、第2のレギュレータが閉じられているときに第1のレギュレータを開くこと、及びその逆をそれぞれ行うことによって達成される。
【0150】
流路から排流するための手段は、灌注物及び/又は創傷からの滲出物と接触するが、通常は除去チューブ及び/又は再循環チューブ内に存在する装置の任意の適切な部分に位置することができる。しかしこれは、リザーバ及び流体供給チューブからできるだけ遠く離れた下流に存在する場合が多く、これによって、流体供給チューブを介して、流体リザーバからの流路の全体に呼び水を入れるために使用することができる。
【0151】
これは、バルブや、その他の制御デバイス、たとえば向きを変えて排流と再循環とを切り替えるTバルブなど、流体を装置から、たとえば回収バッグなどの廃棄物リザーバへ排流するためのレギュレータとすることができる。
【0152】
或いは、供給と再循環の間で流れを切り替えることは望ましくなく、むしろ排流及び/又は再循環が同時に行われることが望ましい可能性もある。
【0153】
後者は、再循環中の灌注物及び/又は創傷からの滲出物の量が、
a)創傷からの滲出物を、及び/又は、
b)たとえば透析ユニットなどのシステム内における選択透過性の完全体を通じて洗浄流体から流れる流体を、
そこに継続的に追加することによって増加する場合に、生じることができる。
【0154】
そして除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段は、単純なバルブや、その他の制御デバイスなど、再循環経路から分岐している排流ラインを灌注物及び/又は滲出物が通るのを認めたりブロックしたりするためのレギュレータの形態で提供することができる。
【0155】
流体洗浄用手段は、希望に応じて「単相システム」とすることができる。
【0156】
これにおいては、創傷及び流体リザーバからの循環流体は、創傷の治癒にとって有害な物質が除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体が再循環チューブを介して骨格及び創傷床へ戻される自己完結型のシステム内を流れる。このようなシステムについては、流体洗浄用手段に関連してさらに詳しく後述する。
【0157】
或いは適切な場合、これは、透析ユニットや二相性の液体抽出ユニットなどの二相システムの形態で提供することができる。
【0158】
これにおいては、創傷及び流体リザーバからの循環流体は、流体が第2の流体(血液透析液)相と、さらに通常では液体と間接的に又は(あまり通常ではないケースでは、直接)接触した状態で再循環し、創傷の治癒にとって有害な物質が除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体が再循環チューブを介して骨格及び創傷床へ戻されるシステム内を通る。このようなシステムについては、流体洗浄用手段に関連してさらに詳しく後述する。
【0159】
使用中に、通常は、供給チューブと再循環チューブの間で流れを切り替えるための手段がセットされ、流体が流体リザーバから創傷へと流れることは認めるが、流体再循環チューブに対しては創傷を閉じる。
【0160】
次いで、除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するためのあらゆる手段が開かれ、創傷及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるためのデバイスが始動される。
【0161】
装置の流路の容量、並びに灌注物及び/又は創傷からの創傷滲出物の流速によって、デバイスを作動させて装置の流路の全長にわたって装置に呼び水を入れること、すなわち存在しているすべての流体リザーバ(空気である場合が多い)を流体の再循環経路から除去することが適切であるかどうか、及びどれぐらい長い間それを作動させるべきかの大部分が決定されることになる。通常は、流体リザーバからの灌注物が再循環中の創傷からの滲出物よりも優勢であり、このため、創傷の全体にわたって流体を移動させるためのデバイスを使用することが、この目的にとって適切である。
【0162】
これは、装置がその装置の流路の全長にわたって呼び水を入れられるまで作動させることができる。
【0163】
次いで通常は、除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段が閉じられ、供給チューブと再循環チューブの間で流れを切り替えるための手段がセットされて、流体リザーバに対しては創傷を閉じるが、流体が流体再循環チューブから創傷へと流れることは認める。
【0164】
流体洗浄用手段が、透析ユニットや二相性の抽出ユニットなどの二相システムである場合、洗浄流体は通常、選択透過性の完全体の表面、たとえばポリマーフィルム、シート、又は膜と接触した状態で流される。もちろん、あまり通常ではないケースでは、洗浄流体は静的なものとすることができ、その場合、このステップは省略される。
【0165】
さらに詳しく後述するように、再循環中の灌注物及び/又は創傷からの創傷滲出物の量は、
a)創傷からの滲出物を、及び/又は、
b)選択透過性の完全体、たとえば透析ユニットなどの二相システムのポリマーフィルム、シート、又は膜を通じて洗浄流体から流れる流体を、
そこに継続的に追加することによって増加させることができる。
【0166】
追加として、又は代替として、創傷被覆材の下流にあって創傷被覆材から離れていく流体再循環チューブ内における再循環中の流体に適用される、創傷及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるためのデバイスによって創傷に負圧をかけることが望ましい可能性がある。
【0167】
このような場合、排流及び/又は再循環が同時に可能なシステムを提供し、除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段によって再循環中の流体の望ましいバランスを保持するために必要な調整を行うことが望ましい可能性がある。
【0168】
再循環中の灌注物及び/又は創傷からの創傷滲出物の量は、たとえば透析ユニットなどのシステム内における選択透過性の完全体を通じて洗浄流体から流れる流体をそこから継続的に流出させることによって減らすことができる。
【0169】
追加として、又は代替として、創傷被覆材の上流にあって創傷被覆材へと向かう流体再循環チューブ内における再循環中の流体に適用される、創傷及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるためのデバイスによって創傷に正圧をかけることが望ましい可能性がある。
【0170】
供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段を、供給及び/又は再循環が同時に可能な形態で同様に提供し、流れを切り替えるための手段によって再循環中の流体の望ましいバランスを保持するために必要な調整を行うことができる。
【0171】
正圧又は負圧が創傷にかかることになる場合、骨格及び創傷床への並びに骨格及び創傷床からの再循環流路内の少なくとも1つの中空体は、灌注流体のいかなる大きな圧縮又は減圧も生じることができるように、圧力に対する十分な弾性を有するべきであることが理解できるであろう。
【0172】
この装置のすべての実施形態では、本発明において使用するのに適していると本明細書で例を介して説明されている(フィルム、シート、又は膜によって画定されている)そのような中空体のタイプ及び材料は、その大部分にとってこの機能が可能であろう。
【0173】
したがってフィルム、シート、又は膜によって画定されている中空体用の適切な材料の例は、このようにして圧力がかけられた場合にこの機能が潜在的に可能な伸縮自在に弾性を有する熱可塑性の材料を含むことが好ましい。このような中空体は、たとえば創傷被覆材のバッキング層の下に、灌注流体によって満たされているバッグ、チェンバ、及びポーチなどの流入もしくは除去及び/又は再循環用のチューブ及び構造を含む。
【0174】
この態様における本発明は、複数の利点を提供する。
【0175】
1つは、創傷床と接触して創傷床を覆っている骨格の上及び/又は中を通って循環する灌注流体の適用を利用して、創傷の下にある組織に1つ又は複数の生理的に活性な成分を供給できることである。
【0176】
これは、治療効果のある分量で効果を発揮して、(1つ又は複数の)流体の生理的に活性な成分のみを伴う処置による場合よりも、いっそう創傷の治癒を促進することができる。
【0177】
創傷の治癒にとって有益な滲出物のそのような生理的に活性な成分は、たとえば成長因子、酵素、及びその他のタンパク質、並びに誘導体など、酵素、創傷細胞が増殖するのを補助する栄養素、及び創傷の治癒に有益に関与しているその他の分子とすることができる。
【0178】
これらは、流体と直接接触している再循環経路内の何らかの完全体、たとえばリザーバへ、又は流体洗浄用の透析手段の血液透析液から供給することができる。
【0179】
創傷流体を循環させることは、
a)創傷の治癒に関与している生体信号伝達分子を、創傷床内の創傷の治癒プロセスにとって好ましい位置へ、及び/又はそうしなければそれらにさらされることのない細胞、たとえば滲出度合いの高い創傷内へ移動させる上で、及び、
b)創傷細胞が増殖するのを補助する栄養素、及び創傷の治癒に有益に関与しているその他の分子を移動させる上で役に立つ。
【0180】
これは、延びている領域上に直接骨格から流体を供給又は回収する流入又は流出マニフォールドが存在する、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明のこの第1の態様の装置に関する実施形態において特に当てはまる。
【0181】
このような物質としては、サイトカイン、酵素、創傷細胞が増殖するのを補助する栄養素、酸素、及び成長因子などの創傷の治癒に有益に関与しているその他の分子、並びに走化性を誘発する上で有益な効果を有する(そしてそれをさらに高めることができる)その他の物質が含まれる。
【0182】
流入チューブ及び/又は流出チューブ、流体再循環チューブ、並びに流体供給チューブなどは、たとえば楕円形又は円形の断面を有する従来のタイプのものとすることができ、またその全長にわたって均一な円筒形の穴、導流路、導管、又は通路を有することができることが好ましい。
【0183】
灌注物及び/又は創傷からの創傷滲出物の望ましい流体量流速、並びに再循環中の望ましい分量に応じて、この穴の最大の対角線寸法は、胴体の大きな創傷用としては最大で10mm、及び四肢の創傷用としては最大で2mmとすることができることが好ましい。
【0184】
これらのチューブの壁は、とりわけ再循環中の灌注物及び/又は創傷からの創傷滲出物の量が、創傷からの滲出物、及び/又は選択透過性の完全体、たとえば透析ユニットなどの二相システムのポリマーフィルム、シート、又は膜を通じて洗浄流体から流れる流体をそこに継続的に追加することによって増加する場合には、好ましくは、それらにかかるいかなる正圧又は負圧にも耐えるだけの十分な厚さを有するべきである。
【0185】
しかしポンプに関連して後述するように、このようなチューブの主な目的は、圧力容器としての役割を果たすことではなく、装置の流路の全長にわたって流体灌注物及び滲出物を搬送することである。
【0186】
チューブの壁は、少なくとも25ミクロンの厚さとすることができることが好ましい。
【0187】
パイプなどに沿った、或いはその中空体又は中空体のそれぞれの中の穴、或いはいかなる穿孔、アパーチャ、ホール、開口、オリフィス、スリット、又はスロットも、小さな対角線寸法とすることができる。
【0188】
そしてこれらは、細胞残屑及び微生物を含む微粒状物質用の事実上のマクロスコピック及び/又はマイクロスコピックフィルタを形成し、その一方でタンパク質及び栄養素を透過させることができる。
【0189】
フィラーの中及び/又はまわりを通るこのようなチューブ、パイプ、又はホースなどについては、そのフィラーが固体の完全体であるか、且つ/或いは1つ又は複数の弾性的に柔軟性のある、すなわち適合可能な中空体であるかどうかにかかわらず、(1つ又は複数の)流入パイプ及び(1つ又は複数の)流出パイプに関連してさらに詳しく後述する。
【0190】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置の全長は、創傷被覆材が使用に際していったん創傷の上に配置されたら、微生物が透過できなくなるべきである。
【0191】
本発明の創傷被覆材及び創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置の内部は無菌であることが望ましい。
【0192】
流体は、流体リザーバ、及び/又は流体洗浄用手段を含む、流体が再循環するシステムの残りの部分において、紫外線、ガンマ線、又は電子線の照射によって殺菌することができる。
【0193】
この方法によって、とりわけ内部の表面及び流体が何らかの殺菌剤と接触することが少なくなるか、又はなくなる。
【0194】
流体を殺菌するその他の方法の例としては、たとえば
微生物を選択的に透過させなくするための、たとえば最大の対角線寸法が0.22から0.45ミクロンのマイクロアパーチャ又は微小孔を介した限外ろ過、並びに、
クロルヘキシジン及びポビドンヨードなどの化学物質の溶剤、銀塩、たとえば硝酸銀などの金属イオン源、及び過酸化水素などの流体防腐剤を利用することも含まれるが、
後者には、内部の表面及び流体と殺菌剤との接触が含まれる。
【0195】
創傷被覆材の内部、流体が再循環するシステムの残りの部分、並びに/又は骨格及び創傷床は、滲出度合いの高い状態の創傷の場合でさえ、流体リザーバ内で流体が殺菌された後は無菌に保たれること、又は少なくとも自然に生じる微生物増殖は抑制されることが望ましい可能性がある。
【0196】
したがって、この点で潜在的に又は実際に有益な物質を最初に灌注物に添加し、希望に応じて引き続き追加することによって、再循環中の分量を増やすことができる。
【0197】
このような物質の例としては、抗菌剤(そのいくつかについては前述した)、及び抗真菌剤が含まれる。
【0198】
それらのうち適切なものとしては、たとえばトリクロサン、ヨウ素、メトロニダゾール、セトリミド、酢酸クロルヘキシジン、ウンデシレン酸ナトリウム、クロルヘキシジン、及びヨウ素がある。
【0199】
pHを調整するためにリン酸二水素カリウム/リン酸一水素二ナトリウムなどの緩衝剤を添加することができ、同様に、創傷の痛み又は炎症、或いは被覆材に関連する痛みを少なくするためにリドカイン/塩酸リグノカインやキシロカイン(アドレノリン、リドカイン)などの局所鎮痛剤/麻酔剤、及び/又は抗炎症剤を添加することができる。
【0200】
創傷の治癒にとって有益な滲出物の生理的に活性な成分が、たとえば成長因子等のタンパク質など、創傷の治癒を促進する上で有益な物質の受動的な堆積によって、流体洗浄の適用前又は後に除去されないシステムを提供することも望ましい。
【0201】
これは、少なくとも1つの流入パイプ又は流出パイプが、少なくとも1つのアパーチャ、ホール、開口、オリフィス、スリット、又はスロットを通る任意のポイントで生じることができる。
【0202】
中空体内に含まれる流体は、創傷の治癒を促進する上で有益な物質の堆積を補助することができ、またその結果として生じるコーティングは、
a)最初に灌注物に添加し、希望に応じて引き続き追加することによって、再循環中の分量を増やすことができ、或いは、
b)流体と直接接触している再循環経路内の任意のポイントで、又は任意の完全体上で、たとえば流体洗浄用手段、或いは任意の望ましいチューブ又はパイプ上で使用することができる。
【0203】
その上を循環流体が通る表面用のコーティング材料の例としては、
ヘパリンなどの抗凝固剤、及び、
PTFEなどの表面張力の高い材料、並びにポリアミドが含まれ、
これらは、成長因子、酵素、及びその他のタンパク質、並びに誘導体にとって有用である。
【0204】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明の装置は、流体が創傷被覆材の下の創傷へ直接又は間接的に流れることを認めるための手段を、流体リザーバへの流体供給チューブの形態で伴って提供される。
【0205】
流体リザーバは、任意の従来のタイプのもの、たとえばチューブ、(通常は血液又は血液製剤、たとえば血漿用に、或いはたとえば栄養素の輸液投与用に使用されるバッグなどの)バッグ、チェンバ、ポーチ、又は灌注流体を包含できるたとえばポリマーフィルム製のその他の構造とすることができる。
【0206】
このリザーバは、従来の創傷被覆材のバッキング層において使用されるフィルム又はシートと同様の(一般的には均一の)厚さ、すなわち最大で100ミクロン、好ましくは最大で50ミクロン、さらに好ましくは最大で25ミクロン、及び最小では10ミクロンの厚さを有する場合の多いフィルム、シート、又は膜から作成することができ、弾性的に柔軟性があり、たとえばエラストマー系であり、及び好ましくは軟質の中空体である場合が多い。
【0207】
この装置のすべての実施形態では、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明の装置の全体にわたるチューブ及び流体リザーバのタイプ及び材料は、それらの機能によって大部分が決定されることになる。
【0208】
とりわけ慢性の時間枠での使用に適するためには、そうした材料は、毒性がなく生体適合性を有するべきであり、必要に応じて流体リザーバからの灌注物及び/又は装置の流路内における創傷からの滲出物の、また二相システムの透析ユニットのあらゆる使用においては、装置内の循環流体へと移動する血液透析液のいかなる活性の成分に対しても不活性であるべきである。
【0209】
装置の使用中に灌注流体と接触している際、これは、何らかの有意な分量の抽出物がそこから自由に拡散できるべきではない。
【0210】
これは、紫外線、ガンマ線、もしくは電子線の照射によって、及び/又は化学物質の溶剤などの流体防腐剤を使用して殺菌することができ、いったん使用中となれば流体及び微生物が透過できず、柔軟性を有するべきである。
【0211】
流体リザーバ用の適切な材料の例としては、ポリエチレン、たとえば高密度ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンなどの合成高分子材料が含まれる。
【0212】
この目的のための適切な材料としては、それらのコポリマー、たとえば酢酸ビニル及びそれらの混合物を伴ったものも含まれる。この目的のための適切な材料としては、医療用のポリ(塩化ビニル)がさらに含まれる。
【0213】
このような高分子材料にもかかわらず、流体リザーバは、それと、創傷被覆材へと向かう流体供給チューブなどの相互に一体化されていない構成要素との間のいくらかの実質的な遊びに対抗するための硬質の領域を有することになる場合が多く、たとえば突出している突起によって、強化、補強、又はその他の形で強固にすることができる。
【0214】
創傷及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるためのデバイスは、この目的に適した任意のものとすることができ、この目的に適した任意のポイントにおいて機能することができる。
【0215】
これは創傷に正圧又は負圧をかけることができるが、その主な目的は、創傷に正圧又は負圧をかけることではなく、流体(流体リザーバからの灌注物及び/又は創傷からの滲出物)を装置の流路の全長にわたって移動させることである。
【0216】
これは、(任意選択で或いは必須として、供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段を介して)創傷被覆材の上流にあって創傷被覆材へと向かう流体再循環チューブ内における再循環中の流体に、及び/又は創傷被覆材へと向かう流体供給チューブ内における流体に適用される場合、通常は創傷床に正圧(すなわち大気圧を上回る圧力)をかけることになる。
【0217】
流体洗浄用手段は、(その目的に最も適した形としては)創傷被覆材の下流に存在し、流路内において最も高い抵抗を提供する場合が多い。
【0218】
これは、流体洗浄用手段が単相システムである場合に、たとえばマイクロアパーチャ又は微小孔を介した限外ろ過を使用して、したがって創傷にかけられる正圧を高める場合に、特に当てはまる。
【0219】
このデバイスは、流体再循環チューブ内における再循環中の流体に、及び/又は創傷被覆材の下流にあって創傷被覆材から離れていく流体除去チューブ内の流体に適用される場合、通常は創傷床に負圧(すなわち大気圧を下回る圧力又は真空状態)をかけることになる。
【0220】
やはり流体洗浄用手段は、(その目的に最も適した形としては)創傷被覆材の下流に存在し、流路内において最も高い抵抗を提供し、したがって創傷にかけられる負圧を高める場合が多い。
【0221】
希望に応じて、下記のタイプのポンプを使用することができる。
以下のような往復ポンプ:
シャトルポンプ;2〜50ml/分の流速で流体を移動させるための振動シャトルメカニズムを有する。
ダイヤフラムポンプ;1つ又は2つの柔軟性のあるダイヤフラムの振動によって液体を移動させ、その一方でチェックバルブが流体の流れの方向を制御する。
ピストンポンプ;とりわけ創傷床上の正圧及び/又は負圧に関して、ピストンがチェックバルブを通じて流体を送り込む。
以下のような回転ポンプ:
遠心力ポンプ、フレキシブルインペラーポンプ;エラストマー系のインペラーが、羽根と、ポンプハウジングを通じて流体を一掃する成形されたハウジングとの間で流体を捉える。
プログレッシングキャビティーポンプ;とりわけ微粒状物質で満たされたより高い粘度の滲出物のための共働するスクリューロータ及びステータを有する。
回転翼ポンプ;回転する際の振動を伴わずに流体を移動させるドライブシャフトに連結されている回転翼の付いたディスクを有する。排出口は、ポンプを損傷することなく制限することができる。
蠕動ポンプ;柔軟性のある流体循環チューブ上で機能して、チューブ内の流体のその時点での流れをロータの方向へ促すロータアーム上の周辺ローラを有する。
【0222】
このデバイスのタイプ及び/又は容量は、
a)灌注物及び/又は創傷からの創傷滲出物の適切な又は望ましい流体量流速、並びに、
b)創傷床に正圧又は負圧をかけることが適切であるか又は望ましいかどうか、及び創傷床に対するそのような圧力のレベルによって、
また創傷の治癒プロセスが最適に実施されるためには、ポータブル性、消費電力、及び汚染からの隔離などの要因によって、大部分が決定されることになる。
【0223】
このようなデバイスは、好ましくは、鼓動される、連続的な、変更可能な、逆転可能な、及び/又は自動化された、並びに/或いはプログラム可能な流体の移動が可能なデバイスとすることもできる。それは、とりわけこれらのタイプのいずれかのポンプとすることができる。
【0224】
実際には、滲出度合いの高い状態の創傷からでさえ、滲出物の流れのこのような流速は、最大で75マイクロリットル/cm/時(cmは創傷領域を表す)の程度にすぎず、流体は、(存在しているプロテアーゼのために)流動性が高くなる場合がある。
【0225】
滲出物レベルの低下及び一貫性は、創傷が治癒するにつれて、たとえば同じ創傷に関しては12.5〜25マイクロリットル/cm/時に相当するレベルへと変化する。
【0226】
創傷の治癒にとって有害な物質が、透析ユニットなどの二相システム(以降を参照されたい)によって除去される場合、流体は、流体洗浄用手段を通じてシステムへと失われる可能性もある。
【0227】
これは、たとえば創傷の治癒にとって有害な物質に加えて水に対しても透過性を有する透析ポリマーフィルム、シート、又は膜を通じて生じる可能性がある。
【0228】
再循環中の流体のバランスは、このようにしてさらに減少する可能性があるが、前述したように定型的な方法でこの望ましくない流出を最小限に抑えるように調整することができる。
【0229】
したがって創傷からの循環流体は通常、流体リザーバからの再循環時には、創傷からの滲出物よりも灌注物を優勢に含むことになることがわかるであろう。
【0230】
このデバイスのタイプ及び/又は容量は、創傷からの滲出物の流体量流速ではなく、灌注物の適切な又は望ましい流体量流速によって、このようにこの点において大部分が決定されることになる。
【0231】
実際には、すべての灌注物及び/又は創傷からの滲出物の流れのこのような流速は、1〜1000、たとえば3〜300、及びあまり好ましくはないが1〜10ml/cm/24時間程度となることになり、ここでのcmは創傷領域を表している。
【0232】
再循環中の灌注物及び/又は創傷からの滲出物の量は、幅広い範囲にわたって変化する可能性があるが、この方法で治療が施される際には通常、(たとえば胴体の大きな創傷の場合には)たとえば1〜81、(たとえば腋窩及び鼠蹊部の創傷の場合には)200〜1500ml、及び四肢の創傷の場合には0.3〜300mlになるであろう。
【0233】
実際には、適切な圧力は、装置が、閉じられた再循環システムとして機能している場合には、創傷床上に最大で10%atm.の正圧又は負圧など、最大で25%atm.程度である。
【0234】
これらの範囲の上限は、病院での使用に潜在的により適しており、相対的に高い%の圧力及び/又は真空は、専門家の監督の下で安全に使用することができる。
【0235】
下限は、家庭での使用に潜在的により適しており、相対的に高い%の圧力及び/又は真空は、専門家の監督がなくては、或いは野戦病院での使用においては、安全に使用することはできない。
【0236】
このデバイスは、蠕動ポンプ又はダイヤフラムポンプ、たとえば好ましくは小型のポータブルなダイヤフラム又は蠕動ポンプとすることができる。
【0237】
これらは、とりわけ内部の表面との接触を少なくするか又はなくすため、及び(慢性の)創傷からの滲出物と共にポンプの部品を移動させるため、並びに洗浄を容易にするために、好ましいタイプのポンプである。
【0238】
これは、好ましくは、創傷及び/又は流体洗浄用手段に正圧をかけるものとすることができる。かけられる圧力が正圧である場合の好ましいポンプは、蠕動ポンプであり、たとえば流体洗浄用手段の上流に設置される小型のポータブルな蠕動ポンプである。
【0239】
このポンプが蠕動ポンプである場合、これは、たとえば流速が0.2〜180ml/時で重量が0.5k未満の Instech Model P720 の小型の蠕動ポンプとすることができる。これは、家庭及び野戦病院での使用にとって潜在的に有用である。
【0240】
このポンプが蠕動ポンプである場合、これは、たとえば流速が0.2〜180ml/時で重量が0.5k未満の Instech Model P720 の小型の蠕動ポンプとすることができる。これは、家庭及び野戦病院での使用にとって潜在的に有用である。
【0241】
このポンプは、好ましくは、創傷及び/又は流体洗浄用手段に負圧をかけるものとすることができる。かけられる圧力が負圧である場合の好ましいポンプは、ダイヤフラムポンプであり、たとえば被覆材又は流体洗浄用手段の下流に設置される小型のポータブルなダイヤフラムポンプである。
【0242】
このポンプがダイヤフラムポンプである場合、好ましくは小型のポータブルなダイヤフラムポンプである場合、液体を除去する1つ又は2つの柔軟性のあるダイヤフラムはそれぞれ、振動を発生させるための手段に接続されている、たとえばポリマーフィルム、シート、又は膜とすることができる。これは、とりわけ圧電変換器、ソレノイドのコア、又はその時点での流れの方向が交互に入れ替わる強磁性の完全体及びコイル、ロータリーカム、並びにフォロアなどとして便利な任意の形態で提供することができる。
【0243】
被覆材からの排流は、創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去するために流体洗浄用手段へ、そして(1つ又は複数の)流体再循環チューブへと流れる。
【0244】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明の装置は、
a)限外ろ過ユニットなどの単相システム、又は化学吸収及び/もしくは吸着ユニット、或いは、
b)透析ユニットなどの二相システム、又は二相性の抽出ユニット、
とすることができる流体洗浄用手段と共に提供される。
【0245】
前者においては、創傷及び流体リザーバからの循環流体は、創傷の治癒にとって有害な物質が除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体が創傷床へ戻される自己完結型のシステム内を流れる。
【0246】
この単相システムは、任意の従来のタイプのものとすることができる。
【0247】
このようなシステムにおける流体洗浄用手段の例としては、マクロ又はミクロフィルトレーションユニットが含まれ、これは、適切には1つ又は複数のマクロスコピック及び/又はマイクロスコピックフィルタを含む。
【0248】
これらは、微粒状物質、たとえば細胞残屑及び微生物を保持し、タンパク質及び栄養素を透過させることができるべきである。
【0249】
或いはこれらは、洗浄する完全体が、創傷の治癒にとって有害な物質用のフィルタであるものなどの限外ろ過ユニットも含み、このフィルタは、たとえばスループットが高くタンパク質結合が低いポリマーフィルム、シート、又は膜であり、創傷の治癒にとって有害な物質を選択的に透過させず、それらは除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体は、このフィルタによって透過される。
【0250】
この膜は、好ましくは、酢酸セルロースと硝酸セルロースの混合物、ポリ塩化ビニリデン、及びたとえば親水性ポリウレタンなどの親水性の高分子材料のものとすることができる。
【0251】
あまり好ましくない材料の例としては、ポリカーボネート、PTFE、及びポリアミド、たとえば6−6及び6−10、並びに疎水性ポリウレタンなどのポリエステル、並びに石英及びグラスファイバも含む疎水性の材料が含まれる。
【0252】
これは、マイクロアパーチャ又は微小孔を有し、その最大の対角線寸法は、この方法で選択的に除去されることになる種、及びそれが透過性となる対象の種に大部分が依存することになる。
【0253】
前者は、たとえば通常では最大の対角線寸法が20〜700ミクロンの範囲、たとえば20〜50nm(たとえば望ましくないタンパク質用として)、50〜100nm、100〜250nm、250〜500nm、及び500〜700nmであるマイクロアパーチャ又は微小孔を使用して除去することができる。
【0254】
このフィルタの完全体は、高分子材料の平らなシート、又はさらに入り組んだ形態、たとえばパイプや小管などの細長い構造の形態の膜とすることができる。
【0255】
このシステムは、化学吸着ユニット、たとえばゼオライトなどの微粒状物質、又はたとえば機能的にされたポリマーの層が、創傷及び流体リザーバからの循環流体にそれらの上を通過させた際に創傷の治癒にとって有害な物質を除去できる部分をその表面上に有しているものとすることができる。
【0256】
それらの物質は、たとえば創傷の治癒にとって有害な物質を、たとえばキレート剤、及び/又はイオン交換体、ディグレーダ(これらは酵素とすることができる)によって破壊又は結合することによって、除去することができる。
【0257】
このようなシステムの例としては、あまり特異的ではない化学吸収及び/又は吸着ユニット、たとえば活性炭やゼオライトなどの物理的な吸収剤が、創傷及び流体リザーバからの循環流体にそれらの上を通過させた際に創傷の治癒にとって有害な物質を除去できる特異的ではない部分をその表面上に有しているものも含まれる。
【0258】
洗浄する完全体、たとえばポリマーフィルム、シート、或いはその他の化学吸収及び/又は吸着手段などは、もちろん装置の流路の所与の容量に関する実状に即した流速及び灌注物の流速で、創傷の治癒にとって有害な物質を除去できるべきである。
【0259】
二相システムでは、創傷及び流体リザーバからの循環流体は、第2の流体(血液透析液)相、さらに通常では液体と間接的に又は(あまり通常ではないケースでは)直接接触する。
【0260】
したがって二相性の液体抽出ユニットという一形態においては、第2の流体相は、(通常は)被覆材からの循環流体に対して不混和性の液体であり、その被覆材の表面上を循環流体が洗浄流体と直接接触した状態で流れる。創傷の治癒にとって有害な物質は、血液透析液内へと除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体は、再循環チューブを介して創傷床へ戻される。
【0261】
このような流体洗浄用手段の例としては、第2の流体(血液透析液)相がペルフルオロデカリン及び類似の物質であるものが含まれる。
【0262】
或いは適切な場合、これは、2つの流体(再循環流体及び血液透析液)が、装置内の循環流体内における物質に対して透過性を有する著しく平面の完全体、たとえばポリマーフィルム、シート、又は膜、或いは中空のファイバ又はフィラメントによって分離される形態で提供することができる。
【0263】
やはり、創傷の治癒にとって有害な物質は、血液透析液内へと除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体は、再循環チューブを介して創傷床へ戻される。
【0264】
透析ユニットなどの二相システムが提供されるいずれの形態においても、使用中には通常、血液透析液は、装置内の循環流体と並行して、又は好ましくは反対方向にすれちがって移動する。
【0265】
蠕動ポンプなどのポンプ、及び/又はバルブは、2つの流体の流れの方向を制御する。
【0266】
しかし洗浄流体は、あまり通常ではないケースでは静的なものとすることができるが、これは、実状に即した流速で創傷の滲出物から創傷の治癒にとって有害な物質を除去するのに十分な(動的な)表面領域をシステムに提供することができない。
【0267】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するためのこの装置内の流体洗浄用の透析手段内における典型的な血液透析液の流速は、全身療法用の透析ユニットなど、従来のタイプの二相システムにおいて使用される流速である。
【0268】
この完全体は、フィルム、シート、又は膜とすることができ、全身療法用の透析ユニットなど、従来の二相システムにおいて使用されるものと同様に、同じタイプのものである場合が多く、同じ(一般的には均一の)厚さのものである。
【0269】
このフィルム、シート、又は膜は、実質的に平らなものとすることができ、その全体にわたるあらゆる圧力差に応じて、それ自体を強化、補強、又はその他の形で強固にするために、その上又は中に他の材料を必要とする可能性がある。
【0270】
しかしこれは、実状に即した流速で創傷の滲出物から創傷の治癒にとって有害な物質を除去するのに十分な機能的な表面領域をシステムに提供することができない。
【0271】
任意のこのようなフィルム、シート、又は膜の表面領域は、好ましくは、100〜1000000mm、たとえば500〜25000mmなど、50mm未満とすることができる。
【0272】
とりわけ慢性の創傷の透析において、創傷の治癒にとって有害な物質の濃度が相対的に高い状況で適切な使用となるためには、高分子材料のフィルム、シート、又は膜がより入り組んだ形態であるシステムを提供することが有利になる可能性がある。
【0273】
これは、丸い断面、たとえば楕円形又は円形のパイプ、チューブ、中空のファイバ、又はフィラメント、或いは小管を、たとえば間に隙間を空けて並列したアレイの形態など、細長い構造の形態とすることができる。
【0274】
創傷への灌注物及び/又は創傷からの滲出物は、内部の全体にわたって再循環することができ、洗浄流体は、隣接するパイプ、チューブ、又は小管の間の隙間へと、並行に又は好ましくは反対方向に流れ込むことができ、或いはその逆も可能である。
【0275】
やはり、創傷の治癒にとって有害な物質は、血液透析液内へと除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体は、再循環チューブを介して創傷床へ戻される。
【0276】
流体洗浄用手段が、たとえば透析ユニットの形態の二相システム、又は二相性の抽出ユニットである場合、創傷及び流体リザーバからの循環流体は、創傷の治癒にとって有害な物質に対して選択透過性を有する有意な平面の完全体、たとえばポリマーフィルム、シート、又は膜の一方の表面を通過する。
【0277】
これらの有害な物質は、洗浄流体を完全体の他方の表面に通すことによって除去される。この完全体は、上述した創傷の治癒にとって有害な物質に対して選択透過性を有するフィルム、シート、又は膜とすることができる。
【0278】
上述のようなこれらの例としては、
フリーラジカル、たとえば過酸化物及び超酸化物などのオキシダント、
鉄II及び鉄III、
創傷床上の酸化的ストレスに関与するすべてのもの、
プロトンなど、創傷からの滲出物内のpHに悪影響を与える塩基性又は酸性の種、
セリンプロテアーゼ、たとえばエラスターゼ及びトロンビンなどのプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ、たとえばコラゲナーゼ、及びカルボキシル(酸)プロテアーゼ、
リポ多糖類などのエンドトクシン、
ホモセリンラクトン誘導体、たとえばオキソアルキル誘導体などのバクテリアルオートインデューサ信号伝達分子、
TSP−1(thrombospondin-1)、プラスミノゲンアクチベータインヒビター、アンギオスタチン(プラスミノゲンフラグメント)など、血管形成のインヒビター、
TNFα(腫瘍壊死因子)及びIL−1β(インターロイキン1β)などのプロ炎症性サイトカイン、並びに、
リポ多糖類、及びたとえばヒスタミンなどのインフラマトリーが含まれる。
【0279】
(通常は、上述した構造など、フィルム、シート、又は膜によって画定されている適合可能な中空体の形態における)フィルム、シート、又は膜用の適切な材料の例としては、天然材料及び合成高分子材料が含まれる。
【0280】
この膜は、セルロース誘導体、たとえば再生セルロース、セルロースモノアセテート、ジアセテート、又はトリアセテートなどのセルロースモノエステル、ジエステル、又はトリエステル、ベンジルセルロース及びヘモファン(Hemophan)、並びにそれらの混合物など、1つ又は複数の親水性の高分子材料のものとすることができる。
【0281】
その他の材料の例としては、芳香族ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルスルフォン、ポリケトン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルエーテルケトン、並びにスルフォネーティッドなそれらの誘導体、さらにはそれらの混合物などの疎水性の材料が含まれる。
【0282】
その他の材料の例としては、ポリカーボネート及びポリアミド、たとえば6−6及び6−10などのポリエステル、たとえばポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、及びそれらのコポリマー、たとえばアクリロニトリルナトリウムメタロスルフォネートコポリマーを含むポリアクリレート、並びにポリ(塩化ビニリデン)などの疎水性の材料が含まれる。
【0283】
この膜用の適切な材料としては、たとえば酢酸ビニル及びポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物と共に、ポリエチレン、たとえば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマーなどの熱可塑性のポリオレフィンが含まれる。
【0284】
この透析膜は、創傷から除去する対象とされている創傷の治癒にとって有害な種を選択的にかん流できるように選択されたMWCO(排除分子量)を有するべきである。たとえばセリンプロテアーゼエラスターゼ(分子量、25900ダルトン)のかん流には、MWCOが25900ダルトンを上回る膜が必要となるであろう。MWCOのしきい値は、1〜3000000ダルトンの間のそれぞれの適用に合うように変化することができる。
【0285】
好ましくは、MWCOは、より大きな競合種による干渉を排除するために、できるだけこの重量に近いものとすべきである。
【0286】
たとえばMWCOが25900ダルトンを上回るこのような膜は、創傷内で自然に発生する、エラスターゼに対する何らかの有意な量のアンタゴニストAAT(α−1−抗トリプトシン)(分子量、54000ダルトン)が、創傷流体から血液透析液内へと自由に拡散できないようにする。
【0287】
慢性の創傷の治癒を促進する上で有益なインヒビターは、創傷床と接触した状態で残存し、創傷床上で有益に機能することができ、その一方で、創傷の治癒にとって有害なエラスターゼは除去される。
【0288】
この装置のこのような使用は、たとえば糖尿病性足部潰瘍、及び特に床ずれ圧力潰瘍などの慢性の創傷における創傷の治癒プロセスにとって好ましい。
【0289】
後述するように、アンタゴニスト、たとえばエラスターゼ用の分解酵素、又は金属イオン封鎖剤を膜の血液透析液側の上で使用して、このプロテアーゼを創傷の滲出物から除去する働きを高めることができる。
【0290】
創傷の治癒にとって有害な複数の異なる物質を除去することが望ましい場合、そのそれぞれが別々の物質を除去する連続したモジュールのシステムを提供することが有利である可能性がある。これによって、相容れない洗浄物質を同じ流体及び/又は創傷からの滲出物の上で使用することができる。
【0291】
任意のこのようなシステムは、創傷への灌注物及び/又は創傷からの滲出物を最小限の監督で洗浄できる従来の自動化されたプログラム可能なシステムであることが好ましい。
【0292】
さらに詳しく上述したように、流体は、洗浄流体から選択透過性の完全体の中を通って流れる。
【0293】
これは、透析ユニットなどの二相システムの典型的な透過性のポリマーフィルム、シート、又は膜とすることができる。
【0294】
さらに溶質又は分散相種は、血液透析液から透析ポリマーフィルム、シート、又は膜を通って、灌注物及び/又は創傷からの滲出物へと流れ込むことになる。
【0295】
この特性を利用して、創傷の治癒にとって有益な物質を血液透析液から灌注物及び/又は滲出物へとかん流させることができる。
【0296】
このあまり従来のタイプではない輸液投与においては、通常は幅広い範囲の種が、血液透析液から滲出物及び/又は灌注流体へと流れ込むことになる。
これらには、
重炭酸塩などのイオン種、
創傷床上の酸化的ストレスを緩和するためのアスコルビン酸(ビタミンC)及びビタミンEなどのビタミン、及びそれらの安定した誘導体、並びにそれらの混合物、
リン酸二水素カリウム/リン酸一水素二ナトリウムなどのpH緩衝剤、
創傷の痛み又は炎症或いは被覆材に関連する痛みを少なくするためのリドカイン/塩酸リグノカイン及びキシロカイン(アドレノリン、リドカイン)などの局所鎮痛剤/麻酔剤、及び/又は抗炎症剤、
アミノ酸、糖、分子量の低い組織構築ブロック、及び微量元素など、創傷細胞の増殖を補助する栄養素、及びその他の細胞培養液種、及び、
空気、窒素、酸素、及び/又は一酸化窒素などの気体、並びに、
塩基性又は酸性のスカベンジャー及び/又はイオン交換体など、創傷からの滲出物内のpHを調整するための物質、或いは ScavengePore(登録商標)、フェネチルモルホリン(Aldrich)など、不安定ではなく、不溶性で、及び/又は固定化された種とすることができるその他の種が含まれる。
【0297】
本発明の装置内における流体洗浄の目的から、限外ろ過ユニットなどの単相システムと、透析ユニットなどの二相システムの双方は、下記のものなどのキャプティブな(不安定ではなく、不溶性で、及び/又は固定化された)種を有することができ、これらの種は、不溶性の及び/又は固定化された基質に結合され、その基質の上及び/又は中を通って灌注物及び/又は創傷からの滲出物が創傷被覆材から次いで(1つ又は複数の)流体再循環チューブへと流れる。
創傷床上の酸化的ストレスを緩和するための3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE及びグルタチオン、並びにそれらの安定した誘導体、さらにはそれらの混合物などの酸化防止剤及びフリーラジカルスカベンジャー、
DFO(デスフェリオキサミン)、3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)などのDFO(デスフェリオキサミン)、3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)、キレート剤s及び/又はイオン交換体などの鉄IIIキレート剤(Fe IIIは、創傷床上の酸化的ストレスに関与する)などの遷移金属イオンキレート剤などの金属イオンキレート剤及び/又はイオン交換体、
塩基性又は酸性のスカベンジャー及び/又はイオン交換体など、創傷からの滲出物内のpHを調整するための物質、或いは ScavengePore(フェネチルモルホリン(Aldrich))など、不安定ではなく、不溶性で、及び/又は固定化された種とすることができるその他の種、
鉄III還元体、
TIMP及びAAT(α−1−抗トリプトシン)などのプロテアーゼインヒビター、AEBSF,PefaBloc(4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリド)及びTLCK(Nα−p−トシル−L−リシンクロロメチルケトン)並びにε−アミノカプロイル−p−クロロベンジルアミドなどのセリンプロテアーゼインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビター、及びカルボキシル(酸)プロテアーゼインヒビター、
創傷の治癒にとって有害なレドックスセンシティブな遺伝子の創傷からの滲出物への発現を誘発する物質を除去することによって創傷の治癒を促進する上で潜在的に又は実際に有益な犠牲的なレドックス物質、
酵素とすることができるオートインデューサ信号伝達分子ディグレーダ、及びリポ多糖類、たとえばペプチドミメティックスを結合又は破壊するための抗炎症性の物質。
【0298】
創傷の治癒にとって有害な滲出物のその他の生理的に活性な成分は、このようにして除去することができる。
【0299】
これらは、適切なキレート剤及び/又はイオン交換体、酵素とすることができるディグレーダ、或いはその他の種を使用して除去することができる。
【0300】
下記のタイプの機能的にされた基質は、創傷及び流体リザーバからの循環流体にそれらの上を通過させた際に創傷の治癒にとって有害な物質を除去できる部分をその表面上に有している。
異質成分からなる樹脂、たとえば
金属スカベンジャー、
3−(ジエチレントリアミノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
2−(4−(エチレンジアミノ)ベンゼン)エチル−機能的にされたシリカゲル、
3−(メルカプト)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(1−チオウレイド)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
トリアミンテトラアセテート−機能的にされたシリカゲル、
又は求電子性のスカベンジャー、
4−カルボキシブチル−機能的にされたシリカゲル、
4−エチルベンゼンスルホニルクロリド−機能的にされたシリカゲル、
プロピオニルクロリド−機能的にされたシリカゲル、
3−(イソシアノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(チオシアノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(2−無水コハク酸)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(マレイミド)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
又は求核性のスカベンジャー、
3−アミノプロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(エチレンジアミノ)−機能的にされたシリカゲル、
2−(4−(エチレンジアミノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(ジエチレントリアミノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
4−エチル−ベンゼンスルフォンアミド−機能的にされたシリカゲル、
2−(4−トルエンスルホニル ヒドラジノ)エチル−機能的にされたシリカゲル、
3−(メルカプト)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
ジメチルシロキシ−機能的にされたシリカゲル、
或いは塩基性又は酸性のスカベンジャー、
3−(ジメチルアミノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド−[1,2−α]ピリミジノ)プロピル−機能的にされた
シリカゲル、
3−(1−イミダゾル−1−イル)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(1−モルフォリノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(1−ピペラジノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(1−ピペリジノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(4,4−トリエチルジピペリジノ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
2−(2−ピリジル)エチル−機能的にされたシリカゲル、
3−(トリメチルアンモニウム)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
又は試薬、
3−(1−シクロヘキシルカルボジイミド)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
TEMPO−機能的にされたシリカゲル、
2−(ジフェニルフォスフィノ)エチル−機能的にされたシリカゲル、
2−(3,4−シクロヘキシルジオール)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(グリシドキシ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
1−(アリル)メチル−機能的にされたシリカゲル、
4−ブロモプロピル−機能的にされたシリカゲル、
4−ブロモフェニル−機能的にされたシリカゲル、
3−クロロプロピル−機能的にされたシリカゲル、
4−ベンジル クロリド−機能的にされたシリカゲル、
2−(カルボメトキシ)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(4−ニトロベンズアミド)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
3−(ウレイド)プロピル−機能的にされたシリカゲル、
或いは上記の何らかの組合せなどのシリカでサポートされた試薬。
【0301】
不溶性で固定化された基質に結合され、灌注物及び/又は創傷からの滲出物が創傷被覆材からその基質の上及び/又は中を通る、上述のものなどの、このようなキャプティブな(不安定ではなく、不溶性で、及び/又は固定化された)種の使用については、流体洗浄用手段に適するものとして上述した。
【0302】
しかしこれらは、適切な場合には、灌注物及び/又は創傷からの滲出物と接触するが、被覆材内に存在することの多い、創傷の治癒にとって有害な物質を創傷から除去するための、装置の任意の部分において使用することがさらに可能である。
【0303】
流体洗浄用手段は、適切な場合には、1つ又は複数のマクロスコピック及び/又はマイクロスコピックフィルタを含むことがさらに可能である。
【0304】
これらは、微粒状物質、たとえば細胞残屑及び微生物を保持し、タンパク質及び栄養素を透過させることができるべきである。
【0305】
或いは透析ユニットなど、あまり従来のタイプではない二相システム(上を参照されたい)は、流体洗浄用手段として使用することができる。このタイプにおいては、透析ポリマーフィルム、シート、又は膜は、
セリンプロテアーゼ、たとえばエラスターゼ及びトロンビンなどのプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ、たとえばコラゲナーゼ、及びカルボキシル(酸)プロテアーゼ、
リポ多糖類などのエンドトクシン、
TSP−1(トロンボスポンジン−1)、プラスミノゲンアクチベータインヒビター、アンギオスタチン(プラスミノゲンフラグメント)など、血管形成のインヒビター、
TNFα(腫瘍壊死因子α)及びIL−1β(インターロイキン1β)などのプロ炎症性サイトカイン、並びに
フリーラジカル、たとえば過酸化物及び超酸化物などのオキシダント、並びに金属イオン、たとえば鉄11及び鉄111、創傷床上の酸化的ストレスに関与するすべてのもの、並びに、
プロトンなど、創傷からの滲出物内のpHに悪影響を与える塩基性又は酸性の種など、創傷の治癒にとって有害な物質に対して選択透過性を有する完全体ではない。
【0306】
しかしこれは、より大きな又はより小さな分子である可能性があるが、創傷の治癒に有益に関与している創傷からの滲出物及び/又は灌注流体の成分が、その中へと流れ込み、通過することも可能にするであろう。
【0307】
血液透析液内に、或いは好ましくは流体洗浄用手段において少なくとも1つの表面がその血液透析液と接触している1つ又は複数の固体の構造的な完全体内に、
このような種に対するアンタゴニスト、たとえばAEBSF,PefaBloc(4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルロリド)及びTLCK(Nα−p−トシル−L−リシンクロロメチルケトン)並びにs−アミノカプロイル−p−クロロベンジルアミドなどのセリンプロテアーゼインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビター、及びカルボキシル(酸)プロテアーゼインヒビターなどのプロテアーゼインヒビターなどの酵素又はその他のもの、
リポ多糖類、たとえばペプチドミメティックスを結合又は破壊するための抗炎症性の物質などの結合剤及び/又はディグレーダ、
創傷床上の酸化的ストレスを緩和するための3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE及びグルタチオン、並びにそれらの安定した誘導体、さらにはそれらの混合物などの酸化防止剤、
DFO(デスフェリオキサミン)、3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)などのキレート剤及び/又はイオン交換体、
塩基性又は酸性のスカベンジャー及び/又はイオン交換体など、創傷からの滲出物内のpHを調整するための物質、或いはScavengePore(フェネチルモルホリン(Aldrich))など、不安定ではなく、不溶性で、及び/又は固定化された種とすることができるその他の種、
であることによって、創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去できる1つ又は複数の物質が存在する。
【0308】
これらは、(サイトカイン、たとえばα−アミノ−γ−ブチロラクトン及びL−ホモカルノジンなどのバクテリアルサイトカインを含む)ペプチド、及び
鉄III還元体など、創傷の治癒を促進する上で潜在的に又は実際に有益な犠牲的なレドックス物質、及び/又はグルタチオンレドックスシステムなど、このタイプの再生可能な物質、並びに、
その他の生理的に活性な成分をさらに含む。
【0309】
このあまり従来のタイプではない二相システムの透析ユニットの使用中に、通常は幅広い範囲の種が、滲出物から血液透析液内へと流れ込む。
【0310】
何らかの(主にイオン)種が、血液透析液から、創傷の治癒にとって有害な物質に対してあまり選択透過性を有していない透析ポリマーフィルム、シート、又は膜を通って、灌注物及び/又は創傷からの滲出物へと流れ込むことになる。
【0311】
創傷からの滲出物及び/又は灌注流体の成分は、それを通って自由に行き来し、拡散することになる。
【0312】
(好ましくは)血液透析液のうち、廃棄へ、たとえば回収バッグへ排泄されるものが何もない場合、血液透析液と、灌注物及び/又は創傷からの滲出物との間で、最終的には定常状態の濃度平衡が確立され、これは創傷被覆材から「補給」される。
【0313】
創傷流体を循環させることは、創傷の治癒を促進する上で有益な物質のこの平衡をより早く達成する上で役に立つ。
【0314】
これはまた、それらの物質を、それらの物質が潜在的に最も有益となる可能性のある部位、すなわち創傷床へ戻す。
【0315】
このターゲットとなる創傷の治癒にとって有害な物質はまた、滲出物から、創傷の治癒にとって有害な物質に対してあまり選択透過性を有していない透析ポリマーフィルム、シート、又は膜を通って、血液透析液へと流れ込み、その血液透析液内の、或いは好ましくは少なくとも1つの表面がその血液透析液内にある1つ又は複数の固体の構造的な完全体上の適切なアンタゴニスト、結合剤及び/又はディグレーダ、キレート剤及び/又はイオン交換体、並びにレドックスエージェントなどと接触し、創傷からの滲出物及び/又は灌注流体のその他の成分とは異なり、除去される。
【0316】
創傷の治癒を促進する上で有益な何らかの物質を依然として含む洗浄後の流体は、再循環チューブへ戻される。
【0317】
創傷からの滲出物及び/又は灌注流体のその他の成分とは異なり、ターゲットの物質は、血液透析液から継続的に除去され、これらの種のごくわずかしか、血液透析液から灌注物及び/又は創傷からの滲出物へは流れ込まず、たとえその種が創傷被覆材から継続的に「補給」されても、定常状態の濃度平衡は確立されない。
【0318】
創傷流体を循環させることは、創傷の滲出物からの創傷の治癒にとって有害な物質を再循環から除去し、その一方で、創傷と接触した状態で創傷の治癒を促進する上で有益な物質を保持する上で役に立つと考えられている。
【0319】
この形態の二相システムの特に有利な点は、創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去できる物質が、(細胞)毒性を有するか、又は生体適合性がないか、或いは創傷の治癒を促進する上で有益ないずれかの成分に対して不活性ではない場合に、このシステムは、何らかの有意な量のアンタゴニストが血液透析液から灌注流体内へと自由に拡散できないようにすることである。しかしこの活性な物質は、流体上で有益に機能することができる。
【0320】
このフィルム、シート、又は膜は、金属イオン封鎖又は破壊の対象とされる種がかん流できるように選択された(従来の定義による)MWCO(molecular weight cut off)の透析膜であることが好ましい。
【0321】
たとえばセリンプロテアーゼエラスターゼ(分子量、25900ダルトン)の金属イオン封鎖には、MWCOが25900ダルトンを上回る膜が必要となるであろう。
【0322】
MWCOのしきい値は、1〜3000000ダルトンの間のそれぞれの適用に合うように変化することができる。好ましくは、MWCOは、より大きな競合種による金属イオン封鎖の干渉を排除するために、できるだけこの重量に近いものとすべきである。
【0323】
限外ろ過ユニットなどの単相システムと、透析ユニットなどの二相システムは双方とも、本発明の装置から比較的容易に取り外し可能なモジュール形式とすることができる。このシステムは、1つ又は複数のこのようなモジュールを含むことができることが好ましい。
【0324】
これらの導管を通じて、それぞれ、
a)灌注物及び/又は創傷からの滲出物が創傷被覆材から流れ、
b)創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体が、再循環チューブへ戻され、
c)(手段が透析ユニットなどの二相システムの形態で提供される場合には)これらの導管を通じて、洗浄流体がこの手段に流入し、またこの手段から流出し、
モジュールを取り外して回収する際に、
i)流れをオフに切り替え、
ii)導管の両端にわたっては、すぐに流体密封又は流体密閉を、そのように露出されている本発明の装置の残りの部分には、共働するチューブを提供して、
灌注物及び/又は滲出物、並びに洗浄後の流体、さらには洗浄流体が引き続き流れることを防止するための手段を有することが好ましい。
【0325】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明の装置は、創傷から流体を排流するためのバルブやその他の制御デバイスなどのレギュレータなど、除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段を提供される。
【0326】
創傷及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるためのデバイスを使用して、灌注物を創傷被覆材へ移動させ、創傷床上に望ましい正圧又は負圧をかける。
【0327】
再循環チューブ内における流体の望ましいバランスは、通常は必要に応じて、
a)除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段、
b)供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段、及び/又は、
c)骨格及び創傷床の上に、及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるための手段、
を使用して調節されることになる。
【0328】
したがって、たとえば、
a)創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置が、限外ろ過ユニットなどの単相システムであり、
b)創傷が、滲出度合いの高い状態になく、
c)流体が流体リザーバから創傷へと流れることを認めることが適切ではないか、又は望ましくない場合、
再循環中の流体のバランスには変化がまったくないか、あってもごくわずかである。
【0329】
いったんこれが、たとえば創傷床上の望ましい正圧又は負圧に対して、その全体にわたって呼び水を入れられると、この装置は、閉じられた再循環システムとして機能することができる。
【0330】
供給チューブと再循環チューブの間で流れを切り替えるための手段がセットされて、流体供給チューブを介して流体リザーバに対して創傷を閉じ、除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段も閉じられる。
【0331】
a)創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置が、限外ろ過ユニットなどの単相システムであり、
b)創傷が、滲出度合いの高い状態にあり、及び/又は、
c)流体が流体リザーバから創傷へと流れることを認めることが適切であるか、又は望ましい場合、
再循環中の流体のバランスには、はっきりとした変化がある。
【0332】
いったんこれが、たとえば創傷床上の望ましい正圧又は負圧に対して、その全体にわたって呼び水を入れられると、おそらくは望ましくないことだが、創傷床に対する圧力を増大させなければ、この装置は、閉じられた再循環システムとして機能することはできない。
【0333】
除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段は、創傷床上の正圧を緩和するために、ある程度開かなければならない。オフにされた排流は、廃棄へ、たとえば回収バッグへ排泄することができる。
【0334】
この方法で治療が施される際には、創傷の治癒を促進する上で有益な物質が、それらの物質が潜在的に最も有益となる可能性のある部位、すなわち創傷床にとって、失われる可能性がある。
【0335】
しかし再循環中の流体のバランスは、この望ましくない流出を最小限に抑えるように定型的に調整することができる。
【0336】
透析ユニットの形態の二相システムの流体洗浄用手段、又は二相性の抽出ユニットを有する装置における再循環中の流体のバランスを決定する要因について、その装置のオペレーションに関連して、ここまで詳細に説明した。装置の流路の全長にわたって定常状態の再循環が確立された後のどこかの時点で、全体の流体レベルが、血液透析液からの移送によって望ましくない水準まで高まっている場合は、いずれかの排流バルブを開くことが必要となる可能性があることには、ここで気がつけば十分である。
【0337】
a)除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段、
b)供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段、及び/又は、
c)流体を移動させるための手段、
によって再循環チューブ内における流体の望ましいバランスを保持するためのその他の組合せ、及び必要な調整は、当業者にとって明らかであろう。
【0338】
除去チューブ及び/又は再循環チューブから排流するための手段からの排流は、回収してモニタし、創傷及び/又はその滲出物の状態を診断するために使用することができる。
【0339】
廃棄物リザーバは、任意の通常の型のものであってよく、たとえば放出された灌注流体を含むことができ、たとえばポリマーフィルムの、チューブ、(通常はオストミーバッグとして使用されるバッグなどの)バッグ、チェンバ、ポーチ、又はその他の構造とすることができる。この装置のすべての実施形態では、廃棄物リザーバのタイプ及び材料は、その機能によって大部分が決定されることになる。使用に適するためには、この材料は、いったん使用中となれば流体が透過できず、柔軟性を有するものであればよい。
【0340】
流体リザーバ用の適切な材料の例としては、ポリ(塩化ビニリデン)などのポリオレフィンなどの合成高分子材料が含まれる。この目的のための適切な材料としては、ポリエチレン、たとえば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー、たとえば酢酸ビニル及びそれらの混合物を伴ったものも含まれる。
【0341】
本発明の第2の態様では、適合可能な創傷被覆材が提供され、この創傷被覆材は、
創傷の全体を覆って相対的な流体密封又は流体密閉を形成できる創傷対向面を有する1つのバッキング層を含み、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体供給チューブへ接続するための少なくとも1つの流入パイプと、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体除去チューブへ接続するための少なくとも1つの流出パイプとを有し、
その又はそれぞれの流入パイプ及びその又はそれぞれの流出パイプが創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントが、創傷の全体を覆って相対的な流体密封又は流体密閉を形成することを特徴とする。
【0342】
このような創傷被覆材の適切な形態の例は、前に例示したようなものである。
【0343】
この被覆材は、有利には、バクテリアの侵入を防止するポーチにおいて使用するために提供される。
【0344】
本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材は、本発明の範囲内で生物分解性の骨格と共に創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するために使用され、この骨格によって、流体を創傷被覆材から創傷床へ供給することができる。
【0345】
したがって本発明の第3の態様によれば、創傷を吸引及び/又は灌注する治療のための被覆材アセンブリが提供され、これは、本発明の第2の態様の被覆材及び生物分解性の骨格を含み、使用中には創傷被覆材の下に設置されることを特徴とする。
【0346】
本発明の目的は、
c)既知の吸引及び/又は灌注療法の不利な点のうちの少なくともいくつかを取り除くこと、及び、
d)
i)創傷の治癒にとって有害な物質を創傷の滲出物から除去し、その一方で創傷床と接触した状態で創傷の治癒を促進する上で有益な物質を保持することができ、且つ/或いは、
ii)創傷の治癒を促進する上で有益な物質を有効な分量含む流体が、骨格及び創傷床と接触した状態で創傷の中へ及び/又は創傷を通って流れるようにすることができる、
治療システムを提供することである。
【0347】
したがって本発明の第3の態様では、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための本発明の装置を使用して創傷の治癒を促進するために創傷を処置する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0348】
次いで本発明について、例示としてのみ添付の図面を参照して説明することにする。
【0349】
すべての図においては、本発明の第1の態様による創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置の概略図を示しているか、或いは本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材の図を示しているかにかかわらず、生物分解性の骨格は、創傷床と接触して創傷床に適合した状態で、使用中の創傷被覆材の下に設置されている。これは、説明をわかりやすくするために、図面を通じて省略されている。
【0350】
図1を参照すると、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置(1)は、
創傷(5)の全体を覆って相対的な流体密封又は流体密閉(4)を形成できる1つのバッキング層(3)、
(8)においてバッキング層(5)の創傷対向面の中を通る、流体供給チューブ(7)へ接続するための1つの流入パイプ(6)、及び、
(11)において創傷対向面の中を通る、流体除去チューブ(10)へ接続するための1つの流出パイプ(9)を有し、
その流入パイプ及び流出パイプが創傷対向面の中及び/又は下を通るポイント(8)、(11)が、創傷の全体を覆って相対的な流体密封又は流体密閉を形成する、
1つの適合可能な創傷被覆材(2)と、
バッキング層の下に配置されて、使用中には創傷床と接触した状態で設置されるように構成されている1つの生物分解性の骨格(111)と、
創傷上に低い負圧をかけるために流体循環チューブ(13)上でそのロータ(図示せず)上の周辺ローラと共に機能する、創傷及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるためのデバイス(17)、ここでは蠕動ポンプ(18)、たとえば好ましくは小型のポータブルな蠕動ポンプと、を含んでなり、
流入パイプは、供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段、ここではTバルブ(14)を介して、流体供給チューブ(7)によって流体リザーバ(12)へ、チューブから排流するための手段、ここでは排流Tバルブ(16)を有する流体再循環チューブ(13)へ、そして廃棄へ、たとえば回収バッグ(図示せず)へと接続されており、
流出パイプ(9)は、流体除去チューブ(15)へ接続され、これは次いで、ここでは限外ろ過ユニットの形態の流体洗浄用手段(17)へ接続され、流体再循環チューブ(13)及びTバルブ(14)を介して流入パイプ(6)へ接続されている。
【0351】
限外ろ過ユニット(17)は、単相システムである。これにおいては、創傷及び流体リザーバからの循環流体は、創傷の治癒にとって有害な物質が除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体が再循環チューブを介して創傷床へ戻される自己完結型のシステム内を流れる。
【0352】
(この装置の変形形態においては、2つの流入パイプ(6)が存在し、これらは、それぞれ流体供給チューブ(7)及び流体再循環チューブ(13)へ接続され、これらのそれぞれは、流体が流体リザーバ(12)から創傷内へと流れることを認めるための第1のバルブ(19)と、流体が再循環チューブから創傷内へと流れることを認めるための第2のバルブ(20)とを有する。通常、この装置の使用中は、第1のバルブ(19)が開いているときには、第2のバルブ(20)は閉じており、第2のバルブ(20)が開いているときには、第1のバルブ(19)は閉じている)
【0353】
装置(1)の使用中には、バルブ(16)が回収バッグ(図示せず)に対して開かれ、Tバルブ(14)が回って、流体リザーバからの流体が、流体供給チューブ(7)及び流入パイプ(6)を通って創傷被覆材へ流れることができる。(2つの流入パイプ(6)を有するこの装置の変形形態においては、それらの流入パイプ(6)は、それぞれ流体供給チューブ(7)及び流体再循環チューブ(13)へ接続され、流体が流体リザーバ(12)から創傷内へと流れることを認めるための第1のバルブ(19)が開かれると、第2のバルブ(20)が閉じられ、また第2のバルブ(20)が開かれると、第1のバルブ(19)が閉じられる)
【0354】
ポンプ(18)が始動されて、そのロータ(図示せず)上の周辺ローラを使用して流体再循環チューブ(13)をはさみ、創傷上に低い正圧をかける。これは、装置がその装置の流路の全長にわたって呼び水を入れられるまで作動させることができ、余分な流体は、排流Tバルブ(16)を介して回収バッグ(図示せず)内へと排泄されて、廃棄される。
【0355】
次いでTバルブ(14)が回されて、供給から再循環への切り替えが行われる、すなわち流体リザーバ(12)に対して創傷を閉じる一方で、流体が流体再循環チューブ(13)から創傷内へと流れることを認めるようにセットされ、同時に排流Tバルブ(16)が閉じられる。
【0356】
(この装置の変形形態においては、2つの流入パイプ(6)が存在し、これらは、それぞれ流体供給チューブ(7)及び流体再循環チューブ(13)へ接続されている。
【0357】
この変形形態のオペレーションにおいては、第1のバルブ(19)が閉じられ、流体が再循環チューブ(13)から創傷内へと流れることを認めるための第2のバルブ(20)を開くことによって、再循環システムがセットアップされる)
【0358】
創傷及び流体リザーバ(12)からの循環流体は、限外ろ過ユニット(17)を通って流れる。
【0359】
創傷の治癒にとって有害な物質は除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体は、再循環チューブ(13)を介して創傷床へ戻される。
【0360】
流体の再循環は、希望するだけ長く継続することができる。
【0361】
次いでTバルブ(14)を回して、流体が流体リザーバから流体供給チューブ(7)及び流入パイプ(6)を通って創傷被覆材へ流れることを認めることによって、供給と再循環の間における切り替えが逆転される。
【0362】
(2つの流入パイプ(6)を有するこの装置の変形形態においては、それらの流入パイプ(6)は、それぞれ流体供給チューブ(7)及び流体再循環チューブ(13)へ接続され、流体が流体リザーバ(12)から創傷内へと流れることを認めるための第1のバルブ(19)が開かれると、第2のバルブ(20)が閉じられ、また第2のバルブ(20)が開かれると、第1のバルブ(19)が閉じられる)同時に排流バルブ(16)が開かれ、これによって新鮮な流体が、再循環システムをフラッシュする。
【0363】
ポンプ(18)の動作は、装置がフラッシュされるまで継続することができ、その時点で、その動作及び流体の再循環は停止する。
【0364】
たとえば創傷が滲出度合いの高い状態にある場合、再循環中の流体のバランスには、はっきりとした変化がある。排流Tバルブ(16)を開いて、流体を再循環チューブ(13)から排流することによって、流体を再循環から排流することが必要となる可能性がある。
【0365】
図2を参照すると、装置(21)は図1の装置の変形形態であり、同じ構成要素、及び同じ番号を付けられた構成要素を有するが、流体洗浄用手段は例外であり、これは、二相システムの形態、ここでは透析ユニット(23)である。
【0366】
これにおいては、1つのシステムが存在し、そのシステムを通って創傷及び流体リザーバからの循環流体が流れ、第2のシステムとの選択透過性の接触によってそこから有害な物質が除去され、それを通って洗浄流体が流れる。
【0367】
透析ユニット(23)は、このように内部のポリマーフィルム、シート、又は膜(24)を有し、これは、創傷の治癒にとって有害な物質に対して選択透過性を有し、
a)洗浄流体にポリマーフィルム、シート、又は膜の一方の表面を通過させる第1のチェンバ(25)と、
b)創傷及び流体リザーバ(12)からの循環流体を通過させて、そこから有害な物質が除去される第2のチェンバ(26)と、に分割されている。
【0368】
透析ユニット(23)は、このように血液透析液流入パイプ(28)を有し、これは血液透析液供給チューブ(29)へ接続されており、これは蠕動ポンプ(38)、たとえば好ましくは小型のポータブルな蠕動ポンプに至り、これは、そのロータ(図示せず)上の周辺ローラを使用して血液透析液供給チューブ(29)上で機能して、バルブ(34)を介して血液透析液リザーバ(図示せず)から第1のチェンバ(25)内のポリマーフィルム、シート、又は膜(28)の表面を通って洗浄流体を供給する。
【0369】
透析ユニット(27)はまた、血液透析液流出パイプ(30)を有し、これは血液透析液流出チューブ(31)へ接続されており、第2の排流Tバルブ(36)を介して、たとえば回収バッグ(図示せず)内へと流れて、廃棄される。
【0370】
この装置のオペレーションは図1と類似しているが、透析ユニット(27)は例外であり、灌注システムが呼び水を入れられて、装置の流路の全長にわたって定常状態の再循環が確立された後のどこかの時点で、バルブ(34)及び第2の排流バルブ(36)が開かれる。
【0371】
ポンプ(38)が始動されて、そのロータ(図示せず)上の周辺ローラを使用して流体血液透析液チューブ(37)をはさんで、洗浄流体を血液透析液リザーバ(図示せず)から第1のチェンバへ、そして排流バルブ(36)を介して回収バッグ(図示せず)内へと送り込んで廃棄する。
【0372】
透析ユニット(27)は、モジュール(又はスクラビングカートリッジ)であり、洗浄後の流体内の有害な要素の存在と、そのスクラビングカートリッジが消耗しており、新しくすべきであることとを色の変化で示す基質を有する。
【0373】
図3〜図6を参照すると、それぞれの被覆材(41)は、25ミクロンという均一の厚さを有する微生物が透過できないフィルムのバッキング層(42)によって画定されている適合可能な物体の形態であり、創傷の全体を覆って相対的な流体密封又は流体密閉を形成できる創傷対向面(43)を有する。
【0374】
バッキング層(42)は、使用中には創傷上で創傷のまわりの皮膚の上に広がっている。
【0375】
これは、重なり(44)の上のバッキング層(43)の近位面上に接着フィルム(45)を有し、これによって皮膚に十分に接着して、創傷被覆材の創傷対向面(43)の外周を囲んで創傷被覆材を流体密封状態で適切な位置に保持する。
【0376】
創傷対向面(43)の中及び/又は下を通る流体供給チューブ(図示せず)へ接続するための1つの流入パイプ(46)と、創傷対向面(43)の中及び/又は下を通る流体除去チューブ(図示せず)へ接続するための1つの流出パイプ(47)とが存在する。
【0377】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0378】
図3a及び図3bを参照すると、被覆材の一形態が、円形のバッキング層(42)の下に創傷フィラー(48)を伴って提供されている。
【0379】
これは、ほぼ円錐台状でトーラス状の適合可能な中空体を含み、この中空体は、それを創傷の形状へと促す流体、ここでは空気又は窒素で満たされた膜(49)によって画定されている。フィラー(48)は、接着フィルム(図示せず)を使用して、又は熱融着によって、バッキング層に永久に連結されている。
【0380】
流入パイプ(46)及び流出パイプ(47)は、トーラス状の中空体(48)の中央のトンネル(50)の上のバッキング層(42)内の中央に取り付けられ、それぞれバッキング層(42)の中を通っている。
【0381】
これらのそれぞれは、それぞれパイプ(51)及び(52)内をトーラス状の中空体(48)のトンネル(50)を通って、次いで中空体(48)の下を正反対の方向に放射状に延びている。
【0382】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0383】
被覆材のこの形態は、より深い創傷用のさらに適切なレイアウトである。
【0384】
図4a及び図4bを参照すると、より浅い創傷用のさらに適切な形態が示されている。
【0385】
これは、円形のバッキング層(42)と、そのバッキング層(42)に熱融着によって永久に連結されて円形のポーチ(63)を形成している、アパーチャ(62)を有する円形で上向きにくぼんだ第1の膜(61)とを含む。
【0386】
ポーチ(63)は、ホール(64)を通じて流入パイプ(46)と連通しており、ひいては被覆材の使用中に循環流体を直接創傷へ供給する事実上の流入パイプマニフォールドを形成している。
【0387】
開口(66)を有する環状の第2の膜(65)が、バッキング層(42)に熱融着によって永久に連結されており、その層(42)と共に環状のチェンバ(67)を形成している。
【0388】
チェンバ(67)は、オリフィス(68)を通じて流出パイプ(47)と連通しており、ひいては被覆材の使用中に流体を直接創傷から回収する事実上の流出パイプマニフォールドを形成している。
【0389】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0390】
図5a及び図5bを参照すると、より深い創傷用のさらに適切な形態である、図4a及び図4bの被覆材の変形形態が示されている。
【0391】
これは、円形のバッキング層(42)と、円錐台状の固体の完全体を逆さまにした形態のフィラー(69)とを含み、このフィラー(69)は、ここでは弾性を有するエラストマー系のフォームであり、熱可塑性の、又は好ましくは架橋プラスチックのフォームから形成されている。
【0392】
これは、接着フィルム(図示せず)を使用して、又は熱融着によって、バッキング層(43)に永久に連結されている。
【0393】
円形で上向きにくぼんだシート(70)が、バッキング層(42)及び固体の完全体(69)の下に配置されており、それらに適合しているが、これは、それらとは別個の構造であり、それらとは永久に連結されない。
【0394】
アパーチャ(72)を有する円形で上向きにくぼんだ第1の膜(71)が、シート(70)に熱融着によって永久に連結されており、そのシート(70)と共に円形のポーチ(73)を形成している。
【0395】
ポーチ(73)は、ホール(74)を通じて流入パイプ(46)と連通しており、ひいては被覆材の使用中に循環流体を直接創傷へ供給する事実上の流入パイプマニフォールドを形成している。
【0396】
開口(76)を有する環状の第2の膜(75)が、シート(70)に熱融着によって永久に連結されており、そのシート(70)と共に環状のチェンバ(77)を形成している。
【0397】
チェンバ(77)は、オリフィス(78)を通じて流出パイプ(77)と連通しており、ひいては被覆材の使用中に流体を直接創傷から回収する事実上の流出パイプマニフォールドを形成している。
【0398】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0399】
或いは適切な場合には、円形で上向きにくぼんだシート(70)がバッキング層として機能し、固体のフィラー(69)が、バッキング層としてのシート(70)の下ではなく上に配置される形態で、被覆材を提供することもできる。フィラー(69)は、バッキング層(42)の代わりに接着フィルム又はテープを使用して、適切な位置に保持される。
【0400】
図6a及び図6bを参照すると、より深い創傷用のさらに適切な形態である被覆材が示されている。
【0401】
これは、円形のバッキング層(42)と、ほぼ半球状の完全体を逆さまにした形態のフィラー(79)とを含み、このフィラー(79)は、ここでは弾性を有するエラストマー系のフォームであるか、又はそれを創傷の形状へと促す流体、ここではゲルで満たされた中空体であり、接着フィルム(図示せず)を使用して、又は熱融着によって、バッキング層に永久に連結されている。
【0402】
流入パイプ(46)及び流出パイプ(47)は、バッキング層(42)内で周囲に沿って取り付けられている。
【0403】
円形で上向きにくぼんだシート(80)が、バッキング層(42)及びフィラー(79)の下に配置されており、それらに適合しているが、これは、それらとは別個の構造であり、それらとは永久に連結されない。
【0404】
円形で上向きにくぼんだ二枚重ねの膜(81)が、その薄膜からなる構成要素の間に閉じられた導流路(82)を有しており、この導流路(82)は、
膜(81)によって形成されているくぼみの外側表面(84)上にその全長に沿って穿孔(83)を有し、また、
導流路(82)が流入パイプ(46)と連通する際に経由する、そのらせん状のヘリックスの外側端部に開口(85)を有し、
ひいては被覆材の使用中に循環流体を直接創傷へ供給する事実上の流入パイプマニフォールドを形成している。
【0405】
膜(81)はまた、導流路(82)の全長に沿ってその曲がり角と曲がり角の間にアパーチャ(86)を有する。
【0406】
膜(81)によって形成されているくぼみの内側表面(87)は、その最も内側のポイント(88)において、接着フィルム(図示せず)を使用して、又は熱融着によって、シート(80)に永久に連結されている。これによって、接合して閉じられているらせんヘリカル状の導管(89)が画定されている。
【0407】
導管(89)は、そのらせん状のヘリックスの最も外側の端部において、開口(90)を通じて流出パイプ(47)と連通しており、ひいてはアパーチャ(86)を介して流体を直接創傷から回収するための事実上の流出マニフォールドとなる。
【0408】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0409】
図7a及び図7bを参照すると、円形のバッキング層(42)を有する被覆材の一形態が提供されている。第1の(大きい方の)半球を逆さまにした形の膜(92)が、層(42)に対して中央に熱融着によって永久に連結されて、その層(42)と共に半球状のチェンバ(94)を形成している。第1の膜の中にある第2の(小さい方の)同心半球状の膜(93)が、熱融着によって層(42)に永久に連結されて、半球状のポーチ(95)を形成している。
【0410】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0411】
ポーチ(95)は、流入パイプ(46)と連通して、ひいては事実上の流入マニフォールドとなっており、そこからパイプ(97)が半球状に放射状に延びて、骨格へと至り、アパーチャ(98)内で終端している。パイプ(97)は、アパーチャ(98)を介して循環流体を直接骨格に供給する。
【0412】
チェンバ(94)は、流出パイプ(47)と連通して、ひいては事実上の流出マニフォールドとなっており、そこから小管(99)が半球状に放射状に延びて、骨格へと至り、開口(100)内で終端している。小管(99)は、開口(100)を介して流体を直接創傷から回収する。
【0413】
図8a〜図8dを参照すると、正方形のバッキング層(42)を有する被覆材の一形態が提供されている。
【0414】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0415】
第1のチューブ(101)が流入パイプ(46)から、また第2のチューブ(102)が流出パイプ(47)から、それらがバッキング層を通り抜けるポイントを起点に延びて、骨格の上を通っている。これらのパイプ(101)、(102)には、それらのパイプ(101)、(102)に沿ってオリフィス(103)、(104)を有する出口のない穴があり、これらはそれぞれ、それらのオリフィスを介してそれぞれ循環流体を直接骨格へ供給したり、流体を直接創傷から回収したりする流入パイプ又は流出パイプマニフォールドを形成している。
【0416】
図8a及び図8dにおいては、流入パイプマニフォールド及び流出パイプマニフォールドとしての各パイプ(101)、(102)の1つのレイアウトが、らせん状になっている。
【0417】
図8bにおけるレイアウトは、図8a及び図8bのレイアウトの変形形態であり、このレイアウトにおいては、流入マニフォールド(101)が完全な又は部分的なトーラスになっており、流出マニフォールド(102)が放射状のパイプになっている。
【0418】
図8cを参照すると、別の適切なレイアウトが示されており、このレイアウトにおいては、流入マニフォールド(101)及び流出マニフォールド(102)が、骨格の上を犂耕状のパターン、すなわち犂で耕した溝のような様式のパターンでお互いに平行に通っている。
【0419】
図9a〜図9dを参照すると、より深い創傷用の他の適切なレイアウトが示されており、このレイアウトは、図8a〜図8dに示されているものと同じである。
【0420】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0421】
しかし、正方形のバッキング層(42)は、バッキング層(42)の下に創傷フィラー(110)を有しており、この創傷フィラー(110)は、接着フィルム(図示せず)を使用して、又は熱融着によって、バッキング層(42)に永久に連結されており、半球を逆さまにした形の固体の完全体、ここでは弾性を有するエラストマー系のフォームであり、熱可塑性の、又は好ましくは架橋プラスチックのフォームから形成されている。
【0422】
創傷フィラー(110)の下には、円形で上向きにくぼんだシート(111)があり、これは、固体のフィラー(110)に適合しているが、それとは別個の構造であり、それとは永久に連結されない。流入パイプ(46)及び流出パイプ(47)が、シート(111)を通り抜けて、骨格の上を通っている。これらのパイプ(101)、(102)にはやはり、それらのパイプ(101)、(102)に沿ってオリフィス(103)、(104)を有する出口のない穴がある。
【0423】
或いは(図5a及び図5bにおけるように)適切な場合には、円形で上向きにくぼんだシート(111)がバッキング層として機能し、固体のフィラー(110)が、バッキング層としてのシート(42)の下ではなく上に配置される形態で、被覆材を提供することもできる。フィラー(110)は、バッキング層(42)の代わりに接着フィルム又はテープを使用して、適切な位置に保持される。
【0424】
図10a〜図10cにおいては、それぞれ創傷へ流体を供給して創傷から流体を回収するための創傷被覆材用の流入マニフォールド及び流出マニフォールドが、スタック内で相互に永久に連結されている層内のスロット及びそうした層を通るアパーチャによって形成されている。
【0425】
したがって図10aにおいては、5つの正方形の同一の広がりを持つ熱可塑性のポリマー層からなる流入マニフォールド及び流出マニフォールドスタック(120)の分解等角図が示されており、これらの層は、第1〜第5の層(121)〜(125)であり、それぞれ接着フィルム(図示せず)を使用して、又は熱融着によって、スタック(120)内の隣接する層に連結されている。
【0426】
(使用中の被覆材内で最も末端にある)最も上の(第1の)層(121)は、空白の正方形のキャッピング層である。
【0427】
次の(第2の)層(122)は、マニフォールドスタック(120)から抜き出した状態で図10bに示されており、正方形の層であり、その中を通る流入マニフォールドスロット(126)を有する。スロット(126)は、流体流入チューブ(図示せず)の接合端部に接続するための層(122)の1つの縁部(127)へ至り、お互いの間に間隔を空けた平行なアレイの状態の4つの隣接する分岐(128)へと広がる。
【0428】
次の(第3の)層(123)は、別の正方形の層であり、アレイ内でこの層(123)を通る流入マニフォールドアパーチャ(129)を有し、これによってこれらのアパーチャ(129)は、(図10bに示されている)第2の層(122)を通る流入マニフォールドスロット(126)と見当が合う。
【0429】
次の(第4の)層(124)は、マニフォールドスタック(120)から抜き出した状態で図10cに示されており、別の正方形の層であり、アレイ内でこの層(124)を通る流入マニフォールドアパーチャ(130)を有し、これによってこれらのアパーチャ(130)は、第3の層(123)を通るアパーチャ(129)と見当が合う。
【0430】
これはまた、その中を通る流出マニフォールドスロット(131)を有する。
【0431】
スロット(131)は、流体流出チューブ(図示せず)の接合端部に接続するための層(122)の縁部(127)から、マニフォールドスタック(120)の反対側の層(124)の1つの縁部(132)へと至る。
【0432】
これは、層(124)内のアパーチャ(130)どうしの間の間隔内における平行なアレイ内の3つの隣接する分岐(133)へと広がり、層(122)内のアパーチャ(129)どうしの間の間隔と見当が合う。
【0433】
最後の(第5の)層(125)は、別の正方形の層であり、アレイ内でこの層(125)を通る流入マニフォールドアパーチャ(134)を有し、これによってこれらのアパーチャ(134)は、第4の層(124)を通る流入マニフォールドアパーチャ(130)と見当が合う(ひいては第3の層(123)を通るアパーチャ(129)と見当が合う)。
【0434】
これはまた、アレイ内の層(125)内に流出マニフォールドアパーチャ(135)を有し、これによってこれらのアパーチャ(135)は、第4の層(124)内の流出マニフォールドスロット(131)と見当が合う。
【0435】
層(121)〜(125)が全体として連結されて、スタック(120)を形成すると、最も上の(第1の)層(121)、第2の層(122)を通る流入マニフォールドスロット(126)、及び第3の層(123)が共働して、第2の層(122)内に1つの流入マニフォールドを形成し、これは、使用中には流体流入チューブ(図示せず)の接合端部に接続されることがわかるであろう。
【0436】
第2の層(122)を通る流入マニフォールドスロット(126)、並びに層(123)、(124)、及び(125)を通る流入マニフォールドアパーチャ(129)、(130)、及び(134)が、すべて相互に見当が合い、共働して、第2の層(122)内の流入マニフォールドと、スタック(120)の近位面(136)との間に、第3〜第5の層(123)、(124)、及び(125)を通る流入マニフォールド導管を形成する。
【0437】
第3の層(121)、第4の層(124)を通る流出マニフォールドスロット(131)、及び第5の層(125)が共働して、第4の層(124)内に1つの流出マニフォールドを形成し、これは、使用中には流体流出チューブ(図示せず)の接合端部に接続される。
【0438】
第4の層(124)を通る流出マニフォールドスロット(131)と、第5の層(125)を通る流出マニフォールドアパーチャ(135)とが、相互に見当が合い、共働して、第4の層(124)内の流出マニフォールドと、スタック(120)の近位面(136)との間に、第5の層(125)を通る流出マニフォールド導管を形成する。
【0439】
生物分解性の骨格(111)が、被覆材の残りの部分の下に配置されており、使用中には創傷床と接触するように設置されている。
【0440】
図11を参照すると、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置(1)は、図1の装置(1)の変形形態である。
【0441】
これは、システム内における何らかの閉塞に対するポンプの保護として、ポンプ(17)の周囲にバイパス(711)を有する。
【0442】
これは、適切な手段によって自動的に起動され、たとえば通常はバースティングディスク(図示せず)、又は圧力起動式の電動バルブによってブロックされる。
【0443】
バイパス(711)の代替手段は、余分な負荷又は圧力を検知してポンプをシャットダウンするシステム内の圧力センサである。
【0444】
図12を参照すると、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置(1)は、図2の装置(1)の変形形態である。
【0445】
図2の装置(1)は、透析ユニット(21)を有する二相システムだが、このシステムにおいては、透析流体は、血液透析液リザーバ(図示せず)から第1のチェンバ(25)内の透析膜(28)の表面を1回だけ通り抜けて、第2の排流Tバルブ(36)を介して、たとえば回収バッグ(図示せず)へと廃棄される。
【0446】
この変形形態は、血液透析液ポンプ(23)の流入側の第1のTバルブ(816)と、第2のTバルブ(817)との間を通る血液透析液再循環チューブ(811)を有し、これによってポンプ(23)は、いったん回路が呼び水を入れられると、透析ユニット(21)の全体にわたる複数の通路において血液透析液を再循環させることができる。
【0447】
このシステムのオペレーションは、当業者にとって明らかであろう。
【0448】
図13〜図15を参照すると、被覆材のこれらの形態が、円形のバッキング層(342)の下に創傷フィラー(348)を伴って提供されている。
【0449】
これは、それぞれほぼ下向きのドーム形又はトーラス状の、或いは偏球状の適合可能な中空体を含み、この中空体は、それを創傷の形状へと促す流体、ここでは空気又は窒素で満たされた膜(349)によって画定されている。
【0450】
フィラー(348)は、たとえばバッキング層(342)に熱融着されている突起(351)を介してバッキング層に永久に連結されている。
【0451】
膨張流入パイプ(350)、流入パイプ(346)、及び流出パイプ(347)が、中空体(348)の上のバッキング層(342)内における突起(351)内の中央に取り付けられている。膨張流入パイプ(350)は、中空体(348)が膨張できるように、中空体(348)の内部と連通している。
【0452】
流入パイプ(346)は、パイプ(352)内を、事実上は中空体(348)の中を通って延びている。流出パイプ(347)は、バッキング層(342)のすぐ下に放射状に延びている。
【0453】
図13においては、パイプ(352)が、流入マニフォールド(353)と連通しており、この流入マニフォールド(353)は、熱融着によってフィラー(348)に永久に連結されているアパーチャ(362)を有する膜(361)によって形成されている。これは、適切な材料、たとえば弾性を有する熱可塑性の材料から形成されているフォーム(363)によって満たされている。好ましい材料としては、小さなアパーチャ又は孔を有する網目状のろ過ポリウレタンフォームが含まれる。
【0454】
図14においては、流出パイプ(347)が、フォームの層(364)と連通しており、このフォームの層(364)は、適切な材料、たとえば弾性を有する熱可塑性の材料から形成されている。やはり、好ましい材料としては、小さなアパーチャ又は孔を有する網目状のろ過ポリウレタンフォームが含まれる。
【0455】
図13、図14、及び図15のすべてにおいて、使用中には、パイプ(346)は、広がっている領域の全体にわたって直接創傷床から灌注流体を供給する1つ又は複数の開口内で終端している。
【0456】
同様に流出パイプ(347)は、被覆材の使用中には、事実上は創傷の外周から放射状に流体を回収する。
【0457】
図16を参照すると、被覆材はまた、円形のバッキング層(342)の下に創傷フィラー(348)を伴って提供されている。
【0458】
これはまた、ほぼトーラス状の適合可能な中空体を含み、この中空体は、それを創傷の形状へと促す流体、ここでは空気又は窒素で満たされた膜(349)によって画定されている。フィラー(348)は、第1の突起(351)と、適切な材料、たとえば弾性を有する熱可塑性の材料から形成されているフォームの層(364)とを介して、バッキング層(342)に永久に連結することができる。やはり、好ましい材料としては、小さなアパーチャ又は孔を有する網目状のろ過ポリウレタンフォームが含まれる。
【0459】
第1の突起(351)及びフォーム層(364)は、それぞれバッキング層(342)及び突起(351)に熱融着されている。
【0460】
膨張流入パイプ(350)、流入パイプ(346)、及び流出パイプ(347)は、トーラス状の中空体(348)の上のバッキング層(342)内における第1の突起(351)内の中央に取り付けられている。
【0461】
膨張流入パイプ(350)、流入パイプ(346)、及び流出パイプ(347)は、それぞれパイプ(353)、(354)、及び(355)内を、中空体(348)内の中央のトンネル(356)を通って、トーラス状の中空体(348)に連結されている第2の突起(357)へそれぞれ延びている。
【0462】
パイプ(353)は、中空体(348)が膨張できるように、中空体(348)の内部と連通している。パイプ(354)は、第2の突起(357)を通って放射状に延びて、流入マニフォールド(352)と連通しており、この流入マニフォールド(352)は、広がっている領域の全体にわたって直接創傷床へ灌注流体を供給する開口(362)を有する網目状のハニカムの形態で熱密封によってフィラー(348)に永久に連結されている膜(361)によって形成されている。パイプ(355)は、被覆材の使用中には、創傷の中央から放射状に流れる流体を回収する。
【0463】
被覆材のこの形態は、より深い創傷用のさらに適切なレイアウトである。
【0464】
図17においては、被覆材は図16の被覆材と類似しているが、トーラス状の適合可能な中空体は例外であり、これは、膜(349)によって画定されており、空気、或いは窒素やアルゴンなどの不活性ガスなどの気体ではなく、流体、ここではプラスチックの小片やビーズなどの固体の微粒状物質によって満たされており、膨張流入パイプ(350)及びパイプ(353)は、中央のトンネル(356)から省略されている。
【0465】
中空体(348)用の内容物の例としては、シリコンゲル、或いは好ましくはセルロースゲル、たとえば Intrasite(商標)の架橋材料などの親水性の架橋セルロースゲルなどのゲルも含まれる。また例としては、エアロゾルフォーム、及びセットエアロゾルフォーム、たとえば CaviCare(商標)のフォームも含まれる。
【0466】
図18及び図19を参照すると、より深い創傷用の別の形態が示されている。これは、複数のマルタ十字架又は定型化されたバラによく似た深くギザギザの入った円板の形態の円形のバッキング層(342)及びチェンバ(363)を含む。
【0467】
これは、上側の不透過性の膜(361)と、広がっている領域の全体にわたって直接創傷床から灌注流体を供給するアパーチャ(364)を有する下側の多孔質フィルム(362)とによって画定されている。
【0468】
チェンバ(363)の複数の構成が示されており、これらのすべては、創傷内へ挿入する際に接近して場合によっては重なるアームによって、創傷床に十分に適合することができる。
【0469】
最も下に示されているチェンバ(363)の特定の設計においては、延びているアームの上に、延びているアームの端部において、流入ポートが提供される。これは、使用中に被覆材及び創傷からリモートに灌注物の供給を結合及び切り離す機会を提供する。
【0470】
流入パイプ(346)及び流出パイプ(347)は、チェンバ(363)の上のバッキング層(342)内における突起(351)内の中央に取り付けられる。流入パイプ(346)は、チェンバ(363)に永久に連結されて、その内部と連通しており、ひいては事実上の流入マニフォールドを形成している。チェンバ(363)の上のスペースは、ゆるいガーゼのパッキング(364)によって満たされている。
【0471】
図18においては、流出パイプ(347)は、被覆材の内部からの流体をバッキング層(342)の創傷対向面(343)のすぐ下から回収する。
【0472】
図18の被覆材の変形形態が、図19において示されている。流出パイプ(347)は、チェンバ(363)の上のスペースの最も下のポイントにおいてフォームの断片(374)内へと開くように取り付けられている。
【0473】
図20においては、被覆材は図13の被覆材と類似しているが、流入パイプ(352)は例外であり、これは、ほぼ下向きのドーム形の創傷中空フィラー(348)の中を通るのではなく、その上側の表面の上で、アパーチャ(362)を有する膜(361)によって形成されている流入マニフォールド(353)と連通している。
【0474】
図22においては、被覆材は図14の被覆材と類似しているが、流入マニフォールド(353)が追加されており、この流入マニフォールド(353)は、アパーチャ(362)を有する膜(361)によって、ほぼ下向きのドーム形の環状の創傷中空フィラーの下側の表面の上に形成されている。
【0475】
図21においては、ほぼ下向きのドーム形の環状の創傷中空フィラーは、省略されている。
【0476】
図23を参照すると、より深い創傷用の別の形態が示されている。流入パイプ(346)及び流出パイプ(347)は、密封されているフォームフィラー(348)の上のバッキング層(342)における突起(351)内の中央に取り付けられている。流入パイプ(346)は、フィラー(348)に永久に連結されており、フィラー(348)を通って創傷床へと至る。流出パイプ(347)は、チェンバ(363)に連結されて、その内部と連通しており、このチェンバ(363)は、フィラー(348)の上側の外周に連結されている多孔質のフォームによって画定されている。チェンバ(363)は、ひいては事実上の流出マニフォールドを形成している。
【0477】
図24においては、フォームフィラー(348)は、部分的にしか密封されていない。流入パイプ(346)は、フィラー(348)に永久に連結されており、フィラー(348)を通って創傷床へと至る。流出パイプ(347)は、フィラー(348)のフォームに連結されており、その内部と連通している。流体は、フィラー(348)の上側の外周の付近で環状のギャップ(349)内へ流れ、フォームへと至り、ひいては事実上の流出マニフォールドを形成している。
【0478】
図25及び図26は、流入パイプ(346)及び流出パイプ(347)がバッキング層(342)の中を通る被覆材を示している。
【0479】
図25においては、これらは、多孔質のバッグフィラー(348)の内部と連通しており、このバッグフィラー(348)は、多孔質フィルム(369)によって画定されており、伸縮自在に弾性を有するプラスチックのビーズ又は小片によって満たされている。
【0480】
図26においては、これらは、フォームフィラー(348)のすぐ下の創傷スペースと連通している。フォーム(348)は、パイプ(346)及び(347)の周囲に注入されてその位置で形成された CaviCare(商標)のフォームとすることができる。
【0481】
図27を参照すると、より深い創傷用の別の形態が示されている。これは、複数のマルタ十字架又は定型化されたバラによく似た深くギザギザの入った円板の形態の円形の、或いはさらに通常では正方形又は長方形のバッキング層(342)及びチェンバ(363)を含む。
【0482】
これは、上側の不透過性の膜(361)と、広がっている領域の全体にわたって直接創傷床へ灌注流体を供給するアパーチャ(364)を有する下側の多孔質フィルム(362)とによって画定されており、ひいては事実上の流入マニフォールドを形成している。
【0483】
チェンバ(363)の3つの構成が、図27bにおいて示されており、これらのすべては、創傷内へ挿入する際に接近して場合によっては重なるアームによって、創傷床に十分に適合することができる。
【0484】
チェンバ(363)の上のスペースは、バッキング層(342)の下の創傷フィラー(348)によって満たされている。これは、偏球状の適合可能な中空体を含み、この中空体は、それを創傷の形状へと促す流体、ここでは空気又は窒素で満たされた膜(349)によって画定されている。
【0485】
成形された帽子形の突起(351)が、チェンバ(363)の上側の不透過性の膜(361)上の中央に取り付けられている。これは、それを通る3つの内部の導流路、導管、又は通路(図示せず)を有しており、それぞれは、入口アパーチャ及び出口アパーチャを有している。フィラー(348)は、接着剤、熱溶接、又は共働するピン及びソケットなどの機械的な固定器によって、チェンバ(363)の膜(361)に連結されている。
【0486】
膨張流入パイプ(350)、流入パイプ(346)、及び流出パイプ(347)は、被覆材のバッキング層(342)の近位面の縁部の下を通り、フィラー(348)のすぐ下を、そしてチェンバ(363)の膜(361)の上を放射状に延びて、それぞれ突起(351)内の入口アパーチャと接合している。
【0487】
膨張流入パイプ(350)を受け取るそれを通る内部の導流路、導管、又は通路への出口は、膨張を可能にするように中空フィラー(348)の内部と連通している。
【0488】
流入パイプ(346)を受け取る内部の導流路、導管、又は通路の出口は、広がっている領域の全体にわたってチェンバ(363)を介して創傷床へ灌注流体を供給するために、チェンバ(363)の内部と連通している。
【0489】
同様に、流出パイプ(347)を受け取る内部の導流路、導管、又は通路への出口は、チェンバ(363)の上の、且つ創傷フィラー(348)の下のスペースと連通しており、灌注物及び/又は創傷からの滲出物の流れを創傷の外周から放射状に回収する。
【0490】
図28を参照すると、創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置(1)は、図1に示されている装置の大幅な変形形態である。
【0491】
図1の創傷及び流体洗浄用手段を通って流体を移動させるためのデバイス(17)は、蠕動ポンプ(18)、たとえば好ましくは小型のポータブルな蠕動ポンプであり、被覆材(2)の下流の流体循環チューブ(13)上で機能して、創傷上に低い負圧をかける。
【0492】
図28に示されている装置(1)においては、この蠕動ポンプ(18)は、
a)被覆材(2)の上流の流体供給チューブ(7)上で機能する蠕動ポンプ(926)、及び、
b)被覆材(2)の下流の流体循環チューブ(13)上で機能する、圧力調節手段を有する真空ポンプアセンブリ(918)に置き換えられて、
創傷スペース内に全体的な低い負圧をかける。
【0493】
真空ポンプアセンブリはタンク(911)を含み、このタンク(911)は、
流体循環チューブ(13)へ接続しており、タンク(911)の上側の部分と連通している流入チューブ(912)と、
廃棄物バッグ(915)を有する廃棄物ポンプ(914)へ接続しており、タンク(911)の下側の部分と連通している廃棄物チューブ(913)と、
真空ポンプ(918)へ接続しており、タンク(911)の上側の部分と連通していて、且つ流体循環チューブ(13)を介して洗浄用手段(17)へ接続しており、タンク(911)の下側の部分と連通しているポンプチューブ(917)と、を有する。
【0494】
真空ポンプ(918)は、電線(920)を介して圧力フィードバックレギュレータ(919)によって制御され、このレギュレータは、タンク(911)の上側の部分内のタンクセンサ(921)、及び創傷スペース内の被覆材センサ(922)から、それぞれライン(923)及び(924)を介して信号を受信する。
【0495】
廃棄物ポンプ(914)は、廃棄物レベルフィードバックレギュレータ(929)によって制御され、このレギュレータは、タンク(911)の真ん中の部分内の電線(930)を有するタンクセンサから信号を受信する。
【0496】
真空ポンプ(918)は、バルブとして機能し、これによって、真空ポンプ(918)に接続されているポンプチューブ917は、真空ポンプ(918)が休止している際にタンク(911)の上側の部分からそれを通って空気が流れるのを防止するために通常はブロックされるか、或いはポンプチューブ(917)は、手動又は電動の、たとえば圧力起動式の電動のバルブ(930)(図示せず)を提供され、これによって、真空ポンプ(918)に接続されているポンプチューブ(917)は、そのように流れることを防止するためにブロックすることができる。
【0497】
装置(1)のオペレーションは、図1の装置に必要な変更を加えたものに類似している。
【0498】
装置(1)の使用中には、バルブ(16)は、回収バッグ(図示せず)に対して開かれ、Tバルブ(14)が回って、流体が流体リザーバから流体供給チューブ(7)及び流入パイプ(6)を通って創傷被覆材へ流れるのを認める。
【0499】
ポンプ(926)が始動されて、そのロータ(図示せず)上の周辺ローラを使用して流体再循環チューブ(7)をはさみ、創傷上に低い正圧をかける。
【0500】
真空ポンプ(918)は、それが休止してからはバルブとして機能するか、或いはバルブ(930)(図示せず)が閉じられ、これによってポンプチューブ917は、タンク(911)の上側の部分からそれを通って空気が流れるのを防止するためにブロックされる。
【0501】
創傷被覆材(2)から流体除去チューブ(10)を通って送り込まれた灌注物は、タンク(911)の下側の部分を通って流出チューブ(917)を上り、洗浄用手段(17)を介して排流Tバルブ(16)へ、たとえば回収バッグ(図示せず)へと送り込まれる。
【0502】
被覆材(2)の上流の流体供給チューブ(7)上で機能する蠕動ポンプ(926)は、装置がその装置の流路の全長にわたって呼び水を入れられるまで作動させることができ、余分な流体は、排流Tバルブ(16)を介して回収バッグ内へと排泄されて、廃棄される。
【0503】
次いでTバルブ(14)が回されて、供給から再循環への切り替えが行われる、すなわち流体リザーバ(12)に対して創傷を閉じる一方で、流体が流体再循環チューブ(13)から創傷内へと流れることを認めるようにセットされ、同時に排流Tバルブ(16)が閉じられる。
【0504】
そして真空ポンプ(918)が起動され、また真空ポンプ(918)が休止中にバルブとして機能しない場合には、ポンプチューブ917内のバルブ(930)が開かれて、創傷に低い負圧をかける。
【0505】
創傷及び流体リザーバ(12)からの循環流体は、洗浄ユニット(17)を通って流れる。創傷の治癒にとって有害な物質が除去され、創傷の治癒を促進する上で有益な物質を依然として含む洗浄後の流体は、再循環チューブ(13)を介して創傷床へ戻される。
【0506】
圧力フィードバックレギュレータ(919)は、創傷及び/又はタンク(911)における圧力を調節する。
【0507】
たとえば創傷が大量の滲出を続けているために、循環中の流体の分量が過剰になった場合には、電線(930)を有するタンクセンサからの信号を受信するレギュレータ上の廃棄物レベルフィードバックレギュレータ(929)によって、廃棄物ポンプ(914)を始動することができる。
【0508】
流体の再循環は、希望するだけ長く継続することができる。
【0509】
そして真空ポンプ(918)は停止され、また真空ポンプ(918)が休止中にバルブとして機能しない場合には、ポンプチューブ(917)内のバルブ(930)が閉じられ、排流Tバルブ(16)が空気に対して開かれて、洗浄用手段(17)及び流出チューブ(917)を介してタンク(911)内の低い負圧を緩和する。
【0510】
次いでTバルブ(14)を回して、流体が流体リザーバから流体供給チューブ(7)及び流入パイプ(6)を通って創傷被覆材へ流れることを認めることによって、供給と再循環の間における切り替えが逆転される。
【0511】
排流バルブ(16)は開かれたままとなり、これによって新鮮な流体が、再循環システムをフラッシュする。ポンプ(918)の動作は、装置がフラッシュされるまで継続することができ、その時点で、その動作及び流体の再循環は停止する。
【0512】
次いで本発明の装置の使用について、あくまでも例示として、下記の例において説明する。
【0513】
例:静的な又は移動する第2の相内に保持されている酵素(カタラーゼ)によって創傷の治癒にとって有害な物質(H)を透析することによって除去することと、組織の修復を促進するために生物学的な骨格を使用することとの組合せ。
【0514】
本発明の装置は、基本的には図2におけるように構成される、すなわちその中の流体洗浄用手段は、二相システムの透析ユニットである。このような装置においては、創傷からの灌注物及び/又は創傷滲出物の第1の相は、第1の回路を通って再循環し、選択透過性の透析膜を通って第2の流体(血液透析液)相と接触して、透析ユニット内を流れる。透析ユニットは、相互に反対方向に流れる二相と共に、又は静的な第2の相と共に機能する。
【0515】
過酸化水素は、血流の減少及び/又は創傷の細菌汚染に対する炎症反応に続く酸化的ストレスの状況において生成される。これは、適切なアンタゴニスト及び/又はディグレーダによって除去することができ、これらには、過酸化物ディグレーダ、たとえばカタラーゼなど、酵素又はその他のインヒビターが含まれる。
【0516】
第1の回路は、チェンバ(Minucellsオルガノティピカルグラディエントシックスプレースチェンバ、組織基材を保持する)から構成され、これにおいては、組織を処理した代用皮膚(Dermagraft:Smith & Nephew)を含む通常の2倍体の人間の繊維芽細胞の水平に配向された直径13mmの円板が、2つの部分のサポート(Minnucells Minusheets)内に保持される。したがって治癒中の創傷内に存在する組織のうち、生存し、移動し、増殖しなければならない組織は、チェンバ内の繊維芽細胞によって表される。
【0517】
新しい組織の成長を活性化するために、直径1〜3mmと10〜13mmの間の厚さを有するPGA(poly(glycolic acid))の立体の不織フェルトのセクションの形態の生物分解性の骨格が、カバースリップ上のチェンバ内の細胞の全体を覆って配置される。
【0518】
創傷からの滲出物をシミュレートするための培養液(DMEMを10%、FCSを1%で、すべてを中和する)をリザーバからチェンバの下側の面へと送り出し、そこでこれを繊維芽細胞に浴びせて、チェンバの上側の面から除去し、リザーバへ戻す。このチェンバは、下側から上側のチェンバへの流体経路のみが、組織を処理した代用皮膚を含む人間の繊維芽細胞を通るように構成されている。創傷の治癒の目安は、代用皮膚内の細胞が、生物分解性の骨格内へと移動及び増殖することによって、その厚みを増す能力である。
【0519】
移動する第2の相の場合、第1の回路は、創傷チェンバの上流に、ルーアにフィットする中空のファイバの接線の膜の透析ユニット(Spectrum(登録商標)MicroKros(登録商標)X14S−100−04N、表面積8cm、分画分子量400KD)を含み、これを通じて、0.5 ml min−1と5.0 ml min−1の間の流速の(リザーバを有する回路内の、5.0mlと20mlの間の総容積の)カタラーゼを1mlあたり5,000と50,000ユニットの間で(pH7、25℃で1分間分解されたμモルのH)有する培養液を含む第2の洗浄回路が、反対方向に通っている。静的な第2の相の場合、移動する第2の相の場合と同じ分量及び容積のカタラーゼを含む透析チュービング(Pierce Snake skin 68100 CG 49358B、分画分子量10KD)の全長が、第1の回路リザーバ内に配置される。
【0520】
2つの回路用のポンプは、シリコンチュービング又は同等の物の上で機能する蠕動ポンプである。このチュービングの内径は、1.0mmである。25と75mlの間の複数の値でチェンバ及びリザーバを含む第1の回路の総容積が使用される。使用される流速は、0.5ml min−1と5.0 ml min−1の間の複数の値である。この装置は、大気圧、正圧、又は負圧において機能することができる。
【0521】
治癒中の創傷にとって珍しくない状況をシミュレートする実験を実施する。ここでは、創傷の治癒にとって有害な物質、すなわち過酸化水素を含む培養液が、創傷チェンバ内の細胞の全体にわたって循環し、PGAの生物分解性の骨格が、創傷床をシミュレートするために細胞上に配置される。
【0522】
対照実験も実施され、ここでは、
a)PGA(ポリグリコール酸)の立体の不織フェルトからなる生物分解性の骨格、又は
b)透析ユニット
が省略される。
【0523】
対照においては、
a)1〜3mmの間の厚さを有するPGA(ポリグリコール酸)の立体の不織フェルト、又は、
b)洗浄膜透析ユニットを通る栄養素の流れの通路
のいずれかが省略され、Hの濃度は5と20mMの間に設定され、繊維芽細胞の生存、及び移動、並びに増殖は抑制される。
【0524】
しかし第1の回路内の培養液の流れが、
a)膜透析ユニットの両端へと接続され、これを通じて(上述の濃度及び流速の)カタラーゼを含む移動する第2の相の洗浄回路が、反対方向に流れているか、又はその流れが、膜内に保持されている静的な第2の相のカタラーゼの上を通り、且つ、
b)PGAの立体のスポンジからなる生物分解性の骨格が存在している場合には、繊維芽細胞は生存し、骨格内へと移動し、増殖する。
【0525】
治癒の遅い創傷又は慢性の創傷内における新しい組織の成長は、細胞がフィブリン塊の暫定的なマトリックスへと移動する際の、又は肉芽組織を形成する際の速度が遅いことによって制限される場合が多い。創傷の治癒を活性化するための1つの戦略は、生物分解性の骨格又はマトリックスを創傷の表面上に設置することだが、通常は、治癒の遅い創傷内で見られる状況によって、このアプローチが成功する確率は制限される。
【0526】
洗浄透析ユニットと、生物分解性の骨格との組合せをこの装置において採用することによって、創傷の治癒にとって必要な細胞の反応が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0527】
【図1】本発明の第1の態様による創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置を示す概略図である。これは、限外ろ過ユニットの形態の単相システムの流体洗浄用手段を有する。
【図2】本発明の第1の態様による創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置を示す概略図である。これは、透析ユニットの形態の二相システムの流体洗浄用手段、又は二相性の抽出ユニットを有する。
【図3】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す断面図である。これらにおいて、図3a〜図6aは創傷被覆材の横断平面図であり、図3b〜6bは創傷被覆材の横断側面図である。
【図4】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す断面図である。図3aは創傷被覆材の横断平面図であり、図3bは創傷被覆材の横断側面図である。
【図5】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す断面図である。図4aは創傷被覆材の横断平面図であり、図4bは創傷被覆材の横断側面図である。
【図6】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す断面図である。図5aは創傷被覆材の横断平面図であり、図5bは創傷被覆材の横断側面図である。
【図7】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す断面図である。
【図8】それぞれ創傷へ流体を供給し、創傷から流体を回収するための本発明の第2の態様の創傷被覆材のための流入及び流出マニフォールドのレイアウトを示すさまざまな図である。
【図9】それぞれ創傷へ流体を供給し、創傷から流体を回収するための本発明の第2の態様の創傷被覆材のための流入及び流出マニフォールドのレイアウトを示すさまざまな図である。
【図10】それぞれ創傷へ流体を供給し、創傷から流体を回収するための本発明の第2の態様の創傷被覆材のための流入及び流出マニフォールドのレイアウトを示すさまざまな図である。
【図11】本発明の第1の態様による創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置を示す概略図である。 これは、限外ろ過ユニットの形態の単相システムの流体洗浄用手段を有する。
【図12】本発明の第1の態様による創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置を示す概略図である。 これは、透析ユニットの形態の二相システムの流体洗浄用手段、又は二相性の抽出ユニットを有する。
【図13】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図14】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図15】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図16】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図17】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図18】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図19】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図20】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図21】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図22】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図23】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図24】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図25】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図26】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図27】創傷を吸引及び/又は灌注するための本発明の第2の態様の適合可能な創傷被覆材を示す図である。
【図28】本発明の第1の態様による創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置を示す概略図である。これは、限外ろ過ユニットの形態の単相システムの流体洗浄用手段を有する。
【符号の説明】
【0528】
1 創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置
2 創傷被覆材
3 バッキング層
4 相対的な流体密封又は流体密閉
5 創傷
6 流入パイプ
7 流体供給チューブ
8 ポイント
9 流出パイプ
10 流体除去チューブ
11 ポイント
12 流体リザーバ
13 流体再循環チューブ
14 Tバルブ
15 流体除去チューブ
16 排流Tバルブ
17 流体洗浄用手段、限外ろ過ユニット
18 蠕動ポンプ
19 第1のバルブ
20 第2のバルブ
21 装置
23 透析ユニット
24 ポリマーフィルム、シート、又は膜
25 第1のチェンバ
26 第2のチェンバ
27 透析ユニット
28 ポリマーフィルム、シート、又は膜
29 血液透析液供給チューブ
30 血液透析液流出パイプ
31 血液透析液流出チューブ
34 バルブ
36 第2の排流Tバルブ
37 流体血液透析液チューブ
38 蠕動ポンプ
41 被覆材
42 バッキング層
43 創傷対向面
44 重なり
45 接着フィルム
46 流入パイプ
47 流出パイプ
48 創傷フィラー、中空体
49 膜
50 トンネル
51、52 パイプ
61 第1の膜
62 アパーチャ
63 ポーチ
64 ホール
65 第2の膜
66 開口
67 チェンバ
68 オリフィス
69 フィラー、完全体
70 シート
71 第1の膜
72 アパーチャ
73 ポーチ
74 ホール
75 第2の膜
76 開口
77 チェンバ
78 オリフィス
79 フィラー
80 シート
81 膜
82 導流路
83 穿孔
84 外側表面
85 開口
86 アパーチャ
87 内側表面
88 最も内側のポイント
89 導管
90 開口
92、93 膜
94 チェンバ
95 ポーチ
97 パイプ
98 アパーチャ
99 小管
100 開口
101 第1のチューブ
102 第2のチューブ
103、104 オリフィス
110 創傷フィラー
111 生物分解性の骨格、シート
120 流入マニフォールド及び流出マニフォールドスタック
121 第1の層
122 第2の層
123 第3の層
124 第4の層
125 第5の層
126 流入マニフォールドスロット
127 縁部
128 分岐
129 流入マニフォールドアパーチャ
130 アパーチャ
131 流出マニフォールドスロット
132 縁部
133 分岐
134 流入マニフォールドアパーチャ
135 流出マニフォールドアパーチャ
136 近位面
342 バッキング層
343 創傷対向面
346 流入パイプ
347 流出パイプ
348 創傷フィラー、中空体、フォームフィラー、バッグフィラー
349 膜、ギャップ
350 膨張流入パイプ
351 第1の突起
352 流入マニフォールド、流入パイプ
353 流入マニフォールド、パイプ
354、355 パイプ
356 トンネル
357 第2の突起
361 膜
362 アパーチャ、多孔質フィルム
363 フォーム、チェンバ
364 フォームの層、アパーチャ、パッキング
369 多孔質フィルム
374 フォームの断片
711 バイパス
816 第1のTバルブ
817 第2のTバルブ
811 血液透析液再循環チューブ
926 蠕動ポンプ
911 タンク
912 流入チューブ
913 廃棄物チューブ
914 廃棄物ポンプ
915 廃棄物バッグ
917 ポンプチューブ、流出チューブ
918 真空ポンプアセンブリ
919 圧力フィードバックレギュレータ
920 電線
921 タンクセンサ
922 被覆材センサ
923、924 ライン
926 蠕動ポンプ
929 廃棄物レベルフィードバックレギュレータ
930 電線、バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための装置において、
a)流体流路であって、
i)創傷の全体に亘って相対的な流体密封又は流体密閉を形成できるバッキング層と、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体供給チューブへ接続するための少なくとも1つの流入パイプと、
創傷対向面の中及び/又は下を通る、流体除去チューブへ接続するための少なくとも1つの流出パイプと、を有し、
前記流入パイプ又はそれぞれの流入パイプ並びに前記流出パイプ又はそれぞれの流出パイプが前記創傷対向面の中及び/又は下を通るポイントが、前記創傷の全体に亘って相対的な流体密封又は流体密閉を形成し、
少なくとも1つの流入パイプが流体再循環チューブへ接続され、少なくとも1つの流出パイプが流体除去チューブへ接続されている、適合可能な創傷被覆材と、
ii)流体除去チューブに接続されている少なくとも1つの流入ポートと、流体再循環チューブに接続されている少なくとも1つの流出ポートとを有する1つの流体洗浄用手段と、
iii)前記バッキング層の下に配置されて、使用中には創傷床と接触した状態で設置されるように構成されている1つの生物分解性の骨格と、
を含んでなる1つの流体流路と、
b)前記流体供給チューブによって(任意選択で或いは必須として、供給と再循環の間で流れを切り替えるための手段を介して)前記流路の完全体へ接続されている1つの流体リザーバと、
c)前記創傷被覆材及び前記流体洗浄用手段、並びに、任意選択で或いは必須として前記流体供給チューブを通じて流体を移動させるための1つのデバイスと、
d)前記流路から排流するための手段と、
を含んでなり、これによって、前記流体リザーバから前記流体供給チューブを介して(任意選択で或いは必須として前記流れを切り替えるための手段を介して)前記流路を満たすように流体を供給し得、且つ、前記デバイスによって前記流路全体にわたって再循環させ得ることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記生物分解性の骨格が、立体のメッシュ、スポンジ、又はフェルトを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記生物分解性の骨格が、ポリ(グリコール酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)及びそのエステル、或いは、コポリマー又はそれらの混合物から選択されたポリ(ヒドロキシ酸)又はそのエステルを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記生物分解性の骨格が、コラーゲン、フィブロネクチン、もしくはフィブリンから選択された生物学的に由来する生物分解性の実質的にタンパク質ベースのポリマーを、そのままの分子として含み、或いはタンパク質分解処理又は化学処理から得られた誘導体として含み、又はそれらの混合物を含み、或いは、組み換えDNA技術を通じて生成されたコラーゲン、フィブロネクチン、もしくはフィブリン、又はそれらの断片から選択された生物分解性の実質的にタンパク質ベースのポリマー又はそれらの混合物を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
単相システムである流体洗浄用手段を含んでなり、そのシステム内では、前記創傷からの前記循環流体が前記流体洗浄用手段の中を通り、前記循環流体が前記流体洗浄用手段内の別の流体と直接又は間接的に接触することなく、創傷の治癒にとって有害な物質が除去されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
二相システムである流体洗浄用手段を含んでなり、そのシステム内では、前記創傷からの前記循環流体が前記流体洗浄用手段の中を通り、前記循環流体が前記流体洗浄用手段内の別の流体と直接又は間接的に接触することによって、創傷の治癒にとって有害な物質が除去されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記流体洗浄用手段内では、前記創傷からの前記循環流体と、前記流体洗浄用手段内の前記その他の流体が、創傷の治癒にとって有害な物質に対する選択透過性を有する完全体によって分離されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記流体洗浄用手段内では、前記創傷からの前記循環流体と、前記流体洗浄用手段内の前記その他の流体が、創傷の治癒にとって有害な物質に対する選択透過性を有さない完全体によって分離されており、前記その他の流体が、創傷の治癒にとって有害な物質を除去する物質を含んでなるか、且つ/或いは、そうした物質と接触していることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において使用するための適合可能な創傷被覆材アセンブリであって、請求項1に記載の被覆材と、生物分解性の骨格と、を含んでなることを特徴とする創傷被覆材アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の創傷を吸引、灌注、及び/又は洗浄するための前記装置を使用して創傷の治癒を促進するために創傷を処置する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28】
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【公表番号】特表2007−509683(P2007−509683A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537420(P2006−537420)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004567
【国際公開番号】WO2005/046762
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】