説明

高さ測定装置

【課題】簡易な構成で、測定対象物の高さを精度よく測定することができるようにする。
【解決手段】レーザ照射部14によって、レーザスリット光を、測定対象物に対して照射し、エリアカメラ18によって、測定対象物からのレーザスリット光の反射光を含む領域を撮像する。画像処理部32によって、測定対象物の所定の移動量毎に撮像された複数の撮像画像の各々から、測定する高さ方向と直交する画素ラインの各々を抽出し、各画素ラインについて、該画素ラインの抽出結果の各々をフレーム順に並べて合成したプレーン画像を各々生成する。高さ測定部34によって、測定対象物上の各位置について、プレーン画像の各々から該位置に対応する画素の輝度値を各々抽出し、抽出された輝度値が高くなるプレーン画像に対する画素ラインの撮像画像上の高さに基づいて該位置の高さを測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ測定装置に係り、特に、測定対象物を撮像して、測定対象物の高さを測定する高さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、短時間に且つ信頼性の高い測定をすることができるようにした3次元曲面形状の測定方法が知られている(特許文献1)。この測定方法では、複数の線状スリット光を被測定対象の全面に亘って同時に回転走査し、スリット光の回転走査角度を測定し、被測定対象表面を撮像して得られるビデオ信号の画面内の各画素に対応する被測定対象表面の各位置毎に、その点を一本乃至複数本のスリット光が通過した瞬間の回転走査角度又はそれに相当する値の中の1つをその画素の値とする画像を合成している。また、合成画像に基づいて被測定対象の3次元曲面形状を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−260443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、スリット光を回転走査する構成、及び回転走査角度を検出する構成が必要となるため、装置構成が複雑となってしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、測定対象物の高さを精度よく測定することができる高さ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明に係る高さ測定装置は、測定する高さの方向を法線とする平面上で、測定対象物を移動させる駆動手段と、照射方向を前記測定する高さの方向に対して傾斜させて、前記測定対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、前記測定対象物に対して照射する光照射手段と、前記測定対象物からの前記線状の光の反射光を含む領域を撮像する撮像手段と、前記測定対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、前記測定する高さの方向と直交する方向に画素が配列された画素列の各々を抽出し、各画素列について、該画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成した合成画像を各々生成する合成手段と、前記測定対象物上の各位置について、前記合成画像の各々から該位置に対応する画素の輝度値を各々抽出し、抽出された輝度値が高くなる合成画像に対する画素列の撮像画像上の前記高さの方向の高さに基づいて該位置の高さを測定する高さ測定手段とを含んで構成されている。
【0007】
本発明に係る高さ測定装置によれば、駆動手段によって、測定する高さの方向を法線とする平面上で、測定対象物を移動させる。また、光照射手段によって、線状の光を、測定対象物に対して照射し、撮像手段によって、測定対象物からの線状の光の反射光を含む領域を撮像する。
【0008】
合成手段によって、測定対象物の所定の移動量毎に撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、測定する高さの方向と直交する方向に画素が配列された画素列の各々を抽出し、各画素列について、該画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成した合成画像を各々生成する。
【0009】
そして、高さ測定手段によって、測定対象物上の各位置について、合成画像の各々から該位置に対応する画素の輝度値を各々抽出し、抽出された輝度値が高くなる合成画像に対する画素列の撮像画像上の高さの方向の高さに基づいて該位置の高さを測定する。
【0010】
このように、測定する高さ方向と直交する各画素列について、複数の撮像画像から抽出される画素列を撮像順に並べて合成した合成画像を生成し、測定対象物上の位置に対応する画素の輝度値が高くなる合成画像に対する画素列の高さに基づいて、該位置の高さを測定することにより、簡易な構成で、測定対象物の高さを精度よく測定することができる。
【0011】
本発明に係る高さ測定装置は、合成画像の画素が表わす測定対象物上の位置を合わせるように、合成手段によって生成された合成画像の各々をずらして重ね合わせる画像移動手段を更に含み、高さ測定手段は、測定対象物上の各位置について、画像移動手段によって重ね合わされた合成画像の各々から該位置に対応する画素の輝度値を各々抽出し、抽出された輝度値が高くなる合成画像に対応する高さに基づいて該位置の高さを測定することができる。これによって、各合成画像から、測定対象物上の位置に対応する画素の輝度値を容易に抽出することができる。
【0012】
また、この画像移動手段は、測定対象物が移動する平面と線状の光の照射方向とのなす角、及び画素サイズから求められる移動量だけ、隣接した合成画像に対して測定対象物の移動方向に移動させることにより、合成画像の画素が表わす測定対象物上の位置を合わせることができる。
【0013】
上記の光照射手段は、直線性及び非拡散性を有する線状の光を測定対象物に対して照射することができる。
【0014】
上記の高さ測定手段は、測定対象物上の注目位置に対応する、各合成画像の画素の輝度値の変化に基づいて、各合成画像に対する画素列の撮像画像上の高さから、輝度値が最大となる撮像画像上の高さを推定し、推定された撮像画像上の高さに対応する注目位置の高さを、測定結果とすることができる。これによって、精度よく高さを測定することができる。
【0015】
上記の所定の移動量を、測定対象物が移動する平面と撮像手段による撮像方向とのなす角、及び画素サイズに基づいて定めることができる。
【0016】
また、測定対象物が移動する平面と線状の光の照射方向とのなす角、及び該平面と撮像手段による撮像方向とのなす角を、同一とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の高さ測定装置によれば、測定する高さ方向と直交する各画素列について、複数の撮像画像から抽出される画素列を撮像順に並べて合成した合成画像を生成し、測定対象物上の位置に対応する画素の輝度値が高くなる合成画像に対する画素列の高さに基づいて、該位置の高さを測定することにより、簡易な構成で、測定対象物の高さを精度よく測定することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】測定対象物、エリアカメラ、及びレーザ照射部を配置した様子を示すイメージ図である。
【図3】エリアカメラによる撮像が行われる毎に、測定対象物を移動させる様子を示すイメージ図である。
【図4】フレーム間の移動量を説明するための図である。
【図5】レーザスリット光が入射する位置の高さに応じて、エリアセンサへ入射する位置が変化する様子を示すイメージ図である。
【図6】(A)複数フレームの撮像画像から各画素ラインを抽出する様子を示すイメージ、及び(B)同一の画素ラインを集めてプレーン画像を生成する様子を示すイメージ図である。
【図7】(A)隣接するプレーン画像間のピッチを示すイメージ図、及び(B)複数のプレーン画像の各々をずらしながら重ね合わせた様子を示すイメージ図である。
【図8】プレーン画像に対応する画素ラインの高さと、注目位置に対応する画素の輝度値との関係を示したグラフである。
【図9】画像上の高さを実際の高さに変換する方法を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る測定システムにおける高さ測定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る測定システムにおける撮像画像取得処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図12】BGAを撮像した撮像画像の例を示す図である。
【図13】(A)ボール頂点部の高さに対応する画素ラインのプレーン画像を示す図、及び(B)基板面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、測定対象物の3次元形状を測定する測定システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る測定システム10は、測定対象物である板状の電子部品を、駆動ステージに載せて水平面上(測定する高さの方向を法線とする平面上)で所定の移動方向に移動させる駆動部12と、測定対象物に対して線状のレーザスリット光を、測定する高さ方向に対して斜めから照射するレーザ照射部14と、測定対象物からの線状のレーザスリット光の反射光を含む領域を撮像するエリアカメラ18と、エリアカメラ18により撮像された撮像画像に基づいて、測定対象物上の各位置の高さを測定して、3次元形状を測定し、表示装置22に表示させるコンピュータ20とを備えている。
【0021】
図2に示すように、駆動ステージ13上の面に対して、測定する高さ方向に対して傾斜させて、移動方向と直交する方向を長さ方向とするレーザスリット光を照射するように、レーザ照射部14が設置されている。また、駆動ステージ13上の面(測定対象物が移動する平面)とレーザスリット光の照射方向とのなす角(入射角)と、駆動ステージ13上の面とエリアカメラ18の撮像方向とのなす角とが同一になるように(例えば、θ=45°)、レーザ照射部14及びエリアカメラ18が設置されている。また、線状のレーザ光の反射光を含む領域が撮像されるようにエリアカメラ18が配置されている。レーザ照射部14及びエリアカメラ18は固定され、また、測定対象物24のみ移動させるように測定対象物24が駆動部12の駆動ステージ13上に設置される。
【0022】
なお、後述する処理を簡単にするために、上記のなす角θが45°になるようにレーザ照射部14及びエリアカメラ18を設置しておくことが好ましいが、45°に限定されるものではない。また、レーザスリット光の幅は、1ピクセル分であることが好ましい。
【0023】
エリアカメラ18は、2次元に配列された複数の画素の各々に入射された可視光に応じた信号を出力する複数の受光素子を備え、複数の受光素子から出力された信号をデジタル信号に変換して、カラー画像である撮像画像を生成する。
【0024】
コンピュータ20は、CPU、後述する高さ測定処理ルーチンのプログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ20をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、上記図1に示すように、コンピュータ20は、駆動部12による測定対象物24の移動を制御する駆動制御部28と、測定対象物24の移動に応じてエリアカメラ18による撮像を制御すると共にエリアカメラ18から連続して出力される複数の撮像画像を取得する画像取得部30と、複数の撮像画像に対して画像処理を行って、所定の高さとなる位置を表わしたプレーン画像を複数生成し、プレーン画像を重ね合わせる画像処理部32と、重ね合わされた複数のプレーン画像から、測定対象物の各位置の高さを測定し、3次元形状を測定して表示装置22に出力する高さ測定部34とを備えている。なお、画像処理部32が、合成手段及び画像移動手段の一例である。
【0025】
駆動制御部28は、図3に示すように、エリアカメラ18による撮像が行われる毎に、予め決定された移動量分だけ測定対象物を移動させるように駆動部12を制御する。ここで、移動量は、以下のように予め決定される。
【0026】
まず、以下の(1)式から、画素サイズ(ピクセルサイズ)が得られる。
画素サイズ = カメラの技術仕様よる画素の大きさ / レンズの倍率 ・・・(1)
【0027】
画素サイズ(例えば、12μm/pixel)が得られると、図4に示すように、以下の(2)式に従って、オーバーラップ無しに全領域撮像するための、撮像間における測定対象物の移動量aを算出する。
移動量a = 画素サイズ * cosθ ・・・(2)
【0028】
例えば、移動量が8μm(=12μm*cos45°)に決定される。なお、このときの高さの分解能は、8μmである。
【0029】
画像取得部30は、駆動部12による駆動が停止している時に、エリアカメラ18による撮像を行うように制御する。撮像すべきフレーム枚数は、撮像する測定対象物の長さ及び撮像間の移動量に基づいて、決定される。
【0030】
また、画像取得部30は、例えば、A/Dコンバータや画像データを記憶する画像メモリ等を備え、エリアカメラ18から出力される複数の撮像画像を取得して保存する。
【0031】
次に、本発明に係る実施の形態の原理について説明する。
【0032】
上述したようにレーザ照射部14とエリアカメラ18とを設置し、測定対象物が設置された駆動ステージ13を一定距離移動させながら、連続的に画像を取る。
【0033】
ここで、図5(A)、図5(B)に示すように、測定する高さ方向に対して傾斜させた光を測定対象物に入射させると、入射された部分の高さに応じて、正反射した反射光のエリアカメラに入る位置が変わる。従って、得られた画像データの、測定する高さ方向に直交する方向の各画素ラインに入った光は、正反射した位置の実際の高さの情報を示している。そこで、上述したように連続撮像した撮像画像から、同一の画素ラインのみ抽出し並べ、プレーン画像を作ることで、その画素ラインに対応する高さとなる位置(x、y)を示す画像データが得られる。また、全画素ライン分のプレーン画像を作成し、x軸y軸が一致するようにずらして重ね合わせ、位置(x,y)に対応する各画素の輝度のピーク値を最小二乗法で求めると、ピーク点となるプレーン画像に対する画素列の高さから、位置(x,y)における高さを求めることができる。
【0034】
以上より、本実施の形態では、画像処理部32によって、以下に説明するように、複数の撮像画像に基づいて複数のプレーン画像を生成し、重ね合わせる。
【0035】
まず、エリアカメラ18を、測定する高さ方向に直交する方向を長さ方向とした複数のラインカメラの集合として考え、各ラインカメラが撮像したスリット画像として抽出する。例えば、エリアカメラ18から取り込んだ複数の撮像画像(x列y行z枚)から、各画素ライン毎に、図6(A)に示すように同一画素ラインを抽出して集めて、図6(B)に示すようにフレーム順に並べて合成したプレーン画像(x列z行y枚)を生成する。このプレーン画像が、対応する特定の高さの位置を表わした画像となる。
【0036】
そして、測定対象物上の同一位置(x、y)を表わす画素が重なるように、図7(B)に示すように、全プレーン画像を、測定対象物の移動方向(y軸方向)にずらして重ね合わせる。このとき、各プレーン画像の画素が表わす位置(x、y)を合わせるので、図7(A)に示すように、隣接するプレーン画像に対して、測定対象物の移動方向に一定のピッチずつ遅らせる事になる。隣接するプレーン画像間のピッチは、撮像したときのフレーム間の測定対象物の移動量と、画素サイズとに基づいて、以下の(3)式に従って決定される。
プレーン画像間のピッチ[pixel] = 移動量[μm] / 画素サイズ[μm]
・・・(3)
【0037】
なお、測定対象物上の各位置は、画素単位で定まる位置である。
【0038】
以上説明したように、画像処理部32は、画像処理を行うことにより、複数のプレーン画像を生成し、プレーン画像をずらして重ね合わせる。また、画像処理部32は、3次元データ配列に、ずらして重ね合わされたプレーン画像の各画素の輝度値を、測定対象物上の各位置に対応させて格納し、保持する。
【0039】
また、高さ測定部34は、輝度値を保持した3次元データ配列から、測定対象物上の各位置(x、y)について、図8に示すように、位置(x、y)に対応する画素の輝度値を各々抽出して、抽出された輝度値の変化を、最小二乗法を用いたカーブフィットで近似し、各プレーン画像に対応する画素ラインの撮像画像上の高さから、最も輝度値が高くなる点z’を推定する。なお、点z’は、撮像画像上の高さ(プレーン画像に対応する撮像画像の画素ラインの高さ(測定する高さ方向の高さ))を表しているため、図9に示すように、以下の(4)式に従って、撮像画像上の高さz’から測定対象物上の実際の高さに変換して、点z’に対応する高さを求める。この求められた点z’に対応する高さを、位置(x,y)の高さの測定値とする。
実際の高さ = z’ * 画素サイズ * sinθ ・・・(4)
【0040】
次に、本実施の形態に係る測定システム10の作用について説明する。測定対象物として、板状の電子部品(例えば、BGA(Ball Grid Array))が駆動ステージ13上に設置される。また、コンピュータ20に対して、画素サイズと、レーザスリット光の入射角及びエリアカメラ18の撮像方向と水平面とのなす角である角度とがオペレータによって入力されると、上記(2)式に従って撮像毎の移動量が決定される。また、コンピュータ20に対して、測定対象物の長さがオペレータによって入力されると、撮像すべきフレーム数が決定される。また、コンピュータ20において、図10に示す高さ測定処理ルーチンが実行される。
【0041】
まず、ステップ100において、複数の撮像画像を取得する。上記ステップ100は、図11に示す撮像画像取得処理ルーチンによって実現される。
【0042】
ステップ120において、撮像する画像のフレーム番号を識別するための変数nを初期値の1に設定し、ステップ122において、エリアカメラ18による撮像を行うように制御すると共に、エリアカメラ18から出力される撮像画像を取得する。例えば、図12に示すような、測定対象物であるBGAにおけるボール頂点部と基板面とで反射されたレーザスリット光の反射光を撮像した撮像画像が得られる。
【0043】
次のステップ124では、上記ステップ122で取得した撮像画像をビットマップ(BMP)ファイルとしてメモリ(図示省略)に保存する。
【0044】
そして、ステップ126において、予め決定された移動量分だけ測定対象物を移動させるように駆動部12を制御して、測定対象物を移動量分だけ移動させる。次のステップ128では、変数nが、撮像すべきフレーム数を表わす定数N未満であるか否かを判定し、変数nが定数N未満である場合には、ステップ130で、変数nをインクリメントして、ステップ122へ戻る。一方、撮像すべきフレーム数分だけ撮像画像が撮像され、変数nが定数Nに到達した場合には、撮像画像取得処理ルーチンを終了する。
【0045】
そして、測定処理ルーチンのステップ102において、上記ステップ100で取得した複数の撮像画像の各々から、同一画素ラインを抽出して集め、フレーム順に並べて合成することにより、各画素ラインに対応するプレーン画像を各々生成する。例えば、図13(A)に示すような、ボール頂点部の高さに対応する画素ラインのプレーン画像や、図13(B)に示すような、基板面の高さに対応する画素ラインのプレーン画像が生成される。
【0046】
次のステップ104では、上記ステップ102で生成された複数のプレーン画像を、隣接するプレーン画像に対して所定ピッチだけ移動方向にずらして重ねあわせ、測定対象物上の同一位置を表わす画素が重なるようにする。また、ずらして重ね合わされた複数のプレーン画像に基づいて、3次元データ配列に、測定対象物上の各位置に対応して、各プレーン画像の画素の輝度値を格納して保持する。
【0047】
そして、ステップ106において、測定対象物上の注目位置を設定し、ステップ108において、上記ステップ104で得られた3次元データ配列から、注目位置に対応する画素の輝度値の変化を抽出し、抽出された輝度値の変化をフィッティングして近似し、最も輝度値が高くなるピーク点を算出する。
【0048】
次のステップ110では、上記ステップ108で算出されたピーク点から、ピーク点に対応する高さに変換し、注目位置の高さの測定値として記憶する。そして、ステップ112において、測定対象物上の対象範囲の全ての位置について、上記ステップ106〜110の処理を実行したか否かを判定し、これらの処理が実行されていない位置が存在する場合には、上記ステップ106へ戻り、測定対象物上の他の注目位置を設定する。一方、上記ステップ112で、測定対象物上の対象範囲の全ての位置について、上記の処理が実行され、高さが測定された場合には、ステップ114へ進み、上記ステップ110で計測された測定対象物上の各位置の高さを、測定対象物の3次元形状の計測結果として表示装置22に出力し、表示装置22に測定対象物の3次元形状を表示させて、測定処理ルーチンを終了する。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態に係る測定システムによれば、撮像画像の各画素ラインについて、複数の撮像画像から抽出される同一の画素ラインをフレーム順に並べて合成したプレーン画像を生成し、測定対象物上の位置に対応する画素の輝度値が高くなるプレーン画像に対する画素ラインの高さに基づいて、該位置の高さを測定することにより、簡易な構成で、測定対象物上の各位置の高さ、すなわち3次元形状を精度よく測定することができる。
【0050】
なお、上記の実施の形態では、測定対象物を一定量移動させる毎に、エリアカメラによる撮像を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、駆動ステージを動かしながら連続的に撮像を行って、所定フレーム数分の撮像画像を得るようにしてもよい。この場合には、フレーム間の移動量から、駆動ステージの速度とエリアカメラのフレームレートとを算出し、算出された速度で測定対象物を移動させると共に、算出された所定のフレームレートで連続撮像を行う。そして、測定対象物の長さに応じたフレーム数分撮像されると、撮像を終了すると共に、移動を終了させ、得られた各撮像画像をビットマップファイルで保存する。
【0051】
また、測定対象物として、板状の電子部品を用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
【0052】
また、測定対象物を水平面上に移動させる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、測定する高さ方向を法線とする平面上で、測定対象物を所定方向に移動させるようにすればよい。この場合には、測定対象物が移動する平面とレーザスリット光の照射方向とのなす角、及び測定対象物が移動する平面とエリアカメラの撮像方向とのなす角が同一となるように構成すればよい。
【0053】
また、レーザスリット光を照射する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、直線性及び非拡散性を有するスリット光であれば、他の種類の光を照射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 測定システム
12 駆動部
14 レーザ照射部
18 エリアカメラ
20 コンピュータ
24 測定対象物
28 駆動制御部
30 画像取得部
32 画像処理部
34 高さ測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定する高さの方向を法線とする平面上で、測定対象物を移動させる駆動手段と、
照射方向を前記測定する高さの方向に対して傾斜させて、前記測定対象物の移動方向と交差する方向を長さ方向とする線状の光を、前記測定対象物に対して照射する光照射手段と、
前記測定対象物からの前記線状の光の反射光を含む領域を撮像する撮像手段と、
前記測定対象物の所定の移動量毎に前記撮像手段により撮像された複数の撮像画像の各々から、前記測定する高さの方向と直交する方向に画素が配列された画素列の各々を抽出し、各画素列について、該画素列の抽出結果の各々を撮像順に並べて合成した合成画像を各々生成する合成手段と、
前記測定対象物上の各位置について、前記合成画像の各々から該位置に対応する画素の輝度値を各々抽出し、抽出された輝度値が高くなる合成画像に対する画素列の撮像画像上の前記高さの方向の高さに基づいて該位置の高さを測定する高さ測定手段と、
を含む高さ測定装置。
【請求項2】
前記合成画像の画素が表わす前記測定対象物上の位置を合わせるように、前記合成手段によって生成された合成画像の各々をずらして重ね合わせる画像移動手段を更に含み、
前記高さ測定手段は、前記測定対象物上の各位置について、前記画像移動手段によって重ね合わされた合成画像の各々から該位置に対応する画素の輝度値を各々抽出し、抽出された輝度値が高くなる合成画像に対応する高さに基づいて該位置の高さを測定する請求項1記載の高さ測定装置。
【請求項3】
前記画像移動手段は、前記測定対象物が移動する前記平面と前記線状の光の照射方向とのなす角、及び画素サイズから求められる移動量だけ、隣接した合成画像に対して前記測定対象物の移動方向に移動させることにより、前記合成画像の画素が表わす前記測定対象物上の位置を合わせる請求項2記載の高さ測定装置。
【請求項4】
前記光照射手段は、直線性及び非拡散性を有する線状の光を前記測定対象物に対して照射する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の高さ測定装置。
【請求項5】
前記高さ測定手段は、前記測定対象物上の注目位置に対応する、各合成画像の画素の輝度値の変化に基づいて、各合成画像に対する画素列の前記撮像画像上の前記高さから、前記輝度値が最大となる前記撮像画像上の前記高さを推定し、前記推定された前記撮像画像上の前記高さに対応する前記注目位置の高さを、測定結果とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の高さ測定装置。
【請求項6】
前記所定の移動量を、前記測定対象物が移動する前記平面と前記撮像手段による撮像方向とのなす角、及び画素サイズに基づいて定めた請求項1〜請求項5の何れか1項記載の高さ測定装置。
【請求項7】
前記測定対象物が移動する前記平面と前記線状の光の照射方向とのなす角、及び該平面と前記撮像手段による撮像方向とのなす角を、同一とした請求項1〜請求項6の何れか1項記載の高さ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−175282(P2010−175282A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15438(P2009−15438)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000170554)国際技術開発株式会社 (34)
【Fターム(参考)】