説明

高メルトフロー酸コポリマーを含有する安全ラミネート及び太陽電池モジュール等の物品

α−オレフィンと、酸コポリマー組成物の総重量に基づいて約1〜約30重量%の、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との酸コポリマーを含む酸コポリマー組成物を含み、酸コポリマーのメルトインデックスが、約75〜約600g/10分である、ポリマーフィルムまたはシート。酸コポリマー組成物は、シランカップリング剤、有機過酸化物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含むのが好ましい。さらに、ポリマーフィルムまたはシートで形成された中間層と、ガラス、他のポリマー中間層シート、ポリマーフィルム層および金属フィルムまたはシートからなる群から選択される追加の層とを含む物品。物品としては、安全窓および太陽電池が例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸コポリマー組成物を含むポリマーフィルムまたはシート、ならびに安全ラミネートおよび太陽電池モジュール等の物品におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスラミネート製品は、ほぼ1世紀にわたって社会に貢献している。世間によく認知されている、自動車のフロントガラスに通常用いられる安全ガラスばかりでなく、ラミネートガラスは、運送業のあらゆる形態において用いられている。安全ガラスは、高い衝撃抵抗および貫入抵抗を特徴とし、砕いてもガラスのかけらや破片が散乱しない。
【0003】
安全ガラスは、典型的に、ポリマーシートの中間層で一緒に貼り合わされた2枚のガラスシートまたはパネルのサンドイッチからなる。ガラスシートの1枚または両方を、ポリカーボネートでできたシート等の光学的に透明な剛性ポリマーシートに換えてもよい。安全ガラスは、ポリマーシートの中間層で貼り合わされた多層のガラスおよびポリマーシートを含むように発展してきた。
【0004】
安全ガラスに用いる中間層は、典型的に、比較的厚いポリマーシートからできており、亀裂または破壊の際には、靭性およびガラスへの接着性を示す。広く用いられている中間層材料としては、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)、ポリ(ウレタン)(PU)、ポリ(エチレン酢酸ビニル)(EVA)、酸コポリマーおよびそれから誘導されるイオノマー等に基づく錯体多成分組成物が挙げられる。
【0005】
再生可能なエネルギー源として、太陽電池モジュールの使用が急速に広がっている。太陽電池モジュールを製造するある好ましい方法には、少なくとも5枚の構造層を含むプレラミネートアセンブリを形成することが含まれる。太陽電池プレラミネートは、上部または入射層(すなわち、最初に光と接触する層)からバッキング(入射層から最も離れて移動させられる層)まで続く、次の順番で構築される。(1)入射層(典型的に、ガラス板または薄ポリマーフィルム(例えば、フルオロポリマーまたはポリエステルフィルム)、ただし、日光を透過する任意の材料が考えられる)、(2)フロントカプセル材層、(3)電圧生成コンポーネント(または太陽電池コンポーネント)、(4)バックカプセル材層および(5)バッキング層。
【0006】
カプセル材層は、脆弱な電圧生成コンポーネントをカプセル化し、保護するように設計されている。通常、太陽電池プレラミネートは、太陽電池コンポーネント周囲で挟まれる少なくとも2つのカプセル材層を組み込む。フロントカプセル材層の光学特性は、光が、太陽電池コンポーネントまで効率的に透過するようなものでなければならない。さらに、カプセル材層は、通常、中間層を取り付ける際に上述したのと同様の要件および組成を有する。
【0007】
酸コポリマー組成物を、太陽電池カプセル材フィルムおよびシートとして用いることは、当該技術分野において公知である(例えば、米国特許第3,957,537号明細書、米国特許第6,187,448号明細書、米国特許第6,320,116号明細書、米国特許第6,414,236号明細書、米国特許第6,586,271号明細書、米国特許第6,693,237号明細書、特開2000186114号明細書、特開2001089616号明細書、特開2001119047号明細書、特開2001119056号明細書、特開2001119057号明細書、特開2001144313号明細書、特開2001261904号明細書、特開2004031445号明細書、特開2004058583号明細書、特開2006032308号明細書、特開2006036875号明細書および特開2006190867号明細書を参照)。例えば、米国特許第6,187,448号明細書および米国特許第6,320,116号明細書には、酸コポリマー層を含む多層太陽電池カプセル材シートが開示されている。米国特許第6,414,236号明細書、米国特許第6,693,237号明細書および特開2006036875号明細書には、太陽電池カプセル材シート材料として、有機過酸化物およびシランカップリング剤を含有する酸コポリマー組成物が開示されている。特開2000186114号明細書には、太陽電池カプセル材シートとしての酸コポリマー組成物、イオノマー組成物およびそのブレンドが開示されている。特開2001144313号明細書、特開2004031445号明細書、特開2004058583号明細書、特開2006032308号明細書および特開2006190867号明細書には、太陽電池カプセル材シート材料としてのシランカップリング剤を含有する酸コポリマー組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、太陽電池モジュールの当該技術分野において用いられている酸コポリマー樹脂のメルトフローインデックス(MI)は、25g/10分以下と低い。かかる低メルトフロー酸コポリマー樹脂を用いると、より高いラミネーション温度(すなわち、130℃〜170℃)が必要であるため、ラミネーションプロセスが複雑になる可能性がある。
【0009】
上述した欠点のない、安全窓および太陽電池等のガラスラミネート最終用途に中間層として用いるのに好適なポリマーフィルムまたはシート、およびかかるフィルムまたはシートを形成するのに有用な組成物が必要とされている。例えば、押出しコンパウンディング温度を下げて、有用な組成物を調製することが求められている。例えば、ラミネーション温度を好ましくは約100℃〜約120℃まで下げる、ラミネーションサイクル時間を短縮する、またはその両方を行って、ラミネーションプロセスを単純にすることも求められている。また、そのような望ましい低温を含め、様々なラミネーション温度下で向上した接着強度を有し、ラミネートに改善された衝撃抵抗性を付与するフィルムまたはシートも求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、α−オレフィンと、酸コポリマーの総重量に基づいて約1〜約30重量%の、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との酸コポリマーを含む酸コポリマー組成物を含み、酸コポリマーのメルトインデックスが、約75〜約600g/10分である、ポリマーフィルムまたはシートに関する。
【0011】
本発明は、請求項1のポリマーフィルムまたはシートで形成された中間層と、ガラス、他のポリマー中間層シート、ポリマーフィルム層、および金属フィルムまたはシートからなる群から選択される追加の層とを含む物品にさらに関する。一実施形態において、物品は安全ガラスラミネートであり、追加の層はガラスシートであり、中間層がガラスシートにラミネートされている。他の実施形態において、物品は、太陽電池プレラミネートアセンブリであり、1つまたは複数の太陽電池を含む太陽電池コンポーネントを含む。
【0012】
本発明は、(a)記載されているポリマーフィルムまたはシートで形成された中間層を提供し、(b)1つまたは複数の太陽電池を含む太陽電池コンポーネントを提供し、(c)酸コポリマー組成物を含むマトリックスにおいて太陽電池コンポーネントをカプセル化することを含む工程により作製される太陽電池ラミネートにさらに関する。
【0013】
本発明は、物品を製造する方法にさらに関し、物品は、太陽電池モジュールであり、その方法は、(i)上述の太陽電池プレラミネートアセンブリを提供し、(ii)プレラミネートアセンブリをラミネートして、太陽電池モジュールを形成することを含む。
【0014】
本発明は、さらに、酸コポリマー組成物と添加剤とを含むポリマー組成物であって、(i)酸コポリマー組成物が、α−オレフィンと、酸コポリマーの総重量に基づいて、約1〜約30重量%の、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との酸コポリマーを含み、(ii)酸コポリマーのメルトインデックスが、約75〜約600g/10分であり、(iii)添加剤が、シランカップリング剤、有機過酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で言及した出版物、特許出願、特許およびその他文献は全て、その全内容が、参考文献として組み込まれる。特に定義されない限り、本明細書で用いる科学技術用語は全て、本発明の属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を持つ。不一致がある場合には、定義を含め本明細書が支配する。
【0016】
本明細書に記載したのと同様または等価の方法および材料を、本発明の実施または試験に用いることができるけれども、好適な方法および材料が本明細書に記載されている。
【0017】
特に断りのない限り、パーセンテージ、部、比率等は全て重量基準である。
【0018】
量、濃度、その他値またはパラメータは、範囲、好ましい範囲、好ましい上限と好ましい下限のリストのいずれかで提示されるとき、範囲が別個に開示されているか否かにかかわらず、上限または好ましい値と下限または好ましい値の対から形成された全ての範囲を具体的に開示していると考えるものとする。本明細書において数値の範囲で示してある場合、別記しない限り、この範囲には、その終点、その範囲内の整数および分数の全てが含まれるものとする。本発明の範囲は、範囲を定義したときに示した特定の範囲に限定されないものとする。
【0019】
「約」という用語を、値、または範囲の端点を説明するのに用いるとき、開示内容には、参照された特定の値または端点が含まれると考えるものとする。
【0020】
本明細書で用いる「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「含有する」、「特徴とする」、「持つ」、「持っている」またはその他変形の用語は、非排他的な包括を規定するものである。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの要素に必ずしも限定されず、明示的にリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素も含まれる。さらに、明示的にそれには反するとした場合を除き、「または」は、包括的なまたはであり、排他的なまたはでない。例えば、条件AまたはBを満足するのは次のうちのいずれかである。Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0021】
「からなる」という移行句は、特許請求の範囲において規定されていない要素、工程または成分を排除し、当たり前の関連の不純物を除き、列挙された以外の材料は特許請求の範囲に含まれない。「〜からなる」という句が、前段の直後ではなく、請求項の本文に現れるとき、それは、その本文に示された要素を限定するにすぎない。他の要素は全体として請求項から除外されない。
【0022】
「から実質的になる」という移行句は、特許請求の範囲を特定の材料または工程および特許請求された発明の基本的および新規な特徴に悪影響を与えないものに限定するものである。「から実質的になる」請求項は、「からなる」形式で書かれるクローズドクレームと「含む」形式で書かれる完全オープンクレームとの間の中間である。
【0023】
出願人が「含む」等の制約のない用語で発明またはその一部を規定した場合、(別記しない限り)「から実質的になる」または「からなる」を用いてこのような発明を記載するように説明が解釈されるべきであることは容易に理解されるはずである。
【0024】
単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要素および成分を記載するために使用される。これは、単に便宜上のために、かつ本発明の一般的な意味を与えるために使用される。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含めるように読まれるべきであり、他の意味であることが明白でない限り、単数形には複数形も含まれる。
【0025】
特定のポリマーを説明するとき、出願人は、ポリマーを製造するために用いられたモノマー、ポリマーを製造するために用いられたモノマーの量、またはポリマーに組み込まれるモノマー残渣によってポリマーを参照することがあることを理解されたい。このような説明は、最終ポリマーを説明するために用いられた特定の用語を包含しなくてもよく、またはプロダクト−バイ−プロセスの用語を含まなくてもよいが、モノマー、モノマー残渣、繰り返し単位および量へのこのような言及は、ポリマーがそれらのモノマーまたはモノマーの量、相当するポリマーおよびそれらの組成物から製造されることを意味するように解釈されるべきである。これに関して、モノマーの残渣を含有するコポリマーを参照することは、コポリマーが、そのモノマーからの繰り返し単位を含有するという事実を参照することである。出願人が、あるパーセンテージのモノマーを含有するコポリマーを参照するとき、この参照は、そのモノマーを形成する繰り返し単位を含有するコポリマーであるものと考えるものとする。
【0026】
本発明の説明および/または請求範囲において、「コポリマー」という用語は、2つ以上のモノマーを含むポリマーを指すのに用いられる。
【0027】
「有限量」および「有限値」という用語は、ゼロより大きい量のことを指すのに用いる。
【0028】
「酸コポリマー」という用語は、α−オレフィンの共重合残渣と、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合残渣とを含む樹脂組成物を指すのに用いる。「イオノマー」という用語は、部分的にまたは完全に中和された「酸コポリマー」から誘導された樹脂組成物を指すのに本明細書においては用いられる。「酸コポリマー」の参照は、中和されていない組成物を指すものと考えられる。
【0029】
高メルトフロー酸コポリマー組成物
本発明は、安全中間層シートまたは太陽電池カプセル材フィルムまたはシートを形成するのに有用な特定の高メルトフロー酸コポリマー組成物に関する。具体的には、高メルトフロー酸コポリマー組成物は、190℃、2160gの荷重で、ASTM D1238により測定した際、約75〜約600g/10分のMIを有する酸コポリマーで構成されている。(同様のISO試験はISO1133である。)
【0030】
酸コポリマー樹脂:
高メルトフロー酸コポリマーは、有限量のα−オレフィンおよび、コポリマーの総重量に基づいて、3〜8個の炭素を有する約1〜約30重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含む。好ましくは、親酸コポリマーは、酸コポリマーの総重量に基づいて、約10〜約25重量%、より好ましくは約15〜約23重量%、さらにより好ましくは約18〜約23重量%のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含む。
【0031】
α−オレフィンコモノマーは、典型的に、2〜10個の炭素原子を組み込む。好ましいα−オレフィンとしては、これらに限られるものではないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等およびこれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、α−オレフィンはエチレンである。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいα,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、米国特許第6,500,888号明細書および米国特許第6,518,365号明細書に開示されているとおりにして、酸コポリマーを重合すればよい。
【0033】
高メルトフロー酸コポリマーのMIは約75〜約600g/10分、好ましくは約100〜約400g/10分である。
【0034】
かかる高メルトフローレートは、該レートから誘導された酸コポリマーフィルムまたはシートに、それらが安全ラミネートまたは太陽電池ラミネートに用いられるとき、低減されたラミネーション温度、低減されたサイクル時間またはその両方を提供する。さらに、本明細書で用いるラミネーション温度でラミネートすると、かかる高メルトフロー酸コポリマー組成物から誘導されたフィルムまたはシートは、比較的低いメルトフローレートの酸コポリマー組成物から誘導されたものよりも高い接着強度を有する。
【0035】
高メルトフロー酸コポリマーは、任意で、他の不飽和コモノマーを含有していてもよい。好ましい他の不飽和コモノマーとしては、これらに限られるものではないが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートおよびこれらの混合物が具体的に例示される。通常、酸コポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、0〜約50重量%、好ましくは0〜約30重量%、より好ましくは0〜約20重量%の他の不飽和コモノマーを組み込んでよい。
【0036】
添加剤:
高メルトフロー酸コポリマー組成物は、1種類以上の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0037】
ある特定の実施形態において、酸コポリマー組成物は、1種類以上のシランカップリング剤をさらに含み、誘導されたフィルムまたはシートの接着強度がさらに向上する。
【0038】
本発明に有用な例示のシランカップリング剤としては、これらに限られるものではないが、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−ビニルベンジルプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4,−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびこれらの混合物が挙げられる。シランカップリング剤は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは約0.01〜約5重量%、より好ましくは約0.05〜約1重量%のレベルで酸コポリマー組成物に組み込まれる。
【0039】
シランカップリング剤は、組み込まれる酸コポリマー組成物のメルトフローレートを減じることができることに留意する。従って、設定レベルのシランだと、高メルトフロー酸コポリマー組成物は、先行技術の低メルトフロー酸コポリマー組成物よりも、あるレベルの粘度を維持することができる。
【0040】
本発明の他の実施形態において、酸コポリマー組成物は、樹脂のメルトフローを、ラミネーション中のフィルムまたはシートの熱硬化の限界まで、有効に減じる添加剤をさらに含んでいてもよい。かかる添加剤を用いると、最終使用温度の上限を上げ、ラミネート中間層シートまたは誘導された太陽電池カプセル材フィルムまたはシートのクリープが減じる。典型的に、最終使用温度は、約20〜約70℃まで上がる。さらに、かかる材料から製造された安全ラミネートおよび太陽電池ラミネートは、耐火性である。具体的には、ラミネーション中、酸コポリマー樹脂を熱硬化することにより、樹脂は、ラミネートからメルトフローする傾向が減じ、発射のための追加の燃料として機能することもある。
【0041】
典型的に、有効なメルトフローを減じる添加剤は、有機過酸化物であり、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ベチルパーオキシ)ヘキサン−3、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α、α’−ビス(tert−ブチル−パーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド等およびこれらの混合物である。好ましくは、有機過酸化物は、約100℃以上の温度で分解して、ラジカルを生成する。より好ましくは、有機過酸化物は、約70℃以上で10時間の半減期を与えて、ブレンド操作の安定性を改善する分解温度を有する。
【0042】
さらに、酸コポリマー組成物コンパウンディング温度と有機過酸化物分解温度との間の温度ギャップは、コンパウンディング中、そしてフィルムおよびシート形成プロセス中の早期の架橋を防ぐために重要である。押出しプロセス(組成物を生成し、高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートを製造するのに好ましいプロセスである)において、高メルトフロー酸コポリマー組成物は、低メルトフロー酸コポリマー組成物に比べて、望ましくは低い押出し温度を必要とするため、押出しコンパウンディング、フィルムまたはシート形成中の早期の架橋を有効に防ぐ。
【0043】
有機過酸化物は、組成物の総重量に基づいて、約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約3重量%のレベルで添加されることが好ましい。
【0044】
必要であれば、ジブチル錫ジラウレート等の開始剤を、組成物の総重量に基づいて、約0.01〜約0.05重量%のレベルで、酸コポリマー組成物に含有させてもよい。また、必要であれば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノンおよびメチルヒドロキノン等の阻害剤を、反応および安定性に対する制御を高めるために添加してもよい。典型的に、阻害剤は、組成物の総重量に基づいて、約5重量%未満のレベルで添加される。
【0045】
さらに他の実施形態において、高メルトフロー酸コポリマー組成物は、当該技術分野において公知の他の好適な添加剤をさらに含んでいてもよい。かかる添加剤としては、これらに限られるものではないが、可塑剤、処理助剤、流動促進添加剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、衝撃改質剤、核剤、ブロッキング防止剤(例えば、シリカ)、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート化剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、補強添加剤(例えば、ガラスファイバー)、フィラー等が挙げられる。通常、太陽電池カプセル材フィルムまたはシートに用いるとき、組成物の光学明瞭度を減じる添加剤、例えば、補強添加剤およびフィラーを、バックカプセル材層として用いるフィルムまたはシート用に備えておく。
【0046】
熱安定剤を用いることができ、当該技術分野において広く開示されてきた。公知の熱安定剤が本発明に有用である。好ましい一般部類の熱安定剤としては、これらに限られるものではないが、フェノール酸化防止剤、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミン系酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アシルアミノフェノール、オキサミド、金属不活性化剤、亜リン酸塩、フォスフォナイト、ベンジルフォスフォネート、アスコルビン酸(ビタミンC)、過酸化物を破壊する化合物、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオ共力剤、ベンゾフラノン、インドリノン等およびこれらの混合物が挙げられる。高メルトフロー酸コポリマー組成物は、有効量の熱安定剤を含有していてもよい。熱安定剤を用いることは任意であり、場合によっては好ましくない。用いるとき、高メルトフロー酸コポリマー組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約0.05重量%、約10重量%まで、より好ましくは約5重量%まで、最も好ましくは約1重量%までの熱安定剤を含有する。
【0047】
UV吸収剤を用いることができ、当該技術分野において広く開示されてきた。公知のUV吸収剤が本発明に有用である。好ましい一般部類のUV吸収剤としては、これらに限られるものではないが、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、置換および非置換安息香酸のエステル等およびこれらの混合物が挙げられる。高メルトフロー酸コポリマー組成物は、有効量のUV吸収剤を含有していてもよい。UV吸収剤を用いることは任意であり、場合によっては好ましくない。用いるとき、高メルトフロー酸コポリマー組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約0.05重量%、約10重量%まで、より好ましくは約5重量%まで、最も好ましくは約1重量%までのUV吸収剤を含有する。
【0048】
ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を用いることができ、当該技術分野において広く開示されてきた。通常、ヒンダードアミン光安定剤は、第2級、第3級、アセチル化、N−ヒドロカルビルオキシ置換、ヒドロキシ置換N−ヒドロカルビルオキシ置換またはその他置換環状アミンとして開示されており、さらに、立体障害が組み込まれ、通常、アミン官能基に近接する炭素原子の脂肪族置換基から誘導される。高メルトフロー酸コポリマー組成物は、有効量のヒンダードアミン光安定剤を含有していてもよい。ヒンダードアミン光安定剤を用いることは任意であり、場合によっては好ましくない。用いるとき、高メルトフロー酸コポリマー組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約0.05重量%、約10重量%まで、より好ましくは約5重量%まで、最も好ましくは約1重量%までのヒンダードアミン光安定剤を含有する。
【0049】
高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシート
本発明は、高メルトフロー酸コポリマー組成物を含むフィルムまたはシート等の成型物品をさらに提供する。これらの高メルトフロー酸コポリマーフィルムおよびシートは、任意の好適なプロセスにより製造してよい。例えば、フィルムおよびシートは、ディップコーティング、溶液流延、圧縮成形、射出成形、溶融押出し、溶融ブローまたは当業者に公知のその他手段により形成してよい。好ましくは、高メルトフロー酸コポリマーフィルムおよびシートは、溶融押出しにより形成され、これは、「エンドレス」製品の形成に特に好ましいプロセスである。
【0050】
上述したとおり、高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートは、太陽電池ラミネートにおいて、安全ラミネートまたはカプセル材フィルムまたはシートに、中間層シートを形成するのに有用である。さらに、高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートは、単層または多層フィルムまたはシートの形態を採ってもよい。単層とは、フィルムまたはシートが、1層のみの単層を有し、1層の単層が、高メルトフロー酸コポリマー組成物でできていることを意味する。多層とは、高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートが、2層以上の副層を有し、副層の少なくとも1層が、高メルトフロー酸コポリマー組成物でできていることを意味する。多層フィルムまたはシートの他の副層は、任意の好適なポリマー組成物でできている。しかしながら、好ましくは、他の副層は、酸コポリマーおよびそれから誘導されたイオノマー、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアセタール)(例えば、ポリ(ビニルブチラール))、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(例えば、メタロセン触媒鎖状低密度ポリエチレン)、ポリオレフィンブロックエラストマー、エチレンアクリレートエステルコポリマー(例えば、ポリ(エチレン−コ−メチルアクリレート)およびポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート))、シリコーンエラストマーおよびエポキシ樹脂からなる群から選択されるポリマー組成物でできている。より好ましくは、他の副層は、酸コポリマーおよびそれから誘導されたイオノマー、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、メタロセン触媒鎖状低密度ポリエチレン、ポリオレフィンブロックエラストマーおよびエチレンアクリレートエステルコポリマーからなる群から選択されるポリマー組成物でできている。さらに、適切な接着強度を提供するには、多層フィルムまたはシートの表面副層の少なくとも1つ、好ましくは両方が、高メルトフロー酸コポリマー組成物で形成されている。ある好ましい実施形態において、高フロー酸コポリマー表面と低フローコア層を有する多層フィルムおよびシートは、本発明の望ましい低ラミネーション温度および高接着力を提供する。
【0051】
本発明のフィルムまたはシートは、好ましくは合計厚さ約0.1ミル(0.003mm)〜約250ミル(6.35mm)である。安全ラミネート中間層シートとして用いるときは、高メルトフロー酸コポリマーシートの合計厚さは、好ましくは約10ミル(0.25mm)〜約250ミル(6.35mm)、より好ましくは約15ミル(0.38mm)〜約90ミル(2.28mm)、さらにより好ましくは約30ミル(0.76mm)〜約60ミル(1.52mm)である。同じく、本発明によれば、太陽電池カプセル材として用いるには、シートまたはフィルムの厚さは、好ましくは約0.1ミル(0.003mm)〜約20ミル(0.51mm)である。すなわち、フレキシブル太陽電池ラミネートにおいて、太陽電池カプセル材フィルムとして用いるとき、高メルトフロー酸コポリマーフィルムの合計厚さは、好ましくは約0.1ミル(0.003mm)〜約10ミル(0.25mm)、より好ましくは約1ミル(0.03mm)〜約5ミル(0.13mm)であり、一方、リジッド太陽電池ラミネートを、太陽電池カプセル材シートとして用いるとき、高メルトフロー酸コポリマーフィルムの合計厚さは、好ましくは約10ミル(0.25mm)〜約20ミル(0.51mm)である。合計多層酸コポリマーフィルムまたはシートを作製する個々の副層の厚さは重要でなく、特定の用途に応じて、独立して変えてよい。しかしながら、好ましくは、多層フィルムまたはシートの表面層の厚さは、約1ミル(0.03mm)〜約5ミル(0.13mm)でなければならない。
【0052】
高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートは、片側または両側に平滑または粗面を有していてもよい。好ましくは、高メルトフローフィルムまたはシートは、粗面を有していて、ラミネートプロセスによりラミネートの脱気を促進する。ラミネーション中、空気を逃がし、空気を除去するためのチャネルを与えることは、許容できる外観を有するラミネートを得るのに公知の方法である。粗面は、中間層シートまたはカプセル材層またはシートの押出し中の機械的なエンボス加工またはメルトフラクチャーに続いて、冷却して、取扱中の粗さを保持することにより得られる。表面パターンを、一般的な当該技術分野のプロセスにより、高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートに適用することができる。例えば、押出されたままのフィルムまたはシートを、ダイの出口に近接配置されたダイロールの特別に作製された表面を通過させて、所望の表面特徴を、溶融ポリマーの片側に付与する。このように、かかるロールの表面に微小な山と谷があると、ポリマーキャストで形成されたフィルムまたはシートは、ロール表面の山と谷にそれぞれほぼ従うロールと接触する側に粗面を有する。かかるダイロールは、例えば、米国特許第4,035,549号明細書に開示されている。
【0053】
必要であれば、高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートの一面または両面を処理して、他のラミネート層に対する接着力を向上してもよい。この処理は、当該技術分野において公知の任意の形態を採り、例えば、接着剤、シランのようなプライマー、火炎処理(例えば、米国特許第2,632,921号明細書、米国特許第2,648,097号明細書、米国特許第2,683,894号明細書、米国特許第2,704,382号明細書参照)、プラズマ処理(例えば、米国特許第4,732,814号明細書参照)、電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、温風処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理、溶媒処理等およびこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、炭素の薄層を、米国特許第4,865,711号明細書に開示されているような真空スパッタリングにより、フィルムまたはシートの一面または両面に堆積してもよい。一方、米国特許第5,415,942号明細書には、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムの接着促進プライマーとして作用するヒドロキシ−アクリルヒドロゾルプライマーコーティングが開示されている。
【0054】
接着層は、接着プライマーまたはコーティングの単層の形態を採るのが好ましい。接着剤/プライマーコーティングの厚さは、1ミル(0.03mm)未満、好ましくは0.5ミル(0.013mm)未満、より好ましくは0.1ミル(0.003mm)未満である。接着剤は、当該技術分野において公知の任意の接着剤またはプライマーであってよい。好ましくは、接着剤またはプライマーは、シランカップリング剤またはポリ(ビニルアミン)またはポリ(アリルアミン)である。ポリ(アリルアミン)系プライマーおよびそれらのポリ(エチレンテレフタレート)ポリマーフィルムへの適用は、米国特許第5,411,845号明細書、米国特許第5,770,312号明細書、米国特許第5,690,994号明細書および米国特許第5,698,329号明細書に開示されている。
【0055】
安全ラミネート
本発明は、高メルトフロー酸コポリマー組成物で形成されたポリマー中間層シートを含む安全ラミネートをさらに提供する。具体的には、本発明の安全ラミネートは、少なくとも1層の剛性シート層と、上述した少なくとも1層の高メルトフロー酸コポリマーシートを中間層シートとして含む。
【0056】
上述したとおり、用いるラミネーション温度で、高メルトフロー酸コポリマー中間層シートは、典型的に、他の低メルトフロー酸コポリマーから誘導されたシートより高い接着強度を有しているため、安全ラミネート構造に、改善された耐衝撃性を与える。
【0057】
本発明によれば、剛性シートは、ガラスまたは剛性プラスチックシート、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリアクリレート、環状ポリオレフィン(例えば、エチレンノルボルネンポリマー)、メタロセン触媒ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、フルオロポリマー等およびこれらの組み合わせであってよい。金属シート(例えば、アルミニウム、鋼または亜鉛めっき鋼)またはセラミック板を、剛性ポリマーシートまたはガラスに換えてもよい。
【0058】
「ガラス」という用語には、窓ガラス、板ガラス、シリケートガラス、シートガラス、低鉄ガラス、強化ガラス、強化CeOフリーガラスおよびフロートガラスばかりでなく、着色ガラス、特殊ガラス(例えば、太陽光加熱を制御する成分を含むもの等)、コートガラス(太陽光を制御するために金属(例えば、銀または酸化インジウム錫)でスパッタされたもの等)、E−ガラス、Toroglass、Solex(登録商標)ガラス(Solutiaの製品)も含まれる。かかる特殊ガラスは、例えば、米国特許第4,615,989号明細書、米国特許第5,173,212号明細書、米国特許第5,264,286号明細書、米国特許第6,150,028号明細書、米国特許第6,340,646号明細書、米国特許第6,461,736号明細書および米国特許第6,468,934号明細書に開示されている。しかしながら、特定のラミネートについて選択されるガラスの種類は、目的の用途に応じて異なるものと考えられる。
【0059】
本発明のある好ましい実施形態は、少なくとも1層のガラスと、少なくとも1層の上記の高メルトフロー酸コポリマーシートとを含む安全ラミネートである。好ましくは、高メルトフロー酸コポリマーシートは、ガラスに自己接着する。本明細書で用いる際、ポリマーシートがガラスに「自己接着」すると言われるとき、ガラスとポリマー層との間にプライマーまたは薄接着層等の中間層がなく、ガラスまたはポリマー層の表面に特別な処理がなされていないことを意味する。本発明のより好ましい実施形態は、2層のガラスと、その間にボンドされた少なくとも1層の高メルトフロー酸コポリマーシートとを含むラミネートである。好ましくは、高メルトフロー酸コポリマーシートは、ガラス層の一方または両方に自己接着している。
【0060】
本発明の安全ラミネートは、他の任意の中間層シートおよび/またはフィルム層をさらに含んでいてもよい。他の任意の中間層シートは、任意の好適な材料、例えば、酸コポリマーおよびそれから誘導されたイオノマー、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアセタール)(例えば、ポリ(ビニルブチラール))、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(例えば、メタロセン触媒鎖状低密度ポリエチレン)、ポリオレフィンブロックエラストマー、エチレンアクリレートエステルコポリマー(例えば、ポリ(エチレン−コ−メチルアクリレート)およびポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート))、シリコーンエラストマーおよびエポキシ樹脂で形成されていてよい。ある好ましい一実施形態において、他の中間層は、α−オレフィンと、酸コポリマーの総重量に基づいて約1〜約30重量%の、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との酸コポリマーを含む酸コポリマー組成物であって、酸コポリマーのメルトインデックスが、約75〜約600g/10分であり、第1の層に用いるものと同じでもまたは異なっていてもよい。他の任意の中間層シートの厚さは重要でなく、特定の用途に応じて独立して変えてもよい。酸コポリマー層について上に挙げた値が多くの場合好ましい。
【0061】
安全ラミネートに用いるフィルム層は、金属、例えば、アルミニウムホイルまたはポリマーであってよい。好ましいポリマーフィルム材料としては、これらに限られるものではないが、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET))、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび環状ポリオレフィン)、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン(シンジオタクチックポリスチレンを含む)、スチレン−アクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリスルホン(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ナイロン、ポリ(ウレタン)、アクリル、酢酸セルロース(例えば、酢酸セルロース、三酢酸セルロース等)、セロファン、塩化ビニルポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンコポリマー等)、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー等)等が挙げられる。より好ましくは、ポリマーフィルムは、二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムである。
【0062】
ポリマーフィルムの厚さは重要でなく、特定の用途に応じて変えてよい。しかしながら、通常、ポリマーフィルムの厚さは、約0.1ミル(0.003mm)〜約10ミル(0.26mm)、好ましくは約1ミル(0.025mm)〜約7ミル(0.18mm)である。
【0063】
さらに、ポリマーフィルムは、コーティングおよびラミネーションプロセスの際、十分に応力緩和され、収縮安定されるのが好ましい。ポリマーフィルムは、熱安定化して、高温としたときに、低収縮特性(すなわち、150℃で、30分後、両方向に、2%未満の収縮)を与えるのが好ましい。
【0064】
フィルムはまた、必要であればコートしてもよい。例えば、フィルムは、有機赤外線吸収剤およびスパッタ金属層、例えば、銀コーティング等でコートしてもよい。金属コートポリマーフィルムは、米国特許第3,718,535号明細書、米国特許第3,816,201号明細書、米国特許第4,465,736号明細書、米国特許第4,450,201号明細書、米国特許第4,799,745号明細書、米国特許第4,846,949号明細書、米国特許第4,954,383号明細書、米国特許第4,973,511号明細書、米国特許第5,071,206号明細書、米国特許第5,306,547号明細書、米国特許第6,049,419号明細書、米国特許第6,104,530号明細書、米国特許第6,204,480号明細書、米国特許第6,255,031号明細書および米国特許第6,565,982号明細書に開示されている。例えば、コーティングは、米国特許第6,521,825号明細書、米国特許第6,818,819号明細書および欧州特許第1 182 710号明細書に開示された酸素および防湿コーティング、例えば、金属酸化物コーティングとして機能する。
【0065】
必要であれば、ラミネート層、例えば、酸コポリマー中間層シート、任意の他の中間層シートまたはフィルム層、または剛性シートの一面または両面を処理して、上述したとおり、接着強度を増大してもよい。
【0066】
本発明の安全ラミネートは、当該技術分野において公知の任意の形態を採ってもよい。好ましい具体的なガラスラミネート構造としては、上述したとおり、例えば、次のものが挙げられ、「HMFAC」は中間層シートおよび多層シートを含む好ましい高メルトフロー酸コポリマーを意味する。
・ガラス/HMFAC
・ガラス/HMFAC/フィルム
・ガラス/HMFAC/ガラス
・ガラス/HMFAC/フィルム/HMFAC/ガラス
・ガラス/HMFAC/フィルム/HMFAC/フィルム
等。
【0067】
本発明の安全ラミネートは、詳細を後述するラミネーションプロセスまたはその他プロセスにより製造される。
【0068】
太陽電池プレラミネートアセンブリおよび太陽電池ラミネート
本発明は、1つまたは複数の太陽電池および上述した少なくとも1層の高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートで形成された太陽電池コンポーネントを含む太陽電池プレラミネートアセンブリをさらに提供する。
【0069】
太陽電池は、技術の発展と最適化に伴い、種々のものが一般に利用されるようになっている。本発明内で、“太陽電池”とは、光を電気エネルギーに変換できる物品のことを意味する。太陽電池の様々な形態の典型的な技術例としては、例えば、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、微結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコンベースの太陽電池、セレン化銅インジウム太陽電池、化合物半導体太陽電池、色素増感太陽電池等が挙げられる。最も一般的なタイプの太陽電池としては、大規模太陽電池を、比較的低費用で、製造しやすいことから、多結晶太陽電池、薄膜太陽電池、化合物半導体太陽電池およびアモルファスシリコン太陽電池が挙げられる。
【0070】
薄膜太陽電池は、典型的に、ガラスや可撓性フィルムといった、数枚の薄膜層を、基板に堆積することにより製造される。層はパターン化されて、電気的に相互接続された複数の個々の電池を形成して、好適な電圧出力を生成する。多層堆積を行う順番に応じて、基板は、太陽電池モジュールの背面またはフロントウィンドウとして作用する。例を挙げると、薄膜太陽電池は、米国特許第5,512,107号明細書、米国特許第5,948,176号明細書、米国特許第5,994,163号明細書、米国特許第6,040,521号明細書、米国特許第6,137,048号明細書および米国特許第6,258,620号明細書に開示されている。薄膜太陽電池モジュールとしては、テルル化カドミウムまたはCIGS(Cu(In−Ga)(SeS)2)、薄膜電池を含むものが例示される。
【0071】
ある特別な実施形態において、太陽電池プレラミネートアセンブリは、1層の高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートを含み、これは、太陽電池コンポーネントの隣に位置していて、カプセル材層の1つとして作用する、または、好ましくは高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートは、受光側で太陽電池コンポーネントの隣に位置していて、フロントカプセル材層として作用する。
【0072】
本発明によれば、少なくとも1つの高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートに加えて、太陽電池プレラミネートアセンブリは、任意で、他のポリマー材料、例えば、酸コポリマーおよびそれから誘導された酸コポリマー、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアセタール)(例えば、ポリ(ビニルブチラール)、音響等級のポリ(ビニルブチラール)を含む)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(例えば、鎖状低密度メタロセン触媒ポリエチレン)、ポリオレフィンブロックエラストマー、エチレンアクリレートエステルコポリマー(例えば、ポリ(エチレン−コ−メチルアクリレート)およびポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート))、シリコーンエラストマーおよびエポキシ樹脂で形成されたカプセル材層をさらに含んでいてもよい。
【0073】
さらなる実施形態において、太陽電池プレラミネートアセンブリは、2層の高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートを含み、2枚の高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシートのそれぞれが、太陽電池コンポーネントの2つの側にそれぞれラミネートされており、フロントおよびバックカプセル材層として作用する。
【0074】
高メルトフロー酸コポリマーフィルムまたはシート以外の個々のカプセル材層の厚さは、重要でなく、特定の用途に応じて、独立して変えてよい。好ましくは、これらのカプセル材層のそれぞれの厚さは、独立に、約1ミル(0.026mm)〜約120ミル(3.00mm)、より好ましくは約1ミル〜約40ミル(1.02mm)、最も好ましくは約1ミル〜約20ミル(0.51mm)の範囲である。また、太陽電池プレラミネートアセンブリに含まれるカプセル材層は全て、平滑または粗面を有していてもよい。しかしながら、好ましくは、カプセル材層は、粗面を有していて、ラミネーションプロセスによりラミネートの脱気を促進する。
【0075】
さらなる実施形態において、受光側と背面側でそれぞれアセンブリの外側層として作用する太陽電池プレラミネートアセンブリは、入射層および/またはバッキング層を含んでいてもよい。
【0076】
太陽電池プレラミネートアセンブリの外側層、すなわち、入射層とバッキング層は、任意の好適なシートまたはフィルムから誘導してよい。好適なシートは、ガラスまたはプラスチックシートであり、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリアクリレート、環状ポリオレフィン(例えば、エチレンノルボルネンポリマー)、メタロセン触媒ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、フルオロポリマー等およびこれらの組み合わせであってよい。また、金属シート、例えば、アルミニウム、鋼、亜鉛めっき鋼またはセラミック板を、バックシートを形成するのに用いてもよい。
【0077】
好適なフィルム層はポリマーである。ポリマーフィルムを形成するのに用いる好ましいポリマーとしては、これらに限られるものではないが、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび環状ポリオレフィン)、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン(シンジオタクチックポリスチレンを含む)、スチレン−アクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリスルホン(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ナイロン、ポリ(ウレタン)、アクリル、酢酸セルロース(例えば、酢酸セルロース、三酢酸セルロース等)、セロファン、塩化ビニルポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンコポリマー等)、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー等)等が挙げられる。最も好ましくは、ポリマーフィルムは、二軸延伸ポリエステルフィルム(好ましくは、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムまたはフルオロポリマーフィルム(例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)(DuPont)製Tedlar(登録商標)、Tefzel(登録商標)およびTeflon(登録商標)フィルムである。フルオロポリマー−ポリエステル−フルオロポリマー(「TPT」)フィルムはまた、ある用途にとっても好ましい。金属フィルム、例えば、アルミニウムホイルはまた、バックシートとして用いてもよい。
【0078】
本発明の太陽電池プレラミネートアセンブリは、任意で、アセンブリ内に埋め込まれた他の機能性フィルムまたはシート層(例えば、誘電性層またはバリア層)をさらに含んでいてもよい。かかる機能性層は、上述のポリマーフィルムまたは追加の機能性コーティングでコートしたものから誘導してよい。例えば、米国特許第6,521,825号明細書、米国特許第6,818,819号明細書および欧州特許第1 182 710号明細書に開示されているような金属酸化物コーティングでコートされたポリ(エチレンテレフタレート)フィルムは、ラミネートにおいて酸素および防湿層として機能する。
【0079】
必要に応じて、不織ガラス繊維(スクリム)の層を、太陽電池ラミネートに含めて、ラミネーションプロセス中の脱気を促進したり、カプセル材層の補強として作用させてもよい。太陽電池ラミネート内のかかるスクリム層の使用は、例えば、米国特許第5,583,057号明細書、米国特許第6,075,202号明細書、米国特許第6,204,443号明細書、米国特許第6,320,115号明細書、米国特許第6,323,416号明細書および欧州特許第0 769 818号明細書に開示されている。
【0080】
さらに、太陽電池層の受光側に配置されたフィルムまたはシート層の全てが、日光を太陽電池コンポーネントへ十分に透過できる透明材料でできていると考えられる。場合によっては、特別なフィルムまたはシートは、カプセル材層および外側層の機能の両方を果たすために含まれていてもよい。アセンブリに含まれるフィルムまたはシート層は、プレフォームされた単層または多層フィルムまたはシートの形態であってもよいものと考えられる。
【0081】
必要であれば、太陽電池プレラミネートアセンブリのラミネート層の一面または両面を処理して、上述したとおり、接着強度を向上してもよい。
【0082】
太陽電池プレラミネートアセンブリは、当該技術分野において公知の任意の形態を採ってよい。好ましい具体的な太陽電池プレラミネート構造(上(入射光)側から背面側)は、上述したとおり、例えば、次のものが挙げられ、「HMFAC」は本発明の高メルトフロー酸コポリマーカプセル材フィルム、多層フィルム、シートおよび多層シートを意味する。
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/ガラス
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/Tedlar(登録商標)フィルム
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/HMFAC/ガラス
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/HMFAC/Tedlar(登録商標)フィルム
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/PETフィルム
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/HMFAC/PETフィルム
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/バリアコートフィルム/HMFAC/ガラス
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/バリアコートフィルム/HMFAC/太陽電池/HMFAC/バリアコートフィルム/HMFAC/Tedlar(登録商標)フィルム
【0083】
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/アルミニウムストック
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/HMFAC/アルミニウムストック
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/亜鉛めっき鋼シート
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/PETフィルム/HMFAC/アルミニウムストック
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/HMFAC/PETフィルム/HMFAC/アルミニウムストック
・ガラス/HMFAC/太陽電池/HMFAC/PETフィルム/HMFAC/亜鉛めっき鋼シート
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/HMFAC/PETフィルム/HMFAC/亜鉛めっき鋼シート
・ガラス/HMFAC/太陽電池/音響ポリ(ビニルブチラール)カプセル材層/ガラス
・ガラス/HMFAC/太陽電池/ポリ(ビニルブチラール)カプセル材層/Tedlar(登録商標)フィルム
【0084】
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/酸コポリマーカプセル材層/Tedlar(登録商標)フィルム
・ガラス/HMFAC/太陽電池/エチレン酢酸ビニルカプセル材層/PETフィルム
・Tedlar(登録商標)フィルム/HMFAC/太陽電池/ポリ(エチレン−コ−メチルアクリレート)カプセル材層/PETフィルム
・ガラス/ポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート)カプセル材層/太陽電池/HMFAC/バリアコートフィルム/ポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート)カプセル材層/ガラス
等。上記の実施例においては、好ましいTedlar(登録商標)フルオロポリマーフィルムを参照しているが、上記実施形態は、フルオロポリマー−ポリエステル−フルオロポリマー三層フィルム等の他のフルオロポリマーフィルムで作製することもできることが容易に分かるはずである。上記の実施例においては、好ましいポリ(エチレンテレフタレート)フィルムを参照しているが、任意のポリエステルフィルムを用いることができることは容易に分かるはずである。また、「ガラス」という用語は、上述の種類のガラスまたはガラス代替品のいずれかのシートを指すものである。
【0085】
本発明は、上記の開示された太陽電池プレラミネートアセンブリから誘導された太陽電池ラミネートをさらに提供する。具体的には、太陽電池ラミネートは、太陽電池プレラミネートアセンブリにさらにラミネーションプロセスを施すことにより形成される。詳細は後述する。
【0086】
さらに、上述したとおり、本明細書で用いるラミネーション温度で、高メルトフロー酸コポリマーカプセル材フィルムまたはシートは、本明細書に記載した少ないラミネーション条件で、他の低メルトフロー酸コポリマーから誘導されたカプセル材フィルムまたはシートより高い接着強度を典型的に有するため、簡単な製造プロセスで太陽電池ラミネート構造を提供する。
【0087】
ラミネーションプロセス
本発明は、安全ラミネートまたは太陽電池ラミネートを製造するための簡単なプロセスをさらに提供する。具体的には、上述したとおり、高メルトフロー酸コポリマー中間層シートまたは高メルトフロー酸コポリマー太陽電池カプセル材フィルムまたはシートの組み込みに必要なラミネーション温度、サイクル時間またはこの両方は、低メルトフロー酸コポリマーを含むプロセスで用いるラミネーション温度またはサイクル時間に比べて、低い、または短い。
【0088】
本発明によれば、ラミネーションプロセスは、オートクレーブまたはノンオートクレーブプロセスであってもよい。
【0089】
例示のプロセスにおいて、ガラスシート、フロントカプセル材層、太陽電池コンポーネント、バックカプセル材層、バッキング層(例えば、Tedlar(登録商標)フィルム)およびカバーガラスシートをレイアップし、加熱、加圧、真空(例えば、約27〜28インチ(689〜711mm)Hg)下で一緒にラミネートして空気を除去する。好ましくは、ガラスシートは洗って乾燥しておく。典型的なガラスの種類は、厚さ90ミルのアニールされた低鉄ガラスである。例示の手順において、本発明のプレラミネートアセンブリを、真空を保持できる袋(「真空袋」)に入れ、真空ラインまたは袋に真空を引くその他手段を用いて、袋から空気を引き、真空を維持しながら袋を封止し、封止した袋を約100℃〜約180℃の温度で、約150〜約250psi、好ましくは約200psi(約15バール)の圧力で、約10〜約50分間オートクレーブに入れる。好ましくは、袋は、約100℃〜約120℃の温度で、約20〜約45分間オートクレーブに入れる。より好ましくは、袋は、約110℃〜約120℃の温度で、約20〜約40分間オートクレーブに入れる。真空リングを真空袋の代わりにしてもよい。真空袋の1つのタイプは、米国特許第3,311,517号明細書に開示されている。本発明の高メルトフロー酸コポリマーフィルムおよびシートは、ラミネータの選択によっては、低いラミネーション温度および/または早いラミネーションサイクル時間という望ましい利点を与える。
【0090】
プレラミネートアセンブリ内にトラップされた空気は、ニップロールプロセスにより除去してもよい。例えば、プレラミネートアセンブリは、約80℃〜約120℃の温度、好ましくは約90℃〜約100℃の温度のオーブン中で、約15〜60(好ましくは約30)分加熱する。その後、加熱したプレラミネートアセンブリを、一組のニップロールに通過して、太陽電池外側層、太陽電池コンポーネント、カプセル材層間の空隙にある空気を絞り出して、アセンブリの端部を封止する。このプロセスによって、構造材料および用いた正確な条件によって、最終太陽電池モジュールが提供される、またはプレプレスアセンブリと呼ばれるものが提供される。
【0091】
次に、プレプレスアセンブリを、温度を約100℃〜約160℃、好ましくは約110℃〜約120℃に上げ、約100psig〜約300psig、好ましくは約200psig(14.3バール)の圧力で、エアオートクレーブに入れてもよい。これらの条件は、約15分〜約1時間、好ましくは約20〜約50分間維持し、その後、空気をもうオートクレーブに加えずに、空気を冷却する。約10〜30(好ましくは約20)分の冷却後、過剰の空気圧を抜き、太陽電池ラミネートをオートクレーブから取り出す。これは限定と考えないものとする。当該技術分野において公知の本質的に任意のラミネーションプロセスを用いて構わない。
【0092】
ノンオートクレーブラミネーションプロセスは、例えば、米国特許第3,234,062号明細書、米国特許第3,852,136号明細書、米国特許第4,341,576号明細書、米国特許第4,385,951号明細書、米国特許第4,398,979号明細書、米国特許第5,536,347号明細書、米国特許第5,853,516号明細書、米国特許第6,342,116号明細書、米国特許第5,415,909号明細書、米国特許出願公開第2004−0182493号明細書、米国特許出願公開第2003−0148114 A1号明細書、欧州特許第1 235 683 B1号明細書、国際公開第91/01880号パンフレットおよび国際公開第03/057478 A1号パンフレットに開示されている。通常、ノンオートクレーブプロセスには、プレラミネートアセンブリまたはプレプレスアセンブリの加熱、任意で、真空、圧力または両方の印加が含まれる。例えば、プレプレスを、連続的に、加熱オーブンおよびニップロールに通過させてもよい。光起電ラミネーションプロセスの商業的な例としては、Meier Vakuumtechnik GmbH(Bocholt,Germany)のlcolam真空ラミネーティングシステムが挙げられる。
【0093】
太陽電池ラミネートの製造の際、必要であれば、ラミネートの端部を封止して、水分および空気の侵入、ならびに太陽電池の効率および寿命を潜在的に劣化させる影響を、当該技術分野において開示された手段により、減じてもよい。好適な端部封止材料としては、これらに限られるものではないが、ブチルゴム、ポリスルフィド、シリコーン、ポリウレタン、ポリプロピレンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ブロックエラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)等が挙げられる。
【実施例】
【0094】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を決して制限するものではない。
【0095】
方法
後述する実施例においては、以下の方法を用いている。
【0096】
メルトインデックス
メルトインデックス(MI)は、ASTM D1238により、190℃、2160gの荷重で測定する。同様のISO試験は、ISO1133である。
【0097】
I.ラミネーションプロセス1:
後述するラミネート層をスタック(レイアップ)して、実施例に記載されたプレラミネートアセンブリを形成する。フィルム層を入射またはバックシート層を含むアセンブリについては、カバーガラスシートをフィルム層上に配置する。次に、プレラミネートアセンブリをMeier ICOLAM10/08ラミネータ(Meier Vakuumtechnik GmbH(Bocholt,Germany))に入れる。ラミネーションサイクルには、5.5分の排気工程(3in.Hgの真空)および115℃の温度での5.5分のプレス段階(1000ミリバールの圧力)が含まれる。実施例9、11、41および43については、プレス条件を維持しながら145℃で5分間の追加の工程を組み込んで組成物を硬化する。次に、ラミネートを剥がす。
【0098】
II.ラミネーションプロセス2:
後述するラミネート層をスタック(レイアップ)して、実施例に記載したプレラミネートアセンブリを形成する。フィルム層を入射またはバックシート層として含むアセンブリについては、カバーガラスシートをフィルム層上に配置する。プレラミネートアセンブリを、真空袋に入れ、真空袋を封止し、真空を印加して、空気を真空袋から除去する。袋をオーブンに入れ、90〜100℃まで30分間加熱して、アセンブリ間に含まれた空気を除去する。プリプレスアセンブリに、上述したように、115℃で30分間、エアオートクレーブ中で、200psig(14.3バール)の圧力までオートクレーブ処理を行う。そうしたら、空気をもうオートクレーブに添加せずに、空気を冷却する。冷却20分後、空気温度が、約50℃未満に達したら、過剰の圧力を抜いて、ラミネートをオートクレーブから取り出す。
【0099】
実施例1〜15
表1に後述する12×12in(305×305mm)ラミネート構造を、上記のラミネーションプロセス1により、組立て、ラミネートする。
【0100】
表1
ラミネート構造
実施例 層1 層2 層3 層4 層5
1, 16 ガラス 1 HMFAC 1 HMFAC 1 ガラス 1
2, 17 ガラス 1 HMFAC 2 ガラス 1
3, 18 ガラス 2 HMFAC 3 PET 1 HMFAC 3 ガラス 2
4, 19 ガラス 3 HMFAC 4 EVA HMFAC 4 ガラス 1
5, 20 ガラス 1 HMFAC 5 HMFAC 5 PET 2
6, 21 ガラス 2 HMFAC 6 ガラス 2
7, 22 ガラス 1 HMFAC 7 PET 3
8, 23 ガラス 1 HMFAC 8 EBA HMFAC 8 ガラス 1
9, 24 ガラス 1 HMFAC 9 ガラス 1
10, 25 ガラス 2 HMFAC 10 PET 4 PVB PET 1
11, 26 ガラス 1 HMFAC 12 HMFAC 11 HMFAC 12 ガラス 1
12, 27 ガラス 2 HMFAC 13 EBA HMFAC 13 PET 5
13, 28 ガラス 1 HMFAC 14 PET 6 HMFAC 14 ガラス 1
14, 29 ガラス 3 HMFAC 15 PET 1 HMFAC 15 ガラス 2
15, 30 ガラス 1 HMFAC 16 HMFAC 16 ガラス 1
【0101】
・HMFAC1は、酸コポリマーA、メタクリル酸の15重量%の重合残渣を含有し、MIが100g/10分のポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)の厚さ20ミル(0.51mm)のエンボス加工されたシートである。
・HMFAC2は、(i)酸コポリマーB、ブレンドの総重量に基づいて、18重量%のメタクリル酸の重合残渣を含有し、MIが220g/10分のポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)、および0.15重量%のTINUVIN328(Ciba Specialty Chemicals Company)のブレンドで形成された厚さ1ミル(0.03mm)の2層の表面層と、(ii)イソブチルアクリレートの10重量%の重合残渣および亜鉛イオンにより70%中和されたメタクリル酸の10重量%の重合残渣を含有し、MIが1g/10分のポリ(エチレン−コ−イソブチルアクリレート−コ−メタクリル酸)のコア層とを有する厚さ60ミル(1.52mm)のエンボス加工された三層シートである。
・HMFAC3は、(i)酸コポリマーC、メタクリル酸の22重量%の重合残渣を含有し、MIが400g/10分のポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)の厚さ1ミル(0.03mm)の2層の表面層と、(ii)35重量%のn−ブチルアクリレートを含有し、MIが3g/10分のポリ(エチレン−コ−n−ブチルアクリレート)のコア層とを有する厚さ15ミル(0.38mm)のエンボス加工された三層シートである。
【0102】
・HMFAC4は、酸コポリマーD、メタクリル酸の19重量%の重合残渣を含有し、MIが150g/10分のポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)の厚さ1ミル(0.03mm)フィルムである。
・HMFAC5は、酸コポリマーE、組成物の総重量に基づいて、99.5重量%の酸コポリマーAおよび0.5重量%のN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを含む組成物の厚さ20ミル(0.51mm)のエンボス加工されたシートである。
・HMFAC6は、(i)酸コポリマーF、組成物の総重量に基づいて、99.25重量%の酸コポリマーBおよび0.25重量%のN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを含む組成物の厚さ1ミル(0.03mm)の2層の表面層と、(ii)ナトリウムイオンで35%中和されたメタクリル酸の22重量%の重合残渣を含有し、MIが1.5g/10分のポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)のコア層とを有する厚さ90ミル(2.25mm)のエンボス加工された三層シートである。
・HMFAC7は、(i)酸コポリマーG、組成物の総重量に基づいて、99.875重量%の酸コポリマーCおよび0.125重量%のN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを含む組成物の厚さ1ミル(0.03mm)の2層の表面層と、(ii)メチルアクリレートの25重量%の重合残渣を含有し、MIが5g/10分のポリ(エチレン−コ−メチルアクリレート)のコア層とを有する厚さ20ミル(0.51mm)のエンボス加工された三層シートである。
【0103】
・HMFAC8は、酸コポリマーH、組成物の総重量に基づいて、99.875重量%の酸コポリマーD、0.30重量%のTINUVIN1577、0.30重量%のCHIMASSORB944(Ciba Specialty Chemicals Companyの製品)および0.125重量%のγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを含む組成物の厚さ1ミル(0.03mm)のフィルムである。
・HMFAC9は、(i)酸コポリマーEの厚さ1ミル(0.03mm)の2層の表面層と、(ii)酸コポリマーI、組成物の総重量に基づいて、98.5重量%の酸コポリマーAおよび1.5重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのコア層とを有する厚さ90ミル(2.25mm)のエンボス加工された三層シートである。
・HMFAC10は、酸コポリマーJ、組成物の総重量に基づいて、98.0重量%の酸コポリマーBおよび2.0重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを含む組成物の厚さ15ミル(0.38mm)のエンボス加工されたシートである。
・HMFAC11は、酸コポリマーK、組成物の総重量に基づいて、95重量%の酸コポリマーC、0.5重量%のCYASORB UV−1164(Cytec Industries)、2.5重量%のトリメチロールプロパントリアクリレートおよび2.5重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを含む組成物の厚さ20ミル(0.51mm)のエンボス加工されたシートである。
【0104】
・HMFAC12は、酸コポリマーL、組成物の総重量に基づいて、93.0重量%の酸コポリマーD、5.0重量%のトリアリルイソシアヌレートおよび2.0重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを含む組成物の厚さ1ミル(0.03mm)のフィルムである。
・HMFAC13は、酸コポリマーM、組成物の総重量に基づいて、98.0重量%の酸コポリマーA、0.5重量%のビニルトリメトキシシランおよび1.5重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを含む組成物の厚さ1ミル(0.03mm)のフィルムである。
・HMFAC14は、酸コポリマーN、組成物の総重量に基づいて、97.75重量%の酸コポリマーB、0.25重量%のγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび2.0重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを含む組成物の厚さ20ミル(0.51mm)のエンボス加工されたシートである。
・HMFAC15は、酸コポリマーO、組成物の総重量に基づいて、97.375重量%の酸コポリマーC、0.125重量%のN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよび2.5重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを含む組成物の厚さ15ミル(0.38mm)のエンボス加工されたシートである。
・HMFAC16は、酸コポリマーP、組成物の総重量に基づいて、94.875重量%の酸コポリマーD、3重量%のトリメチロールプロパントリアクリレート、0.125重量%のN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、CYASORB UV−1164およびTINUVIN123ならびに2.0重量%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
を含む組成物の厚さ90ミル(2.25mm)のエンボス加工されたシートである。
【0105】
・EBAは、n−ブチルアクリレートの30重量%の重合残渣を含有し、2g/10分のMIを有するポリ(エチレン−コ−n−ブチルアクリレート)で形成された厚さ30ミル(0.76mm)のシートである。
・EVAは、SC50Bであり、厚さ20ミル(0.51mm)のシート(Hi−Sheet Corporation、前・三井化学ファブロ株式会社)の形態のポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)に基づいた処方組成物と考えられる。
・ガラス1は厚さ2.5mmのフロートガラスである。
・ガラス2は厚さ2.5mmの透明なアニールされたフロートガラス板層である。
・ガラス3は厚さ3.0mmのSolex(登録商標)ソーラーコンロトールガラスである。
【0106】
・PET1は、厚さ7ミル(0.18mm)のポリ(アリルアミン)下塗り二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム層である。
・PET2は、XIR(登録商標)−70HPオートフィルム(Southwall Company)である。
・PET3は、XIR(登録商標)−75オートブルーV−1フィルム(Southwall Company)である。
・PET4は、Soft Look(登録商標)UV/IRソーラーコントロールフィルム(日本、東京の巴川製紙所)である。
・PET5は、XIR(登録商標)−75グリーンフィルム(Southwall Company)である。
・PET6は、RAYBARRIER(登録商標)TFK−2583ソーラーコントロールフィルム(住友大阪セメント株式会社)である。
・PVBは、B51Vであり、厚さ20ミル(0.51mm)のシート(DuPont)の形態のポリ(ビニルブチラール)に基づいた処方組成物と考えられる。
【0107】
実施例16〜30
表1に上述した12×12in(305×305mm)ラミネート構造を、上記のラミネーションプロセス2により、組立て、ラミネートする。
【0108】
実施例31〜43
表2に後述する12×12in(305×305mm)太陽電池ラミネート構造を、上記のラミネーションプロセス1により、組立て、ラミネートする。層1および2は、入射層およびフロントシートカプセル材層をそれぞれ構成し、層4および5は、バックシートカプセル材層およびバッキング層をそれぞれ構成する。
【0109】
表 2
太陽電池ラミネート構造
実施例 層1 層2 層3 層4 層5
31, 44 ガラス 4 HMFAC 1 太陽電池 1 HMFAC 1 FPF
32, 45 ガラス 4 EVA 太陽電池 2 HMFAC 2 ガラス 1
33, 46 ガラス 4 HMFAC 3 太陽電池 3 HMFAC 2 AL
34, 47 FPF HMFAC 4 太陽電池 1 HMFAC 4 FPF
35, 48 ガラス 1 HMFAC 5 太陽電池 2 HMFAC 5 PET 1
36, 49 ガラス 4 HMFAC 7 太陽電池 3 HMFAC 6 FPF
37, 50 FPF HMFAC 8 太陽電池 3 HMFAC 8 FPF
38, 51 ガラス 2 HMFAC 10 太陽電池 4 HMFAC 9 ガラス 2
39, 52 ガラス 4 HMFAC 11 太陽電池 1 HMFAC 11 FPF
40, 53 FPF HMFAC 12 太陽電池 2 HMFAC 12 PET 1
41, 54 FPF HMFAC 13 太陽電池 4 HMFAC 13 FPF
42, 55 ガラス 4 HMFAC 14 太陽電池 1 HMFAC 14 ガラス 1
43, 56 ガラス 4 HMFAC 15 太陽電池 4 HMFAC 16
【0110】
・ALは、2.5重量%のマグネシウム合金化5052であり、連邦仕様書QQ−A−250/8およびASTM B209に適合する、厚さ3.2mmのアルミニウムシート(厚さ3.2mm)である。
・FPFは厚さ1.5ミル(0.038mm)のコロナ表面処理済みTedlar(登録商標)フィルム、DuPontである。
・Glass4はPPG Corporation製Starphire(登録商標)ガラスである。
【0111】
・太陽電池1は、アモルファスシリコン半導体層を備えたステンレス鋼基材(厚さ125マイクロメートル)を含む10インチ×10インチのアモルファスシリコン光起電デバイスである(米国特許第6,093,581号明細書、実施例1参照)。
・太陽電池2は、10インチ×10インチの二セレン化インジウム銅(CIS)光起電デバイスである(米国特許第6,353,042号明細書、第6欄、19行参照)。
・太陽電池3は、10インチ×10インチのテルル化カドミウム(CdTe)光起電デバイスである(米国特許第6,353,042号明細書、第6欄、49行参照)。
・太陽電池4は、10インチ×10インチの多結晶EFG成長ウェハでできたシリコン太陽電池である(米国特許第6,660,930号明細書、第7欄、61行参照)。
【0112】
実施例44〜56
表2に上述した12×12in(305×305mm)太陽電池ラミネート構造を、上記のラミネーションプロセス2により、組立て、ラミネートする。層1および2は、入射層およびフロントシートカプセル材層をそれぞれ構成し、層4および5は、バックシートカプセル材層およびバッキング層をそれぞれ構成する。
【0113】
比較例CE1実施例57
比較例CE1において、メタクリル酸の12重量%の重合残渣を含有し、MIが3.3g/10分のポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)コポリマー50グラムを、50ccの混合ヘッドを備えた90℃に予熱したBrabender Rheometer(C.W.Brabender Instruments,Inc.,So.(Hackensack,NJ))に、混合ブレードの速度を8rpmに設定して、1分間にわたって添加した。ポリマー樹脂の約1/3を添加した後、樹脂は、Brabenderの上部から飛び出した樹脂ペレットと溶融または混合されなかったため、プロセスを終了した。
【0114】
実施例57において、メタクリル酸の19重量%の重合残渣を含有し、MIが86g/10分のポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)コポリマー50グラムを、50ccの混合ヘッドを備えた90℃に予熱したBrabender Rheometerに、混合ブレードの速度を8rpmに設定して、1分間にわたって添加した。混合ブレードの速度を30rpmまで増大し、ポリマー樹脂をさらに5分間混合した後、均一なポリマーメルトが、0.5ampの混合モータおよび106℃のポリマー溶融温度で得られた。プロセスを終了した。
【0115】
これらの結果から、高メルトフロー酸コポリマー(実施例57)は、商業的に実現可能かつ拡張可能な押出しコンパウンディング機器により、有機過酸化物を組み込むのに十分に低い温度(約90℃)でコンパウンディングすることができるが、対応の低メルトフロー酸コポリマー(比較例CE1)はできないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−オレフィンと、酸コポリマーの総重量に基づいて約1〜約30重量%の、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との酸コポリマーを含む酸コポリマー組成物を含むポリマーフィルムまたはシートであって、前記酸コポリマーのメルトインデックスが、約75〜約600g/10分である、ポリマーフィルムまたはシート。
【請求項2】
前記酸コポリマー組成物が、シランカップリング剤、有機過酸化物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む請求項1に記載のポリマーフィルムまたはシート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリマーフィルムまたはシートで形成された中間層と、ガラス、他のポリマー中間層シート、ポリマーフィルム層および金属フィルムまたはシートからなる群から選択される追加の層とを含む物品。
【請求項4】
(a)前記α−オレフィンがエチレンであり、(b)前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸およびこれらの混合物からなる群から選択され、(c)前記酸コポリマーが、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸から約10〜約25重量%の繰り返し単位を含み、(d)前記酸コポリマーのメルトインデックスが、約100〜約400g/10分であり、(e)前記中間層の厚さが、約0.1〜約250ミル(約0.003〜約6.35mm)である請求項1または2に記載のポリマーフィルムまたはシートあるいは請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記酸コポリマー組成物が、前記酸コポリマー組成物の総量に基づいて、約0.01〜約5重量%のシランカップリング剤を含有し、前記シランカップリング剤が、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−ビニルベンジルプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4,−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1または2に記載のポリマーフィルムまたはシートあるいは請求項3または4に記載の物品。
【請求項6】
前記酸コポリマー組成物が、前記酸コポリマー組成物の総量に基づいて、約0.01〜約10重量%の有機過酸化物を含有し、前記有機過酸化物が、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ベチルパーオキシ)ヘキサン−3、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチル−パーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイドおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1または2に記載のポリマーフィルムまたはシートあるいは請求項3または4に記載の物品。
【請求項7】
安全ガラスラミネートであり、前記追加の層がガラスシートであり、前記中間層が約10〜約250ミル(約0.25〜約6.35mm)の厚さを有し、前記ガラスシートにラミネートされている請求項3〜6のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
太陽電池プレラミネートアセンブリであり、前記アセンブリが、1つまたは複数の太陽電池を含む太陽電池コンポーネントを含み、ポリマーフィルムまたはシートの厚さが約0.1〜約20ミル(約0.003〜約0.5mm)である請求項3〜6のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
前記ポリマーフィルムまたはシートの反対側の、前記太陽電池コンポーネントの隣りに配置された第2のポリマー層をさらに含み、前記第2のポリマー層が、ポリ(ビニルアセタール)、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリオレフィンブロックエラストマー、エチレンアクリレートエステルコポリマー、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とのコポリマーおよびこれらのイオノマー、シリコーンエラストマーおよびエポキシ樹脂からなる群から選択されるポリマー組成物を含む請求項8に記載の物品。
【請求項10】
(A)透明な材料で形成されていて、前記アセンブリの受光側で外側層として機能する入射層、および/または(B)ガラス、プラスチックフィルムまたはシート、あるいは金属フィルムまたはシートで形成されていて、前記アセンブリの背面側で外側層として機能するバッキング層をさらに含む請求項8または9に記載の物品。
【請求項11】
(a)請求項1または2に記載の前記ポリマーフィルムまたはシートで形成された中間層を提供する工程と、(b)1つまたは複数の太陽電池を含む太陽電池コンポーネントを提供する工程と、(c)前記酸コポリマー組成物を含むマトリックスに、前記太陽電池コンポーネントをカプセル化する工程とにより作製される太陽電池モジュールである物品。
【請求項12】
(a)前記αオレフィンがエチレンであり、(b)前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸およびこれらの混合物からなる群から選択され、(c)前記酸コポリマーが、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸から約10〜約25重量%の繰り返し単位を含み、(d)前記酸コポリマーのメルトインデックスが、約100〜約400g/10分であり、(e)前記中間層シートの厚さが、約0.1〜約20ミル(約0.003〜約0.5mm)である請求項11に記載の物品。
【請求項13】
(i)請求項8〜10のいずれか1項に記載の太陽電池プレラミネートアセンブリを提供し、(ii)前記プレラミネートアセンブリをラミネートして、前記太陽電池モジュールを形成することを含む、太陽電池モジュールである物品を製造する方法。
【請求項14】
前記ラミネート工程(ii)が、前記アセンブリを、熱、および任意で真空に供することにより実行される請求項14に記載の方法。
【請求項15】
酸コポリマー組成物と添加剤とを含むポリマー組成物であって、(i)前記酸コポリマー組成物が、α−オレフィンと、前記酸コポリマーの総重量に基づいて、約1〜約30重量%の、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との酸コポリマーを含み、(ii)前記酸コポリマーのメルトインデックスが、約75〜約600g/10分であり、(iii)前記添加剤が、シランカップリング剤、有機過酸化物およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー組成物。
【請求項16】
(A)前記酸コポリマーのメルトインデックスが、約100〜約400g/10分であり、(B)前記α−オレフィンがエチレンであり、(C)前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸およびこれらの混合物からなる群から選択され、(D)前記酸コポリマーが、前記酸コポリマーの総重量に基づいて、約10〜約25重量%の、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸から繰り返し単位を含む請求項16に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記ポリマー組成物が、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−ビニルベンジルプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4,−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびこれらの混合物からなる群から選択される前記シランカップリング剤を、前記ポリマー組成物の総重量に基づいて約0.01〜約5重量%含む請求項15または16に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記ポリマー組成物が、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ベチルパーオキシ)ヘキサン−3、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α、α’−ビス(tert−ブチル−パーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイドおよびこれらの混合物からなる群から選択される前記有機過酸化物を、前記ポリマー組成物の総重量に基づいて約0.01〜約10重量%含む請求項15または16に記載のポリマー組成物。

【公表番号】特表2010−519345(P2010−519345A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549640(P2009−549640)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/002093
【国際公開番号】WO2008/100611
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】