説明

高仕事関数の透明コンダクタ

導電性ナノ粒子および、(a)フッ素化酸ポリマーと(b)フッ素化酸ポリマーでドープされた半導体ポリマーとの少なくとも一方を含む透明コンダクタが提供されている。ナノ粒子は、炭素ナノ粒子、金属ナノ粒子、またはこれらの組み合わせである。炭素および金属ナノ粒子は、ナノチューブ、フラーレン、およびナノファイバーから選択される。酸ポリマーはフッ素化または高フッ素化され、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびこれらの組み合わせを含む酸性基を有する。半導体ポリマーは、置換および非置換チオフェン、ピロール、アニリン、および環状ヘテロ芳香族、およびこれらの組み合わせから選択されるモノマーから誘導されるホモポリマーおよびコポリマーを含む。組成物は、有機電子素子(OLED)に用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、電子素子において用いられる、4.7eVを超える仕事関数を有する透明コンダクタに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年6月28日出願の米国仮特許出願第60/694793号明細書に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
有機電子素子は、活性層を含む製品のカテゴリーを定義する。このような素子は、電気エネルギーを放射線に変換し、電子プロセス中のシグナルを検出し、放射線を電気エネルギーに変換し、または1つまたは複数の有機半導体層を含む。
【0004】
有機発光ダイオード(OLED)は、エレクトロルミネセンス可能な有機層を含む有機電子素子である。導電性ポリマーを含有するOLEDは、以下の構成を有することができ、これはさらなる任意選択の層、材料あるいは組成物を含んでもよい。:
陽極/緩衝層/EL材料/陰極
【0005】
陽極は、典型的には、正孔を、例えばインジウム/酸化錫(ITO)などのエレクトロルミネセント(「EL」)材料に注入する能力を有するいずれかの材料である。陽極は、任意選択的に、ガラスまたはプラスチック基材上に支持されている。緩衝層は、典型的には導電性ポリマーであり、陽極からEL材料層への正孔の注入を促進させる。EL材料としては、蛍光化合物、蛍光およびリン光金属錯体、共役ポリマー、およびこれらの組み合わせおよび混合物が挙げられる。陰極は、典型的には、電子をEL材料に注入する能力を有する(例えばCaまたはBaなどの)いずれかの材料である。陽極または陰極の少なくとも一方は透明または半透明で光の放射を許容する。
【0006】
ITOは、頻繁に透明陽極として用いられる。しかしながら、ITOの仕事関数は比較的低く、典型的には4.6eVの範囲にある。この低い仕事関数は、EL材料への正孔の効率に劣った注入をもたらす。いくつかの場合において、ITOの仕事関数は、表面処理によって向上されることができる(すなわち増加される)。しかしながら、これらの処理は、度々、不安定であり、素子耐用年数の短縮をもたらす。
【0007】
導電性カーボンナノチューブ(「CNT」)分散物を、透明な、導電性フィルムの形成に用いることができることが知られている。フィルムは、約6×10S/cmの導電性を有し((非特許文献1))、これは、基材上に堆積されたインジウム/酸化錫蒸気の導電性に類似している。CNTフィルムが透明陽極としてITOを置き換えることが可能であることは明らかである。しかしながら、CNTの仕事関数はITOのそれと同一範囲内にあり、これは、OLED用途についての発光層に正孔を注入するには十分に高くない。
【0008】
従って、透明陽極を形成する向上した材料について継続的な要求がある。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,463,005号明細書
【特許文献2】米国特許第3,282,875号明細書
【特許文献3】米国特許出願第60/105,662号明細書
【特許文献4】国際公開第98/31716(A1)号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/52954(A1)号パンフレット
【特許文献6】国際公開第60/176,881号パンフレット
【特許文献7】欧州特許出願公開第1 026 152 A1号明細書
【特許文献8】米国特許第4,358,545号明細書
【特許文献9】米国特許第4,940,525号明細書
【特許文献10】米国特許第4,433,082号明細書
【特許文献11】米国特許第6,150,426号明細書
【特許文献12】国際公開第03/006537号パンフレット
【特許文献13】米国特許第6,670,645号明細書
【特許文献14】国際公開第03/063555号パンフレット
【特許文献15】国際公開第2004/016710号パンフレット
【特許文献16】国際公開第03/008424号パンフレット
【特許文献17】国際公開第03/091688号パンフレット
【特許文献18】国際公開第03/040257号パンフレット
【特許文献19】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献20】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献21】国際公開第01/41512号パンフレット
【非特許文献1】「サイエンス(Science)」、1273〜1276ページ、第305巻、2004年8月27日
【非特許文献2】ジャーネット(Journet)ら、「ネイチャー(Nature)」、388:756(1997年)
【非特許文献3】セス(Thess)ら、「サイエンス(Science)」、273:483(1996年)
【非特許文献4】イワノフ(Ivanov)ら、「Chem.Phys.Lett」9、223:329(1994年)
【非特許文献5】リ(Li)ら、「サイエンス(Science)」、274:1701(1996年)
【非特許文献6】「巨大分子(Macromolecules)」、34、5746〜5747ページ(2001年)
【非特許文献7】「巨大分子(Macromolecules)」、35、7281〜7286ページ(2002年)
【非特許文献8】A.フィアリング(Feiring)ら、「J.Fluorine Chemistry」2000年、105、129〜135ページ
【非特許文献9】A.フィアリング(Feiring)ら、「巨大分子(Macromolecules)」2000年、33、9262〜9271ページ
【非特許文献10】D.D.デマルトー(Desmarteau)、「J.FluorineChem.」1995年、72、203〜208ページ
【非特許文献11】A.J.アッペルビー(Appleby)ら、「J.Electrochem.Soc.」1993年、140(1)、109〜111ページ
【非特許文献12】「化学および物理のCRCハンドブック(CRC Handbook of Chemistry and Physics)」、第81版(2000年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
導電性ナノ粒子および、(a)フッ素化酸ポリマーと(b)フッ素化酸ポリマーでドープされた半導体ポリマーとの少なくとも一方を含む透明コンダクタが提供されている。
【0011】
他の実施形態においては、透明コンダクタを含む電子素子が提供されている。
【0012】
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載は例証的であると共に説明的であり、添付の特許請求の範囲に定義されているとおりの本発明の制限的ではない。
【0013】
本発明は、例示により図示されており、添付の図における制限ではない。
【0014】
当業者は、図中の物体は簡素化および明確化されて図示されており、必ずしも一定の縮尺では描かれていないことを理解している。例えば、図中のいくつかの物体の寸法は、実施形態の理解の向上を補助するために、他の物体に比して拡大されている場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
導電性ナノ粒子および(a)フッ素化酸ポリマーと(b)フッ素化酸ポリマーでドープされた半導体ポリマーとの少なくとも一方を含み、4.7eVを超える仕事関数を有する透明コンダクタが提供されている。仕事関数は、材料から、電子を真空レベルまで取り除くために必要とされるエネルギーとして定義される。これは、典型的には、紫外光電子分光によって計測される。これはまた、ケルビンプローブテクニックによっても得ることができる。
【0016】
多くの態様および実施形態が本願明細書に記載されており、これらは例証的であると共に制限的ではない。本明細書の読了後、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様および実施形態が可能であることを認識するであろう。
【0017】
本願明細書において用いられるところ、用語「透明」は、可視範囲において少なくとも50%の入射光を透過する材料を指す。用語「導電性ナノ粒子」は、100nm未満の1つまたは複数の寸法を有すると共に、フィルムに形成されたときに1S/cmを超える導電性を有する材料を指す。粒子は、円形、長方形、多角形、小繊維、および不規則な形状を含むいずれかの形状を有することができることが理解される。用語「フッ素化酸ポリマー」は、少なくともいくつかの水素がフッ素によって置き換えられた酸性基を有するポリマーを指す。このフッ素化は、ポリマー主鎖、主鎖に連結した側鎖、側基、またはこれらの組み合わせ上で生じ得る。用語「酸性基」は、水素イオンを塩基に供与して塩を形成するためにイオン化することができる基を指す。本願明細書において用いられるところ、用語「半導体ポリマー」は、カーボンブラックまたは導電性金属粒子を添加せずに固有にまたは本来的に導電性であることができるいずれかのポリマーまたはオリゴマーを指す。用語「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマーを包含している。コポリマーは、異なる構造を有するモノマーまたは同一の構造であるが異なる置換基を有するモノマーで形成され得る。用語「ドープされた」は、半導体ポリマーが、導電性ポリマー上の電荷のバランスをとるために高分子酸由来の高分子対イオンを有することを意味することが意図される。
【0018】
(1.導電性ナノ粒子)
一実施形態において、導電性ナノ粒子は、10S/cmを超える導電性を有するフィルムを形成する。一実施形態において、導電性は20S/cmを超える。一実施形態において、導電性ナノ粒子は、50nm未満である少なくとも1つの寸法を有する。一実施形態において、導電性ナノ粒子は30nm未満である少なくとも1つの寸法を有する。
【0019】
導電性ナノ粒子のいくつかの例証的なタイプとしては、限定されないが、カーボンナノチューブおよびナノファイバー、金属ナノ粒子、および金属ナノファイバーが挙げられる。
【0020】
カーボンナノチューブは細長いフラーレンであり、ここで、チューブの壁は、6個の炭素原子の基により形成されていると共に、度々端部でキャップされている六角多面体を含んでいる。フラーレンは、種々のケージ状、ダイアモンドおよびグラファイトに続く炭素の第3の形態を構成する原子の六角および五角基から組成される中空分子のいずれかである。現在、単一−および多重−壁カーボンナノチューブの合成に対する3つの主なアプローチがある。これらとしては、グラファイトロッド電気アーク放電((非特許文献2))、炭素のレーザ切削((非特許文献3))、および炭化水素の化学蒸着((非特許文献4);(非特許文献5))が挙げられる。カーボンナノチューブは、たったの直径数ナノメートルであり、それにもかかわらず、ミリメートル以下の長さであり得、従って、長さ−対−幅アスペクト比は極めて高い。カーボンナノチューブはまた、カーボンナノチューブのナノマットを含む。カーボンナノチューブおよびカーボンナノチューブの種々の溶剤中の分散体は市販されている。
【0021】
炭素ナノファイバーは、カーボンナノチューブに形状および直径において類似するが、非中空、繊維状形態で炭素複合体を含み、その一方で、カーボンナノチューブは中空チューブの形態である。炭素ナノファイバーは、カーボンナノチューブについての合成方法と類似の方法を用いて形成されることができる。
【0022】
金属ナノ粒子およびナノファイバーは、導電性金属のいずれかから製造されることができ、特に限定されないが、銀、ニッケル、金色、銅、パラジウム、およびこれらの混合物が挙げられる。金属ナノ粒子は商業的に入手可能である。ナノファイバーの形成は、当業者に周知である多数の異なるアプローチを介して可能である。
【0023】
一実施形態において、導電性ナノ粒子は水性分散体の形態である。一実施形態において、水性分散体は、アニオン性、カチオン性、またはノニオン性界面活性剤であることができる界面活性剤をさらに含む。
【0024】
一実施形態において、導電性ナノ粒子は非水性分散体の形態である。
【0025】
(2.半導体ポリマー)
フッ素化酸ポリマーでドープされたいずれかの半導体ポリマーが、新しい組成物中に用いられることができる。一実施形態において、ドープ半導体ポリマーは、少なくとも10−7S/cmの導電性を有するフィルムを形成するであろう。新しい組成物に好適である半導体ポリマーはホモポリマーであることができ、またはこれらは、2つ以上の関連するモノマーのコポリマーであることができる。導電性ポリマーが形成されるモノマーは、「前駆体モノマー」として称される。コポリマーは、2つ以上の前駆体モノマーを有することとなる。
【0026】
一実施形態において、半導体ポリマーは、チオフェン、ピロール、アニリン、および多環式芳香族化合物から選択される少なくとも1種の前駆体モノマーから製造される。これらのモノマーから製造されるポリマーは、本願明細書において、それぞれ、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、および多環式芳香族ポリマーとして称される。用語「多環式芳香族」は、2つ以上の芳香族環を有する化合物を指す。環は1つまたは複数の結合により連結され得、またはこれらは共に縮合され得る。用語「芳香族環」は、ヘテロ芳香族環を含むと意図される。「多環式ヘテロ芳香族」化合物は、少なくとも1つのヘテロ芳香族環を有する。
【0027】
一実施形態において、半導体ポリマーを形成するのに用いられると予期されるチオフェンモノマーは以下の式Iを含む:
【0028】
【化1】

【0029】
式中、
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または両方のR基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6、または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよい。
【0030】
本願明細書において用いられるところ、用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素から誘導される基を指すと共に、非置換または置換であり得る直鎖、分岐および環状基を含む。用語「ヘテロアルキル」はアルキル基を意味することが意図され、ここで、アルキル基中の1つまたは複数の炭素原子が、窒素、酸素、硫黄等などの他の原子によって置き換えられている。用語「アルキレン」は、2つの連結点を有するアルキル基を指す。
【0031】
本願明細書において用いられるところ、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を指すと共に、非置換または置換であり得る直鎖、分岐および環状基を含む。用語「ヘテロアルケニル」は、アルケニル基を意味することが意図され、ここで、アルケニル基中の1つまたは複数の炭素原子が、窒素、酸素、硫黄等などの他の原子によって置き換えられている。用語「アルケニレン」は、2つの連結点を有するアルケニル基を指す。
【0032】
本願明細書において用いられるところ、置換基についての以下の用語は、以下に示す式を指す:
「アルコール」−R−OH
「アミド」−R−C(O)N(R)R
「アミドスルホネート」−R−C(O)N(R)R−SO
「ベンジル」−CH−C
「カルボキシレート」−R−C(O)O−Zまたは−R−O−C(O)−Z
「エーテル」−R−(O−R−O−R
「エーテルカルボキシレート」−R−O−R−C(O)O−Zまたは−R−O−R−O−C(O)−Z
「エーテルスルホネート」−R−O−R−SO
「エステルスルホネート」−R−O−C(O)−R−SO
「スルホンイミド」−R−SO−NH−SO−R
「ウレタン」−R−O−C(O)−N(R
(式中、すべての「R」基はそれぞれの場合に同一または異なると共に:
は、単一の結合またはアルキレン基であり、
はアルキレン基であり、
はアルキル基であり、
は水素またはアルキル基であり、
pは、0または1〜20の整数であり、
Zは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、N(RまたはRである)
【0033】
上記の基のいずれかは、さらに非置換であっても置換されていてもよく、およびいずれの基も1つまたは複数の水素について置換されたFを有し得、過フッ素化基を含む。
【0034】
一実施形態において、チオフェンモノマーにおいて両方のRは一緒になって−O−(CHY)−O−を形成し、式中、mは2または3であり、およびYは、それぞれの場合に同一または異なると共に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、Y基は部分的或いは完全にフッ素化されていてもよい。一実施形態において、すべてのYが水素である。一実施形態において、ポリチオフェンはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である。一実施形態において、少なくとも1つのY基が水素ではない。一実施形態において、少なくとも1つのY基が、少なくとも1つの水素について置換されたFを有する置換基である。一実施形態において、少なくとも1つのY基が過フッ素化である。
【0035】
一実施形態において、チオフェンモノマーは式I(a)を有する:
【0036】
【化2】

【0037】
式中、
は、それぞれの場合に同一または異なると共に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、ただし、少なくとも1つのRは水素ではなく、
mは2または3である。
【0038】
式I(a)の一実施形態において、mは2であり、1つのRが5個を超える炭素原子のアルキル基であり、および他のすべてのRは水素である。式I(a)の一実施形態において、少なくとも1つのR基はフッ素化されている。一実施形態において、少なくとも1つのR基は少なくとも1つのフッ素置換基を有する。一実施形態において、R基は完全にフッ素化されている。
【0039】
式I(a)の一実施形態において、チオフェン上の縮合脂環式環上のR置換基は、モノマーの水中での向上した溶解度を示すと共に、フッ素化酸ポリマーの存在下に重合を促進する。
【0040】
式I(a)の一実施形態において、mは2であり、1つのRがスルホン酸−プロピレン−エーテル−メチレンであると共に、他のすべてのRが水素である。一実施形態において、mは2であり、1つのRはプロピル−エーテル−エチレンであると共に、他のすべてのRが水素である。一実施形態において、mは2であり、1つのRはメトキシであると共に、他のすべてのRが水素である。一実施形態において、1つのRはスルホン酸ジフルオロメチレンエステルメチレン(−CH−O−C(O)−CF−SOH)であると共に、他のすべてのRが水素である。
【0041】
一実施形態において、半導体ポリマーを形成するのに用いられることが予期されるピロールモノマーは以下の式IIを含む。
【0042】
【化3】

【0043】
式IIにおいて:
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または両方のR基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6、または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよく;および
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルカノイル、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。
【0044】
一実施形態において、Rは、それぞれの場合に同一または異なると共に、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、ウレタン、エポキシ、シラン、シロキサン、およびスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部位のうちの1つまたは複数で置換されたアルキルから選択される。
【0045】
一実施形態において、Rは、水素、アルキル、およびスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部位のうちの1つまたは複数で置換されたアルキルから選択される。
【0046】
一実施形態において、ピロールモノマーは、非置換であると共に、RおよびRの両方が水素である。
【0047】
一実施形態において、両方のRは一緒になって6−または7員脂環式環を形成し、これは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換される。これらの基はモノマーおよび得られるポリマーの溶解度を向上させることができる。一実施形態において、両方のRは一緒になって、6−または7員脂環式環を形成し、これは、アルキル基でさらに置換される。一実施形態において、両方のRは一緒になって、6−または7員脂環式環を形成し、これは、少なくとも1個の炭素原子を有するアルキル基でさらに置換される。
【0048】
一実施形態において、両方のRは一緒になって、−O−(CHY)−O−を形成し、ここで、mは2または3であり、およびYは、それぞれの場合に同一または異なると共に、水素、アルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、アミドスルホネート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。一実施形態において、少なくとも1つのY基は水素ではない。一実施形態において、少なくとも1つのY基は、少なくとも1つの水素について置換されたFを有する置換基である。一実施形態において、少なくとも1つのY基は過フッ素化である。
【0049】
一実施形態において、アニリンモノマーは、以下の式IIIを含む半導体ポリマーを形成するために用いることが意図される。
【0050】
【化4】

【0051】
式中:
aは0または1〜4の整数であり;
bは1〜5の整数であり、ただし、a+b=5であり;および
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または両方のR基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよい。
【0052】
重合されたときに、アニリン単量体ユニットは、以下に示す式IV(a)または式IV(b)、または両方の式の組み合わせを有することができる。
【0053】
【化5】

【0054】
式中、a、bおよびRは上に定義されているとおりである。
【0055】
一実施形態において、アニリンモノマーは非置換であると共にa=0である。
【0056】
一実施形態において、aは0ではなく、および少なくとも1つのRはフッ素化されている。一実施形態において、少なくとも1つのRは過フッ素化である。
【0057】
一実施形態において、縮合多環式ヘテロ芳香族モノマーは、少なくともその一方がヘテロ芳香族である2つ以上の縮合芳香族環を有する半導体ポリマーを形成するために用いられることが意図される。一実施形態において、縮合多環式ヘテロ芳香族モノマーは式Vを有する。
【0058】
【化6】

【0059】
式中:
QはSまたはNRであり;
は水素またはアルキルであり;
、R、R10、およびR11は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;および
およびR、RおよびR10、ならびにR10およびR11のうちの少なくとも1つは一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい5または6員芳香族環を完成させるアルケニレン鎖を形成する。
【0060】
一実施形態において、縮合多環式ヘテロ芳香族モノマーは、式V(a)、V(b)、V(c)、V(d)、V(e)、V(f)、およびV(g)を有する。
【0061】
【化7】

【0062】
式中:
QはSまたはNHであり;および
Tは、それぞれの場合に同一または異なると共に、S、NR、O、SiR、Se、およびPRから選択され;
は水素またはアルキルである。
【0063】
縮合多環式ヘテロ芳香族モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基で置換され得る。一実施形態において、置換基はフッ素化されている。一実施形態において、置換基は、完全にフッ素化されている。
【0064】
一実施形態において、縮合多環式ヘテロ芳香族前駆体モノマーは、チエノ(チオフェン)である。このような化合物は、例えば、(非特許文献6);および(非特許文献7)において検討されてきている。一実施形態において、チエノ(チオフェン)は、チエノ(2,3−b)チオフェン、チエノ(3,2−b)チオフェン、およびチエノ(3,4−b)チオフェンから選択される。一実施形態において、チエノ(チオフェン)モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される少なくとも1つの基で置換される。一実施形態において、置換基はフッ素化されている。一実施形態において、置換基は完全にフッ素化されている。
【0065】
一実施形態において、新しい組成物においてコポリマーを形成するのに用いられることが予期される多環式ヘテロ芳香族モノマーは、式VIを含む。
【0066】
【化8】

【0067】
式中:
QはSまたはNRであり;
Tは、S、NR、O、SiR、Se、およびPRから選択され;
Eは、アルケニレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンから選択され;
は水素またはアルキルであり;
12は、それぞれの場合に同一または異なると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または両方のR12基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6、または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよい。
【0068】
一実施形態において、半導体ポリマーは、前駆体モノマーおよび少なくとも1種の第2のモノマーのコポリマーである。コポリマーの所望の特性に有害な影響を与えない限り第2のモノマーのいずれのタイプも用いることができる。一実施形態において、第2のモノマーは、モノマー単位の総数に基づいて50%以下のコポリマーを含む。一実施形態において、第2のモノマーは、モノマー単位の総数に基づいて30%以下を構成する。一実施形態において、第2のモノマーは、モノマー単位の総数に基づいて10%以下を構成する。
【0069】
第2の前駆体モノマーの例証的なタイプとしては、限定されないが、アルケニル、アルキニル、アリーレン、およびヘテロアリーレンが挙げられる。第2のモノマーの例としては、限定されないが、フルオレン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、ピリジン、ジアジン、およびトリアジンが挙げられ、そのすべてはさらに置換されていても良い。
【0070】
一実施形態において、コポリマーは、先ず、構造A−B−Cを有する中間体前駆体モノマーを形成することにより製造され、ここで、AおよびCは、同一のまたは異なることができる第1の前駆体モノマーを表し、およびBは、第2の前駆体モノマーを表す。A−B−C中間体前駆体モノマーは、ヤマモト、スティル、グリニャールメタセシス、スズキ、およびネギシカップリングなどの標準的な合成有機技術を用いて調製することができる。コポリマーは、次いで、中間体前駆体モノマーの、単独での、または1つまたは複数の追加の前駆体モノマーとの酸化的重合によって形成される。
【0071】
一実施形態において、半導体ポリマーは、2つ以上の前駆体モノマーのコポリマーである。一実施形態において、第1の前駆体モノマーは、チオフェン、ピロール、アニリン、および多環式芳香族から選択される。
【0072】
(3.フッ素化酸ポリマー)
フッ素化酸ポリマー(本明細書中において、「FAP」として称される)は、フッ素化であると共に酸性基を有するいずれかのポリマーであることができる。本願明細書において用いられるところ、用語「フッ素化」とは、炭素に結合された少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられることを意味する。用語は、部分および完全フッ素化材料を含む。一実施形態において、フッ素化酸ポリマーは高度にフッ素化されている。用語「高フッ素化」とは、炭素に結合している利用可能な水素の少なくとも50%が、フッ素で置き換えられていることを意味する。用語「酸性基」は、水素イオンをブロンステッド塩基に供与して塩を形成するためにイオン化することができる基を指す。酸性基はイオン性プロトンを供給する。一実施形態において、酸性基は3未満のpKaを有する。一実施形態において、酸性基は0未満のpKaを有する。一実施形態において、酸性基は−5未満のpKaを有する。酸性基は、ポリマー主鎖に直接的に連結されていることができ、またはポリマー主鎖上の側鎖に連結されていることができる。酸性基の例としては、限定されないが、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびこれらの組み合わせが挙げられる。酸性基はすべてが同一であることができ、またはポリマーは2つ以上のタイプの酸性基を有し得る。
【0073】
一実施形態において、FAPは有機溶剤可湿性(「可湿性FAP」)である。用語「有機溶剤可湿性」は、フィルムに形成されたときに、有機溶剤によって濡らされることができる材料を指す。用語はまた、単独ではフィルム形成性ではないが、半導体ポリマーにドープされたときに可湿性であるフィルムを形成することとなる高分子酸を含む。一実施形態において、有機溶剤可湿性材料は、フェニルヘキサンによって、40°未満の接触角で可湿性であるフィルムを形成する。
【0074】
一実施形態において、FAPは有機溶剤非可湿性(「非可湿性FAP」)である。用語「有機溶剤非可湿性」は、フィルムに形成されたときに、有機溶剤によって湿潤可能ではない材料を指す。用語はまた、単独ではフィルム形成性ではないが、半導体ポリマーにドープされたときに、非可湿性であるフィルムを形成することとなる高分子酸を含む。一実施形態において、有機溶剤非可湿性材料は、フェニルヘキサンが、40°を超える接触角を有するフィルムを形成する。
【0075】
本願明細書において用いられるところ、用語「接触角」は、図1に示される角度Φを意味することが意図される。液体媒体の小滴について、角度Φは、表面の面と、小滴の外縁から表面までの線との交差角によって定義される。さらに、角度Φは、適用された後に、小滴が表面上で平衡位置に達した後に計測される、すなわち、「静的接触角」である。有機溶剤可湿性フッ素化高分子酸のフィルムが表面として示されている。一実施形態において、接触角は35°以下である。一実施形態において、接触角は30°以下である。接触角の計測方法は周知である。
【0076】
一実施形態において、FAPは水溶性である。一実施形態において、FAPは水中に分散性である。一実施形態において、FAPは水中にコロイド状分散体を形成する。
【0077】
一実施形態において、ポリマー主鎖はフッ素化されている。好適な高分子主鎖の例としては、限定されないが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、およびこれらのコポリマーが挙げられる。一実施形態において、ポリマー主鎖は高度にフッ素化されている。一実施形態において、ポリマー主鎖は完全にフッ素化されている。
【0078】
一実施形態において、酸性基は、スルホン酸基およびスルホンイミド基から選択される。一実施形態において、酸性基はフッ素化側鎖上にある。一実施形態において、フッ素化側鎖は、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびこれらの組み合わせから選択される。
【0079】
一実施形態において、可湿性FAPは、フッ素化オレフィン主鎖を、側鎖フッ素化エーテルスルホネート基、フッ素化エステルスルホネート基、またはフッ素化エーテルスルホンイミド基と共に有する。一実施形態において、ポリマーは、1,1−ジフルオロエチレンおよび2−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸のコポリマーである。一実施形態において、ポリマーは、エチレンおよび2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸のコポリマーである。これらのコポリマーは、対応するフッ化スルホニルポリマーと同様に形成することができ、次いで、スルホン酸形態に転化されることができる。
【0080】
一実施形態において、可湿性FAPは、フッ素化および部分スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)のホモポリマーまたはコポリマーである。コポリマーはブロックコポリマーであることができる。コモノマーの例としては、限定されないが、ブタジエン、ブチレン、イソブチレン、スチレン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
一実施形態において、可湿性FAPは、式VIIを有するモノマーのホモポリマーまたはコポリマーである。
【0082】
【化9】

【0083】
式中、
bは1〜5の整数であり、
13はOHまたはNHR14であり、および
14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである。
【0084】
一実施形態において、モノマーは、以下に示される「SFS」または「SFSI」である。
【0085】
【化10】

【0086】
重合後、ポリマーは酸形態に転化されることができる。
【0087】
一実施形態において、可湿性FAPは、酸性基を有するトリフルオロスチレンのホモポリマーまたはコポリマーである。一実施形態において、トリフルオロスチレンモノマーは式VIIIを有する。
【0088】
【化11】

【0089】
式中、
Wは、(CF、O(CF、S(CF、(CFO(CF、およびSO(CFから選択され、
bは、独立に1〜5の整数であり、
13はOHまたはNHR14であり、および
14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである。
【0090】
一実施形態において、S(CFに等しいWを含有するモノマーが重合され、次いで酸化されてSO(CFに等しいWを含有するポリマーを与える。一実施形態において、Fに等しいR13を含有するポリマーはその酸形態に転化され、ここで、R13はOHまたはNHR14に等しい。
【0091】
一実施形態において、可湿性FAPは式IXを有するスルホンイミドポリマーである。
【0092】
【化12】

【0093】
式中、
は、フッ素化アルキレン、フッ素化ヘテロアルキレン、フッ素化アリーレン、またはフッ素化ヘテロアリーレンから選択され;
は、フッ素化アルキレン、フッ素化ヘテロアルキレン、フッ素化アリーレン、フッ素化ヘテロアリーレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンから選択され;および
nは少なくとも4である。
【0094】
式IXの一実施形態において、RおよびRはパーフルオロアルキレン基である。一実施形態において、RおよびRはパーフルオロブチレン基である。一実施形態において、RおよびRはエーテル酸素を含有する。一実施形態において、nは20を超える。
【0095】
一実施形態において、可湿性FAPはフッ素化ポリマー主鎖、および式Xを有する側鎖を含む。
【0096】
【化13】

【0097】
式中、
は、フッ素化アルキレン、フッ素化ヘテロアルキレン、フッ素化アリーレン、フッ素化ヘテロアリーレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンから選択され;
15は、フッ素化アルキレン基またはフッ素化ヘテロアルキレン基であり;
16は、フッ素化アルキルまたはフッ素化アリール基であり;および
pは、0または1〜4の整数である。
【0098】
一実施形態において、可湿性FAPは式XIを有する。
【0099】
【化14】

【0100】
式中、
16は、フッ素化アルキルまたはフッ素化アリール基であり;
a、b、c、d、およびeは、それぞれ独立に0または1〜4の整数であり;および
nは少なくとも4である。
【0101】
これらフッ素化酸ポリマーの合成は、例えば、(非特許文献8);(非特許文献9);(非特許文献10);(非特許文献11);および米国特許公報(特許文献1)(デマルトー(Desmarteau))に記載されてきている。
【0102】
一実施形態において、可湿性FAPは、式(XII)を有するエチレン不飽和化合物から誘導される少なくとも1つの繰り返し単位を含む。
【0103】
【化15】

【0104】
式中、dは0、1、または2であり;
17〜R20は、独立にH、ハロゲン、1〜10個の炭素原子のアルキルまたはアルコキシ、Y、C(R’)(R’)OR21、RYまたはORYであり;
Yは、COE、SO、またはスルホンイミドであり;
21は水素または酸解離性保護基であり;
’は、それぞれの場合に同一または異なると共に、1〜10個の炭素原子のフルオロアルキル基であり、または共に(CF(ここでeは2〜10である)であり;
はアルキレン基であり;
は、OH、ハロゲン、またはORであり;および
はアルキル基であり;
ただし、R17〜R20の少なくとも1つがY、RYまたはORYである。
【0105】
、R、およびR17〜R20は、任意選択的にハロゲンまたはエーテル酸素によって置換されてもよい。
【0106】
式XIIの代表的なモノマーのいくつかの図示的な、非制限的であるが、例が、式XIIa−XIIeとして以下に示されている。
【0107】
【化16】

【0108】
式中、R21は、第3級カチオン、より典型的には1〜20個の炭素原子のアルキル基、および最も典型的にはt−ブチルを形成する、またはそれに転位することができる基である。
【0109】
d=0である式XIIの化合物(例えば、式XII−a)は、以下に示す式のとおり、構造(XIII)の不飽和化合物の、クアドリシクラン(テトラシクロ[2.2.1.02,63,5]ヘプタン)との環状付加反応によって調製され得る。
【0110】
【化17】

【0111】
反応は、約0℃〜約200℃、より典型的には約30℃〜約150℃の範囲の温度で、ジエチルエーテルなどの不活性溶剤の非存在下または存在下に実施され得る。1つまたは複数の試薬または溶剤の沸点でまたはそれより高温で実施される反応について、閉鎖型反応器が、典型的には、揮発性成分の損失を回避するために用いられる。より大きな値のd(すなわち、d=1または2)を有する構造(XII)の化合物は、技術分野において公知であるとおり、d=0である構造(XII)の化合物と、シクロペンタジエンとの反応によって調製され得る。
【0112】
一実施形態において、可湿性FAPは、エチレン不飽和炭素に連結された少なくとも1個のフッ素原子を含有するエチレン不飽和化合物である少なくとも1種のフルオロオレフィンから誘導された繰り返し単位をも含むコポリマーである。フルオロオレフィンは2〜20個の炭素原子を含む。代表的なフルオロオレフィンとしては、限定されないが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、CF=CFO(CFCF=CF(式中、tは1または2である)、およびR’’OCF=CF(式中、R’’は1〜約10個の炭素原子の飽和フルオロアルキル基である)が挙げられる。一実施形態において、コモノマーはテトラフルオロエチレンである。
【0113】
一実施形態において、非可湿性FAPは、シロキサンスルホン酸を含む側基を有する高分子主鎖を含む。一実施形態において、シロキサン側基は以下の式を有する。
−OSi(OH)b−a223−b23SO
式中:
aは1〜bであり;
bは1〜3であり;
22は、独立に、アルキル、アリール、およびアリールアルキルからなる群から選択される非加水分解基であり;
23は、1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されていてもよい二座アルキレンラジカルであって、ただし、R23は、SiおよびRの間に直線的に配置された少なくとも2個の炭素原子を有し;および
は、1つまたは複数のエーテル酸素原子で置換されていてもよいパーフルオロアルキレンラジカルである。
【0114】
一実施形態において、シロキサン側基を有する非可湿性FAPは、フッ素化主鎖を有する。一実施形態において、主鎖は過フッ素化である。
【0115】
一実施形態において、非可湿性FAPは、式(XIV)によって表されるフッ素化主鎖および側基を有する。
−O−[CF(R)CF−O−CFCFSOH (XIV)
式中、Rは、Fまたは1〜10個の炭素原子を有する、非置換であるか、または1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されているかの一方であるパーフルオロアルキルラジカルであり、h=0または1であり、i=0〜3であり、およびg=0または1である。
【0116】
一実施形態において、非可湿性FAPは式(XV)を有する。
【0117】
【化18】

【0118】
式中、j≧0であり、k≧0であると共に4≦(j+k)≦199であり、QおよびQはFまたはHであり、Rは、Fまたは1〜10個の炭素原子を有する、非置換であるか、または1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されているかの一方であるパーフルオロアルキルラジカルであり、h=0または1であり、i=0〜3であり、g=0または1であり、およびEは、Hまたはアルカリ金属である。一実施形態においてRは、−CFであり、g=1であり、h=1であると共にi=1である。一実施形態において、側基は、3〜10mol%の濃度で存在する。
【0119】
一実施形態において、QはHであり、k≧0であると共にQはFであり、コノリー(Connolly)ら、米国特許公報(特許文献2)の教示に基づいて合成され得る。他の好ましい実施形態において、QはHであり、QはHであり、g=0であり、RはFであり、h=1であると共にi−1であり、同時係属中の米国特許公報(特許文献3)の教示に基づいて合成され得る。さらに他の実施形態が、ドライズデール(Drysdale)ら、(特許文献4)、および同時係属中の米国特許出願(チョイ(Choi)ら)、(特許文献5)、および(特許文献6)における種々の教示に基づいて合成され得る。
【0120】
一実施形態において、非可湿性FAPはコロイド形成性高分子酸である。本願明細書において用いられるところ、用語「コロイド形成性」は、水に不溶性であると共に、水性媒体中に分散されたときにコロイドを形成する材料を指す。コロイド形成性高分子酸は、典型的には、約10,000〜約4,000,000の範囲の分子量を有する。一実施形態において、高分子酸は、約100,000〜約2,000,000の分子量を有する。コロイド粒径は、典型的には、2ナノメートル(nm)〜約140nmの範囲である。一実施形態において、コロイドは、2nm〜約30nmの粒径を有する。酸性プロトンを有するいずれかのコロイド形成性高分子材料を用いることができる。一実施形態において、コロイド形成性フッ素化高分子酸は、カルボン酸基、スルホン酸基、およびスルホンイミド基から選択される酸性基を有する。一実施形態において、コロイド形成性フッ素化高分子酸は高分子スルホン酸である。一実施形態において、コロイド形成性高分子スルホン酸は過フッ素化である。一実施形態において、コロイド形成性高分子スルホン酸はパーフルオロアルキレンスルホン酸である。
【0121】
一実施形態において、非可湿性コロイド形成性FAPは高フッ素化スルホン酸ポリマー(「FSAポリマー」)である。「高フッ素化」とは、ポリマー中のハロゲンおよび水素原子の総数の少なくとも約50%、1つの実施形態においては少なくとも約75%、および他の実施形態において少なくとも約90%がフッ素原子であることを意味する。一実施形態において、ポリマーは過フッ素化である。用語「スルホネート官能基」は、スルホン酸基またはスルホン酸基の塩の一方を指すと共に、一実施形態において、アルカリ金属またはアンモニウム塩を指す。官能基は、式−SOによって表され、ここでEはカチオンであり、「対イオン」としても知られる。Eは、H、Li、Na、KまたはN(R)(R)(R)(R)であり得、およびR、R、R、およびRは、同一または異なると共に、1つの実施形態においてはH、CHまたはCである。他の実施形態において、EはHであり、この場合には、ポリマーは、「酸形態」にあると言われる。Eはまた、Ca++、およびAl+++などのイオンによって表されるとおり多価であり得る。これは、多価対イオンの場合には、一般的にはMx+として表され、対イオン当たりのスルホネート官能基の数は原子価「x」と等しくなるであろうことは、当業者にとっては明確である。
【0122】
一実施形態において、FSAポリマーは、主鎖に連結した反復側鎖を有するポリマー主鎖を含み、側鎖はカチオン交換基を担持している。ポリマーは、ホモポリマーまたは2つ以上のモノマーのコポリマーを含む。コポリマーは、典型的には、カチオン交換基またはその前駆体(例えば続いてスルホネート官能基に加水分解されることができるフッ化スルホニル基(−SOF))を担持している非官能性モノマーおよび第2のモノマーから形成される。例えば、第1のフッ素化ビニルモノマーと、フッ化スルホニル基(−SOF)を有する第2のフッ素化ビニルモノマーとのコポリマーを用いることができる。可能な第1のモノマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。TFEは好ましい第1のモノマーである。
【0123】
他の実施形態において、可能な第2のモノマーとしては、スルホネート官能基または所望の側鎖をポリマーに提供することができる前駆体基を有するフッ素化ビニルエーテルが挙げられる。エチレン、プロピレン、およびR−CH=CH(式中、Rは1〜10個の炭素原子の過フッ素化アルキル基である)を含む追加のモノマーは、所望の場合にはこれらのポリマーに組み込まれることができる。ポリマーは、コモノマーの相対濃度が可能な限り一定に維持された重合によって製造されるコポリマーであるランダムコポリマーとして本願明細書において称されるタイプのものであり得、従って、ポリマー鎖に沿ったモノマーユニットの分布は、それらの相対濃度および相対的反応性に基づく。より少量の、重合工程中にモノマーの相対濃度を変化させることにより製造されたランダムコポリマーもまた用いられ得る。(特許文献7)に開示されるものなどのブロックコポリマーと呼ばれるタイプのポリマーもまた用いられ得る。
【0124】
一実施形態において、本発明において用いられるFSAポリマーは、式
−(O−CFCFR−O−CFCFRSO
によって表される、高フッ素化、および1つの実施形態においては過フッ素化炭素主鎖および側鎖を含み、式中、RおよびRは、独立に、F、Clまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から選択され、a=0、1または2であり、およびEは、H、Li、Na、KまたはN(R1)(R2)(R3)(R4)であると共に、R1、R2、R3、およびR4は、同一または異なり、1つの実施形態においてはH、CHまたはCである。他の実施形態においてEはHである。上記のとおり、Eはまた多価であり得る。
【0125】
一実施形態において、FSAポリマーは、例えば、米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に開示されているポリマーを含む。好ましいFSAポリマーの例は、パーフルオロカーボン主鎖および式
−O−CFCF(CF)−O−CFCFSO
によって表される側鎖を含み、式中、Xは上に定義されているとおりである。このタイプのFSAポリマーは、米国特許公報(特許文献2)に開示されていると共に、テトラフルオロエチレン(TFE)および過フッ素化ビニルエーテルCF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOF、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフロリド)(PDMOF)の共重合、続いてフッ化スルホニル基の加水分解によるスルホネート基への転化および、必要に応じて、所望のイオン性形態への転化のためのイオン交換により製造されることができる。米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に開示されているタイプのポリマーの例は、側鎖−O−CFCFSO(式中、E上に定義されたとおりである)を有する。このポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)および過フッ素化ビニルエーテルCF=CF−O−CFCFSOF、パーフルオロ(フッ化3−オキサ−4−ペンテンスルホニル)(POPF)の共重合、続いて、加水分解およびさらに必要に応じたイオン交換によって製造されることができる。
【0126】
一実施形態において、本発明において用いられるFSAポリマーは、典型的には、約33未満のイオン交換比を有する。本出願において、「イオン交換比」または「IXR」は、ポリマー主鎖中における、カチオン交換基と比した炭素原子の数として定義される。約33未満の範囲内において、IXRは特定の用途について所望のとおり異なることができる。一実施形態において、IXRは、約3〜約33、および他の実施形態において、約8〜約23である。
【0127】
ポリマーのカチオン交換能力は、度々、換算重量(EW)に関して表記される。この出願の目的について、換算重量(EW)は、水酸化ナトリウムの一当量を中和するために必要とされる酸形態のポリマーの重量であると定義される。ポリマーがパーフルオロカーボン主鎖を有すると共に側鎖が−O−CF−CF(CF)−O−CF−CF−SOH(またはその塩)であるスルホネートポリマーの場合には、約8〜約23のIXRに相当する換算重量範囲は、約750EW〜約1500EWである。このポリマーについてのIXRは、式:50IXR+344=EWを用いて換算重量と相関させることができる。米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に開示されているスルホネートポリマーであって、例えば側鎖−O−CFCFSOH(またはその塩)を有するポリマーについては同一のIXR範囲が用いられるが、換算重量は、カチオン交換基を含有するモノマーユニットのより低い分子量によりいくらか低い。約8〜約23の好ましいIXR範囲について、関連する換算重量範囲は約575EW〜約1325EWである。このポリマーについてのIXRは、式:50IXR+178=EWを用いて換算重量と相関させることができる。
【0128】
FSAポリマーは、コロイド状水性分散体として調製することができる。これらはまた、他の媒体中の分散体の形態であり得、その例としては、限定されないが、アルコール、テトラヒドロフランなどの水溶性エーテル、水溶性エーテルの混合物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。分散体の製造において、ポリマーは、酸形態において用いられることができる。米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)および(特許文献12)は、水性アルコール系分散体の製造方法を開示している。分散体が製造された後、液体組成物の濃度および分散は技術分野において公知である方法によって調節されることができる。
【0129】
FSAポリマーを含むコロイド形成性高分子酸の水性分散体は、典型的には、安定なコロイドが形成される限りにおいて、可能な限り小径の粒径および可能な限り小さいEWを有する。
【0130】
FSAポリマーの水性分散体は、ナフィオン(Nafion)(登録商標)分散体として、本願特許出願人(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE))から商業的に入手可能である。
【0131】
(4.ドープ半導体ポリマーの調製)
一実施形態において、ドープ半導体ポリマーは、少なくとも1つのFAPの存在下において前駆体モノマーの酸化的重合によって形成される。ドープ半導体ポリマーはこれ以降、「SCP/FAP」として省略される。重合は、一般的には、均質な水性溶液中に行われる。他の実施形態において、導電性ポリマーを得るための重合は、水および有機溶剤のエマルジョン中に行われる。一般には、酸化剤および/または触媒の適当な溶解度を得るためにいくらかの水が存在する。過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等などの酸化剤を用いることができる。塩化第二鉄、または硫酸第二鉄などの触媒もまた存在し得る。得られる重合生成物は、ドープ半導体ポリマーの溶液、分散体、またはエマルジョンであろう。
【0132】
一実施形態において、FAPでドープされた半導体ポリマーの水性分散体の製造方法は、水、少なくとも1種の前駆体モノマー、少なくとも1種のFAP、および酸化剤を任意の順番で組み合わせることにより反応混合物を形成するステップを含むが、ただし、少なくとも1種の前駆体モノマーおよび酸化剤が添加されるとき、FAPの少なくとも一部が存在する。半導体コポリマーの場合には、用語「少なくとも1種の前駆体モノマー」は2つ以上のタイプのモノマーを含むことが理解されるであろう。
【0133】
一実施形態において、ドープ半導体ポリマーの水性分散体の製造方法は、水、少なくとも1種の前駆体モノマー、少なくとも1種のFAP、および酸化剤を、任意の順番で組み合わせることにより反応混合物を形成するステップを含むが、ただし、少なくとも1種の前駆体モノマーおよび酸化剤が添加されるとき、FAPの少なくとも一部が存在する。
【0134】
一実施形態において、ドープ半導体ポリマーの製造方法は:
(a)FAPの水溶液または分散体を提供するステップと;
(b)酸化性物質を、ステップ(a)の溶液または分散体に添加するステップと;
(c)少なくとも1種の前駆体モノマーをステップ(b)の混合物に添加するステップと
を含む。
【0135】
他の実施形態において、前駆体モノマーは、酸化性物質の添加の前にFAPの水溶液または分散体に添加される。酸化剤を添加する上のステップ(b)が、次いで行われる。
【0136】
他の実施形態において、水および前駆体モノマーの混合物は、典型的には約0.5重量%〜約4.0重量%の全前駆体モノマーの範囲の濃度で形成される。この前駆体モノマー混合物が、FAPの水溶液または分散体に添加され、および酸化剤の添加である上のステップ(b)が行われる。
【0137】
他の実施形態において、水性重合混合物は、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等などの重合触媒を含み得る。触媒は、最後のステップ前に添加される。他の実施形態において、触媒は酸化剤と共に添加される。
【0138】
一実施形態において、重合は、水と混和性の共分散液の存在下に行われる。好適な共分散液の例としては、限定されないが、エーテル、アルコール、アルコールエーテル、環状エーテル、ケトン、ニトリル、スルホキシド、アミド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、共分散液はアルコールである。一実施形態において、共分散液は、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、およびこれらの混合物から選択される有機溶剤である。一般には、共分散液の量は、体積当たり約60%未満であるべきである。一実施形態において、共分散液の量は、体積当たり約30%未満である。一実施形態において、共分散液の量は体積当たり5〜50%である。重合における共分散液の使用は、著しく粒径を減少させると共に分散体のろ過性を向上させる。さらに、このプロセスによって得られる緩衝剤材料は増加した粘度を示し、これらの分散体から調製されたフィルムは、高品質のものである。
【0139】
共分散液は、反応混合物に、プロセス中のいずれの時点でも添加されることができる。
【0140】
一実施形態において、重合は、ブレンステッド酸である共酸の存在下に行われる。酸は、HCl、硫酸等などの無機酸、または酢酸またはp−トルエンスルホン酸などの有機酸であることができる。あるいは、酸は、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸等などの水溶性高分子酸、または上記の第2のフッ素化酸ポリマーであることができる。酸の組み合わせを用いることができる。
【0141】
共酸は、酸化性物質または前駆体モノマーの、その最後に添加されるいずれか一方の添加の前に、プロセス中のいずれかの時点で反応混合物に添加されることができる。一実施形態において、共酸は、前駆体モノマーおよびフッ素化酸ポリマーの両方の前に添加され、および酸化性物質が最後に添加される。一実施形態において、共酸は前駆体モノマーの添加前に添加され、続いてフッ素化酸ポリマーが添加され、および酸化性物質が最後に添加される。
【0142】
一実施形態において、重合は、共分散液および共酸の両方の存在下に行われる。
【0143】
ドープ半導体ポリマーの製造方法において、酸化性物質対全前駆体モノマーのモル比は、一般的には、0.1〜3.0の範囲であり;および1つの実施形態においては0.4〜1.5である。FAP対全前駆体モノマーのモル比は、一般的には0.2〜10の範囲である。一実施形態において、比は1〜5の範囲にある。全固体含有量は、一般的には、重量パーセントで約0.5%〜12%の範囲であり;および1つの実施形態においては約2%〜6%である。反応温度は、一般的には、約4℃〜50℃の範囲;1つの実施形態においては約20℃〜35℃である。任意選択の共酸対前駆体モノマーのモル比は約0.05〜4である。酸化性物質の添加時間は粒径および粘度に影響する。それ故、添加速度を遅くすることにより粒径を減少させることができる。同時に、添加速度を遅くすることにより粘度が高められる。反応時間は、一般的には、約1〜約30時間の範囲である。
【0144】
(a)pH処理
合成された時点では、ドープ半導体ポリマーの水性分散体は、一般的には極めて低いpHを有する。半導体ポリマーがFAPでドープされるとき、素子における特性に悪影響を与えることなくpHをより高い値に調節することができることが見出された。一実施形態において、分散体のpHは、約1.5〜約4に調節されることができる。一実施形態において、pHは、2および3の間に調節される。pHは、例えばイオン交換または水性塩基性溶液での滴定による公知の技術を用いて調節されることができることが見出された。
【0145】
一実施形態において、形成される、FAP−ドープ半導体ポリマーの水性分散体は、残留しているいずれかの分解された種、副反応性生物、および未反応モノマーの除去に好適な条件下で、少なくとも1種のイオン交換樹脂と接触されて、pHを調節し、これにより、安定な、水性分散体を所望のpHで生成する。一実施形態において、形成されるドープ半導体ポリマー分散体は、任意の順番で、第1のイオン交換樹脂および第2のイオン交換樹脂と接触させられる。形成されるドープ半導体ポリマー分散体は、第1のおよび第2のイオン交換樹脂の両方で同時に処理されることができ、または一方および次いで他方で順番に処理されることができる。一実施形態においては、2種のドープ半導体ポリマーが合成されると共に組み合わされ、次いで1種または複数のイオン交換樹脂で処理される。
【0146】
イオン交換は、流体媒体(水性分散体などの)中のイオンが、流体媒体に不溶性である不動的な固体粒子に連結された、同様に荷電されたイオンと交換される可逆的化学反応である。用語「イオン交換樹脂」は、すべてのこのような物質を称するよう本願明細書において用いられている。樹脂は、イオン交換基が連結している高分子支持体の架橋性質のために不溶性とされる。イオン交換樹脂は、カチオン交換体またはアニオン交換体としてクラス分けされる。カチオン交換体は、典型的にはプロトンまたはナトリウムイオンなどの金属イオンといった、交換に利用可能である正に荷電された可動イオンを有する。イオン交換体は、負に荷電された、典型的には水酸化イオンである交換可能なイオンを有する。
【0147】
一実施形態において、第1のイオン交換樹脂は、プロトンまたは金属イオン、典型的にはナトリウムイオン形態であることができるカチオン、酸交換樹脂である。第2のイオン交換樹脂は塩基性、アニオン交換樹脂である。プロトン交換樹脂を含む酸性カチオン交換樹脂と塩基性アニオン交換樹脂との両方が、本発明の実施において用いられると予期される。一実施形態において、酸性カチオン交換樹脂は、スルホン酸カチオン交換樹脂などの無機酸カチオン交換樹脂である。本発明の実施において用いられると予期されるスルホン酸カチオン交換樹脂としては、例えば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。他の実施形態において、酸性カチオン交換樹脂は、カルボン酸、アクリル酸または亜リン酸カチオン交換樹脂などの有機酸カチオン交換樹脂である。さらに、異なるカチオン交換樹脂の混合物を用いることができる。
【0148】
他の実施形態において、塩基性アニオン交換樹脂は第三級アミンアニオン交換樹脂である。本発明の実施において用いられると予期される第三級アミンアニオン交換樹脂としては、例えば、第3級−アミン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、第3級−アミン化架橋スチレンポリマー、第3級−アミン化フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、第3級−アミン化ベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。さらなる実施形態において、塩基性アニオン交換樹脂は第4級アミンアニオン交換樹脂、またはこれらのおよび他の交換樹脂の混合物である。
【0149】
第1のおよび第2のイオン交換樹脂は、形成されたままの水性分散体に同時に、または順番に接触し得る。例えば、1つの実施形態においては、導電性ポリマーの形成されたままの水性分散体に両方の樹脂が同時に添加されると共に、少なくとも約1時間、例えば、約2時間〜約20時間の間分散体と接触したまま維持される。次いで、イオン交換樹脂は、ろ過により分散体から除去されることができる。フィルタのサイズは、比較的大きなイオン交換樹脂粒子が除去される一方、より小さい分散体粒子が通過することとなるよう選択される。理論に束縛されることは望まないが、イオン交換樹脂は、重合を急冷すると共に、効果的にイオン性およびノニオン性不純物ならびに未反応モノマーのほとんどを形成されたままの水性分散体から除去すると考えられている。しかも、塩基性アニオン交換および/または酸性カチオン交換樹脂は、酸性サイトに塩基性を付与し、その結果分散体のpHを高める。一般には、半導体ポリマー組成物1グラム当たり、約1〜5グラムのイオン交換樹脂が用いられる。
【0150】
多くの場合において、pHを所望のレベルに調節するために塩基性イオン交換樹脂を用いることができる。いくつかの場合において、pHは、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、テトラ−メチル水酸化アンモニウム等の溶液などの水性塩基性溶液でさらに調節されることができる。
【0151】
(5.高仕事関数透明コンダクタの調製)
新たな透明コンダクタは、先ず、導電性ナノ粒子を、FAPまたはSCP/FAPとブレンドすることにより形成することができる。これは、導電性ナノ粒子の水性分散体を、FAPまたはSCP/FAPの水性分散体に添加することにより達成することができる。一実施形態において、組成物は、超音波処理またはマイクロ流動化処理を用いてさらに処理されて、成分の混合が確実とされる。
【0152】
一実施形態において、成分の1つまたは両方が固形形態で単離される。固体材料は、水中または他の成分の水溶液または分散体中に再分散させることができる。例えば、導電性ナノ粒子固形分は、FAPでドープされた半導体ポリマーの水溶液または分散体中に分散させることができる。
【0153】
固体透明コンダクタが、次いで、いずれかの液体堆積技術を用いて形成されることができる。液相堆積方法は周知である。連続液体堆積技術としては、限定されないが、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられる。非連続液体堆積技術としては、限定されないが、インクジェットプリント、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられる。コンダクタは、連続またはパターン化層の形態であることができる。
【0154】
(6.電子素子)
本発明の他の実施形態において、2つの電子接触層の間に位置された少なくとも1つの電気活性層を含む電子素子が提供されており、ここで、素子は、新たな透明コンダクタをさらに含む。層または材料を指す場合、用語「電気活性」は、電子または電気放射特性を示す層または材料を意味することが意図される。電気活性層材料は、放射線を放射し得、または使用、例えば光起電力電池において放射線を受けたときに電子−正孔対の濃度に変化を示し得る。本発明の他の実施形態において、高仕事関数透明コンダクタがドレイン、ソースの電極および電解効果トランジスタのドレインの電極として機能する電子素子が提供されている。
【0155】
図2に示すとおり、素子100の一実施形態は、陽極層110、任意選択の緩衝層120、電気活性層130、および陰極層150を有する。陰極層150には、任意選択の電子−注入/輸送層140が隣接している。
【0156】
新たな透明コンダクタは、陽極110として特に実用性を有する。一実施形態において、透明コンダクタは、液相堆積方法によって形成される。一実施形態において、堆積された透明コンダクタフィルムは、フィルムを合体させるために熱処理される。
【0157】
素子は、陽極層110または陰極層150に隣接していることができる支持体または基材(図示せず)を含み得る。最も頻繁には、支持体は陽極層110に隣接している。支持体は、可撓性または剛性、有機または無機であることができる。支持材料の例としては、限定されないが、ガラス、セラミック、金属、およびプラスチックフィルムが挙げられる。
【0158】
用語「緩衝層」または「緩衝剤材料」は、導電性または半導体材料を意味することが意図されると共に、有機電子素子において1つまたは複数の機能を有し得、特に限定されないが、下層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、および有機電子素子の性能を促進させまたは向上させる他の態様を含む。緩衝剤材料は、ポリマー、オリゴマー、または小分子であり得ると共に、溶液、分散体、懸濁液、エマルジョン、コロイド状混合物、または他の組成物の形態であり得る。1つの実施形態において、緩衝層は、正孔輸送材料を含む。層120の正孔輸送材料の例は、例えばY.ワン(Wang)によって、(非特許文献13)中にまとめられている。正孔輸送分子およびポリマーの両方を用いることができる。通例用いられる正孔輸送分子としては、限定されないが:4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−t−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン化合物が挙げられる。通例用いられる正孔輸送ポリマーとしては、限定されないが、ポリ(9,9,−ジオクチル−フルオレン−コ−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミナー)等、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが挙げられる。上述されたものなどの正孔輸送分子を、ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーにドープすることにより正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0159】
素子の用途に応じて、電気活性層130は、印加された電圧(発光ダイオードまたは発光電気化学電池などにおける)によって活性化される発光層であって、放射エネルギーに応答すると共に、印加されるバイアス電圧(光検出器などにおける)でまたは無しでシグナルを生成する材料の層であることができる。一実施形態において、電気活性材料は、有機エレクトロルミネセント(「EL」)材料である。いずれのEL材料も素子中に用いることができ、特に限定されないが、小分子有機蛍光化合物、蛍光およびリン光金属錯体、共役ポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。蛍光化合物の例としては、限定されないが、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、それらの誘導体、およびこれらの混合物が挙げられる。金属錯体の例としては、限定されないが、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;米国特許公報(特許文献13)(ペトロフ(Petrov)ら)および(特許文献14)および(特許文献15)に記載のイリジウムのフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンリガンドとの錯体、および例えば、(特許文献16)、(特許文献17)、および(特許文献18)に記載の有機金属錯体などのシクロメタレート化イリジウムおよび白金エレクトロルミネセント化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。電荷キャリアホスト材料および金属錯体を含むエレクトロルミネセント放射層が、トンプソン(Thompson)らによって、米国特許公報(特許文献19)に、およびバローズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)によって、(特許文献20)および(特許文献21)において記載されている。共役ポリマーの例としては、限定されないが、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、これらのコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0160】
任意選択の層140は、電子注入/輸送の両方を促進させるよう機能することができると共に、層界面での消光反応を回避する拘束層として役立つこともできる。より具体的には、層130および150がそうでなければ直接的に接触することとなる場合には、層140は電子移動度を促進し得ると共に消光反応の可能性を低減させ得る。任意選択の層140についての材料の例としては、限定されないが、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニル−フェノレート)アルミニウム(III)(BAlQ)、テトラ(8−ヒドロキシキノレート)ジルコニウム(ZrQ)、およびトリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(Alq)などの金属キレート化オキシノイド化合物;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン誘導体;およびこれらのいずれか1つまたは複数の組み合わせが挙げられる。あるいは、任意選択の層140は、無機であり得ると共にBaO、LiF、LiO等を含み得る。
【0161】
陰極層150は、電子の注入または負の電荷キャリアについて特に効率的である電極である。陰極層150は、いずれかの金属または第1の電子接触層(この場合、陽極層110)より低い仕事関数を有する非金属であることができる。
【0162】
陰極層についての材料は、1族(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs)のアルカリ金属、2族金属(例えば、Mg、Ca、Ba等)、12族金属、ランタノイド(例えば、Ce、Sm、Eu等)、およびアクニチド(例えば、Th、U等)から選択されることができる。アルミニウム、インジウム、イットリウム、およびこれらの組み合わせなどの材料がまた用いられ得る。陰極層150についての材料の特定の非限定的な例としては、限定されないが、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユーロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム、サマリウム、および合金およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0163】
陰極層150は、通常は、化学または物理蒸着プロセスによって形成される。いくつかの実施形態において、陰極層は、陽極層110を参照して上述されているとおりパターン化されることとなる。
【0164】
素子における他の層は、このような層によってもたらされる機能を考慮した上で、このような層において有用であると公知であるいずれの材料からも製造されることができる。
【0165】
いくつかの実施形態において、封止層(図示せず)が、水および酸素などの望ましくない成分の素子100への侵入を防止するために、コンタクト層150上に堆積される。このような成分は、有機層130に悪影響を有することができる。一実施形態において、封止層は、バリア層またはフィルムである。一実施形態において、封止層はガラス蓋である。
【0166】
素子100は、図2に図示されていない追加の層を含み得ることが理解される。技術分野において公知であるまたはそうではなくても適切であり得る他の層が使用されうる。。さらに、上述の層のいずれも2つ以上の副層を含み得、または積層構造を形成し得る。あるいは、陽極層110、任意選択の緩衝層120、電子輸送層140、陰極層150、および他の層のいくつかまたはすべては、電荷キャリア輸送効率または素子の他の物理特性を高めるために処理、特に表面処理され得る。各構成部品層についての材料の選択は、好ましくは、素子動作耐用年数要件、製作時間および複雑性要因および当業者によって認識される他の検討事項を有する高素子効率を有する素子を提供する目的を平衡化させることにより決定される。最適な構成部品、部品構造、および組成同一性を判定することは当業者にとって日常的であろうことが、認識されるであろう。
【0167】
種々の実施形態において、異なる層は、以下の範囲の厚さを有する:陽極111、10〜2000Å、1つの実施形態においては50〜500Å;陽極第2の層112、100〜2000Å、1つの実施形態においては50〜500Å;任意選択の緩衝層120、50〜2000Å、1つの実施形態においては200〜1000Å;光活性層130、10〜2000Å、1つの実施形態においては100〜1000Å;任意選択の電子輸送層140、50〜2000Å、1つの実施形態においては100〜1000Å;陰極150、200〜10000Å、1つの実施形態においては300〜5000Å。素子における電子−正孔再結合ゾーンの位置、およびそれ故、素子の発光スペクトルは、各層の相対的な厚さによって影響されることができる。それ故、電子輸送層の厚さは、電子−正孔再結合ゾーンが発光層中にあるよう選択されるべきである。層厚の所望の比は、用いられた材料の正確な性質に応じることとなる。
【0168】
運用において、適切な電源(図示せず)からの電圧が素子100に印加される。電流は、従って、素子100の層を横切って通過する。電子は有機ポリマー層に入り、フォトンを放出する。アクティブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれるいくつかのOLEDにおいて、光活性有機フィルムの個別の堆積物は、独立に電流の流れによって励起され得、個別のピクセルの発光をもたらす。パッシブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれるいくつかのOLEDにおいて、光活性有機フィルムの堆積物は、電子接触層の段および列によって励起され得る。
【0169】
本願明細書において用いられるところ、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」またはこれらのいずれかの他の変形は、非排他的な包含を網羅すると意図される。例えば、一覧の構成要素を含むプロセス、方法、物品、または素子は、必ずしもこれらの構成要素にのみ制限されず、明示的に列挙されていないまたはこのようなプロセス、方法、物品、または素子に固有の他の構成要素を含み得る。さらに、そうではないと明示的に表記されていない限りにおいて、「または」は包括的なまたはを指すと共に、排他的なまたはを指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aは真(または存在する)であると共にBは偽(または存在しない)である、Aは偽(または存在しない)であると共にBは真(または存在する)である、およびAおよびBは真(または存在する)である。
【0170】
本願明細書において用いられるところ、用語「層」は用語「フィルム」と同義的に用いられていると共に、所望の領域を覆うコーティングを指す。用語の意味は、素子または構成部品サイズの考慮によっては制限されない。領域は、全素子ほどに大きいまたは実際のビジュアルディスプレイなどの特定の機能性領域ほど小さい、または単一のサブピクセルほどに小さいことができる。層およびフィルムは、蒸着、液相堆積(連続および非連続技術)、および熱転写を含むいずれかの従来の堆積技術によって形成されることができる。連続堆積技術としては、限定されないが、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられる。非連続堆積技術としては、限定されないが、インクジェットプリント、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0171】
用語「仕事関数」は、表面から無限の距離の点まで、材料から電子を取り除くために必要とされる最低エネルギーを意味することが意図される。
【0172】
元素周期律表中の列に関連する族数は、(非特許文献12)に見られる「新表記」技法を用いており、ここで、族は、左から右に1〜18のように番号付けされている。
【0173】
また、「a」または「an」の使用は、本発明の構成要素および構成部品を記載するために用いられる。これは、単に簡便さのために、および本発明の一般的な意味を与えるためになされている。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むよう読み取るべきであると共に、単数形もまた、そうでないことを意味することが明らかでない限り複数形を含む。
【0174】
そうでないと定義されていない限りにおいて、本願明細書において用いたすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通例理解されるものと同一の意味を有する。本発明の実施またはテストにおいては、本願明細書に記載のものと類似のまたは均等な方法および材料を用いることができるが、好適な方法および材料が以下に記載されている。本願明細書において明記されたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の文献は、参照によりそれらの全体が援用されている。抵触する場合には、定義を含めて、本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は、単に例示的であると共に、制限的であることは意図されない。
【実施例】
【0175】
(実施例1)
この実施例は、水性カーボンナノチューブ(「CNT」)分散体の調製を例示すると共に、分散体からスピンコートされたフィルムの仕事関数を例示する。
【0176】
この実施例において、CNTの水中への分散を、トリトン(Triton)−X−100を分散剤として用いて達成した。トリトン(Triton)X−100は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールについての商標である。これはノニオン性界面活性剤であると共に、CNTのWfへの影響には作用を有さない。ストック溶液を、1.035gトリトン(Triton)X−100を98.9922g脱イオン水中に溶解することにより形成し、これは水中での1.05%(w/w)の量になる。この実施例において用いたCNTは、米国テキサス州ヒューストン(Houston,Texas,USA)のCNIから購入したL0200単一壁CNT(レーザ/未加工グレード)である。0.0709gCNTを小さいガラスつぼ内におき、これに、8.5802gのトリトン(Triton)X−100溶液および25.5112g脱イオン水を添加した。混合物を、出力を3番に設定したブランソン超音波ホモジナイザー(Branson Sonifier)モデル450を用いて15分間連続的に超音波処理に処した。ガラスつぼをトレイ中の氷水に浸漬して、激しいキャビテーションにより生成される熱を除去した。CNTは、滑らかな、多数週間のいずれの沈殿の徴候もない安定な分散体を形成した。
【0177】
分散体を、スピンコートして、仕事関数(Wf)の計測のための紫外光電子分光についての基材上にフィルムを形成した。Wfエネルギーレベルは、通常は、真空レベルの位置に関して第2の電子カットオフから、He I(21.22eV)放射線を用いて測定される。フィルムのWfは、4.5eV〜4.6eVであると計測され、これは、正孔の発光材料層への効率的な注入にはきわめて低い。
【0178】
(実施例2)
この実施例は、CNTの、CNTの改良されたWfを有するナフィオン(Nafion)(登録商標)との水性分散体の調製を例示する。ナフィオン(Nafion)(登録商標)は、本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)製のポリ(パーフルオロエチレンスルホン酸)についての商品名である。
【0179】
実施例1におけるL0200単一壁CNT(レーザ/未加工グレード)を、この実施例において用いた。CNTを分散させるために用いたナフィオン(Nafion)(登録商標)は、DE1020である。ナフィオン(Nafion)(登録商標)のストック分散体は、先ず、19.7753g DE1020と、162.119g脱イオン水と、18.0151gn−プロパノールとを混合することにより調製した。得られた分散体は、1.13%ナフィオン(Nafion)(登録商標)ポリマーを含有していた。32.5063gの分散体を、0.0688gCNTとガラスつぼ中で混合した。混合物を、次いで、パワーを3番に設定したブランソン超音波ホモジナイザー(Branson Sonifier)モデル450を用いて、15分間連続的に超音波処理に処した。ガラスつぼをトレイ中の氷水に浸漬して、激しいキャビテーションにより生成される熱を除去した。CNTは、滑らかな、多数週間のいずれの沈殿の徴候もない安定な分散体を形成した。
【0180】
紫外光電子分光による仕事関数(Wf)の計測のために、分散体を、スピンコートして、透明なフィルムを基材上に形成した。Wfエネルギーレベルは、通常は、He I(21.22eV)放射線を用いて真空レベルの位置に関して第2の電子カットオフから測定される。フィルムのWfは6.2eVであると測定した。Wfは、実施例1に例示されているとおり、CNTのもの(4.5eV〜4.6eV)よりかなり高い。
【0181】
(実施例3)
この実施例は、CNTの、ナフィオン(Nafion)(登録商標)との水性分散体の調製を例示すると共に、CNT/ナフィオン(Nafion)(登録商標)フィルムの導電性を例示する。
【0182】
この実施例において用いたCNTは、米国テキサス州ヒューストン(Houston,Texas,USA)のCNI(カーボンナノテクノロジーズインク(Carbon Nanotechnologies,Inc.))から購入したHIPco CE608である。CE608は、3〜4%残存触媒を含有する。CNTの分散のために用いたナフィオン(Nafion)(登録商標)は、DE1021である。ナフィオン(Nafion)(登録商標)のストック分散体を、先ず、6.0263gDE1021と、151.097g脱イオン水と、16.797gn−プロパノールとを混合することにより調製した。得られた分散体は、0.39%ナフィオン(Nafion)(登録商標)ポリマーを含有していた。34.9968gの分散体を、0.0707gCNTとガラスつぼ中で混合した。混合物を、次いで、パワーを3番に設定したブランソン超音波ホモジナイザー(Branson Sonifier)モデル450を用いて、15分間連続的に超音波処理に処した。ガラスつぼをトレイ中の氷水に浸漬して、激しいキャビテーションにより生成される熱を除去した。CNTは、滑らかな、多数週間のいずれの沈殿の徴候もない安定な分散体を形成した。
【0183】
数滴の分散体を顕微鏡スライド上において、薄い、透明フィルムを形成した。抵抗の計測のために、薄膜を、室温銀ペーストで塗って2つの平行なラインを電極として形成した。抵抗を、フィルムの厚さをとり、電極の長さに沿った2つの電極を分離して導電性に変換した。導電性は、室温で140S/cmであると測定された。導電性は、インジウム/酸化錫フィルムのものときわめて類似している。
【0184】
(実施例4)
この実施例は、CNTフィルム上の上部層を形成するための、ナフィオン(Nafion)(登録商標)と錯化された導電性ポリ(3,4、エチレンジオキシチオフェン)の調製を例示する。1050のEWを有する12.0%(w/w)ナフィオン(Nafion)(登録商標)は、温度がおよそ270℃であること以外は、米国特許公報(特許文献11)、実施例1、パート2における手順と同様の手順を用いて製造される。
【0185】
2000mL反応釜中に、1088.2gの12%固体含有水性ナフィオン(Nafion)(登録商標)(124.36mmol、SOH基)分散体、1157g水、0.161g(0.311mmol)硫酸鉄(III)(Fe(SO)、および1787mLの37%(w/w)HCl(21.76mmol)を入れた。反応混合物を、二段プロペラタイプブレードを備えたオーバーヘッド攪拌機を用いて15分276RPMで攪拌する。8.87g(38.86mmol)過硫酸アンモニウム(Na)の40mLの水、および3.31mLエチレンジオキシチオフェン(EDT)中への添加を、245RPMで連続的に攪拌しながら、(NH/水については3.1mL/hおよびEDTについては237mL/h添加速度を用いて分離シリンジから開始させる。EDTの添加は、反応混合物に直接的に導かれるテフロン(Teflon)(登録商標)チューブに接続されたシリンジ中にモノマーを入れることにより達成される。(NH/水溶液を接続するテフロン(Teflon)(登録商標)チューブの端部を、注入がチューブの端部から落ちる個別の液滴を含むよう反応混合物上に配置する。モノマーの添加を終了してから7時間後に、200gの各レバチット(Lewatit)MP62WSおよびレバチットモノプラス(Lewatit Monoplus)S100イオン交換樹脂を添加することによって反応を停止させると共に、250gの脱イオン水を反応混合物に添加して、これをさらに7時間130RPMで攪拌する。イオン交換樹脂を、最後に、ワットマン(Whatman)54番フィルタを用いて、分散体からろ過する。PEDOT−ナフィオン(Nafion)(登録商標)分散体のpHは3.2であると共に、分散体由来の乾燥フィルムは、3.2×10−4S/cmの導電性を室温で有している。UPSが、PEDOT−ナフィオン(Nafion)(登録商標)は約5.4のWfをこのpHで有していることを示しており、これは、実施例1に示されるCNTフィルムのWfよりかなり高い。
【0186】
一般的な記載における上述の行為または例のすべてが必要とされるわけではなく、特定の行為の一部は必要とされない場合があり、および1つまたは複数のさらなる行為が、記載のものに追加して実施され得ることに注意すべきである。さらに、行為が列挙された順番は、必ずしもそれらが実行されるあるいは実行されなければならない順番であるとは限らない。
【0187】
以上の明細書において、特定の実施形態を参照して概念を記載してきた。しかしながら、技術分野における当業者は、以下の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良および変更をすることができることは理解している。従って、明細書および図は、制限的な意味であるよりも例示的であるとみなされるべきであり、およびすべてのこのような改良は、発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0188】
有益性、他の利益、および問題に対する解答が、特定の実施形態に関して上に記載されてきた。しかしながら、いずれかの有益性、利点、または回答を生じさせ得る、またはより明確となり得る有益性、利益、問題に対する回答、およびいずれかの特性は、いずれかのまたはすべての特許請求の範囲の重要な、必須な、または基本的な特性として解釈されるべきではない。
【0189】
明確さのために、個別の実施形態コンテクスト中に、以上および以下に記載した本発明の一定の特色はまた、単一の実施形態中に組み合わせて提供され得ると認識されるべきである。反対に、簡潔さのために、単一の実施形態のコンテクスト中に記載された本発明の種々の特色はまた、個別にまたはいずれかのサブコンビネーションで提供され得る。さらに、範囲で規定された値に対する言及は、その範囲内の各およびすべての値を含む。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】接触角を図示する図である。
【図2】有機電子素子の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ナノ粒子および、(a)フッ素化酸ポリマーと(b)フッ素化酸ポリマーでドープされた半導体ポリマーとの少なくとも一方を含み、4.7eVを超える仕事関数を有することを特徴とする透明コンダクタ。
【請求項2】
ナノ粒子が、炭素および金属ナノ粒子およびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1に記載の透明コンダクタ。
【請求項3】
ナノ粒子が、ナノチューブ、フラーレン、およびナノファイバー、およびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項2に記載の透明コンダクタ。
【請求項4】
各半導体ポリマーが、チオフェン、ピロール、アニリン、縮合多環式ヘテロ芳香族、および多環式ヘテロ芳香族から選択される1つまたは複数の、独立に置換または非置換のモノマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の透明コンダクタ。
【請求項5】
チオフェンが式Iおよび式Ia:
【化1】

(式中、
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または両方のR基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよい)
【化2】

(式中、
は、それぞれの場合に同一または異なると共に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、ただし、少なくとも1つのRは水素ではなく、および
mは2または3である)
から選択される式によって表される構造を有することを特徴とする請求項4に記載の透明コンダクタ。
【請求項6】
ピロールが式II:
【化3】

(式中、
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または両方のR基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよく;および
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルカノイル、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される)
によって表される構造を有することを特徴とする請求項4に記載の透明コンダクタ。
【請求項7】
アニリンが、式III、式IVa、および式IVb:
【化4】

(式中、
aは0または1〜4の整数であり;
bは1〜5の整数であり、ただし、a+b=5であり;および
は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または両方のR基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよい);
【化5】

(式中、a、bおよびRは上に定義されているとおりである)
から選択される式によって表される構造を有することを特徴とする請求項4に記載の透明コンダクタ。
【請求項8】
縮合多環式ヘテロ芳香族が、式V、および式Va〜Vg:
【化6】

(式中、
QはSまたはNRであり;
は水素またはアルキルであり;
、R、R10、およびR11は、独立に、それぞれの場合に同一または異なるよう選択されると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;および
およびR、RおよびR10、ならびにR10およびR11のうちの少なくとも1つは一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい5または6員芳香族環を完成させるアルケニレン鎖を形成する);
【化7】

(式中、
QはSまたはNHであり;および
Tは、それぞれの場合に同一または異なると共に、S、NR、O、SiR、Se、およびPRから選択され;
は水素またはアルキルである)
から選択される式によって表される構造を有することを特徴とする請求項4に記載の透明コンダクタ。
【請求項9】
多環式ヘテロ芳香族が式VI:
【化8】

(式中、
QはSまたはNRであり;
Tは、S、NR、O、SiR、Se、およびPRから選択され;
Eは、アルケニレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンから選択され;
は水素またはアルキルであり;
12は、それぞれの場合に同一または異なると共に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルチオ、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;または2つのR12基は一緒になって、任意選択的に1つまたは複数の二価の窒素、硫黄または酸素原子を含んでもよい3、4、5、6または7員芳香族または脂環式環を完成させるアルキレンまたはアルケニレン鎖を形成してもよい)
によって表される構造を有することを特徴とする請求項4に記載の透明コンダクタ。
【請求項10】
フッ素化酸ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、およびこれらのコポリマーから選択される主鎖を有することを特徴とする請求項1に記載の透明コンダクタ。
【請求項11】
フッ素化酸ポリマー主鎖がフッ素化されていることを特徴とする請求項10に記載の透明コンダクタ。
【請求項12】
フッ素化酸ポリマーが、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびエーテルスルホンイミドから選択されるフッ素化側基を有することを特徴とする請求項11に記載の透明コンダクタ。
【請求項13】
フッ素化酸ポリマーが、スチレンスルホン酸またはスルホン化エーテルスルホン、トリフルオロスチレンスルホネート、スルホンイミド、パーフルオロアルキルスルホネートエーテル、縮合多環式フッ素化酸、およびパーフルオロアルキルスルホン酸エーテルから選択される1つまたは複数の、独立に置換または非置換のモノマーを含むことを特徴とする請求項10に記載の透明コンダクタ。
【請求項14】
スチレンスルホン酸またはスルホン化エーテルスルホンが、式VII:
【化9】

(式中、
bは1〜5の整数であり、
13はOHまたはNHR14であり、および
14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである)
によって表される構造を有することを特徴とする請求項13に記載の透明コンダクタ。
【請求項15】
トリフルオロスチレンスルホネートが、式VIII:
【化10】

(式中、
Wは、(CF、O(CF、S(CF、(CFO(CF、およびSO(CFから選択され、
bは独立に1〜5の整数であり、
13はOHまたはNHR14であり、および
14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである)
によって表される構造を有することを特徴とする請求項13に記載の透明コンダクタ。
一実施形態において、S(CFに等しいWを含有するモノマーは重合され、次いで酸化されて、SO(CFに等しいWを含有するポリマーを与える。
【請求項16】
スルホンイミドが、式IX:
【化11】

(式中、
は、フッ素化アルキレン、フッ素化ヘテロアルキレン、フッ素化アリーレン、またはフッ素化ヘテロアリーレンから選択され;
は、フッ素化アルキレン、フッ素化ヘテロアルキレン、フッ素化アリーレン、フッ素化ヘテロアリーレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンから選択され;および
nは少なくとも4である)
によって表される構造を有することを特徴とする請求項13に記載の透明コンダクタ。
【請求項17】
パーフルオロアルキルスルホネートエーテルが、式XI:
【化12】

(式中、
16は、フッ素化アルキルまたはフッ素化アリール基であり;
a、b、c、d、およびeは、各々独立に0または1〜4の整数であり;および
nは少なくとも4である)
によって表される構造を有することを特徴とする請求項13に記載の透明コンダクタ。
【請求項18】
縮合多環式フッ素化酸が、式XIIおよび式XIIa〜XIId:
【化13】

(式中、dは0、1、または2であり;
17〜R20は、独立にH、ハロゲン、1〜10個の炭素原子のアルキルまたはアルコキシ、Y、C(R’)(R’)OR21、RYまたはORYであり;
Yは、COE、SO、またはスルホンイミドであり;
21は、水素または酸解離性保護基であり;
’は、それぞれの場合に同一または異なると共に、1〜10個の炭素原子のフルオロアルキル基であり、または合一して(CF(式中、eは2〜10である)であり;
はアルキレン基であり;
は、OH、ハロゲン、またはORであり;および
はアルキル基であり;
ただし、R17〜R20の少なくとも1つがY、RYまたはORYであり、
、R、およびR17〜R20は、任意選択的に、ハロゲンまたはエーテル酸素によって置換されていてもよい);
【化14】

(式中、R21は、第3級カチオン、より典型的には1〜20個の炭素原子のアルキル基、および最も典型的にはt−gブチルを形成する、またはそれらに転位することができる基である)
から選択される式によって表される構造を有することを特徴とする請求項13に記載の透明コンダクタ。
【請求項19】
パーフルオロアルキルスルホン酸エーテルが、式XV:
【化15】

(式中、j≧0、k≧0および4≦(j+k)≦199であり、QおよびQはFまたはHであり、Rは、Fまたは、1〜10個の炭素原子を有する、非置換であるか、または1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されているパーフルオロアルキル基であり、h=0または1であり、i=0〜3であり、g=0または1であり、およびEは、Hまたはアルカリ金属である)
によって表される構造を有することを特徴とする請求項13に記載の透明コンダクタ。
【請求項20】
フッ素化酸ポリマーが、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、およびホスホン酸基およびスルホンイミド、ならびにこれらの組み合わせから選択される官能基を含む高分子酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明コンダクタ。
【請求項21】
官能基が、高分子主鎖、側鎖、側基、またはこれらの組み合わせに存在することを特徴とする請求項20に記載の透明コンダクタ。
【請求項22】
側基が、シロキサンスルホン酸を含むことを特徴とする請求項21に記載の透明コンダクタ。
【請求項23】
側基が、式XIVおよび式XVによって表される構造から選択される基を含むことを特徴とする請求項21に記載の透明コンダクタ。
【請求項24】
フッ素化酸ポリマーがコロイド形成性高分子酸であることを特徴とする請求項20に記載の透明コンダクタ。
【請求項25】
フッ素化酸ポリマーがFSAポリマーを含むことを特徴とする請求項24に記載の透明コンダクタ。
【請求項26】
アルケニル、アルキニル、アリーレン、およびヘテロアリーレンから選択される1つまたは複数の、独立に置換または非置換のモノマーを含む第2のポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の透明コンダクタ。
【請求項27】
独立に置換または非置換のモノマーが、フルオレン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、ピリジン、ジアジン、およびトリアジンから選択されることを特徴とする請求項26に記載の透明コンダクタ。
【請求項28】
導電性ナノ粒子および、(a)フッ素化酸ポリマーと(b)非フッ素化高分子酸でドープされた半導体ポリマーとの少なくとも一方を含み、4.7eVを超える仕事関数を有することを特徴とする透明コンダクタ。
【請求項29】
ドープ導電性ポリマーが高分子スルホン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明コンダクタ。
【請求項30】
請求項1に記載の透明コンダクタを含むことを特徴とする電子素子。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−547185(P2008−547185A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519509(P2008−519509)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/025128
【国際公開番号】WO2007/002737
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】