説明

高光沢ゲルベースリップスティック

【課題】高光沢ゲルベースリップスティック、即ち、唇に高い光沢を付与するため、および/または唇上に滑り性および感触の向上されたレオロジー特性を有するフィルムを付与するためのエステル末端ポリ(エステル−アミド)(ETPEA)ゲル系組成物を提供すること。
【解決手段】エステル末端ポリ(エステル−アミド)(ETPEA)ポリマーゲル化剤、ETPEAゲル化剤のゾル−ゲル転移温度よりも高い融点を有する第1ワックス成分、ETPEAゲル化剤のゾル−ゲル転移温度以下の融点を有する第2ワックス成分、任意に、シリコーンT樹脂共ゲル化剤、およびETPEAゲル化剤とゲルを形成できる1以上の油を含むゲルベースのリップスティック組成物を提供する。ゲル組成物は室温で固体または半固体であり、自立性スティックを提供する。提供されたゲルは、唇に適用された場合に高光沢フィルムを提供する、および/または繰り返される剪断サイクルにわたって高粘度により特徴づけられるレオロジーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に唇用化粧品組成物に関する。更に詳細には、本発明は、唇に高い光沢を付与するため、および/または唇上に滑り性および感触の向上されたレオロジー特性を有するフィルムを付与するためのエステル末端ポリ(エステル−アミド)(ETPEA)ゲル系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリップスティック製品は典型的にはワックスベース中に分散された顔料および油を含む。ワックスベースは、組成物が消費者により望まれる自立性スティックの形態であり得るために必要な硬さおよび物理的安定性を提供する働きをする。しかし、これらの特性を得るために典型的に必要とされる高いワックスレベルの結果、従来のリップスティックにはいくつかの欠点がある。特に、これらでは高光沢の仕上がりが得られず、唇から衣類、ナプキン、コップなどに容易に移ってしまい、製品からの顔料および油の望ましくないにじみ(シネレシス)を示す。ワックス状リップスティックの欠点のいくつかを克服するための最近の方法は、移りにくく、より長持ちするさらに強固なフィルムを提供するために、従来のワックス状成分に加えて、または部分的に従来のワックス状成分の代替物としてポリマーフィルム形成物質を使用することに主に集中している。しかし、このような製品は今まで高い光沢を得ることができなかった。その理由は、第1に不透明ワックスは仕上がりをくすませるためである。さらに、従来のリップスティックのワックス構造は通常の着用中に遭遇する剪断下で分解し、新たに塗布した製品の脂肪様感触が急速になくなることが知られている。
【0003】
いわゆる「リップグロス」製品も公知であり、これは光沢のある仕上がりをもたらし、使用中に満足できる油状レオロジーを維持するが、耐久性はなく、望ましい仕上がりを維持するためには唇に頻繁につけ直さなければならない。リップグロス製品は典型的には透明または半透明な油ベースの処方であり、少量の着色剤を含み得る。高光沢リップグロスは通常高粘度液体であり、したがって自立性スティックの簡便な形態にすることができず、チューブ、ポットなどに詰められ、典型的には指またはアプリケーターで唇に塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,552,160号明細書
【特許文献2】米国特許第6,875,245号明細書
【特許文献3】米国特許第6,552,160号明細書
【特許文献4】米国特許第6,552,160号明細書
【特許文献5】米国特許第6,552,160号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0197479号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0197479号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0197479号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0180011号明細書
【特許文献10】米国特許第5,688,831号明細書
【特許文献11】米国特許第6,471,950号明細書
【特許文献12】米国特許第5,482,547号明細書
【特許文献13】米国特許第4,832,944号明細書
【特許文献14】米国特許第5,340,569号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2002/0006422号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリップ製品の前述した欠点の1以上を克服するリップ製品、特にリップスティックおよびリップグロスが当分野では引き続き必要とされている。リップスティックの利便性深い色と、リップグロスの高光沢および望ましいレオロジーとを組み合わせて、優れた光沢、滑り性、感触、ペイオフ、および/または耐摩耗性をもたらすリップ製品、特にスティック形態の有色リップ製品を得ることが望ましい。したがって、本発明の一つの目的は、高光沢をもたらすスティック形態のリップ製品を提供することである。本発明のさらに別の目的は、自立性スティックを形成するために十分な硬さを有する低ワックス含量のリップ製品を提供することである。本発明のさらに別の目的は、使用中に減少しない脂肪様感触を特徴とするレオロジーを有するスティック形態のリップ製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的および他の目的にしたがって、本発明は、高光沢フィルムを唇上に付与する、および/または改善されたレオロジーを提供する、ゲルベースの組成物を提供する。本発明のゲルベースの組成物は、室温でリップスティックに実態を提供するために従来必要とされる実質的な量のワックスの非存在下でも、室温で自立性固体または半固体を形成できる。従来の量のワックスは光沢を減少させることが知られているので、この性質により、組成物を、さらに高光沢の仕上がりに貢献する低ワックス含量リップスティックとして調製することが可能になる。また、ワックスベースのマトリックスではなくゲルベースのマトリクスを使用することにより、唇上に長時間持続する脂肪様感触を特徴とするレオロジーがもたらされる。
【0007】
組成物は、炭化水素および脂肪酸エステルなどの非極性および低極性油をゲル化させることができるエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマー(単独またはシリコーンT−樹脂共ゲル化剤との組み合わせで)のマトリックスを含むゲル化構造を示す。組成物は典型的には、エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgelより高い融点を有する少なくとも1つのワックスを含む第1ワックス成分、およびエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgelと匹敵するかまたはこれより低い融点を有する第2ワックス成分を含む。ゲル化マトリックスの高および低融点ワックスとの組み合わせは、従来は液体リップ製品でのみ得ることができた滑り性および感触により特徴づけられる望ましいレオロジー特性の一因となる。さらに、ゲルネットワークは本質的に透明であり、従って油性成分の光沢は損なわれない。
【0008】
本発明の一態様において、(a)約0.1〜約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、ゾル−ゲル転移温度Tgel(ここで、Tgelは体温より高い)以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマー(ETPEA);(b)約0.1〜約20重量%の、Tgelより高い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分;(c)約0.1〜約20重量%の、Tgelに匹敵するか、Tgelに等しいか、Tgelよりも低い融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分;(d)約0.1〜約25重量%の、25℃でフィルムとして測定して少なくとも1.43の屈折率を有するシリコーンT樹脂;ならびに(e)ETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgel以下でETPEAポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油を含む、唇に光沢を付与するための組成物を提供する。典型的には、1以上の低極性または非極性油は、脂肪酸エステル、炭化水素、およびシリコーン系油、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。組成物は典型的には85度で測定して、少なくとも約65、さらに典型的には少なくとも約70、好ましくは少なくとも約75、さらに好ましくは少なくとも約80の光沢を有する。本発明のいくつかの実施形態において、組成物は85度で測定して、約85以上、約90以上、または約95以上の光沢を有する。
【0009】
本発明の別の態様において、従来の処方において必要とされる多量のワックス、即ち約12重量%を超えるワックスを必要とせずに、唇に光沢を付与する組成物を自立性組成物として提供する。本発明のこの態様の化粧品組成物は:(a)約0.1から約40重量%のINCI名ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーを有し、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、ETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgel(ここで、ETPEAポリマーのTgelは約70℃から約85℃の間である)以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるETPEAポリマー;(b)約0.1から約12重量%のETPEAポリマーのTgelより高く、約110℃より低い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分;(c)約0.1から約12重量%のETPEAポリマーのTgelと匹敵するか、Tgelと等しいか、またはTgelより低い融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分;(d)約0.1から約25重量%の25℃でフィルムとして測定した場合に少なくとも1.43の屈折率を有するアルキルフェニルシルセスキオキサンT樹脂(ここで、少なくとも1つのアルキルフェニルシルセスキオキサン樹脂はシロキシ部分:
[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO1/2[RSiO2/2[SiO4/2
(式中、Rはメチルであり;RはC2−20アルキルまたはC5−20シクロアルキルであり;Rはフェニルであり、RはC1−20アルキル、C5−20シクロアルキル、C7−14アルアルキル、C7−14アルカリール、またはC6−10アリールであり;a、b、およびcはこれらのそれぞれのシロキシ基は合わせて全シロキシ部分の少なくとも90モルパーセントを構成するようなものであり、d、e、およびfは各部分が一緒になって全シロキシ部分の10モルパーセント未満を構成するようなものである)を含む);ならびに(e)ETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgel以下でETPEAポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油を含み、ここで1以上の低極性または非極性油は、脂肪酸エステル、炭化水素、およびシリコーン系油からなる群から選択される。好ましくは、第1および第2ワックス成分はあわせて前記組成物の約12重量%以下、即ちリップスティックの従来のワックス含量よりも低い。組成物はそれでも室温で自立し、従ってリップスティックなどとして調製できる。組成物は典型的には室温で少なくとも40gの硬度を有するが、好ましくは実質的にはさらに高い硬度、典型的には約200から約300gの間の硬度を有する。意外にも、このような比較的堅いスティックであっても唇に塗布すると許容される量の製品が唇に移行するような優れた「ペイオフ」を有する。
【0010】
本発明のさらに別の態様において、唇に光沢を付与する化粧品組成物であって:(a)約0.1〜約40重量%の、INCI名ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーを有し、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、約70から約85℃の間のETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgel以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるETPEAポリマーと;(b)約0.1〜約20重量%の、直鎖ポリエチレンワックス、微結晶石油ワックス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;(c)約0.1〜約20重量%の、オゾケライトワックスを含む第2ワックス成分と;(d)約0.1〜約25重量%の、25℃でフィルムとして測定して少なくとも1.50の屈折率を有するフェニルシルセスキオキサンT樹脂と;(e)ゾル−ゲル転移温度Tgel以下でビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油(ここで、1以上の低極性または非極性油は脂肪酸エステル、炭化水素、およびシリコーン系油からなる群から選択される)と;(f)0.1〜約10重量%の1以上のパール剤とを含む組成物を提供し、ここで前記組成物は、85°の角度で測定して、前記1以上のパール剤が存在しない以外は同じ組成物の光沢の約10%以内の、1以上のパール剤の0.1〜約10重量%の全範囲にわたる光沢を示す。
【0011】
脂肪様フィルムを唇に付与する方法であって、一般に本明細書に記載するゲルベースのリップスティック組成物のいずれかを唇に塗布することを含む方法も提供する。
【0012】
本発明の別の態様において、(a)約0.1〜約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、ゾル−ゲル転移温度Tgel(ここで、Tgelは体温より高い)以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーと;(b)約0.1〜約20重量%の、Tgelより高い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;(c)約0.1〜約20重量%の、Tgel以下の融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分と;(e)ゾル−ゲル転移温度Tgel以下でエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油とを含む、唇に脂肪様フィルムを付与するための組成物を提供し、ここで1以上の低極性または非極性油は、エステル、炭化水素、およびシリコーン系油からなる群から選択され;組成物は約1から約10sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±20%以内である第2剪断サイクル中に測定された粘度により特徴づけられ、第1および第2剪断サイクルは同じであり、約1から約1000sec−1まで増加する剪断速度を含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様において、唇に脂肪様フィルムを付与するための組成物であって:(a)約0.1から約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、約70℃から約85℃の間のゾル−ゲル転移温度Tgel以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーと;(b)約0.1から約20重量%の、Tgelより高い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;(c)約0.1から約20重量%の、Tgel以下の融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分と;(e)ゾル−ゲル転移温度Tgel以下でETPEAポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油とを含む組成物を提供し、ここで前記の1以上の低極性または非極性油はエステル、炭化水素、およびシリコーン系油からなる群から選択され;組成物は約1から約10sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定される粘度の±20%以内である第2剪断サイクル中に測定される粘度により特徴づけられ、第1および前記第2剪断サイクルは同じであり、約1から約1000sec−1まで増加する剪断速度を含み;組成物は:(i)第1および第2剪断サイクル中に測定した場合、約1から約5sec−1の間の剪断速度で約100Pa・secより高い粘度;および(ii)第1および第2剪断サイクル中で測定した場合、約10から約50sec−1の間の剪断速度で約10Pa・secより高い粘度;ならびに(iii)第1および第2剪断サイクル中で測定した場合に、約100sec−1の剪断速度で約1Pa・secより高い粘度により特徴づけられる。
【0014】
唇に脂肪様フィルムを付与する方法であって、一般に、本明細書に記載される向上したレオロジー特性を有する本発明の組成物を唇に適用することを含む方法も提供する。
【0015】
本発明のこれらおよび他の態様は、図面および添付の特許請求の範囲を含む以下の詳細な説明を参照することにより、さらによく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のリップスティック(A)の85度光沢と、液体リップグロス製品(B)、いくつかの商業的に入手可能なワックスベースのリップスティック(C−N)、および透明なトップコートを有する二成分リップ製品(O)の光沢とを比較する図である。
【図2】ETPEAポリマーゲル化剤の溶解度空間を示す図であり、図中、各記号「◇」は様々な溶媒のHansen溶解度パラメータ対(δ、δ)を表し、文字はポリマー含量15重量%でETPEAポリマーを用いた特定の溶媒の処方を表し、ここで「G」は堅く透明なゲルを示し;「G」は堅く濁ったゲルを示し;「M」は白濁固体を示し;「S」はポリマーが溶媒中に可溶性であったことを示し;「S」は白濁部分溶液が形成されたことを示し;「I」はポリマーが溶媒と非相溶性であったことを示す図である。
【図3】様々なパールおよびマイカ装填量で、ETPEAゲルベースのリップスティック(△)および従来のワックスベースのリップスティックの85度での鏡面反射を比較する図である。
【図4】第1剪断サイクル(◇)および第2剪断サイクル(□)全体にわたる剪断速度の関数としての従来のワックスベースのリップスティックの粘度を示す図である。
【図5】第1剪断サイクル(◇)および第2剪断サイクル(□)全体にわたる剪断速度の関数としてのETPEAゲルベースリップスティックの粘度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において用いられる場合、明確に別の規定がない限り、すべての用語は、これらの通常で慣習的な意味を有することが意図されている。
本発明は、ある共ゲル化剤(co−gellant)と組み合わせたエステル末端ポリ(エステル−アミド)(ETPEA)ポリマーおよびワックスを化粧品組成物、例えばリップスティックなどにおいて使用することにより、高光沢および優れたレオロジーを有する製品が得られるという発見に基づく。ETPEAポリマーに加えて、組成物は典型的には共ゲル化剤、理想的には高分子量シリコーンT樹脂、第1ワックス成分および第2ワックス成分を含む。第1ワックス成分は、ETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgelより高い融点を有する少なくとも1つのワックスを含み、第2ワックス成分はETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgelに匹敵するか、Tgelに等しいか、またはTgelより低い融点を有する少なくとも1つのワックスを含む。
【0018】
本明細書において用いられるように、「匹敵する」という用語は、第2ワックス成分の融点に関して用いられる場合、ワックスの融点範囲がこの融点範囲の上限でETPEAポリマーのTgelよりも若干高いが、いかなる場合も約6℃より高くなく、好ましくは約3℃程度であり、さらに好ましくは約1℃程度であることを意味する。重要なことは、組成物が高温での初期液体状態から冷却されるにつれて、第2ワックス成分が結晶化し始めるか、または他の方法でETPEAポリマーのゲル化の開始と同時に、または開始後に凝固して、第2ワックス成分がETPEAポリマーのゲルネットワーク内に好ましくは(必ずしもその必要はないが)ミクロ分散液として拘束されることである。第1ワックス成分はETPEAポリマーのTgelより高い温度で結晶化するか、または他の方法で凝固するので、組成物によりその凝固に対してこのような制約が課せられることはない。
【0019】
ETPEAポリマーおよび量ワックス成分は、ETPEAポリマーのTgelならびに第1および第2ワックス成分の両方の融点が室温(約23℃)および、好ましくは体温(約36〜38℃)よりも高くなるように選択され、従ってETPEAポリマーは使用中、即ち唇にフィルムを適用した場合、また周囲条件下で貯蔵中にゲル化したままであり、ワックスは固体のままである。
【0020】
一実施形態において、唇に光沢を付与するための化粧品組成物は:
(a)約0.1〜約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、ゾル−ゲル転移温度Tgel(ここで、Tgelは体温よりも高い)以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーと;
(b)約0.1〜約20重量%の、Tgelより高い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;
(c)約0.1〜約20重量%の、Tgel以下の融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分と;
(d)約0.1〜約25重量%のシリコーンT樹脂および25℃でフィルムとして測定すると少なくとも1.43の屈折率と;
(e)前記ゾル−ゲル転移温度Tgel以下で前記エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油(ここで、前記の1以上の低極性および非極性油は、エステル、炭化水素、およびシリコーン系油からなる群から選択される)と
を含み;
組成物は85度で測定した場合、少なくとも約65(好ましくは少なくとも70、75、80、または少なくとも約85)の光沢を有する。図1に示すように、本発明のリップスティック組成物(「A」により表示)は商業的に入手可能なワックスベースのリップスティック(C−Nと表記、本明細書の他の箇所でも同じ)、ならびに代表的な液体リップグロス(B)および透明トップコートを含む二成分リップスティック(O)よりも高い光沢を提供する。
【0021】
組成物の様々な成分を以下に記載する。
【0022】
ETPEAポリマー
ETPEAポリマーは本発明の組成物の必要な成分である。幅広い態様において、化粧品用途に適合する任意のETPEAポリマーは、このポリマーが室温、好ましくは体温でゲルとして存在することができるならば好適であると考えられる。この点に関して、ETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度は典型的には約40℃より高く、さらに典型的には約50℃より高く、好ましくは約60℃より高く、さらに好ましくは約70℃より高い。現在好ましい実施形態において、ETPEAポリマーは約70℃から約80℃の間のTgelを有し、例えば代表的な実施形態は、約70℃、約75℃、約80℃および約85℃のTgelを有する。厳密には同じではないが、例えば示差走査熱量分析(DSC)により測定されるETPEAポリマーの軟化点は、ポリマーゲルの水素結合ネットワークが壊れ始める温度であるので、ゾル−ゲル転移温度Tgelを概算するために有用である。いくつかの実施形態において、ETPEAポリマーは約70℃から約85℃の間、例えば約70℃、約75℃、約80℃、および約85℃の軟化点を有する。
好適なETPEAポリマーおよびその製造方法の非制限的例は、特許文献1および特許文献2(その開示は全体として参照により本発明に組み込まれる)に記載されている。
【0023】
一般に、ETPEAポリマーは、エステルおよび/またはアミド結合により互いに結合し、末端基へのエステル結合により終結する単位AおよびBを含むランダム、交互、またはブロックコポリマーであり、ここで:
(a)単位Aは構造:
【0024】
【化1】

【0025】
(式中、
Rは4〜70個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含む直鎖、分岐、または環状アルキル基であり、Rは任意に、Rを追加の単位AまたはBと結合させる1以上の基−(C=O)−O−を含んでもよく;Rは単位Aのそれぞれに対して独立して選択される;
は直鎖、分岐、または環状アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい2〜36個の炭素原子を有するラジカルであり、Rは単位Aのそれぞれに対して独立して選択される;
は各場合で独立して、水素、アリール、および1〜10個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を有してもよい直鎖、分岐、または環状アルキル基から独立して選択され;独立して各Rは、Rまたは他のRと一緒になってヘテロ環を形成してもよい)
を有し;
(b)単位Bは構造:
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、Rは前記定義の通りであり、Bのそれぞれについて独立して選択され、Rは2〜20個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい直鎖、分岐、または環状アルキル基であり、Rは任意にRを追加の単位AまたはBと結合させる−O−の形態の1から4の間の基を含んでもよく;Rは単位Bのそれぞれについて独立して選択される)
を有し;
(c)RO−の形態の末端基は、単位Aおよび/またはBの末端カルボニル基とエステル結合を形成する(ここで、Rは各末端基で独立して、10〜30個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい直鎖、分岐、または環状アルキル基である)。
【0028】
いくつかの実施形態において、Rはポリマー中の単位Aおよび/またはBのそれぞれについて同じであってよい。他の実施形態においては、Rは単位Aおよび/またはBの1以上の場合で異なっていてもよい。同様に、Rおよび/またはRは好ましくは単位Aおよび/またはBのそれぞれについて同じであるが、それぞれについて異なっていてもよい。「単位Aのそれぞれについて」という慣用句は、ポリマー中に含まれる複数の単位Aのうち、任意の所定の単位AがRおよびRの選択により1以上の他の単位Aと異なり得ることを意味する。同様に、「単位Bのそれぞれについて」という慣用句は、ポリマー中に含まれる複数の単位Bのうち、それぞれ個々の単位BがRおよびRの選択により1以上の他の単位Bと異なることを意味する。即ち、例えばRが基−CH−CH−であるならば、単位AのそれぞれはRについて同じ基−CH−CH−を含むか、またはRについて異なる基を含んでもよい。例えば、Rは単位Aのいくつかの場合で基−CH−CH−であってよく、単位Aの他の場合では例えば基−CH−(CH1−4−CH−であってよい。一実施形態において、R、R、およびRの1以上はポリマー中の単位Aおよび/またはBのすべての場合で同じである。
【0029】
本発明の好ましいETPEAポリマーにおいて、単位Aの1以上の場合で、各Rは水素であり、Rは−(CR’R”)−基(式中、nは2〜12の整数であり、R’およびR”はそれぞれについて独立して水素、メチル、エチル、プロピル、およびブチルからなる群から選択される。好ましい実施形態において、Rは単位Aの各場合で−(CH−である。他の実施形態において、Rは単位Aの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%で−(CH−である。
【0030】
好ましくは、Rは単位Bの1以上の場合で、−(CH−、−CH−CR’H−、および−CH−CR’R”−CH−からなる群から選択され、式中、nは2〜6の整数であり、R’およびR”は独立して水素または1〜12個の炭素原子を有し、任意にR’および/またはR”をAまたはBの追加の単位と結合させる−O−形態の1から4の間の基、および/または任意に−OH形態の1以上の基を含んでもよいアルキルもしくはアリール基である。好ましい実施形態において、Rは単位Bの1以上の場合で、−CH−C(CH−CH−の形態の基を包含する二価ネオペンチル基(ネオペンチレン)である。
【0031】
好ましい実施形態において、Rは少なくとも95%、好ましくは単位Aのそれぞれについて−(CH−であり、Rは少なくとも95%、好ましくは単位Bのそれぞれについて−CH−C(CH−CH−である。
【0032】
好ましくは、単位Aおよび/または単位Bの1以上の場合で、Rはそれぞれについて独立して構造:
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、a、b、c、およびdは独立して1から20の整数である)
を有する基である。当業者は水素化脂肪酸二量体のアルキル部分に対応するこの形態の基、例えばC18不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など)をクレイ触媒の存在下で加熱し、続いて水素化することにより形成される反応生成物がわかる。別の場合を説明すると、Rはそれぞれの場合に独立して5〜30個の炭素原子、好ましくはC18不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびトール油脂肪酸を有する不飽和脂肪酸の二量化反応によって形成されるダイマー酸のアルキル部分(即ち、−C(=O)−OH機能基を除く部分)に対応する二価のアルキル基から選択され得る。
【0035】
一実施形態において、ETPEAポリマーは、n当量の単位Aおよびm当量の単位Bを含むランダムポリマーであり、ここでnおよびmは約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有するポリマーが得られるように選択される。好ましくはnおよびmは、約5000から約6000の間の、さらに好ましくは約5500ダルトンの平均分子量を有するポリマーが得られるように選択される。
好適なETPEAポリマーは、例えば特許文献3(その開示は参照により本発明に組み込まれる)に記載されているように、二塩基酸、ジアミン、ポリオールおよびモノアルコール成分から調製することができる。簡単に説明すると、w当量のポリオール由来のヒドロキシルまたはその反応性等価物を、x当量の二酸由来のカルボン酸またはその反応性等価物、y当量のジアミン由来のアミン、およびz当量のモノアルコール由来のヒドロキシルまたはその反応性等価物(ここでw/(w+y+z)は約0.05から0.45の範囲内であり;y/(w+y+z)は約0.25から0.75の範囲内であり;z/(w+y+z)は0.20〜0.50の範囲内である)を20未満の酸価および20未満のアミン価を有する樹脂組成物が得られるような反応条件下で反応させることによりETPEAポリマーを調製することができ、ここでカルボン酸等価物の少なくとも約50%は重合脂肪酸由来であり、アミン等価物の少なくとも約50%はエチレンジアミン由来であり、モノアルコールは実質的に樹脂を形成するために使用される唯一の一官能性反応物質である。好ましくは、ジアミン、ポリオール、およびモノアルコールにより得られるヒドロキシルおよびアミン等価物の合計の10〜60当量パーセントはモノアルコールにより得られ;ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールにより得られるヒドロキシルおよびアミン等価物の合計の50当量パーセント程度はポリオールにより得られる。好ましくは、重合脂肪酸は少なくとも75当量パーセント、さらに好ましくは二塩基酸の酸等価物の少なくとも90当量パーセントを構成する。エチレンジアミンは好ましくはジアミン由来のアミン等価物の少なくとも約70当量パーセントを構成する。
【0036】
二塩基酸、ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールの選択は好ましくは特許文献4(その開示は参照により本発明に組み込まれる)に記載されている。簡単に説明すると、好ましい二塩基酸はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、トール油脂肪酸などから形成される重合脂肪酸である。重合脂肪酸を好ましくは使用前に水素化する。好ましくは、ジアミン反応物質はエチレンジアミンである。好ましいモノアルコール(即ち、一価アルコール)反応物質としては、式ROH(式中、Rは好ましくは少なくとも10個の炭素原子を有する炭化水素基、例えば、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール(セチルアルコール)、1−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、1−エイコサノール(アラキジルアルコール)および1−ドコサノール(ベヘニルアルコール)などが挙げられる。好ましいポリオールとしては、制限なく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリス(ヒドロキシメチル)メタノール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールなどが挙げられる。重合脂肪酸およびエチレンジアミンに加えて、他の二酸およびジアミンも存在し得る。好適な「共二酸(co−diacid)」および「共ジアミン(co−diamine)」としては、これらに限定されないが、特許文献5(参照により本発明に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。
【0037】
現在好ましい本発明のETPEAポリマーは、INCI命名法によると、ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマー(Arizona Chemical(Jacksonville,FL)からSYLVACLEAR(登録商標)C75Vの商標で商業的に入手可能)である。このポリマーは:ASTM E28−99(参照により本発明に組み込まれる)のRing&Ball法により測定すると75〜85℃の間の軟化点;ASTM D803、D65およびD1980(参照により本発明に組み込まれる)により測定すると26(最大)の酸価;ASTM D2073およびD2074(参照により本発明に組み込まれる)により測定すると1(最大)のアミン価;および約5500ダルトンの平均分子量により特徴づけられる。
【0038】
ETPEAポリマーは好適には組成物の約0.1〜約40重量%を構成し、典型的には組成物の約0.1〜約25重量%を構成する。いくつかの実施形態において、ETPEAポリマーは組成物の約0.5〜約15重量%または約0.5〜約12重量%を構成する。いくつかの実施形態において、ETPEAポリマーはPavlinの特許文献6(参照により本発明に組み込まれる)に開示されているリップスティック処方よりも少ない組成物を構成する。Pavlinの特許文献7に記載されているリップスティック処方は、典型的には15〜25重量%のETPEAポリマーを構成する(18重量%のETPAポリマーレベルの数例を含む)。従って、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は0.1重量%から約12、10、8、6、または約5重量%未満のETPEAポリマーを構成する。他の実施形態において、本発明の組成物は0.1〜約2.5重量%程度のETPEAポリマー、0.1〜約2重量%のETPEAポリマー、0.1〜約1.5重量%のETPEAポリマー、または0.1〜約1重量%のETPEAポリマーを含む。一つの興味深い変形例において、EPTEAポリマーは0.5〜1重量%、または0.5〜1重量%未満の組成物を含む。好適なリップスティックは、0.1〜1%、1〜2%、2〜3%、3〜4%、4〜5%、5〜6%、6〜7%、7〜8%、8〜9%、9〜10%、10〜11または11〜12重量%のETPEAポリマーを含む組成物から調製でき、各範囲は本発明の別の実施形態と見なされる。代表的な一実施形態において、組成物は約5から約6重量%のETPEAポリマーを含む。本発明の組成物は特許文献8よりも優れた光沢および/または硬度および/またはレオロジーを提供すると考えられる。
【0039】
ワックス
第1ワックス成分は任意のワックス、特にリップスティックおよび他の化粧品において典型的に使用されるものを含み得る。ただし、ワックスの融点はETPEAポリマーのTgelよりも高いものとする。同様に、第2ワックス成分は化粧品上許容されるワックスを含み得る。ただし、ワックスの融点はETPEAポリマーのTgelと匹敵するか、Tgelと等しいか、またはTgelより低いとする。
【0040】
ワックスは天然、ミネラルおよび/または合成ワックスであってもよい。天然ワックスは、制限なく蜜ろう、鯨ろう、ラノリン、およびシェラックワックスをはじめとする動物起源のもの、制限なくカルナウバ、カンデリラ、ベイベリー、およびサトウキビワックスをはじめとする植物起源のものである。
【0041】
有用であると考えられるミネラルワックスとしては、制限なく、オゾケライト、セレシン、モンタン、パラフィン、微結晶、石油、およびペトロラタムワックスが挙げられる。
【0042】
合成ワックスとしては、例えば、ポリエチレングリコール、例えばPEG−18、PEG−20、PEG−32、PEG−75、PEG−90、PEG−100、およびPEG−180(商標Carbowax(登録商標)(The Dow Chemical Company)で販売されている)が挙げられる。約950〜1050の分子量範囲を有し、約38℃の融点を有するCarbowax1000、約1305〜1595の分子量範囲を有し、約56℃の融点を有するCarbowax1450、3015〜3685の分子量範囲を有し、約56℃の融点を有するCarbowax3350、ならびに7000〜9000の分子量範囲を有し、約61℃の融点を有するCarbowax8000について言及する。
【0043】
合成ワックスは、Fischer Tropsh(FT)ワックスおよびポリオレフィンワックス、例えばエチレンホモポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、およびエチレン−ヘキセンコポリマーも包含する。代表的なエチレンホモポリマーワックスは、商標POLYWAX(登録商標)Polyethylene(Baker Hughes Incorporated)で商業的に入手可能であり、融点は80℃から132℃の範囲である。商業的に入手可能なエチレン−α−オレフィンコポリマーワックスとしては、商標PETROLITE(登録商標)Copolymer(Baker Hughes Incorporated)で販売されているもの(融点は95℃から115℃の範囲である)が挙げられる。
【0044】
表1は融点または融点範囲により並べたいくつかの好適なワックスを示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表1に記載される融点および範囲は各ワックスの典型的な値の単なる代表例であり、ワックスの供給源および純度に応じて融点範囲の融点において試料ごとに幅広い多様性が観察される。従って、例えばオゾケライトワックスは融点が72℃と測定されるかどうかに関わらず本発明の実施において有用であると見なされる。任意の所与のワックス試料の融点または融点範囲を決定することは当業者には可能である。融点は、例えば、ASTM D127(参照により本発明に組み込まれる)に準拠した融点降下(drop melting point)、および/またはASTM D36(参照により本発明に組み込まれる)に準拠した環球軟化点により決定できる。
【0047】
ETPEAポリマーが約70〜約85℃のゾル−ゲル転移温度Tgelを有する好ましい実施形態において、第1ワックス成分は、約70℃より高く約85℃までの融点を有し、直鎖ポリエチレン、微結晶石油ワックス、カルナウバワックス、リグナイトワックス、ウリクリワックス、米ぬかワックス、カスターワックス、モンタンワックス、ステアロン(18−ペンタトリアコンタノン)、アクラワックス(N,N’−エチレンビスステアルアミド)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のワックスを含む。好ましくは、第1ワックス成分は直鎖ポリエチレンおよび/または微結晶石油ワックスを含む。
【0048】
ETPEAポリマーが約70℃から約85℃のゾル−ゲル転移温度Tgelを有する実施形態において、第2ワックス成分は約70℃から約85℃に匹敵するか、またはこれに等しいか、またはこれよりも低い融点を有し、ベイベリーワックス、カスターワックス、日本ろう、オゾケライトワックス、蜜ろう、カンデリラワックス、ペトロラタム、セレシンワックス、ココアバター、イリッペ脂、エスパルトワックス、C18−C36脂肪酸のエチレングリコールジエステルまたはトリエステル、セチルパルミテート、パラフィンワックス、ハードタロー、ラノリン、ラノリンアルコール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、サトウキビワックス、ホホバワックス、ステアリルアルコール、シリコーンワックス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のワックスを含む。好ましくは、第2ワックス成分はオゾケライトワックスを含む。
【0049】
一実施形態において、組成物はカルナウバワックスを含まない。別の実施形態において、組成物はカンデリラワックスを含まない。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、組成物はオゾケライトワックスおよび少なくとも1つ、または少なくとも2つの他のワックスを含む。好ましくは、少なくとも1つの追加のワックスは、オゾケライトワックスよりも高い融点を有し、好ましくは少なくとも2つの追加のワックスはオゾケライトよりも高い融点を有する。別の実施形態において、組成物はオゾケライトワックスおよび少なくとも1つ、または少なくとも2つの他のワックスを含む。ただし、追加のワックスのうち少なくとも1つ、好ましくは追加のワックスのうち少なくとも2つは合成ワックスである。本発明のさらに別の実施形態において、組成物はオゾケライトワックスならびに、微結晶石油ワックスおよびポリオレフィンワックス(制限なく直鎖ポリエチレンワックスを含む)から選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの追加のワックスを含む。
【0051】
本発明の組成物例は、ETPEAゲル化剤ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーを含み、第1ワックス成分は微結晶石油ワックスおよび直鎖ポリエチレンワックスを含むか、または微結晶石油ワックスおよび直鎖ポリエチレンワックスから基本的に構成され、第2ワックス成分はオゾケライトワックスを含むか、またはオゾケライトから基本的に構成される。これに関連して、「基本的に構成される」という言い回しは、追加のワックスを含まない同じ組成物と比較して、その存在が光沢、硬度、および/またはレオロジーの1以上に悪影響を及ぼす任意の追加のワックス成分を排除することを意図する。
【0052】
第1および第2ワックス成分は処方の合計重量基準で、それぞれ約0.15〜約20重量%で処方中に存在する。好ましくは、各ワックス成分は全組成物の約0.5〜約15重量%を構成する。一実施形態において、第1および第2ワックス成分は包括的に約1〜約12重量%または約1重量%未満から約12重量%未満であり、どちらもリップスティックにおいて従来用いられるレベルよりも低いワックスレベルである。他の実施形態において、第1ワックス成分は全組成物の約1、5、または約10重量%から約12または約15重量%であり、第2ワックス成分は全組成物の約0.1、0.5、1または約5重量%から約5、10、または約12重量%である。第1ワックス成分はETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgelより高い融点を有する組成物中の全ワックスを含み、同様に第2ワックス成分はETPEAポリマーのTgelと匹敵するか、またはTgelに等しいか、またはTgelより低い融点を有する組成物中の全ワックスを含む。
【0053】
本発明の一実施形態において、組成物は約0.1〜約5重量%、典型的には0.5〜約3重量%、さらに典型的には約0.5〜約2.5重量%、好ましくは約1〜約2重量%のオゾケライトワックスおよび少なくとも1つ、または少なくとも2つの他のワックスを含み、その合計重量は典型的には約2.5〜約15重量%、さらに典型的には約3重量%から約12重量%、好ましくは約4重量%〜約10重量%、なお一層好ましくは約5重量%〜約8重量%の範囲である。一実施形態において、オゾケライトワックスは組成物の約1〜約2重量%を構成し、微結晶石油ワックスおよびポリオレフィンワックス(制限なく、直鎖ポリエチレンワックスを包含する)から選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの追加のワックスを含み、全組成物の約5〜約8重量%を構成する。
【0054】
典型的には、ETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度Tgelに匹敵するか、またはTgelと等しいか、またはTgelより低い融点を有するワックス成分(即ち、低融点ワックス成分)は、約20:1〜約1:20、さらに典型的には約10:1〜約1:10、通常は約5:1、4:1、3:1または2:1〜約1:2、1:3、1:4または1:5のETPEAポリマーに対する重量比で存在する。いくつかの実施形態において、低融点ワックス成分は、重量基準でETPEAポリマーの量に等しいかまたはこれを超え、従って低融点ワックス、好ましくはオゾケライトのETPEAポリマーに対する重量比は1:1を超えるか、好ましくは1.2:1を超えるか、または1.4:1を超えるか、または1.6:1を超えるか、または1.8:1を超えるか、または2:1を超える。
【0055】
典型的には、ETPEAポリマーのTgelよりも高い融点を有するワックス成分(即ち、高融点ワックス成分)は、約50:1〜約1:20、さらに典型的には約25:1〜約1:10、通常は約15:1、12:1、10:1または8:1〜約1:1のETPEAポリマーに対する重量比で存在する。いくつかの実施形態において、高融点ワックス成分は、重量基準でETPEAポリマーの量と等しいか、またはこれを超え、したがって高融点ワックス成分のETPEAポリマーに対する重量比は1:1を超え、好ましくは2:1を超えるか、または4:1を超えるか、または6:1を超えるか、または8:1を超えるか、または10:1を超える。
【0056】
いくつかの実施形態において、高融点ワックス成分の量は、組成物中の低融点ワックスの量を超え、従って高融点ワックス成分の低融点ワックス成分に対する重量比は、約1:1以上から約20:1、典型的には約1.5:1〜約15:1、さらに典型的には約2:1〜約3:1、4:1、5:1または10:1である。
【0057】
シリコーンT樹脂
本発明の実施に厳密には必要でないが、共ゲル化剤としてシロキシ単位の第三結合を有するシリコーン樹脂(即ち、T樹脂)を組み入れると、本発明の化粧品の光沢、滑り、および感触が著しく改善されることが意外にも判明した。したがって、好ましい実施形態は、シリコーンT樹脂を、典型的には全組成物の約0.1から約25重量%の間で含む。
【0058】
好適なシリコーンT樹脂は、樹脂の屈折率を増加させるために、アルキルおよび/またはアリールシロキシ基を含むが、好ましくはアリールシロキシ基、例えばフェニルシロキシ基を含む。かかる樹脂の例は、メチルフェニルシルセスキオキサンまたはポリフェニルシルセスキオキサンである。他の好適なシリコーンT樹脂としては、制限なく、特許文献9(その開示は参照により本発明に組み込まれる)に記載されているC2−20アルキルフェニルシルセスキオキサン樹脂が挙げられる。一般に、開示されたC2−20アルキルフェニルシルセスキオキサン樹脂は次のシロキシ部分:
[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO1/2[RSiO2/2[SiO4/2
(式中、Rはメチルであり;RはC2−20アルキルまたはC5−20シクロアルキルであり;Rはフェニルであり;RはC1−20アルキル、C5−20シクロアルキル、C7−14アルアルキル、C7−14アルカリール、またはC6−10アリールであり;a、b、およびcはそれぞれのシロキシ基が一緒になってシロキシ部分の合計の少なくとも90モルパーセントを構成するようなものであり、好ましくはbおよびcは合わせてシロキシ部分の合計の20〜100モルパーセントを構成し、d、e、およびfはそれぞれの部分が一緒になって1シロキシ部分のすべての10モルパーセント未満を構成し、好ましくはd、e、およびfはゼロである。
【0059】
一実施形態において、a、d、e、およびfはゼロであり、RはC3−8アルキル、好ましくはプロピルである。最も好ましいシリコーンT樹脂はプロピルフェニルシルセスキオキサン樹脂であり、シロキシ部分[CHCHCHSiO3/2および[CSiO3/2(式中、b:cのモル比は約10:1〜約1:10の間であり、好ましくは約1:1から約1:5の間であり、さらに好ましくは約1:3である)を含む。プロピルフェニルシルセスキオキサン樹脂は典型的には約40℃から約50℃の間、好ましくは45℃より高い軟化点を有し、25℃でフィルムとして測定した場合、約1.4より高く、好ましくは約1.5より高く、さらに好ましくは約1.57以上の屈折率を有する。
【0060】
現在好ましい樹脂はWacker Chemical(Adrian,Mich.)から商業的に入手可能なプロピルフェニルシルセスキオキサン樹脂Wacker Belsil(登録商標)SPR45VPである。このポリマーは82℃で液体として測定した場合に1.55の屈折率を有し、25℃でフィルムとして測定した場合に1.57の屈折率を有する。シリコーンT樹脂は典型的には無溶媒形態で提供されるが、脂肪酸エステル油、シリコーン油、および/または炭化水素と相溶性(即ちこれらを部分的に可溶化する)であり、最終処方中のこれらの成分のシネレシスを制限するものでなければならない。
【0061】
いくつかの実施形態において、シリコーンT樹脂は全組成物の約0.5%、1%、2%、3%、4%、または5%〜約6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%、または20%を構成し、さらに典型的には組成物の約4〜10%を構成し、一つの有用な実施形態において、組成物の約5〜7%を構成する。
【0062】
非極性および低極性油
本発明の化粧品組成物は、ETPEAポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性および/または非極性油を含む。好ましい実施形態において、好適な油は、エステル、特に脂肪酸エステル;シリコーン油;および炭化水素からなる群から選択される。
【0063】
エステル油としては、脂肪酸エステルをはじめとする任意の非極性または低極性エステルが挙げられる。化粧品処方において皮膚軟化剤として通常使用されるエステルについて特に言及する。このようなエステルは、典型的にはR(COOH)1−2形の酸のR(OH)1−3形のアルコールでのエーテル化生成物であり、ここでRおよびRはそれぞれ独立して、直鎖、分岐、または環状炭化水素基であって、任意に不飽和結合を含んでもよく、1〜30個の炭素原子、好ましくは2〜30個の炭素原子、さらに好ましくは3〜30個の炭素原子を有し、ヒドロキシル、オキサ、オキソなどをはじめとする1以上の官能基で任意に置換されていてもよいものである。好ましくはRおよびRの少なくとも1つは少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも15、16、17、または18個の炭素原子を含むので、エステルは少なくとも1つの脂肪酸を含む。前記定義のエステルは制限なく一酸のモノアルコールとのエステル、一酸のジオールおよびトリオールとのエステル、二酸のモノアルコールとのエステル、および三酸のモノアルコールとのエステルを包含する。
【0064】
好適な脂肪酸エステルとしては、制限なく、ブチルアセテート、ブチルイソステアレート、ブチルオレエート、ブチルオクチルオレエート、セチルパルミテート、セチルオクタノエート、セチルラウレート、セチルラクテート、セチルイソノナノエート、セチルステアレート、ジイソステアリルフマレート、ジイソステアリルマレート、ネオペンチルグリコールジオクタノエート、ジブチルセバセート、ジC12−13アルキルマレート、ジセテアリル二量体ジリノレエート、ジセチルアジペート、ジイソセチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソプロピルジメレート、トリイソステアリルトリリノレエート、オクタデシルステアロイルステアレート、ヘキシルラウレート、ヘキサデシルイソステアレート、ヘキシデシルラウレート、ヘキシルデシルオクタノエート、ヘキシルデシルオレエート、ヘキシルデシルパルミテート、ヘキシルデシルステアレート、イソノニルイソノナノエート、イソステアリルイソノネート、イソヘキシルネオペンタノエート、イソヘキサデシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、n−プロピルミリステート、イソプロピルミリステート、n−プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート、ヘキサコサニルパルミテート、ラウリルラクテート、オクタコサニルパルミテート、プロピレングリコールモノラウレート、トリアコンタニルパルミテート、ドトリアコンタニルパルミテート、テトラトリアコンタニルパルミテート、ヘキサコサニルステアレート、オクタコサニルステアレート、トリアコンタニルステアレート、ドトリアコンタニルステアレート、ステアリルラクテート、ステアリルオクタノエート、ステアリルヘプタノエート、ステアリルステアレート、テトラトリアコンタニルステアレート、トリアラキジン、トリブチルシトレート、トリイソステアリルシトレート、トリ−C12−13−アルキルシトレート、トリカプリリン、トリカプリリルシトレート、トリデシルベヘネート、トリオクチルドデシルシトレート、トリデシルココエート、トリデシルイソノナノエート、グリセリルモノリシノレエート、2−オクチルデシルパルミテート、2−オクチルドデシルミリステートまたはラクテート、ジ(2−エチルヘキシル)スクシネート、トコフェリルアセテートなどが挙げられる。
【0065】
他の好適なエステルとしては、RがH−(O−CHR−CHR−(式中、Rは、水素または直鎖アルキル、例えばメチルおよびエチルから独立して選択される)をポリグリコールを含むもの、例えばポリエチレングリコールモノラウレートが挙げられる。
【0066】
サリチレートおよびベンゾエートも本発明の実施において有用なエステルと考えられる。好適なサリチレートおよびベンゾエートとしては、サリチル酸または安息香酸のROH形(式中、Rは直鎖、分岐、または環状炭化水素基であり、任意に不飽和結合を含み、1〜30個の炭素原子、好ましくは6〜22個の炭素原子、さらに好ましくは12〜15個の炭素原子を有するもの)とのエステルが挙げられる。好適なサリチレートとしては、例えば、オクチルサリチレートおよびヘキシルドデシルサリチレートが挙げられ、ベンゾエートエステルとしては、C12−15アルキルベンゾエート、イソステアリルベンゾエート、ヘキシルデシルベンゾエート、ベンジルベンゾエートなどが挙げられる。
【0067】
他の好適なエステルとしては、数例を挙げると、制限なくポリグリセリルイソステアレート/IPDIコポリマー、トリイソステアロイルポリグリセリル−3二量体ジリノレエート、脂肪酸のポリグリセロールエステル、およびラノリンが挙げられる。
【0068】
油は揮発性または不揮発性シリコーン油であってもよい。好適なシリコーン油としては、直鎖または環状シリコーン、例えば、ポリアルキルまたはポリアリールシロキサンであって、任意に1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を含んでもよいものが挙げられる。代表的なシリコーン油としては、例えば、カプリリルメチコン、シクロメチコン、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ジフェニルジメチコン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、メチコン、メチル−フェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、パーフルオロノニルジメチコン、ポリジメチルシロキサン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
シリコーン油は25℃で測定して典型的には約5から約3000センチストーク(cSt)、好ましくは50から1000cStの間の粘度を有するが、必ずしもその必要はない。
【0070】
一実施形態において、好ましいシリコーン油メチルフェニルポリシロキサン、INCI名ジフェニルジメチコン(Shin Etsu Chemical CoからF−5W、KF−54およびKF−56をはじめとする様々な商標で市販されている)の場合のように、シリコーン油はフェニル基を含む。ジフェニルジメチコンは良好な有機相溶性を有し、製品にフィルム形成特性を付与する。さらに、フェニル基の存在はシリコーン油の屈折率を増大させ、さらに製品の高光沢に寄与する。一実施形態において、シリコーン油は25℃で測定して、少なくとも1.3、好ましくは少なくとも1.4、さらに好ましくは少なくとも1.45、なお一層好ましくは少なくとも1.5の屈折率を有する。別の好適なフェニル官能化シリコーン油はINCI名フェニルトリメチコンを有し、Dow Corningにより「DC556」の商品名で販売されている。DC556は約1.46の屈折率を有する。
【0071】
本発明の一実施形態において、シリコーン油はフッ素化シリコーン、好ましくは過フッ素化シリコーン(即ちフルオロシリコーン)である。フルオロシリコーンは有利には疎水性かつ疎油性であり、したがって有利には製品の望ましい滑り性および感触に寄与する。フルオロシリコーンはまたリップ製品に耐久性を付与する。フルオロシリコーンはベヘニルベヘネートでゲル化することができ、さらにETPEAゲル中に組み入れることができるか、またはジメチコン中に組み入れることができ、これをさらにETPEAゲルネットワーク中に組み入れることができる。好ましいフルオロシリコーンはINCI名パーフルオロノニルジメチコンを有するフッ素化有機官能性シリコーン液である。パーフルオロノニルジメチコンはPheonix ChemicalからPecosil(登録商標)の商品名で商業的に入手可能である。
【0072】
組成物は、炭化水素油も含むことができる。炭化水素油の例は、5〜80個の炭素原子、好ましくは8〜40個の炭素原子、さらに好ましくは10〜16個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖パラフィン系炭化水素、例えばこれらに限定されないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカンなどである。好ましい炭化水素油は、C8−9イソパラフィン、C9−11イソパラフィン、C12イソパラフィン、およびC20−40イソパラフィンなどをはじめとする高度に分岐した脂肪族炭化水素である。INCI名イソヘキサデカン、イソエイコサン、およびイソドデカンを有するイソパラフィンについて特に言及する。
【0073】
ポリアルファオレフィンで、典型的には20個より多い炭素原子を有するもの、例えば、C24−28オレフィン、C30−45オレフィン、水素化ポリイソブテン、水素化ポリデセン、ポリブテン、鉱油、ペンタヒドロスクアレン、スクアレン、スクアランなども炭化水素油として好適である。炭化水素油は、高級脂肪族アルコール、例えばオレイルアルコール、オクチルドデカノールなども含み得る。
【0074】
他の好適な油としては、制限なく、ヒマシ油、C10−18トリグリセリド、カプリル/カプリン/トリグリセリド、ココナッツ油、コーン油、綿実油、アマニ油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、イリッペ脂、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、クルミ油、アボカド油、椿油、マカダミアナッツ油、カメ油、ミンク油、大豆油、ブドウ種子油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、ホホバ油、ピーナッツ油、オリーブ油、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
前記エステル油、シリコーン油、および炭化水素油のいずれかは本発明の実施において有用であることが想定される。したがって、一実施形態において、組成物は、前記のエステル油、シリコーン油、および炭化水素油から選択される少なくとも1つの油を含む。別の実施形態において、組成物は、エステル油、シリコーン油、および前記炭化水素油から選択される2以上の油を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、少なくとも1つのエステル、少なくとも1つのシリコーン油、および少なくとも1つの炭化水素油を含む。本明細書において記載されるエステル油は皮膚軟化剤として機能するので、組成物が少なくとも1つのエステル油を含み、炭化水素油、シリコーン油、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の油を任意に含むことが好ましい。
【0076】
油は好ましくはETPEAポリマーと相溶性であるので、ETPEAポリマーのゾル−ゲル転移温度より低い温度で、油はゲルマトリックス中に組み入れられる。ETPEAポリマーは、さまざまな極性を有する油をゲル化させることができるが、好ましいETPEAポリマーは、典型的には低極性および非極性油とのみ最適にゲル化が可能であるが、必ずしもその必要はない。つまり、堅固なゲル構造、例えばリップスティックとして処方することができる自立性固体および半固体に必要とされるものは、低極性および非極性油を用いて最適に達成される。実質的な量の高極性油および溶媒の存在はゲルを弱める傾向があり、したがって特にゲルが自立性スティック、例えばリップスティックとして処方される場合には、あまり好ましくない。もちろん、極性成分を含めることは本発明の範囲に含まれるが、多量のかかる成分はすべての用途について望ましくない可能性がある。
【0077】
任意の所与の分子が任意の他の分子と相互作用する能力は、式:
δ=(δ+δ+δ1/2
(式中、δはファンデアワールス相互作用に関連する分散または「非極性」パラメータであり、δは分子が双極子間相互作用を形成する能力に関連する極性パラメータであり、δは分子が水素結合を形成する能力に関連するパラメータである)
のHansen溶解度パラメータにより表すことができる。典型的には、δは異なる種間であまり異ならず、したがって有用な近似として無視できる。残りのパラメータであるδおよびδは任意の所与の分子についての周知のHildebrandパラメータに基づいて計算でき、Hansen、C.M.,“Hansen Solubility Prameter,A User’s Handbook”,CRC Press,1999(その開示は参照により本発明に組み込まれる)に記載されている二次元「溶解度空間」にプロットできる。
【0078】
図2を参照して、様々な溶媒についてのHansen溶解度パラメータの溶媒空間を示す。各記号「◇」は各溶媒のパラメータ対(δ、δ)を表す。溶媒は、弱い水素結合相互作用しかできない比較的非極性な溶媒、例えばトルエン(δ=0.7、δ=1.0)から強力な水素結合相互作用が可能な極性の高い溶媒、例えばジエチレングリコール(δ=7.2、δ=10)まで様々である。顕著な水素結合が可能な比較的非極性の溶媒、例えば2−エチル−1−ヘキサノール(δ=1.6、δ=5.8)、および弱い水素結合ポテンシャルを有する極性の高い溶媒、例えば炭酸プロピレン(δ=8.8、δ=2.0)も含まれる。
【0079】
図2に示される溶媒と(δ、δ)値の全リストは次のとおりである:トルエン(0.7、1.0);キシレン(混合異性体)(0.9、1.2);2−エチル−1−ヘキサノール(1.6、5.8);メチルt−ブチルエーテル(1.7、2.5);n−ブチルアセテート(1.8、3.1);イソプロピルパルミテート(1.9、1.8);DPMA(ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)(1.9、4.0);シクロヘキサノール(2.0、6.6);トリプロピレングリコール(2.3、7.6);ジメチルアジペート(DBE)(2.4、4.9);DPM(ジプロピレングリコールメチルエーテル)(2.6、7.7);n−ブチルアルコール(2.8、7.7);2−エチルヘキシルアセテート(2.9、5.9);イソプロピルアルコール(3.0、8.0);メチルイソブチルケトン(3.0、2.0);シクロヘキサノン(3.1、2.5);p−キシレン(3.4、1.0);エチルラクテート(3.7、6.1);o−キシレン(3.7、0.0);ジアセトンアルコール(4.0、5.3);イソホロン(4.0、3.6);ヘキシレングリコール(2−メチル−2,2−ペンタンジオール)(4.1、8.7);ヘキサノール(2−メチル−1−ペンタノール)(4.2、6.2);エチルアルコール(4.3、9.5);メチルエチルケトン(4.4、2.5);EEP(エチル−3−エトキシプロピオネート)(4.5、4.6);PG(プロピレングリコール)(4.6、11.4);ジプロピレングリコール(DPG)(4.9、9.0);エチレングリコールフェニルエーテル(EPH)(5.1、7.8);EG(エチレングリコール(5.4、12.7);N,N−ジメチルアセトアミド(5.6、5.0);N−メチル−2−ピロリドン(6.0、3.6);トリエチレングリコール(6.1、9.1);ジエチレングリコール(DEG)(7.2、10.0);DMSO(8.0、5.0);ガンマ−ブチロラクトン(8.1、3.6);およびプロピレンカーボネート(8.8、2.0)。前記溶媒は本発明の好ましいETPEAポリマーについて最適の溶解度空間を適切に包含するが、他の有用なEPTPEAポリマーは異なる極性を有する溶媒(即ち、極性分子および極性の高い分子)とのゲル化特性を有し得る。当業者は、様々な溶媒についての文献で容易に入手可能であるか、またはHildebrandパラメータに基づいて任意の所与の分子について容易に計算できる(δ、δ)値を用いて本明細書に記載されるものと異なる様々な極性にわたる溶解度空間を得ることができる。
【0080】
前記の様々な溶媒についてのデータポイント(δ、δ)とともに、図2はETPEAポリマーSYLVACLEAR(登録商標)C75Vを15%固形分で代表的な数の溶媒と組み合わせた実験結果も示す。文字「G」は堅固な透明ゲルを提供する試験溶媒を示し、記号「G」は堅固なゲルが形成されたが、このゲルは不透明であったことを示す。文字「M」は白濁固体が形成されたことを示す。文字「S」はポリマーが15重量%で溶媒中に可溶性であったことを示し、記号「S」は白濁部分溶液が形成されたことを示す。文字「I」はポリマーが溶媒と非相溶性であったことを示す。ETPEAポリマーのゲル化特性をHansen溶解度溶媒空間とこのように重ねることにより、最適ゲル化に必要なδおよびδ値の範囲を可視化し、「似たものは同じように溶解する」という溶解度/相溶性の基本原理にしたがって他の溶媒にも広げることができる。例えば、約5より高いδを有する溶媒、油などは特定のETPEAポリマーSYLVACLEAR(登録商標)C75Vと非相溶性である傾向にあり、その理由は、N−メチル−2−ピロリドン(δ=6.0)およびエチレングリコールフェニルエーテル(EPH)(δ=5.1)はそれぞれポリマーと非相溶性であるのに対して、δ=0〜4.0およびδ=0〜4.0の範囲のすべての溶媒は15%の固形分でゲルを形成したからである。
【0081】
したがって、本発明の一実施形態において、少なくとも1つのエステル油、炭化水素油、および/またはシリコーン油(または任意の追加の溶媒)は好ましくは約6未満、即ち0〜約6のδ値を有する。他の実施形態において、エステル油、炭化水素油、および/またはシリコーン油は約5以下、または約4.5以下、または約4以下、または約3.5以下のδ値を有する。他の実施形態において、エステル油、炭化水素油、および/またはシリコーン油のδ値は、約3、2.5、または約1以下である。エステル油に関して、δは典型的には0から約4の間(即ち約4未満)、さらに典型的には約0.5から約3の間であり、いくつかの実施形態においては約1から約2の間である。
【0082】
少なくとも1つのエステル油、炭化水素油、および/またはシリコーン油(または任意の追加の溶媒)の水素結合パラメータδは典型的には約10未満、即ち0から約10の間である。他の実施形態において、δは0から約9の間、0から約8の間、0から約7の間、0から約6の間である。エステル油に関して、δは典型的には0から約5の間、さらに典型的には約0.5から約4の間であり、いくつかの実施形態においては、δは約1から約2または3の間である。
【0083】
他の実施形態において、エステル油、炭化水素油および/またはシリコーン油(または任意の追加の溶媒)は典型的には0から約6の間のδ値および0から約10の間のδ値を有する。さらに典型的には、エステル油、炭化水素油、および/またはシリコーン油は0から約5の間のδ値および0から約8または約9の間のδ値を有する。さらに好ましいエステル油、炭化水素油、および/またはシリコーン油は0から約3、3.5、4または約4.5の間のδ値および0から約4、5、6または約7の間のδ値を有する。
【0084】
しかし、本発明は、油がポリマーと相溶性であり、シネレシスが制限されるならば、任意の特定の溶解度パラメータを有する油の使用に限定されないと理解すべきである。したがって、例えば高極性油または溶媒は、多量であってもETPEAポリマーとゲルを形成できないが、少量で存在し得る。好ましくは、ETPEAポリマーと非相溶性である油および溶媒は、組成物の約10重量%未満、好ましくは組成物の約5重量%未満、さらに好ましくは組成物の約2.5重量%未満で存在する。したがって、一実施形態において、本発明の組成物は極性溶媒、例えば、約6より高いか、約7より高いか、または約8より高いδ値を有するものを実質的に含まず、このことにより、組成物は約1重量%未満のかかる溶媒を有することを意味する。さらに、図2に示すように、ある溶媒はポリマーを15重量%で可溶化し、記号「S」または「S」で示される。これは、かかる溶媒が本発明の実施に有用でないことを意味するのではなく、好適なゲルネットワークを形成するためには処方においてより多くのETPEAポリマーが必要であること意味する。好ましい組成物は典型的には15%以下のETPEAポリマーを含むが、他の実施形態は、例えば最高約20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、またはさらには約40重量%のETPEAポリマーを有し、したがってかかる溶媒と好適なゲルを提供できる。したがって、本明細書におけるδおよびδ値は約0.1から約15重量%のETPEAポリマーを含む好ましい組成物に特に適切である。
【0085】
油成分は典型的には、個々にまたは合わせて、組成物の約0.1重量%から約90重量%を構成する。さらに典型的には、全油成分(エステル油、炭化水素油、およびシリコーン油)の合計重量は組成物の合計重量の約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、または約30重量%から約65重量%、約70重量%、約75重量%または約80重量%を構成する。一実施形態例において、油はあわせて全組成物の約30重量%から約70重量%、好ましくは約40重量%から約60重量%であり、特にETPEAポリマーは全組成物の約0.5から約12重量%である。エステル油の合計含量が約30〜60重量%、または約40〜50重量%の場合に優れた結果が得られる。
【0086】
本発明の組成物は任意に1以上の着色剤、例えば顔料、染料、レーキなどを含んでもよい。本明細書において用いる場合、「顔料」という用語は、白色顔料、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、マイカ、パールなどを包含することが意図される。存在する場合、全着色剤の合計重量は組成物の約0.1重量%から約30重量%まで、典型的には約1重量%から約20重量%まで、好ましくは約2.5から約15重量%まで、好ましい実施形態においては約5から約10重量%までである。意外にも、多量の顔料、特にマイカおよびパールは本発明のリップ製品の光沢を著しく減少させないことが判明した。本発明のいくつかの実施形態において、リップ製品の85度光沢は、約0.1〜15重量%、1〜10重量%、2〜10重量%、4〜10重量%、6〜10重量%、または8〜10重量%のパールおよび/またはマイカ成分の存在下で、パールおよび/またはマイカ成分を含まない以外は同一の組成物の85度光沢値の20重量%以内、好ましくは15重量%以内、さらに好ましくは10重量%以内、なお一層好ましくは5%以内である。85度光沢値は、いくつかの実施形態において、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、または少なくとも60である。さらに典型的には、例えばパールおよび/マイカ成分の存在下でさえも(例えばパールおよび/またはマイカ成分の少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも4重量%、少なくとも6重量%、少なくとも8重量%、またはさらには少なくとも10重量%を含む)、85度光沢値は、少なくとも65、好ましくは少なくとも70である。好ましいリップスティックは、0〜15重量%のパールおよびマイカ装填量範囲にわたって75以上、好ましくは80以上の85度光沢値を示す。
【0087】
組成物は1以上の粒状物、例えばこれらに限定されないが、マイカ、タルク、オキシ塩化ビスマス、ベントナイト、ナイロン、シリカ、アクリレートコポリマー、テフロン、球状シリカなども含み得る。任意の粒子状物質を用いて同様の結果が得られると考えられる。つまり、本発明の組成物の光沢度は0〜10重量%の範囲の粒状物レベルにより実質的に減少しない。これに関連して、「実質的に減少しない」とは、光沢度の減衰が粒子状物質の非存在下である以外は同じ組成物の85度光沢値の約20%未満、好ましくは15%未満、さらに好ましくは10%未満、なお一層好ましくは5%未満であり、好ましくは少なくとも75以上、好ましくは80以上であることを意味することが意図される。
【0088】
本発明の一つの好ましい態様において、組成物は唇に塗布した場合に高光沢をもたらすことができる。「高光沢」という用語は約70より高い85度光沢値、典型的には約75より高く、好ましくは約80より高い85度光沢値を意味する。驚くべきことに、本発明の組成物を用いて調製されたリップスティック製品は従来のワックスを含まないオイルベースのリップグロス製品と匹敵するか、またはさらにはより高い光沢を示し得ることが判明した。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の組成物を含むリップスティック製品の85度光沢値は、約82、84、86、88、またはさらには90より高い。95の85度光沢値は本発明のリップ製品により達成し得ることが想定される。
【0089】
組成物が自立性スティックとして調製される実施形態において、この組成物は40g(グラム)より高い硬度を有する。典型的には、組成物は約50gより高い硬度、さらに典型的には約60gより高い硬度を有する。好ましくは、組成物は約70g、80g、90gまたは100gより高い硬度を有する。いくつかの実施形態において、組成物の硬度は、少なくとも120g、140g、160g、180g、または200gである。他の実施形態において、組成物は少なくとも250g、300g、350g、または400gの硬度を有する。しかし、広義の態様において、本発明は任意の特定の硬度を有する組成物に厳密に限定されない。組成物は、弱ゲル(weak gel)などとして提供される場合でも有用であることが想定される。意外にも、比較的硬いスティック、例えば約200gから約300gの間の硬度を有するスティックでさえも優れた「ペイオフ」を示すので、唇に塗布した場合に許容できる量の製品が唇に移行する。ペイオフの評価は当分野において周知であり、例えば1から10までのスケールでの専門家によるパネル試験などにより定量化できる。
【0090】
一つの態様において、本発明の組成物は従来のワックスベースのリップスティックで得られない独自のレオロジーを提供する。レオロジーは、リップスティックが長期の使用にわたって唇上に新しく塗布した感触を保持するという感覚により特徴づけられ、このことはリップスティックの感触が長時間にわたって脂肪様のままであることを意味する。従来のワックスベースのリップスティックは、塗布すると最初は油状に感じられるが、特に着用者が唇をこすり合わせるなどした後は急速に乾燥することが知られている。この効果は、唇をこすり合わせることなどに由来する剪断によりワックス構造が崩壊するために起こると考えられる。この効果はワックスマトリックスの剪断誘発性崩壊として説明できる。
【0091】
従来のリップスティックと対照的に、本発明の組成物はゲル構造の剪断誘発性崩壊を示さないか、またはワックスベースのリップスティックと比べてゲル構造の剪断誘発性崩壊が減少している。この結果、本発明のリップスティックは唇上に長期間油状の感触を保持する。この効果は繰り返される剪断サイクルにわたって組成物の粘度に関して定量化することができる。典型的には、本発明の組成物は所与の剪断速度での粘度により特徴づけられるレオロジーを有し、これは繰り返される剪断サイクルにわたって、特に、典型的には使用中に遭遇する約1から約10sec−1の間の剪断速度に関して、実質的に一定のままである。つまり、ゲルネットワークは弾性のままであり、剪断はネットワークの分解を誘発しない。対照的に、従来のリップスティックのワックスベースは剪断誘発性分解を受けるので、ワックスの粘度は繰り返される剪断サイクルとともに減少する。「比較的一定」とは、粘度/剪断速度特性における若干の変動が複数の剪断サイクルにわたって許容でき、第2の剪断サイクルが約1から約10sec−1の間の各剪断速度で第1剪断サイクルにおいて測定した粘度の±3SD(標準偏差)以内の粘度をもたらすことを意味する。好ましくは、第2剪断サイクルにおいて測定される粘度は、約1から約10sec−1の間の各剪断速度で第1剪断サイクルにおいて測定した粘度の±2SD以内、さらに好ましくは±1SDである。
【0092】
いくつかの実施形態において、第2および第3剪断サイクル中の粘度は、約1から約10sec−1の間の各剪断速度で第1剪断サイクルにおいて測定された粘度の±3SD、±2SD、または±1SD以内である。
【0093】
いくつかの実施形態において、第2剪断サイクル中、および好ましくは第3剪断サイクル中の本発明の組成物の粘度は、約1から約5sec−1の間の剪断速度で約100Pa・secよりも高い、および/または第2剪断サイクル中、および好ましくは第3剪断サイクル中の粘度は、約10から約50sec−1の間の剪断速度で約10Pa・secより高い、および/または第2剪断サイクル中、および好ましくは第3剪断サイクル中の本発明の組成物の粘度は約100から約500sec−1の間の剪断速度で約1Pa・secより高い。ここで前記第2剪断サイクルは第1剪断サイクルの後に続き、約1〜約1000sec−1の剪断速度を網羅する。
【0094】
一実施形態において、唇に脂肪様フィルムを付与するための組成物は:
(a)約0.1〜約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、ゾル−ゲル転移温度Tgel(ここで、Tgelは体温より高い)以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーと;
(b)約0.1〜約20重量%の、Tgelより高い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;
(c)約0.1〜約20重量%のTgel以下の融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分と;
(e)ゾル−ゲル転移温度Tgel以下でエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油(前記1以上の低極性または非極性油は、エステル、炭化水素およびシリコーン系油からなる群から選択される)とを含み;
ここで組成物は、約1から約10sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±20%以内である、第2剪断サイクル中に測定された粘度により特徴づけられ、第1および第2剪断サイクルは同じであり、約1から約1000sec−1まで増加する剪断速度を含む。
【0095】
一つの変形例において、第2剪断サイクルは約1から約10sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±10%以内である。別の変形例において、第2剪断サイクル中に測定された粘度は、約1から約10sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±5%以内である。
【0096】
別の実施形態において、組成物は約10から約100sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±20%以内である、第2剪断サイクル中に測定された粘度により特徴づけられる。この実施形態の別の変形例において、第2剪断サイクル中の粘度測定値は、約10から約100sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±10%以内である。別の変形例において、第2剪断サイクル中に測定された粘度は、約10から約100sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±5%以内である。
【0097】
さらに別の実施形態において、第2剪断サイクル中に測定された粘度は、約1から約100sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±20%である。この実施形態の一つの変形例において、第2剪断サイクル中に測定さえた粘度は、約1から約100sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±10%以内である。好ましくは、第2剪断サイクル中に測定された粘度は、約1から約100sec−1の間のすべての剪断速度で第1剪断サイクル中に測定された粘度の±5%以内である。
【0098】
唇に脂肪様フィルムを付与する組成物は、第1剪断サイクル中に測定される約1sec−1の剪断速度で約50、75、または約100Pa・secより高い粘度によりさらに特徴づけられる。好ましくは、組成物は、第1および第2剪断サイクルの両方の間に測定される約1sec−1の剪断速度で約50、75、または約100Pa・secより高い粘度により特徴づけられる。一つの変形例において、組成物は、第1剪断サイクル、好ましくは第1および第2剪断サイクル中に測定される約1から約5sec−1までの剪断速度で、約50、75、または約100Pa・secより高い粘度により特徴づけられる。
【0099】
好ましい組成物は、前記第1剪断サイクル中に測定される約10sec−1の剪断速度で約5、7.5、または約10Pa・secより高い粘度により特徴づけられ、好ましくは第1および第2剪断サイクル中に測定される約10sec−1の剪断速度で約5、7.5、または約10Pa・secより高い粘度を有する。さらに好ましい組成物は、第1剪断サイクル中に測定される、好ましくは第1および第2剪断サイクの両方の間に測定される約10から約50sec−1までの剪断速度で約5、7.5、または約10Pa・secより高い粘度により特徴づけられる。
【0100】
他の実施形態において、組成物は前記第1剪断サイクル中に測定される約100sec−1の剪断速度で約0.5、0.75、または約1Pa・secより高い粘度によりさらに特徴づけられ、好ましくは第1および第2剪断サイクル中に測定される約100sec−1の剪断速度で約0.5、0.75、または約1より高い粘度を有する。
【0101】
あるいは、レオロジーは、例えば15分、30分、45分、および1時間を包含する着用期間にわたり、滑り性、感触、油性、湿分、および/または乾燥などのパラメータに基づいた0〜10のスケールでの専門家のパネル試験により定量化することができる。
【0102】
本明細書において記載されるETPEAポリマー、ワックス、油、シリコーンT樹脂などの選択および量は、高光沢を付与するための組成物および本明細書において記載される改善されたレオロジーを有する組成物の両方に等しく適用可能である。本発明の好ましい態様において、リップ組成物は高光沢および改善されたレオロジーの両方を示す。
【0103】
本発明の組成物は、1以上のフィルム形成物質およびポリマーをさらに含み得る。フッ素化ポリマー、例えばINCI名ポリパーフルオロメチルイソプロピルエーテルを有するものは、組成物の滑り性および感触を変更するために特に有用である。好ましいフッ素化ポリマーは、Solvey Solexisにより商品名FOMBLIN HCで供給されている。Eastman Chemicalにより供給されるスクロースアセテートイソブチレート(INCI)およびArizona Chemicalにより商品名SylvaGumRE85Kで販売されているグリセロールロシネート(INCI)が好ましいフィルム形成物質である。
【0104】
様々なフィラーを組成物中に組み入れることができる。好適なフィラーとしては、制限なく、シリカ、処理シリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、ナイロン粉末、例えばOrgasol(商標)、ポリエチレン粉末、Teflon(商標)デンプン、窒化ホウ素、コポリマー微小球、例えばExpancel(商標)(Nobel Industries),、Polytrap(商標)(Dow Corning)およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(Toshibaから得られるTospearl(商標))などが挙げられる。
【0105】
追加の顔料/粉末フィラーとしては、これらに限定されないが、無機粉末、例えばゴム、チョーク、フラー土、カオリン、絹雲母、白雲母、金雲母、合成マイカ、鱗雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、珪酸アルミニウム、デンプン、スメクタイトクレイ、アルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学的に修飾された珪酸マグネシウムアルミニウム、有機的に修飾されたモントモリロナイトクレイ、水和ケイ酸アルミニウム、発煙アルミニウムデンプンオクテニルスクシネートバリウムシリケート、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、金属タングステン酸塩、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼き石膏)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミック粉末、金属セッケン(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、およびステアリン酸アルミニウム)、コロイド状二酸化ケイ素、および窒化ホウ素;有機粉末、例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、シクロデキストリン、メチルポリメタクリレート粉末、スチレンおよびアクリル酸のコポリマー粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ(四フッ化エチレン)粉末、およびカルボキシビニルポリマー、セルロース粉末、例えばヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチレングリコールモノステアレート;無機白色顔料、例えば酸化マグネシウムが挙げられる。他の有用な粉末は特許文献10(その開示は参照により本発明に組み込まれる)に開示されている。
【0106】
本発明の組成物は典型的には1以上の着色剤を含む。例えば顔料、レーキ、および染料をはじめとする好適な着色剤は当分野において周知であり、C.T.F.A.Cosmetic Ingredient Handbook、第1版、1988年(その内容は参照により本発明に組み込まれる)に開示されている。有機顔料としては、例えば、FD&C染料、D&C染料、例えばD&Cレッド、No.2、5、6、7、10、11、12、13、30および34、D&CイエローNo.5、ブルーNo.1、バイオレットNo.2が挙げられる。無機顔料の例としては、これらに限定されないが、金属酸化物および金属水酸化物、例えば酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄(α−Fe、y−Fe、Fe、FeO)、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、水酸化鉄、二酸化チタン、低級酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル、および酸化亜鉛、ならびに複合酸化物および複合水酸化物、例えばチタン酸鉄、チタン酸コバルトおよびアルミン酸コバルトが挙げられる。他の好適な着色剤としては、ウルトラマリンブルー(即ち、含硫黄ケイ酸ナトリウムアルミニウム)、プルシアンブルー、マンガンバイオレット、オキシ塩化ビスマス、タルク、マイカ、絹雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、チタン酸マイカ、酸化鉄チタン酸化マイカ、オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。着色剤は例えばフルオロポリマーで表面を修飾して、例えば特許文献11、特許文献12および特許文献13(その内容は参照により本発明に組み込まれる)に記載されている着色剤の1以上の特性を調節することができる。好適なパーリング顔料としては、制限なく、オキシ塩化ビスマス、グアニンおよび特許文献14(その内容は参照により本発明に組み込まれる)に開示されているような、二酸化チタン、低級酸化チタンまたはオキシ窒化チタンなどをチタン成分として含むチタン複合材料が挙げられる。組成物は、化粧品上許容されるグリッター、例えば金属粒子または固体有機粒子、例えば特許文献15(その内容は参照により本発明に組み込まれる)に記載されているものも含み得る。
【0107】
本発明の組成物は、化粧品用ビヒクル、例えば制限なく直鎖および環状揮発性シリコーン、例えばDow Corning Corporationから商品名Dow Corning244、245、344、および200液で入手可能なものをさらに含み得る。これらの液体としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、またはこれらの混合物が挙げられる。Shinetsuから商業的に入手可能な分岐揮発性シリコーンも有用であると考えられる。水溶性ビヒクル、例えばブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセロールジイソステアレート、ジメチルシロキサン/グリコールコポリマー、イソプロピルミリステート、トリイソステアリルシトレートなども存在し得る。ETPEAポリマーとゲルを形成できるエステル油、シリコーン油、および炭化水素油を除外したビヒクルの重量パーセンテージは、典型的には組成物の約10重量%未満、さらに典型的には約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満である。
【0108】
本発明の組成物は、任意に化粧品およびパーソナルケア製品と典型的に関連する他の活性および不活性成分、例えばこれらに限定されないが、賦形剤、フィラー、乳化剤、酸化防止剤、界面活性剤、フィルム形成物質、キレート剤、ゲル化剤、増粘剤、皮膚軟化剤、保湿剤、モイスチャライザー、ビタミン、ミネラル、粘度および/またはレオロジー改良剤、日焼け止め剤、角質溶解剤、脱色素剤、レチノイド、ホルモン化合物、アルファ−ヒドロキシ酸、アルファ−ケト酸、抗抗酸菌剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、脂質化合物、抗アレルギー剤、H1またはH2抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、抗刺激剤、抗腫瘍薬、免疫系ブースト剤、免疫系抑制剤、にきび抑制剤、麻酔剤、消毒剤、防虫剤、皮膚冷却化合物、皮膚保護薬、皮膚浸透促進剤、エクスフォリエント、潤滑剤、香料、着色剤、染色剤、脱色素剤、低色素沈着剤、保存料、安定剤、薬剤、光安定剤、およびこれらの混合物を含んでもよい。前記に加えて、本発明の化合物は皮膚疾患の治療のための他の化合物を含んでもよい。
【実施例1】
【0109】
高光沢リップスティック
表2はETPEAゲル化剤Sylvaclear(登録商標)C75V(Arizona Chemicals)、高融点ワックス成分(微結晶石油ワックスおよび直鎖ポリエチレン)、低融点ワックス成分(オゾケライト)、高屈折率シリコーンT樹脂共ゲル化剤、ならびに様々な低極性エステル油を含む高光沢リップスティックを提供する。
【0110】
【表2】

【0111】
表2の成分を100°以上でワックス成分のすべてが溶融するまで混合することにより製品を調製した。溶融した混合物を型中に注ぎ、凝固させた。得られた生成物は従来のリップスティックに匹敵する物理的剛性を有する自立性固体であった。
【0112】
光沢計を用いて85度でリップスティックのフィルムからの鏡面反射を測定した。複数の測定値の平均は87であり、これは従来のワックスベースのリップスティックの光沢を遙かに上回り、驚くべきことにいくつかの液体リップグロス製品および2コート高光沢リップ製品の光沢を上回る。図1は表2のリップスティックの85度光沢をいくつかの従来のリップ製品と比較する。図1において、「A」は表2のリップスティックを表し、残りのリップ製品は次のとおりである:B=Glazewear(商標)液体リップグロス(Avon Products);C=Color Rich(商標)(シェード1)(Avon Products);D=Color Rich(商標)(シェード2)(Avon Products);E=Butter Shine(商標)(Clinique);F=Ultra Color Rich(商標)(シェード1)(Avon Products);G=Ultra Color Rich(商標)(シェード2)(Avon Products);H=Moisture Extreme(商標)(Maybelline);I=Shine Supreme(商標)(Avon Products);=Colour Riche(商標)(L’Oreal);K=Wet Shine(商標)(シェード1)(Maybelline);L=Wet Shine(商標)(シェード2)(Maybelline);M=Brilliant Moisture(商標)(シェード1)(Avon Products);N=Brilliant Moisture(商標)(シェード2)(Avon Products);Oは透明・高光沢トップコートを含むタイプの2段階リップ製品を表す。
【0113】
特に、表2のリップスティックの85度光沢値は従来のワックスベースのリップスティック(C−N)よりも優れているだけでなく、高い光沢をもたらすのに従来の最新式であった液体リップグロス(B)および2段階リップ製品よりも優れている。
【実施例2】
【0114】
リップ製品の85度光沢に対するパールおよびマイカ含量の増加の効果を調べた。0重量%〜10重量%の範囲のパールおよびマイカ含量を有する本発明のリップスティックの4つの試料を調製した。4つの試料の処方を表3に記載する。
【0115】
【表3】

【0116】
表4に示すように、本発明のリップスティックの光沢を、2重量%〜約10重量%の範囲のパールおよびマイカ含量を有する従来のワックスベースのリップスティックと比較した。
【0117】
【表4】

【0118】
図3は、様々なパールおよびマイカ装填量で、4つのETPEAゲルベースリップスティック(データポイント「△」により示す)およびワックスベースリップスティックの4試料(データポイント「□」により示す)について85°光沢を比較する。光沢は本発明のETPEAゲルベース処方について0〜10重量%の範囲にわたって有意に減少せず、すべての場合において非常に高い、即ち80より高いままであり、一方、従来のワックスベースリップスティックにおいては、85度光沢は2〜約10重量%のマイカおよびパール装填量にわたって実質的に(約50%を超える)減少するという事実は全く明らかである。図3に対応するデータを下記表5に示す。
【0119】
【表5】

【0120】
さらに、従来のワックスベース処方はパールおよびマイカ装填量の全範囲にわたって本発明のリップスティックと比較すると光沢が劣っている。したがって、本発明の組成物の1つの驚くべき利点は、光沢を損なうことなく配合者が多量のパール剤を含めることを可能にすることである。「多量」とは、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも7.5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%または少なくとも12重量%を意味する。
【実施例3】
【0121】
ETPEAゲルの硬度をもたらす処方パラメータを、表6に示す様々なリップスティック処方を用いて考案した。各リップスティックの硬度を、4mmステンレス鋼プローブ(TA−24)を備えたTexture Analyzer Model QTS−25で測定した。表6のデータが示すように、ゲルの硬さはリップスティック中のETPEA、ワックス、シリコーンT樹脂、油、および顔料/パール含量間の複雑な相互作用の結果である。各場合において、表6の処方を全処方の重量パーセントとして表すので、エステル油含量はETPEA、シリコーンT樹脂、ワックス、および顔料/パール成分における増加または減少を調節するために各試料間で若干異なる。それでも、変化するリップスティック中のETPEA、ワックス、シリコーンT樹脂、油、および顔料/パール含量の効果について一般的傾向が観察される。
【0122】
【表6】

【0123】
例えば、試料1および2は同じ量のワックス、ETPEAポリマー、およびシリコーンT樹脂を含むが、顔料およびパールの重量パーセントが主に異なる(15.25%対6.03%)。しかし、硬度の著しい損失は観察されなかった(204g対201g)。
【0124】
試料2および3は同じ重量パーセントのワックス、シリコーンT樹脂、および顔料/パールを含むが、ETPEAゲル化剤の量が1%(試料2)から5.9%(試料3)まで異なっている。対応する硬度はETPEAポリマーが増加するにつれ1%ETPEAでの201gから5.9%ETPEAでの62%まで減少することが観察される。後者の硬度は好適な自立性スティックを作製するための硬度閾値(40g)よりわずかに高いだけである。試料3における硬度の損失はETPEAポリマーのエステル油に対する比が試料2における約1:52から試料3における約1:8まで増加する結果である可能性が高い。したがって、好ましいゲルは、特にシリコーンT樹脂用共ゲル化剤量が約5.5〜約6.5重量%、例えば5.9重量%である実施形態において、ETPEAポリマーのエステル油に対する重量比が1:8未満、典型的には1:10未満、好ましくは1:15未満、さらに好ましくは1:20未満、なお一層好ましくは1:30未満であると言われる。実施形態例において、ETPEAポリマーのエステル油に対する比は1:40未満または1:50未満である。もちろん、ETPEAポリマーの油に対する比は、下端で、油の量が非常に高いので、ポリマーをゲルを形成するのではなくポリマーを可溶化する点により限定される。比の上端で、好適な硬さのゲルは、ETPEAポリマーのエステル油に対する重量比が約1:1.3以下(試料8および9)で得られる。ただし、他の機能的成分に対する好適な調節を行うものとする。
【0125】
試料6および7は試料2および3におけるよりも低いシリコーンT樹脂含量を有する処方において、増加するETPEA含量の効果を示す。試料6および7において、シリコーンT樹脂含量は試料2および3における5.9重量%と比べると2重量%である。試料2および3に関して、ゲルの硬度はETPEA含量が増加するにつれ4.9%での109g(試料7)から12%での43g(試料6)まで減少することが同様に判明した。後者の硬度値は自立性固体スティックを作製するための硬度閾値40gをわずかに上回るだけである。ETPEAポリマーのエステル油に対する重量比は試料6において約1:3.75であり、試料7において約1:10である。ここでも、2重量%の低いシリコーンT樹脂含量でさえも、1:10のETPEAポリマーのエステル油に対する比が好適なゲルをもたらすことが判明した。1:3.75の比で、ゲルはあまり望ましくない硬度を示すが、40g硬度カットオフよりも高かった。このように、少量、即ち約5重量%未満、特に約3重量%未満のシリコーンT樹脂を含む実施形態において、好適なゲルはETPEAのエステル油に対する比が約1:3.75未満、さらに典型的には約1:4未満、好ましくは約1:10以下で得られる。
【0126】
試料4および5間で、ゲルの硬度は同じ重量パーセントのETPEA、シリコーンT樹脂、および顔料/パールで、ワックス含量が増加するにつれて改善されることが一般に観察される。これらの試料は、硬度が117gから174gに対応して増加するにつれ全ワックス含量が6.85%から9.6%の範囲である。ワックス状成分は伝統的なワックスベースのリップスティックにおいて硬さをもたらすことが知られているので、この結果は意外ではない。しかし、本発明の好ましい実施において、ワックスは製品の光沢を弱めるので、12重量%のワックス含量を超えないことが望ましい。
【0127】
試料10は非常に低いETPEAポリマー含量(0.88重量%)を用いて作製された非常に堅固なゲル(413g)を提供する。EPTEAゲル化剤のエステル油に対する比は1:50である。このゲルの著しい硬さは一つには高含量のシリコーンT樹脂ゲル化剤の結果である。
【0128】
表6から明らかなように、広範囲のETPEA,ワックス、油、シリコーンT樹脂、および顔料/パール含量にわたって好適な硬さのゲルを得ることができる。組成物が自立性スティックとして調製される実施形態において、組成物は40gを超える硬度を有する。典型的には、組成物は約50gを超える硬度、さらに典型的には約60gを超える硬度を有する。好ましくは、組成物は約70g、80g、90g、または100gを超える硬度を有する。いくつかの実施形態において、組成物の硬度は少なくとも120g、140g、160g、180g、または200gである。他の実施形態において、組成物は少なくとも250g、300g、350g、または400gの硬度を有する。
【実施例4】
【0129】
一つの態様において、本発明の組成物は従来のワックスベースリップスティックでは得られない独自のレオロジーを提供する。このレオロジーは、リップスティックが長期の着用期間にわたって唇に新しくつけられた感触を保持する感覚により特徴づけられる。この例は、繰り返される剪断サイクルにわたって粘度測定値に基づいて独自のレオロジーを定量化する。
【0130】
この実施例において検討した従来のワックスベースのリップスティックは表7に記載する処方を有する。
【0131】
【表7】

【0132】
この実施例において用いられる本発明のETPEAゲルベースリップスティックは表8に示す処方を有する。
【0133】
【表8】

【0134】
図4は、第1剪断サイクル(◇)および第2剪断サイクル(□)にわたる従来のワックスベースリップスティックの粘度を示す。明らかなように、組成物の粘度は剪断速度の関数であるので、組成物の粘度は剪断速度の全範囲の第1剪断サイクル中に減少する。特に、第2剪断サイクル中に、組成物は第1剪断サイクルの開始時に達成された初期粘度を保持しない。むしろ、粘度は第2剪断サイクルの開始時に10Pa・sec未満から第2剪断サイクルの最後での1Pa・sec未満まで下降することが観察される。第2剪断サイクル全体にわたってみられる粘度損失は第1剪断サイクル中のワックス構造の分解の結果である。
【0135】
図5は第1剪断サイクル(◇)および第2剪断サイクル(□)にわたる本発明のリップスティックの粘度を示す。第1および第2剪断サイクルにわたる粘度は剪断速度の全範囲にわたってほぼ同じままである。非常に高い剪断速度で第2剪断サイクル中に若干の偏向が見られるが、この偏向は、着用中に典型的に遭遇する剪断速度に相当する1から10sec−1の剪断速度範囲にわたって最小である。この剪断により誘発される分解に対する耐性は、水素結合が壊れて剪断を調節し、剪断が解除された場合に再形成されてゲルネットワークが回復されるようなゲルの弾性から得られると考えられる。
【0136】
図5に示す本発明のリップスティックは、最初に塗布した場合に油状の湿潤感触を有し、長時間にわたって唇をこすり合わせることが繰り返されるサイクル全体にわたってこの感触を保持することが判明した。
【0137】
本明細書において言及されるすべての特許および特許刊行物は参照により本発明に組み込まれる。
【0138】
前述の記載を読むと当業者は修正および改善を思いつく。このような修正および改善はすべて簡潔性および可読性のために本明細書では削除したが、特許請求の範囲内に適切に含まれることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
唇に光沢を付与するための化粧品組成物であって:
(a)約0.1〜約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、ゾル−ゲル転移温度Tgel(ここで、Tgelは体温より高い)以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるエステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーと;
(b)約0.1〜約20重量%の、Tgelより高い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;
(c)約0.1〜約20重量%のTgel以下の融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分と;
(d)約0.1〜約20重量%の、25℃でフィルムとして測定して少なくとも1.43の屈折率を有するシリコーンT樹脂と;
(e)前記ゾル−ゲル転移温度Tgel以下で前記エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油(前記1以上の低極性または非極性油は、エステル、炭化水素およびシリコーン系油からなる群から選択される)と
を含み;
85度で測定した場合、少なくとも約65の光沢を有する組成物。
【請求項2】
前記エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーが、単位AおよびBを含むランダム、交互、またはブロックコポリマーであり:
(a)単位Aは構造:
【化4】

(式中、
Rは4〜70個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含む直鎖、分岐、または環状アルキル基であり、Rは任意に、Rを追加の単位AまたはBと結合させる1以上の−(C=O)−O−基を含んでもよく;Rは単位Aのそれぞれについて独立して選択される;
は直鎖、分岐、または環状アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい2から36個の炭素原子を有するラジカルであり、Rは単位Aのそれぞれについて独立して選択される;
は各場合で独立して、水素、アリール、ならびに1〜10個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される以上のヘテロ原子を含んでもよい直鎖、分岐、または環状アルキル基から選択され;独立して各Rは、Rまたは他のRと一緒になってヘテロ環を形成してもよい)
を有し;
(b)単位Bは構造:
【化5】

(式中、Rは前記定義の通りであり、Bのそれぞれについて独立して選択され、Rは2〜20個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい直鎖、分岐、または環状アルキル基であり(特に−OHの形態の1以上の基を含む);Rは任意にRを追加の単位AまたはBと結合させる−O−の形態の1から4の間の基を含んでもよく;Rは単位Bのそれぞれについて独立して選択される)
を有し;
(c)RO−の形態の末端基は、単位Aおよび/またはBの末端カルボニル基とエステル結合を形成し、ここで、Rは、10〜30個の炭素原子を有し、任意に:(i)1以上の不飽和結合;(ii)1以上の脂肪族または芳香族環;および/または(iii)ハロゲン、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含んでもよい直鎖、分岐、または環状アルキル基である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
単位Aの1以上の場合で、各Rが水素であり、Rが−(CR’R”)−(式中、nは2〜12の整数であり、R’およびR”はそれぞれについて独立して水素、メチル、エチル、プロピル、およびブチルからなる群から選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
が−(CH−である、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
単位Bの1以上の場合で、Rが、−(CH−、−CH−CR’H−、−CH−CR’R”−CH−からなる群から選択され、式中、nは2〜6の整数であり、R’およびR”は独立して水素、または1〜12個の炭素原子を有し、任意にR’および/またはR”をAまたはBの追加の単位と結合させる−O−形態の1から4の間の基を含むアルキルもしくはアリール基である、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
が−CH−C(CH−CH−である、請求項4記載の組成物。
【請求項7】
単位Aおよび/または単位Bの1以上の場合で、Rが構造:
【化6】

(式中、a、b、c、およびdは独立して1から20の整数である)
を有する基である、請求項2記載の組成物。
【請求項8】
前記エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーがn当量の単位Aおよびm当量の単位Bを含むランダムコポリマーであり、nおよびmが約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有するポリマーを提供するように選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーがビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記シリコーンT樹脂が少なくとも1つのアルキルフェニルポリシルセスキオキサン樹脂を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記の少なくとも1つのアルキルフェニルシルセスキオキサン樹脂が:
[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO1/2[RSiO2/2[SiO4/2
(式中、Rはメチルであり;RはC2−20アルキルまたはC5−20シクロアルキルであり;Rはフェニルであり、RはC1−20アルキル、C5−20シクロアルキル、C7−14アルアルキル、C7−14アルカリール、またはC6−10アリールであり;a、b、およびcはこれらのそれぞれのシロキシ基が一緒になって全シロキシ部分の少なくとも90モルパーセントを構成するようなものであり、d、e、およびfは各部分が一緒になって全シロキシ部分の10モルパーセント未満を構成するようなものである)
のシロキシ部分を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記アルキルフェニルポリシルセスキオキサン樹脂がフェニルプロピルポリシルセスキオキサン樹脂である、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
前記シリコーンT樹脂が、25℃でフィルムとして測定すると少なくとも1.5の屈折率を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記シリコーンT樹脂の平均分子量が約5000から約6000ダルトンの間である、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
前記エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーの前記ゾル−ゲル転移温度Tgelが約70〜約80℃の間である、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
前記ゾル−ゲル転移温度Tgelが約75℃である、請求項9記載の組成物。
【請求項17】
gelより高い融点を有する前記の1以上のワックスが、直鎖ポリエチレン、微結晶石油ワックス、カルナウバワックス、リグナイトワックス、ウリクリワックス、米ぬかワックス、カスターワックス、モンタンワックス、ステアロン(18−ペンタトリアコンタノン)、アクラワックス(N,N’−エチレンビスステアルアミド)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のワックスを含む、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
gelより高い融点を有する前記の1以上のワックスが直鎖ポリエチレンを含む、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
gelより高い融点を有する前記の1以上のワックスが微結晶石油ワックスを含む、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
gel以下の融点を有する前記の1以上のワックスが、ベイベリーワックス、カスターワックス、日本ろう、オゾケライト、蜜ろう、カンデリラワックス、ペトロラタム、セレシンワックス、ココアバター、イリッペ脂、エスパルトワックス、シェラックワックス、C18−C36脂肪酸のエチレングリコールジエステルまたはトリエステル、セチルパルミテート、パラフィンワックス、ハードタロー、ラノリン、ラノリンアルコール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、サトウキビワックス、ホホバワックス、ステアリルアルコール、シリコーンワックス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16記載の組成物。
【請求項21】
gel以下の融点を有する前記の1以上のワックスがオゾケライトを含む、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
前記エステル末端ポリ(エステル−アミド)ポリマーが、前記組成物の約1から約25重量%を構成し、前記第1および第2ワックス成分が合わせて前記組成物の約5〜約15重量%を構成し、前記シリコーンT樹脂が前記組成物の約0.1から約15重量%を構成する、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が85度で測定した場合、少なくとも約70の光沢を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が85度で測定した場合、少なくとも約75の光沢を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が85度で測定した場合、少なくとも約80の光沢を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が85度で測定した場合、少なくとも約85の光沢を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が85度で測定した場合、少なくとも約90の光沢を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項28】
唇に光沢を付与する化粧品組成物であって:
(a)約0.1〜約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、約70から約80℃の間のゾル−ゲル転移温度Tgel以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーと;
(b)約0.1から約12重量%の、Tgelより高く、約110℃より低い融点を有する1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;
(c)約0.1〜約12重量%の、Tgel以下であり、約45℃より高い融点を有する1以上のワックスを含む第2ワックス成分と;
(d)約0.1から約25重量%の、25℃でフィルムとして測定した場合に少なくとも1.43の屈折率を有するアルキルフェニルシルセスキオキサンT樹脂(ここで、前記の少なくとも1つのアルキルフェニルシルセスキオキサン樹脂はシロキシ部分:
[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO3/2[RSiO1/2[RSiO2/2[SiO4/2
(式中、Rはメチルであり;RはC2−20アルキルまたはC5−20シクロアルキルであり;Rはフェニルであり、RはC1−20アルキル、C5−20シクロアルキル、C7−14アルアルキル、C7−14アルカリール、またはC6−10アリールであり;a、b、およびcはこれらのそれぞれのシロキシ基が一緒になって全シロキシ部分の少なくとも90モルパーセントを構成するようなものであり、d、e、およびfは各部分が一緒になって全シロキシ部分の10モルパーセント未満を構成するようなものである)
を含む)と;
(e)ゾル−ゲル転移温度Tgel以下で前記ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油(ここで、前記の1以上の低極性または非極性油は、脂肪酸エステル、炭化水素、およびシリコーン系油からなる群から選択される)と;
を含み;
前記第1および第2ワックス成分があわせて前記組成物の約12重量%以下を構成し;室温で自立性であり、40gより高い硬度を有する組成物。
【請求項29】
前記第1ワックス成分が、直鎖ポリエチレンワックス、微結晶石油ワックス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるワックスを含む、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
前記第2ワックス成分が、オゾケライトワックス、カルナウバワックス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるワックスを含む、請求項28記載の組成物。
【請求項31】
前記第2ワックス成分がオゾケライトワックスを含む、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
前記アルキルフェニルシルセスキオキサンT樹脂が25℃でフィルムとして測定して少なくとも1.50の屈折率を有するプロピルフェニルシルセスキオキサンT樹脂である、請求項28記載の組成物。
【請求項33】
前記ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーが、前記組成物の約1から約25重量%を構成し、前記第1および第2ワックス成分があわせて前記組成物の約5から約12重量%未満を構成し、前記シリコーンT樹脂が前記組成物の約0.1から約15重量%を構成する、請求項28記載の組成物。
【請求項34】
唇に光沢を付与する組成物であって:
(a)約0.1〜約40重量%の、約3000から約7500ダルトンの間の平均分子量を有し、約75℃より高いゾル−ゲル転移温度Tgel以下で低極性および非極性油とゲルを形成できるビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーと;
(b)約0.1から約20重量%の、直鎖ポリエチレンワックス、微結晶石油ワックス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のワックスを含む第1ワックス成分と;
(c)約0.1〜約20重量%の、オゾケライトワックスを含む第2ワックス成分と;
(d)約0.1〜約25重量%の、25℃でフィルムとして測定して少なくとも1.50の屈折率を有するプロピルフェニルシルセスキオキサンT樹脂と;
(e)前記ゾル−ゲル転移温度Tgel以下で前記ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーとゲルを形成できる1以上の低極性または非極性油(ここで、前記の1以上の低極性または非極性油は脂肪酸エステル、炭化水素、およびシリコーン系油からなる群から選択される)と;
(f)0.1〜約10重量%の1以上のパール剤と
を含み;
85°の角度で測定して、前記1以上のパール剤が存在しない以外は同じ組成物の光沢の約10%以内の、1以上のパール剤の0.1〜約10重量%の全範囲にわたる光沢を示す、組成物。
【請求項35】
前記の1以上のパール剤がマイカを含む、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、85°の角度で測定して、前記1以上のパール剤が存在しない以外は同じ組成物の光沢の約5%以内の、1以上のパール剤の0.1〜約10重量%の全範囲にわたる光沢を示す、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
前記ビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化二量体ジリノレエートコポリマーが前記組成物の約1から約25重量%を構成し、前記第1および第2ワックス成分があわせて前記組成物の約5から約12重量%を構成し、前記シリコーンT樹脂が前記組成物の約0.1から約15重量%を構成する、請求項34記載の組成物。
【請求項38】
請求項1記載の組成物を含むリップスティック。
【請求項39】
請求項28記載の組成物を含むリップスティック。
【請求項40】
請求項34記載の組成物を含むリップスティック。
【請求項41】
請求項1記載の組成物を含むリップグロス。
【請求項42】
請求項28記載の組成物を含むリップグロス。
【請求項43】
請求項34記載の組成物を含むリップグロス。
【請求項44】
唇に光沢を付与する方法であって、請求項1記載の組成物を唇に適用することを含む方法。
【請求項45】
唇に光沢を付与する方法であって、請求項28記載の組成物を唇に適用することを含む方法。
【請求項46】
唇に光沢を付与する方法であって、請求項34記載の組成物を唇に適用することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−513541(P2010−513541A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542986(P2009−542986)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/080897
【国際公開番号】WO2008/079479
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】