説明

高効率の青色発光層を備えるOLED

本発明は、アノードと、カソードと、それらの間に配置され且つアントラセンホストとスチリルアミン青色発光化合物とを含む発光層と、発光層とカソードとの間に配置され且つ0.5nm超5nm未満の厚さの第一電子輸送層と、第一電子輸送層とカソードとの間に配置され且つアントラセンから本質的になる第二電子輸送層とを備えるOLEDデバイスを提供する。第一電子輸送層は、第二電子輸送層中のアントラセンよりも小さくない負数のLUMOレベルを有する化合物を含む。本発明のOLEDデバイスは、効率のような特徴における改良を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンスデバイス、より具体的には、青色発光スチリルアミン化合物及びアントラセンホストを含む発光層と、薄い第一電子輸送層と、アントラセンから本質的になる第二電子輸送層とを有する有機発光ダイオード(OLED)デバイスに関する。第一電子輸送層は、第二電子輸送層のアントラセンのLUMOレベルの負数よりも小さくない負数のLUMOレベルを有する化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスは20年以上前から知られているが、その性能の制限は、望ましい多くの用途にとって障害となっていた。最も単純な形態の有機発光ダイオード(OLED)は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスとも称され、電極間への電位差の印加に応じて光を発する有機発光構造によって隔てられている、間隔を空けた(spaced)電極を含む。電極の少なくとも一方は光透過性であり、有機発光構造は、アノードから正孔を注入及び輸送、並びにカソードからの電子の注入及び輸送をそれぞれもたらす有機薄膜の多層を有してもよく、発光は、正孔輸送薄膜と電子輸送薄膜との間の界面に形成された内部結合部で又は内部結合部近傍での電子−正孔再結合から生じる。
【0003】
近年のELデバイスの範囲は、赤色、緑色及び青色のような単色発光デバイスだけでなく、白色光を発するデバイスにも拡大されている。効率的な白色発光OLEDデバイスは産業上非常に望ましく、紙のように薄い光源、LCDディスプレイのバックライト、自動車のドーム型ライト、及びオフィス照明等の幾つかの用途の低コスト代替品と見なされている。白色発光OLEDデバイスは明るく、効率的でなくてはならず、1931年に定められた国際照明委員会(CIE)色度座標 約(0.33、0.33)を一般に有する。いずれにせよ、本開示によれば、白色光とは白色を有するとユーザにより認識される光である。白色光を発する典型的な色の組合せは、赤色、緑色及び青色;青緑色及び橙色;青色及び黄色であるが、他にも知られている。
【0004】
これらの発展にもかかわらず、高い色純度と同時に低いデバイス駆動電圧及び長い寿命を維持しつつ、より高い輝度効率をもたらす青色発光層等の有機ELデバイス構成要素が引き続き必要とされている。青色発光体は他の色の発光体よりも効率が低い傾向があり、安定した白色を発するために、(RGBのOLEDデバイスにおける)青色ピクセルを高い電流密度で駆動させる必要があるかもしれず、結果的に、消費電力の増大及び青色の短命化がもたらされ、最大電圧効率未満で動作させるのに(白色OLEDにおける)色補完層が必要になるかもしれないので、青色発光層におけるそのような改良は、白色発光OLEDにとって非常に有益である。
【0005】
スチリルアミン(例えば、米国特許第5,121,029号及び米国特許第7,544,425号を参照)は、周知の青色発光体である。アントラセンは、スチリルアミンを一緒に含む発光層(例えば、米国特許第5,935,721号を参照)のホストとして有用な電子輸送材料である(例えば、米国特許第6,534,199号、米国特許第7,252,893号、米国特許第7,504,526号及び米国特許第6,713,192号を参照)。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0252522号は、スチリルアミン発光体及びアントラセンホストを含む青色発光層(LEL)を有し、アントラセンからなる電子輸送層(ETL)がLELと接触して配置されているOLEDデバイスを開示している。
【0007】
米国特許第7,074,500号、米国特許出願公開第2002/0197511号及び米国特許出願公開第2006/0251923号はすべて、LELとETLとの間に薄い電子ブロック層を有するOLEDを開示している。米国特許出願公開第2007/0075631号は、LEL(好ましくはリン光性である)とETLとの間に薄い電子妨害層を有し、該薄い層中の材料は、正孔輸送性で且つETL及びLEL中のホストのLUMOレベルの負数よりも小さくない負数のLUMOレベルを有するOLEDを開示している。米国特許出願公開第2003/0175553号及び米国特許出願公開第2003/0068528号はともに、カソード側のLEL上の薄い正孔ブロック層としてのIr(ppy)3の使用を示している。
【0008】
米国特許第7,018,723号は、ナフタレン及びベンゼン誘導体を含むETLを有するOLEDを開示している。LeeらによるApplied Physics Letters, 92(20), 203305/1-3 (2008年)は、シリル化ベンゼン誘導体を含むETLを有するOLEDを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらのデバイスは、高い輝度、低い駆動電圧及び十分な動作安定性という点で所望のEL特性の全てを有するとは限らない。これら全ての発展にもかかわらず、OLEDデバイスにおける青色発光層の効率を改善すること、並びに改善された他の特徴を有する実施の形態を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アノードと、カソードと、それらの間に配置され且つアントラセンホストとスチリルアミン青色発光化合物とを含む発光層と、前記発光層と前記カソードとの間に配置され且つ0.5nm超5nm未満の厚さの第一電子輸送層と、前記第一電子輸送層と前記カソードとの間に配置され且つアントラセンから本質的になる第二電子輸送層とを備えるOLEDデバイスを提供する。前記第一電子輸送層は、前記第二電子輸送層中のアントラセンのLUMOレベルの負数よりも小さくない負数のLUMOレベルを有する化合物を含む。
【0011】
本発明のデバイスは、十分な動作安定性及び優れた色特性を維持しつつ、高い効率のような他の改善された特徴を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のOLEDデバイスの一実施形態の概略断面図である。個々の層があまりに薄く、各種層の厚さの差が縮尺通りに描写するには大き過ぎるため、図1は正確な縮尺ではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は概して、上記に記載されるようなものである。本発明のOLEDデバイスは、カソード、アノード、発光層(LEL)(複数可)、電子輸送層(ETL)(複数可)、並びに任意で電子注入層(EIL)(複数可)、正孔注入層(HIL)(複数可)、正孔輸送層(HTL)(複数可)、励起子ブロック層(複数可)、スペーサ層(複数可)、結合層(複数可)、及び正孔ブロック層(複数可)等の追加の層を備える多層エレクトロルミネッセンスデバイスである。
【0014】
本発明のLELは、青色発光層である。これは、この層から発せられる光の少なくとも80%が、500nm未満の波長を有する青色光であるということを意味する。青色LELの厚さは重要ではないが、通常0.5〜50nmであり、望ましくは10〜35nmである。
【0015】
本発明における青色発光層は、ホスト材料及び青色発光材料を含む。大部分のホスト材料はアントラセンである。本発明で使用される場合、ホスト材料は、非発光である。即ち、ホスト材料は、その層から発せられる光に有意な割合をもたらさない(全体の10%未満)。ホスト組成中に存在し得る他の非発光材料(他のアントラセンを含む)はあるが、適切には、単一のアントラセンホスト材料が発光層に用いられる。しかしながら、アントラセンは、主たるホスト材料であり且つ他のホスト材料よりも体積割合で多く存在すべきである。
【0016】
本発明におけるアントラセンホストは、式(I)に従う。
【0017】
【化1】

【0018】
式(I)中、R1及びR6は各々独立して、炭素原子数6〜24のアリール基(フェニル基又はナフチル基等)を表す。R2〜R5及びR7〜R10は各々独立して、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、又は炭素原子数5〜24の芳香族基(複素環式芳香族基を含む)から選ばれる。
【0019】
適切な一実施形態では、R1及びR6は各々、独立して選択されるフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基を表す。R1及びR6の少なくとも1つがナフチル基であることが好ましく、両方がナフチル基であることが最も好ましい。好ましい実施形態では、R3は炭素原子数6〜24の芳香族基を表し、R2、R4、R5、R7〜R10は水素を表す。特に好ましいアントラセンは、R1及びR6の両方がナフチル基であり、R3がアリール基であり且つR2、R4、R5、R7〜R10が水素を表すものである。
【0020】
有用なアントラセン類の実例を下記に挙げる。
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

【0023】
本発明における青色発光層は、青色発光化合物として、スチリルアミンも含む。望ましくは、スチリルアミンは、その層において、支配的な発光材料であるべきである。支配的であるとは、その層から発せられる光の全量の少なくとも90%がその化合物によって生成されることを意味し、好ましくは、その層における唯一の検出可能な発光体であるべきである。スチリルアミンは、LEL中に0.1体積%〜20体積%で存在し、望ましくは1体積%〜10体積%で存在する。
【0024】
好ましいスチリルアミンは式(II)に従う。
【0025】
【化4】

【0026】
式中、R1、R2、R3及びR4は、独立して選択される炭素原子数6〜24の環のアリール基(但しR1とR2又はR3とR4が結合して環を形成することができる)、又は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R5はアルキル基及びアリール基から選択され、nは0〜4であり、R6及びR7は、水素、アルキル基又はアリール基から独立して選択され、Arは置換若しくは非置換の炭素原子数6〜30の環のアリール基である。
【0027】
1又はR2(あるいは両方)がR5と結合して環系を形成できること、又はR3又はR4(あるいは両方)がArと結合して環系を形成できることも可能であるということに留意すべきである。
【0028】
より好ましいスチリルアミンは、R1、R2、R3及びR4が置換若しくは非置換のフェニル基若しくはナフチル基であるか、又はR1とR2若しくはR3とR4が結合してカルバゾール基を形成するものである。R1、R2、R3及びR4のための置換フェニル基の一つの適切な例は、p−メチルフェニル(p−トリル)である。R5は、炭素原子数1〜10のアルキル(例えばt−ブチル)又は炭素原子数6〜20の環のアリール基であることができる。隣接するR5の置換基は、結合して追加の縮合環系を形成してもよい。しかしながら、nは0であることが好ましい。R6及びR7は、R5で規定したような、同じアルキル基又はアリール基であることができるが、両方が水素であることが好ましい。好ましいAr基は、置換又は非置換のフェニル基、ビフェニル基、スチリル基又はナフチル基である。Arのための好ましい置換基には、スチリル基及びフェニル基が含まれる。
【0029】
Arとして最も好ましいものは、式(IIa)に従うビフェニル基である。
【0030】
【化5】

【0031】
式中、Ar1〜Ar4は各々独立して、炭素原子数6〜24の環のアリール基であり、ここで、Ar1とAr2及びAr3とAr4は、任意で、結合して環系を形成してもよい。
【0032】
適切なAr1〜Ar4基の例は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオランテニル、ピレニル及びフェナントリルである。Ar1とAr2及びAr3とAr4は、結合してカルバゾール基を形成してもよい。好ましくは、Ar1〜Ar4基は各々単独に、非置換のフェニル又はアルキル置換フェニルである。メチル基は、Ar1〜Ar4がアルキル置換フェニルである場合の特に好ましいアルキル置換基である。
【0033】
式(II)に従うスチリルアミン化合物の具体例は以下である。
【0034】
【化6】

【0035】
【化7】

【0036】
本発明のOLEDは、青色LELとカソードとの間に配置される薄い第一ETL(ETL1と示す)を、ETL1とカソードとの間に配置され、アントラセンから本質的になる第二ETL(ETLS2と示す)と共に有する。アントラセンETLは多くの望ましい特性を有するが、アントラセンホストを含む青色LELと接して用いられる場合、効率が最善ではなくなる。
【0037】
本発明では、ETL1が、ETL2中に用いられるアントラセンのLUMOエネルギーよりも大きい(小さくない)LUMOエネルギーを有する化合物を含有する。本明細書において、用語「LUMOレベル」、「LUMO値」及び「LUMOエネルギー」は同意語として用いられる。以下の理論に制限されないが、LUMOエネルギーにおける差が、ETL2からETL1への電子注入に対する障壁となり、これが発光層内の電界分布に変化もたらすと考えられる。結果として、再結合領域が、HTL/LEL界面からカソード側のLELの方へ移動するか又はカソード側のLELの方へ拡大すると考えられる。改善の詳細なメカニズムは分からないが、再結合領域の移動又は拡大が、本発明のデバイスの効率の改善に関与していると考えられる。
【0038】
電子注入に対する障壁及びETL2とLELとの間の追加の層が存在することによる電圧上昇を小さくするために、その追加の層は薄くなければならない。従って、ETL1は、5nm未満の厚さであるべきである。しかしながら、薄過ぎると障壁として効果がない。従って、ETL1は、0.5nm超の厚さであるべきである。好ましくは、ETL1は、1〜4nmの厚さであるべきであり、理想的には2〜3nmの厚さである。
【0039】
第一の実施形態では、ETL1は、青色LELの片側(アノードの方へ)とETL2
の反対側(カソードの方へ)との間に両方に接して配置される。この配置は、アノード/・・・/青色LEL/ETL1/ETL2/・・・/カソードという特定の部分構造に対応する。この実施形態では、ETL2とカソードとの間に、追加のETL(複数可)及び電子注入層のような追加の層が存在してもよい。
【0040】
この第一の実施形態では、より大きい(小さくない)LUMOを有する材料が、層中の全材料の50体積%以上、望ましくは90体積%以上存在すべきであるが、ETL1中に2つ以上の成分が存在してもよい。好ましくは、追加の成分(複数可)は、10体積%以下のアントラセンであるべきである。この使用における適切なアントラセンは、LEL中でホストとして用いられるものと同じ式(I)に従うものであり、LEL中のアントラセンホスト又はETL2中のアントラセンと同一でも異なってもよい。
【0041】
第二の実施形態では、ETL1が青色LELに直接隣接していないが、ETL1は、アントラセンから本質的になる追加の層によって青色LELから離されている。この層は、電子を輸送する役割を主に果たすと考えられ、ETL3と示す。この使用における適切なアントラセンは、LEL中でホストとして用いられるものと同じ式(I)に従うものである。望ましくは、ETL3中のアントラセンは、ETL2で用いられるものと同一である。ETL1は、ETL3とETL2との間で両方に接するべきである。これは、アノード/・・・/青色LEL/ETL3/ETL1/ETL2/・・・/カソードという特定の部分構造に対応する。ETL3/ETL1/ETL2単位の合計厚さは、1〜50nmの範囲であることができ、好ましくは5〜30nmである。ETL2とETL3の厚さは同じであってもよく、それは要求されないが、両者の相対厚さは性能を最適化するために変えられ得る。
【0042】
ETL1に使用するのに適切な、ETL2中に用いられるアントラセンのLUMOレベルよりも大きい(小さくない)LUMOレベルを有する材料は、ベンゼン及びナフタレンの誘導体並びにイリジウムの有機金属化合物である。ETL1中の材料のLUMOレベルとETL2中のアントラセンのLUMOレベルとの差は、電子注入に対するエネルギー障壁を示し、本発明の利益をもたらす。好ましくは、LUMOレベルの差は、少なくとも0.26eVであるべきであり、より好ましくは、0.35eVを超えるべきである。
【0043】
全ての化合物についてのLUMOレベル(エネルギー)は、周知技術(例えば、米国特許第7,132,174号、米国特許第7,128,982号、米国特許出願公開第2006/0246315号又は米国特許第7,045,952 132号を参照)を用いて実験的にしばしば決定され得るか、又は理論から計算され得る。可能であれば、化合物のHOMO(最高被占分子軌道)エネルギー及びLUMO(最低空分子軌道)エネルギーは、本発明では実験的に決定されるべきである。表Aに示す実験的に決定された特定の化合物のLUMOエネルギーのデータは、サイクリック・ボルタンメトリー法によって評価された。各LUMOエネルギーは、補助電解質として0.1MのTBAF(テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム)を含む、アセトニトリルとトルエンとの混合溶媒(50体積%/50体積%、即ちアセトニトリルとトルエンとが体積比で1:1)を用いて、SCE(飽和カロメル電極)を基準として4.8eVの還元電位を印加することによって評価された。
【0044】
しかしながら、エネルギーを入手できないか又は測定することができない場合、理論的に計算された値を用いることができる。分子についてのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーは、密度汎関数理論計算の軌道エネルギー(本明細書では「未処理(raw)」軌道エネルギーと呼ぶ)から導くことができる。これらの未処理HOMO軌道エネルギー及び未処理LUMO軌道エネルギー(それぞれEHraw及びELraw)は、経験的に導かれた線形相関(パラメーターは、計算された種々の分子の未処理エネルギーを電気化学的データから得られる実験エネルギーと比較することによって事前に入手した)を用いて変更される。HOMOエネルギー及びLUMOエネルギーは、等式1及び2に従う相関によって与えられる。
HOMO=0.643×(EHraw)−2.13 (等式1)
LUMO=0.827×(ELraw)−1.09 (等式2)
【0045】
HrawはHOMOの未処理エネルギーであり、ELrawはLUMOの未処理エネルギーであり、全ての量はエレクトロンボルト(eV)で表される。EHraw及びELrawの値は、Gaussian 98(Gaussian, Inc.,Pittsburgh,PA)コンピュータプログラムにおいて実行されるようなB3LYP法を用いて得られる。B3LYP法と共に使用される基底系は以下のように定義される:MIDI!が定義される全ての原子に関するMIDI!、6−31G*で定義されるがMIDI!では定義されない全ての原子に関する6−31G*、並びにMIDI!又は6−31G*で定義されない原子に関するLACV3P基底系又はLANL2DZ基底系及び擬ポテンシャル(LACV3Pが好ましい方法である)。残りの任意の原子については、公開されている任意の基底系及び擬ポテンシャルを使用することができる。MIDI!、6−31G*及びLANL2DZはGaussian98コンピュータコードにおいて実行されるように使用され、LACV3PはJaguar 4.1(Schrodinger, Inc.,Portland Oregon)コンピュータコードにおいて実行されるように使用される。高分子材料又はオリゴマー材料については、追加の単位がEHraw値及びELraw値を実質的に変化させないように、モノマー又は十分な大きさのオリゴマーに関してEHraw及びELrawを計算すれば十分である。一般的に、計算されたエネルギー値は、実験値からの多少のずれを示し得ることに留意すべきである。場合によっては分子軌道エネルギーを正確に計算できないか又は測定できないので、本発明の目的のために、LUMOエネルギーは0.05未満の違いは同等と考えるべきである。計算されたLUMOエネルギーは表Aにも示される。実験的に決定された値は、通常、計算された数字とよく合致する。上述したように、本発明の材料についてのLUMO値は、実験的に決定されるべきであり、計算されたLUMO値は、LUMO値を実験的に決定することができない場合のみに用いられるべきである。いずれにしても、実験値は、他の実験値とのみ比較されるべきであり、また、計算値は計算値とのみ比較されるべきである。
【0046】
ETL1のための適切な材料の一種は、式(III):
【0047】
【化8】

【0048】
(式中、R8〜R11のうちの少なくとも2つの両方が、水素又は置換の炭素原子、ケイ素原子若しくは窒素原子を表すが、R8〜R11のうち3つ以上が水素であることはない)に従うベンゼン誘導体である。
【0049】
式(III)におけるR8〜R11のうちの少なくとも2つの両方が、置換ケイ素原子又は窒素原子を表す場合、好ましいベンゼン誘導体は、式(IIIa)で表されるようなR8及びR11の両方が水素であるものである。
【0050】
【化9】

【0051】
式中、R9及びR10は両方が三置換のケイ素原子であるか又は両方が二置換の窒素原子である。R9及びR10は異なってもよいが、R9及びR10は同一であることが好ましい。三置換のケイ素原子の適切な例は、トリフェニルシリル、トリ−t−ブチルシリル及びジフェニルナフチルシリルである。二置換の窒素原子の適切な例は、ジフェニルアミノ、ジ(p−メチルフェニル)アミノ、N−フェニル−N−1−ナフチルアミノ及びカルバゾールのような複素環である。
【0052】
式(IIIa)に従う化合物の幾つかの実例は以下に挙げられる。
【0053】
【化10】

【0054】
式(III)におけるR8〜R11のうちの少なくとも2つの両方が、置換炭素原子を表す場合、好ましいベンゼン誘導体は、式(IIIb)で表されるようなR8〜R10が全て置換炭素原子であるものである。
【0055】
【化11】

【0056】
式中、R8*〜R10*は、四置換の炭素原子又は芳香族炭素原子である。式(IIIb)において、R11*は、水素、四置換の炭素原子又は芳香族炭素原子であることができる。適切な芳香族炭素原子の例は、置換又は非置換のフェニル、ナフチル又はフルオレニル環系に属する炭素原子である。
【0057】
式(IIIb)に従う化合物の幾つかの実例は以下に挙げられる。
【0058】
【化12】

【0059】
ETL1のための適切な材料の別の種類は、ナフタレン誘導体である。アントラセンよりも高いLUMOレベルを持たせるために、有用なナフタレン誘導体は、追加の結合した芳香環を有さず且つ置換基が主要部のナフチル核に単結合を介して結合しているものである。適切なナフチル誘導体は、式(IV):
【0060】
【化13】

【0061】
(式中、R12は、芳香族置換基であり、pは2〜8である)に従うものである。適切な芳香族置換基は、置換又は非置換のフェニル、ナフチル、カルバゾール、フェナントリル又はピリジンのような芳香族複素環である。p=4を有するフェニル基が好ましい。
【0062】
式(IV)に従う化合物の実例は以下に挙げられる。
【0063】
【化14】

【0064】
ETL1のための適切な材料の更に別の種類は、シクロメタル化したイリジウムの有機金属錯体である。そのような化合物は、LEL中のリン光ドーパントとしてしばしば用いられるが、本発明で使用する場合、有意な量の光を発しない(デバイスからの光の全量の10%未満)。OLED中の層で単一の材料として用いられる場合、濃度消光として知られる現象のために、そのような化合物は、通常、仮に光を発するとしても弱く光を発する。更に、隣接するLEL又はETL2中のアントラセンとの接触は、アントラセンへのエネルギー輸送を助け、残りの発光を抑制する傾向となる。緑色光又はそれよりも波長の長い光を発するイリジウム錯体の場合、そのイリジウム錯体を含有するETL1からの発光は、EL光出力の調査から容易に決定することができる。適切なイリジウム錯体は、式(V):
【0065】
【化15】

【0066】
(式中、Mはイリジウムであり、Aは、少なくとも1つの窒素原子を含有する置換又は非置換の複素環であり、Bは、置換又は非置換の芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又はMと結合したビニル炭素若しくは芳香族炭素を含有する環であり、X−Yはアニオン性二座配位子であり、mは1〜3の整数であり、且つnは、m+n=3となるように、0〜2の整数である)に従うものである。
【0067】
式(V)に従う化合物は、その中心金属原子が、金属原子と1つ又は複数の配位子の炭素原子及び窒素原子との結合により形成される環状単位に含有されることを示すために、C,N−(又はC^N−)シクロメタル化錯体と称される場合もある。式(V)における複素環Aの例としては、置換又は非置換のピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリミジン環、インドール環、インダゾール環、チアゾール環、及びオキサゾール環が挙げられる。式(V)における環Bの例としては、置換又は非置換のフェニル環、ナフチル(napthyl)環、チエニル環、ベンゾチエニル環、フラニル環が挙げられる。式(V)における環Bは、ピリジン等のN含有環であってもよいが、但し、このN含有環は、式(V)に示すように、N原子ではなくC原子を介してMと結合する。
【0068】
式(V)(m=3であり、且つn=0である)に従うトリス−C,N−シクロメタル化錯体の一例は、トリス(2−フェニル−ピリジナト−N,C2’−)イリジウム(III)であり、facial(fac)異性体又はmeridional(mer)異性体として下記立体図に示す。
【0069】
【化16】

【0070】
式(IC)に従うトリス−C,N−シクロメタル化イリジウム錯体の更なる例は、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)、トリス(2−フェニル−4−t−ブチルピリジナト−N,C2)イリジウム(III)(Ir(tbuppy)3)、トリス(2−(4’−メチルフェニル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)、トリス(3−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)、トリス(1−(4’−メチルフェニル)イソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)、トリス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル(diflourophenyl))−ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)、トリス(2−((5’−フェニル)−フェニル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)、トリス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’)イリジウム(III)、トリス(2−フェニル−3,3’−ジメチル)インドラト(indolato)−N,C2’)イリジウム(III)、及びトリス(1−フェニル−1H−インダゾラト(indazolato)−N,C2’)イリジウム(III)である。その中でも、Ir(ppy)3及びIr(tbuppy)3が本発明に特に好適である。
【0071】
適切なイリジウム錯体には、一価アニオン性二座配位子X−Yが別のC,N−シクロメタル化配位子である、式(V)に従う化合物も含まれる。例としては、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)及びビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)が挙げられる。式(V)に従う適切なイリジウム錯体は、C,N−シクロメタル化配位子(複数可)に加えて、C,N−シクロメタル化していない一価アニオン性二座配位子(複数可)X−Yも含有し得る。一般的な例は、アセチルアセトネート等のβ−ジケトネート、及びピコリネート等のシッフ塩基である。式(V)に従う、かかる混合配位子錯体の例としては、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトネート)、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’)イリジウム(III)(アセチルアセトネート)、及びビス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル(diflourophenyl))−ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(ピコリネート)が挙げられる。ETL1中に好適に用いることができるイリジウム錯体は、それらのLUMOレベルに従ってこの広範なリストから選択されるべきであることに留意すべきである。
【0072】
本発明のデバイスは、ETL1とカソードとの間に配置され且つアントラセンから本質的になるETL2を含む。この層の役割は、電子を輸送することである。理想的には、この層はカソード側のETL1に直接接して配置される。この使用のための適切なアントラセンは、LEL中のホストとして用いられるものと同じ式(I)に従うものである。アントラセンの混合物を用いることができるが、単一のアントラセンを用いることが簡単にするために望ましい。「アントラセンから本質的になる」とは、その層が、基本的な電子特性(その特性は、他の材料が存在しないときにその層を特徴付ける)に著しく影響を及ぼさないといった少量で且つ有意でない量の他の材料を含み得ることを除いて、アントラセン誘導体から構成されることを意味する。望ましくは、ETL2は、少なくとも99%の単一のアントラセン誘導体から構成される。上述したように、(ETL3は任意)/ETL1/ETL2単位の合計厚さは、ETL2の厚さが約49.5nm以下、望ましくは約29.5nm未満であるべきであるように、1〜50nmの範囲であることができ、好ましくは5〜30nmである。
【0073】
本発明の幾つかの実施形態では、ETL2とカソードとの間に存在する追加の電子注入層(EIL)(複数可)がある。EILの役割は、カソードからETL2への電子の注入を促進する。電子注入層のための適切な材料の例としては、フェナントロリン類(例えば4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen))、有機アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩(例えばリチウム8−ヒドロキシキノレート(LiQ)、トリス(キノリン−8−オラート)アルミニウム(III)(Alq)又はその誘導体)、無機塩(例えばLiF)又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。電子注入層はリチウムのような金属がドープされていてもよい。
【0074】
適切な一実施形態において、ELデバイスは白色光を発し、そのような場合、デバイスは、通常、1つ又は複数の補色(複数可)エミッタを備える。白色発光デバイスを生産するために、デバイスは、青色蛍光エミッタと共に、適当な割合の黄色エミッタ層、又は緑色エミッタ層と赤色エミッタ層との組合せを含む、白色発光を生じるのに好適な層を備えるのが理想的である。本発明は、例えば、米国特許第5,703,436号及び米国特許第6,337,492号に教示されるような、いわゆる積層デバイス構造で使用され得る。本発明の実施形態は、白色光を生じさせるために蛍光素子だけを含む積層デバイスにおいて使用され得る。本発明の青色LELは蛍光層である。白色デバイスは、蛍光発光材料とリン光発光材料との組み合わせを含んでもよい(ハイブリッドOLEDデバイスと称される場合もある)。例えば、白色発光は、1つ以上のハイブリッド青色蛍光/赤色リン光素子を、Tangらの米国特許第6,936,961B2号に開示されているようなp/n接合コネクタを用いて、緑色リン光素子と順に積層することによって生じさせることができる。白色発光OLEDを適切なカラーフィルタと共に用いて、ディスプレイデバイスの画素のための着色光を生じさせてもよい。
【0075】
望ましい一実施形態において、ELデバイスは、ディスプレイデバイスの一部である。他の適切な実施形態において、ELデバイスは、エリア照明デバイスの一部である。本発明のELデバイスは、電灯、又はテレビ、携帯電話、DVDプレイヤー、若しくはコンピュータ用モニター等の静止画像デバイス若しくは動画像デバイスの構成要素のような安定した発光が所望される任意のデバイスに有用である。
【0076】
本明細書中及び本願全体を通して使用される場合、化学用語は概して、Grant & Hackh's Chemical Dictionary, Fifth Edition, McGraw-Hill Book Companyによって定義されるようなものである。本発明の目的上、配位結合を含む環も複素環の定義に含まれる。配位結合又は供与結合の定義は、Grant & Hackh's Chemical Dictionary, pages 91 and 153に見ることができる。特に規定のない限り、「置換された」又は「置換基」という用語の使用は、水素以外の任意の基又は原子を意味する。更に、「基」という用語を用いる場合、置換基が置換可能な水素を含有するのであれば、置換基の置換されていない形態だけでなく、本明細書中に言及される任意の置換基(複数可)でさらに置換された形態も、デバイスの有用性に必要とされる性質をその置換基が失わせない限りは包含することも意図されることを意味する。必要に応じて、置換基それ自体がさらに上記の置換基で1回以上置換されていてもよい。当業者は、特定の用途にとって望ましい性質が実現されるように、使用する具体的な置換基を選択することができる。置換基としては例えば、電子求引基、電子供与基及び立体基を挙げることができる。分子が2つ以上の置換基を有することができる場合には、特に規定のない限り、その置換基を互いに結合させて環(例えば縮合環)を形成させてもよい。
【0077】
OLEDデバイスの層構造、材料の選択及び製造プロセスのようなOLEDの基本的な情報及び説明は、Chen, Shi, and Tang, 「Recent Developments in Molecular Organic Electroluminescent Materials,」 Macromol. Symp. 125, 1 (1997);Hung and Chen, 「Recent Progress of Molecular Organic Electroluminescent Materials and Devices,」 Mat. Sci. and Eng. R39, 143 (2002);H. Yersin, 「Highly Efficient OLEDS with Phosphorescent Materials」 (Wiley-VCH (Weinheim), 2007); K. Mullen and U. Scherf, 「Organic Light Emitting Devices: Synthesis, Properties and Applications」 (Wiley-VCH (Weinheim), 2006); J. Kalinowski, 「Organic Light-Emitting Diodes: Principles, Characteristics and Processes (Optical Engineering)」 (Dekker (NY), 2004); Z. Li and H. Meng, 「Organic Light-Emitting Materials and Devices (Optical Science and Engineering)」 (CRC/Taylor & Francis (Boca Raton), 2007)及びJ. Shinar, 「Organic Light-Emitting Devices」 (Springer (NY), 2002)、並びにそれらに引用される引用文献に見ることができる。
【0078】
本発明は、小分子材料、オリゴマー材料、高分子材料、又はこれらの組み合わせを用いた多くのOLED構成で利用することができる。このような構成には、単一のアノードとカソードとを有する非常に単純な構造から、より複雑なデバイス(例えば、複数のアノードとカソードとが直交配列を成して画素を形成するパッシブマトリクスディスプレイ、及び各画素が例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって独立して制御されるアクティブマトリクスディスプレイ)までが含まれる。本発明が首尾よく実施される有機層の構成は多数ある。本発明にとって必須の要件は、カソード、アノード、LEL及び2つのETLである。
【0079】
小分子デバイスに特に有用な本発明による一実施形態を図1に示す。OLED100は、基板110、アノード120、正孔注入層130、正孔輸送層132、発光層(LEL)134、薄い第一電子輸送層(ETL1)135、第二電子輸送層(ETL2)136、電子注入層(EIL)138及びカソード140を含有する。LEL134は、本発明のETL1(ETL2中のアントラセンよりも小さくないLUMOレベルを有する材料を含む)を代表する薄い層135及びETL2を代表するETL136を伴い、アントラセンホストとスチリルアミンドーパントとの本発明の組合せを含有する。基板110を代替的にカソード140に隣接させて配置してもよいこと、又は基板が実際にアノード120若しくはカソード140を構成し得ることに留意されたい。また、有機層を合計した厚さは、500nm未満であることが好ましい。
【0080】
他の実施形態では、EIL(138)を2つ以上の副層、即ち、ETL2(136)に隣接する第一電子注入層(EIL1)及びEIL1とカソードとの間に配置される第二電子注入層(EIL2)に分けることができる。更に別の実施形態では、HIL(130)を2つ以上の副層、即ち、アノードとHTLとの間の第一正孔注入層(HIL1)及びHIL1とアノードとの間の第二正孔注入層(HIL2)に分けることができる。
【0081】
OLEDのアノード120及びカソード140は、導電体160を介して電圧/電流源150と接続される。アノード120とカソード140との間に、アノードがカソードより正の電位となるように電位差を印加することによってOLEDが動作する。正孔はアノード120から有機発光構造に注入される。電子はカソード140から注入される。ACモードではサイクル中に電位バイアスが逆転して電流が流れない期間があるため、OLEDをACモードで動作させるときにデバイスの安定性向上を実現することができる場合もある。AC駆動のOLEDの一例が、米国特許第5,552,678号に記載されている。
【0082】
フルカラーディスプレイに対しては、LELの画素化が必要とされ得る。このLELの画素化堆積は、シャドーマスク、一体化シャドーマスク(米国特許第5,294,870号)、ドナーシートからの空間的に限定された染料熱転写(米国特許第5,688,551号、同第5,851,709号、及び同第6,066,357号)、並びにインクジェット法(米国特許第6,066,357号)を用いて行なわれる。
【0083】
本発明のOLEDデバイスでは、その発光特性の向上を望むのであれば、既知の様々な光学的効果を利用することができる。これには、層の厚さを最適化して光の透過を最大にすること、誘電体ミラー構造を設けること、反射性電極の代わりに光吸収性電極にすること、グレア防止用若しくは反射防止用コーティングをディスプレイ上に設けること、偏光媒体をディスプレイ上に設けること、又は色フィルタ、減光フィルタ、若しくは色変換フィルタをディスプレイ上に設けること等がある。反射層若しくはマイクロキャビティ構造を設けること、フィルタ、偏光板、及びグレア防止用又は反射防止用コーティングは、特にOLEDの上に、又はOLEDの一部として設けることができる。
【0084】
本発明の実施形態により、良好な輝度効率、良好な動作安定性、優れた色及び低駆動電圧を有するELデバイスが提供され得る。本発明の実施形態は、良好な電力効率をもたらすように、高い再現性及び一貫性をもって作製することができる。それらは、電力消費(consumption requirements)がより低いので、電池と共に使用する場合、電池寿命を延長することができる。
【0085】
本発明及びその利点を以下の具体例によりさらに説明する。材料の混合物に適用される、「パーセンテージ」又は「パーセント」という用語及び「%」という記号は、本発明の層中の全材料における、特定の第1の化合物又は第2の化合物の体積パーセント(又は薄膜厚モニターで測定した厚さの比率)を表す。
1種より多い第2の化合物が存在する場合には、第2の化合物の総体積を、本発明の層中の全材料におけるパーセンテージとして表すこともできる。
【0086】
<実験例>
以下の表は、以下の実験で使用した特定材料のLUMO値を載せている。TPBIは、2,2’2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール]である。Alqは、トリス(キノリン−8−オラート)アルミニウム(III)である。BAlq’は、ビス(2−メチルキノリン−8−オラート)(2,6−ジフェニル−フェノラト)アルミニウム(III)である。CH−1は、ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)ケトンである。
【0087】
【表1】

【0088】
<シリーズ1の例>
ELデバイス1−1〜1−36を以下の方法で組み立てた。
1.約25nmのインジウム−スズ酸化物(ITO)の層でコーティングしたガラス基板をアノードとして、順に、市販の洗剤中で超音波処理し、脱イオン水でリンスし、乾燥させ、約1分間酸素プラズマに曝露した。
2.米国特許第6,208,075号に記載されるようなCHF3のプラズマ支援堆積によって、ITO上に1nmのフッ化炭素(CFx)正孔注入層(HIL1)を堆積させた。
3.次に、第2の正孔注入層(HIL2)として10nmのジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)層を真空蒸着させた。
4.次に、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル(NPB)の正孔輸送層(HTL)を75nmの厚さに真空蒸着させた。
5.次に、A−4及び7%のS−2を含む25nmの発光層をHTL上に真空蒸着させた。
6.表1に従う厚さ及び組成を有する薄い第一ETL(ETL1)をLEL上に真空蒸着させた。
7.A−1の第二電子輸送層(ETL2)をETL1上に真空蒸着させた。厚さは、ETL1及びETL2全体の厚さが常に20nmになるように調整した。
8.4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)の電子注入層(EIL)を厚さ10nmでETL2上に真空蒸着させた。例1−28〜1−33では、この層を1.2%のリチウムで更にドープした。
9.次に、フッ化リチウム(0.5nm)をEIL上に真空蒸着させた後、100nmのアルミニウム層を蒸着させて2層カソードを形成した。例1−28〜1−33では、LiF層を省略した。
【0089】
上記の手順によってELデバイスの堆積が完了した。次に、デバイスを周囲環境から保護するため、乾燥グローブボックス中で乾燥剤と共に密封包装した。このように形成したセルを、20mA/cm2の動作電流密度で効率及び色について試験した。その結果を駆動電圧(V)、輝度収率(cd/A)、外部量子効率(EQE)及び1931 CIE(国際証明委員会)座標の形式で報告する。EQEは、パーセンテージとして与えられ、OLEDデバイスに注入される電子(又は正孔)の数に対するデバイスから外部に発光する光の光子の比率である。デバイスの平面に垂直であるEL発光を測定し、他の方向の発光がランバート分布を有するものと仮定することによって評価した。シリーズ1の全てのデバイスにおけるアントラセンホストはA−4である。
【0090】
【表2】

【0091】
表1において、本発明例1−3〜1−5を比較例1−2又は1−6と比較すると、ETL2中のアントラセンと比して大きい負数のLUMOレベルを有する材料を含むもの全てで、高い効率及び低い駆動電圧を示すために、LELに隣接するETL1が0.5nm超5.0nm未満の厚さを有するべきであるということが示される。例1−7〜1−27は、効率における同じ改善が、同じ厚さ範囲において、ETL2のアントラセンより大きい負数のLUMOを有する他の種類の材料で起こるということを示す。本発明例1−26及び1−27は、ETL1は少量のアントラセンでドープされ、高い効率を維持することができるということを示す。例1−29、1−30及び1−30は、金属リチウムでEILを更にドープするとLiFを省略しても高い効率が維持されるということを示す。
【0092】
比較例1−34〜1−36は、薄い第一ETL中におけるTPBIの使用がデバイスの性能に不利に影響するという結果を示す。表Aに示されるように、TPBIのLUMOエネルギーはETL2中に用いられるアントラセンA−1のLUMOエネルギーよりも大きい負数である。従って、ETL2からTPBI層への電子注入に対して、障壁は作り出されている。実験的に決定されたLUMOレベルに対して、この障壁は0.25eVであるが、これはデバイスの性能を改善するには小さ過ぎる。本発明の効率改善を達成するには、ETL1中に用いられる材料とETL2中に用いられる材料のLUMOレベル差が0.35eV超であることが望ましい。
【0093】
<シリーズ2の例>
LEL中の材料を表2に従って変えたこと以外は、シリーズ1の例と同様にしてELデバイス2−1〜2−9を組み立てた。CBPは4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニルである。デバイスは、80mA/cm2(DCモード)の一定電流密度で室温にて電気的にエージングされた。OLEDデバイスの寿命(T50)及び動作安定性は、80mA/cm2での輝度が初期の装置の輝度の半分に低下するまでに要する時間として定義される。
【0094】
【表3】

【0095】
表2において、比較例2−1〜2−9は、LEL中にアントラセンでないホストを青色スチリルアミンエミッタと使用すると効率の低下を引き起こし、安定性を顕著に低下させるということを示す。効率は、本発明のETL1の追加によって僅かに改善することができるが、総合的な外部量子効率はLEL中にアントラセンを含む青色蛍光デバイスの外部量子効率よりもずっと低いままである。
【0096】
<シリーズ3の例>
ETL2中の材料を表3に従って変えたこと以外は、シリーズ1の例と同様にしてELデバイス3−1〜3−27を組み立てた。例3−11〜3−27において、厚さは、ETL1及びETL2全体の厚さが常に30nmになるように調整し、ステップ8のBphenのEILは省略した。F−1及びBAlq’は下記の構造を有する。
【0097】
【化17】

【0098】
【表4】

【0099】
表3の結果から、ETL2がアントラセンでない場合又はアントラセンを有意な量の他の非アントラセンと混合した場合、効率が殆ど増加しないか又は増加せず、大きくない負数のLUMO材料の薄い層(ETL1)がLELとETL2との間に配置される場合には効率が減少さえするということが確認される。
【0100】
<シリーズ4の例>
LEL中の発光材料を表4に従って変えたこと以外は、シリーズ1の例と同様にしてELデバイス4−1〜4−20を組み立てた。LELホストはA−4であり、ETL2はA−1である。比較エミッタは以下の構造を有する。
【0101】
【化18】

【0102】
【表5】

【0103】
表4の結果から、LEL中のエミッタがスチリルアミンでない場合、第二ETL中のアントラセンよりも大きい負数を有する薄い第一電子輸送層を追加しても効率が殆ど改善しないか又は全く改善しないということが確認される。
【0104】
<シリーズ5の例>
ELデバイス5−1〜5−6を以下の方法で組み立てた。
1.約25nmのインジウム−スズ酸化物(ITO)の層でコーティングしたガラス基板をアノードとして、順に、市販の洗剤中で超音波処理し、脱イオン水でリンスし、乾燥させ、約1分間酸素プラズマに曝露した。
2.米国特許第6,208,075号に記載されるようなCHF3のプラズマ支援重合によって、ITO上に1nmのフッ化炭素(CFx)正孔注入層(HIL2)を堆積させた。
3.次に、第1の正孔注入層(HIL1)として10nmのジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)層を真空蒸着させた。
4.次に、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル(NPB)の正孔輸送層(HTL)を75nmの厚さに真空蒸着させた。
5.次に、ホストとしてのA−4及び7%のS−1を含む25nmの発光層をHTL上に真空蒸着させた。
6.10nmのA−1の追加アントラセン層(ETL3)をLEL上に真空蒸着させた。
7.表5に従う厚さ及び組成を有する薄い第一ETL(ETL1)をLEL上に真空蒸着させた。
8.A−1の第二電子輸送層(ETL2)をETL1上に真空蒸着させた。厚さは、ETL1及びETL2全体の厚さが常に10nmになるように調整した。
9.次に、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)の電子注入層(EIL)を厚さ10nmでETL2上に真空蒸着させた。例1−28〜1−33では、この層を1.2%のリチウムで更にドープした。
10.次に、フッ化リチウム(0.5nm)をEIL上に真空蒸着させた後、100nmのアルミニウム層を蒸着させて2層カソードを形成した。
【0105】
上記の手順によってELデバイスの堆積が完了した。次に、デバイスを周囲環境から保護するため、乾燥グローブボックス中で乾燥剤と共に密封包装した。このように形成したセルを、シリーズ1の例に記載したように試験した。
【0106】
【表6】

【0107】
表5の結果から、効率を改善するためにETL1はLELに直接隣接している必要がなく、ETL1はアントラセンから本質的になる別の層(ETL3)によってLELから離され得るということが確認される。例5−5及び5−6は、上述したようにLELからある距離を置いて配置されるETL1がアントラセンでドープされたとしても、デバイス効率の改善はもたらされ得るということを示す。
【0108】
<シリーズ6の例>
ELデバイス6−1〜6−8を以下の方法で組み立てた。
1.約25nmのインジウム−スズ酸化物(ITO)の層でコーティングしたガラス基板をアノードとして、順に、市販の洗剤中で超音波処理し、脱イオン水でリンスし、乾燥させ、約1分間酸素プラズマに曝露した。
2.米国特許第6,208,075号に記載されるようなCHF3のプラズマ支援重合によって、ITO上に1nmのフッ化炭素(CFx)正孔注入層(HIL2)を堆積させた。
3.次に、第1の正孔注入層(HIL1)として10nmのジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)層を真空蒸着させた。
4.次に、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル(NPB)の正孔輸送層(HTL)を105nmの厚さに真空蒸着させた。
5.次に、例6−1〜6−5では、ホストとしてのBAlq’及びリン光エミッタとしての8%のトリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(Ir(1−piq)3)を含む35nmの発光層(LEL)をHTL上に真空蒸着させた。例6−6〜6−8では、CH−1ホスト、共ホストとしての25%のNPB及び6%のIr(1−piq)3の混合物からLELを構成した。
6.表6に従う厚さ及び組成を有する薄い第一ETL(ETL1)をLEL上に真空蒸着させた。
7.A−1の第二電子輸送層(ETL2)をETL1上に真空蒸着させた。厚さは、ETL1及びETL2全体の厚さが常に40nmになるように調整した。
8.Bphenの電子注入層(EIL)を厚さ10nmでETL2上に真空蒸着させた。
9.次に、フッ化リチウム(0.5nm)をEIL上に真空蒸着させた後、100nmのアルミニウム層を蒸着させて2層カソードを形成した。
【0109】
上記の手順によってELデバイスの堆積が完了した。次に、デバイスを周囲環境から保護するため、乾燥グローブボックス中で乾燥剤と共に密封包装した。このように形成したセルを、1mA/cm2の動作電流密度で効率及び色について試験した。デバイスは、DCモードにおいて40mA/cm2の電流密度で室温にて電気的にエージングされた。OLEDデバイスの寿命(T50)又は動作安定性は、40mA/cm2での輝度が初期の装置の輝度の半分に低下するまでに要する時間として定義される。
【0110】
CH−1の構造は以下である。
【0111】
【化19】

【0112】
【表7】

【0113】
【表8】

【0114】
表6a及び6bの結果は、リン光LELを有するOLEDデバイスへのETL1の追加は、ETL1がETL2の材料よりも大きい負数のLUMOを有する材料を含むとしても、効率を殆ど増加させないか又は全く増加させないということを示す。更に、デバイス安定性への不利な影響が観察される。
【0115】
本発明は、それらの特定の好ましい実施形態に特に関連して詳細に説明されたが、本発明の要旨及び特許請求の範囲内で変更及び改良がなされ得ることが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0116】
部品表
100 OLED
110 基板
120 アノード
130 正孔注入層(HIL)
132 正孔輸送層(HTL)
134 発光層(LEL)
135 薄い第一電子輸送層(ETL1)
136 第二電子輸送層(ETL2)
138 電子注入層(EIL)
140 カソード
150 電圧/電流源
160 電気コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、カソードと、それらの間に配置され且つアントラセンホストとスチリルアミン青色発光化合物とを含む発光層と、前記発光層と前記カソードとの間に配置され且つ0.5nm超5nm未満の厚さの第一電子輸送層と、前記第一電子輸送層と前記カソードとの間に配置され且つアントラセンから本質的になる第二電子輸送層とを備え、前記第一電子輸送層は、前記第二電子輸送層中の前記アントラセンよりも大きい負数のLUMO値を有する化合物を含むOLEDデバイス。
【請求項2】
前記第一電子輸送層中の化合物と前記第二電子輸送層中の前記アントラセンとの間のLUMO値の差が少なくとも0.26eVである請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項3】
前記第一電子輸送層中の化合物と前記第二電子輸送層中の前記アントラセンとの間のLUMO値の差が0.35eVを超える請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項4】
前記第一電子輸送層が前記発光層に直接接触して配置される請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項5】
前記第一電子輸送層がアントラセンを更に含む請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項6】
アントラセンから本質的になり且つ前記第一電子輸送層と前記発光層との間に配置される追加の層を備える請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項7】
前記第一電子輸送層中の前記化合物が、式(III):
【化1】

(式中、R8〜R11のうちの少なくとも2つの両方が、水素又は置換の炭素原子、ケイ素原子若しくは窒素原子を表すが、R8〜R11のうち3つ以上が水素であることはない)
に従うベンゼン誘導体から選択される請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項8】
前記ベンゼン誘導体が、
【化2】

からなる群から選択される請求項7に記載のOLEDデバイス。
【請求項9】
前記第一電子輸送層中の前記化合物が、式(IV)
【化3】

(式中、R12は、芳香族置換基であり、pは2〜8である)
に従うナフタレン誘導体である請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項10】
前記ナフタレン誘導体が、
【化4】

である請求項9に記載のOLEDデバイス。
【請求項11】
前記第一電子輸送層中の前記化合物が、式(V):
【化5】

(式中、Mはイリジウムであり、Aは、少なくとも1つの窒素原子を含有する置換又は非置換の複素環であり、Bは、置換又は非置換の芳香環若しくは芳香族複素環であるか、又はMと結合したビニル炭素若しくは芳香族炭素を含有する環であり、X−Yはアニオン性二座配位子であり、mは1〜3の整数であり、且つnは、m+n=3となるように、0〜2の整数である)
に従うイリジウム誘導体である請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項12】
前記イリジウム誘導体が、トリス(2−フェニル−ピリジナト−N,C2'−)イリジウム(III)である請求項11に記載のOLEDデバイス。
【請求項13】
前記第二電子輸送層中の前記アントラセンが、式(I):
【化6】

(式中、R1及びR6は各々独立して、炭素原子数6〜24のアリール基を表し、R2〜R5及びR7〜R10は各々独立して、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、又は炭素原子数5〜24の芳香族基から選択される)
に従う請求項1に記載のOLED。
【請求項14】
前記追加の層中の前記アントラセンが、式(I):
【化7】

(式中、R1及びR6は各々独立して、炭素原子数6〜24のアリール基を表し、R2〜R5及びR7〜R10は各々独立して、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、又は炭素原子数5〜24の芳香族基から選択される)
に従う請求項6に記載のOLEDデバイス。
【請求項15】
前記第二電子輸送層中の前記アントラセンと前記追加の層中の前記アントラセンが同じである請求項14に記載のOLEDデバイス。
【請求項16】
前記発光層中の前記アントラセンホストが、式(I):
【化8】

(式中、R1及びR6は各々独立して、炭素原子数6〜24のアリール基を表し、R2〜R5及びR7〜R10は各々独立して、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、又は炭素原子数5〜24の芳香族基から選択される)
に従う請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項17】
前記スチリルアミン青色発光化合物が、式(II):
【化9】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、独立して選択される炭素原子数6〜24の環のアリール基(但しR1とR2又はR3とR4は結合して環を形成してもよい)、又は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R5はアルキル基及びアリール基から選択され、nは0〜4であり、R6及びR7は、水素、アルキル基又はアリール基から独立して選択され、且つArは置換若しくは非置換の炭素原子数6〜30の環のアリール基である)
に従う請求項1に記載のOLEDデバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2013−514665(P2013−514665A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544621(P2012−544621)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059440
【国際公開番号】WO2011/075359
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】