高周波部品
【課題】共振周波数の温度による変動を抑止する高周波部品を提供する。
【解決手段】円筒キャビティ10と、帯状部材20と、金属ポスト21、22とを備えた高周波部品である。帯状部材20は、円筒キャビティ10の外周に沿って配置される。金属ポスト21、22は、帯状部材20を貫通して、円筒キャビティ10に挿入される。帯状部材を形成する材料の線膨張係数は、円筒キャビティ10を形成する材料の線膨張係数よりも小さい。
【解決手段】円筒キャビティ10と、帯状部材20と、金属ポスト21、22とを備えた高周波部品である。帯状部材20は、円筒キャビティ10の外周に沿って配置される。金属ポスト21、22は、帯状部材20を貫通して、円筒キャビティ10に挿入される。帯状部材を形成する材料の線膨張係数は、円筒キャビティ10を形成する材料の線膨張係数よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯ないしミリ波帯で動作する高周波無線通信装置等に用いられる高周波部品に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波帯以上の高周波帯で使用される従来の代表的な円形導波管型のTE111モードの共振器の動作原理を、図10を参照して説明する。
この種のTE111モードの共振器は、その両端が端板で閉じられた金属製の円筒キャビティ10と、それぞれ基本モードがTE10の方形導波管である入力導波管11及び出力導波管12とを備えている。円筒キャビティ10の両端の端板には、入力用導波管11のTE10モードを円形導波管のTE11モードに変換するための結合孔13と、円形導波管のTE11モードを出力用導波管11のTE10モードに変換するための結合孔14とが形成されている。各結合孔13、14では、それぞれ結合度Kで、円形導波管TE11モードの主電界15と結合する。なお、図10は、共振次数が「1」の場合の例であり、主電界15は単一方向となる。
【0003】
入力導波管11に導かれたTE10モードの電磁波は、結合孔13により、結合度KでTE11モードに変換され、円筒キャビティ10に導かれる。また、円筒キャビティ10におけるTE10モードの電磁波は、結合度Kで出力側の結合孔14に導かれるが、結合孔14の位置を、共振器の軸長が所望の共振周波数の半波長になる位置とすることで、全体として、TE111モードの共振器として動作するようになっている。
TE111モードで動作するときの共振器の等価回路図を図11に示す。図中、Kは、それぞれ結合孔13、14の結合度を示している。図11に示すように、円筒キャビティ10は、LC共振回路となる。図12は、円形導波管のTE11モードの電磁界分布である。実線は電界分布、破線は磁界分布を示している。
【0004】
円筒キャビティ10には、共振周波数を可変する目的で、円筒キャビティ10内にその先端が挿入される金属ポスト等を設ける場合がある。図13は、図10に示したTE111モードの共振器の円筒キャビティ10を、便宜上、部分的に示した図である。図示の例では、金属ポスト21、22が、円筒キャビティ10のほぼ中央部であって、その先端が主電界15の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。図14は、図13のように金属ポスト21、22が配置された円筒キャビティ10の断面図である。図示されるように、金属ポスト21、22がTE111モードの主電界15の方向と同じ方向に移動可能に挿入されることで、LC共振回路のうちCの部分、つまり容量性リアクタンスが変化し、共振周波数が変動する。一般に、挿入量が多くなると容量性リアクタンスが大きくなり、共振周波数が低下する。これが、一般的なTE111モードの共振器の動作原理である。
【0005】
なお、金属ポスト21、22を円筒キャビティ10のほぼ中央部に配置するのは、容量性リアクタンスの変化を大きくするための一手法にすぎない。金属ポスト21、22の配置位置は、所望の変化量に応じて決めればよい。
図10に示した共振器における共振次数を「2」にしたときの電界分布を図15に示す。この図15から判るように、共振次数が「2」になると、主磁界16の方向は2方向となる。共振次数は、「3」以上になることもあるが、共振次数は、所望の要求性能にしたがって決めれば良いことなので、ここでは、「3」以上の場合については省略する。
【0006】
TE111モードの共振器には、種々の変形例がある。
図16は、変形例の一つであり、円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。便宜上、図10に示した共振器と同じ構成要素については、同じ符号を付してある。図10との相違点は、共振器内の2つの直交する電界を結合させて、いわゆる2重TE11モードにした点にある。
「2重TE11モード」とは、一つの共振器で、円形導波管における水平偏波TE11モードと垂直偏波TE11モードとを互いに直交させるモードを指し、単一のTE11モードを縦続に2個接続したことと等価となる。
【0007】
図17は、図16に示した共振器の円筒キャビティ10のみを示す図である。この円筒キャビティ10には、共振周波数を可変にするために、ほぼ中央部に金属ポスト23、24が配置されている。金属ポスト23は、その先端が垂直偏波の主電界151の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。金属ポスト24は、その先端が水平偏波の主電界152の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。図18は、この円筒キャビティ10の中央付近の断面図である。金属ポスト23、24が共振モードTE111の垂直/水平の主電界151、152に対して同じ方向に挿入されるので、共振器の容量性リアクタンスが増加して、共振周波数が変動する。金属ポスト23、24を共振器の中央付近に配置するのは、容量性リアクタンスの変化を大きくするためであり、所望の変化量に応じて配置位置が決められる。
【0008】
図19は、従来の円形導波管型の2重TE111モードの共振器を縦続接続して構成した導波管帯域通過フィルタを示す図である。図20は、この帯域通過フィルタの等価回路図である。K1は、結合孔13、14の結合度であり、K2は、2つの直交する電界151、152間の結合度であり、K3は、円筒キャビティ10内の結合孔16の結合度である。
【0009】
以上のような従来技術において問題になるのが、温度変化に伴う共振周波数の変動である。通常、円形導波管型の共振器は、金属を加工して製作するが、湿度を一定に保ったときに共振周波数が温度変化により変動する理由は主に2つある。
第1の理由は、温度変化により、共振器材料の線膨張係数に依存する円形導波管の直径が変動することにある。
第2の理由は、温度変化により、共振器材料の線膨張係数に依存する円筒共振器の軸長が変動することである。
【0010】
円形導波管型のTE11nモードの共振器の共振周波数f0は、式(1)で表される。
f0=c√((X/π)2+(nD/2L)2)/D …(1)
D:円形導波管の直径、L:共振軸長、n:共振次数、TE111モードの場合「1」、X:TE11モードの場合、1.841
【0011】
円形導波管型の共振器の温度変化を考慮した物理寸法は、共振器を構成している部材の線膨張係数αによって、式(2)、(3)のように表される。
D=D+α・Δt・D …(2)
L=L+α・Δt・L …(3)
【0012】
共振器の直径Dおよび高さLは、温度が上昇するにつれて膨張して大きくなる。例えば、7[GHz]帯の共振器において、温度変化により共振周波数は、共振器部材の線膨張係数がα1またはα2(α1>α2)のとき、図21の実線および破線のように変動する。
【0013】
図21より明らかなように、共振周波数の温度依存性は負の傾きを持ち、変動率は、共振器の線膨張係数に依存する。従来、円形導波管型のTE11nモードの共振器を単体で使う場合も、或いは帯域通過フィルタを構成して使う場合でも、共振周波数の温度変動は好ましくないので、温度変動を抑止するために、共振器の材料として線膨張係数が極めて小さいものを選んでいる。
【0014】
例えば線膨張係数が12×10−6/Kの鉄により形成された共振器の共振周波数は、この線膨張係数に応じた温度変動率であるが、鉄とニッケルの合金であるインパーを使った場合には温度変動率がその10分の1に改善される。
しかし、共振周波数の温度変化による変動を抑止するために線膨張係数の極めて小さい金属材料を採用せざるを得ないことは、コスト高につながり、また、このような金属材料は入手が困難である。
【0015】
特許文献1には、TE10共振器の膨張、収縮による共振周波数の変動を、共振器に駆動機構を設けて周波数調整ねじの挿入量を変化させることで相殺する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−275304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、高価で入手性の悪い金属材料を使うことなく、共振周波数の温度による変動を抑止する高周波部品を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決する本発明の高周波部品は、筒状に成形された導波管を有しており、前記導波管の外周に沿って、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された帯状部材が装着されている。
このような構成の高周波部品は、帯状部材を備えることで導波管の径方向の温度変化に起因する寸法の変化が抑制される。そのために、式(1)で示したような導波管のサイズの温度変化に伴う共振周波数の変動が抑止される。
【0018】
前記帯状部材は、例えば、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着されると、共振周波数の温度変化に伴う変動を抑止する効果が高くなる。
なお、このような高周波部品には、前記帯状部材を貫通して前記導波管に少なくとも一部が挿入される金属製のポストを設けてもよい。この場合、前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになる。
【0019】
本発明の高周波部品は、筒状に成形された導波管と、前記導波管の外周から導波管内に少なくとも一部が挿入されており、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された調整用ポストと、を備えている。前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになっている。
【0020】
調整用ポストは、高周波部品を共振器として用いた場合に容量性リアクタンスを生成する。調整用ポストが移動可能、つまり導波管内への挿入量が可変なので、共振周波数が可変になる。この調整用ポストの温度変化に対する寸法の変動は、線膨張係数の関係で導波管よりも小さい。そのために、共振周波数の温度変化に伴う変動を抑止できる。調整用ポストの材料は金属に限定する必要がなく、低線膨張係数が容易に得られるセラミックなども用いることができる。
前記調整用ポストは、例えば、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着されることで、共振周波数の温度変化に伴う変動を抑止する効果が高くなる。
【発明の効果】
【0021】
上記のような本発明により、高価で入手性の悪い金属材料の使用量を減らして、共振周波数の温度による変動を抑止する安価な高周波部品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る円形導波管型のTE111モードの共振器を示す図である。
図10に示す従来の共振器との相違点は、円筒キャビティ10に用いる材料よりも線膨張係数が低い材料により、円筒キャビティ10の外周に沿って帯状部材20を設けた点である。帯状部材20は、円筒キャビティ10に、例えば蝋付けにより接合されている。なお、図1では、共振周波数を調整可能にするために、図13に示すような金属ポスト10、11を、帯状部材20を貫通して円筒キャビティ10に挿入している。第1実施形態では、円筒キャビティ10の材料が線膨張係数12×10−6/Kの鉄であり、帯状部材20の材料が線膨張係数1.2×10−6/Kのインバーである。
【0023】
円筒キャビティ10と帯状部材20とを同じ材料で作成した場合、線膨張係数が同じなので、温度変化に対する共振周波数の変動率は従来と変わらない。しかし、帯状部材20の線膨張係数を円筒キャビティ10の線膨張係数よりも低くすると、帯状部材20の温度による形状の変化が円筒キャビティ10の温度による形状の変化よりも小さいので、温度の変化により円筒キャビティ10が直径方向に変形しようとしても、帯状部材20がそれを妨げるようになる。そのために、円筒キャビティ10の温度変化による共振周波数の変動が抑えられる。特に、図1では帯状部材20を円筒キャビティ20の中央に設けているために、円筒キャビティ20の中央に電界が最も大きな部分があるTE111モードの共振器の温度変化による共振周波数の変化を抑止する効果が大きい。
【0024】
なお、この実施形態では帯状部材20が円筒キャビティ10を完全に囲うリング状になっているが、リング状でなく一部が欠けた形状であっても、同様の効果が得られることはいうまでもない。また、帯状部材20にインバーを用いるが、全体をインバーで構成するよりもはるかに低コストに抑えることができる。
【0025】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態に係る円形導波管型のTE112モードの共振器を示す図である。第1実施形態の共振器との相違点は、共振次数が「2」のため、共振器の内部で電界が最も大きくなる部分が2箇所発生するので、この場所に合わせて2つの帯状部材201、202を配置した点である。帯状部材201、202にも、共振周波数を調整するための金属ポスト21A、B、22A、Bが設けられている。
第2実施形態の共振器は、上記のような第1実施形態の共振器との相違点を有するが、帯状部材201、202による温度変化に対する共振周波数の変動の抑止については、第1実施形態と同じである。
【0026】
[第3実施形態]
図3は、第3実施形態に係る円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。第1実施形態との相違点は、2重TE11モードの共振周波数を調整するための金属ポスト23、24が垂直偏波と水平偏波の主電界151、152に対応して、設置されている点である。金属ポスト23は垂直偏波の主電界151の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。金属ポスト24は水平偏波の主電界152の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。
第3実施形態の共振器は、上記のような第1実施形態の共振器との相違点を有するが、帯状部材20による温度変化に対する共振周波数の抑止については、第1実施形態と同じである。
【0027】
[第4実施形態]
図4は、第4実施形態に係る円形導波管型の2重TE112モードの共振器を示す図である。第2実施形態との相違点は、2重TE11モードの共振周波数を調整するための金属ポスト23A、B、24A、Bが垂直偏波と水平偏波の主電界151、152に対応して、設置されている点である。金属ポスト23A、Bは垂直偏波の主電界151に対応しており、金属ポスト24A、Bは水平偏波の主電界152に対応している。
第4実施形態の共振器の帯状部材201、202による温度変化に対する共振周波数の抑止については、第1実施形態と同じである。
【0028】
以上の各実施形態では、線膨張係数の小さい帯状部材をTE11共振器の電界が集中する部分に巻き付けることで、共振器本体の膨張を抑制し、共振周波数の変動を抑えている。また、TE11共振器の2重モードでは、第1のモードの共振周波数変動と第2のモードの共振周波数変動の両方に効果がある。
金属ポストの膨張は従来通りであり、特許文献1のように、共振器膨張時に金属ポスト(ねじ)が抜ける方向に動く場合に対しては、共振器周波数の変動が大きい可能性がある。しかし、帯状部材を共振器に巻くことで、特許文献1の駆動機構を設ける場合よりも簡単な構造で効果が得られる。
【0029】
[第5実施形態]
図5は、第5実施形態に係る円形導波管型のTE111モードの共振器を示す図である。図13に示す従来の共振器との相違点は、共振周波数を調整するための調整用ポスト27、28の材料に、円筒キャビティ10に用いる材料よりも線膨張係数の小さい素材を用いる点である。この実施形態では、調整用ポスト27、28の材料に、線膨張係数が約2.0×10−6/Kのセラミックスを用いており、円筒キャビティ10の材料は、線膨張係数が12×10−6/Kの鉄を用いている。
【0030】
円筒キャビティ10内部の電界が調整用ポスト27、28に作用する原理を図6を参照して説明する。
調整用ポスト27、28は、少なくとも共振器の内部に挿入される部分がセラミックスである。共振器内の電界は、調整用ポスト27、28に集中しており、等価回路としては、容量性リアクタンスが増加したことになる。共振器として動作するときは、この容量性リアクタンスも含んで共振周波数が決まる。
【0031】
従来のように調整用ポスト27、28の材料として共振器と同じ鉄を用いると、温度が上昇した場合、調整用ポスト27、28が、12×10−6/Kの線膨張係数で、挿入長と直径を増大させ、共振周波数を低域側に変化させる。一方、円筒キャビティ10は、同様に12×10−6/Kの線膨張係数で円筒キャビティ10の直径と円筒軸長を増大させ、共振周波数を低域側に変化させる。このように、円筒キャビティ10及び調整用ポスト27、28の共振周波数に対する作用は、いずれも低域側に変化させることになる。そのために、もし調整用ポスト21、22の材料に線膨張係数の大きな黄銅(18×10−6/K)などを使った場合、共振周波数の温度変動はさらに大きくなる。
【0032】
調整用ポスト27、28に線膨張係数が円筒キャビティ10よりも小さい場合には、温度が変化した場合に、調整用ポスト27、28がその線膨張係数に従って挿入長とポスト径が変化する。しかし、この変化量は小さいので共振周波数は円筒キャビティ10による温度変動に支配される。この実施形態では、調整用ポスト27、28の材料として線膨張係数が約2.0×10−6/Kのセラミックスを用いたが、入手製性に問題が無ければ、インバーのような線膨張係数が小さい金属(1.2×10−6/K)でも良い。
【0033】
この実施形態では、共振器の共振次数が「1」であるために、調整用ポスト27、28が円筒キャビティ10のほぼ中央に設けられる。共振次数が「2」の場合には、第2実施形態の帯状部材201、202と同様に、共振器の内部で電界が最も大きくなる部分が2箇所発生するので、この場所に合わせて調整用ポストが配置される。
【0034】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態に係る円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。温度変化に対する共振周波数の抑止については、第5実施形態と同じであるの説明を省略する。
共振器内部の調整用ポスト27〜30と2重TE11モードの主電界151、152の関係を図8、図9に示す。調整用ポスト27〜30が、垂直偏波と水平偏波の主電界151、152に対応して設置されている。調整用ポスト27、29は、垂直偏波の主電界151の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。調整用ポスト28、30は、水平偏波の主電界152の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。そのために、共振器の容量性リアクタンスが増加して共振周波数が変動する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図6】円筒キャビティ内部の電界が調整用ポスに作用する原理を説明するための図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図8】共振器内部の調整用ポストと主電界の関係を示す図である。
【図9】共振器内部の調整用ポストと主電界の関係を示す図である。
【図10】従来の円形導波管型の共振器を示す図である。
【図11】図10の共振器の等価回路図である。
【図12】円形導波管のTE11モードの電磁界分布を示す図である。
【図13】図10に示した共振器の円筒キャビティのみを示した図である。
【図14】金属ポストが配置された円筒キャビティの断面図である。
【図15】共振次数が「2」の共振器の電界分布を示す図である。
【図16】従来の円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。
【図17】図16に示した共振器の円筒キャビティのみを示す図である。
【図18】金属ポストが配置された円筒キャビティの断面図である。
【図19】従来の円形導波管型の2重TE111モードの共振器を縦続接続して構成した導波管帯域通過フィルタを示す図である。
【図20】図19の帯域通過フィルタの等価回路図である。
【図21】温度変化による共振周波数の変動を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 円筒キャビティ
11 入力導波管
12 出力導波管
13、14、16 結合孔
15、151、152 主電界
20、201、202 帯状部材
21〜26、21A、B、22A、B、23A、B、24A、B 金属ポスト
27〜30 調整用ポスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯ないしミリ波帯で動作する高周波無線通信装置等に用いられる高周波部品に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波帯以上の高周波帯で使用される従来の代表的な円形導波管型のTE111モードの共振器の動作原理を、図10を参照して説明する。
この種のTE111モードの共振器は、その両端が端板で閉じられた金属製の円筒キャビティ10と、それぞれ基本モードがTE10の方形導波管である入力導波管11及び出力導波管12とを備えている。円筒キャビティ10の両端の端板には、入力用導波管11のTE10モードを円形導波管のTE11モードに変換するための結合孔13と、円形導波管のTE11モードを出力用導波管11のTE10モードに変換するための結合孔14とが形成されている。各結合孔13、14では、それぞれ結合度Kで、円形導波管TE11モードの主電界15と結合する。なお、図10は、共振次数が「1」の場合の例であり、主電界15は単一方向となる。
【0003】
入力導波管11に導かれたTE10モードの電磁波は、結合孔13により、結合度KでTE11モードに変換され、円筒キャビティ10に導かれる。また、円筒キャビティ10におけるTE10モードの電磁波は、結合度Kで出力側の結合孔14に導かれるが、結合孔14の位置を、共振器の軸長が所望の共振周波数の半波長になる位置とすることで、全体として、TE111モードの共振器として動作するようになっている。
TE111モードで動作するときの共振器の等価回路図を図11に示す。図中、Kは、それぞれ結合孔13、14の結合度を示している。図11に示すように、円筒キャビティ10は、LC共振回路となる。図12は、円形導波管のTE11モードの電磁界分布である。実線は電界分布、破線は磁界分布を示している。
【0004】
円筒キャビティ10には、共振周波数を可変する目的で、円筒キャビティ10内にその先端が挿入される金属ポスト等を設ける場合がある。図13は、図10に示したTE111モードの共振器の円筒キャビティ10を、便宜上、部分的に示した図である。図示の例では、金属ポスト21、22が、円筒キャビティ10のほぼ中央部であって、その先端が主電界15の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。図14は、図13のように金属ポスト21、22が配置された円筒キャビティ10の断面図である。図示されるように、金属ポスト21、22がTE111モードの主電界15の方向と同じ方向に移動可能に挿入されることで、LC共振回路のうちCの部分、つまり容量性リアクタンスが変化し、共振周波数が変動する。一般に、挿入量が多くなると容量性リアクタンスが大きくなり、共振周波数が低下する。これが、一般的なTE111モードの共振器の動作原理である。
【0005】
なお、金属ポスト21、22を円筒キャビティ10のほぼ中央部に配置するのは、容量性リアクタンスの変化を大きくするための一手法にすぎない。金属ポスト21、22の配置位置は、所望の変化量に応じて決めればよい。
図10に示した共振器における共振次数を「2」にしたときの電界分布を図15に示す。この図15から判るように、共振次数が「2」になると、主磁界16の方向は2方向となる。共振次数は、「3」以上になることもあるが、共振次数は、所望の要求性能にしたがって決めれば良いことなので、ここでは、「3」以上の場合については省略する。
【0006】
TE111モードの共振器には、種々の変形例がある。
図16は、変形例の一つであり、円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。便宜上、図10に示した共振器と同じ構成要素については、同じ符号を付してある。図10との相違点は、共振器内の2つの直交する電界を結合させて、いわゆる2重TE11モードにした点にある。
「2重TE11モード」とは、一つの共振器で、円形導波管における水平偏波TE11モードと垂直偏波TE11モードとを互いに直交させるモードを指し、単一のTE11モードを縦続に2個接続したことと等価となる。
【0007】
図17は、図16に示した共振器の円筒キャビティ10のみを示す図である。この円筒キャビティ10には、共振周波数を可変にするために、ほぼ中央部に金属ポスト23、24が配置されている。金属ポスト23は、その先端が垂直偏波の主電界151の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。金属ポスト24は、その先端が水平偏波の主電界152の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。図18は、この円筒キャビティ10の中央付近の断面図である。金属ポスト23、24が共振モードTE111の垂直/水平の主電界151、152に対して同じ方向に挿入されるので、共振器の容量性リアクタンスが増加して、共振周波数が変動する。金属ポスト23、24を共振器の中央付近に配置するのは、容量性リアクタンスの変化を大きくするためであり、所望の変化量に応じて配置位置が決められる。
【0008】
図19は、従来の円形導波管型の2重TE111モードの共振器を縦続接続して構成した導波管帯域通過フィルタを示す図である。図20は、この帯域通過フィルタの等価回路図である。K1は、結合孔13、14の結合度であり、K2は、2つの直交する電界151、152間の結合度であり、K3は、円筒キャビティ10内の結合孔16の結合度である。
【0009】
以上のような従来技術において問題になるのが、温度変化に伴う共振周波数の変動である。通常、円形導波管型の共振器は、金属を加工して製作するが、湿度を一定に保ったときに共振周波数が温度変化により変動する理由は主に2つある。
第1の理由は、温度変化により、共振器材料の線膨張係数に依存する円形導波管の直径が変動することにある。
第2の理由は、温度変化により、共振器材料の線膨張係数に依存する円筒共振器の軸長が変動することである。
【0010】
円形導波管型のTE11nモードの共振器の共振周波数f0は、式(1)で表される。
f0=c√((X/π)2+(nD/2L)2)/D …(1)
D:円形導波管の直径、L:共振軸長、n:共振次数、TE111モードの場合「1」、X:TE11モードの場合、1.841
【0011】
円形導波管型の共振器の温度変化を考慮した物理寸法は、共振器を構成している部材の線膨張係数αによって、式(2)、(3)のように表される。
D=D+α・Δt・D …(2)
L=L+α・Δt・L …(3)
【0012】
共振器の直径Dおよび高さLは、温度が上昇するにつれて膨張して大きくなる。例えば、7[GHz]帯の共振器において、温度変化により共振周波数は、共振器部材の線膨張係数がα1またはα2(α1>α2)のとき、図21の実線および破線のように変動する。
【0013】
図21より明らかなように、共振周波数の温度依存性は負の傾きを持ち、変動率は、共振器の線膨張係数に依存する。従来、円形導波管型のTE11nモードの共振器を単体で使う場合も、或いは帯域通過フィルタを構成して使う場合でも、共振周波数の温度変動は好ましくないので、温度変動を抑止するために、共振器の材料として線膨張係数が極めて小さいものを選んでいる。
【0014】
例えば線膨張係数が12×10−6/Kの鉄により形成された共振器の共振周波数は、この線膨張係数に応じた温度変動率であるが、鉄とニッケルの合金であるインパーを使った場合には温度変動率がその10分の1に改善される。
しかし、共振周波数の温度変化による変動を抑止するために線膨張係数の極めて小さい金属材料を採用せざるを得ないことは、コスト高につながり、また、このような金属材料は入手が困難である。
【0015】
特許文献1には、TE10共振器の膨張、収縮による共振周波数の変動を、共振器に駆動機構を設けて周波数調整ねじの挿入量を変化させることで相殺する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−275304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、高価で入手性の悪い金属材料を使うことなく、共振周波数の温度による変動を抑止する高周波部品を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決する本発明の高周波部品は、筒状に成形された導波管を有しており、前記導波管の外周に沿って、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された帯状部材が装着されている。
このような構成の高周波部品は、帯状部材を備えることで導波管の径方向の温度変化に起因する寸法の変化が抑制される。そのために、式(1)で示したような導波管のサイズの温度変化に伴う共振周波数の変動が抑止される。
【0018】
前記帯状部材は、例えば、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着されると、共振周波数の温度変化に伴う変動を抑止する効果が高くなる。
なお、このような高周波部品には、前記帯状部材を貫通して前記導波管に少なくとも一部が挿入される金属製のポストを設けてもよい。この場合、前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになる。
【0019】
本発明の高周波部品は、筒状に成形された導波管と、前記導波管の外周から導波管内に少なくとも一部が挿入されており、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された調整用ポストと、を備えている。前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになっている。
【0020】
調整用ポストは、高周波部品を共振器として用いた場合に容量性リアクタンスを生成する。調整用ポストが移動可能、つまり導波管内への挿入量が可変なので、共振周波数が可変になる。この調整用ポストの温度変化に対する寸法の変動は、線膨張係数の関係で導波管よりも小さい。そのために、共振周波数の温度変化に伴う変動を抑止できる。調整用ポストの材料は金属に限定する必要がなく、低線膨張係数が容易に得られるセラミックなども用いることができる。
前記調整用ポストは、例えば、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着されることで、共振周波数の温度変化に伴う変動を抑止する効果が高くなる。
【発明の効果】
【0021】
上記のような本発明により、高価で入手性の悪い金属材料の使用量を減らして、共振周波数の温度による変動を抑止する安価な高周波部品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る円形導波管型のTE111モードの共振器を示す図である。
図10に示す従来の共振器との相違点は、円筒キャビティ10に用いる材料よりも線膨張係数が低い材料により、円筒キャビティ10の外周に沿って帯状部材20を設けた点である。帯状部材20は、円筒キャビティ10に、例えば蝋付けにより接合されている。なお、図1では、共振周波数を調整可能にするために、図13に示すような金属ポスト10、11を、帯状部材20を貫通して円筒キャビティ10に挿入している。第1実施形態では、円筒キャビティ10の材料が線膨張係数12×10−6/Kの鉄であり、帯状部材20の材料が線膨張係数1.2×10−6/Kのインバーである。
【0023】
円筒キャビティ10と帯状部材20とを同じ材料で作成した場合、線膨張係数が同じなので、温度変化に対する共振周波数の変動率は従来と変わらない。しかし、帯状部材20の線膨張係数を円筒キャビティ10の線膨張係数よりも低くすると、帯状部材20の温度による形状の変化が円筒キャビティ10の温度による形状の変化よりも小さいので、温度の変化により円筒キャビティ10が直径方向に変形しようとしても、帯状部材20がそれを妨げるようになる。そのために、円筒キャビティ10の温度変化による共振周波数の変動が抑えられる。特に、図1では帯状部材20を円筒キャビティ20の中央に設けているために、円筒キャビティ20の中央に電界が最も大きな部分があるTE111モードの共振器の温度変化による共振周波数の変化を抑止する効果が大きい。
【0024】
なお、この実施形態では帯状部材20が円筒キャビティ10を完全に囲うリング状になっているが、リング状でなく一部が欠けた形状であっても、同様の効果が得られることはいうまでもない。また、帯状部材20にインバーを用いるが、全体をインバーで構成するよりもはるかに低コストに抑えることができる。
【0025】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態に係る円形導波管型のTE112モードの共振器を示す図である。第1実施形態の共振器との相違点は、共振次数が「2」のため、共振器の内部で電界が最も大きくなる部分が2箇所発生するので、この場所に合わせて2つの帯状部材201、202を配置した点である。帯状部材201、202にも、共振周波数を調整するための金属ポスト21A、B、22A、Bが設けられている。
第2実施形態の共振器は、上記のような第1実施形態の共振器との相違点を有するが、帯状部材201、202による温度変化に対する共振周波数の変動の抑止については、第1実施形態と同じである。
【0026】
[第3実施形態]
図3は、第3実施形態に係る円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。第1実施形態との相違点は、2重TE11モードの共振周波数を調整するための金属ポスト23、24が垂直偏波と水平偏波の主電界151、152に対応して、設置されている点である。金属ポスト23は垂直偏波の主電界151の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。金属ポスト24は水平偏波の主電界152の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。
第3実施形態の共振器は、上記のような第1実施形態の共振器との相違点を有するが、帯状部材20による温度変化に対する共振周波数の抑止については、第1実施形態と同じである。
【0027】
[第4実施形態]
図4は、第4実施形態に係る円形導波管型の2重TE112モードの共振器を示す図である。第2実施形態との相違点は、2重TE11モードの共振周波数を調整するための金属ポスト23A、B、24A、Bが垂直偏波と水平偏波の主電界151、152に対応して、設置されている点である。金属ポスト23A、Bは垂直偏波の主電界151に対応しており、金属ポスト24A、Bは水平偏波の主電界152に対応している。
第4実施形態の共振器の帯状部材201、202による温度変化に対する共振周波数の抑止については、第1実施形態と同じである。
【0028】
以上の各実施形態では、線膨張係数の小さい帯状部材をTE11共振器の電界が集中する部分に巻き付けることで、共振器本体の膨張を抑制し、共振周波数の変動を抑えている。また、TE11共振器の2重モードでは、第1のモードの共振周波数変動と第2のモードの共振周波数変動の両方に効果がある。
金属ポストの膨張は従来通りであり、特許文献1のように、共振器膨張時に金属ポスト(ねじ)が抜ける方向に動く場合に対しては、共振器周波数の変動が大きい可能性がある。しかし、帯状部材を共振器に巻くことで、特許文献1の駆動機構を設ける場合よりも簡単な構造で効果が得られる。
【0029】
[第5実施形態]
図5は、第5実施形態に係る円形導波管型のTE111モードの共振器を示す図である。図13に示す従来の共振器との相違点は、共振周波数を調整するための調整用ポスト27、28の材料に、円筒キャビティ10に用いる材料よりも線膨張係数の小さい素材を用いる点である。この実施形態では、調整用ポスト27、28の材料に、線膨張係数が約2.0×10−6/Kのセラミックスを用いており、円筒キャビティ10の材料は、線膨張係数が12×10−6/Kの鉄を用いている。
【0030】
円筒キャビティ10内部の電界が調整用ポスト27、28に作用する原理を図6を参照して説明する。
調整用ポスト27、28は、少なくとも共振器の内部に挿入される部分がセラミックスである。共振器内の電界は、調整用ポスト27、28に集中しており、等価回路としては、容量性リアクタンスが増加したことになる。共振器として動作するときは、この容量性リアクタンスも含んで共振周波数が決まる。
【0031】
従来のように調整用ポスト27、28の材料として共振器と同じ鉄を用いると、温度が上昇した場合、調整用ポスト27、28が、12×10−6/Kの線膨張係数で、挿入長と直径を増大させ、共振周波数を低域側に変化させる。一方、円筒キャビティ10は、同様に12×10−6/Kの線膨張係数で円筒キャビティ10の直径と円筒軸長を増大させ、共振周波数を低域側に変化させる。このように、円筒キャビティ10及び調整用ポスト27、28の共振周波数に対する作用は、いずれも低域側に変化させることになる。そのために、もし調整用ポスト21、22の材料に線膨張係数の大きな黄銅(18×10−6/K)などを使った場合、共振周波数の温度変動はさらに大きくなる。
【0032】
調整用ポスト27、28に線膨張係数が円筒キャビティ10よりも小さい場合には、温度が変化した場合に、調整用ポスト27、28がその線膨張係数に従って挿入長とポスト径が変化する。しかし、この変化量は小さいので共振周波数は円筒キャビティ10による温度変動に支配される。この実施形態では、調整用ポスト27、28の材料として線膨張係数が約2.0×10−6/Kのセラミックスを用いたが、入手製性に問題が無ければ、インバーのような線膨張係数が小さい金属(1.2×10−6/K)でも良い。
【0033】
この実施形態では、共振器の共振次数が「1」であるために、調整用ポスト27、28が円筒キャビティ10のほぼ中央に設けられる。共振次数が「2」の場合には、第2実施形態の帯状部材201、202と同様に、共振器の内部で電界が最も大きくなる部分が2箇所発生するので、この場所に合わせて調整用ポストが配置される。
【0034】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態に係る円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。温度変化に対する共振周波数の抑止については、第5実施形態と同じであるの説明を省略する。
共振器内部の調整用ポスト27〜30と2重TE11モードの主電界151、152の関係を図8、図9に示す。調整用ポスト27〜30が、垂直偏波と水平偏波の主電界151、152に対応して設置されている。調整用ポスト27、29は、垂直偏波の主電界151の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。調整用ポスト28、30は、水平偏波の主電界152の方向と同じ方向に移動可能に挿入される。そのために、共振器の容量性リアクタンスが増加して共振周波数が変動する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図6】円筒キャビティ内部の電界が調整用ポスに作用する原理を説明するための図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る円形導波管型の共振器を示す図である。
【図8】共振器内部の調整用ポストと主電界の関係を示す図である。
【図9】共振器内部の調整用ポストと主電界の関係を示す図である。
【図10】従来の円形導波管型の共振器を示す図である。
【図11】図10の共振器の等価回路図である。
【図12】円形導波管のTE11モードの電磁界分布を示す図である。
【図13】図10に示した共振器の円筒キャビティのみを示した図である。
【図14】金属ポストが配置された円筒キャビティの断面図である。
【図15】共振次数が「2」の共振器の電界分布を示す図である。
【図16】従来の円形導波管型の2重TE111モードの共振器を示す図である。
【図17】図16に示した共振器の円筒キャビティのみを示す図である。
【図18】金属ポストが配置された円筒キャビティの断面図である。
【図19】従来の円形導波管型の2重TE111モードの共振器を縦続接続して構成した導波管帯域通過フィルタを示す図である。
【図20】図19の帯域通過フィルタの等価回路図である。
【図21】温度変化による共振周波数の変動を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 円筒キャビティ
11 入力導波管
12 出力導波管
13、14、16 結合孔
15、151、152 主電界
20、201、202 帯状部材
21〜26、21A、B、22A、B、23A、B、24A、B 金属ポスト
27〜30 調整用ポスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に成形された導波管を有しており、
前記導波管の外周に沿って、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された帯状部材が装着されている、
高周波部品。
【請求項2】
前記帯状部材は、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着される、
請求項1記載の高周波部品。
【請求項3】
前記帯状部材を貫通して前記導波管に少なくとも一部が挿入される金属製のポストが設けられており、
前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになっている、
請求項1記載の高周波部品。
【請求項4】
筒状に成形された導波管と、
前記導波管の外周から導波管内に少なくとも一部が挿入されており、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された調整用ポストと、を備え、
前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになっている、
高周波部品。
【請求項5】
前記調整用ポストは、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着される、
請求項4記載の高周波部品。
【請求項1】
筒状に成形された導波管を有しており、
前記導波管の外周に沿って、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された帯状部材が装着されている、
高周波部品。
【請求項2】
前記帯状部材は、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着される、
請求項1記載の高周波部品。
【請求項3】
前記帯状部材を貫通して前記導波管に少なくとも一部が挿入される金属製のポストが設けられており、
前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになっている、
請求項1記載の高周波部品。
【請求項4】
筒状に成形された導波管と、
前記導波管の外周から導波管内に少なくとも一部が挿入されており、前記導波管を形成する材料よりも線膨張係数が小さい材料により形成された調整用ポストと、を備え、
前記ポストが前記導波管内に発生する電界の方向と同じ方向に移動可能になっており、前記導波管に挿入される量により共振周波数が決まるようになっている、
高周波部品。
【請求項5】
前記調整用ポストは、前記導波管内に発生する電界が最も大きな部分に装着される、
請求項4記載の高周波部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−267702(P2009−267702A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113986(P2008−113986)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者:島田理化工業株式会社 刊行物名:島田理化技法 No.19、2007年12月8日発行
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者:島田理化工業株式会社 刊行物名:島田理化技法 No.19、2007年12月8日発行
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]