説明

高固形分分散体

本発明は、以下の分散体を含有する組成物を提供する:(a)以下からなる群から選択される金属塩基:(i)金属水酸化物であって、該金属水酸化物は、該組成物の約51重量%より高い固形分を有する;(ii)金属水酸化物以外の金属塩基であって、該金属水酸化物以外の金属塩基は、該組成物の15重量%より高い固形分を有する;および(iii)それらの混合物(b)界面活性剤;および(c)約2重量%未満の水を含有する有機媒体。本発明は、さらに、この組成物を製造する方法およびその使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、金属塩基;界面活性剤;約2重量%未満の水を含有する有機媒体;および、必要に応じて、カルボン酸を含有する組成物に関する。本発明は、さらに、該組成物を製造する方法およびその使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
潤滑粘性のあるオイル(例えば、水酸化リチウム)に通常不溶である金属塩基を含有する分散体をいかにして調製するかは、周知である。この金属塩基を含有する分散体は、低い固形分(すなわち、分散体中での金属塩基の量)を有し、これは、典型的には、約10重量%までである。約10重量%より高い固形分を有するこの種の分散体は、この金属塩基が脱落して堆積物を形成しないように分散体を安定化するための多量の界面活性剤の存在なしでは、不安定である。また、低固形分分散体は、多量の担体媒体(しばしば、潤滑粘性のあるオイル)を含有し、これにより、この媒体の容量が原因で、該分散体の輸送、保存および分配が困難となる。さらに、これにより、この分散体は、環境にあまりやさしくなくなり、高価となる。
【0003】
特許文献1は、バナジン酸塩堆積物を減らすことができる燃料添加剤組成物を開示している。この組成物は、金属無機酸素含有化合物、油溶性液体および分散剤(脂肪酸またはそれらのエステル誘導体を含めて)を含有する。
【0004】
特許文献2は、燃料用コロイド添加剤を開示しており、これは、該コロイド添加剤の35重量パーセント以下の固形分で、水酸化マグネシウムを含有する。
【0005】
特許文献3は、潤滑粘性のあるオイル、油中水型乳濁液を形成できる少なくとも1種の乳化剤、塩基、および必要に応じて、油不溶性溶媒を含有する組成物を開示している。この塩基には、有機酸の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩またはアミン塩の金属塩が挙げられる。この組成物は、高固形分を有する分散体を開示していない。さらに、この分散体は、船舶用潤滑剤に適切である。
【0006】
特許文献4は、液状炭化水素の存在下にて、全ての結晶水を追い出すのに十分な温度および時間(すなわち、107℃より高い温度)にわたって、金属水酸化物結晶を加熱することにより、強金属水酸化物が高分子量有機脂肪酸に対してより反応性にされ得ることを開示している。
【0007】
特許文献5は、アルカリまたは他のケン化剤を非反応性液状媒体に懸濁すること、およびアルカリ粒子の主な部分が5ミクロン程度に小さい大きさになるまで、このアルカリをオイル中で機械的に粉砕することを開示している。次いで、その結果生じるアルカリは、グリースを製造するのに使用される。
【0008】
特許文献6は、アルキルニトリルを含有する液状反応混合物中で水酸化リチウムの濃縮水溶液を使用するグリースの製造に関する。
【0009】
特許文献7は、無機塩の存在下にて、アセトンを含有する液状反応媒体中で、有機カルボン酸、そのエステルおよびそれらの混合物と、アルカリ金属水酸化物の濃縮水溶液とを反応させることにより、石鹸およびグリースを製造する方法に関する。無機塩の存在は、この石鹸またはグリースの収率を高める。
【0010】
特許文献8は、リチウム石鹸濃厚化グリースを調製する方法に関し、これは、オイルとリチウム塩基との混合物を少なくとも100℃まで加熱する工程、次いで、濃厚化グリースが得られまで、得られた混合物を110℃200℃の範囲の温度で加熱する工程からなる。このグリースが形成された後、それは、均質化/ミリングプロセスにかけられて、滑らかなグリースが得られる。
【特許文献1】国際公開第04/026996号パンフレット
【特許文献2】米国特許第3,067,018号明細書
【特許文献3】国際公開第03/044138号パンフレット
【特許文献4】米国特許第2,434,539号明細書
【特許文献5】米国特許第2,394,907号明細書
【特許文献6】米国特許第4,075,234号明細書
【特許文献7】米国特許第4,337,209号明細書
【特許文献8】米国特許第5,236,607号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
高固形分を有する分散体組成物があれば、望ましい。本発明は、高固形分を有する組成物を提供できる分散体組成物を提供する。
【0012】
グリース製造用の増粘剤として使用できる高固形分を有する分散体組成物があれば、望ましい。本発明は、グリース製造用の増粘剤として使用できる分散体組成を提供する。
【0013】
粒径が小さく高固形分を有し、粘度の低い分散体組成物があれば、望ましい。本発明は、粒径が小さく高固形分かつ低粘度を有する分散体組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、以下の分散体を含有する組成物を提供する:
(a)以下からなる群から選択される金属塩基:
(i)金属水酸化物;
(ii)金属水酸化物以外の金属塩基;およびそれらの混合物
(b)界面活性剤;および
(c)約2重量%未満の水を含有する有機媒体、
ここで、該金属塩基は、該塩基が金属水酸化物であるとき、該組成物の約51重量%より高い固形分で存在しており、そして該金属塩基が金属水酸化物以外のものまたは混合物であるとき、15重量%より高い固形分で存在している。
【0015】
1実施形態では、本発明は、以下を含有する燃料組成物を提供する:
(a)以下を含有する、分散体:
(i)脂肪酸またはそれらの誘導体以外の界面活性剤;
(ii)該分散体の約35重量%より高い固形分を有する金属塩基;および
(iii)約2重量%未満の水を含有する有機媒体;および
(b)液体燃料。
【0016】
本発明は、さらに、組成物を調製する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)(a)金属塩基;(b)界面活性剤および(c)約2重量%未満の水を含有する有機媒体を混合して、スラリーを形成する工程:
(2)工程(1)の該スラリーを粉砕して、分散体を形成する工程;
(3)必要に応じて、工程(2)の該分散体を約40℃〜約190℃の温度まで加熱して、さらに細かい分散体を形成する工程;
(4)必要に応じて、工程(2)または(3)の該分散体と約2個〜約30個の炭素原子を含むカルボン酸とを反応させる工程であって、ここで、該カルボン酸は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸またはそれらの混合物であり、必要に応じて、該カルボン酸は、さらに、ヒドロキシル基、エステルおよびそれらの混合物から選択される基で置換されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下の分散体を含有する組成物を提供する:
(a)以下からなる群から選択される金属塩基:
(i)金属水酸化物;
(ii)金属水酸化物以外の金属塩基;および
(iii)それらの混合物
(b)界面活性剤;および
(c)約2重量%未満の水を含有する有機媒体、
ここで、該金属塩基は、該塩基が金属水酸化物であるとき、該組成物の約51重量%より高い固形分で存在しており、そして該金属塩基が金属水酸化物以外のものまたは混合物であるとき、15重量%より高い固形分で存在している。
【0018】
1実施形態では、本発明は、さらに以下を含有する燃料組成物を提供する:
(a)以下を含有する、分散体:
(i)脂肪酸またはそれらの誘導体以外の界面活性剤;
(ii)該分散体の約35重量%より高い固形分を有する金属塩基;および
(iii)約2重量%未満の水を含有する有機媒体;および
(b)液体燃料。
【0019】
1実施形態では、本発明は、以下の分散体を含有する組成物を提供する:
(a)以下からなる群から選択される金属塩基:
(i)金属水酸化物;
(ii)金属水酸化物以外の金属塩基;および
(iii)それらの混合物;
(b)界面活性剤;
(c)カルボン酸;および
(d)約2重量%未満の水を含有する有機媒体、
ここで、該金属塩基は、該塩基が金属水酸化物であるとき、該組成物の約51重量%より高い固形分で存在しており、そして該金属塩基が金属水酸化物以外のものまたは混合物であるとき、15重量%より高い固形分で存在しており、ここで、該組成物は、グリースである。
【0020】
いくつかの実施形態では、金属水酸化物と金属水酸化物以外の金属塩基との混合物が存在すると、15重量%より高い固形分を必要とするにすぎず、このことは、もし、水酸化物以外の金属塩基が主要量で存在しているなら、特に当てはまる。他の実施形態では、任意の金属水酸化物(混合物)が金属水酸化物以外の金属塩基と共に存在していると、51重量%より高い固形物という必要条件を誘発し、このことは、この金属水酸化物が2つの成分のうちの主要量で存在しているとき、特に当てはまる。上記成分(a)〜(c)の分散体は、この組成物の約15重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約35重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約45重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約48重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約50重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約52重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約55重量%より高い、さらに別の実施形態では、この組成物の約60重量%より高い固形分で、金属水酸化物以外の金属塩基を含有する。
【0021】
この分散体は、金属水酸化物から誘導されるとき、この組成物の約51重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約53重量%より高い、別の実施形態では、この組成物の約55重量%より高い、さらに別の実施形態では、この組成物の約58重量%より高い固形分を有する。
【0022】
この分散体の固形分は、一般に、以下のこと以外は、上限がない:約2重量%未満の水を含有する有機媒体は、この組成物の約90重量%まで、別の実施形態では、この組成物の約86重量%まで、別の実施形態では、この組成物の約84重量%までを保持でき、例えば、含む最大量。適切な範囲の例には、この組成物の約52重量%〜約90重量%、別の実施形態では、この組成物の約55重量%〜約84重量%、さらに別の実施形態では、この組成物の約60重量%〜約84重量%が挙げられる。この組成物中に存在している金属塩基の量は、所望の固形分により、決定される。
【0023】
1実施形態では、この組成物は、油不溶性溶媒を実質的に含まない。油不溶性溶媒の例には、水、アルコールまたはそれらの混合物が挙げられる。実質的に含まないとは、この組成物が、約2重量%未満の水和水または水和水から誘導された遊離水以外の油不溶性溶媒、別の実施形態では、約1重量%未満の水和水以外の油不溶性溶媒、さらに別の実施形態では、約0.1重量%未満の水和水以外の油不溶性溶媒を含有することを意味する。
【0024】
「Cone on plate geometry」を使用して、TA Instruments AR 500(登録商標) Rheometerで測定したとき、約40℃で100s−1で測定される分散体の粘度は、約0.001Pa s〜約20Pa sの範囲、別の実施形態では、約0.003Pa s〜約5Pa sの範囲、別の実施形態では、約0.005Pa s〜約2Pa sの範囲、さらに別の実施形態では、別の実施形態では、約0.005Pa s〜約1Pa sの範囲を含む。
【0025】
(金属塩基)
この金属塩基の分散体は、一価または二価または三価または四価の金属またはそれらの混合物である。1実施形態では、この金属塩基は、一価金属(リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、亜鉛またはそれらの混合物を含む)から誘導される。1実施形態では、この金属塩基は、二価金属(マグネシウム、カルシウムまたはそれらの混合物を含む)から誘導される。この金属はまた、多価(例えば、一価または二価または三価)であり得、例として、銅または鉄がある。1実施形態では、この金属塩基は、四価金属(セリウムを含む)から誘導される。この金属塩基は、必要に応じて、水和水を含有する。
【0026】
この金属塩基には、M1−2(Q)1〜3.xHOまたはM(Q)1〜3.xHOの形状のものが挙げられ、ここで、Mは、一価または二価または三価または四価の金属イオンである;「1〜3」とは、1個、2個または3個のQ基を意味し、ここで、Qには、ヒドロキシル、カルボネート、酸化物、スルフェート、カルボキシレート(例には、アセテート、プロピオネート、オキサレート、シトレート、スクシネート、またはそれらの混合物が挙げられる)、ボレートまたはホスフェートまたはそれらの混合物が挙げられる;そしてxは、0〜8の範囲、別の実施形態では、0〜約4の範囲、さらに別の実施形態では、0〜約2の範囲の有理数である。1実施形態では、この金属塩基は、一水和物であり、別の実施形態では、この金属塩基は、二水和物であり、さらに別の実施形態では、この金属塩基は、無水である。
【0027】
x=1であるとき、この金属塩基は、一水和物の形状である。xが0より大きく1未満であるとき、この金属塩基は、部分的、実質的または全体的に無水である。部分的に無水の金属塩基には、約0.9〜約0.5、別の実施形態では、約0.85〜約0.55、別の実施形態では、約0.6〜約0.7のxの範囲が挙げられる。実質的に無水の金属塩基には、約0.5未満、別の実施形態では、約0.3未満、別の実施形態では、約0.1であるが約0.02より大きいxが挙げられる。全体的に無水の金属塩基は、約0.02〜約0の範囲のxを有し、別の実施形態では、xは、約0.01〜約0、別の実施形態では、xは、約0である。
【0028】
1実施形態では、この金属塩基は、固形物の形状であり、そして約2重量%未満の水を含有する有機媒体に、認め得るほどに溶解性ではない。1実施形態では、この金属塩基は、この分散体中にて、約20ナノメートル〜約40マイクロメートル、別の実施形態では、約30ナノメートル〜約20マイクロメートル、別の実施形態では、約50ナノメートル〜約15マイクロメートル、さらに別の実施形態では、約200ナノメートル〜約8マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する。
【0029】
適切な範囲の例には、この分散体中にて、約3ナノメートル〜約5マイクロメートルの範囲、別の実施形態では、約5ナノメートル〜約2マイクロメートル、別の実施形態では、約10ナノメートル〜約1.5マイクロメートル、別の実施形態では、約15ナノメートル〜約1マイクロメートル、別の実施形態では、約20〜約600ナノメートル、別の実施形態では、約50〜約550ナノメートル、さらに別の実施形態では、約75〜約500ナノメートルの範囲の平均粒径を有するものが挙げられる。
【0030】
適切な金属塩基の例には、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、無水水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、酢酸銅、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化セリウム、酸化鉄またはそれらの混合物が挙げられる。本発明の1実施形態では、この金属塩基は、混合物(例えば、市販のドロマイト(dolmitic)石灰)中で、存在している。
【0031】
(界面活性剤)
この界面活性剤には、イオン性(カチオン性またはアニオン性)または非イオン性化合物が挙げられる。適切な界面活性剤化合物には、約20まで、別の実施形態では、約1〜約18、別の実施形態では、約2〜約16、さらに別の実施形態では、約2.5〜約15の親水性−親油性平衡(HLB)を有するものが挙げられる。1実施形態では、このHLBには、約11〜約14、または別の実施形態では、約10未満(例えば、約1〜約8、または約2.5〜約6)が挙げられる。当業者は、最終界面活性剤ブレンドの組成物がこれらの範囲内にあるという条件で、個々のHLB値がこれらの範囲の外である界面活性剤の組み合わせが使用され得ることを理解する。この界面活性剤が利用可能な酸基を有するとき、その界面活性剤は、その酸基の金属塩となり得、この場合、その金属は、この金属塩基から誘導される。1実施形態では、この界面活性剤は、脂肪酸またはそれらの誘導体(例えば、エステル)以外のものである。1実施形態では、この界面活性剤は、脂肪酸またはそれらの誘導体以外のものである。
【0032】
本発明に適切な界面活性剤の例は、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,1993,North American & International Editionで開示されている。一般的な例には、アルカノールアミド、アルキルアリールスルホネート、アミンオキシド、ポリ(オキシアルキレン)化合物(アルキレンオキシド繰り返し単位を含むブロック共重合体を含めた化合物(例えば、Pluroni(商標)))、カルボキシル化アルコールエトキシレート、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミンおよびアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪エステルおよびオイル、脂肪エステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、イミダゾリン誘導体、レシチンおよび誘導体、リグニンおよび誘導体、モノグリセリドおよび誘導体、オレフィンスルホネート、リン酸エステルおよび誘導体、プロポキシル化およびエトキシル化脂肪酸またはアルコールまたはアルキルフェノール、ソルビタン誘導体、スクロースエステルおよび誘導体、サルフェートまたはアルコールまたはエトキシル化アルコールまたは脂肪エステル、ポリイソブチレンスクシンイミドおよび誘導体、ドデシルおよびトリデシルベンゼンまたは縮合ナフタレンまたは石油のスルホネート、スルホスクシネートおよび誘導体、およびヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸が挙げられる。
【0033】
1実施形態では、この界面活性剤は、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、またはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの混合物のヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸塩である。そのヒドロカルビル(特に、アルキル)基には、約8個〜約30個の炭素原子、別の実施形態では、約10個〜約26個の炭素原子、別の実施形態では、約10個〜約15個の炭素原子を有するものが挙げられる。1実施形態では、この界面活性剤は、C12〜C15アルキルベンゼンスルホン酸の混合物である。このアルカリ金属には、リチウム、カリウムまたはナトリウムが挙げられる;そして、このアルカリ土類金属には、カルシウムまたはマグネシウムが挙げられる。1実施形態では、このアルカリ金属は、ナトリウムである。1実施形態では、このアルカリ土類金属は、カルシウムである。
【0034】
1実施形態では、この界面活性剤は、ポリオレフィンの誘導体である。ポリオレフィンの典型的な例には、ポリイソブテン;ポリプロピレン;ポリエチレン;イソブテンおよびブタジエンから誘導された共重合体;イソブテンおよびイソプレンから誘導された共重合体;またはそれらの混合物が挙げられる。
【0035】
1実施形態では、このポリオレフィンは、少なくとも約250、300、500、600、700または800から5000までまたはそれ以上、しばしば、約3000、2500、1600、1300または1200までの数平均分子量を有するポリイソブテンの誘導体である。典型的には、それらの誘導体分子を製造するのに使用されるポリイソブチレンの約5重量%未満は、約250未満の
【0036】
【数1】

を有し、さらに多くの場合、この誘導体を製造するのに使用されるポリイソブチレンは、少なくとも約800の
【0037】
【数2】

を有する。この誘導体を製造するのに使用されるポリイソブチレンは、好ましくは、少なくとも約30%の末端ビニリデン基、さらに多くの場合、少なくとも約60%、さらに好ましくは、少なくとも約75%または約85%の末端ビニリデン基を含む。この誘導体を製造するのに使用されるポリイソブチレンは、約5より大きい、さらに多くの場合、約6〜約20の多分散性
【0038】
【数3】

を有し得る。
【0039】
1実施形態では、このポリイソブテンは、無水コハク酸で置換されており、そのポリイソブテン置換基は、約1,500〜約3,000、別の実施形態では、約1,800〜約2,300、別の実施形態では、約700〜約1300、別の実施形態では、約800〜約1000の数平均分子量を有し、該第一ポリイソブテン置換無水コハク酸は、約1.3〜約2.5、別の実施形態では、約1.7〜約2.1により、特徴付けられる。1実施形態では、このヒドロカルビル置換カルボン酸アシル化剤は、ポリイソブテン置換無水コハク酸であり、そのポリイソブテン置換基は、約1,500〜約3,000、別の実施形態では、約1,800〜約2,300の数平均分子量を有し、該第一ポリイソブテン置換無水コハク酸は、そのポリイソブテン置換基の各当量あたり、約1.3個〜約2.5個、別の実施形態では、約1.7個〜約2.1個、別の実施形態では、約1.0個〜約1.3個、さらに別の実施形態では、約1.0個〜約1.2個のコハク酸基により、特徴付けられる。
【0040】
1実施形態では、この界面活性剤は、約1000未満、別の実施形態では、約950未満(例えば、約250、約300、約500、約600、約700または約800)の分子量を有する。
【0041】
1実施形態では、この界面活性剤は、ペンタエリスリトールとのポリイソブテニル−ジヒドロ−2,5−フランジオンエステルまたはそれらの混合物である。1実施形態では、この界面活性剤は、ポリイソブチレンスクカン(succan)誘導体(例えば、ポリイソブチレンスクシンイミドまたはそれらの誘導体)である。1実施形態では、この界面活性剤は、塩基性窒素を含まないか実質的に含まない。
【0042】
ポリイソブチレンスクカンの他の典型的な誘導体には、加水分解したスクカン、エステルまたは二酸が挙げられる。ポリイソブチレンスクカン誘導体は、この金属塩基分散体を製造するのに好ましい。ポリイソブチレンスクカン誘導体の大集団は、US 4,708,753、US 4,234,435で教示されており、それらの内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0043】
この金属塩基分散体を形成する界面活性剤の量には、この組成物の約0.01重量%〜約60重量%、別の実施形態では、この組成物の約0.05重量%〜約35重量%、別の実施形態では、この組成物の約0.1重量%〜約30重量%、さらに別の実施形態では、この組成物の約0.2重量%〜約25重量%が挙げられる。
【0044】
(約2重量%未満の水を含有する有機媒体)
この約2重量%未満の水を含有する有機媒体には、潤滑粘性のあるオイル、液体燃料、炭化水素溶媒またはそれらの混合物が挙げられる。1実施形態では、この約2重量%未満の水を含有する有機媒体は、潤滑粘性のある天然または合成のオイルであり、別の実施形態では、炭化水素溶媒である。1実施形態では、この有機媒体は、約1重量%未満の水、別の実施形態では、約0.5重量%未満、別の実施形態では、約0.1重量%未満の水を含有する。
【0045】
この約2重量%未満の水を含有する有機媒体は、この組成物の約85重量%まで、別の実施形態では、この組成物の約75重量%まで、別の実施形態では、この組成物の約60重量%まで、さらに別の実施形態では、この組成物の約40重量%までを含む範囲で、存在している。本発明の1実施形態では、この約2重量%未満の水を含有する有機媒体は、この組成物の約60重量%〜約90重量%で、存在している。
【0046】
(潤滑粘性のあるオイル)
この潤滑油組成物は、潤滑粘性のあるオイル、すなわち、水素化分解、水素化、ハイドロフィニッシングから誘導されたオイル、未精製油、精製油および再精製油、またはそれらの混合物を含有する。
【0047】
天然油には、動物油、植物油、鉱油またはそれらの混合物が挙げられる。合成油には、炭化水素油、シリコンベース油、リン含有酸の液状エステルが挙げられる。合成油は、フィッシャー−トロプシュ反応により生成され得、典型的には、水素異性化されたフィッシャー−トロプシュ炭化水素またはワックスであり得る。
【0048】
潤滑粘性のあるオイルはまた、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelinesで指定されたように、定義され得る。1実施形態では、この潤滑粘性のあるオイルは、API グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループVおよびそれらの混合物、別の実施形態では、API グループI、グループII、グループIIIまたはそれらの混合物を含む。もし、この潤滑粘性のあるオイルがAPI グループII、グループIII、グループIVまたはグループVのオイルであるなら、約40重量%まで、別の実施形態では、最大で、約5重量%までの潤滑油(API グループIオイル)が存在し得る。
【0049】
(液体燃料)
本発明の燃料組成物は、液体燃料を含有し、そして内燃機関またはオープンフレーム燃焼システム(open flame combustion system)に燃料供給する際に、有用である。この液体燃料は、通常、周囲条件で、液体である。この液体燃料には、炭化水素燃料、非炭化水素燃料、またはそれらの混合物が挙げられる。この炭化水素燃料は、ASTM(American Society for Testing and Materials)仕様D4814で規定されるガソリンまたはASTM仕様D975で規定されるディーゼル燃料を含むように、石油留出物であり得る。本発明の実施形態では、この液体燃料は、ガソリンであり、別の実施形態では、この液体燃料は、有鉛ガソリンまたは無鉛ガソリンである。本発明の別の実施形態では、この液体燃料は、ディーゼル燃料である。この炭化水素燃料には、気液プロセスにより調製された炭化水素(例えば、フィッシャー−トロプシュプロセスのようなプロセスにより調製された炭化水素)が挙げられる。この非炭化水素燃料には、酸素含有組成物(これは、しばしば、オキシゲネート(oxygenate)と呼ばれる)、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸のエステル、ニトロアルカン、またはそれらの混合物が挙げられる。この非炭化水素燃料には、メタノール、エタノール、メチルt−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、エステル交換油および/または植物または動物由来の脂肪(例えば、菜種メチルエステルおよび大豆メチルエステル、およびニトロメタン)が挙げられる。炭化水素燃料と非炭化水素燃料との混合物には、ガソリンとメタノールおよび/またはエタノール、ディーゼル燃料とエタノール、およびディーゼル燃料とエステル交換植物油(例えば、菜種メチルエステル)が挙げられる。本発明の実施形態では、この液体燃料は、非炭化水素燃料、またはそれらの混合物である。
【0050】
(カルボン酸)
本発明の組成物は、必要に応じて、特に、約2個〜約30個の炭素原子を含むカルボン酸を含有し、ここで、このカルボン酸は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸およびそれらの混合物から選択され、必要に応じて、このカルボン酸は、さらに、ヒドロキシル基、エステルおよびそれらの混合物から選択される基で置換されている。1実施形態では、この組成物は、カルボン酸を含有する。別の実施形態では、この組成物は、カルボン酸を含有しない。このカルボン酸は、存在するとき、グリースを製造する際の増粘剤として、使用される。
【0051】
1実施形態では、このカルボン酸はまた、他の公知の増粘剤(例えば、無機粉末(粘土、有機粘土、ベントナイト、ヒュームドシリカ、方解石、カーボンブラック、顔料、銅フタロシアニンまたはそれらの混合物を含む))と併用され得る。
【0052】
このカルボン酸は、モノ−またはポリ−カルボン酸;分枝非環式、または直鎖、飽和または不飽和モノ−またはポリ−ヒドロキシ置換または非置換カルボン酸、酸塩化物、または該カルボン酸とアルコール(例えば、約1個〜約5個の炭素原子を有するアルコール)とのエステルの任意の組み合わせであり得る。このカルボン酸には、約2個〜約30個の炭素原子、別の実施形態では、約4個〜約30個の炭素原子、別の実施形態では、約8個〜約27個の炭素原子、別の実施形態では、約12個〜約24個の炭素原子、さらに別の実施形態では、約16個〜約20個の炭素原子を有するものが挙げられる。1実施形態では、このカルボン酸は、モノカルボン酸またはそれらの混合物である。1実施形態では、このカルボン酸は、ジカルボン酸またはそれらの混合物である。1実施形態では、このカルボン酸は、アルカン酸である。1実施形態では、このカルボン酸は、典型的には、約99:1、70:30、50:50、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95または1:99の重量パーセント比で、ジカルボン酸とモノカルボン酸との混合物である。ジカルボン酸化合物は、モノカルボン酸よりも高価である傾向にあり、結果として、混合物を使用する殆どの工業プロセスは、約30:70または約25:75〜約20:80または約15:85の範囲でのジカルボン酸とモノカルボン酸との比を使用する。
【0053】
1実施形態では、このカルボン酸は、ヒドロキシ置換または非置換アルカン酸である。典型的には、このカルボン酸は、約2個〜約30個、別の実施形態では、約4個〜約30個、別の実施形態では、約12個〜約24個、さらに別の実施形態では、約16個〜約20個の炭素原子を有する。1実施形態では、このカルボン酸は、ヒドロキシステアリン酸またはこれらの酸のエステル(例えば、9−ヒドロキシ、10−ヒドロキシまたは12−ヒドロキシステアリン酸、特に、12−ヒドロキシステアリン酸)である。この数の炭素原子を有するモノカルボン酸は、それらの塩形状に変換されるとき、一般に、約10またはそれ以上、別の実施形態では、約12またはそれ以上、別の実施形態では、約15またはそれ以上のHLB(親水性−親油性平衡)と関連している。
【0054】
他の適切な飽和カルボン酸には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸またはそれらの混合物が挙げられる。
【0055】
適切な不飽和カルボン酸化合物の例には、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エライジン酸、シス−エイコセン酸(eicosenoic acid)、エルカ酸、ネルボン酸、2,4−ヘキサジエン酸、リノール酸、12−ヒドロキシテトラデカン酸、10−ヒドロキシテトラデカン酸、12−ヒドロキシヘキサデカン酸、8−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシイコサン酸、16−ヒドロキシイコサン酸、11,14−エイコサジエン酸、リノレン酸、シス−8,11,14−エイコサトリエン酸、アラキドン酸、シス−5,8,11,14,17−エイコサペンテン酸、シス−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキセン酸、オールトランスレチノイン酸、リシノール酸、ラウロレイン酸、エレオステアリン酸、リカニン酸(licanic acid)、シトロネラ酸、ネルボン酸、アビエチン酸およびアブシジン酸が挙げられる。最も好ましい酸には、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リカニン酸、エレオステアリン酸またはそれらの混合物がある。
【0056】
このポリカルボン酸(特に、ジカルボン酸)は、コンプレックスグリース中で存在しており、適切な例には、イソ−オクタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン酸またはそれらの混合物が挙げられる。1実施形態では、このポリカルボン酸は、ノナン二酸(アゼライン酸)またはそれらの混合物である。1実施形態では、このポリカルボン酸は、デカン二酸(セバシン酸)またはそれらの混合物である。
【0057】
本発明で存在しているカルボン酸の量には、このグリース組成物の約0重量%〜約30重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約25重量%、別の実施形態では、約0.5重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約1重量%〜約17重量%、さらに別の実施形態では、約3重量%〜約13重量%の範囲のものが挙げられる。
【0058】
(他の性能添加剤)
本発明の組成物がこのカルボン酸を含有する(すなわち、グリースを形成する)とき、この組成物は、必要に応じて、さらに、少なくとも1種の他の性能添加剤を含有する。この他の性能添加剤化合物には、金属不活性化剤、清浄剤、分散剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、腐食防止剤、発泡防止剤、解乳化剤、流動点降下剤、シール膨潤剤またはそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
これらの他の性能添加剤化合物を組み合わせた全量は、オイルを含まない基準で、この組成物の約0重量%〜約25重量%、別の実施形態では、約0.01重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.04重量%〜約15重量%、さらに別の実施形態では、約0.06重量%〜約10重量%の範囲で、存在している。これらの他の性能添加剤の1種またはそれ以上が存在し得るものの、これらの他の性能添加剤は、互いに異なる量で存在することが一般的である。
【0060】
(方法)
本発明は、さらに、組成物を調製する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)(a)金属塩基;(b)界面活性剤および(c)約2重量%未満の水を含有する有機媒体を混合して、スラリーを形成する工程:
(2)工程(1)の該スラリーを粉砕して、分散体を形成する工程;
(3)必要に応じて、工程(2)の該分散体を約40℃〜約190℃の温度まで加熱して、さらに細かい分散体を形成する工程;
(4)必要に応じて、工程(2)または(3)の該分散体と約2個〜約30個の炭素原子を含むカルボン酸とを反応させる工程であって、ここで、該カルボン酸は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸またはそれらの混合物であり、必要に応じて、該カルボン酸は、さらに、ヒドロキシル基、エステルおよびそれらの混合物から選択される基で置換されている。
【0061】
1実施形態では、本発明の組成物は、上記方法により、得ることができる。1実施形態では、上で規定した方法は、以下からなる群から選択される金属塩基との分散体を調製できる:(i)該組成物の約51重量%より高い固形分を有する金属水酸化物;(ii)該組成物の約15重量%より高い固形分を有する金属水酸化物以外の金属塩基;および(iii)それらの混合物。一般に、本発明の方法は、約1重量%〜約90重量%、別の実施形態では、約15重量%〜約86重量%、別の実施形態では、約15重量%〜約84重量%、さらに別の実施形態では、約35重量%〜約70重量%の固形分を有する分散体を調製できる。
【0062】
成分(a)〜(c)は、しばしば、このカルボン酸の必要に応じた添加前に、分散体を形成する。工程(1)の成分(a)〜(c)は、引き続いて、および/または別々に、混合されて、スラリーを形成する。その混合条件には、約30秒間〜約48時間、別の実施形態では、約2分間〜約24時間、別の実施形態では、約5分間〜約16時間、さらに別の実施形態では、約10分間〜約5時間の範囲の時間;および約86kPa〜約500kPa(約650mmHg〜約3750mmHg)、別の実施形態では、約86kPa〜約266kPa(約650mmHg〜約2000mmHg)、別の実施形態では、約91kPa〜約200kPa(約690mmHg〜約1500mmHg)、さらに別の実施形態では、約95kPa〜約133kPa(約715mmHg〜約1000mmHg)の範囲の圧力;および約15℃〜約70℃、別の実施形態では、約25℃〜約70Cを含む温度が挙げられる。1実施形態では、この方法は、粉砕前に、遊離脂肪酸(例えば、オレイン酸、ナフテン酸)または該遊離脂肪酸の50/50混合物を加える必要がない。
【0063】
工程(2)では、この粉砕は、この金属塩基の粒径を機械的手段により小さくする任意の種類を含む。この粉砕は、典型的には、この金属塩基の集塊、この金属塩基の凝集体、この金属塩基の固形粒子またはそれらの混合物を壊すのに十分な剪断を生じる。この粉砕は、典型的には、熱を発生し、従って、結果として、冷却設備を使用することにより、その加熱を制御することが望ましい。
【0064】
適切な粉砕手順の例には、ロータースターターミキサー、垂直ビードミル、水平ビードミル、バスケットミリング、ボーミル(baw mill)、パールミリングまたはそれらの混成が挙げられる。1実施形態では、この粉砕手順は、垂直ビードミル、別の実施形態では、水平ビードミルを使用する。いずれのビードミルプロセスも、この金属塩基と少なくとも1個のビード;および/または他の金属塩基集塊、凝集体、固形粒子;またはそれらの混合物との高エネルギー衝突により、その金属塩基の粒径の低下を引き起こす。これらのビーズは、典型的には、この金属塩基の所望平均粒径より大きい平均粒径を有する。いくつかの場合、これらのビーズは、異なる平均粒径の混合物である。
【0065】
このミルは、典型的には、そのミルの少なくとも約40容量%、別の実施形態では、そのミルの少なくとも約60容量%(例えば、60容量%〜74.9容量%)、さらに別の実施形態では、そのミルの少なくとも約70容量%(例えば、75容量%〜約85容量%)で、ビーズを含有する。
【0066】
この粉砕工程が、約0.3マイクロメートルを超える、別の実施形態では、約1マイクロメートルを超える、別の実施形態では、約3マイクロメートルを超える、別の実施形態では、約4マイクロメートルを超える、別の実施形態では、約5マイクロメートルを超える、さらに別の実施形態では、約6マイクロメートルを超える平均粒径を有する金属塩基を生じるなら、任意の工程(3)が実行され得る。
【0067】
工程(3)の加熱温度には、約40℃〜約190℃、別の実施形態では、約45℃〜約140℃、別の実施形態では、約50℃〜約110℃、さらに別の実施形態では、約60℃〜約102℃が挙げられる。必要に応じて、工程(3)は、さらに、加熱中および/または加熱後における粉砕を含む。
【0068】
任意の工程(4)は、周知であり、そしてグリースを調製する全ての公知のプロセスを含む。使用される適切な反応温度の例には、約80℃〜約250℃、別の実施形態では、約80℃〜約240℃、別の実施形態では、約90〜約210℃、別の実施形態では、約110℃〜約190℃、さらに別の実施形態では、120℃〜約170℃が挙げられる。1実施形態では、この反応温度は、約90℃〜約240℃の範囲である。1実施形態では、この反応温度は、約110℃〜約230℃の範囲である。1実施形態では、この反応温度は、約120℃〜約225℃の範囲である。
【0069】
この方法は、必要に応じて、上記の他の任意の性能添加剤を混合する工程を包含する。これらの任意の性能添加剤は、連続して、別々に、または濃縮物として、加えられ得る。
【0070】
グリース組成物を生成する該方法では、その方法は、バッチプロセス、半連続プロセス、連続プロセスまたは非バッチプロセスのいずれかを包含する。1実施形態では、このグリース組成物は、非バッチプロセス、他の実施形態では、半連続プロセスを使用して、調製される。
【0071】
(工業用途)
本発明の組成物は、グリース製造の際に有用である。適切なグリースの例には、モノカルボン酸で製造されるリチウム石鹸グリース、コンプレックス石鹸グリース、リチウムコンプレックス石鹸グリース、カルシウム石鹸グリース、低ノイズ石鹸グリース(これらは、時には、直径約2マイクロメートルより大きい残留金属塩基粒子を欠いていることにより、特徴付けられる);短繊維高石鹸含量グリースまたはそれらの混合物が挙げられる。1実施形態では、このグリースには、リチウム石鹸グリース、別の実施形態では、コンプレックス石鹸グリース、別の実施形態では、リチウムコンプレックス石鹸グリース、別の実施形態では、低ノイズ石鹸グリース、さらに別の実施形態では、短繊維高石鹸含量グリースが挙げられる。
【0072】
この低ノイズグリースは、公知であり、典型的には、ローリングエレメント(rolling element)ベアリング用途(例えば、ポンプまたは圧縮機)で使用される。このコンプレックス石鹸グリースは、公知であり、そしてスムーズまたはショーグレイン(smooth or show grain)を含む。さらに、このコンプレックスグリースは、ポリカルボン酸(典型的には、ジカルボン酸)を含有する。この短繊維高石鹸含量グリースは、公知であり、しばしば、専門的な用途で使用される。
【0073】
1実施形態では、この組成物は、液体燃料である。この組成物は、液体燃料に対して、少なくとも1つの特性(粘度制御、イオウ酸化物排気の制御、燃焼の改善、微粒子物質形成の制御、およびバナジウム含有灰分堆積物(これは、破滅的に、腐食性低溶融スラグを形成する)の減少を含む)を与え得る。
【0074】
本発明の組成物は、工業用途に適用されるとき、約0.01〜約40重量%、別の実施形態では、約0.1〜約30重量%、さらに別の実施形態では、約0.5〜約20重量%を含む範囲で、存在している。
【0075】
以下の実施例は、本発明を例示する。これらの実施例は、全てを網羅するものではなく、本発明の範囲を限定するとは解釈されない。
【実施例】
【0076】
(実施例1〜19)
約300gの重量のスラリーから、金属塩基、有機媒体および界面活性剤を含有する一連の分散体を調製した。これらの分散体は、垂直ビードミルを使用して、約1.5〜8時間またはこの金属塩基がサブミクロン(すなわち、≦1μm)になるまで、このスラリーを粉砕することにより、調製した。得られた分散体の平均粒径は、冷却後、Coulter(登録商標)LS230 Particle Size Analyserにより、測定した。あるいは、最大粒径は、倍率が400倍の標準的な光学顕微鏡および較正した計数線を使用して、測定した。これらの分散剤中で存在している金属塩基、有機媒体および界面活性剤の量を、表1で提示し、そして粒径分析を、表2で提示する。
【0077】
その金属塩基が約6.55μmの平均粒径を有するまで粉砕手順を実行したこと以外は、類似の方法により、実施例2を調製した。次いで、この分散体を、約3時間にわたって、約90℃まで加熱した。
【0078】
工業規模水平ビードミルを使用してスラリーを粉砕して46kgの分散体を調製することにより、分散剤を調製したこと以外は、上記方法と類似の方法により、実施例7および8を調製した。このビードミルは、約5〜20ms−1の間で変わるローター先端速度を有していた。
【0079】
8m/s−1のローター先端速度で、W.A.B.A.G.、Baselから市販されている実験室規模Dyno−Mill ECM Multi−Lab水平ビードミルを使用したこと以外は、上記方法と類似の方法により、3キログラムの実施例15を調製した。
【0080】
【表1】

(表1の脚注)
PNとは、石油ナフサ有機媒体を意味する;
GP IIとは、API グループII 100SN基油を意味する;
330SNとは、330SN基油を意味する;
フランジオンとは、ペンタエリスリトールとのポリイソブテニル−ジヒドロ−2,5−フランジオンエステル界面活性剤を意味する;
PIBSA 851−1600とは、851〜1600の範囲の分子量を有するポリイソブチレンコハク酸界面活性剤を意味する;
PIBSAグリコールとは、エチレングリコールおよび2−(ジメチルアミン)エタノールと反応させたポリイソブチレンコハク酸界面活性剤を意味する;
スルホン酸とは、C12〜C15アルキルベンゼンスルホン酸界面活性剤を意味する;
実施例6の粘度は、100s−1の剪断速度で、40℃で、約0.5Pa s−1である;そして
実施例9の粘度は、100s−1の剪断速度で、40℃で、約0.05 Pa s−1である。
【0081】
【表2】

(実施例20−26 酸化マグネシウム分散体)
約200〜300rpmの撹拌速度を維持できる高トルク攪拌機(これは、Stuart Scientificから市販されている)を使用して、容器中で一連の酸化マグネシウム分散体を調製した。この攪拌機に、ポリプロピレンまたはポリウレタン「U」−形撹拌パドルを取り付けた。この容器は、さらに、約700gのビーズ(3.4〜4.3mMの直径)を含んでいた。この容器の内容物を約8時間撹拌して、ポリイソブチレンコハク酸の約7.8%(オイルを含まない基準)を1,2−エタンジオールと反応させ、そして1000〜2300の範囲の分子量を有する2−ジメチルアミノエタノール界面活性剤2モルで塩にした。得られた結果は、以下であった:
【0082】
【表3】

(実施例27〜36 異なるマグネシウム等級)
この方法は、MgOが19.3%で存在していること、石油ナフサが約76.8%で存在していること、および界面活性剤が約3.9%(オイルを含まない基準)で存在していること以外は、実施例20〜26と同じである。得られた結果は、以下であった:
【0083】
【表4】

表4の脚注
実施例27で使用した酸化マグネシウムは、Martin Mariettaから市販されている;
実施例28〜36で使用した酸化マグネシウムは、Dead Sea Periclaseから市販されている;
(実施例37〜47:異なる界面活性剤)
この方法は、界面活性剤が異なるヘッド基およびテール分子量を有するポリイソブチレンであること;およびミリングを約1.5時間で実行すること以外は、実施例28と同じである。得られた結果は、以下であった:
【0084】
【表5】

(実施例48〜54 アルキルベンゼンスルホン酸)
この方法は、界面活性剤が表4で規定したC12〜C15アルキルベンゼンスルホン酸であること;およびミリングを約1.5時間で実行すること以外は、実施例29と同じである。得られた結果は、以下であった:
【0085】
【表6】

(実施例55(100nm未満の粒径))
酸化マグネシウム重量%をポリイソブチレンコハク酸(これは、851〜1600の範囲の分子量を有する)界面活性剤10重量%(オイルを含まない基準)および潤滑粘性のあるオイルとブレンドすることにより、実施例を調製する。これを、まず、ECM Multilab Dyno Mill(WAB AG,Basleにより供給された)にて、粉砕する。このミルに、直径0.3mmのジルコニア/イットリアビーズを充填し、8m/sの先端速度で操作する。10分間の滞留時間後、100%のサブミクロン(平均粒径298nm)の分散体を得る。この分散体(A)は、250s−1の剪断速度で、200cPの動的粘度を有する。分散体(A)を、さらに、NPM Pilot Dyno Mill(これは、WAB AG,Basleにより、供給された)にて、粉砕する。このミルに、直径0.05mmのジルコニア/イットリアビーズを充填する。10分間の滞留時間後、100nm未満の平均粒径の分散体を得る。この分散体の粘度は、250s−1で、400cP未満であった。
【0086】
(比較例)
この方法は、その界面活性剤が12−ヒドロキシステアリン酸であること以外は、実施例28と同じである。しかしながら、その試料の粘度を、そのかき混ぜ速度が低下するような範囲まで、高めた。顕微鏡により測定した最終生成物の粒径は、直径約約7μmであった。
【0087】
(分散安定性試験)
分散剤を、ガラス製封管中で、暗室にて、周囲温度および60℃で、4週間保存する。実施例27〜51および54で実行した4週間の分散安定性試験により得られた結果は、著しい溶媒層または堆積物層が形成されなかったことを示している。実施例52および53は、溶媒層と堆積物層とのある程度の分離を示す。実施例52および53の性能は、この酸化マグネシウムの過度に大きい初期粒径が原因であると考えられる。
【0088】
(偶然の水汚染の相互作用に関する試験)
実施例23〜26と類似の方法で調製した酸化マグネシウムの分散体を、分散剤97gあたり、水3gと接触させる。水を含有するこれらの分散体を混合し、次いで、60℃および周囲温度で、オーブンに置く。1週間後、この分散体は、水の上層を形成し、その分散体は、ゲル形成の徴候を示さない。
【0089】
(グリース実施例1:グリースの調製)
約9.8重量%の12−ヒドロキシステアリン酸を含有する容器にて、約83.8重量%の600N基油と混合することにより、そして約80℃まで加熱して、この12−ヒドロキシステアリン酸を溶融することにより、グリースを調製した。この容器および内容物を約50℃まで冷却した後、約6.4重量%の実施例3の生成物を加えた。次いで、容器の内容物を撹拌して、グリース様物質を形成した。次いで、このグリース様物質を約150℃まで加熱し、そして約1時間保持した。次いで、このグリースを約120℃まで冷却した。
【0090】
(グリース実施例2:1のNLGI稠度を有するグリースの調製)
この方法は、グリースを、次いで、トリプルローラーで粉砕すること以外は、実施例12と同じである。得られたグリースは、203℃の滴点を有していた。
【0091】
(グリース実施例3:2〜3のNLGI稠度を有するグリースの調製)
グリース様物質を150℃ではなく約195℃まで加熱したこと以外は、実施例13と同じである。得られたグリースは、204℃の滴点を有していた。
【0092】
(燃料実施例1〜63)
実施例20〜51を、それぞれ、中間留出油(燃料実施例1〜31)および重油(燃料実施例32〜63)と混合することにより、一連の燃料組成物を調製する。これらの燃料組成物は、約1200ppmの金属含量を有する。これらの燃料組成物を、ガラス製封管中で、暗室にて、周囲温度および60℃で、3ヶ月まで保存する。中間留出油については、24時間後、そして重油については、3ヶ月後、これらの燃料組成物の外観を調べる。本発明の分散体を含有する燃料組成物は、沈殿物および/または他の相分離がない。
【0093】
(燃料実施例64〜85)
分散体実施例が、中間留出油(燃料実施例64〜71)および重油(燃料実施例72〜79)において、それぞれ、実施例8〜11、14〜15および18〜19に由来していること以外は、燃料実施例1〜69と類似の方法により、一連の実施例を調製する。
【0094】
(裸火適用試験(Open Flame Application Test)における燃焼改良剤)
重油を使用して、一定の燃料流速で、50重量%水酸化カルシウム分散体を、150ppmで、6メガワット(MW)のボイラーに注入する。一酸化炭素、NOおよび微粒子物質を測定する。この分散体の存在下で形成された微粒子物質は、58mg/mである。
【0095】
この分散体なしでこの試験を行うと、90mg/mの微粒子物質が発生する。
【0096】
実施例26〜36と類似の酸化マグネシウム分散体を、925ppmで、200メガワットの裸火バーナー(open flame burner)で処理する。LAND Conserver IV Model 220 Dew Pointメーターを使用して、形成された微粒子物質を、SOの排気と共に測定し、また、フリューガス温度を測定する。この酸化マグネシウム分散体を使用することにより得られたデータは、表7で示す。この酸化マグネシウム分散体の存在下にて得られたデータは、初期注入の40時間後に集める。
【0097】
【表7】

一般に、カルシウムまたはマグネシウム分散体を使用する燃料実施例により、本発明の分散体を含有する液体燃料が、液体燃料に、粘度制御、酸化イオウの排気の制御、燃焼の向上、微粒子物質の形成の制御、およびバナジウム含有灰分堆積物(これは、壊滅的に、腐食性低溶融スラグを形成する)の減少を含む少なくとも1つの特性を与え得ることが立証される。
【0098】
本発明を説明しているものの、それらの種々の変更は、本明細書を読めば、当業者に明らかなことが理解できるはずである。従って、本明細書中で開示の発明は、添付の請求の範囲に入るこれらの変更を含むべく意図されていることが理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の分散体を含有する、組成物:
(a)以下からなる群から選択される金属塩基:
(i)金属水酸化物;
(ii)金属水酸化物以外の金属塩基;および
(iii)それらの混合物
(b)界面活性剤;および
(c)約2重量%未満の水を含有する有機媒体、
ここで、該金属塩基は、該金属塩基が金属水酸化物であるとき、該組成物の約51重量%より高い固形分で存在しており、そして該金属塩基が金属水酸化物以外のものまたは混合物であるとき、15重量%より高い固形分で存在している、
組成物。
【請求項2】
さらに、約2個〜約30個の炭素原子を含むカルボン酸を含有し、ここで、該カルボン酸が、モノカルボン酸、ポリカルボン酸およびそれらの混合物から選択され、必要に応じて、該カルボン酸が、さらに、ヒドロキシル基、エステルおよびそれらの混合物から選択される基で置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属塩基が、無水水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、酢酸銅、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化リチウム、酸化セリウム、酸化鉄またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤が、約2〜約16の親水性−親油性平衡を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記約2重量%未満の水を含有する有機媒体が、潤滑粘性のあるオイル、液体燃料、炭化水素溶媒またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
組成物を調製する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)(a)金属塩基;(b)界面活性剤および(c)約2重量%未満の水を含有する有機媒体を混合して、スラリーを形成する工程:
(2)工程(1)の該スラリーを粉砕して、分散体を形成する工程;
(3)必要に応じて、工程(2)の該分散体を約40℃〜約190℃の温度まで加熱して、分散体を形成する工程;
(4)必要に応じて、工程(2)〜(3)の該分散体と約2個〜約30個の炭素原子を含むカルボン酸とを反応させる工程であって、ここで、該カルボン酸は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸またはそれらの混合物であり、必要に応じて、該カルボン酸は、さらに、ヒドロキシル基、エステルおよびそれらの混合物から選択される基で置換されている、
方法。
【請求項7】
粉砕手順が、ロータースターターミキサー、垂直ビードミル、水平ビードミル、バスケットミリング、パールミリングまたはそれらの混成による、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
さらに、工程(2)の前記分散体を約40℃〜約190℃の温度まで加熱して、より細かい分散体を形成する工程を包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記分散体が、約15重量%〜約84重量%の固形分を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
以下の分散体を含有する、組成物:
(a)以下からなる群から選択される金属塩基:
(i)金属水酸化物;
(ii)金属水酸化物以外の金属塩基;および
(iii)それらの混合物;
(b)界面活性剤;
(c)カルボン酸;および
(d)約2重量%未満の水を含有する有機媒体、
ここで、該金属塩基は、該塩基が金属水酸化物であるとき、該組成物の約51重量%より高い固形分で存在しており、そして該金属塩基が金属水酸化物以外のものまたは混合物であるとき、15重量%より高い固形分で存在しており、ここで、該組成物は、グリースである、
組成物。
【請求項11】
以下を含有する、燃料組成物:
(a)以下を含有する、分散体:
(i)脂肪酸またはそれらの誘導体以外の界面活性剤;
(ii)該分散体の約35重量%より高い固形分を有する金属塩基;および
(iii)約2重量%未満の水を含有する有機媒体;および
(b)液体燃料。
【請求項12】
前記界面活性剤が、ポリオレフィンの誘導体、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸またはアルカリ金属、アルカリ土類金属のヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸塩、またはそれらの混合物である、請求項11に記載の燃料組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤が、約1000未満の分子量を有する、請求項12に記載の燃料組成物。
【請求項14】
前記金属塩基が、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムである、請求項11に記載の燃料組成物。
【請求項15】
さらに、解乳化剤を含有する、請求項11に記載の燃料組成物。

【公表番号】特表2007−531806(P2007−531806A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506497(P2007−506497)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/010631
【国際公開番号】WO2005/097952
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】