説明

高圧および低圧条件下での重力による流体排出のための弁機構

本発明は、周囲(102,202)に対して減圧された減圧空間(101,201)から、当該周囲(102,202)に液状媒体を排出する機構(100,200)に関する。周囲(102,202)に対して減圧された減圧空間(101,201)から、当該周囲(102,202)に液状媒体を排出する本発明にかかる弁機構(100,200)は、取付位置において、減圧空間(101,201)とガス圧連通する流入口(103,203)と、取付位置において、重力方向で流入口(103,203)の下方に位置し、周囲(102,202)とガス圧連通する排出口(104,204)と、流入口(103,203)と排出口(104,204)とを接続する通路(110,210)と、液状媒体を重力の影響下で流入口(103,203)から排出口(104,204)に通過させ、減圧空間(101,201)に対する周囲(102,202)のガス超過圧が、予め決めた値を上回るとき、閉じるように構成されている逆流防止弁(120,220)と、液状媒体を重力の影響下で流入口(103,203)から排出口(104,204)に通過させ、周囲(102,202)に対する減圧空間(101,201)のガス超過圧が、予め決めた値を上回るとき、閉じるように構成されているストップ弁(130,230)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲に対して減圧された減圧空間から、当該周囲に液状媒体を排出する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
“減圧空間”は、この文脈においては、その周囲に対して、完全に、または、少なくとも実質的に密封されている空間であると理解すべきであるが、例えば、客車のドア、および、窓のような閉塞可能な穴を有するものであってもよい。本件明細書において、“減圧”とは、減圧空間と周囲との間に、少なくとも一時的な圧力差が生じることを意味している、と理解すべきである。
【0003】
上述した種類の機構では、減圧空間と周囲の間に圧力差があるとき、流体排出ラインの領域において、しばしば、問題が生じる。もし、減圧空間が、例えば、高速の客車であるならば、トンネルの入口で、または、反対方向に向かう列車とすれ違う時、通常、一時的な圧力差が生じる。このことは、例えば、減圧空間と比較して周囲にガスの超過圧力があるとき、液状媒体が減圧空間に逆流して排出されるという結果になるか、または、周囲に対して減圧された減圧空間にガスの超過圧力があるとき、吸引抽出効果を生じさせる。
【0004】
これらの効果を回避する1つの公知の方法は、圧力差に対応する水柱の高さに等しい高さのサイフォントラップを使用することである。上述したトンネルの入口および列車のすれ違いの例では、この圧力差は、900mmの水柱に相当するおおよそ±9kPa程度であってもよい。しかしながら、多くの場合、設置される高さが900mmの大きさのサイフォンのために利用できる十分な建設空間はない。客車のような特別な場合には、そのような設置寸法を満たすことは難しい。
【0005】
不純物がサイフォンの最下点に集まり、後に詰まるという別の問題がある。この危険は、例えば、食べ残しがその機構で廃棄されたとき、特に生じる。
【0006】
そのようなシステムを空の状態にすることができないという別の問題がある。例えば、列車のパイプラインシステムの水は、客車が使用状態から一時的に外されたとき、除去しなければならない。
【発明の概要】
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、前述した1つ、または、それ以上の不利な点を減少させるか、または、排除することである。
【0008】
本発明によれば、この目的は、周囲に対して減圧された減圧空間から、当該周囲に液状媒体を排出する弁機構によって達成される。前記機構は、取付位置において、減圧空間とガス圧連通する流入口と、取付位置において、重力方向で流入口の下方に位置し、周囲とガス圧連通する排出口と、流入口と排出口とを接続する通路と、液状媒体を重力の影響下で流入口から排出口に通過させ、減圧空間に対する周囲のガス超過圧が、予め決めた値を上回るとき、閉じるように構成されている逆流防止弁と、液状媒体を重力の影響下で流入口から排出口に通過させ、周囲に対する前記減圧空間のガス超過圧が、予め決めた値を上回るとき、閉じるように構成されているストップ弁とを備える。
【0009】
本発明にかかる弁機構は、とりわけ、減圧空間と周囲の相対的な圧力条件によって、解放されるか、または、阻止される通路を通る一方向の液状媒体の流れによって区別される。
【0010】
“周囲”は、減圧空間の外側の領域に言及している。周囲は、例えば、廃水収集管のような、前記周囲の内部の分離空間であってもよい。
【0011】
液状媒体は、弁機構を通して重力によって排出される。すなわち、液状媒体は、取付位置において、上方の減圧空間から周囲に下向きに、弁機構を通って流れて排出される。それゆえに、弁機構の要素の位置に関して次に示す詳細部分は、重力方向が下向きである本発明の弁機構の取付位置に関する。
【0012】
この取付位置では、本発明にかかる弁機構は、上方の流入口を下方の排出口と接続する通路を備える。流入口は、減圧空間に開放されており、排出口は、周囲に、または、例えば、周囲の廃水収集管の中に開放されている。通路は、様々な材料からなる普通のパイプラインであり、例えば、円形の断面を有していてもよい。
【0013】
流入口は、生じた雑排水が廃棄される洗面台、または、流し台の下水管であってもよい。通路は、望ましくは、洗面台、または、流し台から、ほぼ垂直に下方に延びている。しかしながら、液状媒体の排出を重力によって推進することが可能である限り、通路を、傾斜させて形成してもよい。
【0014】
周囲において、減圧空間より高いガス圧があるとき、これにより、媒体が重力方向に逆らって弁機構に入るように導くことができる。本発明にかかる弁機構は、そのような場合において、排出口から流入口への重力方向に逆らった媒体の逆流を回避できる逆止弁を有している。
【0015】
周囲のガス圧が、減圧空間のガス圧と等しいか、または、減圧空間のガス圧より低いとき、液状媒体を、重力影響下で逆流防止弁を通して上部から下部に通すことができる。
【0016】
逆流防止弁は、流体工学で一般的に使用され、排出口から流入口への流れの方向で、媒体の通過を自動的に阻止する方向制御弁として構成してもよい。そのような弁は、逆止め弁として言及されている。
【0017】
本発明にかかる弁機構は、流入口から排出口への方向に媒体が流れることを回避するストップ弁を有していてもよい。
【0018】
減圧空間のガス圧が周囲のガス圧と等しいとき、液状媒体は、流入口から排出口へ、そして、その逆方向の両方の通路を通って流れることができる。しかしながら、減圧空間のガス圧が周囲のガス圧よりも高いとき、ストップ弁は、液状媒体が通路を通過できないように、通路を、少なくとも一時的に阻止することができる。
【0019】
本発明にかかる弁機構は、周囲のガス圧が減圧空間のガス圧より高いときだけでなく、周囲のガス圧が減圧空間のガス圧より低いときもまた、弁機構を通して液状媒体の流れを阻止することができる。減圧空間のガス圧に対して周囲に高いガス圧があるとき、逆流防止弁は閉じ、周囲に対して減圧された減圧空間に高いガス圧があるとき、ストップ弁は閉じることが望ましい。減圧空間、および、周囲における圧力がほぼ等しいとき、流れが確保される。
【0020】
このようにして、超過圧力の弁、および、不足圧力の弁によって、本発明にかかる弁機構は、圧力差があるときに生じる問題を回避する。圧力差が均等化されるとすぐに、本発明にかかる弁機構によって、液状媒体が流入口から排出口へ通路を通って再び流れることができる。このことは、減圧空間と周囲の圧力が等しいとき、機構が自ら退避するということを保証する。
【0021】
本発明にかかる弁機構は、その全体の高さが低く、そして、生じる圧力差に相当する水柱を備える必要はないので小さな取付空間しか必要としないという有利な点も有している。
【0022】
好ましくは弾性材料からなる逆流防止弁、および、ストップ弁の両方の媒体通過チャネルによって、ゴミおよび異物の除去に関して本発明の弁機構の特徴を改善することもできる。
【0023】
本発明にかかる弁機構は、費用の点で効率的に製造し取り付けることができるという有利な点も有している。周囲に対して減圧された減圧空間から液状媒体を排出する従来の装置を改造して、本発明の弁機構を、容易に、かつ、費用の点で効率的に取り付けることもできる。
【0024】
本発明は、望ましくは、取付位置において、重力方向で逆流防止弁の下方にストップ弁を配置することによって開発されている。
【0025】
この実施形態の有利な点は、通路に位置する媒体の逆流を実質的に回避できるように、逆流防止弁を流入口の近くに配置できるという点である。これにより、弁機構が、例えば、洗面台、または、流し台からの雑排水を排出するために使用されるとき、特に有利である。逆流防止弁がストップ弁の上方に配置されるとき、これによって、弁機構の雑排水が洗面台の中に逆流することを回避する。洗面台の中への逆流により、洗面台の領域での汚染につながる。
【0026】
本発明は、ダックビル弁のような逆流防止弁を構成することによって、さらに改良することができる。ダックビル弁は、入口端と、取付位置において、入口端から重力方向で下向きに向いて先細り、弾性材料からなる2つの側壁を有するカモのくちばし部分と、取付位置において、入口端から重力方向で下向きに向いた出口端とを備える。カモのくちばし部分の内側は、入口端と出口端の間で第1の媒体通過チャネルを形成し、側壁は、第1位置において、少なくとも一部分で互いに押圧し合うように付勢されている。したがって、第1の媒体通過チャネルは、この第1位置において、入口端を通ってダックビル弁に媒体が流れていないか、または、出口端からダックビル弁に媒体が接触するとき、少なくとも一部分において閉じられている。第2位置において、側壁は、少なくとも一部分で互いに切り離されている。したがって、媒体が入口端を通ってダックビル弁に流れるとき、第1の媒体通過チャネルは、この第2位置において、少なくとも部分的に開かれている。
【0027】
ダックビル弁は、媒体通過要素が実質的に弾性材料、望ましくは弾性プラスチックからなる弁である。ダックビル弁の弾性材料は、媒体が入口端から出口端に流れなければならないチャンネルの壁を形成している。この媒体通過チャネルは通路の内側に配置され、概ね通路よりも小さな断面を有している。
【0028】
弁の入口端は、丸い断面のパイプラインである通路の形状に適合させてもよい。カモのくちばし部分として構成された端部は、望ましくは、平らになった形状を有している。2つの壁は、望ましくは、実質的に互いに向かい合うように位置している。弾性材料は、望ましくは、側壁が、平らになった形状で互いに接触するように付勢されている。
【0029】
媒体は、平らになった部分が少なくとも部分的に開き、ダックビル弁を通って流れることができるように、入口端から重力方向で出口端の方向に先細る媒体通過チャネルに流れ、付勢された側壁の間を移動し、付勢に打ち勝つことができる。
【0030】
出口端では、媒体通過チャネルの側壁は、媒体が出口端から媒体通過チャネルに到達できないように、望ましくは付勢され互いに接触している。この接触は、出口側の超過圧力によってさらに強められている。したがって、出口端の超過圧力の結果として、出口端から入口端の方向に媒体が逆流するのを回避している。
【0031】
本発明にかかる弁機構は、望ましくは、媒体が重力方向に流れるように配置されているので、逆流防止弁の阻止効果は、周囲のガス圧が減圧空間のガス圧を上回り、媒体が出口端から入口端に向かって、重力方向と反対に押し戻されるとき、特に関係がある。出口側から入ってきてダックビル弁の下端、従って媒体通過チャネルの側壁の外側と接触する状態になる媒体は、付勢力に加えて、ダックビル弁の閉じる力を増加させることができる。その結果、媒体が重力と反対方向に下方からダックビル弁に接触するとき、弁は確実に閉じるようになる。
【0032】
ダックビル弁の別の有利な点は、ゴミが堆積する傾向にあるデッドスペースが実質的にないという点ではなく、媒体のごみや異物がダックビル弁を容易に通り抜けることができるという点である。したがって、堆積および妨害は、回避されるか、または、減少される。
【0033】
本発明の1つの望ましい発展例は、ストップ弁は、ホース弁として具体化され、ホース弁は、入口端、および、取付位置において、重力方向で入力の下方にある出口端と、弾性材料からなり、入口端と出口端の間の通路の内側に延びた第2の媒体通過チャネルとを備え、第2の媒体通過チャネルと通路の間のストップ弁の領域において、ガスが満たされたキャビティは、ガスが満たされたキャビティのガス圧が第2の媒体通過チャネルのガス圧を上回るとき、第2の媒体通過チャネルが少なくとも一部分で押し付けられ、それ故にストップ弁が閉じられることを特徴としている。
【0034】
ホース弁として構成されたストップ弁は、望ましくは、通路の断面よりも小さい断面を有し、通路と実質的に同軸に、同じ内側で延びる第2の媒体通過チャネルを備える。ストップ弁の媒体通過チャネルは、望ましくは、ストップ弁の入口端と出口端の間で延びている。ストップ弁の入口端と出口端は、望ましくは、液密に連結される態様で、通路と連結されている。これは、ストップ弁の入口端から出口端までの通路の長さのほぼ全てにわたって、通路とストップ弁の媒体通過チャネルの間に、細長く、概ね環状のキャビティを作り出す。このキャビティは、キャビティのガス圧が、第2の媒体通過チャネルのガス圧を上回るとき、媒体がストップ弁を通って流れるのを回避するように、望ましくは、ガスが満たされ、弾性媒体通過チャネルに押圧することができる。媒体通過チャネルは、例えば、丸い、または、平らになった断面形状を有していてもよい。その断面形状は、特に、媒体通過チャネルおよびキャビティで形成されたガス圧に従う弁の流量および位置によって変更できる。
【0035】
ストップ弁を開くこと、および、閉じることは、望ましくは、減圧空間と周囲の圧力比に依存しており、望ましくは、減圧空間と周囲の間で通常生じる圧力差に合わせて設計されている。ガスが満たされたキャビティ、および、減圧空間のガス圧が周囲よりも高いとき、ストップ弁が閉じられていることが特に望ましい。
【0036】
ガスが満たされたキャビティは、ガスが満たされたキャビティのガス圧を変更できるように、別の空間や装置と有利に接続されている。キャビティを別の空間と接続すると、ガスが満たされたキャビティのガス圧は、前記別の空間で形成されたガス圧に依存する。ガスが満たされたキャビティを圧力規制装置に接続すると、ガスが満たされたキャビティで生じるガス圧を制御することができる。そのような配置では、ガスが満たされたキャビティのガス圧制御は、減圧空間、および、周囲の圧力条件に依存している。
【0037】
この本発明の発展例は、減圧空間のガス圧が周囲よりも高いとき、ストップ弁を閉鎖することができるという有利な点を有している。減圧空間と周囲の圧力条件に従ったガスが満たされたキャビティの阻止効果を生じさせることによって、容易かつ非常に効率的に弁を制御することができる。
【0038】
前述した本発明の発展例の別の有利な点は、ホース弁の媒体通過チャネルが堆積物が集まるデッドスペースを有しないので、ごみ、および、異物を、媒体によって重力方向に、ホース弁を通して下向きに容易に運ぶことができる。したがって、ごみの堆積、および、弁の阻止を回避するか、または、減少させることができる。
【0039】
本発明は、望ましくは、ガスが満たされたキャビティがバイパス圧力ラインを介して減圧空間とガス圧連通することによって開発されている。
【0040】
ガスが満たされたキャビティは、ガスが満たされたキャビティのガス圧が減圧空間のガス圧と等しくなるように、望ましくは、減圧空間と流体連結されている。これは、望ましくは、通路の外側に延びるバイパス圧力ラインによって達成される。ガスが満たされたキャビティ、および、弾性媒体通過チャネルは、減圧空間のガス圧、それ故に、ガスが満たされたキャビティのガス圧が周囲のガス圧を上回るとき、媒体通過チャネルが押圧され、それ故に、ストップ弁が閉じられるように、望ましくは、寸法が決められている。バイパス圧力ラインを介したそのようなガス圧連通は、減圧空間と周囲の間の圧力比に依存してストップ弁を開けたり閉じたりする機構を作る簡易な方法である。
【0041】
本発明の1つの望ましい発展例によれば、ストップ弁は、2重のダックビル弁として具体化されている。この場合には、第2の媒体通過チャネルは、取付位置において、入口端から重力方向で下向きに向いて先細り、弾性材料からなる2つの第1側壁と、重力方向で入口端から下向きに向いた一端とを有する第1のカモのくちばし部分と、取付位置において、出口端から重力方向で上向きに向いて先細り、弾性材料からなる2つの第2側壁と、重力方向で出口端から上向きに向いた一端とを有する第2のカモのくちばし部分と、液密に連結される態様で互いに連結された端部として構成されている。
【0042】
第1および/または第2のカモのくちばし部分の側壁は、媒体が2重のダックビル弁を通って流れていないとき、第1位置において、少なくとも一部分で互いに押圧し合い、それ故に、第2の媒体通過チャネルは、少なくとも一部分で閉じられ、媒体が2重のダックビル弁を通って流れているとき、第2位置において、少なくとも一部分で互いに切り離され、それ故に、前記第2の媒体通過チャネルは、少なくとも部分的に解放されるように付勢されていることが好ましい。
【0043】
2重のダックビル弁として構成されたストップ弁は、上述したように実質的に2つのダックビル弁からなっていてもよい。2つのダックビル弁は、媒体通過チャネルが2重のダックビル弁の内側に形成されるように、液密に連結される態様の平らになった端部で接続されるか、または、一体的に構築される。
【0044】
この場合、ストップ弁の中立の第1位置において、媒体が通路を流れていないとき、媒体通過チャネルは少なくとも一部分で閉じられる、すなわち、少なくとも1つの、望ましくは、両方のカモのくちばし部分の側壁が互いに接触するように、2重のダックビル弁の弾性材料が付勢されていることが好ましい。このため、第1および/または第2のカモのくちばし部分の2つの各側壁は、望ましくは、実質的に互いに向かい合って位置している。媒体が通路を通って流れるまで付勢は解除されない。そして、媒体通過チャネルは、媒体がストップ弁を通り抜けることができるように、少なくとも部分的に開いた第2位置になる。
【0045】
別の望ましい発展例では、ストップ弁は、中間貯蔵部と、中間貯蔵部の中に配置され、媒体の密度よりも低い密度を有する遮断ボールと、取付位置において、重力方向で、中間貯蔵部の下端にある閉塞可能な穴であって、直径が遮断ボールの直径よりも小さい穴とを備え、遮断ボール、中間貯蔵部、および、閉塞可能な穴は、ストップ弁の閉塞位置において、遮断ボールが重力の影響下で穴と接触して穴を閉じ、ストップ弁の開放位置において、揚圧力により媒体中の遮断ボールを重力の力に逆らって浮かせ、穴を通る媒体の流れを解放するために、大量の媒体が中間貯蔵部に集まるように配置され、寸法が決められている。
【0046】
この本発明の発展例では、ストップ弁は、遮断ボールが閉じられた弁の位置において、穴の上に横たわり、そして、穴を閉じるように構成されている。遮断ボールの直径が穴の直径より大きいからである。媒体が通路を通って流れていないとき、弁はこの状態にある。遮断ボールが重力によって穴の上に乗るようになるからである。遮断ボールの直径、材料、および、重さは、排出される媒体に適合していなければならない。遮断ボールは、例えば、中空ボールとして具体化されていてもよい。
【0047】
媒体が流入口を通って通路に流れ、中間貯蔵部に到達すると、穴が遮断ボールによって閉じられているので、媒体は、最初、中間貯蔵部の中に集まる。遮断ボールの密度が媒体の密度より小さいので、重力と反対方向の揚圧力が集まる媒体によって遮断ボールに働く。前記揚圧力が重力の影響を上回るとき、揚圧力によって遮断ボールを浮かせる。穴は、媒体中で遮断ボールが浮くことによって解放される。したがって、媒体は重力方向でストップ弁を通って流れることができる。
【0048】
減圧空間のガス圧が周囲より高いとき、この高いガス圧も通路を介して遮断ボールに働き、重力の影響を強める。その結果として、遮断ボールは穴の上に押圧され、ストップ弁を閉じることができる。高いガス圧が周囲に対して減圧された減圧空間に存在するとき、媒体が中間貯蔵部に集められたとき、中間貯蔵部の水は、遮断ボールが穴の上に横たわるようになる前、最初、流出することができる。もし、追加の媒体が上方から中間貯蔵部に流入するならば、遮断ボールは集った媒体の水面に浮くことができる。
【0049】
別の方法として、ボールは弾性的に変形可能であり、可変容量を有していてもよい。そのようなボールの揚圧力は変えることができる。減圧空間のガス圧が周囲より高いとき、媒体が中間貯蔵部に集まったとき、遮断ボールは穴の上でさらに押圧され、ストップ弁は閉じられる。周囲に対して減圧された減圧空間に高いガス圧があるならば、弾性的に変形可能なボールも集まった媒体の中で沈むことができるからである。
【0050】
下方から重力と反対方向に流れるガスまたは媒体は、遮断ボールを穴から解放し、中間貯蔵部に入ることができる。しかしながら、中間貯蔵部の上端に配置された逆流防止弁は、ガスまたは媒体が弁機構の流入口に逆流することを防止する。
【0051】
この本発明の発展例は、さらに、特にデッドスペースを回避することによって、ごみの堆積や阻止を回避するか減少させるように、ごみや異物が媒体とともに穴を通って運ばれるという有利な点を有している。加えて、この実施形態は、さらに、遮断ボールが中間貯蔵部の内側で上方に浮くのに十分な最小限の全高しか必要としない。上述のボール弁機構は、製造、取り付け、および、改造に対して費用の点で効率的でもある。
【0052】
本発明の1つの望ましい発展例では、中間貯蔵部は断面が通路より大きくなるように構成されている。この場合、閉塞可能な穴は、通路と同じ断面を有している。
【0053】
別の方法、または、追加の方法として、閉塞可能な穴は、通路より小さな断面を有していてもよい。この場合、遮断ボールの直径が閉塞可能な穴の直径より大きい限り、遮断ボールは通路よりも小さな直径を有していてもよい。この場合、十分に小さな遮断ボールが上方に浮くことができるようにすることによって、閉塞可能な穴の上方の通路部分を中間貯蔵部としても十分である。
【0054】
本発明は、取付位置において、重力方向で、下端に向かって先細るように、中間貯蔵部をロートの形状に設計することによって、さらに開発してもよい。
【0055】
閉塞可能な穴の方向に拡大するように中間貯蔵部を設計することによって、重力の影響下で遮断ボールを穴の上に置くことを容易にすることができる。この発展例は、穴の上の遮断ボールの位置的安定性を向上させることもできる。
【0056】
本発明の別の発展例では、ストップ弁は、取付位置において、重力方向で、液状媒体が入る中間貯蔵部の上端に配置された中間貯蔵部の入口端を有している。ストップ弁は、中間貯蔵部の入口端および遮断ボールが、中間貯蔵部の入口端を通ってストップ弁に入る媒体が閉塞可能な穴の上に横たわる遮断ボールの側面に、かつ/または、閉塞可能な穴の上に横たわる遮断ボール上で横方向に、実質的に流れることを特徴とする。
【0057】
この本発明の発展例により、流入する媒体が遮断ボールに直接影響を与えることを回避することが特に好ましい。遮断ボールのそばで、または、遮断ボールの一側で中間貯蔵部に流れる媒体によって、遮断ボールがその作用に従って浮くことを確実にすることができる。これに関して、中間貯蔵部の入口端と遮断ボールを一列に配置しないことが有利であってもよい。別の選択肢は、中間貯蔵部の入口端の下端に、例えば、鉛直な下向きの方向から媒体の流れの方向を屈折させ、媒体が遮断ボールの側面に、または、遮断ボールに向かって横方向に流れることができる装置を取り付けることである。中間貯蔵部の入口端と閉塞可能な穴を一列に配列しないことにより、所望の効果を得ることもできる。そうすることにより、穴の上に横たわるようになる遮断ボールを、中間貯蔵部の入口端と関連して同様に横方向に移動させることができる。
【0058】
本発明の別の特徴によれば、上述のような弁機構は、周囲に対して減圧された減圧空間から周囲への液状媒体の排出を制御するために使用することができる。
【0059】
本発明のさらなる別の特徴によれば、上述のような弁機構は、周囲に対して減圧された客車、特に高速の客車から周囲への、液状媒体、特に雑排水の排出を制御するために使用してもよい。
【0060】
本発明の望ましい実施形態は、例示のために添付図面を参照して説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明にかかる弁機構の第1実施形態を示す縦断面図。前記弁機構は圧力平衡が保たれ媒体が流れない。
【図2】図1の弁機構を示す縦拡大断面図。
【図3】媒体が流れる図1の弁機構を示す縦断面図。
【図4】周囲に高いガス圧がある時の図1の弁機構を示す縦断面図。
【図5】減圧空間に高いガス圧がある時の図1の弁機構を示す縦断面図。
【図6】客車における図1の弁機構の取り付け変形例を示す縦断面図。
【図7】客車における図1の弁機構の第2取り付け変形例を示す縦断面図。
【図8】本発明の第2実施形態の弁機構を示す縦断面図。前記弁機構は圧力平衡が保たれ媒体が流れない。
【図9】媒体が流れる図8の弁機構を示す縦断面図。
【図10】周囲に高いガス圧がある時の図8の弁機構を示す縦断面図。
【図11】減圧空間に高いガス圧がある時の図8の弁機構を示す縦断面図。
【図12】客車における図8の弁機構の第1取り付け変形例を示す縦断面図。
【図13】客車における図8の弁機構の第2取り付け変形例を示す縦断面図。
【図14】3次元の概略図における本発明にかかる逆流防止弁を示す図。
【図15】図14の逆流防止弁を示す側面図。
【図16】図14の逆流防止弁を示す断面図。
【図17】図16の詳細部分Aを示す図。
【図18】図14の逆流防止装置を示す縦断面図。
【図19】本発明にかかるストップ弁を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、本発明の第1実施形態の弁機構100を示す。弁機構100は、周囲102に対して減圧された減圧空間101から周囲102に液状媒体を排出する。弁機構100は、流入口103と排出口104を備えている。減圧空間101は、仕切り壁140によって周囲102から切り離されている。仕切り壁140は、例えば客車の床である。減圧空間101のガス圧は周囲102のガス圧と等しい。
【0063】
流入口103は、通路110を介して排出口104と接続されている。減圧空間101と同じ圧力は、流入口103に行き渡っている。周囲102と同じ圧力は、排出口104に行き渡っている。弁機構100は、液状媒体が流入口103から排出口104まで重力方向に流れるように取り付けられている。
【0064】
弁機構100は、逆流防止弁120およびストップ弁130を備えている。ストップ弁130は、逆流防止弁120の下方に配置されている。
【0065】
図2は、図1に示した弁機構の拡大図を示す。逆流防止弁120は、ダックビル弁(duckbill valve)として構成され、入口端121、出口端123、および、弾性材料により形成され入口端と出口端の間に形成された媒体通過チャネル124を備えている。
【0066】
媒体通過チャネル124は、弾性材料により形成された2つの側壁122a,bによって規定されている。2つの側壁は、出口端の方向に先細るカモのくちばし部分の形状を有している。カモのくちばし部分の側壁122a,bは、ダックビル弁が、図1および図2に示すように、減圧空間101と周囲102との間で、圧力の平衡が保たれた状態で閉じられるように、1つの部分125に付勢されており、互いに押圧し合っている。
【0067】
ダックビル弁の上端は、通路110のフランジ111に固定されたカラー形状の結合要素126を備えている。
【0068】
弁機構100は、2重のダックビル弁として構成されたストップ弁130も備えている。2重のダックビル弁130は、ダックビル弁120の方向に向けられた入口端と、下向きの出口端132とを備えている。弾性材料からなる第2の媒体通過チャネル134は、それらの間に形成されている。2重のダックビル弁は、弾性材料からなる2つの側壁136a,b,137a,bをそれぞれ有する2つのカモのくちばし部分により構成されている。2つの側壁136a,b,137a,bは、領域135の端部で連結されている。側壁136a,b,137a,bは、側壁136a,137aと側壁136b,137bとが領域135で互いに押圧し合い、通路110をシールするように付勢されている。
【0069】
ガスが満たされたキャビティ134は、第2の媒体通過チャネル134および通路110を形成する側壁136a,b,137a,b間で形成されている。前記ガスが満たされたキャビティ134のガス圧が減圧空間101のガス圧と同じになるように、前記ガスが満たされたキャビティ134は、望ましくは、バイパス圧力ライン138によって減圧空間101と流体連結されている。
【0070】
図3は、減圧空間101のガス圧が周囲102のガス圧と同じである状態において、図1および図2同様の弁機構を示す。図1および図2とは異なり、液状媒体、すなわち、水および特にここで示した例の雑排水(greywater)は、図3の弁機構100を通って矢印Aによって示す方向に流れる。弾性側壁136a,b,137a,b、および、それらの付勢は、重力方向に流れる水が付勢力に打ち勝つように、寸法が決められている。ダックビル弁120および2重のダックビル弁130と同様に、付勢領域125および付勢領域135が開き、流入口103から排出口104まで弁機構100を通って媒体が流れることができることが図3から分かる。
【0071】
図4は、周囲102のガス圧が減圧空間101のガス圧より高い状況の図1の弁機構を示す。この圧力差によって、水は、矢印Bで示す方向に排出口104から弁機構へと、重力方向に逆らって流れることができる。
【0072】
出口端から媒体通過チャネル134に流れる水は、側壁136a,b,137a,bの付勢力にも打ち勝ち、2重のダックビル弁130の出口端132から2重のダックビル弁130を通り、第2の媒体通過チャネル134を通って、ダックビル弁120の下端123に通り抜けることができる。
【0073】
水は、その後、ダックビル弁120の側壁122a,bの外側に衝突する。側壁122a,bは、付勢力によって部分領域125で閉じられ、媒体が流れ込み付勢力に抗してダックビル弁120を開くことができる領域を露出させない。したがって、水が図4で説明した状況の2重のダックビル弁130を通り抜けることができる一方で、ダックビル弁120は、図4に示した状況で閉じられている。その結果、弁機構の流入口103への水の逆流は回避されている。
【0074】
図5は、減圧空間101のガス圧が周囲102のガス圧より高い状況の図1の弁機構を示す。重力方向に流れる水は、図3を参照して既に説明したように、ダックビル弁120を通り抜けることができ、2重のダックビル弁130と接触する状態になる。
【0075】
また、減圧空間101の高いガス圧は、バイパスライン138を通してガスが満たされたキャビティ134に移動する。ガスが満たされたキャビティ134のこの高いガス圧によって、2重のダックビル弁130の付勢された側壁136a,b,137a,bの閉じる力は、矢印Cで示した方向に領域135で強められている。2重のダックビル弁130は、流入口103を通して重力方向に水が入ってきたとしても、ガスが満たされたキャビティ134の高いガス圧に起因する強められた閉鎖力が、矢印Cで示した方向において、それに負けないように寸法が決められている。
【0076】
図5に示した状況では、2重のダックビル弁130はそれ故に閉じられ、弁機構100の流入口103から排出口104まで水が流れるのを回避する。
【0077】
図4および図5に示した圧力が再び等しくなると、弁機構100は、媒体が流れているか否かによって、図1または図3に示した位置を採用する。
【0078】
図6は、客車150に取り付けられた弁機構100を示す。減圧空間101は客車150の内部に形成されている。減圧空間101は、例えばトイレである。通路110により、洗面器160に開けられた流入口103と、周囲102にガス圧連通する排出口104とが接続されている。図6に示した取付の変形例では、通路110は、洗面器160と客車150の底の端部との距離よりも長い部分110aを有している。その結果、ダックビル弁および2重のダックビル弁は客車の下に配置されている。しかしながら、2重のダックビル弁130のガスが満たされたキャビティ134は、バイパス圧力ライン138によって減圧空間101とガス圧連通している。
【0079】
図7は、図6と類似の取り付けを示すが、ダックビル弁120および2重のダックビル弁130は、図6とは反対に、客車150の内部に配置されるという相違点がある。
【0080】
本発明の弁機構は、いずれの配置においても同様に機能する。
【0081】
図8〜図11は、本発明の第2実施形態の弁機構を示す。その弁機構は、流入口203、および、通路210を備える。流入口203は、減圧空間201とガス圧連通する。通路210は、流入口203を排出口204と接続し、排出口204は、周囲とガス圧連通する。ダックビル弁220は、通路210の逆流防止弁として配置されている。ダックビル弁220は、図1〜図7に示したダックビル弁120と対応している。
【0082】
図8〜図11に示した実施形態は、ストップ弁の構造において、図1〜図7に示した第1実施形態とは異なっている。図8〜図11に示した実施形態は、中間貯蔵部231を有している。中間貯蔵部231は、断面が通路210より大きくなるように構成されている。中間貯蔵部231は、上端に中間貯蔵部の入口端を備え、そこにはダックビル弁220が配置されている。中間貯蔵部231は、下端に、閉塞可能な穴233を備えている。中間貯蔵部231は、底部領域231aがロートの形状をしており、閉塞可能な穴233に向かって領域231aで先細っている。遮断ボール232は、中間貯蔵部の中に配置されている。遮断ボール232の直径は、閉塞可能な穴233の直径より大きい。
【0083】
図8では、本発明の弁機構は、減圧空間201のガス圧が周囲202のガス圧と同じである状況で示されている。図8に示した状況では、媒体は弁機構を通って流れない。この状況では、中間貯蔵部231の底の端部の遮断ボール232は、重力の影響によって閉塞可能な穴233の上に乗り、穴233を閉じる。
【0084】
再び、図9は、減圧空間201の圧力と周囲202の圧力とが等しい状況での弁機構を示すが、図9では、矢印Dで示した方向に弁機構200を通って水が流れる。ダックビル弁220として具体化された逆流防止弁は、図1〜図7を参照して説明したように、流れ込む水の力により開いている。結果として、水は、中間貯蔵部231に到達する。閉塞可能な穴233は、(図8に示したような)遮断ボール232によって最初は閉じられているので、水は、中間貯蔵部231の底部領域に集まる。遮断ボール232の密度は、媒体の密度よりも低い。説明された例では、媒体は水である。水が、中間貯蔵部231の中である高さに到達すると、遮断ボール232は、図9に示したように、上方に向かって浮く。これにより、閉塞可能な穴233を開き、水は、穴233を通り、排出口204を通って弁機構から出ることができる。遮断ボール232は、重力の影響により再び穴233の上に乗り、図8に示したように、穴を閉じる。
【0085】
図10に示したように、もし、周囲202のガス圧が減圧空間201のガス圧を上回るならば、水は、矢印Eで示した方向に排出口204を通って弁機構200の中に上昇することができる。この状況では、遮断ボール232は、中間貯蔵部231の底の端部の位置から穴233を通って水が流れることによって解放される。その結果、水は、中間貯蔵部231に重力に対して反対方向に入ることができる。しかしながら、水は、図1〜図7を参照して既に説明したように、その方向にダックビル弁220を通り抜けることはできない。このようにして、本発明にかかる弁機構200は、周囲202のガス圧が減圧空間201のガス圧よりも高いとき、水が重力方向に逆らって機構を通って流れるのを防止する。
【0086】
図11は、減圧空間201のガス圧が周囲202のガス圧を上回る状況を示す。中間貯蔵部が空のとき、減圧空間201のガスの超過圧力は、遮断ボール131上に重力方向に作用し、遮断ボール131に作用する力を増大させる。
【0087】
水が矢印Fの方向に流入口203を通って弁機構200に流れるとき、上述したように、水は、ダックビル弁220を通って重力方向に通り抜けることができる。図11に示した状況では、遮断ボール232が穴233を閉じるので、最初、水は、中間貯蔵部231の中に集まる。遮断ボール232の揚圧力が穴233から遮断ボール232を解放するのに十分な高さに、水が上昇したとき、水は、穴233を通って排出口204の方向に、中間貯蔵部から流出することができる。
【0088】
図8〜図11に示した本発明の第2実施形態の弁機構は、図1〜図5に示した第1実施形態と同様に、客車において、異なる別の方法で配置してもよい。図12および図13は、第2実施形態の弁機構の配置を示す。第2実施形態の弁機構の配置は、図6および図7に示したような第1実施形態の弁機構の配置に類似している。図12および図13に示した弁機構200は、ここでは、客車250の内部に配置された洗面器260から周囲202に水を排出するために使用される。客車の内部やトイレは、例えば、減圧空間201である。本発明の第2実施形態の弁機構は、図12に示したように、客車の下に配置してもよいし、図13に示したように、客車の内部に配置してもよい。第2実施形態の弁機構の操作方法は、いずれの取付態様においても同一である。
【0089】
図14〜図18は、本発明にかかるダックビル弁320を示す。ダックビル弁320は、先行する図に示した本発明の弁機構の2つの実施形態において、逆流防止弁として使用してもよい。ダックビル弁320は、入口端321および出口端323を備えている。媒体通過チャネル324は、それらの間に形成されている。環状フランジ329は、入口端321に形成されている。前記フランジは、通路(図示せず)にダックビル弁320を固定するために使用されている。環状フランジ329は、図16に見られるように、外径329aおよび内径329bを有している。
【0090】
好ましくは弾性材料からなる側面要素322a,b,327は、前記環状フランジ329に取り付けられている。側面要素327は、ダックビル弁320の下部にある平らになった領域325で2つの向かい合った側壁322a,bが互いに接触するように先細っている。ダックビル弁320の領域325において、このように平らにすることは、望ましくは、弾性材料の側壁322a,bを付勢することによって達成される。この付勢は、望ましくは、媒体通過チャネル324が媒体が入口端321を通ってダックビル弁320に入ることによって少なくとも部分的に開くことができるように寸法が決められている。そのため、媒体は、出口端323を通って再びダックビル弁320から出ていくことができる。2つの側壁322a,bが実質的に互いに接触するようになることは、図16の断面図に示されている。図17に示した図16の詳細部分Aは、側壁322a,b間に狭い隙間を形成していることを示している。側壁322a,bは、開いた状態で水が流れるとき、互いの間に媒体通過チャネル324を形成する。
【0091】
図18は、ダックビル弁320の縦断面図を示す。特に、ここで示しているのは、ダックビル弁320の平らになった領域325の底部分325aである。底部分325aは隙間なく接触しているので、媒体が出口端323を通って入口端321の方向に流れることが底部分325aにより回避されている。
【0092】
図19は、2重のダックビル弁を示す。2重のダックビル弁は、図1〜図13に示した本発明の弁機構の実施形態において、例えば、ストップ弁として使用してもよい。
【0093】
図14〜図18に示したように、2重のダックビル弁430は、2つのダックビル弁からなっていてもよい。2つのダックビル弁は、2つの出口ポート323が、液密に連結される態様で平らになった各端部で連結されている。
【0094】
2重のダックビル弁は、入口端431および出口端432を備えている。入口端431および出口端432は、媒体通過チャネル434によって接続されている。2つのダックビル弁の向かい合った各側壁436a,b,437a,bは、望ましくは、弾性材料からなっており、一部分435で互いに接触し、2重のダックビル弁430を閉じるように付勢されている。
【0095】
環状フランジ439,439aは、例えば、2重のダックビル弁を通路に固定するために、入口端431および出口端432のそれぞれに形成されている。
【0096】
側壁436a,b,437a,bの付勢は、望ましくは、入口端431または出口端432を通って媒体通過チャネル434に流れ込む媒体が前記付勢に打ち勝ち、少なくとも部分的に部分435を開いて当該部分435を通り抜けることができるように寸法が決められている。
【0097】
2重のダックビル弁430は、ガスが満たされた空間433が媒体通過チャネルの外側に形成され、前記ガスが満たされた空間のガス圧により側壁436a,b,437a,bの閉じる力が強くなるならば、入口端431、または、出口端432を通って通路434に入る媒体が付勢力、および、ガスが満たされた空間433の追加の圧力による力に抗して部分435を開くことができず、それ故に2重のダックビル弁を通り抜けることができないようにすることで、媒体が媒体通過チャネル434を通って流れるのを防止できる。
【符号の説明】
【0098】
100,200 弁機構
101,201 減圧空間
102,202 周囲
103,203 流入口
104,204 排出口
110,210 通路
110a 部分
111 フランジ
120 逆流防止弁
121,321,431 入口端
122a,b 側壁
123,132,323,432 出口端
124,324,434 媒体通過チャネル
125 部分
129 結合要素
130 ストップ弁
131 遮断ボール
133 キャビティ
134 第2の媒体通過チャネル
135 領域
136a,b,137a,b 側壁
138 バイパス圧力ライン
140 仕切り壁
150,250 客車
160,260 洗面器
220,320 ダックビル弁
231 中間貯蔵部
231a 底部領域
232 遮断ボール
233 穴
322a,b 側面要素
325 領域
325a 底部分
327 側面要素
329,439,439a 環状フランジ
329a 外側の半径
329b 内側の半径
430 ダックビル弁
433 空間
434 通路
435 部分
436a,b,437a,b 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に対して減圧された減圧空間(101,201)から前記周囲に液状媒体を排出する弁機構(100,200)であって、
取付位置において、前記減圧空間とガス圧連通する流入口(103,203)と、
取付位置において、重力方向で前記流入口の下方に位置し、前記周囲とガス圧連通する排出口(104,204)と、
前記流入口と前記排出口とを接続する通路(110,210)と、
i.前記液状媒体を重力の影響下で前記流入口から前記排出口に通過させ、
ii.前記減圧空間に対する前記周囲のガス超過圧が、予め決めた値を上回るとき、閉じるように構成されている逆流防止弁(120,220)と、
i.前記液状媒体を重力の影響下で前記流入口から前記排出口に通過させ、
ii.前記周囲に対する前記減圧空間のガス超過圧が、予め決めた値を上回るとき、閉じるように構成されているストップ弁(130,230)と
を備えることを特徴とする弁機構。
【請求項2】
取付位置において、前記ストップ弁は、重力方向で前記逆流防止弁の下方に配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の弁機構。
【請求項3】
前記逆流防止弁は、ダックビル弁として具体化され、
前記ダックビル弁は、
入口端(121,321)と、
取付位置において、前記入口端から重力方向で下向きに向いて先細り、弾性材料からなる2つの側壁(122a,b,322a,b)を有するカモのくちばし部分と、
装着位置において、前記入口端から重力方向で下向きに向いた出口端(123,323)と
を備え、
前記カモのくちばし部分の内側は、前記入口端と前記出口端の間で第1の媒体通過チャネル(124,324)を形成し、
前記入口端を通って前記ダックビル弁に媒体が流れないか、または、前記出口端から前記ダックビル弁に媒体が接触するとき、前記側壁は、
第1位置において、少なくとも一部分で互いに押圧し合い、それ故に、前記第1の媒体通過チャネルは、少なくとも一部分において閉じられ、
媒体が前記入口端を通って前記ダックビル弁に流れるとき、前記側壁は、
第2位置において、少なくとも一部分で互いに切り離され、それ故に、前記第1の媒体通過チャネルは、少なくとも部分的に開くように付勢されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の弁機構。
【請求項4】
前記ストップ弁は、ホース弁として具体化され、
前記ホース弁は、
入口端、および、取付位置において、重力方向で前記入口端の下方にある出口端(132)と、
弾性材料からなり、前記入口端と前記出口端の間の通路の内側に延びた第2の媒体通過チャネル(134)と
を備え、
前記第2の媒体通過チャネルと前記通路の間の前記ストップ弁の領域において、ガスが満たされたキャビティ(133)は、ガスが満たされたキャビティで形成されたガス圧が前記第2の媒体通過チャネルのガス圧を上回るとき、前記第2の媒体通過チャネルが少なくとも一部分で押し付けられ、それ故に前記ストップ弁を閉じることができるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弁機構。
【請求項5】
前記ガスが満たされたキャビティ(133)はバイパス圧力ライン(138)を介して前記減圧空間とガス圧連通することを特徴とする、請求項4に記載の弁機構。
【請求項6】
前記ストップ弁は、2重のダックビル弁(130,430)として具体化され、
前記2重のダックビル弁(130,430)は、前記第2の媒体通過チャネル(134,434)が、
取付位置において、前記入口端から重力方向で下向きに向いて先細り、弾性材料からなる2つの第1側壁(136a,b,436a,b)と、重力方向で前記入口端から下向きに向いた一端とを有する第1のカモのくちばし部分と、
取付位置において、前記出口端から重力方向で上向きに向いて先細り、弾性材料からなる2つの第2側壁(137a,b,437a,b)と、重力方向で前記出口端から上向きに向いた一端とを有する第2のカモのくちばし部分と、
液密に連結される態様で互いに連結された端部として構成されていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の弁機構。
【請求項7】
前記第1および/または前記第2のカモのくちばし部分の側壁(136a,b,137a,b,436a,b,437a,b)は、
媒体が前記2重のダックビル弁を通って流れないとき、
第1位置において、少なくとも一部分で互いに押圧し合い、それ故に、前記第2の媒体通過チャネルは、少なくとも部分的に閉じられ、
媒体が前記2重のダックビル弁を通って流れるとき、
第2位置において、少なくとも一部分で互いに切り離され、それ故に、前記第1の媒体通過チャネルは、少なくとも部分的に開くように付勢されていることを特徴とする、請求項6に記載の弁機構。
【請求項8】
前記ストップ弁は、
中間貯蔵部(231)と、
前記中間貯蔵部の中に配置され、前記媒体の密度よりも低い密度を有する遮断ボール(232)と、
取付位置において、重力方向で、前記中間貯蔵部の下端にある閉塞可能な穴(233)であって、直径が前記遮断ボールの直径よりも小さい穴と
を備え、
前記遮断ボール(232)、前記中間貯蔵部(231)、および、前記閉塞可能な穴(233)は、
前記ストップ弁の第1の閉塞位置において、前記遮断ボールが重力の影響下で前記穴と接触して前記穴を閉じ、
前記ストップ弁の第2の開放位置において、揚圧力により前記媒体中の前記遮断ボールを重力の力に逆らって浮かせ、前記穴を通る前記媒体の流れを解放するために、大量の前記媒体が前記中間貯蔵部に集まるように配置され、寸法が決められていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弁機構。
【請求項9】
前記中間貯蔵部は、断面が前記通路より大きくなるように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の弁機構。
【請求項10】
前記閉塞可能な穴は、断面が前記通路より小さくなるように構成されていることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の弁機構。
【請求項11】
前記中間貯蔵部は、取付位置において、重力方向で、下端(231a)に向かって先細るように、ロートの形状に設計されていることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の弁機構。
【請求項12】
前記ストップ弁が、取付位置において、重力方向で、前記液状媒体が入る前記中間貯蔵部の上端に配置された前記中間貯蔵部の入口端を有する弁機構であって、
前記中間貯蔵部の入口端および前記遮断ボールは、前記中間貯蔵部の入口端を通って前記ストップ弁に入る前記媒体が前記閉塞可能な穴の上に横たわる前記遮断ボールの側面に、かつ/または、前記閉塞可能な穴の上に横たわる前記遮断ボール上で横方向に、実質的に流れることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1項に記載の弁機構。
【請求項13】
前記周囲に対して減圧された前記減圧空間から前記周囲への液状媒体の排出を制御することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の弁機構の使用。
【請求項14】
前記周囲に対して減圧された客車(150,250)、特に高速の客車から前記周囲への、液状媒体、特に、雑排水の排出を制御することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の弁機構の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−511232(P2011−511232A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545399(P2010−545399)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000764
【国際公開番号】WO2009/098049
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(510077967)エバック・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】Evac GmbH
【Fターム(参考)】