説明

高圧ロータリーバルブ

【課題】連続払い出し用の高圧ロータリーバルブを提供する。
【解決手段】原料入口及び原料出口を有する本体と、2つの側壁とから構成された高圧バルブケーシングと、該高圧バルブケーシング内に収納されて回転自在に軸支され、ロータブレードと2つのサイドウォールで仕切られた複数のポケットを有するロータと、前記高圧バルブケーシングの本体内周面に接し、前記ロータブレードに設けられた第1のシール機構部と、前記側壁及び前記本体内周面に接し、前記サイドウォールに設けられた第2のシール部と、を具備する高圧ロータリーバルブにおいて、前記第2のシール部は、前記側壁に対して接する耐磨耗性硬質合成樹脂と、前記本体内周面に対して接する軟質合成樹脂とからなる複合材パッキンを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流と下流間に圧力差のある環境で使用される連続払い出し用の高圧ロータリーバルブに関する。特に、本発明は、一例として食品等の粉粒体を高圧の過熱水蒸気を使用して連続的に殺菌処理する粉粒体殺菌装置において、使用されて好適なものである。食品等の粉粒体には、食品原料のみならず、健康食品、医薬品、化粧品原料、飼料、肥料などが含まれる。その他、本発明は、粉粒体の気体輸送等においても使用されるものであるが、これに限定されるものではなく、一般的に上流と下流間に圧力差のある環境であれば、本発明の高圧バルブは使用されて好適なものである。
【0002】
粉粒体殺菌装置としては、30年ほど前から過熱水蒸気殺菌装置が実用的に開発されてきた。これらは、気流式殺菌装置と呼ばれ、気流管中を流れる過熱水蒸気に粉粒体食品等を投入し、移送中に瞬間殺菌する連続処理装置である。過熱水蒸気は、熱風に比して熱容量が大きく、殺菌効果が大であるばかりでなく、飽和水蒸気と同じように温度の低い物質に接すると凝縮する性質がある。このため、常温の食品等の粉粒体の水分含有量を適切に保ちながら、変質しないようにして高温で殺菌する場合には、過熱水蒸気殺菌装置は極めて好都合な殺菌装置である。また、定置洗浄(CIP, Cleaning In Place)とは、機器や部品を分解することなく、設備・装置の構成の中に洗浄機能を組み込んで行う洗浄方法である。洗浄には装置の殺菌が含まれ、食品等の粉粒体の加熱殺菌処理には、食品等の加熱処理一般、食品等の変質などを目的とした加熱処理まで含めるものである。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば、特許文献1に見られるような粉粒体殺菌装置などの高圧過熱水蒸気中に原料を供給する場合には、特許文献2、3にみられるような、高圧ロータリーバルブが用いられる。ロータリーバルブは、圧力差のある機器間を接続し、エアーロックを行いながら粉粒体を移送する場合に必要なものである。
【0004】
特許文献2のロータリーバルブは、ロータのブレードのパッキン収納室に収納されたパッキンと、該パッキン収納室より該ロータの中心部に貫通して設けられた孔に収納され且つ一端を前記パッキンの底部と連結されたパッキンのせり出し作動体と、該ロータの中心部に設けられた、該作動体を介してパッキンのせり出しを調整する手段とよりなるものである。このタイプのバルブはブレード型ロータリーバルブと呼ばれるものであり、各ポケットをフラットシール材と円周シール材により囲ってポケット内の圧力を周囲と遮断する構造であり、周囲のケーシングに密着するフラットシール材(テフロン(登録商標)パッキン、PEEKパッキン、金属製パッキンなど)を磨耗による減耗に応じて、そのシール材を押し出す機構を有するものである。
【0005】
特許文献3のロータリーバルブも、特許文献2のタイプと同様なものであり、ロータリーバルブに過熱水蒸気導入口が設けられて、ポケット内に過熱水蒸気が導入するものであるが、過熱水蒸気導入口はあくまで原料を加熱殺菌するためのものであって、洗浄を行うものではなかった。これら特許文献2、3のロータリーバルブを上流と下流間に圧力差のある環境で使用する場合には、半径方向やパッキンのせり出し作動体などからの漏れに対する回転軸方向のシール対策が充分なものではなかった。また、ポケット内に過熱水蒸気を導入する場合には、投入口に水蒸気が逆流して、後述するような投入口やポケット内部に粉粒体がこびり付くといった問題が発生していた。さらに、これらのロータリーバルブは、ポケット内に入った付着性の強い材料や軽量なフワフワした材料が落下しにくく、ポケット容量を大きくできないばかりでなく、洗浄についても何ら配慮がなされておらず、分解洗浄せざるを得ないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−24091号公報
【特許文献2】特開昭52−62858号公報
【特許文献3】特開平10−211103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、上流と下流間に圧力差のある環境で使用される連続払い出し用の高圧ロータリーバルブを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、原料入口及び原料出口を有する本体と、2つの側壁とから構成された高圧バルブケーシングと、該高圧バルブケーシング内に収納されて回転自在に軸支され、ロータブレードと2つのサイドウォールで仕切られた複数のポケットを有するロータと、前記高圧バルブケーシングの本体内周面に接し、前記ロータブレードに設けられた第1のシール機構部と、前記側壁及び前記本体内周面に接し、前記サイドウォールに設けられた第2のシール部と、を具備する高圧ロータリーバルブにおいて、前記第2のシール部は、前記側壁に対して接する耐磨耗性硬質合成樹脂と、前記本体内周面に対して接する軟質合成樹脂とからなる複合材パッキンを有することを特徴とする高圧ロータリーバルブである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記原料出口近傍であって、前記ロータの回転方向前方側又は後方側の前記本体に設けられた払い落としノズルをさらに具備し、前記払い落としノズルから、圧縮空気、又は、混合気を前記ポケット内に向けて噴射したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ロータは、前記高圧バルブケーシングに対して片持ちで軸支されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上流と下流間に圧力差のある環境で使用される連続払い出し用の高圧ロータリーバルブにおいて、側壁104に対して接する耐磨耗性硬質合成樹脂と、高圧バルブケーシング101の本体内周面に対して接する軟質合成樹脂とからなる複合材パッキンを使用したので、シール性能を向上させることができる。また、圧縮空気や混合気をポケット底面に向けて噴射して、原料を排出させるようにしたので、粉粒体がポケット内面や、原料入口に付着・固化して、充分な原料の投入・排出が行えない場合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が一例として適用される殺菌装置を示す概略説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に使用される高圧ロータリーバルブの正面断面図である。
【図3】図2の高圧ロータリーバルブの側面断面図である。
【図4】(a)、(b)は、図2の高圧ロータリーバルブに使用される第2のシール部の耐磨耗性硬質合成樹脂の正面図と側面図であり、(c)、(d)は、図2の高圧ロータリーバルブに使用される第2のシール部の軟質合成樹脂の正面図と側面図であり、(e)は、それらの組立図である。
【図5】本発明が一例として適用される殺菌装置に使用されるノズルの正面図である。
【図6】本発明が一例として適用される殺菌装置に使用される低圧ロータリーバルブの断面図である。
【図7】図6の低圧ロータリーバルブの側面図である。
【図8】(a)〜(c)は、図2の高圧ロータリーバルブに使用される第2のシール部の取り付け方法および変形例の説明図である。
【図9】本発明の基礎となった比較技術の高圧ロータリーバルブの側面断面図である。
【図10】従来技術の高圧ロータリーバルブの原料入口を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。本発明の各実施形態と、本発明の基礎となった比較技術において、同一構成の部分、又は、相互に機能的に相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0014】
本発明の高圧ロータリーバルブを説明する前に、一例として、好適に使用される食品等の粉粒体を高圧の過熱水蒸気を使用して連続的に殺菌処理する粉粒体殺菌装置の概要を説明する。
図1は、本発明の一実施形態が適用される殺菌装置を示す概略説明図である。原料としての粉粒体は、ホッパーから供給装置を経て、原料投入用のシュートを有する投入装置1から、高圧ロータリーバルブ100(詳細は後述する)のポケットに投入され、第1ライン11を経て、電気ヒータにより加熱する加熱管2に移送される。なお、この加熱は電気ヒータに限るものではなく、二重管で高温流体により加熱しても良い。
過熱水蒸気導入ライン20は、例えば、ボイラで発生した飽和水蒸気を、スーパーヒータ(図示せず)で一定の圧力の下で過熱して、過熱水蒸気を供給するラインである。過熱水蒸気導入ライン20は、2つの流れに分岐しており、その一方は圧縮空気ラインと合流し、生成する混合気がライン21を経て高圧ロータリーバルブ100の払い落しノズル内に流入する。また、水蒸気導入ライン20分岐後のもう一方のライン22は第1ライン11と連通している。
第1ライン11は気流管を構成し、加熱管2を通過して第2ライン12に接続する。この間に、気流管中を流れる過熱水蒸気に粉粒体が投入されて移送中に殺菌がなされることになる。
【0015】
過熱水蒸気導入ライン20の過熱水蒸気の状態の一例としては、スーパーヒータの出口で、圧力は0.1〜1.0MPa程度で、好ましくは、0.2〜0.3MPaである。温度は、150〜300℃程度で、好ましくは170〜220℃である。
殺菌ゾーンの入口は、粉粒体を供給するための高圧ロータリーバルブ100が設けられており、第2ライン12の終端に、殺菌ゾーンの圧力を高圧に保つための圧力制御手段としてのノズル30(詳細は後述する)が設けられている。そして、ノズル30の手前までが殺菌ゾーンである。
【0016】
ノズル30を通過した原料(粉粒体)は、減圧されて気流中に浮遊しながら第3ライン13に移送され、固気分離ゾーンに入る。固気分離ゾーンでは、殺菌済みの原料を製品として回収するため、過熱水蒸気から分離する。第3ライン13は第1サイクロン4に連結し、出口には低圧ロータリーバルブ200(詳細は後述する)が設けられている。低圧ロータリーバルブ200の送出口にはエジェクタ5が設けられていて、過熱水蒸気の凝縮を防止するため、ブロアから熱風がライン50により送り込まれている。ライン50にはフィルターがもうけられて、汚染防止が配慮されていなければならない。第1サイクロン4は、主に原料を過熱水蒸気から分離する機能を有している。
【0017】
次に、第4ライン14を通過した原料は、第2サイクロン6、及びエジェクタ7を通過して、第5ライン15の冷却ゾーンを通過し、製品回収ゾーンに移送される。第2サイクロン6は分離のみならず乾燥といった機能を有している。また、冷却ゾーンである第5ライン15は、二重管により冷却水で冷却する。なお、冷却は、二重管による場合以外の任意の方法で行うことも可能であり、二重管を省略しても良い。
第5ライン15出口で製品回収ゾーンに移送された後、サイクロン8、バルブ9を経て、製品として回収される。
【0018】
ライン21は、定置洗浄用蒸気が投入される(後述するように、殺菌移送用の過熱水蒸気の投入もなされる)。ライン60は、投入装置1のシュートに投入される洗浄ラインである。以上の殺菌ラインは、対象とする原料に応じて、様々な変形がなされる。加熱管2を省略したり、固気分離ゾーンにおけるサイクロンの段数は、1段のみならず2段以上の複数段であっても良い。洗浄用に流す流体としては、洗浄部位、ゾーンの対象に応じて、過熱水蒸気、高圧水蒸気、高圧空気、高温熱水、市水、それらの混合気、混合相を適宜用いればよい。付着性の原料の場合、蒸気と、酸又はアルカリの薬剤を水に添加して洗浄するとよい。
【0019】
(比較技術の高圧ロータリーバルブ)
本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブを説明する前に、まず、本発明の基礎となった比較技術の高圧ロータリーバルブの概要を、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の基礎となった比較技術の高圧ロータリーバルブの側面断面図である。
原料としての粉粒体は、投入装置1から原料入口102に投入されて、ロータ106のポケット130に収納される。ポケット130は、ロータシャフト150を中心に回転して、原料は原料出口103において下方に排出され、第1ライン11に移送される。
高圧バルブケーシング101(本体内周面を持つ本体101’と、側壁104、115を含めたもの)には、上方に原料入口102、下方に原料出口103、側方に残圧抜き口が設けられている。ロータブレード107によりポケット130は仕切られており、一方の側壁104に接する側のサイドウォール113、サイドシール板110には、それぞれ、ポケット底面に接した位置に開口112が設けられている。
【0020】
1つのポケット130が原料出口103に来ると、側壁104に設けられた高圧蒸気口105と、サイドウォール113、サイドシール板110を貫通する開口112とが、側壁104に設けられた連通路111を介して連通するようになっている。開口112はポケット底面に接した位置に設けられているので、ポケット内面をくまなく洗浄することができる。開口112の反対側のサイドウォール113は傾斜しており、原料出口に向けて高圧蒸気が噴射されるようになっている。ロータが回転するにつれ、各ポケット130が洗浄されてゆく。
【0021】
側壁104に設けられた高圧蒸気口105は、洗浄のためばかりでなく、高圧蒸気を、通常運転中に開口112からポケット底面に向けて噴射して、原料を排出させる。高圧蒸気をシールするためには、高圧バルブケーシング101の一方のサイドの側壁をロータ軸方向に閉め、ロータ106に取り付けられたサイドシール板110、114と側壁104、115の間隙をゼロとすることにより、高圧蒸気のリークを防止し、シール性能を上げるようになっている。
【0022】
本発明の基礎となった比較技術の高圧ロータリーバルブは、以上のようなものであるが、次のような課題が生じていた。高圧蒸気のリークを防止し、シール性能を上げるためには、高圧バルブケーシング101の一方のサイドの側壁104をロータ軸方向に締め付ける必要があった。さらに、側壁104をロータ軸方向に締め付けると、ロータの回転駆動の消費電力が大きく、省エネの観点から好ましいものでなく、また、締め付け力が大きいため、ロータ106に取り付けられたサイドシール板110、114の消耗が著しく、高価なサイドシール板の交換頻度が高く、交換するにはロータリーバルブの分解・組立作業が必要で、作業者の手間がかかるだけでなく、運転を長時間止めなければならず、結果として運転コストが高くなっていた。締め付け力が大きいと、ロータ106に取り付けられたサイドシール板110、114が、摩擦熱で変形し、耐久性に影響を与えることがあった。サイドシール板110、114が摩擦熱で変形すると、変形がシール効果にも影響を与えていた。
【0023】
比較技術のサイドシール板110、114としては、耐磨耗性を重視して、グラス入りテフロン(登録商標)PEEK、セラミック、金属などが用いられていたため、高圧バルブケーシング101の本体内周面に対しては、これらの材質が硬すぎるため充分なシール性能を発揮できないことがあった。このため、原料入口102に高圧蒸気のリークが発生したりして、投入する粉粒体がべとついて、原料入口102の投入穴を塞いだりして、操業上の問題を生じることがあった。図10は、このような場合の従来技術の高圧ロータリーバルブの原料入口を示す写真である。
これに対して、本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブでは、側壁104に対して接する耐磨耗性硬質合成樹脂と、高圧バルブケーシング101の本体内周面に対して接する軟質合成樹脂とからなる複合材パッキンを使用して、シール性能・耐久性を向上させたものである。
【0024】
さらに、比較技術の高圧ロータリーバルブでは、側壁104に設けられた高圧蒸気口105は、洗浄のためばかりでなく、高圧蒸気を、通常運転中に開口112からポケット底面に向けて噴射して、原料を排出させるようにしていた。高圧蒸気を使用していたため、湿りが生じて、粉粒体がポケット内面に付着・固化して、充分な原料の排出が行えない場合が発生していた。そして、従来から、高圧蒸気の代わりに空気を殺菌ラインに挿入することは、殺菌上大きな問題があるとされていた。
【0025】
このような状況下において、本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブにおいては、粉粒体がポケット内面、原料入口に付着・固化することによる排出不良を解消するものである。本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブにおいては、ノズルの設置位置を側壁104から本体101'に変更すると共に、従来の常識から殺菌上挿入があり得ないとされていた圧縮空気を、ポケット底面に向けて噴射して、原料を排出させるようにし、粉粒体がポケット内面に付着・固化して、充分な原料の排出が行えない場合を解消しようとするものである。なお、圧縮空気の代わりに、圧縮空気と水蒸気との混合気、又は、空気、水蒸気、窒素、二酸化炭素などの混合気であっても良い。実際に、本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブにおいて実施した、周知の食品細菌検査手段による検査では、大麦若葉の場合の一般生菌数が、殺菌前に1g中で1×106個以上であった原料が、過熱水蒸気のみによる殺菌の場合には10個以下まで減少したのに対し、圧縮空気を入れた殺菌の場合でも120個程度まで減少し、実質的に全く問題ない殺菌結果が得られた。大腸菌群は、いずれも陰性であった。
圧縮空気の場合、水蒸気の湿り度をドライにして、粉粒体がポケット内面、原料入口に付着・固化することを妨げていると考えられる。粉粒体がそもそも水分等を多く含んで、湿り度が高い場合にも、圧縮空気、又は、空気、水蒸気、窒素、二酸化炭素などの混合気の噴射が有効である。
【0026】
(本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブ)
以上の点を踏まえて、一例としての粉粒体殺菌装置において、本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブ100について、詳しく説明する。
図2は、本発明の一実施形態に使用される高圧ロータリーバルブの正面断面図である。図3は、図2の高圧ロータリーバルブの側面断面図である。図4(a)、(b)は、図2の高圧ロータリーバルブに使用される第2のシール部の耐磨耗性硬質合成樹脂の正面図と側面図であり、(c)、(d)は、図2の高圧ロータリーバルブに使用される第2のシール部の軟質合成樹脂の正面図と側面図であり、(e)は、それらの組立図である。
【0027】
本発明の一実施形態に使用される高圧ロータリーバルブは、原料入口102及び原料出口103を有する本体101‘と、2つの側壁104とから構成された高圧バルブケーシング101と、高圧バルブケーシング内に収納されて回転自在に軸支され、ロータブレードと2つのサイドウォールで仕切られた複数のポケット130を有するロータ106と、高圧バルブケーシング101の本体内周面に接し、ロータブレード107に設けられた第1のシール機構部(後述)と、側壁104及び本体内周面に接し、サイドウォール113に設けられた第2のシール部181〜183を具備する。第2のシール部181〜183は、側壁104に対して接する耐磨耗性硬質合成樹脂182と、本体内周面に対して接する軟質合成樹脂183とからなる複合材パッキン180を有している。ロータ106は、高圧バルブケーシング内に片持ち又は両持ちのいずれかで軸支されている。ロータ106を高圧ロータリーバルブケーシングに対して片持ちにすれば、高圧ロータリーバルブケーシング101とロータ106とのシールの調整作業や、高圧ロータリーバルブの分解組み立て作業等のメンテナンスが容易となる。
【0028】
複数のポケット130は、それぞれ、ロータブレード107、2つのサイドウォール113、及び、ポケット底面により形成されている。ポケット底面は丸みを帯びていることが望ましい。サイドウォール113外側(ポケット130の外側)には、円筒突起181がロータ106の軸心に対して放射状位置に複数個設けられている。図4(a)、(b)に示すように、耐磨耗性硬質合成樹脂182は、円環状である。側壁104に対して接する側には、円筒凹溝181’が複数個設けられており、円筒突起181に嵌合して位置決めがなされる。円筒凹溝181’の外周181’’は円筒状になっている。耐磨耗性硬質合成樹脂182としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、テフロン(登録商標)、グラス入りテフロン(登録商標)、ナイロン、ポリエステル樹脂、TPX(ポリメチルペンテン樹脂)などが挙げられる。
【0029】
軟質合成樹脂183は、図4(c)、(d)に見られるような形状をしており、耐磨耗性硬質合成樹脂182に嵌合すると、図4(e)のようになる。この場合、軟質合成樹脂183が側壁104による圧力で変形しないように、外周181’’は、所定厚さに保つストッパーの役割を果たしている。軟質合成樹脂183のリング状の外周端面183’は、本体内周面に接して、シールを形成する。当然、軟質合成樹脂183のリング状の外周端面183’の直径は、耐磨耗性硬質合成樹脂182の直径より若干大きく、本体内周面に接して面シールを行うことができるようになっている。軟質合成樹脂183としては、シリコーンゴム(ケイ素ゴム)、フッ素ゴムなどが挙げられる。
【0030】
軟質合成樹脂183により、これまでの比較技術に比べて、格段シール性が向上する。これにより、比較技術のような、高圧蒸気のリークがあると、高圧ロータリーバルブの原料入口102に蒸気が噴出して、蒸気の湿りにより原料入口に原料粉粒体がこびり付いてしまうことがなくなった。この背景には、シールの変更に加えて、従来の常識からあり得ないとされていた圧縮空気(圧縮空気と水蒸気との混合気、又は、空気、水蒸気、窒素、二酸化炭素などの混合気をも含む)を、図3に見られるノズル105から、ポケット底面に向けて噴射して、原料を排出させるようにしたことに関連している。圧縮空気(圧力は、使用する蒸気の圧力以上、好ましくは0.2MPa程度から最大1MPa未満)が、ノズル105から噴射されると、いわば、圧縮空気が蒸気をシールドして、蒸気を原料入口に到達しないように抑止しているものと考えられる。
【0031】
原料としての粉粒体は、投入装置1から原料入口102に投入されて、ロータ106のポケット130に収納される。ポケット130は、ロータシャフト150を中心に回転して、原料は原料出口103において下方に排出され、第1ライン11に移送される。
高圧バルブケーシング101には、上方に原料入口102、下方に原料出口103、側方に残圧抜き口160(図3参照)が設けられている。ロータブレード107によりポケット130は仕切られており、両側の側壁104に接する側のサイドウォール113には、複合材パッキン180が設けられている。
【0032】
次に、圧縮空気(圧縮空気と水蒸気との混合気、又は、空気、水蒸気、窒素、二酸化炭素などの混合気をも含む)をポケット底面に向けて噴射して、原料を排出する手段について述べる。
本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブにおいては、原料出口103近傍であって、ロータ106の回転方向前方側又は後方側の本体101'に設けられた払い落としノズル105を具備し、払い落としノズル105から、圧縮空気、又は、混合気をポケット130内に向けて噴射するものである。払い落としノズル105は、1個、又は、複数個、好ましくは、ロータ106の回転方向前方側の原料出口103に、構造上可能な限り最も近接した位置に設置すると良い。ロータ106の回転を妨げない限り、スリットであっても良い。噴射ガスの線速に特に制限はないが、例えば約0.1m/秒から約100m/秒の範囲であることが好ましい。圧縮空気温度は常温でも良いが、好ましくは、160℃程度の高温にしても良い。払い落としノズル105の噴射角は必ずしも半径方向に限られないが、ポケットの斜面の傾斜角に合わせると良い。
払い落しノズル105は、ロータ106の回転方向後方側の本体101‘に設けても良い。
【0033】
図3に見られるように、1つのポケット130が原料出口103に来ると、ロータ106の回転方向前方側又は後方側の本体101'に設けた払い落としノズル105から、圧縮空気、又は、混合気をポケット130内に向けて噴射されるので、圧縮空気等でポケット内面をくまなく洗浄することができる。ロータが回転するにつれ、各ポケット130が洗浄されてゆく。圧縮空気等で洗浄されたポケット130は、ロータの回転にともなって残圧抜き口160と連通し、ここで内部の圧力が解放される。
【0034】
本体101'に設けた払い落としノズル105は、ポケット内に入った付着性の材料や軽量なふわふわした材料の場合などを、ロータブレード107に沿って、ポケット底面に向けて噴射すると、ポケット内面にこびり付いた原料が良く排出されて原料移送上有利である。本発明に使用される高圧ロータリーバルブでは、払い落としノズル105から噴射することから、ポケットの深さを深くしても原料排出上の問題が発生しなくなっている。これにより、ポケットの容積効率を上昇させ、移送効率を高くすることができる。したがって、ロータを低速回転とすることが可能となり、シール材の摩耗を低減でき、シール材の交換周期をのばすことができる。
【0035】
図2を参照して、高圧ロータリーバルブにおける、高圧バルブケーシング101の本体内周面に接し、ロータブレード107に設けられた第1のシール機構について説明する。これは、基本的には特許文献2と同じものであるが、片持ち支持にした点とサイドシール板が磨耗しても調整できるようにした点で大きく異なっている。ロータ106の軸心部は中空になっており、そこに円錐面を有し端部にねじ141が切られ、図2上の右端面には正方形の穴が形成されたテーパ体140が挿入されている。図2の右側の側壁104の中心は孔が存在して、そこから正方形の端面を有する調整シャフトで、テーパ体140をロータ軸方向に移動可能とすることができる。調整が終了すればキャップ146で常時は閉じられている。ねじ147は、調整後のテーパ体140を固定するためのものである。
【0036】
ロータシャフト150は、図2での右端部にフランジ部142が設けられており、ロータ106と一体に回転することができるようになっている。左側の側壁104にはロータシャフト150との間をシールするように、グランドパッキン116、パッキン押さえ117が設けられている。
【0037】
図2上で左方向に、テーパ体140がねじ141で移動すれば、ロータブレード107に貫通して設けられたピン121が、パッキン108を高圧バルブケーシング101の内周面にせり出して押圧してシールを行うようになっている。
ロータ106は、図2に示されるように、軸受け118、119により片持ち支持されている。ロータシャフト150の左側端部143は伝動装置144に連結できるようになっている。チェーン伝動の場合にはスプロケット、歯車伝動の場合にはギアーがキー結合している。このようにロータ106を片持ちで支持しているので、右側の側壁には、調整シャフトでテーパ体140をロータ軸方向に移動可能するための孔を設けることができる。
【0038】
さらに、複合材パッキン180が磨耗した場合には、右側の側壁104をねじ120で締め付け調整することで、磨耗に対応してシールを適切に保つことができる。すなわち、高圧ロータリーバルブ100において、ロータ106に取り付けられた複合材パッキン180が磨耗により厚みが減少したときに、高圧バルブケーシング101の一方のサイドの側壁をロータ軸方向に閉めることできるようにすると良い。このように、ロータ106に取り付けられた複合材パッキン180と側壁の間隙を限りなくゼロとすることにより、高圧蒸気のリークを防止し、シール性能を上げることができる。複合材パッキン180により、軟質合成樹脂183のリング状の外周端面183’は、本体内周面に接して、シールを形成しているので、高圧バルブケーシング101の一方のサイドの側壁をロータ軸方向に閉める締め付け力は、比較技術に比べ低くしてもよくなっており、省エネにも貢献している。ねじ145は、ロータ106をフランジ142に固定している。図2上で左側の複合材パッキン180を交換する場合、ロータシャフト150を取り出さないで済むようにしている。
【0039】
本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブが用いられた、食品等の粉粒体を高圧の過熱水蒸気を使用して連続的に殺菌処理する粉粒体殺菌装置について、使用される高圧ロータリーバルブ以外の構成要素について、参考のために、以下に記載する。
【0040】
(可変ノズル)
図5は、本発明が一例として適用される殺菌装置に使用されるノズルの正面図である。このノズルは、絞り流路と、洗浄用の開放流路とを切り替え可能な構造を有することを特徴とする。図5に示すように、円筒管36内に絞りの最小流路径が、第1ノズル33より、第2ノズル34の方が大きく、第3ノズル35ではさらに大きく、洗浄用の開放流路となっている。第1〜3ノズルは、図5に示されるようにそれぞれ相互間をOリングで円筒管36内においてシールされている。
【0041】
第1〜3ノズルが一体に形成された設けられた移動体は、ハンドル38により作動用軸37(ねじ)を回転させて、閉鎖上蓋39に設けられたねじ孔と協働してノズル入口31とノズル出口32に、第1〜3ノズルのいずれかが位置決めされるようになっている。移動体と作動用軸37は回転自在に取り付けられている。移動体の移動は手動に限らず流体圧や電動モータを使用しても良い。洗浄時には、開放流路をもつ第3ノズル35が選定される。これにより、定置洗浄時には、殺菌ゾーンから製品回収ゾーンまでが連結されて、一気に洗浄用の蒸気、温水、それら混合相を容易に通過させることができるのである。
【0042】
(低圧ロータリーバルブ)
図6は、本発明が一例として適用される殺菌装置に使用される低圧ロータリーバルブの断面図である。図7は、低圧ロータリーバルブの側面図である。なお、図6は、図7の線C−Cに関する断面図である。
低圧ロータリーバルブ200は、送入口202と送出口203を有する本体、側壁205、及び、スライドカバー206とから構成された低圧バルブケーシング201、並びに、該低圧バルブケーシング201内に収納されて回転自在に軸支された、複数のポケットを有するロータ210を具備し、前記スライドカバー206は、前記低圧バルブケーシング201の内周面を前記ロータの軸方向にスライド可能であって、前記スライドカバー206が前記ロータから軸方向に離間することにより、洗浄時とライン殺菌時に限ってバイパス流路240が形成される構造を有するものである。
【0043】
これにより、送入口202に連通するポケット、図6に示したバイパス流路240、及び、送出口203に連通するポケットが、連続した流路を形成する(図6において、紙面を平面としてみて、その平面に対して上下方向の各ポケットの左側サイドが、バイパス流路240に連通する)。この低圧ロータリーバルブ200において、低圧バルブケーシング201の内周面とスライドカバー206との間にはシールが設けられている。
【0044】
低圧ロータリーバルブ200の送入口202は、サイクロン4、6の出口に連結しており、送出口203は第4ライン14、又は、第5ライン15に連結している。低圧バルブケーシング201は、送入口202と送出口203を有する本体、側壁205、及び、スライドカバー206とから構成されている。ロータ210は、低圧バルブケーシング201に収納されて回転自在に軸支されて、電動モータに駆動される減速機の駆動軸231により駆動される。低圧バルブケーシング201にモータを直結して、モータ直結型とすると小型化が図れる。ロータ210には、複数のロータブレード211が装着されている。各ポケットには、サイドウォールは設けられていない。
【0045】
ロータ210の図6上の左端部にはブッシュ212が嵌め込まれており、スライドカバー206にねじ込まれた軸207を支持している。スライドカバー206は、低圧ロータリーバルブを特徴付ける構成であり、低圧バルブケーシング201の内周面を、ロータ210の軸方向にスライド可能であって、スライドカバー206がロータ210から軸方向に離間することにより、洗浄時に限ってバイパス流路240が形成される。低圧バルブケーシング201の内周面とスライドカバー206との間にはOリングなどでシールされていなければならない。
【0046】
以上説明したように、低圧バルブは、参考例であるが、次のようなものである。
すなわち、前記低圧ロータリーバルブは、送入口と送出口を有する本体、側壁、及び、スライドカバーとから構成された低圧バルブケーシング、並びに、該低圧バルブケーシング内に収納されて回転自在に軸支された、複数のポケットを有するロータを具備し、前記スライドカバーは、前記低圧バルブケーシングの内周面を前記ロータの軸方向にスライド可能であって、前記スライドカバーが前記ロータから軸方向に離間することにより、洗浄時に限ってバイパス流路が形成される構造を有する。
【0047】
前記低圧ロータリーバルブでは、スライドカバー206がロータ210から軸方向に離間することにより、洗浄時に限ってバイパス流路240を形成したが、これに限るものではない。バイパス流路のその他の実施形態としては、一部のロータブレードが、ロータに対して周方向に回転して、ロータに固定された残りのロータブレードとの間に位相差を生じさせて、周方向にジグザクのバイパス通路を形成させても良い。その他様々な形態が考えられる。
【0048】
低圧バルブケーシング201の図6上の左端部には、ハンドル固定ステー220が固定されている。ハンドル214を回転させると、スライドカバー206を移動させることができる。217は無給油ワッシャ、215は、スライドカバー206を位置決め固定するための締め付け体である。ガイド211は、ガイド板219を固定したスライドカバー206が、回転せずにスライドできるようにするガイドである。スライドカバー206はねじの代わりに流体圧シリンダで移動させても良い。
【0049】
以下に参考として説明する食品等の粉粒体を高圧の過熱水蒸気を使用して連続的に殺菌処理する粉粒体殺菌装置は、粉粒体と過熱水蒸気を連続的に供給して加熱殺菌処理する殺菌ゾーン、前記粉粒体を過熱水蒸気から分離する固気分離ゾーン、前記粉粒体を冷却する冷却ゾーン、及び、前記粉粒体を製品として回収する製品回収ゾーンの4つの区画からなり、前記殺菌ゾーン入口には前記粉粒体を供給するための高圧ロータリーバルブが設けられており、前記殺菌ゾーンと前記固気分離ゾーンとの間には両ゾーンの差圧を調整するためのノズルが設けられており、さらに、前記固気分離ゾーンには低圧ロータリーバルブが設けられた粉粒体殺菌装置において、少なくとも前記低圧ロータリーバルブは、洗浄時とライン殺菌時に限ってバイパス流路が形成される構造を有する。
【0050】
これによれば、原料と高圧の過熱水蒸気を殺菌ゾーンに連続的に供給し、ここで加熱殺菌処理し、殺菌処理後の製品を固気分離ゾーンにて過熱水蒸気から分離し、冷却したのち、製品を回収する。そして、殺菌ゾーン、固気分離ゾーン、冷却ゾーン、製品回収ゾーンにおいて、すべてのゾーン又は一部のゾーンで定置洗浄(CIP: Cleaning in Place)を行うことができる。すなわち、洗浄時に殺菌ゾーンに水と飽和水蒸気などを連続的に供給することで、殺菌ゾーンから製品回収ゾーンを洗浄することができる。
付着性の原料の場合には、蒸気と、酸又はアルカリの薬剤を水に添加して洗浄するとよく、これらを循環させるためのラインを全体又は一部に設けてもよい。
【0051】
サイクロンの洗浄においても、粉粒体殺菌装置による洗浄方法は有効である。サイクロンの排出部に接続した低圧のロータリーバルブを停止しスライドカバー206を閉じると、上流には水蒸気と温水の混合体が溜まり、サイクロンを洗浄することができる。スライドカバーを移動して、バイパス流路を開放させてドレインに排出した後、再度蒸気や市水などで一気に洗浄することができる。
【0052】
粉粒体殺菌装置の殺菌方法の手順の一例としては、次のような手順で行うと良い。
(1)スーパーヒータをOFFにして、飽和水蒸気とする。
(2)ライン50のブロワーをOFFにする。
(3)ライン60の洗浄水を投入する。
(4)絞りバルブ30を図5の35にする。
(5)低圧ロータリーバルブ200のバイパス流路を開ける。
(6)適当な洗浄時間が経過後、サイクロン4の低圧ロータリーバルブ200の回転を止めバイパス流路を閉じ、サイクロン付随の配管(固気分離時に気体が排気される配管等)を洗浄する。
(7)サイクロン4の低圧ロータリーバルブのバイパス流路を再度開ける。
(8)次いでサイクロン6以降についても同様の操作を行う。
(9)すべての低圧ロータリーバルブのバイパス流路が開いている状態で、ロータを回転させ、洗浄水を止めた上で飽和水蒸気により装置の殺菌を行う。
(10)適当な殺菌時間が経過後、過熱水蒸気で乾燥する。ライン50のブロアを稼働させ、装置の乾燥を行う。
装置部品の耐熱・耐圧性に問題がない場合には、装置殺菌時に過熱水蒸気を用いることができる。
【0053】
本発明の一実施形態の高圧ロータリーバルブや、上述のノズル、低圧ロータリーバルブは、次のような作用効果を有するものである。高圧の殺菌ゾーンに原料を供給するための、CIP洗浄に対応した高圧ロータリーバルブについては、ロータは片持ち式、側面シールはスラスト式、ポケット内に払い落し用のガス(蒸気)を導入可能な構造を有する。CIP洗浄に対応した可変ノズルについては、殺菌運転時には背圧を保つために作用する絞り流路、洗浄時には開放流路と切り替え可能である。CIP洗浄に対応した低圧ロータリーバルブについては、各ゾーンの区切りなどに使用される低圧ロータリーバルブは、片側の蓋(スライドカバー)がスライド可能な形式で、洗浄時とライン殺菌時には、バイパス流路が形成される構造を有する。可変ノズルや低圧ロータリーバルブのスライドカバーの駆動を電動モータや流体圧シリンダーで行い、バルブ類を自動弁とすることで、シーケンス制御による全自動殺菌・全自動洗浄が可能である。これにより、少なくとも固気分離ゾーンはもとより、殺菌ゾーンから製品回収ゾーンまで圧力を加えて、洗浄とライン殺菌することが可能となる。
【0054】
本発明の他の実施形態を以下に記載する。
図8(a)〜(c)は、図2の高圧ロータリーバルブに使用される第2のシール部181〜183の取り付け方法および変形例の説明図である。
側壁104に対して接する耐磨耗性硬質合成樹脂182と、本体内周面に対して接する軟質合成樹脂183とからなる複合材パッキン180をどのようにサイドウォール113に取り付けるかについては、様々な変形例が存在する。図8(a)は既に実施形態として前述した。図8(b)では、L字状の断面を持つ耐磨耗性硬質合成樹脂182が使用されている。軟質合成樹脂183と図8(b)に示すように組み合わされて使用される。図8(c)は、さらにボルト184で固定した場合である。以上に限らず、変形例は様々考えられる。たとえば、硬質樹脂と軟質樹脂を複数段重ねる事でシール性を向上させる方法など、組み合わせの応用範囲は広い。
以上の説明で、本発明の高圧バルブは、食品等の粉粒体を高圧の過熱水蒸気を使用して連続的に殺菌処理する粉粒体殺菌装置において適用した場合で説明したが、これに限定されるものではなく、上流と下流間に圧力差のある環境で使用される連続払い出し用の高圧ロータリーバルブとして全ての技術分野で用いることができる。その他の適用分野としては、粉粒体の気体輸送等が挙げられる。
【符号の説明】
【0055】
1 投入装置
2 加熱管
4、6 第1、2サイクロン
5、7 エジェクタ
8 サイクロン
9 ロータリーバルブ
11〜15 第1〜5ライン
30 ノズル
20 過熱水蒸気導入ライン
100 高圧ロータリーバルブ
105 払い落としノズル
180 第2のシール部、複合材パッキン
200 低圧ロータリーバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料入口及び原料出口を有する本体と、2つの側壁とから構成された高圧バルブケーシングと、
該高圧バルブケーシング内に収納されて回転自在に軸支され、ロータブレードと2つのサイドウォールで仕切られた複数のポケットを有するロータと、
前記高圧バルブケーシングの本体内周面に接し、前記ロータブレードに設けられた第1のシール機構部と、
前記側壁及び前記本体内周面に接し、前記サイドウォールに設けられた第2のシール部と、を具備する高圧ロータリーバルブにおいて、
前記第2のシール部は、前記側壁に対して接する耐磨耗性硬質合成樹脂と、前記本体内周面に対して接する軟質合成樹脂とからなる複合材パッキンを有することを特徴とする高圧ロータリーバルブ。
【請求項2】
前記原料出口近傍であって、前記ロータの回転方向前方側又は後方側の前記本体に設けられた払い落としノズルをさらに具備し、前記払い落としノズルから、圧縮空気、又は、混合気を前記ポケット内に向けて噴射したことを特徴とする請求項1に記載の高圧ロータリーバルブ。
【請求項3】
前記ロータは、前記高圧バルブケーシングに対して片持ちで軸支されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧ロータリーバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−30930(P2012−30930A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171860(P2010−171860)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(591127917)株式会社セイシン企業 (17)
【Fターム(参考)】