説明

高密度電極用ソケットおよび高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法と位置調整ユニット

【課題】電子部品パッケージの電極に位置ずれが生じている場合であっても電子部品パッケージの電極と高密度電極用ソケットのニードル状コンタクトとの電気的な接触状態を確保できるようにする。
【解決手段】LGA102の装着位置をLGAソケット1のニードル状コンタクト2の並び方向に沿って調整できるように、LGAソケット1の嵌合凹部13の内形を大きめに形成し、嵌合凹部13の壁面3,4,5,6を貫通して取り付けられたパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10でLGA102の取り付け位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路を内蔵したランドグリットアレイタイプのLSIパッケージ等を始めとする電子部品パッケージを配線基板に実装する際に利用される高密度電極用ソケットの改良、および、この高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法と、この高密度電極用ソケットとの組み合わせで使用される電子部品パッケージの位置調整ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのプロセッサ等の集積回路は非常に多くの情報を高速に短時間で処理するため信号ピン数は増加傾向にあり、同時に高密度化も進むため信号ピンピッチは縮小傾向にある。高密度化の進んだ電子部品パッケージとしては、例えば、集積回路を内蔵したランドグリットアレイタイプのLSIパッケージ(以下、単にLGAという)が知られている。LGAは配線基板に直接はんだ付けして実装するタイプのものではなく、LGAソケット等と称される高密度電極用ソケットを利用して配線基板に実装されるようになっている。LGAソケットは、LGAを配線基板から容易に脱着できるようにするためのもので、LGAの検査に利用される検査装置へのLGAの取り付け、あるいは、交換可能なコンピュータカードの脱着のために、検査装置やコンピュータに取り付けて使用される。
【0003】
図11に一般的なLGAソケットを使用したLGAの実装例を示す。LGAソケット101は、LGA102を着脱可能に装着するための嵌合凹部103を有し、嵌合凹部103の底面104には、LGA102の一面に密接配備された複数の電極105の各々と個別に接触する複数のニードル状コンタクト106が植設されている。ニードル状コンタクト106はスリーブ107とニードル108からなるテレスコピック構造を有し、スリーブ107に内装された図示しないバネによって、複数の電極105を配備したLGA102の一面に向けてニードル108の各々が独立的に付勢されている。また、スリーブ107から下方に突出したLGAソケット101の基板側コンタクト109が該ソケット101の下面を貫通して外側に露出し、配線基板110側の電極111と接触するようになっている。配線基板110には内層配線112が設けられ、電極111は内層配線112と接続されている。
【0004】
LGAソケット101の下面には位置決めピン113が植設されているので、位置決めピン113を配線基板110側の位置決め穴114に突入させることで、配線基板110に対するLGAソケット101の位置決め、つまり、電極111に対する基板側コンタクト109の位置決めが精密に行われるようになっている。
【0005】
LGA102を配線基板110に実装する際の手順としては、まず、配線基板110の位置決め穴114にLGAソケット101の位置決めピン1113を差し込み、LGAソケット101の基板側コンタクト109を配線基板110の電極111上に精密に位置決めして、LGAソケット101を配線基板110に固定する。
【0006】
次いで、LGA102をLGAソケット101の嵌合凹部103に嵌合させ、図12に示すようにしてLGA102をパッケージ取付荷重Q1で嵌合凹部103の底面104に向けて加圧することで、LGA102の電極105とLGAソケット101のニードル状コンタクト106の先端とを接触させて導通させ、また、配線基板110の電極111とLGAソケット101の基板側コンタクト109を接触させて導通させる。この際、パッケージ取付荷重Q1の加圧によってLGA102が嵌合凹部103に圧入されてLGA102がLGAソケット101に固定され、また、LGAソケット101の位置決めピン113が配線基板110の位置決め穴114に圧入されてLGAソケット101が配線基板110に固定される。
【0007】
前述した通り、スリーブ107に内装されたバネで付勢されたニードル108が電極105と当接し、この付勢力に抗してニードル108がスリーブ107の内部に沈み込む構成となっているので、LGAソケット101に対するLGA102の取り付けに伴ってスリーブ107の内周面とニードル108の外周面との重合部分すなわち接触面積が増大し、しかも、圧縮されたバネの付勢力によってニードル108が電極105に押し当てられるので、ニードル108と電極105を確実に導通させることができる。
【0008】
しかし、LGA102の電極105の数が増えてくると必然的に電極105の配設ピッチは小さくなり、同時に電極105の面積も小さくなっていく。通常、電極105の配設ピッチそれ自体に相対的な位置ずれが生じることはないが、LGA102の加工の精度不足等の事情で、LGA102の外形を絶対的な基準として多数の電極105に同一方向の位置ずれが生じる場合がある。こうなった場合、LGA102の外形を基準としてLGAソケット101に対するLGA102の位置決めを行なうLGAソケット101においては、LGA102の外形と電極105との位置ずれ量が問題となってくる。
【0009】
図13はLGA102とLGA102の電極105の位置ずれが大きい場合の事例である。図13のようにLGA102の外形に対して電極105が左右方向にずれている場合、LGAソケット101にLGA102を嵌合した時点で既にニードル状コンタクト106の先端とLGA102の電極105の位置が合っておらず、図14に示されるようにしてパッケージ取付荷重Q1でLGA102を加圧しても正常な導通は得られない。通常、LGA102は其の一面の縦横の方向に多数の電極105を備えているから、同種の問題は図14の紙面垂直方向(前後方向)でも発生し得る。
【0010】
この問題はLGA102とLGA102の電極105の位置関係のずれによるものであり、LGA102自体を精密に加工することによって解決は可能ではあるが、LGA102自体のコストアップにつながる。
【0011】
よってLGA102の外形とLGA102の電極105の位置がずれていても確実に導通が確保できるLGAソケットが望まれる。
【0012】
電極間の位置決め精度を保証するための技術としては、特許文献1に開示されるように、LGA102の電極面115に設けられた複数の位置決めピン116をソケット117側の穴118に挿入することによって位置決めを行うものが公知である(図15(a),図15(b)参照)。位置決めのための構造としては問題はないが、LGA102の電極面115に位置決めピン116を新たに取り付ける必要があり、コストアップの要因となる。
【0013】
また、特許文献2に開示されるように、検査用ソケット119に小型カメラ120を埋設し、小型カメラ120で半導体装置121の外部端子を撮像して画像認識部122で画像認識してから出力部123に結果を表示し、クロステーブル124を操作して半導体装置121を検査用ソケット119の所望の位置へ移動させるようにしたものが提案されている(図16参照)。このものは、高い精度を期待できるが小型カメラ120を検査用ソケット119毎に配備する必要があり、高額な検査装置となるため、検査以外の目的、例えば、半導体装置121を搭載する配線基板等に適用することは困難である。
【0014】
【特許文献1】特開2003−78059号公報
【特許文献2】特開2006−23166特開2006−23166
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明の課題は、LGA等を始めとする電子部品パッケージの外形を基準として当該電子部品パッケージの電極に位置ずれが生じている場合であっても電子部品パッケージの電極と高密度電極用ソケットのニードル状コンタクトとの電気的な接触状態を確保することのできる簡便な構造の高密度電極用ソケットを提供すること、また、この高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法、および、この高密度電極用ソケットとの組み合わせで使用するに適した電子部品パッケージの位置調整ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の高密度電極用ソケットは、電子部品パッケージの一面に密接配備された複数の電極の各々と個別に接触する複数のニードル状コンタクトを、前記電子部品パッケージを着脱可能に装着する矩形状の嵌合凹部の底面から、前記電子部品パッケージの前記一面に向けて独立的に付勢して突出させた状態で前記底面に固設した高密度電極用ソケットであり、前記課題を達成するため、特に、
前記電子部品パッケージの装着位置を前記ニードル状コンタクトの並び方向に沿って調整するための装着位置調整手段と、
調整された電子部品パッケージの装着位置を保持する装着位置固定手段とを備えたことを特徴とする構成を有する。
【0017】
また、本発明の電子部品パッケージの装着方法は、電子部品パッケージの装着位置をニードル状コンタクトの並び方向に沿って調整するための装着位置調整手段と、調整された電子部品パッケージの装着位置を保持する装着位置固定手段とを備えた高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法であり、
前記高密度電極用ソケットの嵌合凹部に前記電子部品パッケージを載置し、
当該電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて予圧した状態で、
前記嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに配備されたニードル状コンタクトと当該ニードル状コンタクトの各々に対応する電極との導通状態を確認しながら、前記装着位置調整手段で前記電子部品パッケージを前記ニードル状コンタクトの並び方向に沿って縦横に移動させ、
導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認された位置で前記電子部品パッケージの移動を停止させ、
更に、前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けてパッケージ取付荷重で加圧した状態で、前記装着位置固定手段により当該電子部品パッケージを前記嵌合凹部に装着し当該装着位置を保持するようにしたことを特徴とする構成を有する。
【0018】
本発明の電子部品パッケージの位置調整ユニットは、電子部品パッケージを着脱可能に装着する矩形状の嵌合凹部の底面を構成するベース部材と、前記嵌合凹部を包囲し前記ベース部材に対して接離不能かつ少なくとも前記電子部品パッケージの外形を基準とする前記各電極の配設位置の最大位置ずれ量に匹敵する距離だけ前記ベース部材の表面に沿って縦横に移動自在とされ其の内周が前記電子部品パッケージの外形に合わせて形成された可動枠とを備え、電子部品パッケージの侵入を圧入状態で許容する可動枠の内周が装着位置固定手段として機能し、ベース部材および該ベース部材の表面に沿って縦横に移動自在とされた可動枠が装着位置調整手段として機能する高密度電極用ソケットとの組み合わせで使用される電子部品パッケージの位置調整ユニットであって、
前記高密度電極用ソケットの嵌合凹部に嵌合された前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて押圧するプレス手段と、
前記嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに配備されたニードル状コンタクトと当該ニードル状コンタクトの各々に対応する電極との導通状態を確認するための導通検出器と、
前記可動枠を前記ベース部材の表面に沿って縦横に移動させる可動枠送り手段と、
前記プレス手段および可動枠送り手段を駆動制御する制御部とを備え、
前記制御部には、
前記プレス手段を駆動制御して前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて予圧する予圧制御手段と、
前記導通検出器からの検出信号を確認しながら前記可動枠送り手段を駆動制御して前記可動枠を前記ベース部材の表面に沿って前記ニードル状コンタクトの第一の並び方向に移動させ、導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認され、かつ、導通状態が最適となるときの第一の並び方向における可動枠の位置を求める第一位置成分特定手段と、
前記導通検出器からの検出信号を確認しながら前記可動枠送り手段を駆動制御して前記可動枠を前記ベース部材の表面に沿って前記第一の並び方向と交差する第二の並び方向に移動させ、導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認され、かつ、導通状態が最適となるときの第二の並び方向における可動枠の位置を求める第二位置成分特定手段と、
前記可動枠送り手段を駆動制御し、前記第一位置成分特定手段および第二位置成分特定手段によって特定された位置に可動枠を位置決めする可動枠位置決め手段と、
前記可動枠位置決め手段による可動枠の位置決め制御完了後に前記プレス手段を駆動制御して前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けてパッケージ取付荷重で加圧することで当該電子部品パッケージを前記可動枠に圧入する圧入制御手段とが設けられていることを特徴とした構成を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の高密度電極用ソケットによれば、電子部品パッケージの装着位置を高密度電極用ソケットにおけるニードル状コンタクトの並び方向に沿って調整することができ、しかも、調整が完了した状態を保持して電子部品パッケージを高密度電極用ソケットに固定することができるので、電子部品パッケージの外形を基準として当該電子部品パッケージの電極に位置ずれが生じている場合であっても、電子部品パッケージの電極と高密度電極用ソケットのニードル状コンタクトとの電気的な接触状態を確保することができる。
従って、電子部品パッケージ自体を精密に加工したり位置決めピンを新たに取り付けたりする必要はなく、電子部品パッケージと高密度電極用ソケットとの間の導通を低コストで保証することができる。
【0020】
また、本発明の電子部品パッケージの装着方法は、特に、高密度電極用ソケットの嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに配備されたニードル状コンタクトと当該ニードル状コンタクトの各々に対応する電極との導通状態を確認しながら電子部品パッケージをニードル状コンタクトの並び方向に沿って縦横に移動させ、導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との導通状態が全て確認された位置に電子部品パッケージを装着し保持するようにしているので、高密度電極用ソケットに対する電子部品パッケージの姿勢の狂いや位置ずれを確実に防止して電子部品パッケージの電極と高密度電極用ソケットのニードル状コンタクトとの電気的な接触状態を確保することができる。
【0021】
更に、本発明の電子部品パッケージの位置調整ユニットは、特に、電子部品パッケージを嵌合した高密度電極用ソケットをニードル状コンタクトの第一の並び方向に移動させて導通状態が最適となるときの第一の並び方向における可動枠の位置と前記第一の並び方向と交差する第二の並び方向に高密度電極用ソケットを移動させたときに導通状態が最適となる第二の並び方向における可動枠の位置とを第一,第二位置成分特定手段により求め、可動枠位置決め手段によって第一,第二位置成分特定手段で特定された位置に可動枠を位置決めしてから電子部品パッケージを嵌合凹部の底面に向けてパッケージ取付荷重で加圧して当該電子部品パッケージを可動枠に圧入して固定するようにしているので、高密度電極用ソケットに対する電子部品パッケージの姿勢の狂いや位置ずれを確実に防止して電子部品パッケージの電極と高密度電極用ソケットのニードル状コンタクトとの電気的な接触状態を確保することができ、しかも、最適な導通状態を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について幾つかの実施形態を挙げて具体的に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明を適用した高密度電極用ソケット(以下、単にLGAソケットという)の一実施例の要部を示した縦断面図である。
【0024】
LGAソケット1は、高密度化の進んだ電子部品パッケージ102、例えば、集積回路を内蔵したランドグリットアレイタイプのLSIパッケージ(以下、単にLGA102という)の一面に密接配備された複数の電極105の各々と個別に接触する複数のニードル状コンタクト2と、LGA102を着脱可能に装着するための矩形状の嵌合凹部13とを備える。
【0025】
嵌合凹部13の底面104に固設されたニードル状コンタクト2は、スリーブ107とニードル108aもしくはスリーブ107とニードル108bからなるテレスコピック構造を有し、スリーブ107に内装された図示しないバネによって、LGA102の一面つまり電極105を配備した側の面に向けて、ニードル108a,108bの各々が独立的に付勢されている。
【0026】
そして、嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーには、他のニードル状コンタクト2のニードル108bよりも突出量が大きく、かつ、其の先端部の縮退限度が他のニードル状コンタクト2のニードル108bと同等なニードル108aを有するニードル状コンタクト2が配備されている。特に、この実施例では、嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに位置する都合四つのニードル状コンタクト2が、相対的に長いニードル108aを備えている。
【0027】
LGA102を装着するための嵌合凹部13は、少なくとも、LGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量に匹敵する寸法だけLGA102の外形よりも大きく形成されている。
例えば、設計上では図1に示されるようにLGA102の外形からAの距離に最初の電極105が配置されるようになっているにも関わらず、実際にはLGA102の外形からA’の距離に最初の電極105が配置されており、加工上の公差や誤差その他のイレギュラーを考慮してもLGA102の外形からA’の距離を越えて最初の電極105が配置されることが有り得ないとするなら、|A−A’|の値がLGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量であり、少なくとも、LGA102の外形よりも嵌合凹部13の内形を|A−A’|相当分だけ大きく構成する必要がある。当然、設計上の基準位置を挟んで其の前後に|A−A’|の位置ずれが発生する可能性があるとすれば、最大位置ずれ量は2・|A−A’|ということになる。
【0028】
嵌合凹部13を包囲するLGAソケット1のモールド部分には、嵌合凹部13を包囲する四つの壁面3,4,5,6の各々を外側から内側に向けて貫通した状態で、各壁面3,4,5,6毎のパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10が螺合して取り付けられている。なお、図1が縦断面図である関係上、手前側の壁面6とパッケージ位置調整ネジ10に関しては図面上での記載を省略している。パッケージ位置調整ネジ7,8,9,10の有効ネジ部の長さには冗長性があり、パッケージ位置調整ネジ7,8,9,10の先端は何れもLGA102の外形部に当接することが可能である。
【0029】
LGA102の装着位置をニードル状コンタクト2の並び方向に沿って調整するための装着位置調整手段11は、LGA102の縦横への移動を少なくとも前述の最大位置ずれ量の範囲で許容する嵌合凹部13と、各壁面3,4,5,6毎のパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10によって構成される。なお、ここでいう縦横への移動とは図1中の左右方向の移動と紙面垂直方向(前後方向)の移動である。
【0030】
また、装着位置の調整が完了したLGA102を装着位置に保持するための装着位置固定手段12は、LGA102の外形に先端を当接可能とされたパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10によって構成される。
【0031】
このLGAソケット1は、図11〜図14を参照して説明したLGAソケット101と同様、LGAソケット1の実装対象となる配線基板側の電極と接触するための基板側コンタクトや当該LGAソケット1を配線基板に実装する際の位置決めに利用される位置決めピン等を備えるが、これらの構成要素に関しては公知であるから、図面上の記載および説明を省略する。
【0032】
次に、LGAソケット1を用いたLGA102の装着方法について説明する。
【0033】
まず、段取り段階の作業として、LGAソケット1の嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに配備された都合四つのニードル状コンタクト2、つまり、相対的に長いニードル108aを備えた四つのニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105との導通状態が確認できるように、テスタ等の導通検出器14を接続する。
【0034】
図1では相対的に長いニードル108aを備えたニードル状コンタクト2に直接的に導通検出器14が接続されているように図示しているが、実際には当該LGAソケット1を実装した図示しない配線基板の内層配線を介して導通検出器14を接続することができる。導通の確認方法としては、LGA102の内部に専用の導通配線を盛り込んでもよいし、あるいは、集積回路の信号ピンの入出力インピーダンスを測定して導通状態を確認するようにしてもよい。
【0035】
次に、図1に示されるようにしてLGAソケット1の嵌合凹部13にLGA102を載置し、LGA102の四隅を嵌合凹部13の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2で支持させ、LGA102を嵌合凹部13の底面104に向けて所定の予圧力Q0で予圧する。仮に、相対的に長いニードル108aを備えた1つのニードル状コンタクト2とLGA102の1つの電極105との電気的な導通を確保するために必要とされる最低限度の力が0.5Nであるとすれば、前述した予圧力Q0は其の4倍、つまり、2Nとなる。
【0036】
予圧力Q0を与えた段階で嵌合凹部13の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2のニードル108aはバネの付勢力に抗して僅かに沈みこみ、LGA102も下方に移動することになるが、この段階では未だ他のニードル状コンタクト2の先端つまり相対的に短いニードル108bを備えたニードル状コンタクト2の先端がLGA102に接触することはない。
【0037】
次に、導通検出器14を見てLGAソケット1の嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに配備された都合四つのニードル状コンタクト2、つまり、相対的に長いニードル108aを備えた四つのニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105との導通状態を確認しつつ、装着位置調整手段11の主要部を構成するパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10を操作し、LGA102をニードル状コンタクト2の並び方向に沿った縦横の向きすなわち図1中の左右方向と紙面垂直方向(前後方向)に移動させる。
【0038】
具体的には、LGA102を図1中の左右方向に移動させる場合には、嵌合凹部13において相互に対向する壁面3,5と壁面4,6の組のうち壁面3,5の組に対応するパッケージ位置調整ネジ7,9を回転させてパッケージ位置調整ネジ7,9の先端を同期的に同一方向、例えば、右から左あるいは左から右に移動させることで、パッケージ位置調整ネジ7,9の先端に挟まれたLGA102を図1中の左右方向に移動させる。
【0039】
また、LGA102を図1の紙面垂直方向(前後方向)に移動させる場合には、嵌合凹部13において相互に対向する壁面3,5と壁面4,6の組のうち壁面4,6の組に対応するパッケージ位置調整ネジ8,10を回転させてパッケージ位置調整ネジ8,10の先端を同期的に同一方向、例えば、手前から後方あるいは後方から手前に移動させることで、パッケージ位置調整ネジ8,10の先端に挟まれたLGA102を図1中の紙面垂直方向(前後方向)に移動させる。
【0040】
この段階では4つのニードル状コンタクト2がLGA102の下面に各々0.5Nの力で当接するだけであるから、ニードル108aの先端とLGA102の下面との間に生じる摩擦抵抗は僅かなものであり、LGA102に軽い力で送りを掛けることができ、また、LGA102の下面や電極105を痛める心配もない。
仮に、嵌合凹部13の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2のニードル108aの長さと他のニードル状コンタクト2のニードル108bの長さとが同一であったとすれば、全てのニードル状コンタクト2がLGA102の下面に同時に当接することになり、例えば、ニードル状コンタクト2の総数が500本であるとすれば、ニードル状コンタクト2とLGA102の間で全体として250Nもの力が作用することなり、LGA102に送りを掛けることは著しく困難であり、また、これを解消するために1本当たりのニードル状コンタクト2に作用させる力を小さくすれば、ニードル状コンタクト2と其の各々に対応するLGA102側の電極105の位置が完全に合致しても導通状態が不十分となって、ニードル状コンタクト2の位置と電極105の位置が合ったことを導通検出器14で的確に確認すること自体が難しくなるといった弊害が生じる。
つまり、この実施例において嵌合凹部13の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2のニードル108aの長さのみを他のニードル状コンタクト2のニードル108bよりも長くしているのは、LGA102の送りの円滑化とニードル状コンタクト2に対する電極105の位置決めの検出の高精度化が目的である。
【0041】
手動のトライアンドエラー操作によるパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10の操作でLGA102の縦横への移動を繰り返すうちに、導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクト2と電極105との組み合わせの全て、つまり、嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに配備された都合四つのニードル状コンタクト2と其の各々に対応するLGA102側の電極105との導通状態が導通検出器14で確認されたならば、パッケージ位置調整ネジ7,8,9,10の操作を直ちに打ち切り、LGA102の移動を停止させる。
【0042】
また、より望ましくは、このようにして導通が確認された状態でパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10を更に操作してLGA102をニードル状コンタクト2の並び方向に沿った縦横の向きすなわち図1中の左右方向と紙面垂直方向(前後方向)に微妙に移動させ、より注意深く導通検出器14を監視して導通状態が最適となる位置を見つけ、其の位置でLGA102の移動を停止させる追い込み作業を行うようにする。
【0043】
以上の操作により、図2に示されるように、嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに配備された都合四つのニードル状コンタクト2と其の各々に対応するLGA102側の電極105とが確実に当接し、かつ、電気的な導通が確保された状態となる。特に、最終的な追い込み作業を行った場合では、LGA102側の電極105の中心をニードル状コンタクト2の先端位置に厳密に位置決めすることが可能である。
【0044】
次に、前述の予圧力Q0に代えて所定のパッケージ取付荷重Q1でLGA102を嵌合凹部13の底面104に向けて加圧し、図3に示されるようにLGA102を更に沈み込ませて嵌合凹部13に完全に嵌合させ、相対的に短いニードル108bを有するニードル状コンタクト2を含めた全てのニードル状コンタクト2を其の各々に対応する電極105に接触させる。前述したように、ニードル状コンタクト2とLGA102側の1つの電極105との電気的な導通を確保するために必要とされる力が0.5Nであって、ニードル状コンタクト2の総数が500本であるとすれば、パッケージ取付荷重Q1は其の500倍、つまり、250Nとなる。
【0045】
嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2の相対的に長いニードル108aも他のニードル状コンタクト2の相対的に短いニードル108bも其の縮退限度は同等であるから、全てのニードル状コンタクト2を其の各々に対応する電極105に確実に接触させることができる。
【0046】
次いで、嵌合凹部13において相互に対向する壁面3,5のパッケージ位置調整ネジ7,9を共に嵌合凹部13の中央部に向けて突出させる方向にパッケージ位置調整ネジ7,9を回転操作し、装着位置固定手段12の一部として機能するパッケージ位置調整ネジ7,9の先端の押圧力でLGA102の左右両側を強く挾持させ、また、壁面4,6のパッケージ位置調整ネジ8,10を共に嵌合凹部13の中央部に向けて突出させる方向にパッケージ位置調整ネジ8,10を回転操作して装着位置固定手段12の他部として機能するパッケージ位置調整ネジ8,10の先端の押圧力でLGA102の前後両側を強く挾持させて、LGA102をLGAソケット1の嵌合凹部13に確実に固定し、LGA102の装着状態を確保してからパッケージ取付荷重Q1を除去する。
【0047】
装着位置固定手段12として機能するパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10によってLGA102が確実に固定されるので、パッケージ取付荷重Q1を除去してもLGA102が浮き上がる心配はなく、LGA102がLGAソケット1に確実に装着される。
【実施例2】
【0048】
図4は嵌合凹部13を包囲する四つの壁面3,4,5,6において、相互に対向する壁面3,5および壁面4,6の各組毎にパッケージ位置調整ネジ7,9とパッケージ位置調整ネジ8,10が同一方向に移動するようにパッケージ位置調整ネジ7,9とパッケージ位置調整ネジ8,10を回転駆動する調整ネジ回転駆動手段を配備した実施例である。
【0049】
図4の例では、壁面3,5の組に対応する横送り用の調整ネジ回転駆動手段15はLGAソケット1’の左右両側に取り付けられたモータM1,M2によって構成され、また、壁面4,6の組に対応する縦送り用の調整ネジ回転駆動手段16はLGAソケット1’の前後両側に取り付けられたモータM3,M4によって構成されている。その他の構成に関しては図1〜図3を参照して説明した実施例1と同様であるので説明を省略する。なお、図4が縦断面図である関係上、手前側の壁面6とパッケージ位置調整ネジ10およびモータM4に関しては図面上での記載を省略している。
【0050】
LGA102を図4中の左右方向に移動させる場合には、嵌合凹部13において相互に対向する壁面3,5および壁面4,6の各組のうち壁面3,5の組に対応するパッケージ位置調整ネジ7,9を回転駆動するモータM1,M2を回転させてパッケージ位置調整ネジ7,9の先端を同期的に同一方向、例えば、右から左あるいは左から右に移動させることで、パッケージ位置調整ネジ7,9の先端に挟まれたLGA102を図4中の左右方向に移動させる。なお、パッケージ位置調整ネジ7,9の左右方向への移動速度はネジのリードとモータの回転数との積で決まり、また、各ネジの移動方向はネジの刻設方向(正ネジ/逆ネジ)とモータの回転方向によって決まるので、ここでいう同期的の意味合いは、モータの回転速度や回転方向の一致を意味するものではなく、飽くまでも、最終的なパッケージ位置調整ネジ7,9の移動方向と移動速度を規定するものである。
【0051】
また、LGA102を図4の紙面垂直方向(前後方向)に移動させる場合には、嵌合凹部13において相互に対向する壁面3,5および壁面4,6の各組のうち壁面4,6の組に対応するパッケージ位置調整ネジ8,10を回転駆動するモータM3,M4を回転させてパッケージ位置調整ネジ8,10の先端を同期的に同一方向、例えば、手前から後方あるいは後方から手前に移動させることで、パッケージ位置調整ネジ8,10の先端に挟まれたLGA102を図4中の紙面垂直方向(前後方向)に移動させる。同期的の意味合いに関しては前記と同様である。
【0052】
LGAソケット1’を用いたLGA102の位置決めや装着方法に関しては前述した実施例1の場合と同様であり、最終的に、LGA102をLGAソケット1’の嵌合凹部13に固定する際には、嵌合凹部13において相互に対向する壁面3,5のパッケージ位置調整ネジ7,9が共に嵌合凹部13の中央部に向けて突出するようにモータM1,M2を同時に回転駆動し、装着位置固定手段12の一部として機能するパッケージ位置調整ネジ7,9の先端の押圧力でLGA102の左右両側を強く挾持させ、また、壁面4,6のパッケージ位置調整ネジ8,10が共に嵌合凹部13の中央部に向けて突出するようにモータM3,M4を同時に回転駆動し、装着位置固定手段12の他部として機能するパッケージ位置調整ネジ8,10の先端の押圧力でLGA102の前後両側を強く挾持させて、LGA102をLGAソケット1’の嵌合凹部13に確実に固定するようにする。
【実施例3】
【0053】
図1に示した実施例1のLGAソケット1の構造および図4に示した実施例2のLGAソケット1’の構造では、LGA102の位置調整や固定を行なうための装着位置調整手段や装着位置固定手段として機能するパッケージ位置調整ネジ7,8,9,10等の部品がLGAソケット1,1’側に設けられているため、LGAソケット1,1’を装着する配線基板に相当のスペースを確保する必要があり、LGAソケット1,1’の構造も比較的に複雑となる。これらの構成はLGA102の検査専用装置に装着されるLGAソケット1,1’においては問題とはならないが、LGAソケット1,1’を装着した配線基板自体が製品または製品の一部となるような場合、例えば、コンピュータカードとして機能するLGA102をコンピュータの配線基板に実装し、この配線基板やコンピュータを製品として出荷するような場合では、配線基板やコンピュータの大型化や生産コストの増大に繋がるといった可能性がある。
【0054】
そこで、次に、LGAソケットの構成を更に簡略化してパーツ点数を削減し、より狭いスペースへのLGAソケットの装着を可能とすると共に生産コストの低減化を図ったLGAソケットの実施例と、このLGAソケットに対するLGAの装着方法および此の装着を自動化するための電子部品パッケージの位置調整ユニットの実施例について説明する。
【0055】
図5(a)はパッケージ位置調整ネジを省略したLGAソケット1”と此のLGAソケット1”にLGA102を装着するための電子部品パッケージの位置調整ユニット17(以下、単に位置調整ユニット17という)の主要部について示した縦断面図である。
【0056】
LGAソケット1”は、LGA102を着脱可能に装着するための矩形状の嵌合凹部13の底面104を構成するベース部材18と、嵌合凹部13を包囲する可動枠19とによって構成され、底面104を構成するベース部材18には、LGA102の一面に密接配備された複数の電極105の各々と個別に接触する複数のニードル状コンタクト2が固設されている。
【0057】
ニードル状コンタクト2は、前述した実施例1および実施例2のものと同様、スリーブ107とニードル108aもしくはスリーブ107とニードル108bからなるテレスコピック構造を有し、スリーブ107に内装された図示しないバネによって、LGA102の一面つまり電極105を配備した側の面に向けて、ニードル108a,108bの各々が独立的に付勢されている。
【0058】
そして、嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーには、他のニードル状コンタクト2のニードル108bよりも突出量が大きく、かつ、其の先端部の縮退限度が他のニードル状コンタクト2のニードル108bと同等なニードル108aを有するニードル状コンタクト2が配備されている。特に、この実施例では、嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに位置する都合四つのニードル状コンタクト2が、相対的に長いニードル108aを備えている。
【0059】
可動枠19の内周はLGA102の外形に合わせて形成され、LGA102を締り嵌めの状態で圧入して可動枠19に取り付けられるようになっている。
【0060】
また、可動枠19はベース部材18に対して接離不能、かつ、少なくともLGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量に匹敵する距離だけベース部材18の表面に沿って縦横に移動自在とされている。
例えば、設計上では図5(a)に示されるようにLGA102の外形からAの距離に最初の電極105が配置されるようになっているにも関わらず、実際にはLGA102の外形からA’の距離に最初の電極105が配置されており、加工上の公差や誤差その他のイレギュラーを考慮してもLGA102の外形からA’の距離を越えて最初の電極105が配置されることが有り得ないとするなら、|A−A’|の値がLGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量であり、少なくとも、可動枠19はベース部材18に沿って|A−A’|相当分の距離だけ縦横に移動自在とされる必要がある。設計上の基準位置を挟んで其の前後に|A−A’|の位置ずれが発生する可能性があるとすれば、最大位置ずれ量は2・|A−A’|である。
【0061】
この最大位置ずれ量は大きな値ではないので、例えば、図5(a)に示すように、可動枠19の下面側に先端拡径部を有する突起20を形成し、この突起20をベース部材18の段付き穴に突入させ、段付き穴21の縮径部と突起20の縮径部との間の遊びを利用して可動枠19の縦横への移動を許容すると共に、突起20の拡径部と段付き穴21の縮径部との干渉を利用して可動枠19をベース部材18に対して接離不能とするといったことで、最大位置ずれ量の範囲で可動枠19を移動させることが可能である。
【0062】
一方、位置調整ユニット17のハードウェア上の主要部は、図5(a)に示されるように、LGAソケット1”の嵌合凹部13に載置したたLGA102を嵌合凹部13の底面104に向けて押圧するプレス手段として機能するプッシャーアーム22と、可動枠19をベース部材18の表面に沿って縦横に移動させる可動枠送り手段23とで構成される。
【0063】
可動枠送り手段23は、図5(a)に示されるように、可動枠19の左右に位置する横送り用可動枠送り手段24,25と、可動枠19の前後に位置する縦送り用可動枠送り手段26,27とで構成される。なお、図5(a)が縦断面図である関係上、手前側の縦送り用可動枠送り手段27に関しては図面上での記載を省略している。
【0064】
図5(b)は横送り用可動枠送り手段25を図5(a)の矢視A−Aから示した断面図である。横送り用可動枠送り手段25は、図5(b)に示されるように、図示しない昇降ヘッドに固設されて下方に突出したステー28と、スプライン嵌合を利用してステー28の下端部に回転不能かつ軸方向移動自在に取り付けられた送りネジ29と、送りネジ29に螺合されてステー28に対して回転自在かつ軸方向移動不能とされたソケット30、および、ソケット30の外周に掛け回されたタイミングベルト31によって構成され、ソケット30を定位置で回転駆動することにより送りネジ29が図5(a)中の左右方向に移動するようになっている。
【0065】
横送り用可動枠送り手段24および縦送り用可動枠送り手段26と図示を省略した縦送り用可動枠送り手段27も、前述の横送り用可動枠送り手段25と同等の構成を有する。
【0066】
このうち横送り用可動枠送り手段25のタイミングベルト31と横送り用可動枠送り手段24のタイミングベルト32は、図示しない昇降ヘッドに固設された横送り用サーボモータMxで同期的に回転駆動され、横送り用可動枠送り手段25のソケット30に螺合された送りネジ29と横送り用可動枠送り手段24のソケット33に螺合された送りネジ34が同一方向、例えば、右から左あるいは左から右に同時に移動し、送りネジ29,34の先端に挟まれたLGA102が図5(a)中の左右方向に移動する。
【0067】
これと同様に、縦送り用可動枠送り手段26のタイミングベルト35と縦送り用可動枠送り手段27のタイミングベルト36は、図示しない昇降ヘッドに固設された縦送り用サーボモータMyで同期的に回転駆動され、縦送り用可動枠送り手段26のソケットに螺合された送りネジ37と縦送り用可動枠送り手段27のソケットに螺合された送りネジ38が同一方向、例えば、手前から後方あるいは後方から手前に同時に移動し、送りネジ37,38の先端に挟まれたLGA102が図5(a)中の紙面垂直方向(前後方向)に移動する。なお、図5(a)が縦断面図である関係上、手前側の縦送り用可動枠送り手段27と其の送りネジ38およびタイミングベルト36に関しては図面上での記載を省略している。
【0068】
プッシャーアーム22はボールナット&スクリュー等の図示しない直線駆動手段で図5(a)中の上下方向に駆動される。ボールナット&スクリュー等の直線駆動手段の駆動源となるプレス用サーボモータMpも、前述した横送り用サーボモータMxや縦送り用サーボモータMyと共に図示しない昇降ヘッドの内部に納められており、昇降ヘッドそれ自体は、位置調整ユニット17の図示しないコラムに対して上下移動可能に取り付けられ、ラック&ピニオンあるいはボールナット&スクリュー等の直線駆動手段により、可動枠送り手段23を構成する横送り用可動枠送り手段24,25および縦送り用可動枠送り手段26,27とプッシャーアーム22を伴って、図5(a)中の上下方向に昇降駆動される。昇降ヘッドを上下動させる直線駆動手段の昇降用サーボモータMzは、位置調整ユニット17のコラムの内部に納められている。
【0069】
図6は位置調整ユニット17の制御部38の構成の概略を示したブロック図である。
【0070】
制御部38の主要部は、マイクロプロセッサ39と、その制御プログラムを格納したROM40、および、演算データの一時記憶等に利用されるRAM41と、各種のパラメータ等を記憶する不揮発性メモリ42によって構成され、マイクロプロセッサ39の入出力回路43には、位置調整ユニット17を作動させる起動信号等を入力するための手動操作盤44と、各種の測定データ等を表示するための表示器45が接続されている。
【0071】
可動枠送り手段23の一部を構成する横送り用可動枠送り手段24,25を駆動する横送り用サーボモータMxと、可動枠送り手段23の他部を構成する縦送り用可動枠送り手段26,27を駆動する縦送り用サーボモータMy、および、図示しない昇降ヘッドを上下動させる昇降用サーボモータMzと、プッシャーアーム22を駆動するプレス用サーボモータMpは、入出力回路43と各々のドライバ46,47,48,49を介してマイクロプロセッサ39によって駆動制御される。
【0072】
このうち、横送り用サーボモータMxと縦送り用サーボモータMyおよび昇降用サーボモータMzには、位置調整ユニット17のマシン座標系における各軸の絶対位置を検出するパルスコーダPx,Py,Pzが併設され、パルスコーダPx,Py,Pzからの帰還信号に基いて、マイクロプロセッサ39が各軸の現在位置を認識できるようになっている。また、マイクロプロセッサ39は、プレス用サーボモータMpのドライバ49を介してプレス用サーボモータMpの駆動電流を検出し、この駆動電流に基いて、プレス用サーボモータMpに作用する反動トルク、最終的には、プッシャーアーム22の先端がLGA102を押圧する力を求める。
【0073】
そして、図1に示した実施例1の場合と同様、LGAソケット1”の嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに配備された都合四つのニードル状コンタクト2、つまり、相対的に長いニードル108aを備えた四つのニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105との導通状態を確認するための導通検出器14が配備され、四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105との導通状態を表す信号T1,T2,T3,T4が、A/D変換器50,51,52,53と入出力回路43を介して導通検出器14からマイクロプロセッサ39に読み込まれるようになっている。この実施例においては、T1,T2,T3,T4は導通状態に応じて出力される電圧信号であり、導通状態が適正化するにつれて出力電圧の値も増大する。
【0074】
図7および図8は位置調整ユニット17に配備された制御部38のマイクロプロセッサ39が実行する処理の概略を示したフローチャートである。
【0075】
次に、図7および図8のフローチャートを参照して予圧制御手段,第一位置成分特定手段,第二位置成分特定手段,可動枠位置決め手段および圧入制御手段として機能するマイクロプロセッサ39の処理動作とLGAソケット1”を用いたLGA102の装着方法について具体的に説明する。
【0076】
なお、位置調整ユニット17の昇降ヘッドは初期状態においてLGAソケット1”の上方の退避位置にあるものとし、装着作業開始前の段取り作業によって、既に、LGAソケット1”を実装した配線基板が位置調整ユニット17のテーブル上にクランプされ、装着対象となるLGA102がLGAソケット1”の嵌合凹部13に載置されているものとする。
【0077】
次いで、ユーザが手動操作盤44を操作して位置調整ユニット17の制御部38に起動信号を入力すると、起動信号の入力を検知したマイクロプロセッサ39は、まず、昇降用サーボモータMzを駆動して位置調整ユニット17の昇降ヘッドを下降させ、送りネジ29,34,37,38の先端をLGAソケット1”の可動枠19の外周部に図5(a)のような状態で位置決めする(ステップs1)。
【0078】
次いで、マイクロプロセッサ39は、縦送り用サーボモータMyを駆動して送りネジ37,38を同期回転させ、可動枠19を図5(a)中の紙面垂直方向(前後方向)の初期位置に位置決めする(ステップs2)。
【0079】
この初期位置は、LGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量に相当する分だけ設計上の基準位置から可動枠19を図5(a)中の紙面垂直方向(前後方向)の手前側に移動させた位置である。従って、LGAソケット1”のニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2に対応するLGA102側の電極105との対応関係において、電極105がニードル状コンタクト2よりも図5(a)中の紙面垂直方向(前後方向)の手前側に位置する可能性は大であるが、電極105がニードル状コンタクト2の位置を越えて図5(a)中の紙面垂直方向(前後方向)の後方に位置するといった可能性はない。
【0080】
次いで、予圧制御手段として機能するマイクロプロセッサ39がプレス用サーボモータMpを駆動し、プレス手段として機能するプッシャーアーム22を図9に示されるようにして下降させ、プッシャーアーム22の先端によって所定の予圧力Q0でLGA102を嵌合凹部13の底面104に向けて予圧する(ステップs3)。
【0081】
具体的には、マイクロプロセッサ39がプレス用サーボモータMpの駆動電流つまり反動トルクの値を検知しながらプレス用サーボモータMpに移動指令を出力してプッシャーアーム22の先端でLGA102を押圧させ、駆動電流すなわち反動トルクの値が予圧力Q0に相当する値に到達した時点で、プレス用サーボモータMpに対する移動指令の出力を停止させる。ドライバ49は実質的にはサーボ回路であるから、サーボ回路内のエラー値(目標位置と実位置との偏差)によって予圧力Q0が其のまま保持されることになる。
【0082】
予圧力Q0を与えた段階で、嵌合凹部13の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2のニードル108aはバネの付勢力に抗して僅かに沈みこみ、LGA102も下方に移動することになるが、この段階では未だ他のニードル状コンタクト2の先端つまり相対的に短いニードル108bを備えたニードル状コンタクト2の先端がLGA102に接触することはない。実施例1の例に倣ってニードル状コンタクト2とLGA102側の1つの電極105との電気的な導通を確保するために必要とされる力を0.5Nとすれば、予圧力Q0は其の4倍、つまり、2N程度となる。
【0083】
次いで、マイクロプロセッサ39は、接触状態確認フラグFをリセットし(ステップs4)、最大値記憶レジスタVmaxを0に初期化して(ステップs5)、リトライカウンタCの値を0に初期化した後(ステップs6)、横送り用サーボモータMxを駆動して横送り用可動枠送り手段24,25の送りネジ29,34を同期回転させ、可動枠19を図9中の左右方向の初期位置に位置決めする(ステップs7)。
【0084】
この段階では4つのニードル状コンタクト2がLGA102の下面に当接するだけであるから、ニードル108aの先端とLGA102の下面との間に生じる摩擦抵抗は僅かなものであり、LGA102に軽い力で送りを掛けることができ、また、LGA102の下面や電極105を痛める心配もない。
【0085】
前述した通り、この初期位置は、LGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量に相当する分だけ設計上の基準位置から可動枠19を図9中の左側に移動させた位置である。従って、LGAソケット1”のニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2に対応するLGA102側の電極105との対応関係において、電極105がニードル状コンタクト2よりも図9中の左側に位置する可能性は大であるが、電極105がニードル状コンタクト2の位置を越えて図9中の右側に位置するといった可能性はない。
【0086】
次いで、第一位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39が、横送り用サーボモータMxを駆動して送りネジ29,34を同期回転させ、可動枠19をベース部材18の表面に沿ってニードル状コンタクト2の第一の並び方向である図9中の右方向に向けて微小量たとえば横送り用サーボモータMxの1パルス相当分だけ移動させ(ステップs8)、LGAソケット1”の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105との導通状態を表す信号T1,T2,T3,T4を導通検出器14から読み込み(ステップs9)、これらの値が全て閾値V0を上回っているか否か、要するに、四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てが同時に導通状態となっているか否かを判定する(ステップs10)。
【0087】
ニードル状コンタクト2と電極105の4つの組み合わせの全てが同時に導通状態となっていなければ、マイクロプロセッサ39は、更に、接触状態確認フラグFがセットされているか否かを判定するが(ステップs16)、この段階では接触状態確認フラグFはリセット状態に保持されているので、マイクロプロセッサ39は、更に、送りネジ29,34の現在位置つまり図9中の左右方向における可動枠19の現在位置がストロークエンドに達しているか否かを判定する(ステップs17)。
【0088】
ここでいうストロークエンドとは、LGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量に相当する距離である。
【0089】
送りネジ29,34の現在位置つまり図9の左右方向における可動枠19の現在位置がストロークエンドに達していなければ、第一位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39は、前記と同様にしてステップs8〜ステップs10およびステップs16〜ステップs17の処理を繰り返し実行する。
【0090】
この間にステップs17の判定結果が真となった場合には、可動枠19を左右方向の初期位置からストロークエンドにまで移動させても四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせが同時に導通状態とならないこと、つまり、LGA102の電極105がニードル状コンタクト2よりも図9中の紙面垂直方向(前後方向)の手前側にずれていることを意味する。
【0091】
従って、この場合、マイクロプロセッサ39は、リトライカウンタCの値を1インクリメントし(ステップs18)、リトライカウンタCの現在値が許容値nを超えているか否かを判定する(ステップs19)。
【0092】
リトライカウンタCの値が許容値nを超えていなければ、マイクロプロセッサ39は、縦送り用サーボモータMyを駆動して縦送り用可動枠送り手段26,27の送りネジ37,38を同期回転させ、可動枠19を図9中の紙面垂直方向(前後方向)の後方に向けて最大位置ずれ量よりも小さな所定のオフセット量だけ移動させ(ステップs20)、改めて、横送り用サーボモータMxを駆動して横送り用可動枠送り手段24,25の送りネジ29,34を同期回転させ、可動枠19を図9中の左右方向の初期位置に位置決めして(ステップs7)、前記と同様に、ステップs8〜ステップs10およびステップs16〜ステップs17の処理をリトライ動作として繰り返し実行する。
【0093】
なお、許容値nの値としては、最大位置ずれ量をステップs20で述べた所定のオフセット量で除した数値を切り上げて整数化した値が適当である。
【0094】
このリトライ動作は最大でn回まで許容されるが、n回のリトライ動作を繰り返し実行しても四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせが同時に導通状態とならない場合には、図9中の紙面左右方向の左側の初期位置からストロークエンドまで可動枠19を左右に繰り返し移動させつつ、前述した所定のオフセット量を刻み幅として図9中の紙面垂直方向(前後方向)の手前側の初期位置から最大位置ずれ量に相当する距離まで可動枠19に紙面垂直方向の後方に向かう縦方向の送りを掛けても適切な導通状態が得られないこと、つまり、最大位置ずれ量の範囲で縦横方向に虱潰しでLGA102を移動させても導通状態が得られないことを意味する。この場合は、LGAソケット1”やLGA102それ自体に異常がある可能性が高いので、マイクロプロセッサ39は表示器45にエラーメッセージを表示し、LGA102の装着に関わる処理の継続を放棄する。
【0095】
一方、ステップs8〜ステップs10およびステップs16〜ステップs17の処理を繰り返し実行する間に四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てが同時に導通状態となったことが確認されてステップs10の判定結果が真となった場合には、第一位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39は、接触状態確認フラグFをセットすることで取り敢えずの導通状態が得られたことを記憶し(ステップs11)、更に、直前のステップs9の処理で読み込まれた導通検出器14からの信号T1,T2,T3,T4の加算値つまり四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102との間の総合的な導通状態を求め、この加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っているか否かを判定する(ステップs12)。
【0096】
そして、加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っている場合に限り、第一位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39が、この加算値を最大値記憶レジスタVmaxに更新して記憶させる(ステップs13)。
【0097】
また、第一位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39は、加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っている場合に限り、横送り用サーボモータMxのパルスコーダPxから図9中の左右方向における送りネジ29,34の現在位置つまり左右方向における可動枠19の現在位置を読み込み(ステップs14)、この値を最適横位置記憶レジスタRxに更新して記憶させ(ステップs15)、改めてステップs8の処理へと移行する。
【0098】
一方、導通検出器14からの信号T1,T2,T3,T4の加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っておらずステップs12の判定結果が偽となった場合においては、マイクロプロセッサ39は、ステップs13〜ステップs15の処理をスキップして、改めてステップs8の処理へと移行する。
【0099】
このようにして四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てが同時に導通状態となったことが確認され、接触状態確認フラグFが一旦セットされると、四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てにおいて取り敢えずの導通状態が確認され続ける限り、つまり、ステップs10の判定結果が真となり続ける限りにおいて、ステップs8〜ステップs12もしくはステップs8〜ステップs15の処理が第一位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39によって繰り返し実行される。
【0100】
つまり、図9に示されるLGA102の電極105の右端部が図9中の左側からニードル状コンタクト2に接近して実際に接触してからLGA102の電極105の左端部がニードル状コンタクト2の右側に抜けるまでの間、ステップs8〜ステップs12もしくはステップs8〜ステップs15の処理が繰り返し実行されることになる。そして、このLGA102の移動区間内において、LGA102の電極105とニードル状コンタクト2との間の導通状態が最適化するのは電極105の左右方向の中央部がニードル状コンタクト2の先端に接触した瞬間であり、最終的に、このときのT1,T2,T3,T4の加算値が最大値として最大値記憶レジスタVmaxに其のまま保持され、同様に、電極105の左右方向の中央部がニードル状コンタクト2の先端に接触した瞬間の可動枠19の現在位置Pxが最適横位置記憶レジスタRxに其のまま保持される。
【0101】
そして、LGA102の電極105の左端部がニードル状コンタクト2の右側に抜け切ると、ニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2に対応する電極105との導通状態が保証されなくなって、ステップs10の判定結果が偽となる。
【0102】
次いで、マイクロプロセッサ39は、接触状態確認フラグFがセットされているか否かを判定するが(ステップs16)、この段階では既に接触状態確認フラグFがセットされているので、ステップs16の判定結果は真となり、可動枠位置決め手段の一部として機能するマイクロプロセッサ39が、横送り用サーボモータMxを駆動して横送り用可動枠送り手段24,25の送りネジ29,34を同期回転させ、可動枠19を図9中の左右方向に移動させて、第一位置成分特定手段で特定された位置すなわち最適横位置記憶レジスタRxで示される位置であって電極105の左右方向の中央部がニードル状コンタクト2の先端に接触する位置に可動枠19およびLGA102を位置決めする(ステップs21)。
【0103】
次いで、マイクロプロセッサ39は、最大値記憶レジスタVmaxを改めて0に初期化し(ステップs22)、縦送り用サーボモータMyを駆動して縦送り用可動枠送り手段26,27の送りネジ37,38を同期回転させ、可動枠19を図9中の紙面垂直方向(前後方向)の初期位置に改めて位置決めする(ステップs23)。この初期位置は、LGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量に相当する分だけ設計上の基準位置から可動枠19を図9中の紙面垂直方向(前後方向)の手前側に移動させた位置である。
【0104】
次いで、第二位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39が、縦送り用サーボモータMyを駆動して縦送り用可動枠送り手段26,27の送りネジ37,38を同期回転させ、可動枠19をベース部材18の表面に沿ってニードル状コンタクト2の第二の並び方向である図9中の紙面垂直方向(前後方向)の後方に向けて微小量たとえば縦送り用サーボモータMyの1パルス相当分だけ移動させ(ステップs24)、LGAソケット1”の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105との導通状態を表す信号T1,T2,T3,T4を導通検出器14から読み込み(ステップs25)、これらの値が全て閾値V0を上回っているか否か、要するに、四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てが同時に導通状態となっているか否かを判定する(ステップs26)。
【0105】
ニードル状コンタクト2と電極105の4つの組み合わせの全てが同時に導通状態となっていなければ、マイクロプロセッサ39は、更に、送りネジ37,38の現在位置つまり図9中の紙面垂直方向(前後方向)における可動枠19の現在位置がストロークエンドに達しているか否かを判定する(ステップs31)。
【0106】
ここでいうストロークエンドとは、LGA102の外形を基準とする各電極105の配設位置の最大位置ずれ量に相当する距離である。
【0107】
送りネジ37,38の現在位置つまり図9中の紙面垂直方向(前後方向)における可動枠19の現在位置がストロークエンドに達していなければ、第二位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39は、前記と同様にしてステップs24〜ステップs26およびステップs31の処理を繰り返し実行する。
【0108】
そして、ステップs24〜ステップs26およびステップs31の処理を繰り返し実行する間に四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てが同時に導通状態となったことが確認されてステップs26の判定結果が真となると、第二位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39は、直前のステップs25の処理で読み込まれた導通検出器14からの信号T1,T2,T3,T4の加算値つまり四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102との間の総合的な導通状態を求め、この加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っているか否かを判定する(ステップs27)。
【0109】
そして、加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っている場合に限り、第二位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39が、この加算値を最大値記憶レジスタVmaxに更新して記憶させる(ステップs28)。
【0110】
また、第二位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39は、加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っている場合に限り、縦送り用サーボモータMyのパルスコーダPyから図9中の紙面垂直方向(前後方向)における送りネジ37,38の現在位置つまり前後方向における可動枠19の現在位置を読み込み(ステップs29)、この値を最適横位置記憶レジスタRyに更新して記憶させ(ステップs30)、改めてステップs24の処理へと移行する。
【0111】
一方、導通検出器14からの信号T1,T2,T3,T4の加算値が最大値記憶レジスタVmaxの現在値を上回っておらずステップs27の判定結果が偽となった場合においては、マイクロプロセッサ39は、ステップs28〜ステップs30の処理をスキップして、改めてステップs24の処理へと移行する。
【0112】
このようにして四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てが同時に導通状態となったことが一旦確認されると、四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応するLGA102の電極105の組み合わせの全てにおいて取り敢えずの導通状態が確認され続ける限り、つまり、ステップs26の判定結果が真となる限りにおいて、ステップs24〜ステップs27もしくはステップs24〜ステップs30の処理が第二位置成分特定手段として機能するマイクロプロセッサ39によって繰り返し実行される。
【0113】
つまり、図9に示されるLGA102の電極105の後方の端部が図9中の手前側からニードル状コンタクト2に接近して実際に接触してからLGA102の電極105の手前側端部がニードル状コンタクト2の後方に抜けるまでの間、ステップs24〜ステップs27もしくはステップs24〜ステップs30の処理が繰り返し実行されることになる。そして、このLGA102の移動区間内において、LGA102の電極105とニードル状コンタクト2との間の導通状態が最適化するのは電極105の前後方向の中央部がニードル状コンタクト2の先端に接触した瞬間であり、最終的に、このときのT1,T2,T3,T4の加算値が最大値として最大値記憶レジスタVmaxに其のまま保持され、同様に、電極105の前後方向の中央部がニードル状コンタクト2の先端に接触した瞬間の可動枠19の現在位置Pyが最適横位置記憶レジスタRyに其のまま保持される。
【0114】
そして、LGA102の電極105の手前側端部がニードル状コンタクト2の後方に抜け切ってニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2に対応する電極105との導通状態が保証されなくなるとステップs26の判定結果が偽となり、更に、送りネジ37,38の現在位置つまり図9中の紙面垂直方向(前後方向)における可動枠19の現在位置がストロークエンドにまで達してステップs31の判定結果が真となると、可動枠位置決め手段の一部として機能するマイクロプロセッサ39が、縦送り用サーボモータMyを駆動して縦送り用可動枠送り手段26,27送りネジ37,38を同期回転させ、可動枠19を図9中の前後方向に移動させて、第二位置成分特定手段で特定された位置すなわち最適横位置記憶レジスタRyで示される位置であって電極105の前後方向の中央部がニードル状コンタクト2の先端に接触する位置に可動枠19およびLGA102を位置決めする(ステップs32)。
【0115】
以上のようにして、LGAソケット1”の嵌合凹部13の底面104の四つのコーナーに配備されたニードル状コンタクト2と当該ニードル状コンタクト2の各々に対応する電極105との導通状態を確認しながら、LGAソケット1”の可動枠19をベース部材18の表面に沿って縦横に移動させることで、LGA102をニードル状コンタクト2の第一,第二の並び方向に沿って移動させ、導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクト2と電極105との組み合わせにおいて全ての組み合わせで導通状態が確認された位置、特に、電極105の前後左右方向の中央部がニードル状コンタクト2の先端に接触して最適な導通状態が保証される位置をLGA102および可動枠19の装着最適位置として、可動枠19の位置決め制御を完了させる。
【0116】
次いで、圧入制御手段として機能するマイクロプロセッサ39が、プレス用サーボモータMpに更なる移動指令を出力してプッシャーアーム22の先端によってパッケージ取付荷重Q1に相当する加圧力でLGA102を押圧させ、LGA102の外形を可動枠19に完全に圧入してLGA102をLGAソケット1”の嵌合凹部13に装着し固定する(ステップs33)。
【0117】
この段階で、LGA102が更に沈み込んで嵌合凹部13に完全に嵌合し、相対的に短いニードル108bを有するニードル状コンタクト2を含めた全てのニードル状コンタクト2が其の各々に対応する電極105に接触する。実施例1の例に倣ってニードル状コンタクト2とLGA102側の1つの電極105との電気的な導通を確保するために必要とされる力を0.5Nとすれば、ニードル状コンタクト2の総数が500本である場合、パッケージ取付荷重Q1は其の500倍、つまり、250Nということになるが、この実施例3ではLGA102を可動枠19の内周に圧入するための力も必要となるので、実際のパッケージ取付荷重Q1は250Nよりも多少大きめの値である。
【0118】
次いで、マイクロプロセッサ39は昇降用サーボモータMzを駆動して位置調整ユニット17の昇降ヘッドを上昇させて退避位置に復帰させ(ステップs34)、更に、横送り用サーボモータMxおよび縦送り用サーボモータMyを駆動して可動枠送り手段23の送りネジ29,34,37,38を原位置復帰させ(ステップs35)、プレス用サーボモータMpを駆動してプッシャーアーム22を待機位置に復帰させる(ステップs36)。
【0119】
つまり、実施例3のLGAソケット1”においては、LGA102の装着位置をニードル状コンタクト2の並び方向に沿って調整するための装着位置調整手段は、嵌合凹部13の底面104を構成するベース部材18と、このベース部材18の表面に沿って移動自在に取り付けられた可動枠19とによって構成されていることになる。
【0120】
また、調整されたLGA102の装着位置を保持するための装着位置固定手段は、LGA102の侵入を圧入状態で許容してLGA102の抜けを防止する可動枠19の内周と、図示しないバネによって付勢された状態で電極105の各々と接触して縮退する多数のニードル状コンタクト2のニードル108a,108bとによって構成され、ニードル108a,108bとLGA102の電極配備面との間に作用する機械的な摩擦抵抗によって、ベース部材18の表面に沿った方向のLGA102および可動枠19の装着位置のずれが防止されることになる。
【0121】
ここでは位置調整ユニット17を利用してLGA102をLGAソケット1”に装着する場合の処理動作について説明したが、LGAソケット1”の可動枠19をベース部材18に対して手動操作で移動させながら導通検出器14で導通状態を確認して可動枠19およびLGA102の位置決めを行なうようにすることも可能である。
【0122】
また、図6に示した制御部38と図7および図8に示した処理操作のアルゴリズムを図4に示されるLGAソケット1’に転用し、実施例3の横送り用サーボモータMxに代わる実施例1のモータM1,M2、および、実施例3の縦送り用サーボモータMyに代わる実施例1のモータM3,M4を駆動制御すれば、図4に示されるLGAソケット1’を利用して導通が最適となる位置にLGA102を位置決めすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明を適用した高密度電極用ソケットの一実施例の要部を示した縦断面図である(実施例1)。
【図2】同実施例の高密度電極用ソケットに電子部品パッケージを載置して予圧した状態を示した縦断面図である(実施例1)。
【図3】同実施例の高密度電極用ソケットに電子部品パッケージを載置してパッケージ取付荷重で加圧した状態を示した縦断面図である(実施例1)。
【図4】高密度電極用ソケットの装着位置調整手段および装着位置固定手段の一部を構成するパッケージ位置調整ネジを回転駆動する調整ネジ回転駆動手段を配備した他の実施例の高密度電極用ソケットについて示した縦断面図である(実施例2)。
【図5】パッケージ位置調整ネジを省略した他の実施例の高密度電極用ソケットと此の高密度電極用ソケットに電子部品パッケージを位置決めして固定する位置調整ユニットの主要部について示した図であり、図5(a)は其の縦断面図、また、図5(b)は図5(a)の矢視A−Aに沿って電子部品パッケージの位置調整ユニットにおける横送り用可動枠送り手段の構成を示した図である(実施例3)。
【図6】同実施例の位置調整ユニットの制御部の構成の概略を示したブロック図である(実施例3)。
【図7】同実施例の位置調整ユニットの制御部のマイクロプロセッサが実行する処理の概略を示したフローチャートである(実施例3)。
【図8】同制御部のマイクロプロセッサが実行する処理の概略を示したフローチャートの続きである(実施例3)。
【図9】同実施例の位置調整ユニットによる電子部品パッケージの取り付け過程でパッケージを予圧した状態について示した縦断面図である(実施例3)。
【図10】同実施例の電子部品パッケージの位置調整ユニットによる電子部品パッケージの取り付け過程でパッケージをパッケージ取付荷重で押圧した状態について示した縦断面図である(実施例3)。
【図11】一般的なLGAソケットを使用したLGAの実装例を示した縦断面図である。
【図12】一般的なLGAソケットを使用した場合のLGAの実装工程を示した縦断面図である。
【図13】LGAソケットの電極位置に端面基準の位置ずれが生じている例を示した縦断面図である。
【図14】LGAソケットの電極位置に端面基準の位置ずれが生じている場合に発生する問題を示した縦断面図である。
【図15】電極間の位置決め精度を保証するための技術の一例について示した縦断面図であり、図15(a)ではソケットにLGAを装着する前の状態を示し、図15(b)ではソケットにLGAを装着した後の状態を示している。
【図16】電極間の位置決め精度を保証するための技術の他の一例について示した模式図である。
【符号の説明】
【0124】
1 LGAソケット(高密度電極用ソケット)
1’ LGAソケット(高密度電極用ソケット)
1” LGAソケット(高密度電極用ソケット)
2 ニードル状コンタクト
3,4,5,6 壁面
7,8,9,10 パッケージ位置調整ネジ(装着位置調整手段の一部)
11 装着位置調整手段
12 装着位置固定手段
13 嵌合凹部(装着位置調整手段の一部)
14 導通検出器
15 横送り用の調整ネジ回転駆動手段
16 縦送り用の調整ネジ回転駆動手段
17 電子部品パッケージの位置調整ユニット
18 ベース部材(装着位置調整手段の一部)
19 可動枠(装着位置調整手段の一部,装着位置固定手段の一部)
20 突起
21 段付き穴
22 プッシャーアーム(プレス手段)
23 可動枠送り手段
24 横送り用可動枠送り手段(可動枠送り手段の一部)
25 横送り用可動枠送り手段(可動枠送り手段の一部)
26 縦送り用可動枠送り手段(可動枠送り手段の一部)
27 縦送り用可動枠送り手段(可動枠送り手段の一部)
28 ステー
29 送りネジ
30 ソケット
31,32 タイミングベルト
33 ソケット
34 送りネジ
35,36 タイミングベルト
37,38 送りネジ
38 制御部
39 マイクロプロセッサ(予圧制御手段,第一位置成分特定手段,第二位置成分特定手段,可動枠位置決め手段,圧入制御手段)
40 ROM
41 RAM
42 不揮発性メモリ
43 入出力回路
44 手動操作盤
45 表示器
46,47,48,49 ドライバ
50,51,52,53 A/D変換器
101 LGAソケット(高密度電極用ソケット)
102 LGA(電子部品パッケージ)
103 嵌合凹部
104 底面
105 電極
106 ニードル状コンタクト
107 スリーブ
108 ニードル
108a ニードル(長)
108b ニードル(短)
109 基板側コンタクト
110 配線基板
111 配線基板側の電極
112 内層配線
113 位置決めピン
114 位置決め穴
115 電極面
116 位置決めピン
117 ソケット
118 穴
119 検査用ソケット
120 小型カメラ
121 半導体装置
122 画像認識部
123 出力部
124 クロステーブル
Q0 予圧力
Q1 パッケージ取付荷重
M1 モータ(横送り用の調整ネジ回転駆動手段の一部)
M2 モータ(横送り用の調整ネジ回転駆動手段の一部)
M3 モータ(縦送り用の調整ネジ回転駆動手段の一部)
M4 モータ(縦送り用の調整ネジ回転駆動手段の一部)
Mx 横送り用サーボモータ
My 縦送り用サーボモータ
Mz 昇降用サーボモータ
Px パルスコーダ
Py パルスコーダ
Pz パルスコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品パッケージの一面に密接配備された複数の電極の各々と個別に接触する複数のニードル状コンタクトを、前記電子部品パッケージを着脱可能に装着する矩形状の嵌合凹部の底面から、前記電子部品パッケージの前記一面に向けて独立的に付勢して突出させた状態で前記底面に固設した高密度電極用ソケットであって、
前記電子部品パッケージの装着位置を前記ニードル状コンタクトの並び方向に沿って調整するための装着位置調整手段と、
調整された電子部品パッケージの装着位置を保持する装着位置固定手段とを備えたことを特徴とする高密度電極用ソケット。
【請求項2】
前記装着位置調整手段は、
少なくとも、前記電子部品パッケージの外形を基準とする前記各電極の配設位置の最大位置ずれ量に匹敵する寸法だけ前記電子部品パッケージの外形よりも大きく形成された前記嵌合凹部と、
該嵌合凹部を包囲する四つの壁面の各々を外側から内側に向けて貫通した状態で当該嵌合凹部周辺のモールドに螺合して前記電子部品パッケージの外形に先端を当接させる各壁面毎のパッケージ位置調整ネジによって構成され、
前記装着位置固定手段は、
前記電子部品パッケージの外形に先端を当接せるパッケージ位置調整ネジによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の高密度電極用ソケット。
【請求項3】
前記嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに、他のニードル状コンタクトよりも突出量が大きく、かつ、其の先端部の縮退限度が他のニードル状コンタクトと同等なニードル状コンタクトを配備したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の高密度電極用ソケット。
【請求項4】
前記嵌合凹部を包囲する前記四つの壁面において、相互に対向する壁面の組毎に、該相互に対向する壁面の各々に配備されたパッケージ位置調整ネジが同一方向に移動するように当該パッケージ位置調整ネジを回転駆動する調整ネジ回転駆動手段を備えたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の高密度電極用ソケット。
【請求項5】
前記装着位置調整手段は、
前記嵌合凹部の底面を構成するベース部材と、前記嵌合凹部を包囲する可動枠とによって構成され、
前記可動枠の内周が前記電子部品パッケージの外形に合わせて形成されると共に、
前記可動枠は、前記ベース部材に対して接離不能、かつ、少なくとも、前記電子部品パッケージの外形を基準とする前記各電極の配設位置の最大位置ずれ量に匹敵する距離だけ前記ベース部材の表面に沿って縦横に移動自在とされ、
前記装着位置固定手段は、
前記電子部品パッケージの侵入を圧入状態で許容する前記可動枠の内周と、
前記電極の各々と接触して縮退する前記複数のニードル状コンタクトとによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の高密度電極用ソケット。
【請求項6】
前記底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに、他のニードル状コンタクトよりも突出量が大きく、かつ、其の先端部の縮退限度が他のニードル状コンタクトと同等なニードル状コンタクトを配備したことを特徴とする請求項5記載の高密度電極用ソケット。
【請求項7】
請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5または請求項6の何れか一項に記載の高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法であって、
前記高密度電極用ソケットの嵌合凹部に前記電子部品パッケージを載置し、
当該電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて予圧した状態で、
前記嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに配備されたニードル状コンタクトと当該ニードル状コンタクトの各々に対応する電極との導通状態を確認しながら、前記装着位置調整手段で前記電子部品パッケージを前記ニードル状コンタクトの並び方向に沿って縦横に移動させ、
導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認された位置で前記電子部品パッケージの移動を停止させ、
更に、前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けてパッケージ取付荷重で加圧した状態で、前記装着位置固定手段により当該電子部品パッケージを前記嵌合凹部に装着し当該装着位置を保持するようにしたことを特徴とする高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法。
【請求項8】
請求項2,請求項3または請求項4の何れか一項に記載の高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法であって、
前記高密度電極用ソケットの嵌合凹部に前記電子部品パッケージを載置し、
当該電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて予圧した状態で、
前記嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに配備されたニードル状コンタクトと当該ニードル状コンタクトの各々に対応する電極との導通状態を確認しながら、相互に対向する壁面の各々に配備されたパッケージ位置調整ネジが同一方向に移動するように、相互に対向する壁面の各組のパッケージ位置調整ネジを回転させて、前記電子部品パッケージを前記ニードル状コンタクトの並び方向に沿って縦横に移動させ、
導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認された位置で前記電子部品パッケージの移動を停止させ、
更に、前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けてパッケージ取付荷重で加圧して当該電子部品パッケージを前記嵌合凹部に完全に嵌合させ、当該電子部品パッケージの外形に先端を当接させたパッケージ位置調整ネジの押圧力で当該電子部品パッケージの装着状態を保持するようにしたことを特徴とする高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法。
【請求項9】
請求項5または請求項6の何れか一項に記載の高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法であって、
前記高密度電極用ソケットの嵌合凹部を包囲する前記可動枠に前記電子部品パッケージを部分的に嵌合させて当該電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて予圧した状態で、
前記嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに配備されたニードル状コンタクトと当該ニードル状コンタクトの各々に対応する電極との導通状態を確認しながら、前記可動枠を前記ベース部材の表面に沿って縦横に移動させることで、前記電子部品パッケージを前記ニードル状コンタクトの並び方向に沿って移動させ、
導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認された位置で前記可動枠の移動を停止させ、
更に、前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けてパッケージ取付荷重で加圧して当該電子部品パッケージを前記可動枠に圧入して当該電子部品パッケージの抜けを防止すると共に、前記電極の各々と接触して縮退したニードル状コンタクトと前記電極の各々との間に作用する機械的な摩擦抵抗を利用して前記ベース部材の表面に沿った方向の電子部品パッケージおよび前記可動枠の位置ずれを防止して、当該電子部品パッケージの装着状態を保持するようにしたことを特徴とする高密度電極用ソケットを用いた電子部品パッケージの装着方法。
【請求項10】
請求項5または請求項6の何れか一項に記載の高密度電極用ソケットとの組み合わせで使用される電子部品パッケージの位置調整ユニットであって、
前記高密度電極用ソケットの嵌合凹部に嵌合された前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて押圧するプレス手段と、
前記嵌合凹部の底面の四つのコーナーのうち少なくとも三つのコーナーに配備されたニードル状コンタクトと当該ニードル状コンタクトの各々に対応する電極との導通状態を確認するための導通検出器と、
前記可動枠を前記ベース部材の表面に沿って縦横に移動させる可動枠送り手段と、
前記プレス手段および可動枠送り手段を駆動制御する制御部とを備え、
前記制御部には、
前記プレス手段を駆動制御して前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けて予圧する予圧制御手段と、
前記導通検出器からの検出信号を確認しながら前記可動枠送り手段を駆動制御して前記可動枠を前記ベース部材の表面に沿って前記ニードル状コンタクトの第一の並び方向に移動させ、導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認され、かつ、導通状態が最適となるときの第一の並び方向における可動枠の位置を求める第一位置成分特定手段と、
前記導通検出器からの検出信号を確認しながら前記可動枠送り手段を駆動制御して前記可動枠を前記ベース部材の表面に沿って前記第一の並び方向と交差する第二の並び方向に移動させ、導通状態の確認対象とされているニードル状コンタクトと電極との組み合わせにおいて、全ての組み合わせで導通状態が確認され、かつ、導通状態が最適となるときの第二の並び方向における可動枠の位置を求める第二位置成分特定手段と、
前記可動枠送り手段を駆動制御し、前記第一位置成分特定手段および第二位置成分特定手段によって特定された位置に可動枠を位置決めする可動枠位置決め手段と、
前記可動枠位置決め手段による可動枠の位置決め制御完了後に前記プレス手段を駆動制御して前記電子部品パッケージを前記嵌合凹部の底面に向けてパッケージ取付荷重で加圧することで当該電子部品パッケージを前記可動枠に圧入する圧入制御手段とが設けられていることを特徴とした電子部品パッケージの位置調整ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−64677(P2009−64677A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231859(P2007−231859)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】