説明

高所作業車の制御装置

【課題】ブームおよびジャッキを有する高所作業車において、高所作業の安全性を向上させる。
【解決手段】高所作業車が、車体上に旋回、起伏、伸縮動自在に取り付けられたブームと、車体の前後左右に配設され車体を持ち上げ支持する複数のジャッキとを有し、その上で、ジャッキ等に各々設けられジャッキ等の接地を検出するジャッキ接地検出器22,22´,23,23´と、ジャッキ接地検出器22等による検出情報に基いてジャッキ等の未接地箇所を判定する接地状況判定回路34と、接地状況判定回路34によりジャッキ等のうち少なくとも1本のジャッキ等の未接地箇所が判定された場合に、未接地箇所に応じてブームの所定の作動を規制するブーム作動規制回路38とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高所作業車の制御装置に関し、さらに詳細には高所作業車の車体上に起伏動等自在に取り付けられたブームと、車体の前後左右に取り付けられ車体を持ち上げ支持するためのジャッキを有する高所作業車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような高所作業車は、一般に、走行可能な車体上に、車体に対して旋回動自在な旋回台が取り付けられ、この旋回台に起伏シリンダの伸縮動により車体に対して起伏動自在にブームが枢結され、複数のブーム部材を入れ子式に構成したブーム内部の伸縮シリンダの伸縮動によりブーム全体が伸縮動するように構成されている。また、ブームの先端には旋回動(首振動)自在に作業台が取り付けられ、作業台に搭乗した作業者がブームを起伏動・旋回動・伸縮動させ、作業台を旋回動させることで、作業台を所望もしくは任意の高所位置に移動させることができる。また、車体の左右両側の前後には、車体の左右方向外側への拡幅および車体の下方に伸縮自在なジャッキが配設されており、高所作業時には、このジャッキが車体を持ち上げ支持可能になっている。
【0003】
上記のような高所作業車には、ブームの車体への未格納時にジャッキが作動したりジャッキの作動中にブームが作動するのを防止して高所作業の安全性を確保するために、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているような、ブームおよびジャッキの同時作動を規制するインターロック制御装置が装備されている。そして、このようなインターロック制御装置を装備した高所作業車においては、ジャッキの地面への接地状況に応じてブームの作動が規制されるインターロック制御が行われるようになっている。
【特許文献1】特開2003−128393号公報
【特許文献2】特開2002−348099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記インターロック制御では、ブームの車体へ格納時においては、車体の前後左右に4箇所設けられているジャッキ全てが接地して車体を持ち上げ支持している状態でない限りブームの作動開始が規制されるが、ブームの未格納時(すなわち、ブームが作動している高所作業時)においては、車体に4箇所設けられているジャッキのうちいずれか1本以上のジャッキが接地状態にあって車体を持ち上げ支持している限りブームの作動規制を行わないような制御になっている。これは、高所作業時においては、ブームの作動方向によってはブームの作動にともなって車体(車体フレーム)に捻れ変位が生じて、車体に設けられたジャッキの一部が未接地の状態になり(ジャッキは作動しなくても)、このような一部のジャッキにおける未接地状態が一時的に生じた場合であっても、高所作業を中断させないためにブームの作動を規制することなく継続して行うようにするためである。
【0005】
しかしながら、このようなジャッキが一部未接地状態のまま高所作業を続行すると、ブームの作動方向によっては、ブームから車体側に作用し、未接地のジャッキの側に車体を転倒させようとする転倒モーメントが増加した場合に、未接地のジャッキにより車体の安定性が悪くなり高所作業の安全性に問題が生じる場合があった。
【0006】
以上のような問題に鑑みて、本発明では車体にブームおよびジャッキが設けられこれらを作動させて高所作業を行う高所作業車において、高所作業の安全性が向上された高所作業車の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明に係る高所作業車の制御装置は、走行可能な車体上に旋回、起伏、伸縮動自在に取り付けられたブームと、車体の前後左右に配設され車体を支持する複数のジャッキとを有する高所作業車の制御装置であって、複数のジャッキに各々設けられジャッキの接地を検出するジャッキ接地検出手段(例えば、実施形態における左前接地検出器22、左後接地検出器22´、右前接地検出器23、右後接地検出器23´)と、ジャッキ接地検出手段による検出情報に基いてジャッキの未接地箇所を判定する接地状況判定手段(例えば、実施形態における接地状況判定回路34)と、接地状況判定手段により複数のジャッキのうち少なくとも1本のジャッキの未接地箇所が判定された場合に、未接地箇所に応じてブームの所定の作動を規制するブーム作動規制手段(例えば、実施形態におけるブーム作動規制回路38)とを有する。
【0008】
また、上記構成の高所作業車の制御装置において、ブームの先端に取り付けられた作業台と、ブームの作動状態を検出するブーム状態検出手段(例えば、実施形態における旋回角検出器24、起伏角検出器25および伸長量検出器26)とを有し、ブーム作動規制手段が、ブーム状態検出手段により作業台がジャッキの未接地箇所に応じて設定される所定の作動規制領域(例えば、実施形態における作業範囲A1〜A4)の域外に位置していると検出された場合に、ブームの先端又は作業台が所定の作動規制領域内へ移動するようなブームの作動を規制し、ブーム状態検出手段によりブームの先端又は作業台が所定の作動規制領域の域内に位置していると検出された場合に、ブームの所定の作動規制領域内における車体の安定性を低下させる方向への作動を規制するのが好ましい。
【0009】
さらに、上記構成の高所作業車の制御装置において、ブーム状態検出手段がブームの旋回角度を検出するブーム旋回角検出手段(例えば、実施形態における旋回角検出器24)を有して構成され、ブーム作動規制手段が、ブーム旋回角検出手段により作業台が所定の作動規制領域の域外に位置していると検出された場合に、作業台が所定の作動規制領域内へ移動するようなブームの旋回動を規制し、ブーム旋回角検出手段により作業台が所定の作動規制領域の域内に位置していると検出された場合に、未接地のジャッキが接地したときに未接地のジャッキが受ける接地反力が増加する方向へのブームの旋回動を規制するのが好ましい。
【0010】
また、上記構成の高所作業車の制御装置において、ブーム状態検出手段がブームの起伏角度を検出する起伏角検出手段(例えば、実施形態における起伏角検出器25)とブームの伸長量を検出する伸長量検出手段(例えば、実施形態における伸長量検出器26)とを有して構成され、ブーム状態検出手段により作業台が所定の作動規制領域の域外に位置していると検出された場合に、起伏角検出手段および伸長量検出手段による検出に基いて車体の安定性が確保される作業半径を越える方向へのブームの作動を規制し、ブーム状態検出手段により作業台が所定の作動規制領域の域内に位置していると検出された場合に、起伏角検出手段および伸長量検出手段による検出に基いてブームの作業半径が増加する方向へのブームの作動を規制するのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に関する高所作業車の制御装置によれば、ブームの未格納時(ブームが作動している高所作業時)においては、未接地のジャッキが生じたときに未接地箇所を特定し、この未接地箇所に応じて設定されたブーム作動規制領域へのブームの作動、もしくはブーム作動規制領域内における車体の安定性が低下するようなブームの作動が規制される。このため、従来からあるインターロック制御に加えて、ブームの未格納時にジャッキの一部が未接地になるような状態が生じた場合に、未接地のジャッキの側に車体を転倒させようとする転倒モーメントを抑えるように、すなわち、未接地のジャッキの側に車体を転倒させないようにブームの作動が制御され、ジャッキの一部が未接地であっても高所作業の安全性を確保することができる。このように、従来のインターロック制御に加えて本発明に係るブームの作動制御により、特にブームの作動時において高所作業の安全性を低下させないようにすることが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る高所作業車の制御装置の好ましい実施の形態について図1から図3を参照して説明する。図1に当該制御装置を装備した高所作業車の一例を示す。
【0013】
この高所作業車1は車体2の前後左右に前後輪3a,3bを有して走行可能であり、車体2の前部に運転キャビン2aを有したトラック車両をベースに構成される。このトラック車両の車体2の上に旋回モータ51により駆動されて水平旋回可能に構成された旋回台4が配設されている。この旋回台4に基端部が枢結されてブーム5が取り付けられており、このブーム5は起伏シリンダ52により起伏動されるようになっている。ブーム5は、基端ブーム5a、中間ブーム5bおよび先端ブーム5cを入れ子式に組み合わせて、内蔵の伸縮シリンダ53によりブーム5全体が長手軸方向に伸縮動可能に構成される。
【0014】
また、先端ブーム5cは先端にブームヘッド5dを有し、このブームヘッド5dに枢結されて垂直ポスト部材6が上下に揺動可能に取り付けられている。この垂直ポスト部材6は、先端ブーム5c先端あるいはブームヘッド5dと垂直ポスト部材6との間に配設された図示しないレベリングシリンダにより垂直ポスト部材6の揺動制御が行われ、ブーム5の起伏の如何に拘らず垂直ポスト部材6が常に垂直に延びて位置するように垂直ポスト部材6が揺動制御される。このように常時垂直に保持される垂直ポスト部材6に、図示しない首振モータにより水平旋回自在(首振り自在)に作業台7が取り付けられており、作業台7はブーム5の起伏に拘らず常に水平に保持される。
【0015】
また、作業台7にはブーム5を作動(起伏、伸縮動)させ、旋回台4を旋回動させるための操作と、作業台7を旋回動させる操作を行うための上部操作装置11が配設されており、作業台7に搭乗する作業者は上部操作装置11の操作レバーを操作することによってブーム5を自由に起伏動、伸縮動させ、旋回台4を旋回動させ、さらには、作業台7を旋回動させて、作業台7を所望もしくは任意の高所位置に移動させることができるように構成されている。
【0016】
車体2の前後左右の4箇所には、車体2の左右方向外側への拡幅および車体2の下方に伸縮自在なジャッキ8,8´,…が設けられている。これらジャッキ8等は、車体2の前部の左右に設けられた左前ジャッキ8および図1では図示しない右前ジャッキ9からなる一対の前ジャッキと、車体2の後部の左右に設けられた左後ジャッキ8´および右後ジャッキ9′からなる一対の後ジャッキとで構成されている。そして高所作業を行うときには、ジャッキ8等を車体2の左右に拡幅および下方に張出伸長させて車体2を安定に持ち上げ支持できるようになっている。ジャッキ8等は、車体2の後部に備えられた下部操作装置12におけるジャッキ操作レバーを操作することで上記のような作動をさせることができるようになっている。また、車体2の中央部には上方に突出し、全縮状態に倒伏したブーム5の下面に当接してブーム5を格納支持するブーム受け10が配設されている。
【0017】
図2に示すように、本発明に係る制御装置60は、上述した上部操作装置11や下部操作装置12のほか、上部操作装置11や下部操作装置12の操作レバー等を操作したときに、これら操作装置11,12から出力される操作信号を受けて油圧ユニット40等に制御信号を出力し、ブーム5、作業台7およびジャッキ8の作動を制御するコントローラ30と、コントローラ30からの制御信号に基いて起伏シリンダ52等への作動油の給排制御をする油圧ユニット40とを有している。
【0018】
上部操作装置11におけるブーム操作レバー11aは、作業台10の上方に突出して水平方向に揺動自在および回動自在であり、この作業台7に搭乗した作業者がこの操作レバーを操作することで、ブーム5の伸縮、旋回、及び起伏動を行わせる操作信号を、コントローラ30に出力させることが可能となっている。また、上部操作装置11における首振操作レバーは水平方向に回動自在であり、この操作レバーを操作することで、作業台7の首振動(旋回動)を行わせる操作信号を、コントローラ30に出力させることができるようになっている。
【0019】
一方、下部操作装置12におけるジャッキ操作レバー12aは、車体2の後端部において上方に突出して前後方向に揺動自在であり、このレバーを中立状態から前方へ倒すとジャッキ8等が格納作動する操作信号をコントローラ30に出力し、このレバーを中立状態から後方へ倒すとジャッキ8等が伸長作動する操作信号をコントローラ30に出力し、さらに、上下いずれかに倒れているレバーを中立状態に戻すと、コントローラ30への操作信号の出力が停止する。
【0020】
また、制御装置60は上述した上部操作装置11および下部操作装置12のほかに、ブーム格納検出器21、ジャッキの接地を検出する接地検出器22,22´,23,23´、旋回台4の旋回角度(すなわちブーム5の旋回角度)を検出する旋回角検出器24、ブーム5の起伏角度を検出する起伏角検出器25、ブーム5の長さ(伸長量)を検出する伸長量検出器26(以下、旋回角検出器24、起伏角検出器25、伸長量検出器26、とを合わせて「ブーム状態検出器27」という。)および作業台7のブーム5の軸線に対する首振角(旋回角)を検出する首振角検出器28を有して構成されている。
【0021】
ブーム格納検出器21は、例えばブーム受け10に設けられオンオフ信号を出力可能なリミットスイッチからなり、ブーム5がブーム受け10に載置されている状態のときには、ブーム5の下面に押圧されることによりリミットスイッチが作動してオン信号としての検出信号をコントローラ30に向けて出力する。
【0022】
また、接地検出器22,22´,…は、車体2に設けられた4本全てのジャッキ8,8´,に各々設けられており、ジャッキ8が張出伸長して車体2を安定支持したときに地面から受ける接地反力を検出し、オン信号としての検出信号をコントローラ30に出力する。なお、ここでは、左前ジャッキ8に設けられた接地検出器を左前接地検出器22と称し、左後ジャッキ8´に設けられた接地検出器を左後接地検出器22´と称し、右前ジャッキ9に設けられた接地検出器を右前接地検出器23と称し、さらに、右後ジャッキ9´に設けられた接地検出器を右後接地検出器23´と称する。
【0023】
コントローラ30は、ブーム操作レバー11aの操作による操作信号の入力に基いてブーム5の作動を制御するブーム作動制御回路31と、ジャッキ操作レバー12aの操作による操作信号の入力に基いてジャッキ8等の作動を制御するジャッキ作動制御回路32とを有している。また、このコントローラ30は、ブーム5及びジャッキ8等とが同時作動しないように、たとえジャッキ操作レバー12aの操作による操作信号が入力されてもジャッキ8等の作動を制御する制御信号がジャッキ作動制御回路32から出力されるのを規制するインターロック制御回路33とを有している。
【0024】
さらに、コントローラ30は、4箇所の接地検出器22,22´,23,23´からの検出信号(オン信号)に基いて4箇所のジャッキ8,8´,9,9´のうち何れのジャッキが未接地であるか(4箇所の接地検出器のうちオフ信号を出力しているのはどれか)を判定する接地状況判定回路34と、ブーム5の起伏動、伸長動、旋回動(旋回台4の旋回動)の作動可能な領域を作業範囲として、これを予め設定して記憶させた作業範囲記憶回路35と、当該作業範囲の中から未接地のジャッキに応じてブーム5の作動を規制する作動規制領域を設定する作動規制領域設定回路36と、ブーム状態検出器27により出力されたブーム5先端部の位置情報と作動規制領域設定回路36により設定された作動規制領域とを比較して、ブーム5の作動規制についての判定を行う作動規制判定回路37と、作動規制判定回路37による判定に基いてブーム5の所定の方向への作動を規制するブーム作動規制回路38とを有している。
【0025】
そして、以上のように構成された旋回台4を旋回動させる旋回モータ51、ブーム5を起伏動させる起伏シリンダ52、ブーム5を伸縮動させる伸縮シリンダ53(旋回モータ51、起伏シリンダ52および伸縮シリンダ53を合わせて「ブームアクチュエータ54」という)およびジャッキ8等を伸縮動させるジャッキアクチュエータ55、作業台7を首振動(旋回動)させる首振モータ56の作動は、車体2に配設された図示しないエンジンの駆動力を伝達させることで駆動可能な油圧ポンプPから吐出する作動油の給排制御をすることで行われる。この給排制御は、油圧ユニット40内に設けられてそれぞれのシリンダ等に対応する旋回制御バルブ41、起伏制御バルブ42、伸縮制御バルブ43、ジャッキアクチュエータ制御バルブ44および首振制御バルブ45のバルブ開度を制御することで行われる。
【0026】
ここで、上記のように構成された制御装置60を装備した高所作業車1におけるブーム5の作動制御について図3を用いて説明する。
【0027】
図中に示す線Kは、ブーム5の旋回位置(旋回角度)ごとに定められ、車体2の安定性が確保される許容作業半径をブーム5の全旋回位置に亘って示した包絡線であり、線Kで囲まれる領域はブーム5の作業範囲を示している。この図から分かるように、許容作業半径は車体2の前後領域において大きく、側方領域において小さくなっている。これは、ジャッキ8等の前後間隔が左右間隔よりも大きく設定されている関係上、ブーム5の起伏角度と長さが同じである(転倒モーメントが同じである)場合には、ブーム5が車体2の前後領域に位置している場合の方が、ブーム5が車体2の側方領域に位置している場合よりも車体2の安定性が確保されるからである。
【0028】
また、上記コントローラ30内の作業範囲記憶回路35には、ジャッキ8等の未接地箇所に応じてブーム作動規制領域として設定される複数の領域が予め記憶されている。図3に示すように、この複数の領域は、線Kで囲まれたブーム5の作業範囲をブーム5の旋回角度θに応じて分割したもので構成され、作業範囲A1、作業範囲A2、作業範囲A3および作業範囲A4の4つの作業範囲からなっている。ここで、旋回角度θとは、旋回台4の旋回中心Oを通り車両の前後方向に延びる中心軸線Jを旋回角度ゼロとしてブーム5を時計方向及び反時計方向に旋回動させたときのブーム5と中心軸線Jとのなす角度+θ、−θを意味する。
【0029】
上記4つの作業範囲を定めるために設定されるブーム5の旋回角度θは、中心軸線Jと旋回台4の旋回中心Oから各ジャッキ8等に延びる線とのなす角度を基準に設定されている。すなわち、中心軸線Jと右前ジャッキ9に延びる線とのなす角度である30°、中心軸線Jと右後ジャッキ9´に延びる線とのなす角度である120°、中心軸線Jと左前ジャッキ8に延びる線とのなす角度である−30°、さらに、中心軸線Jと左後ジャッキ8´に延びる線とのなす角度である−120°を基準に、4つの作業範囲が設定されている。なお、4つの作業範囲を設定するための基準となる旋回角度θは、ジャッキの張出量や高所作業車の車種によっては、上記とは異なる角度になる。
【0030】
ここで、作業範囲A1はブーム5の旋回角度θが時計方向に30°から120°における作業範囲であり、作業範囲A2はブーム5の旋回角度θが時計方向に120°から−120°における作業範囲である。また、作業範囲A3はブーム5の旋回角度θが時計方向に−30°から−120°における作業範囲であり、さらに、作業範囲A4はブーム5の旋回角度θが時計方向に−30°から30°における作業範囲である。
【0031】
上記のように4つの作業範囲が設定された高所作業車1において、ブーム5の作動中であってブーム5の未格納状態がブーム格納検出器21により検出されているときに、例えば、4箇所設けられているジャッキ8,8´,9,9´のうち、右後ジャッキ9´の未接地が右後接地検出器23´により検出されて検出信号がコントローラ30に出力されると、コントローラ30の接地状況判定回路34は、4箇所のジャッキ8等のうち右後ジャッキ9´が未接地であることを判断する。
【0032】
接地状況判定回路34によるジャッキ9の未接地の判断に基いて、作動規制領域設定回路36は作業範囲記憶回路35に記憶された上記4つの作業範囲A1〜A4のうち2つを読み込んでこれをブーム5の作動規制領域として設定する。作動規制領域として読み込まれる作業範囲は、右前ジャッキ9が未接地ならば、右前ジャッキ9を含み互いに隣接する作業範囲である作業範囲A1および作業範囲A4、右後ジャッキ9´が未接地ならば右後ジャッキ9´を含み互いに隣接する作業範囲である作業範囲A1および作業範囲A2、左前ジャッキ8が未接地ならば左前ジャッキ8を含み互いに隣接する作業範囲である作業範囲A3および作業範囲A4、そして左後ジャッキ8´が未接地ならば左後ジャッキ8´を含み互いに隣接する作業範囲である作業範囲A2および作業範囲A3となっている。ここでは、右後ジャッキ9´の未接地が検出されているため、右後ジャッキ9´を含み互いに隣接する作業範囲A1および作業範囲A2(旋回角度θは30°から時計方向に−120°までの範囲)が読み込まれて設定される。
【0033】
そして、作動規制判定回路37により、ブーム5の先端部(作業台7)の位置に応じた、ブーム5の作動規制についての判定が行われる。具体的には、旋回角検出器24、起伏角検出器25および伸長量検出器26による検出に基いてブーム5先端の位置(作業台7の位置)を算出し、この算出された位置に応じてブーム5の作動規制をどのように行うかが判定される。
【0034】
ここで、右後ジャッキ9´の未接地が検出されたときに、ブーム5の先端部(作業台7)が例えば図3において点Pで示すように、作動規制領域として設定された作業範囲A1および作業範囲A2の領域外の位置に位置している場合には、ブーム5の先端部(作業台7)が当該作動規制領域として設定された作業範囲A1および作業範囲A2の領域内に移動するようなブーム5の旋回動が規制される。これは、未接地である右後ジャッキ9´が接地したときに右後ジャッキ9´が受ける接地反力が増加する方向へのブーム5の旋回動を規制して、未接地である右後ジャッキ9´の側に車体2を転倒させようとする転倒モーメントが増加するのを抑えるためである。
【0035】
具体的には、ブーム5が時計方向に旋回している場合には、ブーム5の旋回角θが30°に達したときにブーム5の作動が停止し、ブーム5が反時計方向に旋回している場合には、ブーム5の旋回角θが−120°に達したときにブーム5の作動が停止する。このとき、ブーム5の先端部(作業台7)が作業範囲A1および作業範囲A2の領域内に移動しなければ、すなわち、ブーム5の先端部(作業台7)が作業範囲A3および作業範囲A4内を移動している限り、線Kで囲まれる作業範囲内であればブーム5の作動は許容されるため、上記のようにブーム5の作動が停止した場合にブーム5を反転させることは可能である。
【0036】
なお、ブーム5の旋回動の規制は、ブーム5を旋回動させるための制御バルブ41への作動制御信号の出力をブーム作動規制回路38が規制することにより行われ、ブーム5の起伏動の規制は、ブーム5を起伏動させるための制御バルブ42への作動制御信号の出力をブーム作動規制回路38が規制することにより行われ、さらにブーム5の伸縮動の規制は、ブーム5を伸縮動させるための制御バルブ43への作動制御信号の出力をブーム作動規制回路38が規制することにより行われる。
【0037】
また、ブーム5の先端部(作業台7)が当該作動規制領域として設定された作業範囲A1および作業範囲A2に向けて移動している途中で、未接地状態にあった右後ジャッキ9´の接地が右後接地検出器23´により検出された場合には、作動規制領域設定回路36による作業範囲A1および作業範囲A2を作動規制領域とする設定が解除され、ブーム5先端部(作業台7)が作業範囲A1および作業範囲A2内に移動することが可能になる。
【0038】
一方、右後ジャッキ9´の未接地が検出されたときに、ブーム5の先端部(作業台7)が例えば図3において点Qで示すように、作動規制領域として設定された作業範囲A1の領域内に位置している場合には、未接地のジャッキである右後ジャッキ9´が接地したときに右後ジャッキ9´が受ける接地反力が増加する方向へのブーム5の旋回動が規制される。具体的には、ブーム5の時計方向への旋回動、すなわちブーム5の先端部(作業台7)が点Qから矢印A方向に旋回する旋回動が規制され、作業範囲を越えない限りは反時計方向への旋回動、すなわちブーム5の先端部(作業台7)が点Qから矢印B方向に旋回する旋回動は許容される。このように点Qから矢印A方向に旋回する旋回動を規制するのは、未接地である右後ジャッキ9´の側に車体2を転倒させようとする転倒モーメントが増加するのを抑えるためである。
【0039】
そして、上記のようにブーム5の所定の方向への旋回動が規制される上で、作業範囲A1および作業範囲A2の域内におけるブーム5の作業半径が増加する方向へのブーム5の作動が規制される。すなわち、作業範囲A1および作業範囲A2内において、ブーム5の伸長動および倒伏動が規制される。このように、ブーム5の作業半径をも規制するのは、未接地である右後ジャッキ9´の側に車体2を転倒させようとする転倒モーメントが増加するのを抑えるためである。なお、ブーム5の旋回動、倒伏動、伸長動の規制は、ブーム5を作動させるための制御バルブ41,42,43への作動制御信号の出力をブーム作動規制回路38が規制することにより行われる。
【0040】
図3に示すような先端が点Qの位置に位置するブーム5が作動規制領域である作業範囲A1および作業範囲A2の域内から抜け出るには、ブーム5を反時計方向、すなわち矢印B方向に旋回動させる。このとき作動規制領域の域内であってもブーム5の起仰動および収縮動は規制されないため、旋回動のほか、起仰動および収縮動を行うようにしてもよい。このようにして、作動規制領域の域内から抜け出たブーム5は、作動規制領域である作業範囲A1および作業範囲A2の域内に入るような旋回動は規制されるが、それ以外の作動(倒伏動、伸長動)の規制は解除されることになる。
【0041】
また、右後ジャッキ9´の未接地が検出されたときに、ブーム5の先端部(作業台7)が例えば図3において点Rで示すように、作動規制領域として設定された作業範囲A2の領域内に位置している場合には、未接地のジャッキである右後ジャッキ9´が接地したときに右後ジャッキ9´が受ける接地反力が増加する方向へのブーム5の旋回動が規制される。具体的には、ブーム5の反時計方向への旋回動、すなわちブーム5の先端部(作業台7)が点Rから矢印C方向に旋回する旋回動が規制され、作業範囲を越えない限りは時計方向への旋回動、すなわちブーム5の先端部(作業台7)が点Rから矢印D方向に旋回する旋回動は許容される。これは、上記のようにブーム5の先端部(作業台7)が点Qの位置に位置している場合と同様に、未接地である右後ジャッキ9´の側に車体2を転倒させようとする転倒モーメントが増加するのを抑えるためである。
【0042】
また、上記のようにブーム5の所定の方向への旋回動が規制される上で、作業範囲A1および作業範囲A2の域内におけるブーム5の作業半径が増加する方向へのブーム5の作動が規制される。すなわち、作業範囲A1および作業範囲A2内において、ブーム5の伸長動および倒伏動が規制される。このように、ブーム5の作業半径をも規制するのは、未接地である右後ジャッキ9´の側に車体2を転倒させようとする転倒モーメントが増加するのを抑えるためである。なお、ブーム5の旋回動、倒伏動、伸長動の規制は、ブーム5を作動させるための制御バルブ41,42,43への作動制御信号の出力をブーム作動規制回路38が規制することにより行われる。
【0043】
図3に示すような先端が点Rの位置に位置するブーム5が作動規制領域である作業範囲A2の域内から抜け出るには、ブーム5を時計方向、すなわち矢印D方向に旋回動させる。このとき作動規制領域の域内であってもブーム5の起仰動および収縮動は規制されないため、旋回動のほか、起仰動および収縮動を行うようにしてもよい。このようにして、作動規制領域の域内から抜け出たブーム5は、作動規制領域である作業範囲A1および作業範囲A2の域内に入るような旋回動は規制されるが、それ以外の作動(倒伏動、伸長動)の規制は解除されることになる。
【0044】
なお、右後ジャッキ9´の未接地が検出されたときに、ブーム5の旋回角度θが例えば時計方向に90°から180°になるような位置にブーム5の先端部(作業台7)が位置しているような場合には、ブーム5が時計方向および反時計方向のうちのいずれに旋回動しても、右後ジャッキ9´が接地したときに右後ジャッキ9´が受ける接地反力が増加する場合がある。このため、右後ジャッキ9´の未接地が検出されたときに、ブーム5の先端が上記のような位置(θが時計方向に90°〜180°)に位置している場合には、ブーム5の時計方向への旋回動および反時計方向への旋回動をいずれも規制するようにしてもよい。
【0045】
また、上記のようにブーム5の先端部(作業台7)の位置を検出して、これに基づくブーム5の作動の規制を行うほか、作業台7のブーム5の軸線に対する首振角(旋回角)を首振角検出器28により検出して、作業台7の所定方向への旋回動を規制する場合もある。例えば、右後ジャッキ9´の未接地が検出されたときに、ブーム5の先端部(作業台7)が図3において点Qで示す位置(作業範囲A1の領域内)に位置している場合には、未接地のジャッキである右後ジャッキ9´が接地したときに右後ジャッキ9´が受ける接地反力が増加する方向への作業台7の旋回動が規制される。具体的には、ブーム5の先端部が点Qから矢印A方向に旋回する旋回動が規制される上で、作業台7の平面視時計方向への旋回動が規制される。
【0046】
上記のほか、ブーム5の先端部に水平旋回自在なアームが取り付けられ、当該アームの先端に作業台7が旋回動自在に取り付けられているような高所作業車の場合には、ブーム5および作業台7の旋回動が規制される上で、右後ジャッキ9´が受ける接地反力が増加する方向へのアームの旋回動が規制される。すなわち、ブーム5の先端部が点Qから矢印A方向に旋回する旋回動や作業台7の平面視時計方向への旋回動が規制されるほか、上記アームが平面視時計方向へ水平旋回するのが規制されることになる。
【0047】
さらに、ブーム5の先端に全方向(360°)に旋回可能な大型の作業台が取り付けられているようなタイプの高所作業車の場合には、当該作業台上に作業者や工具等が作業台の略中央部に対してブーム側の位置に載っているか、あるいはブーム側とは反対側に載っているかの検出にも基いて当該作業台の旋回動が規制される。具体的には、作業台7の略中央部(ここでは点Qとする)に対して作業者等がブーム5の側に載っていることが検出された場合には、作業台7の平面視反時計方向への旋回動が規制され、一方、作業台7の略中央部に対して作業者等がブーム5とは反対の側に載っていることが検出された場合には、作業台7の平面視時計方向への旋回動が規制される。
【0048】
以上、作動規制領域設定回路36により、ブーム5の作動を規制するための作動規制領域として、作業範囲A1および作業範囲A2が設定された場合を例に説明したが、右後ジャッキ9´以外のジャッキの未接地が検出された場合におけるブーム5の作動規制も上記と同様に行われる。例えば、右前ジャッキ9の未接地が検出された場合には、作動規制領域として右前ジャッキ9を含み互いに隣接する作業範囲A1および作業範囲A4が設定されてこの作業範囲A1および作業範囲A4を基準にブーム5の作動規制がなされ、左前ジャッキ8の未接地が検出された場合には、作動規制領域として左前ジャッキ8を含み互いに隣接する作業範囲A3および作業範囲A4が設定されて、この作業範囲A3および作業範囲A4を基準にブーム5の作動規制がなされることになる。
【0049】
さらに、ジャッキ8等の未接地が、上記のようにジャッキ8,8´,9,9´のうちの一箇所だけではなく、2箇所以上のジャッキ8等が未接地であることが検出された場合には、作業範囲A1〜A4のうち未接地が検出された全ての箇所に応じた作業範囲が作動規制領域設定回路36により作動規制領域として設定された上で、これらの作動規制領域におけるブーム5の作動規制が行われる。
【0050】
例えば、右前ジャッキ9,右後ジャッキ9´がいずれも未接地であることが検出された場合には、右前ジャッキ9を含み互いに隣接する作業範囲A1および作業範囲A4が設定され、さらに、右後ジャッキ9´を含み互いに隣接する作業範囲A1および作業範囲A2が設定される。すなわち、作業範囲A1、作業範囲A2および作業範囲A4がいずれも作動規制領域として設定される。そして、ブーム5の先端(作業台7)が作業範囲A1、作業範囲A2および作業範囲A4の領域外の位置に位置している場合、すなわち、ブーム5の先端が作業範囲A3の域内に位置している場合には、ブーム5の先端部(作業台7)が作業範囲A2および作業範囲A4の領域内に入るような(当然に作業範囲A1の領域内に入るような)ブーム5の旋回動が規制される。
【0051】
一方、ブーム5の先端が作業範囲A1、作業範囲A2および作業範囲A4のうちのいずれかに位置している場合、すなわち、ブーム5の先端が作業範囲A3の領域外に位置している場合においては、未接地であるジャッキ9もしくはジャッキ9´が接地したときにジャッキ9もしくはジャッキ9´が受ける接地反力が増加する方向へのブーム5の旋回動が規制される。さらに、作業範囲A1、作業範囲A2および作業範囲A4の領域内におけるブーム5の倒伏動および伸長動が規制される。
【0052】
ここで、本発明において達成される効果をまとめると下記のようになる。すなわち、ブームの未格納時(ブームが作動している高所作業時)においては、未接地のジャッキが生じたときにこれを特定し、未接地箇所に応じて設定されたブーム作動規制領域へのブームの作動、もしくはブーム作動規制領域内における車体の安定性が低下するようなブームの作動が規制される。このため、従来からあるインターロック制御に加えて、ブームの未格納時にジャッキの一部が未接地になるような状態が生じた場合に、未接地のジャッキの側に車体を転倒させようとする転倒モーメントを抑えるように、すなわち、未接地のジャッキの側に車体を転倒させないようにブームの作動が制御され、ジャッキの一部が未接地であっても高所作業の安全性を確保することができる。このように、従来のインターロック制御に加えて本発明に係るブームの作動制御により、特にブームの作動時において高所作業の安全性を低下させないようにすることが可能となっている。
【0053】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、接地検出器により未接地のジャッキが検出された場合であっても、ブームの状態が特に車体の安定性を損なうものでなければ、ブームの作動規制を行わせないようにしてもよい。すなわち、ブームの起伏角が所定以上であって、ブームの伸長量が所定以下であるような場合には、ブーム先端が作動規制領域内に移動するような場合であってもこれを許容し、作動規制領域内におけるブームの倒伏動および伸長動を許容するような制御を行ってもよい。
【0054】
また、未接地のジャッキの発生によるブームの作動規制領域への作動の規制および作動規制領域内における所定の作動の規制と、線Kで囲まれるブームの作業範囲を越えるようなブームの作動の規制とをコントローラ30から出力される報知信号により、両者を区別した状態で作業者に報知するようにしてもよい。具体的には、車体に設けられた液晶表示装置等にジャッキの未接地によるブームの作動規制と作業範囲の逸脱によるブームの作動規制とを区別して表示したり、車体に設けられたスピーカから上記2つの作動規制が区別できるように放音させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る制御装置を備える高所作業車の斜視図である。
【図2】本発明に係る高所作業車の制御装置における制御を示すブロック図である。
【図3】上記高所作業車に設けられたブームの上記制御装置による作動規制を説明するための高所作業車周辺の平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 高所作業車
2 車体
5 ブーム
5a 基端ブーム(ブーム)
5b 中間ブーム(ブーム)
5c 先端ブーム(ブーム)
7 作業台
8 左前ジャッキ
8´ 左後ジャッキ
9 右前ジャッキ
9´ 右後ジャッキ
11 上部操作装置
12 下部操作装置
22 左前接地検出器(ジャッキ接地検出手段)
22´ 左後接地検出器(ジャッキ接地検出手段)
23 右前接地検出器(ジャッキ接地検出手段)
23´ 右後接地検出器(ジャッキ接地検出手段)
24 旋回角検出器(ブーム旋回角検出手段、ブーム状態検出手段)
25 起伏角検出器(起伏角検出手段、ブーム状態検出手段)
26 伸長量検出器(伸長量検出手段、ブーム状態検出手段)
30 コントローラ
31 ブーム作動制御回路
32 ジャッキ作動制御回路
33 インターロック制御回路
34 接地状況判定回路(接地状況判定手段)
35 作業範囲記憶回路
36 作動規制領域設定回路
37 作動規制判定回路
38 ブーム作動規制回路(ブーム作動規制手段)
60 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体上に旋回、起伏、伸縮動自在に取り付けられたブームと、前記車体の前後左右に配設され前記車体を支持する複数のジャッキとを有する高所作業車の制御装置であって、
前記複数のジャッキに各々設けられ前記ジャッキの接地を検出するジャッキ接地検出手段と、
前記ジャッキ接地検出手段による検出情報に基いて前記ジャッキの未接地箇所を判定する接地状況判定手段と、
前記接地状況判定手段により前記複数のジャッキのうち少なくとも1本の前記ジャッキの未接地箇所が判定された場合に、前記未接地箇所に応じて前記ブームの所定の作動を規制するブーム作動規制手段とを有することを特徴とする高所作業車の制御装置。
【請求項2】
前記ブームの先端に取り付けられた作業台と、
前記ブームの作動状態を検出するブーム状態検出手段とを有し、
前記ブーム作動規制手段が、前記ブーム状態検出手段により前記ブームの先端又は前記作業台が前記ジャッキの前記未接地箇所に応じて設定される所定の作動規制領域の域外に位置していると検出された場合に、前記ブームの先端又は前記作業台が前記所定の作動規制領域内へ移動するような前記ブームの作動を規制し、
前記ブーム状態検出手段により前記ブームの先端又は前記作業台が前記所定の作動規制領域の域内に位置していると検出された場合に、前記ブームの前記所定の作動規制領域内における前記車体の安定性を低下させる方向への作動を規制する請求項1に記載の高所作業車の制御装置。
【請求項3】
前記ブーム状態検出手段が前記ブームの旋回角度を検出するブーム旋回角検出手段を有して構成され、
前記ブーム作動規制手段が、前記ブーム旋回角検出手段により前記作業台が前記所定の作動規制領域の域外に位置していると検出された場合に、前記作業台が前記所定の作動規制領域内へ移動するような前記ブームの旋回動を規制し、
前記ブーム旋回角検出手段により前記作業台が前記所定の作動規制領域の域内に位置していると検出された場合に、未接地の前記ジャッキが接地したときに前記未接地のジャッキが受ける接地反力が増加する方向への前記ブームの旋回動を規制する請求項2に記載の高所作業車の制御装置。
【請求項4】
前記ブーム状態検出手段が前記ブームの起伏角度を検出する起伏角検出手段と前記ブームの伸長量を検出する伸長量検出手段とを有して構成され、
前記ブーム状態検出手段により前記作業台が前記所定の作動規制領域の域外に位置していると検出された場合に、前記起伏角検出手段および前記伸長量検出手段による検出に基いて前記車体の安定性が確保される作業半径を越える方向への前記ブームの作動を規制し、
前記ブーム状態検出手段により前記作業台が前記所定の作動規制領域の域内に位置していると検出された場合に、前記起伏角検出手段および前記伸長量検出手段による検出に基いて前記ブームの作業半径が増加する方向への前記ブームの作動を規制することを特徴とする請求項2もしくは3に記載の高所作業車の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−160392(P2006−160392A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350606(P2004−350606)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】