説明

高湿分ガスタービンプラント及びその制御方法

【課題】非定格負荷運転時における出力及び効率に優れた高湿分ガスタービンプラント及びその制御方法を提供する。
【解決手段】タービン1と、圧縮機3と、圧縮空気を加湿する増湿塔4と、燃焼ガスの排気で加湿空気を加熱する再生熱交換器5と、加熱された空気と燃料を燃焼して燃焼ガスを発生する燃焼器6と、燃焼空気の流量を調節する圧縮機入口案内翼8と、圧縮機出口圧力検出器9と、排気温度検出器10と、増湿塔4への供給量を検出する給水量検出器11と、部分負荷運転時の排気温度の設定値を圧縮機3の出口圧力で規定する関数30を用いて、圧縮機出口圧力検出器9で検出された出口圧力、及び給水量検出器11で検出された給水量から排気温度の設定値を算出し、排気温度が算出した設定値に近づくように圧縮機入口案内翼8の開度を調節する制御装置12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿分を含む空気と燃料を燃焼させて得た燃焼ガスによって駆動されるタービンを有する高湿分ガスタービンプラント及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる高湿分ガスタービンとは、増湿塔等の加湿装置で燃焼用の空気に多量の湿分を加えた後に、再生熱交換器でタービンを駆動した燃焼ガスの排気を利用して加熱し、こうして得た空気を燃料と共に燃焼させてタービンを駆動するものであり、単独でコンバインドサイクルと同等、若しくはそれ以上の出力及び効率を得ることができる。
【0003】
こうした高湿分ガスタービンも含めて、ガスタービンの出力及び効率を向上させるためには、燃焼室における燃焼の状況(例えば、負荷変動や、燃焼対象の性状(空気への加湿量等)等)に応じて燃焼ガスの温度を最適に制御することが求められる。また、ガスタービンの出力は燃焼ガス温度を高くするほど上昇するが、燃焼ガスに晒される部材(例えば、燃焼器、タービン等)を熱から保護する観点から燃焼ガスの温度には上限値が決められている。したがって、燃焼ガス温度の制御には、その上限値を超えないようにして出力及び効率を可能な限り向上させることが要求される。
【0004】
ところで、燃焼ガス温度を制御する際にはその温度を直接測定することは一般的に行われない。燃焼ガス温度を直接測定しようとしても、測定位置によって温度が大きくばらつき、その平均温度を測定することは困難だからである。したがって、検出器等で検出した圧縮機の出口圧力と燃焼ガスの排気温度等を基に燃焼ガス温度を間接的に求め、この間接的に求めた燃焼ガス温度が許容値を超えないように出力を制御する方法がとられている。そして、高湿分タービンのように燃焼用空気に水を加え、これを燃料とともに燃焼させて燃焼ガスを得る場合には、燃焼用空気への加湿量も考慮する必要があり、その制御方法は水を加えない場合と比較して複雑になる。
【0005】
燃焼用空気に噴霧した水量に応じた制御を行う方法には、高湿分ガスタービンでの適用例ではないが、圧縮機の出口圧力によって燃焼ガスの排気温度の設定値を規定する関数に対して、空気に噴霧した水量を検出する水量検出器の検出値に応じた補正を施し、この補正した関数によって求めた設定値にタービン稼働時の排気温度が保持されるように燃料の量を調節して燃焼ガス温度の間接的な制御を図った技術がある(特許文献1等参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−286537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の技術は、一般的なガスタービンの定格負荷運転時における燃焼ガス温度の間接的な制御方法であり、高湿分ガスタービン起動後の負荷上昇時や部分負荷運転時等のいわゆる非定格負荷運転時に利用すると次のような不都合が生じる。
【0008】
部分負荷運転時に何らかの要因(例えば、増湿塔の故障等)で空気中の湿分量が低下した場合には潜熱の減少によって排気温度が上昇するが、この場合に上記技術を利用すると、排気温度上昇の対処策として燃料供給量の調節による排気温度制御しか行うことができない。したがって、湿分低下に伴う排気温度上昇を抑制するために燃料供給量を低減させる制御が働いてタービンの出力が低下する場合がある。また、燃料供給量だけで排気温度を制御した結果、排気温度が低下した場合には、再生熱交換器の加熱力が低減してしまい、燃焼器に導入される空気の温度が低下して燃料の使用量が増加する場合がある。このように、高湿分ガスタービンの部分負荷運転時に上記技術を利用すると、プラントの効率が低下してしまう。これは一般的なタービンと比較して部分負荷運転時の効率が良いという高湿分ガスタービンの特長を損なうことになる。
【0009】
また、高湿分ガスタービンプラントで燃焼空気の加湿に用いる増湿塔は、流下する水と空気全体を直接接触させて飽和状態まで一気に加湿するものであり、上記の技術のように噴霧して水を添加する場合と比較して大量の加湿を行う点で加湿方法が著しく異なる。そのため、燃焼ガス温度の制御方法も異なり、同様の制御方法をそのまま適用することもできない。
【0010】
本発明の目的は、非定格負荷運転時における出力及び効率に優れた高湿分ガスタービンプラント及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、燃焼ガスによって駆動されるタービンと、燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、前記圧縮機に導入される燃焼用の空気の流量を調節する圧縮機入口案内翼と、前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器と、前記増湿塔へ供給される水の量を検出する給水量検出器と、前記増湿塔への給水量に応じて補正される関数であって、ガスタービンの部分負荷運転時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記給水量検出器によって検出された給水量から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記圧縮機入口案内翼の開度を調節する制御装置とを備えるものとする。
【0012】
(2)また、本発明は、上記目的を達成するために、燃焼ガスによって駆動されるタービンと、燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、この燃焼器へ導入される燃料の量を調節する燃料調節弁と、前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器と、前記増湿塔の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記増湿塔への給水量から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節する制御装置とを備えるものとする。
【0013】
(3)上記(1)は、好ましくは、前記燃焼器へ導入される燃料の量を調節する燃料調節弁を備え、前記制御装置は、前記増湿塔の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記増湿塔への給水量から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節するものとする。
【0014】
(4)上記(2)又は(3)は、好ましくは、前記ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための関数は、前記増湿塔を起動させる前に利用する起動前用の関数、及び前記増湿塔を起動させた後に利用する起動後用の関数であり、前記制御装置は、前記起動前用の関数及び前記起動後用の関数を前記増湿塔の稼働状態に応じて選択して用いて前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節するものとする。
【0015】
(5)上記(1)から(4)いずれかは、好ましくは、前記圧縮機の空気流通方向上流側に設けられ、前記圧縮機に導入される燃焼用の空気に水を噴霧する吸気噴霧器を備えているものとする。
【0016】
(6)本発明は、燃焼ガスによって駆動されるタービンと、燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、前記圧縮機に導入される燃焼用の空気の流量を調節する圧縮機入口案内翼と、前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器と、前記増湿塔へ供給される水の量を検出する給水量検出器とを備え、前記増湿塔への給水量に応じて補正される関数であって、ガスタービンの部分負荷運転時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記給水量検出器によって検出された給水量から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記圧縮機入口案内翼の開度を調節するものとする。
【0017】
(7)また、本発明は、燃焼ガスによって駆動されるタービンと、燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、この燃焼器へ導入される燃料の量を調節する燃料調節弁と、前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器とを備え、前記増湿塔の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記増湿塔への給水量から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節するものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高湿分ガスタービンプラントにおける非定格負荷運転時の燃焼ガス温度を状況に応じて適切に制御することができるので、非定格負荷運転時の出力及び効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの系統図である。
図に示す高湿分ガスタービンプラントは、燃焼ガスによって駆動されるタービン1と、吸入した燃焼用の空気に水を噴霧する吸気噴霧器2と、吸気噴霧器2から空気流通方向下流側に設けられ、水を噴霧された燃焼用空気を圧縮する圧縮機3と、圧縮機3によって圧縮された空気を加湿する増湿塔4と、燃焼ガスの排気の流通経路に設けられ、増湿塔4によって加湿された空気をタービン1を駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器5と、再生熱交換器5によって加熱された空気と燃料を燃焼して、タービン1を駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器6と、燃焼器6へ導入される燃料の量を開度によって調節する燃料調節弁7と、吸気噴霧器2から空気流通方向上流側に設けられ、圧縮機3に導入される燃焼用の空気の流量を開度によって調節する圧縮機入口案内翼8と、圧縮機3の出口側に設けられ、圧縮機3の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器9と、タービン1を駆動させた燃焼ガスの排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器10と、増湿塔4へ供給される水の流通経路に設けられ、増湿塔4へ供給される水の量を検出する給水量検出器11と、燃焼器6における燃焼の状況に応じて燃焼ガスの排気温度の設定値を設定し、その設定値に応じて排気温度を制御する制御装置12とを主に備えている。
【0021】
タービン1の回転軸(ロータ)は発電機13と接続されており、燃焼ガスによって回転駆動されるタービン1によって発電機13は電気を発生している。なお、図に示すように、本実施の形態ではタービン1、圧縮機3、及び発電機13は同一軸線上に配置されているが、これら3者の配置はこれに限られない。例えば、タービン1の駆動力によって発電機13で発電するという観点からは、タービン1及び発電機13の軸線上とは異なる場所に圧縮機3を配置しても良い。
【0022】
吸気噴霧器2は、圧縮機入口案内翼8を介して導入された燃焼用空気に水を噴霧している。噴霧する水の供給源は特に図示していないが、例えば、プラント内を流通する水分を回収する水回収装置18(後述)と接続し、ここから水を供給するように構成しても良い。空気に噴霧された水はその際に一部が蒸発して空気の熱を奪うので空気を冷却する。冷却された空気は、密度が増加して圧縮機3へ流入する際の重量流量を増加させるので、タービン出力を増加させる。また、圧縮機3内では圧縮による温度上昇で空気中の水分が更に蒸発するので、圧縮機3の出口における圧縮空気の温度を低く抑えることができる。したがって、圧縮機3の圧縮仕事が低減するので、本実施の形態のようにタービン1の駆動力によって圧縮機3が駆動されるように構成する場合には、ガスタービンの出力を更に増加することができる。
【0023】
増湿塔4は、その上部に給水加熱器15(後述)と接続して設けられ、圧縮空気を加湿する水が導入される給水部4aと、増湿塔4の下部に給水加熱器15と接続して設けられ、圧縮空気を加湿して内部に貯留した水が排出される排水部4bと、増湿塔4の下部に圧縮機3と接続して設けられ、圧縮機3によって圧縮された圧縮空気が導入される給気部4cと、増湿塔4の上部に再生熱交換器5と接続して設けられ、加湿された空気が排出される排気部4dとを有している。
【0024】
増湿塔4は、タービン起動後、負荷を上昇させて定格負荷運転まで遷移させる間において、タービン出力が所定の値(例えば、50%負荷)まで上昇したところで起動され、燃焼空気の加湿を開始する。増湿塔4の内部にはその表面積が大きくなるように形成されたラシヒリング等の充填物が納められている。この充填物には、給水部4aから導入された水が散水されて、下方へ流下する水によって表面に水膜が形成されている。給気部4cから導入された圧縮空気は、増湿塔4内を下部から上方に向かう過程で上記の充填物を通過し、そこで流下する水と直接接触して加湿される。このように空気と水を直接接触させる加湿方式は、蒸気や水を空気に噴霧するものと比べて大量の加湿が可能であり、燃焼空気を飽和状態まで加湿することができる。このように燃焼空気に多量の湿分を含めると、湿分の分だけ流量が増加してタービン出力が増加するとともに、燃焼空気より比熱が大きい水蒸気が混入されることで混合気体の比熱が大きくなり、タービン1で混合気体が膨張する際に取り出せる仕事が増大して更にタービン出力が増加する。また、空気に加える水は容易に蒸発するように温度が高いものが好ましく、本実施の形態のプラントでは、増湿塔4で加湿に用いられる水を給水加熱器15(後述)において加熱している。
【0025】
再生熱交換器5は、タービン1を駆動した燃焼ガスの排気の流通経路に設けられており、増湿塔4において加湿された空気と排気とを熱交換させて空気を予熱している。このように燃焼器6に導入する前に燃焼空気を予熱しておくと、燃焼器6における燃料使用量を削減することができるので、再生熱交換器5を設置しないプラント(例えば、一般的なガスタービンプラント)と比較してタービン効率が向上する。
【0026】
給水加熱器15は、再生熱交換器5から燃焼ガスの排気の流通方向の下流側に配置されており、給水ポンプ16によって増湿塔4から供給される水を排気熱によって加熱している。この排気熱によって加熱された水の流通方向下流側は増湿塔4の給水部4aと接続されており、給水部4aへの経路には増湿塔4への給水量を調節する水量調節弁14が設けられている。給水加熱器15から更に排気流通方向下流側には、排気の流通路である煙道17を介して水回収装置18が設けられており、排気は水回収装置18へ導かれている。
【0027】
水回収装置18は、再生熱交換器5及び給水加熱器15で熱交換した後の排気を冷水で冷却し、排気中に含まれる水分を凝集、落下させて回収している。ここで回収された水は給水ポンプ19によって増湿塔4へ送られ、空気の加湿に用いられる。本実施の形態で採用している排気の冷却方法は、水回収装置18内に貯留した水を給水ポンプ20で冷却器21へ送り、そこで冷却した水をスプレー噴霧して排気を冷却するものである。水回収装置18によって水を回収された排気は煙突22を介して大気へ放出される。煙突22から大気に放出された水分は、給水ポンプ23によって水の供給源から水回収装置18へ適宜補給される。
【0028】
圧縮機出口圧力検出器9は、圧縮機3の出口側に設けられ、圧縮機3の出口圧力を検出している。圧縮機3の出口圧力は、タービンの運転状況や、燃焼空気へ加えられる湿分量の増減等に応じて増減し、その変化は排気温制御に影響を与える。
【0029】
給水量検出器11は、給水加熱器15と増湿塔4の給水部4aとを接続する管路に備えられた水量調節弁14の下流側に設けられており、増湿塔4への給水量を検出している。高湿分ガスタービンは、上記したように、増湿塔4内部の充填物において燃焼空気全体を水と直接接触させて積極的に加湿しているので、直接的に加湿量を計測することが難しい。そのため、本実施の形態では、増湿塔4への給水量を空気への加湿量と同定し、給水量検出器11の検出値を空気への加湿量とみなしている。
【0030】
制御装置12は、圧縮機出口圧力検出器9、排気温度検出器10、及び給水量検出器11と接続されて、これら各検出器9,10,11からの検出信号を受信し、また、燃料調節弁7及び圧縮機入口案内翼8と接続されて、これら各調節手段7,8へ適宜操作信号を送信している。制御装置12は、燃料調節弁7及び圧縮機入口案内翼8に操作信号を送信するに際して、次に説明するような制御を行う。
【0031】
制御装置12は、増湿塔4への給水量に応じて補正される関数であって、ガスタービンの部分負荷運転時における燃焼ガス温度を間接的に制御するための排気温度の設定値を圧縮機3の出口圧力に応じて規定する部分負荷運転用制御関数30に基づいて圧縮機入口案内翼8の開度を調節している。
【0032】
図2は本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの部分負荷運転時における制御関数30を表す図である。
【0033】
制御関数30は、図中の縦軸付近から圧縮機3の出口圧力が増加する方向(図中右方向)へ向かって横軸と平行に延びる平行部31と、平行部31と連続し、出口圧力が増加する方向へ向かって排気温度の設定値が単調に低下するように描かれる斜線部32とを有している。この制御関数30は、給水量検出器11によって検出される増湿塔4への給水量に応じて斜線部32の位置を横軸に沿って(図中の左右方向に)移動させることによって補正される。これにより、制御関数30は、燃焼空気中の水分量の増減により圧縮機3の出口圧力が増減するのに伴って、排気温度の設定値が不必要に増減することを防止している。
【0034】
ここで、制御関数30の補正について具体例を挙げて説明する。例えば、部分負荷で安定運転していた場合に、何らかの要因(水回収装置18や増湿塔4の故障等)によって増湿塔4への給水量が減少し、燃焼空気への加湿量が突然低下したときには、斜線部32が横軸に沿って負の方向(図中左方向)へ平行移動するように制御関数30は補正される(図中の点線で示す制御線に補正される)。すなわち、給水量が減少した場合の制御関数は、補正前の関数で設定される排気温度を同じ出口圧力で比較すると、その排気温度が低く設定されるように補正される。これにより、燃焼空気中の水分量の減少に伴い圧縮機3の出口圧力が減少することによってガスタービン排気温度の設定値が上昇して規定値を超えてしまうことを防止し、燃焼器2等を熱から保護することができる。
【0035】
また、反対に、増湿塔4への給水量が部分負荷運転中に増加すると斜線部32は横軸に沿って正の方向(図中右方向)へ平行移動する。これにより、燃焼空気中の水分量の増加に伴い圧縮機3の出口圧力が増加することによってガスタービン排気温度の設定値が低下してガスタービンの効率が低下してしまうことを防止し、ガスタービンを効率よく利用することができる。
【0036】
なお、図中に制御関数30の上方に示されている関数は、定格負荷運転時に利用する排気温度制御関数50であり、制御関数30より高い排気温度(例えば5度程度高い温度)で制御するように設定されている。
【0037】
制御装置12は、給水量検出器11によって検出された給水量に基づいて制御関数30に上記のような補正を施し、補正した関数30を用いて圧縮機出口圧力検出器9によって検出された出口圧力から排気温度の設定値を算出し、排気温度検出器10によって検出された排気温度が算出した設定値に近づくように圧縮機入口案内翼8の開度を調節して燃焼ガス温度を間接的に制御している。即ち、排気温度検出器10の検出値が、制御関数30から得られた設定値より大きければ圧縮機入口案内翼8の開度を大きくして圧縮吸気流量を増加させ、設定値より小さければ圧縮機入口案内翼8の開度を小さくして圧縮吸気流量を減少させる。
【0038】
図3は本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントが定格負荷運転から負荷を減少させる場合に利用する制御の説明図である。
【0039】
ここで、図に示すA点は定格負荷運転時に利用する制御関数50上の点であり、定格負荷運転時においてこのA点で燃焼ガス温度を間接的に制御しているとする。この状態から部分負荷運転に移行する際には、まず、圧縮機入口案内翼8を定格負荷運転時のA点と同じ開度のまま保持するとともに燃料調節弁7を絞って負荷を下げることにより、部分負荷運転時に利用する制御関数30上のB点まで移行させる。この場合、空気流量が同じまま燃料供給量を絞るため排気温度は下がる。さらに負荷をさげる場合には、B点に達した時点から排気温度が制御関数30上になるように圧縮機入口案内翼8の開度を絞り、制御関数30上をB点からC点へ、そしてD点へと順に移行させる。D点では圧縮機入口案内翼8の開度は最小となっており、D点からさらに負荷を下げるには、燃料調節弁7を絞る必要があるため、排気温度の設定値はD点からE点へ単調に減少することになる。このように制御線30上で排気温度が制御されるように、圧縮機入口案内翼8の開度を調節して空気流量を変化させることで、部分負荷運転時においても排気温度を高く保つことができる。したがって、再生熱交換器5における排気と燃焼用空気の交換熱量を高く維持することができるので、燃料消費量を抑制することができ、タービン効率を向上させることができる。圧縮機入口案内翼8を利用する制御を利用することで、部分負荷運転時の発電効率は同制御を適用しない場合に対し、0.5〜1.0%程度向上する。
【0040】
また一方で、制御装置12は、増湿塔4の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービン起動後にタービン回転数が最大となって負荷を上昇させる場合(負荷上昇時)における燃焼ガス温度を間接的に制御するための排気温度の設定値を圧縮機3の出口圧力に応じて規定する負荷上昇時用制御関数40に基づいて燃料調節弁7の開度を調節している。
【0041】
図4は本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの負荷上昇時における制御関数40を表す図である。
【0042】
制御関数40は、本実施の形態では、増湿塔4を起動させる前に利用する増湿塔起動前用の制御関数40Aと、増湿塔4を起動させた後に利用する増湿塔起動後用の制御関数40Bとの2種類から成っている。制御関数40Aは増湿塔4による湿分が燃焼空気に含まれていない状態における燃焼ガス温度を間接的に制御するための関数であり、制御関数40Bは増湿塔4による湿分が燃焼空気に含まれた定格負荷運転時における燃焼ガス温度を間接的に制御するための関数である。制御関数40Aは、制御関数30同様の平行部41a及び斜線部42aを有しており、これと同様に制御関数40Bは平行部41b及び斜線部42bを有している。制御関数40Bは、増湿塔4によって燃焼空気に加えられる水分量に応じて補正されており、制御関数40Aの斜線部42aを空気中の湿分量に応じて横軸に沿って正の方向(図4中右方向)へ平行移動させた形状となっている。
【0043】
制御装置12は、増湿塔4の稼働状態に応じて起動前用の関数40A及び起動後用の関数40Bを選択し、各関数40A,40Bを用いて圧縮機出口圧力検出器9によって検出された出口圧力から排気温度の設定値を算出し、排気温度検出器10によって検出された排気温度が算出した設定値に近づくように燃料調節弁7の開度を調節して燃焼ガス温度を間接的に制御している。即ち、排気温度検出器10の検出値が、制御関数40A又は40Bから得られた設定値より大きければ燃料調節弁7の開度を小さくして燃料量を減少させ、設定値より小さければ燃料調節弁7の開度を大きくして燃料量を増加させる。
【0044】
タービン起動後、負荷を上昇させて定格負荷運転まで遷移させるまでの間、制御装置12は次のように動作する。制御装置12は、タービンを起動させてその回転数を最大にした後タービン負荷を0%から設定値(例えば50%)まで上昇させるまでの間、増湿塔4は停止されているので、まず起動前用の関数40Aを利用して燃焼ガス温度を間接的に制御する。この後、タービン負荷が設定値まで上昇した時点で増湿塔4が起動されて燃焼空気の加湿が開始される。増湿塔4による加湿が開始されたら、制御装置12は、燃焼ガス温度の間接的制御に利用する制御関数を関数40Aから関数40Bに変更する。そして、関数40Bに基づいて燃焼ガス温度の間接的制御を行いながら、負荷を100%まで上昇させて定格負荷運転に移行させる。
【0045】
次に本実施の形態の作用及び効果を説明する。
【0046】
まず、部分負荷運転時において制御関数30を利用する制御の作用及び効果について説明する。
【0047】
図5は本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの部分負荷運転時における各パラメータの変動を示すタイムチャートである。ここでは本発明の効果の理解を容易にするために比較例を挙げて説明する。ここで用いる比較例は、圧縮機の出口圧力によって燃焼ガスの排気温度の設定値を規定する関数に対して、空気中の水分量に応じた補正を施し、この補正した関数によって求めた設定値にタービン運転中の排気温度が保持されるように燃料の量を調節することによって燃焼ガス温度を間接的に制御する方法を高湿分ガスタービンプラントに適用すると想定したプラントであり、その場合のタイムチャートを図5中の点線502で示す。これに対して、図中の実線501は本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントにおけるタイムチャートを示している。
【0048】
図5に示す比較例の場合において、安定して部分負荷運転をしている場合に増湿塔による加湿量が低下すると、圧縮機出口圧力が減少するとともに潜熱減少により排気温度が上昇する。しかし、圧縮機出口圧力が減少しても、排気温度の設定値を加湿量低下前と同様に保持するために関数の斜線部を左に移動させる補正が制御関数になされる。制御装置はその補正された制御関数に基づき燃料供給量を減少させて排気温度を低下させる制御を行うので、加湿量低下による排気温度上昇は解消されて加湿量低下前の排気温度に回復する。しかし、排気温度が回復する一方で、加湿量及び燃料供給量の低減によってガスタービン出力は大幅に低下してしまう。また、燃料供給量の調節だけで排気温度を制御するには限界があるので、加湿量低下前と比較して排気温度が低下してしまうことも場合によっては発生する。排気温度の低下という問題は、排気熱を利用する再生熱交換器を備え、これにより燃焼空気の加熱を行っている高湿分ガスタービンでは、タービン効率を更に低下させる要因となってしまう。これは一般的なガスタービンと比較して部分負荷運転の効率が良いとされる高湿分ガスタービンの特長を損ねてしまう。
【0049】
このような比較例に対して、本実施の形態は、増湿塔4へ供給される水の量を検出する給水量検出器11と、増湿塔4への給水量に応じて補正される関数であって、ガスタービンの部分負荷運転時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための排気温度の設定値を圧縮機3の出口圧力に応じて規定する制御関数30を用いて、圧縮機出口圧力検出器9によって検出された出口圧力、及び給水量検出器11によって検出された給水量から排気温度の設定値を算出し、排気温度検出器10によって検出された排気温度が算出した設定値に近づくように圧縮機入口案内翼8の開度を調節する制御装置12とを備えている。
【0050】
このような構成により、図5に示すように、排気温度を一定にして部分負荷運転をしている場合に増湿塔4による加湿量が低下しても、圧縮機入口案内翼8の開度を大きくして圧縮機吸気流量を増加させることによって加湿量低下前の値まで排気温度を回復することができる。したがって、燃料供給量を保持したまま運転することができるので、タービン出力を低減させることなく運転することができる。しかも、吸気流量の増加はタービン出力の増加に寄与するので、加湿量低下による出力低下もカバーすることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、圧縮機入口案内翼8によって圧縮機吸気流量を調節しており、部分負荷運転時にも排気温度を高く保持する制御を行うことができる。したがって、再生熱交換器5における排気と燃焼用空気の交換熱量を高く維持することができるので、燃料消費量を抑制することができ、タービン効率を向上させることができる。圧縮機入口案内翼8を利用する制御を利用することで、部分負荷運転時の発電効率は同制御を適用しない場合に対し、0.5〜1.0%程度向上する。なお、上記の説明では燃焼空気への加湿量が突然減少した場合の効果を主に説明したが、加湿量が増加した場合にも燃料供給量を抑制しながら排気温度を保持することができるのでタービン効率は向上する。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、非定格負荷運転時において増湿塔4による加湿量が変化した場合でも燃焼ガス温度を間接的に適切に制御することができるので、プラントの出力及び効率を向上させることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、増湿塔4への給水量を空気への加湿量と同定し、給水量検出器11の検出値を空気への加湿量として利用しているので、高湿分ガスタービンの燃焼空気中における概ねの水量を測定することができる。これにより、加湿量の変化に応じて制御関数30に適切な補正を加えることができるので、加湿量の変化に適した排気温度制御を行うことができる。
【0054】
次に、タービンの負荷上昇時において制御関数40を利用する制御の作用及び効果について説明する。
【0055】
高湿分ガスタービンプラントで燃焼空気の加湿に用いる増湿塔は、流下する水と空気全体を直接接触させて飽和状態まで一気に加湿するものであり、増湿塔の起動前と起動後では空気に含まれる水分量が著しく異なる。そのため、増湿塔への吸水量を随時検出しながら、その検出値の変化に応じて制御関数を補正する制御方法を採用すると、頻繁に排気温度制御が作動してしまい、プラント負荷運転性能が低下する恐れがある。
【0056】
これに対して、本実施の形態は、燃焼器6へ導入される燃料の量を調節する燃料調節弁7と、増湿塔4の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための排気温度の設定値を圧縮機3の出口圧力に応じて規定する関数40を用いて、圧縮機出口圧力検出器9によって検出された出口圧力から排気温度の設定値を算出し、排気温度検出器10によって検出された排気温度が算出した設定値に近づくように燃料調節弁7の開度を調節する制御装置12とを備えている。
【0057】
これにより、負荷上昇時に加湿量が大幅に変化される燃焼空気に最適な補正が加えられた制御関数を利用して排気温度の設定値を決定することができるので、効率良くタービンを運転することができる。また、負荷上昇時中の排気温度を高く維持することができるので、燃料消費量を抑制することができ、タービン効率を更に向上させることができる。したがって、本実施の形態によれば、高湿分ガスタービン起動後の負荷上昇時において、増湿塔4による加湿量が変化した場合でも燃焼ガス温度を適切に制御することができるので、プラントの出力及び効率を向上させることができる。
【0058】
なお、以上において説明してきた制御関数30及び制御関数40を用いた制御は、それぞれを個別に利用してもその効果を阻害するものではないが、併せて利用すると、非定格負荷運転時における燃焼ガス温度制御を総合的に行うことができるので、個別に利用する場合と比較して優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの系統図である。
【図2】本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの部分負荷運転時における制御関数を表す図である。
【図3】本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントが定格負荷運転から負荷を減少させる場合に利用する制御の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの負荷上昇時における制御関数を表す図である。
【図5】本発明の実施の形態である高湿分ガスタービンプラントの部分負荷運転時における各パラメータの変動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 タービン
2 吸気噴霧器
3 圧縮機
4 増湿塔
5 再生熱交換器
6 燃焼器
7 燃料調節弁
8 圧縮機入口案内翼
9 圧縮機出口圧力検出器
10 排気温度検出器
11 給水量検出器
12 制御装置
18 水回収装置
30 部分負荷運転用制御関数
31 平行部
32 斜線部
50 定格負荷運転用制御関数
40 負荷上昇時用制御関数
40A 増湿塔起動前用制御関数
40B 増湿塔起動後用制御関数
41a,b 平行部
42a,b 斜線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、
この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、
この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、
この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、
前記圧縮機に導入される燃焼用の空気の流量を調節する圧縮機入口案内翼と、
前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、
前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器と、
前記増湿塔へ供給される水の量を検出する給水量検出器と、
前記増湿塔への給水量に応じて補正される関数であって、ガスタービンの部分負荷運転時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記給水量検出器によって検出された給水量から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記圧縮機入口案内翼の開度を調節する制御装置とを備えることを特徴とする高湿分ガスタービンプラント。
【請求項2】
燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、
この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、
この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、
この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、
この燃焼器へ導入される燃料の量を調節する燃料調節弁と、
前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、
前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器と、
前記増湿塔の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節する制御装置とを備えることを特徴とする高湿分ガスタービンプラント。
【請求項3】
請求項1記載の高湿分ガスタービンプラントにおいて、
前記燃焼器へ導入される燃料の量を調節する燃料調節弁を備え、
前記制御装置は、前記増湿塔の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節することを特徴とする高湿分ガスタービンプラント。
【請求項4】
請求項2又は3記載の高湿分ガスタービンプラントにおいて、
前記ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための関数は、前記増湿塔を起動させる前に利用する起動前用の関数、及び前記増湿塔を起動させた後に利用する起動後用の関数であり、
前記制御装置は、前記起動前用の関数及び前記起動後用の関数を前記増湿塔の稼働状態に応じて選択し、その選択した関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力から前記排気温度の設定値を算出し、前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節することを特徴とする高湿分ガスタービンプラント。
【請求項5】
請求項1から4いずれか記載の高湿分ガスタービンプラントにおいて、
前記圧縮機の空気流通方向上流側に設けられ、前記圧縮機に導入される燃焼用の空気に水を噴霧する吸気噴霧器を備えていることを特徴とする高湿分ガスタービンプラント。
【請求項6】
燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、
この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、
この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、
この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、
前記圧縮機に導入される燃焼用の空気の流量を調節する圧縮機入口案内翼と、
前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、
前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器と、
前記増湿塔へ供給される水の量を検出する給水量検出器とを備え、
前記増湿塔への給水量に応じて補正される関数であって、ガスタービンの部分負荷運転時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記給水量検出器によって検出された給水量から前記排気温度の設定値を算出し、
前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記圧縮機入口案内翼の開度を調節することを特徴とする高湿分ガスタービンプラントの制御方法。
【請求項7】
燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
燃焼用の空気を圧縮する圧縮機と、
この圧縮機によって圧縮された空気を加湿する増湿塔と、
この増湿塔によって加湿された空気を前記タービンを駆動させた燃焼ガスの排気によって加熱する再生熱交換器と、
この再生熱交換器によって加熱された空気と燃料を燃焼して、前記タービンを駆動させる燃焼ガスを発生する燃焼器と、
この燃焼器へ導入される燃料の量を調節する燃料調節弁と、
前記圧縮機の出口側に設けられ、前記圧縮機の出口圧力を検出する圧縮機出口圧力検出器と、
前記タービンを駆動させた排気の流通経路に設けられ、その排気の温度を検出する排気温度検出器とを備え、
前記増湿塔の稼働状態に応じて補正される関数であって、ガスタービンの負荷上昇時における燃焼ガスの温度を間接的に制御するための前記排気温度の設定値を前記圧縮機の出口圧力に応じて規定する関数を用いて、前記圧縮機出口圧力検出器によって検出された出口圧力、及び前記増湿塔への給水量から前記排気温度の設定値を算出し、
前記排気温度検出器によって検出された排気温度が前記算出した設定値に近づくように前記燃料調節弁の開度を調節することを特徴とする高湿分ガスタービンプラントの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−51013(P2008−51013A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228652(P2006−228652)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】