説明

高電圧、高速、高パルス繰返し数のパルス発生器

【課題】RF電力増幅器と関連する高パルス繰返し数の制限を解決する高電圧、高速、および高繰返し数パルス発生器(30)を提供する。
【解決手段】パルス発生器(30)は共振技術を利用して、短絡および開回路の双方の負荷状態中に、パルス発生器(30)の機能障害なしに、パルス発生器(30)の継続的な高電圧、高速、および高繰返しパルス数動作を可能にする電流制限特徴をもたらす。本発明の好適な実施例において、パルス発生器(30)は、DC電圧を高周波AC電圧に変換するように構成されているインバータ(40)と、前記AC電圧に応答して、AC電流源として動作するように構成されているコンバータ(50)と、前記AC電流源によって発生するAC入力電流に応答して、高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるように構成されているパルス整形部分(60)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子電力変換に関し、より詳細には、ソフトスイッチングおよびパルス整形技術を使用する高電圧、高速、高パルス繰返し数のパルス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧、高速、および高パルス繰返し数で動作できる発生器は、一般に、無線周波数(RF)電力増幅器および関連技術を利用して、高電圧、高速および高パルス繰返し数の発生および伝播を達成している。この種のRF電力増幅器は、製造するのに高い費用がかかり、高パルス繰返し数の発生中に内部熱が上昇するので、信頼性においての弱点がある。また、RF増幅器は、かなりのスペースを必要とし、一般には、低い電気効率を有するので、好ましくない。さらには、RF電力増幅器技術は、とりわけ熱損失があるので、高パルス繰返し数の発生には、特に適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RF電力増幅器と関連する高パルス繰返し数の制限を解決する高電圧、高速、高パルス繰返し数のパルス発生器を提供することは、有利になるとともに、有益にもなるであろう。高電圧、高速、高パルス繰返し数のパルス発生器が、短絡および開回路の双方の負荷状態中に、パルス発生器の機能障害なしに継続的に動作可能である場合、さらに有利になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態により、簡潔には、高電圧、高速、高繰返し数のパルスを発生させるためのパルス発生器が提供される。このパルス発生器は、
DC電圧を高周波AC電圧に変換するように構成されているインバータと、
AC電圧に応答して、AC電流源として動作するように構成されているコンバータと、
AC電流源によって発生するAC入力電流に応答して、高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるように構成されているパルス整形部分と、を備える。
【0005】
別の実施形態によれば、高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させる方法は、
DC電圧を高周波AC電圧に変換することと、
AC電圧に応答して、AC電流を発生させることと、
AC電流に応答して、高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させることと、を含む。
【0006】
さらに別の実施形態によれば、パルス発生器は、
DC電圧を高周波AC電圧に変換するための手段と、
AC電圧に応答して、AC電流を発生させるための手段と、
AC電流に応答して、高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるための手段と、を含む。
【0007】
本発明のこれら、ならびに他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を、図面全体を通じて同様の文字が同様の部品を示している添付の図面を参照して読むと、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
特定した作図は代替の実施形態を示しているが、本発明の他の実施形態もこの論考で示すように熟慮される。すべての場合において、本開示は、本発明の例示的実施形態を、説明のために示しており、限定のために示していない。本発明の原理の範囲および精神の中にある多数の他の修正形態および実施形態は、当業者によって考案可能である。
【0009】
まず、図1および2を、後述する図3と関連する論考をよりよく理解することに役立つ背景を提供するために述べる。ここで図1を見ると、簡略化した回路図が一実施形態による基本のソフトスイッチング、パルス整形回路構成10を示している。回路10は、入力電圧パルス13に応答して、電流源として機能する相互コンダクタンス増幅器12を含む。
【0010】
クランプダイオード16との組合せにおいてMOSFETデバイス14が、所望負荷18の両端間に方形または長方形の電圧パルスを発生させるために、パルス整形回路として一緒に動作する。回路10は、パルス整形回路を駆動する電流源のため、短絡および開回路の負荷に対してロバストである。
【0011】
MOSFETデバイス14のゲート入力駆動部は、MOSFETデバイス14がソフトスイッチングモードでオンにすることが可能になる形で制御される。スイッチング周波数が上昇すると、ソフトスイッチングにより、MOSFETスイッチングデバイス14と関連するスイッチング損失が抑制される。ソフトスイッチングとパルス整形との組合せにより、回路10は、開回路および短絡の双方の負荷に対してロバストである高電圧、高速、高繰返し数パルス発生器として動作することが可能になる。
【0012】
図2は、一実施形態による高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるための方法の例示的ステップを示す流れ図20である。方法は、ブロック22に示すように、主要DC入力電圧を供給することから開始する。次いで、DC入力電圧は、ブロック24に示すように、高周波(例えば、25MHz)AC電圧を発生させるために、インバータを通過する。AC電圧は、ブロック26に示すように、AC電流を発生させるために、電流源に変換される。電流源により、パルス発生器は、図1に示すように純粋な電圧源を使用して動的負荷18を駆動する場合に達成できない電流制限の手段を提供することによって、ロバストな形で機能することが可能になる。次いで、AC電流は、ブロック28に示すように、方形または長方形の出力電圧パルスを発生させるために、電圧整形回路を駆動する。
【0013】
図3は、一実施形態によるソフトスイッチング、パルス整形発生器30をより詳細に示す回路図である。発生器30の回路構成により、発生器30は、高電圧、高速、および高繰返し数電圧出力パルスを発生させることが可能になる。
【0014】
発生器30は、インバータ40、コンバータ50、およびパルス整形部分60を含むように見なされることが可能である。インバータ40は、自然共振周波数をともに有するコンデンサC1とインダクタL1とを含む第1のタンク回路を含む。また、インバータ40は、図3に示すように、1つの端部で正のDC電圧源32に接続され、その対向する端部でコンデンサC1に接続されている上側ソフトスイッチ42を含む。上側ソフトスイッチ42は、オン−オフのスイッチング動作を制御するためにゲート駆動素子43を介してソフトスイッチングモードで動作する。下側スイッチ46の両端間の電圧を制限するクランプダイオード44は、スイッチ42の寄生ボディダイオードであることが可能であろう。インバータ40は、やはり図3に示すように、1つの端部で発生器アース端子34に接続され、その対向する端部でコンデンサC1に接続されている下側ソフトスイッチ46をさらに含む。下側ソフトスイッチ46は、オン−オフのスイッチング動作を制御するために対応するゲート駆動素子47を介してソフトスイッチングモードで動作する。上側スイッチ42の両端間の電圧を制限するクランプダイオード48は、スイッチ46の寄生ボディダイオードであることが可能であろう。上側ソフトスイッチ42および下側ソフトスイッチ46は、下側ソフトスイッチ46がオフにされると、上側スイッチ42がオンにされるように、およびその逆も同様になるように構成されている。スイッチ42、46はそれぞれ、コンデンサC1およびインダクタL1によって形成されるタンク回路の自然共振周波数、例えば、25MHzなどと等しいまたはその周波数より高い高周波率においてソフトスイッチングモードで、一実施形態により動作する。
【0015】
コンバータ50も、コンデンサC2およびインダクタL2を含むタンク回路(第2のタンク回路)を有するように見なされることが可能である。一実施形態において、インバータ40の第1のタンク回路と、コンバータ50の第2のタンク回路は、C1およびL1の共振周波数がともに、C2と組み合わせられるC1と、L2と組み合わせられるL1とを含む組合せタンク回路として、同じ共振周波数を有するように構成されている。この構成により、コンデンサC1およびインダクタL1を含む第1のタンク回路内に蓄積される実質的にすべてのエネルギーは、スイッチング処理中に、コンデンサC2およびインダクタL2を含む第2のタンク回路に伝達されることが可能になる。また、この構成により、インダクタL2を流れるピーク電流が、スイッチング処理中に、インダクタL1を流れるピーク電流の実質的に2倍になるような電流倍増も可能になる。一実施形態により、第3のスイッチ52は、ゲート駆動部53を介してソフトスイッチングモードで、およびダイオード54と、ダイオード56と、コンデンサC2およびインダクタL2を含む第2のタンク回路との組合せにおいて、インダクタL2を通じてAC電流を発生させるために動作する。ダイオード54は、ツェナーダイオードが好ましいが、スイッチ52の寄生ボディダイオードであることが可能であろう。次いで、図3における負荷RLは、インダクタL2によって蓄積されるエネルギーからその電力を受け取り、インバータ40およびコンバータ50によってDC電圧源から分離されている。この分離特徴は、発生器30が、短絡と開回路の間で変動する可能性のある動的負荷を駆動することを可能にし、短絡状態と開回路状態の間のいずれの場所にも広がる領域内で、定常状態動作中に、動的負荷を駆動することを含むことが可能であるので有利である。
【0016】
発生器30は、動的に変動する負荷を効率的に駆動するように、およびインダクタL2を流れるエネルギーに応答して、方形波または長方形の電圧パルスを発生させるようにも構成されているパルス整形部分60をさらに含む。パルス整形部分は、ソフトスイッチ62を含み、ゲート駆動素子64を介してソフトスイッチングモードで動作する。ソフトスイッチ62は、スイッチング処理中に、方形または長方形の電圧パルスを発生させるために、ダイオード66およびダイオード68との組合せにおいて機能する。上述の共振周波数スイッチング処理により、動的に変動する負荷状態の存在下で、高周波数(MHzレンジ)において純粋な電圧スイッチングが可能になるので有利である。
【0017】
図4は、一実施形態による、図3に示す発生器30の定常状態動作中の動作回路の電圧および電流を示す波形の組である。最上部の波形は、発生器30によって発生する高電圧(約1000ボルト)、高周波数(MHzレンジ)、および高繰返し数出力電圧パルスを示している。中間の波形は、発生器30によって達成されるピーク電流の倍増を示している。最下部の波形は、パルス発生器30の通常の定常状態動作中に、インバータ、コンバータおよびパルス整形スイッチを流れるAC電流を示している。
【0018】
図5は、一実施形態による、図3に示す発生器30について短絡負荷状態中の動作回路の電圧および電流を示す波形の組である。短絡回路動作波形は、出力において短絡負荷中でさえも、パルス発生器30の動作性能を示している。波形は、パルス発生器30が、電流制限特徴により、いずれの負の効果なしに継続して動作することを示している。
【0019】
図6は、一実施形態による、図3に示す発生器30について開回路負荷状態中の動作回路の電圧および電流を示す波形の組である。開回路動作波形は、発生器出力において開回路負荷中でさえも、パルス発生器30の動作性能を示している。波形は、パルス発生器30が、電流制限特徴により、いずれの負の効果なしに開回路負荷中でさえも、継続して動作することを示している。
【0020】
本発明の特定の特徴のみを本明細書に示し、説明してきたが、当業者は多数の修正形態および変更形態を思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の中にあるようなこの種の修正形態および変更形態のすべてをカバーするように意図されていることを理解すべきである。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態によるソフトスイッチング、パルス整形発生器を示す簡略化した回路図である。
【図2】一実施形態による高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるための方法の例示的なステップを示す流れ図である。
【図3】一実施形態によるソフトスイッチング、パルス整形発生器をより詳細に示す回路図である。
【図4】一実施形態による、図3に示す発生器の定常状態動作中の動作回路の電圧および電流を示す波形の組を示すグラフである。
【図5】一実施形態による、図3に示す発生器について短絡負荷状態中の動作回路の電圧および電流を示す波形の組を示すグラフである。
【図6】一実施形態による、図3に示す発生器について開回路負荷状態中の動作回路の電圧および電流を示す波形の組を示すグラフである。
【符号の説明】
【0022】
10 ソフトスイッチング、パルス整形回路
12 相互コンダクタンス増幅器
13 入力電圧パルス
14 MOSFETデバイス
16 クランプダイオード
18 負荷
20 流れ図
22 主要DC入力電圧を供給する
24 高周波AC電圧を発生させるために、主要DC入力電圧をインバータに通す
26 AC電流を発生させるために、AC電圧を電流源に変換する
28 AC電流に応答して電圧整形を介して出力電圧パルスを発生させる
30 ソフトスイッチング、パルス整形発生器
32 DC電圧源
34 発生器アース端子
40 インバータ
42 上側ソフトスイッチ
43 ゲート駆動素子
44 クランプダイオード
46 下側ソフトスイッチ
47 ゲート駆動素子
48 クランプダイオード
50 コンバータ
52 第3のスイッチ
53 ゲート駆動素子
54 ツェナーダイオード
56 ダイオード
60 パルス整形部分
62 ソフトスイッチ
64 ゲート駆動素子
66 ダイオード
68 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC電圧を高周波AC電圧に変換するように構成されているインバータ(40)と、
前記AC電圧に応答して、AC電流源として動作するように構成されているコンバータ(50)と、
前記AC電流源によって発生するAC入力電流に応答して、高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるように構成されているパルス整形部分(60)と、
を備えるパルス発生器(30)。
【請求項2】
前記インバータ(40)が1対の高電圧スイッチ(42)、(46)を備え、前記スイッチのそれぞれは、対応するクランプダイオード(44)、(48)との組合せにおいて、ソフトスイッチングモードで、前記高周波AC電圧を発生させるために動作するように構成されている、請求項1記載のパルス発生器(30)。
【請求項3】
前記高電圧スイッチ(42)、(46)のそれぞれが、対応するゲート駆動素子(43)、(47)を介して駆動され、それにより、前記高電圧スイッチ(42)、(46)のそれぞれは、ソフトスイッチングモードで動作するようになる、請求項2記載のパルス発生器(30)。
【請求項4】
前記コンバータ(50)が、対応するクランプダイオード(54)との組合せにおいて、ソフトスイッチングモードで、前記AC入力電流を発生させるために動作するように構成されている高電圧スイッチ(52)を備える、請求項1記載のパルス発生器(30)。
【請求項5】
前記コンバータ高電圧スイッチ(52)が、対応するゲート駆動素子(53)を介して駆動され、それにより、前記コンバータ高電圧スイッチ(52)は、ソフトスイッチングモードで動作するようになる、請求項4記載のパルス発生器(30)。
【請求項6】
前記パルス整形部分(60)が、対応するクランプダイオード(66)との組合せにおいて、ソフトスイッチングモードで、前記高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるために動作するように構成されている高電圧スイッチ(62)を備える、請求項1記載のパルス発生器(30)。
【請求項7】
前記パルス整形部分高電圧スイッチ(62)が、対応するゲート駆動素子(64)を介して駆動され、それにより、前記パルス整形部分高電圧スイッチ(62)は、ソフトスイッチングモードで動作するようになる、請求項6記載のパルス発生器(30)。
【請求項8】
前記インバータ(40)および前記コンバータ(50)のそれぞれが、LCタンク回路を備え、前記タンク回路はともに、インバータおよびコンバータのスイッチングモード中に、前記インバータのタンク回路内に蓄積される実質的にすべてのエネルギーを前記コンバータのタンク回路に伝達するように構成されている、請求項1記載のパルス発生器(30)。
【請求項9】
前記インバータ(40)および前記コンバータ(50)のそれぞれが、LCタンク回路を備え、前記タンク回路はともに、前記コンバータのインダクタLを流れるピーク電流が、前記インバータのインダクタLを流れるピーク電流の実質的に2倍であるように構成されている、請求項1記載のパルス発生器(30)。
【請求項10】
前記パルス整形部分(60)が、前記AC電流源によって発生する前記AC入力電流に応答して、方形または長方形の高電圧、高速、高繰返し数電圧パルスを発生させるように構成されている、請求項1記載のパルス発生器(30)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−65663(P2009−65663A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225374(P2008−225374)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】