説明

1本のPOFを用いた光送受信装置および光送受信システム

【課題】位置合わせが容易で、汎用や市販の発光素子や受光素子ないしは、汎用や市販の反射型フォトセンサ等を使用することができ、安価に構成可能な光送受信装置およびそれを用いた光送受信システムを提供する。
【解決手段】POF5の一端8を、POFの中心軸9に垂直な面に対し角度を有する斜端面とし、この斜端面付近に発光素子1と受光素子3を配置し、POFの他端13付近に検出物体6を配置する。POFからの光を、集光手段2を用いてPOFの斜端面より入射し、POF中を伝送させて、POFの他端から出射させる。この出射光の少なくとも一部を、他端付近に設置されている被検出体により、再度POFの他端より入射させる。被検出体からの入射光はPOF中を伝送し、斜端面から出射される。出射光を、集光手段4を用いて受光素子にて検知し、その信号をデジタル化した後に閾値処理を含むデジタル信号処理を施す構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低廉な被検出物の検出装置および双方向通信装置に好適な、一本のプラスチック光ファイバ(以降POFと略記する)を用いた光送受信装置および光送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体の検出に関して種々のセンサが用いられており、その一つに、被検出体と検知回路ないしは光源間を光ファイバでつなぐ光ファイバセンサがある。この光ファイバセンサには、物体が光を遮ることによる光量変化を検出する透過型と、物体からの反射光により検出する反射型とに分類される。光ファイバ使用により、光源や受光部分と被検出体間の絶縁性が保たれるとともに、光源や受光部分を自由な位置に設置できる利点を有しており、耐水性や耐環境性に優れている。
【0003】
反射型の光ファイバセンサの一従来例は、特開2002−71553号公報図1に示される様に、投光用光ファイバと検出用光ファイバを別々に設置し、投光用光ファイバの一端付近には光源であるLED素子を設置し、他端は被検出体近傍に設置している。また、検出用光ファイバの一端付近には受光素子を設置し、他端は被検出体近傍に設置しており、全体では2本の光ファイバにより光ファイバセンサを構成している。
【0004】
このような2本の光ファイバで反射型光センサを構成した場合、光ファイバが2本必要なため、コスト面スペース面で不利になると共に、投光素子/受光素子から検出体までの光ファイバ対が太くなりこの部分の柔軟性が悪くなる欠点がある。
【0005】
反射型の光ファイバセンサの他の従来例は、実開平02−90540号公報第1図、特開平07−98384号公報図1、特開2002−94107号公報図1に示される様、2本の光ファイバの一端が光カプラや光アイソレータ等により一本の光ファイバに変換されているものである。2本の光ファイバの他端はそれぞれ投光素子と受光素子の近傍に設置され、変換された1本のファイバの他端は、検出体の付近に設置される。1本の光ファイバ部分の柔軟性は保たれるが、2本の光ファイバ部分ならびに光カプラや光アイソレータ等の部分は、前述の特開2002−71553号公報図1にくらべて、コスト面ではさらに不利となる欠点を有する。
【0006】
単芯ファイバを用いた双方向通信の従来例は、特開2004−45825号公報の図7に示されている様に、直径1mm程度のPOFの端面が球端面を有している場合と平坦面を有している場合につき、この端面付近にレンズと発光素子を有する送信部と、レンズと受光素子を有する受信部を配置し、2つのケースにおける受信部の受信効率につき、比較されている。この両ケースとも、受信部の一部が光ファイバの中心軸上に存在するように配置し、送信部からの光は光ファイバの中心軸を横切って、光ファイバの中心軸に対して送信部からは離れる側で光ファイバの端面の反対側の周辺部分に入射させ、受信効率の向上を図っている。
本公知例の実施例は、直径1mm程度の比較的細いPOFを使用し,かつ送信部の光学系の設定には、高精度が必要とされ、使用する素子も特殊なものになるなど、高価なものとなる欠点を有する。
【0007】
単芯ファイバを用いた双方向通信の他の従来例は、特開2003−262765号公報の図1(a)図9図10に示されている様に、直径1mm程度のPOFの端面付近の直径を拡大し、拡大されたPOFの周辺部分中の狭い領域に送信光を入射する構成を取っている。本例では。端面付近で直径が拡大し、かつ端面形状も円端反射を避けるため特殊な形状となっており、高価なものとなる欠点がある。
【0008】
単芯ファイバを用いた双方向通信の他の従来例は、特開平11−308179号公報の図1、図2および図12などに示されている様に、直径1mm程度以下の光ファイバの端面を光ファイバの中心軸に対し傾斜して設け、この端面に、半導体レーザからの光を、光ファイバの中心軸と平行に設置されたコア部とクラッド部を有する送信光用導波路を経由して光ファイバの周辺部に入射すると共に、光ファイバから出射される光を、光ファイバの端面に密設した端面を有しかつ光ファイバの中心軸と平行に設置されたコア部とクラッド部を有する、受信光用導波路を経由してフォトダイオードで受光する例が記載されている。本例では、図2などに示されているように、発光素子と受光素子の配置は、光ファイバの直径程度内に納めることが必要であるため専用の微小な発光素子や受光素子の使用が前提となり、また、光学的位置合わせも精度を要し、高価なものとなる欠点がある。
なお、本公報では、光ファイバの端面を傾斜して形成する利点として、送信光の当該傾斜端面での反射光が受信光用導波路に入力されにくい点のみが述べられている。しかし、本公報では、送信光導波路の出射側端面や受信光導波路の入射側端面と、光ファイバの当該傾斜端面との距離は密着ないしは短く設定することが前提となっており、光ファイバを経由して伝搬されてきた光の出射光の中心軸が、当該傾斜端面にて曲がる効果は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−71553号公報
【特許文献2】実開平02−90540号公報
【特許文献3】特開平07−98384号公報
【特許文献4】特開2002−94107号公報
【特許文献5】特開2004−45825号公報
【特許文献6】特開2003−262765号公報
【特許文献7】特開平11−308179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1−特許文献4では、光ファイバの少なくとも一部が2本で構成されており、コスト面や柔軟性などの点で好ましくない。
また、特許文献5−特許文献7では、直径が1mm程度以下のPOFなどを使用し、単芯双方向通信を行っているが、光軸合わせに精度を要し、また専用の発光素子や受光素子や光ファイバの使用が前提になるなど、コストの点で好ましくない。
【0011】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、位置合わせが容易で、汎用や市販の発光素子や受光素子ないしは、汎用や市販の反射型フォトセンサ等を使用することができ、安価に構成可能な光送受信装置およびそれを用いた光送受信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための技術的手段は、開口数が0.4以上0.7以下でコア部の口径が1.8mm以上5mm以下の部分を有する一本のPOFの一端の少なくとも一部を、POFの中心軸に垂直な面から、角度δ(10度−40度)を有する斜端面で構成し、対称平面[POFの長さ方向の外形線と斜端面部分とが成す角が最鋭角を有する頂点部分(以降では斜端面の最鋭角部と略記する)から当該POFの中心軸に下ろした垂線に垂直であり、かつPOFの中心軸を含む平面を指す。以下同様]に対して、斜端面の最鋭角部側に受光素子および受光用集光手段の光軸を配置し、対称平面に対し斜端面の最鋭角部とは反対側でかつPOFの開口角内に発光素子および発光用集光手段の光軸を配置し、発光素子からの光の少なくとも一部を、発光用集光手段を用いて、POFの該一端より入射するとともに、POF中を伝送してきた光の、該斜端面からの出射光を、受光用集光手段を用いて集光し受光素子にて検知し、その出力をAD変換器を経由し、しきい値処理を有する信号処理装置に入力し、信号処理後に信号処理装置から出力することを、光送受信装置の技術的特徴としている。
【0013】
POFの長手方向の中心軸に対し、POF中を伝送してきた光が斜端面から出射する出射光の中心がなす角をγ(度)とすると(図1参照)、
sin[(δ−γ)π/180]=n・sin[δπ/180]・・・・・式(1)
ただし、n=光ファイバのコアの屈折率(例:POFの場合=1.49)
δ=POFの中心軸に垂直な平面に対し、POFの斜端面が成す角(度)
の関係(以下では「出射光中心軸の式」と呼ぶ)が成り立つ。
すなわち、POFの斜端面からの出射光の中心軸は、POFの中心軸に対して、斜端面の最鋭角部側に曲がる性質を有する。
なお、時計回り方向の角度の符号はプラス、反時計回りの方向の角度の符号はマイナスで表示している(以下も同じ)。
【0014】
上記課題を解決するための好ましい第1の追加の技術的手段は、受光用集光手段の光軸を、POF中を伝送してきた光の斜端面からの出射光の中心軸のプラス・マイナス10度以内に設置し、かつ発光素子の集光手段の光軸を、POFの該一端の開口角内に設置することである。
【0015】
上記課題を解決するための好ましい第2の追加の技術的手段は、発光用集光手段の光軸を、POFの斜端面の法線方向のプラス・マイナス10度以内ないしはPOFの斜端面の法線方向に対し受光素子の集光手段の光軸側に設定することである。
【0016】
上記課題を解決するための好ましい第3の追加の技術的手段は、発光素子と、発光用集光手段と、受光素子と、受光用集光手段とを一体に結合させたものを、上記POFの斜端面を含む該一端付近に設置する点にある。
【0017】
上記課題を解決するための好ましい第4の追加技術的手段は、発光用集光手段として、集光手段の出射光が平行光ないしそれに近似の光となるコリメートレンズを用いる点にある。
【0018】
上記課題を解決するための好ましい第5の追加技術的手段は、被検出体が無い状態や通信信号が存在しない状態での受光素子からの出力量を適宜測定し、信号処理装置にそれらの測定量を記憶し、その記憶量を反映して、受光素子の出力量の検知しきい値を決定する点にある。
【0019】
上記課題を解決するための好ましい第6の追加技術的手段は、被検出体の有無や通信信号の有無の両状態での受光素子からの出力量を適宜測定し、信号処理装置にそれらの測定量を記憶し、その記憶量を基に、受光素子の出力量の検知しきい値と校正値とを決定する点にある。
【0020】
上記課題を解決するための好ましい第7の追加技術的手段は、POFの一端の一部を、POFの中心軸に垂直な平面から10度以上40度以下の角度を有する第一の斜端面で構成し、該POFの中心軸に平行な該POFの外形線と該第一の斜端面との最鋭角部分からPOFの中心軸におろした垂線に垂直でかつPOFの中心軸を含む対称平面に対して、該最鋭角部分側に受光素子および受光用集光手段の光軸を、該最鋭角部分とは反対側に発光素子および発光用集光手段の光軸を配置し、当該POFの該一端の他の部分に、POFの中心軸に垂直な平面に対して、第一の斜端面とは逆向きの角度を有する第二の斜端面ないしはPOFの中心軸に垂直な端面を構成し、第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な該端面と第一の斜端面との境界付近に遮光体を設置し、発光素子からの光の少なくとも一部を第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な該端面を経由してPOFに入射し、受光素子および受光用集光手段の光軸と、発光素子および発光用集光手段の光軸とが、対称平面ならびに遮光体に対して、それぞれ反対側に位置している点にある。
【0021】
上記課題を解決するための好ましい第8の追加技術的手段は、POF中に、POF口径変換部を経由して、コアの口径が1.5mm以下のPOFに光学的に接続されている部分を含む点ある。
【発明の効果】
【0022】
コア部の口径が1.8mm以上5mm以下の大口径POFを用いることにより、軸合わせなどにも高精度を要しない。また、POFの端面を斜端面とすることにより、POFからの出射光の中心軸が、式(1)に示したように、斜端面の最鋭頂点部方向に曲がるため、対称平面より斜端面の最鋭角部を含む領域側に受光素子ならびに受光用集光手段の光軸を設置することにより効率的な受光が可能となる。また、発光素子および発光用集光手段の光軸を対称平面に対し受光素子などとは反対側に設置でき、かつPOFの開口角として0.4以上0.6以下の大開口角のPOFを使用することにより、発光素子からの光の斜端面での反射光が受光用集光手段に入射されにくくかつ発光素子からの光を効率よくPOFに入射するよう構成することができる光送受信装置が得られる利点がある。
ただし、発光素子からの光の斜端面での反射光や拡散光などを含む不要な光が受光素子に入射されるのを完全に阻止することは困難なため、本発明では、受光素子の検知信号をAD変換器でデジタル信号に変換したうえで、信号処理装置にて不要信号部分を除去する信号処理を行っている。なお、このAD変換と信号処理装置部分は数十円−数百円で入手可能な汎用のワンチップマイコンなどで対応できるため、コストの点からは特には問題とはならない。
【0023】
また、発光素子用の光ファイバと受光素子用の光ファイバとを用い、かつ光カプラを用いて1本の光ファイバに結合する従来の方式に比べ、本発明は、前記課題を解決するための技術的手段により、1本の柔軟なPOFの一端付近に発光素子、受光素子ならびにこれらの集光手段を配置すればよいので、従来方式に比べ大幅に小型かつ安価でかつ柔軟性に富んで、POFの他端における、被検出体の検出を行うことができる光送受信システムが得られる利点がある。なお、POF部分は、絶縁性、防塵性、防水性などを保有することは、もちろんである。
【0024】
受光用集光手段の光軸を、POF中を伝送してきた光の出射光の中心軸(式(1))のプラス・マイナス10度以内に設置し、かつ発光用集光手段の光軸をPOF中の伝送条件を満たす範囲に設置する、上記課題を解決するための好ましい第1の追加の技術的手段によれば、POF中を伝送してきた光の斜端面からの出射光に対し、光量の大きい出射光の中心軸付近に受光素子の集光手段の光軸を設置するため、受光量が増加する光送受信装置が得られる利点がある。
【0025】
発光用集光手段の光軸を、POFの斜端面の法線方向のプラス・マイナス10度以内ないしはPOFの端面の法線方向に対し受光用集光手段の光軸側に設置する、上記課題を解決するための好ましい第2の追加の技術的手段によれば、発光素子から出た光がPOF端面で直接反射する光は、そのままほぼ同じ光路(プラス・マイナス10度以内)で反射されるかないしは受光素子からは離れる方向の角度に反射される。したがって、このPOFの斜端面で直接反射する光を、受光用集光手段に入射させなくすることが容易になる光送受信装置が得られる利点がある。
【0026】
発光素子と、発光用集光手段と、受光素子と、受光用集光手段とを一体に結合させたものを、上記POFの該一端付近に設置する、上記課題を解決するための好ましい第3の追加の技術的手段によれば、発光素子・発光用集光手段・受光素子・受光用集光手段の光軸や位置をあらかじめ好ましい状態で一体に結合させておけば、発光素子・発光用集光手段・受光素子・受光用集光手段の光軸や位置を個々に調整する必要がなく、この一体結合品とPOFとの光軸および位置を合わせればすむため、安価で高性能の計測が可能となる利点がある。
さらに、発光用集光手段の光軸と、受光用集光手段の光軸との成す角の適切なものを選択すれば、市販の一体型の反射型フォトセンサを活用し、上記の大口径のPOFの該一端付近に設置することにより、コンパクトで容易に、かつ安価に、被検出物の検出や単芯双方向通信ができる光送受信装置や光送受信システムが得られる利点がある。
【0027】
発光用集光手段として、集光手段の出射光が平行光ないしそれに近似の光となるコリメートレンズを用いる、上記課題を解決するための好ましい第4の追加の技術的手段によれば、発光素子の集光手段からの全光量ないしは大半の光量を使用するPOFの開口角内に設定できるため、該POFに入射する光量を増加できPOFの他端より出射する光量を増大することができる。POFの他端付近で被検出体の検出を行う場合には該POFの他端より再入射する光量を増加でき、ひいては該POFの斜端面から出射する光量もふえるため、受光素子の出力信号が増大し、受光素子にて検知される光信号のSN比を大幅に向上することができ、被検出体の有無を確実に検出したり、単芯双方向通信における光信号の確実な授受を行うことができる光送受信装置や光送受信システムが得られる利点がある。
【0028】
被検出体が無い状態や通信信号のない状態での受光素子からの出力量を適宜計測し、信号処理装置にそれらの計測量を記憶し、その記憶量を反映して、受光素子の出力量の検知しきい値を決定する、上記課題を解決するための好ましい第5の追加の技術的手段によれば、無視できない不要光量が存在し、またその値が経時的に徐々に変化する場合においても、被検出体の有無を確実に検出したり、双方向通信における光信号の確実な授受を行うことができる光送受信装置や光送受信システムが得られる利点がある。
【0029】
被検出体の有と無しの両状態や通信信号の有と無しの両状態での受光素子からの出力量を適宜測定し、信号処理装置にそれらの測定量を記憶し、その記憶量を基に、受光素子の出力量の検知しきい値と校正値とを決定する、上記課題を解決するための好ましい第6の追加の技術的手段によれば、被処理物からの反射光の大きさを、多値のデータとして容易に取り扱えるようになる光送受信装置や光送受信システムが得られる利点がある。
【0030】
POFの一端の一部を、POFの中心軸に垂直な平面から10度以上40度以下の角度を有する第一の斜端面で構成し、該POFの中心軸に平行な該POFの外形線と該第一の斜端面との最鋭角部分からPOFの中心軸におろした垂線に垂直でかつPOFの中心軸を含む対称平面に対して、該最鋭角部分側に受光素子および受光用集光手段の光軸を、該最鋭角部分とは反対側に発光素子および発光用集光手段の光軸を配置し、当該POFの該一端の他の部分に、POFの中心軸に垂直な平面に対して、第一の斜端面とは逆向きの角度を有する第二の斜端面ないしはPOFの中心軸に垂直な端面を構成し、第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な該端面と第一の斜端面との境界付近に遮光体を設置し、発光素子からの光の少なくとも一部を第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な該端面を経由してPOFに入射し、受光素子および受光用集光手段の光軸と、発光素子および発光用集光手段の光軸とが、対称平面ならびに遮光体に対して、それぞれ反対側に位置することを特徴とする上記課題を解決するための好ましい第7の追加の技術的手段によれば、第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な端面付近に設置した発光素子からPOFの該一端の他の部分での反射光や拡散光が、受光素子に入射する可能性が大幅に低減できて、受光素子にて検知される光信号のSN比を大幅に向上することができ、被検出体の有無を確実に検出したり、双方向通信における光信号の確実な授受を行うことができるとともに、POFで伝送可能な、該一端の他の部分への入射光の入射角の範囲を拡大できるため、発光素子および発光用集光手段を設置する範囲を広げることができる光送受信装置や光送受信システムが得られる利点がある。
【0031】
POF中に、口径が1.5mm以下の口径のPOFないしは光ファイバ部分へ変換するPOF口径変換部を有する、上記課題を解決するための好ましい第8の追加の技術的手段によれば、口径が1.5mm以下の口径を有するPOFないしは光ファイバ部分での柔軟性がさらに向上しかつ低コストの光送受信装置や光送受信システムが得られる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の他の実施形態における光送受信装置及び光送受信システムの例(斜端面角=δ)を示す図。
【図2】POFの伝送条件を満たす入射光・出射光角度の開口数依存性(斜端面角=0)
【図3】斜端面角に対するPOFの伝送条件を満たす入射光・出射光角度、ならびに発光用集光手段の光軸と受光用集光手段の光軸の設定例を示す図(開口数=0.5、斜端面角=δ、θ=25度)
【図4】光送受信装置中の制御装置の構成例を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態における光送受信装置及び光送受信システムの例(斜端面角=δ)を示す図。
【図6】本発明の他の実施形態における光送受信装置及び光送受信システムの例(斜端面角=δ)を示す図。
【図7】本発明の他の実施形態における光送受信装置及び光送受信システムの例(斜端面角(受光用集光手段側)=δ、発光用集光手段側斜端面角=δ‘)を示す図。
【図8】図7の例において、受光素子側斜端面角に対するPOFの伝送条件を満たす入射光・出射光角度範囲を示す図(開口数=0.5、受光素子側斜端面角=δ、発光素子側斜端面角=δ‘、θ=25度)
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に本発明の実施形態における光送受信装置20および光送受信システム21の一例を示す。1本のPOF5の一端8付近に、発光素子1、発光用集光手段2、受光素子3、および受光用集光手段4を配置し、当該POF5の他端13付近に、動く被検出体6を配置する。発光素子1と受光素子3は、制御装置7により制御される。1本のみのPOF5で構成しており、POF部分の柔軟性にとみ、かつシステム構成がシンプルで安価に構成できる利点がある。
図1において、POF5,POF5の一端8、発光素子1、発光用集光手段2、受光素子3、受光用集光手段4、および制御装置7で光送受信装置20を構成している。
また、光送受信装置20に、POF5の他端13、移動体6を含めて、移動体検出用の光送受信システム21を構成している。
【0034】
POF5の一端8はPOF5の中心軸9に垂直な面に対して斜めに切断されている(以降では斜端面と略す)。POF5の他端13は、POF5の軸9に対し、垂直に切断されている。発光用集光手段2の光軸は、POF5の中心軸9ないしは後述する対称平面22に対しα度なる角度を有し、受光用集光手段4の光軸は、POF5の中心軸9ないしは対称平面22に対しβ度なる角度を有している。なお、以下の説明ではすべて、時計回り方向の角度をプラスとし、反時計まわり方向の角度をマイナスとする。また、以下の説明図では、説明上、POF5の直径の寸法を、集光手段の直径や光ファイバと各集光手段との距離にくらべ、拡大して示している。
光の入射の効率と、POF5の柔軟性の点より、POF5の直径の寸法としては、1mm以上10mm以下、好ましくは1.8mm以上5mm以下を対象としている。また、POF5の一端8の斜端面と発光用集光手段2ないしは受光用集光手段4との距離は、通常1mm程度以上15mm程度以下、好ましくはPOFのコア径程度以上でコア径の5倍程度以下、の範囲となる。
【0035】
図1では、POF5の一端の端面を、POF5の軸9の垂直方向からδの斜端面角度をもって斜めに切断している。POF5の長手方向の中心軸9に対し、POF5中を伝送してきた光が斜端面から出射する出射光の中心軸がなす角をγ(度)とすると、上記の式(1)の関係(以下では「出射光中心軸の式」と呼ぶ)が成り立つ。すなわち出射光の中心軸は、POF5の中心軸9に対し、斜端面の法線方向からは遠くなる方向(下記に示す斜端面の最鋭角部P側)に曲がる。
以後の説明において、POF5の中心軸9と平行な外形線と斜端面部分とが成す角が最鋭角を有する頂点部分P(図1、最鋭角部と略記する)から当該POF5の中心軸に下ろした垂線に垂直であり、かつPOF5の中心軸を含む平面、すなわち図1でPOF5の中心軸を通り紙面に垂直な平面、を対称平面22と呼ぶ。なお、図1中のQは,POF5の長さ方向の外形線と斜端面部分とが成す角が最鈍角を有する頂点部分を示す。
上述のように、POF5の斜端面8から出射される出射光の中心軸は、POF5の中心軸9に対し、上記のP側に曲がるため、受光用集光手段4の光軸を出射光の中心軸付近(プラスマイナス10度以内)に設置することにより、効率よく出射光を検出できると共に、対称平面22に対して受光用集光手段4の光軸とは反対側で、かつPOF5中の伝送条件を満たす入射可能範囲に発光用集光手段2の光軸を設置できるため、入射光や出射光の光の利用効率を高くした状態で、発光素子1、発光用集光手段2、受光素子3、受光用集光手段4の設置が容易となる利点がある。
【0036】
なお、POF5の一端8の斜端面と受光用集光手段4の光軸とが交差する部分が、対称平面22に対しわずかに受光素子3の反対側に位置する場合であっても、POF5の一端8と受光用集光手段4との間の受光用集光手段4の光軸の主要部分(90%以上)が上記条件を満たせば、特に問題とはならず、上記の利点は保存される。発光用集光手段4の光軸に対しても、同様に、POF5の一端8の斜端面と発光用集光手段2との間の発光用集光手段4の光軸の主要部分(90%以上)が上記条件を満たせば、特に問題とはならなず、上記の利点は保存される。したがって、これらの状態も、上記の[0035]の記載に含まれるものとする。
また、受光素子3及び受光用集光手段4と、発光素子1および発光用集光手段2とが、対称平面22に対して反対側に位置しかつほぼ対称に設置することが可能となるため、市販の反射型フォトセンサ11を用いることにより、従来法では面倒な光軸の設定が不要で、光利用効率の高い状態が、容易に設定できると共に、特性の揃ったシステムの構築が容易になる利点がある。
【0037】
なお、発光用集光手段2として、通常のレンズに変えて、発光素子1からの光を集光しほぼ平行光に変換するコリメートレンズを用いることができる。コリメートレンズに入力した光のほとんどを、POF5中の伝送条件を満たす条件にてPOF5の一端から入射させることができるため、受光素子3に入射する光量もさらに増加する利点がある。また、受光用集光手段としてコリメートレンズを用いると、POF5からの所定角度の出射光のみを集光できるため、発光用集光手段からPOF5の一端8の端面に入射された光の当該端面での直接的な反射光をさらに受けにくくできる利点がある。
【0038】
図2は、POF5の一端が、POF5の軸9に対し、垂直に切断されている場合において、POF5中を伝送可能な条件においての、POF5への入射光の角度の条件およびPOF5から出射される光の角度の存在範囲を示す。なお、POF5の一端8が斜端面を有する場合には、出射光や入射光の中心軸に対して、光の存在範囲は若干増加するが、基本的な傾向は変わらない。
受光素子3により、被検出物6からの光を効率よく安定して検出するためには、発光用集光手段2の光軸ならびに受光用集光手段4の光軸は、少なくともPOF5から出射される光が存在する角度内に設置すべきである。すなわち、図2において、出射光の存在する灰色部分の範囲に受光用集光手段4の光軸を設定する必要がある。
【0039】
発光用集光手段2の光軸と、受光用集光手段4の光軸との関係は任意に設計することも不可能ではない。しかし、発光素子1からの光のかなりの部分をPOF5に入射させ、かつPOF5からの出射光のかなりの部分を受光素子3に入射させるためには、発光用集光手段2と受光用集光手段4とはある程度の大きさを必要とし、発光用集光手段2の光軸と、受光用集光手段4の光軸との成す角(以下ではθと略記。|α−β|に相当。)は、汎用の受光素子や発光素子や反射型フォトセンサ等を使用するには、少なくとも15度程度以上を要することを見い出した。発光用集光手段2からの光のPOF5の端面での直接的反射光が、受光用集光手段4に入射しにくくなる好ましい条件として、発光用集光手段2の光軸ないしは受光用集光手段4の光軸をPOF5の軸9にほぼ一致させた場合において、上記2つの条件を満たす光ファイバ5の開口数は、図6より0.3程度以上となる。
【0040】
なお、POF5の端面に入射した光はその一部が直接反射されるが、端面部分の凹凸や表面状態により、直截反射光のさらに一部が拡散性の反射になる場合がある。このように拡散性の反射があっても、受光素子3に入射するこれらの不要な光を減じ、かつ受光用集光手段4に入射する光量を増加させるには、発光用集光手段2の光軸と、受光用集光手段4の光軸との成す角θは好ましくは20度程度以上を要することを見い出した。この場合、POF5の開口数としては、図2より0.4程度以上が好ましい。
一方、開口数が0.7以上になると、POF5から出射する光が広がりすぎて単位立体角当たりの光量が低下するため、受光素子に入射する光量も低下し好ましくない。したがって、開口数としては0.7以下、さらに好ましくは0.6以下に設定する。
【0041】
図1において、発光素子1からの光のPOF5の一端8の斜端面において直接反射した光が、発光用集光手段2ないしはその付近方向に反射されるか、ないしはPOF5の一端8の斜端面の法線に対し受光用集光手段4とは反対側に反射されるように、発光用集光手段2の光軸を、POF5の一端8の斜端面の法線方向のプラス・マイナス10度以内、ないしはPOF5の一端8の斜端面の法線方向に対し受光用集光手段4側に、設置している。
【0042】
図3に、開口角が0.5の時の斜端面角δに対する、出射光の中心軸、斜端面角の法線方向、光ファイバ5中での伝送条件を満たす斜断面への入射光のPOF5の軸に対する角度α(度)の範囲、および斜断面からの入射光のPOF5の軸に対する角度β(度)の範囲、を灰色で示す。なお、
|α(度)−δ(度)|≧90、あるいは|β(度)−δ(度)|≧90・・・式(2)の場合は、POF5への入射、あるいはPOF5からの出射が不可能となる。図7では式(2)の等号の場合を、|α,β−δ|=90と略記している。
また、90>|α,β−δ|≧80の場合には、入射ないしは出射光と斜断面の端面との角度が10度以下となり、POF5の端面を見込む立体角が極めて狭くなるため、効率的な光の入射および出射光の受光は困難になる。
【0043】
なお、開口数が0.5以外の場合の斜端面角に対する伝送条件は、図3と類似の傾向を示す。すなわち、出射光の中心軸の上下に存在する入射光・出射光の存在範囲の幅は、斜端面角δが0度では図2での存在範囲の幅に一致し、斜端面角δの絶対値の増大とともに増大する。
【0044】
図3において、発光用集光手段2の光軸と受光用集光手段4の光軸とが成す角=θ(度)=|α−β|として、25度のものを使用したときの、発光用集光手段の光軸がPOF5の中心軸9ないしは対称平面22に対して成す角度=α(度)を黒丸で示し、受光用集光手段の光軸がPOF5の中心軸9ないしは対称平面22に対して成す角度=β(度)を矢印の頂点で示し、黒丸部分にケース番号を付している。
【0045】
斜端面角δが0の時(すなわち、端面がPOF5の中心軸に垂直の時)は、図3中のA0、A1およびA2の設定が可能である。A0およびA1は、ともに発光用集光手段の光軸がPOF5の中心軸付近に設置し、受光用集光手段の光軸を入射光・出射光の存在範囲の限界付近に設置するものである。これらの場合、受光素子に入射される光量が大幅に減じる欠点がある。
一方、A2は、発光用集光手段の光軸を入射光・出射光の存在範囲の限界付近に設置し、受光用集光手段の光軸をPOF5の中心軸付近に設置するものである。これらの場合、受光素子への光量は増えるが、発光用集光手段の光軸が入射光・出射光の存在範囲の限界付近に設置され、この限界より外側の光軸成分の光部分はPOF5中を伝送されないため、所定の光量をPOF5に入射させるためには、発光用集光手段の光軸を高い精度で設置することが必要になりコストアップとなると共にPOF5中を伝送される光量が低下する欠点がある。
【0046】
斜端面角δ=5度付近では、POF5の一端8の斜端面の法線方向に黒丸を、出射光の中心軸より反法線方向のマイナス20度に矢印の頂点を有するB0ケースは、δ=0のA0ケースに比べ、受光用集光手段の光軸が、出射光の中心軸に近づくため、受光量が増大するが、出射光の中心軸のプラスマイナス10度以内の部分に受光用集光手段の光軸を設定する場合に比較し低い値を示す。出射光の中心軸より反法線方向に黒丸を設定し出射光の中心軸上に矢印の頂点を有するB2のケースでは、入射光のPOF5の一端8の斜端面での直接的反射光は、POF5の一端8の斜端面の法線方向10に対し対称な位置に反射し、受光用集光手段の光軸に対しさらに遠くに離れため、δ=0のA1ケースのPOF5の中心軸に対称なケース(A2ケースと呼ぶ)に比べ、不要な光を受光する危険性がさらに少なくなる。ただしδ=0時のA2のケースで述べた欠点と同じ欠点を有する。
なお、黒丸をPOF5の端面8の法線方向10より反受光素子側に設置し、矢印の頂点を出射光の中心軸に設定するB1ケースでは、入射光のPOF5の一端8の斜端面での直接的反射光が受光用集光手段4の光軸に対し近づくため、好ましくない。
【0047】
斜端面角δ=10度付近では、POF5の一端8の斜端面の法線方向に黒丸を、出射光の中心軸方向に矢印の頂点を有するC0ケースは、δ=5度のB0ケースに比べ、受光用集光手段の光軸が、出射光の中心軸のプラスマイナス10度以内ないしはその付近となるため、受光量がさらに増大する。
出射光の中心軸より反法線方向に黒丸を設定し出射光の中心軸上に矢印の頂点を有するC2のケースは、δ=5度のB2ケースに比べ、不要な光を受光する危険性がさらに少なくなるが、δ=0時のA2のケースで述べた欠点と同じ欠点を有する。
なお、黒丸を光ファイバ5の端面の法線方向より反受光素子側に設置し、矢印の頂点を出射光の中心軸に設定するC1ケースでは、入射光のPOF5の一端8の斜端面での直接的反射光が受光用集光手段の光軸に対し近づくため、B1ケース同様に好ましくない。
【0048】
斜端面角δ=20度付近では、POF5の一端8の斜端面の法線方向より出射光の中心軸側に黒丸設定し、出射光の中心軸付近に矢印の頂点を設定するD1のケースは、入射光のPOF5の一端8の斜端面での直接的反射光が受光用集光手段の光軸に対しさらに遠くに離れため、δ=10度のC0ケースに比べ、不要な光を受光する危険性がさらに少なくなる。また、矢印を、出射光の中心軸付近に合わせることができるため、受光量が増大し、SN比は増大する。
出射光の中心軸より反法線方向に黒丸を設定し出射光の中心軸上に矢印の頂点を有するD2のケースは、δ=0時のA2のケースで述べた欠点と同じ欠点を有する。また、発光用集光手段の光軸から斜端面を見込む角度が狭くなる欠点も強くなってくる。
【0049】
斜端面角δ=30度付近では、F1,F2のケースはδ=20度時のD1,D2のケースと類似の特徴を有する。光ファイバの一端8の端面の法線方向10に対し出射光の中心軸側に黒丸を設定し、出射光の中心軸付近に矢印の頂点を設定するD1のケースは、入射光のPOF5の一端8の斜端面での直接的反射光が受光用集光手段の光軸に対しさらに遠くに離れため、δ=20度のD0ケースに比べ、不要な光を受光する危険性がさらに少なくなる。また、矢印を、出射光の中心軸付近に合わせることができるため、受光量が増大し、SN比は増大する。
なお、θ=25度においては、20度付近≦δ≦30度付近において、黒丸と矢印とが、POF5の中心軸9に対して対称な位置となるところがある(E1)。この部分は、発光素子1,発光用集光手段2、受光素子3,受光用集光手段4に対し、実際に光学的設定を行う上で設定しやすい利点がある。
【0050】
斜端面角δ=40度付近のG1ケースでは被検出物からPOF5の他端13に入射した光はファイバ中を伝送され、POF5の一端8から出射されるが、POF5の一端8の端面が斜めに加工されているため、その出射光は、この斜端面の法線方向から離れる方向に、屈折する。このため、POF5の端面がPOF5の光軸に垂直な場合に比べ、発光用集光手段2の光軸と受光用集光手段4とのなす角θとして大きくできるため、端面部分の凹凸や表面状態により、直截反射光のさらに一部が拡散性の反射になる場合であっても、受光素子3に入射するこれらの不要な光を大幅に減じることができる。また、受光用集光手段4の光軸は、POF5の一端から出射する出射光の中心軸に一致ないしは近づけることができるため、受光素子に入射する光量を大幅に増加させることができる。このため、さらにSN比が大幅に改善した測定が可能となる利点がある。
ただし、図3にも示している通り、斜断面角のわずかな増減で、POF5の一端8からの出射光の中心軸の位置が大きく変化するため、製品ごとの特性を一定に保つには、斜断面角を精度よく管理することが必要となる。
【0051】
図3中の斜端面角δは、大きくしすぎるとPOF5の伝送条件を満たさなくなったり、斜断面角のわずかな増減で出射光の中心軸の位置が大きく変化したり、斜端面の法線方向と光ファイバ5から出射される光の中心軸方向との成す角が必要以上に広くなり斜端面角δの効果が少なくなるため、斜端面角δとしては、5度以上40度以下、好ましくは10度以上40度以下に設定する。
なお、図3において、矢印の位置として、出射光の中心軸に一致させている部分は、出射光の中心軸のプラス・マイナス10度以内であれば、出射光の中の光量の比較的大きい部分が受光素子3に入力されるため、上記に述べたのと同様な効果が得られる。この場合[0049]で述べた、黒丸と矢印とが、POF5の中心軸9に対して対称な位置となるδの範囲は、13度付近≦δ≦30度付近まで拡大される。
また、図3においては、黒丸と矢印間の角度θとして、25度の場合を例示しているが、前述したように、15度以上であれば本発明は適用することができ、好ましくは20度程度以上であればよい。黒丸と矢印間の角度θが大きすぎると、図2の傾向からも予想される様に、POF5の一端8の斜端面での不要な反射光をできるだけ受光しないようにするために使用できるPOF5の開口数が大きいものに制限されるため、黒丸と矢印間の角度θは50度以下で、好ましくは40度以下とする。
【0052】
図4に制御装置7の構成例を示す。同期信号発生手段7−2からのパルス信号を受けて発光素子駆動手段7−3にて光素子1を周期的にパルス発光させ、発光用集光手段2によりPOF5の一端8に光を導入する。POF5中を伝送し、POF5の他端13から光を放出し、少なくともその一部をPOF5の該他端13から再入射し、POF5中を伝送しPOF5の該一端8から放射し、受光用集光手段4を経由して受光素子3で光を電気に変換する。その信号を信号増幅手段7−4にて増幅後、同期信号発生手段7−2からの変換開始パルス信号によりAD変換手段(アナログーデジタル変換器)7−5にてデジタル信号に変換後、信号処理手段7−1によって信号処理を行って出力信号12ないしは表示器7−8に出力する。なお、収集したデータは一時記憶手段7−6で記憶する。出力信号12は、リレー素子などを経由して接点出力とすることもできる。なお、信号処理手段7−1への指示は、スイッチ類やタッチパネル等により入力手段7−7から行う。なお、信号処理手段7−1、同期信号発生手段7−2、AD変換手段7−5および一時記憶手段7−6などは、処理装置7−9として、市販の汎用マイクロコンピュータ(例えばPIC等)で代用することもできる。また、AD変換手段7−5には、必要に応じてサンプル・ホールド回路機能を含ませることができる。また、他の処理用にマイクロコンピュータやデジタル信号処理装置を使用している場合には、当該マイクロコンピュータやデジタル信号処理装置の一部の機能を流用し、図4中の処理装置7−9の機能を行わせることもできる。
【0053】
一本のファイバを用いる本発明においては、POF5の一端8における端面の状態により、大なり小なり、発光素子1からの発光の一部が、POF5の一端8や他端13などで反射拡散し、受光素子3に入力される危険性が高い。この一端8の端面を斜断面状に製作することにより、受光素子3に不要な光が入力される危険性を大幅に低減可能であるが、ゼロにすることは困難である。したがって、受光素子3に入力される光量中、光素子1の発光が被検出物6経由で光ファイバ5の他端から光ファイバ5に再入射した光に起因する信号成分と、POF5の一端8や他端13の端面などで反射・拡散した光に起因する不要な光量およびその他の不要な光量起因分とを、判別する必要がある。
なお、発光光素子1の発光の光ファイバへの導入と、光ファイバからの受光素子3への光の出射を、別の光ファイバないしは別の光ファイバ部分を用いる従来の方式では、POF5の一端8の端面で反射・拡散した光に起因する不要な光の受光は、通常考慮する必要がない。
【0054】
本発明においては、このPOF5の一端8や他端13などの端面で光素子1からの光が反射・拡散したものが、受光素子3に入射する不要な光を把握する必要性が高い。この不要な光は、POF5の一端8や他端13などの端面の状態などによっても変化するため、適当な周期で計測しその値(以降では、ファイバ端面反射等起因データと略記する)を一時記憶手段7−6に記憶し、通常時には計測データからこのファイバ端面反射等起因データを、まず差し引いた上、以後の信号処理を行うのが好ましい。なお、このファイバ端面反射等起因データには、後述するPOF口径変換部5−2での反射などを含め、上記で述べたその他の不要な光量起因分も含まれている。
ファイバ端面反射等起因データを計測するタイミングは、被検出体6がPOF5の他端13から離れている時に行う。後述する単芯双方向通信システムにおいては、通信を行っていない状態でかつ発光素子が発光している状態で行う。初期状態において、被検出体6がPOF5の他端13から離れているケースや、通信を行わないケースにおいては、電源投入直後に行うことができる。また、入力手段7−7中にリセット位置TESTスイッチを設け、被検出体6がPOF5の他端13から離れていることを操作者が確認し、ないしは単芯双方向通信システムにおいて通信を行っていないことを操作者が確認し、操作者がこのスイッチを押す時に行ってもよい。
【0055】
POF5の一端8の端面を斜端面状に製作することにより、受光素子3に入力されるファイバ端面反射等起因の不要な光を大幅に低減可能である。この場合にはAD変換後の値が所定の値以下における複数のデータの値を時間平均し、その値を一時記憶手段7−6に適当な周期で記憶し、その値を上記のファイバ端面反射等起因データとして用いることもできる。
【0056】
上記のようにして、通常時におけるAD変換後のデータからこのファイバ端面反射等起因データを、まず差し引いた上、しきい値処理を含む以後の信号処理を行えば、信号処理時のデータでは不要な光量に起因する値が排除できるため、被検出体6の有無の2値の計測のみに止まらず、複数階調の多値の判別も可能となる。例えば、被検出体6とPOF5との相対位置として、直近、少し近い、少し遠い、遠い、の4段階等、3値ないしはそれ以上の多値の判定が可能となる。
【0057】
また、発光スペクトルの異なる(例えば、赤色、緑色、青色等)複数の発光素子1とこれらとそれぞれ複数本のPOF5および複数個の受光素子3を組合せることにより、被検出体6の色情報の検出も可能となる。この場合簡単には、図4のシステムを複数個揃えれば構成できる。制御装置7中の点線で囲った部分はアナログマルチプレクサ付の1個のマイクロコンピュータにて順次処理することも可能であり、入力手段7−7や表示手段7−8も一組ですませられる。3色の発光に対し、それぞれ3値ないしはそれ以上の多値の判定を行う場合、10色を超える色の判別が可能である。
なお、発光スペクトルの異なる複数の発光素子が一つの発光素子1として集積されているものを用い、受光スペクトルの異なる複数の受光素子が一つの受光素子3として集積されているものを用いれば、単一のPOF5のみを用いた極めてシンプルな構成で、被検出体6の色情報の検出も可能となる。また、発光スペクトルの異なる複数の発光素子が一つの発光素子1として集積されているものを用い、発光素子1中に内蔵する複数の発光素子を時分割で点灯させ、受光スペクトルの広い単一の受光素子3用いて発光に同期して色情報の検出を行う場合においても、単一のPOF5のみを用いた極めてシンプルな構成で、被検出体6の色情報の検出も可能となる。
【0058】
なお、3値ないしはそれ以上の多値の判定を行う場合には、白色の被検出体を用いて、受光素子3への最大光量の校正を行うのが好ましい。実際には、反射率の高い白色の被検出体を、POF5の他端付近に設置し、入力手段7−7中に設けた最大光量校正ボタンを押すことにより、このとき受光素子3に入射する光の信号を信号増幅手段7−4を経由してAD変換し、このときの値から前記のファイバ端面反射等起因データを差し引き、制御部7内の一時記憶手段7−6に最大光量信号として記憶する。ゼロと最大光量信号の値との間を3値ないしはそれ以上の領域に分ける。3値の場合は、反射無領域、反射小領域、反射中領域および反射大領域に区分する。この区分は等間隔でもよいし、反射光の弱い部分を狭く、強い部分を広くして人間の目の感覚に合わせるなどを行ってもよい。
【0059】
これまで、図1においては、POF5を直線状に配置しているが、POF5中の伝送条件が大幅に変化しない範囲で、屈曲しても、本発明は同様に適用できることはもちろんである。なお、POF5の他端13における光の放射方向と被検出体6の位置が交差しない場合には、POF5の他端13部分に、光の放射方向を変化させる光アダプタ14(図示しない)を用いても、本発明は同様に適用できる。なお、光アダプタ14としては、曲がり形状のファイバや反射ミラーやプリズムなどを用いることができる。
【0060】
また、後述する口径変換手段と同様な方法により、口径の小さいPOFに変換し、POF5の他端13付近の口径を絞り、POF5の他端13から出射される出射光の領域を狭い範囲に制限し、位置精度の良い移動体検出用の光送受信システムを構成することもできる。
【0061】
図5に他の実施例を示す。これまで、POF5として、単一の直径を有するPOF5を用いる場合を述べてきたが、何らこれに限定するものではない、図5に示すように、端面が斜めに加工された、比較的大きい直径(例えば、直径が1.8mm−5mm)のPOF部分5−1と、細い直径(例えば、0.2mm−1.5mm)のPOF部分5−3と、その間に位置する直径が変化するPOF口径変換部5−2とからなっている。
【0062】
図5において、発光素子1、受光素子2、発光用集光手段2および受光用集光手段4は、一体化された反射型フォトセンサ11に構成されたものを使用する場合につき示している。一体化された反射型フォトセンサ11は、市販品もあり、低コストでかつ品質がそろっている利点がある。
また、一体化された反射型フォトセンサ11部分と、POF5−1の一端8付近は、遮光手段16を設置し、外部光が受光素子3やPOF5−1の端面に入射しないよう構成している。なお、遮光手段16の内面は、艶消しの黒色塗料などを塗布し、不要な反射が生じない構成するのが好ましい。
また、図5では、POF5の一端8の斜端面は、斜断面角δ=10−40度、好ましくは15度−30度で、斜めに加工されている。POF5の中心軸9ないしは対称平面22と、発光用集光手段2の光軸と成す角αは、+5度ないしは+30度(好ましくは+5度ないしは+20度)に設定し、POF5の中心軸9ないしは対称平面22と、受光用集光手段4の光軸と成す角βは、−5度ないしは−30度(好ましくは−10度ないしは−20度)に設定している。
なお、図3でも述べたように、斜断面角δを、使用する一体化された反射型フォトセンサ11に合わせて、13度−30度程度の適当な値に設定すれば、上記の角度αとβは、符号が逆でほぼ同じ絶対値にすることができるため、光学的設定も容易になる利点がある。
【0063】
発光素子1や受光素子3との間で、集光手段2や4を介して光の入出力を行う、POF5の端部8では、図2に示したように、ある程度以上の開口数のファイバを使用するほうが、効率のよい光の入出力ができる。また、比較的大きい直径(例えば、直径が1.8mm−5mm)のPOF5−1を用いる方が、少々光軸がずれても、効率よくPOF5への光の入射が可能で、POF5の一端8からの出射光も大きく変化せずに受光可能である。しかし、ファイバの直径が太くなると、柔軟性が悪くなり、曲げ半径も大きくなる欠点がある。
一方、反射光の変化を検出したいPOF5の他端13は、設置するスペースが狭かったり、小さい光ファイバの曲げ半径を要する場合がしばしば生じ、POF5の他端13付近の直径は、細い方が好ましい場合が多い。このような場合には、図5に示したように、POF5の途中にPOF口径変換部5−2のように、POF5の直径を漸次変化させる部分を設ければよい。
【0064】
POF口径変換部5−2は、比較的太い直径の光ファイバを回転させながら、その周囲から熱を加えつつ、徐々に引っ張ることにより得ることができる。あるいは、比較的太い直径の光ファイバの先端付近を図5のPOF口径変換部5−2に示すテーパ形状になるように機械加工し、その先端を細い直径の光ファイバと接着させてもよい。なお、この場合には、接着剤として、固着後POFのコアに近い屈折率となるものを用いることが望ましく、機械加工した部分は前もって透明フッ素樹脂の低屈折率樹脂などで単層ないしは複数層のコーティングを行い、薄い単層ないしは複数層のクラッド層を形成しておくのが望ましい。
【0065】
POF口径変換部5−2としては、特開2001−350037号公報に記載ないしは引用されているような、レンズないしはレンズ作用を有する物質の使用、ないしは大口径側のPOF5の端面を凸状に加工すること、などによりPOF5の口径変換を効率よく行う方法を用いることもできる。
【0066】
なお、いずれのPOF口径変換部5−2を用いても、POF口径変換部5−2ではいくばくかの反射成分が生じその一部はPOF5を逆に伝送し、POF5の一端8から出射し、受光素子3にて不要光として検知される。このため、POF口径変換部5−2を使用する場合には、制御装置7内にて、図4に関連して述べたファイバ端面反射等起因データの信号処理が必須となる。
【0067】
図5において、発光素子1からの光は、発光用集光手段2を適切に設計しPOF5の斜端面8の一部分だけに集光させることにより、POF5の端面のエッジ部分や遮光手段16を照射してそれらの不要な反射光が、受光素子4に入射されるのを回避ないしは大幅に低減することができる。なお、集光手段2とPOF5との間で、発光素子1からの光を制限させる様に後述するような遮光体19を設け、発光素子1からの光が受光素子3側のPOF5の端面のエッジ等を照射しない様に構成し、上記不要な反射光を光受光素子4に入射させないように構成することもできる。
【0068】
図6に、POF5の両端部分に、ともに、一体化反射型フォトセンサ11aおよび11bを設置し、制御装置7aおよび7bを介してパソコン17aおよび17b間でデータ通信を行う光送受信システムの他の実施例を示す。電気通信路12aおよび12bは、低速のRS−232C規格の通信や、より高速の全2重通信にも対応させることもできる。
第1のパソコン17aから発信された信号は、制御装置7aを経由して、発光素子1aを駆動する。その光は発行用集光手段2aを介して、POF5の一端に入射される。その入射光は、光ファイバ5中を伝搬し、光ファイバ5の他端から出射され、受光用集光手段4bを経由して受光素子3bに入射し、電気信号に変換されて、制御装置7bと電気通信路12bを経由して、第2のパソコン17bに入力される。
同様に、第2のパソコン17bから発信された信号は、上記と逆のルートをたどって、第1のパソコン17aに入力される。POF5中では、右に伝搬する波と、左へ伝搬する波が共存するが、基本的には、両方向の光間では、干渉等は生じない。
図6においては、POF5部分に口径変換部5−2a、5−2bを設け、POF5の主要部分の口径を細くし柔軟性を良くした単芯双方向通信の光送受信システム21を示す。
なお、発光素子1a,1bの発光波長を異ならせ、発光素子1aの光は通すが発光素子1bの光は通さない光学フィルタを受光素子3bないしはその集光手段4bの前面に設置し、発光素子1bの光は通すが発光素子1aの光は通さない光学フィルタを受光素子3aないしはその集光手段4aの前面に設置することにより、POF5の端面やエッジあるいは遮光手段16経由での不要光の受光素子3への漏れ込みの悪影響を低減することもできる。
【0069】
図6において、POF5の部分に、光コネクタ15を用いてで着脱割可能にすることもできる。図6においては、口径の大きいPOF部分である5−1aや5−1b部分に光コネクタ15aや15b(図示せず)を設置するのが、光コネクタの接合精度をあまり必要とせずに所望の結合特性が得られるためコストと性能の点で好ましい。
【0070】
図7は、POF5の一端8を、複数個の端面で構成する光送受信装置20の例を示す。受光用集光手段4と対面する端面(第1の端面部分)の斜端面角δをプラスに設定し、発光用集光手段2と対面する端面(第2の端面部分)の斜端面角δ‘(図7参照)を0ないしはマイナスに設定し、POF5からの出射光を効率よく検知し、POF5への入射効率を改善すると共に、発光素子1からの不要光が、受光素子3に入射されないように構成している。
この場合、図1でも述べたと同様に、POF5の一端8の斜端面から出射される出射光の中心軸は、POF5の中心軸9に対し、上記のP側に曲がるため、受光用集光手段4の光軸を出射光の中心軸付近(プラスマイナス10度以内)に設置することにより、効率よく出射光を検出できると共に、対称平面22に対して受光用集光手段4の光軸とは反対側で、かつPOF5中の伝送条件を満たす入射可能範囲に発光用集光手段2の光軸を設置できるため、発光素子1、発光用集光手段2、受光素子3、受光用集光手段4の設置が容易となり、市販の一体化反射型フォトセンサの使用も可能となる利点がある。
一体化反射型フォトセンサ11中の発光用集光手段2と受光用集光手段4との中心間距離が、POF5の一端8でのPOFの直径と比べ同等ないしはより広い場合には、受光用集光手段4と対面する端面(第1の端面部分)の斜端面角δをプラスに設定し、発光用集光手段2と対面する端面(第2の端面部分)の斜端面角δ‘(図7参照)を0ないしはマイナスに設定し、POF5への入射光や光ファイバ5からの出射光を効率よく一体化反射型フォトセンサ11に入出力するように構成している。
発光素子1からの光によるPOF5の端面や遮光手段16等での不要な反射光による受光素子3への不要な光の入射を極力避けるために、第1の端面部分と第2の端面部分との境界部分と一体化反射型フォトセンサ11との間に、遮光体19を設けている。また、第1の端面部分と第2の端面部分との境界部分の端面部分に空隙18を設けることにより、この境界部分を介した不要光を大幅に低減できる。
このことにより、発光素子1からの光によるPOF5の一端8での不要な反射光が受光素子3に入射される危険性を大幅に低減することができると共に、発光用集光手段2の光軸の設置可能範囲を大幅に増加させることができる。すなわち図4における、ファイバ端面の法線方向近より受光素子側に、発光素子を設置する制限の必要がなくなる。
【0071】
POF5の長さ方向の外形線と第一の端面部分および第二の端面部分の最鋭角部をPおよびP‘で示している。
第一の端面部分の最鋭角部であるPからPOF5の中心軸に下ろした垂線に垂直であり、かつPOF5の中心軸を含む平面、すなわち図7でPOF5の中心軸を通り紙面に垂直な平面を、図1と同様に対称平面22と呼ぶ。
【0072】
図8に、図7に対する、POF5中での伝送条件を満たす、出射光の範囲と入射光の可能範囲を示す。なお、図8中の黒丸と矢印は、図3の説明のため用いたものをそのまま併記している。
図8中縦軸が負の部分は、POF5の一端8の第一の端面からの出射光の範囲を示し、この範囲は図3の下半分に相当している。
図8中縦軸が正の部分は、POF5の一端8の第二の端面部分への入射光の可能範囲を示す。この場合には、第一の端面の斜断面角(δ)には無関係となり、第二の端面の斜断面角(δ‘)にのみ依存する。δ‘=0のときはβの上限は約30度、δ‘=10度の時はβの上限は約37度、であり、第二の端面の斜断面角(δ‘)が増大するとともに、βの上限も増大する。
また、発光素子1からの光がPOF5の一端8の第二端面に入射し、端面での反射成分が生じても、遮光手段19にて遮光されて、受光素子3には入力されないため、図3のB1やC1のケースに対しても、SN比の高い信号を受信できる利点がある。
【符号の説明】
【0073】
1:発光素子、2:発光用集光手段、2’:発光用コリメータレンズ、
3:受光素子、4:受光用集光手段、4’:受光用コリメータレンズ、
5:POF、6:被検出体、7:制御装置、8:POFの一端、
9:POFの中心軸、10:POFの一端の端面の法線、11:一体化反射型フォトセンサ、12:制御装置の出力信号、13:POFの他端、14:光アダプタ、15:光コネクタ、16:遮光手段、17:パソコン、18:空隙、19:遮光体、20:光送受信装置、21:光送受信システム、22:対称平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口数が0.4以上0.6以下でコア部の口径が1.8mm以上5mm以下の部分を有する一本のPOFの一端の少なくとも一部を、POFの中心軸に垂直な平面から10度以上40度以下の角度を有する斜端面で構成し、該POFの中心軸に平行な該POFの外形線と該斜端面との最鋭角部分からPOFの中心軸におろした垂線に垂直でかつPOFの中心軸を含む平面に対して、該最鋭角部分側に受光素子および受光用集光手段の光軸を、該最鋭角部分とは反対側に発光素子および発光用集光手段の光軸を配置し、発光素子からの光の少なくとも一部をPOFに入射するとともに、POFからの出射光を受光用集光手段を経由して受光素子で検知し、その出力をAD変換器を経由し、しきい値処理を有する信号処理装置に入力し、信号処理後に信号処理装置から出力することを特徴とする一本のPOFを用いた光送受信装置。
【請求項2】
受光用集光手段の光軸を、該POFの該斜端面から出射する光の中心軸のプラス・マイナス10度以内に設置し、発光用集光手段の光軸を、該POF中の光伝送条件を満たす範囲内でかつ該発光用集光手段からの該POFの該一端の切断面における直接的な反射光が受光用集光手段に入射しない位置に設置することを特徴とする、請求項1に記載の一本のPOFを用いた光送受信装置。
【請求項3】
発光用集光手段の光軸を、該POFの該斜端面の法線の方向のプラス・マイナス10度以内ないしは該POFの該斜端面の法線の方向に対し受光用集光手段側に設置し、受光用集光手段の光軸を、該光ファイバの該一端から出射する光の存在する範囲内に設置することを特徴とする請求項1および請求項2に記載の一本のPOFを用いた光送受信装置。
【請求項4】
一本のPOFの一端の一部を、POFの中心軸に垂直な平面から10度以上40度以下の角度を有する第一の斜端面で構成し、該POFの中心軸に平行な該POFの外形線と該第一の斜端面との最鋭角部分からPOFの中心軸におろした垂線に垂直でかつPOFの中心軸を含む平面に対して、該最鋭角部分側に受光素子および受光用集光手段の光軸を、該最鋭角部分とは反対側に発光素子および発光用集光手段の光軸を配置し、該POFの中心軸に垂直な平面に対して第一の斜端面とは逆向きの角度を有する第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な端面を構成し、第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な該端面と第一の斜端面との境界付近に遮光体を設置し、発光素子からの光の少なくとも一部を第二の斜端面ないしは該POFの中心軸に垂直な該端面を経由してPOFに入射するとともに、該POFの第一の斜端面からの出射光を受光用集光手段を経由して受光素子で検知することを特徴とする請求項1に記載の一本のPOFを用いた光送受信装置。
【請求項5】
発光素子、発光用集光手段、受光素子、および受光用集光手段を一体化したものを用いることを特徴とする、請求項1および請求項4に記載の一本のPOFを用いた光送受信装置。
【請求項6】
電源投入直後ないしは、所定の操作時の受光量信号を記憶し、通常時には、受光量信号から当該記憶受光量信号を差し引いた後、しきい値処理を含む信号処理を行う信号処理装置を用いることを特徴とする、請求項1および請求項4に記載の一本のPOFを用いた光送受信装置。
【請求項7】
受光量信号が所定値以下の時の受光量を平均化して記憶し、通常時には、受光量信号から当該記憶受光量信号を差し引いた後、しきい値処理を含む信号処理を行うことを特徴とする、請求項1および請求項4に記載の一本のPOFを用いた光送受信装置。
【請求項8】
一本のPOFの一端付近に、発光素子と発光用集光手段と受光素子と受光用集光手段を配置し、該POFの他端から出射した光を被検出体に照射した後再度該POFに入射する様に配置してなる光送受信システムであって、
開口数が0.4以上0.6以下でコア部の口径が1.8mm以上5mm以下の部分を有する該POFの一端の少なくとも一部を、該POFの中心軸に垂直な平面から10度以上40度以下の角度を有する斜端面で構成し、当該斜端面と該POFの中心軸に平行な該POFの外形線との最鋭角部分から該POFの中心軸におろした垂線に垂直でかつ該POFの中心軸を含む平面に対して、該最鋭角部分側に受光素子および受光用集光手段の光軸を、該最鋭角部分とは反対側に発光素子および発光用集光手段の光軸を配置し、発光素子からの光の少なくとも一部を該POFに入射するとともに該POFからの出射光を受光用集光手段を経由して受光素子で検知し、その出力をAD変換器を経由し、しきい値処理を有する信号処理装置に入力し、信号処理後に信号処理装置から出力することを特徴とする一本のPOFを用いた光送受信システム。
【請求項9】
一本のPOFの一端付近に、第一の発光素子と第一の発光用集光手段と第一の受光素子と第一の受光用集光手段を配置し、該POFの他端付近に、第二の発光素子と第二の発光用集光手段と第二の受光素子と第二の受光用集光手段を配置し単芯双方向通信を行う光送受信システムであって、
開口数が0.4以上0.6以下でコア部の口径が1.8mm以上5mm以下の部分を有する該POFの一端および他端のそれぞれの少なくとも一部を、POFの中心軸に垂直な平面から10度以上40度以下の角度を有する斜端面で構成し、当該斜端面と該POFの中心軸に平行な該POFの外形線との最鋭角部分からPOFの中心軸におろした垂線に垂直でかつPOFの中心軸を含む平面に対して、該最鋭角部分側に受光素子および受光用集光手段の光軸を、該最鋭角部分とは反対側に発光素子および発光用集光手段の光軸を配置し、発光素子からの光の少なくとも一部を該POFに入射するとともに、POFからの出射光を該受光用集光手段を経由して受光素子で検知し、その出力をAD変換器を経由し、しきい値処理を有する信号処理装置に入力し、信号処理後に信号処理装置から出力することを特徴とする一本のPOFを用いた光送受信システム。
【請求項10】
一本のPOF中に、口径変換手段で結合されたコア部の口径が1.5mm以下の口径を有するPOF部分を有し、電源投入直後ないしは、所定の操作時の受光量信号を記憶し、通常時には、受光量信号から当該記憶受光量信号を差し引いた後、しきい値処理を含む信号処理を行う信号処理装置を有することを特徴とする、請求項8および請求項9に記載の光送受信システム
【請求項11】
一本のPOFの途中に1個もしくは複数個の脱着可能な光接続部を有することを特徴とする請求項9記載の光送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−150287(P2011−150287A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234024(P2010−234024)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】