説明

2−アミノベンズイミダゾール誘導体及び小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネルの調節剤としてのそれらの使用

本発明は、小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)の調節剤として有用な、式(Ia)又は(Ib)の2−アミノベンズイミダゾール誘導体に関する。他の態様では、本発明は、ある治療方法におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)の調節剤として有用な、新規な2−アミノベンズイミダゾール誘導体に関する。他の態様では、本発明は、ある治療方法におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)の3つのサブタイプ、すなわちSK1、SK2及びSK3(ゲノム命名法を使用するとKCNN1〜3に相当)は、クローン化されてきた。これらのチャネルの活性は、該チャネルに構成的に結合されたカルモジュリンを介する細胞内遊離カルシウム濃度([Ca2+)によって測定される。SKチャネルは、十分に活性化されている場合には1μMの[Ca2+であるが、それ以外は約0.1μMまでの[Ca2+に至る生理的範囲の[Ca2+によって厳重に調節されている。カリウムに対して選択的に、開口又は活性SKチャネルは、細胞の膜電位に過分極の影響を及ぼす。SKチャネルは、中枢神経系に幅広く発現される。SK1及びSK2の分布は、高度の重複を示し、マウス脳における新皮質、辺縁系及び海馬の部位に最高水準の発現を見せる。これとは対照的に、SK3チャネルは、脳幹神経節、視床及び脳幹モノアミン作動性ニューロン、例えば背側縫線、青斑核及び腹側被蓋部に高水準の発現を示す(Sailer他:「マウス脳における3つの小コンダクタンスCa2+依存性カリウムチャネルサブユニットであるSK1、SK2及びSK3の免疫組織化学的比較分布(Comparative immunohistochemical distribution of three small−conductance Ca2+−activated potassium channel subunits,SK1,SK2,and SK3 in mouse brain)」;Mol.Cell.Neurosci.2004 26 458〜469)。SKチャネルはまた、骨格筋、腺細胞、肝細胞及びT−リンパ球を含む複数の末梢細胞中に存在する。
【0003】
活性SKチャネルの過分極作用は、興奮性細胞の発射パターン及び興奮性の制御において重要な役割を果たす。アパミンなどのSKチャネル阻害剤及びビククリンメトブロミドは興奮性を増加させることが明らかにされてきたが、開口剤1−EBIOは電気的活性を低下させることができる。電圧依存性の通路を通るCa2+の流入量が膜電位に対して非常に敏感に反応する非興奮性細胞において、SKチャネルの活性化は推進力を増大させるが、SKチャネルの遮断剤は脱分極効果を有し、ひいてはカルシウムのための推進力を減少させる。
【0004】
[Ca2+と膜電位との関連におけるSKチャネルの重要な役割に基づいて、SKチャネルは新規治療薬を開発するための興味深い標的である。
【0005】
WO03/094861は、カリウムチャネル調節剤としてのビス−ベンズイミダゾール及び関連化合物を記載している。
【0006】
SKチャネルの概説及びSKチャネル調節剤は、Liegeois J−F他:「小コンダクタンスカルシウム依存性カリウム(SK)チャネルの調節:医薬品化学における新たな挑戦(Modulation of small conductance calcium−activated potassium (SK)channels:a new challenge in medicinal chemistry)」;Current Medicinal Chemistry 2003 10 625〜647において見い出すことができる。
【0007】
知られているSKチャネル調節剤は、巨大分子若しくはペプチド(アパミン、スキラトキシン、ツボクラリン、塩化デカリニウム、UCL1684)であるか、又は有効性が低い(1−EBIO、リルゾール)ことが欠点である。したがって、最適化された薬理学的プロフィールを有する化合物が絶えず必要とされている。特に、SK3チャネル調節剤などの選択的リガンドが是非とも必要である。
【0008】
WO00/01676は、新規なカリウムチャネル遮断薬を記載している。
【0009】
US3981886、US4004016、Yale H L&Bristol J A;Journal of Heterocyclic Chemistry 1978 15(3)505〜7及びSettimo他;Farmaco 1994 49(12)829〜34は、抗炎症薬として有用なアミノ−ベンズイミダゾール誘導体を記載している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
この第1の態様では、本発明は、式Ia又はIb:
【化1】


の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、
又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩[式中、m、n、o、p、X、Y、R’、R、R、R、R、R及びRは、下記定義の通りである]を提供する。
【0011】
この第2の態様では、本発明は、本発明の化合物、又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を、医薬として許容できる少なくとも1種の担体、賦形剤又は希釈剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、SKチャネルの調節に反応する、ヒトを含む哺乳動物の疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和用の医薬組成物を製造するための、本発明の化合物、又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の使用を提供する。
【0013】
その上さらなる態様では、本発明は、SKチャネルの調節に反応する、ヒトを含む動物の生体の疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和方法であって、それを必要とするかかる動物の生体に、本発明の化合物、又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を投与するステップを含む方法に関する。
【0014】
本発明の他の目的は、当業者であれば以下の詳細な説明及び実施例から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
2−アミノベンズイミダゾール誘導体
この第1の態様では、本発明は、式Ia又はIb:
【化2】


の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、
又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
oは、0、1又は2であり;
pは、0、1又は2であり;
X及びYは、互いに独立に、CH、S、O又はNR”を表し;ここで、R”は、水素又はアルキルを表し、ただし、X及びYは、両方ともにCHを表すことができず;
R’は水素又はアルキルを表し;
及びRは、互いに独立に、フェニル基を表し、このフェニル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されており;
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、アミノ、N−アルキル−アミノ及びN,N−ジアルキル−アミノからなる群から選択される]を提供する。
【0016】
好ましい実施形態では、本発明の2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、R及びRが、互いに独立に、フェニル基を表し、このフェニル基が、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びシアノからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている、式Ia又はIbの化合物である。
【0017】
別の好ましい実施形態では、本発明の2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、
1,3−ビス−[2−(2−ブロモ−4−クロロフェノキシ)メチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス−[2−(2−ブロモフェノキシ)メチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
(1−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−p−トリルスルファニルメチルアミン;又は
[1−(4−クロロベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−p−トリルスルファニルメチルアミンである。
【0018】
第3の好ましい実施形態では、本発明の2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、
1−ベンジル−3−(2−p−トリルオキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(2−フルオロベンジル)−3−(2−p−トリルオキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−ベンジル−3−[2−(4−tert−ブチルフェノキシ)エチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(4−ブロモベンジル)−3−[2−(4−ブロモフェノキシ)エチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(4−ブロモベンジル)−3−(2−o−トリルオキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(2−フルオロベンジル)−3−(2−m−トリルオキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(2−フルオロベンジル)−3−(2−o−トリルオキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−ベンジル−3−[2−(2−クロロフェノキシ)エチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(4−ブロモベンジル)−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(2−フルオロベンジル)−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(2−クロロベンジル)−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(4−tert−ブチルベンジル)−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(4−クロロベンジル)−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−(4−メチルベンジル)−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1−ベンジル−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;又は
1−フェネチル−3−(2−フェノキシエチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
ではない。
【0019】
第4の好ましい実施形態では、本発明の2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、式Iaの化合物:
【化3】


又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩[式中、m、n、o、p、X、Y、R’、R、R、R、R、R及びRは、上記定義の通りである]である。
【0020】
第5の好ましい実施形態では、本発明の2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、式Ibの化合物:
【化4】


又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩[式中、m、n、o、p、X、Y、R’、R、R、R、R、R及びRは、上記定義の通りである]である。
【0021】
第1のより好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、mが、0、1又は2である、式Ia又はIbの化合物である。
【0022】
より好ましい実施形態では、mは、1又は2である。
【0023】
さらにより好ましい実施形態では、mは1である。
【0024】
他のより好ましい実施形態では、mは2である。
【0025】
第6の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、nが、0、1又は2である、式Ia又はIbの化合物である。
【0026】
より好ましい実施形態では、nは、1又は2である。
【0027】
さらにより好ましい実施形態では、nは1である。
【0028】
他のより好ましい実施形態では、nは2である。
【0029】
第7の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、oが、0、1又は2である、式Ia又はIbの化合物である。
【0030】
より好ましい実施形態では、oは、0又は1である。
【0031】
さらにより好ましい実施形態では、oは0である。
【0032】
他のより好ましい実施形態では、oは1である。
【0033】
第8の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、pが、0、1又は2である、式Ia又はIbの化合物である。
【0034】
より好ましい実施形態では、pは、0又は1である。
【0035】
さらにより好ましい実施形態では、pは0である。
【0036】
他のより好ましい実施形態では、pは1である。
【0037】
第9の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、X及びYが、互いに独立に、CH、S、O又はNR”を表し;ここで、R”は、水素又はアルキルを表し、ただし、X及びYが、両方ともにCHを表すことができない、式Ia又はIbの化合物である。
【0038】
より好ましい実施形態では、X及びYのうちの一方は、S又はOを表し;X及びYのうちの他方は、CHを表す。
【0039】
さらにより好ましい実施形態では、Xは、S又はOを表し;YはCHを表す。
【0040】
他のより好ましい実施形態では、X及びYは、互いに独立に、S、O又はNR”を表し;ここで、R”は、水素又はアルキルを表す。
【0041】
第3のより好ましい実施形態では、X及びYは両方とも、Sを表す。
【0042】
第4のより好ましい実施形態では、X及びYは両方とも、Oを表す。
【0043】
第5のより好ましい実施形態では、Xは、S又はOを表し;YはNR”を表し;ここで、R”は、水素又はアルキルを表す。
【0044】
第6のより好ましい実施形態では、Xは、S又はOを表し;YはNHを表す。
【0045】
第7のより好ましい実施形態では、XはOを表し;YはNR”を表し;ここで、R”は、水素又はアルキルを表す。
【0046】
第8のより好ましい実施形態では、XはOを表し;YはNHを表す。
【0047】
第10の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、R’が水素又はアルキルを表す、式Ia又はIbの化合物である。
【0048】
より好ましい実施形態では、R’は水素を表す。
【0049】
第11の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、R及びRが、互いに独立に、フェニル基を表し、このフェニル基が、ハロ、特にフルオロ及びクロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ並びにアルキルからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている、式Ia又はIbの化合物である。
【0050】
より好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、フェニル基を表し、このフェニル基は、ハロ、特にフルオロ及びクロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はシアノからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている。
【0051】
さらにより好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ハロ置換されたフェニルを表す。
【0052】
さらに一層好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、4−ハロ置換されたフェニルを表す。
【0053】
他のより好ましい実施形態では、R及びRは両方とも、ハロ置換されたフェニルを表す。
【0054】
さらにより好ましい実施形態では、R及びRは両方とも、4−ハロ置換されたフェニルを表す。
【0055】
その上より好ましい実施形態では、R及びRは両方とも、4−フルオロ又は4−クロロ置換されたフェニルを表す。
【0056】
第3のより好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ジハロ置換されたフェニルを表す。
【0057】
さらにより好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、3,4−ジハロ置換されたフェニルを表す。
【0058】
第12の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、R、R、R及びRが、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、アミノ、N−アルキル−アミノ及びN,N−ジアルキル−アミノからなる群から選択される、式Ia又はIbの化合物である。
【0059】
より好ましい実施形態では、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から選択される。
【0060】
さらにより好ましい実施形態では、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシからなる群から選択される。
【0061】
他のより好ましい実施形態では、R、R、R及びRのうちの1つは、ハロ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;R、R、R及びRのうちの他のものは、水素を表す。
【0062】
さらにより好ましい実施形態では、R、R、R及びRは、すべて水素を表す。
【0063】
第13の好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、mが、1又は2であり;nが、1又は2であり;oが、0又は1であり;pが、0又は1であり;X及びYが、互いに独立に、S又はOを表し;R’が水素を表し;R及びRが両方とも、ハロ置換されたフェニルを表し;R、R、R及びRが、すべて水素を表す、式Ia又はIbの化合物である。
【0064】
最も好ましい実施形態では、2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、
[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−{1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}アミン;
1,3−ビス−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス−(4−クロロフェニルスルファニルメチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス−(4−クロロフェノキシメチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;又は
1,3−ビス−ベンジルオキシメチル−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
又はそれらの医薬として許容できる塩である。
【0065】
上記実施形態のうち、2つ以上のいずれの組合せも本発明の範囲内にあると考えられる。
【0066】
置換基の定義
本発明の状況において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0067】
本発明の状況において、アルキル基は、直鎖又は分枝の1価の飽和炭化水素鎖を意味する。該炭化水素鎖は、1から6個までの炭素原子を含むことが好ましく(C1〜6−アルキル)、これにはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリーペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルが含まれる。好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜4−アルキル基を表し、これにはブチル、イソブチル、セカンダリーブチル及びターシャリーブチルが含まれる。本発明の他の好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜3−アルキル基を表し、具体的にはメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってもよい。
【0068】
本発明の状況において、アルコキシ基は、「アルキル−O−」基を意味し、ここでアルキルは上記定義の通りである。本発明の好ましいアルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ及びイソプロポキシが含まれる。
【0069】
本発明の状況において、N−アルキル−アミノ基は、上記定義のアルキル基で一置換されている(セカンダリー)アミノ基を意味する。
【0070】
本発明の状況において、N,N−ジアルキル−アミノ基は、上記定義のアルキル基で二置換されている(ターシャリー)アミノ基を意味する。
【0071】
医薬として許容できる塩
本発明の化合物は、目的とする投与に適した任意の形態で提供することができる。適当な形態には、本発明の化合物の、医薬として(すなわち生理的に)許容できる塩、及びプレドラッグ又はプロドラッグの形態が含まれる。
【0072】
医薬として許容できる付加塩の例には、限定するものではなく、非毒性の無機酸及び有機酸の付加塩が含まれる。例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などが挙げられる。かかる塩は、当技術分野においてよく知られ、且つ記載されている手法で形成することができる。
【0073】
シュウ酸などの、医薬として許容できないと考えられ得るような他の酸は、本発明の化合物及びその医薬として許容できる酸付加塩を得る際に、中間体として有用な塩の調製に役立つ可能性がある。
【0074】
本発明の化合物の、医薬として許容できる陽イオンの塩の例には、限定するものではなく、陰性基を含む本発明の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リシニウム塩及びアンモニウム塩などが含まれる。かかる陽イオンの塩は、当技術分野においてよく知られ、且つ記載されている手法で形成することができる。
【0075】
本発明の状況において、Nを含む化合物の「オニウム塩」はまた、医薬として許容できる塩として企図されている。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0076】
本発明の化合物のプレドラッグ又はプロドラッグの形態の例には、親化合物の有する1個又は複数の反応基又は誘導体化できる基において修飾された化合物を含む、本発明による物質の適当なプロドラッグの例が含まれる。特に関心のあるものは、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基において修飾された化合物である。適当な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0077】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの医薬として許容できる溶媒と共に、溶解性又は不溶解性の形態で提供されることが可能である。溶解性の形態はまた、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和物の形態を含む。一般的に、溶解性の形態は、本発明の目的において不溶解性の形態と同等であると考えられる。
【0078】
立体異性体
本発明の化合物が1個又は複数のキラル中心を含むことができ、かかる化合物が異性体の形態で存在することは、当業者によって認識されるであろう。
【0079】
さらに、本発明の化合物は、ラセミ体(±)のみならず(+)体及び(−)体でのエナンチオマーとして存在し得る。これらの異性体のラセミ化合物及び個々の異性体自体は、本発明の範囲内にある。
【0080】
本発明には、かかるすべての異性体、及びラセミ混合物を含めたそれらの任意の混合物が含まれる。
【0081】
ラセミ体は、知られている方法及び技術によって光学対掌体に分割することができる。異性体の塩を分離する1つの方法は、光学活性な酸を使用すること、及び光学活性なアミン化合物を塩基で処理することによって遊離させることである。ラセミ化合物を光学対掌体に分割するための他の方法は、光学活性な基質上でのクロマトグラフィーに基づいている。したがって、本発明のラセミ化合物は、例えば、d−又はl−の塩(酒石酸塩、マンデル酸塩又はカンファースルホン酸塩)の分別結晶によって、光学対掌体に分割することができる。
【0082】
本発明の化合物はまた、以下による分割も可能である。すなわち、(+)若しくは(−)フェニルアラニン、(+)若しくは(−)フェニルグリシン、(+)若しくは(−)カンファン酸由来などの光学活性な活性カルボン酸と本発明の化合物との反応により、ジアステレオマーのアミドを形成させることによる分割、又は、光学活性なクロロギ酸塩などと本発明の化合物との反応により、ジアステレオマーのカルバミン酸塩を形成させることによる分割などである。
【0083】
光学異性体を分割するためのさらなる方法が、当技術分野において知られている。かかる方法には、Jaques J、Collet A及びWilen Sによって、“Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,New York(1981)に記載されているものが含まれる。
【0084】
光学活性な化合物はまた、光学活性な出発物質から調製することができる。
【0085】
標識化合物
本発明の化合物は、それらの標識されている形態、又はそれらの標識されていない形態で使用され得る。本発明の状況において、該標識化合物は、通常天然に見られる原子質量すなわち質量数とは異なる原子質量すなわち質量数を有する原子で置換されている、1個又は複数の原子を有する。標識することにより、前記化合物を定量的に検出することが容易になるであろう。
【0086】
本発明の標識化合物は、種々の診断方法における、診断ツール、放射線トレーサー又はモニタリング試薬として、及びin vivo受容体画像に有用であり得る。
【0087】
本発明の標識異性体は、標識として少なくとも1種の放射性核種を含むことが好ましい。陽電子放出核種はすべて使用に値する。本発明の状況において、該放射性核種は、H(重水素)、H(三重水素)、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択されることが好ましい。
【0088】
本発明の標識異性体を検出するための物理的方法は、陽電子放射断層撮影法(PET)、単光子イメージングコンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴映像法(MRI)及びコンピュータ体軸X線断層撮影法(CAT)、又はそれらの組合せから選択することが可能である。
【0089】
調製方法
本発明の化合物は、従来の化学合成法、例えば実施例に記載されている方法によって調製することができる。本明細書に記載されている工程のための出発物質は、知られているか、又は市販の薬品から従来の方法によって容易に調製することができる。
【0090】
本発明のある化合物はまた、従来の方法を用いて、本発明の別の化合物に変換することができる。
【0091】
本明細書に記載されている反応の最終生成物は、従来の技術、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどによって単離することができる。
【0092】
生物活性
本発明の化合物については、in vitroにおけるSKチャネルの調節能を試験することができる。機能的調節は、Strobaek他:「合成化合物(R)−N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(NS8593)による小コンダクタンスCa2+依存性Kチャネルの抑制性ゲーティング調節は、海馬CA1神経における後過分極電流を減少させる(Inhibitory gating modulation of small conductance Ca2+−activated K channels by the synthetic compound (R)−N−(benzimidazol−2−yl)−1,2,3,4−tetrahydro−1−naphtylamine (NS8593)reduces afterhyperpolarizing current in hippocampal CA1 neurons)」;Mol.Pharmacol.2006 70(5)1771〜1782に記載されているようなパッチクランプ法によって、SK電流の化合物誘発性の変化を測定することによって決定することができる。この種の測定から、所与の化合物の有効性を、例えば、遮断剤/阻害剤についてはK値又はIC50値として、開口剤/活性剤についてはEC50値として決定することができる。他のパッチクランプ型から、及び種々の細胞系に内因的に発現されたチャネルから同様のデータを得ることができる。
【0093】
一実施形態では、本発明の化合物は、SK1及びSK2よりもSK3に対して選択性を示す。さらなる実施形態では、本発明の化合物は、正のSK3チャネル調節剤などの正のSKチャネル調節剤である。その上さらなる実施形態では、本発明の化合物は、負のSK3チャネル調節剤などの負の調節剤である。特別な実施形態では、本発明の化合物は、SK3チャネル遮断剤などのSKチャネル遮断剤である。
【0094】
パッチクランプ実験で認められた活性に基づいて、本発明の化合物は、SKチャネルの調節に反応する、ヒトを含む哺乳動物の疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。
【0095】
特別な実施形態では、本発明の化合物は、以下の治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。すなわち、アブサンス発作、加齢による記憶喪失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、運動失調、注意欠陥障害、脱毛症、双極性障害、膀胱興奮性亢進、膀胱排出障害、膀胱けいれん、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心血管障害、認知機能障害、大腸炎、便秘、けいれん、冠動脈けいれん、冠動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、II型糖尿病、月経困難、てんかん、胃腸障害、胃食道逆流症、胃腸運動性減弱、胃腸運動不全、難聴、高インスリン血症、高血圧、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠陥、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、片頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、ミオキミア、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後イレウス、早産、精神病、精神障害、腎障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、泌尿生殖器障害、血管けいれん、失明及び口腔乾燥である。
【0096】
他の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、以下の治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。すなわち、うつ病、仮性認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動障害、肥満症、不安、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソニズム、認知症、加齢による認知症、老年認知症、後天性免疫不全症候群痴呆症、加齢による記憶機能障害、対人恐怖、薬物嗜癖、薬物誤用、コカイン乱用、タバコ乱用、アルコール依存症、疼痛、片頭痛の疼痛、過食症、月経前症候群、黄体期後期症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、精液早漏、勃起困難、神経性食欲不振、睡眠障害、自閉症、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、ジルドラトゥーレット病、炎症性腸疾患又は過敏性腸症候群である。
【0097】
さらに他の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、以下の治療、予防又は緩和に有用であると考えられる。すなわち、うつ病、仮性認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、記憶障害、注意欠陥多動障害、肥満症、不安、摂食障害又はパーキンソン病である。
【0098】
活性医薬成分(API)の適当な投与量は、約0.1から約1000mgAPI/日まで、より好ましくは約10から約500mgAPI/日まで、最も好ましくは約30から約100mgAPI/日までの範囲内であるが、この投与量は、的確な投与方法、該成分が投与される形態、考えられる適応症、被験者及び特に関係被験者の体重、並びにその上、主治医又は担当獣医の優先選択及び経験によって決まると現在では考えられている。
【0099】
本発明の好ましい化合物は、マイクロモル未満及びマイクロモルの範囲、すなわち1μM未満から約100μMまでの範囲で生物活性を示す。
【0100】
医薬組成物
他の態様では、本発明は、本発明の化合物の治療有効量を含む新規医薬組成物を提供する。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明による医薬組成物に使用するための2−アミノベンズイミダゾール誘導体は、
1,3−ビス−[2−(2−ブロモ−4−クロロフェノキシ)メチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス−[2−(2−ブロモフェノキシ)メチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
(1−ベンジル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−p−トリルスルファニルメチルアミン;又は
[1−(4−クロロベンジル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−p−トリルスルファニルメチルアミン
ではない。
【0102】
治療に使用するための本発明の化合物は、未改変の化合物の形態で投与され得るが、該活性成分を、場合によって生理的に許容できる塩の形態で、医薬組成物中に1種又は複数種の補助剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の通例の医薬助剤と共に導入することが好ましい。
【0103】
好ましい実施形態では、本発明は、医薬として許容できる1種又は複数種の担体、及び、場合によって、当技術分野において知られており、且つ使用されている他の治療成分及び/又は予防成分と共に、本発明の化合物、又はその医薬として許容できる塩若しくは誘導体を含む医薬組成物を提供する。該担体(1種又は複数種)は、製剤の他の成分と化学反応を起こさない、且つそれを投与された者に害を及ぼさないという意味で「許容できる」必要がある。
【0104】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、経鼻、経肺、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、経膣又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内、眼内の注射若しくは注入を含む)投与に適したもの、或いは、粉末剤及び液体エアゾール剤の投与を含む吸入若しくは通気による投与、又は持続放出性製剤による投与に適した形態にあるものであってもよい。持続放出性製剤の適当な例には、本発明の化合物を含む固体の疎水性ポリマーの半透性基質が含まれる。この基質は、成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態であってもよい。
【0105】
したがって、本発明の化合物は、従来の補助剤、担体又は希釈剤と共に、医薬組成物及びそれらの単位調剤の形態中に入れることが可能である。かかる形態には、固体、及び特に錠剤、充填カプセル剤、粉末剤及びペレット剤、並びに液剤、特に水溶液又は非水溶液、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、並びに同化合物入りカプセル剤、経口用のすべて、直腸投与用坐剤、並びに非経口用の無菌注射用溶液が含まれる。かかる医薬組成物及びそれらの単位剤形は、従来の成分を従来の割合で含むことができ、さらなる活性化合物又は成分を含んでも含まなくてもよく、かかる単位剤形は、使用されるように意図された1日投与量の範囲に相当する、任意の適当な有効量の活性成分を含むことができる。
【0106】
本発明の化合物は、幅広い種類の経口及び非経口の単位剤形で投与されることが可能である。以下の単位剤形が、活性成分として、本発明の化合物か、又は本発明の化合物の医薬として許容できる塩のいずれかを含み得ることは、当業者には明らかであろう。
【0107】
医薬組成物を本発明の化合物から調製するためには、医薬として許容できる担体は、固体又は液体のいずれかの可能性がある。固形製剤には、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤が含まれる。固体担体は1種又は複数種の物質であることが可能であり、かかる物質はまた、希釈剤、着香剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材としての働きをすることができる。
【0108】
粉末剤において、該担体は、微粉化した固体であり、微粉化した活性成分との混合物の状態にある。
【0109】
錠剤において、該活性成分は、適当な割合で必要な結合能力を有する該担体と混合され、所望の形状及び大きさで圧縮されている。
【0110】
該粉末剤及び錠剤は、5又は10%から約70%までの活性化合物を含むことが好ましい。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「製剤」という用語は、カプセルを提供する担体として、カプセル化材を有する活性化合物の製剤を含むことを意味する。かかるカプセル中、活性成分は、複数の担体の有無にかかわらず、1つの担体に取り囲まれているので、かかるカプセルは該活性成分と関連している。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びトローチ剤は、経口投与に適した固体剤形として用いることができる。
【0111】
坐剤の調製については、脂肪酸グリセリドの混合物又はカカオバターなどの低融点ワックスを最初に融解させ、その中に撹拌によって活性成分を均質に分散させる。次いで、融解した均質な混合物を手頃な大きさの金型へ注入し、冷却することにより固める。
【0112】
経膣投与に適した組成物は、活性成分に加えて、当技術分野において適切であると知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォーム又はスプレーとして提示することができる。
【0113】
液体製剤には、液剤、懸濁剤及び乳剤、例えば水又はプロピレングリコール水溶液などが含まれる。例として、非経口注射用液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として調剤することができる。
【0114】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与用(例として注射、例えばボーラス注射又は持続注入などによる投与用)に調剤することができ、アンプル剤、プレフィルドシリンジ、少容量注入、又は追加の保存剤を有する多回投与用容器での単位剤形で提示することができる。該組成物は、懸濁剤、液剤、又は油性若しくは水溶性の溶媒中での乳剤などの形態を取ることができ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含んでもよい。また、活性成分は、粉末の形態であってもよい。かかる粉末は、無菌固体を無菌単離すること、又は溶液から凍結乾燥することによって得られ、使用前に、適当な溶媒、例えば発熱物質なしの滅菌水を用いて構成することを目的としている。
【0115】
経口用に適した水溶性液剤は、所望の通り、活性成分を水に溶解させること、並びに適当な着色剤、着香剤、安定化剤及び増粘剤を加えることによって調製することができる。
【0116】
経口用に適した水溶性懸濁剤は、粘性材料を用いて、微粉化した活性成分を水に分散させることによって調製することができる。かかる粘性材料には、天然若しくは合成のゴム糊、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他のよく知られている懸濁化剤などが挙げられる。
【0117】
使用直前に、経口投与用の液体剤形に変換されるように意図された固形製剤も含まれる。かかる液体剤形には、液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。活性成分に加えて、かかる製剤は、着色剤、着香剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0118】
表皮への局所投与用に、本発明の化合物を、軟膏、クリーム若しくはローションとして、又は経皮貼付剤として調剤することが可能である。軟膏及びクリームは、例えば、水溶性又は油性の基剤を用い、適当な増粘剤及び/又はゲル化剤を追加して調剤され得る。ローションは、水溶性又は油性の基剤を用いて調剤することができ、通常、1種又は複数種の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤をも含むものである。
【0119】
口内の局所投与に適した組成物には、通常、蔗糖及びアカシア又はトラガカントなどの香味を添えた基剤中に活性剤を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又は蔗糖及びアカシアなどの不活性な基剤中に活性成分を含む香錠;並びに適当な液体担体中に活性成分を含むうがい薬が含まれる。
【0120】
液剤又は懸濁剤は、従来の手段、例えばスポイト、ピペット又は噴霧器を用いた方法によって、鼻腔に直接塗布される。該組成物は、単回投与又は多回投与用の剤形で提供され得る。
【0121】
呼吸器管への投与もまた、エアゾール剤を用いて実現することができ、かかるエアゾール剤では、該活性成分が適当な噴射剤を有する加圧型容器の状態で提供される。かかる噴射剤には、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素又は他の適当な気体などが挙げられる。好都合なことに、該エアゾール剤は、レシチンなどの界面活性剤を含むことも可能である。1回分の薬剤は、定量噴霧式バルブを備えることによって制御され得る。
【0122】
別の方法として、活性成分を、乾燥粉末の形態、例えば、該化合物を、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)のような適当な粉末基材中に混合した粉末の形態で提供することが可能である。好都合なことに、該粉末の担体は鼻腔内でゲルを形成する。該粉末組成物は、例えば、ゼラチンなどのカプセル若しくは薬包、又は該粉末が吸入器を用いることで投与され得るブリスターパックなどの単位剤形で提示することができる。
【0123】
呼吸器管への投与を目的とした、経鼻投与の組成物を含む組成物において、該化合物は通常粒径が小さく、例えば5ミクロン以下の位数である。かかる粒径は、当技術分野において知られている方法、例えば微粉化によって得ることが可能である。
【0124】
所望の場合には、該活性成分が持続放出されるように構成された組成物を使用してもよい。
【0125】
医薬製剤は、単位剤形であることが好ましい。かかる形態において、該製剤は、適切な分量の活性成分を含む単位剤形に細分される。該単位剤形は、パッケージが別個の分量の製剤を含む、パッケージされた製剤、例えばパッケージされた錠剤、パッケージされたカプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉末剤などでよい。同様に、該単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤若しくはトローチ剤そのものであってもよく、又はパッケージされた形態で、これらのうちのいずれかを適切に組み合わせることもできる。
【0126】
経口投与用の錠剤又はカプセル剤、並びに静脈内投与及び持続注入用の液剤は、好ましい組成物である。
【0127】
製剤及び投与のための技術に関するさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版において見い出すことができる。
【0128】
治療有効量は、症状又は状態を改善する活性成分の量を指す。治療効果及び毒性、例えばED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物を用いる標準的な薬理学的手法によって測定され得る。治療効果と毒性作用との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比によって表すことができる。治療指数の大きい医薬組成物が好ましい。
【0129】
言うまでもなく、投与量は、投与経路、剤形及び処方計画のみならず、治療されている個々の年齢、体重及び病状、並びに所望の結果に合わせて慎重に調節される必要があり、当然ながら、正確な投与量が医師によって決定されるべきである。
【0130】
実際の投与量は、治療されている疾患の性質及び重症度によって決まり、且つ医師の自由裁量の範囲内にあり、且つ所望の治療効果を生み出すために、本発明の特定の状況に合わせて投与量を漸増することによって変更され得る。しかしながら、個々の投与量につき約0.1mgから約500mgまで、好ましくは約1mgから約100mgまで、最も好ましくは約1mgから約10mgまでの活性成分を含む医薬組成物が、治療上の処置に適していると現在では考えられている。
【0131】
該活性成分は、1日に1回又は数回投与されてもよい。場合によっては、満足のいく結果を、静脈内投与にて0.1μg/kg、及び経口投与にて1μg/kgと少ない投与量で得ることができる。投与量範囲の上限は、静脈内投与にて約10mg/kg、及び経口投与にて100mg/kgであると現在では考えられている。好ましい範囲は、静脈内投与にて約0.1μg/kgから約10mg/kg/日、及び経口投与にて約1μg/kgから約100mg/kg/日である。
【0132】
治療方法
他の態様では、本発明は、SKチャネルの調節に反応する、ヒトを含む動物の生体の疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和方法であって、それを必要とする、ヒトを含むかかる動物の生体に、本発明の化合物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0133】
適当な投与量範囲は、0.1から1000mg/日、10から500mg/日、及び特に30から100mg/日であり、従来通り、この投与量範囲は、的確な投与方法、投与される形態、投与が指導される適応症、関係被験者及び関係被験者の体重、並びにその上、主治医又は担当獣医の優先選択及び経験によって決まると現在では考えられている。
【実施例】
【0134】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明されるが、かかる実施例は、請求された本発明の範囲に何らかの限定をするためのものではない。
【0135】
通則:手法は、本発明の化合物を調製するために使用される一般的な手法を表す。使用する略語は以下の通りである。
Ac:アセチル
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:ジメチルホルムアミド
Et:エチル
eq:当量
HR−MS:高分解能質量分析
LC−MS:液体クロマトグラフィー質量分析
rt:室温
【0136】
手法A
2−アミノベンズイミダゾール及びKCO(4eq)を乾燥アセトニトリルに溶解し、所要のハロゲン化アリールアルキル(2eq)を(N下で)加え、50℃で一晩撹拌した。rtに冷却した後、水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを分取LC−MSによって、又はその代わりにカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶によって精製した。
【0137】
手法Aの例である1,3−ビス−(4−クロロフェノキシ−メチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミンの調製を、スキーム1に示す。
スキーム1
【化5】

【0138】
手法B
2−アミノベンズイミダゾール及びKCO(2eq)を乾燥アセトニトリルに溶解し、所要のハロゲン化アリールアルキル(1eq)を(N下で)加え、50℃で一晩撹拌した。rtに冷却した後、水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮して粗N−アルキル化2−アミノベンズイミダゾールを得、これを分離用LC−MSによって、又はその代わりにカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0139】
続いて、この中間体をアセトニトリル又はDMFに溶解し、窒素雰囲気下、氷上で冷却してNaH(1.2eq)を加え、rtに加熱した。反応混合物に所要の置換ハロゲン化アリールアルキルを加え、室温で一晩撹拌を続けた。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮して粗ジアルキル化2−アミノベンズイミダゾールを得、これを分離用LC−MSによって、又はその代わりにカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0140】
手法Bの例である[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−{1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}アミンの調製を、スキーム2に示す。
スキーム2
【化6】

【0141】
(実施例1)
[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−{1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}アミン
表題化合物を、手法Bに記載されているように、2−アミノベンズイミダゾール及び1−(2−ブロモエトキシ)−4−フルオロベンゼンから2ステップで調製した。粗生成物を分離用LC−MSによって精製し、表題化合物を遊離塩基(帯黄色固体)として得た。MS(ES)m/z 410([M+1],100);HR−MS:410.169900([M+1],C2322;計算値 410.168008)。
【0142】
(実施例2)
1,3−ビス−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
表題化合物を、手法Aによって、2−アミノベンズイミダゾール及び1−(2−ブロモエトキシ)−4−フルオロベンゼンから調製した。粗生成物を分離用LC−MSによって精製し、表題化合物を臭化水素酸塩(白色固体)として得た。MS(ES)m/z 410([M+1],100);HR−MS:410.170000([M+1],C2322;計算値 410.168008)。
【0143】
(実施例3)
1,3−ビス−(4−クロロフェニルスルファニルメチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
表題化合物を、手法Aによって、2−アミノベンズイミダゾール及びクロロメチル−4−クロロフェニルスルフィドから調製した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を遊離塩基(帯黄色油状物)として得た。NMR(DMSO−d6)δ 5.48(s,4H)、6.86〜6.89(m,4H)、7.34〜7.36(m,4H)、7.45〜7.59(m,4H);MS(ES)m/z 446(M,100)。
【0144】
(実施例4)
1,3−ビス−(4−クロロフェノキシメチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
表題化合物を、手法Aによって、2−アミノベンズイミダゾール及びα−4−ジクロロアニソールから調製した。粗生成物を分離用LC−MSによって精製し、表題化合物を遊離塩基(白色固体)として得た。NMR(DMSO−d6)δ 5.93(br s,2H)、6.01(br s,2H)、6.54(s,1H)、7.00〜7.08(m,2H)、7.10〜7.18(m,4H)、7.23〜7.31(m,2H)、7.37〜7.43(m,4H);MS(ES)m/z 414(M,100)。
【0145】
(実施例5)
1,3−ビス−ベンジルオキシメチル−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン
表題化合物を、手法Aによって、2−アミノベンズイミダゾール及びベンジルクロロメチルエーテルから調製した。粗生成物を分離用LC−MSによって精製し、メタノール中HClで処理し、沈澱させて表題化合物を塩酸塩(白色固体)として得た。NMR(DMSO−d6)δ 4.66(s,4H)、5.80(s,4H)、7.24〜7.32(m,10H)、7.36〜7.41(m,2H)、7.63〜7.66(m,2H)、9.57(s,2H);MS(ES)m/z 374([M+1],100)。
【0146】
(実施例6)
生物活性
この実施例は、本発明の代表的な化合物の生物活性を実証するものである。小コンダクタンスCa2+依存性Kチャネル(SKチャネル、サブタイプ3)を通過するイオン電流を、パッチクランプ法のホールセル型を使用して記録した。
【0147】
hSK3チャネルを発現しているHEK293組織培養細胞を、10%FCS(ウシ胎児血清)を補充したDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)中で、5%CO中37℃にて培養した。密集度60〜80%で、細胞をトリプシン処理を経て集菌し、カバースリップ上に播種した。
【0148】
カバースリップ上で培養した細胞を、倒立顕微鏡に取り付けられた15μl灌流チャンバー(流速約1ml/分)中に置き、この顕微鏡を、アースしたファラデーケージ中の振動のないテーブル上に置いた。実験は、室温(20〜22℃)で行った。EPC−9パッチクランプアンプ(HEKA−electronics、ランブレヒト、ドイツ)を、ITC16インターフェースを介してマッキントッシュのコンピュータに接続した。データをハードディスクに直接保存し、IGORソフトウェア(Wavemetrics、レイクオスウェゴ、オレゴン州、米国)によって分析した。
【0149】
パッチクランプ法のホールセル型を適用した。手短に記載すると、遠隔制御装置を使用して、ホウケイ酸塩ピペットの先端(抵抗2〜4MΩ)を細胞膜上に静かに置く。軽く吸引してギガシール(ピペットの抵抗が1GΩを超えて増加する)を形成し、次いでピペット下の細胞膜をさらに強力に吸引することにより破裂させる。細胞の静電容量を電子工学的に補正し、ピペットと細胞内部との間の抵抗(直列抵抗、Rs)を測定して補正した。細胞の静電容量は5〜20pFの範囲であり、直列抵抗は3〜6MΩの範囲内であった。Rs及び静電容量の補正は実験中に(各刺激の前に)更新した。リークサブトラクションは行わなかった。
【0150】
細胞外液(バス)溶液は、156mM KCl、0.1mM CaCl、3mM MgCl、10mM HEPES(KOHを用いてpH=7.4)を含んだ。試験化合物をDMSOに溶解し、次いで細胞外液で少なくとも1000倍に希釈した。
【0151】
細胞内液(ピペット内溶液)は、154mM KCl、10mM HEPES、10mM EGTAを含んだ。Ca2+の所望の遊離濃度(0.3〜0.4μM、Mg2+は常に1mM)を得るために必要なCaCl及びMgClの濃度は、EqCalソフトウェア(ケンブリッジ、UK)によって計算して加えた。
【0152】
ホールセル型を確立した後、0mVの保持電位から電圧ランプ(−80〜+80mV)を5秒毎に細胞に適用した。安定な基準電流が100〜500秒間内に得られ、次いで試験化合物を含む細胞外液に変えることによって化合物を加えた。−75mVでの電流の変化から活性を定量した。
【0153】
阻害剤に関してK値を推定した。K値とは基準電流を初期電流の50%に減少させるのに必要な濃度と定義されている。このアッセイにおいて、本発明の化合物はマイクロモル未満の範囲(すなわち1μM未満)のK値を示した。このことは、それらの強いSK3阻害特性を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia又はIb:
【化1】


の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、
又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
oは、0、1又は2であり;
pは、0、1又は2であり;
X及びYは、互いに独立に、CH、S、O又はNR”を表し;ここで、R”は、水素又はアルキルを表し、ただし、X及びYは、両方ともにCHを表すことができず;
R’は水素又はアルキルを表し;
及びRは、互いに独立に、フェニル基を表し、このフェニル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されており;
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、アミノ、N−アルキル−アミノ及びN,N−ジアルキル−アミノからなる群から選択される]。
【請求項2】
mが、0、1又は2である、請求項1に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項3】
nが、0、1又は2である、請求項1又は2に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項4】
oが、0、1又は2である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項5】
pが、0、1又は2である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項6】
X及びYが、互いに独立に、CH、S、O又はNR”を表し;ここで、R”は、水素又はアルキルを表し、ただし、X及びYが、両方ともにCHを表すことができない、請求項1から5までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項7】
R’が水素又はアルキルを表す、請求項1から6までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項8】
及びRが、互いに独立に、フェニル基を表し、このフェニル基が、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で場合によって置換されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項9】
、R、R及びRが、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、アミノ、N−アルキル−アミノ及びN,N−ジアルキル−アミノからなる群から選択される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその医薬として許容できる塩。
【請求項10】
[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−{1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}アミン;
1,3−ビス−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス−(4−クロロフェニルスルファニルメチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
1,3−ビス−(4−クロロフェノキシメチル)−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;若しくは
1,3−ビス−ベンジルオキシメチル−1,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−2−イリデンアミン;
又はそれらの医薬として許容できる塩である、請求項1に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を、医薬として許容できる少なくとも1種の担体、賦形剤又は希釈剤と共に含む医薬組成物。
【請求項12】
医薬品を製造するための、請求項1から10までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の使用。
【請求項13】
SKチャネルの調節に反応する、ヒトを含む哺乳動物の疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和用の医薬組成物を製造するための、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
SKチャネルの調節に反応する疾患、障害又は状態が、アブサンス発作、加齢による記憶喪失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、運動失調、注意欠陥障害、脱毛症、双極性障害、膀胱興奮性亢進、膀胱排出障害、膀胱けいれん、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心血管障害、認知機能障害、大腸炎、便秘、けいれん、冠動脈けいれん、冠動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、II型糖尿病、月経困難、てんかん、胃腸障害、胃食道逆流症、胃腸運動性減弱、胃腸運動不全、難聴、高インスリン血症、高血圧、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠陥、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、片頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、ミオキミア、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後イレウス、早産、精神病、精神障害、腎障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、泌尿生殖器障害、血管けいれん、失明又は口腔乾燥である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
SKチャネルの調節に反応する、ヒトを含む動物の生体の疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和方法であって、それを必要とする前記動物の生体に、請求項1から10までのいずれか一項に記載の2−アミノベンズイミダゾール誘導体、又はその任意の異性体若しくはその異性体の任意の混合物、又はその医薬として許容できる塩の治療有効量を投与するステップを含む、上記方法。

【公表番号】特表2009−542602(P2009−542602A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517275(P2009−517275)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056826
【国際公開番号】WO2008/003752
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】