説明

2つのステアリング用前輪及び少なくとも1つの駆動後輪を備えたローリング車両

【課題】自動車に特有の安定性能の利点とオートバイに特有のハンドリング性能の利点を組合せたローリング車両を提供する。
【解決手段】本発明は、2つのステアリング用の前輪(16,18)を有するローリング車両(10)であって、フレーム(14)と、ハンドルバー(20)と、駆動後輪(12)と、長手方向アーム(28,30)を有するステアリング運動機構を有する。長手方向アーム(28,30)は、一方の端部が、円筒形枢動部(24)を介してハンドルバー(20)に取付けられたステアリング操作レバー(26)に取付けられ、他方の端部が、球形枢動部(32,34)を介して、長手方向に延びる関節連結式の四辺形機構に取付けられる。ハンドルバー(20)の回転によって前輪(16,18)をフレーム(14)に対して方向転換させるように、前輪(16,18)がフレーム(14)に対して回転可能に四辺形機構を介してフレーム(14)に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの並置されたステアリング用前輪及び少なくとも1つの駆動後輪を備えたローリング車両、特にオートバイに関するが、オートバイには限られない。
【背景技術】
【0002】
最近の数年間にわたり、三輪車の分野において、2つのステアリング用前輪、好ましくはローリング車両のフレームにサスペンションシステムを介して取付けられた2つのステアリング用前輪と、単一の駆動後輪とを備えたローリング車両の存在を考慮した多くの実施例がなされてきた。
【0003】
かかるローリング車両は、モータを備えていても備えていなくても、通常、本質的に閉じた車体を有していないので、自転車及びオートバイの範疇に入り、かくして、四輪車に特有の安定性能と、二輪オートバイの特徴であるハンドリング性能とを組合せることができる。特に、これらの車両に一体形ローリング及びステアリングシステムを設けることは、コーナリングしている間、車両自体を片側に傾けることを可能にすると共に、移動していないときに車両自体を支持することができるという利点を有し、かくして、長時間にわたる停車中、スタンド又は他の地面支持要素は不要であり、しかも、ライダーが停車中に自分の足を地面の上におく必要がない。
【0004】
上述した形式の三輪ローリング車両は、例えば、本出願人名義の欧州特許出願第1484239号明細書に記載されており、車両の移動方向に対して横断方向に配置され且つ関節連結された四辺形型の前輪ローリング及びステアリング部の存在を考慮している。
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願第1484239号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる構成では、車両の前輪トラック(輪距)、即ち、2つの前輪と前輪との間の距離が、従来の四輪車よりも短いけれども相当に長い寸法であること、横断方向に配置され且つ関節連結された四辺形型のローリング及びステアリング部が、前輪の最大所望変位を可能にするのに十分に長いアームを有すること、及び、これらのアームが、2つの前輪の間に確実に配置されることを必要とする。
【0007】
したがって、本発明の目的は、2つのステアリング用前輪及び少なくとも1つの駆動後輪を備えたローリング車両であって、自動車に特有の安定性能の利点とオートバイに特有のハンドリング性能の利点を組合せることが可能であり、非常に小さいトラック(輪距)により、小さい全体幅を可能にし、かくして、高速度に達するために空力的衝撃が大きな割合で考慮に入れられる車両の特定の範疇、特にオートバイに属するローリング車両を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、ライダーの位置に対するステアリング操作装置の高さ及び傾きを、自動車の分野において行われている仕方とほぼ同様の仕方で調節することができるローリング車両を提供することにある。
【0009】
本発明の更に別の目的は、高性能スポーツオートバイのフェアリングのように、特にスリムな一体形フェアリングを備えることができるコンパクトなローリング車両を提供することにある。
【0010】
最後に、本発明の別の目的は、製造するのが簡単で且つコスト効率の良いローリング車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これら目的は、本発明によれば、2つのステアリング用前輪及び少なくとも2つの駆動後輪を備えたローリング車両を提供することにより達成される。即ち、本発明によるローリング車両は、2つのステアリング用前輪を有するローリング車両であって、フレームと、ハンドルバーと、モータに連結された少なくとも1つの駆動後輪と、2つのステアリング用前輪のステアリング運動機構と、を有し、ステアリング運動機構は、長手方向に延び、2つの互いに平行な長手方向アームを有し、2つの長手方向アームは、その一方の端部が、円筒形枢動部を介してハンドルバーに取付けられたステアリング操作レバーに取付けられ、その他方の端部が、2つの球形枢動部を介して、ローリング車両に対して長手方向に延びる2つの関節連結式四辺形機構に取付けられ、ユーザが行うハンドルバーの回転によってフレームに対する2つのステアリング用前輪の方向転換を達成するように、2つのステアリング用前輪がフレームに対して回転可能に関節連結式四辺形機構を介してフレームに取付けられる、ローリング車両である。
【0012】
本発明の別の特徴及び利点は、従属形式の請求項に記載されている。
【0013】
本発明によるローリング車両の実施形態において、好ましくは、2つの関節連結式四辺形機構は、2つの上クロスメンバと、2つの下クロスメンバと、2つのステアリング用前輪が取付けられた2つのフロントアームと、を有し、2つの上クロスメンバはそれぞれ、一方の側が、円筒形枢動部を介してフレームに取付けられ、他方の側が、ボールジョイントを介して2つのフロントアームに取付けられ、2つの下クロスメンバはそれぞれ、一方の側が円筒形枢動部を介してフレームに取付けられ、他方の側がボールジョイントを介して2つのフロントアームに取付けられる。
【0014】
この実施形態において、好ましくは、2つの長手方向アームはそれぞれ、2つの球形枢動部を介して2つの関節連結式四辺形機構の2つのフロントアームに取付けられる。
【0015】
この実施形態において、更に好ましくは、互いに平行な2つの関節連結式四辺形機構はそれぞれ、ロッカーアームによって2つの球形枢動部を介して垂直方向に互いに取付けられる。
【0016】
この実施形態において、更に好ましくは、ロッカーアームは、それを2つの球形枢動部を介して2つの関節連結式四辺形機構の2つの下クロスメンバに取付ける2つのアームを含む。
【0017】
この実施形態において、更に好ましくは、ロッカーアームは、枢動部を介してフレームに取付けられ、枢動部は、実質的に、枢動部回りのフレームに対する2つの関節連結式四辺形機構のローリング方向回転を可能にするように、ローリング車両の対称位置に配置される。
【0018】
この実施形態において、2つのステアリング用前輪にそれぞれ取付けられたフロントアームは、典型的な分岐部を形成するように、2つのステアリング用前輪の両側に分かれていてもよいし、又は、2つのフロントアームはそれぞれ、2つのステアリング用前輪の一方の側に設けられた単一のアームとして2つのステアリング用前輪に取付けられていてもよい。
【0019】
後者の実施形態において、2つのフロントアームは両方とも、それぞれのステアリング用前輪の外側にだけ設けられた単一のアームとしてステアリング用前輪に取付けられてもよいし、2つのフロントアームは両方とも、それぞれのステアリング用前輪の内側にだけ設けられた単一のアームとしてステアリング用前輪に取付けられてもよいし、2つのフロントアームは両方とも、それぞれの前記ステアリング用前輪の右側にだけ設けられた単一のアームとしてステアリング用前輪に取付けられてもよいし、2つのフロントアームは両方とも、それぞれのステアリング用前輪の左側にだけ設けられた単一のアームとしてステアリング用前輪に取付けられてもよい。
【0020】
また、上記後者の実施形態において、2つのフロントアームの各々に、独立のサスペンションが適用され、独立のサスペンションは、2つのフロントアームの各々に取付けられた弾性要素及び減衰要素からなってもよいし、ロッカーアームを2つの関節連結式四辺形機構の2つの下クロスメンバに取付ける2つのアームに代えて、2つのショックアブソーバが用いられてもよいし、ロッカーアームに挿入されたショックアブソーバを有していてもよい。
【0021】
2つのステアリング用前輪及び少なくとも1つの駆動後輪を備えた本発明のローリング車両の特徴及び利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられた以下の説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
特に図1〜図7を参照すると、本発明による、2つのステアリング用前輪を備えたローリング(横揺れ;rolling)車両の例示の実施形態が示され、このローリング車両を、全体的に参照符号10で示す。指摘すべきことは、各添付図面及び以下の説明において、一般的には車両、特にオートバイ車両の幾つかの構成要素を示していないこと、即ち、いずれの場合も詳細を示していないことである。この理由は、かかる構成要素は、現状の技術に属し、本発明を理解する目的に必要ないからである。更に指摘すべきことは、添付図面及び以下の説明では、単一の駆動後輪を備えた車両を開示するけれども、本発明は、オートバイから派生した四輪車に適用されてもよい。
【0023】
特に、ローリング式の四輪車を得るために後側車軸と共に用いるべき運動機構に関し、本出願人の欧州特許第1,694,555号明細書を参照すればよく、リヤサスペンションについて記載したことだけを参照する。
【0024】
ローリング車両10は、本質的には、モータ22に連結され且つ一定の位置にある軸を有する少なくとも1つの駆動後輪12と、フレーム14と、1対のステアリング用前輪16,18とを有している。さらに、ローリング車両10は、一般的には、ステアリング用前輪16,18に作用させることが可能なハンドルバー20又はその他のステアリング部材を有している。
【0025】
この第1の全体的構成から、例えばリヤサスペンション、モータ22及びその他の多くの構成要素等の幾つかの要素を、ちょうどチェーン、カルダンシャフト等を用いて後輪に運動を伝達するためのシステムのように、任意の大量生産されている車両から採用してもよいことが明らかである。以下に詳細に説明するように、前輪16,18及び制動システムのためのフロントサスペンションのアームが、新規且つ独創的な構成であれば、同じ仕方で、現行の車両から採用できる完成部品群を用いてもよい。
【0026】
注目すべきことは、ハンドルバー20が、円筒形枢動部24を介してフレーム14に取付けられ、円筒形枢動部24は、ステアリング歯車の軸と一致している。実質的に水平なステアリング操作レバー26が、枢動部24に固定され、かくして、このステアリング操作レバー26は、ステアリング歯車の軸と一緒に回転することができ、又、前輪16,18の方向が真直ぐであるときに車両10の長手方向軸線と垂直に配置される。詳細には、枢動部24は、ステアリング操作レバー26の重心のところでステアリング操作レバー26に固定されている。
【0027】
車両10の移動方向に沿って配置された互いに実質的に平行な2つのシャフト28,30の端部が、ステアリング操作レバー26の端部のところに枢動可能に取付けられている。シャフト28,30の他方の端部はそれぞれ、ボールジョイント32,34を介してアーム(又は1対のアーム)36,38に取付けられ、アーム(又は1対のアーム)36、38はそれぞれ、ステアリング運動を2つの前輪16,18に直接伝達し、以下に明確に説明するように、独立のサスペンションを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0028】
図8a〜図8cの概略平面図で理解できるように、ハンドルバー20が左方向を向けられるか右方向に向けられるかに応じて、且つ、前輪16,18に対するハンドルバー20の変位(後で説明する)に応じて、シャフト28,30は各々、タイロッド又は圧縮部材のいずれかとして作用する。
【0029】
2つの前輪16,18及び場合によってはブレーキユニットのディスク又はドラムは、それらが既知の仕方で回転することができるように、フロントアーム(又は1対のアーム)36,38の下端部に取付けられ、また、上クロスメンバ42,46を介してフレームに取付けられている。実際には、各前輪16,18は、関節連結された四辺形機構を介してフレーム14に取付けられ、かかる四辺形機構は、長手方向に、即ち、車両10の移動方向と平行に配置されている。
【0030】
詳細には、車両10の右側に配置された関節連結式四辺形機構は、2つの長い方の辺が、右上クロスメンバ40及び右下クロスメンバ42によって形成され、2つの短い方の辺が、右フロントアーム36の上側部分及びフレーム14の適当な部分によって形成されている。同様に、車両10の左側に配置された関節連結式四辺形機構は、2つの長い方の辺が、左上クロスメンバ44及び左下クロスメンバ46によって形成され、2つの短い方の辺が、左フロントアーム38の上側部分及びフレーム14の一部分で形成されている。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、クロスメンバ40,42,44,46は全て、ほぼ同じ長さのものであり、したがって、これらのクロスメンバ40,42,44,46によって形成され且つ長手方向に延びる2つの関節連結式四辺形機構は、関節連結式平行四辺形機構としてより正確に作用する。
【0032】
フロントアーム36は、球形枢動部(ボールジョイント)48,50を介して長手方向クロスメンバ40,42に取付けられ、長手方向のクロスメンバ40,42は、円筒形枢動部56,58によってフレーム14に取付けられており、フロントアーム38は、球形枢動部(ボールジョイント)52,54を介してクロスメンバ44,46に取付けられ、クロスメンバ44,46は、円筒形枢動部60,62によってフレーム14に取付けられている。
【0033】
2つの(右側及び左側の)関節連結式四辺形機構はそれぞれ、球形枢動部64,66を介して2つの実質的に垂直な右アーム68及び左アーム70に取付けられ、右アーム68及び左アーム70は、中央ロッカーアーム72を介して互いに取付けられている。中央ロッカーアーム72は、車両10に対して横断方向に配置されると共に、車両10の中央に配置された円筒形枢動部74を介してフレーム14に取付けられている。したがって、2つの別々の関節連結式平行四辺形機構は、ローリング運動機構を構成し、かかるローリング運動機構により、車両10が走行中に傾くと、ロックアーム72が円筒形枢動部74を中心として回転することによって、前輪16,18を両方とも路面に接触させたままにすることを可能にする。
【0034】
フロントアーム(又は1対のフロントアーム)36,38の形状に関して指摘すべきこととして、二輪車の分野において知られている多くの考えられる実施形態が採用可能である。詳細には、前輪16に取付けられたフロントアーム36が前輪16の両側で分岐して典型的なフォーク形状を形成する従来の前輪組立体を上記運動学的方式に設けることも可能であるし、これに対し、図8a〜図8cに示すように、サスペンションのステムが両方とも前輪16の一方の側に位置し且つ車輪に取付けられた片持ち式である単一アーム型の典型的な前輪組立体を用いることも可能であり且つ有利である。
【0035】
車輪ごとのこの単一アーム型の実施例では、実施形態について種々の可能性が考えられる。
【0036】
実際、単一車輪ごとの単一アーム技術であれば、ハンドルバー20によって付与されるステアリングモーメントを、図8a〜図8cの略図で理解できるように、3つの互いに異なる仕方で個々の前輪16,18に伝達することができる。
【0037】
図8aでは、ステアリングを制御するシャフト28,30は両方とも、2つの前輪16,18の内側に位置決めされ、したがって、例えば、右方向への(矢印FAの方向への)ステアリングの回転に関し、シャフト30は、アーム38に対するタイロッドとして作用し、シャフト28は、反対側のアーム36に対する圧縮部材になる。図8bに示す形態では、シャフト28,30が両方とも2つの前輪16,18の外側に位置決めされ、タイロッド/圧縮部材システムは、図8aの場合と逆になる。この場合、再び矢印FBによって示すようにステアリングを右方向に回転させた場合、シャフト30は、圧縮部材として作用し、シャフト28は、タイロッドとして作用する。
【0038】
図8cは、シャフト28,30が両方とも、車両10の長手方向軸線に対して前輪16,18の同一側(例えば左側)に位置決めされている場合を概略的に示す。この場合、車両10の右方向(矢印FCの方向)に向かってステアリングを回転させると、シャフト28,30は両方とも、圧縮部材として作用する。
【0039】
ステアリングを左方向に回転させる場合、上述した右方向に回転させる場合においてタイロッドとして作用したシャフトが圧縮部材として作用し且つ圧縮部材として作用したシャフトがタイロッドとして作用することが明らかである。
【0040】
同様に、車両10のフロントサスペンションシステムに関する種々の実施例も、この理由で本発明の保護範囲から逸脱するということなしに可能である。
【0041】
図7のa〜cは、かかるサスペンションシステムの考えられる3つの例示の実施形態を示し、これらの実施形態は、コイルばね等の少なくとも1つの弾性要素と、伸縮式油圧ショックアブソーバ等の少なくとも1つの減衰要素とを通常通りに組合せた構成を考えている。
【0042】
図7aは、各フロントアーム36,38が、それに直接適用された既知のタイプの二輪車用独立サスペンション76を有しする実施例を示し、サスペンション76は、特に、1つの弾性要素と1つの減衰要素とからなり、弾性要素及び減衰要素は両方とも、各フロントアーム36,38に取付けられている。
【0043】
また、図7bは、関節連結された平行四辺形機構に取付けられていたアーム68,70を、既知の従来型の二輪車用ショックアブソーバに置き換えた実施例を示す。
【0044】
最後に、図7cに示す実施例では、二分割ロッカーアームの中央部に挿入された単一のショックアブソーバが考えられる。
【0045】
次に、アーム68,70及びロッカーアーム72は、本発明によるローリング車両10の動作原理を何ら損なわなければ、任意の仕方で且つ任意の傾斜で2つの関節連結された平行四辺形機構に取付けられる。
【0046】
本発明のローリング車両10の動作は、上述した説明及びこの動作を図式化すると共に種々の位置で示した図面から即座に理解されよう。かくして、2つのステアリング用前輪及び少なくとも1つの駆動後輪を備えた本発明によるローリング車両は、上述した目的を達成し、自動車の安定性能とオートバイのハンドリング性能とを組合せることを可能にするだけでなく、ほぼ対になった車輪を有し且つ車両の任意の使用条件において平行なままであり且つ等しい間隔をあけたままである前輪組立体を提供することを理解すべきである。
【0047】
長手方向に差し向けられたステアリング用運動機構は、例えば2つのステアリング用前輪を備えた三輪ローリング車両に適用され、前輪と前輪の間の距離が非常に狭い車両を構成することを可能にし、かくして、高速に達するために空力的衝撃が考慮される車両に理想的である。さらに、2つの関節連結式平行四辺形機構が車両のフレームへの取付け及び平行四辺形機構の相互連結システムにより、平行四辺形機構の間の相対距離を一定に保ち、その結果、外観と構造の単純性の両面で有利である。
【0048】
この種の方式では、ハンドルバーは、ステアリングタイロッドから完全に自由になる。かくして、自動車の分野に利用されている実施例(ステアリングホイール及び調節可能なステアリングコラム)と同様、高さ及び傾斜が調節可能なハンドルバーを構成することができる。
【0049】
このように構成された2つのステアリング用前輪及び少なくとも1つの駆動後輪を備えた本発明のローリング車両は、いずれの場合においても、多くの改造及び変形が可能であり、これらは全て、本発明の同一の技術的思想に含まれる。
【0050】
さらに、実際、使用される構成材料並びにこれらの寸法及び構成要素は、技術的要件に応じてどのようなものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】2つのステアリング用前輪及び1つの駆動後輪を備えた本発明による三輪ローリング車両の静的状態の例示の実施形態を前方から見た斜視図である。
【図2a】図1のローリング車両の前輪組立体の構成要素を前方から見た斜視図である。
【図2b】図1の車両の前輪組立体のステアリング及びローリング運動機構を構成する要素を前方から見た斜視図である。
【図3】図1のローリング車両の側面図である。
【図4】図1のローリング車両の運動機構の図式的な側面図である。
【図5】図1のローリング車両の正面図である。
【図6】図1のローリング車両の運動機構の図式的な正面図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の三輪ローリング車両のフロントサスペンションシステムの実施形態を図式的に示す図である。
【図8a】本発明の三輪ローリング車両のステアリング運動機構の1つの実施形態を図式的に示す図である。
【図8b】本発明の三輪ローリング車両のステアリング運動機構の別の実施形態を図式的に示す図である。
【図8c】本発明の三輪ローリング車両のステアリング運動機構の別の実施形態を図式的に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
10 ローリング車両
12 駆動後輪
14 フレーム
16,18 ステアリング用前輪
20 ハンドルバー
22 モータ
24 円筒形枢動部
26 ステアリング操作レバー
28,30 長手方向アーム
32,34 球形枢動部
36,38 フロントアーム
40,44 上クロスメンバ
42,46 下クロスメンバ
48,52 ボールジョイント
50,54 ボールジョイント
56,60 円筒形枢動部
58,62 円筒形枢動部
64,66 球形枢動部
68,70 アーム
72 ロッカーアーム
74 枢動部
76 サスペンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのステアリング用前輪(16,18)を有するローリング車両(10)であって、
フレーム(14)と、ハンドルバー(20)と、モータ(22)に連結された少なくとも1つの駆動後輪(12)と、前記2つのステアリング用前輪(16,18)のステアリング運動機構と、を有し、
前記ステアリング運動機構は、長手方向に延び、2つの互いに平行な長手方向アーム(28,30)を有し、
前記2つの長手方向アーム(28,30)は、その一方の端部が、円筒形枢動部(24)を介して前記ハンドルバー(20)に取付けられたステアリング操作レバー(26)に取付けられ、その他方の端部が、2つの球形枢動部(32,34)を介して、前記ローリング車両(10)に対して長手方向に延びる2つの関節連結式四辺形機構に取付けられ、
ユーザが行う前記ハンドルバー(20)の回転によって前記フレーム(14)に対する前記2つのステアリング用前輪(16,18)の方向転換を達成するように、前記2つのステアリング用前輪(16,18)が前記フレーム(14)に対して回転可能に前記関節連結式四辺形機構を介して前記フレーム(14)に取付けられる、ローリング車両。
【請求項2】
前記2つの関節連結式四辺形機構は、2つの上クロスメンバ(40,44)と、2つの下クロスメンバ(42,46)と、前記2つのステアリング用前輪(16,18)が取付けられた2つのフロントアーム(36,38)と、を有し、
前記2つの上クロスメンバ(40,44)はそれぞれ、一方の側が、円筒形枢動部(56,60)を介して前記フレーム(14)に取付けられ、他方の側が、ボールジョイント(48,52)を介して前記2つのフロントアーム(36,38)に取付けられ、
前記2つの下クロスメンバ(42,46)はそれぞれ、一方の側が円筒形枢動部(58,62)を介して前記フレーム(14)に取付けられ、他方の側がボールジョイント(50,54)を介して前記2つのフロントアーム(36,38)に取付けられる、請求項1に記載のローリング車両(10)。
【請求項3】
前記2つの長手方向アーム(28,30)はそれぞれ、前記2つの球形枢動部(32,34)を介して前記2つの関節連結式四辺形機構の前記2つのフロントアーム(36,38)に取付けられる、請求項2に記載のローリング車両(10)。
【請求項4】
互いに平行な前記2つの関節連結式四辺形機構はそれぞれ、ロッカーアーム(72)によって2つの球形枢動部(64,66)を介して垂直方向に互いに取付けられる、請求項3に記載のローリング車両(10)。
【請求項5】
前記ロッカーアーム(72)は、それを前記2つの球形枢動部(64,66)を介して前記2つの関節連結式四辺形機構の前記2つの下クロスメンバ(42,46)に取付ける2つのアーム(68,70)を含む、請求項4に記載のローリング車両(10)。
【請求項6】
前記ロッカーアーム(72)は、枢動部(74)を介して前記フレーム(14)に取付けられ、前記枢動部(74)は、実質的に、前記枢動部(74)回りの前記フレーム(14)に対する前記2つの関節連結式四辺形機構のローリング方向回転を可能にするように、前記ローリング車両(10)の対称位置に配置される、請求項5に記載のローリング車両(10)。
【請求項7】
前記2つのステアリング用前輪(16,18)にそれぞれ取付けられた前記フロントアーム(36,38)は、典型的なフォーク形状を形成するように、前記2つのステアリング用前輪(16,18)の両側に分かれている、請求項6に記載のローリング車両(10)。
【請求項8】
前記2つのフロントアーム(36,38)はそれぞれ、前記2つのステアリング用前輪(16,18)の一方の側に設けられた単一のアームとして前記2つのステアリング用前輪(16,18)に取付けられる、請求項6に記載のローリング車両(10)。
【請求項9】
前記2つのフロントアーム(36,38)は両方とも、それぞれの前記ステアリング用前輪(16,18)の外側にだけ設けられた単一のアームとして前記ステアリング用前輪(16,18)に取付けられる、請求項8に記載のローリング車両(10)。
【請求項10】
前記2つのフロントアーム(36,38)は両方とも、それぞれの前記ステアリング用前輪(16,18)の内側にだけ設けられた単一のアームとして前記ステアリング用前輪(16,18)に取付けられる、請求項8に記載のローリング車両(10)。
【請求項11】
前記2つのフロントアーム(36,38)は両方とも、それぞれの前記ステアリング用前輪(16,18)の右側にだけ設けられた単一のアームとして前記ステアリング用前輪(16,18)に取付けられる、請求項8に記載のローリング車両(10)。
【請求項12】
前記2つのフロントアーム(36,38)は両方とも、それぞれの前記ステアリング用前輪(16,18)の左側にだけ設けられた単一のアームとして前記ステアリング用前輪(16,18)に取付けられる、請求項8に記載のローリング車両(10)。
【請求項13】
前記2つのフロントアーム(36,38)の各々に、独立のサスペンション(76)が適用され、前記独立のサスペンション(76)は、前記2つのフロントアーム(36,38)の各々に取付けられた弾性要素及び減衰要素からなる、請求項8に記載のローリング車両(10)。
【請求項14】
前記ロッカーアーム(72)を前記2つの関節連結式四辺形機構の2つの下クロスメンバ(42,46)に取付ける前記2つのアーム(68,70)に代えて、2つのショックアブソーバが用いられる、請求項8に記載のローリング車両(10)。
【請求項15】
前記ロッカーアーム(72)に挿入されたショックアブソーバを有する、請求項8に記載のローリング車両(10)。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【公開番号】特開2008−168893(P2008−168893A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−306511(P2007−306511)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(501441773)ピアジオ アンド コンパニア ソシエタ ペル アチオニ (15)
【Fターム(参考)】