2レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置及び3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置及び2レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置並びに3レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置
【課題】本発明は2レンズ,3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置及び2レンズ,3レンズ光学投影型収差補正集束イオン・リソグラフィー装置を提供することを目的としている。
【解決手段】イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームからの特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、該電流制限絞りを通過したイオンビームの電流量を変えることなく開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、ビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えて構成される。
【解決手段】イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームからの特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、該電流制限絞りを通過したイオンビームの電流量を変えることなく開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、ビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えて構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置及び3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置及び2レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置並びに3レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置に関する。
【0002】
本発明は、イオンビーム走査領域から発生する2次電子、2次イオン等を検出する走査型イオン顕微鏡、イオンビーム走査領域、又は投影イオン照射領域におけるスパッタ現象を利用した微細加工装置、イオンビーム照射によるレジスト等への感光現象を利用したイオンビーム・リソグラフィー装置に利用される。
【背景技術】
【0003】
市場に出ている多くの集束イオンビーム装置(以下FIB装置と略す)では、基本的にビームの開き角を制御する静電型集束レンズ、及びビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの2レンズのみ搭載された静電型2レンズ光学系が用いられている。一方、3レンズ光学系を用いたFIB装置も市場に出ている。
【0004】
図13は2レンズ及び3レンズの光学系FIB装置の概念図である。(a)は2レンズ光学系FIB装置を、(b)は3レンズ光学系FIB装置を示している。図において、1はイオンビームを放出するエミッタ、2はエミッタ1の下部に設けられた引出電極、3は引出電極2の下部に設けられたビームの開き角を制御する集束レンズ(CL1)である。
【0005】
4は集束レンズ3の下部に設けられた可動電流制限絞り、5は可動電流制限絞り4の下部に設けられたデフレクタ、6はデフレクタ5の下部に設けられた対物レンズ、7は対物レンズ6の下部に設けられた対物レンズ、7は対物レンズ6の下部に設けられた試料である。以上の構成は、2レンズ光学系FIB装置、3レンズ光学系FIB装置に共通である。3レンズ光学系FIB装置において、8は集束レンズ3の下部に設けられたビームの調整を行なうビーム・アライナ、9は可動電流制限絞り4の下部に設けられた開き角制御レンズ(CL2)である。開き角制御レンズ9が2レンズ光学系には具備されていない。
【0006】
3レンズ光学系は2レンズ光学系に比べて以下の利点を持つ。
1)2レンズ系のビーム電流は、電流制限絞り4の1つの内径につき原則的に1電流しか定義できない。もちろん、集束レンズ3の励起強度によりかなりの範囲のビーム電流を制御できるが、ある特定の電流以外ではビーム径は極端に劣化してしまう。従って、交換可能な絞り径の種類の数が定義可能な電流の数になってしまう。
【0007】
これに対して3レンズ光学系では、その開き角をビーム電流に無関係に制御できるため、1つの電流制限絞り内径で、ビーム径の極端な劣化無しで広い範囲でビーム電流を制御することができる。即ち、2レンズ光学系に比べて交換可能な絞り径の種類の数が少なくとも一つの径で広い範囲のビーム電流を定義できるため、実質的に任意のビーム電流を指定することが可能になる。
【0008】
図14はビーム径dp−イオンビーム電流Ip特性の2,3レンズ光学系の比較を示す図である。縦軸はビーム径[nm]、横軸はプローブ電流[pA]である。実線が3レンズ系の特性を、破線が2レンズ系の特性をそれぞれ示す。矢印は、開き角制御レンズによりビーム径向上が期待できる電流領域である。各曲線の番号は、可動絞り番号を示している。図より明らかなように、2レンズ系は使用できる幅が狭いことが分かる。
2)スパッタリングを利用した微細加工の他のFIB装置の用途には、a)デポジションによる薄膜生成、b)マスクレス・ガスエッチング、c)SIMS(質量分析)等があり、任意のビーム電流を指定することが可能な3レンズ光学系の使用でこれらのスループットを飛躍的に高めることが可能となる。
【0009】
上述したように、3レンズ光学系の優位性は明らかなのであるが、実際にはFIB装置の大勢を占めることができないのには下記の理由が考えられる。
1)レンズ1つを増やすより、必要なビーム電流種類数に合わせて交換可能な制限絞り数を増やす方が安価な方法である。
2)レンズを増やしても、FIB装置の性能の目安である最大分解能や最大電流密度が向上するわけではなく、利用可能な電流種が増えるだけである。
3)3レンズ光学系は、2レンズ光学系よりも機器の調整が難しくなるという思いこみもあることが考えられる。
【0010】
一方、近年半導体産業より要求されている課題に取り組むため、以下に示すようなFIB装置の改良が続けられてきた。
1)最適光学系の適用による高スループット、高分解能FIB装置の実現を目指す。
2)汎用型FIB装置では、通常30〜50kVである加速電圧を、更に高加速にして高スループット、高分解能FIB装置の実現を目指す。
3)汎用型FIB装置で通常用いられるGa−液体金属イオン源(G−LMIS)に代わる高輝度・高分解能が見込まれる希ガスを用いたガス・フィールド・イオン源を開発し、Ga汚染のない高スループット、高分解能FIB装置の実現を目指す。
4)単体コラムでのイオン・リソグラフィー装置が実現可能なイオン光学系の確立。
【0011】
上記1)項に示す方向は既に1997年頃に行き詰まっており、これ以後FIB光学系に関する論文は殆ど散見されない。一方、2)項の高加速化により、ある程度の高電流密度化や高分解能化は可能であるが、ここ2〜3年の半導体産業からの要望は逆に低加速化である。
【0012】
理由は、高加速度イオン照射により、新規材料であるlow/high−k物質へのダメージ、TEM試料作成時の断面アモルフォス層の厚さ等が必然的に大きくなるからである。3),4)項は一時盛んに研究されていたが、現在に至るまで実用化の目途がたっていない。
【0013】
従来のこの種装置としては、収差補正器を動作させる走査モードと、動作させない走査モードをもち、その両方で対物レンズの物点位置が変わらないように収差補正器の動作を制御する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、試料の2次元走査中の各1ラインを加速電圧ΔE+E1,ΔE,ΔE+E2で3回繰り返してライン走査し、この走査に基づく3種の像を3分割されたディスプレイに表示し、この表示された像をフォーカスし、先ずディスプレイの画像の左側の像をフォーカスさせ、その時ディスプレイの右側の像も同様にフォーカスされるように収差補正器の電源を調整して多極子の調整を行なうことにより、色収差の補正を行なう技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−303547号公報(段落00016〜0017、図1)
【特許文献2】特開2004−355822号公報(段落0035〜0039、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在FIB装置に強く求められる共通性能は、高分解能化、高電流密度化と、それに相反する低加速化である。例えば、現状FIB装置の30kVでは、ビーム電流Ip=0.5pAで約5nmの最大分解能、1nAで約80nmのビーム径が得られているが、5kVではせいぜい約20nmの最大分解能、1nAで約400nmのビーム径が得られる程度である。
【0015】
ビーム径を制限している要素は、Ip≦10pAではガウス像と1次色収差、10pA≦Ip≦1nAでは1次色収差と3次球面収差、1nA≦Ipでは3次球面収差である。これより、低加速化により分解能やビーム径が劣化するのは色収差によるものであると考えることができる。
【0016】
即ち、収差補正を実行すれば広い加速電圧範囲でビーム径の劣化を最小にすることが可能になることが分かる。そして、この技術が実現できれば、Ga−液体金属に代わるイオン源が開発されても、直ちに適用することが可能となる。
【0017】
一方、近年、色収差と球面収差を補正する静電磁場を用いた収差補正装置が開発され、これらを搭載した各種電子顕微鏡は、従来の限界を大幅に上回る高分解能を実現している。しかしながら、磁場を用いた収差補正装置は、a)その再現性の悪さにより調整が難しいためスループットを下げる、b)質量の大きなイオン光学系には適用が不可能である、等の欠点を持つ。しかしながら、最近、全静電型収差補正に関する論文が発表され、上記の静電磁場型収差補正装置の欠点を改良できる概念として注目を浴びている。
【0018】
FIB装置の分解能の向上(ビーム径の縮小)、及びビーム電流密度の増大に関する従来技術の限界を打破する1つの方法が収差補正技術である。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、第1に収差補正に関する理論的検討の実行により最大分解能、及び最大ビーム電流密度を実現する収差補正集束イオンビーム装置及び光学投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置を提供することを目的としており、第2に従来調整が非常に難しいと思われている収差補正が自動で実行可能な収差補正集束イオンビーム装置及び光学投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)請求項1記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームから特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする。
【0020】
(2)請求項2記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に上記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成されることを特徴としている。
【0021】
(3)請求項3記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームからの特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、該電流制限絞りを通過したイオンビームの電流量を変えることなく開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、ビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする。
【0022】
(4)請求項4記載の発明は、前記電流制限絞りの上に、2段の振り戻し式静電偏向器と、静電型開き角制御レンズと静電型収差補正装置の間に、イオンビームを2次元方向に独立に偏向できる静電型偏向器を備えたことを特徴としている。
【0023】
(5)請求項5記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に前記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成されることを特徴としている。
【0024】
(6)請求項6記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、2段の振り戻し式静電偏向器、描画用ステンシル・マスク、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、イオンビームを2次元X,Y方向に独立に偏向できる静電偏向器、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順に並べられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
(1)請求項1記載の発明によれば、分解能及び電流密度を大きくすることができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、描画用ステンシルマスクを用いて分解能のよい描画を行なうことができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、収差を低減してイオンビーム照射を行なうことができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、最大分解能、及び最大ビーム電流密度を実現する収差補正集束イオンビーム装置を提供することができ、また従来調整が非常に難しいと思われている収差補正が自動で実行可能な装置を提供することができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、描画用ステンシルマスクを用いて精度よくビーム描画を行なうことができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、収差補正を自動で行なうことができるイオン・リソグラフィー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
(第1の実施の形態例)
図1は2レンズ光学系を用いる集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。この図において、ベースとなるFIB装置としては、イオン源(エミッタ)11、該イオン源11からイオンビームを引き出す引出電極12、引き出されたイオンビームの開き角を制御する集束レンズ13から構成されるガンレンズ(コンデンサレンズ)、前記イオン源11から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームから特定の放射角(立体角)をもつビームを取り出す電流制限絞り14、イオンビームを2次元方向に偏向する偏向器16、イオンビームを試料M上に集束するための静電型対物レンズ15の順で並べられる2レンズ光学系を用いる。
【0027】
コンデンサレンズ13は、レンズ電極13B、接地電極13Cから構成されている。対物レンズ15は、電極15A,電極15B,電極15Cから構成されている。18は試料Mを載置する試料ステージ、17はイオンビームが試料Mに照射された時の反射粒子を検出する検出器、27は該検出器17で検出された検出信号を表示する表示装置である。該表示装置27としては、例えばCRTや液晶ディスプレイが用いられる。
【0028】
21はエミッタ11に加速電圧を与える加速電源、22は引出電極12に引出電圧を与える引出電源、23はコンデンサレンズ13に動作電圧を与えるレンズ電源、24は偏向器16に偏向電圧を与える偏向電源、25は対物レンズ15に動作電圧を与えるレンズ電源である。
【0029】
計算による検討の結果、上記2レンズ光学系に収差補正装置を搭載したFIB装置は、図2に示すような構成にするのがよいと結論付けられた。図2は2レンズ光学系収差補正装置を搭載する走査型集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、11はエミッタ、12は引出電極、13は集束レンズ(CL1)、28は集束レンズ13の下部に配置されたビームアライナ、14Aはビームアライナ28の下部に配置された可動電流制限絞りである。
【0030】
29は可動電流制限絞り14Aの下部に配置された収差補正装置であり、上段収差補正装置29Aと下段収差補正装置29Bから構成されている。16は収差補正装置29の下部に配置されたデフレクタ(偏向器)、15はデフレクタ16の下部に配置された対物レンズ、Mは試料である。
【0031】
25は対物レンズ15を駆動する対物レンズ電圧電源、30は収差補正レンズ成分電圧電源、31Aは収差補正レンズ成分電圧電源30の出力を受けて上段収差補正装置29Aを駆動する収差補正装置上段電源、31Bは同じく収差補正レンズ成分電圧電源30の出力を受けて下段収差補正装置29Bを駆動する収差補正電源下段電源である。
【0032】
このように構成された構成が最も良いと結論づけられた理由は以下の通りである。
1)達成できるビーム径の縮小(収差補正装置を取り付けることによる収差の発生、収差の補正の関係)を考えた場合、収差補正装置の位置は、収差補正装置の低電圧駆動が可能な引出電極12と集束レンズ13の間より、又は対物レンズ15の下に置くより、集束レンズ13と対物レンズ15間に置くのが最もよい。
2)集束レンズ13と対物レンズ15間での収差補正装置位置は、電流制限絞り14Aと対物レンズ15の中間に設置する構成が最もよいと考えられる。これには以下のような利点があるためである。
・収差補正装置29の励起(各収差補正のための電極にかける印加電圧)は、エミッタ11や対物レンズ15の設定により異なる。しかしながら、収差補正装置29が電流制限絞り14Aの上にあると、ビーム電流が収差補正装置29の励起状態により変化してしまう。
・収差補正を実行するためには、ビームをx方向,y方向の異なる位置でクロスさせなくてはならない(図3参照)。図3は収差補正時の典型的なビーム軌道を示す図である。収差補正装置内のX軌道とY軌道が示されている。収差補正装置29は、入射多極子と、第1/第2補正要素、出射多極子より構成されており、それぞれの構成要素の中を図に示すような軌道を描き、出射多極子出口でX軌道とY軌道が一体化される。
【0033】
一方、同じ加速電圧では、質量の大きなイオン粒子の場合、空間電荷効果の影響は電子ビームより大きい。このため、空間電荷効果のビーム径への影響を最小限にするには、収差補正装置29に入射するイオンビーム電流を最小にしておかねばならない。
【0034】
このように構成された装置の動作を説明すると、以下の通りである。
いま、ある標準的な2レンズ光学系FIB装置に、長さ約300mmの収差補正装置29を、図2に示す位置に搭載した場合のビーム径dp−ビーム電流Ip特性を、非搭載時と比較して、以下の条件で光学計算を実施してみる。
1)エミッタ角電流密度(angular current density):20μA/sr
2)仮想光源大きさ(virtual source diameter) :50nm
3)エネルギー広がり(energy spread) :5eV
この結果、加速電圧Vacc=30keVで、図4に示すようなビーム径の縮小が達成される。図4は収差補正によるビーム径の縮小の説明図である。縦軸はイオンビームのビーム径dp[nm]、横軸はイオンビーム電流Ip[pA]である。●で示された軌跡は測定値、曲線f1は非補正時理論値、f2は収差補正FIB(理論値)である。加速電圧Vaccは30kVである。この図より、以下のことが読み取れる。
a)ビーム電流Ipを同じにとった場合のビーム径の縮小は、Y軸(縦軸)と平行な値を比較することにより読み取れる。縮小率は、ビーム径により異なるが、1/3〜1/5程度なる。
b)また、ビーム径を同じにとった場合のビーム電流密度の増加は、X軸(横軸)と平行な値を比較することにより読み取れる。これにより、ビーム電流密度増加率はビーム径により異なるが、8〜20倍程度が推定される。なお、電流密度の増加率は縮小率の逆数の2乗に比例する。
【0035】
この実施の形態例での、上記性能が得られる場合の、全FIB鏡筒領域における代表的なポテンシャル分布と、イオン軌道を図5に示す。図5はレンズ光学系収差補正FIB装置での代表的なポテンシャル分布とイオン軌道を示す図である。上段はX,Y軌道を、中段は軸上ポテンシャルを、下段は多極子場強度を示している。軸上ポテンシャルと多極子場強度において、横軸はZ方向の長さを示す。軸上ポテンシャルにおいて、縦軸は[kV]を、多極子場強度において、実線は4極子強度[10V/mm2]、破線は8極子強度[0.05V/mm4]をそれぞれ示す。
【0036】
この実施の形態例によれば、分解能及び電流密度を大きくすることができる。
(実施の形態例2)
静電型収差補正装置を搭載したFIB装置の例として、図6に投影型2レンズ光学系イオン・リソグラフィー装置を示す。図6において、図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、11はエミッタ、12はエミッタ11の下部に配置された引出電極、13は引出電極12の下部に配置された集束レンズ、28は集束レンズ13の下部に配置されたビームアライナ、35はビームアライナ28の下部に配置されたステンシルマスクである。該ステンシルマスク35は、電流制限絞り14Aの代わりに設けられたものである。
【0037】
29はステンシルマスク35の下部に配置された収差補正装置、15は収差補正装置29の下部に配置された対物レンズ、Mは対物レンズ15の下部に配置された試料である。25は、対物レンズ15を駆動する対物レンズ電圧電源、30は収差補正装置29を駆動するための収差補正レンズ成分電圧電源、31Aは上段収差補正装置29Aを駆動する収差補正装置上段電源、31Bは下段収差補正装置29Bを駆動する収差補正装置下段電源である。
【0038】
この実施の形態例でのステンシルマスク35は、エミッタ1と静電型収差補正装置29の中間に置かれているが、必ずしもこの位置に置かれる必要はない。例えば、ステンシルマスク位置は対物レンズ15の下でもよい。なお、ステンシルマスクの位置により各レンズの役割は異なることに注意が必要である。即ち、ステンシルマスク位置が、エミッタ11−静電型収差補正装置29の間に設けられている場合は、集束レンズ13はステンシルマスク位置でクロスオーバを結ぶように制御されなくてはならないし、対物レンズ15の下の場合では、対物レンズ15は試料M上ではなく、ステンシルマスク位置でフォーカスを結ぶように制御されなくてはならない。
【0039】
また、図6では、投影型リソグラフィー装置では不要であることを強調するために、デフレクタは省略されているが、実際の装置では以下の理由により必ずしも非搭載にする必要はない。
1)光学系に関する装置の良否を決定するために、像を出す必要が存在する。
2)通常用いられる2段振り戻し式デフレクタは、ビームアライナとしても利用される場合が多い。
【0040】
この実施の形態例によれば、描画用ステンシルマスクを用いて分解能のよい描画を行なうことができる。
(実施の形態例3)
2レンズ系FIB装置に全静電型収差補正装置を搭載した場合の理論的な詳細検討により、実施の形態例1及び2が示すような鏡筒の構成では、その光学的性能及び使いやすさに関する観点から問題があることが判明した。実施の形態例3と4では、実施の形態例1と2での問題点に対処する方法を述べる。ここでは、実施の形態例1及び2の下記問題点に対する対処法を与える。
1)小ビーム電流領域でのビーム径縮小に制限を与える仮想光源大きさを反映したガウス像の縮小。ガウス像の大きさdGは系の倍率をm、仮想光源の大きさをdoとして次式で表される。dG=m・do
2)大ビーム電流領域でのビーム径縮小に制限を与える5次開口収差の影響を減少させるためのビーム電流制限絞り径、及び試料へのビーム入射角の最適化。
3)簡単で高精度なビーム・アライメント法の導入。
4)次数が異なった収差を見分けることができる、自動ビーム・アライメントが可能な手段の提供。
【0041】
実施の形態例3では、上記1),2)項対応可能な方法を示し、実施の形態例4では上記1)〜4)の前項対応可能な方法を示す。
実施の形態例3として、図7に示すような静電型収差補正装置を搭載した3レンズ系走査型集束イオンビーム装置を用いる。図7において、図2,図6と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、11はイオンを放出するエミッタ、12は該エミッタ11の下部に配置された引出電極、13は該引出電極12の下部に配置された集束レンズ(CL1)、28は集束レンズ13の下部に配置されたビームアライナ、14Aは該ビームアライナ28の下部に配置された可動電流制限絞り、40は該可動電流制限絞り14Aの下部に配置された第2の集束レンズ(開き角制御レンズ,コンデンサレンズともいう)(CL2)、41は第2集束レンズ40の下部に設けられたドリフト・スペース、29は該ドリフトスペース41の下部に配置された収差補正装置で、上段収差補正装置29Aと下段収差補正装置29Bとから構成されている。
【0042】
16は収差補正装置29の下部に配置されたデフレクタ(偏向器)、15は該デフレクタ16の下部に配置された対物レンズ、Mは該対物レンズ15の下部に配置された試料である。実施の形態例1とこの実施の形態例との大きな差異は、可動電流制限絞り14Aのすぐ下部に第2コンデンサレンズ(開き角制御レンズ)(CL2)40を設けたことと、該開き角制御レンズ40の下部にドリフトスペース41を設けた点である。このドリフトスペース41は、数10mm程度の単なるスペースであり、目的性能を獲得するために必ずしも必要なものではないが、これを置くことにより、下記2点の優位性を持つ。
1)開き角制御レンズ(CL2)40の必要な最大電圧が小さくとれる。
2)収差補正装置29の各種補正エレメントの駆動電圧が小さくとれる。
【0043】
このように構成された装置の動作を以下に説明する。
a)小電流領域での動作
FIB装置をSIM(Scanning Ion Microscope)像取得のために利用する場合は、ビーム電流を小さくとる。このようなビーム電流が数pA領域での場合のビーム径縮小を制限している要素は、仮想光源の大きさ(ガウス像)である。従って、小電流領域での分解能向上は、高い“Demagnification” を実現することによってのみ可能である。これは、“Demagnification”のための第2ステージが必要だということを意味する。
【0044】
本実施の形態例では、開き角制御レンズ40が、コレクタ(全静電型集束イオンビーム装置)前にクロスオーバを作る。開き角制御レンズ40の可動電流制限絞り(アパーチャ)14Aにより殆どの電流が制限され、数pA程度の電流しか流れない領域においては、クロスオーバによる空間電荷効果は大きな問題にはならない。
b)大電流領域での動作
FIB装置を加工に利用する場合、そのスループットを向上させるために、ビーム電流を大きくとる。このような電流領域での状況は小電流領域の場合とは異なる。ここでの性能制限要素は、仮想光源の大きさだけでなく、エミッタ輝度と5次の収差も加わる。理論的検討により、この電流領域での性能向上は、5次の収差の大幅な減少のみによって達成可能なことが明らかになっている。
【0045】
この実施の形態例によれば、収差を低減してイオンビーム照射を行なうことができる。
(実施の形態例4)
第4の実施の形態例として、図8に示すような静電型収差補正装置を搭載した3レンズ系集束イオンビーム装置を示す。図7と同一のものは、同一の符号を付して示す。実施の形態例3に示す装置とこの装置の大きな違いは、開き角制御レンズ40の下のドリフトスペースの中に、高精度な軸合わせ機構と自動収差補正のために、1段のx,y偏向システム(図ではビームアライナ)45が配置されていることである。なお、図8では、可動電流制限絞り14Aの上の2段の振り戻し式静電偏向器28をビームアライナ1、開き角制御レンズ40の下の静電偏向器45をビームアライナ2としてある。その他の構成は、図7と同一であるので、説明は省略する。
【0046】
このように構成された装置において、一般的に収差補正装置の調整を実行するには、収差についての知識が必要であり、長い調整時間が必要な場合もある。このような問題を避けるには、自動収差補正が可能な装置を提供する必要がある。しかしながら、これを実行するときの重大な問題は下記2項である。
1)SIM像より異なった次数の収差を見分けることが可能。
2)高次収差の信頼できる検出法の確立。
【0047】
この実施の形態例では、可動電流制限絞り14Aとコレクタ間に新偏向系を取り入れることによって、大きな仮想開口角を持った一連の像を作り出しながら仮想光源に関し、ビームを傾けることが可能になる。このようなことを一連のチルト角で実行し、デフォーカス、非点像を解析すれば、全ての開口収差を測定することが可能になる。異なった次数の収差は、異なった傾斜角を利用することにより、それぞれに区別することが可能になる。
【0048】
若し、可動電流制限絞り14Aより下の収差だけが重要となる時(小電流領域)は、第1ステージでは可動電流制限絞り14Aの上で、第2ステージでは可動電流制限絞り14Aの下でビームを偏向することにより、仮想アパーチャを構成することができる(図9の上段参照)。図9は自動収差測定及び自動収差補正のための仮想アパーチャシフトの原理を示す図である。ビームアライナ(1)の第1偏向支点と、ビームアライナ(1)の第2偏向支点と、アパーチャ位置と、ビームアライナ(2)の偏向支点におけるアパーチャシフトの様子を示している。
【0049】
大電流領域が該当するように、若しエミッタ11の収差への寄与が大きくなる時は、仮想アパーチャはエミッタ11内に存在しなければならなくなる。従って、2段偏向システムが図9の下段に示すように、新規導入の偏向系と共に使用されなくてはならない。
【0050】
もし特定の大きさの角度領域に放射されたとしても、試料まで到達するビームは、全ての重要な光学要素を通り抜ける。いつもその中央近辺にビームが通り抜ける、アパーチャ(可動絞り)近くに位置する開き角制御レンズ40の全体への収差への寄与は、一般的に無視可能である。
【0051】
同様に、新規偏向系の追加により、軸合わせ法も簡略化できる。現コラムでは、アパーチャはコレクタ中心の上にのみ機械的に調整されなくてはならない。従って、アパーチャ径(アパーチャ番号)が変更された場合、その機械的位置再現性の悪さと、収差補正時の正確な機械的軸合わせの要求により、アパーチャ位置の再調整がしばしば要求される。しかしながら、新偏向系の導入で、アパーチャ径交換後の再調整が、電気的なアパーチャ仮想シフトで簡単に実現できるようになる。
【0052】
いま、ある標準的な3レンズ光学系FIB装置に、長さ100mmのドリフト・スペースを設けた場合のビーム径を、実施の形態例1でのビーム径と比較してみる。計算条件は、実施の形態例1での条件と同じにする。図10は実施の形態例1と実施の形態例4の到達ビーム径の比較を示す図である。
【0053】
この図より、開き角制御レンズCL2の存在がビーム径を向上させるのは、小電流領域の1pAだけで、大電流領域では効果が小さいことが分かる。これは、それぞれの電流での最適化アパーチャ径を用いているからである。大電流領域での開き角制御レンズCL2の存在価値は、ビーム電流が最適アパーチャ径が規定するビーム電流とは異なった場合である。
【0054】
これを示すのが、図11である。図11は収差補正時のビーム径dp−電流Ip特性の2、3レンズ光学系の比較を示す図である。縦軸はビーム径dp[nm]、横軸はイオンビーム電流Ip[pA]である。○が3レンズ光学系、●が2レンズ光学系をそれぞれ示している。加速電圧Vacc=30kVの場合を示す。この時、アパーチャ径はビーム電流10nAで最適化されている。これより、大電流領域でも開き角制御レンズCL2の効果が見て取れる。即ち、数種類のアパーチャ径を用意しておけば、任意の電流で最適条件でのビーム径の実現が可能になる。
【0055】
この実施の形態例によれば、最大分解能、及び最大ビーム電流密度を実現する収差補正集束イオンビーム装置を提供することができ、また従来調整が非常に難しいと思われている収差補正が自動で実行可能な装置を提供することができる。
(実施の形態例5)
実施の形態例5は、実施の形態例3を投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置として利用したものである。
【0056】
この実施の形態例によれば、描画用ステンシルマスクを用いて精度よくビーム描画を行なうことができる。
(実施の形態例6)
実施の形態例6は、実施の形態例4を投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置として利用したものである。
【0057】
この実施の形態例によれば、収差補正を自動で行なうことができるイオン・リソグラフィー装置を提供することができる。
図12は本発明で到達可能なビーム径計算値を示す図である。この図は、加速電圧Vaccと、ビーム電流と、最大電流密度を本発明である2レンズ、3レンズ光学系と、代表的な従来型FIBビーム径と比較したものである。全ての点において、3レンズ光学系が勝っていることが分かる。
【0058】
上記結果より、全静電型収差補正装置を搭載した集束イオンビーム装置は、以下の効果をもたらすことが分かる。
1)1997年以降、停滞していたGa−LMIS搭載の集束イオンビーム装置の性能限界を大幅に突破することが可能となる。
2)近年、求められていた低加速電圧FIB装置を、現30kV時の性能を落とすことなく実現することができる。
3)大電流、高電流密度の実現により、単体鏡筒のイオン・リソグラフィー装置の実現の可能性を開く。
4)一般的に困難と認識されているFIB装置の自動調整や、収差補正自動化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】2レンズ光学系集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図2】2レンズ光学系収差補正装置を搭載する走査型集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図3】収差補正時の典型的なビーム軌道を示す図である。
【図4】収差補正によるビーム径の縮小の説明図である。
【図5】レンズ光学系収差補正FIB装置での代表的なポテンシャル分布とイオン軌道を示す図である。
【図6】収差補正装置を搭載する投影型2レンズ光学系イオン・リソグラフィー装置の構成例を示す図である。
【図7】全静電型収差補正装置を搭載した3レンズ系走査型集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図8】開き角制御レンズと収差補正装置の間にビーム・アライナを搭載した3レンズ系集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図9】自動収差測定及び自動収差補正のための仮想アパーチャ・シフトの原理を示す図である。
【図10】実施の形態例1と実施の形態例4の到達ビーム径の比較を示す図である。
【図11】収差補正時のビーム径dp−電流Ip特性の2、3レンズ光学系の比較を示す図である。
【図12】本発明で到達可能なビーム径計算値を示す図である。
【図13】2レンズ及び3レンズの光学系FIB装置の概念図である。
【図14】ビーム径dp−電流Ip特性の2,3レンズ光学系の比較を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
11 エミッタ(イオン源)
12 引出電極
13 集束レンズ(CL2)
14A 可動電流制限絞り
15 対物レンズ
16 デフレクタ
28 ビームアライナ(1)
29 収差補正装置
29A 上段収差補正装置
29B 下段収差補正装置
45 ビームアライナ(2)
M 試料
【技術分野】
【0001】
本発明は2レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置及び3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置及び2レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置並びに3レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置に関する。
【0002】
本発明は、イオンビーム走査領域から発生する2次電子、2次イオン等を検出する走査型イオン顕微鏡、イオンビーム走査領域、又は投影イオン照射領域におけるスパッタ現象を利用した微細加工装置、イオンビーム照射によるレジスト等への感光現象を利用したイオンビーム・リソグラフィー装置に利用される。
【背景技術】
【0003】
市場に出ている多くの集束イオンビーム装置(以下FIB装置と略す)では、基本的にビームの開き角を制御する静電型集束レンズ、及びビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの2レンズのみ搭載された静電型2レンズ光学系が用いられている。一方、3レンズ光学系を用いたFIB装置も市場に出ている。
【0004】
図13は2レンズ及び3レンズの光学系FIB装置の概念図である。(a)は2レンズ光学系FIB装置を、(b)は3レンズ光学系FIB装置を示している。図において、1はイオンビームを放出するエミッタ、2はエミッタ1の下部に設けられた引出電極、3は引出電極2の下部に設けられたビームの開き角を制御する集束レンズ(CL1)である。
【0005】
4は集束レンズ3の下部に設けられた可動電流制限絞り、5は可動電流制限絞り4の下部に設けられたデフレクタ、6はデフレクタ5の下部に設けられた対物レンズ、7は対物レンズ6の下部に設けられた対物レンズ、7は対物レンズ6の下部に設けられた試料である。以上の構成は、2レンズ光学系FIB装置、3レンズ光学系FIB装置に共通である。3レンズ光学系FIB装置において、8は集束レンズ3の下部に設けられたビームの調整を行なうビーム・アライナ、9は可動電流制限絞り4の下部に設けられた開き角制御レンズ(CL2)である。開き角制御レンズ9が2レンズ光学系には具備されていない。
【0006】
3レンズ光学系は2レンズ光学系に比べて以下の利点を持つ。
1)2レンズ系のビーム電流は、電流制限絞り4の1つの内径につき原則的に1電流しか定義できない。もちろん、集束レンズ3の励起強度によりかなりの範囲のビーム電流を制御できるが、ある特定の電流以外ではビーム径は極端に劣化してしまう。従って、交換可能な絞り径の種類の数が定義可能な電流の数になってしまう。
【0007】
これに対して3レンズ光学系では、その開き角をビーム電流に無関係に制御できるため、1つの電流制限絞り内径で、ビーム径の極端な劣化無しで広い範囲でビーム電流を制御することができる。即ち、2レンズ光学系に比べて交換可能な絞り径の種類の数が少なくとも一つの径で広い範囲のビーム電流を定義できるため、実質的に任意のビーム電流を指定することが可能になる。
【0008】
図14はビーム径dp−イオンビーム電流Ip特性の2,3レンズ光学系の比較を示す図である。縦軸はビーム径[nm]、横軸はプローブ電流[pA]である。実線が3レンズ系の特性を、破線が2レンズ系の特性をそれぞれ示す。矢印は、開き角制御レンズによりビーム径向上が期待できる電流領域である。各曲線の番号は、可動絞り番号を示している。図より明らかなように、2レンズ系は使用できる幅が狭いことが分かる。
2)スパッタリングを利用した微細加工の他のFIB装置の用途には、a)デポジションによる薄膜生成、b)マスクレス・ガスエッチング、c)SIMS(質量分析)等があり、任意のビーム電流を指定することが可能な3レンズ光学系の使用でこれらのスループットを飛躍的に高めることが可能となる。
【0009】
上述したように、3レンズ光学系の優位性は明らかなのであるが、実際にはFIB装置の大勢を占めることができないのには下記の理由が考えられる。
1)レンズ1つを増やすより、必要なビーム電流種類数に合わせて交換可能な制限絞り数を増やす方が安価な方法である。
2)レンズを増やしても、FIB装置の性能の目安である最大分解能や最大電流密度が向上するわけではなく、利用可能な電流種が増えるだけである。
3)3レンズ光学系は、2レンズ光学系よりも機器の調整が難しくなるという思いこみもあることが考えられる。
【0010】
一方、近年半導体産業より要求されている課題に取り組むため、以下に示すようなFIB装置の改良が続けられてきた。
1)最適光学系の適用による高スループット、高分解能FIB装置の実現を目指す。
2)汎用型FIB装置では、通常30〜50kVである加速電圧を、更に高加速にして高スループット、高分解能FIB装置の実現を目指す。
3)汎用型FIB装置で通常用いられるGa−液体金属イオン源(G−LMIS)に代わる高輝度・高分解能が見込まれる希ガスを用いたガス・フィールド・イオン源を開発し、Ga汚染のない高スループット、高分解能FIB装置の実現を目指す。
4)単体コラムでのイオン・リソグラフィー装置が実現可能なイオン光学系の確立。
【0011】
上記1)項に示す方向は既に1997年頃に行き詰まっており、これ以後FIB光学系に関する論文は殆ど散見されない。一方、2)項の高加速化により、ある程度の高電流密度化や高分解能化は可能であるが、ここ2〜3年の半導体産業からの要望は逆に低加速化である。
【0012】
理由は、高加速度イオン照射により、新規材料であるlow/high−k物質へのダメージ、TEM試料作成時の断面アモルフォス層の厚さ等が必然的に大きくなるからである。3),4)項は一時盛んに研究されていたが、現在に至るまで実用化の目途がたっていない。
【0013】
従来のこの種装置としては、収差補正器を動作させる走査モードと、動作させない走査モードをもち、その両方で対物レンズの物点位置が変わらないように収差補正器の動作を制御する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、試料の2次元走査中の各1ラインを加速電圧ΔE+E1,ΔE,ΔE+E2で3回繰り返してライン走査し、この走査に基づく3種の像を3分割されたディスプレイに表示し、この表示された像をフォーカスし、先ずディスプレイの画像の左側の像をフォーカスさせ、その時ディスプレイの右側の像も同様にフォーカスされるように収差補正器の電源を調整して多極子の調整を行なうことにより、色収差の補正を行なう技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−303547号公報(段落00016〜0017、図1)
【特許文献2】特開2004−355822号公報(段落0035〜0039、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在FIB装置に強く求められる共通性能は、高分解能化、高電流密度化と、それに相反する低加速化である。例えば、現状FIB装置の30kVでは、ビーム電流Ip=0.5pAで約5nmの最大分解能、1nAで約80nmのビーム径が得られているが、5kVではせいぜい約20nmの最大分解能、1nAで約400nmのビーム径が得られる程度である。
【0015】
ビーム径を制限している要素は、Ip≦10pAではガウス像と1次色収差、10pA≦Ip≦1nAでは1次色収差と3次球面収差、1nA≦Ipでは3次球面収差である。これより、低加速化により分解能やビーム径が劣化するのは色収差によるものであると考えることができる。
【0016】
即ち、収差補正を実行すれば広い加速電圧範囲でビーム径の劣化を最小にすることが可能になることが分かる。そして、この技術が実現できれば、Ga−液体金属に代わるイオン源が開発されても、直ちに適用することが可能となる。
【0017】
一方、近年、色収差と球面収差を補正する静電磁場を用いた収差補正装置が開発され、これらを搭載した各種電子顕微鏡は、従来の限界を大幅に上回る高分解能を実現している。しかしながら、磁場を用いた収差補正装置は、a)その再現性の悪さにより調整が難しいためスループットを下げる、b)質量の大きなイオン光学系には適用が不可能である、等の欠点を持つ。しかしながら、最近、全静電型収差補正に関する論文が発表され、上記の静電磁場型収差補正装置の欠点を改良できる概念として注目を浴びている。
【0018】
FIB装置の分解能の向上(ビーム径の縮小)、及びビーム電流密度の増大に関する従来技術の限界を打破する1つの方法が収差補正技術である。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、第1に収差補正に関する理論的検討の実行により最大分解能、及び最大ビーム電流密度を実現する収差補正集束イオンビーム装置及び光学投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置を提供することを目的としており、第2に従来調整が非常に難しいと思われている収差補正が自動で実行可能な収差補正集束イオンビーム装置及び光学投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)請求項1記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームから特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする。
【0020】
(2)請求項2記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に上記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成されることを特徴としている。
【0021】
(3)請求項3記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームからの特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、該電流制限絞りを通過したイオンビームの電流量を変えることなく開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、ビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする。
【0022】
(4)請求項4記載の発明は、前記電流制限絞りの上に、2段の振り戻し式静電偏向器と、静電型開き角制御レンズと静電型収差補正装置の間に、イオンビームを2次元方向に独立に偏向できる静電型偏向器を備えたことを特徴としている。
【0023】
(5)請求項5記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に前記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成されることを特徴としている。
【0024】
(6)請求項6記載の発明は、イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、2段の振り戻し式静電偏向器、描画用ステンシル・マスク、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、イオンビームを2次元X,Y方向に独立に偏向できる静電偏向器、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順に並べられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
(1)請求項1記載の発明によれば、分解能及び電流密度を大きくすることができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、描画用ステンシルマスクを用いて分解能のよい描画を行なうことができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、収差を低減してイオンビーム照射を行なうことができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、最大分解能、及び最大ビーム電流密度を実現する収差補正集束イオンビーム装置を提供することができ、また従来調整が非常に難しいと思われている収差補正が自動で実行可能な装置を提供することができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、描画用ステンシルマスクを用いて精度よくビーム描画を行なうことができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、収差補正を自動で行なうことができるイオン・リソグラフィー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
(第1の実施の形態例)
図1は2レンズ光学系を用いる集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。この図において、ベースとなるFIB装置としては、イオン源(エミッタ)11、該イオン源11からイオンビームを引き出す引出電極12、引き出されたイオンビームの開き角を制御する集束レンズ13から構成されるガンレンズ(コンデンサレンズ)、前記イオン源11から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームから特定の放射角(立体角)をもつビームを取り出す電流制限絞り14、イオンビームを2次元方向に偏向する偏向器16、イオンビームを試料M上に集束するための静電型対物レンズ15の順で並べられる2レンズ光学系を用いる。
【0027】
コンデンサレンズ13は、レンズ電極13B、接地電極13Cから構成されている。対物レンズ15は、電極15A,電極15B,電極15Cから構成されている。18は試料Mを載置する試料ステージ、17はイオンビームが試料Mに照射された時の反射粒子を検出する検出器、27は該検出器17で検出された検出信号を表示する表示装置である。該表示装置27としては、例えばCRTや液晶ディスプレイが用いられる。
【0028】
21はエミッタ11に加速電圧を与える加速電源、22は引出電極12に引出電圧を与える引出電源、23はコンデンサレンズ13に動作電圧を与えるレンズ電源、24は偏向器16に偏向電圧を与える偏向電源、25は対物レンズ15に動作電圧を与えるレンズ電源である。
【0029】
計算による検討の結果、上記2レンズ光学系に収差補正装置を搭載したFIB装置は、図2に示すような構成にするのがよいと結論付けられた。図2は2レンズ光学系収差補正装置を搭載する走査型集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、11はエミッタ、12は引出電極、13は集束レンズ(CL1)、28は集束レンズ13の下部に配置されたビームアライナ、14Aはビームアライナ28の下部に配置された可動電流制限絞りである。
【0030】
29は可動電流制限絞り14Aの下部に配置された収差補正装置であり、上段収差補正装置29Aと下段収差補正装置29Bから構成されている。16は収差補正装置29の下部に配置されたデフレクタ(偏向器)、15はデフレクタ16の下部に配置された対物レンズ、Mは試料である。
【0031】
25は対物レンズ15を駆動する対物レンズ電圧電源、30は収差補正レンズ成分電圧電源、31Aは収差補正レンズ成分電圧電源30の出力を受けて上段収差補正装置29Aを駆動する収差補正装置上段電源、31Bは同じく収差補正レンズ成分電圧電源30の出力を受けて下段収差補正装置29Bを駆動する収差補正電源下段電源である。
【0032】
このように構成された構成が最も良いと結論づけられた理由は以下の通りである。
1)達成できるビーム径の縮小(収差補正装置を取り付けることによる収差の発生、収差の補正の関係)を考えた場合、収差補正装置の位置は、収差補正装置の低電圧駆動が可能な引出電極12と集束レンズ13の間より、又は対物レンズ15の下に置くより、集束レンズ13と対物レンズ15間に置くのが最もよい。
2)集束レンズ13と対物レンズ15間での収差補正装置位置は、電流制限絞り14Aと対物レンズ15の中間に設置する構成が最もよいと考えられる。これには以下のような利点があるためである。
・収差補正装置29の励起(各収差補正のための電極にかける印加電圧)は、エミッタ11や対物レンズ15の設定により異なる。しかしながら、収差補正装置29が電流制限絞り14Aの上にあると、ビーム電流が収差補正装置29の励起状態により変化してしまう。
・収差補正を実行するためには、ビームをx方向,y方向の異なる位置でクロスさせなくてはならない(図3参照)。図3は収差補正時の典型的なビーム軌道を示す図である。収差補正装置内のX軌道とY軌道が示されている。収差補正装置29は、入射多極子と、第1/第2補正要素、出射多極子より構成されており、それぞれの構成要素の中を図に示すような軌道を描き、出射多極子出口でX軌道とY軌道が一体化される。
【0033】
一方、同じ加速電圧では、質量の大きなイオン粒子の場合、空間電荷効果の影響は電子ビームより大きい。このため、空間電荷効果のビーム径への影響を最小限にするには、収差補正装置29に入射するイオンビーム電流を最小にしておかねばならない。
【0034】
このように構成された装置の動作を説明すると、以下の通りである。
いま、ある標準的な2レンズ光学系FIB装置に、長さ約300mmの収差補正装置29を、図2に示す位置に搭載した場合のビーム径dp−ビーム電流Ip特性を、非搭載時と比較して、以下の条件で光学計算を実施してみる。
1)エミッタ角電流密度(angular current density):20μA/sr
2)仮想光源大きさ(virtual source diameter) :50nm
3)エネルギー広がり(energy spread) :5eV
この結果、加速電圧Vacc=30keVで、図4に示すようなビーム径の縮小が達成される。図4は収差補正によるビーム径の縮小の説明図である。縦軸はイオンビームのビーム径dp[nm]、横軸はイオンビーム電流Ip[pA]である。●で示された軌跡は測定値、曲線f1は非補正時理論値、f2は収差補正FIB(理論値)である。加速電圧Vaccは30kVである。この図より、以下のことが読み取れる。
a)ビーム電流Ipを同じにとった場合のビーム径の縮小は、Y軸(縦軸)と平行な値を比較することにより読み取れる。縮小率は、ビーム径により異なるが、1/3〜1/5程度なる。
b)また、ビーム径を同じにとった場合のビーム電流密度の増加は、X軸(横軸)と平行な値を比較することにより読み取れる。これにより、ビーム電流密度増加率はビーム径により異なるが、8〜20倍程度が推定される。なお、電流密度の増加率は縮小率の逆数の2乗に比例する。
【0035】
この実施の形態例での、上記性能が得られる場合の、全FIB鏡筒領域における代表的なポテンシャル分布と、イオン軌道を図5に示す。図5はレンズ光学系収差補正FIB装置での代表的なポテンシャル分布とイオン軌道を示す図である。上段はX,Y軌道を、中段は軸上ポテンシャルを、下段は多極子場強度を示している。軸上ポテンシャルと多極子場強度において、横軸はZ方向の長さを示す。軸上ポテンシャルにおいて、縦軸は[kV]を、多極子場強度において、実線は4極子強度[10V/mm2]、破線は8極子強度[0.05V/mm4]をそれぞれ示す。
【0036】
この実施の形態例によれば、分解能及び電流密度を大きくすることができる。
(実施の形態例2)
静電型収差補正装置を搭載したFIB装置の例として、図6に投影型2レンズ光学系イオン・リソグラフィー装置を示す。図6において、図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、11はエミッタ、12はエミッタ11の下部に配置された引出電極、13は引出電極12の下部に配置された集束レンズ、28は集束レンズ13の下部に配置されたビームアライナ、35はビームアライナ28の下部に配置されたステンシルマスクである。該ステンシルマスク35は、電流制限絞り14Aの代わりに設けられたものである。
【0037】
29はステンシルマスク35の下部に配置された収差補正装置、15は収差補正装置29の下部に配置された対物レンズ、Mは対物レンズ15の下部に配置された試料である。25は、対物レンズ15を駆動する対物レンズ電圧電源、30は収差補正装置29を駆動するための収差補正レンズ成分電圧電源、31Aは上段収差補正装置29Aを駆動する収差補正装置上段電源、31Bは下段収差補正装置29Bを駆動する収差補正装置下段電源である。
【0038】
この実施の形態例でのステンシルマスク35は、エミッタ1と静電型収差補正装置29の中間に置かれているが、必ずしもこの位置に置かれる必要はない。例えば、ステンシルマスク位置は対物レンズ15の下でもよい。なお、ステンシルマスクの位置により各レンズの役割は異なることに注意が必要である。即ち、ステンシルマスク位置が、エミッタ11−静電型収差補正装置29の間に設けられている場合は、集束レンズ13はステンシルマスク位置でクロスオーバを結ぶように制御されなくてはならないし、対物レンズ15の下の場合では、対物レンズ15は試料M上ではなく、ステンシルマスク位置でフォーカスを結ぶように制御されなくてはならない。
【0039】
また、図6では、投影型リソグラフィー装置では不要であることを強調するために、デフレクタは省略されているが、実際の装置では以下の理由により必ずしも非搭載にする必要はない。
1)光学系に関する装置の良否を決定するために、像を出す必要が存在する。
2)通常用いられる2段振り戻し式デフレクタは、ビームアライナとしても利用される場合が多い。
【0040】
この実施の形態例によれば、描画用ステンシルマスクを用いて分解能のよい描画を行なうことができる。
(実施の形態例3)
2レンズ系FIB装置に全静電型収差補正装置を搭載した場合の理論的な詳細検討により、実施の形態例1及び2が示すような鏡筒の構成では、その光学的性能及び使いやすさに関する観点から問題があることが判明した。実施の形態例3と4では、実施の形態例1と2での問題点に対処する方法を述べる。ここでは、実施の形態例1及び2の下記問題点に対する対処法を与える。
1)小ビーム電流領域でのビーム径縮小に制限を与える仮想光源大きさを反映したガウス像の縮小。ガウス像の大きさdGは系の倍率をm、仮想光源の大きさをdoとして次式で表される。dG=m・do
2)大ビーム電流領域でのビーム径縮小に制限を与える5次開口収差の影響を減少させるためのビーム電流制限絞り径、及び試料へのビーム入射角の最適化。
3)簡単で高精度なビーム・アライメント法の導入。
4)次数が異なった収差を見分けることができる、自動ビーム・アライメントが可能な手段の提供。
【0041】
実施の形態例3では、上記1),2)項対応可能な方法を示し、実施の形態例4では上記1)〜4)の前項対応可能な方法を示す。
実施の形態例3として、図7に示すような静電型収差補正装置を搭載した3レンズ系走査型集束イオンビーム装置を用いる。図7において、図2,図6と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、11はイオンを放出するエミッタ、12は該エミッタ11の下部に配置された引出電極、13は該引出電極12の下部に配置された集束レンズ(CL1)、28は集束レンズ13の下部に配置されたビームアライナ、14Aは該ビームアライナ28の下部に配置された可動電流制限絞り、40は該可動電流制限絞り14Aの下部に配置された第2の集束レンズ(開き角制御レンズ,コンデンサレンズともいう)(CL2)、41は第2集束レンズ40の下部に設けられたドリフト・スペース、29は該ドリフトスペース41の下部に配置された収差補正装置で、上段収差補正装置29Aと下段収差補正装置29Bとから構成されている。
【0042】
16は収差補正装置29の下部に配置されたデフレクタ(偏向器)、15は該デフレクタ16の下部に配置された対物レンズ、Mは該対物レンズ15の下部に配置された試料である。実施の形態例1とこの実施の形態例との大きな差異は、可動電流制限絞り14Aのすぐ下部に第2コンデンサレンズ(開き角制御レンズ)(CL2)40を設けたことと、該開き角制御レンズ40の下部にドリフトスペース41を設けた点である。このドリフトスペース41は、数10mm程度の単なるスペースであり、目的性能を獲得するために必ずしも必要なものではないが、これを置くことにより、下記2点の優位性を持つ。
1)開き角制御レンズ(CL2)40の必要な最大電圧が小さくとれる。
2)収差補正装置29の各種補正エレメントの駆動電圧が小さくとれる。
【0043】
このように構成された装置の動作を以下に説明する。
a)小電流領域での動作
FIB装置をSIM(Scanning Ion Microscope)像取得のために利用する場合は、ビーム電流を小さくとる。このようなビーム電流が数pA領域での場合のビーム径縮小を制限している要素は、仮想光源の大きさ(ガウス像)である。従って、小電流領域での分解能向上は、高い“Demagnification” を実現することによってのみ可能である。これは、“Demagnification”のための第2ステージが必要だということを意味する。
【0044】
本実施の形態例では、開き角制御レンズ40が、コレクタ(全静電型集束イオンビーム装置)前にクロスオーバを作る。開き角制御レンズ40の可動電流制限絞り(アパーチャ)14Aにより殆どの電流が制限され、数pA程度の電流しか流れない領域においては、クロスオーバによる空間電荷効果は大きな問題にはならない。
b)大電流領域での動作
FIB装置を加工に利用する場合、そのスループットを向上させるために、ビーム電流を大きくとる。このような電流領域での状況は小電流領域の場合とは異なる。ここでの性能制限要素は、仮想光源の大きさだけでなく、エミッタ輝度と5次の収差も加わる。理論的検討により、この電流領域での性能向上は、5次の収差の大幅な減少のみによって達成可能なことが明らかになっている。
【0045】
この実施の形態例によれば、収差を低減してイオンビーム照射を行なうことができる。
(実施の形態例4)
第4の実施の形態例として、図8に示すような静電型収差補正装置を搭載した3レンズ系集束イオンビーム装置を示す。図7と同一のものは、同一の符号を付して示す。実施の形態例3に示す装置とこの装置の大きな違いは、開き角制御レンズ40の下のドリフトスペースの中に、高精度な軸合わせ機構と自動収差補正のために、1段のx,y偏向システム(図ではビームアライナ)45が配置されていることである。なお、図8では、可動電流制限絞り14Aの上の2段の振り戻し式静電偏向器28をビームアライナ1、開き角制御レンズ40の下の静電偏向器45をビームアライナ2としてある。その他の構成は、図7と同一であるので、説明は省略する。
【0046】
このように構成された装置において、一般的に収差補正装置の調整を実行するには、収差についての知識が必要であり、長い調整時間が必要な場合もある。このような問題を避けるには、自動収差補正が可能な装置を提供する必要がある。しかしながら、これを実行するときの重大な問題は下記2項である。
1)SIM像より異なった次数の収差を見分けることが可能。
2)高次収差の信頼できる検出法の確立。
【0047】
この実施の形態例では、可動電流制限絞り14Aとコレクタ間に新偏向系を取り入れることによって、大きな仮想開口角を持った一連の像を作り出しながら仮想光源に関し、ビームを傾けることが可能になる。このようなことを一連のチルト角で実行し、デフォーカス、非点像を解析すれば、全ての開口収差を測定することが可能になる。異なった次数の収差は、異なった傾斜角を利用することにより、それぞれに区別することが可能になる。
【0048】
若し、可動電流制限絞り14Aより下の収差だけが重要となる時(小電流領域)は、第1ステージでは可動電流制限絞り14Aの上で、第2ステージでは可動電流制限絞り14Aの下でビームを偏向することにより、仮想アパーチャを構成することができる(図9の上段参照)。図9は自動収差測定及び自動収差補正のための仮想アパーチャシフトの原理を示す図である。ビームアライナ(1)の第1偏向支点と、ビームアライナ(1)の第2偏向支点と、アパーチャ位置と、ビームアライナ(2)の偏向支点におけるアパーチャシフトの様子を示している。
【0049】
大電流領域が該当するように、若しエミッタ11の収差への寄与が大きくなる時は、仮想アパーチャはエミッタ11内に存在しなければならなくなる。従って、2段偏向システムが図9の下段に示すように、新規導入の偏向系と共に使用されなくてはならない。
【0050】
もし特定の大きさの角度領域に放射されたとしても、試料まで到達するビームは、全ての重要な光学要素を通り抜ける。いつもその中央近辺にビームが通り抜ける、アパーチャ(可動絞り)近くに位置する開き角制御レンズ40の全体への収差への寄与は、一般的に無視可能である。
【0051】
同様に、新規偏向系の追加により、軸合わせ法も簡略化できる。現コラムでは、アパーチャはコレクタ中心の上にのみ機械的に調整されなくてはならない。従って、アパーチャ径(アパーチャ番号)が変更された場合、その機械的位置再現性の悪さと、収差補正時の正確な機械的軸合わせの要求により、アパーチャ位置の再調整がしばしば要求される。しかしながら、新偏向系の導入で、アパーチャ径交換後の再調整が、電気的なアパーチャ仮想シフトで簡単に実現できるようになる。
【0052】
いま、ある標準的な3レンズ光学系FIB装置に、長さ100mmのドリフト・スペースを設けた場合のビーム径を、実施の形態例1でのビーム径と比較してみる。計算条件は、実施の形態例1での条件と同じにする。図10は実施の形態例1と実施の形態例4の到達ビーム径の比較を示す図である。
【0053】
この図より、開き角制御レンズCL2の存在がビーム径を向上させるのは、小電流領域の1pAだけで、大電流領域では効果が小さいことが分かる。これは、それぞれの電流での最適化アパーチャ径を用いているからである。大電流領域での開き角制御レンズCL2の存在価値は、ビーム電流が最適アパーチャ径が規定するビーム電流とは異なった場合である。
【0054】
これを示すのが、図11である。図11は収差補正時のビーム径dp−電流Ip特性の2、3レンズ光学系の比較を示す図である。縦軸はビーム径dp[nm]、横軸はイオンビーム電流Ip[pA]である。○が3レンズ光学系、●が2レンズ光学系をそれぞれ示している。加速電圧Vacc=30kVの場合を示す。この時、アパーチャ径はビーム電流10nAで最適化されている。これより、大電流領域でも開き角制御レンズCL2の効果が見て取れる。即ち、数種類のアパーチャ径を用意しておけば、任意の電流で最適条件でのビーム径の実現が可能になる。
【0055】
この実施の形態例によれば、最大分解能、及び最大ビーム電流密度を実現する収差補正集束イオンビーム装置を提供することができ、また従来調整が非常に難しいと思われている収差補正が自動で実行可能な装置を提供することができる。
(実施の形態例5)
実施の形態例5は、実施の形態例3を投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置として利用したものである。
【0056】
この実施の形態例によれば、描画用ステンシルマスクを用いて精度よくビーム描画を行なうことができる。
(実施の形態例6)
実施の形態例6は、実施の形態例4を投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置として利用したものである。
【0057】
この実施の形態例によれば、収差補正を自動で行なうことができるイオン・リソグラフィー装置を提供することができる。
図12は本発明で到達可能なビーム径計算値を示す図である。この図は、加速電圧Vaccと、ビーム電流と、最大電流密度を本発明である2レンズ、3レンズ光学系と、代表的な従来型FIBビーム径と比較したものである。全ての点において、3レンズ光学系が勝っていることが分かる。
【0058】
上記結果より、全静電型収差補正装置を搭載した集束イオンビーム装置は、以下の効果をもたらすことが分かる。
1)1997年以降、停滞していたGa−LMIS搭載の集束イオンビーム装置の性能限界を大幅に突破することが可能となる。
2)近年、求められていた低加速電圧FIB装置を、現30kV時の性能を落とすことなく実現することができる。
3)大電流、高電流密度の実現により、単体鏡筒のイオン・リソグラフィー装置の実現の可能性を開く。
4)一般的に困難と認識されているFIB装置の自動調整や、収差補正自動化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】2レンズ光学系集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図2】2レンズ光学系収差補正装置を搭載する走査型集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図3】収差補正時の典型的なビーム軌道を示す図である。
【図4】収差補正によるビーム径の縮小の説明図である。
【図5】レンズ光学系収差補正FIB装置での代表的なポテンシャル分布とイオン軌道を示す図である。
【図6】収差補正装置を搭載する投影型2レンズ光学系イオン・リソグラフィー装置の構成例を示す図である。
【図7】全静電型収差補正装置を搭載した3レンズ系走査型集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図8】開き角制御レンズと収差補正装置の間にビーム・アライナを搭載した3レンズ系集束イオンビーム装置の構成例を示す図である。
【図9】自動収差測定及び自動収差補正のための仮想アパーチャ・シフトの原理を示す図である。
【図10】実施の形態例1と実施の形態例4の到達ビーム径の比較を示す図である。
【図11】収差補正時のビーム径dp−電流Ip特性の2、3レンズ光学系の比較を示す図である。
【図12】本発明で到達可能なビーム径計算値を示す図である。
【図13】2レンズ及び3レンズの光学系FIB装置の概念図である。
【図14】ビーム径dp−電流Ip特性の2,3レンズ光学系の比較を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
11 エミッタ(イオン源)
12 引出電極
13 集束レンズ(CL2)
14A 可動電流制限絞り
15 対物レンズ
16 デフレクタ
28 ビームアライナ(1)
29 収差補正装置
29A 上段収差補正装置
29B 下段収差補正装置
45 ビームアライナ(2)
M 試料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームから特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする2レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置。
【請求項2】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に上記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成される2レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置。
【請求項3】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームからの特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、該電流制限絞りを通過したイオンビームの電流量を変えることなく開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、ビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置。
【請求項4】
前記電流制限絞りの上に、2段の振り戻し式静電偏向器と、静電型開き角制御レンズと静電型収差補正装置の間に、イオンビームを2次元方向に独立に偏向できる静電型偏向器を備えた3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置。
【請求項5】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に前記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成される3レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置。
【請求項6】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、2段の振り戻し式静電偏向器、描画用ステンシル・マスク、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、イオンビームを2次元X,Y方向に独立に偏向できる静電偏向器、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順に並べられた3レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置。
【請求項1】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームから特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする2レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置。
【請求項2】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に上記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成される2レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置。
【請求項3】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、前記イオン源から発生した比較的広い放射角をもつイオンビームからの特定の放射角を持つイオンビームを取り出す電流制限絞り、該電流制限絞りを通過したイオンビームの電流量を変えることなく開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、ビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に集束したイオンビームを試料上の2次元方向に走査するデフレクタを備えたことを特徴とする3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置。
【請求項4】
前記電流制限絞りの上に、2段の振り戻し式静電偏向器と、静電型開き角制御レンズと静電型収差補正装置の間に、イオンビームを2次元方向に独立に偏向できる静電型偏向器を備えた3レンズ光学系走査型収差補正集束イオンビーム装置。
【請求項5】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順で並べられ、更に前記光学要素間のどこか、又は対物レンズの下に置かれた描画用ステンシル・マスクより構成される3レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置。
【請求項6】
イオンを放出するイオン源、該イオン源からイオンビームを引き出す引出電極と、引き出されたイオンビームの開き角を制御するコンデンサレンズから構成されるガンレンズ、2段の振り戻し式静電偏向器、描画用ステンシル・マスク、開き角制御が可能な静電型開き角制御レンズ、イオンビームを2次元X,Y方向に独立に偏向できる静電偏向器、色収差や球面収差を補正する静電型収差補正装置、イオンビームを試料上に集束するための静電型対物レンズの順に並べられた3レンズ光学系投影型収差補正イオン・リソグラフィー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−287495(P2007−287495A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114024(P2006−114024)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
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