説明

2次元バーコードを備えたチケットとその自動改札機

【課題】顧客が移動しながらチケットをチケットリーダ面に当てても、このチケットに印刷されている二次元バーコードを確実に読み取ることを可能にする。
【解決手段】自動改札機の装置本体50において、上面部51の一部の斜面部51bの手前側角部に窪み部55が形成され、その底面にチケットリーダ部のチケットリーダ面57が設けられている。この窪み部55にチケット40を、その印刷面がこのチケットリーダ面57にかざすように裏返しにして、挿入すると、このチケット40に印刷されている二次元バーコードがチケットリーダ面57を介してチケットリーダ部によって読み取られる。この窪み部55の2つの壁面は挿入されたチケット40の動きを規制するガイド56をなし、これにより、顧客が移動しながらチケット40を窪み部55に挿入しても、チケット40はガイド56によってその回転が阻止され、安定した状態で二次元バーコードが読み取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元バーコードを備えた搭乗券や乗車券,入場券などチケットとそのチケットを用いる自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空港や駅,イベント会場などに設けられる自動改札機は、チケット挿入口が設けられ、この挿入口からチケットを挿入することにより、改札が行なわれていたが、アンテナを備えた非接触型のICカードをチケットとし、顧客が、自動改札機で移動しながら、これを自動改札機の本体の表面に設けられたチケット読取部のアンテナにかざすだけでチケットに記録されているデータを読み取り、自動改札を行なうように自動改札機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、イベント会場の入場券としてではあるが、二次元バーコードなどを表裏両面に印刷したチケットも提案されている。このチケットは自動改札機に使用されるものではないが、この二次元バーコードはチケットの回収用半券に印刷されており、この半券を顧客が入場するときに係員が回収し、その二次元バーコードを読取装置によって読み取ることにより、販売期間や券種,入場者の区分などの属性情報を取得して集計するものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5ー20516号公報
【特許文献1】特開2002ー279460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動改札機に使用するチケットとして、上記特許文献2に記載のような二次元バーコードが印刷されたシート状のチケットとした場合、自動改札機にはかかる二次元バーコードを読み取るバーコード読取装置を設けられ、このバーコード読取装置のチケットリーダ面にチケットの二次元バーコードが印刷された部分を当てるか、押しつけるかして二次元バーコードをバーコード読取装置に読み取らせればよい。
【0005】
しかしながら、自動改札機にかかるチケットを使用する場合、顧客は自動改札機を通過しながら、即ち、移動しながら、チケットの二次元バーコードが印刷された部分をバーコード読取装置のチケットリーダ面に当てることになるものであるから、このチケットリーダ面上でチケットが回転することになり、二次元バーコードをバーコード読取装置が読み損なう場合もある。
【0006】
これを図14で説明すると、自動改札機100は通路103を挟んで配置された装置本体100a,100bからなり、これら装置本体100a,100bがゲートを形成している。実線A−Aはこのゲートの入口の位置を示すものであって(以下、この直線を入口線A−Aという)、図面上下から上方向へ顧客101はこのゲートを通っていく。このゲートの進行方向に対して右側の装置本体100aには、その入口線A−A上の所定の位置に、図示しないが、バーコード読取装置のチケットリーダ面が設けられている。このチケットリーダ面にチケット102を当てることにより、このチケット102の二次元バーコード(図示せず)が読み取られる。また、ここでは、このゲートの出口側にフラップ104が設けられているものとしており、このゲートを通過可能なチケットを読み取ったときにこのゲートを開き、その他のときには、このゲートを閉じる。
【0007】
図14(a),(b),(c),(d)は自動改札機100で改札するために、顧客101が移動していく状況を示すものであって、同図(a)は入口線A−Aからかなり手前に居る状態を、同図(b)は入口A−Aの直前に居る状態を、同図(c)は入口線A−Aからゲート内に入り込んだ直後の状態を、同図(d)はゲート内を入口線A−Aから進んだ状態を夫々示している。
【0008】
図14(a)に示す状態で顧客101が右手に持ったチケット102を装置本体100a上のチケットリーダ面に当てるものとすると、右腕を前方に伸ばして当てることになるから、チケット102は装置本体100aの長手方向にほぼ平行に、従って、入口線A−Aにほぼ垂直な向きで当てられることになる。顧客が進んで図14(b)に示す状態で顧客101がチケット102を装置本体100a上のチケットリーダ面に当てるものとすると、右腕を伸ばす方向が変わるから、チケット102は入口線A−Aに傾斜した向きでチケットリーダ面に当てられることになる。顧客がさらに進んで図14(c)に示す状態で顧客101がチケット102を装置本体100a上のチケットリーダ面に当てるものとすると、右腕を伸ばす方向が変わってチケット102は入口線A−Aにほぼ平行な向きでチケットリーダ面に当てられることになる。顧客がさらに進んで図14(d)に示す状態で顧客101がチケット102を装置本体100a上のチケットリーダ面に当てるものとすると、右腕を伸ばす方向が後方に変わってチケット102は入口線A−Aに斜めの向きでチケットリーダ面に当てられることになる。
【0009】
そこで、顧客が図14(a)に示す状態から図14(d)に示す状態まで進みながらチケット102をチケットリーダ面に当てたままとしておくと、チケット102はこのチケットリーダ面の位置で、この場合、時計廻り方向に回転することになる。実際には、このような長い間チケット102がチケットリーダ面に当てられているわけではないが、それでもある期間当てられており、その間顧客102は移動するのであるから、チケット102はチケットリーダ面で回転することになる。二次元バーコードは、情報を表わすバーコードが二次元的に配列されたパターンで構成されており、チケットリーダはこの二次元バーコードを読み取るものであるため、この二次元バーコードの動き、特に、回転に対しては読取エラーが生じ易い。従って、上記特許文献1に記載のような電波によってチケットのデータの読み取りを行なう自動改札装置を二次元バーコードが印刷されたチケットに適用することはできない。
【0010】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、顧客が移動しながらチケットをチケットリーダ面に当てても、このチケットに印刷されている二次元バーコードを確実に読み取ることができ、読み取り損なうことがないようにすることを可能とした二次元バーコードを備えたチケットとその自動改札機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によるチケットは、片側の面がチケット情報が印刷された印刷面をなし、該印刷面の中央部に二次元バーコードが印刷されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明によるチケットは、該印刷面での、該チケット情報としてのチケットの名称が印刷されている場所に近接して、二次元バーコードが印刷されていることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明によるチケットは、ロール紙を印刷して作成されたものであって、印刷面は、該ロール紙がロールに巻き付けられている状態での該ロール側とは反対側の面であることを特徴とするものである。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明による自動改札機は、通路を挟んで設置された2つの装置本体が該通路に沿って設置されてなり、一方の該装置本体にチケットの印刷面に印刷された二次元バーコードを読み取るチケットリーダ部が設けられ、該一方の装置本体の上面部の該通路側の辺部に、該チケットの印刷面に印刷された二次元バーコードを読み取るための該チケットリーダ部のチケットリーダ面を配置し、該チケットリーダ面の周辺部の一部に、該チケットリーダ面に該印刷面をかざす該チケットの回転などの動きを阻止するガイドを設けたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明による自動改札機は、前記チケットリーダ面は、前記一方の装置本体の通路側側面部と前面部とによる角部に形成された窪み部の底面に設けられ、該窪み部の該通路側の辺部と該前面部側の辺部とが開放され、該通路側とは反対側の該前面部に垂直な壁面と該前面部とは反対側の該通路側側面部に垂直な壁面とが前記ガイドをなすことを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明による自動改札機は、前記装置本体の上面部での前記前面部側の一部が前記前面部側が低くなる斜面部をなしており、該斜面部に前記窪み部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
さらに、本発明による自動改札機は、前記チケットリーダ面は、前記一方の装置本体の通路側側面部と前面部とによる角部に形成された窪み部の底面に設けられ、該窪み部での該通路側の辺と該前面部側の辺とが該底面と同一平面上にあり、かつ該窪み部での該前面部とは反対側の辺が該通路側側面部から所定の角度で前記一方の装置本体の背面側に傾斜した第1の壁面で形成され、該窪み部での該通路側側面部とは反対側の辺が該第1の壁面から垂直に該前面部まで達する第2の壁面で形成され、該第1,第2の壁面が前記ガイドをなすことを特徴とするものである。
【0018】
さらに、本発明による自動改札機は、前記チケットリーダ面は、前記一方の装置本体の上面部に前記一方の装置本体の通路側側面部に反って形成された窪み部の底面に設けられ、該窪み部の底部は、該第1の装置本体の上面部から該第1の装置本体の前面部とは反対側の方向に傾斜しており、該窪み部での該通路側の辺が該底面と同一平面上にあり、かつ該窪み部での該前面部とは反対側の辺が該通路側側面部に垂直な第1の壁面で形成され、該窪み部での該通路側側面部とは反対側の辺が該前面部に垂直な第2の壁面で形成され、該第1,第2の壁面が前記ガイドをなすことを特徴とするものである。
【0019】
さらに、本発明による自動改札機は、前記一方の装置の上面部での前記一方の装置本体の前面部側に、前記一方の装置本体の上面部から上方に突出したチケットリーダ部を設け、該チケットリーダ部は、底面が平坦な平面状をなす切欠部と、下方に突出して下端面が該切欠部の底面に対向する突出部とを備えて、該突出部の該下端面に前記チケットリーダ面が設けられ、該切欠部の前記通路側の辺と該前面部側の辺とが該切欠部の底面と同一平面上にあり、かつ該切欠部での該前面部とは反対側の壁面と該切欠部での前記通路とは反対側の壁面とが前記ガイドをなすことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるチケットによると、その印刷面での自動改札機で読み取らせるための二次元バーコードを確認し易いし、また、自動改札機で二次元バーコードを読み取らせるときの顧客の手間を軽減できて、しかも、確実に読み取らせることが可能となる。
【0021】
また、本発明による自動改札機によると、顧客が移動しながらチケットの改札を行なう場合でも、チケット読取部がチケットの二次元バーコードを読み取るのに充分な時間、このチケットを回転などの動きをすることがない停止状態に保持することができ、顧客の移動を阻害することなく、チケットの二次元バーコードを確実に読み取ることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面により説明するが、以下では、空港に設置される自動改札機(搭乗ゲート)を例に説明する。
【0023】
図1は空港の航空機に搭乗のためのシステムの一例を示す構成図であって、10は予約システム、11は予約端末、12は自動チケット発券機、13は予約データ、14は予約システムホスト、15は係員端末、20はルータ、30は搭乗システム、31は自動チェックイン機、32は搭乗ゲート(自動改札機)、33はチェックインデータ、34は搭乗システムホスト、35は搭乗データである。
【0024】
同図において、顧客の搭乗手続きのための空港のシステムは、代理店などに設置されている予約システム10と空港に設置されている搭乗システム30とがルータ20を介して回線によって接続された構成をなしている。
【0025】
予約システム10においては、予約端末11により、顧客からの搭乗予約を受け付ける。この予約端末11による予約手続きは、代理店で直接行なうこともできる、また、電話やWebなどによっても行なうことができる。予約端末11で受け付けられた予約は、予約システムホスト14により、予約データ13として保管される。この予約後、顧客が自動チケット発券機12を操作して航空券の発券を要求すると、予約システム14は自動チケット発券機12から入力されたデータと予約データ13とを照合し、予約データ13が存在する顧客に対しては航空券を発券する。なお、係員が係員端末15を操作することにより、予約システムホスト14による同様の処理により、航空券を発券するようにすることもできる。
【0026】
航空券を受け取った顧客は、希望した航空機に搭乗するとき、空港に設置された搭乗システムに対して所定の手続きをし、航空搭乗券を取得する。即ち、搭乗システム30では、顧客が自動チェックイン機31で、取得した航空券を用いて所定の発券手続きをする。これにより、自動チェックイン機31は、予約システム10の予約データ,チェックイン手続きをした顧客のデータなどのチェックインデータ33と自動チェックイン機31からのデータとを照合し、搭乗の予約がなされているが、まだ、チェックインの手続きがなされていない場合、この顧客に対して航空搭乗券を発券する。これとともに、搭乗システムホスト34は、この顧客に対し、チェックイン手続きが完了したことを示すチェックインデータ33を作成して保管し、また、これとともに、直ちに搭乗ゲート32に送られて保持される。このようにして航空搭乗券を取得した顧客は、航空機に搭乗するために搭乗ゲート32に行くが、このとき、搭乗ゲート32は航空搭乗券のデータを読み取り、そこに保持されているチェックインデータ33と照合する。この照合によってこの搭乗券が正当なものであることが判定されると、顧客は搭乗ゲートを通過することができ(通過が禁止される場合には、警報が発せられる。さらには、図14に示す自動改札機のようにフラップ104が閉じる)、これとともに、搭乗システムホスト34は、搭乗ゲート32を通過した顧客の航空搭乗券に関するデータを搭乗データ35として保管する。係員が係員端末36を操作することにより、搭乗システムホスト34による同様の処理により、航空搭乗券を発券するようにすることもできる。この場合も、チェックインデータ33が作成されて保管され、また、搭乗ゲート32に送られる。
【0027】
なお、一度搭乗ゲート32で使用された航空搭乗券は、搭乗データ35との照合により、使用済みとして拒否される。
【0028】
本発明においては、自動チェックイン機で発券されるチケット(航空搭乗券)には、所望のデータを表わす二次元バーコードが印刷されているものであり、搭乗ゲート32はこの二次元バーコードを読み取るものである。
【0029】
なお、自動チケット発券機12で発券される航空券も所望のデータを表わす二次元バーコードが印刷されており、自動チェックイン機31は航空券からこの二次元バーコードを読みるようにしてもよい。
【0030】
図2は図1における自動チェックイン機31のシステム構成の概略を示す図であって、31aはCPU(中央処理装置)、31bはメモリ、31cはカードリーダ、31dは通信部、31eは表示部、31fはタッチパネル、31gはプリンタである。
【0031】
同図において、この自動チェックイン機31では、CPU31aが、メモリ31bに格納されているプログラムを用いて、各部の動作制御を行なう。また、通信部31dにより、自動チェックイン機31が図1に示す予約システムホスト14や搭乗システムホスト34と接続されている。表示部31eには、タッチパネル31fが設けられており、表示部31fの画面が操作部をなしている。顧客がこの自動チェッイン機31でチェックインの手続きをする場合には、表示部31fの画面で操作するとともに、カードリーダ31cで航空券のデータを読み取らせる。かかるデータは、CPU31aにより、通信部31dから取り込まれる予約データ13(図1)と照合され、航空券のデータがかかる予約データと一致したときには、プリンタ31gが駆動されて搭乗券が印刷され、発券される。
【0032】
図3は図1における搭乗ゲート32のシステム構成の概略を示す図であって、32aは制御部、32bは搭乗媒体関連機器としての2DBC(二次元バーコード)リーダ、32cはユーザI/Fとしてのスピーカ、32dはユーザI/Fとしてのディスプレイ(表示部)、32eはホストI/F関連機器としての通信部、32fは静止装置としてのフラップ(図14でのフラップ104に相当)を駆動するフラップ駆動部、32gは静止装置での人間検知センサである。
【0033】
同図において、この搭乗ゲート32では、制御部32aが各部の動作制御を行なう。また、通信部32eにより、搭乗ゲート32が図1に示す予約システムホスト14や搭乗システムホスト34と接続されている。2DBCリーダ32bは自動チェックイン機31で発券されたチケットに印刷されている二次元バーコードを読み取るものであって、読み取られた二次元バーコードは、制御部32aにより、通信部32eから取り込まれる予約データ13(図1)やチェックインデータ33(図1)と照合され、チケットが正当なものであって、これらが一致すると、顧客は搭乗ゲート32を通過することができる。これらデータが一致しない場合には、スピーカ32cやディスプレイ32dを動作させて警報を発生させる。また、搭乗ゲート32にフラップ104(図14)が設けられている場合には、このように正当なチケットではなく、スピーカ32cやディスプレイ32dから警報が発せられる場合、あるいはチケットのチェックなしに顧客が搭乗ゲートの通路内に入ると、人間検知センサ32gがこれを検知し、この検知結果に基づいて制御部32aがフラップ駆動部32fを動作させてこのフラップ104を閉じさせる。
【0034】
図4は自動チェックイン機31(図1)のプリンタ31g(図2)でプリントされて発券される本発明によるチケット(ここでは、航空機搭乗券とする)の実施形態を示す図であって、40a〜40cはチケット、41はチケット情報、41aはチケット名(券名)、42は二次元バーコードである。なお、図4(a),(b)に示すチケット40a,40bが本発明によるチケットの実施形態であり、図4(c)に示すチケット40cはこれらチケット40a,40bと対比するために示したものである。
【0035】
図4(a)に示すチケット40aは、これに印刷されたチケット情報41を正常に読む状態にした場合に横長となるチケットであり、その左側の上辺部に「航空機搭乗券」といったチケット名41aが印刷され、その中央部にチケット情報41を表わす二次元バーコード42が印刷されている。
【0036】
図4(b)に示すチケット40bは、これに印刷されたチケット情報41を正常に読む状態にした場合に縦長となるチケットであり、その左側の上辺部に「航空機搭乗券」といったチケット名41bが印刷され、このチケット名41aの右側にチケット情報41を表わす二次元バーコード42が印刷されている。
【0037】
図4(c)に示すチケット40cは、これに印刷されたチケット情報41を正常に読む状態にした場合に横長となるチケットであり、その左側の上辺部に「航空機搭乗券」といったチケット名41aが印刷され、その右下隅にチケット情報41を表わす二次元バーコード42が印刷されている。
【0038】
なお、これらチケット40a〜40cのチケット情報41や二次元バーコード42が印刷されている側の面を、以下では、印刷面という。
【0039】
図5は図1における搭乗ゲート32としての本発明による自動改札機の第1の実施形態の要部を示す図であって、図14における自動改札機100の装置本体100aに相当する部分を示すものであり、図5(a)は斜視図、同図(b)は側面図、同図(c)はチケット読取状態を示す図である。また、40はチケット(図4に示すチケット40a,40bの総称)、50は装置本体、51は上面部、51aは平面部、51bは斜面部、52は通路側側面部、53は前面部、54は背面部、55は窪み部、56はガイド、57はチケットリーダ面、58は通路である。
【0040】
図5(a),(b)において、矢印Bは図14での通路103に相当する通路58での顧客の進行方向を示すものであり、装置本体50が、その通路側側面部52が通路58に面して、この矢印Bに沿うように設置されている。この装置本体50の上面51は、通路58の進行方向(矢印B)から見て手前側(即ち、装置本体50の前面部53側)が通路58の面に対して手前側に傾斜した斜面部51bをなし、それ以外の部分は通路58の面に平行な平面部51aをなしている。
【0041】
そして、この斜面部51bの手前側左角部(即ち、前面部53と通路側側面部52とが接する側の角部)に窪み部55が形成され、この窪み部55の斜面部51bと平行に傾斜した底面にチケットリーダ面57が設けられている。この窪み部55は、装置本体50の前面部53側から矢印B方向に背面54側をみて、手前の前面部53側の辺と左手の通路側側面部52側の辺とが開放されており、これらの辺が窪み部55の底面と同一平面上にある。また、窪み部55の通路側側面部52とは反対側のこれに平行な辺と、背面54側のこれに平行な辺とが窪み部55の段部をなしており、これら段部が窪み部55に挿入されてチケットリーダ面57に印刷面が向けられたチケット40の姿勢を規制してその回転などの動きを阻止するガイド56となっている。
【0042】
かかる構成の第1の実施形態で図4(a)または図4(b)に示すチケット40a,40b(即ち、チケット40)に印刷されている二次元バーコード42の読み取りを行なわせる場合には、例えば、図14(a)に示すように、顧客101が装置本体50の通路58の入口に向かって矢印B方向に移動しているとき、図5(c)に示すように、右手に持ったチケット40を裏返しにして(即ち、チケット40の印刷面を下側にして)窪み部55に挿入し、その印刷面をチケットリーダ面57に近づけ、あるいは接触させることにより、この印刷面の二次元バーコード42が読み取られる。
【0043】
なお、以下では、このように二次元バーコード42を読み取らせるために、チケット40の印刷面をチケットリーダ面57に近づけたり、接触させるたりすることを「チケットリーダ面57にかざす」という。
【0044】
このように、チケット40の二次元バーコード42が読み取られているときも、顧客は通路58を矢印Bの方向に移動しており、これにより、窪み部55内のチケット40がチケットリーダ面57に垂直な軸を中心に回転しようとするが、図5(c)に示すように、チケット40の辺が窪み部55のガイド56に当り、これによってチケット40の回転などの動きが阻止される。顧客は、その移動とともに、チケット40を窪み部55から引き抜くが、それまでの期間(これは短時間ではあるが)、チケット40は、このチケット40の二次元バーコード42を読み取るのに充分な期間、ガイド56によって回転などの動きが阻止されて停止した状態にあり、これによってこのチケット40に印刷された二次元バーコード42が安定した状態で読み取られることになる。このように、チケットリーダ部がチケット40から二次元バーコードを読み取るのに充分な時間、このチケット40を回転などの動きをすることがない停止状態に保持することができる。従って、顧客の移動を阻害することなく、チケット40の二次元バーコード42を確実に読み取ることができる。
【0045】
また、窪み部55の底面が、上記のように、傾斜しており、これに伴ってこの底面に設けられたチケットリーダ面57も同様に傾斜しているので、顧客が装置本体50の通路58に入る前の手前側からチケット40を窪み部55に挿入してその印刷面をチケットリーダ面57にかざすときには、窪み部55の底面やチケットリーダ面57が上面部51の平面部51aと同じ平面上の平面をなす場合に比べ、右腕の伸ばし方に無理がなく、楽な姿勢でチケット40の印刷面をチケットリーダ面57にかざすことが可能となる。
【0046】
図6は図5における装置本体50でのチケットリーダ部(図3におけるチケットリーダ部32Cに相当)の一具体例の概略構成を示す図であって、55aは図5における窪み部55の底面、59はCCD(Charge Coupled Device)カメラ、60a,60bは光源、61は透明板、62は開口部であり、図5に対応する部分には同一符号をつけている。
【0047】
同図において、窪み部55(図5)の底面55aの一部には、開口部62が設けられ、この開口部62には、これを塞ぐように、透明板61が取り付けられて窓が形成されており、この透明板61の表面が図5に示すチケットリーダ面57をなしている。かかる透明板61は、装置本体50の内部に設けられた光源60a,60bによって照明されており、また、装置本体50内部の透明板61に対向して配置されたCCDカメラ59は、常時透明板61側を撮像している。
【0048】
そこで、この透明板61の表面を含む窪み部55の底面55aにチケット40の印刷面をかざすと、この印刷面の二次元バーコード42(図4)がCCDカメラ59によって読み取られる。
【0049】
図7は図1における搭乗ゲート32としての本発明による自動改札機の第2の実施形態の要部を示す図であって、図14における自動改札機100の装置本体100aに相当する部分を示すものであり、図7(a)は斜視図、同図(b)は側面図、同図(c)はチケット読取状態を示す図である。また、図5に対応する部分には同一符号をつけている。
【0050】
図7(a),(b)において、装置本体50が、その通路側側面部52が通路58に面して、この矢印Bに沿うように設置されていることは、図5に示す第1の実施形態と同様である。この装置本体50の上面部51は、全体として、通路58の面に平行な面をなしている。この上面部51の手前側左角部(即ち、通路側側面部52と前面部53とによる角部)に窪み部55が形成されており、この窪み部55の上面部51と平行な底面55aに図6に示すチケットリーダのチケットリーダ面57が設けられている。この窪み部55は、2つの隣り合う辺が段部をなして、これらがチケットリーダ面57に当てがわれるチケット40の姿勢を規制してその回転などの動きを阻止するガイド56を形成し、残りの2つの辺、即ち、通路側側面部52に沿う辺と前面部53に沿う辺とが開放、即ち、窪み部55の底面55aと同一平面上にある。
【0051】
ここで、一方のガイド56は、窪み部55の通路側側面部52側の辺に対し、所定の角度(例えば、45゜)で背面部54側に向かって傾斜しており、他方のガイド56は、この一方のガイド56に対し、前面部53側に向かって90゜傾いている。即ち、この窪み部55は、図5に示す第1の実施形態での窪み部55をそれに垂直な軸に介してほぼ45゜反時計廻り方向に回転したように、形成されている。チケットリーダ面57は、それらの辺がガイド56に平行となるように、配置されている。
【0052】
かかる構成の第2の実施形態で図4(a)または図4(b)に示すチケット40a,40b(即ち、チケット40)での二次元バーコード42の読み取りを行なわせる場合には、例えば、図14(b)に示すように、顧客101が装置本体50の通路58の入口にほぼ達したとき、図7(c)に示すように、右手に持ったチケット40を裏返しにして、即ち、その印刷面を下側にして、窪み部55に挿入し、その印刷面をチケットリーダ面57に当てがうことにより、この印刷面の二次元バーコード42が読み取られる。
【0053】
このように、チケット40の二次元バーコード42が読み取られているときも、顧客は通路58の方に移動しており、これにより、窪み部55内のチケット40がチケットリーダ面57に垂直な軸を中心に回転するなどの動きをしようとするが、図7(c)に示すように、チケット40の辺が窪み部55のガイド56に当り、これによってチケット40の回転などの動きが阻止される。顧客は、その移動とともに、チケット40を窪み部55から引き抜くが、それまでの期間、短時間ではあるが、チケット40はガイド56によって回転などの動きが阻止されて停止した状態にあり、これによってこのチケット40に印刷された二次元バーコード42が安定した状態で読み取られることになる。このように、チケットリーダがチケット40から二次元バーコードを読み取るのに充分な時間、このチケット40を回転などの動きがない停止状態に保持することができる。従って、先の第1の実施形態と同様、顧客の移動を阻害することなく、チケット40の二次元バーコード42を確実に読み取ることができる。
【0054】
また、顧客が装置本体50の通路58に入口の近くを通過する場合には、図14(b)から明らかなように、顧客101の右手は通路の長手方向(矢印B方向)に対して傾斜して伸びている。しかし、装置本体50でのガイド56の一方が右腕の傾斜にほぼ平行となっているので、顧客は右手に持ったチケット40をそのままの向きで窪み部55の中に入れ、チケットリーダ面57に当てがうことができ、右腕の伸ばし方に無理がなく、楽な姿勢でチケット40をチケットリーダ面57に当てがうことが可能となる。
【0055】
図8は図1における搭乗ゲート32としての本発明による自動改札機の第3の実施形態の要部を示す図であって、図14における自動改札機100の装置本体100aに相当する部分を示すものであり、図8(a)は斜視図、同図(b)は側面図、同図(c)はチケット読取状態を示す図である。また、図5に対応する部分には同一符号をつけている。
【0056】
図8(a),(b)において、通路側側面部52が通路58での顧客の進行方向(矢印B)に沿うように、装置本体50が設置されていることは、図5に示す第1の実施形態と同様である。この装置本体50の上面部51は、全体として、通路58の面に平行な面をなしている。この上面部51の通路側側面52側の辺に沿って窪み部55が形成されており、矢印Bで示す通路58を進行方向に進むにつれて、即ち、背面部54側になるほど深くなるように、窪み部55の底面55aが上面部51から傾斜している。この底面55aに図6に示すチケットリーダのチケットリーダ面57が設けられている。この窪み部55では、背面部54側のこれに平行な辺と、この辺に連なる通路側側面部53とは反対側でこれと平行な辺とが段部をなして、これらがチケットリーダ面57に当てがわれるチケット40の姿勢を規制してその回転などの動きを阻止するガイド56を形成し、通路側側面部53側の辺は開放されて、窪み部55の底面55aと同一平面上にある。これらガイド56に沿ってチケットリーダ面57が設けられている。
【0057】
かかる構成の第3の実施形態で図4(a)または図4(b)に示すチケット40a,40b(即ち、チケット40)での二次元バーコード42の読み取りを行なわせる場合には、例えば、図14(c)に示すように、顧客101が装置本体50の通路58にその入口から入り込んだとき、図8(c)に示すように、右手に持ったチケット40を裏返しにして、即ち、その印刷面を下側にして、窪み部55に挿入し、その印刷面をチケットリーダ面57に当てがうことにより、この印刷面の二次元バーコード42が読み取られる。
【0058】
このように、チケット40の二次元バーコード42が読み取られているときも、顧客は通路58の方に移動しており、これにより、窪み部55内のチケット40がチケットリーダ面57に垂直な軸を中心に回転するなどの動きをしようとするが、図7(c)に示すように、チケット40の辺が窪み部55のガイド56に当り、これによってチケット40の回転などの動きが阻止される。顧客は、その移動とともに、チケット40を窪み部55から引き抜くが、それまでの期間、短時間ではあるが、チケット40はガイド56によって回転などの動きが阻止されて停止した状態にあり、これによってこのチケット40に印刷された二次元バーコード42が安定した状態で読み取られることになる。このように、チケットリーダがチケット40から二次元バーコードを読み取るのに充分な時間、このチケット40を回転などの動きがない停止状態に保持することができる。先の実施形態と同様、顧客の移動を阻害することなく、チケット40の二次元バーコード42を確実に読み取ることができる。
【0059】
また、顧客が装置本体50での通路58の入口の近くを通過する場合には、図14(c)から明らかなように、顧客101の右腕は通路の長手方向(矢印B方向)に対してほぼ垂直な方向に伸ばされる。しかし、装置本体50でのガイド56の一方が右手が伸びる方向にほぼ平行となっているので、顧客は右手に持ったチケット40をそのままの向きで窪み部55の中に入れ、チケットリーダ面57に当てがうことができ、右腕の伸ばし方に無理がなく、楽な姿勢でチケット40をチケットリーダ面57に当てがうことが可能となる。
【0060】
図9は図1における搭乗ゲート32としての本発明による自動改札機の第4の実施形態の要部を示す図であって、図14における自動改札機100の装置本体100aに相当する部分を示すものであり、図9(a)は斜視図、同図(b)は側面図、同図(c)はチケット読取状態を示す図である。また、63はチケットリーダ部、64は切欠部、64aは切欠部64の底面、65は突出部、65aは突出部65の下端面であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0061】
図9(a),(b)において、通路58での顧客の進行方向(矢印B)に沿うように装置本体50が設置されていることは、図5に示す第1の実施形態と同様である。この装置本体50の上面部51は、全体として、通路58の面に平行な面をなしているが、この上面部51の前面部53側に、上面部51から上方に突出したチケットリーダ部63が形成されている。そして、このチケットリーダ部63の手前側左角部、即ち、通路側側面52と前面部53とからなる角部側に、底面64aが上面部51とほぼ平行となる切欠部64が設けられ、かつ下端面65aがこの底面64aに対向するようにして、チケットリーダ部63の上面から下方に突出した突出部65が設けられている。この突出部65に図6に示すチケットリーダが設けられ、その下端面65aにチケットリーダ面57が設けられている。
【0062】
突出部65の下端面65aと切欠部64の底面64aとの間にチケット40が、、その印刷面を上側にして、即ち、突出部65の下端面65aのチケットリーダ面57側となるようにして、挿入されることにより、このチケット40の二次元ハーコード42がチケットリーダによって読み取られる。
【0063】
ここで、切欠部64は、その通路側側面52側と前面部53側との辺が開放されてこれらの辺が底面64aと同一平面上にあるが、背面部54側のこれと平行な辺と、通路側側面52とは反対側でこれに平行な辺(但し、これらの辺は必ずしも背面部54,通路側側面52と平行である必要はなく、図7(a)に示すガイド56のように、傾斜したものでもよい)は切欠部64の壁面をなしており、これら壁面が切欠部64に挿入されたチケット40の姿勢を規制してその回転などの動きを阻止するガイド66となっている。
【0064】
かかる構成の第4の実施形態で図4(a)または図4(b)に示すチケット40a,40b(即ち、チケット40)での二次元バーコード42の読み取りを行なわせる場合には、例えば、図14(a)に示すように、顧客101が装置本体50の通路58にその入口から入り込んだとき、右手に持ったチケット40をその印刷面が上側となるようにして、切欠部64の底面64aと突出部65の下端面65aとの間に挿入し、その印刷面を突出部65の下端面65aに設けられたチケットリーダ面57にかざすことにより、この印刷面の二次元バーコード42が読み取られる。
【0065】
このように、チケット40の二次元バーコード42が読み取られているときも、顧客は通路58の方に移動しており、これにより、切欠部64に挿入されたチケット40がチケットリーダ面57に垂直な軸を中心とした回転などの動きをしようとするが、チケット40の辺が切欠部64のガイド56に当り、これによってチケット40の回転などの動きが阻止されることになり、顧客の移動を阻害することなく、チケット40の二次元バーコード42を確実に読み取ることができて、先の実施形態と同様の効果が得られることになる。
【0066】
また、この第4の実施形態では、チケット40の印刷面をみながらこのチケット40を切欠部64の底面64aと突出部65の下端面65aとの間に挿入できるので、チケット40を裏返すなどして持ち替えたりする必要がない、という効果も得られる。
【0067】
なお、この第4の実施形態では、チケットリーダ部63を装置本体50の手前側角部に設けたが、通路58に沿う方向の位置であれば、即ち、切欠部64の通路側側面部52側の辺と前面部53側の辺とが開放されており、かつ通路側側面部52側の辺が通路側側面部52に沿う位置であれば、特に限定されるものではない。
【0068】
ところで、チケット40の印刷情報のフォーマットとしては、図4に示すものが考えられる。そのうちの最も標準的なものは、図4(c)に示すチケット40cのように、チケット情報41を横書きとして上から順に記載し、特に、「航空搭乗券」などといったこのチケットの名称(券面)41aをこのチケット40cの左上に記載して、チケット情報41を顧客にとって見易くしたものであり、かかる顧客が確認するためのチケット情報41とは関係がない付加的な情報である二次元バーコード42は、右下隅に印刷されたものである。ここでは、チケット40cを横長のチケットとしたが、縦長としても、同様である。
【0069】
しかし、かかるフォーマットのチケット40cを使用する場合、顧客は、通常、チケット40cの右下隅を掴んでチケット40cのチケット情報を確認し、自動改札機に進んで改札する。この場合、チケット40cに印刷されている二次元バーコード42はチケット40cを掴んだ指先で隠れており、二次元バーコード42を意識することができない。このために、図9に示す自動改札機の場合、チケット40cを突出部65の下端面65aと切欠部64の底面64aとの間に挿入しても、二次元バーコード42がチケットリーダ面57に対向しておらず、これが読み取られない場合も合って、顧客が戸惑うことになるし、また、図5,図7,図8に示す自動改札機に使用する場合でも、チケットをそれを掴んでいる指先で表裏反転させただけでは、上記と同様のことが起こって二次元バーコード42は読み取られないし、これが読み取られるようにするためには、表裏の反転とともに、上下も反転しなければならず、取り扱いに手間がかかることになる。
【0070】
これに対して、図4(a)に示すように、チケット情報41の記載形式が図4(c)に示すチケット40cと同様であるが、二次元バーコード42が中央部に印刷された本発明の実施形態のチケット40aは、このチケット40aの端部のどこを掴んでも、二次元バーコード42は顧客が常に観ること(確認すること)ができる状態にあり、しかも、印刷面が見えるように掴んだ状態で図9に示す自動改札機に用いることができることは勿論のこと、そのままの表裏反転するだけで図5,図7,図8に示す自動改札機に使用することがてきる。従って、取り扱いの手間を軽減できる。なお、チケット40aとしては、チケット情報41を正常にみた状態で縦長のものであってもよい。
【0071】
また、図4(b)に示すチケット40bは、チケット情報41の記載形式が図4(c)に示すチケット40cと同様であるが、二次元バーコード42が左上隅に印刷されているチケットの名称(券名)41aの右側に印刷されたものである。通常、顧客はチケットを手に持った場合、チケットの名称が正常に読める状態にして、チケットの右下隅を掴むものであり、チケットの名称41aの隣に二次元バーコード42が印刷されているチケット40bの場合には、チケットの名称41aを確認するときには、その隣にある二次元バーコード42も同時に確認できるものである。このことから、チケット40bは、顧客が二次元バーコード42を確認し易いものとなっている。
【0072】
そして、このように二次元バーコード42を確認した場合には、そのとき掴んでいる状態でチケットを図9に示す自動改札機に使用することができるし、また、図5,図7,図8に示す自動改札機に使用する場合には、表裏を反転し、それ以外の上下を反転するなどの動作を行なわなくてもよいことが顧客は意識できるものであり、使用に際しての手間を省けるものである。
【0073】
ところで、図4(a)に示すような中央部に二次元バーコードが印刷されたチケット40aを先の実施形態の自動改札機に使用する場合、二次元バーコードが中央部にあるが故に、実際には格別のものではないが、このチケット40aを自動改札機のこれを挿入する窪み部55に奥深く差し込まなければならない感じが無意識に生じ、顧客に若干違和感を与えることも考えられる。実際に図5,図7〜図9に示す自動改札機に対し、図4(a),(b)に示すチケット40a,40bを複数の人に使用してもらう実験を行なったところ(この実験では、これらの人が並んで進みながら改札を行なうものである)、チケット40bの方が比較的人の進み具合がスムーズであり、また、改札のエラー率が低かった。特に、図4(b)に示すチケット40bを用いて図8に示す自動改札機で改札した場合には、他の実験結果に比べて、良好な実験結果が得られた。このことから、図4(b)に示すチケット40bと図8に示す自動改札機とが相性が良いことがわかった。
【0074】
しかし、図4(a)に示すチケット40aも、上記各実施形態の自動改札機に使用できるものであり、上記のような改札するときの手間を軽減できるという効果が得られるものであるが、次に、このチケット40aに特に相性の良い自動改札機の実施形態について説明する。
【0075】
図10はかかるチケット40aに特に相性の良い図1における搭乗ゲート32としての本発明による自動改札機の第5の実施形態の要部を示す図であって、図14における自動改札機100の装置本体100aに相当する部分を示すものであり、同図(a)は斜視図、同図(b)は側面図を夫々示す図である。また、67はチケットリーダ部であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0076】
図10(a)において、装置本体50の上面部51の手前側左角部(即ち、通路側側面部52と前面部53とによる角部)に、上面部51から突出して、図6に示すチケットリーダ部67が設けられ、その上面部がチケットリーダ面57となっている。従って、図10(b)に示すように、このチケットリーダ面57にチケット40の印刷面をかざすことにより、この印刷面での二次元バーコードがチケットリーダ部67によって読み取られる。
【0077】
ここで、チケット40の印刷面をチケットリーダ面57にかざす場合、このチケット40の角部の1つを掴んで印刷面をチケットリーダ面57にかざすようにすることができるが、チケット40を手のひらと親指で挟むようにして持ち、そのままの持ち方をして手のひらで持ってチケットをチケットリーダ面57に押しつけるようにする場合もある。このような場合には、チケット40の角部や辺部を押し付けるようにするよりも、中央部を押し付けるようにした方が違和感がないし、安定感があるものであり、図4(b)に示すチケット40bのように、二次元バーコード42が角部や辺部に印刷されているよりも、図4(a)に示すチケット40aのように、二次元バーコード42が中央に印刷されているもののほうがより好ましいことになる。
【0078】
そして、この第5の実施形態では、チケットリーダ部67が上面部51から突出しているので、チケット40aをこのチケットリーダ部67のチケットリーダ面57に押し付けたときに、このチケットリーダ面57を手触りから容易に認識することができ、中央部に印刷されている二次元バーコード42をこのチケットリーダ面57に合わせ易いことになる。
【0079】
なお、チケットリーダ部67は必ずしも上面部51から突出している必要はなく、図11で第6の実施形態として示す自動改札機のように、チケットリーダ部のチケットリーダ面57を装置本体50の上面部51と同一平面上にあるようにしてもよい。
【0080】
また、図10,図11に示す実施形態においても、図4(b)に示すチケット40bも使用できることはいうまでもない。
【0081】
例えば、図2に示す自動チェックイン機31のプリンタ31gでシートに印刷してチケットを作成する場合、かかるシートとしては、ロール紙やカット紙などが用いられる。カット紙などはほとんど平面状をなすものであるから、格別問題はないが、ロール紙を用いる場合には、ロール紙にロールに巻かれていたことによる反りが若干残る。チケットの製造コストの面などから、チケットの基となるシートの薄型化が望まれるが、ロール紙は、それが薄くなればなるほど、ロールによる反りが顕著となる。
【0082】
このようなロール紙に印刷する場合、通常、ロールに巻かれた状態にあるときのロール側の面(以下、この面を裏側の面といい、これと反対側のロールとは反対側の面を表側の面という)に印刷が施される。このように、ロール紙の裏側の面に印刷されて作成されたチケットの場合、かかるチケットに反りがあると、ロールに巻かれた状態のような反りとなり、このチケットを裏側の面を下にして平面上においた場合、このチケットの印刷されている裏側の面がこの平面から離れてしまう。このことから、図4に示すチケットがその裏側の面にチケット情報41や二次元バーコード42が印刷それている場合、かかるチケット40の印刷面を図5,図7〜図11に示す装置本体50のチケットリーダ面57にかざすようにしても、二次元バーコード42がこのチケットリーダ面57から離れたものとなってしまい、チケットリーダ部のCCDカメラ59(図6)はピント良く二次元バーコードを読み取ることができない場合もある。
【0083】
本発明によるチケット40は、かかる問題も解消するものであって、これを図12により説明する。
【0084】
図12(a)は図2に示すプリンタ31gでのチケット40の製造工程の要部を示す図であって、70はロール紙、71はロール紙用ロール、72は印字部、73は搬送用ローラである。
【0085】
同図(a)において、ロール紙用ロール71には、ロール紙70が巻きつけられており、このロール紙70が搬送用ローラ73a,73によって引き出されて搬送される。これら搬送用ロール73a,73b間には印字部72が設けられており、搬送されるロール紙70に図4に示すチケット情報41や二次元バーコード42が印刷される。かかる印刷がなされたロール紙70は、図示しないカッタにより、チケット単位でカットされ、図4に示すチケット40が得られる。これがプリンタ31gから排出されて顧客に提供される。
【0086】
ところで、印字部72は搬送されるロール紙70の表側の面(ロール紙70がロール紙用ロール71に巻かれた状態にあるときのロール紙用ロール71とは反対側の面)側に配置されている。これにより、チケット40では、これが反っている場合、図12(b)に示すように、反りの表側の面(円筒状の反りによって出っ張った状態になっている面)43に、図4に示すように、チケット情報41や二次元バーコード42が印刷されたものとなる。
【0087】
かかるチケット40の印刷面を図5,図7,図8,図10,図11に示す自動改札機のチケットリーダ面57にかざして二次元バーコード42を読み取らせる場合には、図13に示すように、この反りの表側の面43が下側となってチケットリーダ面57側となるようにするものであるが、この反りの表側の面43がチケットリーダ面57側に出っ張るものであるから、チケット40の印刷面が良好にチケットリーダ面57にかざし易くなる。このため、顧客は、故意に意識することなく、チケット40をチケットリーダ面57に当てがうようにするだけで二次元バーコード42が良好に読み取られることになる。図9に示す自動改札機においても、反りの表側の面43を上側にしてチケット40を突出部65の下端面65aと切欠部64の底面64aとの間に挿入するものであるから、同様にして、このチケット40の印刷面が下端面65aのチケットリーダ面57に良好に読み取られ易くなる。
【0088】
なお、以上の実施形態では、空港での搭乗ゲートを例としたものであったが、これに限らず、駅やイベント会場などのチケットを改札する自動改札機であってもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】空港の航空機に搭乗のためのシステムの一例を示す構成図である。
【図2】図1における自動チェックイン機のシステム構成の概略を示す図である。
【図3】図1における搭乗ゲートのシステム構成の概略を示す図である。
【図4】本発明によるチケットの実施形態を示す図である。
【図5】本発明による自動改札機の第1の実施形態の要部を示す図である。
【図6】図5でのチケットリーダの一具体例の概略構成を示す図である。
【図7】本発明による自動改札機の第2の実施形態の要部を示す図である。
【図8】本発明による自動改札機の第3の実施形態の要部を示す図である。
【図9】本発明による自動改札機の第4の実施形態の要部を示す図である。
【図10】本発明による自動改札機の第5の実施形態の要部を示す図である。
【図11】本発明による自動改札機の第6の実施形態の要部を示す図である。
【図12】図2に示すプリンタでのロール紙からのチケットの製造工程の要部を示す図である。
【図13】図12に示す製造工程で製造されたチケットの使用状態を示す図である。
【図14】自動改札機での改札の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
40,40a〜40c チケット
41 チケット情報
41a チケット名(券名)
42 二次元バーコード
43 表側の面
50 装置本体
51 上面部
51a 平面部
51b 斜面部
52 通路側側面部
53 前面部
54 背面部
55 窪み部
55a 底面
56 ガイド
57 チケットリーダ面
58 通路
59 CCDカメラ
60a,60b 光源
61 透明板
62 開口部
63 チケットリーダ部
64 切欠部
64a 底面
65 突出部
65a 下端面
66 ガイド
67 チケットリーダ部
70 ロール紙
71 ロール紙用ロール
72 印字部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片側の面をチケット情報が印刷された印刷面をなすチケットであって、
該印刷面の中央部に二次元バーコードが印刷されていることを特徴とするチケット。
【請求項2】
片側の面をチケット情報が印刷された印刷面をなすチケットであって、
該印刷面での、該チケット情報としてのチケットの名称が印刷されている場所に近接して、二次元バーコードが印刷されていることを特徴とするチケット。
【請求項3】
請求1または2に記載のチケットはロール紙を印刷して作成されたものであって、
前記印刷面は、該ロール紙がロールに巻き付けられている状態での該ロール側とは反対側の面であることを特徴とするチケット。
【請求項4】
通路を挟んで設置された2つの装置本体が該通路に沿って設置されてなり、一方の該装置本体にチケットの印刷面に印刷された二次元バーコードを読み取るチケットリーダ部が設けられた自動改札機において、
該一方の装置本体の上面部の該通路側の辺部に、該チケットの印刷面に印刷された二次元バーコードを読み取るための該チケットリーダ部のチケットリーダ面を配置し、
該チケットリーダ面の周辺部の一部に、該チケットリーダ面に該印刷面をかざす該チケットの回転などの動きを阻止するガイドを設けたことを特徴とする自動改札機。
【請求項5】
請求項4に記載の自動改札機において、
前記チケットリーダ面は、前記一方の装置本体の通路側側面部と前面部とによる角部に形成された窪み部の底面に設けられ、
該窪み部の該通路側の辺部と該前面部側の辺部とが開放され、該通路側とは反対側の該前面部に垂直な壁面と該前面部とは反対側の該通路側側面部に垂直な壁面とが前記ガイドをなすことを特徴とする自動改札機。
【請求項6】
請求項5に記載の自動改札機において、
前記装置本体の上面部での前記前面部側の一部が前記前面部側が低くなる斜面部をなしており、該斜面部に前記窪み部が設けられていることを特徴とする自動改札機。
【請求項7】
請求項4に記載の自動改札機において、
前記チケットリーダ面は、前記一方の装置本体の通路側側面部と前面部とによる角部に形成された窪み部の底面に設けられ、
該窪み部での該通路側の辺と該前面部側の辺とが該底面と同一平面上にあり、かつ該窪み部での該前面部とは反対側の辺が該通路側側面部から所定の角度で前記一方の装置本体の背面側に傾斜した第1の壁面で形成され、該窪み部での該通路側側面部とは反対側の辺が該第1の壁面から垂直に該前面部まで達する第2の壁面で形成され、
該第1,第2の壁面が前記ガイドをなすことを特徴とする自動改札機。
【請求項8】
請求項4に記載の自動改札機において、
前記チケットリーダ面は、前記一方の装置本体の上面部に前記一方の装置本体の通路側側面部に反って形成された窪み部の底面に設けられ、
該窪み部の底部は、該第1の装置本体の上面部から該第1の装置本体の前面部とは反対側の方向に傾斜しており、
該窪み部での該通路側の辺が該底面と同一平面上にあり、かつ該窪み部での該前面部とは反対側の辺が該通路側側面部に垂直な第1の壁面で形成され、該窪み部での該通路側側面部とは反対側の辺が該前面部に垂直な第2の壁面で形成され、
該第1,第2の壁面が前記ガイドをなすことを特徴とする自動改札機。
【請求項9】
請求項4に記載の自動改札機において、
前記一方の装置の上面部での前記一方の装置本体の前面部側に、前記一方の装置本体の上面部から上方に突出したチケットリーダ部を設け、
該チケットリーダ部は、底面が平坦な平面状をなす切欠部と、下方に突出して下端面が該切欠部の底面に対向する突出部とを備えて、該突出部の該下端面に前記チケットリーダ面が設けられ、
該切欠部の前記通路側の辺と該前面部側の辺とが該切欠部の底面と同一平面上にあり、かつ該切欠部での該前面部とは反対側の壁面と該切欠部での前記通路とは反対側の壁面とが前記ガイドをなすことを特徴とする自動改札機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−141158(P2007−141158A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337307(P2005−337307)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】