説明

2液硬化型樹脂供給装置

【課題】各容器内の液量が変化しても、常に一定の比率で2液を供給できるようにしながら、作業現場への装置の運搬性の良い2液硬化型樹脂供給装置を提供する。
【解決手段】2液硬化型樹脂の互いに異なる2種類の原料液を夫々各別に気密状態で収容自在な耐圧性の第1、第2容器1,2を設け、未硬化の2液硬化型樹脂を吐出自在なノズル装置3を設け、第1容器1の収容液排出部とノズル装置3とを接続する第1ホース4と、第2容器2の収容液排出部とノズル装置3とを接続する第2ホース5とを設け、第1容器1内の第1原料液と第2容器2内の第2原料液とを混合する混合部6を、ノズル装置3に設けて、第1容器1と第2容器2とに加圧ガスを供給自在なコンプレッサー7を設け、第1ホース4と第2ホース5とに夫々流量調整弁8を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2液硬化型樹脂の互いに異なる2種類の原料液を夫々各別に収容自在な第1、第2容器を設け、未硬化の前記2液硬化型樹脂を吐出自在なノズル装置を設け、前記第1容器の収容液排出部と前記ノズル装置とを接続する第1ホースと、前記第2容器の収容液排出部と前記ノズル装置とを接続する第2ホースとを設け、前記第1容器内の第1原料液と前記第2容器内の第2原料液とを混合する混合部を、前記ノズル装置に設けてある2液硬化型樹脂供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の2液硬化型樹脂供給装置は、図3に示すように、コンパクト化や軽量化を行って樹脂充填現場への搬入や取り扱い性を良くする為に、第1ホース4の下流端部と第2ホース5の下流端部に、開閉弁14を介在させ、第1容器1と第2容器2とを、夫々耐圧性の気密容器で形成し、第1容器1と第2容器2夫々に、予め加圧ガスを封入してあり、開閉弁14の開弁操作によって、夫々の容器1,2内の加圧ガスの圧力で夫々の容器1,2から各別に2液がノズル装置3に供給されて、ノズル装置3から2液の混合液として吐出されるように構成してあった(公知公用技術であって、適切な文献はみあたらない)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の2液硬化型樹脂供給装置では、例えば、水発泡性のポリウレタン吐出装置に適用する場合、原料の2液夫々の吐出流量を各別に調整することはできず、特に、2液夫々の粘度やその他の物性が異なると、第1容器1と第2容器2の内圧は、初期段階では例え同一の値であったとしても、貯留液量が減っていくに伴って、夫々の容器1,2からの吐出圧が互いに異なった値に変化し、ノズルでの混合比率が不安定になるという問題点があった。
【0004】
図4(a)に示すように、第1ホース4と第2ホース5の夫々にポンプPを介在させて、第1原料液と第2原料液とを夫々のポンプPでノズル3に供給することが考えられている(例えば、特開平9−308856号公報参照)。
この場合、装置全体を樹脂供給作業現場近くへ持ち込むには、第1容器1と第2容器2の他にポンプPがあるために重く、しかも、ポンプPの駆動電源がその作業現場近くになければならず、非常に不便なものであった。
そこで、図4(b)に示すように、第1ホース4と第2ホース5とを延長させて、ノズル3のみを作業現場に持ち込むようにすることが考えられるが、第1ホース4と第2ホース5とが長くなって、原料搬送途中で外気温の影響を受けやすくなり、粘性が変化して夫々の原料流量調整が困難になる等の不都合が発生する虞がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、各容器内の液量が変化しても、常に一定の比率で2液を供給できるようにしながら、作業現場への装置の運搬性の良い2液硬化型樹脂供給装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、2液硬化型樹脂の互いに異なる2種類の原料液を夫々各別に収容自在な第1、第2容器を設け、未硬化の前記2液硬化型樹脂を吐出自在なノズル装置を設け、前記第1容器の収容液排出部と前記ノズル装置とを接続する第1ホースと、前記第2容器の収容液排出部と前記ノズル装置とを接続する第2ホースとを設け、前記第1容器内の第1原料液と前記第2容器内の第2原料液とを混合する混合部を、前記ノズル装置に設けてある2液硬化型樹脂供給装置であって、前記第1容器と前記第2容器とを、夫々耐圧性の気密容器で形成し、前記第1容器と前記第2容器とに加圧ガスを供給自在な加圧ガス供給装置を設け、前記第1ホースと前記第2ホースとに夫々流量調整弁を設けてあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、耐圧性の気密容器で形成してある前記第1容器と前記第2容器には、加圧ガス供給装置からの加圧ガスが供給されるために、使用に伴って夫々の容器内の液が減量していっても安定した圧力で加圧され、しかも、前記第1容器に接続する前記第1ホースや前記第2容器に接続する前記第2ホースには、夫々前記流量調整弁が設けてあるために、前記ノズル装置で2種類の原料液の混合比率を常に適切になるように調整でき、供給する2液硬化型樹脂の品質を安定した状態にできる。
その上、図2に示すように、前記第1ホースと前記第2ホースとを短くした状態で、作業現場近くに前記第1容器、前記第2容器、前記ノズルを持ち込み、例えば、前記第1容器と第2容器とに前記加圧ガス供給装置からの加圧ガスを供給する加圧ガス供給ホースを延長させて、前記加圧ガス供給装置を別の箇所に置けば、原料液は外気温の影響を受けることなく、しかも装置の運搬性を良好にできる。
従って、安定した施工を行うことが可能となる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記加圧ガス供給装置をコンプレッサーで形成してあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、コンプレッサーによって、加圧ガスの供給を自在に行えて、第1容器及び第2容器内の夫々の原料液を最後まで適切な圧で供給することができる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記混合部に前記加圧ガス供給装置からの加圧ガスを混入させるガス混入路を設けて、前記第2ホースに合流接続させてあることにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、前記混合部で前記加圧ガス供給装置からの加圧ガスがガス混入路を介して混入されることにより、加圧ガスの攪拌作用により2液の混合がより均一に行われ、しかも、第2ホース内の第2原料液の搬送と混合部での混合作用を共に行わせることができる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記第1原料液が、イソシアネートを主剤とするものであり、前記第2原料液が、ポリオールを主剤とするものであることにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、イソシアネートとポリオールとによるポリウレタンの現場充填施工が、より小型の装置で、しかも品質を安定させて行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0015】
図1に示すように、2液硬化型樹脂の互いに異なる2種類の原料液(イソシアネートを主材とする第1原料液とポリオールを主材とする第2原料液)を、夫々各別に気密状態で収容自在な耐圧性の第1、第2容器1,2を設け、未硬化の前記2液硬化型樹脂を吐出自在なノズル装置3を設け、第1容器1の収容液排出部とノズル装置3とを接続する第1ホース4と、第2容器2の収容液排出部とノズル装置3とを接続する第2ホース5とを設け、第1容器1内の第1原料液と第2容器2内の第2原料液とを混合する混合部6を、ノズル装置3に設けてある。
そして、第1容器1と第2容器2とに加圧ガス供給ホース16を介して加圧ガスを供給自在な加圧ガス供給装置として小型のコンプレッサー7を設け、第1ホース4と第2ホース5とに夫々流量調整弁8を介在させてノズル装置3に接続してフロンガスを用いないポリウレタンフォーム(ノンフロンPUF)の2液硬化型樹脂供給装置を構成してある。
【0016】
前記ノズル装置3を構成するに、ノズル装置本体9に対して着脱自在なポリエチレンなどの樹脂ホースから成る筒部10を、先端側に設け、第1原料液の第1吐出部11と第2原料液の第2吐出部12とを、筒部10内に配設すると共に、第1吐出部11を第2吐出部12より先端側に配置して、筒部10内に2液の混合部6を形成してある。
前記第2ホース5にコンプレッサー7からの加圧ガスを混入させるガス混入路13を、第2ホース5に合流接続して、筒部10内の混合部6で第1原料液と第2原料液と加圧ガスとが混合するように構成してある。
【0017】
尚、図中のRはレギュレーターで、各容器の内圧や、管路の内圧を一定に保つようにしてある。
また、第1容器1と流量調整弁8との間や、第2容器2と流量調整弁8との間に、夫々開閉弁14を設けて、現場発泡のポリウレタン樹脂を供給する必要のないときには、各開閉弁14を閉じるようにしてある。
【0018】
尚、第1容器1と第2容器2には、夫々着脱自在な気密性の着脱蓋15を設けて、原料液を補充できるようにしてある。
【0019】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0020】
〈1〉 前記ノズル装置3は、混合部6にスタティックミキサを内装してあってもよい。この場合は、前記ガス混入路13がなくてもよい。
〈2〉 前記2液硬化型樹脂は、現場発泡のポリウレタン樹脂に限らず、エポキシ樹脂やその他の樹脂であっても良い。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態で説明する概略図
【図2】使用状態の一例を示す作用図
【図3】従来の概略図
【図4】(a),(b)は、別の従来技術を示す概略作用図
【符号の説明】
【0022】
1 第1容器
2 第2容器
3 ノズル装置
4 第1ホース
5 第2ホース
6 混合部
7 コンプレッサー
8 流量調整弁
9 ノズル装置本体
10 筒部
11 第1吐出部
12 第2吐出部
13 ガス混入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2液硬化型樹脂の互いに異なる2種類の原料液を夫々各別に収容自在な第1、第2容器を設け、未硬化の前記2液硬化型樹脂を吐出自在なノズル装置を設け、前記第1容器の収容液排出部と前記ノズル装置とを接続する第1ホースと、前記第2容器の収容液排出部と前記ノズル装置とを接続する第2ホースとを設け、前記第1容器内の第1原料液と前記第2容器内の第2原料液とを混合する混合部を、前記ノズル装置に設けてある2液硬化型樹脂供給装置であって、前記第1容器と前記第2容器とを、夫々耐圧性の気密容器で形成し、前記第1容器と前記第2容器とに加圧ガスを供給自在な加圧ガス供給装置を設け、前記第1ホースと前記第2ホースとに夫々流量調整弁を設けてある2液硬化型樹脂供給装置。
【請求項2】
前記加圧ガス供給装置をコンプレッサーで形成してある請求項1記載の2液硬化型樹脂供給装置。
【請求項3】
前記混合部に前記加圧ガス供給装置からの加圧ガスを混入させるガス混入路を設けて、前記第2ホースに合流接続させてある請求項1または2記載の2液硬化型樹脂供給装置。
【請求項4】
前記第1原料液が、イソシアネートを主剤とするものであり、前記第2原料液が、ポリオールを主剤とするものである請求項1から3のいずれかに記載の2液硬化型樹脂供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−137377(P2010−137377A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313424(P2008−313424)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000244084)明星工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】