説明

3−(グアニジノカルボニル)複素環誘導体、その製造方法及びこの方法の中間体、医薬品としてのそれらの使用及びそれらを含む医薬組成物

本発明は、式(I)の新規な化合物及び薬学的に許容されるその塩に関する。本発明の化合物は、例えば心筋梗塞の予防及び治療並びに狭心症の治療のための、心臓保護成分を有する抗不整脈薬として適当である。これらは、又、虚血によって誘導される損傷の発現、特に虚血によって誘導される心臓不整脈及び心不全を誘発する病態生理学的な過程を抑制する様式で阻害する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの新規な化合物:
【化1】

及び薬学的に許容されるその塩に関する。本発明の化合物は、例えば心筋梗塞の予防及び治療及び狭心症の治療のための心臓保護成分を有する抗不整脈薬として好適である。これらは又、虚血で誘導される損傷の進行、特に虚血で誘導される心臓不整脈及び心不全を誘発する病態生理学的な過程を抑制する様式で阻害する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、式Iの化合物:
式中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり;X1、X2、X3及びX4のうち少なくとも1個、最大でも2個が窒素原子であり;
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するSO2アルキル、NRaRb、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキ又はそれぞれのアルキルが独立に1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルであり;
【0003】
R1は、アリール、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、アルキルが1、2、3又は4個の炭素原子を有するアリールアルキル、アルキルが1、2、3又は4個の炭素原子を有するヘテロアリールアルキル又はヘテロアリールであり、ここで、アリール又はヘテロアリールは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
nは、0、1又は2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり;又は、
Ra及びRbは、それらが結合する窒素原子と共に、5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は、場合によりO、S又はNから選択される他のヘテロ原子を含むことができ;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ又はNH2である;
及びそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー並びにそれらの混合物、その互変異性体及び薬学的に許容されるその塩に関するものである。
【0004】
好ましくは、式Iの化合物:
式中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり、X1、X2、X3及びX4のうちの確実に1つは窒素原子であり;
R2は水素であり;
R1は、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、そのいずれもが、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
【0005】
nは、0、1又は2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり;又は、
Ra及びRbは、それらが結合する窒素原子と共に、5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は、場合によりO、S又はNから選択される他のヘテロ原子を含むことができ;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ又はNH2である;
及びそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー並びにそれらの混合物、その互変異性体及び薬学的に許容されるその塩である。
【0006】
より好ましくは、式Iの化合物:
式中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり、X1、X2、X3及びX4のうちの確実に1個は窒素原子であり;
R2は水素であり;
R1は、アリール、又はピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、イミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インドール、7−アザインドール及びピロール[2、3−d]ピリミジンのグループから選択されるヘテロアリールであり、そのいずれもが、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される
1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
nは、0、1又は2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり;又は、
Ra及びRbは、それらが結合する窒素原子と共に、5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は、場合によりO、S又はNから選択される他のヘテロ原子を含むことができ;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ又はNH2である;
及びそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー並びにそれらの混合物、その互変異性体及び薬学的に許容されるその塩である。
【0007】
特に好ましくは、式Iの化合物:
式中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり、X1、X2、X3及びX4のうちの確実に1個は窒素原子であり;
R2は水素であり;
R1は、フェニル、又はピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、イミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インドール、7−アザインドール及びピロール[2、3−d]ピリミジンのグループから選択されるヘテロアリールであり;ここで、そのいずれもが、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、NH2、NRaRb、ヒドロキシル及びS(O)nR3から成るグループから選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
nは2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルである;
及びそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー並びにそれらの混合物、その互変異性体及び薬学的に許容されるその塩である。
【0008】
1つの実施態様において、式Iの化合物は上記のように定義され、そしてX1、X2、X3、及びX4は互いに独立に窒素原子又はCR2基を表し、ここで、X1、X2、X3、及びX4の確実に1個は窒素であり、好ましくはX1が窒素でX2、X3及びX4はCHである。
【0009】
別の実施態様において、式Iの化合物は上記のように定義され、そしてR2は独立に水素、塩素、臭素、メチル又はエチルを表し、好ましくは水素を表す。
【0010】
更に別の実施態様において、式Iの化合物は上記のように定義され、そしてR1はアリール、好ましくはフェニルであり、又はヘテロアリール、好ましくはピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、イミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インドール、7−アザインドール又はピロール[2,3−d]ピリミジン、より好ましくはピリジン、キノリン、イソキノリン又はピロール[2,3−d]ピリミジンを表す。アリール及びヘテロアリールは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成る基、好ましくは1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、NRaRb、ヒドロキシル及びS(O)nR3、更に好ましくはメチル、N(CH3)2、ヒドロキシルおよびSO2CH3である。
【0011】
更に別の実施態様において、式Iの化合物は上記のように定義され、そしてnは2を表す。
【0012】
更に別の実施態様において、式Iの化合物は上記のように定義され、そしてR3は1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはメチル又はエチル、より好ましくはメチルを表す。
【0013】
更に別の実施態様において、式Iの化合物は上記のように定義され、そしてRa及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはRa及びRbの1つがメチル又はエチル、そしてより好ましくはメチルを表す。
【0014】
具体的に好ましくは、式Iの化合物であって、以下のグループ:
N−[1−(キノリン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−6−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−7−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−8−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イソキノリン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(シンノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キナゾリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キナゾリン−7−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−メチルキナゾリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1,5−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
【0015】
N−[1−(1,6−ナフチジリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1,7−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1,8−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−アミノ−1,8−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノキサリン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリミジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリミジン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピラジン−2−イル)−1H−ピロロ2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ベンゾチアゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
【0016】
N−[1−(ベンゾイミダゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(インドール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(インドール−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1−(メチルスルホニル)インドール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−アザインドール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−メチルピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(チアゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イミダゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(3−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
【0017】
N−[1−(2−ヒドロキシキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−2−イル)−lH−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;及び
N−[1−(2−ヒドロキシ−キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;及び
それらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー並びにそれらの混合物、それらの互変異性体及び薬学的に許容されるそれらの塩から選択されることを特徴とする化合物である。
【0018】
より具体的に好ましくは、式Iの化合物であって、以下のグループ:
N−[1−(2−ヒドロキシキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−メメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;及び
N−[1−(2−ヒドロキシ−キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;及び
それらのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー並びにそれらの混合物、それらの互変異性体及び薬学的に許容されるそれらの塩から選択されることを特徴とする化合物である。
【0019】
本発明化合物が1個又はそれ以上の不斉中心を含む場合、それらは互いに独立にS又はR配置をとることができる。本化合物は、異性体、ジアステレオマー、ラセミ体又はそれらの如何なる比率の混合物の形態であってもよい。
【0020】
本発明は、式Iの化合物の全ての互変異性体の形態を包含する。
【0021】
アルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状でもよい。これは又、それが置換基を有する場合、又は、例えば、他のアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ポリフルオロアルキル又はポリフルオロアルコキシ基等に置換基として存在する場合にも適用される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル(1−メチルエチル)、n−ブチル、イソブチル(2−メチルプロピル)、第二級ブチル(1−メチルプロピル)、第三級ブチル(1,1−ジメチルエチル)、ペンチル又はヘキシルが挙げられる。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、第四級ブチル及びイソブチルである。アルキル基のうちの1つ又はそれ以上の、例えば1、2、3、4、5、6、7、8又は9個の水素原子がフッ素で置換された、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル基を形成してもよい。そのような基の例としては、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル及び4,4,4−トリフルオロブチルがある。ポリフルオロアルコキシ基は、1、2、3、4、5、6又は7個のフッ素で置換された1〜3個の炭素から成るアルコキシ基であり、特にトリフルオロメトキシがある。アルコキシ基は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含み直鎖状又は分枝鎖状でもよく、好ましいアルコキシ基はメトキシである。
【0022】
シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルがある。置換シクロアルキル基はどの位置が置換されていてもよい。
【0023】
アリール基は、フェニル、ナフチル及びインデニルから選択される。アリール基は、いずれの位置で結合してもよい。置換アリール基は、1個又はそれ以上の、例えば1、2又は3個の、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される同一又は異なる置換基により、好ましくは1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、NH2、NRaRb、ヒドロキシル及びSO2R3、より好ましくはメチル、NH2、ジメチルアミノ、ヒドロキシ及びSO2CH3、特に好ましくはジメチルアミノ及びSO2CH3から成るグループから選択される置換基によりどの位置に置換されてもよい。好ましくは、アリール基は1個の置換基により置換される。
【0024】
ヘテロアリール基は、単環又は二環の芳香族3、4、5、6、7、8、9又は10員環化合物であり、その中で1、2、3又は4個の環原子は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子、例えば、1、2又は3個の窒素原子、1又は2個の酸素原子、1又は2個の硫黄原子又は各種へテロ原子の組み合わせである。ヘテロアリール基は、いずれの位置で、例えば1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位又は8位で結合してもよい。ヘテロアリールの例としては、ピリミジニル、チアゾリル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピラゾリル、アザインドリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、ベンゾチアゾレイル、ベンズイミダゾリル、インドリル、7−アザインドリル、ピロロ[2,3−d]ピリミジニル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、インダゾリル及びフタラジニルが挙げられ、特にピリミジニル、チアゾリル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピラゾリル、アザインドリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリル、7−アザインドリル、ピロロ[2,3−d]ピリミジニルが挙げられ;好ましくは、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル、イミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリル、7−アザインドリル及びピロロ[2,3−d]ピリミジニルが挙げられる。置換ヘテロアリール基は、1個又はそれ以上の、例えば1、2又は3個の、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される同一又は異なる置換基により、好ましくは1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、NH2、NRaRb、ヒドロキシル及びSO2R3、より好ましくはメチル、NH2、ジメチルアミノ、ヒドロキシ及びSO2CH3、とりわけ好ましくはメチル、NH2、ヒドロキシ及びSO2CH3から成るグループから選択される置換基によりどの位置に置換されてもよい。好ましくは、ヘテロアリール基は、置換されないか又は1個の置換基により置換されることである。
【0025】
式Iの化合物中に、基や置換基が、例えばR2、Ra、Rb、アリール、ヘテロアリール、アルキル等のように数回出現する場合、それらは全て互いに独立に指示された意味を有し、それぞれの場合同一であっても又は異なってもよい。
【0026】
本発明は、更に、式Iの化合物の誘導体、例えば、水和物及びアルコール付加物のような溶媒和物、式Iの化合物のエステル、プロドラッグ及び他の生理学的に許容される誘導体、そして又、例えばN−[1−(2−ヒドロキシ−キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2、3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン:
【化2】

のような式Iの化合物の活性代謝物を含む。
【0027】
式Iの化合物は、細胞性ナトリウム−プロトン対向輸送機能(Na+/H+交換機能、NHE)を阻害する。特にサブタイプのNHE1を阻害する。NHE阻害特性を有するために、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、NHEの活性化又は活性化したNHEによって起こる病気、及びNHE関連の損傷によって二次的に起こる病気の予防及び治療に好適である。
【0028】
式(I)の化合物は、特にNHE−2に対するよりもNHE−1への選択性が高いNHE阻害剤として、病気の治療における新規な医薬品として使用できる。この高い選択性により、選択性が適切でない分子による潜在的な胃腸への副作用を低減させることができる(J.Clin.Invest.,1998,101(6),1243;Comparative Medicine,2000,50(5),511)。
【0029】
NHE阻害剤は、主として細胞性pH制御への効果を介して作用するため、それは一般に細胞内pHを制御する他の化合物と、例えば炭酸脱水素酵素の阻害剤、重炭酸ナトリウム共輸送体(NBC)又はナトリウム依存性塩素−重炭酸交換体(NCBE)等の重炭酸イオン輸送系の阻害剤、及び他のNHEサブタイプに阻害作用を有するNHE阻害剤等の好適な組み合わせパートナーと効果的に組み合わせることができる。その理由は、それらを通して、本明細書に記述したNHE阻害剤の薬理学的に適切なpH制御の効果を、強めたり弱めたりすることが可能だからである。
【0030】
本発明の化合物の使用は、獣医学及びヒトの医学、特にヒトの医学における急性及び慢性疾患の予防及び治療に関する。
【0031】
従って、本発明のNHE阻害剤は、虚血及び再灌流によって起こる病気の治療に好適である。
本明細書に記述した化合物は、抗不整脈薬として適切である。
【0032】
式IのNHE阻害剤及び/又は薬学的に許容されるその塩は、それらの心臓保護成分によって、心筋梗塞の予防及び治療並びに狭心症の治療に対する好適性が際立っており、これらの場合においてもそれらは虚血で誘導される損傷の進行に伴う病態生理学的過程、特に虚血で誘導される心不整脈の誘発を予防的に阻止又は著しく低減させる。それらは病理学的な低酸素状態及び虚血状態に対して予防効果があるため、本発明に従って使われる式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、細胞性のNa+/H+交換機構を阻害するため、全ての急性又は慢性の虚血で誘導される損傷或いはそれにより1次的又は2次的に誘導される病気の治療用医薬品として使用することができる。
【0033】
これは、又、外科的介入用の医薬品としてそれらを使用することに関する。要するに、本化合物は臓器移植の手術中に使用することができる。即ち、提供側から摘出する前の及び摘出中の臓器を保護するため、及び、摘出後の、例えば生理的溶液を用いた処理又はその中での保存、及び受容体の生物に輸送する間の臓器の保護の両者に本化合物を使用することが可能である。
【0034】
本発明の化合物は、同様に、血管形成の外科的介入を、例えば末梢の器官及び脈管のみならず心臓で実施する場合に予防的効果を有する有益な医薬品である。
【0035】
NHE阻害剤は、生命にかかわる不整脈の治療のために欠かすことのできない効果的な医薬品であることが明らかになっている。心室細動が止まり、生理学的な洞律動が回復する。
【0036】
ヒトの組織及び器官の、特に心臓のNHE1阻害剤は、虚血及び再潅流によって起きる損傷に対してのみでなく、特に癌治療及び自己免疫疾患の治療に使用される医薬品の細胞毒性に対しても効果的な保護作用があるため、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩との併用投与は前述の医薬品の細胞毒性、特に心臓毒性の副作用を抑えるのに好適である。NHE1阻害剤との併用投薬で細胞毒性特に心臓毒性が低減されることにより、更に細胞毒性のある治療薬の投与量を増加させること及び/又はその様な医薬品を用いる投薬療法の期間を延長させることが可能になる。このような細胞障害療法の治療メリットは、NHE阻害剤との併用により著しく増大させることができる。
【0037】
更に、NHE1阻害剤である本発明の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、甲状腺ホルモンの過剰生産による心臓障害を起こした甲状腺中毒症がある場合、又は外部から甲状腺ホルモンを供給する場合に使うことができる。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、心臓毒性のある医薬品を使う療法の改善に好適である。
【0038】
虚血により誘導される損傷に対するそれらの予防的効果と一致して、本発明の化合物は、又、神経系、特に中枢神経系の虚血、例えば脳梗塞又は脳浮腫を治療する医薬品として好適である。
【0039】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、又、中枢神経系の過剰興奮によって誘導される病気及び疾患の治療及び予防、特に癲癇性の疾患、中枢的に誘導される間代性及び緊張性痙攣、精神的な鬱状態、不安障害及び精神病の治療に好適である。これらの場合、本明細書に記述したNHE阻害剤を、単独で又は他の抗癲癇活性を有する物質又は抗精神病活性成分、或いは炭酸脱水素酵素阻害剤との組み合わせ、例えばアセタゾールアミド、及び他のNHE阻害剤又はナトリウム依存性塩素−重炭酸交換体(NCBE)の阻害剤との組み合わせで使うことができる。
【0040】
本発明の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、更に同じように、ある種のショック、例えばアレルギー性、心臓性、血液量減少性及び細菌性等のショックの治療に好適である。
【0041】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、NHE阻害剤としてそれ自体で血小板凝集を阻害することができるため、同じように血栓性の疾患の予防及び治療に用いることができる。それらは更に、虚血及び再潅流の後に発生する炎症及び凝固のメディエータ、特にフォン−ヴィルブランド因子及び血管形成のセレクチン蛋白質の過剰放出を阻害又は防止することができる。その結果、重要な血管形成因子が有する病原性の作用を低減及び除去することができる。従って本発明のNHE阻害剤は、例えば遺伝子組み換え又は天然の組織プラスミノーゲンアクチベータ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アセチルサリチル酸、トロンビン・アンタゴニスト、第Xa因子・アンタゴニスト、繊維素溶解活性を有する医薬品、トロンボキサン受容体・アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、第VIIa因子・アンタゴニスト、クロピドグレル、チクロビジン等の他の抗凝固剤及び/又は血栓溶解活性成分と組み合わせることができる。本NHE阻害剤の、NCBE阻害剤及び/又は炭酸脱水素酵素阻害剤、例えばアセタゾラミド等との組み合わせ使用は、特に有益である。
【0042】
本発明に従って使用される式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、又、例えば線維芽細胞の増殖及び血管平滑筋細胞の増殖等に対して強い細胞増殖抑制効果があることでも際立っている。従って、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、細胞増殖が1次的又は2次的な原因である疾患の貴重な治療薬として好適であり、それ故、抗アテローム性動脈硬化剤、慢性腎疾患薬及び癌治療薬として使用できる。
【0043】
NHE阻害剤によって細胞移動が阻害されることを示すことは可能であった。従って、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、細胞移動が1次的又は2次的な原因である疾患、例えば転移傾向が明白な癌等の貴重な治療薬として好適である。
【0044】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、更に線維性疾患の発症を遅延又は予防することによって際立っている。これらは、従って、心臓線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症及び他の繊維性疾患の優れた治療薬として好適である。
【0045】
それらは、従って、例えば心臓及び前立腺等の臓器肥大及び過形成の治療に使用できる。それらは、心不全(鬱血性心不全:CHF)の予防及び治療、並びに前立腺過形成又は前立腺肥大の治療及び予防に好適である。
【0046】
本態性高血圧患者ではNHEの著しい上昇が起こるので、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、高血圧症及び心臓血管の病気の予防及び治療に好適である。この場合、それらの化合物は、単独で又は好適な併用及び処方パートナーと共に、高血圧症及び心臓血管の病気の治療に使うことができる。従って、例えば、それらは1つ又はそれ以上のチアジド様活性を有する利尿薬、ループ利尿薬、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、ポリチアジド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、ブメタニド、アミロリド、トリアムテレン、スピロノラクトン又はエプレロン等のアルドステロン及び仮性アルドステロン・アンタゴニストと併用することができる。本発明のNHE阻害剤は、更に、ベラパミル、ジルチアゼム、アムロジピン又はニフェジピン等のカルシウムチャンネル遮断剤、及び例えばラミプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリル又はカプトプリル等のACE阻害剤と組み併せて使うことができる。更に有益な併用パートナーとしては、メトプロロール、アルブテロール等のベータ遮断剤、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン等のアンギオテンシン受容体及びその受容体サブタイプのアンタゴニスト、オマパトリラート、ゲモパトリラート、エンドセリン・アンタゴニスト、レニン阻害剤、アデノシン受容体・アゴニスト、グリベンクラミド、グリメピリド、ジアゾキシド、クロマカリム、ミノキシジル及びその誘導体等のカリウムチャンネルの阻害剤及び活性化剤、ミトコンドリアATP感受性カリウムチャンネル(mitoK(ATP)channel)活性化剤、電位依存性カリウムチャンネルKv1.5の阻害剤等がある。
【0047】
式IのNHE1阻害剤及び/又は薬学的に許容されるその塩は、顕著な抗炎症効果を有しており、従って抗炎症剤として使用できることが明らかになった。炎症メディエータ放出の阻害は、この関連では特筆すべきことである。従って、本化合物は、慢性及び急性の炎症性疾患の予防又は治療に、単独で或いは抗炎症剤と併用して使うことができる。有利に使用される併用剤はステロイド性及び非ステロイド性の抗炎症剤である。本発明の化合物は、又、原虫による疾患、マラリア及び家禽のコクシジウム症の治療に使うことができる。
【0048】
更に、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、血清リポ蛋白質に対して有益な効果を示すことが見出されている。高リポ蛋白血症と呼ばれる血液脂肪の濃度の過剰な高さは、一般に動脈硬化性の血管障害、特に冠状動脈性心臓病に進行する本質的な危険因子を示すものと理解されている。従って、上昇した血清リポ蛋白質の低減化は、動脈硬化性傷害の予防及び軽減のために格別の重要性を有する。血清全コレステロールの低減に加え、この全コレステロールに対する特定の粥種発生性脂質画分、特に低密度リポ蛋白質(LDL)及び超低密度リポ蛋白質(VLDL)の比率を低下させることは、これらの脂質画分が粥種発生の危険因子であるため、とりわけ重要である。それに反して、冠状動脈性心臓病に対する予防的な機能は、高密度リポ蛋白質に帰されている。従って、低リポ蛋白質血症は、全コレステロール値を低下させるだけでなく、特に、血清のVLDL及びLDL画分を低下させ得るはずである。NHE1阻害剤が血清脂質濃度に影響を与えることに関連する治療的に貴重な性質を示すことが見出されている。従って、それらは、例えばコレステロール及び脂質の多い食物の多量摂取、又は例えば遺伝的な高脂血症等の病理学的代謝変調によって上昇したLDL及びVLDLの血清濃度を著しく低下させる。それ故、それらは、原因となる危険因子を除くことによって動脈硬化性傷害の予防及び軽減のために使うことができる。本明細書に挙げたものには、1次の高脂血症だけでなく、例えば糖尿病に合併して起こるある種の2次的な高脂血症も含まれる。更に、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、代謝系の異状によって誘導される梗塞を著しく減少させ、特に誘導される梗塞のサイズ及びその重症度を著しく低減させる。それ故上述の化合物は、高コレステロール血症の治療;アテローム形成を阻止する医薬品の製造;アテローム性動脈硬化症の予防及び治療用の医薬品の製造、コレステロール濃度の上昇によって誘導される病気の予防及び治療用の医薬品の製造、内皮機能障害によって誘導される病気の予防及び治療用の医薬品の製造、アテローム性動脈硬化症によって誘導される高血圧症の予防及び治療用の医薬品の製造、アテローム性動脈硬化症によって誘導される血栓症の予防及び治療用の医薬品の製造、高コレステロール血症及び内皮機能障害によって誘導される虚血性損傷並びに虚血後再潅流損傷の予防及び治療用の医薬品の製造、高コレステロール血症及び内皮機能障害によって誘導される心臓肥大及び心筋症並びに鬱血性心不全(CHF)の予防及び治療用の医薬品の製造、高コレステロール血症及び内皮機能障害によって誘導される冠攣縮性狭心症及び心筋梗塞の予防及び治療用の医薬品の製造、血圧降下剤、好ましくはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンギオテンシン受容体・アンタゴニストとの併用で上記疾患を治療する医薬品の製造に有利に使用される。式IのNHE阻害剤及び/又は薬学的に許容されるその塩と、血液脂肪を低下させる活性成分、好ましくはHMG−CoA還元酵素阻害剤(例えば、ロバスタチン又はプラバスタチン)との併用は、後者が脂質低下効果をもたらし、その結果式IのNHE阻害剤及び/又は薬学的に許容されるその塩の脂質低下特性が増大しており、少ない活性成分の使用で効果が強まる好ましい併用であることが分かる。
【0049】
従って、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、種々の起源の内皮損傷に対する効果的な保護に導く。この様に内皮機能障害の症候群に対抗して脈管を保護するということは、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩が、冠攣縮性狭心症、末梢血管傷害、特に間欠性跛行、粥腫発生及びアテローム性動脈硬化症、左心室肥大及び拡張型心筋症並びに血栓性疾患の予防及び治療のための重要な医薬品であることを意味する。
【0050】
更に、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、インシュリン非依存性の糖尿病(NIDDM)のインシュリン耐性を抑制して治療するのに好適であることが見出されている。これに関して、抗糖尿病活性及び本発明の化合物の効果の質を高めるために、それらをメトホルミン等のビグアニドと、グリブリド、グリメプリド、トルブタミド等抗糖尿病薬のスルホニル尿素と、グルコシダーゼ阻害剤と、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン等のPPAR・アゴニストと、違った投与形態のインシュリン製剤と、DB4阻害剤と、インシュリン増感剤と又はメグリチニドと併用することは有益である。
【0051】
抗糖尿病薬としての急性効果の他に、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、糖尿病の後期合併症の発症を阻止する。そしてそれ故、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症及び他の糖尿病の結果として起こる疾患の予防及び治療のための医薬品として使用することができる。これに関して、それらは、NIDDM治療の下に記載した抗糖尿病医薬品と有利に併用することができる。有益なインシュリン製剤との併用は、この関連において特に重要である。
【0052】
本発明の式IのNHE1阻害剤及び/又は薬学的に許容されるその塩は、急性の虚血事象及びそれに続く同等に急性ストレスが掛かる再潅流の事象に対する保護効果の他に、慢性的に進行する老化過程の出現に関連し、急性の灌流低下状態とは関係なく正常な非虚血条件で起こる、哺乳動物の組織全体の病気や疾患に対する治療に使用できる直接の効果を示す。これらの病理学的な、疾病、病弱及び死等長い加齢期間を経て誘導される老化の徴候は、現在はNHE阻害剤による治療に従わせることができるが、本質的に生きた器官及びその機能の老化に関連した変化によって起こるもので、老齢の生命体においては重要性が増して来る。
【0053】
加齢に関連した機能的障害、又は加齢に関連した器官損耗の出現に結びつく疾患は、例えば、収縮及び緩和反応に対する血管の不適切な応答及び反応性である。収縮及び緩和の刺激に対する血管の反応は心臓血管系即ち生命及び健康の本質的な作用であるが、その加齢に関連した減退はNHE阻害剤によってかなり除かれるか又は低減させることができる。脈管の反応性を維持させる1つの重要な機能及び方法は、内皮機能不全の加齢に関連した進行の遮断又は妨害であり、その進行はNHE阻害剤によって極めて高度に排除することができる。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、従って、加齢に関連した内皮機能不全、特に間欠性跛行の治療又は予防のために極めて好適である。
【0054】
加齢の過程を特徴付けるもう1つの例は、心臓の収縮力の減退及び要求されたポンプ出力に対する心臓の適応性の減退である。加齢進行の結果としての心臓の能力減少は、とりわけ心筋組織内への結合組織の堆積によって起こり、殆どの場合心機能不全に繋がる。この結合組織の堆積は、心臓重量の増加、心臓の拡大及び制限された心臓機能によって特徴付けられる。驚くべきことに、この様な心臓器官の加齢はほぼ完全に阻止することができる。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、従って、心不全、鬱血性心不全(CHF)の治療及び予防のために極めて好適である。
【0055】
先行特許及び特許出願では、既に発症している種々の癌の治療を特許請求しているのに対し、非常に驚くべきことに、既に発症している癌が増殖阻害を介して治癒できるだけでなく、NHE阻害剤を介して加齢に関連する癌の発生の阻止及び高い有意性の遅延が認められる。特に注目すべき発見は、加齢の結果として発症する或る種の癌だけでなく、全ての器官の疾患は抑制されるか又は高い有意性を持って発症の遅延があることである。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、従って、加齢に関連するタイプの癌の治療、及び、特に予防のために極めて好適である。
【0056】
心臓、脈管、肝臓等を含む調査した全ての器官について、加齢に関連した疾患の発症は単なる遅延だけでなく、通常の統計的な範囲を超えた非常に顕著な時間の変化、及び高齢者の癌に高い有意性を持つ遅延のあることが認められる。それどころか、今日他のグループの医薬品又は天然物では達成できない程の驚くべき寿命の延長が起こる。NHE阻害剤のこのユニークな効果は、又、活性成分をヒト及び動物に単独で使用することの他に、NHE阻害剤を、他の能動的な原理、方法、物質、及び老人病学で使用され、異なった作用機序を有する天然物と組み合わせることを可能にする。老人病学の療法で用いられる活性成分の種類は、特にビタミン類及び抗酸化活性を有する物質である。カロリー負荷又は食物摂取と老化過程の間には相関関係があるため、例えば食欲抑制剤との組み合わせ等の食事方法が行われる。同様に、ACE阻害剤、アンギオテンシン受容体・アンタゴニスト、利尿薬、Ca2+・アンタゴニスト等の高血圧薬、又はコレステロール低下薬等の代謝正常化薬との組み合わせが考えられる。
【0057】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩は、従って、加齢に関連する組織変化の予防及び高い生活の質の維持のために極めて好適である。
【0058】
本発明の化合物は、多くの疾患(本態性高血圧症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病等)において、例えば赤血球、血小板又はリンパ球等の容易に計測できる細胞内に増加する細胞性ナトリウム−プロトン対向輸送体(Na+/H+交換体)の効果的な阻害剤である。本発明に従う化合物は、例えば異なるタイプの高血圧症、同様にアテローム性動脈硬化症、糖尿病及び糖尿病の後期合併症、増殖性疾患等を判定し区別するための診断薬としての使用において、優れた簡単な科学的手段として好適である。
【0059】
本発明は、又、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の合成方法に関する。
【0060】
本発明は、更に、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の製造方法に関するものであって、式IIの化合物:
【化3】

式中、X1、X2、X3、X4及びR1は式Iにおけるのと同じ意味を有し、Lは容易に求核置換を受ける脱離基である;
をグアニジンと反応すること含む。
【0061】
Lは、例えば以下の基、即ち、ヒドロキシ、塩素、臭素、アルキルラジカルが場合により1、2、3、4、5又は6個の炭素原子のアルキル基で置換されたアルコキシ、フェノキシ、フェニルチオ、メチルチオ、2−ピリジルチオ基及び例えば1−イミダゾリル等の窒素複素環から選択することができ、好ましくはLは塩素又はメトキシである。
【0062】
式Iの化合物は、以下の一般的な合成スキーム:
【化4】

ここで、X1、X2、X3、X4及びR1は式Iにおけるのと同じ意味を有し、Yは塩素又は臭素、好ましくは塩素であり、Rは場合により置換された1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチルである;
に従って式IIの化合物から得ることができる。
【0063】
反応aは、一般的に、塩酸グアニジン及び、例えば、カリウム第三級ブトキシド等の塩基の存在下、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で、或いは、例えばイソプロパノール等の(C1〜C4)アルコールの溶媒中でグアニジンの存在下、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行われる。
【0064】
反応bは、一般的に、分子の残りの部分に影響を与えない通常の方法に従って、特にT.W.Green and P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis(2nd ed.),A.Wiley−Interscience Publication(1991)、McOmie,Protective groups in Organic Chemistry,Plenum Press(1973)、又は、Bradford P.Mundy and Michael G.Ellerd,Name Reaction and Reagents in Organic Synthesis,A.Wiley−Interscience Publication(1988)に解説されている方法を適用することによって行われる。例えば、鹸化反応bは、テトラヒドロフランと水の混合液等の不活性溶媒中に水酸化リチウム・一水和物又は水酸化ナトリウムが存在する塩基性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度、好ましくは反応溶媒の還流温度で行われる。代わりに、この反応は、三臭化ホウ素の存在下ジクロロメタン等の不活性溶媒中で、−78℃から反応溶媒の沸点までの間の温度、好ましくは0℃で行うことができる。
【0065】
反応cは、一般的に、分子の残りの部分に影響を与えない通常の方法に従って、特にBradford P.Mundy and Michael G.Ellerd,Name Reaction and Reagents in Organic Synthesis,A.Wiley−Interscience Publication(1988)に解説されている方法を採用することによって行われる。例えば、反応(c)は、好ましくは、不活性な雰囲気下(例えば窒素又はアルゴン雰囲気下)、塩化オキサリルの存在下、ジクロロメタン等の不活性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度、好ましくは約20℃で、或いは塩化チオニルの存在下、クロロホルム等の不活性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度、好ましくは反応溶媒の還流温度で行われる。
【0066】
反応dは、一般的に、塩酸グアニジン、及び例えばカリウム第三級ブトキシド又はナトリウムメトキシド等の塩基の存在下、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で、或いは、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロフランとジクロロメタンの混合物等の溶媒中で、グアニジンの存在下、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行われる。
【0067】
反応eは、一般的に、塩酸グアニジン、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)/塩酸1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド型の活性化剤の存在下、例えば、塩基(例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)の存在下、不活性溶媒(例えばジメチルホルムアミド)中、0℃から溶媒の沸点までの間の温度で、或いは、よく知られたペプチド化学(M.Bodanszky et al.,Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,New York,NY,1984,9−58)のカップリング法又はよく知られたアミド形成の方法に従って行うことができる。代わりに、この反応は、M.Baumgarthらが記載した方法(Eur.J.Org.,2000,2253)を採用して、N−(ベンジルオキシカルボニル)グアニジン及びヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム型の活性化剤の存在下、例えば、塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン)の存在下、不活性溶媒(例えば1−メチル−2−ピロリジノン)中、0℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行い、続いてベンジルオキシカルボニル保護基の開裂反応を、パラジウム黒及び水素又はシクロヘキセン等の他の水素供与体の存在下、不活性溶媒(例えばアセトン)中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行うか、又はT.W.Greene et al.in Protective Groups in Organic Synthesis,third edition,1999,Wiley−Interscienceに解説されている脱保護方法を適用又は採用して行うことができる。
【0068】
式IIa及びIIbの化合物は、式IIIの化合物から得ることができ、ここで、X1、X2、X3、X4及びR1は式Iにおけるのと同じ意味を有し、Rは以下の一般的な合成スキームに従って、場合により1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル基で置換される。
【化5】

【0069】
反応aは、トリフルオロ酢酸無水物の存在下、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中で、0℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行われ、続いて水素化物(好ましくは水素化ナトリウム)次いで水の存在下、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で反応させ、続いて最後はエステル化反応で、硫酸の存在下適切なアルコールR−OH中で20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行われるか、又は、他のよく知られたエステル化法(E.Haslam et al.,Tetrahedron,1980,36,2409)に従って行うことができる。
【0070】
或いは、反応aは、F.Buzzettiらが記載した方法(WO96/16964号)を採用し、ヘキサメチレンテトラミンの存在下、酢酸と水の混合液中で20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行い、続いて、酸化反応を塩化ナトリウム及びリン酸ナトリウムの存在下、1,4−ジオキサン、2−メチル−2−ブテン及び水の混合液中で、20℃から溶媒の沸点までの間の温度で、又は他にアルデヒド官能基を酸官能基に酸化する既知の方法(R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers Inc.(1989),838−841)に従って行い、続いて、最後はエステル化反応で、硫酸の存在下、適切なアルコールR−OH中で20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行うか、又は、他のよく知られたエステル化法(E.Haslam et al.,Tetrahedron,1980,36,2409)に従って行うことができる。
【0071】
或いは、反応aは、T.Wangらが記載した方法(J.Org.Chem.,2002,67,6226)を適用又は採用して行い、続いて、オキソ酢酸の官能基の酸化反応をW.C.McDanielら(WO02/066416A1号)及びK.Kogureら(Agr.Biol.Chem.,1976,40(2),435)が記述した方法を適用又は採用して行い、続いて、最後はエステル化反応で、硫酸の存在下、適切なアルコールR−OH中で20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行われるか、又は、他のよく知られたエステル化法(E.Haslam et al.,Tetrahedron,1980,36,2409)に従って行うことができる。
【0072】
反応b及びdは、式R1−XのR1が式Iにおけると同じ意味を有し、Xはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素である適切なハロゲン化物の存在下で、好ましくは不活性雰囲気(例えば窒素雰囲気下又はアルゴン雰囲気下)中で、例えば水素化ナトリウム、場合によって銅粉の何れかが存在するジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中に存在している塩基性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度(好ましくは約140℃)で行うか、或いは、炭酸カリウムの存在下、ジメチルスルホキシド又はジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度(好ましくは、約100℃)で行うことができる。
【0073】
これに代わって、反応b及びdは、好ましくは不活性の雰囲気で(例えば、窒素又はアルゴン雰囲気下で)、例えばオルトリン酸カリウム、ヨウ化銅及びトランス−1,2−シクロヘキサンジアミン又はN,N’−ジメチルエチレンジアミンが例えば1,4−ジオキサンとn−ドデカンの混合物又はトルエンとn−ドデカンの混合物等の不活性溶媒中に存在している塩基性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度(好ましくは約110℃)で、S.L.Buchwaldらが記述した方法(J.Am.Chem.Soc.,2002,124,11684;J.Am.Chem.Soc.,2001,123,7727)を採用して行うことができる。
【0074】
反応cは、一般的に、分子の残りの部分に影響を与えない通常の方法に従って、特にT.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis(2nd ed.)、A.Wiley−Interscience Publication(1991)、又はMcOmie,Protective Groups in Organic Chemistry,Plenum Press(1973),又はBradford P.Mundy and Michael G.Ellerd,Name Reaction and Reagents in Organic Synthesis,A.Wiley−Interscience Publication(1988)に解説されている方法を採用することによって行われる。例えば、鹸化反応(c)は、テトラヒドロフランと水の混合液等の不活性溶媒中に水酸化リチウム・一水和物を存在させた塩基性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度、好ましくは反応溶媒の還流温度で行われる。
【0075】
反応eは、トリフルオロ酢酸無水物の存在下、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中で、0℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行われ、続いて水素化物(好ましくは水素化ナトリウム)次いで水の存在下、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中で、20℃から反応溶媒の沸点までの間の温度で行うことができる。
或いは、反応eは、T.Wangらが記載した方法(J.Org.Chem.,2002,67,6226)を適用又は採用して行い、続いて、オキソ酢酸の官能基の酸化反応を、W.C.McDanielら(WO02/066416A1号)及びK.Kogureら(Agr.Biol.Chem.,1976,40(2),435)が記述した方法を適用又は採用して行うことができる。
【0076】
式IIIの化合物は、T.Wangら(J.Org.Chem.,2002,67,6226)、J.Parrickら(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1.1976,13,1361)、P.D.Cook(Synthesis and reactivity of pyrrolopyridazines,Diss.Abstr.Int.B,1974,35(3),1199)、H.Yamanakaら(Chem.Pharm.Bull.,1993,41,81)、L.E.Crane(The synthesis and properties of adenine nucleosides,pyrrolo[3,2−d]pyrimidins and pyrrolo[2,3−d]pyrimidins、Diss.Abstr.Int.B,1976,37(5),2242)及びE.A.Meade(The synthesis and biological evaluation of pyrrolo[2,3−d]pyridazine and pyrrolo[2,3−d]pyridazine−7−one nucleosides、Diss.Abstr.Int.B,1992,52(10),5282)らが記述した方法を適用又は採用することによって得ることができる。
【0077】
R1XのR1が式Iにおけるのと同じ意味を有し、Xがフッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素であるハロゲン化化合物は、次の方法を適用又は採用することによって製造することができる。即ち、2−ハロキノリンは、Tetrahedron Lett.,2000,41(15),2663;Tetrahedron Lett.,1988,29(48)、6287及びSynthesis,1987,11,1013に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。5−ハロキノリン、6−ハロキノリン、7−ハロキノリン及び8−ハロキノリンは、ドイツ特許第2322143号及びJ.Chem.Soc.,1960,561に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロキノリンは、J.Org.Chem.,1962,27,1318に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。5−ハロキノリンも又、Synthesis,2002,(1),83に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。1−ハロイソキノリンは、Tetrahedron Lett.,1988,29(48)、6287;Journal of Chemical and Engineering Data,1986,31(4),503;Synthesis,1983,10,791、及びJ.Heterocyclic Chem.,1978,15(8)、1513に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。5−ハロイソキノリンは、Synthesis,2002,(1),83に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。5−ハロキノキサリンは、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,1984,3,377、及びSynthesis,2002,(1),83に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロ−1,8−ナフチリジンは、Eur.J.Med.Chem.,1999,34(6),505,及びSynthesis,1974,(11),809に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロ−1,5−ナフチリジンは、WO第00/47576号及びWO第99/58533号並びにJ.Org.Chem.,1971,36(12),1720に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロ−1,6−ナフチリジンは、WO第99/58533号及びChemia,1975,18,295に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロ−1,7−ナフチリジンは、J.Org.Chem.,1972,37(20),3101に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロキナゾリンは、Journal of EnvironmentalSciences and Health,Part B,1983,B18(4−5),599に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。7−ハロキナゾリンは、Synthesis,2002,(1),83に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロ−7−アザインドールは、WO第03/00690号、WO第01/47922号及びWO第01/46196号並びにJ.Chem.Soc.Perkin Trans.1,1974,19,513に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロインドールは、J.Org.Chem.,1983,48(12),2066に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロシンノリンは、Braz.Pedido Pl,1978,18に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロベンゾチアゾールは、J.Chem.Soc.,section C,1969,(2),268に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。2−ハロピラジンは、J.Org.Chem.,1959,24,345に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。2−ハロイミダゾール及び4−ハロイミダゾールは、J.Heterocyclic Chem.,1967,4(3),451に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。4−ハロピロロ[2,3−d]ピリミジンは、英国特許第915304号及びJ.Chem.Soc.,1960,131に記載の方法を適用又は採用することによって得ることができる。
【0078】
上記の発明に従って工程を実施するためには、副反応を除くためにアミン、カルボキシル及びアルコール官能基への保護基の導入が必要であることを当業者は理解している。これらの保護基は、分子の他の部分に影響を与えずに取り除くことができるものである。アミン官能基の保護基の例としては、ヨウ化トリメチルシランの使用又は酸性溶媒(例えば、ジオキサン等の溶媒に溶かしたトリフルオロ酢酸又は塩酸)中で再生できるカルバミン酸第三級ブチル、水素の存在下、又はチオール(例えば、ベンゼンチオール)とルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素エーテラート)の混合物の存在下で再生できるカルバミン酸ベンジル、酸性溶媒(例えば、塩酸)中で再生できるアセチル、酸性溶媒(例えば、塩酸)中で再生できるベンゾイル、又はフッ化テトラブチルアンモニウムの存在下又は酸性溶媒(例えば、塩酸)中で再生できる2−(トリメチルシラニル)エトキシメチルが挙げられる。カルボキシル官能基の保護基としては、T.W.Green et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,third edition,1999,Wiley−Interscienceに記載の方法で再生できるエステル(例えば、メトキシメチルエステル、ベンジルエステル又はメチルエステル)が挙げられる。アルコール官能基の保護基としては、酸性溶媒中で又は接触水素化により再生できるエステル(例えば、ベンゾイルエステル)、又は三臭化ホウ素の存在下で再生できるメチルエーテル等のエーテル、又は接触水素化で再生できるベンジルエーテルが挙げられる。使用できる他の保護基は、T.W.Green et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,third edition,1999,Wiley−Interscienceに記載されている。
【0079】
式Iの化合物製造のための一般的な合成スキームは以下の通りであり:
a)式IIIの化合物と式R1−Xの適切なハロゲン化物との反応による、式Vの誘導体の形成;
b)式Vの誘導体の3位へのカルボン酸官能基の導入による、式IIbの誘導体の形成;又は
a’)式IIIの誘導体の3位へのカルボン酸エステル官能基の導入による、式IVの誘導体の形成;
b’)式IVの化合物と式R1−Xの適切なハロゲン化物との反応による、式IIaの誘導体の形成;
c’)場合により式IIaの誘導体からIIbの誘導体への鹸化;
d)式IIbの誘導体とグアニジン又は保護されたグアニジンとの反応と、場合により生成物からの脱保護;又は
d’)式IIaの誘導体とグアニジンとの反応;又は
c'')式IIbの誘導体からの酸塩化物IIcの形成;
d'')酸塩化物IIcとグアニジンとの反応;
ここで、X1、X2、X3、X4及びR1は式Iにおけるのと同じ意味を有し、Rは場合により1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル基で置換され、そしてXはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である;
生成物の分離、及び場合により薬学的に許容されるその塩への変換である。
【0080】
式Iの化合物であって、式中、X1、X2、X3、X4及びR1は式Iにおけるのと同じ意味を有し、Rは場合により1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル基で置換され、そしてXはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である化合物の好ましい製造方法は以下:
a)式IIIの誘導体の3位へのカルボン酸エステル官能基の導入による、式IVの誘導体の形成;
b)式IVの化合物と式R1−Xの適切なハロゲン化物との反応による、式IIaの誘導体の形成;
c)式IIaの誘導体からIIbの誘導体への鹸化;
d)式IIbの誘導体から酸塩化物IIcの形成;
e)酸塩化物IIcとグアニジンとの反応;
生成物の分離、及び場合により薬学的に許容されるその塩への変換を含む。
【0081】
式Iの化合物は、例えば、結晶化、クロマトグラフィー又は抽出等通常の知られた方法で分離し精製することができる。
【0082】
式Iの化合物は、場合により、例えばアルコール、ケトン、エーテル又は塩素溶剤等の有機溶媒中で無機又は有機酸と反応させて付加塩に変えることができる。話題になる薬学的に許容される塩の例として、次の塩が挙げられる:ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヨウ素酸塩、マレイン酸塩、イセチオン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチレンビス(β−オキシナフトエ酸塩)、硝酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩。化合物が酸性基を有する場合、塩基との塩、例えばアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム又はカリウム塩、例えばアンモニア、有機アミン又はアミノ酸とのアンモニウム塩を形成させることができる。それらは又、両性イオンとして存在することもできる。薬学的に許容される塩及びその製造法はHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection and Use、P.H.Stahl,C.G.Wermuth(Eds.),Wiley−VCH 2002に記載されている。
【実施例】
【0083】
本発明を以下の実施例により説明する。
LC/MS分析は、HP1100装置に接続したマイクロマス・モデルLCT(Micromass model LCT)で行った。多くの生成物は、200〜600nmの波長をHP G1315Aダイオードアレイ検出器及びSedex 65光散乱検出器を用いて測定した。質量スペクトルの捕捉は180〜800nmで行った。データの解析にはMicromass Masslynxのソフトウェアーを用いた。分離はHypersil BDS C18,3μm(50×4.6mm)カラム上で行い、溶出は5〜90%の直線濃度勾配の0.05%(容量%)のトリフルオロ酢酸(TFA)を含むアセトニトリル及び0.05%(容量%)のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む水を用い、3.5分間、1mL/分の流速で行った。分析のための総時間はカラムの再平衡化の時間を含めて7分間であった。
【0084】
実施例1
a)N−[1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン
【化6】

ナトリウム(事前にトルエン中で洗浄した)1.5g(65mmol)をアルゴン雰囲気下、約20℃で、メタノール100cm3に徐々に加えた。撹拌して溶解させた後、グアニジン塩酸塩6.5g(68mmol)を加えて、その混合物を、約20℃の温度で2時間撹拌した。次いで、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、そして、残留物をジクロロメタン(アミレンで安定化させた)70cm3に連続して2回溶解し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。引き続いて、残留物をテトラヒドロフラン50cm3とジクロロメタン50cm3の混合液にアルゴン雰囲気下、約20℃の温度で溶解し、次いで、3−クロロカルボニル−1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩11.8mmolを撹拌しながら加えた。約20℃の温度で15時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。固体残留物を0.1Nの水酸化ナトリウム溶液70cm3に溶解し、不溶物を濾過し、次いでジクロロメタン200cm3に溶解した。沈降分離後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物をシリカゲル(0.04〜0.06mm)カラムのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出はジクロロメタン/メタノール/トリエチルアミン(体積比:88/10/2)の混合溶液で行った。生成物が含まれている画分を併せて、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、そして固体残留物をペンタン60cm3、ジエチルエーテル10cm3及びメタノール0.1cm3の混合溶液に溶解し、10分間還流した。約20℃の温度に戻し、濾過し、そしてペンタン10cm3で洗浄後、固体を減圧下(2.7kPa)約40℃の温度で乾燥した。N−[1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン1.56gを融点230℃のクリーム色の固体として得た(生成物を、3.7%の塩酸で部分的に塩にした。元の化合物は164℃で融解した)。質量スペクトル:DCl:m/z=331MH+ 基準ピーク。
【0085】
b)3−クロロカルボニル−1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩
1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸3.4g(11.8mmol)をアルゴン雰囲気下、約20℃の温度で塩化チオニル50cm3に加えた。2時間還流下で攪拌後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、ジクロロメタン30cm3で2度連続して摩砕し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、3−クロロカルボニル−1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩11.8mmolを黄色の粉末として得た。これを次の段階で直接使用した。
【0086】
c)1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
純度70%の3−トリフルオロアセチル−1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(30%は、1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン)6.4g(13mmol)と2%(体積比)の水を含むジメチルホルムアミド50cm3との溶液を、アルゴン雰囲気下約20℃の温度で攪拌しつつ、ジメチルホルムアルデヒド100cm3と75%水素化ナトリウム3g(98mmol)との溶液に加えた。反応溶液を約20℃の温度で3時間攪拌し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を氷200gと水300gの混合物に急速に加えた。得られた沈殿物を濾過し、1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン1.2gを褐色の固体として得た。濾過水溶液のpHを、酢酸を加えて6に調節した。生成した褐色の沈殿物を濾過し、メタノール2%(体積比)を含むジクロロメタン溶液で洗浄し、ドラフト内で72時間乾燥した。かくして、1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸2.1gを褐色の固体として得た。濾過液を沈降分離させ、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸0.9gを褐色の固体として得た。水相を酢酸エチル50cm3で3回再抽出した。有機抽出物を併せて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、そして更に0.4gの同一化合物を得た。合計3.4gの1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を褐色の固体として得た。質量スペクトル:DCl:m/z=290MH+ 基準ピーク。
【0087】
d)3−トリフルオロアセチル−1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
トリフルオロ酢酸無水物10cm3(71mmol)を、アルゴン雰囲気下約0℃の温度で、ジメチルホルムアミド30cm3と1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン6.6g(26.9mmol)との溶液に加えた。トリフルオロ酢酸無水物を添加した後氷浴を取り除き、約20℃の温度で1時間攪拌を継続した。トリフルオロ酢酸無水物25cm3(178mmol)を上述の方法と同じ方法で加えた。そして反応混合液を約20℃の温度で4時間攪拌した。トリフルオロ酢酸無水物25cm3(178mmol)を再び加えて、約20℃の温度で21時間攪拌を継続した。次いで、トリフルオロ酢酸無水物25cm3(178mmol)を、3時間毎に連続して3回加えて、反応混合液を約20℃の温度で45時間攪拌した。トリフルオロ酢酸無水物25cm3(178mmol)を続いて3時間毎に連続して3回加えた。次いで、反応液を約20℃の温度で117時間攪拌した。次いで反応液を500cm3の水に急速に加え、pHが7になるまで炭酸水素ナトリムを徐々に加えた。混合液を100cm3の酢酸エチルで4回抽出し、有機抽出物を併せて硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。生成物が50%、出発物質が50%含まれていると思われる褐色のペースト状物質7.2gを得た。このペースト状物質を30cm3のジメチルホルムアルデヒド中、約20℃の温度で攪拌しながら反応した。1.1g(13mmol)の炭酸水素ナトリムと、50cm3(356mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を加え、次いで混合物を約20℃の温度で15時間攪拌した。更に、1.1g(13mmol)の炭酸水素ナトリムと、50cm3(356mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を加えて、混合物を約20℃の温度で5時間攪拌した。そして50cm3(356mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を再度加えて、混合物を約20℃の温度で30時間攪拌した。次いで、反応液を500cm3の水に急速に加えて、混合液を250cm3の酢酸エチルで4回抽出した。有機抽出物を併せて硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。純度70%の3−トリフルオロアセチル−1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(30%は1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン)6.6gを褐色の固体として得た。これを次の段階で直接使用した。質量スペクトル:EI:m/z=341MH+ 基準ピーク。
【0088】
e)1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン9g(76.3mmol)を、アルゴン雰囲気下
約20℃の温度で攪拌しつつ、ジメチルホルムアミド100cm3に加えて、そして、2.7gの75%水素化ナトリウム(84mmol)を徐々に加えた。約20℃の温度で10分間攪拌した後、100cm3のジメチルホルムアミドと12.5g(76.4mmol)の4−クロロキノリンとの溶液を加えた。次いで、反応混合液を約100℃の温度で15時間加熱した。減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した後、残留物を300cm3の水に溶解した。第一の沈殿物が生成し、次いで第二の沈殿物も生成し、それらを濾過した。2バッチを併せて、ジクロロメタン300cm3に溶解した。沈降分離後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラム(0.04〜0.06mm)のフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出は、シクロヘキサン/酢酸エチル混合溶液(体積比:50/50)で行った。予定の生成物が含まれている画分を併せ、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン6.6gを白色固体として得た。質量スペクトル:EI:m/z=245M+;基準ピーク m/z=244(M−H)+
【0089】
実施例2
a)N−[1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン
【化7】

3.34g(35mmol)のグアニジン塩酸塩に、メタノール20cm3と次いで0.5Mのナトリウムメトキシド70cm3のメタノール溶液をアルゴン雰囲気下、約20℃の温度で加え、そして反応混合液を約20℃の温度で1時間攪拌した。次いで、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。そして、残留物をジクロロメタン(アミレンで安定化させた)20cm3に連続して3回溶解し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。得られた残留物に、50cm3のテトラヒドロフランをアルゴン雰囲気下約20℃の温度で加えた。ジクロロメタン50cm3中に懸濁した、1.8g(7mmol)の3−クロロカルボニル−1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩を攪拌しつつ加え、次いで50cm3のテトラヒドロフランと50cm3のジクロロメタンを加えた。約20℃の温度で15時間攪拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物に50cm3のエタノールを加え、次いで混合物を5分間還流した。その後、減圧下(2.7kPa)で再び濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラム(0.04〜0.06mm)のフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出は、酢酸エチル/メタノール/アンモニア水混合溶液(体積比:80/20/5)で行った。予定の生成物が含まれている画分を併せ、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を水30cm3に溶解し、溶液を1Nの水酸化ナトリウムで塩基性にし、次いで50cm3の酢酸エチルを加えた。濾過後、有機相を沈降分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を20cm3のジイソプロピルエーテル中で摩砕し、濾過後減圧下(2.7kPa)約40℃の温度で乾燥した。N−[1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン45mgを融点210℃の白色粉末として得た。質量スペクトル:EI:m/z=280M+ 基準ピーク。
【0090】
b)3−クロロカルボニル−1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩
15cm3の塩化チオニルを、アルゴン雰囲気下約25℃の温度で、1.67g(7mmol)の1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸に加えた。2時間還流下で攪拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を20cm3のジクロロメタン中で3回続けて摩砕した。次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、黄色の粉末状の3−クロロカルボニル−1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩1.8gを得た。これを次の段階で直接使用した。
【0091】
c)1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
0.88g(21mmol)の水酸化リチウム一水和物と25cm3の水を、約20℃の温度で、25cm3のテトラヒドロフランと1.8g(7.1mmol)の1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルとの溶液に加えた。溶媒の還流下で4時間攪拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、次いで残留物を30cm3の水(pH=10)に溶解した。混合物を30cm3の酢酸エチルで抽出し、そして1Nの塩酸溶液でpH3に調節した。得られた沈殿物を濾過し、72時間ドラフト内で乾燥した。1.7gの1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボキシラートを白色粉末の形状で得た。質量スペクトル:EI:m/z=239M+ 基準ピーク。
【0092】
d)1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル
1.76g(10mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル、2.66g(13mmol)の4−ヨードピリジン、0.19g(1mmol)のヨウ化銅(I)、4.46g(21mmol)のリン酸三カリウム、1.2cm3のトランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(10mmol)及び0.5cm3のn−ドデカンを、100cm3のジオキサンにアルゴン雰囲気下約20℃の温度で加えた。混合液を溶媒の還流下で20時間加熱した。次いで反応混合液を酢酸エチル300cm3と水300cm3の混合液に急速に加えた。有機相を沈降分離し、300cm3の水で3回、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液300cm3で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラム(0.04〜0.06mm)のフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出はシクロヘキサン/酢酸エチルの混合液(体積比:50/50)で行った。予定の生成物が含まれる画分を併せ、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を30cm3のジイソプロピルエーテル中で摩砕し、濾過し、ドラフト内で乾燥した。1.7gの1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルを白色粉末状で得た。質量スペクトル:EI:m/z=253M+ 基準ピーク。
【0093】
e)1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル
4.22g(26mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を100cm3のメタノールに約20℃の温度で加え、そして、2.5cm3の濃硫酸を滴下した。溶媒の還流下で16時間撹拌した後、反応媒体を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を50cm3の水を急速に加えて、1Nの水酸化ナトリウムを加えpHを8に調節した。酢酸エチル300cm3で抽出した後、有機相を100cm3の水で2回、次いで100cm3の飽和食塩水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、3.7gの1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルを黄色粉末で得た。質量スペクトル:EI:m/z=176M+;基準ピーク:m/z=145(M−CH3O)+
【0094】
f)1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
2.3g(15.7mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒドと23cm3(217mmol)の2−メチル−2−ブテンを120cm3のジオキサンに20℃の温度で加え、次いで、水100cm3中に2.7g(30mmol)の亜塩素酸ナトリウムと9.2g(66.7mmol)のリン酸一ナトリウムを含む溶液を加えた。約20℃の温度で15時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を50cm3の水に溶解し、濾過し、30cm3の水で3回洗浄し、次いで16時間ドラフト内で乾燥した。2.2gの1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を白色粉末状で得た。質量スペクトル:EI:m/z=162M+ 基準ピーク。
【0095】
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒドを特許WO第96/16964号に従って合成した。
【0096】
実施例3
a)N−[1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン
【化8】

0.397g(17.28mmol)のナトリウム(トルエンで事前に洗浄した)を、40cm3のメタノールにアルゴン雰囲気下約40℃の温度で徐々に加えた。撹拌して溶解した後、1.685g(17.28mmol)のグアニジン塩酸塩を加え、混合液を約20℃の温度で1時間半撹拌した。反応混合液を濾過し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。続いて、残留物を70cm3のテトラヒドロフランと70cm3のジクロロメタンとの混合液に、アルゴン雰囲気下約20℃の温度で溶解した。次いで、3.46mmolの3−クロロカルボニル−1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩を撹拌下で加えた。約20℃の温度で15時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。固体残留物を100cm3の水に溶解し、2時間撹拌した。次いで不溶物を濾過した。得られた固体を乾燥し、シクロヘキサン20cm3中で摩砕した。固体を濾過し、減圧下(2.7kPa)約20℃の温度で乾燥した。そして、0.784gのN−[1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジンを融点250℃の淡黄色固体として得た。1HN.M.R.スペクトル(300MHz,(CD32SO,δppm):7.31(dd,J=8及び5Hz,1H),7.58(広幅d,J=8.5Hz,1H),7.66(ddd,J=8.5,7.5及び1Hz,1H),7.89(ddd,J=8.5,7.5及び1Hz,1H),8.09(d,J=5.5Hz,1H),8.10〜8.25(mt,2H),8.29(s,1H),8.56(d,J=5.5Hz,1H),8.90(dd,J=8及び1.5Hz,1H)。
【0097】
b)3−クロロカルボニル−1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩
0.61cm3(6.91mmol)のシュウ酸クロリドを約20℃の温度で、30cm3のジクロロメタン中に懸濁させた1.0g(3.46mmol)の1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸に加えた。約20℃の温度で2時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。これを次の段階で直接使用した。
【0098】
c)1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
1.8容積%の水を含むジメチルホルムアミド100cm3中に3−トリフルオロアセチル−1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン5.20gを含む溶液を撹拌しつつ、ジメチルホルムアミド20cm3中60%水素化ナトリウム2.195g(54.87mmol)の溶液をアルゴン雰囲気下約20℃の温度で加えた。溶液の流入を完了した後、反応媒体を約20℃の温度で1時間撹拌し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を、氷200gと200gの水の混合物中に急速に加えた。褐色の溶液を濾過し、濾過水溶液のpHを、酢酸を加えて4〜5に調節した。混合液を12時間撹拌し、生成した白色沈殿物を濾過し、次いで48時間ドラフト内で乾燥した。4.82gの1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボキシラートを、融点278℃の淡黄色の固体として得た。
【0099】
d)3−トリフルオロアセチル−1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
12.36cm3(87.65mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を、50cm3のジメチルホルムアミド中4.3g(17.53mmol)の1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸の溶液にアルゴン雰囲気下約20℃の温度で加えた。トリフルオロ酢酸無水物を加えた後、撹拌を約20℃の温度で12時間行い、その後反応混合液を減圧下(2.7kPa)約60℃の温度で濃縮乾固した。残留物を水70cm3に急速に加え、そしてpHが7〜8になるまで炭酸水素ナトリウムを徐々に加えた。生成した固体を濾過し、25cm3の水で4回洗浄し、次いで約20℃の温度で減圧下(2.7kPa)デシケータ内で乾燥した。5.31gの3−トリフルオロアセチル−1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを融点210℃の褐色固体形態で得た。これを次の段階で直接使用した。
【0100】
e)1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
60%水素化ナトリウム0.894g(37.25mmol)をアルゴン雰囲気下約20℃の温度でジメチルホルムアミド20cm3へ撹拌しつつ添加し、次いで20cm3のジメチルホルムアミドと4g(33.86mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンとの溶液を徐々に加えた。約20℃の温度で30分間撹拌した後、5.816g(35.55mmol)の1−クロロイソキノリンと20cm3のジメチルホルムアミドとの溶液を加え、次いで反応混合液を約100℃の温度で15時間加熱した。減圧下(2.7kPa)濃縮乾固した後、残留物を50cm3の水で2回溶解した。残留油状物質を30cm3のジエチルエーテルに溶解した。生成した白色結晶を濾過し、次いで減圧下(2.7kPa)約20℃の温度で乾燥した。4.36gの1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを、融点87℃の灰色を帯びた白色固体として得た。
【0101】
実施例4
a)N−[1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン
【化9】

0.477g(20.73mmol)のナトリウム(事前にトルエンで洗浄した)を、40cm3のメタノールにアルゴン雰囲気下約20℃の温度で徐々に加えた。撹拌しつつ溶解した後、2.021g(20.74mmol)のグアニジン塩酸塩を加え、混合液を2時間約20℃の温度で撹拌した。反応混合液を濾過し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物をアルゴン雰囲気下、約20℃の温度で、70cm3のテトラヒドロフランと70cm3のジクロロメタンの混合液に溶解し、更に、3.46mmolの3−クロロカルボニル−1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩を撹拌しつつ加えた。約20℃の温度で15時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。固体残留物を100cm3の水に溶解して2時間撹拌し、次いで不溶物を濾過した。得られた固体を乾燥し、20cm3のシクロヘキサン中で摩砕した。固体を濾過し、約20℃の温度で減圧下(2.7kPa)で乾燥した。0.921gのN−[1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジンを、融点242℃の淡黄色固体として得た。1HNMRスペクトル(300MHz、(CD32SO、δppm):6.20〜7.30(超広幅未分解ピーク、2H),7.39(dd,J=8及び5Hz,1H),7.63(広幅t,J=7.5Hz,1H),7.84(広幅t,J=7.5Hz,1H),8.03及び8.07(2広幅d,J=7.5Hz,各1H),8.48(dd,J=5及び1.5Hz,1H),8.64(d,J=9Hz,1H),8.89(dd,J=8及び1.5Hz,1H),9.06(s,1H),9.21(d,J=9Hz,1H)。
【0102】
b)3−クロロカルボニル−1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩
0.606cm3(6.91mmol)のシュウ酸クロリドを約20℃の温度で、30cm3のジクロロメタンと1.0gの1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸との懸濁液に加えた。約20℃の温度で2時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を次の段階で直接使用した。
【0103】
c)1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
1.5容量%の水を含むジメチルホルムアミド100cm3と5.80g(17mmol)の3−トリフルオロアセチル−1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンとの溶液を、20cm3のジメチルホルムアミドと2.47gの60%水素化ナトリウム(61.16mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下約20℃の温度で撹拌しつつ加えた。溶液の流入が完了した後、反応媒体を約20℃の温度で3時間撹拌し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を400gの氷と200gの水の混合物に急速に加えた。褐色の溶液を濾過し、濾過水溶液のpHを酢酸の添加で4〜5に調節した。混合液を12時間撹拌し、淡褐色の沈殿物を濾過し、次いでドラフト内で48時間乾燥した。4.85gの1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボキシラートを、融点275℃の淡黄色の固体として得た。
【0104】
d)3−トリフルオロアセチル−1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
14.19cm3(100.7mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を、60cm3のジメチルホルムアミドと4.94g(20.14mmol)の1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンとの溶液にアルゴン雰囲気下で加えた。反応混合液を約20℃の温度で12時間撹拌した。5.68cm3(40mmol)のトリフルオロ酢酸無水物を加えて、撹拌を約20℃の温度で60時間行った。第三部分のトリフルオロ酢酸無水物を5.68cm3(40mmol)加え、次いで反応媒体を約20℃の温度で60時間撹拌した。次いで反応混合液を減圧下(2.7kPa)約60℃の温度で濃縮乾固した。残留物を100cm3の水に急速に加え、次いで炭酸水素ナトリウムをpH7〜8になるまで徐々に加えた。生成した固体を濾過し、25cm3の水で4回洗浄した。次いでデシケーター中で減圧下(2.7kPa)約20℃の温度で乾燥した。5.92gの3−トリフルオロアセチル−1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを、融点198℃の褐色固体として得た。これを次の段階で直接使用した。
【0105】
e)1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
60%の水素化ナトリム0.894g(37.25mmol)を20cm3のジメチルホルムアミドへアルゴン雰囲気下約20℃の温度で撹拌しつつ加え、次いで4g(33.86mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンと20cm3のジメチルホルムアミドとの溶液を徐々に加えた。約20℃の温度で30分間撹拌した後、5.816g(35.55mmol)の2−クロロキノリンと20cm3のジメチルホルムアミドとの溶液を滴下し、次いで反応混合液を約100℃の温度で15時間加熱した。減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した後、残留物を150cm3の水に溶解した。残留油状物質を150cm3のジエチルエーテルに溶解した。生成した淡黄色の結晶を濾過し、約20℃の温度で減圧下(2.7kPa)で乾燥した。4.39gの1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを、融点129℃の灰色を帯びた白色固体として得た。
【0106】
実施例5
a)N−[1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン塩酸塩
【化10】

1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸、0.46g(2.4mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、及び0.027g(0.2mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、15cm3のテトラヒドロフランと0.59g(10mmol)のグアニジとの溶液にアルゴン雰囲気下で加えた。約20℃の温度で16日間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。次いで残留物を20cm3のメタノール中で摩砕し、濾過した。濾液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。次いで残留物を、シリカゲルカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出は、90分間で100%ジクロロメタンからジクロロメタン/メタノール/トリエチルアミン(体積比:50/48/2)への勾配で行った。予定の生成物を含む画分を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した後、得られた固体を20cm3のエタノール中で摩砕し、次いで濾過して、0.028gのN−[1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン塩酸塩を、融点205〜207℃のベージュ色粉末として得た。1HNMRスペクトル(300MHz、(CD32SO、δppm):7.30〜7.45(m,2H),8.08(ddd,J=9,8及び2Hz,1H),8.43(dd,J=5及び2Hz,1H),8.59(dd,J=5及び2Hz,1H),8.84(dd,J=8及び2Hz,1H),8.89(s,1H),8.95(d,J=9Hz,1H)。
【0107】
b)1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
1.6cm3の10N水酸化ナトリウム溶液を15cm3のテトラヒドロフランと1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルとの溶液に加えた。溶媒を200時間還流した後、反応混合液を2cm3の10N塩酸で酸性にした。次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した後、1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を褐色の粉末として得た。LC/MS(m/z:240[MH]+)で確認した。これを次の段階で直接使用した。
【0108】
c)1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル
0.038g(0.2mmol)のヨウ化銅(I)、0.891g(4.2mmol)のリン酸カリウム、0.316g(2mmol)の2−ブロモピリジン及び0.24cm3(2mmol)のトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンを、アルゴン雰囲気下で、0.3cm3のドデカンと6cm3のジオキサンの混合溶媒中0.405g(2.3mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルの溶液に加えた。約110℃の温度で48時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、得られた残留物を20cm3のジクロロメタンに溶解した。得られた有機溶液を0.1Nの塩酸20cm3で洗浄し、濾過し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルを得た。これをLC/MS(m/z:254[MH]+)で確認し、次の段階で直接使用した。
【0109】
実施例6
a)N−[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン塩酸塩
【化11】

15cm3のテトラヒドロフランと0.063g(1.06mmol)のグアニジンとの溶液に、ビス[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸]無水物をアルゴン雰囲気下で加えた。溶媒還流下で48時間攪拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を20cm3のジクロロメタン中で摩砕し、濾過した。次いで濾液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を20cm3の酢酸エチル中で摩砕し、濾過した。得られた固体を5cm3のメタノールの還流から再結晶し、0.055gのN−[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b] ピリジン−3−カルボニル]グアニジン塩酸塩を、融点266〜270℃の粉末状で得た。1HNMRスペクトル(300MHz、CD3COODを数滴加えた(CD32SO、δppm):3.31(s,3H),7.50(dd,J=8及び5Hz,1H),8.20(広幅d,J=8.5Hz,2H),8.28(広幅d,J=8.5Hz,2H),8.51(広幅d,J=5Hz,1H),8.63(広幅d,J=8Hz,1H),8.95(s,1H)。
【0110】
b)ビス[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸]無水物
0.52cm3(6mmol)の塩化オキサリルを、15cm3のジクロロメタンと1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸との溶液にアルゴン雰囲気下で加えた。約20℃の温度で300時間撹拌後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。20cm3のジクロロメタン内で残留物を摩砕し、濾過し、そして乾燥した。固体を50cm3の蒸留水で洗浄し、乾燥後、0.13gのビス[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸]無水物を粉末状で得た。これを次の段階で直接使用した。IRスペクトル(KBr):3116,2926,1767,1705,1592,1537,1421,1294,1177,1151,1083,999,962,775,551及び532cm-1
【0111】
c)1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
1.6cm3の10N水酸化ナトリウム溶液を、15cm3のテトラヒドロフランと1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルとの溶液に加えた。48時間溶媒の還流下で攪拌した後、反応混合液を10Nの塩酸2cm3で酸性にし、減圧下(2.7kPA)で濃縮乾固して、1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を得た。これをLC/MS(m/z:317[MH]+)で確認し、次の段階で直接使用した。
【0112】
d)1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル
0.038g(0.2mmol)のヨウ化銅(I)、0.891g(4.2mmol)のリン酸カリウム、0.47g(2mmol)の4−ブロモフェニルメチルスルホン及び、0.24cm3(2mmol)のトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンをアルゴン雰囲気下で、0.3cm3のドデカンと6cm3のジオキサンの混合溶媒中0.405g(2.3mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル溶液に加えた。約110℃の温度で48時間攪拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPA)で濃縮乾固し、残留物を得た。これを20cm3のジクロロメタンに溶解した。得られた有機溶液を20cm3の0.1N塩酸で洗浄し、濾過し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPA)で濃縮乾固して、1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルを得た。これをLC/MS(m/z:331[MH]+)で確認し、次の段階で直接使用した。
【0113】
実施例7
a)N−[1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン
【化12】

1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸、0.46g(2.4mmol)の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、及び0.027g(0.2mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、15cm3のテトラヒドロフランと0.59g(10mmol)のグアニジンとの溶液にアルゴン雰囲気下で加えた。20℃の温度で16時間攪拌後、反応混合液を減圧下(2.7kPA)で濃縮乾固し、そして残留物を20cm3のメタノール中で摩砕し、濾過した。濾液を減圧下(2.7kPA)で濃縮乾固し、残留物をシリカゲルカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出は、90分間で100%ジクロロメタンからジクロロメタン/メタノール/トリエチルアミン(体積比:50/48/2)への傾斜で行った。予定の生成物が含まれている画分を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した後、得られた固体を20cm3のエタノール中で摩砕し、濾過し、0.004gのN−[1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジンを、融点269〜271℃の粉末状として得た。1HNMRスペクトル(300MHz、CD3COODを数滴加えた(CD32SO、δppm):3.00(s,6H),6.84(dd,J=8.5及び2Hz,1H),7.09(dd,J=8.5及び2Hz,1H),7.15(t,J=2Hz,1H),7.39(t,J=8.5Hz,1H),7.42(dd,J=8及び5Hz,1H),8.46(dd,J=5及び2Hz,1H),8.55(dd,J=8及び2Hz,1H),8.84(s,1H)。
【0114】
b)1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
1.6cm3の10N水酸化ナトリウム溶液を、15cm3のテトラヒドロフランと1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルとの溶液に加えた。48時間溶媒の還流下で攪拌した後、反応混合液を2cm3の10N塩酸で酸性にし、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を得た。これをLC/MS(m/z:282[MH]+)で確認し、次の段階で直接使用した。
【0115】
c)1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル
0.038g(0.2mmol)のヨウ化銅(I)、0.891g(4.2mmol)のリン酸カリウム、0.40g(2mmol)の3−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン及び0.24cm3(2mmol)のトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンをアルゴン雰囲気下で、0.3cm3のドデカンと6cm3のジオキサンの混合溶媒中0.405g(2.3mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル溶液に加えた。約110℃の温度で、48時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、残留物を得た。これを20cm3のジクロロメタンに溶解した。得られた有機溶液を20cm3の0.1N塩酸で洗浄し、濾過した。次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固して、1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルを得た。これをLC/MS(m/z:296[MH]+)で確認し、次の段階で直接使用した。
【0116】
実施例8
a)N−[1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン塩酸塩
【化13】

0.43g(19mmol)のナトリウムを、アルゴン雰囲気下約20℃の温度で少量ずつ、30cm3のメタノールに加えた。次いで、ナトリウムが完全に消費された後、1.9g(20mmol)のグアニジン塩酸塩を加えた。反応混合液を約20℃の温度で2時間撹拌し、減圧下(27kPa)で濃縮乾固した。次いで残留物を10cm3のジクロロメタン(アミレンで安定化させた)で連続して2回溶解し、上清液を分離した。続いて、残留物を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。得られた残留物を40cm3のジクロロメタン(アミレンで安定化させた)とテトラヒドロフランとの1:1混合液にアルゴン雰囲気下約20℃の温度で溶解した。次いで、20cm3のジクロロメタン(アミレンで安定化させた)とテトラヒドロフランとの1:1混合液中に懸濁した、1.1g(3.4mmol)の3−クロロカルボニル−1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩を撹拌しつつ加えた。約20℃の温度で、65時間撹拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を30cm3のエタノールに溶解し、混合物を5分間還流下で加熱した。そして減圧下(2.7kPa)で再濃縮乾固した。残留物を50cm3の水に溶解し、引続いて50cm3の、次いで25cm3の酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を併せて、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラム(0.06〜0.20mm)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出はジクロロメタン/メタノールの混合液(体積比:95/5)で行った。予定の生成物が含まれている画分を併せて、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を10cm3のジイソプロピルエーテル中で摩砕し、濾過し、5cm3のジイソプロピルエーテルで2度洗浄した。次いで、減圧下(2.7kPa)約50℃の温度で乾燥して、0.17gのN−[1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン塩酸塩を、融点178℃の黄色結晶固体として得た。(分析結果:C19166・HCl:%計算値 C:59.92、H:4.50、N:22.07:%実測値 C:60.40、H:4.50、N:21.47)。
【0117】
b)3−クロロカルボニル−1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩
15.5cm3の塩化チオニルをアルゴン雰囲気下約25℃の温度で、1.1g(3.6mmol)の1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸に加えた。2時間還流下で攪拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を10cm3のジクロロメタンで連続して2度摩砕した。上清液を除去し、そして残留物を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。1.1gの3−クロロカルボニル−1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン塩酸塩を、オレンジ色の結晶固体として得た。これを次の段階で直接使用した。
【0118】
c)1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
0.62g(15mmol)の水酸化リチウム一水和物と18cm3の水を約20℃の温度で、18cm3のテトラヒドロフランと1.6g(5.0mmol)の3−クロロカルボニル−1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルとの溶液に加えた。4時間溶媒の還流下で攪拌した後、反応混合液を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、残留物を80cm3の水に溶解した。混合液を30cm3の酢酸エチルで抽出し、1Nの塩酸溶液を14cm3添加してpHを3に調節した。得られた沈澱物を濾過し、10cm3の水で2回洗浄した。約20℃の温度で4日間減圧下のデシケータ内で、次いで約50℃の温度で減圧下(2.7kPa)で12時間乾燥した。1.1gの1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を、260℃以上の融点を有する黄色結晶として得た。これを次の段階で直接使用した。
【0119】
d)1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル
5.5g(31mmol)の4−クロロ−2−メチルキノリンと8.9g(65mmol)の炭酸カリウムを、93cm3のジメチルスルホキシドと4.6g(26mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルとの溶液にアルゴン雰囲気下で加えた。反応混合液を120℃の温度で16時間加熱した。次いで、約20℃の温度に冷却し、250cm3の水で処理した。水溶液相を250cm3の、次いで125cm3の酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、次いで減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラム(0.04〜0.06mm)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製した。溶出はジクロロメタンで行った。予定の生成物が含まれている画分を併せ、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固して、1.4gの1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルを、融点179℃のオレンジ色結晶固体として得た。
【0120】
実施例9
a)N−[1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン
【化14】

40cm3のメタノール中に、アルゴン雰囲気下約20℃で0.36g(16mmol)のナトリウムを少量ずつ加えた。ナトリウムが全て消費された後、1.5g(16mmol)のグアニジン塩酸塩を加えた。反応混合液を約20℃で1.5時間攪拌し、濾過した。沈澱物を5cm3のメタノールで洗浄し、そして集めた濾過物を減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を30cm3のジクロロメタンで希釈し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物をアルゴン雰囲気下、約20℃で70cm3のテトラヒドロフランで希釈し、次いで、70cm3のジクロロメタン中1.3g(3.2mmol)の3−クロロカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの懸濁液を加えた。反応混合液を約20℃で6時間攪拌し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を100cm3の水で希釈し、灰色を帯びた白色の沈澱物を濾過し、10cm3の水で2回洗浄した。固体を約50℃で減圧乾燥した。次いで30cm3のメタノールで再結晶した。沈澱物を5cm3のメタノールで2回、次いで10cm3のジイソプロピルエーテルで1回それぞれ洗浄した。約50℃で減圧乾燥して、0.45gのN−[1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジンを、灰色結晶として得た。融点>260℃、IRスペクトル(KBr):3425;3157;1590;1558;1518;1449;1418;1308;1216;1009;805;770;723;702及び605cm-1。質量スペクトル(El) m/e:334 M+,m/e:276(M−CH43+(基準ピーク),m/e:145(m/e=276−C753+,m/e:132(C763+
【0121】
b)3−クロロカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
20cm3のクロロホルムと0.93g(3.2mmol)の1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸との溶液に、アルゴン雰囲気下約20℃で、10cm3(0.14mol)の塩化チオニルを滴下した。反応混合液を加熱し、そして1時間還流温度で攪拌した。次いで20℃に冷却し減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を20cm3のクロロホルムに溶解して、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固し、1.25gの3−クロロカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ [2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを黄色粉末として得た。これを次の段階で直接使用した。
【0122】
c)1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸
1.2g(3.7mmol)の1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルに、13.5cm3のテトラヒドロフラン、0.47g(11.2mmol)の水酸化リチウム一水和物、及び13.5cm3の蒸留水を連続して加えた。反応混合液を4時間還流下の温度で加熱し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を72cm3の蒸留水に溶解し、混合液を35cm3の酢酸エチルで抽出した。水相を約5℃に冷却し、10cm3の1N塩酸を滴下した(pH約3)。生成した沈澱物を濾過し、20cm3の蒸留水で2回洗浄し、約50℃で減圧乾燥して、0.93gの1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸を灰色を帯びた白色結晶として得た。
融点>260℃:IRスペクトル(KBr):3461;3152;2951; 2571;1678;1590;1544;1452;1263;1204; 916;808;774;746;681及び607cm-1
【0123】
d)1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチル
50cm3のジメチルスルホキシドと1.9g(9.2mmol)の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルとの溶液に、アルゴン雰囲気下で、1.85g(11.0mmol)の4−クロロ−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン、続いて3.2g(23.0mmol)の炭酸カリウムを加えた。反応混合液を120℃で24時間加熱し、その後、約20℃に冷却し、200cm3の蒸留水で処理した。次いで混合液を300cm3の、次いで150cm3の酢酸エチルで処理し、セライト(登録商標)で濾過した。水相を150cm3の酢酸エチルで抽出し、有機抽出物を併せて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下(2.7kPa)で濃縮乾固した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(体積比:99/1)を溶出溶媒として用い、シリカゲルカラム(0,04〜0,06mm)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製した。このようにして、1.25gの1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボン酸メチルを、融点207℃の淡黄色結晶粉末として得た。4−クロロ−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンは、WO第2004007479号に記載された通りに合成した。
【0124】
実施例10
N−[1−(2−ヒドロキシ−キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン
【化15】

4.8mgのN−(1−キノリン−4−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル−グアニジンを381mgのMgCl2、1.3mMのNADPH(ジヒドロニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート,Calbiochem product number:481973;Shen,A.L.,et al.1989.J.Biol.Chem.264,7584;Yamano,S.,et al.1989.Mol.Pharmacol.36,83.)、300mgのヒトS9画分、及び2.5mMのUDPGA(ウリジン5′−ジホスホグルクロン酸三ナトリウム,Sigmaカタログ番号U6751)を含む150mlの水溶液で溶解した。混合物を37℃で120分培養した。次いで、40mlのアセトニトリルを加えて、蛋白質を遠心分離機にかけ、デカンテーションした。この溶液を100mlに濃縮し、以下に記載するシステムを用いてクロマトグラフィーで分析した。溶媒を減圧下で除去し、0.9mgのN−[1−(2−ヒドロキシ−キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジンを非晶質固体として得た。
分取クロマトグラフィーは、以下の通りに行った。
カラム:Merck Purospher RP18 HC,5μm,125−25
移動相
溶媒A:純水+0.5%アセトニトリル+0.1%ギ酸
溶媒B:アセトニトリル+5%純水
流速:30mL/min
アイソクラチック条件
溶媒A:溶媒B=82:18。
【0125】
NHE阻害法
本発明の化合物のNHE阻害活性(IC50値)は、FLIPR試験により測定した。本試験は、底が透明で黒い壁面をもつ96ウェルのマイクロプレートを装着したFLIPR(蛍光イメージングプレート読み取り装置)で行った。種々のNHEサブタイプを発現する遺伝子移入細胞株(親株のLAP−1は、突然変異の後選別してあるため内因性のNHE活性を持たない)は、前日に細胞密度が約25000細胞/ウェルで播種する。
【0126】
移入細胞の増殖用培地(Iscove培地+10%牛胎児血清)には、移入遺伝子配列の存在を確認するための選択用抗生物質としてG418が含まれる。
【0127】
実際の試験は、先ず増殖培地を除き、ウェル当り100μLのローディングバッファー(5μMのBCECF−AM[2’,7’−ビス(2−カルボキシエチル)−5−(6)−カルボキシフルオレセインアセトキシメチルエステル]を含む20mMの塩化アンモニウム、115mMの塩化コリン、1mMの塩化カルシウム、5mMの塩化カリウム、20mMのHEPES及び5mMのグルコース;pH7.4(水酸化カリウムで調整))を加える。次に、細胞を37℃で20分間インキュベーとする。このインキュベーションで蛍光色素が細胞内に取り込まれ、細胞の蛍光強度はpHiに依存し、塩化アンモニウムで細胞が僅かに塩基性になる。
【0128】
非蛍光染料であるBCECF−AMの前駆物質は、エステルとして膜を通過することができる。膜を通過できない実際の染料は、エステラーゼによって細胞内に放出される。
【0129】
この20分間のインキュベーションの後、塩化アンモニウムと遊離のBCECF−AMを含むローディングバッファーは細胞洗浄装置(Tecan Columbus)で3回洗浄して除かれ、各回の洗浄は400μLの洗浄用バッファー(133.8mMの塩化コリン、4.7mMの塩化カリウム、1.25mMの塩化マグネシウム、1.25mMの塩化カルシウム、0.97mMのリン酸水素二カリウム、0.23mMのリン酸二水素カリウム、5mMのHEPES及び5mMのグルコース;pH7.4(水酸化カリウムで調整))で行われる。ウェル内の残存液量は90μL(恐らく50μLと125μLの間)である。この洗浄工程で遊離のBCECF−AMが除かれ、細胞外のアンモニウムイオンが除かれることにより、細胞内が酸性(pHiが6.3〜6.4)になる。
【0130】
細胞外アンモニウムの除去及び引き続いて起こる急速なアンモニア水の細胞膜通過により、細胞内アンモニア水のアンモニウムとプロトンの平衡が壊われ、洗浄工程が細胞内酸性化の原因であるプロトンの細胞内滞留を引き起こす。この酸性化が長引けば最終的に細胞死を引き起こす。洗浄バッファーにナトリウムが無いこと(<1mM)が重要であり、さもないとクローン化したNHEイソ型の活性のために細胞外のナトリウムイオンが急速にpHiを上昇させる。又、使用する全てのバッファー(ローディングバッファー、洗浄バッファー及び再生バッファー)は重炭酸イオンを含まないことが重要であり、さもないと、LAP−1親細胞株が有している系で、重炭酸塩がpHi制御を混乱させる重炭酸依存の系を活性化する。
【0131】
酸性化した細胞を含むマイクロプレートを(酸性化後20分以内に)FLIPRに移す。FLIPR内で、細胞内蛍光染料はアルゴンレーザーで発生する波長488nmの光で活性化され、測定のパラメーター(レーザー出力、照射時間及びFLIPR内に組み込まれたCDDカメラのダイヤフラム)は、ウェル当たり蛍光シグナルの平均値が30,000と35,000相対蛍光単位の間であるように選択される。
【0132】
FLIPR内の実際の測定は、ソフトウェア・コントロールのもとに2秒毎のCCDカメラによる写真撮影で始まる。10秒後、細胞内pHの上昇は90μLの再生バッファー(133.8mMの塩化ナトリウム、4.7mMの塩化カリウム、1.25mMの塩化マグネシウム、1.25mMの塩化カルシウム、0.97mMのリン酸水素二カリウム、0.23mMのリン酸二水素カリウム、10mMのHEPES及び5mMのグルコース;pH7.4(水酸化カリウムで調整))をFLIPRに装着した96ウェルピペットを使って添加することによって開始される。一部のウェルは再生バッファーのみを添加し、ポジティブ・コントロール(NHE活性100%)とした。ネガティブ・コントロール(NHE活性0%)には洗浄バッファーを添加した。試験物質の2倍濃度の再生バッファーを他の全てのウェルに添加した。FLIPR内の測定は、60回の測定(2分)後に終了した。
【0133】
測定データから試験物質の各濃度に対するNHE活性を計算し、そこから物質のIC50値を求めた。NHE1サブタイプに対して次のような結果が得られた。
実施例番号 IC50(NHE1)/μM
1 0.003
2 0.010
3 0.015
4 6.24
5 0.018
6 3.76
7 0.003
8 0.026
9 0.037
10 0.66
【0134】
本発明は、又、式Iの化合物の使用及び活性成分として式Iの化合物、その互変異性体又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物に関する。本発明は、又、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩を、NHE阻害剤として医薬品及び医薬組成物の製造のために使用することに関する。特許請求の範囲に含まれるものは、ヒト、獣医学又は植物保護のために使用する薬品であり、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の有効量、共存する薬学的に許容される担体及び添加剤、単独使用又は他の活性医薬品成分又は医薬品との併用が包含される。本発明による医薬組成物は、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩から成り、純粋な形態又は他の薬学的に適合する不活性な又は生理学的に活性のある生成物と配合した組成物の形態をとる。本発明による医薬品は、例えば経口的に、非経口的に、静脈内に、直腸的に、経皮的に、局所的に又は吸入によって投与することができる。本医薬品は、一般に、投与単位当たり0.001mgから1gの量の式Iの活性成分及び/又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0135】
目的の医薬製剤に好適な賦形剤は、熟練者にとって彼らの専門知識から馴染みが深い。溶媒、ゲル化剤、坐剤の基材、錠剤の賦形剤、及び他の活性成分担体に加えて、例えば、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、香味料、保存料、可溶化剤又は色素を使うことができる。
【0136】
経口投与用の医薬製剤のために、活性物質をこの目的に好適な担体、安定化剤又は不活性な希釈剤等の添加剤と混合し、従来の方法で好適な剤形、例えば錠剤、コーティング錠剤、硬カプセル剤、水性、アルコール性又は油性の液剤等に変換される。使用できる不活性単体の例には、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、乳糖、グルコース又は澱粉、特にコーンスターチがある。乾式顆粒及び湿式顆粒に製造することは更に可能である。好適な油性の担体又は溶剤は、ひまわり油又は魚肝油等の植物又は動物油である。
【0137】
錠剤、丸剤、粉末剤(ゼラチンカプセル剤又はカシェ剤)又は顆粒は、経口投与用の固体の組成物として使われる。これらの組成物において、本発明の活性成分は1つ又はそれ以上の不活性希釈剤、例えば澱粉、セルロース、ショ糖、乳糖又はシリカ等とアルゴン気流下で混合される。それらの組成物は、又、希釈剤以外の物質、例えば1つ又はそれ以上のステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤、着色料、被覆剤(糖衣錠)又はワニスを含むことができる。水、エタノール、グリセリン、植物油又は流動パラフィン等の不活性な希釈剤を含む薬学的に許容される液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤及びエリキシル剤は経口投与用の液体組成物として使われる。これらの組成物は、希釈剤の他に例えば湿潤剤、甘味料、増粘剤、香料又は安定化剤を含んでもよい。
【0138】
非経口投与用の無菌組成物は、好ましくは水性又は非水性の溶液、懸濁液又は乳液であり得る。使用することのできる溶剤又は媒体には、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油特にオリーブ油、例えばオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステル、又は他の好適な有機溶剤が挙げられる。これらの組成物は、又、補助剤、特に湿潤剤、等張化剤、乳化剤、分散剤及び安定化剤を含んでもよい。無菌化は、例えば無菌ろ過、組成物中への殺菌剤の混和、X線照射又は加熱等幾つかの方法で行うことができる。それらは、又、使用時に無菌水又は他の注射可能な無菌溶剤に溶解できる、無菌の固体組成物の形態で製造してもよい。
【0139】
直腸投与用の組成物は、活性物質の他にカカオ脂、半合成グリセリド又はポリエチレングリコール等の賦形剤を含む坐剤又は直腸カプセル剤である。
【0140】
局所投与用の組成物は、例えばクリーム剤、ローション剤、点眼液、口内洗剤、点鼻薬又はエアゾル剤等でよい。
【0141】
皮下、筋肉内又は静脈内投与のためには、使用される活性化合物は、必要に応じてこの目的に慣例的に使われる物質、例えば可溶化剤、乳化剤又は他の賦形剤を用いて液剤、懸濁剤又は乳剤に変換される。適切な溶剤の例には、水、生理食塩水又はアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセリン、同様にグルコース又はマンニトール溶液等の糖溶液、或いは前述した種々の溶剤の混合液がある。
【0142】
エアゾル剤又はスプレー剤の形態で投与するための好適な医薬製剤は、例えば、式Iの活性成分及び/又は薬学的に許容されるその塩を薬学的に許容される溶剤、例えば特にエタノール又は水、又はそれらの混合液に溶かした液剤、懸濁剤又は乳剤である。製剤には、又、必要に応じて界面活性剤、乳化剤及び安定化剤、並びに噴射剤ガスが含まれる。このような製剤は、例えば、約0.1〜10重量%、特に約0.3〜3重量%の濃度の活性成分を含む。
【0143】
投与する式Iの活性成分の用量及び投与頻度は、期待する効果、使用する化合物の能力と持続性;更に又、治療する疾患の性質と重症度及び性別、年齢、体重及び哺乳類個体の感応性に依存する。一般に、適切な投与量は、年齢、体重及び治療する個体に特有な全ての因子に応じて医師が決める。
【0144】
平均的に、体重が約75kgの患者の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の1日投与量は、少なくとも0.001mg/kg体重、好ましくは1mg/kg体重
であり、最大で1000mg/kg体重、好ましくは100mg/kg体重である。疾患の急性発作に対しては、例えば心筋梗塞にかかった直後はより高く、特により頻繁の投薬、例えば1日4回までの単回投与が必要になる。特に、梗塞を患い集中治療室にいる患者には静脈内投与で1日2000mgまでが必要であり、本発明の化合物は点滴で投与することができる。
【0145】
以下の実施例は本発明の組成物を示す。
【0146】
実施例A
用量50mgの活性物質を含み、以下の組成を有するゲルカプセル剤は通常の技法で製造できる:
式(I)の化合物 50mg
セルロース 18mg
乳糖 55mg
コロイド・シリカ 1mg
カルボキシメチル澱粉・ナトリウム 10mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0147】
実施例B
用量50mgの活性物質を含み、以下の組成を有する錠剤は通常の技法で製造できる:
式(I)の化合物 50mg
乳糖 104mg
セルロース 40mg
ポリビドン 10mg
カルボキシメチル澱粉・ナトリウム 22mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
コロイド・シリカ 2mg
ヒドロキシメチルセルロース、グリセリン、酸化チタンの混合物(72:3.5:24.5)、245mgのフィルムコーティング最終錠剤1個とする適量
【0148】
実施例C
活性物質10mgを含み、以下の組成を有する注射剤が製造できる:
式(I)の化合物 10mg
安息香酸 80mg
ベンジルアルコール 0.06mL
安息香酸ナトリウム 80mg
95%エタノール 0.4mL
水酸化ナトリウム 24mg
プロピレングリコール 1.6mL
水(適量) 4mL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり、X1、X2、X3及びX4のうち少なくとも1個、最大でも2個が窒素原子であり;
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するSO2アルキル、NRaRb、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキ又はそれぞれのアルキルが独立に1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルであり;
R1は、アリール、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、アルキルが1、2、3又は4個の炭素原子を有するアリールアルキル、アルキルが1、2、3又は4個の炭素原子を有するヘテロアリールアルキル又はヘテロアリールであり、ここで、アリール又はヘテロアリールは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
nは、0、1又は2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり、又は、
Ra及びRbは、それらが結合する窒素原子と共に5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は、場合によりO、S又はNから選択される他のヘテロ原子を含むことができる;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ又はNH2である]
の化合物、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、その互変異性体並びに薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
式I中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり、ここで、
X1、X2、X3及びX4のうちの確実に1個は窒素原子であり;
R2は、水素であり;
R1は、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、そのいずれもが、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
nは、0、1又は2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり、又は、
Ra及びRbは、それらが結合する窒素原子と共に、5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は、場合によりO、S又はNから選択される他のヘテロ原子を含むことができ;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ又はNH2である;
請求項1記載の式Iの化合物、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、その互変異性体並びに薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
式I中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり、X1、X2、X3及びX4のうちの確実に1個は窒素原子であり;
R2は水素であり;
R1は、アリール、又はピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、イミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インドール、7−アザインドール及びピロール[2,3−d]ピリミジンのグループから選択されるヘテロアリールであり、ここで、そのいずれもが、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有するシクロアルキル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NO2、NH2、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、NRaRb、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR3、CO2H、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONH2、CONRaRb、アルキルが1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ、シアノ、1、2、3又は4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2又は3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシ及びSO3Hから成るグループから選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
nは、0、1又は2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり、又は、
Ra及びRbは、それらが結合する窒素原子と共に、5員又は6員の複素環を形成し、該複素環は、場合によりO、S又はNから選択される他のヘテロ原子を含むことができ;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルアミノ又はNH2である;
請求項1又は2記載の式Iの化合物、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、その互変異性体並びに薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
式I中、
X1、X2、X3及びX4は、互いに独立に、窒素原子又はCR2基であり、X1、X2、X3及びX4のうちの確実に1個は窒素原子であり;
R2は水素であり;
R1は、フェニル、又はピリジン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、イミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インドール、7−アザインドール及びピロロ[2,3−d]ピリミジンのグループから選択されるヘテロアリールであり、ここで、そのいずれもが、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル、NH2、NRaRb、ヒドロキシル及びS(O)nR3から成るグループから選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
nは2であり;
Ra及びRbは、互いに独立に、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであり;
R3は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルである;
請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iの化合物、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、その互変異性体並びに薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
N−[1−(キノリン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−6−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−7−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−8−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イソキノリン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(シンノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キナゾリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キナゾリン−7−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−メチルキナゾリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1,5−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1,6−ナフチジリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1,7−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1,8−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−アミノ−1,8−ナフチリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノキサリン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリミジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリミジン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピラジン−2−イル)−1H−ピロロ2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ベンゾチアゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ベンゾイミダゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(インドール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(インドール−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(1−(メチルスルホニル)インドール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−アザインドール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−メチルピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(チアゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イミダゾール−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イミダゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(3−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−ヒドロキシキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;及び
N−[1−(2−ヒドロキシ−キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;
から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、その互変異性体並びにその薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
N−[1−(2−ヒドロキシキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(キノリン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(イソキノリン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(ピリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]グアニジン;
N−[1−(7−メメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;及び
N−[1−(2−ヒドロキシ−キノリン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−グアニジン;
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、その互変異性体並びに薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
医薬として使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の有効量を、薬学的に許容される媒体と共に含む、ヒト、獣医学及び/又は植物保護のために使用するための医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の有効量を、薬学的に許容される媒体と共に、1種又はそれ以上の他の薬学的に活性な成分又は薬物と組み合わせて含む、ヒト、獣医学及び植物保護のために使用するための医薬組成物。
【請求項10】
NHE阻害剤として疾病の処置における治療での使用のために、請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を含む、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
NHE−1阻害剤として疾病の処置における治療への応用のために、請求項1〜6の少なくとも1項に記載の少なくとも1種の化合物を含む、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
急性又は慢性の損傷、虚血若しくは再潅流事象で起こる器官又は組織の障害或いは間接的な続発症の治療若しくは予防のため、不整脈、生命にかかわる心室細動、心筋梗塞、狭心症の治療又は予防のため、心臓の虚血状態、末梢及び中枢神経系の虚血状態又は脳卒中、脳浮腫性発作又は末梢の器官及び組織の虚血状態の治療又は予防のため、ショック状態、例えばアレルギー性ショック、心原性ショック、血液量減少性ショック又は細菌性ショック、細胞増殖が1次的又は2次的原因である疾患、癌、転移癌、前立腺肥大及び前立腺過形成症、アテローム性動脈硬化症又は脂質代謝障害、高血圧症特に本態性高血圧症、中枢神経系の疾患で癲癇又は中枢誘導性痙攣等特にCNSの過興奮性から起こる疾患、又は中枢神経系の疾患で特に不安神経症、鬱病又は精神病の治療又は予防のため、非インシュリン依存性の糖尿病(NIDDM)又は糖尿病から来る後発性損傷、血栓症、内皮不全症から起こる疾患及び間欠性跛行の治療又は予防のため、線維性内臓疾患の肝線維症、腎線維症、脈管線維症、肺線維症及び心臓線維症の治療又は予防のため、心不全又は鬱血性心不全、急性又は慢性の炎症性疾患、原虫、マラリア及び家禽のコクシジウム病治療又は予防のための医薬品の製造、及び外科手術及び臓器移植への使用、手術処置用の移植器官の保存及び貯蔵、加齢に関連した組織変化の防止、抗加齢又は生命延長を指向した医薬品の製造、甲状腺中毒症における心臓毒性作用の治療及び低減又は診断補助剤の製造のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項13】
急性又は慢性の損傷、虚血若しくは再潅流事象で起こる器官又は組織の障害或いは間接的な続発症の治療又は予防のため、不整脈、生命にかかわる心室細動、心筋梗塞、狭心症の治療又は予防のため、心臓の虚血状態、末梢及び中枢神経系の虚血状態又は脳卒中、脳浮腫性発作又は末梢の器官及び組織の虚血状態の治療又は予防のため、ショック状態、例えばアレルギー性ショック、心原性ショック、血液量減少性ショック又は細菌性ショック、細胞増殖が1次的又は2次的原因である疾患、癌、転移癌、前立腺肥大及び前立腺過形成症、アテローム性動脈硬化症又は脂質代謝障害、高血圧症特に本態性高血圧症、中枢神経系の疾患で癲癇又は中枢誘導性痙攣等特にCNSの過興奮性から起こる疾患、又は中枢神経系の疾患で特に不安神経症、鬱病又は精神病の治療又は予防のため、非インシュリン依存性の糖尿病(NIDDM)又は糖尿病から来る後発性損傷、血栓症、内皮不全症から起こる疾患及び間欠性跛行の治療又は予防のため、線維性内臓疾患の肝線維症、腎線維症、脈管線維症、肺線維症及び心臓線維症の治療又は予防のため、心不全又は鬱血性心不全、急性又は慢性の炎症性疾患、原虫、マラリア及び家禽のコクシジウム病治療又は予防のための医薬品の製造、及び外科手術及び臓器移植への使用、手術処置用の移植器官の保存及び貯蔵、加齢に関連した組織変化の防止、抗加齢又は生命延長を指向した医薬品の製造、甲状腺中毒症における心臓毒性作用の治療及び低減又は診断補助剤の製造のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の、他の医薬品又は活性成分と組み合わせた使用。
【請求項14】
心臓毒性及び細胞毒性を低減した医薬品を製造するための、請求項13に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の、心臓毒性及び細胞毒性を有する医薬品又は活性成分と組み合わせた使用。
【請求項15】
急性又は慢性の損傷、虚血若しくは再潅流事象で起こる器官及び組織の障害又は間接的な続発症を治療若しくは予防する医薬品を製造するための、請求項12又は13に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独又は他の医薬品又は活性成分と組み合わせた使用。
【請求項16】
生命にかかわる心室細動を治療する医薬品を製造するための、請求項12又は13に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独又は他の医薬品若しくは活性成分と組み合わせた使用。
【請求項17】
転移を治療又は予防する医薬品を製造するための、請求項12又は13に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独又は他の医薬品若しくは活性成分と組み合わせた使用。
【請求項18】
心臓の線維性疾患、心不全又は鬱血性心不全を治療又は予防する医薬品を製造するための、請求項12又は13に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独又は他の医薬品若しくは活性成分と組み合わせた使用。
【請求項19】
NHEに関連する疾患を治療又は予防する医薬品を製造するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の、単独又は他の医薬品若しくは活性成分と組み合わせた使用。
【請求項20】
式II:
【化2】

(式中、
X1、X2、X3、X4及びR1は式Iにおけるのと同じ意味を有し;
Lは脱離基である)
の化合物をグアニジンと反応させることを含む、請求項1〜6に記載の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容されるその塩の製造方法。

【公表番号】特表2006−527220(P2006−527220A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515801(P2006−515801)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005764
【国際公開番号】WO2004/111048
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】