説明

3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子及び光制御装置

【課題】3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子において、電流狭窄領域を精密に制御する。
【解決手段】光制御素子4は、周期的に配置された複数の第1の構造体をそれぞれ含む複数の周期構造層が、離散的に配置された複数の第2の構造体を含む少なくとも1つの離散構造層を間に挟んで積層されて構成された3次元フォトニック結晶41と、該結晶内部に配置された活性部42と、該結晶のうち導電性材料により構成された部分に接する電極46,47とを有する。複数の第2の構造体は、互いに異なる2以上の導電性材料により構成されている。該2以上の導電性材料のうち他の導電性材料よりも高い抵抗を有する少なくとも1つの導電性材料により構成された第2の構造体が、電流が注入された電極から活性部にキャリアを集中させて導くように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元フォトニック結晶構造を用いた、発光素子、光変調素子及び波長変換素子等の電流注入型光制御素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトニック結晶構造を用いた発光素子、光変調素子及び光導波路等、様々な光学素子が提案されている。フォトニック結晶を用いることで、応答速度の高速化や効率の向上が期待できるためである。
【0003】
フォトニック結晶とは、電磁波の波長以下の大きさを有する構造体によって、電磁波の透過及び反射特性等を制御するという概念であり、Yablonovitchによって提唱されている(非特許文献1参照)。非特許文献1によれば、電磁波の波長以下の構造を周期的に配列することによって電磁波の透過及び反射特性を制御することができ、電磁波の波長を光の波長オーダーにまで小さくすることによって、光の透過及び反射特性を制御することができる。ある波長域において、入射角度に依存することなく、かつ光損失が無い100%の反射率を呈する現象は、フォトニックバンドギャップ(以下、PBGという)と称される。非特許文献2,3には、フォトニック結晶の構造例が開示されている。
【0004】
また、PBGを有するフォトニック結晶中に周期を乱す点欠陥や線欠陥を設けることで、欠陥部に電場強度を集中させることができる。点欠陥は共振器として、線欠陥は導波路として機能する。
【0005】
PBGを呈する波長域(PBG帯域)は、フォトニック結晶の次元、フォトニック結晶を構成する材料の屈折率、該材料の空間充填率、格子周期間隔及び格子形状等によって変化する。つまり、これらのパラメータを制御することで、光の透過及び反射特性を制御することができる。
【0006】
PBGを有する構造の内部に活性部を含む点欠陥を設け、外部励起手段によって活性部を励起することで、該活性部は光共振器として動作する。PBGによる光閉じ込め効果が十分に大きければ、該活性部でレーザ発振が起こる。外部励起手段としては、光励起や電流注入励起等、様々な励起手段を用いることができる。
【0007】
光閉じ込め効果は、3次元フォトニック結晶を用いたときに最も大きくなる。全方向にPBGを有する構造を実現できるためである。3次元フォトニック結晶を用いた電流注入型光制御素子として、特許文献1にて開示されたものがある。
【0008】
このような3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子において、電流狭窄領域を精密に制御することが望まれている。
【0009】
例えば、3次元フォトニック結晶の内部に設けた活性部にキャリアを注入する場合について説明する。この場合、活性部は3次元的な複雑な構造に囲まれているため、キャリアの伝導経路が複雑になる。また、フォトニック結晶は、使用波長以下の長さを有する屈折率分布を持つ構造により構成されているため、キャリアを伝導する伝導路の断面積が微小であり、直列抵抗が高い。したがって、活性部に効率良くキャリアを注入するためには、電流狭窄領域を精密に制御することが必要とされている。
【0010】
また、3次元フォトニック結晶の内部に欠陥共振器構造を設けて発光素子を構成する場合には、該共振器内の活性部に対してキャリアを所望の空間分布で注入することが重要である。共振器が有する電場強度分布と活性部におけるキャリア空間分布とが一致しないと、活性部が効率良く励起されず、発光効率が低下するためである。
【0011】
従来の半導体レーザ素子における電流狭窄構造として、非特許文献4に開示された垂直共振器型レーザ(VCSEL)について説明する。
【0012】
半導体レーザ素子において、活性部へのキャリア注入効率を高めるために、電流狭窄構造を設けることは重要である。電流狭窄構造を製作する方法として、電流狭窄領域に対する、選択酸化、選択窒化、アニール及びイオン注入等の様々な方法がある。例えば、GaAs系半導体レーザにおいては、電流狭窄構造を構成する材料として、AlAs酸化膜が用いられる。
【特許文献1】特開2001−257425号公報
【非特許文献1】Physical Review Letters,Vol.58,pp.2059,1987年
【非特許文献2】Physical Review B,Vol.64,075313,2001年
【非特許文献3】Applied Physics Letters,Vol.82,pp.3835,2003年
【非特許文献4】伊賀健一他、『面発光レーザの基礎と応用』,共立出版株式会社,pp.109,1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、このAlAs酸化膜を、そのままGaAs系材料を用いた3次元フォトニック結晶構造に適用すると問題がある。AlAs酸化膜の屈折率は約1.5であり、GaAsの屈折率である約3.3とは大きく異なる。このため、電流狭窄領域を設けた3次元フォトニック結晶構造においては、フォトニック結晶を構成する材料の屈折率が低下し、その結果、PBG性能が悪化する。したがって、光閉じ込め効果の低下やPBG帯域の縮小又は消滅により、発光効率の低下や発振波長の制限を引き起こす原因となる。
【0014】
また、従来技術を3次元フォトニック結晶構造に適用して、電流狭窄構造を製作した例を図16A及び図16Bに示す。161,165は3次元フォトニック結晶、163,167は活性部である。選択酸化、選択窒化及びアニール等で高抵抗化領域としての電流狭窄領域164,168を製作する場合には、素子構造の周囲から製作する必要があるため、電流狭窄領域164,168を3次元的に精密に制御することが困難である。一方、イオン注入等で電流狭窄領域164,168を製作する場合には、電流狭窄領域164,168と導電性領域との境界が不明瞭となり、電流狭窄領域164,168の精密な制御が不十分である。
【0015】
また、バットジョイント法等、面内方向への異種材料接合を利用して電流狭窄構造を製作する方法も知られている。しかしながら、この方法を3次元フォトニック結晶構造に適用する場合に、異種材料接合の境界部分での構造制御が困難であるという問題がある。接合界面での構造乱れ(クラック、非密着、段差等)は、フォトニック結晶構造における構造揺らぎの要因となる。構造揺らぎは、フォトニック結晶構造が有するPBG性能の低下や不要な共振モードの発生等の原因となり、発光効率の低下や動作波長帯域の狭帯域化、不要ノイズの増加等の悪影響が生じる。
【0016】
以上のことから、従来の半導体レーザ素子で採用されている電流狭窄構造を、そのまま3次元フォトニック結晶構造に適用することは困難である。
【0017】
また、特許文献1にて開示された半導体レーザ素子は、活性部に対して面内方向の両側から正孔と電子とを注入する構造で、かつn型キャリア伝導路及び導波路とp型キャリア伝導路及び導波路とを共有した半導体レーザ構造を有する。n型領域及びp型領域は、イオン注入によって製作される。
【0018】
特許文献1にて開示された半導体レーザ素子では、ロッド部分を伝導路として用いているが、特許文献1には電流狭窄構造については述べられておらず、3次元フォトニック結晶構造全体を伝導路として利用している。したがって、直列抵抗が上昇し、キャリア注入効率が下がる。これは、高い電圧を印加しないと半導体レーザ素子として動作しないことを意味しており、発光効率の低下が懸念される。また、発熱の観点からも望ましくない。
【0019】
このように、特許文献1には、キャリア注入を効率良く行うための電流狭窄構造や電流狭窄領域の精密な制御に関する具体的手段は示されていない。
【0020】
本発明は、電流狭窄領域を精密に制御することができるようにした、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一側面としての電流注入型光制御素子は、周期的に配置された複数の第1の構造体をそれぞれ含む複数の周期構造層が、該周期構造層に平行な面内に離散的に配置された複数の第2の構造体を含む少なくとも1つの離散構造層を間に挟んで積層されて構成された3次元フォトニック結晶と、該3次元フォトニック結晶の内部に配置された活性部と、該3次元フォトニック結晶のうち導電性材料により構成された部分に接する電極とを有する。複数の第2の構造体は、互いに異なる2以上の導電性材料により構成されている。そして、該2以上の導電性材料のうち他の導電性材料よりも高い抵抗を有する少なくとも1つの導電性材料により構成された第2の構造体が、電流が注入された電極から活性部にキャリアを集中させて導くように配置されていることを特徴とする。
【0022】
なお、上記電流注入型光制御素子と、該光制御素子の電極に電流を注入する電流注入手段とを含む光制御装置も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子において、電流狭窄領域を精密に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0025】
図1には、本発明の実施例1である、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子としての発光素子の構造を示している。
【0026】
発光素子1は、3次元フォトニック結晶10と、該3次元フォトニック結晶10の内部に設けられた点欠陥構造11と、電流狭窄構造12と、n型電極13と、p型電極14とを有する。
【0027】
点欠陥構造11は、利得媒質を含む材料により構成され、活性部として機能する。また、点欠陥構造11は、n型領域15とp型領域16とにより挟まれている。
【0028】
n型領域15とp型領域16のそれぞれ(導電性材料により構成された部分)に接するn型電極13とp型電極14には、電流注入手段としての電流制御回路50が接続されている。電流注入型光制御素子(発光素子1)と電流制御回路50とにより光制御装置が構成される。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0029】
3次元フォトニック結晶は、例えば図2A〜図2Cに示す構造21、構造22又は構造23を有する。構造21〜23は、概念的には以下の構造を有する。括弧内の符号は、図2Aに示されたものである。
【0030】
該構造21〜23は、周期的に配置された複数の第1の構造体(201,203,205,207)をそれぞれ含む複数の周期構造層を有する。第1の構造体は、柱状構造体である。各周期構造層は、屈折率が周期的に変化する層である。また、構造21〜23は、周期構造層に平行な面内に離散的に配置された複数の第2の構造体(202,204,206,208)を含む複数の離散構造層を有する。第2の構造体は、平板状構造体である。そして、複数の周期構造層は、その間に少なくとも1つの離散構造層を挟んで積層されて構成されている。
【0031】
より具体的に説明すると、構造21〜23は、それぞれ第1の方向(y方向)に延びる複数の第1の構造体(201,205)が互いに間隔をあけて、第1の方向に直交する第2の方向(x方向)に周期的に配置された第1周期構造層及び第3周期構造層を有する。また、それぞれ第2の方向に延びる複数の第1の構造体(203,207)が互いに間隔をあけて第1の方向に周期的に配置された第2周期構造層及び第4周期構造層を有する。そして、第1から第4周期構造層は、複数の第2の構造体(202,204,206,208)を含む少なくとも1つの離散構造層を間に挟んで、第1から第4周期構造層の順に積層されて構成されている。
【0032】
第1周期構造層に含まれる第1の構造体(201)と第3周期構造層に含まれる第1の構造体(205)とが第2の方向において半周期ずれて配置されている。また、第2周期構造層に含まれる第1の構造体(203)と第4周期構造層に含まれる第1の構造体(207)とが第1の方向において半周期ずれて配置されている。第2の構造体は、第1の方向に延びる第1の構造体と第2の方向に延びる第1の構造体とが立体的に交差する位置(言い換えれば、該第1の構造体の交点に相当する位置)に配置されている。
【0033】
なお、図2A〜図2Cにおいては、x,y,z方向のそれぞれにおいて任意の周期数を有するが、図では省略している。このことは、後述する他の実施例においても同じである。
【0034】
点欠陥構造11としては、例えば図3Aに示す構造31を用いることができる。構造31は、構造21における柱状構造体の一部の形状を変形し、周期構造の一部を乱すように形成されている。図3Bは、図3AにおけるA−B線での断面を示している。x,y,z方向での長さ、位置、個数及び屈折率を適切に設定した構造31(点欠陥構造11)を設けることで、該構造を含む領域に電場を集中させ、特定の共振モードを励起することができる。
【0035】
構造31は、利得媒質を含む材料から構成された活性部として構成されている。活性部は、化合物半導体材料やそれらを用いたバルク構造、量子井戸構造、量子ドット構造等ど、様々な構造を持つことができる。
【0036】
バルク構造と比較して、量子井戸構造や量子ドット構造は、電子から光への変換効率において優れており、特に、量子ドット構造は、電子から光への変換効率が高く、温度特性が優れているため、好ましい。
【0037】
図4には、構造(フォトニック結晶)21の内部に、図1に示した点欠陥構造11に相当する点欠陥共振器を設けた発光素子4の構造例(xz断面)を示す。発光素子4は、フォトニック結晶41と、点欠陥共振器42と、電流狭窄構造43と、n型領域44と、p型領域45と、n型電極46と、p型電極47と、基板48とを有する。n型電極46は、n型領域44に接する。また、p型電極47は、p型領域45に接する。
【0038】
点欠陥共振器42は、利得媒質を含む活性部として構成されている。この構造例では、複数の離散構造層に含まれる複数の第2の構造体を、互いに異なる2以上の導電性材料により構成している。そして、該複数の第2の構造体のうち、電流狭窄構造43として機能する第2の構造体を、上記2以上の導電性材料のうち他の導電性材料よりも高い抵抗を有する少なくとも1つの導電性材料(以下、高抵抗材料という)により構成している。
【0039】
図5には、図4に示した発光素子4の内部(xz断面)におけるn型キャリア及びp型キャリアの伝導の仕方の例を示す。n型キャリアは電子に、p型キャリアは正孔に相当する。n型電極46及びp型電極47に電流を注入すると、n型電極46からはn型キャリア51が、p型電極47からはp型キャリア52が点欠陥共振器42に向かって流れる。n型キャリアとp型キャリアは、点欠陥共振器(活性部)42において結合して光を発する。
【0040】
p型キャリアの伝導経路に注目すると、p型キャリアは、電流狭窄構造43による障壁を越えることができないため、p型キャリアの流れはそこで遮断される。そして、p型キャリアは、電流狭窄構造のない点欠陥共振器42の近傍に配置された第2の構造体を経由して該点欠陥共振器42に集中する。すなわち、高抵抗材料により構成された第2の構造体(電流狭窄構造43)は、電流が注入された電極から活性部にキャリアを集中させて導くキャリア伝導路を形成するように配置されている。したがって、効率良く活性部に対するキャリア注入を行うことができる。n型キャリアの伝導経路についても同様である。高抵抗材料により構成された電流狭窄構造は、n型キャリアの伝送経路およびp型キャリア伝送経路のどちらに配置してもよいが、より望ましくは、p型キャリア伝送経路に配置すると効果的である。n型キャリアの伝送経路及びp型キャリア伝送経路の両方に配置してもよい。
【0041】
高抵抗材料としては、SiO2やTa等の誘電体材料、SiNやAlN等の窒化膜が代表例として挙げられるが、その他様々な高抵抗材料を用いることができる。ここにいう好ましい高抵抗材料の抵抗率は、1.0x10Ω・mオーダー以上であるが、この値よりも小さな抵抗率を有する材料を用いてもよい。ただし、極端に抵抗率が小さい材料を高抵抗材料として用いると、十分な障壁が得られず、適切な電流狭窄構造が得られなくなる。
【0042】
一方、フォトニック結晶(第1の構造体)を構成する材料としては、GaAs,InP,GaN等の化合物半導体材料、TiO2,ZnO等の金属酸化物導電性材料、有機半導体材料等の導電性材料が代表例として挙げられる。ただし、その他様々な材料を用いることもできる。
【0043】
活性部には、化合物半導体材料やそれらを含む材料から構成された量子井戸構造、量子ドット構造等、様々な構造を持たせることができる。
【0044】
電流狭窄構造の製作方法としては、例えば薄膜積層手法を基本にしたレイヤーバイレイヤー構造(LBL構造)の製作手法を適用できる。図6を用いて、電流狭窄構造の製作プロセスの例を説明する。
【0045】
図6中のa)では、犠牲層61を空隙に充填し、平坦化処理を施す。b)では、平坦化した面上に高抵抗材料62を積層する。c)では、離散構造を製作するためのマスク63を製作する。ただし、電流狭窄構造として電流を遮断する領域に含まれる離散構造のみを製作する。
【0046】
d)では、電流を遮断するための離散構造(第2の構造体)の形状を転写して、電流狭窄構造64を製作する。e)では、犠牲層65を充填し、平坦化処理により離散構造の上面と同一平面で平坦化する。f)では、p型半導体材料から構成されているp型離散構造を製作するためのマスク66を製作する。g)では、p型離散構造の形状を転写する。そして、h)では、p型半導体材料を充填して、p型離散構造67を製作する。
【0047】
犠牲層は、AuやCu等の金属やシルセスキオキサン等を用いることができる。ただし、パターン製作に使用するマスク材料を除去する際に用いるプロセスで犠牲層が除去されないような材料を選択する必要がある。犠牲層の充填方法としては、スパッタ、蒸着、スピンコート等の充填方法を用いることができる。平坦化処理方法としては、化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing:CMP)等を用いることができる。高抵抗材料からなる層を製作する方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾル・ゲル法等、様々な方法を用いることができる。
【0048】
マスク材料63としては、レジスト材料、金属材料、多層マスク等、様々な材料を用いることができる。p型半導体材料の充填方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等の成膜方法や、エピタキシャル結晶成長法等の結晶成長方法や、ナノ粒子充填方法といった様々な方法を用いることができる。
【0049】
電流狭窄構造は、図7に示す例のように、複数層にわたって設けてもよい。図7に示す発光素子7は、3次元フォトニック結晶71と、点欠陥共振器72と、電流狭窄構造73と、n型領域74と、p型領域75と、n型電極76と、p型電極77と、基板78とを有する。この例では、高抵抗材料からなる離散構造(第2の構造体)を複数層にわたって配置することで、キャリア伝導路をより精密に制御することができる。電流狭窄構造を構成する離散構造の層数については、キャリア伝導路の制御性と製作プロセスとの兼ね合いにより自由に選択することができる。
【0050】
3次元フォトニック結晶は、本実施例で示した構造以外の様々な構造を有するものを用いることができる。例えば、非特許文献3や非特許文献4に記載されている構造を用いてもよい。本発明におけるフォトニック結晶は、少なくとも先に図2A〜図2Cを参照して概念的に説明した構造を有すればよい。言い換えれば、1次元的又は2次元的な屈折率周期構造を有する複数の周期構造層が積層され、該周期構造層の間に少なくとも1つの面内において離散的に配置された離散構造を含む離散構造層が挟まれた構造を有するフォトニック結晶であればよい。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0051】
以上のように、本実施例によれば、3次元フォトニック結晶内における高抵抗材料により構成される第2の構造体(離散構造)を、活性部にキャリアを集中させて導くように配置することで、電流狭窄領域を精密に制御することができる。これにより、活性部へのキャリア注入効率が優れた高性能な発光素子を実現することができる。
【実施例2】
【0052】
図8には、本発明の実施例2である、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子としての発光素子の構造を示している。本実施例の発光素子は、線欠陥共振器を含む点で、点欠陥共振器を含む実施例1の発光素子と異なる。
【0053】
発光素子8は、3次元フォトニック結晶80と、該フォトニック結晶80の内部に設けた線欠陥構造81と、電流狭窄構造82と、n型電極83と、p型電極84とを有する。
【0054】
線欠陥構造81は、利得媒質を含む材料により構成され、活性部として機能する。また、線欠陥構造81は、n型領域85とp型領域86とにより挟まれている。n型電極83とp型電極84には、実施例1と同様に、不図示の電流注入手段としての電流制御回路が接続されている。
【0055】
3次元フォトニック結晶は、図2A〜図2Cに示した構造21、構造22又は構造23を有する。ただし、実施例1で説明したように、構造21〜23以外の様々な構造を有していてもよい。
【0056】
構造22に相当する構造を有する3次元フォトニック結晶の内部に、図8に示した線欠陥構造81に相当する線欠陥共振器を設けた場合の構造例を図9A〜図9Cに示す。図9Aは3次元フォトニック結晶のxz断面を示している。線欠陥構造90,900は、図の紙面に垂直な方向に延びている。図9B及び図9Cにはそれぞれ、図9Aの3次元フォトニック結晶をC−D線及びE−F線で切断したときの断面(xy断面)を示す。
【0057】
3次元フォトニック結晶において、線欠陥構造のx,y,z方向における長さや位置、個数、材料等を適切に設定することで、線欠陥構造の領域に電場を集中させ、特定の共振モードを励起することができる。図9A〜図9Cに示した線欠陥構造90,900のうち少なくとも一方を、利得媒質を含む材料により構成して活性部として機能させる。より好ましくは、電場強度がより強く集中する領域に活性部を配置するとよい。このとき、線欠陥構造90,900は、線欠陥共振器として動作する。
【0058】
活性部には、化合物半導体材料やそれらを用いた量子井戸構造、量子ドット構造等、様々な構造を持たせることができる。
【0059】
図10には、構造(フォトニック結晶)22の内部に、図8に示した線欠陥構造81に相当する線欠陥共振器を設けた発光素子100の構造例(xz断面)を示す。発光素子100は、フォトニック結晶101と、線欠陥共振器1021,1022と、電流狭窄構造103と、n型領域104と、p型領域105と、n型電極109と、p型電極107と、基板108とを有する。n型電極109は、n型領域104の少なくとも一部に接する。また、p型電極107は、p型領域105の少なくとも一部に接する。線欠陥共振器1022は、利得媒質を含む活性部として構成されている。
【0060】
本実施例でも、複数の離散構造層に含まれる複数の第2の構造体を、互いに異なる2以上の導電性材料により構成している。そして、該複数の第2の構造体のうち、電流狭窄構造103として機能する第2の構造体を、上記2以上の導電性材料のうち他の導電性材料よりも高い抵抗を有する少なくとも1つの導電性材料(高抵抗材料)により構成している。
【0061】
n型電極106及びp型電極107に電流を注入すると、n型電極106からはn型キャリアが、p型電極107からはp型キャリアが線欠陥共振器1022に向かって流れる。n型キャリアとp型キャリアは、線欠陥共振器(活性部)1022において結合して光を発する。
【0062】
p型キャリアの伝導経路に注目すると、p型キャリアは、電流狭窄構造103による障壁を越えることができないため、p型キャリアの流れはそこで遮断される。そして、p型キャリアは、電流狭窄構造のない線欠陥共振器1022の近傍に配置された第2の構造体を経由して該線欠陥共振器1022に集中する。すなわち、高抵抗材料により構成された第2の構造体(電流狭窄構造103)は、電流が注入された電極から活性部にキャリアを集中させて導くキャリア伝導路を形成するように配置されている。したがって、効率良く活性部に対するキャリア注入を行うことができる。n型キャリアの伝導経路についても同様である。
【0063】
本実施例でも、高抵抗材料により構成される第2の構造体を複数層にわたって配置し、キャリア伝導路をより精密に制御してもよい。
【0064】
線欠陥共振器(活性部)1022で結合したキャリアから発生した光のうち、該線欠陥共振器1022が持つ共振波長に一致する波長を有する光は、共振して増幅され、レーザ発振する。レーザ光は、発光素子100から外部へと射出する。
【0065】
本実施例の発光素子100を製作するための製作方法及び材料については、実施例1にて説明したものと同様の製作方法及び材料を用いることができる。
【0066】
本実施例によれば、3次元フォトニック結晶内における高抵抗材料により構成される第2の構造体(離散構造)を、活性部にキャリアを集中させて導くように配置することで、電流狭窄領域を精密に制御することができる。これにより、活性部へのキャリア注入効率が優れた高性能な発光素子を実現することができる。
【実施例3】
【0067】
本発明の実施例3である、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子としてのマッハ・ツェンダー型導波路光変調素子について説明する。
【0068】
マッハ・ツェンダー型導波路光変調素子は、マッハ・ツェンダー型干渉計の原理を応用したものであり、1つの光路を2つの光路に分割し、一方の光路に対してのみ位相差を与えた後に1つの光路に合成することで光強度を変調することができる。2つの光路の光路長差が0か光学波長の整数倍である場合には、入射光と同じ強度の光が射出するが、光路長差が光学波長の半波長か(半波長+波長)の整数倍である場合には、位相が打ち消しあって射出光強度は0になる。
【0069】
図11に、本実施例のマッハ・ツェンダー型導波路光変調素子110の構造を示す。基板1101上に、3次元フォトニック結晶1102と、線欠陥導波路構造1103と、電流狭窄構造1104とが設けられている。
【0070】
線欠陥導波路構造1103は、入力導波路部1111と、出力導波路部1112と、分岐導波路部1113,1114と、光導波路部1115,1116、活性部である光変調領域1117とを有する。図では省略しているが、光変調領域1117は、n型領域とp型領域とに狭まれている。また、n型領域はn型電極1118に接し、p型領域の一部はp型電極1119に接している。図に示す電極1118,1119の大きさや配置は例であり、これ以外の大きさや配置を選択してもよい。
【0071】
n型電極1118及びp型電極1119には、電流注入手段としての電流制御回路1120が接続されている。
【0072】
電流制御回路1120によりn型電極1118及びp型電極1119に注入する電流を制御して、該n型電極1118及びp型電極1119から3次元フォトニック結晶1102内に注入するキャリアの量を増減させる。これにより、光変調領域1117の近傍での実効的な屈折率を変調することができる。この結果、導波路部1115,1116を伝播する光の光路長差を制御することができ、出力導波路部1112から出力される光強度を制御することができる。
【0073】
3次元フォトニック結晶1102及び線欠陥導波路構造1103には、前述した実施例1,2にて説明した構造のほか、様々な構造を持たせることができる。
【0074】
電流狭窄構造1104を構成する高抵抗材料により形成された離散構造体(第2の構造体)は、1つの離散構造層にのみ配置してもよいし、複数の離散構造層に配置してもよい。
【0075】
基板1101の材料としては、導波モード周波数において吸収を持たない材料を用いることが好ましい。可視光領域での動作を例に挙げれば、石英やガラス等の透明で導電性が小さい材料がより好ましい。このような材料を用いることで、基板1101へのキャリアの流出を防ぎ、より効果的にキャリア注入を行うことができる。
【0076】
線欠陥導波路構造1103には、図11に示した構造以外に、図12に示す構造等、様々な構造を持たせることができる。図12に示す線欠陥導波路構造120は、入力導波路部1201,1202と、出力導波路部1203,1204と、光結合部1205,1206と、光導波路部1207,1208と、光変調領域1209とを有する。
【0077】
光結合部1205,1206は、3dBカプラーとして動作し、光導波路部1207,1208に導波する光信号強度が等しくなるように構成されることが望ましい。また、光変調領域1209は、図12では図示を省略している3次元フォトニック結晶のn型領域とp型領域とに狭まれており、n型領域はn型電極に接し、p型領域はp型電極に接している。
【0078】
不図示の電流注入手段である電流制御回路からn型及びp型電極に注入する電流を制御して、該n型及びp型電極から3次元フォトニック結晶内に注入するキャリアの量を増減させることで、光変調領域1209の近傍での実効的な屈折率を変調することができる。この結果、導波路部1207,1208を伝播する光の光路長差を制御することができ、出力導波路部1203,1204から出力される光強度を制御することができる。
【0079】
本実施例によれば、3次元フォトニック結晶内における高抵抗材料により構成される第2の構造体(離散構造)を、活性部にキャリアを集中させて導くように配置することで、電流狭窄領域を精密に制御することができる。これにより、活性部へのキャリア注入効率が優れた高性能な光変調素子を実現することができる。
【実施例4】
【0080】
本発明の実施例4である、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子としての半導体光増幅器について説明する。
【0081】
光増幅器としては、共振型増幅器(Resonant Amplifier)や、進行波型増幅器(Traveling-Wave Amplifier)が知られている。
【0082】
共振型増幅器は、入力光信号を共振器内で往復させて増幅するため、短い共振器長さで、かつ低励起条件下でも高い信号利得が得られる。共振型増幅器の利得波長帯域幅は、共振モードによって制限される。
【0083】
一方、進行波形増幅器は、入力端面と出力端面における反射率が無視できる場合を称する。進行波形増幅器の利得波長帯域幅は、利得媒質の利得幅と同じ帯域になる。また、ファブリ・ペロー共振が原因となる利得リップルを抑制するために、端面反射率を抑制する必要がある。このような光増幅器の種類は、光増幅器の用途によって適宜選択することができる。
【0084】
本実施例の光増幅器の構造例を図13に示す。光増幅器130は、3次元フォトニック結晶1300と、活性部である光増幅部1301と、電流狭窄構造1302と、n型電極1303と、p型電極1304と、n型領域1305と、p型領域1306とを有する。n型領域1305及びp型領域1306のそれぞれに接するn型電極1303とp型電極1304には、実施例1と同様に、不図示の電流注入手段としての電流制御回路が接続されている。
【0085】
光増幅部1301は、3次元フォトニック結晶1300内に形成された線欠陥導波路構造により構成されている。その構造としては、例えば、実施例2で説明した線欠陥構造を用いることができる。
【0086】
また、光増幅部1301には、増幅器として動作可能なバルク型、量子井戸型、量子ドット型等の様々な構造を持たせることができる。特に、量子ドット型は、電子から光への変換効率が高く、温度特性が優れているため、好ましい。
【0087】
3次元フォトニック結晶1300及び光増幅部(線欠陥導波路構造)1301には、前述した実施例1,2にて説明した構造のほか、様々な構造を持たせることができる。
【0088】
電流狭窄構造1302を構成する高抵抗材料により形成された離散構造体(第2の構造体)は、1つの離散構造層にのみ配置してもよいし、複数の離散構造層に配置してもよい。
【0089】
本実施例によれば、3次元フォトニック結晶内における高抵抗材料により構成される第2の構造体(離散構造)を、活性部にキャリアを集中させて導くように配置することで、電流狭窄領域を精密に制御することができる。これにより、活性部へのキャリア注入効率が優れた高性能な光増幅器を実現することができる。
【実施例5】
【0090】
本発明の実施例5である、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子としての非線形波長変換素子について説明する。
【0091】
本実施例の非線形波長変換素子は、3次元フォトニック結晶内に非線形光学材料により構成された線欠陥構造を含む。
【0092】
図14には、本実施例の波長変換素子の構造例を示している。波長変換素子140は、少なくとも一部が導電性材料により構成された3次元フォトニック結晶141と、非線形光学材料により構成された活性部である線欠陥構造142と、電流狭窄構造143と、電極144,145とを有する。電極144,145は、3次元フォトニック結晶141における導電性材料により構成された部分に接し、該電極144,145には、電流を注入するための電流注入手段としての電流制御回路(図示せず)が接続されている。
【0093】
線欠陥構造142は光導波路であり、基本波を第二高調波に変換する領域として機能する。これにより、波長変換素子140は、フォトニックバンドと結合する周波数において強い非線形効果を生じ、第二高調波を発生する光変調素子として動作する。キャリア注入により非線形光学材料の屈折率を制御することによって、フォトニックバンド構造を制御し、効率の良い波長変換を行うことができる。
【0094】
本実施例によれば、3次元フォトニック結晶内における高抵抗材料により構成される第2の構造体(離散構造)を、活性部にキャリアを集中させて導くように配置することで、電流狭窄領域を精密に制御することができる。これにより、波長変換効率の優れた高性能な波長変換素子を実現することができる。
【実施例6】
【0095】
本発明の実施例6である、3次元フォトニック結晶構造を用いた電流注入型光制御素子について説明する。本実施例では、3次元フォトニック結晶内に2つ以上の活性部を有する光制御素子について説明する。
【0096】
図15には、本実施例の光制御素子の構造例を示す。光制御素子150は、3次元フォトニック結晶1500と、3次元フォトニック結晶1500の内部に設けられた点欠陥構造1501,1502と、電流狭窄構造1503とを有する。また、光制御素子150は、n型領域151と、p型領域152と、n型電極1504と、p型電極1505,1506と、基板1507とを有する。
【0097】
点欠陥構造1501,1502は、利得媒質を含む材料により構成され、活性部として機能する。点欠陥構造1501,1502は、n型領域151とp型領域152とに狭まれている。点欠陥構造1501,1502は、2つだけでなく、3つ以上設けてもよい。
【0098】
n型領域151及びp型領域152のそれぞれに接するn型電極1504及びp型電極1505,1506には、電流注入手段としての電流制御回路1550が接続されている。
【0099】
高抵抗材料により構成された離散構造体(第2の構造体)によって電流狭窄構造1503を構成することにより、キャリア伝送路を精密に制御することができる。この結果、3次元フォトニック結晶1500の内部に、2つ以上の活性部を設けた場合でも、各活性部に対して効率良くキャリア注入を行うことができる。
【0100】
なお、図15ではp型領域152の上面における2つの領域にp型電極1505,1506を分けて配置した場合を示したが、p型領域152の上面全体にp型電極を配置してもよい。一方、図15では、n型領域151の下面全体にn型電極1504を配置した場合を示したが、n型領域151の下面における2つの領域にn型電極を分けて配置してもよい。3次元フォトニック結晶内に配置した活性部を互いに独立して制御する場合には、n型電極及びp型電極を分離して配置し、それぞれに対する電流注入を制御することが好ましい。
【0101】
また、図15では、3次元フォトニック結晶1500の内部に、活性部として2つの点欠陥構造が設けられている場合について説明したが、活性部として2つ以上の線欠陥構造を設けてもよい。
【0102】
3次元フォトニック結晶1500及び点(又は線)欠陥構造には、前述した各実施例にて説明した構造のほか、様々な構造を持たせることができる。
【0103】
また、電流狭窄構造1503を構成する高抵抗材料により形成された離散構造体(第2の構造体)は、1つの離散構造層にのみ配置してもよいし、複数の離散構造層に配置してもよい。
【0104】
本実施例によれば、3次元フォトニック結晶内における高抵抗材料により構成される第2の構造体(離散構造)を、2つ以上の活性部にキャリアを集中させて導くように配置することで、電流狭窄領域を精密に制御することができる。これにより、2つ以上の活性部へのキャリア注入を高効率に行うことができ、2つ以上の活性部を有する高性能な電流注入型光制御素子を実現することができる。
【0105】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施例1である電流注入型光制御素子(発光素子)の構造例を示す図。
【図2A】本発明の各実施例における3次元フォトニック結晶の構造例を示す図。
【図2B】各実施例における3次元フォトニック結晶の他の構造例を示す図。
【図2C】各実施例における3次元フォトニック結晶のさらに他の構造例を示す図。
【図3A】実施例1における点欠陥構造を示すxz断面図。
【図3B】実施例1における点欠陥構造を示すxy断面図。
【図4】実施例1の発光素子の詳細構造を示す断面図。
【図5】図4の発光素子におけるキャリア伝導の仕方を示す図。
【図6】実施例1における電流狭窄構造の製作方法を示す図。
【図7】実施例1の変形例である発光素子の構造を示す断面図。
【図8】本発明の実施例である電流注入型光制御素子(発光素子)の構造例を示す図。
【図9A】実施例2における線欠陥構造を示すxz断面図。
【図9B】実施例2における線欠陥構造を示すxy断面図。
【図9C】実施例2における線欠陥構造を示す他のxy断面図。
【図10】実施例2の発光素子の詳細構造を示す断面図。
【図11】本発明の実施例3である電流注入型光制御素子(光変調素子)の構造例を示す図。
【図12】実施例3における光変調部の他のを示す図。
【図13】本発明の実施例4である電流注入型光制御素子(光増幅器)の構造例を示す図。
【図14】本発明の実施例5である電流注入型光制御素子(非線形波長変換素子)の構造例を示す図。
【図15】本発明の実施例6である電流注入型光制御素子の構造例を示す図。
【図16A】電流狭窄領域を有する従来の電流注入型光制御素子の構造例を示す断面図。
【図16B】電流狭窄領域を有する従来の電流注入型光制御素子の他の構造例を示す断面図。
【符号の説明】
【0107】
1,4,7,8,100 発光素子
10,41,71,101,1102,1300,141,1500 3次元フォトニック結晶
11,31,42,72 点欠陥構造
12,43,73,82,103,1104,1302,143,1503 電流狭窄構造
13,46,76,83,106,1118,1303,1504 n型電極
14,47,77,84,107,1119,1304,1505,1506 p型電極
15,44,74,85,104,1305,151 n型領域
16,45,75,86,105,1306,152 p型領域
50,1120,1550 電流制御回路
51 n型キャリア
52 p型キャリア
81,90,900,1021,1022,142 線欠陥構造
110 光変調素子
120 マッハ・ツェンダー型光変調器
1103 線欠陥導波路構造
1104 電流狭窄構造
1111,1201,1202 入力導波路部
1112,1203,1024 出力導波路部
1113,1114,1205,1206 光結合部
1115,1116,1207,1028 光導波路部
1117,1209 光変調領域
130 光増幅器
1301 光増幅領域
140 非線形波長変換素子
144,145 電極
150 電流注入型光制御素子
201,203,205,207 第1の構造体(柱状構造体)
202,204,206,208 第2の構造体(離散構造体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に配置された複数の第1の構造体をそれぞれ含む複数の周期構造層が、該周期構造層に平行な面内に離散的に配置された複数の第2の構造体を含む少なくとも1つの離散構造層を間に挟んで積層されて構成された3次元フォトニック結晶と、
前記3次元フォトニック結晶の内部に配置された活性部と、
該3次元フォトニック結晶のうち導電性材料により構成された部分に接する電極とを有し、
前記複数の第2の構造体は、互いに異なる2以上の導電性材料により構成されており、
該2以上の導電性材料のうち他の導電性材料よりも高い抵抗を有する少なくとも1つの導電性材料により構成された前記第2の構造体が、電流が注入された前記電極から前記活性部にキャリアを集中させて導くように配置されていることを特徴とする電流注入型光制御素子。
【請求項2】
前記3次元フォトニック結晶は、前記活性部に接するn型領域及びp型領域を有し、
前記電極として、前記n型領域に接するn型電極及び前記p型領域に接するp型電極を有し、
前記少なくとも1つの導電性材料により構成された前記第2の構造体が、電流が注入された前記n型電極及び前記p型電極からそれぞれ前記活性部にキャリアを集中させて導くように配置されていることをすることを特徴とする請求項1に記載の電流注入型光制御素子。
【請求項3】
前記3次元フォトニック結晶は、それぞれ第1の方向に延びる前記複数の第1の構造体が互いに間隔をあけて、前記第1の方向に直交する第2の方向に周期的に配置された第1周期構造層及び第3周期構造層と、それぞれ前記第2の方向に延びる前記複数の第1の構造体が互いに間隔をあけて前記第1の方向に周期的に配置された第2周期構造層及び第4周期構造層とが、前記複数の第2の構造体を含む少なくとも1つの離散構造層を間に挟んで前記第1周期構造層から前記第4周期構造層の順に積層されて構成され、
前記第1周期構造層に含まれる前記第1の構造体と前記第3周期構造層に含まれる前記第1の構造体とが前記第2の方向において半周期ずれて配置され、かつ前記第2周期構造層に含まれる前記第1の構造体と前記第4周期構造層に含まれる前記第1の構造体とが前記第1の方向において半周期ずれて配置され、
前記第2の構造体は、前記第1の方向に延びる前記第1の構造体と前記第2の方向に延びる前記第1の構造体とが立体的に交差する位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電流注入型光制御素子。
【請求項4】
前記活性部は、前記3次元フォトニック結晶における点欠陥構造として構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電流注入型光制御素子。
【請求項5】
前記活性部は、前記3次元フォトニック結晶における線欠陥構造として構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電流注入型光制御素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の電流注入型光制御素子と、
前記電極に電流を注入する電流注入手段とを有することを特徴とする光制御装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2009−231630(P2009−231630A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76634(P2008−76634)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】