3次元測定方法
【課題】 被測定物の形状を高精度で測定する3次元測定方法を提供する。
【解決手段】 ウエーハ上のアライメントマーク29の高さに合わせて、カメラ8のフォーカス高さをZ2軸ステージ9により調整する。このフォーカス高さに合わせて校正用アライメントマーク10の高さをZ3軸ステージ11により調整する。この状態で、校正用アライメントマーク10の中心位置を、カメラ8とプローブ1にて測定し、この2つのカメラ8とプローブ9の距離オフセット(Xo,Yo)を高精度に求める。このオフセットを用いて、カメラ8で測定したウエーハ上のアライメントマーク29の座標を、プローブ1の座標系に高精度に変換する。プローブ9でウエーハ上のレンズを測定すれば、ウエーハ上のアライメントマーク29位置を基準で高精度にレンズ中心を求めることができる。
【解決手段】 ウエーハ上のアライメントマーク29の高さに合わせて、カメラ8のフォーカス高さをZ2軸ステージ9により調整する。このフォーカス高さに合わせて校正用アライメントマーク10の高さをZ3軸ステージ11により調整する。この状態で、校正用アライメントマーク10の中心位置を、カメラ8とプローブ1にて測定し、この2つのカメラ8とプローブ9の距離オフセット(Xo,Yo)を高精度に求める。このオフセットを用いて、カメラ8で測定したウエーハ上のアライメントマーク29の座標を、プローブ1の座標系に高精度に変換する。プローブ9でウエーハ上のレンズを測定すれば、ウエーハ上のアライメントマーク29位置を基準で高精度にレンズ中心を求めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ等を用いて形状を測定する3次元測定方法に関する。特に、本発明は、光を透過するウエーハの上下面に複数個のレンズが形成されたウエーハレンズ等の測定で、3次元測定機に設けられたカメラを用いてウエーハ上の位置決定用のアライメントマークを測定し、このカメラにより測定されたアライメントマークに対し、スタイラス等で測定されたレンズ中心位置を高精度に求める、3次元測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PDA等のモバイル機器においてカメラ機能が加えられ、小型、安価なカメラへのニーズが飛躍的に高まっている。またこれらに使用されるカメラの性能も高画素化への要望も高い。従来、これらモバイル機器に使用されるレンズは、成型機に10〜15個程度のレンズ金型を取り付け、成型の1ショットあたり10〜15個のレンズを生産しているが、この工法では生産数の増加への対応、低コスト化は容易ではない。そこで、低コスト化が要求され、かつ急激に生産数が増加しているこれら分野で、1枚のウエーハ上にレンズを数百〜数千個成型し、この成型されたウエーハを複数枚積層し、積層後切り出し、製造するウエーハレンズ製造の技術が求められている。
【0003】
ウエーハレンズの構成を図13に示す。ウエーハ101の上下面にレンズ102を成型し、上面の周辺に複数の位置決め用のアライメントマーク103を形成する。このアライメントマーク103が重なるようにウエーハ101を積層し、レンズユニットとして完成させる構成となっている。
【0004】
積層によりレンズユニットを構成する1枚のウエーハ101の表裏面でレンズ102で中心位置がずれている場合や、複数枚ウエーハ101を積層したレンズユニットにおいて個々のウエーハ101上のアライメントマーク基準でレンズ中心位置がずれている場合、像がボケたりし、光学性能が得られない等の課題が発生する。
【0005】
一方、この種のウエハレンズの製造時にガラス基板と、光硬化樹脂成形のためのマスターとの位置あわせ方法が特許文献1に開示されている。図14は特許文献1に記載された位置あわせ方法の手順を示す。
【0006】
図14において、符号104はマスター109のアライメントマークで、符号105は
ガラス基板107のアライメントマークである。符号106はアライメントマークの位置を計測するカメラである。
【0007】
カメラ106の高さを上下させ、上下面の各アライメントマーク104,105にフォーカスさせ、マークのXY位置が一致するように、マスター109とガラス基板107を重ね合わせる。
【0008】
詳しくは、図14に示す通り、上下方向にのみ移動可能なカメラ106において、ガラス基板107の上方からアライメントマーク105に焦点を合わせる(図14中(1)参照)。その後、カメラ106を上方に移動させてカメラ106とガラス基板107との間の位置にマスター109を配置し、カメラ106の高さ位置を調整しながら、その焦点位置をマスター109のアライメントマーク104又はその近傍に合わせる(図14中(2)参照)。
【0009】
この場合に、例えば、先に焦点位置を合わせたアライメントマーク105と、その後に焦点位置を合わせたアライメントマーク104とが、図15上段に示すような状態にあると仮定したら、ガラス基板107のアライメントマーク105に対しアライメントマーク104が合致するような位置まで、マスター109を水平方向に移動させ(図15下段参照)、この状態でマスター109を予め光硬化樹脂を塗布したガラス基板107に対し押圧して(図15中(3)参照)光照射してレンズを成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−72665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のようにウエーハレンズにおけるウエーハ101の上下面のレンズ102で中心位置のずれや、積層時の個々のウエーハ101上のアライメントマーク基準でのレンズ中心位置のずれは光学性能を低下させる。これらのずれを解消ないし低減するには、アライメントマーク基準でのレンズ中心位置を可能な限り高精度で測定することが求められる。
【0012】
しかしながら、図14及び図15を参照した説明した位置合わせ方法をアライメントマーク基準でのレンズ中心位置の測定に応用しても、高精度の測定は困難である。以下、この点について説明する。
【0013】
カメラ106をウエーハ面のZ方向に移動させる図示しない移動機構により、図14の(1)の表面のアライメントマーク105のフォーカス位置から、図14の(2)の裏面のアライメントマーク104のフォーカス位置にカメラのZ方向を移動させると、カメラ106をZ方向に移動させる図示しないステージがX方向または紙面に対して垂直なY方向の位置ずれを起こす。従って、カメラのZ高さを変えると、高精度にアライメントマーク位置を測定できない。
【0014】
図13に示す1枚のウエーハ101の表裏面のレンズ中心位置を測定する場合、例えば、まずアライメントマーク103が設けられた表面が上面となるようウエーハ101の姿勢を設定する。カメラ106がウエーハ101の上面にフォーカスするようにZ高さを調整しアライメントマーク103を測定した後、アラインメントマーク基準でプローブによりレンズ中心位置を測定する。その後、ウエーハ101の姿勢を上下反転させウエーハ101の下面に位置が変わったアライメントマーク103のZ高さ位置にカメラのZ高さを変更しフォーカスさせ、さらにアラインメントマーク基準でプローブによりレンズ中心位置を測定する。
【0015】
カメラ106を図示しない移動機構により、ウエーハ面のZ方向に移動させると、カメラ106をZ方向に移動させる図示しないステージがX方向または紙面に対して垂直なY方向の位置ずれを起こし、カメラ106のX方向またはY方向の中心位置がわずかにずれる誤差が発生する。その結果、測定したアライメントマーク基準でプローブで測定したレンズ中心位置は表面と裏面でずれたものとなる。このように、アライメントマーク基準で表面と裏面のレンズ中心を計算する場合、カメラ106のXまたはY方向の中心位置がわずかにずれる誤差により、1枚のウエーハ101で表裏のレンズ中心を高精度に測定できない。
【0016】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被測定物の形状を高精度で測定する3次元測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の3次元形状測定方法は、2つ以上の表面検出手段で被測定物の表面形状データを取得する3次元測定方法において、被測定物とは別に設けられた前記被測定物に対してXY方向の位置が移動しない校正用アライメントマークのZ方向の高さを、前記被測定物の表面高さと一致させ、高さを一致させた前記校正用アライメントマークを前記2つ以上の表面検出手段で測定し、前記測定の結果を使用して前記2つ以上の表面検出手段のXY方向のオフセットを校正し、前記2つ以上の表面検出手段で測定された前記被測定物の表面形状データと校正された前記オフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求めることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記表面検出手段は、XY方向に移動するXYステージ上でZ方向に移動する第1のZ方向移動手段に設けられた表面形状測定のためスタイラスと、前記XYステージ上でZ方向に移動する第2のZ方向移動手段に設けられたXY面内の画像を測定するカメラとであり、前記被測定物の表面高さと一致させた前記校正用アライメントマークを、前記カメラで撮影すると共に、前記スタイラスで測定し、前記撮影及び測定の結果から前記スタイラスと前記カメラの中心位置のオフセットを校正し、前記スタイラスで前記被測定物の表面形状を測定し、前記スタイラスによる測定結果と前記校正されたオフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求める。
【0019】
さらに好ましくは、前記スタイラスによる前記被測定物の表面形状の測定は、被測定物上の各レンズ面の頂点位置近傍を通る様に、レンズ面のX方向に一括して測定し、さらにレンズ面の頂点位置近傍を通る様に、Y方向に一括に測定し、前記測定データより、予め設定されたレンズのX方向、Y方向のピッチに応じて、測定データをレンズごとに分割し、レンズごとに分割されたデータについて、形状とレンズ中心のXYZ位置と姿勢を評価する。
【0020】
例えば、被測定物は薄板上に多数レンズの形成されたウエーハレンズである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の3次元測定方法によれば、被測定物の形状を高精度で測定できる。例えば、ウエハーレンズの表裏面のレンズ中心位置をアラインメントマーク基準で高精度で測定できる。つまり、ウエーハの裏面側にアライメントマークが形成され、ウエーハ表面側に凹凸がないアライメントマークをカメラで測定する場合でも、また、ウエーハ上のカメラでしか計測できないアライメントマークを基準でウエーハ上のレンズ中心を測定する場合でも、カメラとスタイラスの中心位置間の校正されたオフセット値を用いて、アライメントマーク基準でレンズ位置を測定することにより、高精度に組み立て用のアライメントマーク基準で、ウエーハ上のレンズ位置の計測を行なうことが可能となる。
【0022】
これにより、ウエーハ上のレンズで、ウエーハの上下面それぞれのレンズ形状を測定し、アライメントマーク基準での位置ずれを算出することにより、アライメントマーク基準でウエーハ上のレンズの光軸中心の位置ずれを高精度に測定することが可能となる。
【0023】
さらに、アライメントマークからの上下面の各レンズ中心軸のずれを個別に算出することができるので、上下面の各レンズ中心軸のずれを、高精度に測定することが可能となる。
【0024】
さらにまた、被測定物上の各レンズ面の頂点位置近傍を通った、X方向とY方向の一括測定データをレンズ個々のデータに分離することにより、高精度かつ高速に3次元形状を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における3次元測定方法の装置全体図。
【図2】本発明の実施の形態1における3次元測定方法のプローブ構成図。
【図3】本発明の実施の形態1における3次元測定方法の詳細図。
【図4】本発明の実施の形態1におけるウエーハレンズとアライメントマークの構成図。
【図5】本発明の実施の形態1における校正用アライメントマークの構成図。
【図6】本発明の実施の形態1における全体測定フロー。本発明の実施の形態1における校正用アライメントマークのエッジ部断面図。
【図7】本発明の実施の形態1におけるアライメントマークの位置関係詳細図。
【図8】本発明の実施の形態1における校正用アライメントマーク計測の詳細図。
【図9】本発明の実施の形態1におけるウエーハレンズの位置関係詳細図。
【図10】本発明の実施の形態1におけるウエーハレンズ測定走査経路の詳細図。
【図11】本発明の実施の形態1におけるプローブによる測定データの詳細図。
【図12】本発明の実施の形態1におけるレンズ中心位置算出の詳細図。
【図13】特許文献1に記載されたウエーハレンズの構成図。
【図14】特許文献1に記載された従来の3次元測定方法を示す図。
【図15】特許文献1に記載された従来の3次元測定方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
1)使用する3次元測定機の装置構成説明
図1は、本発明の形状測定方法を実施するための一実施形態としての形状測定装置の概略構成を示す斜視図である。図1において、XYステージ3上の石定盤14の上にXYZ座標位置を測定するための周波数安定化He−Neレーザ4が配置され、プローブ1はZ1軸ステージ2を介して石定盤14に取り付けられ、発振周波数安定化He−Neレーザ光により、固定したナノメートルオーダーの高い平面度を持つX基準ミラー5、Y基準ミラー6、Z基準ミラー7に反射させることにより、ナノメートルオーダーの超高精度でXYZ座標を測定できる。
【0028】
これらのユニットは制御演算部としてのコンピュータ41により制御され、3次元測定機と組み合わせて自動運転を行うように構成されている。
【0029】
さらに、形状測定装置は、アライメントマーク位置を測定するカメラ8、カメラ8をZ軸方向に移動させるZ2軸ステージ9と、プローブ1の先端中心位置と、カメラ8の画像の中心位置のオフセット距離を校正する校正用アライメントマーク10と、校正用アライメントマーク10をZ軸方向に移動させるZ3軸ステージ11と、測定物であるウエーハレンズ12と、ウエーハレンズ12を設置するウエーハチャック13により構成されている。図1においてX軸の+方向での時計まわりの回転をA、Y軸の+方向での時計まわりの回転をB、Z軸の+方向での時計まわりの回転をC、として以下説明する。
【0030】
図2にこの形状測定装置で使用するプローブの構成を示す。図2で、スタイラス18はマイクロエアースライダ15により支持されており、マイクロエアースライダ15の可動部分はマイクロスプリング16にて支持されている。マイクロスプリングのたわみをマイクロエアースライダ15のミラー上に照射されたフォーカス検出用レーザ19にて計測し、測定物17とスタイラス18の先端に働く弱い原子間力が一定となるように、プローブユニット20全体をZ方向の位置を、図示しないリニアモータでフィードバック制御する。同時にZ方向の変位を前記周波数安定化He−Neレーザ光21を、ミラー22に照射することにより、Z方向の位置を測定する。この状態でXY方向にこのプローブユニット全体を走査し測定面の形状を測定する。スタイラス18を取り付ける可動部であるマイクロエアースライダ15の可動部の重量を軽くできるこの構成により、最大75°の高傾斜面まで、ナノメートル精度で高精度に測定することが可能である。
【0031】
この形状測定装置は、測定物17の面上でプローブ1をXY方向に走査することにより、測定物上のXYZ座標データ列を求め、図示しない制御演算部としてのコンピュータ41によって、プローブ1によって測定されたXY座標位置でのZ座標データの列を演算処理し、測定物17の形状測定を行う。
【0032】
2)測定方式の原理
図3は本発明の測定方式の原理を示す原理図である。図3で、Z方向のプローブ1による測定を高精度に行うためにプローブ1をZ軸方向に駆動するZ1軸ステージ2が、プローブ1をXY方向に走査するXYステージ3に設置されている。また、XYステージ3には、アライメントマーク測定用のカメラ8をZ軸方向に駆動するZ2軸ステージ9が設置されている。アライメントマーク測定用のカメラ8はプローブ1に対してXY方向にオフセットした位置に設置されている。このオフセットによるプローブ1の中心とカメラ8の中心とのXY方向の距離(中心間距離)Xoは、Z2軸ステージ9上の位置によるカメラ8のZ軸方向の移動によるXY方向の位置のわずかなずれにより変化する。
【0033】
さらに、直径約200mmの円形の基板の測定物であるウエーハレンズ12(図4を併せて参照)を設置するウエーハチャック13と、ウエーハチャック13全体をZ軸回りに回転させるγステージ23と、ウエーハチャック13上に設置されたウエーハレンズ12上のXY位置を特定するアライメントマーク29を観察し、マークのパターン検出を行う図示しない認識装置により構成されている。
【0034】
さらに、測定用のプローブ1とカメラ8の中心位置オフセットを校正する校正用アライメントマーク10を、図3の石定盤24上のZ方向に移動可能なZ3軸ステージ11に設置している。後に詳述するように、この校正用アライメントマーク10をプローブ1とカメラ8で測定することで校正が実行される。
【0035】
被測定物であるウエーハレンズ12を図4に示す。ウエーハレンズ12上には、X、Yそれぞれの方向に所定のほぼ一定のピッチで格子状にレンズ34が形成されている。具体的には、ウエーハレンズ12のA面、B面の両面の同じ位置にレンズ34が形成されている。さらにウエーハレンズ12のA面の所定の位置に、アライメントマーク29が2箇所以上、形成されている。
【0036】
図5(a),(b)に校正用アライメントマーク10を示す。本実施形態では校正用アライメントマーク10では、ガラス基板25上に、0.1μm程度のクロム膜26を蒸着した半導体製造用のクロムマスク基板を用いる。クロム膜26の中央には、縦横1mm角程度の大きさの正方形状のエッチング部27が設けられている。このエッチング部27ではクロム膜26が除去されてガラス基板25が露出している。
【0037】
3)測定方式の概要
図6に本発明の3次元測定方法による、測定の全体フローを示す。
【0038】
ステップ201により測定を開始し、一連の測定を自動で行うための手順を示すコンピュータプログラムの一種であるレシピをコンピュータ41において設定する。レシピには測定するウエーハレンズ12の設計形状、ウエーハサイズ、ウエーハレンズ12上のレンズ34の設計上のX,Y方向の各レンズ中心間ピッチ、ウエーハレンズ12上のレンズ配置、測定時のプローブ1の測定速度、2つのアライメントマーク29の位置等測定に必要な情報を入力し、測定条件の設定等、測定準備を行い、その後測定を開始する。
【0039】
ステップ202で測定するウエーハレンズ12をA面(アラインメントマーク29が設けられている面)側が上になるように形状測定装置のウエーハチャック13に設置する。ウエーハレンズ12は手動で、形状測定装置のウエーハチャック13に位置を合わせてセットし、図示しない真空吸着機構により吸着する。
【0040】
その後、ステップ203により、ステップ202で設置したウエーハレンズ12のA面のアライメントマーク29の上方に位置するように、XYステージ3の図示しない駆動機構によってカメラ8のXY位置を移動させる。その後、カメラ8のフォーカス高さを、図3に示す被測定物であるウエーハレンズ12の表面のウエーハ上のアライメントマーク29の高さL1になるように、カメラ高さ調整用のZ2軸ステージ9の高さを、カメラ8の画像をコンピュータ41のモニタ(図示せず)でモニタしながらZ方向に調整し合せる。
【0041】
ステップ204ではステップ203で調整したカメラ8のフォーカス高さ位置を維持したまま、校正用アライメントマーク10の上方に位置するように、カメラ8をXYステージ3によって移動させる。次に、カメラ8を固定してXYZ方向いずれにも移動させない状態を維持したまま、校正用アライメントマーク10にカメラ8のフォーカスが合うようにZ3軸ステージ11の高さを調整する。この調整の結果、校正用アライメントマーク10のマーク面の高さL2が、被測定物であるウエハレンズ12の表面(A面)のアライメントマーク29の高さL1と一致する。
【0042】
ステップ205では、上記ステップ201〜204の手順で調整されたカメラ8で校正用アライメントマーク10を測定し、かつプローブ1でも、校正用アライメントマーク10を測定し、測定結果に基づいてプローブ1と、カメラ8の中心間距離Xoの測定(プローブ1とカメラ8の中心位置の校正)を実行する。
【0043】
ステップ206では、カメラ8とXYステージ3を用い、ウエーハレンズ12上に設けられた、2つのアライメントマーク29の位置を測定し、アライメントマーク29の中心位置を記憶する。前記測定した2つのアライメントマーク位置より、形状測定装置の座標(固定のXYZ座標系)に対するウエーハレンズ12の回転ずれ角γを測定する。
【0044】
ステップ207では測定した回転ずれ角γ分、ウエーハチャック13の下部に設けられたγステージ23によりウエーハレンズ12を回転させ、形状測定装置のX基準ミラー5、Y基準ミラー7に平行になるように調整する。
【0045】
ステップ208では、回転ずれ角γの値が予め設定された所定の値に対して規定範囲内か確認する。範囲内であればステップ209に進み、範囲外であれば、ステップ206からの手順を繰り返す。
【0046】
ステップ209では、プローブ1によりウエーハレンズ12上の各レンズ中心を通るように、一筆書き状に、X方向と、Y方向の2方向で、ウエーハレンズ12のA面の全域を測定する。
【0047】
ステップ210では、ステップ209で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、ステップ206のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置と、ステップ205で求めたプローブ1とカメラ8の中心間距離とを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ34の中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0048】
ステップ211〜219では、ウエーハレンズ12のB面について同様の処理を繰り返す。
【0049】
まず、ステップ211では上記ステップで測定したウエーハレンズ12の表裏がY軸を回転軸として反転しB面が上になるように、ウエーハチャック13に取り付ける。
【0050】
ステップ212により、下側に位置するアライメントマーク29位置に、カメラ8のフォーカス高さをZ2軸ステージ9により調整する。
【0051】
ステップ213により、212のステップでZ2軸ステージ9により調整したカメラ8のフォーカス高さ位置を維持したまま、カメラ8のフォーカスが校正用アライメントマーク10に合うように、Z3軸ステージ11を調整する。
【0052】
ステップ214では、校正用アライメントマーク10を用いて、上記ステップ211〜213の手順で調整されることによりわずかにXY方向にずれたカメラ8の中心位置とプローブ1との中心間距離XoBを測定する。
【0053】
ステップ215〜218では、上記設置状態でステップ206〜209と同様の処理を行う。
【0054】
ステップ219では、ステップ218で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、ステップ215のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置と、ステップ214で求めたプローブ1とカメラ8の中心間距離とを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ34の中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0055】
ステップ220では、A面における各レンズ34の中心位置と、B面における各レンズ34の中心位置とから、計算処理によりウエーハレンズ12の表裏のレンズ34の中心ずれを算出する。
【0056】
ステップ221にて測定を終了する。
【0057】
2)測定方式の詳細
以下、図6に記載の手順の詳細を順次説明する。
【0058】
ステップ205では、ステップ201〜204の手順で調整されたウエーハレンズ12上のアライメントマーク29と校正用アライメントマーク10の位置関係で、校正用アライメントマーク10を用いて、プローブ1とカメラ8の中心間距離XoAを測定する。
【0059】
以下、前記校正用アライメントマークを用いて、プローブとカメラの中心位置を校正する校正手順の詳細を説明する。
【0060】
まず、カメラ8により、校正用アライメントマーク10の中心位置(Xc、Yc)を以下の手順で算出する。
【0061】
ステップ204のZ3軸ステージ11の調整後、校正用アライメントマーク10のマーク中心位置に、XYステージ3によりカメラ8を移動させる。
【0062】
以降、図7に示すような画像が、カメラ8により校正用アライメントマーク10のエッチング部27として得られる。
【0063】
ここで正方形状のエッチング部27の中心位置の算出を以下の手順1〜5で行う。
【0064】
手順1:エッチング部27のX軸方向について、X測定ライン30のデータよりエッチング部27との交点位置X1L、X1Rを求め、X測定ライン31のデータよりエッチング部27との交点位置X2L、X2Rを求める。
【0065】
手順2:エッチング部27のY軸方向について、Y測定ライン32のデータよりエッチング部27との交点位置Y1D、Y1Uを求め、Y測定ライン33のデータよりエッチング部27との交点位置Y2D、Y2Uを求める。
【0066】
手順3:交点位置X1Lと交点位置X2Lを結ぶエッチング部27の縦方向のラインと、交点位置X1Rと交点位置X2Rを結ぶエッチング部27の縦方向のラインとの平均線である、Y方向測定中央ライン35を求める。
【0067】
手順4:交点位置Y1Dと交点位置Y2Dを結ぶエッチング部27の横方向のラインと、交点位置Y1Uと交点位置Y2Uを結ぶエッチング部27の横方向のラインとの平均線である、X方向測定中央ライン34を求める。
【0068】
手順5:X方向測定中央ライン34とY方向測定中央ライン35の交点であるマーク中心位置(Xc,Yc)を求める。
【0069】
以下、エッチング部27の中心位置であるマーク中心位置(Xc,Yc)の計算手順の詳細を説明する。以下の算出では、エッチング部5全体を含むクロム膜6の濃淡画像をカメラ8のCCDデータより抽出する。
ここで、X軸上の2本の測定断面をX測定ライン30とX測定ライン31として測定データを抽出する。これらのデータは図8に示すように濃淡による凹凸形状となっており、この濃淡画像の凹凸の中央部分をスレショルドとし、エッジ位置を抽出したY方向位置、つまり図7に示すXY方向のベクトル表記位置では、X測定ライン30のスレショルドの交点位置は、X1L=(X1Lx,X1y)、X1R=(X2Lx,X2y)、と表す。同様に、X測定ライン32でのスレショルドの交点位置ベクトルはX2L、X2R、と表す。同様にY軸方向の2方向のY測定ライン32とY測定ライン33の合計4箇所のスレッショルドの交点位置Y1U、Y1D、Y2U、Y2Dとして求める。
【0070】
以降、図7に示す記号を用いて、以下の式から中点を算出する。
【0071】
【数1】
【0072】
また、以下のベクトルXVを定義する。
【0073】
【数2】
【0074】
このベクトルXVを用い、tはスカラーとするとX測定中央ライン34の方程式は以下の式(1)となる。
【0075】
【数3】
【0076】
同様に、Y測定中央ライン35の方程式はスカラー量sを用いて以下の式(2)のように表される。
【0077】
【数4】
【0078】
マーク中心は方程式XL、YLで表されるライン34,35の交点であるので、(1)=(2)式よりt、sを算出すれば、マーク中心が得られる。
【0079】
方程式XL、つまり式(1)と方程式YL、つまり式(2)はそれぞれ以下の式(1)’、(2)’に変形できる。
【0080】
【数5】
【0081】
(1)’=(2)’式より以下の式(3)、(4)が得られる。
【0082】
【数6】
【0083】
(3),(4)式をtについて解くと以下の式(5)が得られる。
【0084】
【数7】
【0085】
式(5)で得られたtの値を(1)式に代入し交点、すなわちマーク中心(Xc、Yc)=Xc=t*XV+X1Cを求める。なお、式(3),(4)をsについて解いて得られたsの値を(2)式に代入してもマーク中心(Xc、Yc)を求めることができる。
【0086】
上記計算手順により、X軸方向、Y軸方向各2方向のエッジを検出することにより、カメラの画像の範囲内でのアライメントマーク位置を算出する。
【0087】
このように、アライメントマーク10のエッジ位置のX方向とY方向の中心を算出することにより、校正用アライメントマークが測定機のX又はY方向に対しわずかでも傾いて取り付いていても、高精度に校正用アライメントマークの中心(Xc、Yc)を求めることが可能となる。
【0088】
次に、プローブを校正用アライメントマーク位置に移動し、カメラで測定したX測定ライン30、X測定ライン31、Y測定ライン32、Y測定ライン33、との4本のラインと同じ経路で、プローブで、X方向、Y方向にそれぞれ2ラインずつ走査し、それぞれの方向で校正用マークの段差形状部分の、X測定ライン30、X測定ライン31、Y測定ライン32、Y測定ライン33、の高さの中央位置をスレショルドの交点位置X1L、X1R、X2L、X2R、Y1U、Y1D、Y2U、Y2Dを順次算出する。このデータを用い、前記カメラの計算手順と同様にX方向、Y方向それぞれの交点位置の中点を通る2本X測定中央ライン34、Y測定中央ライン35を算出し、この算出したX方向Y方向の2方向の直線の中心線の交点座標を算出し、プローブ測定でのアライメントマーク位置(Xa、Ya)を、上記カメラでの算出手順と同様の算出式で算出する。
【0089】
これらの測定結果より、ウエーハレンズ12のA面測定時のプローブ基準でのカメラのオフセット位置(XoA,YoA)=(Xc,Yc)−(Xa,Ya)より算出する。
【0090】
以降ウエーハレンズ12面上のレンズ測定での、カメラ8に対するプローブ1のオフセット位置はこの値を参照し、カメラ8で求めたアライメントマーク位置をプローブ基準に変換するにはこのオフセット値を差し引くことにより算出する。
【0091】
このように、ウエーハレンズ12上のアライメントマーク29の高さが変わった場合、校正用アライメントマーク10をウエーハ上のアライメントマーク高さに合わせた状態で、カメラ8とプローブ1の両方で同一マークを測定することで、カメラ8とプローブ1の正確なオフセット値を求めることができる。
【0092】
これにより、カメラ8のフォーカス調整時に調整するZ高さ調整用Z2軸ステージのXY方向の真直度がずれても、またカメラのフォーカス高さずれにより生じる光学中心位置ずれ等の計測誤差の影響を受けることなく、高精度な測定を行なうことが可能となる。
【0093】
図9において、Xw、Ywはウエーハレンズの座標系である。Xm、Ymはウエーハレンズ12が設置された形状測定装置の座標系である。しかし、この状態では、図9に示す様にXw、Ywのウエーハレンズ12の座標系と、Xm、Ymの形状測定装置の座標系は平行になるように設置できておらず多少のずれのある状態である。
【0094】
ステップ206では、カメラ8とXYステージ3を用い、ウエーハレンズ12上に設けられた、2つのアライメントマーク29の位置を測定し、アライメントマークの中心位置XaA1、XaA2を記憶する。前記測定した2つのアライメントマーク位置より、3次元測定機の座標に対し、ウエーハレンズ12の回転位置ずれγを測定する。上記算出の手順はステップ205で説明したカメラ8によるアライメントマーク中心算出手順により算出できる。
【0095】
ウエーハ上の2つのアライメントマークが図10に示すように2つのアライメントマーク29がY軸上近辺に構成されているものとして以下説明する。この2つのアライメントマーク29のXY位置ベクトルの差を求め、図10に示す様に2つのアライメントマーク29のY方向の距離をYLd、2つのマークのX方向のずれをdXとすると、測定機のZ軸まわりの回転位置ずれをγ=atan(dX/YLd)として算出する。
【0096】
そこで、ステップ207では測定したγずれ分、ウエーハチャック13の下部に設けられたγステージ23によりウエーハレンズ12を回転させ、ウエーハレンズのXY座標が3次元測定機のX基準ミラー5、Y基準ミラー7に平行になるように調整する。
【0097】
ステップ208では、γの値が予めセットされた所定の値に対するずれが規定範囲内か確認する。範囲内であればステップ209に進み、範囲外であれば、ステップ206からの手順を繰り返す。
【0098】
ステップ209では、プローブ1によりウエーハレンズ12上の各レンズ中心を通るように、一筆書き状に、X方向と、Y方向の2方向で、全ウエーハレンズを測定する。
【0099】
前記測定した2つのアライメントマーク29の位置より、ウエーハレンズ12の中心位置を算出し、測定する全レンズ34についてX方向、Y方向に一筆書き状に測定する測定経路のNCパスを作成し、図10に示すようにウエーハレンズ12上の全面のレンズ34の頂点位置付近を通るように、一筆書き状に、X方向、Y方向とプローブ1を順次走査しウエーハ上の全レンズのXY軸上の測定データを得る。
【0100】
ここで測定されるウエーハレンズ12のレンズ34の配列は、X方向、Y方向それぞれ等間隔ピッチで格子状に配置されている必要がある。この格子状に配置されたレンズ34を連続に走査して測定する。全てのレンズ形状の設計式は同一とする。
【0101】
ステップ210では、ステップ209で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、ステップ206のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置XaA1、XaA2と、プローブ1と、カメラ8の中心間距離XoAを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0102】
この手順を以下に説明する。図10に示す一筆書き状に、X方向にレンズ全面を測定し、さらにY方向にレンズ全面を測定し、プローブでの走査測定終了後、各XYの走査データで、予め入力した設計上のレンズ配列の、X方向と、Y方向のピッチに応じて、レンズ1個ごとにX方向とY方向の測定データを測定機の座標を基準に分割する。
【0103】
ここで、図9にレンズ位置(i、j)と、このレンズ位置を示すインデックスi,jの関係を示す。i,jのインデックスは、ウエーハレンズの中央のレンズを(i,j)=(0,0)として、X+方向の1個目のレンズでi=+1、Y+方向の1個目のレンズでj=+1、として定義されている。
【0104】
図11にデータ分割の手順を説明する。連続した測定データは設計ピッチの整数倍のi個ごとに、仮想中心位置X[i]=i*Xp、を設定しこの中心から、レンズの配列ピッチの半分の距離の±Xp/2の範囲のデータを、i番目のレンズのデータとして元の一筆書きデータより分割する。
【0105】
同様にY方向の仮想中心位置Y[j]=j*Yp、を設定し、この中心から、レンズの配列ピッチの半分の距離の±Yp/2の範囲のデータを、j番目のレンズのデータとして元の一筆書きデータより分割する。
【0106】
そして、交点が同一点のX方向とY方向の1セットのデータを、1個のレンズの測定データとして、図示しないコンピュータのメモリに記憶する。この分割されたデータを用い、切り出したデータをレンズごとにアライメントし、中心位置、形状ずれ、設計式からの最大ずれ量であるPV(Peak to Valley)、RMS(Root Mean Square)等を評価する。
【0107】
上記、分割された各レンズ34ごとのデータを用いて、レンズ34のXY軸上のXZとYZ断面を測定したデータから、測定機に対するレンズの中心位置を、各測定点での測定データと設計形状の差の2乗和が最小となるように、測定データ点列を設計式の座標系でX方向、Y方向、Z方向、X軸まわりのA回転方向、Y軸まわりのB回転方向に移動させ、この移動量をウエーハレンズ12上の全レンズ34について順次算出することにより、ウエーハレンズ12上の全レンズ34のレンズ中心位置を算出する。ウエーハ面片側で、それぞれのレンズ形状の設計式は同一とする。
【0108】
図12で、ウエーハ上の(i、j)位置での測定データ点列(Xk,Yk,Zk)と、設計形状である。図12では説明を容易にするために、XZ断面での測定データ点列と、設計形状を表示している。
【0109】
図12で、測定データ点列の各点のデータとZ=f(x,y)で表される設計形状を用いて、測定データの(Xk,Yk)の各位置に応じてZfkをZfk=f(Xk,Yk)より算出し、この値と前記測定データのZkとの差、Zdk=Zk−Zfkを算出し、全測定データに対する2乗和、ΣZdk2が最小となるY軸廻りの回転dBaと、X軸方向の並進移動量dXa、Z軸方向の移動量dZaを算出する。
【0110】
図12の説明ではXZ面での説明図であるが、XZ断面とYZ断面の全データの場合も同様の手順で、XYZ3次元測定データ(Xk,Yk,Zk)で、設計形状Z=f(Xk,Yk)との2乗和が最小となる移動量を、dXa,dYa,dZa,dAa,dBa、として算出することにより、XY2方向の測定データ点列より、レンズ中心位置からのずれ、dXa,dYaを算出する。このずれと、レンズの一筆書き状のデータから、各レンズ1個ずつに応じて分割する際に4−4)で定めた、前記仮想中心位置との和を、(i,j)位置でのレンズ中心位置を以下の式として、全レンズに対し、i、jの値を変化させ順次算出する。
【0111】
【数8】
【0112】
上記レンズの中心位置データ点列を、(Xf[i,j],Yf[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)、として図示しないコンピュータのメモリに記憶する。
【0113】
上記、各レンズの測定中心は、ウエーハ上のアライメントマークの座標をできるだけ測定機の座標に平行に近くなるように、前記γ軸ステージを回転させることにより設置を行ったが、γ軸モータの位置決め精度の制約上、前記2つのアライメントマークのX方向の位置ずれdXが1μm以下になるように、γ軸を回転させて位置合わせを行うことは難しい。
【0114】
そこで、カメラにより計測された前記アライメントマーク位置のずれYL2、dX2の値を用い、前記算出された全レンズの中心位置を、アライメントマークが基準となるように、レンズの全中心XY位置データ点列(Xf[i,j],Yf[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)を角度γ2=atan(dX2/YLd2)回転させ、アライメントマーク基準のレンズ中心位置を算出する。上記手順により、カメラにより求めたアライメントマーク座標に対し、高精度にレンズ中心位置を求めることが可能となる。
【0115】
ここで、図9にレンズ中心位置(Xf[i,j],Yf[i,j])と、このレンズ位置を示すインデックスi,jの関係を示す。レンズ中心位置はウエーハ上のアライメントマークを基準とした位置として(Xf[i,j],Yf[i,j])で表されられる。この配列の、i,jのインデックスは、ウエーハレンズの中央を(i,j)=(0,0)として、X+方向の1個目のレンズでi=+1、Y+方向の1個目のレンズでj=+1、として定義されている。
【0116】
ステップ211では上記ステップで測定したウエーハレンズ12の表裏がY軸を回転軸として反転しB面がプローブ1による測定側となるように、ウエーハチャック13に取り付ける。
【0117】
その後、ステップ212により、202のステップで設置したウエーハレンズ11の表面の、ウエーハ表裏がY軸を回転軸として反転させて設置することにより、透明なウエーハレンズの基板の裏面に形成されたアライメントマークを測定する場合、ウエーハの表裏の回転により、ステップ202〜210の測定では、プローブ1側にあったアライメントマーク29が、ウエーハチャック13側の位置にアライメントマーク29が移動し、ウエーハチャック側に位置するアライメントマーク29位置に、カメラ8のフォーカス高さをZ軸ステージ9により調整する。
【0118】
その後、ステップ213により、212のステップでZ軸ステージ9により調整したカメラ8のフォーカス高さ位置を維持したまま、校正用アライメントマーク10の位置にカメラ8を移動させ、前記212のステップでウエーハ表裏がY軸を回転軸として反転させて設置することにより、変化したウエーハ厚さに相当するZ高さ分、カメラ8のフォーカスが校正用アライメントマーク10に合うように、Z3軸ステージ11を調整する。
【0119】
ステップ214では、上記ステップ211〜213の手順で調整されることによりわずかにXY方向にずれたカメラ8の中心位置を、校正用アライメントマーク10を用いて、プローブ1と、カメラ8の中心間距離XoBを測定する。
【0120】
この校正手順は、前記ステップ205の説明に示した校正手順と同様の校正手順により校正する。
【0121】
ステップ215〜218では、上記設置状態でステップ206〜209と同様の処理を行う。
【0122】
ステップ219では、218で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、215のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置XaB1、XaB2と、プローブ1と、カメラ8の中心間距離XoBを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0123】
この算出手順は、前記ステップ210の説明に示した算出手順と同様の算出手順により算出する。
【0124】
ステップ220では、ステップ210で求めたアライメントマーク29基準での、A面の各レンズ中心位置と、ウエーハ表裏がY軸を回転軸として反転させて設置した、ステップ219で求めたアライメントマーク29基準での、B面の各レンズ中心位置とから、計算処理によりウエーハレンズ12の表裏のレンズの中心ずれを算出する。
【0125】
前記ステップ、210の手順で求めたウエーハ表面のレンズ中心XY位置データ点列を(Xf[i,j],Yf[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)とし、Y軸上に180度回転して設置し、測定し、前記ステップ、219の手順で求めた前記同一のウエーハレンズの裏面のレンズ中心XY位置データ点列を(Xb[i,j],Yb[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)とすると、表面に対する裏面の左右方向のデータインデックスであるiの値は、裏面側で反転することより極性を反転させた値−iを用いるとレンズ位置を指定でき、レンズ表裏間の中心位置ずれの点郡は、裏面の各レンズ基準で表面の各レンズの中心位置ずれは以下の式で算出される。
【0126】
【数9】
【0127】
上記手順により、ウエーハ上の表裏に対応した位置での、全レンズの表面と裏面のレンズ中心位置ずれを求めることが可能となる。
【0128】
上記ステップ220の表面各レンズ中心位置データ、ステップ219の裏面各レンズ中心位置データ、ステップ220の表裏のレンズの中心ずれの結果によりウエーハレンズ12の特性を評価する。
【0129】
ステップ221にて測定を終了する。
【0130】
また、実際のウエーハレンズの製造では、多種の厚みのウエーハレンズが存在し、品種に応じてウエーハ上のマーク高さが変化するので、品種の切り替えに応じて、上記校正手順によりカメラ高さ調整用Z2軸ステージ9と、校正用アライメントマーク高さ調整用Z3軸ステージ11の高さを調整する。
【0131】
また、同じ種類の、ウエーハレンズ12の片面(A面またはB面)を、アライメントマーク29基準でレンズ位置を繰り返し測定する場合は、ステップ201〜210までの手順により測定することができる。この場合、繰り返し測定で2枚目以降のウエーハレンズ12の測定を行う場合は、ステップ203〜205を飛ばして測定することで、測定時間を短縮し測定することができる。
【0132】
このように校正用アライメントマークをカメラで測定し、レンズ形状とレンズ中心位置をプローブで測定し、さらに、前記校正されたオフセット値を用いることにより、ウエーハ高さ、あるいはウエーハ上のアライメントマークが表についているのか、裏についているのかの高さによって、カメラ8のフォーカス調整時に調整するZ高さ調整用Z2軸ステージのXY方向の真直度ずれ等の影響と、カメラのフォーカス高さずれにより生じる光学中心位置ずれ等の計測誤差の影響を受けることなく、高精度な測定を行なうことが可能となる。
【0133】
本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、アラインメントマーク29が設けられたウエーハレンズ12のA面の測定におけるプローブ1とカメラ8の中心距離については図6のステップ204、205のように校正用アラインメントマークを使用する必要はなくウエーハレンズ12のアラインメントマーク29を使用してステップ204、205と同様の処理を行うことで、プローブ1とカメラ8の中心距離の校正を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の3次元測定方法は、プローブを用いて高精度に3次元形状を測定する3次元において、カメラによりアライメントマーク位置を基準に高精度に測定し、プローブ位置に対するオフセットを高精度に測定することができるので、ウエーハレンズ、レンズアレイ等、1枚の基板上に複数個形成されたレンズを、高速かつ高精度に測定する3次元測定の用途にも適用できる。
【0135】
また上記実施例では、測定物をウエーハレンズでの実施例を説明したが、ウエーハレンズの代わりにウエーハレンズを製造するモールド、あるいはレンズアレイ等用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0136】
1 プローブ
2 Z1軸ステージ
3 XYステージ
8 カメラ
9 Z2軸ステージ
10 校正用アライメントマーク
11 Z3軸ステージ
12 ウエーハレンズ
29 アライメントマーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ等を用いて形状を測定する3次元測定方法に関する。特に、本発明は、光を透過するウエーハの上下面に複数個のレンズが形成されたウエーハレンズ等の測定で、3次元測定機に設けられたカメラを用いてウエーハ上の位置決定用のアライメントマークを測定し、このカメラにより測定されたアライメントマークに対し、スタイラス等で測定されたレンズ中心位置を高精度に求める、3次元測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PDA等のモバイル機器においてカメラ機能が加えられ、小型、安価なカメラへのニーズが飛躍的に高まっている。またこれらに使用されるカメラの性能も高画素化への要望も高い。従来、これらモバイル機器に使用されるレンズは、成型機に10〜15個程度のレンズ金型を取り付け、成型の1ショットあたり10〜15個のレンズを生産しているが、この工法では生産数の増加への対応、低コスト化は容易ではない。そこで、低コスト化が要求され、かつ急激に生産数が増加しているこれら分野で、1枚のウエーハ上にレンズを数百〜数千個成型し、この成型されたウエーハを複数枚積層し、積層後切り出し、製造するウエーハレンズ製造の技術が求められている。
【0003】
ウエーハレンズの構成を図13に示す。ウエーハ101の上下面にレンズ102を成型し、上面の周辺に複数の位置決め用のアライメントマーク103を形成する。このアライメントマーク103が重なるようにウエーハ101を積層し、レンズユニットとして完成させる構成となっている。
【0004】
積層によりレンズユニットを構成する1枚のウエーハ101の表裏面でレンズ102で中心位置がずれている場合や、複数枚ウエーハ101を積層したレンズユニットにおいて個々のウエーハ101上のアライメントマーク基準でレンズ中心位置がずれている場合、像がボケたりし、光学性能が得られない等の課題が発生する。
【0005】
一方、この種のウエハレンズの製造時にガラス基板と、光硬化樹脂成形のためのマスターとの位置あわせ方法が特許文献1に開示されている。図14は特許文献1に記載された位置あわせ方法の手順を示す。
【0006】
図14において、符号104はマスター109のアライメントマークで、符号105は
ガラス基板107のアライメントマークである。符号106はアライメントマークの位置を計測するカメラである。
【0007】
カメラ106の高さを上下させ、上下面の各アライメントマーク104,105にフォーカスさせ、マークのXY位置が一致するように、マスター109とガラス基板107を重ね合わせる。
【0008】
詳しくは、図14に示す通り、上下方向にのみ移動可能なカメラ106において、ガラス基板107の上方からアライメントマーク105に焦点を合わせる(図14中(1)参照)。その後、カメラ106を上方に移動させてカメラ106とガラス基板107との間の位置にマスター109を配置し、カメラ106の高さ位置を調整しながら、その焦点位置をマスター109のアライメントマーク104又はその近傍に合わせる(図14中(2)参照)。
【0009】
この場合に、例えば、先に焦点位置を合わせたアライメントマーク105と、その後に焦点位置を合わせたアライメントマーク104とが、図15上段に示すような状態にあると仮定したら、ガラス基板107のアライメントマーク105に対しアライメントマーク104が合致するような位置まで、マスター109を水平方向に移動させ(図15下段参照)、この状態でマスター109を予め光硬化樹脂を塗布したガラス基板107に対し押圧して(図15中(3)参照)光照射してレンズを成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−72665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のようにウエーハレンズにおけるウエーハ101の上下面のレンズ102で中心位置のずれや、積層時の個々のウエーハ101上のアライメントマーク基準でのレンズ中心位置のずれは光学性能を低下させる。これらのずれを解消ないし低減するには、アライメントマーク基準でのレンズ中心位置を可能な限り高精度で測定することが求められる。
【0012】
しかしながら、図14及び図15を参照した説明した位置合わせ方法をアライメントマーク基準でのレンズ中心位置の測定に応用しても、高精度の測定は困難である。以下、この点について説明する。
【0013】
カメラ106をウエーハ面のZ方向に移動させる図示しない移動機構により、図14の(1)の表面のアライメントマーク105のフォーカス位置から、図14の(2)の裏面のアライメントマーク104のフォーカス位置にカメラのZ方向を移動させると、カメラ106をZ方向に移動させる図示しないステージがX方向または紙面に対して垂直なY方向の位置ずれを起こす。従って、カメラのZ高さを変えると、高精度にアライメントマーク位置を測定できない。
【0014】
図13に示す1枚のウエーハ101の表裏面のレンズ中心位置を測定する場合、例えば、まずアライメントマーク103が設けられた表面が上面となるようウエーハ101の姿勢を設定する。カメラ106がウエーハ101の上面にフォーカスするようにZ高さを調整しアライメントマーク103を測定した後、アラインメントマーク基準でプローブによりレンズ中心位置を測定する。その後、ウエーハ101の姿勢を上下反転させウエーハ101の下面に位置が変わったアライメントマーク103のZ高さ位置にカメラのZ高さを変更しフォーカスさせ、さらにアラインメントマーク基準でプローブによりレンズ中心位置を測定する。
【0015】
カメラ106を図示しない移動機構により、ウエーハ面のZ方向に移動させると、カメラ106をZ方向に移動させる図示しないステージがX方向または紙面に対して垂直なY方向の位置ずれを起こし、カメラ106のX方向またはY方向の中心位置がわずかにずれる誤差が発生する。その結果、測定したアライメントマーク基準でプローブで測定したレンズ中心位置は表面と裏面でずれたものとなる。このように、アライメントマーク基準で表面と裏面のレンズ中心を計算する場合、カメラ106のXまたはY方向の中心位置がわずかにずれる誤差により、1枚のウエーハ101で表裏のレンズ中心を高精度に測定できない。
【0016】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被測定物の形状を高精度で測定する3次元測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の3次元形状測定方法は、2つ以上の表面検出手段で被測定物の表面形状データを取得する3次元測定方法において、被測定物とは別に設けられた前記被測定物に対してXY方向の位置が移動しない校正用アライメントマークのZ方向の高さを、前記被測定物の表面高さと一致させ、高さを一致させた前記校正用アライメントマークを前記2つ以上の表面検出手段で測定し、前記測定の結果を使用して前記2つ以上の表面検出手段のXY方向のオフセットを校正し、前記2つ以上の表面検出手段で測定された前記被測定物の表面形状データと校正された前記オフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求めることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記表面検出手段は、XY方向に移動するXYステージ上でZ方向に移動する第1のZ方向移動手段に設けられた表面形状測定のためスタイラスと、前記XYステージ上でZ方向に移動する第2のZ方向移動手段に設けられたXY面内の画像を測定するカメラとであり、前記被測定物の表面高さと一致させた前記校正用アライメントマークを、前記カメラで撮影すると共に、前記スタイラスで測定し、前記撮影及び測定の結果から前記スタイラスと前記カメラの中心位置のオフセットを校正し、前記スタイラスで前記被測定物の表面形状を測定し、前記スタイラスによる測定結果と前記校正されたオフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求める。
【0019】
さらに好ましくは、前記スタイラスによる前記被測定物の表面形状の測定は、被測定物上の各レンズ面の頂点位置近傍を通る様に、レンズ面のX方向に一括して測定し、さらにレンズ面の頂点位置近傍を通る様に、Y方向に一括に測定し、前記測定データより、予め設定されたレンズのX方向、Y方向のピッチに応じて、測定データをレンズごとに分割し、レンズごとに分割されたデータについて、形状とレンズ中心のXYZ位置と姿勢を評価する。
【0020】
例えば、被測定物は薄板上に多数レンズの形成されたウエーハレンズである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の3次元測定方法によれば、被測定物の形状を高精度で測定できる。例えば、ウエハーレンズの表裏面のレンズ中心位置をアラインメントマーク基準で高精度で測定できる。つまり、ウエーハの裏面側にアライメントマークが形成され、ウエーハ表面側に凹凸がないアライメントマークをカメラで測定する場合でも、また、ウエーハ上のカメラでしか計測できないアライメントマークを基準でウエーハ上のレンズ中心を測定する場合でも、カメラとスタイラスの中心位置間の校正されたオフセット値を用いて、アライメントマーク基準でレンズ位置を測定することにより、高精度に組み立て用のアライメントマーク基準で、ウエーハ上のレンズ位置の計測を行なうことが可能となる。
【0022】
これにより、ウエーハ上のレンズで、ウエーハの上下面それぞれのレンズ形状を測定し、アライメントマーク基準での位置ずれを算出することにより、アライメントマーク基準でウエーハ上のレンズの光軸中心の位置ずれを高精度に測定することが可能となる。
【0023】
さらに、アライメントマークからの上下面の各レンズ中心軸のずれを個別に算出することができるので、上下面の各レンズ中心軸のずれを、高精度に測定することが可能となる。
【0024】
さらにまた、被測定物上の各レンズ面の頂点位置近傍を通った、X方向とY方向の一括測定データをレンズ個々のデータに分離することにより、高精度かつ高速に3次元形状を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における3次元測定方法の装置全体図。
【図2】本発明の実施の形態1における3次元測定方法のプローブ構成図。
【図3】本発明の実施の形態1における3次元測定方法の詳細図。
【図4】本発明の実施の形態1におけるウエーハレンズとアライメントマークの構成図。
【図5】本発明の実施の形態1における校正用アライメントマークの構成図。
【図6】本発明の実施の形態1における全体測定フロー。本発明の実施の形態1における校正用アライメントマークのエッジ部断面図。
【図7】本発明の実施の形態1におけるアライメントマークの位置関係詳細図。
【図8】本発明の実施の形態1における校正用アライメントマーク計測の詳細図。
【図9】本発明の実施の形態1におけるウエーハレンズの位置関係詳細図。
【図10】本発明の実施の形態1におけるウエーハレンズ測定走査経路の詳細図。
【図11】本発明の実施の形態1におけるプローブによる測定データの詳細図。
【図12】本発明の実施の形態1におけるレンズ中心位置算出の詳細図。
【図13】特許文献1に記載されたウエーハレンズの構成図。
【図14】特許文献1に記載された従来の3次元測定方法を示す図。
【図15】特許文献1に記載された従来の3次元測定方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
1)使用する3次元測定機の装置構成説明
図1は、本発明の形状測定方法を実施するための一実施形態としての形状測定装置の概略構成を示す斜視図である。図1において、XYステージ3上の石定盤14の上にXYZ座標位置を測定するための周波数安定化He−Neレーザ4が配置され、プローブ1はZ1軸ステージ2を介して石定盤14に取り付けられ、発振周波数安定化He−Neレーザ光により、固定したナノメートルオーダーの高い平面度を持つX基準ミラー5、Y基準ミラー6、Z基準ミラー7に反射させることにより、ナノメートルオーダーの超高精度でXYZ座標を測定できる。
【0028】
これらのユニットは制御演算部としてのコンピュータ41により制御され、3次元測定機と組み合わせて自動運転を行うように構成されている。
【0029】
さらに、形状測定装置は、アライメントマーク位置を測定するカメラ8、カメラ8をZ軸方向に移動させるZ2軸ステージ9と、プローブ1の先端中心位置と、カメラ8の画像の中心位置のオフセット距離を校正する校正用アライメントマーク10と、校正用アライメントマーク10をZ軸方向に移動させるZ3軸ステージ11と、測定物であるウエーハレンズ12と、ウエーハレンズ12を設置するウエーハチャック13により構成されている。図1においてX軸の+方向での時計まわりの回転をA、Y軸の+方向での時計まわりの回転をB、Z軸の+方向での時計まわりの回転をC、として以下説明する。
【0030】
図2にこの形状測定装置で使用するプローブの構成を示す。図2で、スタイラス18はマイクロエアースライダ15により支持されており、マイクロエアースライダ15の可動部分はマイクロスプリング16にて支持されている。マイクロスプリングのたわみをマイクロエアースライダ15のミラー上に照射されたフォーカス検出用レーザ19にて計測し、測定物17とスタイラス18の先端に働く弱い原子間力が一定となるように、プローブユニット20全体をZ方向の位置を、図示しないリニアモータでフィードバック制御する。同時にZ方向の変位を前記周波数安定化He−Neレーザ光21を、ミラー22に照射することにより、Z方向の位置を測定する。この状態でXY方向にこのプローブユニット全体を走査し測定面の形状を測定する。スタイラス18を取り付ける可動部であるマイクロエアースライダ15の可動部の重量を軽くできるこの構成により、最大75°の高傾斜面まで、ナノメートル精度で高精度に測定することが可能である。
【0031】
この形状測定装置は、測定物17の面上でプローブ1をXY方向に走査することにより、測定物上のXYZ座標データ列を求め、図示しない制御演算部としてのコンピュータ41によって、プローブ1によって測定されたXY座標位置でのZ座標データの列を演算処理し、測定物17の形状測定を行う。
【0032】
2)測定方式の原理
図3は本発明の測定方式の原理を示す原理図である。図3で、Z方向のプローブ1による測定を高精度に行うためにプローブ1をZ軸方向に駆動するZ1軸ステージ2が、プローブ1をXY方向に走査するXYステージ3に設置されている。また、XYステージ3には、アライメントマーク測定用のカメラ8をZ軸方向に駆動するZ2軸ステージ9が設置されている。アライメントマーク測定用のカメラ8はプローブ1に対してXY方向にオフセットした位置に設置されている。このオフセットによるプローブ1の中心とカメラ8の中心とのXY方向の距離(中心間距離)Xoは、Z2軸ステージ9上の位置によるカメラ8のZ軸方向の移動によるXY方向の位置のわずかなずれにより変化する。
【0033】
さらに、直径約200mmの円形の基板の測定物であるウエーハレンズ12(図4を併せて参照)を設置するウエーハチャック13と、ウエーハチャック13全体をZ軸回りに回転させるγステージ23と、ウエーハチャック13上に設置されたウエーハレンズ12上のXY位置を特定するアライメントマーク29を観察し、マークのパターン検出を行う図示しない認識装置により構成されている。
【0034】
さらに、測定用のプローブ1とカメラ8の中心位置オフセットを校正する校正用アライメントマーク10を、図3の石定盤24上のZ方向に移動可能なZ3軸ステージ11に設置している。後に詳述するように、この校正用アライメントマーク10をプローブ1とカメラ8で測定することで校正が実行される。
【0035】
被測定物であるウエーハレンズ12を図4に示す。ウエーハレンズ12上には、X、Yそれぞれの方向に所定のほぼ一定のピッチで格子状にレンズ34が形成されている。具体的には、ウエーハレンズ12のA面、B面の両面の同じ位置にレンズ34が形成されている。さらにウエーハレンズ12のA面の所定の位置に、アライメントマーク29が2箇所以上、形成されている。
【0036】
図5(a),(b)に校正用アライメントマーク10を示す。本実施形態では校正用アライメントマーク10では、ガラス基板25上に、0.1μm程度のクロム膜26を蒸着した半導体製造用のクロムマスク基板を用いる。クロム膜26の中央には、縦横1mm角程度の大きさの正方形状のエッチング部27が設けられている。このエッチング部27ではクロム膜26が除去されてガラス基板25が露出している。
【0037】
3)測定方式の概要
図6に本発明の3次元測定方法による、測定の全体フローを示す。
【0038】
ステップ201により測定を開始し、一連の測定を自動で行うための手順を示すコンピュータプログラムの一種であるレシピをコンピュータ41において設定する。レシピには測定するウエーハレンズ12の設計形状、ウエーハサイズ、ウエーハレンズ12上のレンズ34の設計上のX,Y方向の各レンズ中心間ピッチ、ウエーハレンズ12上のレンズ配置、測定時のプローブ1の測定速度、2つのアライメントマーク29の位置等測定に必要な情報を入力し、測定条件の設定等、測定準備を行い、その後測定を開始する。
【0039】
ステップ202で測定するウエーハレンズ12をA面(アラインメントマーク29が設けられている面)側が上になるように形状測定装置のウエーハチャック13に設置する。ウエーハレンズ12は手動で、形状測定装置のウエーハチャック13に位置を合わせてセットし、図示しない真空吸着機構により吸着する。
【0040】
その後、ステップ203により、ステップ202で設置したウエーハレンズ12のA面のアライメントマーク29の上方に位置するように、XYステージ3の図示しない駆動機構によってカメラ8のXY位置を移動させる。その後、カメラ8のフォーカス高さを、図3に示す被測定物であるウエーハレンズ12の表面のウエーハ上のアライメントマーク29の高さL1になるように、カメラ高さ調整用のZ2軸ステージ9の高さを、カメラ8の画像をコンピュータ41のモニタ(図示せず)でモニタしながらZ方向に調整し合せる。
【0041】
ステップ204ではステップ203で調整したカメラ8のフォーカス高さ位置を維持したまま、校正用アライメントマーク10の上方に位置するように、カメラ8をXYステージ3によって移動させる。次に、カメラ8を固定してXYZ方向いずれにも移動させない状態を維持したまま、校正用アライメントマーク10にカメラ8のフォーカスが合うようにZ3軸ステージ11の高さを調整する。この調整の結果、校正用アライメントマーク10のマーク面の高さL2が、被測定物であるウエハレンズ12の表面(A面)のアライメントマーク29の高さL1と一致する。
【0042】
ステップ205では、上記ステップ201〜204の手順で調整されたカメラ8で校正用アライメントマーク10を測定し、かつプローブ1でも、校正用アライメントマーク10を測定し、測定結果に基づいてプローブ1と、カメラ8の中心間距離Xoの測定(プローブ1とカメラ8の中心位置の校正)を実行する。
【0043】
ステップ206では、カメラ8とXYステージ3を用い、ウエーハレンズ12上に設けられた、2つのアライメントマーク29の位置を測定し、アライメントマーク29の中心位置を記憶する。前記測定した2つのアライメントマーク位置より、形状測定装置の座標(固定のXYZ座標系)に対するウエーハレンズ12の回転ずれ角γを測定する。
【0044】
ステップ207では測定した回転ずれ角γ分、ウエーハチャック13の下部に設けられたγステージ23によりウエーハレンズ12を回転させ、形状測定装置のX基準ミラー5、Y基準ミラー7に平行になるように調整する。
【0045】
ステップ208では、回転ずれ角γの値が予め設定された所定の値に対して規定範囲内か確認する。範囲内であればステップ209に進み、範囲外であれば、ステップ206からの手順を繰り返す。
【0046】
ステップ209では、プローブ1によりウエーハレンズ12上の各レンズ中心を通るように、一筆書き状に、X方向と、Y方向の2方向で、ウエーハレンズ12のA面の全域を測定する。
【0047】
ステップ210では、ステップ209で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、ステップ206のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置と、ステップ205で求めたプローブ1とカメラ8の中心間距離とを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ34の中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0048】
ステップ211〜219では、ウエーハレンズ12のB面について同様の処理を繰り返す。
【0049】
まず、ステップ211では上記ステップで測定したウエーハレンズ12の表裏がY軸を回転軸として反転しB面が上になるように、ウエーハチャック13に取り付ける。
【0050】
ステップ212により、下側に位置するアライメントマーク29位置に、カメラ8のフォーカス高さをZ2軸ステージ9により調整する。
【0051】
ステップ213により、212のステップでZ2軸ステージ9により調整したカメラ8のフォーカス高さ位置を維持したまま、カメラ8のフォーカスが校正用アライメントマーク10に合うように、Z3軸ステージ11を調整する。
【0052】
ステップ214では、校正用アライメントマーク10を用いて、上記ステップ211〜213の手順で調整されることによりわずかにXY方向にずれたカメラ8の中心位置とプローブ1との中心間距離XoBを測定する。
【0053】
ステップ215〜218では、上記設置状態でステップ206〜209と同様の処理を行う。
【0054】
ステップ219では、ステップ218で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、ステップ215のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置と、ステップ214で求めたプローブ1とカメラ8の中心間距離とを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ34の中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0055】
ステップ220では、A面における各レンズ34の中心位置と、B面における各レンズ34の中心位置とから、計算処理によりウエーハレンズ12の表裏のレンズ34の中心ずれを算出する。
【0056】
ステップ221にて測定を終了する。
【0057】
2)測定方式の詳細
以下、図6に記載の手順の詳細を順次説明する。
【0058】
ステップ205では、ステップ201〜204の手順で調整されたウエーハレンズ12上のアライメントマーク29と校正用アライメントマーク10の位置関係で、校正用アライメントマーク10を用いて、プローブ1とカメラ8の中心間距離XoAを測定する。
【0059】
以下、前記校正用アライメントマークを用いて、プローブとカメラの中心位置を校正する校正手順の詳細を説明する。
【0060】
まず、カメラ8により、校正用アライメントマーク10の中心位置(Xc、Yc)を以下の手順で算出する。
【0061】
ステップ204のZ3軸ステージ11の調整後、校正用アライメントマーク10のマーク中心位置に、XYステージ3によりカメラ8を移動させる。
【0062】
以降、図7に示すような画像が、カメラ8により校正用アライメントマーク10のエッチング部27として得られる。
【0063】
ここで正方形状のエッチング部27の中心位置の算出を以下の手順1〜5で行う。
【0064】
手順1:エッチング部27のX軸方向について、X測定ライン30のデータよりエッチング部27との交点位置X1L、X1Rを求め、X測定ライン31のデータよりエッチング部27との交点位置X2L、X2Rを求める。
【0065】
手順2:エッチング部27のY軸方向について、Y測定ライン32のデータよりエッチング部27との交点位置Y1D、Y1Uを求め、Y測定ライン33のデータよりエッチング部27との交点位置Y2D、Y2Uを求める。
【0066】
手順3:交点位置X1Lと交点位置X2Lを結ぶエッチング部27の縦方向のラインと、交点位置X1Rと交点位置X2Rを結ぶエッチング部27の縦方向のラインとの平均線である、Y方向測定中央ライン35を求める。
【0067】
手順4:交点位置Y1Dと交点位置Y2Dを結ぶエッチング部27の横方向のラインと、交点位置Y1Uと交点位置Y2Uを結ぶエッチング部27の横方向のラインとの平均線である、X方向測定中央ライン34を求める。
【0068】
手順5:X方向測定中央ライン34とY方向測定中央ライン35の交点であるマーク中心位置(Xc,Yc)を求める。
【0069】
以下、エッチング部27の中心位置であるマーク中心位置(Xc,Yc)の計算手順の詳細を説明する。以下の算出では、エッチング部5全体を含むクロム膜6の濃淡画像をカメラ8のCCDデータより抽出する。
ここで、X軸上の2本の測定断面をX測定ライン30とX測定ライン31として測定データを抽出する。これらのデータは図8に示すように濃淡による凹凸形状となっており、この濃淡画像の凹凸の中央部分をスレショルドとし、エッジ位置を抽出したY方向位置、つまり図7に示すXY方向のベクトル表記位置では、X測定ライン30のスレショルドの交点位置は、X1L=(X1Lx,X1y)、X1R=(X2Lx,X2y)、と表す。同様に、X測定ライン32でのスレショルドの交点位置ベクトルはX2L、X2R、と表す。同様にY軸方向の2方向のY測定ライン32とY測定ライン33の合計4箇所のスレッショルドの交点位置Y1U、Y1D、Y2U、Y2Dとして求める。
【0070】
以降、図7に示す記号を用いて、以下の式から中点を算出する。
【0071】
【数1】
【0072】
また、以下のベクトルXVを定義する。
【0073】
【数2】
【0074】
このベクトルXVを用い、tはスカラーとするとX測定中央ライン34の方程式は以下の式(1)となる。
【0075】
【数3】
【0076】
同様に、Y測定中央ライン35の方程式はスカラー量sを用いて以下の式(2)のように表される。
【0077】
【数4】
【0078】
マーク中心は方程式XL、YLで表されるライン34,35の交点であるので、(1)=(2)式よりt、sを算出すれば、マーク中心が得られる。
【0079】
方程式XL、つまり式(1)と方程式YL、つまり式(2)はそれぞれ以下の式(1)’、(2)’に変形できる。
【0080】
【数5】
【0081】
(1)’=(2)’式より以下の式(3)、(4)が得られる。
【0082】
【数6】
【0083】
(3),(4)式をtについて解くと以下の式(5)が得られる。
【0084】
【数7】
【0085】
式(5)で得られたtの値を(1)式に代入し交点、すなわちマーク中心(Xc、Yc)=Xc=t*XV+X1Cを求める。なお、式(3),(4)をsについて解いて得られたsの値を(2)式に代入してもマーク中心(Xc、Yc)を求めることができる。
【0086】
上記計算手順により、X軸方向、Y軸方向各2方向のエッジを検出することにより、カメラの画像の範囲内でのアライメントマーク位置を算出する。
【0087】
このように、アライメントマーク10のエッジ位置のX方向とY方向の中心を算出することにより、校正用アライメントマークが測定機のX又はY方向に対しわずかでも傾いて取り付いていても、高精度に校正用アライメントマークの中心(Xc、Yc)を求めることが可能となる。
【0088】
次に、プローブを校正用アライメントマーク位置に移動し、カメラで測定したX測定ライン30、X測定ライン31、Y測定ライン32、Y測定ライン33、との4本のラインと同じ経路で、プローブで、X方向、Y方向にそれぞれ2ラインずつ走査し、それぞれの方向で校正用マークの段差形状部分の、X測定ライン30、X測定ライン31、Y測定ライン32、Y測定ライン33、の高さの中央位置をスレショルドの交点位置X1L、X1R、X2L、X2R、Y1U、Y1D、Y2U、Y2Dを順次算出する。このデータを用い、前記カメラの計算手順と同様にX方向、Y方向それぞれの交点位置の中点を通る2本X測定中央ライン34、Y測定中央ライン35を算出し、この算出したX方向Y方向の2方向の直線の中心線の交点座標を算出し、プローブ測定でのアライメントマーク位置(Xa、Ya)を、上記カメラでの算出手順と同様の算出式で算出する。
【0089】
これらの測定結果より、ウエーハレンズ12のA面測定時のプローブ基準でのカメラのオフセット位置(XoA,YoA)=(Xc,Yc)−(Xa,Ya)より算出する。
【0090】
以降ウエーハレンズ12面上のレンズ測定での、カメラ8に対するプローブ1のオフセット位置はこの値を参照し、カメラ8で求めたアライメントマーク位置をプローブ基準に変換するにはこのオフセット値を差し引くことにより算出する。
【0091】
このように、ウエーハレンズ12上のアライメントマーク29の高さが変わった場合、校正用アライメントマーク10をウエーハ上のアライメントマーク高さに合わせた状態で、カメラ8とプローブ1の両方で同一マークを測定することで、カメラ8とプローブ1の正確なオフセット値を求めることができる。
【0092】
これにより、カメラ8のフォーカス調整時に調整するZ高さ調整用Z2軸ステージのXY方向の真直度がずれても、またカメラのフォーカス高さずれにより生じる光学中心位置ずれ等の計測誤差の影響を受けることなく、高精度な測定を行なうことが可能となる。
【0093】
図9において、Xw、Ywはウエーハレンズの座標系である。Xm、Ymはウエーハレンズ12が設置された形状測定装置の座標系である。しかし、この状態では、図9に示す様にXw、Ywのウエーハレンズ12の座標系と、Xm、Ymの形状測定装置の座標系は平行になるように設置できておらず多少のずれのある状態である。
【0094】
ステップ206では、カメラ8とXYステージ3を用い、ウエーハレンズ12上に設けられた、2つのアライメントマーク29の位置を測定し、アライメントマークの中心位置XaA1、XaA2を記憶する。前記測定した2つのアライメントマーク位置より、3次元測定機の座標に対し、ウエーハレンズ12の回転位置ずれγを測定する。上記算出の手順はステップ205で説明したカメラ8によるアライメントマーク中心算出手順により算出できる。
【0095】
ウエーハ上の2つのアライメントマークが図10に示すように2つのアライメントマーク29がY軸上近辺に構成されているものとして以下説明する。この2つのアライメントマーク29のXY位置ベクトルの差を求め、図10に示す様に2つのアライメントマーク29のY方向の距離をYLd、2つのマークのX方向のずれをdXとすると、測定機のZ軸まわりの回転位置ずれをγ=atan(dX/YLd)として算出する。
【0096】
そこで、ステップ207では測定したγずれ分、ウエーハチャック13の下部に設けられたγステージ23によりウエーハレンズ12を回転させ、ウエーハレンズのXY座標が3次元測定機のX基準ミラー5、Y基準ミラー7に平行になるように調整する。
【0097】
ステップ208では、γの値が予めセットされた所定の値に対するずれが規定範囲内か確認する。範囲内であればステップ209に進み、範囲外であれば、ステップ206からの手順を繰り返す。
【0098】
ステップ209では、プローブ1によりウエーハレンズ12上の各レンズ中心を通るように、一筆書き状に、X方向と、Y方向の2方向で、全ウエーハレンズを測定する。
【0099】
前記測定した2つのアライメントマーク29の位置より、ウエーハレンズ12の中心位置を算出し、測定する全レンズ34についてX方向、Y方向に一筆書き状に測定する測定経路のNCパスを作成し、図10に示すようにウエーハレンズ12上の全面のレンズ34の頂点位置付近を通るように、一筆書き状に、X方向、Y方向とプローブ1を順次走査しウエーハ上の全レンズのXY軸上の測定データを得る。
【0100】
ここで測定されるウエーハレンズ12のレンズ34の配列は、X方向、Y方向それぞれ等間隔ピッチで格子状に配置されている必要がある。この格子状に配置されたレンズ34を連続に走査して測定する。全てのレンズ形状の設計式は同一とする。
【0101】
ステップ210では、ステップ209で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、ステップ206のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置XaA1、XaA2と、プローブ1と、カメラ8の中心間距離XoAを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0102】
この手順を以下に説明する。図10に示す一筆書き状に、X方向にレンズ全面を測定し、さらにY方向にレンズ全面を測定し、プローブでの走査測定終了後、各XYの走査データで、予め入力した設計上のレンズ配列の、X方向と、Y方向のピッチに応じて、レンズ1個ごとにX方向とY方向の測定データを測定機の座標を基準に分割する。
【0103】
ここで、図9にレンズ位置(i、j)と、このレンズ位置を示すインデックスi,jの関係を示す。i,jのインデックスは、ウエーハレンズの中央のレンズを(i,j)=(0,0)として、X+方向の1個目のレンズでi=+1、Y+方向の1個目のレンズでj=+1、として定義されている。
【0104】
図11にデータ分割の手順を説明する。連続した測定データは設計ピッチの整数倍のi個ごとに、仮想中心位置X[i]=i*Xp、を設定しこの中心から、レンズの配列ピッチの半分の距離の±Xp/2の範囲のデータを、i番目のレンズのデータとして元の一筆書きデータより分割する。
【0105】
同様にY方向の仮想中心位置Y[j]=j*Yp、を設定し、この中心から、レンズの配列ピッチの半分の距離の±Yp/2の範囲のデータを、j番目のレンズのデータとして元の一筆書きデータより分割する。
【0106】
そして、交点が同一点のX方向とY方向の1セットのデータを、1個のレンズの測定データとして、図示しないコンピュータのメモリに記憶する。この分割されたデータを用い、切り出したデータをレンズごとにアライメントし、中心位置、形状ずれ、設計式からの最大ずれ量であるPV(Peak to Valley)、RMS(Root Mean Square)等を評価する。
【0107】
上記、分割された各レンズ34ごとのデータを用いて、レンズ34のXY軸上のXZとYZ断面を測定したデータから、測定機に対するレンズの中心位置を、各測定点での測定データと設計形状の差の2乗和が最小となるように、測定データ点列を設計式の座標系でX方向、Y方向、Z方向、X軸まわりのA回転方向、Y軸まわりのB回転方向に移動させ、この移動量をウエーハレンズ12上の全レンズ34について順次算出することにより、ウエーハレンズ12上の全レンズ34のレンズ中心位置を算出する。ウエーハ面片側で、それぞれのレンズ形状の設計式は同一とする。
【0108】
図12で、ウエーハ上の(i、j)位置での測定データ点列(Xk,Yk,Zk)と、設計形状である。図12では説明を容易にするために、XZ断面での測定データ点列と、設計形状を表示している。
【0109】
図12で、測定データ点列の各点のデータとZ=f(x,y)で表される設計形状を用いて、測定データの(Xk,Yk)の各位置に応じてZfkをZfk=f(Xk,Yk)より算出し、この値と前記測定データのZkとの差、Zdk=Zk−Zfkを算出し、全測定データに対する2乗和、ΣZdk2が最小となるY軸廻りの回転dBaと、X軸方向の並進移動量dXa、Z軸方向の移動量dZaを算出する。
【0110】
図12の説明ではXZ面での説明図であるが、XZ断面とYZ断面の全データの場合も同様の手順で、XYZ3次元測定データ(Xk,Yk,Zk)で、設計形状Z=f(Xk,Yk)との2乗和が最小となる移動量を、dXa,dYa,dZa,dAa,dBa、として算出することにより、XY2方向の測定データ点列より、レンズ中心位置からのずれ、dXa,dYaを算出する。このずれと、レンズの一筆書き状のデータから、各レンズ1個ずつに応じて分割する際に4−4)で定めた、前記仮想中心位置との和を、(i,j)位置でのレンズ中心位置を以下の式として、全レンズに対し、i、jの値を変化させ順次算出する。
【0111】
【数8】
【0112】
上記レンズの中心位置データ点列を、(Xf[i,j],Yf[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)、として図示しないコンピュータのメモリに記憶する。
【0113】
上記、各レンズの測定中心は、ウエーハ上のアライメントマークの座標をできるだけ測定機の座標に平行に近くなるように、前記γ軸ステージを回転させることにより設置を行ったが、γ軸モータの位置決め精度の制約上、前記2つのアライメントマークのX方向の位置ずれdXが1μm以下になるように、γ軸を回転させて位置合わせを行うことは難しい。
【0114】
そこで、カメラにより計測された前記アライメントマーク位置のずれYL2、dX2の値を用い、前記算出された全レンズの中心位置を、アライメントマークが基準となるように、レンズの全中心XY位置データ点列(Xf[i,j],Yf[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)を角度γ2=atan(dX2/YLd2)回転させ、アライメントマーク基準のレンズ中心位置を算出する。上記手順により、カメラにより求めたアライメントマーク座標に対し、高精度にレンズ中心位置を求めることが可能となる。
【0115】
ここで、図9にレンズ中心位置(Xf[i,j],Yf[i,j])と、このレンズ位置を示すインデックスi,jの関係を示す。レンズ中心位置はウエーハ上のアライメントマークを基準とした位置として(Xf[i,j],Yf[i,j])で表されられる。この配列の、i,jのインデックスは、ウエーハレンズの中央を(i,j)=(0,0)として、X+方向の1個目のレンズでi=+1、Y+方向の1個目のレンズでj=+1、として定義されている。
【0116】
ステップ211では上記ステップで測定したウエーハレンズ12の表裏がY軸を回転軸として反転しB面がプローブ1による測定側となるように、ウエーハチャック13に取り付ける。
【0117】
その後、ステップ212により、202のステップで設置したウエーハレンズ11の表面の、ウエーハ表裏がY軸を回転軸として反転させて設置することにより、透明なウエーハレンズの基板の裏面に形成されたアライメントマークを測定する場合、ウエーハの表裏の回転により、ステップ202〜210の測定では、プローブ1側にあったアライメントマーク29が、ウエーハチャック13側の位置にアライメントマーク29が移動し、ウエーハチャック側に位置するアライメントマーク29位置に、カメラ8のフォーカス高さをZ軸ステージ9により調整する。
【0118】
その後、ステップ213により、212のステップでZ軸ステージ9により調整したカメラ8のフォーカス高さ位置を維持したまま、校正用アライメントマーク10の位置にカメラ8を移動させ、前記212のステップでウエーハ表裏がY軸を回転軸として反転させて設置することにより、変化したウエーハ厚さに相当するZ高さ分、カメラ8のフォーカスが校正用アライメントマーク10に合うように、Z3軸ステージ11を調整する。
【0119】
ステップ214では、上記ステップ211〜213の手順で調整されることによりわずかにXY方向にずれたカメラ8の中心位置を、校正用アライメントマーク10を用いて、プローブ1と、カメラ8の中心間距離XoBを測定する。
【0120】
この校正手順は、前記ステップ205の説明に示した校正手順と同様の校正手順により校正する。
【0121】
ステップ215〜218では、上記設置状態でステップ206〜209と同様の処理を行う。
【0122】
ステップ219では、218で測定したX方向とY方向の2方向の測定データと、215のステップで求めた2つのアライメントマーク29の位置XaB1、XaB2と、プローブ1と、カメラ8の中心間距離XoBを用い、ウエーハレンズ12上の各レンズ中心を、アライメントマーク29基準で算出する。
【0123】
この算出手順は、前記ステップ210の説明に示した算出手順と同様の算出手順により算出する。
【0124】
ステップ220では、ステップ210で求めたアライメントマーク29基準での、A面の各レンズ中心位置と、ウエーハ表裏がY軸を回転軸として反転させて設置した、ステップ219で求めたアライメントマーク29基準での、B面の各レンズ中心位置とから、計算処理によりウエーハレンズ12の表裏のレンズの中心ずれを算出する。
【0125】
前記ステップ、210の手順で求めたウエーハ表面のレンズ中心XY位置データ点列を(Xf[i,j],Yf[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)とし、Y軸上に180度回転して設置し、測定し、前記ステップ、219の手順で求めた前記同一のウエーハレンズの裏面のレンズ中心XY位置データ点列を(Xb[i,j],Yb[i,j])(i、jはウエーハ上のXY平面でのレンズの格子位置を表す整数値)とすると、表面に対する裏面の左右方向のデータインデックスであるiの値は、裏面側で反転することより極性を反転させた値−iを用いるとレンズ位置を指定でき、レンズ表裏間の中心位置ずれの点郡は、裏面の各レンズ基準で表面の各レンズの中心位置ずれは以下の式で算出される。
【0126】
【数9】
【0127】
上記手順により、ウエーハ上の表裏に対応した位置での、全レンズの表面と裏面のレンズ中心位置ずれを求めることが可能となる。
【0128】
上記ステップ220の表面各レンズ中心位置データ、ステップ219の裏面各レンズ中心位置データ、ステップ220の表裏のレンズの中心ずれの結果によりウエーハレンズ12の特性を評価する。
【0129】
ステップ221にて測定を終了する。
【0130】
また、実際のウエーハレンズの製造では、多種の厚みのウエーハレンズが存在し、品種に応じてウエーハ上のマーク高さが変化するので、品種の切り替えに応じて、上記校正手順によりカメラ高さ調整用Z2軸ステージ9と、校正用アライメントマーク高さ調整用Z3軸ステージ11の高さを調整する。
【0131】
また、同じ種類の、ウエーハレンズ12の片面(A面またはB面)を、アライメントマーク29基準でレンズ位置を繰り返し測定する場合は、ステップ201〜210までの手順により測定することができる。この場合、繰り返し測定で2枚目以降のウエーハレンズ12の測定を行う場合は、ステップ203〜205を飛ばして測定することで、測定時間を短縮し測定することができる。
【0132】
このように校正用アライメントマークをカメラで測定し、レンズ形状とレンズ中心位置をプローブで測定し、さらに、前記校正されたオフセット値を用いることにより、ウエーハ高さ、あるいはウエーハ上のアライメントマークが表についているのか、裏についているのかの高さによって、カメラ8のフォーカス調整時に調整するZ高さ調整用Z2軸ステージのXY方向の真直度ずれ等の影響と、カメラのフォーカス高さずれにより生じる光学中心位置ずれ等の計測誤差の影響を受けることなく、高精度な測定を行なうことが可能となる。
【0133】
本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、アラインメントマーク29が設けられたウエーハレンズ12のA面の測定におけるプローブ1とカメラ8の中心距離については図6のステップ204、205のように校正用アラインメントマークを使用する必要はなくウエーハレンズ12のアラインメントマーク29を使用してステップ204、205と同様の処理を行うことで、プローブ1とカメラ8の中心距離の校正を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の3次元測定方法は、プローブを用いて高精度に3次元形状を測定する3次元において、カメラによりアライメントマーク位置を基準に高精度に測定し、プローブ位置に対するオフセットを高精度に測定することができるので、ウエーハレンズ、レンズアレイ等、1枚の基板上に複数個形成されたレンズを、高速かつ高精度に測定する3次元測定の用途にも適用できる。
【0135】
また上記実施例では、測定物をウエーハレンズでの実施例を説明したが、ウエーハレンズの代わりにウエーハレンズを製造するモールド、あるいはレンズアレイ等用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0136】
1 プローブ
2 Z1軸ステージ
3 XYステージ
8 カメラ
9 Z2軸ステージ
10 校正用アライメントマーク
11 Z3軸ステージ
12 ウエーハレンズ
29 アライメントマーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の表面検出手段で被測定物の表面形状データを取得する3次元測定方法において、
被測定物とは別に設けられた前記被測定物に対してXY方向の位置が移動しない校正用アライメントマークのZ方向の高さを、前記被測定物の表面高さと一致させ、
高さを一致させた前記校正用アライメントマークを前記2つ以上の表面検出手段で測定し、
前記測定の結果を使用して前記2つ以上の表面検出手段のXY方向のオフセットを校正し、
前記2つ以上の表面検出手段で測定された前記被測定物の表面形状データと校正された前記オフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求めることを特徴とする、3次元形状測定方法。
【請求項2】
前記表面検出手段は、XY方向に移動するXYステージ上でZ方向に移動する第1のZ方向移動手段に設けられた表面形状測定のためスタイラスと、前記XYステージ上でZ方向に移動する第2のZ方向移動手段に設けられたXY面内の画像を測定するカメラとであり、
前記被測定物の表面高さと一致させた前記校正用アライメントマークを、前記カメラで撮影すると共に、前記スタイラスで測定し、前記撮影及び測定の結果から前記スタイラスと前記カメラの中心位置のオフセットを校正し、
前記スタイラスで前記被測定物の表面形状を測定し、
前記スタイラスによる測定結果と前記校正されたオフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求めることを特徴とする、請求項1に記載の3次元形状測定方法。
【請求項3】
前記スタイラスによる前記被測定物の表面形状の測定は、被測定物上の各レンズ面の頂点位置近傍を通る様に、レンズ面のX方向に一括して測定し、さらにレンズ面の頂点位置近傍を通る様に、Y方向に一括に測定し、
前記測定データより、予め設定されたレンズのX方向、Y方向のピッチに応じて、測定データをレンズごとに分割し、レンズごとに分割されたデータについて、形状とレンズ中心のXYZ位置と姿勢を評価することを特徴とする請求項2に記載の3次元形状測定方法。
【請求項4】
前記被測定物が薄板上に多数レンズの形成されたウエーハレンズであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の形状測定方法。
【請求項1】
2つ以上の表面検出手段で被測定物の表面形状データを取得する3次元測定方法において、
被測定物とは別に設けられた前記被測定物に対してXY方向の位置が移動しない校正用アライメントマークのZ方向の高さを、前記被測定物の表面高さと一致させ、
高さを一致させた前記校正用アライメントマークを前記2つ以上の表面検出手段で測定し、
前記測定の結果を使用して前記2つ以上の表面検出手段のXY方向のオフセットを校正し、
前記2つ以上の表面検出手段で測定された前記被測定物の表面形状データと校正された前記オフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求めることを特徴とする、3次元形状測定方法。
【請求項2】
前記表面検出手段は、XY方向に移動するXYステージ上でZ方向に移動する第1のZ方向移動手段に設けられた表面形状測定のためスタイラスと、前記XYステージ上でZ方向に移動する第2のZ方向移動手段に設けられたXY面内の画像を測定するカメラとであり、
前記被測定物の表面高さと一致させた前記校正用アライメントマークを、前記カメラで撮影すると共に、前記スタイラスで測定し、前記撮影及び測定の結果から前記スタイラスと前記カメラの中心位置のオフセットを校正し、
前記スタイラスで前記被測定物の表面形状を測定し、
前記スタイラスによる測定結果と前記校正されたオフセットを用いて前記被測定物の表面形状を求めることを特徴とする、請求項1に記載の3次元形状測定方法。
【請求項3】
前記スタイラスによる前記被測定物の表面形状の測定は、被測定物上の各レンズ面の頂点位置近傍を通る様に、レンズ面のX方向に一括して測定し、さらにレンズ面の頂点位置近傍を通る様に、Y方向に一括に測定し、
前記測定データより、予め設定されたレンズのX方向、Y方向のピッチに応じて、測定データをレンズごとに分割し、レンズごとに分割されたデータについて、形状とレンズ中心のXYZ位置と姿勢を評価することを特徴とする請求項2に記載の3次元形状測定方法。
【請求項4】
前記被測定物が薄板上に多数レンズの形成されたウエーハレンズであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の形状測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−255756(P2012−255756A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130321(P2011−130321)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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