説明

4−ヒドロキシチオベンズアミド薬剤誘導体

【解決手段】 前記薬剤と共有結合するか或いは前記薬剤と共に塩を形成するHS放出部分である4−ヒドロキシチオベンズアミドから成る前記誘導体が提供される。本発明の化合物は活性の亢進、副作用の軽減、あるいはその両方を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月27日付けで出願された国際出願第PCT/CA2005/000819号に対して優先権を主張した2006年3月31日付けで出願された国際出願第PCT/CA2006/000484号の一部継続出願である。本出願はさらに、2006年6月6日付で出願された米国仮特許出願第60/804,067号に対して優先権を主張した国際出願第PCT/CA2006/000484号の一部継続出願である米国特許出願第11/759,154号の一部継続出願である。本出願はさらに2006年7月18日付けで出願された米国仮特許出願第60/807,639号および2007年1月30日付けで出願された米国仮特許出願第60/887,188号に対して優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、活性の亢進および/または副作用の軽減を伴う薬剤の硫化水素(HS)放出誘導体に関連する。特に、本発明は、薬剤と共有結合するか或いは薬剤とともに塩を形成するHS放出部分である4−ヒドロキシチオベンズアミドを有する薬剤誘導体に関連するものである。
【背景技術】
【0003】
NO合成酵素によりL−アルギニンから合成される一酸化窒素(NO)およびヘム・オキシゲナーゼによりヘムから合成される一酸化炭素(CO)はいずれも周知の神経伝達物質であり、また血管緊張の調節にも関与する。最近の研究から、硫化水素(HS)が哺乳類における第三の気体メディエーターであることが示唆されている。HSはシスタチオニンベータ−シンターゼ(cystathionine beta−synthase:CBS)またはシスタチオニン・ガンマ−リアーゼ(cystathionine gamma−lyase:CSE)により、いずれもピリドキサル5’−リン酸(ビタミンB)を補助因子に用いてL−システインから合成される。
【0004】
Sは血管平滑筋細胞、神経細胞、心筋細胞、及びすい臓ベータ細胞におけるATP感受性カリウムチャンネル(KATP)を刺激すると考えられている。さらにHSは、活性酸素および/または窒素種と反応してそれらの毒性作用を制限するが、一酸化窒素の場合のようにそれらの生理作用についても減弱させる可能性がある。
【0005】
最近の研究により、HSが血管緊張、心筋収縮性、神経伝達、インスリン分泌の調節に関与することが示されている。HS欠損が、動脈および肺高血圧症、アルツハイマー病、胃粘膜障害、および肝硬変の各種動物モデルにおいて観察された。外因性HSにより虚血/再灌流障害に関連した心筋機能障害を改善し、抗炎症薬誘発性の胃粘膜障害が軽減されると考えられている。
【0006】
より具体的には、HSが抗炎症作用および鎮痛作用を示すことが観察されている。HSは内因性物質であり、多くの組織で産生され、多くの機能に作用を及ぼすものである(Wang,Two’s company,three’s a crowd:can HS be the third endogenous gaseous transmitter?FASEB J 2002;16:1792〜1798)。また、血管拡張剤であり、血管内皮への白血球粘着を抑制可能であることも示されている(Wang,2002;Fiorucciら、Inhibition of hydrogen sulfide generation contributes to gastric injury caused by anti−inflammatory nonsteroidal drugs.Gastroenterology.2005;129;1210〜1224)。さらに、Fiorucciら(2005)は、ラットにおいて、HS供与体による前処置によりNSAID誘発性胃損傷の重症度減弱が可能であることが示している。
【0007】
内因性HSの産生が多くの疾患で変化すると考えられている。さらに、HS濃度は現在使用中の薬剤によって影響を受ける可能性がある。例えば、アセチルサリチル酸および非ステロイド性抗炎症薬(anti−inflammatory drugs:NSAIDs)は胃腸粘膜のCSE−HS経路に阻害作用を及ぼすことが示されている(Fiorucci,S.ら)。この作用はこれらの薬剤によって誘発される胃粘膜障害の一因となる可能性がある。従って、HS濃度を薬理学的に調節することが、治療的価値を有する可能性がある。
【0008】
またHSは心臓血管系の病理に関与している可能性があり、動脈性高血圧症、高脂血症、糖尿病など様々なアテローム性動脈硬化症リスク因子を有する患者において、その濃度を検査する必要があるとも考えられいる。HSが活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)によって抑制されること(Whiteman,M.ら、The novel neuromodulator hydrogen sulfide:an endogenous peroxynitrate ‘scavenger’?,J Neurochem.2004;90:765〜768)、及びアテローム性動脈硬化症、動脈性高血圧症、アルツハイマー病など多くの疾患における酸化ストレスの重要な役割を考慮すると、過剰なROS産生はHS欠損を生じさせる可能性があると考えられる。
【0009】
狭心症、高血圧症、および不整脈の治療に用いられるベータ遮断薬は、呼吸困難、気管支収縮などの呼吸器系副作用が認められ、そのため喘息、気管支炎などを有する患者では問題となる可能性がある。従って、ベータ遮断薬は喘息などの呼吸器疾患をさらに悪化させる。従って、喘息患者において呼吸器機能をさらに悪化させないためには前記薬剤の使用用量を減らす必要がある。従って、ベータ遮断薬の効果は低下する。
【0010】
血栓現象の予防に用いられるジピリダモール、アスピリンなどの抗血栓薬には腹痛、嘔気、及びその他の消化器系合併症など、多くの副作用が認められる。酸化ストレスに関連した病状を有する患者において、これら薬剤の治療効果または忍容性はアスピリンの場合のように非常に低下する。
【0011】
喘息や気管支炎の治療においてはサルブタモールなどの気管支拡張薬が用いられ、尿失禁などの病態においてはコリン作動系に作用する薬剤が用いられる。これらの薬剤の投与は、患者の心臓血管系に影響を及ぼし、心臓病患者および高血圧症患者の両方に問題をもたらす副作用を生じる可能性がある。
【0012】
呼吸器の炎症病態の治療に用いられる去痰薬および粘液溶解薬は、特に高齢者において、胸焼けや胃の刺激症状をもたらす可能性がある。
【0013】
ジホスホン酸塩(例えばアレンドロネート)などの骨吸収阻害薬は高い胃腸毒性を示す。
【0014】
心臓血管系疾患および呼吸器系疾患の治療に用いられるシルデナフィル、ザプリナストなどのホスホジエステラーゼ阻害薬は、特に酸化ストレスの病態において、忍容性および/または効果に関し同様の問題で特徴付けられる。
【0015】
セチリジン、モンテルカストなどの抗アレルギー薬は、特に効果に関し、前記病態において同様の問題を示す。
【0016】
ACE阻害薬(例えばエナラプリル、カプトプリルなど)などの抗アンジオテンシン薬および受容体拮抗薬(例えばロサルタンなど)は心臓血管疾患の治療に用いられる。これらの薬剤は、特に酸化ストレスの病態においては呼吸器系の副作用(咳など)を生じる可能性がある。
【0017】
スルホニル尿素、トルブタミド、グリピリド、グリクラジド、グリブリド、ニコチンアミドなどの抗糖尿病薬(インスリン感受性増強薬および血糖降下薬の両方)は糖尿病合併症の予防には無効である。それらの投与により胃病変などの副作用を生じる可能性がある。これらの現象は酸化ストレスの病態ではさらに激しいものとなる。
【0018】
アンピシリン、クラリスロマイシンなどの抗生物質およびアシクロビルなどの抗ウイルス薬は、胃腸刺激性を生じるなど、忍容性に関する問題を引起こす。
【0019】
ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチナムなどの抗腫瘍薬は、胃や腸など多くの臓器において高い毒性を示す。前記毒性は上記酸化ストレスの病態においてはさらに悪化する。
【0020】
ニコチン、コリン様作用薬などの抗痴呆薬は、特に酸化ストレスの病態においては低い忍容性で特徴付けられる。
【0021】
従って、先行技術の薬剤における欠点を示すことなく、酸化ストレスおよび/または内皮機能障害の病的状態にある患者に投与可能な、毒性が低くおよび/または高い効能を有する改善された治療効果を示す有効な薬剤が必要とされる。
【0022】
驚くべきことに、本発明者らは、4−ヒドロキシチオベンズアミド(本願明細書において4−HTB若しくはTBZとも称する)が組織中の有効なHS放出成分であり、薬剤と共有結合するか薬剤とともに塩を形成した場合、副作用が軽減された薬剤誘導体が形成されることを発見した。例えば、本発明の薬剤誘導体による胃腸系および/または心臓血管系副作用は有意に軽度である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一態様において、薬剤誘導体が提供され、前記誘導体は、薬剤と共有結合するか薬剤とともに塩を形成するHS放出性4−ヒドロキシチオベンズアミド(本願明細書において4−HTBまたはTBZとも称する)を含む。驚いたことに、薬剤単独、4−ヒドロキシチオベンズアミド単独、及び薬剤と4−ヒドロキシチオベンズアミドとの組合せを別々であるが併用投与した場合と比較すると、本発明の化合物は、活性の亢進または副作用の軽減またはそれら両方を示す。
【0024】
本発明の化合物は、血漿HS濃度を一時的にわずかに上昇させる。理論に束縛されるものではないが、血漿HS濃度の一時的な上昇は、生理学的範囲内であるが、薬剤の活性亢進、胃腸障害の減少、および/または心臓血管毒性の減少に寄与する可能性がある。
【0025】
さらに、本発明の化合物を高血圧ラットに投与したところ、薬剤そのものを投与した場合に比べて、誘発された収縮期血圧の上昇は意外にも有意に小幅であった。血圧上昇傾向が少ないことから、前記薬剤の長期使用において頻繁に見られる心臓血管系副作用が軽減される可能性がある。
【0026】
本発明によると、以下の一般式を有する化合物が提供され、
A−Y−X (化学式I)
式中、Aは薬剤遊離基であり、Yは−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)OC(O)、−C(O)NHCHC(O)−、O、S、N、
【0027】
【化1】

【0028】
またはゼロから成る群から選択されるものであり、更に、Xは、
【0029】
【化2】

【0030】
である化合物、及び薬学的に許容される化合物の塩であり、ただしYがゼロの時、前記薬剤誘導体はA及びXの塩である場合がある。好ましい実施形態において、A及びXはエステル結合、無水結合、チオエステル結合、アミド結合、またはアゾ結合の手段により結合している。一実施形態において、4−ヒドロキシチオベンズアミドの代わりに、チオカルバモイル安息香酸塩を用いて前記薬剤遊離基と共に塩が形成される。
【0031】
前記薬剤は様々な既知の薬剤分類から選択可能である。例えば、その薬剤分類とは、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、抗肥満薬、栄養補助食品、副腎皮質ステロイド、エラスターゼ阻害剤、鎮痛薬、抗真菌剤、腫瘍治療薬、抗嘔吐薬、鎮痛薬、心血管作動薬、抗炎症薬、駆虫剤、抗不整脈薬、抗生剤(ペニシリンを含む)、抗凝固薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗痙攣薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗ムスカリン剤、抗抗酸菌薬、抗腫瘍薬、免疫抑制剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬(睡眠薬および神経安定薬)、利尿薬、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン薬)、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニンおよびビスホスホネート、プロスタグランジン、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー剤、覚醒剤および食欲減退薬、交感神経様作用薬、甲状腺薬、血管拡張剤、キサンチンなどである。
【0032】
本発明において以下の薬剤が特に有用である。
【0033】
非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti−inflammatory drugs:NSAIDs):アセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid:ASA)、ジクロフェナク、ナプロキセン、インドメタシン、フルルビプロフェン、スリンダク、イブプロフェン、アセクロフェナク、アセメタシン、ベノキサプロフェン、ベンゾフェナク、ブロムフェナク、ブクロキシン酸、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、シクロプロフェン、シンメタシン、クリダナク、クロピラク、ジフルシナル、エトドラック、エトリコキシブ、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェノプロフェン、フェンチアザク、フルノキサプロフェン、フラプロフェン、フロブフェン、フラフェナク、イブフェナク、インドプロフェン、イソキセパク、ケトプロフェン、ケトロラック、ロキソプロフェン、ロナゾラク、ルミラコキシブ、メチアジニク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ピロミド酸、サルサレート、ミロプロフェン、オキサプロジン、オキセピナク、パラコキシブ、フェニルブタゾン、ピルプロフェン、ピロキシカム、ピロゾラク、プロチジン酸、ロフェコキシブ、サリチル酸ナトリウム、スプロフェン、チアプロフェン酸、トルメチン、バルデコキシブ、ゾメピラク、など。
【0034】
鎮痛薬:アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アミノクロルテノキサジン、アセチルサリチル2−アミノー4−ピコリン酸、アセチルサリチルサリチル酸、アニレニジン、ベノキサプロフェン、ベンジルモルフィン、5−ブロモサリチルアセテート酸、ブセチン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カプサイシン、シンコフェン、シラマドール、クロメタシン、クロニキシン、コデイン、デスモルフィン、デゾシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメフェプタノール、ジピロセチル、エプタゾシン、エトキサゼン、エチルモルフィン、オイゲノール、フロクタフェニン、フォスフォザール、グラフェニン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペプチジン、イブフェナック、p−ラクトフェネチド、レボルファノール、メプタジノール、メタゾシン、メトポン、モルヒネ、ナルブフィン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルモルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、フェナゾシン、フェノコール、フェノペリジン、フェニルブタゾン、フェニルサリチル酸、フェニルレミドール、サリシン、サリチルアミド、チオルファン、トラマドール、ジアセレイン、アクタリット、など。
【0035】
抗大腸炎薬:4−または5−アミノサリチル酸、トリメブチン、など。
【0036】
呼吸器および泌尿生殖器薬(気管支拡張薬およびコリン作動系に作用を及ぼす薬、去痰薬/粘液溶解薬、抗喘息/抗アレルギー 抗ヒスタミン薬):気管支拡張薬およびコリン作動系に作用を及ぼす薬:イソプロテネロール、マブテロール、メタプロテレノール、オキシブチニン、オキシトロピウム、臭化物、ピルブテロール、プロカテロール、プロトキロール、プロキシフィリン、レプロテロール、リミテロール、サルメテロール、ソテレノール、テルブタリン、1−テオブロミンアセト酢酸、臭化チオトロピウム、トレトキノール、ツロブテロール、ザプリナスト、シクロドリン(cyclodrine)、NS−21、2−ヒドロキシー2,2−ジフェニル―N−(1,2,3,6−テトラ ヒドローピリジンー4−イルメチル)アセトアミド、など。
【0037】
去痰薬/粘液溶解薬:アンブロキソール、ブロムヘキシン、ドミオドール、エルドステイン、グアヤコール、グアイフェネシン、ヨウ化グリセロール、レトステイン、メスナ、ソブレロール、ステプロニン、テルピン、チオプロニン、など。
【0038】
抗喘息/抗アレルギー 抗ヒスタミン薬:アクリバスチン、アロクラミド、アムレキサノックス、セチリジン、クロベンゼパム、クロモグリク酸、クロモリン、エピナスチン、フェキソフェナジン、ホルモテロール、ヒスタミン、ヒドロキシジン、レボカバスチン、ロドキサミド、マブテロール、モンテルカスト、ネドクロミル、レピリナスト、セラトロダスト、スプラタスト、トシラート、テルフェナジン、チアラミド、ウルシオール、ブロムヘキシン、など。
【0039】
ACE−阻害薬:アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ホシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、ロサルタン、モベルチプリル、ナフトピジル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、ウラピジル、など。
【0040】
ベータ遮断薬:アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブトルフィロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビボロール、ニフェナロール、ニプリダロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、キシベノロール、など。
【0041】
抗血栓薬および血管拡張薬:アセトルファン、アセチルサリチル酸、アルガトロバン、バメタン、ベンフロジルヘミスクシナート、ベンジオダロン、ベタヒスチン、ブロモビンカミン、ブフェニオード、シチコリン、クロベンフロール、クロピドグレル、シクランデラート、ダルテパリン、ジピリダモール、ドロペニラミン(dropenilamine)、エノキサパリン、フェンジリン、イフェンプロジル、イロプロスト、インドブフェン、イスボグレル、イソクスプリン、ヘパリン、ラミフィバン、ミドロジン、ナドロパリン、ニコチノイル、アルコール、ナイリドリン、オザグレル、ペルヘキシリン、フェニルプロパノールアミン、プレニラミン、パプベロリン、レビパリン、ナトリウム塩、リドグレル、スロクチジル、チノフェドリン、チンザパリン、トリフルサル、ニコチン酸キサンチノール、など。
【0042】
抗糖尿病薬:アカルボース、カルブタミド、グリボルヌリド、グリブチアゾール、ミグリトール、レパグリニド、トログリタゾン、1−ブチルーメタニルー尿素、トルレスタット、ニコチンアミド、など。
【0043】
抗腫瘍薬:アンシタビン、アンスラマイシン、アザシチジン、アザセリン、6−アザウリジン、ビカルタミド、カルビシン、カルジノフィリン、クロラムブシル、クロロゾトシン、シタラビン、ダウノルビシン、デホスファミド、デメコルチン、デノプテリン、6−ジアゾ−5−オキソーL−ノルロイシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、エダトレキセート、エフロールニチン、エノシタビン、エピルビシン、エピチオスタノール、エタニダゾール、エトポシド、フェンレチニド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヘキセストロール、イダルビシン、ロニダミン、マンノムスチン、メルファラン、メノガリル、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトブロニトール、ミトラクトール、ミトマイシン、ミトキサントロン、モピダモール、ミコフェノール酸、ニノプテリン、ノガラマイシン、パクリタキセル、ペントスタチン、ピラルビシン、ピリトレキシム、ピリカマイシン、ポドフィリン酸、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プロパゲルマニウム、ピューロマイシン、ラニムスチン、レチノイン酸、ロキニメクス、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、テニポシド、テヌアゾン酸、チアミプリン、チオグアニン、トムデックス、トポテカン、トリメトレキセート、ツベルシジン、ウベニメクス、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ゾルビシン、など。
【0044】
抗潰瘍薬:εーアセトアミドカプロン酸、アルバプロスチル、セトラキセート、シメチジン、エカベト、エンプロスチル、エサプラゾール、イルソグラジン、ミソプロストール、オメプラゾール、オルノプロスチル、パントプラゾール、プラウノトール、リオプロスチル、ロサプロストール、ロトラキセート、ソファルコン、トリモプロスチル、など。
【0045】
抗高脂血症薬(スタチン類):アトルバスタチン、シラスタチン、デルモスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ナイスタチン、ペントスタチン、ペプスタチン、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、など。
【0046】
抗生剤:アムジノシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アパルシリン、アピサイクリン、アスポキシシリン、アジダムフェニコール、アジドシリン、アズロシリン、アズトレオナム、ベンゾイルパス(benzoylpas)、ベンジルペニシリン酸、ビアペネム、ビコザマイシン、カプレオマイシン、カルベニシリン、カリンダシリン、カルモナン、セファクロール、セファドロキシル、セファマンドール、セチリジン、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフクリジン、セフジニール、セフジトレン、セフェピム、セフェタメット、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテルタン、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリンC、セファロチン、セファピリンナトリウム、セフラジン、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シノキサシン、クラブラン酸、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン、シクロセリン、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベシリン、フロモキセフ、フロキサシリン、エタシリン、イミペネム、レナムピシリン、ロラカルベフ、リメサイクリン、マフェニド、メクロサイクリン、メロペネム、メタムピシリン、メタサイクリン、メチシリンナトリウム、メズロシリン、ミノサイクリン、モキサラクタム、ムピロシン、ミキシン、ネガマイシン、ノボビオシン、オキサシリン、パニペネム、ペニシリンGカリウム塩、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、フェネチシリンカリウム塩、ピパサイクリン、ピペラシリン、ピルリマイシン、ポルフィロマイシン、プロピシリン、キナシリン、リチペネム、ロリテトラサイクリン、サンサイクリン、セデカマイシン、スペクチノマイシン、スルバクタム、スルベニシリン、テモシリン、テトラサイクリン、チカルシリン、チゲモナム、ツベルシジン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジルスロマイシン、エンビオマイシン、エリスロマイシン、ジョサマイシン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、リファブチン、リファミド、フィアマイシン、リファキシミン、ロキタマイシン、スピラマイシン、トロレアンドロマイシン、ビオマイシン、バージニアマイシン;アミカシン、アプラマイシン、アルベカシン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、フォーチミシン、ゲンタマイシン、ミクロノマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、トロスペクトロマイシン;バカンピシリン、セフカペンピボキシル、セフポドキシム・プロキセチル、パニペネム、ピバンピシリン、ピブセファレキシン、スルタミシリン、タランピシリン、カルボマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ミカマイシン、ロサラマイシン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、エンロフロキサシン、フレロキサシン、フルメキン、グレパフロキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、パズフロキサシン、ペフロキサシン、ピペミド酸、ピロミド酸、ルフロキサシン、サルフロキサシン、トスルフロキサシン、トロバフロキサシン、クロモサイクリン、グアメサイクリン、オキシテトラサイクリン、ニフルピリノール、ニフルプラジン;p−アミノサリチル酸、p−アミノサリチル酸ヒドラジド、クロファジミン、デオキシジヒドロストレプトマイシン、エタンブトール、グリコニアジド、イソニアジド、オピニアジド、フェニルアミノサリチル酸、リファンピン、リファペンチン、サリナジド、4−4’−スルホニルジアニリン、アセジアスルホン、ダプソン、スクシスルホン、p−スルファニルベンジルアミン、チアゾールスルホン、アセチル・スルファメトキシピラジン、マフェニド、4’−(メチルスルファモイル)スルファニルアニリド、サラゾスルファジミミン、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファクロールピリダジン、スルファクリソイジン、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジクラミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファエチドール、スルファグアニジン、スルファグアノール、スルファレン、スルファメラジン、スルファメータ、スルファメサジン、スルファメチゾール、スルファメトミジン、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファメチルチアゾール、スルファメトロール、スルファミドクリソイジン、スルファモクソール、スルファニルアミド、2−p−スルファニルアニリノエタノール、N,4−スルファニルスルファニルアミド、スルファニリル尿素、N−スルファニリルー3,4−キシラミド、スルファペリン、スルファフェナゾール、スルファプロキシリン、スルファピラジン、スルファピリジン、スルファソミゾール、スルファシマジン、スルファチアゾール、スルファチオ尿素、スルフィソミジン、スルフィソキサゾール、4−スルファニルアミド・サリチル酸;ネガマイシン、カルモナン、クロキシキン、ニトロキソリン、アルギニン、メトロニタゾール、など。
【0047】
抗ウイルス薬:アシクロビル、アマンタジン、シドフォビル、シタラビン、ジダノシン、ジデオキシアデノシン、エドクスジン、ファムシクロビル、フロクスウリジン、ガンシクロビル、イドクスリジン、インダナビル、ケトキサル、ラミブジン、MADU、ペンシクロビル、ポドフィロトキシン、リバビリン、リマンタジン、サキナビル、ソリブジン、スタブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、ビダラビン、キセナゾ酸、ザルシタビン、ジドブジン、など。
【0048】
骨吸収阻害薬(ビスホスホネート類):アレンドロン酸、ブテドロン酸、エチドロン酸、オキシドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、など。
【0049】
抗痴呆薬:アミリジン、ラザベミド、モフェギリン、サルベルゾル、オキシラセタム、イピダクリン、ネブラセタム、タクリン、ベルナクリン、など。
【0050】
上記前駆体薬剤は従来技術にて周知の方法に従って作成する。例えば、この参照により本願明細書に組み込まれる、Merck Index(第13版(2001年)、メルク社、ニュージャージー州Whitehouse Station)を参照。入手可能な場合は、光学異性体を含む対応異性体が使用可能である。
【0051】
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、非毒性アミン、非毒性アミノ酸など、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩もまた本発明の一部である。本発明の化合物の望ましい塩はアルギニンおよびアグマチンとの塩である。薬学的に許容できる酸付加塩も含まれる。
【0052】
本発明に従った誘導体は前記前駆体薬剤の治療適応において使用可能であり、これらの薬剤に対し以下に例示される利点を得ることが可能となる。
【0053】
本発明のNSAID誘導体は、生体が衰弱し酸化ストレスの状態にある時でさえも極めて忍容性に優れており且つ効果的である。前記NSAID誘導体は、例えば癌、喘息、心筋梗塞など、これらに限定されるものではないが、炎症が重要な発因的役割を果たすような病態で使用可能である。
【0054】
より具体的に、本発明のNSAID誘導体は、これらに限定されるものではないが、患者の炎症治療、および例えば痛みや頭痛の治療における鎮痛剤として、若しくは発熱治療のための解熱剤として、他の炎症関連障害の治療に有用である。例えば、本発明の化合物は、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、および若年性関節炎など(これらに限定されるものではないが)の関節炎の治療に有用である。このような本発明の化合物は、喘息、気管支炎、月経痙攣、腱炎、滑液包炎、皮膚関連の病態(乾癬、湿疹、熱傷、皮膚炎など)、術後炎症(白内障手術、屈折矯正手術などの眼科手術を含む)の治療において有用である。本発明の化合物は、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎などの胃腸病の治療、および結腸直腸癌などの癌の予防若しくは治療にも有用である。本発明の化合物は、血管障害、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、リウマチ熱、1型糖尿病、神経筋接合部疾患(重症筋無力症など)、白質疾患(多発性硬化症)、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、腎炎、過敏症、損傷後の腫脹、心筋虚血などの疾患における炎症の治療に有用である。前記化合物は、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼球羞明症などの眼科疾患の治療、および眼組織への急性損傷の治療においても有用である。前記化合物はウイルス感染および嚢胞性線維症に関連するような肺炎症の治療にも有用である。前記化合物はアルツハイマー病を含む皮質認知症など特定の中枢神経系疾患の治療にも有用である。本発明の化合物は関節炎の治療などに対し抗炎症薬として有用であり、副作用が顕著に少ないという更なる利点がある。これらの化合物は、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、内毒素性ショック症候群、アテローム性動脈硬化症、および脳卒中、虚血、外傷による中枢神経系損傷の治療にも有用と考えられる。前記化合物は、歯痛、筋肉痛、癌性疼痛など(これらに限定されない)の治療にも有用である。これらの化合物はヒトの治療に有用である他、ウマ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ヒツジ、ブタなどの哺乳類の治療にも有用である。
【0055】
例えば4−若しくは5−アミノサリチル酸誘導体、トリメブチン誘導体など、本発明の抗大腸炎薬誘導体は各種疾患、特に以下のような消化管の炎症病態の予防若しくは治療に利用可能である。それらの病態とは(これらに限定されるものではないが)、粘膜炎、感染症(ウイルス性、細菌性、真菌性疾患など)、クローン病などの口腔炎症病態;食道炎、化学損傷による病態(苛性アルカリ溶液の摂取など)、胃食道逆流性疾患、胆汁酸逆流、バレット食道、クローン病、食道狭窄症などの食道炎症病態;クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、感染性腸炎(クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎などの偽膜性大腸炎、サルモネラ腸炎、赤痢菌感染症、エルシニア症、クリプトスポリジウム症、ミクロスポリジア感染、ウイルス感染、など)、放射線性大腸炎、免疫不全宿主における大腸炎(虫垂炎など)、大腸の前癌病態(異形成、腸管炎症、大腸ポリープなど)、直腸炎、痔疾関連の炎症一過性直腸神経痛、直腸亀裂などの大腸の炎症病態;胆管炎、硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、胆嚢炎などの肝臓、胆嚢、および/または胆道疾患;および腸膿瘍である。
【0056】
スタチンは、アテローム性動脈硬化症の病態にあるか若しくはそのリスクのある個人に胸痛、心臓発作、脳卒中、間欠性跛行を引起すアテローム性動脈硬化の予防および治療に用いられる。アテローム性動脈硬化症のリスク因子には、コレステロールの異常高値、心臓発作の家族歴(特に若年における)、加齢、糖尿病などがある。ほとんどの人はコレステロール高値を理由にスタチンが投与される。コレステロール低下は重要であるが、心臓疾患は複雑であり、炎症など他の因子が関与している可能性がある。また一方、スタチンは肝障害、発癌可能性、筋肉の副作用、筋疾患などの有害作用を示す。
【0057】
本発明のスタチン誘導体はスタチン関連の副作用を軽減し、および/または薬理活性を改善する可能性がある。驚くべきことに、シンバスタチン誘導体であるコハク酸 2−{2−[8−(2,2−ジメチル−ブチリルオキシ)−2,6−ジメチル−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イル]−エチル}−6−オキソーテトラヒドロ−ピラン−4−イルエステル 4−チオカルバモイル−フェニルエステルは、対応するスタチン単独に比べ、3、10、30μMの濃度で血小板凝集を有意に低下させた。さらに、本発明のシンバスタチン誘導体は、同じ濃度でのシンバスタチン単独に比べて血小板cAMPを有意に上昇させた。
【0058】
本発明のアドレナリン遮断薬(α遮断薬、β遮断薬のいずれにしろ)誘導体は、高血圧、狭心症、僧帽弁逸脱、うっ血性心不全、心筋梗塞、緑内障、片頭痛、頻脈、振戦の予防若しくは治療に利用可能であり、副作用も少ない。
【0059】
本発明の抗血栓剤誘導体(アスピリン誘導体など)は抗血小板活性を強化し、胃の忍容性を改善する。抗血栓剤の主な適応は、静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)の予防と治療、心房細動患者における脳卒中の予防、急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)の予防と治療である。
【0060】
気管支拡張薬誘導体およびコリン作動系に作用する薬剤の誘導体は、気道周囲を締め付ける筋肉バンドを緩めることによって喘息症状を緩和する上で有用である。短時間作用型において、気管支拡張薬誘導体は喘息症状を緩和または抑制し、喘息発作において極めて有益である。長時間作用型において、気管支拡張薬誘導体は喘息症状の抑制を助け、喘息発作を予防する。本誘導体は頻脈、高血圧など心臓血管系に作用する副作用を軽減する。
【0061】
本発明の去痰薬誘導体および粘液溶解薬誘導体は、気道から粘液および痰を遊離させ洗浄する上で有用である。去痰薬および粘液溶解薬の胃腸忍容性は、本発明で開示されたように4−ヒドロキシチオベンズアミドで誘導体化することによって改善する可能性がある。
【0062】
本発明のビスホスホネート誘導体は、骨粗鬆症、ベヒテレフ病、骨転移、尿路結石、異所性骨化症、、関節リウマチ、変形性関節症、変性関節症などカルシウム代謝障害若しくは疾患の治療若しくは予防に有用である。消化管関連の毒性は本発明の誘導体において軽減する可能性がある。
【0063】
本発明のホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase:PDE)阻害薬(気管支拡張薬)誘導体の治療効果は向上しており、副作用は軽減する。PDE阻害薬は、特に気道疾患において抗炎症薬として可能性があることが判明している。同薬はサイトカインなどの炎症シグナルの放出を抑制し、活性酸素種の産生を阻害する。PDE阻害薬は喘息、COPD、鼻炎などの炎症性気道疾患において非ステロイド系疾病抑制薬として高い治療的および商業的効能を示す。
【0064】
抗ロイコトリエン薬、ACE阻害薬、抗糖尿病薬、抗生剤、抗ウイルス薬、抗腫瘍薬の誘導体についても、より高い効果および/または低い副作用が認められる可能性がある。
【0065】
本発明の化合物は以下のように作成可能である。
【0066】
スキーム1
NSAID誘導体[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステルの合成を例に用いてスキーム1を以下に示す。このスキームでは、NSAIDに共有結合した硫化水素放出部分にローソン試薬を用いて硫黄基を加える。
【0067】
【化3】

【0068】
遊離型のカルボキシル基を有するジクロフェナク(1)を最初にジメチルホルムアミドに溶解させて、次にヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を加える。本発明の化合物の前駆物質(4−カルバモイルフェニル 2−(2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)フェニル)アセテート(2)など)の形成に適した条件下、この混合液に4−ヒドロキシベンズアミドを加える。前駆物質では硫黄が不足している。硫黄基を加えることが可能なローソン試薬などの適切な化合物を加え、本発明の化合物([2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(3)など)を形成する。
【0069】
治療対象の具体的な病態若しくは病状に応じて、患者には本発明の化合物を、当業者に容易に判断される、治療的有効且つ安全な任意の用量において投与することが可能である。これらの化合物は一日あたり約1〜2000mgの範囲内で単回投与若しくは分割投与するのが最も望ましいが、治療対象の体重、病態、および投与経路によって必然的に異なってくる。用量が本発明の化合物の形成に用いられる特定の薬剤に影響されるのは当然のことである。しかしながら、約0.1〜100mg/kg、できれば約5〜90mg/kgの用量水準が望ましく、約5〜50mg/kgであればさらに望ましい。それでもなお治療対象患者の体重、病態、および前記薬剤への個々の反応次第で望ましい用量は異なってくることが考えられ、さらに選択された剤形の種類、そのような投与を行う期間や間隔にも影響される。ある場合には前記範囲の下限以下の用量レベルで十分以上のこともあり、また別の場合にはさらに多量な用量でも何ら有害な副作用を生じることなく使用可能である。ただし、そのような多量な用量の場合は、最初に少量ずつに分けて投与する。
【0070】
本発明の化合物はいかなる製剤処方でも投与可能であり、この製剤処方は投与経路によって決定される。これらの薬剤組成物は、相性の良い薬学的に許容される賦形剤を用いて従来の方法で調製可能である。そのような組成物の例としては、即時溶液、注射可能調製物、直腸内、点鼻、眼内、膣内用としてカプセル、錠剤、経皮パッチ、トローチ、スプレー、シロップ、粉末、顆粒、ゲル、エリキシル、座剤などがあげられる。好ましい投与経路は経口および経直腸である。
【0071】
経口投与用として、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、グリシンなど各種賦形剤に加え、でんぷん(好ましくはコーン、ジャガイモ、またはタピオカ粉)、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩などの各種崩壊剤および、ポリビニルピロリドン、蔗糖、ゼラチン、アカシアなどの造粒結合剤を含有する錠剤を使用することも可能である。さらに錠剤化のためにステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクなどの平滑剤を使用することも可能である。ゼラチンカプセルにも同様の種類の固形組成物を充填剤として使用することが可能であり、この場合の材料には高分子量のポリエチレングリコールに加えラクトースまたは乳糖も使用することが望ましい。経口投与用として水性懸濁液および/またはエリキシル剤が望ましい場合、活性成分に甘味剤または香味剤、着色物質、および必要に応じ乳化剤および/または懸濁化剤に加え水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびそれらの各種組合せを組み合わせることも可能である。
【0072】
即時放出、制御放出、持続放出、遅延放出、または標的遅延放出用として剤形を設計することが可能である。これらの用語の定義は当業者に周知である。また、前記剤形の放出特性は、重合体の混合組成、被覆基質組成、多粒子組成、被覆多粒子組成、イオン交換樹脂ベースの組成、浸透圧ベースの組成、または生分解性重合体組成によって影響を受ける可能性がある。理論に束縛されるものではないが、放出は拡散(favorable diffusion)、分解、浸食、イオン交換、浸透、またはそれらの組合せを通して影響を受ける可能性がある。
【0073】
非経口的投与用として、ごま油またはピーナッツ油のいずれか、または含水プロピレングリコールに入った活性化合物の溶液を使用することが可能である。水溶液は必要に応じ適切に中和する必要があり(8より高いpHが望ましい)、液体希釈剤を最初に等張にする必要がある。前記水溶液は静脈内注射に適している。無菌状態下におけるこれらの溶液の調製は、いずれも当業者に周知の標準的製薬技術により容易に達成される。
【0074】
以下の実施例では、当業者が本発明を作成、使用出来るようにさらに詳しく説明する。しかし当然のことながら、これらの実施形態は本発明を図示するためのものであり、請求項によって定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)、メサラミン単独、4−ヒドロキシチオベンズアミド(4−HTB)単独、メサラミンと4−HTBの混合物による治療後、TNBS誘発性大腸炎を有するマウスの疾患活動性スコアを示したものである。
【図2】図2は、5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)、メサラミン単独、4−HTB単独、メサラミンと4−ヒドロキシチオベンズアミド(4−HTB)の混合液を投与後にTNBS誘発性大腸炎を有するマウスのミエロペロキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)活性を示したものである。
【図3】図3は、グリベンクラミドを加えた場合と加えない場合におけるメサラミンおよび5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)の疼痛知覚スコア(pain perception score)を示したものである。
【図4】図4は5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)、メサラミン、及び4−ヒドロキシチオベンズアミド(4−HBT)の疼痛知覚スコアを示したものである。
【図5】図5は、アスピリンまたはアスピリン+グリベンクラミドの存在下における5アミノー2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)による60〜65分の時点での白血球粘着を示す棒グラフである。
【図6】図6は、システイン、5−アミノー2−(4−チオカルバモイルーフェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)、4−ヒドロキシチオベンズアミド(4−HBT)によるHS生成を示す棒グラフである。
【図7a】図7aは、賦形剤、マレイン酸トリメブチン、安息香酸チオカルバモイル・トリメブチン(化合物III)を用いた内臓痛知覚のラットモデルにおける知覚スコア(AWRスコア)を示したものである。
【図7b】図7bは、賦形剤およびチオカルバモイル安息香酸単独を用いた内臓痛知覚のラットモデルにおける知覚スコア(AWRスコア)を示したものである。
【図8】図8は、賦形剤、ジクロフェナク、4−ヒドロキシチオベンズアミド(TBZ)、[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XVII)を投与したラットで測定した胃損傷スコアを示したものである。
【図9】図9は、賦形剤、ジクロフェナク、4−ヒドロキシチオベンズアミド(TBZ)、[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(化合物XVII)を投与したラットで生成された胃プロスタグランジンE(PGE)量を示したものである。
【図10】図10は、賦形剤、ナプロキセン、2−(6−メトキシ−ナフタレンー2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバミル−フェニルエステル(化合物XX)を投与したラットで測定した胃損傷スコアを示す。
【図11】図11は、図10のラットの血液におけるトロンボキサンB合成量を示したものである。
【図12】図12は、賦形剤、ジクロフェナク、[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XVII)を投与しラット空気嚢アッセイを用いて測定したラットの皮下嚢における浸出PGE量を示したものである。
【図13】図13は、図12のラットにおける全血トロンボキサンB(TXB)量を示す。
【図14】図14は、賦形剤、ジクロフェナク、[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XVII)を投与したラットにおける足容積増加阻止を示したものである。
【図15】図15は、賦形剤、ナプロキセン、2−(6−メトキシーナフタレンー2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバミル−フェニルエステル(化合物XX)を投与しラット空気嚢アッセイを用いて測定したラット皮下嚢における浸出PGE量を示したものである。
【図16】図16は、インドメタシンおよび[1−(4−クロロ−ベンゾイル)−5−メトキシー2−メチル−1−H−インドール−3−イル]−酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XIX)の濃度関数としてのヒト血液によるトロンボキサン合成(ng/mL)(生体外)を示したものである。
【図17】図17は、賦形剤、ジクロフェナク、[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XVII)、ナプロキセン、4−ヒドロキシチオベンズアミド(TBZ)、2−(6−メトキシーナフタレンー2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバミル−フェニルエステル(化合物XX)を毎日一週間投与後のラットにおける胃潰瘍の表面積(mm)を示したものである。
【図18】図18は、賦形剤、ナプロキセン、2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバミル−フェニルエステル(化合物XX)を投与したラットにおける収縮期血圧の上昇(mmHg)を示したものである。
【図19】図19は、緩衝液中および肝臓ホモジネート中での培養により4−ヒドロキシチオベンズアミド(TBZ)および[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]―酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XVII)から生成された硫化水素の量を示したものである。
【図20】図20は、シンバスタチンおよびコハク酸 2−{2−[8−(2,2−ジメチルーブチリルオキシ)−2,6−ジメチルー1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドローナフタレン−1−イル]−エチル}−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−4−イル エステル 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(化合物I)がヒト血小板のADP誘発性凝集に及ぼす作用を示したものである。
【図21】図21は、シンバスタチンおよびコハク酸 2−{2−[8−(2,2−ジメチルーブチリルオキシ)−2,6−ジメチル−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドローナフタレンー1−イル]−エチル}−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−4−イル エステル 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(化合物I)がヒト血小板cAMP濃度に及ぼす作用を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0076】
化合物の作成
蛍光指示薬を加えたMacherey−Nagelシリカゲル50プレート上で薄層クロマトグラフィを行い、プレートを紫外線(254nm)で視覚化した。カラムクロマトグラフィにはKieselgel 60を用いた。合成試薬はいずれもAldrich−Sigma Chemical Companyから購入し、精製せずに用いた。溶剤の純度は分析用試薬以上であり、供給されたままの状態で使用した。真空内での溶剤除去にはBuchi R−114 Rotavaporを用いた。構造をプロトンH−NMRおよび13C−NMRにより分光学的に検証した。スペクトルはVarian Mercury Plus 400装置に記録した。化学シフトは内部基準としてMeSiを参照した。Applied Biosystem API 2000 質量分析により前記合成産物の質量スペクトルを計測した。Buchi B−540で融点を測定した。最終化合物の純度をRP−HPLCで測定した。カラムをRheodyneモデル7725インジェクタ、Waters 600 HPLC システム、Waters 486調節可能吸光度検出器(215若しくは235nmに設定)、Water 746チャート式記録計に接続した。合成された化合物の元素分析の結果は満足すべきものであった。分析は元素記号のみによって示され、結果は理論値±0.4%以内である。
【実施例1】
【0077】
[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]―酢酸 4−チオカルバモイルーフェニル エステル(別名化合物XVII)の合成
【0078】
【化4】

【0079】
4−カルバモイルフェニル 2−[2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−フェニル]酢酸(5)の合成
N,N−ジメチルホルムアミド50mL中に1(ジクロフェナク、890mg、3.0mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(445mg、3.3mmol)およびDCC(680mg、3.3mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(4、616mg、4.5mmol)を加え、0℃で1時間、室温で3時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ、得られた油性残留物をクロロホルムに溶解した。有機層を塩水で洗浄し、無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。粗生成物5をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9/1)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル 2−(2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)フェニル)アセテート(5)を得た(212mg、収率17%)。
【0080】
[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]―酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(6)の合成
4−カルバモイルフェニル 2−(2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)フェニル)アセテート(5,480mg、11.4mmol)およびローソン試薬(460mg、1.14mmol)を無水ベンゼン20mLに溶解した。反応液を50℃まで温め、6時間にわたって撹拌した。減圧下に前記溶剤を除去し、粗残留物をシリカゲル・カラム(ジクロロメタン/メチルアルコール 9.5/0.5)で精製し、当該純粋化合物6(446mg、収率91%)を得た。
H NMR(CDCl):δ4.07(s、2H)、6.59(d、1H)、6.67(s、1H)、6.98(t、1H)、7.14(t、1H)、7.19(d、1H)、7.28(t、1H)、7.33(d、2H)、7.63(s、1H)、7.97(d、2H);
13C NMR(DMSO−d):δ38.8、118.8、121.8、122.6、123.7、124.4、128.7、129.1、131.2、137.2、137.8、142.9、153.5、170.5、193.2、201.7
MS(El)、m/e 431(M);
m.p.:170〜172℃。
【実施例2】
【0081】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(2−(2−クロロ−6−フルオロフェニルアミノ)−5−メチルフェニル)アセテート(別名化合物XVIII)の合成
【0082】
【化5】

【0083】
4−カルバモイルフェニル−2−(2−(2−クロロ−6−フルオロフェニルアミノ)−5−メチルフェニル)アセテート(5)の合成
ジメチルホルムアミド15mLに1(ルミラコキシブ、223mg、0.75mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(111mg、0.825mmol)およびDCC(170mg、0.825mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(4、154mg、1.125mmol)を加え、0℃で1時間、室温で3時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物をクロロホルムに溶解し、有機層を塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。得られた粗生成物5をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9/1)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル−2−(2−(2−クロロー6−フルオロフェニルアミノ)−5−メチルフェニル)アセテート(5)を得た(111mg、収率35%)。
【0084】
4−チオカルバモイルフェニル−2−(2−(2−クロロー6−フルオロフェニルアミノ)−5−メチルフェニル)アセテート(6)の合成
4−カルバモイルフェニル−2−(2−(2−クロロ−6−フルオロフェニルアミノ)−5−メチルフェニル)アセテート、5(110mg、0.27mmol)、およびローソン試薬(109mg、0.27mmol)を無水ベンゼン15mLに溶解した。反応液を60℃まで温め、3時間にわたって撹拌した。減圧下に前記溶剤を除去し、得られた粗残留物をシリカゲル・カラム(ジクロロメタン/メチルアルコール 9.5/0.5)で精製し、純粋化合物6を得た(59mg、収率51%)。
H NMR(CDCl):δ2.32(s、3H)、4.01(s、2H)、6.46(s、1H)、6.70(d、1H)、6.92(t、1H)、7.01(d、2H)、7.11(d、2H)、7.19(d、1H)、7.62(s、NH)、7.84(d、2H);
13C NMR(DMSO−d):δ20.8、30.7、115.1、119.2,122.0、122.3、124.1、124.9、126.1、128.2、129.2,132.3、134.8、138.6、140.9、153.7、154.6、156.2、170.4、201.7
MS(El)、m/e 429(M);
m.p.:120〜122℃。
【実施例3】
【0085】
2−アセトキシー安息香酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(別名化合物XVI)の合成
【0086】
【化6】

【0087】
4−カルバモイルフェニル 2−アセトキシ安息香酸(5)の合成
ジメチルホルムアミド15mLに1(アセチルサリチル酸、500mg、2.77mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(412mg、3.05mmol)およびDCC(628mg、3.05mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(4、418mg、3.05mmol)を加え、0℃で1時間、室温で3時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物をクロロホルムに溶解し、有機層を塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。粗生成物5をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9/1)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル 2−アセトキシ安息香酸(5)を得た(410mg、収率47%)。
【0088】
4−チオカルバモイルフェニル−2−(2−(2−クロロー6−フルオロフェニルアミノ)−5−メチルフェニル)アセテート(6)の合成
4−カルバモイルフェニル 2−アセトキシ安息香酸、5(410mg、1.37mmol)およびローソン試薬(554mg、1.37mmol)を無水ベンゼン35mLに溶解した。反応液を60℃まで温め、3時間にわたって撹拌した。減圧下に溶剤を除去し、得られた粗残留物をシリカゲル・カラム(ジクロロメタン/メチルアルコール 9.5/0.5)で精製し、純粋化合物6 470mgを得た。得られた化合物を2溶剤システムによる分取RP−HPLCで精製した:A:0.1%TFA中に100%アセトニトリル、B:0.1%TFA(35分間に10%Aから60%Aの直線勾配、254nmでUV検出、流速30mL/分)に100%HOを加えることにより前記純粋化合物6(324mg、収率71%)が得られる。
H NMR(CDCl):δ2.30(s、3H)、7.17(d、1H)、7.21(d、2H)、7.40(t、1H)、7.66(t、1H)、7.94(d、2H)、8.2(d、1H)。
13C NMR(DMSO−d):δ21.2、121.9、122.4、124.3、126.4、128.7、132.4、135.1、137.3、151.5、153.7、162.7、169.8、201.8
MS(El)、m/e 316(M);
m.p.:154〜156℃。
【実施例4】
【0089】
[1−(4−クロローベンゾイル)−5−メトキシー2−メチル−1−H−インドール−3−イル]−酢酸4−チオカルバモイル−フェニルエステル(別名化合物XIX)の合成
【0090】
【化7】

【0091】
4−カルバモイルフェニル−2−[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシー2−メチルーインドールー3−イル]−酢酸(5)の合成
ジメチルホルムアミド60mLに1(インドメタシン、3g、8.38mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.25g、9.22mmol)およびDCC(1.9g、9.22mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(4、1.72g、12.6mmol)を加え、0℃で1時間、室温で2時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物を酢酸エチルに溶解し、有機層を塩水、5%NaHCO、10%クエン酸で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。得られた粗生成物5をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル−2−[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシー2−メチル−インドール−3−イル]―酢酸(5)を得た(479mg、収率12%)。
【0092】
4−チオカルバモイルフェニルー2−[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシー2−メチル−インドール−3−イル]−酢酸(6)の合成
4−カルバモイルフェニル−2−[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシー2−メチルーインドール−3−イル]−アセテート、5(340mg、0.71mmol)、ローソン試薬(287mg、0.71mmol)を無水ベンゼン15mLに溶解した。反応物を60℃まで温め、4時間にわたって撹拌した。減圧下に溶剤を除去し、得られた粗残留物をシリカゲル・カラム(ジクロロメタン/メチルアルコール 9.5/0.5)で精製し、粗化合物6 178mgを得た。得られた化合物を2溶剤システムによる分取RP−HPLCで精製した:A:0.1%TFA中に100%アセトニトリル、B:0.1%TFA(30分間に10%Aから80%Aの直線勾配、254nmでUV検出、流速30mL/分)中に100%HOを加えることにより純粋化合物6(56mg、収率16%)が得られる。
H NMR(CDCl):δ2.45(s、3H)、3.83(s、3H、OCH)、3.91(s、2H)、6.70(d、1H)、6.88(d、1H)、7.04(s、1H)、7.11(d、2H)、7.47(d、2H)、7.67(d、2H)、7.88(d、2H)。
13C NMR(DMSO−d):δ13.6、30.8、56.0、101.5、111.9、112.0、115.3、121.7、128.6、129.4、130.8、131.2、131.4、134.0、136.8、137.1、139.7、156.2、157.9、167.6、169.8、201.8
MS(El)、m/e 493(M);
m.p.:224〜226℃。
【実施例5】
【0093】
2−(6−メトキシーナフタレンー2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(別名化合物XX)の合成
【0094】
【化8】

【0095】
4−カルバモイルフェニル 2−(2−メトキシナフタレン−6−イル)プロパン酸(5)の合成
ジメチルホルムアミド80mLに1(ナプロキセン、4g、17.4mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.59g、19.14mmol)およびDCC(2.59g、19.14mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(4、3.58g、26.1mmol)を加え、0℃で1時間、室温で2時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物を酢酸エチルに溶解し、有機層を塩水、5%NaHCO、10%クエン酸で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。粗生成物5をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル 2−(2−メトキシナフタレンー6−イル)−プロパン酸(5)を得た(1.91g、収率32%)。
【0096】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(2−メトキシナフタレンー6−イル)プロパン酸(6)の合成
4−カルバモイルフェニル 2−(2−メトキシナフタレンー6−イル)−プロパン酸、5(1.80g、4.34mmol)およびローソン試薬(1.75g、4.34mmol)を無水ベンゼン130mLに溶解した。反応物を60℃まで温め、4時間にわたって撹拌した。減圧下に溶剤を除去し、得られた粗残留物をシリカゲル・カラム(ジクロロメタン/メチルアルコール 9.75:0.25)で精製し、純粋化合物6 2.9gを得た。得られた化合物をシリカゲル・オープンカラムで精製し、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、純粋化合物6を得た(970mg、収率61%)。
H NMR(DMSO−d):δ1.59(d、3H)、3.86(s、3H、OCH)、4.24(dd、1H)、7.06(d、2H)、7.18(d、1H)、7.31(s、1H)、7.50(d、1H)、7.84(s、1H)、7.85(d、1H)、7.86(s、1H)、7.89(d、2H)、9.47および9.84(s、2H、NH)。
13C NMR(DMSO−d):δ19.1、45.2、55.9、106.5、119.6、121.6、126.6、126.9、128.0、129.4、129.9、134.2、135.6、137.8、153.4、158.1、173.3、199.7。
MS(El)、m/e 366(M);
m.p.:196〜198℃。
【実施例6】
【0097】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(4−イソブチルフェニル)プロパン酸の合成
【0098】
【化9】

【0099】
ジメチルホルムアミド80mLに1(イブプロフェン、3.87g、18.8mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.8g、20.7mmol)およびDCC(4.27g、20.7mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(2、3.9g、28mmol)を加え、0℃で1時間、室温で2時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物を酢酸エチルに溶解し、有機層を塩水、5%NaHCO、10%クエン酸で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。粗生成物3をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル 2−(4−イソブチルフェニル)プロパン酸(3)を得た(2.48g、収率40%)。
【0100】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(4−イソブチルフェニル)プロパン酸(4)の合成
4−カルバモイルフェニル 2−(4−イソブチルフェニル)プロパン酸、3(2.48g、7.62mmol)およびローソン試薬(3.1g、7.62mmol)を無水ベンゼン130mLに溶解した。反応液を60℃まで温め、4時間にわたって撹拌した。減圧下に溶剤を除去した。得られた化合物をシリカゲル・オープンカラムで精製し、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、純粋化合物4を得た(1.45g、収率55%)。
H NMR(DMSO−d):δ0.84(d、6H)、1.48(d、3H)、1.79〜1.82(m、1H)、2.42(d、2H)、4.05(dd、1H)、7.05(d、2H)、7.15(d、2H)、7.28(d、2H)、7.88(d、2H)、9.49および9.87(s、2H、NH)。
13C NMR(DMSO−d):δ19.2、22.9、30.3、44.9、121.6、127.9、129.5、130.0、137.8、138.0、140.8、153.3、173.3、199.6。
MS(El)、m/e 341(M);
m.p.:121〜123℃。
【実施例7】
【0101】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(4−オキソフェニル)―プロパン酸フェニルの合成
【0102】
【化10】

【0103】
4−カルバモイルフェニル 2−(4−オキソフェニル)−プロパン酸フェニル(3)の合成
ジメチルホルムアミド80mLに1(ケトプロフェン、3g、11.8mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.76g、19.13mmol)およびDCC(2.68g、113mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(2、2.43g、17.7mmol)を加え、0℃で1時間、室温で2時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物を酢酸エチルに溶解し、有機層を塩水、5%NaHCO、10%クエン酸で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。粗生成物3をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル 2−(4−オキソフェニル)−プロパン酸フェニル(3)を得た(1.84g、収率42%)。
【0104】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(4−オキソフェニル)―プロパン酸フェニル(4)の合成
4−カルバモイルフェニル 2−(4−オキソフェニル)−プロパン酸フェニル(3)(1.84g、4.93mmol)およびローソン試薬(2g、4.93mmol)を無水ベンゼン100mLに溶解した。反応液を60℃まで温め、4時間にわたって撹拌した。減圧下に溶剤を除去した。得られた化合物をシリカゲル・オープンカラムで精製し、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、純粋化合物4を得た(0.45g、収率23%)。
H NMR(DMSO−d):δ1.53(d、3H)、4.25(dd、1H)、7.08(d、2H)、7.54〜7.73(m、9H)、7.90(d、2H)、9.51および9.88(s、2H、NH)。
13C NMR(DMSO−d):δ19.2、44.9、121.6、129.3、129.5、129.8、130.3、132.6、133.5、137.6、137.9、138.1、141.2、153.3、154.5、156.1、163.8、172.9、199.6。
MS(El)、m/e 390(M);
m.p.:114〜116℃。
【実施例8】
【0105】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(3−フルオロ,4−フェニル)プロパン酸フェニルの合成
【0106】
【化11】

【0107】
4−カルバモイルフェニル 2−(3−フルオロ,4−フェニル)プロパン酸フェニル(3)の合成
ジメチルホルムアミド80mLに1(フルルビプロフェン、2g、8.2mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.22g、9.02mmol)およびDCC(1.86g、9.02mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシベンズアミド(2、1.7g、12.2mmol)を加え、0℃で1時間、室温で2時間撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物を酢酸エチルに溶解し、有機層を塩水、5%NaHCO、10%クエン酸で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。粗生成物3をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、そこから4−カルバモイルフェニル 2−(3−フルオロ、4−フェニル)プロパン酸フェニル(3)を得た(1.09g、収率37%)。
【0108】
4−チオカルバモイルフェニル 2−(3−フルオロ,4−フェニル)プロパン酸フェニル(4)の合成
4−カルバモイルフェニル 2−(3−フルオロ,4−フェニル)プロパン酸フェニル、3(1.09g、3mmol)およびローソン試薬(1.21g、1.3mmol)を無水ベンゼン70mLに溶解した。反応液を60℃まで温め、4時間にわたって撹拌した。減圧下に溶剤を除去した。得られた化合物をシリカゲル・オープンカラムで精製し、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出し、純粋化合物4を得た(0.35g、収率31%)。
H NMR(DMSO−d):δ1.55(d、3H)、4.21(dd、1H)、7.32〜7.55(m、8H)、7.90(d、2H)、9.51および9.88(s、2H、NH2)。
13C NMR(DMSO−d):δ19.1、44.7、115.9、116.2、121.7、124.8、128.6、129.3、129.4、129.5、131.7、135.8、137.7、142.6、153.7、158.3、163.5、173.1、199.6。
MS(El)、m/e 380(M);
m.p.:142〜144℃。
【実施例9】
【0109】
4−または5−アミノー2−ヒドロキシー安息香酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(8)(別名化合物XXVII)の一般的合成法
【0110】
【化12】

【0111】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
ジオキサン25mLおよび水12.5mLに4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)を加えた溶液中に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチルージカルボネート(15.0mmol)を加え、0℃で1/2時間撹拌した。反応混合液を室温で24時間、機械的に撹拌した。前記溶剤の蒸発後、3M HCL(15mL)を前記残留物に滴下した。得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥した。得られた残留物をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(9/1)で溶出し、そこから4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノー2−ヒドロキシ安息香酸(1)を得た(収率80%)。
【0112】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、HSO濃縮物(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレン・ガス(5psi)の存在下に室温で6時間にわたって撹拌した。得られた溶液を冷たい10%NaHCO(2x100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させた。得られた残留物をMeOH/CCl4(1:1、400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、MeOH/水(1:1、2 x 200mL)で抽出した。前記抽出物を乾燥させ(NaSO)、白色固体(2)になるまで蒸発させ、白色固体をDCM/ヘキサンにより再結晶させた(収率83%)。
【0113】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(8)の合成
ジメチルホルムアミド50mLに4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノー2−ヒドロキシー安息香酸(2)(3.0mmol)を加えた溶液中に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。前記反応混合液に4−ヒドロキシ−チオベンズアミド(3.0mmol)を加え、0℃で3時間、室温で72時間にわたり機械的に撹拌した。濾過後、濾液を減圧下に蒸発させ溶剤を除去した。こうして得られた油性残留物を酢酸エチルに溶解し、有機層を塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶剤を蒸発させた。得られた粗中間物(7)にTFAの40%CHCl溶液による処理を加えた。2時間後、前記溶剤を除去し、粗残留物として化合物(8)を得た。得られた残留物をシリカゲル・オープンカラムに加え、CHCl/MeOH(8/2)で溶出し、そこから化学式XXVIIの化合物である4−または5−アミノー2−ヒドロキシ−安息香酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(8)を得た(収率48%)。
【実施例10】
【0114】
トリメブチン・チオカルバモイル安息香酸
3,4,5−トリメトキシ安息香酸2−(ジメチルアミノ)−2−フェニルブチルエステル 4−チオカルバモイル安息香酸(トリメブチン・チオカルバモイル安息香酸)の作成
【0115】
【化13】

【0116】
4−(チオカルバモイル)安息香酸(0.1モル)とトリメブチン(0.1モル)の混合液に、水(200mL)およびエチルアルコール(20mL)を加え、得られた懸濁液が透明になるまで室温で撹拌した。続いて前記溶液を冷凍し、凍結乾燥させて目的とする塩を得た(定量的収率)。
H−NMR(400MHz、DMSO−d):δ0.60(t、3H)、1.45〜1.75(m、4H)、1.80〜1.90(m、2H)、2.28(s、6H)、2.90〜3.40(m、2H)、3.69(s、9H)、3.95(m、1H)、4.73(dd、2H)、7.01(s、2H)、7.22(t、1H)、7.35(t、2H)、7.46(d、2H)、7.93(dd、4H)、9.65(bs、1H、NH)、10.05(bs、1H、NH)。
13C−NMR(400MHz、DMSO−d):δ9.07、28.9、56.5、60.8、64.5、65.7、107.1、125.3、127.4、128.1、128.6、129.5、129.7、132.3、141.8、142.5、148.5、153.4、154.8、165.9、169.4、172.5、188.6.
mp 66〜68℃(dec)。
【0117】
4−(チオカルバモイル)安息香酸の合成
前記化合物を、ここに掲げた参考文献(Fairfull、E.S.,Lowe J.L.,Peak D.A.J.Chem.Soc.1952,742)で既に報告されている方法に従って合成した。
【0118】
【化14】

【0119】
4−(チオカルバモイル)安息香酸(2)
4−シアノ安息香酸1(20.4mmol)3gをピリジン40mLに溶解し、トリエチルアミン(20.4mmol)2.1mLを加えた。乾燥硫化水素を前記溶液に4時間絶え間なく通した。次に前記混合液を水中に注ぎ、濾過により固形物を得た。石油エーテルからの再結晶により純粋化合物2 2.51gを得た(収率68%)。
MS(ESl)、m/e182.2(M)。
H NMR(DMSO−d):δ7.92(dd、4H)、9.68(s、1H、NH)、10.12(s、1H、NH)、13.25(s、1H、OH)。
13C NMR(DMSO−d):δ127.3、129.6、132.0、148.5、169.4、188.6
m.p.296〜298℃(dec.)。
【実施例11】
【0120】
コハク酸 2−{2−[8−(2,2−ジメチルーブチリルオキシ)−2,6−ジメチルー1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イル]−エチル}−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−4−イル エステル 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(3)(別名化合物 I)の合成
【0121】
【化15】

【0122】
コハク酸 4−カルバモイル−フェニルエステル 2−{2−[8−(2,2−ジメチルーブチリルオキシ)−2,6−ジメチルー1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドローナフタレン−1−イル]−エチル}−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−4−イル エステル(2)の合成
【0123】
【化16】

【0124】
ジクロロメタン3mL中にシンバスタチン(1)420mg(0.001モル)を加えた溶液を無水コハク酸110mgおよびDMAP 10mgで処理した。36時間後、EDCI 210mg(0.001モル)および4−ヒドロキシーベンズアミド170mg(0.0012モル)を撹拌しながら加えた。
【0125】
1時間後、減圧下に前記溶剤を除去し、得られた粗残留物をシリカゲルカラムで精製し、ジクロロメタン/メチルアルコール(9.5/0.5)で溶出し、白色固体として化合物2を得た(350mg;収率55%)。
MS(El)、m/e 638(M+);
H NMR(DMSO)δ0.831(m、6H、2−Me)、1.075(m、9H、3−Me)、1.53(m、6H)、1.97(m、2H)、2.27(m、5H)、2.52(d、2H)、2.62(d、2H)、3.68(m、1H)、4.07(m、1H)、5.52(m、1H)、5.50(bt、1H)、5.77(dd、1H)、5.96(d、1H)、7.08(d、2H)、7.87(d、2H)、7.94(bs、2H)。
【0126】
コハク酸 2−{2−[8−(2,2−ジメチルーブチリルオキシ)−2,6−ジメチルー1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドローナフタレンー1−イル]−エチル}−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−4−イル エステル 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(3)の合成
【0127】
【化17】

【0128】
コハク酸 4−カルバモイル−フェニルエステル 2−{2−[8−(2,2−ジメチルーブチリルオキシ)−2,6−ジメチルー1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドローナフタレン−1−イル]−エチル}−6−オキソーテトラヒドロ−ピランー4−イル エステル(2)(0.35g、0.000548モル)およびローソン試薬(0.221g、0.000548モル)を無水ベンゼン30mLに溶解した。反応液を50℃まで温め、6時間にわたって撹拌した。
MS(El)、m/e 654(M+);
1H NMR(DMSO)δ0.831(m、6H、2−Me)、1.075(m、9H、3−Me)、1.53(m、6H)、1.97(m、2H)、2.27(m、5H)、2.52(d、2H)、2.62(d、2H)、3.68(m、1H)、4.07(m、1H)、5.52(m、1H)、5.50(bt、1H)、5.77(dd、1H)、5.96(d、1H)、7.11(d、2H)、7.9(d、2H)、9.48(s、1H)、9.86(s、1H)。
化合物の検査
【実施例12】
【0129】
5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸の疾患活動性とMPO活性の比較
以下の例では、マウスへの2,4,6−トリニトロベンゼン・スルホン酸(TNBS)大腸内投与により誘発された大腸炎の標準的実験動物モデルを用いた。このモデルの詳細な説明が発表されており(Santucciら(2003)Gastroenterology 124:1381〜94)、「参考文献」を参照のこと。つまり、6〜8週齢のBalb/cマウスの腸内に、TNBS1.5mgを30%エタノール0.1mLに溶いたものを投与した。前記マウスを様々な治療群に無作為化した(群当たりn=6)。1時間後から開始しその後12時間ごとに5日間、賦形剤(1%カルボキシメチルセルロース(CMC))、5−ASA(メサラミン)単独(100mg/kg)、4−ヒドロキシチオベンズアミド(図では4−HTBと呼称)(100mg/kg)、5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(100mg/kg)(以後、化合物XXVIIと呼称)、メサラミンと4−HTBを等量ずつ(それぞれ50mg/kg)の内いずれかをマウスに経口投与した。賦形剤投与群に対し、p<0.05。各群は少なくともラット5匹で構成された。
【0130】
試験最終日に下痢および便潜血の存在についてマウスを評価し(盲検)、体重を測定した。これらのデータに基づき、「疾患活動性スコア」を計算した(前掲論文に概略が示されたごとく、0〜4の尺度で)。屠殺後、顆粒球浸潤のマーカーとしてミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)活性を測定するため、大腸の標本を摘出した。結果はすべて健康なマウスで得られた測定値とも比較した。
【0131】
図1は、化合物XXVIIが疾患症状の軽減において、メサラミン単独、4−HTB単独、メサラミンと4−HTBの混合物のいずれよりも約3倍効果的であることを示している。さらに図2は、化合物XXVIIが顆粒球浸潤の低下(MPO活性の低下)で示されるように炎症を有意に軽減したことを示している。
【実施例13】
【0132】
内臓痛知覚に関するラットモデルにおける5−アミノ−2−(4−チオカルバモイルーフェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸とメサラミンの効果の比較
次の例では、過敏性腸症候群の前臨床モデルである内臓痛知覚に関するラットモデルを用いた。ラット(雄性、Wistar系、200〜250g、イタリア、モンツァのCharles River社から購入)をプラスチックケージ内に入れ、12時間ごとの明暗サイクル(午前7時に点灯)を維持した。水道水および標準飼料を自由に得られるようにした。実験前の2〜3日間にわたり、1日当たり2〜3時間をプレキシガラス製ケージ内で過ごさせることによりラットを個々に訓練した。そうすることによってラットは移動制限環境に適応することができた。結腸直腸拡張(colorectal distension:CRD)の記録前12時間は食餌を与えないでおいた。実験は覚醒ラットを対象とし、各ラットに投与される薬剤内容が観察者に分からないようにして行った。
【0133】
試験当日、エーテルを吸入させてラットを鎮静化し、肛門縁から2cmの直腸内に2cmの長さのラテックス製バルーンを挿入し、しっぽの基部に固定した。バルーンは二連銃型のカニューレを介して圧力トランスデューサーに接続されコンピュータ(PowerLab PC,A.D. Instruments、米国マサチューセッツ州Milford)による直腸圧の持続モニターを、シリンジに接続されバルーンの膨張/収縮をそれぞれ司った。次にラットをPlexiglas(商標)プラットホーム上の小ケージ(20x8x8cm)に入れ、覚醒、順応のため1時間の猶予を与えた。鎮静状態から回復後、ラットにCRD処置を施し行動反応の試験を行った。実験前夜にバルーンを膨らませて一晩置き、ラテックスが伸びてバルーンが柔軟になるようにしておいた。
【0134】
CRDを20秒間、5分間隔で行い、水0.4mLから開始し0.4mLずつ1.6mLまで増量した。結腸パラメータおよび知覚を正確に測定するため、各強度につき拡張を2度繰り返し、各ラットのデータを平均化して分析した。各ラットに一連のCRDを2度行った。最初の一連のCRD(水0.4〜1.6mL)から20分後、薬剤を腹腔内(i.p.)に投与し2回目の一連のCRDを行った。初回と2回目の一連のCRD中の行動反応を評価、比較した。
【0135】
半定量的スコアを用いて腹部逃避反射(abdominal withdrawal reflex:AWR)を行い、CRDに対する行動反応を評価した(1)。AWRは内臓運動反射と同様の不随意運動反射であるが、後者とは対照的に、腹筋壁にさらなる感作を生じかねない(記録電極やワイヤーを埋め込むための)腹部手術を必要としないという大きな利点を有する(「参考文献」に掲げたNess,T.J.およびGebhart,G.F.による(1990)Pain 41:167〜234を参照のこと)。
【0136】
本書参考文献(Al−Chaer,E.D.ら(2000)Gastroenterology 19:1276〜85)で既述されているように、AWRの測定は、段階的CRDに対する動物反応に関する盲検化された観察者による目視観察と行動スケールに基づくAWRスコアの付与で構成される。つまり、グレード0ではCRDへの行動反応がまったく示されず、グレード1では刺激開始時に短時間の頭の動きが認められその後は不動、グレード2では腹筋の軽度収縮が認められるが、ラットの腹部はプラットホームから持ち上がらない、グレード3では腹筋が大きく収縮し、腹部がプラットホームから持ち上がる、グレード4では腹筋が激しく収縮し、体が弓なりになり、腹部、骨盤部分、陰嚢が持ち上がる。
【0137】
上述したような内臓痛知覚のラットモデルを用い、5−アミノー2−(4−チオカルバモイルーフェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)に対する疼痛知覚スコアを、ATP感受性K(KATP)チャンネル阻害剤グリベンクラミドを加えた場合と加えなかった場合とで比較した。
【0138】
図3は、賦形剤、メサラミン(100mg/kg)、および化合物XXVII(100mg/kg)投与のラット群(少なくともn=5/群)における結腸直腸拡張0.8mLに対する疼痛知覚スコアを示す。化合物XXVIIにより疼痛知覚は有意に低下したが(賦形剤投与群に対し、p<0.05)、メサラミンによる有意な作用は認められなかった。化合物XXVIIによる疼痛知覚の低下はグリベンクラミド(10mg/kg i.p.30分前)の前投与によって抑制されたが、グリベンクラミドの前投与は賦形剤またはメサラミン投与群では疼痛知覚に影響を及ぼさず、このことは化合物XXVIIの抗侵害受容作用がATP感受性K(KATP)チャンネルによって媒介される可能性を示唆する。図4は、4−ヒドロキシチオベンズアミド(4−HTB)単独(100mg/kg)が疼痛知覚に有意な作用を及ぼさなかったことを示している。
【実施例14】
【0139】
生体内において5−アミノー2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸が白血球の血管内皮への粘着に及ぼす作用
既に詳述されているように(Wallaceら、(1993)Am.J.Physiol.265:993〜998、「参考文献」を参照のこと)、白血球粘着が生体顕微鏡を用いて研究された。ラットをペントバルビタールナトリウム(60mg/kg i.p.)で麻酔し、電気メスにより腹部を切開した。呼吸を容易にするため気管切開を行った。ラットを仰臥位とし、腹部切開口を通して腸間膜の一部を体外に露出させた。前記腸間膜を、2cmの組織片の透光を可能にする光学的に透明な観察台上に慎重にセットした。脱水を最小限とするため、露出組織ははすべて生理食塩水に浸したガーゼで覆った。観察台の温度を37℃に保ち、温めた重炭酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で腸間膜を灌流した。生体顕微鏡(ニコン L25/0.35)およびアイピース(a x10)を用いて腸間膜の微小循環を観察した。直径が20〜40μmの後毛細血管細静脈を研究対象とした。顕微鏡に取付けられたビデオカメラ(パナソニック(商標) デジタル5000)が画像をモニター上に映し出し、画像は再生分析のためビデオカセットレコーダーにより記録された。腸間膜微小循環の画像を、アスピリン投与5分前(ベースライン)、アスピリン投与時(時間0〜5)、およびその後15分ごとに60分間記録した。 5分間にわたる血管のビデオ画像に基づき、白血球粘着を、血管壁に沿って30秒間以上静止したままの白血球の数(細静脈の長さ100μm当たり)として盲検的に計測した。アスピリン(または賦形剤)投与60分前に、各群(少なくともn=5)のラットに5−アミノー2−(4−チオカルバモイルーフェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)(100mg/kg)、メサラミン(50mg/kg)、賦形剤のいずれかを前投与した。これらの薬剤は胃内に投与した。一部の実験では、これら化合物の投与30分前に、ラットにグリベンクラミド(10mg/kg i.p.)または賦形剤を投与した。
【0140】
図5は実験の最終期間(60〜65分)における白血球粘着を示す。本図は化合物XXVIIがアスピリン誘発による白血球粘着を抑制する能力およびグリベンクラミド前投与が化合物XXVIIの白血球粘着抑制作用に拮抗する能力を示している。
【実施例15】
【0141】
5−アミノー2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸によるHSの生成
3つの異なった条件の下に、HS生成に関する5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)の試験を行った。1mM濃度のL−システイン、4−HBT(4−ヒドロキシチオベンズアミド)、および5−アミノ−2−(4−チオカルバモイルーフェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸から1時間以内に生成されるHSの濃度を測定した。3つの条件下にHS放出の試験を行った:(i)当該化合物が緩衝液中にある場合、(ii)当該化合物が肝臓ホモジネート中にある場合、および(iii)当該化合物がシスタチオニンγ−リアーゼ阻害剤(PAG=DL−プロパルギルグリシン;2mM)とともに肝臓ホモジネート内にある場合。結果を図6に示す。賦形剤群からの放出に比べ、p<0.05。対応する「ホモジネート」群に対し、p>0.05。HS産生に対する酵素容量を、既述(Khanら(1980)Microchem J.25:388〜395、「参考文献」参照)のものと同じリアクターを用いて測定した。分析用反応混合液2mLをリアクター中に加えた。混合液には1mM L−システイン(または化合物)、2mMピリドキサル 5’−リン酸、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH=7.4)が含まれていた。混合液中を窒素がガス吹込管経由で絶え間なく通過するようにした。管を氷浴から37℃の温浴に移すことにより反応を開始させた。(pH 12.8で2M KOH、1Mサリチル酸、0.22Mアスコルビン酸から成る)硫化物抗酸化緩衝(sulfide anti−oxidant buffer:SAOB)液4mLが入った2番目のリアクターでは、窒素流に硫酸が含まれていた[5]。37℃で90分間培養後、10%トリクロロ酢酸液1mLを混合液に加え反応を停止させた。混合液中の残留HSは、さらに60分間37℃で培養することにより、窒素流によって除去された。SAOB液中の硫化物濃度を硫化物に感受性のある電極(モデル9616S2−/Ag、Orion Research、米国マサチューセッツ州Beverly)を用いて測定した。前記試験化合物の肝臓ホモジネート中での培養試験のため、切離したラットの肝臓100〜150mgを氷冷したT−PERタンパク・エキストラクター1mL中でホモジナイズした。ホモジネートされたものを前記反応混合液に加え、濃度10%(wt/vol)とした。前記酵素反応の前に2mM DL−プロパギルグリシンを肝臓ホモジネートとともに37℃で5分間培養した。Khan S.U.,Morris G.F.、およびHidiroglou M.(1980)Rapid estimation of sulfide in rumen and blood with a sulfide−specific ion electrode.Microchem J.25:388〜395、「参考文献」参照のこと。
【0142】
図6に示した結果は、化合物XXVIIが以下の明白な特徴を有することを示唆している:
1.化合物XXVIIはHSを任意に放出し(緩衝液中)、そのことは腸での局所効果にとって望ましい。4−HTBおよびL−システインを緩衝液だけで培養した場合のHS放出は有意でなかった。
2.HSの放出は組織の存在下における方が多い;
3.化合物XXVIIからのHSの放出はHSの内因性合成に用いられる2つの主要酵素(シスタチオニンβ―シンターゼおよびシスタチオニンγ―リアーゼ)の活性とは独立に生じる。このことは、それら酵素の阻害薬(PAG;DL−プロパギルグリシン)が化合物XXVIIからのHS生成に及ぼす作用の欠如によって立証される。その一方、L−システインからのHS放出はPAGにより顕著に阻害される;
4.化合物XXVIIから産生されるHSの濃度は化合物1mMが使用された場合10〜20μMである。患者が本薬剤の通常量を服用後、大腸腔内で最高5mMの濃度のメサラミンが測定可能である(Dig.Dis.Sci.1989;34:573〜578)。HSの内因性濃度(endogenous concentration)は最高160μMである(Antioxid.Redox Signal.2003;5,493〜501)。化合物XXVIIは生理学的範囲内の濃度でHSを放出し、HS関連毒性の危険性を最小限とする。
【実施例16】
【0143】
内臓痛知覚に関するラットモデルにおけるトリメブチン・チオカルバモイル安息香酸対トリメブチン単独およびチオカルバモイル安息香酸単独の作用の比較
実施例13で説明のごとくに実験を行ったが、但しラット5匹からなる各群には賦形剤、マレイン酸トリメブチン(10mg/kg)、等モルのトリメブチン・チオカルバモイル安息香酸(化合物III)またはチオカルバモイル安息香酸単独のいずれかを投与した。
【0144】
図7(a)および7(b)は、結腸直腸拡張に対する内臓痛を軽減する上で、トリメブチン・チオカルバモイル安息香酸はマレイン酸トリメブチンまたはチオカルバモイル安息香酸のいずれよりも効果的であることを示している。
【0145】
このように、トリメブチン・チオカルバモイル安息香酸は、消化管の様々な炎症病態に関連した腹痛、および内臓痛覚の増大を特徴とする過敏性腸症候群や消化不良などの機能的胃腸障害(炎症合併の有無に関わらず)を治療する上で有用である。
【実施例17】
【0146】
本発明のNSAID化合物の胃腸安全性
本発明のジクロフェナク誘導体である[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(ここでは別名化合物XVII)を、ラットにおける胃腸安全性について評価した。特に、胃損傷、胃PGE合成、小腸潰瘍、およびヘマトクリットについて評価した。
【0147】
雄性Wistar系ラット(体重175〜200g)を、1%カルボキシメチルセルロース(賦形剤;0.2mL)単独若しくは次のいずれかをこの賦形剤に溶解したものを経口投与する前18時間にわたって絶食させた。ジクロフェナク(20mg/kg)、[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(化合物XVII)(27.3mg/kg)、4−ヒドロキシチオベンズアミド(TBZ)(7.3mg/kg)、ジクロフェナク+TBZ。化合物XVIIの用量はジクロフェナク20mg/kgの用量と等モルである。同様に、TBZの用量は化合物XVIIの用量と等モルである。
【0148】
各群ともラット5匹で構成した。前記試験化合物の投与から3時間後にラットを安楽死させ、胃の出血性損傷の範囲を盲検的に測定した(mmで)。胃の病変すべての長さを合計することにより「胃損傷スコア」を計算した。まず図8に関連し、「賦形剤」群若しくは「化合物XVII」群では胃損傷は認められなかった。化合物XVIIによる胃損傷はジクロフェナクによる胃損傷よりも有意に軽度であった。また、NSAID成分(ジクロフェナク)およびTBZを別々に(但し同時に)投与した場合、胃温存作用は認められなかった。
【0149】
これらの所見は、続いて行った盲検による組織学的評価によって確認した。前述したように(Wallaceら、Cyclooxygenase 1 contributes to inflammatory responses in rats and mice:implications for gastrointestinal toxicity.Gastroenterology 1998;115:101〜109、「参考文献」を参照のこと)、胃組織標本(100〜200)を切り出し、プロスタグランジンE(PGE)合成について評価した。つまり、前記組織標本を30分間剪刀で刻み、それらをリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)1mL中に入れ、それを振盪する温浴(37℃)中に20分間置いた。その後直ちに標本を9,000gで1分間遠心分離にかけ、その後の特異的ELISA法を用いたPGE濃度測定のため、上澄を−80℃で直ちに冷凍した(Wallaceら、1998)。
【0150】
図9からは、ジクロフェナク(TBZの併用の有無に関わらず)および化合物XVIIが胃PGE合成量を有意に低下させたことがみられ、COX−1および/またはCOX−2の阻害を示している。賦形剤に比べ、TBZ単独では胃PGE合成は低下しなかった。従って、図1に示したような化合物XVIIを投与したラットにおける胃損傷の欠如は、これらの薬剤による胃プロスタグランジン合成抑制能の変化に起因するものではなかった。胃PGE合成はこれらの薬剤および同モルのジクロフェナクによりほぼ完全に抑制された。
【0151】
図10は、本発明のナプロキセン誘導体である2―(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(化合物XX)による障害がナプロキセン自体による障害よりも有意に小さかったことを示している。これらの実験は図8に示したものと全く同じ方法で行われた。ナプロキセンおよび化合物XXをそれぞれ60μM/kgで経口投与し、3時間後に胃損傷を盲検的に評価した。化合物XXを投与したラットでは胃損傷は認められなかった。各群はラット5匹で構成されていた。これらの所見は、続いて行った盲検による組織学的評価によって確認された。
【0152】
COX−1の阻害についても同じラットを用いて評価した。既述のごとく(Wallaceら、Gastroenterology 1998)、嚢から滲出液を収集後直ちに各ラットの下大静脈から血液1mLを採取し、ガラス管に入れ、45分間凝固させた。次に前記試料を9,000gで3分間遠心分離にかけ、特異的ELISA法を用いたその後のトロンボキサンB濃度の測定のため、上澄液を−80℃で冷凍した。図11に示したように、ナプロキセンおよび化合物XXは賦形剤投与群に比べいずれもCOX−1活性を有意に(p<0.05)阻害した。
【実施例18】
【0153】
[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]―酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステルによるシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)およびシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)の阻害
生体内におけるCOX−2の阻害を、既述モデル(Wallaceら、Limited anti−inflammatory efficacy of cyclo−oxygenase−2 inhibition in carrageenan−airpouch inflammation. Br J Pharmacol 1999:126:1200〜1204、「参考文献」参照)の修正版を用いて測定した。つまり、数日間にわたって繰り返し空気を注入することにより皮下「嚢」を作成した。作成後、1%ザイモサン1mLを注入することにより嚢の炎症を誘発できる。これにより嚢内のプロスタグランジンE(PGE)が顕著に増加し、これはほぼ例外なくCOX−2に由来することが示されている。カラギーナン注入の30分前に各群(それぞれラット5匹からなる)に賦形剤(1%カルボキシメチルセルロース)、ジクロフェナク(3mg/kg)、[2−(2,6−ジクロローフェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XVII)(4.1mg/kg)のいずれかを経口投与した。ラット5匹からなるもう一つの群には賦形剤を投与したが、ザイモサンではなく0.9%滅菌生理食塩水を嚢に注入した。
【0154】
図12に見られるように、ジクロフェナクまたは化合物XVIIの前投与により、ザイモサン注入への反応として産生される嚢内のPGE濃度が顕著に低下した。賦形剤+ザイモサン投与群に対し、p<0.05これらの結果から、いずれの化合物もCOX−2を有意に阻害したことが示される。一方、TBZ単独ではCOX−2活性に有意な影響を及ぼさなかった。
【0155】
さらに、図11に関し記載されたものと同じ方法により、同じラットを用いてCOX−1阻害を評価した。図13に示したように、ジクロフェナクおよび化合物XVIIはCOX−1を通じた全血トロンボキサン合成を、いずれも80%以上阻害した。一方、TBZはCOX−1活性に有意な影響を及ぼさなかった。
【実施例19】
【0156】
生体内においてNSAID誘導体が胃損傷、COX−1活性、COX−2活性に及ぼす作用
多くの化合物の抗炎症作用(COX−2およびCOX−1阻害)および胃安全性を、上記アッセイを用いて比較した。結果の概要を表1に示す。いずれの親NSAIDも顕著な胃損傷を引起した。しかし、本発明のTBZ誘導体の場合、前記親化合物に比べ胃安全性は改善されていた。さらに表1から、TBZ誘導体は前記親化合物に比べ、COX−1および/またはCOX−2阻害能を維持するか実質的に上昇させたことが認められる。
【0157】
【表1】

【実施例20】
【0158】
NSAID誘導体が炎症に及ぼす作用
既述のように(Wallaceら、Gastroenterology 1998)、カラギーナン後足浮腫モデルを用いて[1−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 4−チオカルバモイル−フェニルエステル(化合物XVII)およびジクロフェナクの抗炎症作用を評価した。雄性Wistar系ラット(175〜200g)に、1%ラムダカラギーナン100μLを足底部に注射する30分前に前記試験化合物を経口投与した。足容積を、Ugo Basile社のhydroplethysmometerを用い、カラギーナン注射前および注射後1時間ごと5時間にわたって測定した。それぞれラット5匹からなる各群にジクロフェナク1、3、10mg/kgのいずれか、または化合物XVIIをジクロフェナク3mg/kgと等モルの用量で投与した。
【0159】
図14に示すように、ジクロフェナクはカラギーナンの足底注射で誘発された足の浮腫を用量依存性に改善した。ジクロフェナク3mg/kgと等モル量の化合物XVIIにより、足の浮腫は大いに改善した。実際のところ、化合物XVIIが足の浮腫に及ぼす作用はジクロフェナク10mg/kgの作用に匹敵した。
【0160】
化合物XVIIはジクロフェナクと同程度にプロスタグランジン合成を抑制することから、前記足浮腫モデルにおける本発明の新化合物の活性亢進は同化合物の別の特性に関連している可能性が高い。硫化水素供与体がカラギーナン誘発によるラット足浮腫を有意に改善できることが以前に証明されており(Zanardoら、Hydrogen sulphide is an endogenous modulator of leukocyte−mediated inflammation. FASEB J 2006;20:2118〜2120、「参考文献」参照)、理論に束縛されるものではないが化合物XVIIからのHS放出がジクロフェナクに比べた抗炎症作用亢進の説明になるものと思われる。
【0161】
理論に束縛されるものではないが、炎症モデルにおける本発明の化合物の付加的活性の中にはCOX−2活性の阻害亢進が原因であるものがある可能性もある。ラット空気嚢モデル(図12に関し説明のごとく)において、賦形剤、ナプロキセン、および2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバミル−フェニルエステル(化合物XX)の作用を比較した。各群はラット5匹で構成されていた。ナプロキセンおよび化合物XXをいずれも60μモル/kgの用量で投与した。図15に示したように、ナプロキセンおよび化合物XXは、賦形剤投与群に比べいずれもCOX−2活性を有意に(p<0.05、**p<0.01)抑制した。
【0162】
理論に束縛されるものではないが、炎症モデルにおける本発明のNSAID誘導体の付加的活性の中にはCOX−1活性の阻害亢進が原因であるものがある可能性もある。生体外におけるヒト全血トロンボキサンB合成に及ぼす作用に関し、賦形剤、インドメタシン、および[1−(4−クロローベンゾイル)−5−メトキシー2−メチル−1−H−インドール−3−イル]−酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XIX)を比較した。健康なボランティアの血液(0.5mL)を、メタノール単独10μL、若しくは最終濃度が0.1、0.3、1、または3μMになるように作成した前記試験薬剤が入ったガラス管に加えた。前記ガラス管をゆっくりと振盪する温浴(37℃)中に45分間置き、その後10分間遠心分離(1,000xg)にかけた。図11で示した試験におけるごとく、各試料中のトロンボキサンB濃度を特異的ELISA法を用いて測定した。図16に示すように、賦形剤投与群に比べインドメタシンと化合物XIXのいずれもが、COX−1活性を濃度依存性に阻害した。しかし、1μMおよび3μMの濃度において、化合物XIXはインドメタシンよりもCOX−1活性を有意に(p<0.05)大幅に阻害した。
【実施例21】
【0163】
本発明のNSAID誘導体における血管内皮への白血球粘着
血管内皮への白血球粘着は炎症反応における早期イベントであり、血栓形成に寄与する。硫化水素供与体はアスピリンまたは炎症促進性トリペプチドfMLPによって誘発された白血球粘着を低下させることが示されている(Zanardoら、FASEB J 2006;20:2118〜2120)。本発明による数種のNSAID誘導体が白血球粘着に及ぼす作用につき、Zanardoらが詳しく説明したように(FASEB J 2006;20:2118〜2120)、ラットを対象に生体顕微鏡を用いて評価した。
【0164】
つまり、麻酔されたラットにおいて後毛細血管腸間膜細静脈を光学顕微鏡で観察した。5分間の基本記録時間後、下の表2に掲げた前記試験化合物の一つを30μM/kgの用量で胃内投与した。ただし、ナプロキセンおよび2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオン酸 4−チオカルバミル−フェニルエステル(化合物XX)は60μ/kgの用量で投与した。試験化合物はすべて1%カルボキシメチルセルロースの賦形剤に入れて作成した。細静脈内での白血球粘着の変化を顕微鏡に取付けられたビデオカメラで録画し、録画された画像により粘着白血球の数を盲検的に数えた。各群とも5匹の雄性Wistar系ラット(体重150〜175kg)で構成された。白血球は、30秒間以上静止状態にあれば「粘着」と見なした(以下の結果は平均±SEMで示す)。実験の最後に胃を開き、解剖顕微鏡により胃損傷の有無を調べた。
【0165】
【表2】

【0166】
表2から、本発明によるアスピリンのTBZ誘導体である化合物XVIがアスピリン単独に比べ血管長100μm当たりの粘着白血球数を有意に低下させたことが認められる。また、化合物XVIはアスピリン単独に比べ胃損傷発生率を有意に低下させた。同様に、表2は、本発明によるジクロフェナクのTBZ誘導体である化合物XVIIがジクロフェナク単独に比べ、血管長100μm当たり粘着白血球数および胃損傷発生率をいずれも有意に低下させたことを示している。同じく、表2は、本発明によるナプロキセンのTBZ誘導体である化合物XXがナプロキセン単独に比べ、血管長100μm当たり粘着白血球数および胃損傷発生率をいずれも有意に低下させたことを示している。
【0167】
興味深いことに、胃への副作用が軽い選択的COX−2阻害薬であるルミラコキシブのTBZ誘導体である化合物XVIIIでは、胃損傷の発生はやはり認められなかったが、血管長100μm当たりの粘着白血球数はルミラコキシブ単独に比べ有意に少なかった。従って、TBZをCOX−2選択的NSAIDに共有結合させることにより、これらCOX−2阻害薬の心臓血管系副作用も軽減される可能性がある。
【0168】
このように、本発明のNSAID誘導体は、白血球粘着を低下させることによりNSAIDの心臓血管系副作用を軽減する可能性がある。
【実施例22】
【0169】
本発明のNSAID誘導体が胃潰瘍治癒に及ぼす作用
COX−2に選択的に作用するものを含めNSAIDsは前から存在する胃潰瘍の治癒を阻害することが多い(Stadlerら、Diclofenac delays healing of gastroduodenal mucosal lesions.Double−bling,placebo−controlled endoscopic study in healthy volunteers.Digestive Diseases and Sciences 1991;36:594〜600)。本発明の2つの化合物(化合物XVIIおよび化合物XX)が潰瘍治癒に及ぼす作用をそれぞれジクロフェナクおよびナプロキセンと比較するため、胃への潰瘍誘発後、ラットにこれらの薬剤を投与した。Elliotらが説明したように、漿膜に酢酸を塗布することによって胃潰瘍を誘発した(A nitric oxide−releasing nonsteroidal anti−inflammatory drug accelerates gastric ulcer healing in rats.Gastroenterology 1995;109:524〜530)。3日後から、それぞれラット5匹からなる各群に、賦形剤、ジクロフェナク(30μM/kg)、化合物XVII(30μM/kg)、ナプロキセン(60μM/kg)、化合物XX(60μM/kg)のいずれかを1日2回経口投与した。4日間そのような治療を行った後、ラットを安楽死させ、胃を切除し、写真に撮った。ラットに施された治療内容を知らない者が潰瘍面積(mm)を測定した。胃潰瘍誘発から3日後(すなわち薬剤投与開始前)に安楽死させたラット5匹のサブグループにおいて、潰瘍の平均表面積は24±2mmであった。図17に示したように、賦形剤、ジクロフェナク、ナプロキセンを投与したラットはいずれも同程度の治癒を示した。しかし、化合物XVIIまたは化合物XXを投与したラットの治癒状況は有意に良好であった(それぞれジクロフェナクおよびナプロキセンに比べ、p<0.05)。賦形剤群に比べTBZ単独投与では胃潰瘍の治癒は有意に影響されなかった。
【実施例23】
【0170】
本発明のNSAID誘導体が血圧に及ぼす作用
COX−2に選択性を示すものを含めたNSAIDsは、前から存在する高血圧を悪化させ、一部の降圧剤の有効性を妨げる可能性がある(Whelton,A.Nephrotoxicity of nonsteroidal anti−inflammatory drugs:physiologic foundations and clinical implications. Am.J.Med.1999;106(5B):13S−24S)。本発明のナプロキセン誘導体である化合物XXが血圧に及ぼす作用をナプロキセン単独と比較するため、最初に高血圧を誘発した上でラットにこれらの薬剤を腹腔内投与した。Ribeiroら(Chronic inhibition of nitric oxide synthesis:A new model or arterial hypertension.Hypertension 1992;20:298〜303)が以前に説明したように、前記実験の7日前にラットにNω−ニトロ−L−アルギニン・メチルエステル(400mg/L)を加えた飲用水を与えた。ラット(群当たり5〜8匹)をハロタンで麻酔し、血圧測定のため頸動脈にカニューレを挿入した。血圧はチャート式記録計で連続的に記録した。安定血圧を最低15分間測定後、ナプロキセンまたは化合物XXのいずれか60μM/kgを腹腔内にボーラス投与した。投与後60分間にわたって血圧変化を記録した。平均基礎血圧は150±6mm Hgであった。図18は、ナプロキセンが収縮期血圧を大幅に上昇させたことを示している。一方、化合物XXは賦形剤投与群と比較し収縮期血圧を上昇させず、血圧変化はジクロフェナクおよびナプロキセン誘発によるものに比べて有意に少なかった。
【実施例24】
【0171】
[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]―酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステルで生成されたHSの測定
[2−(2,6−ジクロロ−フェニルアミノ)−フェニル]―酢酸 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物XVII)およびTBZ誘発による生体外HS放出を比較するため、単離した肝臓100〜150mgを氷冷したT−PERタンパク質抽出試薬1mL中でホモジナイズした。分析反応混合液2mLをシールされた3−ネック・リアクター中の氷冷した0.1N NaOH 250μLに加えた。混合液には100mMリン酸カリウム緩衝液(pH=7.4)にPEGを加えた中に1mMの化合物XVIIまたは1mMのTBZが溶解されていた。培養は10%(w/v)肝臓ホモジネートおよび2mMピリドキサル5‘−リン酸を加えた場合とそうでない場合にわけて行った。窒素が混合液をガス吹込管経由で絶え間なく通過した。リアクターを37℃に保ち、10%トリクロロ酢酸溶液1mLを加えることによってHS抽出を開始した。 (pH 12.8で2M KOH、1Mサリチル酸、0.22Mアスコルビン酸から成る)硫化物抗酸化緩衝(sulfide anti−oxidant buffer:SAOB)液2mL中の冷却コネクタおよび泡立てによる別のリアクターでは、窒素流に硫酸が含まれていた。30分後にSAOB溶液を除去し、硫化物濃度を硫化物感受性の電極(モデル9616S2−/Ag電極、Orion Research、米国マサチューセッツ州Beverly)で測定し、HSとして示した(Ubuka、2002;Khanら、1980)。ガラス管を氷浴から37℃の温浴に移すことにより反応を開始させた。既述のように、窒素流がSAOB 2mLを含んだ2番目のリアクター中の硫酸を運んだ。37℃で90分間培養後、50%トリクロロ酢酸液1mLを混合液に加え反応を停止させた。混合液中の残留HSは、さらに30分間37℃で培養することにより、窒素流によって除去された。SAOB溶液中の塩化物濃度を既述の硫化物感受性電極によって測定した(Ubuka、2002;Khanら、1980)。
【0172】
図19に示すように、化合物XVIIを緩衝液中で培養することにより、同等量のTBZに比べ有意に多くのHSが放出された。同様に、肝臓ホモジネートで培養した場合、化合物XVIIの方がTBZよりも多くのHSを放出した。
【実施例25】
【0173】
コハク酸 2−{2−[8−(2,2−ジメチル−ブチリルオキシ)−2,6−ジメチルー1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドローナフタレン−1−イル]−エチル}−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−4−イル エステル 4−チオカルバモイルーフェニルエステル(化合物 I)およびシンバスタチンがヒト血小板凝集に及ぼす作用(生体外)
既に詳述されているように(Ma L、Elliott SN、Cirino G、Buret A、Ignarro LJ、Wallace JL.Platelets modulate gastric ulcer healing through release of endostatin and VEGF.Proc Natl Acad Sci USA 98:6470〜6475、「参考文献」参照)、多血小板血漿(PRP)を作成した。PRP中の血小板濃度をTyrode緩衝液(pH7.4)で希釈し1x 108/mLに調整した。血小板400μLをガラスキュベットに入れ、Chronolog社血小板測定装置に挿入した。キュベットにアデノシン2リン酸(ADP)を加えた時の凝集反応を5分間にわたってモニターした。まずADPに対する濃度反応曲線を作成し、次に最大凝集の70〜80%を生じるADP濃度を用いてその後の試験を行った。PRPの懸濁液を、様々な濃度(3〜30μM)のシンバスタチンまたは化合物 I、または賦形剤(メタノール)とともに37℃で10分間前培養を行った。次にADPに対する凝集反応を評価した。各薬剤の各濃度に対し、実験を4〜6回繰り返した。
【0174】
図20は、シンバスタチンおよび化合物Iがヒト血小板のADP誘発性凝集に及ぼす作用を示す。シンバスタチンは30μMの濃度でのみ血小板凝集を低下させ、一方化合物Iは3、10、30μMの濃度で血小板凝集を有意に低下させた(星印は対応する賦形剤投与群に比べた血小板凝集の有意な低下を示す)。
【実施例26】
【0175】
化合物Iおよびシンバスタチンがヒト血小板cAMPに及ぼす作用(生体外)
前記のように、多血小板血漿(PRP)を作成した。非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤IBMX(イソブチル−1−メチルキサンチン;0.5mM)が入ったガラス管にPRP 400μLを加えた。2分後、賦形剤(メタノール)または各種濃度(3〜100μM)のシンバスタチンまたは化合物Iをガラス管に加えた。陽性対照として、血小板の一部に既知のアデニル酸シクラーゼ刺激薬であるフォルスコリン(10μM)を加えた。10分後、PRPサンプルを9,000gで2分間遠心分離にかけ、上澄液を廃棄した。得られた沈殿物を緩衝液中に再懸濁し、超音波で2分間分解し、特異的酵素免疫測定法を用いてcAMP濃度を測定した(Cayman Chemical Co.,米国ミシガン州Ann Arbor)。各薬剤の各濃度に対し、実験を4〜6回繰り返した。
【0176】
図21は、シンバスタチンおよび化合物Iがヒト血小板cAMP濃度に及ぼす作用を示してる。点線はフォルスコリン(10μM)を投与した血小板におけるcAMP濃度を示す。シンバスタチンは最大濃度(100μM)においてのみ血小板cAMPを有意に上昇させたが、化合物Iは10、30、100μMの濃度で血小板cAMP濃度を有意に上昇させた。(星印は対応する賦形剤投与群との比較における血小板凝集の有意な低下を示している;p<0.05)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記一般式を有する化合物またはその塩であり、
A−Y−X(化学式I)
式中、Aは薬剤遊離基であり、Yは−C(O)O−、−C(O)NH−、−C(O)OC(O)−、−C(O)NHCHC(O)−、O、S、N、
【化18】

またはゼロから成る群から選択されるものであり、Xはチオカルバモイル安息香酸、
【化19】

から成る群から選択されるものであり、Yがゼロの場合、前記化合物はA及びXの塩である場合がある、化合物またはその塩。
【請求項2】
請求項1記載の化合物において、前記薬剤は、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、抗肥満薬、栄養補助食品、副腎皮質ステロイド、エラスターゼ阻害剤、抗真菌剤、腫瘍治療薬、抗嘔吐薬、鎮痛薬、心血管作動薬、抗炎症薬、駆虫剤、抗不整脈薬、抗生剤、抗凝固薬、抗大腸炎薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗痙攣薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗ムスカリン剤、抗抗酸菌薬、抗腫瘍薬、免疫抑制剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、収斂剤、βアドレナリン受容体遮断薬、強心剤、副腎皮質ステロイド、鎮咳薬、利尿薬、ドーパミン作動薬、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニン、副甲状腺ビスホスホネート、プロスタグランジン、性ホルモン、抗アレルギー剤、覚醒剤、食欲抑制薬、交感神経様作用薬、甲状腺薬、血管拡張剤、およびキサンチンから成る群から選択されるものである。
【請求項3】
請求項1記載の化合物において、前記薬剤は、アセチルサリチル酸(ASA)、ジクロフェナク、ナプロキセン、インドメタシン、フルルビプロフェン、スリンダク、イブプロフェン、アセクロフェナク、アセメタシン、ベノキサプロフェン、ベンゾフェナク、ブロムフェナク、ブクロキシン酸、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、シクロプロフェン、シンメタシン、クリダナク(clidanac,i/o clidenac)、クロピラク、ジフルシナル、エトドラック、エトリコキシブ、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェノプロフェン、フェンチアザク、フルノキサプロフェン、フラプロフェン、フロブフェン、フラフェナク、イブフェナク、インドプロフェン、イソキセパク、ケトプロフェン、ケトロラック、ロキソプロフェン、ロナゾラク、ルミラコキシブ、メチアジニク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ピロミド酸、サルサレート、ミロプロフェン、オキサプロジン、オキセピナク、パラコキシブ、フェニルブタゾン、ピルプロフェン、ピロキシカム、ピロゾラク、プロチジン酸、ロフェコキシブ、サリチル酸ナトリウム、スプロフェン、チアプロフェン酸、トルメチン、バルデコキシブ、ゾメピラク、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アミノクロルテノキサジン、アセチルサリチル2−アミノ−4−ピコリン酸、アセチルサリチルサリチル酸、アニレニジン、ベノキサプロフェン、ベンジルモルフィン、5−ブロモサリチルアセテート酸、ブセチン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カプサイシン、シンコフェン、シラマドール、クロメタシン、クロニキシン、コデイン、デスモルフィン、デゾシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメフェプタノール、ジピロセチル、エプタゾシン、エトキサゼン、エチルモルフィン、オイゲノール、フロクタフェニン、フォスフォザール、グラフェニン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペプチジン、イブフェナック、p−ラクトフェネチド、レボルファノール、メプタジノール、メタゾシン、メトポン、モルヒネ、ナルブフィン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルモルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、フェナゾシン、フェノコール、フェノペリジン、フェニルブタゾン、フェニルサリチル酸、フェニルレミドール、サリシン、サリチルアミド、チオルファン、トラマドール、ジアセレイン、アクタリット、4−若しくは5−アミノサリチル酸、トリメブチン、アセフィリン、アルブテロール、バムブテロール、バミフィリン、ベノニウム硫酸メチル、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロルプレナリン、ジオキセテドリン、ジフィリン、エフェドリン、エピネフリン、エプロキシノール、エタフレジン、エチルノルエピネフリン、エトフィリン、フェノテロール、臭化フルトプリウム、ヘキソプレナリン、臭化イプラトロピウム、イソエタリン、イソプロテネロール、マブテロール、メタプロテレノール、オキシブチニン、臭化オキシトロピウム、ピルブテロール、プロカテロール、プロトキロール、プロキシフィリン、レプロテロール、リミテロール、サルメテロール、ソテレノール、テルブタリン、1−テオブロミン アセト酢酸、臭化チオトロピウム、トレトキノール、ツロブテロール、ザプリナスト、シクロドリン(cyclodrine)、NS−21、2−ヒドロキシー2,2−ジフェニル―N−(1,2,3,6−テトラ ヒドローピリジンー4−イルメチル)アセトアミド、アンブロキソール、ブロムヘキシン、ドミオドール、エルドステイン、グアヤコール、グアイフェネシン、ヨウ化グリセロール、レトステイン、メスナ、ソブレロール、ステプロニン、テルピン、チオプロニン、アクリバスチン、アロクラミド、アムレキサノックス、セチリジン、クロベンゼパム、クロモグリク酸、クロモリン、エピナスチン、フェキソフェナジン、ホルモテロール、ヒスタミン、ヒドロキシジン、レボカバスチン、ロドキサミド、マブテロール、モンテルカスト、ネドクロミル、レピリナスト、セラトロダスト、スプラタスト、トシラート、テルフェナジン、チアラミド、ウルシオール、ブロムヘキシン、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、ホシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、ロサルタン、モベルチプリル、ナフトピジル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、ウラピジル、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブトルフィロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビボロール、ニフェナロール、ニプリダロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、キシベノロール、アセトルファン、アルガトロバン、バメタン、ベンフロジル・ヘミスクシナート、ベンジオダロン、ベタヒスチン、ブロモビンカミン(bromvincamine)、ブフェニオード、シチコリン、クロベンフロール、クロピドグレル、シクランデラート、ダルテパリン、ジピリダモール、ドロペニラミン(dropenilamine)、エノキサパリン、フェンジリン、イフェンプロジル、イロプロスト、インドブフェン、イスボグレル、イソクスプリン、ヘパリン、ラミフィバン、ミドロジン、ナドロパリン、ニコチノイル・アルコール、ナイリドリン、オザグレル、ペルヘキシリン、フェニルプロパノールアミン、プレニラミン、パプベロリン、レビパリン・ナトリウム塩、リドグレル、スロクチジル、チノフェドリン、チンザパリン、トリフルサル、ニコチン酸キサンチノール、アカルボース、カルブタミド、グリボルヌリド・グリブチアゾール、ミグリトール、レパグリニド、トログリタゾン、1−ブチル−3−メタニルー尿素、トルレスタット、ニコチンアミド、アンシタビン、アンスラマイシン、アザシチジン、アザセリン、6−アザウリジン、ビカルタミド、カルビシン、カルジノフィリン、クロラムブシル、クロロゾトシン、シタラビン、ダウノルビシン、デホスファミド、デメコルチン、デノプテリン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、エダトレキセート、エフロールニチン、エノシタビン、エピルビシン、エピチオスタノール、エタニダゾール、エトポシド、フェンレチニド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヘキセストロール、イダルビシン、ロニダミン、マンノムスチン、メルファラン、メノガリル、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトブロニトール、ミトラクトール、ミトマイシン、ミトキサントロン、モピダモール、ミコフェノール酸、ニノプテリン、ノガラマイシン、パクリタキセル、ペントスタチン、ピラルビシン、ピリトレキシム、ピリカマイシン、ポドフィリン酸、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プロパゲルマニウム、ピューロマイシン、ラニムスチン、レチノイン酸、ロキニメクス、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、テニポシド、テヌアゾン酸、チアミプリン、チオグアニン、トムデックス、トポテカン、トリメトレキセート、ツベルシジン、ウベニメクス、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ゾルビシン、ε−アセトアミドカプロン酸、アルバプロスチル、セトラキセート、シメチジン、エカベト、エンプロスチル、エサプラゾール、イルソグラジン、ミソプロストール、オメプラゾール、オルノプロスチル、パントプラゾール、プラウノトール、リオプロスチル、ロサプロストール、ロトラキセート、ソファルコン、トリモプロスチル、アトルバスタチン、シラスタチン、デルモスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ナイスタチン、ペントスタチン、ペプスタチン、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、アムジノシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アパルシリン、アピサイクリン、アスポキシシリン、アジダムフェニコール、アジドシリン、アズロシリン、アズトレオナム、ベンゾイルパス(benzoylpas)、ベンジルペニシリン酸、ビアペネム、ビコザマイシン、カプレオマイシン、カルベニシリン、カリンダシリン、カルモナン、セファクロール、セファドロキシル、セファマンドール、セチリジン、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフクリジン、セフジニール、セフジトレン、セフェピム、セフェタメット、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテルタン、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリル・ナトリウム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリンC、セファロチン、セファピリン・ナトリウム、セフラジン、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シノキサシン、クラブラン酸、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン、シクロセリン、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベシリン、フロモキセフ、フロキサシリン、エタシリン、イミペネム、レナムピシリン、ロラカルベフ、リメサイクリン、マフェニド、メクロサイクリン、メロペネム、メタムピシリン、メタサイクリン、メチシリンナトリウム、メズロシリン、ミノサイクリン、モキサラクタム、ムピロシン、ミキシン(myxin)、ネガマイシン、ノボビオシン、オキサシリン、パニペネム、ペニシリンGカリウム塩、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、フェネチシリンカリウム塩、ピパサイクリン、ピペラシリン、ピルリマイシン、ポルフィロマイシン、プロピシリン、キナシリン、リチペネム、ロリテトラサイクリン、サンサイクリン、セデカマイシン、スペクチノマイシン、スルバクタム、スルベニシリン、テモシリン、テトラサイクリン、チカルシリン、チゲモナム、ツベルシジン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジルスロマイシン、エンビオマイシン、エリスロマイシン、ジョサマイシン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、リファブチン、リファミド、フィアマイシン、リファキシミン、ロキタマイシン、スピラマイシン、トロレアンドロマイシン、ビオマイシン、バージニアマイシン;アミカシン、アプラマイシン、アルベカシン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、フォーチミシン、ゲンタマイシン、ミクロノマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、トロスペクトロマイシン;バカンピシリン、セフカペンピボキシル、セフポドキシム・プロキセチル、パニペネム、ピバンピシリン、ピブセファレキシン、スルタミシリン、タランピシリン、カルボマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ミカマイシン、ロサラマイシン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、エンロフロキサシン、フレロキサシン、フルメキン、グレパフロキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、パズフロキサシン、ペフロキサシン、ピペミド酸、ピロミド酸、ルフロキサシン、サルフロキサシン、トスルフロキサシン、トロバ
フロキサシン、クロモサイクリン、グアメサイクリン、オキシテトラサイクリン、ニフルピリノール、ニフルプラジン;p−アミノサリチル酸、p−アミノサリチル酸ヒドラジド、クロファジミン、デオキシジヒドロストレプトマイシン、エタンブトール、グリコニアジド、イソニアジド、オピニアジド、フェニルアミノサリチル酸、リファンピン、リファペンチン、サリナジド、4−4’−スルホニルジアニリン、アセジアスルホン、ダプソン、スクシスルホン、p−スルファニルベンジルアミン、チアゾールスルホン、アセチル・スルファメトキシピラジン、マフェニド、4’−(メチルスルファモイル)スルファニルアニリド、サラゾスルファジミミン、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファクロールピリダジン、スルファクリソイジン、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジクラミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファエチドール、スルファグアニジン、スルファグアノール、スルファレン、スルファメラジン、スルファメータ、スルファメサジン、スルファメチゾール、スルファメトミジン、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファメチルチアゾール、スルファメトロール、スルファミドクリソイジン、スルファモクソール、スルファニルアミド、2−p−スルファニルアニリノエタノール、N,4−スルファニルスルファニルアミド、スルファニリル尿素、N−スルファニリル−3,4−キシラミド、スルファペリン、スルファフェナゾール、スルファプロキシリン、スルファピラジン、スルファピリジン、スルファソミゾール、スルファシマジン、スルファチアゾール、スルファチオ尿素、スルフィソミジン、スルフィソキサゾール、4−スルファニルアミド・サリチル酸;ネガマイシン、カルモナン、クロキシキン、ニトロキソリン、アルギニン、メトロニタゾール、アシクロビル、アマンタジン、シドフォビル、シタラビン、ジダノシン、ジデオキシアデノシン、エドクスジン、ファムシクロビル、フロクスウリジン、ガンシクロビル、イドクスリジン、インダナビル、ケトキサル、ラミブジン、MADU、ペンシクロビル、ポドフィロトキシン、リバビリン、リマンタジン、サキナビル、ソリブジン、スタブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、ビダラビン、キセナゾ酸、ザルシタビン、ジドブジン、アレンドロン酸、ブテドロン酸、エチドロン酸、オキシドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、アミリジン、ラザベミド、モフェギリン、サルベルゾール、オキシラセタム、イピダクリン、ネブラセタム、タクリン、ベルナクリン、から成る群から選択されるものである。
【請求項4】
請求項1記載の化合物において、前記薬剤は非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、抗大腸炎薬、鎮痛薬、抗高脂血症薬から成る群から選択されるものである。
【請求項5】
請求項4記載の化合物において、前記高脂血症薬はスタチンである。
【請求項6】
請求項5記載の化合物において、前記スタチンはアトルバスタチン、シラスタチン、デルモスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、二スタチン、ペントスタチン、ペプスタチン、プリバスタチン・ナトリウム、シンバスタチンから成る群から選択されるものである。
【請求項7】
請求項6記載の化合物において、前記化合物はコハク酸2−{2−[8−(2,2−ジメチル−ブチリルオキシ)−2,6−ジメチルー1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イル]−エチル}−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−4−イル エステル 4−チオカルバモイルーフェニルエステルである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2009−543811(P2009−543811A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519765(P2009−519765)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001273
【国際公開番号】WO2008/009118
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(507391133)アンタイブ セラピューティクス インク. (4)
【Fターム(参考)】