説明

4−[9−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−8−(2,4,6−トリフルオロ−フェニルアミノ)−9H−プリン−2−イルアミノ]−シクロヘキサン−1−オールを含む固体形態、それらの組成物、及びそれらの使用

4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オールを含む固体形態、該固体形態を含有する組成物、該固体形態の製造方法、並びに各種疾患及び/又は障害の治療のためのそれらの使用方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容全体が引用により本明細書中に組み込まれている2006年10月27日出願の米国特許仮出願第60/854757号の利益を主張する。
【0002】
(1. 発明の分野)
本明細書中では、4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オールを含む固体形態、該固体形態を含有する組成物、該固体形態の製造方法、並びに各種疾患及び/又は障害の治療のためのそれらの使用方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
(2. 発明の背景)
固体形態の変化が、数ある重要な医薬的特性の中でも、加工、製剤、安定性及び生物学的利用能に関して利益又は不利益をもたらし得る各種の物理的及び化学的特性に影響を及ぼす可能性があることを考慮すれば、医薬化合物の固体形態の確認及び選択は複雑である。在り得る医薬固体には、結晶性固体及び非晶性固体が含まれる。非晶性固体は、長い範囲の構造的秩序を欠くことによって特徴付けられ、一方、結晶性固体は、構造の周期性によって特徴付けられる。医薬固体の所望される部類は、具体的な応用分野によって決まり、時には、例えば、増強された溶出プロフィールをベースにして非晶性固体が選択され、一方、例えば、物理的又は化学的安定性などの特性のために結晶性固体が望ましい場合もある(例えば、S.R.Vippaguntaらの論文、Adv.Drug.Deliv.Rev.,(2001)48:3〜26;L.Yuの論文、Adv.Drug.Deliv.Rev.,(2001)48:27〜42参照)。
【0004】
結晶性又は非晶性のいずれにせよ、医薬化合物の在り得る固体形態には、単一成分系及び多成分系の固体が含まれる。単一成分系固体は、他成分を含まない医薬化合物から本質的にはなる。単一成分系の結晶性材料中での多様性は、潜在的には、個々の医薬化合物に対して複数の三次元配置が存在する多形現象から生じる可能性がある(例えば、S.R.Byrnらの文献「薬物の固相化学(Solid State Chemistry of Drugs)」(1999)SSCI,West Lafayette参照)。多形を発見することの重要性は、軟質ゼラチンカプセルとして製剤されたHIVプロテアーゼ阻害薬であるリトナビルの事例により強調された。該製品を上市して約2年後に、製剤中での予期しない新たなより溶け難い多形体の沈殿により、より変化しない製剤を開発できるまで、市場からの製品の回収を余儀なくされた(S.R.Chemburkarらの論文、Org.Process Res.Dev.,(2000)4:413〜417参照)。
【0005】
医薬化合物の在り得る固体形態の中でのさらなる多様性は、多成分系固体の可能性から生じる可能性がある。2種以上のイオン種を含む結晶性固体は、塩と呼ばれる(例えば、「医薬塩ハンドブック:特性、選択及び使用(Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use)」P.H.Stahl及びC.G.Wermuth編(2002)、Wiley,Weinheim参照)。医薬化合物又はその塩に他の特性改善を潜在的に提供できるさらなるタイプの多成分系固体には、数ある中でも、例えば、水和物、溶媒和物、共結晶、及び包摂化合物が含まれる(例えば、S.R.Byrnらの文献「薬物の固相化学(Solid State Chemistry of Drugs)」(1999)SSCI,West Lafayette参照)。さらに、多成分系の結晶形は、潜在的に多形現象を起こしやすく、所定の多成分系組成物は、1種を超える三次元結晶性配置で存在する可能性がある。固体形態の発見は、安全で、効果的で、安定で、且つ上市可能な医薬化合物を開発する際に極めて重要である。
【0006】
化学的に4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オールと命名される化合物は、そのそれぞれの全体が引用により本明細書中に組み込まれている、2006年1月12日出願の米国特許出願第11/332617号及び国際公開第WO2006/076595号に開示されている。本発明者らは、4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オール(化合物I)の多数の固体形態を発見し、化合物Iの固体形態のすべてが、それらの物理的及び化学的特性によって評価した場合に、同程度に有用であるわけではないことを見出した。したがって、本明細書中のいくつかの実施態様で、例えば、純度、安定性、製造、効力及び生物学的利用能のための、化合物Iの改善された固体形態の必要性に取り組む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(3. 発明の要旨)
本明細書中では、限定はされないが、癌、心血管疾患、腎疾患、自己免疫状態、炎症状態、黄斑変性、虚血-再灌流障害、疼痛及び関連症候群、疾患関連消耗、アスベスト関連状態、肺高血圧、中枢神経系(central nervous system)(CNS)障害/損傷、又はキナーゼ経路の阻害によって治療可能な若しくは予防可能な状態を含む状態及び障害を治療、予防又は管理するのに特定の有用性を有する、4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オール(「化合物I」)を含む固体形態を提供する。
【0008】
いくつかの実施態様において、固体形態は、化合物Iの遊離塩基からなる単一成分系結晶形である。他の実施態様において、固体形態は、限定はされないが、化合物Iの塩、共結晶、溶媒和物、水和物及び/又は包摂化合物を含む多成分系結晶形である。他の実施態様において、固体形態は、化合物Iの遊離塩基からなる単一成分系非晶形である。他の実施態様において、固体形態は、限定はされないが、化合物Iの塩を含む多成分系非晶形である。なんらかの特定の理論によって限定されること意味するものではないが、該固体形態の貯蔵安定性、圧縮性、かさ密度又は溶解特性は、化合物Iの製造、製剤及び生物学的利用能にとって有益であると考えられる。また、本明細書中では、該固体形態を含有する医薬組成物、並びに限定はされないが、癌、心血管疾患、腎疾患、自己免疫状態、炎症状態、黄斑変性、虚血-再灌流障害、疼痛及び関連症候群、疾患関連消耗、アスベスト関連状態、肺高血圧、中枢神経系(CNS)障害/損傷、又はキナーゼ経路の阻害によって治療可能な若しくは予防可能な状態を含む状態及び障害を治療、予防又は管理するためのそれらの使用方法が提供される。
【0009】
固体形態は、化合物Iから形成され、化合物Iは、そのそれぞれの全体が引用により本明細書中に組み込まれている2006年1月12日出願の米国特許出願第11/332617号及び国際公開第WO2006/076595号中に開示されている。
【0010】
化合物Iは、次の構造(I)
【0011】
【化1】

【0012】
を有する。
【0013】
また、本明細書中では、化合物Iの単一成分系結晶形、多成分系結晶形、単一成分系非晶形及び/又は多成分系非晶形、並びに医薬として許容し得る希釈剤、賦形剤又は担体を含有する医薬組成物を提供する。
【0014】
また、本明細書中では、限定はされないが、癌、心血管疾患、腎疾患、自己免疫状態、炎症状態、黄斑変性、虚血-再灌流障害、疼痛及び関連症候群、疾患関連消耗、アスベスト関連状態、肺高血圧、中枢神経系(CNS)障害/損傷、又はキナーゼ経路の阻害によって治療可能な若しくは予防可能な状態を含む状態又は障害を治療、予防又は管理するための方法が提供され、前記方法は、そのような治療、予防又は管理を必要とする対象、例えばヒトに対して治療上及び予防上有効な量の本明細書中で提供される固体形態を投与することを含む。
【0015】
本明細書中のさらなる実施態様は、本発明の固体形態を製造、単離、及び/又は同定する方法を提供する。
【0016】
本明細書中で提供されるいくつかの固体形態は、動物又はヒトで使用するための製剤を調製するための活性医薬成分として有用である。したがって、本明細書中で提供されるいくつかの実施態様は、これらの固体形態の最終薬品としての使用を包含する。本明細書中で提供されるいくつかの固体形態及び最終薬品は、例えば、上に挙げた状態及び障害を治療、予防又は管理するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
(4. 図面の簡単な説明)
【図1】化合物IのA型遊離塩基の代表的な粉末X線回折(XRPD)パターンを示す図である。
【0018】
【図2】化合物IのA型遊離塩基の代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す図である。
【0019】
【図3】化合物IのA型遊離塩基の代表的な熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す図である。
【0020】
【図4】化合物Iの遊離塩基水和物結晶形の代表的なXRPDパターンを示す図である。
【0021】
【図5】化合物Iの遊離塩基水和物結晶形の代表的なDSCサーモグラムを示す図である。
【0022】
【図6】化合物Iの遊離塩基水和物結晶形の代表的なTGAサーモグラムを示す図である。
【0023】
【図7】化合物IのA型塩酸塩の代表的なXRPDパターンを示す図である。
【図8】化合物IのA型塩酸塩の代表的なXRPDパターンを示す図である。
【0024】
【図9】化合物IのA型塩酸塩の代表的なDSCサーモグラムを示す図である。
【0025】
【図10】化合物IのA型塩酸塩の代表的なTGAサーモグラムを示す図である。
【0026】
【図11】化合物IのA型臭化水素酸塩の代表的なXRPDパターンを示す図である。
【0027】
【図12】化合物IのA型硫酸塩の代表的なXRPDパターンを示す図である。
【0028】
【図13】化合物Iの合成のための典型的な反応スキームを示す図である。
【0029】
【図14】いくつかの実施態様において、化合物Iを含有する組成物中に存在できる化合物の化学構造を示す図である。
【0030】
【図15】化合物Iを合成するための典型的な反応スキームを示す図である。
【0031】
【図16】化合物Iを合成するための典型的な反応スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(5. 発明の詳細な説明)
(5.1 定義)
本明細書中で使用する場合、用語「化合物I」は、化学的に4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オールと命名される化合物を意味し、その遊離塩基形態、及び該分子が1つ以上の塩基中心でプロトン化されるような塩形成を受けているそのイオン化形態を含む。用語「化合物I」は、また、4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オールの本明細書中に記載の固体形態を含む。
【0033】
以下に記載される特定の塩には、化合物Iの「塩酸塩」又は「HCl塩」が含まれる。化合物Iの塩酸塩又はHCl塩は、化合物Iを塩酸と反応させることによって形成され得る酸付加塩である。
【0034】
化合物Iの「二塩酸塩」又は「2HCl塩」は、1モルの化合物Iにつき約2モル当量の塩酸を含む塩である。
【0035】
以下に記載される特定の塩には、化合物Iの「臭化水素酸塩」又は「HBr塩」が含まれる。化合物Iの臭化水素酸塩又はHBr塩は、化合物Iを臭化水素酸と反応させることによって形成され得る酸付加塩である。
【0036】
以下に記載される特定の塩には、化合物Iの「硫酸塩」が含まれる。化合物Iの硫酸塩は、化合物Iを硫酸と反応させることによって形成され得る酸付加塩である。
【0037】
本明細書中で使用する場合、用語「医薬として許容し得る塩」は、無機酸及び有機酸を含む医薬として許容される酸から調製される塩を指す。適切な酸には、限定はされないが、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、クエン酸、リン酸二水素イオン(dihydrogenphosphoric)、エタンスルホン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イソ酪酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、炭酸一水素イオン(monohydrogencarbonic)、リン酸一水素イオン(monohydrogenphosphoric)、硫酸一水素イオン(monohydrogensulfuric)、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、フタル酸、プロピオン酸、スベリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、トルエンスルホン酸(p-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸及びo-トルエンスルホン酸を含む)などが含まれる(例えば、S.M.Bergeらの論文、J.Pharm.Sci.,66:1〜19(1977)、及び、「医薬塩ハンドブック:特性、選択及び使用(Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use)」P.H.Stahl及びC.G.Wermuth編(2002)、Wiley、Weinheim参照)。アスパラギン酸などのアミノ酸、アスピリン、イブプロフェン、サッカリンなどのその他の化合物を含む酸性の性質を有するその他の化合物の塩も含まれる。酸付加塩は、中性形態の当該化合物を十分な量の所望の酸と、生で又は適切な溶媒中で接触させることによって得ることができる。固体の場合、塩は、結晶性又は非晶性の変形体で存在できる。
【0038】
用語「固体形態」「固体形態群」及び同類の用語は、化合物Iを指すために本明細書中で使用される場合、液体又は気体状態中に主として存在することのない化合物Iを含む物理的形態を指す。結晶形及び非晶形は、固体形態の例である。
【0039】
本明細書中で使用される用語「結晶性」及び同類の用語は、物質、成分、製品、又は形態を記述するのに使用される場合、該物質、該成分、又は該製品が、X線回折で測定した場合に実質上結晶性であることを意味する。例えば、「レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing社、Easton、PA(ペンシルヴェニア)州、173(1990);米国薬局方、第23版、1843〜1844(1995)を参照されたい。
【0040】
本明細書中の用語「結晶形」、「結晶性形態」及び同類の用語は、化学化合物を含む結晶性固体形態を指し、限定はされないが、多形体、溶媒和物、水和物、共結晶又はその他の分子複合体、塩、塩の溶媒和物、塩の水和物、塩の共結晶若しくはその他の分子複合体、或いはその多形体を含む、特定の単一成分系又は多成分系結晶形を指すことができる。
【0041】
本明細書中の用語「多形体」、「多形形態」及び同類の用語は、同一の分子、分子群又はイオン群を含む2種以上の結晶形を指す。異なる多形体は、結晶格子中での分子群又はイオン群の配置又は立体配座の結果として、例えば、融点、融解熱、溶解度、溶解速度及び/又は振動スペクトルなどの異なる物理的特性を有することができる。多形体によって示される物理的特性の相違は、貯蔵安定性、圧縮性及び密度などの医薬パラメーター(製剤及び製品の製造で重要)、並びに溶解速度(生物学的利用能に関する重要因子)に影響を及ぼす。安定性の相違は、化学反応性の変化(例えば、剤形が、別の多形体からなる場合に比べてある多形体からなる場合により急速に変色するような差別的酸化)、又は機械的変化(例えば、動力学的に好ましい多形体は、熱力学的により安定な多形体に転化するので、錠剤は、貯蔵により砕ける)、或いはその双方(例えば、ある多形体の錠剤は、高湿度でより破損しやすい)に由来することができる。溶解度/溶解の差異の結果として、極端な事例では、いくつかの多形転移が、有効性の不足、或いは他の極端な事例では毒性をもたらす可能性がある。さらに、結晶の物理的特性は、加工において重要である可能性があり、例えば、ある多形体は、溶媒和物をより形成しやすい可能性があり、或いは不純物を濾過及び洗浄して除去することが困難である可能性がある(例えば、粒子の形状及び粒度分布が、多形体の間で異なる可能性がある)。
【0042】
用語「溶媒和物」及び「溶媒和された」は、本明細書中で使用される場合、溶媒を含む物質の結晶形を指す。用語「水和物」及び「水和された」は、溶媒が水である溶媒和物を指す。「溶媒和物の多形体」は、特定の溶媒和物の組成物に関して1種を超える結晶形が存在することを指す。同様に、「水和物の多形体」は、特定の水和物の組成物に関して1種を超える結晶形が存在することを指す。用語「脱溶媒和された溶媒和物」は、本明細書中で使用する場合、溶媒和物から溶媒を除去することによってのみ調製できる物質の結晶形を指す。
【0043】
本明細書中で使用される用語「非晶性」、「非晶形」及び同類の用語は、問題の物質、成分又は製品が、X線回折で測定した場合に実質上結晶性でないことを意味する。いくつかの実施態様において、非晶形の物質を含むサンプルは、他の非晶形及び/又は結晶形を実質上含まなくてもよい。
【0044】
本明細書中で使用する場合で、且つ別途指定されない限り、組成物又は剤形中の成分の用量、量又は重量パーセントに関連して使用される場合の用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、当業者により、指定された用量、量又は重量パーセントから得られるものと等価な薬理学的効果を提供すると認識される用量、量又は重量パーセントを意味する。具体的には、用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、この文脈で使用される場合、指定した用量、量又は重量パーセントの15%以内、より具体的には10%以内、さらに具体的には5%以内の用量、量又は重量パーセントを想定している。
【0045】
結晶形及び非晶形を同定するための技術には、限定はされないが、熱重量分析(thermal gravimetric analysis)(TGA)、示差走査熱量測定法(differential scanning calorimetry)(DSC)、粉末X線回折(X-ray powder diffractometry)(XRPD)、単結晶X線回折、振動分光法(例えば、赤外(infrared)(IR)及びラマン分光法)、固体状態及び溶液での核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance)(NMR)分光法、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(scanning electron microscopy)(SEM)、電子結晶学及び定量分析、粒度分析(particle size analysis)(PSA)、表面分析、溶解性研究及び溶出研究が含まれる。
【0046】
本明細書中で使用する場合で、且つ別途指定しない限り、特定の固体形態を同定するために提供される数値又は数値範囲、例えば、特定の温度又は温度範囲(例えば、融解、脱水、脱溶媒和又はガラス転移温度を記述するものなど);質量変化(例えば、温度又は湿度の関数としての質量変化など);溶媒又は水分の含有量(例えば、質量又は比率から見た);或いは、ピーク位置(例えば、IR又はラマン分光法又はXRPDによる分析など)に関連して使用される場合の用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、該数値又は数値範囲が、なお特定の固体形態を記述しながらも、当業者にとって合理的と考えられる程度まで逸脱してもよいことを示す。具体的には、用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、この文脈で使用される場合、該数値又は数値範囲が、特定の実施態様において、挙げられた数値又は数値範囲の20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、又は0.25%以内で変化できることを示す。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「実質上純粋」である固体形態(例えば、結晶形又は非晶形)は、特定の実施態様において、重量で約20%、15%、10%、5%、3%、2%、1%、0.75%、0.5%、0.25%又は0.1%未満の1種以上の他の結晶形、非晶形、及び/又は化学化合物を含むことができる。いくつかの実施態様において、実質上純粋である固体形態は、1種以上の他の特定の結晶形、非晶形、及び/又は化学化合物を実質上含まない。
【0048】
本明細書中で使用される場合で、且つ別途示さない限り、ある固体形態及び/又は化学物質を「実質上含まない」組成物は、重量で約20%、15%、10%、5%、3%、2%、1%、0.75%、0.5%、0.25%又は0.1%未満の該固体形態及び/又は該化学化合物を含まない。
【0049】
本明細書中で使用される場合で、且つ別途指定しない限り、用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、疾患又は障害、或いは該疾患又は障害に付随する1種以上の症状の根絶又は改善を指す。いくつかの実施態様において、該用語は、そのような疾患又は障害を有する対象に1種以上の予防又は治療用薬剤を投与することに由来する、該疾患又は障害の拡大又は悪化を最小にすることを指す。
【0050】
本明細書中で使用される場合で、且つ別途指定しない限り、用語「予防する」、「予防している」及び「予防」は、疾患又は障害、或いはそれらの1種以上の症状の開始、再発又は拡大を予防することを指す。
【0051】
本明細書中で使用される場合で、且つ別途指定しない限り、用語「管理する」、「管理している」及び「管理」は、疾患又は障害、或いはそれらの1種以上の症状の進行、拡大又は悪化を予防又は減速することを指す。予防又は治療用薬剤から対象が得る有益な効果が、該疾患又は障害の治癒をもたらさないことも多い。
【0052】
本明細書中で使用される場合で、且つ別途指定しない限り、化合物の「治療上有効な量」は、疾患又は障害の治療又は管理において治療上の利益を提供するのに十分な、或いは該疾患又は障害に付随する1種以上の症状を遅延させる又は最小にするのに十分な量である。化合物の治療上有効な量は、疾患又は障害の治療又は管理において治療上の利益を提供する、単独での又はその他の療法と組み合わせた治療薬の量を意味する。用語「治療上有効な量」は、総合的療法を改善し、疾患又は障害の症状又は原因を低減又は回避し、或いは別の治療薬の治療効力を増強する量を包含することができる。
【0053】
本明細書中で使用される場合で、且つ別途指定しない限り、化合物の「予防上有効な量」は、疾患又は障害を予防するのに十分な、或いはその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防上有効な量は、疾患の予防において予防上の利益を提供する、単独での又はその他の療法と組み合わせた、治療薬の量を意味する。用語「予防上有効な量」は、総合的予防を改善し、或いは別の予防薬の予防効力を増強する量を包含することができる。
【0054】
用語「組成物」は、本明細書中で使用される場合、指定成分(及び、指示したなら、指定量の)を含有する製品、並びに指定量の指定成分の組合せから直接又は間接的に由来する任意の製品を包含すると解釈される。「医薬として許容し得る」とは、希釈剤、賦形剤又は担体が、製剤の成分と適合しなければならず、また、そのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0055】
用語「治療上及び予防上有効な量」は、研究者、獣医師、医師又はその他の臨床医によって求められている、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する、或いは治療されている疾患の1種以上の症状の発現を予防するのに、又はある程度まで緩和するのに十分である、問題の固体形態の量を指す。
【0056】
用語「対象」及び「患者」は、別途指定しない限り、本明細書中では、限定はされないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含む哺乳動物などの動物を含むと定義される。特定の実施態様において、対象又は患者はヒトである。
【0057】
化合物Iを含む固体形態に加えて、本明細書中の実施態様は、化合物Iのプロドラッグの固体形態を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて該化合物を提供する、該化合物の構造的に修飾された形態である。加えて、プロドラッグは、生体外環境中で化学的又は生化学的方法により該化合物に転化され得る。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザバー中に配置されると、徐々に化合物に転化され得る。いくつかの状況において、プロドラッグは、化合物又は親薬物に比べて投与するのが容易である可能性があるので、プロドラッグは有用であることが多い。例えば、プロドラッグは、親薬物がそうではないのに、経口投与で生物学的に利用できる可能性がある。プロドラッグは、また、親薬物に比較して医薬組成物への向上された溶解性を有する可能性がある。プロドラッグの加水分解開裂又は酸化的活性化に依拠するような広範な種類のプロドラッグ誘導体が、当技術分野で知られている。限定はされないが、プロドラッグの例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次いで、活性の本体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される化合物である。さらなる例には、化合物のペプチジル誘導体が含まれる。
【0058】
いくつかの実施態様において、化合物Iは、1つ以上の原子において不自然な比率の原子同位体を含むことができる。例えば、化合物を、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、硫黄-35(35S)、又は炭素-14(14C)などの放射性同位体で放射能標識できる。放射能標識された化合物は、治療薬(例えば、癌治療薬)、研究用試薬(例えば、結合アッセイ用試薬)、及び診断薬(例えば、インビボ画像形成剤)として有用である。化合物Iのすべての同位体変形体は、放射性であろうとなかろうと、本明細書中で提供される実施態様の範囲内に包含されると解釈される。
【0059】
(5.2 化合物Iを含む固体形態)
本明細書中のいくつかの実施態様は、下に示す化学構造
【0060】
【化2】

を有する4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オール(「化合物I」)を含む、単一成分系及び多成分系の固体形態を提供する。
【0061】
化合物Iは、後記実施例中で詳細に説明される方法を含む本明細書中の教示をベースにして、当業者にとって明らかな任意の方法に従って合成又は入手できる。化合物Iは、また、そのそれぞれの全体が引用により本明細書中に組み込まれている2006年1月12日出願の米国特許出願第11/332617号及び国際公開第WO2006/076595号中に記載されている方法に従って調製できる。
【0062】
いくつかの実施態様において、化合物Iは、(1)ニトロピリミジンをアミン含有化合物(例えば、アミンで置換されたテトラヒドロフランなどのアミン含有複素環)又はその塩で置換する工程;(2)さらなるアミン含有化合物(例えば、アミンで置換されたシクロヘキサノールなどのアミン含有炭素環)又はその塩でさらに置換する工程;(3)ニトロ基を対応するアミン(例えば、置換アニリン)に還元する工程;(4)イソシアネートで置換されたアリール又はヘテロアリール化合物(例えば、イソシアン酸2,4,6-トリフルオロフェニル)とカップリングする工程;及び(5)置換されたプリンの形成をもたらす閉環の工程を含む方法によって調製される。いくつかの実施態様では、該方法の2つ以上の工程を、組み合わせることができ、且つ/又は中間体化合物(群)を単離しないで続いて実施することができる。いくつかの実施態様において、該方法の工程は、記載されている順序で実施される。いくつかの実施態様において、該方法の工程は、記載されている順序と異なる順序で実施される。
【0063】
特定の実施態様において、工程(1)は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下で実施される。別の特定の実施態様において、工程(2)は、DIPEAの存在下で実施される。別の特定の実施態様において、工程(3)は、Pd触媒の存在下で実施される。別の特定の実施態様において、工程(4)は、THF中で実施される。別の特定の実施態様において、工程(5)は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)の存在下で実施される。
【0064】
本明細書中で提供される化合物Iを含む固体形態には、結晶形及び非晶形を含み、且つ限定はされないが多形体、塩、溶媒和物、水和物、共結晶、及び包摂化合物を含む、単一成分系及び多成分系の形態が含まれる。本明細書中で提供される固体形態は、後記実施例中で詳細に説明される方法を含む、本明細書に記載の方法によって、或いは加熱、溶融冷却、急速溶融冷却、フリーズドライ、凍結乾燥、溶融物の急速冷却、急速溶媒蒸発、緩慢溶媒蒸発、溶媒再結晶、スラリー再結晶、溶融物からの結晶化、脱溶媒和、昇華、例えば、ナノ細孔又はキャピラリー中など閉じ込められた空間中での再結晶、例えば、ポリマー上などの表面又は鋳型上での再結晶、例えば、共結晶対分子などの添加剤の存在下での再結晶、脱溶媒和、脱水、急速冷却、緩慢冷却、蒸気拡散、昇華、粉砕、低温粉砕、溶媒滴下粉砕、マイクロウェーブ誘発沈殿、超音波誘発沈殿、レーザー誘発沈殿、及び超臨界流体からの沈殿を含む、当技術分野で周知の技術によって調製できる。
【0065】
本明細書中の特定の実施態様は、1種以上の固体形態を含有する組成物を提供する。本明細書中のいくつかの実施態様は、他の活性成分と組み合わせた1種以上の固体形態からなる組成物を提供する。本明細書中のいくつかの実施態様は、これらの組成物を、限定はされないが、癌、心血管疾患、腎疾患、自己免疫状態、炎症状態、黄斑変性、虚血-再灌流障害、疼痛及び関連症候群、疾患関連消耗、アスベスト関連状態、肺高血圧、中枢神経系(CNS)障害/損傷、又はキナーゼ経路の阻害によって治療可能な若しくは予防可能な状態を含む状態及び障害の治療、予防又は管理で使用する方法を提供する。
【0066】
本明細書中の特定の実施態様は、結晶形及び/又は非晶形の化合物Iを含み、さらに図14に示す1種以上の化合物を含む組成物を提供する。特定の実施態様において、結晶形及び/又は非晶形の化合物Iを含む組成物は、さらに、図14に示す化合物を、重量基準で組成物中の化合物Iの総量の約0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%未満の量で含有する。
【0067】
なんらかの特定の理論によって拘束されることを意味するものではないが、本明細書中で提供されるいくつかの固体形態は、物理的特性、例えば、臨床及び治療用剤形に適切な安定性、溶解性及び溶出速度によって特徴付けられる。さらに、なんらかの特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、本明細書中で提供されるいくつかの塩及び結晶形は、物理的特性、例えば、固体剤形の製造に適した結晶形態、圧縮性及び硬度によって特徴付けられる。このような特性は、本明細書に記載の及び当技術分野で知られているようなX線回折、顕微鏡法、IR分光法、及び熱分析などの技術を使用して測定できる。
【0068】
(5.2.1 化合物Iの単一成分系固体形態)
本明細書中のいくつかの実施態様は、限定はされないが、癌、心血管疾患、腎疾患、自己免疫状態、炎症状態、黄斑変性、虚血-再灌流障害、疼痛及び関連症候群、疾患関連消耗、アスベスト関連状態、肺高血圧、中枢神経系(CNS)障害/損傷、又はキナーゼ経路の阻害によって治療可能な若しくは予防可能な状態を含む状態及び障害の治療、予防又は管理に関して有用性を有する、4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オール(「化合物I」)の遊離塩基の単一成分系固体形態を提供する。
【0069】
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iの遊離塩基の単一成分系非晶性固体形態を提供する。本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iの遊離塩基の単一成分系結晶形又は多形体を提供する。
【0070】
化合物Iの単一成分系固体形態は、本明細書中の教示に基づいて当業者にとって明らかな任意の方法で調製できる。化合物Iの単一成分系固体形態は、また、後記実施例中で詳細に説明する方法を含む本明細書中に記載の技術に従って調製できる。
【0071】
以下で説明するように、化合物Iのいくつかの単一成分系固体形態は、化合物Iの他の固体形態と比較して優れた特性を示す。
【0072】
(5.2.1.1 化合物IのA型遊離塩基)
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iの遊離塩基のA型結晶形を提供する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、限定はされないが、アセトン、n-ブタノール、エタノール、メタノール、2-プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、エタノール/水(1/1)、及びこれらの2つ以上からなる混合物を含む1種以上の溶媒中の遊離塩基溶液を蒸発させることを含む方法によって得ることができる。いくつかの実施態様において、その蒸発は、例えば25℃又は約50℃で実施できる。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、限定はされないが、アセトン、アセトニトリル、n-ブタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、塩化メチレン、メチルエチルケトン、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、2-プロパノール、トルエン、水、エタノール/水(1/1)、及びこれらの2つ以上からなる混合物を含む1つ以上の溶媒中で遊離塩基をスラリー化することを含む方法によって得ることができる。いくつかの実施態様において、スラリー化は、例えば、約25℃又は約50℃で実施できる。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、限定はされないが、エタノール/水、エタノール/MTBE、エタノール/ヘプタン、THF/MTBE、THF/ヘプタン、及びTHF/トルエンの溶媒系を含む、溶媒/アンチソルベント沈殿化を含む方法によって得ることができる。いくつかの実施態様において、沈殿化は、例えば、約1/10の溶媒/アンチソルベント比、及び約50℃の温度で実施できる。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、例えば、アセトニトリル、ヘプタン、酢酸エチル、MTBE、トルエン、及びこれらの2種以上からなる混合物などの溶媒中に、化合物Iの遊離塩基を含む別の固体形態(例えば、化合物Iの水和物)をスラリー化することを含む方法によって得ることができる。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、限定はされないが、エタノール、水、及びエタノール/水混合物を含む、各種溶媒から得ることができる。
【0073】
化合物IのA型遊離塩基の代表的なXRPDパターンを図1に示す。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、次の概略位置:10.0、12.4、12.8、15.2、16.0、16.3、17.7、18.5、18.9、19.4、20.0、20.6、20.9、21.6、22.7、23.2、26.1、26.6、26.8、25.7、26.0、26.4、26.6、27.2、27.9、30.2、30.8、31.0、31.5°(2θ)の中の1箇所以上に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。特定の実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、次の概略位置:12.4、16.0、17.7、18.5、23.2、24.1°(2θ)中の1、2、3、4、5又は6箇所に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。特定の実施態様において、化合物IのA型塩基は、約12.4、16.0及び18.5°(2θ)にピークを有するXRPDパターンを示す。いくつかの実施態様において、化合物IのA型塩基は、さらに、約17.7、23.2及び24.1°(2θ)にピークを有するXRPDパターンを示す。
【0074】
図2及び図3に、化合物IのA型遊離塩基の代表的な熱特性を示す。図2に示す代表的なDSCサーモグラムは、開始温度が約225℃の吸熱事象を示す。特定の実施態様において、約225℃の熱事象は、溶融事象である。特定の実施態様において、A型は、約225.0℃で溶融する。図3に示す代表的なTGAサーモグラムは、外界温度から約200℃まで加熱すると、サンプル総質量の約1%未満の桁で小さな質量損失を示す。熱データは、化合物IのA型塩基が結晶格子中に水又は溶媒を実質的な量で含まないことを示している。いくつかの実施態様において、A型は、溶媒和されていない。いくつかの実施態様において、A型は、無水である。
【0075】
化合物IのA型遊離塩基は、化合物Iを含む薬品の合成、加工及び製造にとって望ましい特性を示す。例えば、いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、加工及び製造にとって重要な特性である、有利な安定性プロフィールを有する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、約40〜45℃までの温度で乾燥する際に安定である。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基の結晶化及び/又は再結晶化は、得られる材料中の化学的不純物(例えば、図14に示す1種以上の化学化合物など)を除去又はその濃度を低減することによって、効果的な精製手段を提供する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、実質上純粋である。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、非吸湿性であり、例えば、相対湿度(RH)で約0%から約80%までの湿度増加にさらすと、約2%未満の質量増加を示す。例えば、いくつかの実施態様において、湿度収着分析にかけた場合、A型は、約0%から約80%RHまで増加させると、約0.5%の質量増加を示し、約0%から約95%RHまで増加させると約1.4%の質量増加を示す。いくつかの実施態様では、湿度収着分析の後に、A型材料のXRPDパターンは、実質上変化しない。いくつかの実施態様において、化合物IのA型遊離塩基は、圧縮しても安定である。例えば、いくつかの実施態様において、約2000psiの圧力で約1分間の圧縮試験にかけても、A型のXRPDパターンは、実質上変化しない。
【0076】
本明細書中のいくつかの実施態様は、実質上純粋である化合物Iの遊離塩基のA型結晶形を提供する。特定の実施態様において、実質上純粋なA型のサンプルは、例えば、本明細書中に記載の化合物Iを含む他の固体形態などの、化合物Iを含む他の固体形態を含むその他の固体形態を実質上含まない。特定の実施態様において、実質上純粋なA型のサンプルは、例えば、溶媒、水、及び/又は図14に示す化合物をはじめとする他の化学化合物を実質的に含まない。
【0077】
(5.2.1.2. 化合物IのB型遊離塩基)
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iの遊離塩基のB型結晶形を提供する。いくつかの実施態様において、B型は、例えばDSCで測定した場合に、約213℃の溶融開始温度を有する。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基のB型結晶形は、例えば、化合物Iの遊離塩基の水和物形態を約185℃以上に加熱することによって調製できる。化合物IのB型遊離塩基に関する特性データは、図5で示され、そこで、化合物Iの遊離塩基の水和物は、加熱すると脱水によって化合物IのB型遊離塩基に転化される。
【0078】
(5.2.2 化合物Iの多成分系固体形態)
本明細書中のいくつかの実施態様は、限定はされないが、癌、心血管疾患、腎疾患、自己免疫状態、炎症状態、黄斑変性、虚血-再灌流障害、疼痛及び関連症候群、疾患関連消耗、アスベスト関連状態、肺高血圧、中枢神経系(CNS)障害/損傷、又はキナーゼ経路の阻害によって治療可能な若しくは予防可能な状態を含む状態及び障害を治療、予防又は管理するための有用性を有する、化合物Iを含む多成分系固体形態を提供する。
【0079】
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iを含む多成分系非晶形を提供する。本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iを含む多成分系結晶形を提供する。化合物Iを含む多成分系固体形態は、中性又はイオン性複合体でよく、或いは固体形態中に中性及びイオン性成分の双方を一緒に含むことができる。本明細書中で提供される多成分系固体形態には、塩、共結晶、水和物、溶媒和物、包摂化合物、及び/又は多形体の用語によって記述できる固体形態が含まれ、且つこれらの用語の1つ以上によって正確に記述できる固体形態が含まれる。
【0080】
化合物Iを含む多成分系固体形態は、本明細書中の教示に基づいて当業者にとって明らかな任意の方法によって調製できる。化合物Iの多成分系固体形態は、また、後記実施例中で詳細に説明される方法を含む本明細書中に記載の技術に従って調製できる。
【0081】
以下で説明するように、化合物Iのいくつかの多成分系固体形態は、化合物Iの他の固体形態に比較して優れた特性を示す。
【0082】
(5.2.2.1 化合物Iの遊離塩基の水和物)
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iの遊離塩基の水和物結晶形を提供する。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基のこの水和物は、限定はされないが、エタノール、水又はこれらの混合物をはじめとする各種溶媒から化合物Iを沈殿させることによって得ることができる。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基のこの水和物は、冷却処理に続いて沈殿させることによって得ることができる。いくつかの実施態様において、得られる生成物中の水の比率は、元素分析、カールフィッシャー分析、熱重量(TG)分析、赤外分光分析と結合したTG(TG/IR)、質量分光分析と結合したTG(TG/MS)、及び/又は結晶構造決定を使用して確認できる。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基の水和物は、結晶格子中に、1モルの化合物Iにつき約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5又は5.0モル当量の水を含む。いくつかの実施態様において、該水和物は、重量基準で約9%の水を含む。いくつかの実施態様において、該水和物材料は、約100℃の温度以上に加熱することによって脱水され得る。
【0083】
化合物Iの遊離塩基のこの水和物に関する代表的なXRPDパターンを図4に示す。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基の水和物結晶形は、次の概略位置:6.5、9.2、10.3、11.2、13.0、13.4、15.9、18.4、19.5、20.1、20.5、21.1、21.5、21.8、23.0、23.8、24.7、25.6、26.0、26.8°(2θ)の中の1箇所以上に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。特定の実施態様において、化合物Iの遊離塩基の水和物結晶形は、次の概略位置:6.5、13.0、13.4、19.5、20.1、23.0、23.8°(2θ)の中の1、2、3、4、5、6又は7箇所に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基の水和物結晶形は、約6.5、13.0及び23.0°(2θ)にピークを有するXRPDパターンを示す。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基の水和物結晶形は、さらに、約13.4、20.1及び23.8°(2θ)にピークを有するXRPDパターンを示す。
【0084】
化合物Iの遊離塩基のこの水和物に関する代表的な熱的特徴を図5及び図6に示す。図5に示す代表的なDSCサーモグラムは、ピーク温度が約79℃及び約95℃の初期吸熱事象を、続いてピーク温度が約181℃の発熱事象を、続いて開始温度が約215℃及び約227℃の2つの吸熱事象を示す。図6に示す代表的なTGAサーモグラムは、外界温度から約200℃まで加熱すると、サンプル総質量の約10%の質量損失を示す。TG/IR分析は、質量損失が水分の損失を含むことを示した。
【0085】
化合物Iの遊離塩基のこの水和物結晶形は、化合物Iを含む薬品の合成、加工及び製造にとって望ましい特性を示す。例えば、化合物Iの遊離塩基のこの水和物の結晶化又は再結晶化は、効果的な精製手段を提供する。いくつかの実施態様において、化合物Iの遊離塩基の水和物は、実質上純粋である。
【0086】
(5.2.2.2 化合物IのA型HCl塩)
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物IのHCl塩のA型結晶形を提供する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、限定はされないが、エタノール、イソプロパノール、水、又はこれらの混合物をはじめとする各種溶媒中で、化合物IをHClと反応させることによって得ることができる。HClは、溶液、例えば濃水溶液として、又は気体として反応物に添加できる。いくつかの実施態様において、得られる生成物の化学量論は、塩素に関する元素分析を使用して確認できる。いくつかの実施態様において、化合物IのHCl塩は、1モルの化合物Iにつき約2モル当量の塩素イオンを含む。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、化合物Iの2HCl塩である。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、例えば、限定はされないが、n-ブタノール、エタノール、メタノール、2-プロパノール、水、エタノール/水(1/1)、及びこれらの2種以上からなる混合物をはじめとする溶媒中のHCl塩溶液の蒸発(例えば、約25℃又は約50℃で)に続く沈殿化によって調製できる。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、例えば、限定はされないが、アセトン、アセトニトリル、n-ブタノール、酢酸エチル、ヘプタン、塩化メチレン、メチルエチルケトン、MTBE、2-プロパノール、トルエン、THF、及びこれらの2種以上からなる混合物をはじめとする溶媒中でHCl塩をスラリー化すること(例えば、約25℃又は約50℃で)によって調製できる。
【0087】
化合物IのA型HCl塩の代表的なXRPDパターンを図7に示す。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、次の概略位置:5.2、6.1、14.2、17.3、18.7、21.1、21.9、22.4、23.5、24.8、27.7、29.3、31.2°(2θ)の中の1つ以上の位置に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。特定の実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、次の概略位置:17.3、18.7、21.1、22.4、23.5、24.8°(2θ)の中の1、2、3、4又は5箇所に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、約17.3、18.7及び22.4°(2θ)にピークを有するXRPDパターンを示す。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、約21.1、23.5及び24.8°(2θ)にピークを有するXRPDパターンを示す。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、次の2つの位置:5.2、6.1°(2θ)の中の少なくとも1箇所に位置するピークを有するXRPDパターンを示す。
【0088】
化合物IのA型HCl塩の代表的な熱特性を図9及び図10に示す。図9に示す代表的なDSCサーモグラムは、最初の幅の広い吸熱事象、それに続く開始温度が約170℃のもう1つの吸熱事象を示す。図10に示す体表的なTGAサーモグラムは、外界温度から約125℃まで加熱すると、サンプル総質量の約1〜2%の桁の質量損失を示す。
【0089】
化合物IのA型HCl塩は、化合物Iを含む薬品の合成、加工及び製造にとって望ましい特性を示す。例えば、いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩の結晶化又は再結晶化は、得られた薬物中の化学不純物を除去又はその濃度を低減することによって、効果的な精製手段を提供する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、実質上純粋である。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、特定溶媒中、特定温度でスラリー化しても安定である。例えば、いくつかの実施態様において、A型HCl塩は、例えば、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘプタン、MTBE、トルエン、THF、及びこれらの2種以上からなる混合物中、約40℃で約4週間安定である。いくつかの実施態様において、A型HCl塩は、特定のストレス条件で貯蔵しても安定である。例えば、いくつかの実施態様において、化合物IのA型HCl塩は、約40℃、約75%RHで約4週間貯蔵しても安定である。
【0090】
(5.2.2.3 化合物IのA型HBr塩)
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物IのHBr塩のA型結晶形を提供する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HBr塩は、限定はされないが、エタノール、イソプロパノール、水、又はこれらの混合物をはじめとする各種溶媒中で、化合物IをHBrと反応させることによって得ることができる。HBrは、反応物に、溶液、例えば濃水溶液として、又は気体として添加できる。化合物IのA型HBr塩の体表的なXRPDパターンを図11に示す。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HBr塩は、次の概略位置:5.1、5.8、16.9、18.5、18.7、20.9、21.5、22.7、23.1、24.1、26.0、26.8、27.8、28.9、29.3°(2θ)の中の1箇所以上に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。特定の実施態様において、化合物IのA型HBr塩は、次の概略位置:5.1、5.8、18.5、21.5、27.8°(2θ)の中の1、2、3、4又は5箇所に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。
【0091】
化合物IのA型HBr塩は、化合物Iを含む薬品の合成、加工及び製造にとって望ましい特性を示す。例えば、化合物IのA型HBr塩の結晶化又は再結晶化は、得られた薬物中の化学的不純物を除去又はその濃度を低減することによって、効果的な精製手段を提供する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型HBr塩は実質上純粋である。
【0092】
(5.2.2.4 化合物IのA型硫酸塩)
本明細書中のいくつかの実施態様は、化合物Iの硫酸塩のA型結晶形を提供する。いくつかの実施態様において、化合物IのA型硫酸塩は、限定はされないが、エタノール、イソプロパノール、水、又はこれらの混合物をはじめとする各種溶媒中で、化合物Iを硫酸と反応させることによって得ることができる。
【0093】
化合物IのA型硫酸塩の代表的なXRPDパターンを図12に示す。いくつかの実施態様において、化合物IのA型硫酸塩は、次の概略位置:7.0、14.1、16.7、17.6、17.9、19.9、20.3、20.8、21.2、21.7、23.1、23.7、23.9、24.3、25.3°(2θ)の中の1箇所以上に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。特定の実施態様において、化合物IのA型硫酸塩は、次の概略位置:7.0、14.1、17.6、23.7、24.3°(2θ)の中の1、2、3、4又は5箇所に位置するXRPDピークによって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、化合物IのA型硫酸塩は、実質上純粋である。
【0094】
(5.3 使用方法)
化合物Iを含む固体形態は、動物又はヒトにおける疾患を治療、予防及び/又は管理するための医薬としての有用性を有する。さらに、化合物Iを含む固体形態は、癌、炎症状態、免疫学的状態、神経変性疾患、心血管疾患、代謝状態、インスリン耐性、糖尿病、線維性疾患、及びオゾン、寒さ又は運動によって引き起こされ、誘発され又は悪化する障害に関連するものを含むプロテインキナーゼに対して活性を有する。したがって、本明細書中では、以下に示すそれらの疾患、並びにそのそれぞれの全体が引用により本明細書中に組み込まれている2006年1月12日出願の米国特許出願第11/332617号、及び国際公開第WO2006/076595号、2007年3月15日に米国特許出願公開第2007/0060598号として公開された2006年4月26日に出願の米国特許出願第11/411413号、及び2007年2月15日に出願の米国特許出願第11/708150号中に記載されている疾患の治療又は予防を含む、化合物Iを含む固体形態の多くの使用が提供される。
【0095】
化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な免疫学的状態には、限定はされないが、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、骨関節症、多発性硬化症、狼瘡、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、グレーブス病、及び糖尿病(例えば、I型糖尿病)が含まれる。
【0096】
化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な炎症状態には、限定はされないが、喘息及びアレルギー性鼻炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、(例えば、I型糖尿病及びII型糖尿病)、及び肥満が含まれる。
【0097】
化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な代謝状態には、限定はされないが、肥満及び糖尿病(例えば、II型糖尿病)が含まれる。
【0098】
化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な心血管疾患には、限定はされないが、脳卒中、心筋梗塞、或いは心臓、肺、消化管、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓又は脳に対する虚血性傷害が含まれる。
【0099】
化合物Iを含む固体形態で被覆された又はそれを含むステント又はステントグラフトが治療又は予防にとって有用である代表的な心血管及び腎臓の疾患には、アテローム性動脈硬化症、及び血管形成術などの血管介入後再狭窄の治療又は予防が含まれる。
【0100】
化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な神経変性疾患には、限定はされないが、ハンチントン病、アルツハイマー病、及びHIV関連脳炎が含まれる。
【0101】
オゾン、寒さ又は運動によって引き起こされ、誘発され、悪化する代表的な障害には、限定はされないが、喘息、気管支炎、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、肺の炎症又は気道反応性亢進が含まれる。
【0102】
別の実施態様において、本明細書中では、症候群X又は代謝症候群の治療又は予防方法が提供される。
【0103】
特定の実施態様において、本明細書中では、インスリン抵抗性の治療又は予防方法が提供される。いくつかの実施態様において、本明細書中では、糖尿病(例えば、II型糖尿病)に至るインスリン抵抗性の治療又は予防方法が提供される。
【0104】
別の実施態様において、本明細書中では、糖尿病の治療又は予防方法が提供される。化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な糖尿病には、限定はされないが、II型糖尿病、I型糖尿病、遅発性I型糖尿病、尿崩症、糖尿病、妊娠性糖尿病、成人発症型糖尿病、若年性糖尿病、インスリン依存型糖尿病、インスリン非依存型糖尿病、栄養失調関連糖尿病、ケトン症易発性糖尿病、前糖尿病、嚢胞性線維症関連糖尿病又はケトン症抵抗性糖尿病が含まれる。
【0105】
別の実施態様において、本明細書中では、線維性の疾患又は障害の治療又は予防方法が提供される。化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な線維性疾患には、限定はされないが、特発性肺線維症、骨髄線維症、肝線維症、腎線維症、慢性同種移植腎障害、糸球体腎炎、脂肪性線維症又は脂肪性肝炎が含まれる。
【0106】
化合物Iを含む固体形態を含む、又は該固体形態で被覆されたステント又はステントグラフトは、限定はされないが、抗凝固薬、抗代謝薬、抗炎症薬、抗血小板薬、抗トロンビン薬、抗有糸分裂薬、細胞増殖抑制薬又は抗増殖薬を含む、心血管又は腎の疾患を治療又は予防するのに有用な有効量の別の活性薬剤をさらに含むことができる。
【0107】
化合物Iを含む固体形態は、また、概して虚血/再灌流障害を治療又は予防するのに有用である。したがって、化合物Iを含む固体形態は、急性又は慢性の臓器移植拒絶を治療又は予防するのに、並びに組織及び器官を保存するのに有用である。
【0108】
化合物Iを含む固体形態が治療又は予防にとって有用である代表的な癌には、限定はされないが、頭部、頚部、眼、口、喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頚部、乳房、卵巣、精巣又はその他の生殖器官、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、及び脳又は中枢神経系が含まれる。
【0109】
本明細書中で提供される方法の範囲内の癌には、BCR-ABL及びその突然変異種又はアイソフォーム、並びにsrcキナーゼファミリー由来のキナーゼ、Rskキナーゼファミリーに由来するキナーゼ、CDKファミリーに由来するキナーゼ、MAPKキナーゼファミリーに由来するキナーゼ、及びFes、Lyn及びSykキナーゼなどのチロシンキナーゼ、及びそれらの突然変異種又はアイソフォームに付随する癌が含まれる。
【0110】
特定の実施態様において、本明細書中では、調節、例えば、キナーゼの阻害に付随する疾患又は障害の治療又は予防方法が提供され、該キナーゼには、限定はされないが、チロシン-プロテインキナーゼ(SYK)、チロシン-プロテインキナーゼ(ZAP-70)、プロテインチロシンキナーゼ2β(PYK2)、フォーカルアドヒージョンキナーゼ1(FAK)、Bリンパ球キナーゼ(BLK)、造血細胞キナーゼ(HCK)、v-yes-1山口肉腫ウイルス関連癌遺伝子相同体(LYN)、T細胞-特異的プロテイン-チロシンキナーゼ(LCK)、癌原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼ(YES)、癌原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼ(SRC)、癌原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼ(FYN)、癌原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼ(FGR)、癌原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼ(FER)、癌原遺伝子チロシン-プロテインキナーゼ(FES)、C-SRCキナーゼ、プロテイン-チロシンキナーゼ(CYL)、チロシンプロテインキナーゼ(CSK)、巨核球関連チロシン-プロテインキナーゼ(CTK)、チロシン-プロテインキナーゼ受容体(EPH)、エフリンA型受容体1、エフリンA型受容体4(EPHA4)、エフリンB型受容体3(EPHB3)、エフリンA型受容体8(EPHA8)、神経栄養性チロシンキナーゼ受容体1型(NTRK1)、プロテイン-チロシンキナーゼ(PTK2)、syk関連チロシンキナーゼ(SRK)、プロテインチロシンキナーゼ(CTK)、tyro3プロテインチロシンキナーゼ(TYRO3)、ブルートン無γグロブリン血症チロシンキナーゼ(BTK)、白血球チロシンキナーゼ(LTK)、プロテイン-チロシンキナーゼ(SYK)、プロテイン-チロシンキナーゼ(STY)、tekチロシンキナーゼ(TEK)、elk関連チロシンキナーゼ(ERK)、免疫グロブリン及びegf因子相同ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE)、プロテインチロシンキナーゼ(TKF)、神経栄養性チロシンキナーゼ受容体3型(NTRK3)、混合型プロテインキナーゼ-3(MLK3)、プロテインキナーゼ分裂促進因子活性化4(PRKM4)、プロテインキナーゼ促進分裂因子活性化1(PRKM1)、プロテインチロシンキナーゼ(PTK7)、プロテインチロシンキナーゼ(EEK)、ミニブレイン(minibrain)(ショウジョウバエ)相同体(MNBH)、骨髄キナーゼx-結合(BMX)、eph-様チロシンキナーゼ1(ETK1)、マクロファージ刺激1受容体(MST1R)、btk関連タンパク質、135kd、白血球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK)、線維芽細胞増殖因子受容体-2(FGFR2)、プロテインチロシンキナーゼ-3(TYK3)、プロテインチロシンキナーゼ(TXK)、tecプロテインチロシンキナーゼ(TEC)、プロテインチロシンキナーゼ-2(TYK2)、eph関連受容体チロシンキナーゼリガンド1(EPLG1)、t-細胞チロシンキナーゼ(EMT)、ephチロシンキナーゼ1(EPHT1)、透明帯受容体チロシンキナーゼ95kd(ZRK)、プロテインキナーゼ分裂促進因子活性化キナーゼ1(PRKMK1)、ephチロシンキナーゼ3(EPHT3)、増殖停止特異的遺伝子-6(GAS6)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、axl受容体チロシンキナーゼ(AXL)、線維芽細胞増殖因子受容体-1(FGFR1)、v-erb-b2トリ赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子2(ERBB2)、fms-様チロシンキナーゼ-3(FLT3)、神経上皮チロシンキナーゼ(NEP)、神経栄養性チロシンキナーゼ受容体関連3(NTRKR3)、eph-関連受容体チロシンキナーゼリガンド5(EPLG5)、神経栄養性チロシンキナーゼ受容体2型(NTRK2)、受容体様チロシンキナーゼ(RYK)、b-リンパ球特異的チロシンキナーゼ(BLK)、ephチロシンキナーゼ2(EPHT2)、eph-関連受容体チロシンキナーゼリガンド2(EPLG2)、糖原病VIII、eph-関連受容体チロシンキナーゼリガンド7(EPLG7)、ヤヌスキナーゼ1(JAK1)、fms-関連チロシンキナーゼ-1(FLT1)、camp-依存性、調節プロテインキナーゼI型α(PRKAR1A)、wee-1チロシンキナーゼ(WEE1)、eph-様チロシンキナーゼ2(ETK2)、受容体チロシンキナーゼムスク、インスリン受容体(INSR)、ヤヌスキナーゼ3(JAK3)、fms-関連チロシンキナーゼ-3リガンドプロテインキナーゼc、β1(PRKCB1)、チロシンキナーゼ型細胞表面受容体(HER3)、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)、limドメインキナーゼ1(LIMK1)、二重特異性ホスファターゼ1(DUSP1)、造血細胞キナーゼ(HCK)、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、ηポリペプチド(YWHAH)、ret癌原遺伝子(RET)、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、ζポリペプチド(YWHAZ)、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、βポリペプチド(YWHAB)、肝細胞種膜貫通型キナーゼ(HTK)、mapキナーゼ6、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ、触媒性αポリペプチド(PIK3CA)、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子3(CDKN3)、ジアシルグリセロールキナーゼδ、130kd、プロテイン-チロシンホスファターゼ、非受容体型13型(PTPN13)、Abelsonマウス白血病ウイルス癌遺伝子相同体1(ABL1)、ジアシルグリセロールキナーゼα(DAGK1)、フォーカルアドヒージョンキナーゼ2、上皮ジスコイジンドメイン受容体1(EDDR1)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ、触媒性γポリペプチド(PIK3CG)、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ調節サブユニット(PIK3R1)、eph相同体キナーゼ-1(EHK1)、v-kitハーディー-ズカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子相同体(KIT)、線維芽細胞増殖因子受容体-3(FGFR3)、血管内皮増殖因子c(VEGFC)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、癌遺伝子(TRK)、増殖因子受容体-結合タンパク質-7(GRB7)、ras p21タンパク質活性化因子(RASA2)、met癌原遺伝子(MET)、src-様アダプター(SLA)、血管内皮増殖因子(VEGF)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、神経増殖因子受容体(NGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、血小板由来増殖因子受容体β(PDGFRB)、二重特異性チロシン-(Y)-リン酸化調節性キナーゼ2(DYRK2)、二重特異性チロシン-(Y)-リン酸化調節性キナーゼ3(DYRK3)、二重特異性チロシン-(Y)-リン酸化調節性キナーゼ4(DYRK4)、二重特異性チロシン-(Y)-リン酸化調節性キナーゼ1A(DYRK1A)、二重特異性チロシン-(Y)-リン酸化調節性キナーゼ1B(DYRK1B)、CDC-様キナーゼ1(CLK1)、タンパク質チロシンキナーゼSTY、CDC-様キナーゼ4(CLK4)、CDC-様キナーゼ2(CLK2)、又はCDC-様キナーゼ3(CLK3)が含まれる。
【0111】
別の実施態様において、本明細書中では、調節、例えば、セリン/トレオニンキナーゼ又は関連分子の阻害に付随する疾患又は障害の治療又は予防方法が提供され、該キナーゼ又は関連分子には、限定はされないが、サイクリン依存性キナーゼ7(CDK7)、racセリン/トレオニンプロテインキナーゼ、セリン-トレオニンプロテインキナーゼn(PKN)、セリン/トレオニンプロテインキナーゼ2(STK2)、ジッパープロテインキナーゼ(ZPK)、タンパク質-チロシンキナーゼ(STY)、ブルートン無γグロブリン血症チロシンキナーゼ(BTK)、mkn28キナーゼ、x-結合プロテインキナーゼ(PRKX)、elk-関連チロシンキナーゼ(ERK)、リボソームタンパク質s6キナーゼ,90kd、ポリペプチド3(RPS6KA3)、糖原病VIII、死亡関連プロテインキナーゼ1(DAPK1)、pctaireプロテインキナーゼ1(PCTK1)、プロテインキナーゼインターフェロン-誘導性二本鎖RNA(PRKR)、アクチビンA受容体II型様キナーゼ1(ACVRLK1)、c-AMP依存性プロテインキナーゼ触媒性α(PRKACA)、y-結合性プロテインキナーゼ(PRKY)、Gタンパク質共役型受容体キナーゼ2(GPRK21)、プロテインキナーゼC、θ形(PRKCQ)、limドメインキナーゼ(LIMK1)、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK1)、limドメインキナーゼ(LIMK2)、c-junキナーゼ、アクチビンA受容体II型様キナーゼ2(ACVRLK2)、ヤヌスキナーゼ1(JAK1)、elklモチーフキナーゼ(EMK1)、雄性生殖細胞関連キナーゼ(MAK)、カゼインキナーゼ2α-プライムサブユニット(CSNK2A2)、カゼインキナーゼ2βポリペプチド(CSNK2B)、カゼインキナーゼ2α1ポリペプチド(CSNK2A1)、ret癌原遺伝子(RET)、造血前駆体キナーゼ1、保存性へリックス-ループ-へリックス遍在性キナーゼ(CHUK)、カゼインキナーゼ1δ(CSNK1D)、カゼインキナーゼ1ε(CSNK1E)、v-aktマウス胸腺腫ウイルス癌遺伝子相同体1(AKT1)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、プロテインホスファターゼ1調節性(阻害因子)サブユニット2(PPP1R2)、癌遺伝子pim-1(PIM1)、トランスフォーミング増殖因子-β受容体II型(TGFBR2)、トランスフォーミング増殖因子-β受容体I型(TGFBR1)、v-rafマウス肉腫ウイルス癌遺伝子相同体b1(BRAF)、骨形態形成受容体II型(BMPR2)、v-rafマウス肉腫3611ウイルス癌遺伝子相同体1(ARAF1)、v-rafマウス肉腫3611ウイルス癌遺伝子相同体2(ARAF2)、プロテインキナーゼC(PKC)、v-kitハーディー-ズッカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子相同体(KIT)、又はc-kit受容体(KITR)が含まれる。
【0112】
別の実施態様において、本明細書中では、調節、例えば、MAPキナーゼの阻害に付随する疾患又は障害の治療又は予防方法が提供され、該MAPキナーゼには、限定はされないが、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ3(MAPK3)、p44erk1、p44mapk、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ3(MAPキナーゼ3;p44)、ERK1、PRKM3、P44ERK1、P44MAPK、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ1(MAPK1)、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ1(MEK1)、MAP2Kタンパク質チロシンキナーゼERK2、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ2、細胞外シグナル制御キナーゼ2、タンパク質チロシンキナーゼERK2、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ2、細胞外シグナル制御キナーゼ2、ERK、p38、p40、p41、ERK2、ERT1、MAPK2、PRKM1、PRKM2、P42MAPK、p41mapk、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ7(MAPK7)、BMK1キナーゼ、細胞外シグナル制御キナーゼ5、BMK1、ERK4、ERK5、PRKM7、nemo様キナーゼ(NLK)、マウスnemo様キナーゼのオルソログ様、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ8(MAPK8)、プロテインキナーゼJNK1、JNK1βプロテインキナーゼ、JNK1αプロテインキナーゼ、c-Jun N-末端キナーゼ1、ストレス活性化プロテインキナーゼJNK1、JNK、JNK1、PRKM8、SAPK1、JNK1A2、JNK21B1/2、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ10(MAPK10)、c-Junキナーゼ3、JNK3αプロテインキナーゼ、c-Jun N-末端キナーゼ3、ストレス活性化プロテインキナーゼJNK3、ストレス活性化プロテインキナーゼβ、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ9(MAPK9)、MAPキナーゼ9、c-Junキナーゼ2、c-Jun N-末端キナーゼ2、ストレス活性化プロテインキナーゼJNK2、JNK2、JNK2A、JNK2B、PRKM9、JNK-55、JNK2β、p54aSAPK、JNK2α、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ14(MAPK14)、p38MAPキナーゼ、MAPキナーゼMxi2、Csaids結合タンパク質、MAX-相互作用性タンパク質2、ストレス活性化プロテインキナーゼ2A、p38分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ、サイトカイン抑制性抗炎症薬結合性タンパク質、RK、p38、EXIP、Mxi2、CSBP1、CSBP2、CSPB1、PRKM14、PRKM15、SAPK2A、p38α、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ11(MAPK11)、ストレス活性化プロテインキナーゼ-2、ストレス活性化プロテインキナーゼ-2b、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼp38-2、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼp38β、P38B、SAPK2、p38-2、PRKM11、SAPK2B、p38β、P38β2、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ13(MAPK13)、ストレス活性化プロテインキナーゼ4、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼp38δ、SAPK4、PRKM13、p38δ、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ12(MAPK12)、p38γ、ストレス活性化プロテインキナーゼ3、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ3、ERK3、ERK6、SAPK3、PRKM12、SAPK-3、P38γ、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ6(MAPK6)、MAPキナーゼアイソフォームp97、分裂促進因子活性化5プロテインキナーゼ、分裂促進因子活性化6プロテインキナーゼ、細胞外シグナル制御キナーゼ3、細胞外シグナル制御キナーゼ、p97、ERK3、PRKM6、p97MAPK、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ4(MAPK4)、Erk3関連プロテインキナーゼ、分裂促進因子活性化4プロテインキナーゼ(MAPキナーゼ4;p63)、PRKM4、p63MAPK、ERK3関連、又は細胞外シグナル制御キナーゼ8(ERK7)が含まれる。
【0113】
より詳細には、本明細書中で提供される方法及び組成物によって治療又は予防できる癌及び関連障害には、限定はされないが、次のものが含まれる、すなわち、限定はされないが、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性の赤白血病白血病など)及び骨髄異形成症候群(又はその症状、例えば貧血症、血小板減少症、好中球減少症、二血球減少症又は汎血球減少症)、不応性貧血症(refractory amenia)(RA)、環状鉄芽球を伴うRA(RA with ringed sideroblasts)(RARS)、過剰芽球を伴うRA(RA with excess blasts)(RAEB)、トランスフォーメションでのRAEB(RAEB in transformation)(RAEB-T)、前白血病及び慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia)(CMML)、慢性白血病(限定はされないが,例えば、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、有毛細胞白血病)などの白血病;真性赤血球増加症;限定はされないがホジキン病、非ホジキン病などのリンパ腫;限定はされないがくすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫及び髄外性形質細胞腫などの多発性骨髄腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;重要性が未確定の単クローン性γグロブリン血症;良性単クローン性γグロブリン血症;重鎖病;限定はされないが、骨の肉種、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫瘍、骨の線維肉腫、軟骨腫、骨膜肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(血管肉腫)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、転移癌、神経鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫などの骨及び結合組織肉腫;限定はされないが、神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、脳室上衣腫、乏突起神経膠腫、非神経膠腫腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、原発性脳リンパ腫などの脳腫瘍;限定はされないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、乳管内癌、髄様乳癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭乳癌、原発性ガン、パジェット病、及び炎症性乳癌を含む乳癌;限定はされないが、褐色細胞腫及び副腎皮質癌などの副腎癌;限定はされないが、乳頭性又は濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌及び未分化甲状腺癌などの甲状腺癌;限定はされないが、膵島細胞腫、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、及びカルチノイド又は島細胞腫瘍などの膵臓癌;限定はされないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、末端肥大症、及び尿崩症などの下垂体癌;限定はされないが、虹彩メラノーマ、脈絡膜メラノーマ、及び毛様体メラノーマのような眼メラノーマ、並びに網膜芽細胞腫などの眼癌;扁平上皮癌、腺癌、及びメラノーマなどの膣癌;扁平上皮癌、メラノーマ、腺癌、基底細胞癌、肉腫、及びパジェット病などの外陰部癌;限定はされないが、扁平上皮癌、及び腺癌などの子宮頚部癌;限定はされないが、子宮内膜癌及び子宮肉腫などの子宮癌;限定はされないが、卵巣上皮癌、境界腫瘍、胚細胞腫瘍、及び間質腫瘍などの卵巣癌;限定はされないが、扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘膜表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、メラノーマ、形質細胞腫、いぼ状癌、及び燕麦細胞(小細胞)癌などの食道癌;限定はされないが、腺癌、菌発育型(ポリープ状)、潰瘍型、表在拡大型、びまん拡大型の悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、及び癌肉腫などの胃癌;結腸癌;直腸癌;限定はされないが、肝細胞癌及び肝芽腫などの肝臓癌;腺癌などの胆嚢癌;限定はされないが、乳頭性、結節性、及びびまん性などの胆管細胞癌;非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌及び小細胞肺癌などの肺癌;限定はされないが、胚腫瘍、精上皮腫、未分化、古典的(典型的)、精母細胞性、非精上皮腫、胚性癌、奇形腫癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)などの精巣癌;限定はされないが、腺癌、平滑筋癌、及び横紋筋肉腫などの前立腺癌;陰茎癌;限定はされないが、扁平上皮癌などの口腔癌;基底癌;限定はされないが、腺癌、粘膜表皮癌、及び腺様嚢胞癌などの唾液腺癌;限定はされないが、扁平上皮癌、及びいぼ状癌などの咽頭癌;限定はされないが、基底細胞癌、扁平上皮癌及びメラノーマ、表在拡大型メラノーマ、結節性メラノーマ、悪性黒子由来メラノーマ、肢端黒子メラノーマなどの皮膚癌;限定はされないが、腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮癌(腎盂及び/又は子宮)などの腎臓癌;ウィルムス腫瘍;限定はされないが、移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、癌肉腫などの膀胱癌が含まれる。さらに、癌には、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管細胞芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌及び乳頭状腺癌(このような障害の総説については、Fishmanらの文献、Medicine,(1985)、第2版、J.B.Lippincott社、Philadelphia及びMurphyらの文献、「インフォームド・ディシジョン:癌の診断、治療及び回復の完全本(Informed Decisions:The Complete Book of Cancer Diagnosis,Treatment and Recovery)」(1997)、Viking Penguin,Penguin Books U.S.A.社、米国を参照されたい)。
【0114】
したがって、また、本明細書中で提供される方法及び組成物は、各種の癌又はその他の異常増殖性疾患の治療又は予防において有用であり、それらの癌又はその他の異常増殖性疾患には、限定はされないが次のものが含まれる。すなわち、膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、子宮頚部、甲状腺及び皮膚の癌を含む癌;扁平上皮癌を含む癌;白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B-細胞リンパ腫、T-細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含むリンパ系の造血器腫瘍;急性及び慢性の骨髄性白血病及び前骨髄球性白血病を含む骨髄系の造血器腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉系起源の腫瘍;メラノーマ、精上皮腫、奇形癌、神経芽腫及び神経膠腫を含むその他の腫瘍;星状細胞腫、多形性神経膠芽腫、神経芽腫、神経膠腫及びシュワン腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;固形及び血液由来腫瘍;線維肉腫(fibrosafcoma)、横紋筋肉腫及び骨肉腫を含む間葉系起源の腫瘍;並びにメラノーマ、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞癌及び奇形癌を含むその他の腫瘍である。また、アポトーシス異常によって引き起こされる癌も、本明細書の開示の方法及び組成物で治療されることが想定される。このような癌としては、限定はされないが、濾胞性リンパ腫、p53突然変異を伴う癌、乳房、前立腺及び卵巣のホルモン依存性腫瘍、家族性大腸腺腫症などの前癌性病変、及び骨髄異形成症候群を挙げることができる。特定の実施態様では、卵巣、膀胱、乳房、結腸、肺、皮膚、膵臓、又は子宮における、悪性又は異常増殖性変化(化生及び異形成など)又は過剰増殖性障害が治療又は予防される。他の特定の実施態様では、肉腫、メラノーマ、又は白血病が、治療又は予防される。
【0115】
別の実施態様において、本明細書中で提供される方法及び組成物は、また、悪性疾患を治療するために骨髄移植を必要とする患者(例えば、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群(「前白血病」)、一染色体性7症候群、非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、脳腫瘍、多発性骨髄腫、精巣胚細胞腫瘍、乳癌、肺癌、卵巣癌、メラノーマ、神経膠腫、肉腫又はその他の固形腫瘍に罹患している患者)に;非悪性疾患を治療するために骨髄移植を必要とする患者(例えば、血液学的障害、先天性免疫不全、ムコ多糖症、脂質代謝異常、骨粗鬆症、ランゲルハンス細胞組織球症、レッシュ-ナイハン症候群又は糖原病に罹患している患者)に;化学療法又は放射線療法を受けている患者に;化学療法又は放射線療法を受ける準備をしている患者に;及び以前に化学療法又は放射線療法を受けたことのある患者に投与するのに有用である。
【0116】
別の実施態様において、本明細書では、骨髄増殖性障害又は骨髄異形成症候群の治療方法が提供され、該方法は、それを必要とする患者に、化合物Iを含む固体形態又はその組成物の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様において、骨髄増殖性障害は、真性赤血球増加症、原発性血小板血症、慢性骨髄性白血病、急性又は慢性顆粒球性白血病、急性又は慢性骨髄単球性白血病、骨髄線維-赤白血病、又は特発性骨髄様化生である。
【0117】
別の実施態様において、本明細書中では、メシル酸イマチニブ(STI-571又はGleevec(商標))治療などの他のキナーゼ阻害薬に対して抵抗性のある癌又は腫瘍の治療方法が提供され、該方法は、それを必要とする患者に化合物Iを含む固体形態又はその組成物の有効量を投与することを含む。特定の実施態様において、本明細書中では、メシル酸イマチニブ(STI-571又はGleevec(商標))治療に対して抵抗性のある、限定はされないが、胃腸管間質腫瘍(GIST)、急性リンパ球性白血病又は慢性骨髄球性白血病を含む白血病の治療法が提供され、該方法は、それを必要とする患者に化合物Iを含む固体形態又はその組成物の有効量を投与することを含む。
【0118】
一実施態様において、本明細書中では、キナーゼ経路を、一実施態様ではJNK経路を調節することによって治療又は予防が可能な疾患又は障害の治療又は予防方法が提供され、該方法は、治療又は予防を必要とする患者に化合物Iを含む固体形態の有効量を投与することを含む。キナーゼ経路を、一実施態様ではJNK経路を調節すること、例えば阻害することによって治療又は予防が可能な特定の疾患には、限定はされないが、リウマチ様関節炎;リウマチ様脊椎炎;骨関節炎;痛風;喘息、気管支炎;アレルギー性鼻炎;慢性閉塞性肺疾患;嚢胞性線維症;炎症性腸疾患;過敏性腸症候群;粘液性結腸炎;潰瘍性大腸炎;クローン病;ハンチントン病;胃炎;食道炎;肝炎;膵炎;腎炎;多発性硬化症;紅斑性狼瘡;II型糖尿病;肥満;アテローム性動脈硬化症;血管形成術後再狭窄;左心室肥大;心筋梗塞;脳卒中;心臓、肺、腸、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓及び脳の虚血性傷害;急性又は慢性の臓器移植拒絶;移植用臓器の保存;臓器不全又は手足欠失(例えば、限定はされないが、虚血-再灌流損傷、外傷、全身性損傷、自動車事故、圧搾損傷、又は移植不全に由来するものを含む);移植片体宿主病;エンドトキシンショック;多臓器不全;乾癬;火炎、化学薬品又は放射線曝露に由来する熱傷;湿疹;皮膚炎;皮膚移植;虚血;手術又は外傷性損傷に付随する虚血状態(例えば、乗物事故、銃創又は手足圧搾);癲癇;アルツハイマー病;パーキンソン病;細菌又はウイルス感染症への免疫学的応答;悪液質;血管新生及び増殖性疾患;固形癌;及び結腸、直腸、前立腺、肝臓、肺、気管支、膵臓、脳、頭部、頚部、胃、皮膚、腎臓、子宮頚部、血液、喉頭、食道、口腔、咽頭、膀胱、卵巣又は子宮などの各種組織の癌が含まれる。
【0119】
化合物Iは、本明細書中に記載の方法及び組成物において、他の薬理学上活性な化合物(「第2活性薬剤」)と併用できる。いくつかの併用は、特定タイプの疾患又は障害、並びにこのような疾患又は障害に付随する状態及び症状の治療において、相乗的に作用する可能性があると考えられる。化合物Iは、また、いくつかの第2活性薬剤に付随する有害作用を軽減するように作用することができ、その逆もまた同じである。
【0120】
1種以上の第2活性成分又は薬剤は、本明細書に記載の方法及び組成物中で使用できる。第2活性薬剤は、大きな分子(例えば、タンパク質)又は小さな分子(例えば、合成の無機、有機金属、又は無機の分子)でよい。
【0121】
大きな分子の第2活性薬剤の例には、限定はされないが、造血因子、サイトカイン、並びにモノクロナール及びポリクロナール抗体が含まれる。活性薬剤の具体例が、抗CD40モノクロナール抗体(例えば、SGN-40など);ヒストンデアセチラーゼ(deacetlyace)阻害薬(例えば、SAHA及びLAQ824など);熱ショックタンパク質-90阻害薬(例えば、17-AAGなど);インスリン様増殖因子-1受容体キナーゼ阻害薬;血管内皮増殖因子受容体キナーゼ阻害薬(例えば、PTK787など);インスリン増殖因子受容体阻害薬;リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ阻害薬;IkBキナーゼ阻害薬;p38MAPK阻害薬;EGFR阻害薬(例えば、ゲフィニチブ及びエルロチニブHCLなど);HER-2抗体(例えば、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))及びペルツズマブ(Omnitarg(商標))など);VEGFR抗体(例えば、ベバシズマブ(Avastin(商標))など);VEGFR阻害薬(例えば、flk-1特異的キナーゼ阻害薬、SU5416及びptk787/zk222584など);P13k阻害薬(例えば、ウォルトマニンなど);C-Met阻害薬(例えば、PHA-665752など);モノクロナール抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、エドレコロマブ(Panorex(登録商標))及びG250など);及び抗TNF-α抗体が含まれる。小さな分子の活性薬剤の例には、限定はされないが、小分子抗癌薬及び抗体(例えば、クラリスロマイシン)が含まれる。
【0122】
化合物Iと併用できる具体的な第2活性化合物は、治療、予防又は管理すべき具体的な徴候に応じて異なる。
【0123】
例えば、癌の治療、予防又は管理の場合、第2活性薬剤には、限定はされないが、セマキサニブ;シクロスポリン;エタネルセプト;ドキシサイクリン;ボルテゾミブ;アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール(acodazole);アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブサルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド(caracemide);カルベチマー(carbetimer);カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール(cedefingol);セレコキシブ;クロランブシル;シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン(dezaguanine);メシル酸デザグアニン;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine);塩酸エピルビシン;エルブロゾール(erbulozole);塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド;フロクスリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン(flurocitabine);フォスキドン(fosquidone)、フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルモフォシン(ilmofosine);イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸リュープロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド(mitindomide);ミトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン(mitocromin);ミトギリン(mitogillin);ミトマルシン(mitomalcin);ミトマイシン;ミトスペル(mitosper);ミトタン、塩酸ミトキサントロン;マイコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド(perfosfamide);ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン(piroxantrone);プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロマイシン;塩酸プロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン(simtrazene);スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌール(sulofenur);タリソマイシン(talisomycin);テコガラン(tecogalan)ナトリウム;タキソテレ;テガファー;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン(teroxirone);テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン(trestolone);リン酸トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール(tubulozole);ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート(vinglycinate);硫酸ビンレウロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシンが含まれる。
【0124】
他の第2薬剤には、限定はされないが、20-epi-1,25-ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン(acylfulvene);アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TK拮抗薬;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス(amidox);アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害薬;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背側化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン薬;前立腺癌;抗エストロゲン薬;抗腫瘍薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子調節因子;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット;BCR/ABL拮抗薬;ベンゾクロリン(benzochlorins);ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine);β-ラクタム誘導体;β-アレチン;β-クラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害薬;ビカルタミド;ビスアントレン;ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート(breflate);ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルフォキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害薬;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害薬(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クラスロマイシン(clathromycin);クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレスタチンA4;コンブレスタチン類似体;コナゲニン;クランベスシジン(crambescidin)816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシン(curacin)A;シクロペンタアントラキノン(cyclopentanthraquinone);シクロプラタム;シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクフォスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール,9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル、ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;ジュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン(edelfosine);エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エグゼメスタン;ファドロゾール;ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド;フィルグラスチン;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルビシン;フォルフェニメクス(forfenimex);フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害薬;ゲムシタビン;グルタチオン阻害薬;ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン(ilmofosine);イロマスタット;イマチニブ(Gleevec(登録商標));イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様増殖因子-1受容体阻害薬;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4-;イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリド(kahalalide)F;トリ酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球α-インターフェロン;リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミソール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド(lissoclimamide)7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール(lometrexol);ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶菌ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害薬;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害薬;メノガリル;メルバロン(merbarone);メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害薬;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド(mitonafide);マイトトキシン線維芽増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム(molgramostim);エルビタックス;ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリア細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗癌薬;ミカペルオキシド(mycaperoxide)B;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン(nisamycin);酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);オブリメルセン(Genasense(登録商標));O6ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘発薬;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン(parabactin);パゼリプチン(pazelliptine);ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害薬;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害薬;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害薬;プロテインAをベースにした免疫調節薬;プロテインキナーゼC阻害薬;プロテインキナーゼC阻害薬;微細藻類;プロテインチロシンホスファターゼ阻害薬;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害薬;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;raf拮抗薬;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害薬;ras阻害薬;ras-GAP阻害薬;脱メチル化レテリプチン(retelliptine);レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチン;Sdi 1模擬体;セムスチン;老化由来阻害薬1;センスオリゴヌクレオチド;情報伝達阻害薬;シゾフィラム;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;スチピアミド(stipiamide);ストロメリシン阻害薬;スルフィノシン;超活性血管作用性小腸ペプチド拮抗薬;スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン;タリムスチン(tallimustine);タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン(tauromustine);タザロテン;テコガラン(tecogalan)ナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害薬;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン(tetrazomine);タリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポイエチン;トロンボポイエチン模擬体;チマルファシン;チモポイエチン受容体作動薬;チモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;錫エチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン(topsentin);トレミフェン;翻訳阻害薬;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド(turosteride);チロシンキナーゼ阻害薬;チルホスチン;UBC阻害薬;ウベニメックス;泌尿生殖器洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体拮抗薬;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマーが含まれる。
【0125】
具体的な第2活性薬剤には、限定はされないが、2-メトキシエストラジオール、テロメスタチン、多発性骨髄腫細胞におけるアポトーシス誘発薬(例えば、TRAILなど)、ボルテゾミブ、スタチン類、セマキサニブ、シクロスポリン、エタネルセプト、ドキシサイクリン、ボルテゾミブ、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ステロイド類、ゲムシタビン、シスプラチナム、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデール、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、Arisa(登録商標)、タキソール、タキソテレ、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、キセローダ、CPT-11、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα(例えば、PEG INTRON-A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール(doxetaxol)、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスフォナート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、リン酸エストラムスチンナトリウム(Emcyt(登録商標))、スリンダック、及びエトポシドが含まれる。
【0126】
同様に、治療、予防又は管理されるべき徴候による具体的な第2活性薬剤の例は、そのすべてが、引用によりその全体で本明細書中に組み込まれている次の参照文献:米国特許第6281230号及び5635517号、米国特許出願第10/411649号、10/483213号、10/411656号、10/693794号、10/699154号及び10/981189号、並びに米国特許仮出願第60/554923号、60/565172号、60/626975号、60/630599号、60/631870号及び60/533862号中に見出すことができる。
【0127】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、疼痛を治療又は予防するのに使用される従来からの治療薬、例えば、抗鬱薬、抗痙攣薬、降圧薬、抗不安薬、カルシウムチャネル遮断薬、筋弛緩薬、非麻薬性鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬、抗炎症薬、cox-2阻害薬、免疫調節薬、α-アドレナリン受容体の作動薬又は拮抗薬、免疫抑制薬、コルチコステロイド、高圧酸素、ケタミン、その他の麻酔薬、NMDA拮抗薬、及び例えば「医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)2003」中に見出されるその他の治療薬などが含まれる。具体例には、限定はされないが、アセチルサリチル酸(Aspirin(登録商標))、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、Enbrel(登録商標)、ケタミン、ガバペンチン(Neurontin(登録商標))、フェニトイン(Dilantin(登録商標))、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標))、オキシカルバゼピン(Trileptal(登録商標))、バルプロン酸(Depakene(登録商標))、硫酸モルフィン、ヒドロモルホン、プレドニゾン、グリセオフルビン、ペントニウム、アレンドロネート、ジフェンヒドラミド、グアネチジン、ケトロラック(Acular(登録商標))、チロカルシトニン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロニジン(Catapress(登録商標))、ブレチリウム、ケタンセリン、レセルピン、ドロペリドール、アトロピン、フェントラミン、ブピバカイン、リドカイン、アセトアミノフェン、ノルトリプチリン、(Pamelor(登録商標))、アミトリプチリン(Elavil(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、ドキセピン(Sinequan(登録商標))、クロミプラミン(Anafranil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標))、ネファゾドン(Serzone(登録商標))、ベンラファキシン(Effexor(登録商標))、トラドゾン(Desyrel(登録商標))、ブプロピオン(Wellbutrin(登録商標))、ミキシレチン、ニフェジピン、プロプラノロール、トラマドール、ラモトリジン、ジコノチド、ケタミン、デキストロメトルファン、ベンゾジアゼピン、バクロフェン、チザニジン、及びフェノキシベンザミンが含まれる。
【0128】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、ステロイド、光増感剤、インテグリン、抗酸化剤、インターフェロン、キサンチン誘導体、成長ホルモン、神経栄養因子、血管新生調節剤、抗-VEGF抗体、プロスタグランジン、抗生物質、植物エストロゲン、抗炎症性化合物又は血管新生抑制化合物、或いはこれらの組合せが含まれる。具体例には、限定はされないが、ベルテポルフィン、プルリチン(purlytin)、血管新生抑制ステロイド、rhuFab、インターフェロン-2y、ペントキシフィリン、錫エチオプルプリン、モテクサフィンルテニウム、9-フルオロ-11,21-ジヒドロキシ-16,17-l-メチルエチリジンビス(オキシ)プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、ラタノプロスト(米国特許第6225348号参照)、テトラサイクリン及びその誘導体、リファマイシン及びその誘導体、マクロライド、メトロニダゾール(米国特許第6218369号及び6015803号)、ゲニステイン、ゲニスチン、6'-O-Malゲニスチン、6'-O-Acゲニスチン、ダイドゼイン、ダイドジン、6'-O-Malダイドジン、6'-O-Acダイドジン、グリシテイン、グリシチン、6'-O-Malグリシチン、ビオカニンA、ホルモノネチン(米国特許第6001368号)、トリアムシノロンアセトミド、デキサメタゾン(米国特許第5770589号)、サリドマイド、グルタチオン(米国特許第5632984号)、塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor)(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子b(transforming growth factor b)(TGF-b)、脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor)(BDNF)、プラスミノーゲン活性化因子2型(plasminogen activator factor type 2)(PAI-2)、EYE101(Eyetec Pharmaceuticals社)、LY333531(Eli Lilly社)、Miravant、及びRETISERTインプラント(Bausch & Lomb社)が含まれる。上で引用した参照文献のすべては、引用によりその全体で本明細書中に組み込まれている。
【0129】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、角質溶解薬、レチノイド、α-ヒドロキシ酸、抗生物質、コラーゲン、ボツリヌス毒素、インターフェロン、及び免疫調節薬が含まれる。具体例には、限定はされないが、5-フルオロウラシル、マソプロコール、トリクロロ酢酸、サリチル酸、乳酸、乳酸アンモニウム、尿素、トレチノイン、イソトレチノイン、抗生物質、コラーゲン、ボツリヌス毒素、インターフェロン、コルチコステロイド、トランスレチノイン酸、並びにヒト胎盤コラーゲン、動物胎盤コラーゲン、Dermalogen、AlloDerm、Fascia、Cymetra、Autologen、Zyderm、Zyplast、Resoplast及びIsolagenなどのコラーゲンが含まれる。
【0130】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、抗凝血薬、利尿薬、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、プロスタサイクリン類似体、エンドセリン拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例えば、PDE V阻害薬)、エンドペプチダーゼ阻害薬、抗高脂血症薬、トロンボキサン阻害薬、及び肺動脈圧を低下させることが知られているその他の治療薬が含まれる。具体例には、限定はされないが、ワルファリン(Coumadin(登録商標))、利尿薬、強心配糖体、ジゴキシン-酸素、ジルチアゼム、ニフェジピン、プロスタサイクリンなどの血管拡張薬(例えば、プロスタグランジンI2(PGI2))、エポプロステノール(EPO、Floran(登録商標))、トレプロスチニル(Remodulin(登録商標))、酸化窒素(NO)、ボセンタン(Tracleer(登録商標))、アムロジピン、エポプロステノール(Floran(登録商標))、トレプロスチニル(Remodulin(登録商標))、プロスタサイクリン、タダラフィル(Cialis(登録商標))、シンバスタチン(Zocor(登録商標))、オマパトリラート(Vanlev(登録商標))、イルベサルタン(Avapro(登録商標))、プラバスタチン(Pravachol(登録商標))、ジゴキシン、L-アルギニン、イロプロスト、β-プロスト、及びシルデナフィル(Viagra(登録商標))が含まれる。
【0131】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、アントラサイクリン、白金、アルキル化薬、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、シスプラチニウム、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデール、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、タキソテレ、イリノテカン、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パクリタキセル、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスフォネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ヒアルロニダーゼ、マイトマイシンC、メパクリン、チオテパ、テトラサイクリン、及びゲムシタビンが含まれる。
【0132】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、クロロキン、キニン、キニジン、ピリメタミン、スルファジアジン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、メフロキン、ハロファントリン(halofantrine)、プリマキン、ヒドロキシクロロキン、プログアニル、アトバコン、アジスロマイシン、スラミン、ペンタミジン、メラルソプロール、ニフルチモックス、ベンズニダゾール、アンホテリシンB、5価アンチモン化合物(例えば、スチボグルクロン酸ナトリウム)、インターフェロン-γ、イトラコナゾール、死んだ前鞭毛虫とBCGとの組合せ、ロイコボリン、コルチコステロイド、スルホンアミド、スピラマイシン、IgG(血清)、トリメトプリム、及びスルファメトキサゾールが含まれる。
【0133】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、アンピシリン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン及びエリスロマイシンなどの抗生物質(治療又は予防用);限定はされないが、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル及びリバビリンなどの抗ウイルス薬;免疫グロブリン;血漿;限定はされないが、レバミソール(levami sole)及びイソプリノシンなどの免疫増強薬;限定はされないが、γ-グロブリン、トランスファー因子、インターロイキン及びインターフェロンなどの生物薬品;限定はされないが、胸腺などのホルモン;並びに限定はされないが、B細胞賦活薬(例えば、BAFF/BlyS)、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-4及びIL-5)、増殖因子(例えば、TGF-y)、抗体(例えば、抗-CD40及びIgM)、非メチル化CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド、及びワクチン(例えば、ウイルス及び腫瘍ペプチドワクチン)などのその他の免疫薬が含まれる。
【0134】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、レボドパ、L-DOPA、コカイン、α-メチルチロシン、レセルピン、テトラベナジン、ベンゾトロピン、パルギリン、メシル酸フェノドルパム(fenodolpam mesylate)、カベルゴリン、二塩酸プラミペクソール、ロピノロール(ropinorole)、塩酸アマンタジン、塩酸セレギリン、カルビドパ、メシル酸ペルゴリド、シネメットCR及びシンメトレルなどのドーパミン作動薬又は拮抗薬;限定はされないが、イプロニアジド、クロルギリン、フェネルジン及びイソカルボキサジドなどのMAO阻害薬;限定はされないが、トルカポン及びエンタカポンなどのCOMT阻害薬;限定はされないが、サリチル酸(saliclate)フィゾスチグミン、硫酸フィゾスチグミン、臭化フィゾスチグミン、臭化メオスチグミン、メチル硫酸ネオスチグミン、塩化アンベノニム(ambenonim)、塩化エドロホニウム、タクリン、塩化プラリドキシム、塩化オビドキシム、臭化トリメドキシム、ジアセチルモノキシム、エンドロホニウム、ピリドスチグミン及びデメカリウムなどのコリンエステラーゼ阻害薬;限定はされないが、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナックナトリウム、ジクロフェナックカリウム、セレコキシブ、スリンダック、オキサプロジン、ジフルニサール、エトドラック、メロキシカム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、レフェコキシブ、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、金塩、Rho-D免疫グロブリン、ミコフェノール酸モフェチール、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサール、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナック、フルルビンプロフェン(flurbinprofen)、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾン(apazone)、ジロートン、アウロチオグルコース、金チオマレートナトリウム、アウラノフィン、メトトレキサート、コルチシン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン及びベンズブロマロン又はベタメゾン、並びにその他のグルココルチコイドなどの抗炎症薬、並びに限定はされないが、メトクロプロミド、ドンペリドン、プロクロルペラジン、プロメタジン、クロルプロマジン、トリメトベンズアミド、オンダンセトロン、グラニセトロン、ヒドロキシジン、アセチルロイシンモノエタノールアミン、アリザプリド、アザセトロン、ベンズキナミド、ビエタナウチン(bietanautine)、プロモプリド、ブクリジン、クレボプリド、シクリジン、ジメンヒドリネート、ジフェニドール、ドラセトロン、メクリジン、メタラタール(methallatal)、メトピマジン、ナビロン、オキシペルンジル(oxyperndyl)、ピパマジン(pipamazine)、スコポラミン、スルピリド、テトラヒドロカンナビノール、チエチルペラジン、チオプロペラジン、トロピセトロン、及びこれらの混合物などの制吐薬が含まれる。
【0135】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、免疫調節薬、免疫抑制薬、降圧薬、抗痙攣薬、線維素溶解薬、抗血小板薬、抗精神薬、抗鬱薬、ベンゾジアゼピン類、ブスピロン、アマンタジン、及びCNS損傷/傷害及び関連症候群を有する患者で使用される周知の又は従来からのその他の薬剤が含まれる。具体例には、限定はされないが、ステロイド(例えば、限定はされないが、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン及びベタメタゾンなどのグルココルチコイド);限定はされないが、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナックナトリウム、ジクロフェナックカリウム、セレコキシブ、スリンダック、オキサプロジン、ジフルニサール、エトドラック、メロキシカム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、レフェコキシブ、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、金塩、Rho-D免疫グロブリン、ミコフェノール酸モフェチール、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサール、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナック、フルルビンプロフェン(flurbinprofen)、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾン、ジロートン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、メトトレキサート、コルチシン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン及びベンズブロマロンなどの抗炎症薬;限定はされないが、db-cAMPなどを含むcAMP類似体;1-トレオ-メチルフェニデート、d-トレオ-メチルフェニデート、dl-トレオ-メチルフェニデート、l-エリスロ-メチルフェニデート、d-エリスロ-メチルフェニデート、dl-エリスロ-メチルフェニデート、及びこれらの混合物を含むメチルフェニデート薬を含有する薬剤;並びに限定はされないが、マンニトール、フロセミド、グリセロール及び尿素などの利尿薬が含まれる。
【0136】
さらなる第2活性薬剤の例には、限定はされないが、三環系抗鬱薬、選択的セロトニン取込み阻害薬、抗癲癇薬(ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、レビチラセタム、トピラメート)、抗不整脈薬(antiaryhthmic)、ナトリウムチャネル遮断薬、選択的炎症メディエーター阻害薬、オピオイド薬、第2免疫調節化合物、併用薬、及び睡眠療法で使用される周知の又は従来からのその他の薬剤が含まれる。具体例には、限定はされないが、ニューロチン、オキシコンチン、モルフィン、トピラメート、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、カルバマゼピン、レボドパ、L-DOPA、コカイン、α-メチル-チロシン、レセルピン、テトラベナジン、ベンゾトロピン、パルグリン、メシル酸フェノドルパム(fenodolpam)、カルベルゴリン、二塩酸プラミペキソール、ロピノロール、塩酸アマンタジン、塩酸セレギリン、カルビドパ、メシル酸ペルゴリド、シネメットCR、シンメトレル、イプロニアジド、クロルギリン、フェネルジン、イソカルボキサジド、トルカポン、エンタカポン、サリチル酸(saliclate)フィゾスチグミン、硫酸フィゾスチグミン、臭化フィゾスチグミン、臭化メオスチグミン、メチル硫酸ネオスチグミン、塩化アンベノニム、塩化エドロホニウム、タクリン、塩化プラリドキシム、塩化オビドキシム、臭化トリメドキシム、ジアセチルモノキシム、エンドロホニウム、ピリドスチグミン、デメカリウム、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナックナトリウム、ジクロフェナックカリウム、セレコキシブ、スリンダック、オキサプロジン、ジフルニサール、エトドラック、メロキシカム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、レフェコキシブ、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、金塩、Rho-D免疫グロブリン、ミコフェノール酸モフェチール、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサール、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナック、フルルビンプロフェン(flurbinprofen)、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、アパゾン(apazone)、ジロートン、アウロチオグルコース、金チオマレートナトリウム、アウラノフィン、メトトレキサート、コルチシン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、ベタメタゾン及びその他のグルココルチコイド、メトクロプロミド、ドンペリドン、プロクロルペラジン、プロメタジン、クロルプロマジン、トリメトベンズアミド、オンダンセトロン、グラニセトロン、ヒドロキシジン、アセチルロイシンモノエタノールアミン、アリザプリド、アザセトロン、ベンズキナミド、ビエタナウチン(bietanautine)、プロモプリド、ブクリジン、クレボプリド、シクリジン、ジメンヒドリネート、ジフェニドール、ドラセトロン、メクリジン、メタラタール(methallatal)、メトピマジン、ナビロン、オキシペルンジル(oxyperndyl)、ピパマジン(pipamazine)、スコポラミン、スルピリド、テトラヒドロカンナビノール、チエチルペラジン、チオプロペラジン、トロピセトロン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0137】
さらなる第2活性薬剤の例には、IL-2(組換えIL-II(「rIL2」)及びカナリポックスIL-2を含む)、IL-10、IL-12及びIL-18などのインターロイキン;インターフェロン-α-2a、インターフェロン-α-2b、インターフェロン-α-n1、インターフェロン-α-n3、インターフェロン-β-Ia、及びインターフェロン-γ-Ibなどのインターフェロン;及びG-CSF;ヒドロキシ尿素;ブチレート又はブチレート誘導体;亜酸化窒素;HEMOXIN(商標)(NIPRISAN(商標);米国特許第5800819号参照);クロトリマゾール及びトリアリールメタン誘導体などのGardosチャネル拮抗薬;デフェロキサミン;プロテインC;及び血液又はHemospan(商標)又はHemospan(商標)PS(Sangart社)などの血液代替物の輸血が含まれるが、これらに限定はされるものではない。
【0138】
患者への化合物I及び第2活性薬剤の投与は、同一又は異なる投与形路で同時的又は逐次的に行うことができる。特定の活性薬剤に関して採用される特定の投与経路の適合性は、活性薬剤そのもの(例えば、それが、血流中に入る前に分解しないで経口的に投与できるかどうか)及び治療される疾患によって決まる。いくつかの実施態様において、化合物Iは経口で投与される。本明細書中で提供される第2の活性薬剤又は成分の好ましい投与経路は、当業者に周知である。「医師用卓上参考書(Physicians' Desk Reference)」1755〜1760頁(第56版、2002年)を参照されたい。
【0139】
一実施態様において、第2活性薬剤は、静脈内又は皮下で投与される。別の実施態様において、第2活性薬剤は、静脈内又は皮下で、1日に1回又は2回、約1mg〜約1000mg、約5mg〜約500mg、約10mg〜約350mg、約50mg〜約200mgの量で投与される。第2活性薬剤の具体的な量は、使用する具体的な薬剤、治療又は管理される疾患の種類、疾患の重症度又は段階、並びに化合物I及び患者に同時に投与される任意選択の付加的活性薬剤の量によって決まる。
【0140】
(5.4 医薬組成物及び投与経路)
化合物Iを含む固体形態は、患者に対して経口又は非経口で、カプセル、マイクロカプセル、錠剤、顆粒、粉末、トローチ、ピル、坐薬、注射、懸濁剤及びシロップなどの従来からの製剤形態で投与できる。適切な製剤は、賦形剤(例えば、蔗糖、デンプン、マンニトール、ソルビトール、乳糖、ブドウ糖、セルロース、タルク、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、蔗糖又はデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又はクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク又はラウリル硫酸ナトリウム)、風味料(例えば、クエン酸、メントール、グリシン又はオレンジ粉末)、保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン又はプロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム又は酢酸)、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリクロン(polyvinylpyrroliclone)又はステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、及び基剤ワックス(例えば、カカオバター、白色ワセリン又はポリエチレングリコール)などの従来からの有機又は無機添加剤を使用する、一般的に採用される方法によって調製できる。化合物Iを含有する固体形態の医薬組成物中での有効量は、所望の効果を発揮するレベル;例えば、経口及び非経口投与の双方のための単位投与量で患者の体重につき約0.005mg/kg〜約10mg/kgでよい。
【0141】
固体形態の物理的特性の相違は、場合によっては、それらの生物学的利用能に影響を及ぼす場合があるが、各種疾患及び状態の治療において治療上又は予防上有効である固体形態の量は、製薬又は医学の技術分野における当業者が容易に決定することができる。一般に、化合物Iを含む固体形態は、1日に1〜4回、患者の体重につき約0.005mg/kg〜約10mg/kgの用量で投与することができるが、上記投与量は、患者の年齢、体重及び医学的状態、及び投与のタイプに応じて適切に変更できる。一実施態様において、用量は、患者の体重につき約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約0.05mg/kg〜約1mg/kg、約0.1mg/kg〜約0.75mg/kg、又は約0.25mg/kg〜約0.5mg/kgである。一実施態様において、1日につき1用量が与えられる。任意の所与の事例において、化合物Iを含む固体形態の投与量は、活性化合物の溶解性、使用される製剤、及び投与経路のような因子によって左右される。
【0142】
別の実施態様において、本明細書中では、疾患又は障害の治療又は予防方法であって、それを必要とする患者に、約0.375mg/日〜約750mg/日、約0.75mg/日〜約375mg/日、約3.75mg/日〜約75mg/日、約7.5mg/日〜約55mg/日、又は約18mg/日〜約37mg/日の、化合物Iを含む固体形態を投与することを含む方法が提供される。
【0143】
別の実施態様において、本明細書中では、疾患又は障害の治療又は予防方法であって、それを必要とする患者に、約1mg/日〜約1200mg/日、約10mg/日〜約1200mg/日、約100mg/日〜約1200mg/日、約400mg/日〜約1200mg/日、約600mg/日〜約1200mg/日、約400mg/日〜約800mg/日、又は約600mg/日〜約800mg/日の、化合物Iを含む固体形態を投与することを含む方法が提供される。特定の実施態様において、本明細書中で開示される方法は、それを必要とする患者に、400mg/日、600mg/日、又は800mg/日の、化合物Iを含む固体形態を投与することを含む。
【0144】
別の実施態様において、本明細書中では、約1mg〜約200mg、約35mg〜約1400mg、約125mg〜約1000mg、約250mg〜約1000mg、又は約500mg〜約1000mgの、化合物Iを含む固体形態を含有する単位投与量製剤が提供される。
【0145】
特定の実施態様において、本明細書中では、約100mg又は約400mgの、化合物Iを含む固体形態を含む単位投与量製剤が提供される。
【0146】
別の実施態様において、本明細書中では、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、35mg、50mg、70mg、100mg、125mg、140mg、175mg、200mg、250mg、280mg、350mg、500mg、560mg、700mg、750mg、1000mg、又は1400mgの、化合物Iを含む固体形態を含む単位投与量製剤が提供される。
【0147】
化合物Iを含む固体形態は、1日に1、2、3、4回又はそれ以上投与できる。特定の実施態様において、600mg以下の用量が、1日1回として投与され、600mgを超える用量が、1日当たり総投与量の半分に等しい量で1日に2回投与される。
【0148】
化合物Iを含む固体形態は、便宜上の理由のため経口で投与することができる。一実施態様において、経口で投与される場合、化合物Iは、食事及び水と共に投与される。別の実施態様では、化合物Iを、水又はジュース(例えば、リンゴジュース又はオレンジジュース)中に分散し、懸濁液として経口で投与する。
【0149】
化合物Iを含む固体形態は、皮内、筋内、腹膜内、経皮(percutaneously)、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、脳内、膣内、経皮(transdermally)、直腸で、吸入で、又は耳、鼻、眼又は皮膚へ局所的に投与することもできる。投与方式は、健康管理医師の裁量に任され、一部は部位の医学的状態により左右される場合がある。
【0150】
一実施態様において、本明細書中では、化合物Iを含む固体形態を、付加的な担体、賦形剤又はビヒクルなしに含有するカプセルが提供される。
【0151】
別の実施態様において、本明細書中では、化合物I含む固体形態の有効量、及び医薬として許容し得る担体又はビヒクルを含有する組成物が提供され、ここで、医薬として許容し得る担体又はビヒクルは、賦形剤、希釈剤、又はこれらの混合物を含むことができる。一実施態様において、組成物は医薬組成物である。
【0152】
組成物は、錠剤、チュアブル錠剤、カプセル、溶液、非経口溶液、トローチ、坐薬、及び懸濁液などの形態でよい。組成物は、1日用量、又は1日用量の都合のよい分割量を投与単位で含むように製剤することができ、該組成物は、単一の錠剤又はカプセル、或いは都合のよい容積の液体でよい。一実施態様において、溶液は、塩酸塩などの水溶性塩から調製される。一般に、組成物のすべては、製薬化学で周知の方法に従って調製される。カプセルは、化合物Iを含む固体形態を適切な担体又は希釈剤と混合すること、及び適切な量の該混合物をカプセル中に充填することによって調製できる。通常的な担体及び希釈剤には、限定はされないが、多種類のデンプン、粉末セルロース、特に結晶性及び微結晶性セルロース、果糖、マンニトール及び蔗糖などの糖類、穀物粉及び類似の食用粉末などの不活性粉末性物質が含まれる。
【0153】
錠剤は、直接圧縮によって、湿式顆粒化によって、又は乾式顆粒化によって調製できる。それらの製剤には、通常、化合物に加え、希釈剤、結合剤、滑沢剤及び崩壊剤を組み込む。典型的な希釈剤には、例えば、各種のデンプン、乳糖、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウム又は硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩、及び粉糖が含まれる。粉末性セルロース誘導体も有用である。典型的な錠剤用結合剤は、デンプン、ゼラチン、及び糖類(乳糖、果糖、ブドウ糖など)などの物質である。アラビアゴム、アルギン酸類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含む天然及び合成のゴム類も好都合である。ポリエチレングリコール、エチルセルロース及びワックス類も、結合剤として役立つ。
【0154】
滑沢剤は、錠剤製剤において、錠剤及びパンチが金型に固着するのを防ぐために必須であろう。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、及び水素化植物油のようなつるつるした固体から選択できる。錠剤用崩壊剤は、濡れると膨潤して錠剤を崩壊し、化合物を放出する物質である。崩壊剤には、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、及びゴム類が含まれる。より詳細には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムに加えて、コーンスターチ及び馬鈴薯デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、ウッドセルロース、粉末天然海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーゴム、シトラスパルプ、及びカルボキシメチルセルロースを使用できる。錠剤は、風味剤及び封止剤としての糖を用いて、又は錠剤の溶出特性を変更するための被膜形成保護剤を用いて被覆することができる。組成物は、また、例えば、製剤中でマンニトールなどの物質を使用することによってチュアブル錠剤として製剤できる。
【0155】
化合物Iを含む固体形態を坐薬として投与することが所望される場合には、典型的な基剤を使用できる。カカオバターが、伝統的な坐薬基剤であり、それは、ワックスを添加することによってその融点をわずかに高めるように変更され得る。特に、様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性坐薬基剤が、広く使用されている。
【0156】
化合物Iを含む固体形態の効果は、適切な製剤によって遅延又は延長できる。例えば、化合物Iを含む固体形態の徐溶解性ペレットを調製し、錠剤又はカプセル中に、又は移植可能な徐放性デバイスとして組み込むことができる。該技術には、いくつかの異なる放出速度のペレットを作製すること、及びカプセルに該ペレットの混合物を充填することも含まれる。錠剤又はカプセルを、予想期間の間は溶出に抵抗するフィルムを用いて被覆することができる。化合物Iを含む固体形態を、該形態が血清中に徐々に分散することを可能にする油性又は乳化されたビヒクル中に溶解又は懸濁することによって、非経口製剤でさえ長期作用性とすることができる。
【実施例】
【0157】
(6. 実施例)
以下の実施例は、限定としてではなく、例示として呈示される。
【0158】
(6.1 実施例1. 4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オールの合成)
4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オールと命名される化合物(「化合物I」)は、図13に概略を示す合成を使用して調製できる。化合物A(2,4-ジクロロ-5-ニトロピリミジン)から出発して、化合物Iが40%の総括収率で得られ、その純度は>99%(HPLC面積パーセント)である。この方法で、全部で550gの化合物Iを調製した。
【0159】
段階1A及び1Bは、クロロ基を適切なアミンで逐次的、化学選択的に置換することによる化合物B(2,4-ジアミノ置換-5-ニトロピリミジン)の「ワンポット」形成を含む。化合物A(2,4-ジクロロ-5-ニトロピリミジン)(363g、1.87モル、1.0当量)を、(S)-3-アミノテトラヒドロフラン(1)(230g、1.87モル、1.0当量)及びCH2Cl2(DCM)(3.45L、15倍容)の入っている反応容器に仕込んだ。DIPEA(684mL、3.93モル、2.1当量)の存在下での4-クロロ基の(S)-3-アミノテトラヒドロフラン(1)での置換は、-30〜-20℃で実施され、続いて反応物を10〜18時間にわたって20〜25℃まで温めた。化合物Aが消費されたら(IPCで1面積%未満を示すまで、HPLC)、反応混合物にtrans-4-アミノシクロヘキサノール(3)(215g、1.87モル、1.0当量)及び追加のDIPEA(391mL、2.24モル、1.2当量)を仕込んだ。混合物を、35〜40℃で10〜18時間、又は2のHPLC分析で1面積%未満を示すまで加熱した。約12倍容のDCMを留去すること、及び約3倍容のMeCNを添加することによって、DCMからMeCNへの溶媒交換を実施した。次いで、水(4.6L、20倍容)を添加し、反応混合物を約0〜5℃まで冷却し、約1〜2時間撹拌して、濾過可能な固体として化合物Bを得た。固体を、濾過により捕集し、水(2.3L、10倍容)で洗浄し、MTBE(2.3L、10倍容)で洗浄し、35〜40℃でKF<3%となるまで乾燥した(収率82〜89モル%、HPLC純度90〜95面積%)。
【0160】
段階2Aには、化合物Bのニトロ基の対応するアニリン(4)への還元が含まれる。化合物B(120g、0.37モル、1.0当量)と10%Pd/C(50%湿潤品、10wt%)(12g、10wt%)との混合物をMeOH(1.5L、12.5倍容)を用いて仕込んだ。混合物を、振とうしながら、40〜50psiのH2下に35〜40℃で2〜4時間(又はHPLC分析で、残存する化合物Bが1面積%未満となるまで)水素化した。セライト床を通して濾過することによって触媒を除去した。セライトを、温MeOH(35〜40℃)(1.2L、10倍容)で洗浄した。濾液を濃縮し、MeOHを留去すること及びTHF(1.8L、15倍容)を仕込むことによってMeOHからTHFへの溶媒交換を実施して、段階2Aの生成物(4)のTHF溶液/懸濁液を得て(推定収率>99モル%、HPLC純度>94面積%)、それを次の工程に進めた。THFでの溶媒交換は、留出物の1H NMRが2%未満のMeOHを示すまで実施した。THF溶液は、N2下で、外界温度(20〜25℃)で24時間まで分解なしに貯蔵できる。
【0161】
段階2Bには、段階2Aの生成物(4)と市販イソチオシアン酸2,4,6-トリフルオロフェニル(5)とのカップリングが含まれる。THF溶液としての段階2Aの生成物(4)(217.7g、0.742モル、1当量)をイソチオシアン酸2,4,6-トリフルオロフェニル(5)と、撹拌しながら20〜25℃で15〜18時間(又はIPCで(4)のHPLCが1面積%未満となるまで)反応させて、中間体チオ尿素(6)を得た。反応物にEDC(156.5g、0.816モル、1.1当量)を仕込み、60〜65℃で3.5〜6時間(又はIPCで(6)の(HPLC)が1面積%未満となるまで)加熱して、所望の粗プリン体(化合物I)を得た。次いで、混合物を、AcOH/H2O(212mL、3.71モル、5当量)及び水(650mL、3倍容)で処理し、60〜65℃で1.5〜2時間加熱した。次いで、混合物を、20〜25℃まで冷却し、EtOAc(3.3L、15倍容)で希釈した。相を分離し、有機相を水(2×5倍容)、Na2CO3(2×5倍容、5当量)(又はpH=9〜11になるまで)、そして再び水(5倍容)で洗浄した。有機相(EtOAc)を集め、EtOAcを使用する共沸蒸留によって、KF<5%未満になるまで水を除去した。EtOAcを留去すること、及びEtOH(1.1L、5倍容)を仕込むことによって、留出物の1H NMRが2%未満のEtOAcを示すまでEtOHでの溶媒交換を実施した。粗化合物Iのエタノール性スラリーは、不活性雰囲気下で、20〜25℃で64時間まで貯蔵できる。次いで、得られたスラリーを78〜83℃まで加熱し、水(15倍容)を、75℃を超える反応温度を維持するような速度で添加した。溶液に種(1〜2wt%の化合物I)を接種し、続いて水(5倍容)を添加し、反応混合物を20〜25℃まで冷却した。化合物Iを、濾過して捕集し、真空下に35〜40℃で18〜24時間(又はKF<1%になるまで)乾燥した(収率55〜62モル%、HPLC純度88〜99面積%)。
【0162】
段階3には、粗化合物Iの再結晶が含まれる。粗化合物I(717g、1.0当量)を、EtOH(6.1L、8.5倍容)中、78〜83℃で加熱し、固体が溶解するまで撹拌した。粗化合物Iの溶液を50〜55℃まで冷却し、仕上げ濾過を行った。次いで、溶液を78〜83℃まで加熱し、75℃を超える温度を維持しながら水(10.8L、15倍容)を添加した。溶液に種(7g、1〜2wt%の化合物I)を接種し、続いて反応混合物を20〜25℃まで冷却した。再結晶した化合物Iを濾過して捕集し、40℃まで(又はKF<1%になるまで)乾燥した(回収率78〜80モル%、HPLC純度99.42面積%)。
【0163】
化合物Iは、また、図15及び図16に示す別法に従って調製された。
【0164】
(6.2 実施例2.固体形態の調製:一般的手順)
平衡/スラリー及び蒸発実験を、2mLの溶媒に化合物Iの遊離塩基又はHCl塩の過剰量を添加することによって実施した。得られる混合物を、2つの別組の実験で、25℃及び50℃で少なくとも24時間撹拌した。平衡に到達したら、飽和上澄溶液を取り出し、開放バイアル瓶中、窒素下にそれぞれ25℃又は50℃で放置して徐々に蒸発させた。平衡から得られたスラリーを、濾過、風乾した。
【0165】
化合物Iの遊離塩基について、冷却法を使用する結晶化を実施した。化合物Iを、高められた温度、約65℃で溶媒に溶解し、放置して外界温度まで冷却した。外界温度で結晶しないサンプルは、冷蔵庫(約2〜8℃)に入れた。固体を、デカンテーションによって分離し、空気中に放置して乾燥した。
【0166】
また、化合物Iの遊離塩基の沈殿を、溶媒/アンチソルベントの組合せを使用して実施した。固体を、化合物Iが高い溶解度を有する溶媒中に溶解し、次いで、該溶液に、化合物Iが比較的不溶性であるように選択された溶媒(すなわち、アンチソルベント)を添加した。いくつかの溶媒/アンチソルベント系では、直ちに沈殿物が形成された。沈殿が直ちに発生しないなら、得られた混合物を、冷蔵庫中に放置して沈殿が形成されるまで冷却した。次いで、沈殿物を、デカンテーションによって分離し、空気中に放置して乾燥した。
【0167】
【表1】

【0168】
【表2】

【0169】
【表3】

【0170】
(6.3 実施例3.固体形態の概略溶解度)
化合物Iの遊離塩基又はHCl塩を含む秤量済みのサンプルを、2mLの溶媒(HPLC級又は試薬級)と処理した。得られた混合物を、約25℃で少なくとも24時間撹拌した。肉眼検査ですべての固体が溶解したら、概算溶解度を計算した。該溶解度は、これらの実験から、完全な溶液を与えるのに使用された溶媒総容積を基準にして見積もった。測定値を下表に示す。多量の溶媒の使用又は遅い溶解速度のため、真の溶解度は、計算された溶解度よりも大きい可能性がある。既知容積の濾液を蒸発乾固して、残留物の重量を測定した。
【0171】
【表4】

【0172】
(6.4 実施例4.化合物IのA型遊離塩基の調製)
粗4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オール(「化合物I」)(5g)を、エタノール(35mL、7倍容)中に還流(78〜82℃)下で溶解した。75℃を超える温度を維持して、水(75mL、15倍容)を添加した。溶液に種(0.5〜1%)を接種し、放置して4〜6時間にわたって外界温度(20〜25℃)まで冷却した。生成物を、濾過して捕集し、水(25mL、5倍容)で洗浄し、次いで、乾燥(40〜45℃、18時間)して、類白色の結晶性固体として化合物IのA型遊離塩基を得た。
【0173】
(6.5 実施例5.化合物Iの遊離塩基水和物の調製)
粗4-[9-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-8-(2,4,6-トリフルオロ-フェニルアミノ)-9H-プリン-2-イルアミノ]-シクロヘキサン-1-オール(「化合物I」)(100mg)を、エタノールと水との1:1混合物(2mL)中に約65℃で溶解した。溶液を、約4℃まで徐々に冷却した。液体をデカントして、得られた固体を分離し、該固体を放置して風乾した。得られた白色固体を、XRPD、DSC及びTG/IRを用いて、化合物Iの遊離塩基の結晶性水和物と特徴付けた。顕微鏡によれば、該固体は、針状形状の結晶を含んでいた。
【0174】
(6.6 実施例6.化合物IのHCl塩の調製)
化合物IのA型2HCl塩は、下記の2つの方法で調製できる。
【0175】
手順1:化合物Iの遊離塩基のサンプル(100〜200mg)に、溶媒(15〜30倍容)を添加し、混合物を、溶解が起こるまで加熱した(60〜85℃)。溶液を放置して室温(20〜25℃)まで冷却し、塩酸ガス(1〜3当量)を添加した。サンプルを、5〜25℃で貯蔵し、3週間まで結晶化について監視した。この方法で結晶化された化合物Iの2HCl塩のA型結晶形を、濾過により分離し、乾燥(20〜40℃)し、分析した。
【0176】
手順2:化合物Iの遊離塩基8gから、化合物IのA型2HCl塩のバッチ7.2gを調製した。化合物Iの遊離塩基を、エタノール(9倍容)中に75〜80℃で溶解した。溶液を、放置して室温(20〜25℃)まで冷却し、次いで、濃HCl(12M水溶液、3当量)を添加した。溶液を、0〜5℃まで2〜4時間、結晶化が観察されるまで冷却した。化合物Iの2HCl塩A型結晶形の結晶を、濾過により分離し、乾燥し、分析した。
【0177】
(6.7 実施例7.化合物IのA型HBr塩の調製)
化合物IのA型HBr塩を、下記の方法で調製した。
【0178】
化合物Iの遊離塩基のサンプル(100〜200mg)に、溶媒(15〜30倍容)を添加し、混合物を、溶解が起こるまで加熱した(60〜85℃)。溶液を放置して室温(20〜25℃)まで冷却し、臭化水素酸ガス(1〜3当量)を添加した。サンプルを、5〜25℃で貯蔵し、3週間まで結晶化について監視した。この方法で結晶化された化合物IのHBr塩のA型結晶形を、濾過により分離し、乾燥(20〜40℃)し、分析した。
【0179】
(6.8 実施例8.化合物IのA型硫酸塩の調製)
化合物IのA型硫酸塩を、下記の方法で調製した。
【0180】
化合物Iの遊離塩基を、15倍容のエタノールに70〜75℃の温度で溶解した。溶解に続いて、溶液に過剰量の硫酸を添加した。18時間後に、化合物IのA型硫酸塩の結晶化が観察された。
【0181】
化合物Iの遊離塩基を、30倍容のイソプロパノールに80〜85℃で溶解した、溶解に続いて、溶液に過剰量の硫酸を添加した。18時間後に、化合物IのA型硫酸塩の結晶化が観察された。
【0182】
(6.9 実施例9.分析方法)
(6.9.1 粉末X線回折)
粉末X線回折(XRPD)は、「X線回折」と題する米国薬局方(USP)のモノグラフ<941>に従って実施した(引用によりその全体で本明細書中に組み込まれている「米国薬局方、国民医薬品集(The United States Pharmacopeia, The National Formulary)、2003」The United States Pharmacopeial Convention社、Rockville、MD(メリーランド)州を参照されたい)。約0.020°の工程サイズ、工程毎に約0.50秒の計数時間、及び約2.40°/分の工程走査速度で約1.5°(2θ)から約40°(2θ)までのXRPDを測定するために、ニッケルフィルターを通した1.54ÅのCu Kα線を備えたThermo ARL X'TRA 粉末X線回折計(Thermo Electron社、Watham、MA(マサチューセッツ)州)を使用した。該装置は、精細焦点X管球を備えていた。電圧及びアンペア数は、それぞれ、45kV及び40mAに設定した。発散スリットは、0.5mm及び0.2mmに設定した。回折線を、ペルチェ冷却Si(Li)ソリッドステート検出器を使用して測定した。位置(°2θ)に対する強度(秒当たりの計数値)を示す代表的なXRPDパターンが得られた。焼結アルミニウム標準を使用してピーク位置を確認した。ピーク位置は、サンプルによって約±0/1°の2θ程度まで変動する可能性がある。ピーク位置の変動は、粒子径、サンプル調製、データ収集の温度及びパラメーターを含む多数の因子によって左右される可能性がある。ピーク強度の変動は、例えば、好ましい方向及び/又は晶癖変動の結果として発生する可能性がある。
【0183】
(6.9.2 熱分析)
示差走査熱量法(DSC)の測定は、「熱分析(Thermo Analysis)」と題する米国薬局方(USP)のモノグラフ<891>に従って実施した(引用によりその全体で本明細書中に組み込まれている「米国薬局方、国民医薬品集(The United States Pharmacopeia, The National Formulary)、2003」The United States Pharmacopeial Convention社、Rockville、MD(メリーランド)州を参照されたい)。DSCモデルQ1000(TA Instruments社。New Cstle、DE(デラウェア)州)を使用してDSC測定値を得た。較正基準としてインジウムを使用した。分析は、約2mg〜約5mgの範囲の質量を有する正確に秤量したサンプルについて実施した。サンプルを、窒素下で、約25℃から約300℃まで約10℃/分の一定の加熱速度で加熱した。温度(℃)に対する熱流量(W/g)を示す代表的なDCSサーモグラムが得られた。融点は、外挿された開始温度として報告した。
【0184】
熱重量分析(TGA)の測定は、「熱分析(Thermo Analysis)」と題する米国薬局方(USP)のモノグラフ<891>に従って実施した(引用によりその全体で本明細書中に組み込まれている「米国薬局方、国民医薬品集(The United States Pharmacopeia, The National Formulary)、2003」The United States Pharmacopeial Convention社、Rockville、MD(メリーランド)州を参照されたい)。TGAモデルQ500(TA Instruments社、New Cstle、DE(デラウェア)州)を使用してTGA測定値を得た。分析は、約10.0mg〜約50.0mgの範囲の質量を有するサンプルについて実施した。サンプルを、窒素下で、約25℃から約300℃まで約10℃/分の一定の加熱速度で加熱した。温度(℃)に対する重量(%)を示す1つの軌跡、及び温度(℃)に対する微分重量(%/℃)を示す付加的軌跡を有する代表的なTGAサーモグラムが得られた。
【0185】
(6.9.3 形態学的分析)
サンプルの形態学的分析は、オリンパス光学顕微鏡を使用して実施した。該装置は、米国薬局方の基準に従って較正した。
【0186】
(6.9.4 水分収着分析)
吸湿性(水分の収着/脱着)は、動的水蒸気収着(Daynamic Vapor Sorption)(DVS)によって測定した。10mg〜50mgの範囲の化合物Iを含む固体サンプルを、相対湿度(relative humidity)(RH)が0%のDVS装置中に入れた。RHを、0%から80%又は90%まで増加させた。次いで、RHを、類似の方式で低下させ、完全収着/脱着のサイクルを完遂した。
【0187】
(6.9.5 HPLC分析)
化合物I及び/又はその合成中間体の純度を分析するためのHPLC法が、指針として提供され、比較可能な結果を得るために、適切な変更を付加することができる。以下で提供するHPLC法は、図13に示す合成工程に対応している。
【0188】
(段階1A、インプロセス):反応混合物のサンプル(0.1mL)を、CH3CN:0.1%H3PO4水(1:1)の10mLで希釈し、次いで、次のHPLC条件を使用して分析した。カラム:Phenomenex Hypersil BDS C8(4.6×250mm)、5μ、120A;検出:210、240nm、UV検出器;注入容積:10.0μL;温度:35℃;分析時間:20分;移動相:A=CH3CN、B=10mM KH2PO4水、pH=3(H3PO4);流速:1.00mL/分;グラジエント:0分=10.0%A+90.0%B、20.00分=70.0%A+30.0%B、20.01分=10.0%A+90.0%B。反応は、残存している出発物質化合物Aが0.1%未満(HPLC面積%)のとき、完了と考えた(化合物Aの概略保持時間は、14.83分であった)。
【0189】
(段階1B、インプロセス):反応混合物のサンプル(0.1mL)を、CH3CN:0.1%H3PO4水(1:1)の10mLで希釈し、次いで、次のHPLC条件を使用して分析した。カラム:Phenomenex Hypersil BDS C8(4.6×250mm)、5μ、120A;検出:210、240nm、UV検出器;注入容積:10.0μL;温度:35℃;分析時間:20分;移動相:A=CH3CN、B=10mM KH2PO4水、pH=3(H3PO4);流速:1.00mL/分;グラジエント:0分=10.0%A+90.0%B、20.00分=70.0%A+30.0%B、20.01分=10.0%A+90.0%B。反応は、残存している中間体2が0.1%未満(HPLC面積%)のとき、完了と考えた(2の概略保持時間は、13.23分であった)。
【0190】
(化合物B、純度):50mgの化合物Bを、CH3CN:0.1%H3PO4水(1:1)の100mLで溶解、希釈し、次いで、次のHPLC条件を使用して分析した。カラム:Phenomenex Hypersil BDS C8(4.6×250mm)、5μ、120A;検出:210、240nm、UV検出器;注入容積:10.0μL;温度:35℃;分析時間:30分;移動相:A=CH3CN、B=10mM KH2PO4水、pH=3(H3PO4);流速:1.00mL/分;グラジエント:0分=10.0%A+90.0%B、30.00分=40.0%A+60.0%B、30.01分=10.0%A+90.0%B。化合物Bの概略保持時間は、18.92分であった。
【0191】
(段階2A、インプロセス):反応混合物のサンプル(0.1mL)を、CH3CN:0.1%H3PO4水(1:1)の10mLで希釈し、Pd触媒を濾過して除去し、次いで、次のHPLC条件を使用して分析した。カラム:Phenomenex Hypersil BDS C8(4.6×250mm)、5μ、120A;検出:210、240nm、UV検出器;注入容積:10.0μL;温度:35℃;分析時間:20分;移動相:A=CH3CN、B=10mM KH2PO4水、pH=3(H3PO4);流速:1.00mL/分;グラジエント:0分=1.0%A+99.0%B、10.00分=60.0%A+40.0%B、15.00分=85.0%A+15.0%B、16.00分=85.0%A+15.0%B,16.01分=1.0%A+99.0%B。反応は、残存している化合物Bが0.1%未満(HPLC面積%)のとき、完了と考えた(化合物Bの概略保持時間は、10.15分であった)。
【0192】
(段階2B、中間体6の合成、インプロセス):反応混合物のサンプル(0.1mL)を、CH3CN:0.1%H3PO4水(1:1)の10mLで希釈し、次いで、次のHPLC条件を使用して分析した。カラム:Phenomenex Hypersil BDS C8(4.6×250mm)、5μ、120A;検出:210、240nm、UV検出器;注入容積:10.0μL;温度:35℃;分析時間:20分;移動相:A=CH3CN、B=10mM KH2PO4水、pH=3(H3PO4);流速:1.00mL/分;グラジエント:0分=1.0%A+99.0%B、10.00分=60.0%A+40.0%B、15.00分=85.0%A+15.0%B、16.00分=85.0%A+15.0%B、16.01分=1.0%A+99.0%B。反応は、残存している中間体4が0.1%未満(HPLC面積%)のとき、完了と考えた(4の概略保持時間は、6.93分であった)。
【0193】
(段階2B、粗化合物Iの合成、インプロセス):反応混合物のサンプル(0.1mL)を、CH3CN:0.1%H3PO4水(1:1)の10mLで希釈し、次いで、次のHPLC条件を使用して分析した。カラム:Phenomenex Hypersil BDS C8(4.6×250mm)、5μ、120A;検出:210、240nm、UV検出器;注入容積:10.0μL;温度:35℃;分析時間:20分;移動相:20:80のCH3CN:10mM KH2PO4水、pH=3(H3PO4);流速:1.00mL/分。反応は、残存している中間体6が0.1%未満(HPLC面積%)のとき、完了と考えた(6の概略保持時間は、15.4分であった)。
【0194】
(粗又は再結晶した化合物I、純度):50mgの粗化合物Iを、CH3CN:0.1%H3PO4水(1:1)の100mLで溶解、希釈し、次いで、次のHPLC条件を使用して分析した。カラム:Phenomenex Hypersil BDS C8(4.6×250mm)、5μ、120A;検出:210、240nm、UV検出器;注入容積:10.0μL;温度:35℃;分析時間:20分;移動相:A=CH3CN、B=10mM KH2PO4水、pH=3(H3PO4);流速:1.00mL/分;グラジエント:0分=1.0%A+99.0%B、10.00分=60.0%A+40.0%B、15.00分=85.0%A+15.0%B、16.00分=85.0%A+15.0%B、16.01分=1.0%A+99.0%B。化合物Iの概略保持時間は、10.0分であった。
【0195】
本明細書中で引用したすべての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物又は特許出願が、引用により組み込まれていることを具体的且つ個別的に示すように、引用により本明細書中に組み込まれている。理解を明瞭にする目的で、前述の実施態様を、例示及び実施例によってある程度詳細に説明してきたが、本明細書中で提供される教示に照らして、それに対して添付特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱しないで、いくつかの変更及び修正をなし得ることは、当業者にとって容易に理解できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその塩を含む結晶形:
【化1】


【請求項2】
約12.4、16.0及び18.5°(2θ)にピークを有する粉末X線回折パターンを示す、請求項1記載の結晶形。
【請求項3】
約17.7、23.2及び24.1°(2θ)にピークをさらに有する粉末X線回折パターンを示す、請求項2記載の結晶形。
【請求項4】
開始温度約225℃で吸熱を有する示差走査熱量法のサーモグラムを示す、請求項1記載の結晶。
【請求項5】
約25℃から約200℃まで加熱された場合に、サンプル総質量の約1%未満の総質量損失を有する熱重量分析のサーモグラムを示す、請求項2記載の結晶形。
【請求項6】
溶媒和されていない、請求項2記載の結晶形。
【請求項7】
相対湿度が約0%から約80%までの湿度増加にさらされた場合に、約2%未満の質量増加を示す、請求項2記載の結晶形。
【請求項8】
実質上純粋である、請求項2記載の結晶形。
【請求項9】
水和物である、請求項1記載の結晶形。
【請求項10】
約6.5、13.0及び23.0°(2θ)にピークを有する粉末X線回折パターンを示す、請求項9記載の結晶形。
【請求項11】
約13.4、20.1及び23.8°(2θ)にピークをさらに有する粉末X線回折パターンを示す、請求項10記載の結晶形。
【請求項12】
式(I)の化合物の塩酸塩を含む、請求項1記載の結晶形。
【請求項13】
式(I)の化合物の塩酸塩が、約2モル当量の塩素イオンを含む、請求項12記載の結晶形。
【請求項14】
請求項1記載の結晶形を含有する医薬組成物。
【請求項15】
医薬として許容し得る希釈剤、賦形剤又は担体をさらに含有する、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
経口、非経口、粘膜、経皮又は局所投与に適した、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1記載の結晶形、及び医薬として許容し得る担体、賦形剤又は希釈剤を含有する単一単位剤形。
【請求項18】
経口、非経口、粘膜、経皮又は局所投与に適した、請求項17記載の単一単位剤形。
【請求項19】
(a)癌;(b)炎症状態;(c)免疫学的状態;又は(d)代謝状態の治療又は予防方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項1記載の結晶形を投与することを含み、
(a)該癌が、頭部、頚部、眼、口、喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頚部、乳房、卵巣、精巣、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、又は中枢神経系に関するものであり、
(b)該炎症状態が、喘息、アレルギー性鼻炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸徴候群、クローン病、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、糖尿病、又は肥満であり、
(c)該免疫学的状態が、リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、骨関節症、多発性硬化症、狼瘡、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、グレーブス病、又は糖尿病であり、且つ
(d)該代謝状態が、肥満又は糖尿病である、
前記治療又は予防方法。
【請求項20】
式(I)の化合物の製造方法であって:
【化2】

(1)ニトロピリミジンをアミン含有化合物又はその塩で置換する工程、
(2)さらに、さらなるアミン含有化合物又はその塩で置換する工程、
(3)ニトロ基を、対応するアミンに還元する工程、
(4)イソチオシアネートで置換されたトリフルオロフェニル化合物とカップリンさせる工程、及び
(5)閉環して置換プリンの形成をもたらす工程
を含む、前記製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−507673(P2010−507673A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534658(P2009−534658)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/022648
【国際公開番号】WO2008/057252
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(504135550)シグナル ファーマシューティカルズ,エルエルシー (21)
【Fターム(参考)】