説明

5HT4−拮抗薬としてのアミノスルホニル置換4−(アミノメチル)−ピペリジンベンズアミド

【化1】


本発明は、5HT−拮抗特性を有する式(I)で表される新規な化合物に関する。本発明は、更に、前記新規化合物を製造する方法、前記新規化合物を含有させた薬剤組成物ばかりでなく前記化合物を薬剤として用いることにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5HT−拮抗特性を有する式(I)で表される新規な化合物に関する。本発明は、更に、前記新規な化合物を製造する方法、前記新規な化合物を含有させた薬剤組成物ばかりでなく前記化合物を薬剤として用いることにも関する。
【背景技術】
【0002】
5HT−拮抗特性を有する3−置換もしくは4−置換4−(アミノメチル)−ピペリジン誘導体の二環状ベンズアミドが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】WO−00/37461
【発明の開示】
【0003】
本発明の化合物は、異なるL基部分が存在することから、その示した本技術分野で公知の化合物とは構造的に異なる。
【0004】
式(I)で表される本化合物は、予想外に、特許文献1に開示されている化合物に比べて向上した代謝安定性を示す。
【0005】
本発明は、式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
−R−R−は、式
−O−CH−O− (a−1)
−O−CH−CH− (a−2)
−O−CH−CH−O− (a−3)
−O−CH−CH−CH− (a−4)
−O−CH−CH−CH−O− (a−5)
−O−CH−CH−CH−CH− (a−6)
−O−CH−CH−CH−CH−O− (a−7)
−O−CH−CH−CH−CH−CH− (a−8)
で表される二価基であり、ここで、場合により、前記二価基の中の同じまたは異なる炭素原子上の1個または2個の水素原子がC1−6アルキルまたはヒドロキシに置き換わっていてもよく、
は、水素、ハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシであり、
は、水素、ハロ、C1−6アルキル;シアノまたはC1−6アルキルオキシで置換されているC1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;シアノ;アミノまたはモノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、
は、水素またはC1−6アルキルであり、そして−OR基は、ピペリジン部分の3
位もしくは4位に位置し、
Lは、式
−Alk−R (b−1)
−Alk−X−R (b−2)
−Alk−Y−C(=O)−R (b−3)
−Alk−C(=O)−NH−C=O)−R11 (b−4)
−Alk−C(=O)−NH−SO−R11 (b−5)
−Alk−SO−NH−C(=O)−R11 (b−6)
−Alk−SO−NH−SO−R11 (b−7)
(ここで、各AlkはC1−12アルカンジイルである)
で表される基であり、
は、場合によりC1−4アルキル、C3−6シクロアルキルまたはフェニルで置換されていてもよいアミノスルホニルであり、
は、C1−6アルキルスルホニルであり、
Xは、NRであり、ここで、前記RはC1−6アルキルであり、
は、C1−6アルキルスルホニルアミノであり、
Yは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、水素またはC1−6アルキルである)であり、そして
11は、C1−6アルキルまたはフェニルである]
で表される化合物、これらの立体化学異性体形態、N−オキサイド形態、または薬学的に受け入れられる酸もしくは付加塩に関する。
【0008】
この上に示した定義で用いた如きハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり、C1−4アルキルは、炭素原子数が1から4の直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピルなどを定義するものであり、C1−6アルキルは、これにC1−4アルキルおよびこれの炭素原子数が5から6の高級同族体、例えば2−メチル−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含させることを意味し、C3−6シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルの総称であり、C1−12アルカンジイルは、炭素原子を1から12個含有する二価の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基、例えばメタンジイル、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,5−ペンタンジイル、1,6−ヘキサンジイル、1,7−ヘプタンジイル、1,8−オクタンジイル、1,9−ノナジイル、1,10−デカンジイル、1,11−ウンデカンジイル、1,12−ドデカンジイルおよびこれらの分枝異性体などを定義するものである。C1−4アルカンジイルは、炭素原子を1から4個含有する二価の直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基、例えばメタンジイル、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイルおよび1,4−ブタンジイルなどを定義するものである。
【0009】
用語「アミノスルホニル」は式
【0010】
【化2】

【0011】
で表される基を指す。
【0012】
本明細書の上で用いた如き用語「立体化学的異性体形態」は、式(I)で表される化合
物が取り得る可能なあらゆる異性体形態を定義するものである。特に明記しない限り、ある化合物の化学的表示は可能なあらゆる立体化学異性体形態の混合物を表し、前記混合物は基本的分子構造を有するジアステレオマーおよび鏡像異性体の全部を含有する。より詳細には、立体幾何中心(stereogenic centers)はR配置またはS配置を取り得、二価の環状(部分)飽和基上の置換基はシス配置またはトランス配置のいずれかを取り得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所にE立体化学またはZ立体化学を取り得る。式(I)で表される化合物の立体化学異性体形態は明らかに本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0013】
本明細書の上に記述した如き薬学的に受け入れられる酸および塩基付加塩は、これに前記式(I)で表される化合物が形成し得る治療的に活性のある無毒の酸および塩基付加塩形態を包含させることを意味する。便利には、塩基形態をそのような適切な酸で処理することで、薬学的に受け入れられる酸付加塩を得ることができる。適切な酸には、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸など、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸(即ちエタン二酸)、マロン酸、こはく酸(即ちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などが含まれる。
【0014】
逆に、前記塩形態を適切な塩基で処理することで遊離塩基形態に変化させることができる。
【0015】
前記式(I)で表される化合物が酸性プロトンを含有する場合、また、それらを適切な有機および無機塩基で処理することで無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に変化させることも可能である。適切な塩基塩形態には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属の塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩など、そしてアミノ酸、例えばアルギニン、リシンなどとの塩が含まれる。
【0016】
本明細書の上で用いた如き用語「付加塩」は、また、前記式(I)で表される化合物ばかりでなくこれらの塩が形成し得る溶媒和物も包含する。そのような溶媒和物は、例えば水化物、アルコラートなどである。
【0017】
前記式(I)で表される化合物の数種はまた互変異性体形態でも存在し得る。そのような形態をこの上に示した式に明確には示していないが、それらも本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0018】
前記式(I)で表される化合物のN−オキサイド形態は、これに1個もしくは数個の窒素原子が酸化されてN−オキサイドになっている式(I)で表される化合物を包含させることを意味し、これの調製は本技術分野で公知の手段で実施可能である。特に、ピペリジンの窒素がN−オキサイドになっているN−オキサイドを想定する。
【0019】
興味の持たれる化合物の群は、下記の制限の中の1つ以上が当てはまる式(I)で表される化合物で構成される群である:
a)−R−R−が式(a−3)で表される基であり、そして/または
b)−R−R−が式(a−5)で表される基であり、そして/または
c)Rが水素、ハロ、メチルまたはメトキシであり、そして/または
d)Rが水素、ハロ、メチル、シアノ、アミノまたはC1−4アルキルアミノであり、そして/または
e)Rがフルオロであり、そして/または
f)Rが水素またはメチルであり、そして−OR基がピペリジン環の3位もしくは4位に位置し、そして/または
g)Rが水素またはメチルであり、そして−OR基がピペリジン環の3位に位置し、そして/または
h)Rが水素であり、そして−OR基がピペリジン環の4位に位置し、そして/または
i)Rが水素またはメチルである−OR基がピペリジン環の3位に位置し、そしてピペリジン部分の4位に位置するメチレンに対してトランス位に存在し、そして/または
j)Rが水素またはメチルである−OR基がピペリジン環の3位に位置し、そしてピペリジン部分の4位に位置するメチレンに対してトランス位に存在し、そして前記ピペリジン部分の絶対配置が(3S,4S)であり、そして/または
k)Lが式(b−1)で表される基[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてRがアミノスルホニルまたはC1−4アルキルもしくはフェニルで置換されているアミノスルホニルである]であるか、或はLが基(b−5)[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてR11がC1−4アルキルである]であるか、或はLが基(b−7)[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてR11がC1−4アルキルである]である。
【0020】
他の興味の持たれる化合物は、
−R−R−が式
−O−CH−CH−O− (a−3)
−O−CH−CH−CH−O− (a−5)
で表される二価基であり、
が水素、ハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシであり、
が水素、ハロ、C1−6アルキル;シアノ;アミノまたはモノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、
が水素またはC1−6アルキルであり、そして−OR基がピペリジン部分の3位もしくは4位に位置し、
Lが式
−Alk−R (b−1)
−Alk−C(=O)−NH−SO−R11 (b−5)
−Alk−SO−NH−SO−R11 (b−7)
(ここで、各AlkはC1−12アルカンジイルである)
で表される基であり、
が場合によりC1−4アルキルまたはフェニルで置換されていてもよいアミノスルホニルであり、そして
11がC1−6アルキルである、
式(I)で表される化合物である。
【0021】
特別な化合物は、−OR基が好適にはヒドロキシまたはメトキシを表してトランス配置を有するピペリジン部分の3位に位置している、即ち−OR基がピペリジン部分に存在するメチレンに対してトランス位に存在する式(I)で表される化合物である。
【0022】
より特別な化合物は、二価基−R−R−が式(a−3)または(a−5)で表される基であり、−OR基がヒドロキシを表して(3S−トランス)配置を有するピペリジン部分の3位に位置する[これは、前記ピペリジン部分の絶対(3S,4S)配置に相当する]式(I)で表される化合物である。
【0023】
好適な化合物は、Lが式(b−1)で表される基[ここで、AlkがC1−4アルカン
ジイルでありそしてRがアミノスルホニルまたはC1−4アルキルもしくはフェニルで置換されているアミノスルホニルである]であるより特別な化合物である。
【0024】
他の好適な化合物は、Lが基(b−5)[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてR11がC1−4アルキルである]であるより特別な化合物である。
【0025】
更に別の好適な化合物は、Lが基(b−7)[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてR11がC1−4アルキルである]であるより特別な化合物である。
【0026】
前記式(I)で表される化合物の調製は、式(II)で表される中間体を式(III)で表されるカルボン酸誘導体または場合によりこれの反応性官能誘導体、例えばカルボニルイミダゾール誘導体、ハロゲン化アシルまたは混合無水物などと反応させることで実施可能である。前記アミド結合の形成は前記反応体の撹拌を適切な溶媒中で場合により塩基、例えばトリエチルアミンなどの存在下で行うことで実施可能である。
【0027】
【化3】

【0028】
式(I)で表される化合物の調製は、また、一般に、式(V)で表される中間体に式(IV)[式中、Wは適切な脱離基、例えばハロ、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどであるか、或はある場合には、Wはまたスルホニルオキシ基、例えばメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルなどの如き反応性脱離基であってもよい]で表される中間体によるN−アルキル置換を受けさせることでも実施可能である。前記反応は反応に不活性な溶媒、例えばアセトニトリル、2−ペンタノール、イソブタノール、ジメチルアセトアミドまたはDMFなど中で場合により適切な塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、N−メチルピロリドンまたはトリエチルアミンなどの存在下で実施可能である。撹拌を行うと反応速度が速くなる可能性がある。この反応は便利に室温から反応混合物の還流温度の範囲の温度で実施可能である。
【0029】
【化4】

【0030】
別法として、式(I)で表される化合物の調製は、また、本技術分野で公知の還元N−アルキル置換手順に従って式(V)で表される中間体に式L’=O(VI)[式中、L’=Oは式L−H(ここで、2個のジェミナル水素原子は酸素に置き換わっている)で表される誘導体を表す]で表される中間体による還元N−アルキル置換を受けさせることでも実施可能である。
【0031】
【化5】

【0032】
前記還元N−アルキル置換は、反応に不活性な溶媒、例えばジクロロメタン、エタノール、トルエンまたはこれらの混合物など中で還元剤、例えばボロハイドライド、例えばホウ水素化ナトリウム、シアノホウ水素化ナトリウムまたはホウ水素化トリアセトキシなどの存在下で実施可能である。また、水素を還元剤として適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムまたは炭に担持されている白金などと組み合わせて用いるのも便利であり得る。水素を還元剤として用いる場合には脱水剤、例えばアルミニウムt−ブトキサドなどを反応混合物に添加するのが有利である。反応体および反応生成物が有する特定の官能基が望まれないさらなる水添を受けないようにする目的で、また、適切な触媒毒、例えばチオフェンまたはキノリン−硫黄などを反応混合物に添加するのも有利であり得る。反応速度を速めようとする時には温度を室温から反応混合物の還流温度の範囲内にまで上昇させてもよくそして場合により水素ガスの圧力を高くしてもよい。
【0033】
式(V)で表される中間体の調製は、式(VII)[式中、PGは本技術分野で公知の適切な保護基、例えばt−ブトキシカルボニルまたはベンジル基または光で除去可能な基などを表す]で表される中間体を式(III)で表される酸またはこれの適切な反応性官能誘導体、例えばカルボニルイミダゾール誘導体などと反応させた後にそのようにして生じさせた中間体に脱保護を受けさせる、即ち本技術分野で公知の方法を用いてPGを除去することで実施可能である。
【0034】
【化6】

【0035】
が水素でRがアミノである式(I)で表される化合物として定義される式(I−a)で表される化合物の調製は、一般に、式(II)で表される中間体に式(III−a)で表されるカルボン酸誘導体によるN−アルキル置換を受けさせることで実施可能である。前記N−アルキル置換反応は、前記反応体を適切な溶媒中で場合により塩基、例えば炭酸カリウムまたはトリエチルアミンなどの存在下で撹拌することで実施可能である。このN−アルキル置換反応の後に水添手順を適切な触媒、例えば炭素に担持されているパラジウムなどを用いて実施する。
【0036】
【化7】

【0037】
前記式(I)で表される化合物の調製は、更に、式(I)で表される化合物を本技術分野で公知の基変換反応に従って互いに変化させることでも実施可能である。
【0038】
前記出発材料および中間体の数種は公知化合物で商業的に入手可能であるか、或は本技術分野で一般的に公知の通常の反応手順に従って調製可能である。例えば、式(II)または(VII)で表される中間体の調製はWO−99/02156またはWO−00/37461に記述されている方法論に従って実施可能である。
【0039】
式(VI)で表される中間体の調製はWO−99/02156またはWO−00/37461に記述されている一般的方法論に従って実施可能であり、それらに式(VIII)で表される中間体が記述されている。
【0040】
本明細書の上に記述した方法で生じさせる如き前記式(I)で表される化合物は鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成可能であり、これは本技術分野で公知の分割手順に従って互いに分離可能である。式(I)のラセミ化合物を適切なキラリティーを持つ酸と反応させて相当するジアステレオマー塩形態に変化させてもよい。その後、例えば選択的もしくは分別結晶化などで前記ジアステレオマー塩形態を分離した後、アルカリを用いて鏡像異性体をそれから遊離させる。鏡像異性体形態の式(I)で表される化合物を分離する別の様式は、キラル固定相を用いた液クロの使用を伴う。また、適切な出発材料の相当する高純度の立体化学異性体形態を用いて前記高純度の立体化学異性体形態を生じさせることも可能であるが、但しその反応が立体特異的に起こることを条件とする。特定の立体異性体が望まれる場合、好適には、立体特異的製造方法を用いて前記化合物の合成を行う。そのような方法では有利に鏡像異性体的に高純度の出発材料を用いることになるであろう。
【0041】
前記式(I)で表される化合物、これらのN−オキサイド形態、薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩および立体異性体形態は、実施例C.1に記述するように、5HT−拮抗特性を有する。
【0042】
前記式(I)で表される化合物は、更に、実施例C.2に記述するように、向上した代謝安定性も示す。そのように有利な代謝安定性を示す結果として、シトクロムP450酵素、例えばCYP1A2、CYP3A4、CYP2D6、CYP2C9およびCYP2C19などのレベルで薬剤と薬剤が相互作用する危険性が低く、従って、本化合物は向上した薬剤安全性プロファイルを有する。その上、そのような有利な代謝安定性によって、活性材料を1日当たり2回または4回の範囲で服用する療法が基になった通常の投与の代わりに前記式(I)で表される化合物を投与する回数を日に1回にすることが可能になることで患者による受諾がより高くなり得る。
【0043】
本発明の化合物が5HT−拮抗特性を有することを考慮して、本主題化合物は一般に胃腸病、例えば運動過剰、過敏性腸症候群(IBS)、便秘または下痢を主に伴うIBS、痛みを主に伴うおよび痛みを主に伴わないIBS、腸過敏症などの治療または予防、そして胃腸過敏症および/または活動過剰に伴う痛みの軽減で使用可能である。
【0044】
また、前記式(I)で表される化合物は胃の調節の乱れ、障害または悪化、例えば消化不良などの防止または予防で用いるにも有用であると考えている。消化不良症候群は例えば上腹部圧力、食欲不振、満腹感、早期満腹感、嘔気、嘔吐、膨満感およびガス性おくびなどである。
【0045】
前記式(I)で表される化合物はまた他の5HT−関連疾患、例えば多食症および過食症などの治療にも使用可能である。
【0046】
前記式(I)で表される化合物が有用であることを考慮して、本発明は、また、胃腸病、例えば過敏性腸症候群(IBS)などに苦しんでいる温血動物(人を包含)[本明細書では一般的に患者と呼ぶ]を治療する方法も提供する。従って、活動過剰、過敏性腸症候群(IBS)、便秘または下痢を主に伴うIBS、痛みを主に伴うおよび痛みを主に伴わないIBS、腸過敏症などの如き状態に苦しんでいる患者を救済しそして胃腸過敏症および/または活動過剰に伴う痛みを軽減する治療方法を提供する。
【0047】
前記式(I)で表される化合物は、また、他の胃腸疾患、例えば上部腸運動に関連した疾患にも使用可能であり得る。それらは特に胃−食道逆流病、例えば胸焼け(突発性胸焼け、夜間性胸焼けおよび食事誘発胸焼けを包含)の胃症状の治療に使用可能である。
【0048】
その上、前記式(I)で表される5HT−拮抗性化合物は、また、膀胱過敏症、過活動膀胱、下部尿路症状、良性前立腺肥大症(BPH)、前立腺症、排尿筋過反射、排尿開口部閉塞、頻尿、夜間多尿症、尿意逼迫、骨盤過敏症、急迫性尿失禁、尿道炎、慢性前立腺炎様症候群、膀胱炎、特発性膀胱過敏症、尿失禁または過敏性腸症候群に関連した尿失禁の治療または予防にも使用可能であり得る。これに関して、前記式(I)で表される5HT−拮抗性化合物をアルファ−アドレナリン受容体拮抗薬、例えばアルフゾシン、インドラミン、タムスロシン、ドキサゾシン、テラゾシン、アバノキルまたはプラゾシンなどと組み合わせることで前記アルファ−アドレナリン受容体拮抗薬と式(I)で表される5HT−受容体拮抗薬を含んで成る薬剤組成物を得るのが有利であり得る。
【0049】
従って、本発明は、式(I)で表される化合物を薬剤として用いること、特に式(I)で表される化合物を活動過剰、IBS、便秘または下痢を主に伴うIBS、痛みを主に伴うおよび痛みを主に伴わないIBS、腸過敏症などの如き胃腸病を治療する薬剤および胃腸過敏症および/または活動過剰に伴う痛みを軽減する薬剤を製造する目的で用いることを提供する。予防および治療両方の処置が考えられる。
【0050】
本発明の化合物が5HT−拮抗特性を有することを考慮して、本主題化合物は、また、人における5HT−関連CNS疾患の治療または予防にも使用可能である。特に、前記式(I)で表される化合物はいろいろなCNS疾患の治療に使用可能であり、そのような疾患には、これらに限定するものでないが、薬物乱用、認識力障害、例えばアルツハイマー病、老人性痴呆症など、行動障害、例えば統合失調症、躁病、強迫性障害および精神活性物質使用障害など、気分障害、例えば鬱病、双極性気分障害、不安およびパニック障害など、自立機能調節障害、例えば高血圧症および睡眠障害など、強迫障害(拒食症および過食症を包含)、および精神神経疾患、例えばギレスデラトゥレットシンドロームおよびハンチントン病などが含まれる。
【0051】
本発明の薬剤組成物を調製する時、塩基もしくは酸付加塩形態の個々の化合物を活性材料として有効量で薬学的に受け入れられる担体と一緒に密な混合物として組み合わせるが、前記担体が取り得る形態は投与に望まれる調剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。望ましくは、本薬剤組成物を好適には経口、直腸または非経口注入投与に適した単位投薬形態にする。例えば、本組成物を経口投薬形態で調製する時には、通常の薬剤媒体のいずれも使用可能であり、例えば経口用液状調剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシルおよび溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与の容易さが理由で錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の薬剤担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は、一般に、少なくとも大部分が無菌水を含んで成るが、例えば溶解性を補助する目的で他の材料を含有させることも可能である。例えば、注射可能な溶液を調製することも可能であり、この場合の担体には食塩水溶液、グルコース溶液または食塩水溶液とグルコース溶液の混合物が含まれる。また、注射可能な懸濁液を調製することも可能であり、この場合には、適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透増強剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それを場合により僅かな比率のいずれかの性質の適切な添加剤と一緒に組み合わせてもよいが、そのような添加剤は皮膚に有害な影響を有意な度合では引き起こさない添加剤である。前記添加剤は皮膚への投与を容易にしそして/または所望組成物の調製に役立つ可能性がある。本組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)または軟膏などとして投与可能である。(I)の酸付加塩は相当する塩基形態に比べて水溶性が高いことから明らかに水性組成物の調製で用いるにより適する。
【0052】
投与が容易でありかつ投薬が均一であることから上述した薬剤組成物を投薬単位形態物に調合するのが特に有利である。本明細書および本明細書の請求の範囲で用いる如き投薬単位形態物は、各単位が所望の治療効果がもたらされるように計算して前以て決めておいた量の活性材料を必要な薬剤担体と一緒に含有する単位投薬物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(刻み目付きまたは被覆錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末パケット、ウエハース、注射可能溶液または懸濁液、茶サジ一杯、テーブルスプーン一杯など、そしてそれらを複数に分離させた物(segregated multiples)である。
【0053】
経口投与の場合に薬剤組成物に取らせる形態は固体状投薬形態、例えば錠剤(飲み込みのみおよび咀嚼形態の両方)、カプセルまたはゲルカップであってもよく、これらは、薬学的に受け入れられる賦形剤、例えば結合剤(例えば前以てゼラチン状にしておいたトウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えばラクトース、微結晶性セルロースまたは燐酸カルシウム)、滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えばジャガイモ澱粉または澱粉グリコール酸ナトリウム)、または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などを用いて通常手段で調製可能である。本技術分野で良く知られている方法を用いて錠剤に被覆を受けさせてもよい。
【0054】
経口投与の場合に液状製剤に取らせる形態は、例えば溶液、シロップまたは懸濁液であってもよいか、或は使用前に水または適切な媒体を用いて構成させるに適した乾燥製品としてそれらを提供することも可能である。そのような液状製剤の調製は、場合により薬学的に受け入れられる添加剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは食用水添脂肪)、乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア)、非水性媒体(例えばアーモンド油、油状エステルまたはエチルア
ルコール)および防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)を用いて通常様式で実施可能である。
【0055】
薬学的に受け入れられる甘味剤は、好適には、少なくとも1種の強力甘味剤、例えばサッカリン、サッカリンナトリウムもしくはカルシウム、アスパルテーム、アセサルフェームカリウム、シクラミン酸ナトリウム、アリテーム、ジヒドロカルコン甘味剤、モネリン、ステビオシドまたはスクラロース(4,1’,6’−トリクロロ−4,1,’6’−トリデオキシガラクトスクロース)、好適にはサッカリン、サッカリンナトリウムもしくはカルシウム、および場合により大量甘味剤、例えばソルビトール、マンニトール、フルクトース、スクロース、マルトース、イソマルト、グルコース、水添グルコースシロップ、キシリトール、カラメルまたは蜂蜜などを含んで成る。
【0056】
強力甘味剤を便利には低濃度で用いる。例えば、サッカリンナトリウムの場合の濃度は最終的製剤の総体積を基準にして0.04%から0.1%(重量/体積)の範囲であってもよく、好適には、低投薬量の製剤の場合には約0.06%で高投薬量の製剤の場合には約0.08%である。前記大量甘味剤は約10%から約35%、好適には約10%から15%(重量/体積)の範囲の多量で有効に使用可能である。
【0057】
にがい味の材料を隠し得る薬学的に受け入れられる風味剤は、低投薬量の製剤の場合、好適には果実風味剤、例えばチェリー、ラズベリー、クロフサスグリまたはストロベリー風味などである。2種類の風味剤の組み合わせを用いると非常に良好な結果がもたらされる可能性がある。高投薬量の製剤の場合には、より強力な風味剤、例えばカラメルチョコレート風味剤、ミントクール風味剤、ファンタジーフレーバーおよび同様な薬学的に受け入れられる強力風味剤などが必要であり得る。各風味剤を最終的組成物に0.05%から1%(重量/体積)の範囲の濃度で存在させてもよい。有利には、前記強力風味剤の組み合わせを用いる。好適には、酸性条件下で本製剤の味および色を変化させることも失わせることもない風味剤を用いる。
【0058】
本発明の製剤に場合により整腸剤、例えばシメチコン、アルファ−D−ガラクトシダーゼなどを含有させてもよい。
【0059】
本発明の化合物をまた持続性製剤として調合することも可能である。そのような長期作用製剤は移植(例えば皮下または筋肉内)または筋肉内注射で投与可能である。このように、例えば適切な高分子もしくは疎水性材料(例えば容認される油に入っている乳液として)またはイオン交換樹脂を用いて本化合物を調合してもよいか、或は難溶性誘導体、例えば難溶性塩として調合してもよい。
【0060】
本発明の化合物は、注射、便利には静脈内、筋肉内または皮下注射、例えばボーラス注入または連続静脈内注入などによる非経口投与の目的で調合可能である。注射用製剤は防腐剤を添加しておいた単位投薬形態物、例えばアンプルまたはマルチドース(multidose)容器などに入っている状態で提供可能である。本組成物に取らせる形態は油性もしくは水性媒体に入っている懸濁液、溶液または乳液の如き形態であってもよく、それらに調製剤(formulatory agents)、例えば等張剤、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などを含有させてもよい。別法として、本活性剤材料は適切な媒体、例えば発熱物質を含有しない無菌水などを用いて使用前に構成させるに適した粉末形態であってもよい。
【0061】
本発明の化合物は、また、直腸用組成物、例えば座薬または停留浣腸などとしても調合可能であり、それらに例えば通常の座薬基材、ココアバターまたは他のグリセリドなどを含有させてもよい。
【0062】
本発明の化合物を鼻内投与する場合、それらは例えば液体スプレー、粉末または滴の形態で使用可能である。
【0063】
一般に、治療的に有効な量は体重1kg当たり約0.0001mgから体重1kg当たり約1mg、好適には体重1kg当たり約0.001mgから体重1kg当たり約0.5mgであろうと考えている。
実験部分
本明細書の以下に記述する手順では下記の省略形を用いる:「ACN」はアセトニトリルを表し、「THF」はテトラヒドロフランを表し、「DCM」はジクロロメタンを表し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを表し、「EtOAc」は酢酸エチルを表し、「NHOAc」は酢酸アンモニウムを表し、「MIK」はメチルイソブチルケトンを表し、「DMF」はジメチルホルムアミドを表し、「DMA」はジメチルアセトアミドを表す。数種の化学品では化学式を用い、例えばNaOHは水酸化ナトリウムを表し、NaCOは炭酸ナトリウムを表し、KCOは炭酸カリウムを表し、NHはアンモニアを表し、CuOは酸化銅(II)を表し、CHClはジクロロメタンを表し、CHOHはメタノールを表し、HClは塩酸を表し、KOHは水酸化カリウムを表し、そしてNaBFはテトラフルオロホウ酸ナトリウムを表す。
【0064】
Chiralcel ADは、ダイセル化学工業株式会社から購入したキラル固定相カラム材料である。
【実施例】
【0065】
A. 中間体化合物の調製
実施例A.1
a)中間体(1)
【0066】
【化8】

【0067】
の製造
2,3−ジヒドロキシ−5−メチル安息香酸メチル(0.198モル)と1,3−ジブロモプロパン(0.198モル)とKCO(0.396モル)を2−プロパノン(360ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら6時間還流させた後、冷却して、溶媒を蒸発させた。この混合物を氷水の中に注ぎ出した後、濾過した。その濾液に酢酸エチルによる抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチルを80/20から70/30)で精製することで中間体(1)を得た。
b)中間体(2)
【0068】
【化9】

【0069】
の製造
中間体(1)(0.1129モル)を2NのNaOH溶液(370ml)とTHF(370ml)の混合物に入れることで生じさせた混合物を室温で15時間撹拌した。THFを蒸発させた後、その混合物を12NのHClで酸性にした。沈澱物を濾過し、水で洗浄した後、乾燥させることで中間体(2)(融点74℃)を21.9g得た。
実施例A.2
a)中間体(3)
【0070】
【化10】

【0071】
の製造
2,3−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸メチルエステル(1.2モル)と1,3−ジブロモプロパン(152ml)とKCO(380g)を2−プロパノン(2500ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら20時間還流させた。この反応混合物を冷却し、濾過した後、その濾液に蒸発を受けさせることで中間体(3)を300g得た。
b)中間体(4)
【0072】
【化11】

【0073】
の製造
中間体(3)(1.12モル)をNaOH(2M)(1800ml)とTHF(500ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら3時間還流させた。この反応混合物を冷却した後、有機溶媒を蒸発させた。その水性濃縮液をHClで酸性にした後、結果として生じた沈澱物を濾別し、水で洗浄した後、乾燥させることで中間体(4)403g得た。
実施例A.3
a)中間体(5)
【0074】
【化12】

【0075】
の製造
5−クロロ−2,3−ジヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(0.3モル)と1,3−ジブロモプロパン(0.42モル)とKCO(0.66モル)を2−プロパノン(500ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら20時間還流させた後、熱濾過し、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。トルエ
ンを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて共沸させることで8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−カルボン酸メチル(中間体5)を69g得た。
b)中間体(6)
【0076】
【化13】

【0077】
の製造
中間体(5)(0.25モル)とKOH(1モル)を水(650ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら2時間還流させた。この反応混合物を冷却し、HClで酸性にし、結果として生じた沈澱物を濾別し、水で洗浄した後、乾燥させることで8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−カルボン酸(中間体6)を48g得た。
実施例A.4
a)中間体(7)
【0078】
【化14】

【0079】
の製造
2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸メチルエステル(0.45モル)と1,3−ジブロモプロパン(0.72モル)とKCO(155g)とCuO(3.6g)をDMF(2500ml)に入れることで生じさせた混合物を120℃から130℃で7時間撹拌し、冷却した後、濾過した。溶媒を蒸発させた。HCl(0.5Nの水溶液、1000ml)を加えた。この混合物にDCM(750ml)による抽出を2回受けさせた。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン/酢酸エチル/DCMを70/30/15)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEから結晶化させることで3,4−ジヒドロ−9−メトキシ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−カルボン酸メチル(中間体7)を得た。
b)中間体(8)
【0080】
【化15】

【0081】
の製造
中間体(7)をTHF(250ml)に入れることで生じさせた溶液にNaOH溶液(
500ml、2N)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒をある程度蒸発させた。その残留物にDCMによる抽出を受けさせた。この混合物は層分離を起こした。その水層を濃HCl溶液でpH=1から2になるまで酸性にした。固体を濾別し、水で洗浄した後、乾燥させることで9−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−カルボン酸メチル(中間体8)を35.5g得た。
実施例A.5
a)中間体(9)
【0082】
【化16】

【0083】
の製造
5−クロロ−2,3−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル(0.49モル)を酢酸(2000ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら還流させた。N−クロロスクシニミド(0.49モル)を酢酸(600ml)に入れることで生じさせた溶液を還流下で滴下した。その反応混合物を撹拌しながら30分間還流させた。追加的N−クロロスクシニミド(0.075モル)を酢酸(100ml)に入れることで生じさせた溶液を還流下で滴下した。この反応混合物を撹拌しながら30分間還流させた後、冷却して、水(500ml)の中に注ぎ出した。その残留物にトルエンによる抽出を受けさせた(3回)。その有機層を分離して水で洗浄し、乾燥させた後、蒸発させた。その残留物をDIPEと石油エーテルから結晶化させることで中間体(9)を70g得た。
b)中間体(10)
【0084】
【化17】

【0085】
の製造
中間体(9)(0.3モル)と1,3−ジブロモプロパン(0.35モル)とKCO(0.7モル)を2−プロパノン(1000ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら30時間還流させた。この反応混合物を冷却し、水(2000ml)で希釈した後、DCMで2回抽出した。その有機層を分離して水で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEと石油ベンジンから結晶化させることで中間体(10)を55g得た。
c)中間体(11)
【0086】
【化18】

【0087】
の製造
中間体(10)(0.2モル)とKOH(1モル)を水(1000ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら90分間還流させた。この反応混合物を冷却し、HClで酸性にし、結果として生じた沈澱物を濾別し、水で洗浄した後、乾燥させることで中間体(11)を46g得た。
実施例A.6
a)中間体(12)
【0088】
【化19】

【0089】
の製造
5−クロロ−2,3−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル(0.1モル)を酢酸(250ml)とN−ブロモスクシニミド(0.11モル)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら4時間還流させた。この反応混合物を冷却して水(500ml)の中に注ぎ出した。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで中間体(12)を23g得た。
b)中間体(13)
【0090】
【化20】

【0091】
の製造
中間体(12)(0.7モル)と1,3−ジブロモプロパン(0.94モル)とKCO(1.55モル)を2−プロパノン(1300ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら20時間還流させた。この反応混合物を冷却し、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を石油エーテルに入れて固化させ、濾過した後、乾燥させることで中間体(13)を240g得た。
c)中間体(14)
【0092】
【化21】

【0093】
の製造
中間体(13)(0.053モル)とKOH(0.2モル)を水(160ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら90分間還流させた。この反応混合物を冷却した後、その水層にDCMによる抽出を受けさせた。その水層をHClで酸性にし、結果として生じた沈澱物を濾別し、水で洗浄した後、乾燥させることで中間体(14)を13g得た。
実施例A.7
a)中間体(15)
【0094】
【化22】

【0095】
の製造
5−ニトロ−2,3−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル(0.3モル)とKCO(0.66モル)と1,3−ジブロモプロパン(0.42モル)と臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(4.5g)を2−プロパノン(900ml)とDMA(600ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら30時間還流させた。この反応混合物を室温で2日間撹拌した後、濾過した。溶媒を蒸発させた後、その残留物を水とDCMの間で分離させた。その有機層を分離して乾燥させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をDIPEに入れて懸濁させ、濾過し、乾燥させた後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOHを98/2)で精製することで中間体(15)を33.5g得た。
b)中間体(16)
【0096】
【化23】

【0097】
の製造
中間体(15)(0.11モル)をTHF(250ml)に入れることで生じさせた混
合物に水添を炭素に10%担持されているパラジウム(3g)を触媒として用いてチオフェン溶液(1ml)の存在下で受けさせた。水素(3当量)吸収後、ジカライトを用いて触媒を濾別した後、その濾液に濃縮を受けさせることで中間体(16)を24.7g得た。
c)中間体(17)
【0098】
【化24】

【0099】
の製造
濃HCl(10ml)を水(10ml)に入れることで生じさせた5℃の混合物に中間体(16)(0.0448モル)を分割して加えた。この混合物を0℃に持っていった。NaNO(0.048モル)を水(10ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃で滴下した。この混合物を0℃から5℃の範囲の温度で1時間撹拌した後、濾過した。その濾液を0℃に冷却した後、NaBF(0.076モル)を水(20ml)に入れることで生じさせた溶液に加えた。この混合物を0℃で30分間撹拌した。その沈澱物を濾過し、最低量の水に続いてジエチルエーテル/水(50/50)そして次にジエチルエーテルで洗浄した後、真空下室温で乾燥させることで中間体(17)を12.10g得た。
d)中間体(18)
【0100】
【化25】

【0101】
の製造
中間体(17)(0.0387モル)とフッ化ナトリウム(0.1549モル)をトルエン(120ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら一晩還流させた後、室温に持っていった。沈澱物を濾過で除去した。その濾液をトルエンで洗浄した後、乾固するまで蒸発させた。その残留物をDCMで取り上げた。溶媒を蒸発させることで乾固させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM)で精製することで中間体(18)を2.8g得た。
e)中間体(19)
【0102】
【化26】

【0103】
の製造
中間体(18)(0.0124モル)をNaOH溶液(2N、25ml)とTHF(25ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で一晩撹拌した。THFを蒸発させた後、酢酸エチルを加えた。この混合物を酢酸エチルで抽出した後、HClでpH2が得られるまで酸性にした。沈澱物を濾過し、水に続いてジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させることで中間体(19)を2.16g得た。
実施例A.8
a)中間体(20)
【0104】
【化27】

【0105】
の製造
5−ブロモ−2,3−ジヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(0.397モル)とKCO(0.87モル)を1,3−ジブロモプロパン(49ml)と2−プロパノン(1000ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら22時間還流させた後、この反応混合物を冷却し、ジカライトの上に置いて濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をNaHCO(5%、水溶液)とDCMの間で分離させた。その有機層を分離し、乾燥させ、ジカライトの上に置いて濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体(20)を112g得た。
b)中間体(21)
【0106】
【化28】

【0107】
の製造
中間体(20)(0.14モル)をTHF(200ml)と2NのNaOH溶液(300ml)に入れることで生じさせた混合物を30−60℃で4時間撹拌した後、有機溶媒を蒸発させ、その水性濃縮液を氷の上に置いて冷却した後、DCMで抽出した。その水層
を氷で更に冷却し、pH=1になるまで酸性にし、固体状残留物を濾別した後、乾燥させることで中間体(21)を33g得た。
c)中間体(22)
【0108】
【化29】

【0109】
の製造
中間体(21)(0.33モル)とシアン化銅(I)(2.7モル)をDMA(800ml)に入れることで生じさせた混合物を140℃で20時間撹拌した後、この反応混合物を冷却して、これにFeCl・6HO(130g)、HCl(33ml)および水(200ml)を加えた。この混合物を60℃で20時間撹拌し、冷却した後、水の中に注ぎ出した。酢酸エチルを加えた後、その層を濾過することで不溶な塩を除去した。その有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を水で取り上げた後、5%のNaOH溶液を加えて、この混合物にDIPEによる抽出を受けさせ、それをHClで酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。その有機層を分離し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物を短いカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOHを95/5+2mlの酢酸)で精製することで中間体(22)を7g得た。
実施例A.9
a)中間体(23)
【0110】
【化30】

【0111】
の製造
5−ニトロ−2,3−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル(0.3モル)と炭酸カリウム(0.66モル)と1,3−ジブロモプロパン(0.42モル)と臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(4.5g)を2−プロパノン(900ml)とDMA(600ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら30時間還流させた。この反応混合物を室温で2日間撹拌した後、濾過した。溶媒を蒸発させた後、その残留物を水とDCMの間で分離させた。その有機層を分離して乾燥させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をDIPEに入れて懸濁させ、濾過し、乾燥させた後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOHを98/2)で精製することで中間体(23)を33.5g得た。
b)中間体(24)
【0112】
【化31】

【0113】
の製造
中間体(23)(0.11モル)をTHF(250ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に10%担持されているパラジウム(3g)を触媒として用いてチオフェン溶液(1ml)の存在下で受けさせた。水素(3当量)吸収後、ジカライトを用いて触媒を濾別した後、その濾液に濃縮を受けさせることで中間体(24)を24.7g得た。
c)中間体(25)
【0114】
【化32】

【0115】
の製造
中間体(24)(0.11モル)をトリクロロメタン(500ml)に溶解させた後、この混合物を氷浴で温度が10℃未満になるまで冷却した。同じ温度で無水トリフルオロ酢酸(0.14モル)を滴下した後、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。DIPEを用いてその残留物を室温で一晩かけて結晶化させることで中間体(25)を5.8g得た。
d)中間体(26)
【0116】
【化33】

【0117】
の製造
中間体(25)(0.131モル)をDMF(450ml)に入れることで生じさせた室温の混合物に窒素流下で60%のNaH(0.171モル)を分割して加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。ヨードエタン(0.171モル)を滴下した。この混合物を50から60℃の範囲の温度で2日間撹拌した後、室温になるまで冷却し、氷水の中に注ぎ出した後、酢酸エチルで抽出した。その有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:
トルエン/酢酸エチルを90/10)で精製することで中間体(26)を26.5g得た。
e)中間体(27)
【0118】
【化34】

【0119】
の製造
中間体(26)(0.063モル)を水(150ml)に入れることで生じさせた室温の混合物に水酸化リチウム一水化物(0.264モル)を分割して加えた。この混合物を室温で18時間撹拌した。水(150ml)を蒸発させて除去した。この混合物を3NのHClでpH=4が得られるまで酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体(27)を14g得た。
実施例A.10
中間体(28)
【0120】
【化35】

【0121】
の製造
中間体(23)(0.12モル)を1NのNaOH(200ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら4時間還流させた。この反応混合物を室温に一晩放置した後、氷浴で冷却して、1NのHCl溶液(200ml)を加えた。この混合物を室温になるまで温めた後、生じた沈澱物を濾過することで中間体(28)を26.7g得た。
実施例A.11
a)中間体(29)
【0122】
【化36】

【0123】
の製造
9−(アセチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−カルボン酸メチル(0.15モル)をメタノール(1000ml)に入れることで生じさせた混合物に97%の硫酸(80ml)を注意深く加えた。この混合物を60℃で1時間撹拌した後、冷却した。溶媒を蒸発させた。その残留物をDCMで取り上げた。この混
合物をKHCO溶液で洗浄した。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEと少量のACNに入れて懸濁させた。その沈澱物を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体(29)を105g得た。
b)中間体(30)
【0124】
【化37】

【0125】
の製造
中間体(29)(0.24モル)を水(240ml)に入れることで生じさせた混合物を0℃で撹拌した。HCl(120ml)を0℃で滴下した。この混合物を15分間撹拌した。亜硝酸ナトリウム(0.24モル)を水(120ml)に入れることで生じさせた混合物を0℃で滴下した。この混合物を0℃で30分間撹拌することで混合物Aを得た。塩化銅(0.24モル)をHCl(120ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で撹拌した。混合物Aを滴下した。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。沈澱物を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体(30)を55.8g得た。
c)中間体(31)
【0126】
【化38】

【0127】
の製造
中間体(30)(0.22モル)とKOH(2.2モル)を水(1000ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら30分間還流させた後、冷却した。この混合物を濃HCl溶液で酸性にした。沈澱物を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体(31)を48g得た。
d)中間体(32)
【0128】
【化39】

【0129】
の製造
中間体(31)(0.01モル)を硫酸(20ml)に入れることで生じさせた混合物を−30℃に冷却した後、硝酸(0.01モル)を硫酸(20ml)に入れることで生じ
させた混合物を−30℃で滴下して、この反応混合物を5分間撹拌した。この混合物を氷水の中に注ぎ出し、その結果として生じた沈澱物を濾別した後、水で洗浄することで中間体(32)を得た。
実施例A.12
a)中間体(33)
【0130】
【化40】

【0131】
の製造
2,3−ジヒドロキシ−5−メチル安息香酸メチル(0.27ル)とKCO(0.66モル)を1,2−ジブロモエタン(0.4モル)とアセトン(1000ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら24時間還流させた。この反応混合物を冷却し、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDCMで取り上げ、水そして2NのNaOH水溶液で洗浄した。その有機層を乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体(33)を30.5g得た。
b)中間体(34)
【0132】
【化41】

【0133】
の製造
中間体(33)(0.146モル)をNaOH(2N)(400ml)とTHF(400ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながら18時間還流させた。この反応混合物を冷却した後、THFを蒸発させて除去した。その残留物を濃HClで酸性にした。結果として生じた固体を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体(34)を26.5g得た。
実施例A.13
a)中間体(35)
【0134】
【化42】

【0135】
の製造
濃HCl(18ml)を水(18ml)に入れることで生じさせた溶液に中間体(43)(0.086モル)を分割して加えた。この混合物を5℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(0.086モル)を水(18ml)に入れることで生じさせた溶液を滴下した。この
混合物を10℃で1時間撹拌した。沈澱物を濾過で除去した。その濾液を冷却した後、NaBF(0.146モル)を水(36ml)に入れることで生じさせた溶液に加えた。この混合物を30分間撹拌した。沈澱物を濾過し、水に続いてジエチルエーテルで洗浄した後、真空下40℃で12時間乾燥させることで中間体(35)を20g得た。
b)中間体(36)
【0136】
【化43】

【0137】
の製造
中間体(35)(0.0649モル)とフッ化ナトリウム(0.259モル)をトルエン(250ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら2日間還流させた。溶媒を蒸発させることで乾固させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAcを80/20)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(36)を7.6g得た。
c)中間体(37)
【0138】
【化44】

【0139】
の製造
中間体(36)(0.0358モル)と水酸化リチウム(0.0716モル)をTHF(70ml)と水(70ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた。その残留物を6NのHClで酸性にした。沈澱物を濾過し、水で洗浄した後、CHCl/CHOHに溶解させた。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体(37)を6.22g得た。
実施例A.14
a)中間体(38)
【0140】
【化45】

【0141】
の製造
8−クロロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−カルボン酸メチルエステル(0.44モル)を硫酸(850ml)に溶解させた。この溶液を0℃未満になるまで冷却した。硝酸(発煙、0.44モル)を硫酸(200ml)に入れて2時間かけて
滴下した。この反応混合物を−10℃で45分間撹拌した後、氷水の中に注ぎ出した。DCMによる抽出で中間体(38)を得た。
b)中間体(39)
【0142】
【化46】

【0143】
の製造
中間体(38)(0.20モル)をTHF(1000ml)とNaOH(2N、1000ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で5時間撹拌した。THF(700ml)を35℃で蒸発させて除去した。その水層に酢酸エチル(2x750ml)による抽出を受けさせた。その水層を分離して氷浴で冷却した後、濃HClで酸性にした。沈澱物を濾別し、水で洗浄した後、乾燥させることで中間体(39)を52g得た。
実施例A.15
a)中間体(40)
【0144】
【化47】

【0145】
の製造
5−アミノ−2,3−ジヒドロキシ安息香酸(0.62ル)を硫酸(110ml)とメタノール(1100ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら24時間還流させた。この反応混合物を室温に一晩放置した。次に、この混合物に濃縮を受けさせた後、その残留物をDCMと水の間で分離させた。その水層を分離してDCMで洗浄した後、その有機層を分離して集め、乾燥させ、濾過した後、濃縮した。生成物を乾燥させることで中間体(40)を120g得た。
b)中間体(41)
【0146】
【化48】

【0147】
の製造
中間体(40)(0.35モル)とKCO(0.77モル)と臭化テトラブチルアンモニウム(5g)を1,2−ジブロモ−エタン(42ml)とDMA(680ml)と2−プロパノン(1000ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら20時間還流(70℃)させた。追加的DMA(250ml)、臭化テトラブチルアンモニウム(5g)および1−ブロモ−2−クロロエタン(29ml)を加えた。この反応混合物を撹拌しながら44時間還流させた。次に、この反応混合物を週末に渡って室温になるまで冷却した。その懸濁液を濾過した後、その濾液に濃縮を受けさせた。その濃縮液を水とト
ルエンの間で分離させた。その水層を分離してDCMで数回洗浄した。その分離した有機層を一緒にし、乾燥させ、濾過した後、濃縮した。その残留物をDIPEとACNから結晶化させることで中間体(41)(融点140℃)を26g得た。
c)中間体(42)
【0148】
【化49】

【0149】
の製造
中間体(41)(0.063モル)を1NのNaOH(100ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら4時間還流させた。この反応混合物を氷浴で冷却した。生じた沈澱物に1NのHCl溶液(100ml)を加えた。この反応混合物を室温になるまで温め、生じた沈澱物を濾過した後、乾燥させることで中間体(42)(融点234℃)を14.5g得た。
実施例A.16
a)中間体(43)
【0150】
【化50】

【0151】
の製造
中間体(41)(0.089モル)をメタノール(500ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に担持されているパラジウム(10%、3g)を触媒として用いてチオフェン溶液(1ml)の存在下50℃で受けさせた。水素(3当量)吸収後、ジカライトを用いて触媒を濾別した後、その濾液に蒸発を受けさせることで中間体(43)を20.9g得た。
b)中間体(43a)
【0152】
【化51】

【0153】
の製造
中間体(43)(0.1モル)をトリクロロメタン(130ml)に入れることで生じ
させた混合物に無水トリフルオロ酢酸(0.11モル)を加えた。この反応混合物を1時間撹拌した後、この混合物に濃縮を受けさせた。その残留物をガラスフィルター上のシリカゲルの上に置いて精製した(溶離剤:CHCl/MeOH 90/10)。生成物画分を集めた後、その濾液に濃縮を受けさせた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/MeOH 98/2)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(43a)を11.0g得た。
c)中間体(44)
【0154】
【化52】

【0155】
の製造
中間体(43a)(0.036モル)をTHF(100ml)に入れて窒素流下室温で撹拌した。パラフィン中60%の水素化ナトリウム(0.0432モル)を窒素流下で分割して加えた。この反応混合物を50℃になるまで温めた。次に、ヨードメタン(0.0432モル)を窒素流下50℃で滴下した。この反応混合物を50℃で一晩撹拌した後、この混合物を室温になるまで冷却して、水(680ml)の中に注ぎ出した後、トルエンで抽出した。その有機層を分離して乾燥させ、濾過した後、濃縮することで中間体(44)を10.8g得た。
d)中間体(45)
【0156】
【化53】

【0157】
の製造
中間体(44)(0.0338モル)を1NのNaOH(0.07モル)と水(60ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら1時間還流させた。この反応混合物を室温になるまで冷却した後、t−ブチルジカーボネート(0.041モル)を加えて、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、1NのHCl(0.07モル)を加えた後、その残留物にDCMによる抽出を受けさせた。その有機層を分離して乾燥させ、濾過した後、濃縮することで中間体(45)を10.0g得た。
実施例A.17
中間体(46)
【0158】
【化54】

【0159】
の製造
(トランス)−3−ヒドロキシ−4−[[(フェニルメチル)アミノ]メチル]−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル[WO−00/37461に中間体(1−d)として記述](0.023モル)をメタノール(100ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に担持されているパラジウム(10%、1g)を触媒として用いて受けさせた。水素(1当量)吸収後、触媒を濾別した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物をDIPE+ACNに入れて固化させ、濾別した後、乾燥させることで(トランス)−4−(アミノメチル)−3−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(中間体46、融点178℃)を4g得た。
実施例A.18
a)中間体(47)
【0160】
【化55】

【0161】
の製造
(トランス)−3−ヒドロキシ−4−[[(フェニルメチル)アミノ]メチル]−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル[WO−00/37461に中間体(1−d)として記述](2.73モル)をChiralcel AD使用キラルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン/エタノールを80/20)で分離精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。トルエンを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて共沸させることで(3S−トランス)−3−ヒドロキシ−4−[[(フェニルメチル)アミノ]メチル]−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(中間体47)を377g得た。
b)中間体(48)
【0162】
【化56】

【0163】
の製造
中間体(47)(0.028モル)をメタノール(100ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に担持されているパラジウム(10%、2g)を触媒として用いて受けさせた。水素(1当量)吸収後、触媒を濾別した後、その濾液に蒸発を受けさせることで(3S−トランス)−4−(アミノメチル)−3−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル[中間体(48);[α]20=+4.37゜(c=
24.03mg/5ml、CHOH中]を4.7g得た。
実施例A.19
a)中間体(49)
【0164】
【化57】

【0165】
の製造
窒素雰囲気下の反応。トランス−3−ヒドロキシ−4−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル[WO−00/37461に中間体(1−c)として記述](0.27モル)をTHF(1300ml)に入れることで生じさせた溶液に水素化ナトリウム(0.3モル)を加えた。この混合物を30分間撹拌した。ヨウ化メチル(0.54モル)を加えた後、その結果として得た反応混合物を90分間撹拌した。水を少量加えた。溶媒を蒸発させた後、その残留物を水とDCMの間で分離させた。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることでトランス−4−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]−3−メトキシ−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(中間体49)を得た。
b)中間体(50)
【0166】
【化58】

【0167】
の製造
中間体(49)(0.065モル)をTHF(250ml)に入れることで生じさせた混合物をオートクレーブに入れて125℃の液状NHで16時間処理した。その反応混合物を濾過した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物を5%のNaOH水溶液とDCMの間で分離させた。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで(トランス)−4−(アミノメチル)−3−メトキシ−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(中間体50)を16g得た。
実施例A.20
a)中間体(51)
【0168】
【化59】

【0169】
の製造
4−オキソ−1−ピペリジンカルボン酸t−ブチル(0.1モル)とニトロ−メタン(0.1モル)をメタノール(200ml)に入れることで生じさせた混合物を10℃で撹拌した。ナトリウムメタノラート(0.11モル)を10℃で滴下した。この反応混合物を室温で20時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。その残留物を水で取り上げた後、酢酸で
中和し、次にDCMを用いた抽出を2回行った。その有機層を分離して水で洗浄し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEに入れて懸濁させ、濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体(51)(融点160℃)を17.2g得た。
b)中間体(52)
【0170】
【化60】

【0171】
の製造
中間体(51)(0.058モル)と酢酸(12ml)をメタノール(250ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に担持されているパラジウム(10%、1g)を触媒として用いて14℃で受けさせた。水素(3当量)吸収後、触媒を濾別した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物を氷/水で取り上げた後、水酸化カリウムでアルカリ性にし、そしてKCOで塩析させた。この混合物にDCMによる抽出を2回受けさせた。その有機層を分離して乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEに入れて懸濁させ、濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体(52)を7.5g得た。
c)中間体(53)
【0172】
【化61】

【0173】
の製造
中間体(8)(0.0373モル)をDCM(100ml)に入れることで生じさせた混合物に窒素流下0℃から5℃の範囲の温度でトリエチルアミン(0.0373モル、5.2ml)に続いてクロロ蟻酸エチル(0.0373モル)を滴下した。この混合物を前記温度で45分間撹拌した(1番目の混合物)。中間体(52)(0.0373モル)をDCM(100ml)に入れることで生じさせた室温の混合物にトリエチルアミン(0.0373モル、5.2ml)を加えた。この混合物を室温で45分間撹拌した後、前記1番目の混合物に0℃から5℃の範囲の温度で滴下した。この反応混合物を前記温度で1時間撹拌した後、室温に持っていって、1時間撹拌し、そして氷水の中に注ぎ出した。DCMを加えた。この混合物にDCMによる抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOH 97/3/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(53)を12g得た。
d)中間体(54)
【0174】
【化62】

【0175】
の製造
中間体(53)(0.0275モル)をHCl/2−プロパノール(12ml)と2−プロパノール(120ml)に入れることで生じさせた混合物を50℃で一晩撹拌した後、室温に持っていった。沈澱物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させることで中間体(54)を8.2g得た。
【0176】
中間体(55)の調製を同様な様式で実施した。
【0177】
【化63】

【0178】
実施例A.21
a)中間体(56)
【0179】
【化64】

【0180】
の製造
中間体(8)(0.03モル)をトリクロロメタンに入れることで生じさせた混合物にトリエチルアミン(0.03モル)を加えた。次に、クロロ蟻酸エチル(0.03モル)を10℃未満の温度で加えた。この混合物を45分間撹拌することで混合物(I)を得た。シス−3−ヒドロキシ−4−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]メチル]−1−ピペリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル[WO−00/37461に中間体(1−f)として記述](0.03モル)をトリクロロメタンに入れることで生じさせた混合物を混合物(I)の中に注ぎ出した後、この反応混合物を30分間撹拌し、5%のNaOH溶液そして水で洗浄し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体(56)を14g得た。
b)中間体(57)
【0181】
【化65】

【0182】
の製造
中間体(56)(0.03モル)とHCl/2−プロパノール(30ml)と2−プロパノール(300ml)の混合物を撹拌しながら30分間還流させた。この混合物を冷却した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を5%のHCl溶液で酸性にした後、この混合物にDCMによる抽出を受けさせた。その有機層を分離した。その水層を5%のNaOH溶液でアルカリ性にした後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体(57)を8g得た。
【0183】
中間体(58)および(59)の調製を同様な様式で実施した。
【0184】
【化66】

【0185】
実施例A.22
a)中間体(60)(3S−トランス)
【0186】
【化67】

【0187】
の製造
中間体(2)(0.336モル)とトリエチルアミン(0.4モル)をDCM(1000ml)に入れることで生じさせた混合物を5℃で撹拌した後、クロロ蟻酸エチル(0.35モル)を滴下して、この反応混合物を30分間撹拌した。この混合物に5℃で中間体(48)(83g)をDCM(1000ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた後、この反応混合物を室温に到達させて、水で洗浄した。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体(60)を150g得た。
b)中間体(61)(3S−トランス)
【0188】
【化68】

【0189】
の製造
中間体(60)(0.336モル)をHClで飽和状態の2−プロパノール(160ml)と2−プロパノール(1400ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら1時間還流させた。溶媒を蒸発させた後、その残留物をDCMと少量のメタノールの混合物で取り上げた。この混合物をアンモニア水溶液で洗浄し、その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した。溶媒を蒸発させることで中間体(61)を71g得た。
【0190】
【表1】

【0191】
【表2】

【0192】
【表3】

【0193】
B. 最終的化合物の製造
実施例B.1
中間体(62)(0.008モル)と3−クロロ−1−プロパンスルホンアミド(0.012モル)とNaCO(0.03モル)を2−ブタノール(100ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら40時間還流させた。更に3−クロロ−1−プロパンスルホンアミド(0.02モル)を加えて、この混合物を撹拌しながら24時間還流させた後、冷却した。粘着性生成物が沈澱する。その固体を濾別した。残存する粘着性固体をCHOH/CHClに溶解させた後、濾過した。その濾液に濃縮を受けさせた。その濃縮液にメタノールを加えた。その残存物をメタノールから再結晶化させた。固体を濾別し、メタノールで洗浄した後、乾燥させた。その残留物をHO/CHCl下で磨り潰し、濾過し、水で洗浄した後、乾燥させることで化合物(1)(融点150℃)を2.02g得た。
実施例B.2
a)中間体(89)
【0194】
【化69】

【0195】
の製造
中間体(63)(0.01モル)と3−クロロ−1−プロパンスルホンアミド(0.015モル)とNaCO(0.02モル)をイソブタノール(100ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら70時間還流させた。溶媒を蒸発させた。その残留物をDCMとメタノールで取り上げた後、水で洗浄し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH) 90/10)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(89)を0.9g得た。
b)中間体(89)(0.002モル)をメタノール(150ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に10%担持されているパラジウム(0.5g)を触媒として用いてチオフェン溶液(0.5ml)の存在下で受けさせた。水素(3当量)吸収後、触媒を濾別した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH) 95/5)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物を2−プロパノールと少量のDIPEに溶解させることで(E)−2−ブテン二酸塩(1:1)に変化させ、濾別し、洗浄した後、乾燥させることで化合物(8)(融点186℃)を0.72g得た。
実施例B.3
a)中間体(90)
【0196】
【化70】

【0197】
の製造
中間体(69)(0.05モル)と4−ブロモ酪酸メチル(0.06モル)とトリエチルアミン(0.06モル)をDMF(300ml)に入れることで生じさせた混合物を70℃で20時間撹拌した。この反応混合物を冷却し、水で取り上げた後、トルエンで抽出した。その有機層を分離して乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDCMで取り上げ、水で洗浄し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をガラスフィルター上のシリカゲルの上に置いて精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH) 95/5)。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(90)を17.1g得た。
b)中間体(91)
【0198】
【化71】

【0199】
の製造
中間体(90)(0.036モル)をTHF(35ml)に溶解させた。1NのNaOH(0.036モル)を18−20℃(氷浴)で2時間かけて滴下した。この混合物を室温で90分間撹拌した。1NのNaOH(5ml)を加えた後、この混合物を更に1時間撹拌した。1NのHCl(0.036モル)を18−20℃(氷浴)で1時間かけて滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させることで中間体(91)を17.5g得た。
c)中間体(91)(0.005モル)をDCM(100ml)に入れることで生じさせた5℃の混合物にトリエチルアミン(0.01モル)を加えた後、クロロ蟻酸エチル(0.005モル)を5℃で滴下して、その反応混合物を5℃で1時間撹拌した。メタンスルホンアミド(0.01モル)を5℃で加え、この混合物を室温に到達させた後、室温で24時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで化合物(15)[融点110℃;[α]20=−14.96゜(c=22.06mg/5ml、CHOH中]を1.05g得た。
実施例B.4
a)中間体(92)
【0200】
【化72】

【0201】
の製造
中間体(70)(0.01モル)と3−クロロ−1−プロパンスルホンアミド(0.02モル)とNaCO(0.02モル)を2−メチル−1−プロパノール(100ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら48時間還流させた後、熱濾過した。その濾液の溶媒を蒸発させた。その残留物をガラスフィルター上のシリカゲルの上に置いて精製(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH) 95/5)することで中間体(92)を2g得た。
b)中間体(92)(0.0037モル)をHCl/2−プロパノール(5ml)と2−プロパノール(60ml)に入れて撹拌しながら1時間還流させた後、室温になるまで冷却した。沈澱物を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで化合物(3)(融点130℃)を1.08g得た。
実施例B.5
中間体(69)(0.0117モル)とエテンスルホンアミド(0.0141モル)を銅(少し)の中に入れることで生じさせた混合物を125℃で2時間撹拌した後、室温になるまで冷却した。CHCl/CHOH(少し)/HOを加えた。この混合物をKCOで塩基性にした。有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで乾固させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:C
Cl/CHOH/NHOH 90/10/1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで化合物(22)[融点162℃;[α]20=−8.81゜(c=14.75mg/2ml、CHOH中]を2.506g得た。
実施例B.6
a)中間体(93)
【0202】
【化73】

【0203】
の製造
中間体(73)(0.036モル)と4−ブロモ酪酸メチル(0.047モル)とトリエチルアミン(0.09モル)をDMF(200ml)に入れることで生じさせた混合物を75℃で16時間撹拌した。この反応混合物を冷却し、水の中に注ぎ出した後、トルエンで抽出した。その有機層を乾燥させ、濾別した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をガラスフィルター上のシリカゲルの上に置いて精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH) 97/3)。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(93)を12.4g得た。
b)中間体(94)
【0204】
【化74】

【0205】
の製造
中間体(93)(0.0295モル)を水(50ml)に入れることで生じさせた混合物を週末に渡って95℃で撹拌した。この反応混合物を冷却した後、溶媒を蒸発させることで中間体(94)を8.5g得た。
c)中間体(94)(0.007モル)とトリエチルアミン(0.014モル)をDCM(50ml)に入れることで生じさせた温度が5℃の混合物にクロロ蟻酸エチル(0.007モル)を滴下した。この反応混合物を5℃で1時間撹拌した。この溶液にメタンスルホニルクロライド(0.014モル)を加えた。この反応混合物を室温で24時間撹拌した後、水で洗浄した。その有機層を乾燥させ、濾別した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をBiotage使用フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOHを99/1、97/3、96/4、94/6)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEから結晶化させることで化合物(27)[融点142℃;[α]20=−14.24゜(c=9.83mg/5ml、CHOH中]を0.7g(21%)得た。
実施例B.7
化合物(36)(0.0027モル)をDMF(15ml)に入れることで生じさせた室温の混合物に油中60%の水素化ナトリウム(0.0033モル)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。メタンスルホニルクロライド(0.0027モル)を加えた。この混合物を48時間撹拌し、KCOで飽和状態にしておいた氷水の中に注ぎ出した後、酢酸エチルで抽出した。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl
/CHOH/NHOH 80/20/2)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDCMに溶解させ、KCOで飽和状態にしておいたHO/KCOで洗浄した。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで化合物(37)を0.21g得た。
【0206】
表F−1からF−4に、この上に示した実施例の中の1つに従って調製した化合物を挙げる。
【0207】
【表4】

【0208】
【表5】

【0209】
【表6】

【0210】
【表7】

【0211】
【表8】

【0212】
【表9】

【0213】
薬理学的実施例
実施例C.1:「5HT拮抗作用」
h5−HT4b−HEK 293クローン9細胞を150mmのペトリ皿に入れて培養した後、冷PBSで2回洗浄した。次に、細胞をプレートからかき取って、50mMのトリス−HCl緩衝液(pH7.4)に入れて懸濁させた後、23,500rpmの遠心分離に10分間かけることで収穫した。その沈澱物を5mMのトリス−HCl(pH7.4)に入れて再懸濁させた後、Ultra Turraxホモジェナイザーを用いて均一にした。30,000rpmの遠心分離を20分間行うことで膜を集め、50mMのトリス−HCl(pH7.4)に入れて再懸濁させた後、−80℃で貯蔵した。実験では、検定用混合物(0.5ml)にトリチウム化配位子(5−HT拮抗薬[H]GR113808 0.1nM)を50μlと膜調製物を0.4ml含有させた(蛋白質を1ml当たり15μg)。全体を結合させる目的で10%のDMSOを50μl加えた。1μMの8−アミノ−7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−カルボン酸(+)−トランス−(1−ブチル−3−ヒドロキシ−4−ピペリジニル)メチル(Janssen Pharmaceuticaの特許品である5HT作動薬)を50μl加えることで非特異的結合を測定した。[H]GR113808検定用緩衝液は50mMのHEPES−NaOH(pH7.4)であった。その混合物を25℃で30分間インキュベートした。0.1%のポリエチレンイミンに前以て浸漬しておいたUnifilter
96 GF/Bを用いた濾過でインキュベーションを停止させた後、50mMのHEPES−NaOH(pH7.4)を用いた洗浄段階を6回行った。非線形回帰分析を用いて結合配位子濃度等温線(長方形双曲線)を計算しそして試験を受けさせたあらゆる化合物が示したpIC50データを以下の表C.1に挙げる。
【0214】
【表10】

【0215】
実施例C.2「代謝安定性」
Gorrod他(Xenobiotica 5:453−462、1975)に従い、組織を機械的に均一にした後に遠心分離を行うことで細胞内組織調製物を作成した。肝臓組織を0.1Mの氷冷トリス−HCl(pH7.4)緩衝液に入れて濯ぐことで余分な血液を洗い流した。次に、組織を吸い取りで乾燥させ、重量を測定した後、手術用ハサミを
用いて粗く細断した。その組織片を3体積の氷冷0.1M燐酸塩緩衝液(pH7.4)に入れて均一にした。組織ホモジェネートを9000xgの遠心分離に4℃で20分間かけた。その結果として得た上澄み液を−80℃で貯蔵したが、これを「S9」と表示する。このS9画分を更に100,000xgの遠心分離に60分間かけてもよい(4℃)。その結果として得た上澄み液を吸引で注意深く取り出し、等分して、それを「細胞質ゾル」と表示する。その沈澱物を0.1Mの燐酸塩緩衝液(pH7.4)に最終体積が元々の組織重量0.5g当たり1mlになるように入れて再懸濁させ、それを「ミクロソーム」と表示する。細胞内画分の全部を等分した後直ちに液体窒素で凍結させて、使用時まで−80℃で貯蔵した。試験を受けさせるサンプルに関しては、インキュベーション用混合物にPBS(0.1M)、化合物(5μM)、ミクロソーム(1mg/ml)およびNADPH発生系(0.8mMのグルコース−6−ホスフェート、0.8mMの塩化マグネシウムおよび0.8単位のグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)を入れた。対照サンプルには、前記ミクロソームの代わりに熱で不活性にしておいた(95℃で10分間)ミクロソームを用いる以外は同じ材料を入れた。この対照サンプルに入っている化合物の回収率は常に100%であった。
【0216】
前記混合物を前以て37℃で5分間インキュベートしておいた。時間点ゼロ(t=0)の時に0.8mMのNADPを添加して反応を開始させて、サンプルを60分間インキュベートした(t=60)。DMSOを2体積添加することで反応を停止させた。次に、サンプルを900xgの遠心分離に10分間かけた後、その上澄み液を分析まで室温で貯蔵したが、貯蔵時間が24時間を超えないようにした。あらゆるインキュベーションを重複して実施した。その上澄み液の分析をLC−MS分析で実施した。Xterra MS C18(50x4.6mm、5μm、Waters、米国)を用いてサンプルの溶離を実施した。Alliance 2790(供給者:Waters、米国)HPLC装置を用いた。緩衝液A[HO/アセトニトリル(95/5)中の25mMの酢酸アンモニウム(pH5.2)]を用い、溶媒Bをアセトニトリルにしそして溶媒Cであるメタノールを2.4ml/分の流量で用いることで溶離を起こさせた。その用いた勾配では、有機相の濃度を線形様式で0%から5分かけてBが50%でCが50%にまで上昇させた後に1分かけてBが100%にまで上昇させそして有機相の濃度を更に1.5分間に渡って固定状態に保持した。サンプルの全注入容積を25μlにした。ESP源が備わっているQuatro三連四重極質量分析計を検出器として用いた。その源および脱溶媒温度をそれぞれ120および350℃に設定し、窒素をネブライザーおよび乾燥用気体として用いた。データを正走査様式(単イオン反応)で取得した。コーン電極を10Vに設定しそしてドエル時間を1秒にした。
【0217】
代謝安定性を当該化合物を活性ミクロソーム[E(act)]の存在下で60分間インキュベートした後の代謝%として表す(式を例として示す)。
代謝%=100%−[t=60の時にE(act)が示す全イオン流(TIC)/t=0の時にE(act)が示すTIC]x100
【0218】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
−R−R−は、式
−O−CH−O− (a−1)
−O−CH−CH− (a−2)
−O−CH−CH−O− (a−3)
−O−CH−CH−CH− (a−4)
−O−CH−CH−CH−O− (a−5)
−O−CH−CH−CH−CH− (a−6)
−O−CH−CH−CH−CH−O− (a−7)
−O−CH−CH−CH−CH−CH− (a−8)
で表される二価基であり、ここで、場合により、前記二価基の中の同じまたは異なる炭素原子上の1個または2個の水素原子がC1−6アルキルまたはヒドロキシに置き換わっていてもよく、
は、水素、ハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシであり、
は、水素、ハロ、C1−6アルキル;シアノまたはC1−6アルキルオキシで置換されているC1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;シアノ;アミノまたはモノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノであり、
は、水素またはC1−6アルキルであり、そして−OR基は、ピペリジン部分の3位もしくは4位に位置し、
Lは、式
−Alk−R (b−1)
−Alk−X−R (b−2)
−Alk−Y−C(=O)−R (b−3)
−Alk−C(=O)−NH−C=O)−R11 (b−4)
−Alk−C(=O)−NH−SO−R11 (b−5)
−Alk−SO−NH−C(=O)−R11 (b−6)
−Alk−SO−NH−SO−R11 (b−7)
(ここで、各AlkはC1−12アルカンジイルである)
で表される基であり、
は、場合によりC1−4アルキル、C3−6シクロアルキルまたはフェニルで置換されていてもよいアミノスルホニルであり、
は、C1−6アルキルスルホニルであり、
Xは、NRであり、ここで、前記RはC1−6アルキルであり、
は、C1−6アルキルスルホニルアミノであり、
Yは、O、SまたはNR10(ここで、R10は、水素またはC1−6アルキルである)であり、そして
11は、C1−6アルキルまたはフェニルである]
で表される化合物、これの立体化学異性体形態、N−オキサイド形態、または薬学的に受け入れられる酸もしくは付加塩。
【請求項2】
前記−OR基がトランス配置を有するピペリジン部分の3位に位置している請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記ピペリジン部分の絶対配置が(3S,4S)である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Lが式(b−1)[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてRがアミノスルホニルまたはC1−4アルキルもしくはフェニルで置換されているアミノスルホニルである]で表される基である請求項1から3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
Lが基(b−5)[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてR11がC1−4アルキルである]である請求項1から3のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
Lが基(b−7)[ここで、AlkがC1−4アルカンジイルでありそしてR11がC1−4アルキルである]である請求項1から3のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
治療的に活性のある量の請求項1から6のいずれか記載の化合物と薬学的に受け入れられる担体を含んで成る薬剤組成物。
【請求項8】
請求項7記載の薬剤組成物を製造する方法であって、治療的に活性のある量の請求項1から6のいずれか記載の化合物を薬学的に受け入れられる担体と密に混合する方法。
【請求項9】
薬剤として用いるための請求項1から6のいずれか記載の化合物。
【請求項10】
式(I)で表される化合物を製造する方法であって、
a)式(II)で表される中間体を式(III)で表されるカルボン酸誘導体もしくはこれの反応性官能誘導体と反応させ;
【化2】

b)式(V)で表される中間体に式(IV)で表される中間体によるN−アルキル置換を反応に不活性な溶媒中で場合により適切な塩基の存在下で受けさせ;
【化3】

[ここで、前記反応スキーム中の基−R−R−、R、R、RおよびLは、請求項1で定義した通りであり、そしてWは、適切な脱離基である]
c)或は、式(I)で表される化合物を本技術分野で公知の変換反応に従って互いに変化させるか、或は望まれるならば、式(I)で表される化合物を薬学的に受け入れられる酸付加塩に変化させるか、或は逆に、アルカリを用いて(I)で表される化合物の酸付加塩を遊離塩基形態に変化させ、そして望まれるならば、それの立体化学的異性体形態を生じ
させる、
方法。

【公表番号】特表2007−526875(P2007−526875A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515884(P2006−515884)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006280
【国際公開番号】WO2005/000837
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】