説明

ATP結合カセット輸送体のモジュレーター

本発明の化合物およびその薬学的に許容される組成物は、嚢胞性線維症膜貫通伝導制御因子(“CFTR”)を含む、ATP結合カセット(“ABC”)輸送体またはその断片のモジュレーターとして有用である。本発明はまた、本発明の化合物を用いるABC輸送体仲介疾患の処置方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、両方とも2008年11月6日付け出願の米国特許出願第61/112,152号および同第61/112,145号に対して優先権を主張する。これらの出願の内容全体は、その全体を引用により本明細書中に包含させる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、嚢胞性線維症膜貫通伝導制御因子(“CFTR”)を含む、ATP結合カセット(“ABC”)輸送体(transporter)またはその断片のモジュレーター、その組成物およびその使用方法に関する。本発明はまた、かかるモジュレーターを用いるABC輸送体仲介疾患の処置方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ABC輸送体は、種々の薬剤、毒性である可能性のある薬物、および異物、ならびに陰イオンなどの輸送を制御する膜輸送タンパク質のファミリーである。ABC輸送体は、細胞質アデノシン三リン酸(ATP)に結合し、それを、その特異的活性のために用いる相同性膜タンパク質である。これらの輸送体のいくつかは、化学療法剤に対して悪性癌細胞を保護する、多剤耐性タンパク質類(MDR1−P 糖タンパク質、または多剤耐性タンパク質MRP1など)として発見された。現在までに、48個のABC輸送体が同定されており、それらは配列同一性および機能に基づいて7個のファミリーにグループ分けされている。
【0004】
ABC輸送体は、体内で様々な重要な生理的役割を制御し、有害な環境化合物に対する防御を提供する。このため、それらは、該輸送体の欠失と関係する疾患の処置、標的細胞からの薬物排出の阻止、およびABC輸送体活性の調節が有益であり得る他の疾患への介入の重要な可能性のある薬物標的である。
【0005】
疾患と一般的に関係のあるABC輸送体ファミリーの1つのメンバーは、cAMP/ATPにより仲介される陰イオンチャネルであるCFTRである。CFTRは、吸収性および分泌性上皮細胞を含む種々の細胞タイプにおいて発現され、そこで、膜を通過する陰イオン流量を制御し、同時に他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を制御する。上皮細胞において、CFTRの正常な機能は、呼吸器および消化器組織を含む身体全体の電解質輸送の維持に重要である。CFTRは、6個の膜貫通ヘリックスおよび1個のヌクレオチド結合ドメインをそれぞれ含む、膜貫通ドメインの反復配列を構成するタンパク質をコード化する約1480アミノ酸から構成される。2個の膜貫通ドメインは、チャネル活性および細胞輸送を制御する、複数のリン酸化部位を有する、大きな極性調節性(R)−ドメインにより結合する。
【0006】
CFTRをコードする遺伝子は、同定され、配列決定されている(Gregory, R. J. et al. (1990) Nature 347:382−386; Rich, D. P. et al. (1990) Nature 347:358−362;Riordan, J. R. et al. (1989) Science 245:1066−1073を参照のこと)。この遺伝子の欠失は、CFTRの変異をもたらし、ヒトにおける最もよく見られる致死的遺伝疾患である嚢胞性線維症(“CF”)をもたらす。嚢胞性線維症は、合衆国においておよそ2,500名につき1名の幼児に影響を与える。全アメリカ合衆国民中、1千万名程度までの人々が、疾患の影響を現すことなく、1コピーの欠損遺伝子を有する。対照的に、2コピーのCF関連遺伝子を有する個体は、慢性肺疾患を含むCFの、消耗性で、かつ致死的影響を受ける。
【0007】
嚢胞性線維症を有する患者において、呼吸器上皮に内生的に発現するCFTRにおける変異は、イオンおよび液体輸送の不均衡をもたらす頂端側(apical)の陰イオン分泌の低下をもたらす。その陰イオン輸送の減少は、肺における粘液貯留の増大および付随する微生物感染に寄与し、最終的にCF患者の死をもたらす。呼吸器疾患に加えて、CF患者は、典型的に、消化器異常および膵臓不全を有し、治療せずに放置すると死に至る。さらに、嚢胞性線維症を有する男性の多くは不妊症であり、嚢胞性線維症を有する女性は、生殖能力が低下している。2コピーのCF関連遺伝子の深刻な影響とは対照的に、1コピーのCF関連遺伝子を有する個体は、コレラおよび下痢による脱水症に対して増大した耐性を呈することから、該集団内でCF遺伝子が比較的高頻度であることが説明されると考えられる。
【0008】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列解析により、病因となる種々の変異が明らかにされている(Cutting, G. R. et al. (1990) Nature 346:366−369; Dean, M. et al. (1990) Cell 61:863:870; および Kerem, B−S. et al. (1989) Science 245:1073−1080; Kerem, B−S et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8447−8451)。現在までに、CF遺伝子における1000を越える病因となる変異が同定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も一般的な変異は、CFTRアミノ酸配列の508位でのフェニルアラニンの欠失であり、一般的にはΔF508−CFTRと称される。この変異は、嚢胞性線維症の症例の約70%で起こり、重篤な疾患と関連している。
【0009】
ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失により、形成されつつあるタンパク質の正確な折りたたみが妨げられる。この結果、変異タンパク質がERを出て、細胞膜へ輸送されることが不可能となる。結果として、該膜に存在するチャンネルの数は、野生型CFTRを発現する細胞で観察されるものより遥かに少ない。該変異は、損なわれた輸送機構に加えて、チャンネル開閉にも欠陥をもたらす。まとめると、膜におけるチャンネル数の減少および欠陥のある開閉により、上皮を通過する陰イオン輸送は減少し、イオンおよび体液輸送の欠陥を招くことになる(Quinton, P. M. (1990), FASEB J. 4: 2709−2727)。しかしながら、本発明は、膜における減少した数のΔF508−CFTRが、野生型CFTRより少ないが、機能的であることを示している(Dalemans et al. (1991), Nature Lond. 354: 526−528; Denning et al., 前出; Pasyk and Foskett (1995), J. Cell. Biochem. 270: 12347−50)。ΔF508−CFTRに加えて、輸送機構、合成および/またはチャネル開閉に欠陥をもたらす、他の疾患の原因となるCFTRにおける変異を上方または下方制御することにより、陰イオン分泌が改変され、疾患の進行および/または重症度も緩和され得る。
【0010】
CFTRは陰イオンに加えて種々の分子を輸送するが、この役割(陰イオンの輸送)が、上皮を通過してイオンおよび水を輸送する重要な機構における一要素であることは明らかである。他の要素には、上皮性Naチャンネル、ENaC、Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび基底側膜Kチャネルが含まれ、これらは細胞へのクロライドの取込みに関与する。
【0011】
これらの要素が共に作用して、細胞内におけるそれらの選択的発現および局在性により上皮を通過する指向性の輸送を達成する。塩化物吸収は、頂端側膜に存在するENaCおよびCFTRの協調的活性および細胞の基底膜側表面で発現されるNa−K−ATPaseポンプおよびClチャネルにより行われる。内腔側(luminal side)からの塩化物の二次的能動輸送により、細胞内塩化物の蓄積が促され、次いでClチャネルにより受動的に細胞から排出されることにより、ベクトル輸送となり得る。Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび基底膜側表面での基底膜Kチャネルおよび内腔側でのCFTRの配置を調和させることにより、内腔側でのCFTRを介した塩化物の分泌を促す。水はそれ自体能動輸送されないと考えられるため、上皮を通過するその流動は、ナトリウムおよび塩化物の大きな流動により生じた小さな経上皮浸透圧勾配に依存する。
【0012】
嚢胞性線維症に加えて、CFTR活性の調節は、CFTRでの変異によって直接誘発されない他の疾患、例えば分泌性疾患およびCFTRにより仲介される他のタンパク質フォールディング病にも有益であり得る。これらには、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、角膜乾燥症、およびシェーグレン症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
COPDは、進行性であり、完全には可逆性ではない気流閉塞(airflow limitation)を特徴とする。気流閉塞は、粘液過剰分泌、気腫および細気管支炎に起因する。変異体または野生型CFTRの活性化因子は、COPDに共通する粘液過剰分泌および損なわれた粘膜毛様体クリアランスの治療の可能性を提供する。具体的には、CFTRを通過する陰イオン分泌の増加によって、気道表面液への体液輸送が促され、粘液を水和し、繊毛周囲(periciliary)液の粘度を最適化し得る。これにより、粘膜毛様体クリアランスは向上し、COPDに伴う症状は軽減される。角膜乾燥症は、涙液産生量低下および異常な涙液膜脂質、タンパク質およびムチンプロフィールを特徴とする。角膜乾燥症には多くの原因があり、そのいくつかの例としては、加齢、レーシック眼科手術、関節炎、薬物療法、化学的熱傷/熱傷、アレルギー、ならびに例えば嚢胞性線維症およびシェーグレン症候群などの疾患が含まれる。CFTRを介する陰イオン分泌の増加により、角膜内皮細胞および眼の周囲の分泌腺からの液体輸送が増大し、角膜水和作用が高まり得る。これは、角膜乾燥症に伴う症状を軽減する一助となり得る。シェーグレン症候群は、免疫系が、眼、口腔、皮膚、呼吸器組織、肝臓、膣、および消化管を含む体内の水分産生腺(moisture−producing gland)を攻撃する自己免疫疾患である。症状としては、眼、口腔および膣の乾燥、ならびに肺疾患が含まれる。この疾患はまた、リウマチ性関節炎、全身紅斑性狼瘡(systemic lupus)、全身性硬化症および多発性筋炎(polymypositis)/皮膚筋炎とも関係する。欠陥のあるタンパク質輸送は、治療の選択肢が制限されるため、疾患を引き起こすと考えられている。CFTR活性のモジュレーターは、疾患に冒された様々な臓器を水和し、随伴症状の向上を促し得る。
【0014】
上記で検討した通り、ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失により、形成されつつあるタンパク質の正確な折りたたみが阻止され、その結果、この変異タンパク質がERを出て、細胞膜へ輸送されることが不可能になると考えられる。結果として、細胞膜に存在する成熟タンパク質の量は不十分となり、上皮組織内での塩化物輸送は著しく低下する。事実、ER機構によるABC輸送体の欠陥ERプロセッシングというこの細胞現象は、CF疾患だけでなく、広範囲の他の単発的および遺伝的疾患の基礎原因であることが示されている。ER機構が機能不全に陥り得る2つの過程は、分解に至るタンパク質のER輸送へのカップリングの喪失によるか、またはこれらの欠損/ミスフォールディングタンパク質のER蓄積によるものである[Aridor M, et al., Nature Med., 5(7), pp 745−751 (1999); Shastry, B.S., et al., Neurochem. International, 43, pp 1−7 (2003); Rutishauser, J., et al., Swiss Med Wkly, 132, pp 211−222 (2002); Morello, JP et al., TIPS, 21, pp. 466−469 (2000); Bross P., et al., Human Mut., 14, pp. 186−198 (1999)]。前者のクラスのER機能不全に伴う疾患は、嚢胞性線維症(上記のミスフォールディングΔF508−CFTRに起因)、遺伝性気腫(a1−抗トリプシンに起因;非Piz変異型)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル疾患/偽ハーラー病、ムコ多糖症(リソソームプロセッシング酵素に起因)、サンドホッフ/テイ−サックス病(β−ヘキソサミニダーゼに起因)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアル−トランスフェラーゼに起因)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリン受容体に起因)、ラロン型小人症(成長ホルモン受容体に起因)、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンに起因)、黒色腫(チロシナーゼに起因)である。後者のクラスのER機能不全に伴う疾患は、グリカン糖鎖異常(glycanosis)CDG1型、遺伝性気腫(α1−抗トリプシンに起因(PiZ変異型))、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I、II、IV型プロコラーゲンに起因)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンに起因)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンに起因)、尿崩症(DI)、中枢性DI(バソプレッシンホルモン/V2−受容体に起因)、腎性DI(アクアポリンIIに起因)、シャルコー−マリー−トゥース症候群(末梢ミエリンタンパク質22に起因)、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺(plasy)、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、歯状核赤核(dentatorubral)・淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセッシング欠損に起因)、ファブリー病(リソソーム性α−ガラクトシダーゼAに起因)およびストロイスラー−シャインカー症候群(Prpプロセッシング欠損に起因)である。
【0015】
CFTR活性の上方制御に加えて、CFTRモジュレーターによる陰イオン分泌の低下は、分泌性下痢の処置に有益であり得て、上皮水分輸送は、分泌促進物質活性化塩化物輸送の結果として劇的に増大する。この機構は、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を伴う。
【0016】
下痢には多くの原因があるが、過度の塩化物輸送から生じる下痢性疾患の主たる結果は全てに共通しており、脱水症、アシドーシス、成長障害および死が含まれる。
【0017】
急性および慢性下痢は、世界の多くの地域における主たる医学的問題である。下痢は、栄養失調における重大な因子であると共に5歳未満の子供の最も多い死因である(死者500万名/年)。
【0018】
分泌性下痢はまた、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)の患者においては危険な状態である。毎年1600万名の先進国から開発途上国への旅行者が下痢を発症し、下痢の症例の重症度および数は、旅行した国および地域によって様々である。
【0019】
白痢(scours)としても公知の、家畜およびペット、例えばウシ、ブタおよびウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌの下痢は、これらの動物の主たる死因である。下痢は、主たる移行期、例えば離乳期または身体的運動、ならびに種々の細菌またはウイルス感染に応答して起こり得て、一般的には動物において最初の数時間以内に起こる。
【0020】
下痢の最も一般的な病原菌は、K99線毛抗原を有する腸毒素産生性大腸菌(E.coli)(ETEC)である。下痢の一般的ウイルス病因には、ロタウイルスおよびコロナウイルスが含まれる。他の感染源には、特にクリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫およびサルモネラ等が含まれる。
【0021】
ロタウイルス感染の症状には、水様便の排泄、脱水症および衰弱が含まれる。コロナウイルスは、生まれたての動物ではさらに深刻な疾患を引き起こし、ロタウイルス感染よりも死亡率は高い。しかしながら、多くの場合、若年動物は、一時に複数のウイルス、またはウイルスおよび細菌性微生物の組合せに感染し得る。このことにより、疾患の重症度は劇的に増大する。
【0022】
従って、哺乳動物の細胞膜でのABC輸送体の活性を調節するのに使用され得るABC輸送体活性のモジュレーター、およびその組成物が必要とされている。
【0023】
ABC輸送体活性のかかるモジュレーターを用いたABC輸送体仲介疾患の処置方法が必要とされている。
【0024】
エスクビボでの哺乳動物の細胞膜におけるABC輸送体活性の調節方法が必要とされている。
【0025】
哺乳動物の細胞膜におけるCFTRの活性を調節するのに使用され得るCFTR活性のモジュレーターが必要とされている。
【0026】
CFTR活性のかかるモジュレーターを用いたCFTR仲介疾患の処置方法が必要とされている。
【0027】
エスクビボでの哺乳動物の細胞膜におけるCFTR活性の調節方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0028】
発明の概要
今回、本発明の化合物、およびその薬学的に許容される組成物が、ABC輸送体活性、特にCTFR活性のモジュレーターとして有用であることが見出された。これらの化合物は、
【化1】


【化2】


【化3】


である。
【0029】
いくつかの態様において、該化合物は、
【化4】


である。他の態様において、該化合物は、
【化5】


である。
【0030】
さらに他の態様において、該化合物は、
【化6】


である。
【0031】
これらの化合物および薬学的に許容される組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、中枢性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、角膜乾燥症またはシェーグレン病を含むが、これらに限定されない種々の疾患、障害、または状態の処置または重症度の軽減に有用である。
【0032】
予期されていないことに、本発明の化合物は、治療的に有利な特性を有する。
【0033】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書で用いる通り、以下の定義を、他に特記しない限り適用するものとする。
【0034】
本明細書で用いる用語“ABC輸送体”は、ABC輸送体タンパク質または少なくとも1つの結合ドメインを含むその断片を意味し、該タンパク質またはその断片は、インビボまたはインビトロで存在する。本明細書で用いる用語“結合ドメイン”は、モジュレーターと結合し得るABC輸送体のドメインを意味する。例えば、Hwang, T. C. et al., J. Gen. Physiol. (1998): 111(3), 477−90を参照のこと。
【0035】
本明細書で用いる用語“CFTR”は、嚢胞性線維症膜貫通伝導制御因子、またはΔF508 CFTRおよびG551D CFTRを含むが、これらに限定されない、調節活性能力を有するその変異体を意味する(CFTR変異については、例えば、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと)。
【0036】
本明細書で用いる用語“調節”は、例えば活性の、測定可能な量での増大または低下を意味する。ABC輸送体、例えば、CFTR陰イオンチャネルの活性を増大することにより、ABC輸送体活性、例えば、CFTR活性を調節する化合物を、アゴニストと称する。ABC輸送体、例えば、CFTR陰イオンチャネルの活性を低下することにより、ABC輸送体活性、例えば、CFTR活性を調節する化合物を、アンタゴニストとする。アゴニストは、ABC輸送体、例えばCFTR陰イオンチャネルと相互作用し、内生リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する受容体の能力を増大する。アンタゴニストは、ABC輸送体、例えば、CFTRと相互作用し、そして内生リガンド(複数可)または基質(複数可)と受容体上の結合部位(複数可)に対して競合し、内生リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する受容体の能力を低下する。
【0037】
“ABC輸送体仲介疾患を処置するかまたは重症度を低下させる”という記載は、ABC輸送体および/またはCFTR活性により直接的に引き起こされる疾患を処置すること、およびABC輸送体および/またはCFTR陰イオンチャネル活性により直接的にではなく引き起こされる疾患の症状を軽減することの両方を意味する。症状がABC輸送体および/またはCFTR活性により影響を受け得る疾患の例には、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、中枢性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、角膜乾燥症またはシェーグレン病が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の目的に関して、化学元素は元素周期表、CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edに従って同定する。さらに、有機化学の一般的原理は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999および“March's Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001に記載されており、それらの全内容を引用により本明細書に包含させる。
【0039】
本明細書で記載の通り、本発明の化合物は、一般的に上記の説明または例示のように、本発明の特定のクラス、サブクラスおよび化学種により、所望により1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0040】
本明細書で用いる用語“脂肪族”は、用語アルキル、アルケニル、アルキニルを含み、それらはそれぞれ、下記の通り所望により置換されていてよい。
【0041】
本明細書で用いる“アルキル”基は、1−12個(例えば、1−8個、1−6個または1−4個)の炭素原子を含む飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、または2−エチルヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。アルキル基は、ハロ、ホスホ、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロシクロ脂肪族[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニルまたは(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、シクロ脂肪族アミノ、またはヘテロシクロ脂肪族アミノ]、スルホニル[例えば、脂肪族−S(O)−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、シクロ脂肪族オキシ、ヘテロシクロ脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、または、ヒドロキシのような1個以上の置換基で置換されていてよい(すなわち、所望により置換されていてよい。)。置換アルキルのいくつかの例には、カルボキシアルキル(例えば、HOOC−アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、およびアルキルカルボニルオキシアルキル)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル(例えば、(アルキル−S(O)−アミノ)アルキル)、アミノアルキル、アミドアルキル、(シクロ脂肪族)アルキル、または、ハロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で用いる“アルケニル”基は、2−12個(例えば、2−8個、2−6個または2−4個)の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキル基同様、アルケニル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。アルケニル基の例には、アリル、イソプレニル、2−ブテニル、および2−ヘキセニルが含まれるが、これらに限定されない。アルケニル基は、所望によりハロ、ホスホ、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロシクロ脂肪族[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、または(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、シクロ脂肪族アミノ、ヘテロシクロ脂肪族アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ]、スルホニル[例えば、アルキル−SO−、シクロ脂肪族−SO−、またはアリール−SO−]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、シクロ脂肪族オキシ、ヘテロシクロ脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシのような1個以上の置換基で置換されていてよい。置換アルケニルのいくつかの例には、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル(例えば、(アルキル−SO−アミノ)アルケニル)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(シクロ脂肪族)アルケニル、またはハロアルケニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で用いる“アルキニル”基は、2−12個(例えば、2―8個、2−6個または2−4個)の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を含む脂肪族炭素基を意味する。アルキニル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。アルキニル基の例には、プロパルギルおよびブチニルが含まれるが、これに限定されない。アルキニル基は、所望によりアロイル、ヘテロアロイル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、スルファニル[例えば、脂肪族スルファニルまたはシクロ脂肪族スルファニル]、スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニルまたはシクロ脂肪族スルフィニル]、スルホニル[例えば、脂肪族−SO−、脂肪族アミノ−SO−、またはシクロ脂肪族−SO−]、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアリールアミノカルボニル]、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル[例えば、(シクロ脂肪族)カルボニルまたは(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ]、スルホキシ、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、または(ヘテロアリール)アルコキシのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0044】
本明細書で用いる“アミド”は、“アミノカルボニル”および“カルボニルアミノ”の両方を包含する。単独でまたは他の基と関連して用いるとき、これらの用語は、末端に用いるとき−N(R)−C(O)−Rまたは−C(O)−N(R、ならびに内部に用いるとき−C(O)−N(R)−または−N(R)−C(O)−{ここで、RおよびRは、下記に定義の通りである。}のようなアミド基を意味する。アミド基の例には、アルキルアミド(例えば、アルキルカルボニルアミノまたはアルキルアミノカルボニル)、(ヘテロシクロ脂肪族)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、またはシクロアルキルアミドが含まれる。
【0045】
本明細書で用いる“アミノ”基は、−NR(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して水素、脂肪族、シクロ脂肪族、(シクロ脂肪族)脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族、ヘテロアリール、カルボキシ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、アリールカルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(ヘテロアリール)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルであり、各々が本明細書で定義の通りであり、そして所望により置換されていてよい。)を意味する。アミノ基の例は、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはアリールアミノを含む。用語“アミノ”が末端基ではないとき(例えば、アルキルカルボニルアミノ)、それは−NR−(ここで、Rは、上記の定義と同じ意味を有する。)により表される。
【0046】
本明細書で用いる、単独で、または“アラルキル”、“アラルコキシ”もしくは“アリールオキシアルキル”のような大きな部分の一部として使用される“アリール”基は、単環式(例えば、フェニル);二環式(例えば、インデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル);および、三環式(例えば、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、またはテトラヒドロアントラセニル、アントラセニル)環系{ここで、単環式環系が芳香族性であるか、または二環式もしくは三環式環系の少なくとも1個の環が芳香族性である。}を意味する。該二環式および三環式基には、ベンゾ縮合2−3員の炭素環式環が含まれる。例えば、ベンゾ縮合基は、2個以上のC4−8炭素環式部分と縮合したフェニルを含む。アリールは、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル];シクロ脂肪族;(シクロ脂肪族)脂肪族;ヘテロシクロ脂肪族;(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(シクロ脂肪族)オキシ;(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;(ベンゾ縮合二環式または三環式アリールの非芳香族性炭素環式環上の)オキソ;ニトロ;カルボキシ;アミド;アシル[例えば、脂肪族カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族−SO−またはアミノ−SO−];スルフィニル[例えば、脂肪族−S(O)−またはシクロ脂肪族−S(O)−];スルファニル[例えば、脂肪族−S−];シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;または、カルバモイルを含む1個以上の置換基で所望により置換されていてよい。あるいは、アリールは、非置換でもよい。
【0047】
置換アリールの例には、ハロアリール[例えば、モノ−、ジ(例えば、p,m−ジハロアリール)、および(トリハロ)アリール];(カルボキシ)アリール[例えば、(アルコキシカルボニル)アリール、((アラルキル)カルボニルオキシ)アリール、および(アルコキシカルボニル)アリール];(アミド)アリール[例えば、(アミノカルボニル)アリール、(((アルキルアミノ)アルキル)アミノカルボニル)アリール、(アルキルカルボニル)アミノアリール、(アリールアミノカルボニル)アリール、および(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)アリール];アミノアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)アリールまたは((ジアルキル)アミノ)アリール];(シアノアルキル)アリール;(アルコキシ)アリール;(スルファモイル)アリール[例えば、(アミノスルホニル)アリール];(アルキルスルホニル)アリール;(シアノ)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;((アルコキシ)アルキル)アリール;(ヒドロキシ)アリール、((カルボキシ)アルキル)アリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)アリール;(ニトロアルキル)アリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)アリール;((ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル)アリール;((アルキルスルホニル)アルキル)アリール;(シアノアルキル)アリール;(ヒドロキシアルキル)アリール;(アルキルカルボニル)アリール;アルキルアリール;(トリハロアルキル)アリール;p−アミノ−m−アルコキシカルボニルアリール;p−アミノ−m−シアノアリール;p−ハロ−m−アミノアリール;または、(m−(ヘテロシクロ脂肪族)−o−(アルキル))アリールが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で用いる“アラルキル”基のような“芳香脂肪族”基は、アリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“脂肪族”、“アルキル”および“アリール”は、本明細書中に定義されている。アラルキル基のような芳香脂肪族の例はベンジルである。
【0049】
本明細書で用いる“アラルキル”基は、アリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“アルキル”および“アリール”は両方とも上記で定義されている。アラルキル基の例はベンジルである。アラルキルは、所望により、脂肪族[例えば、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルまたはトリフルオロメチルのようなハロアルキルを含むアルキル、アルケニルまたはアルキニル]、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノまたはヘテロアラルキルカルボニルアミノ]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、または、カルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0050】
本明細書で用いる“二環式環系”は、2環を形成する8−12(例えば、9、10または11)員構造を含み、ここで、該2環は、少なくとも1個の原子を共通して有する(例えば、2個の原子が共通である)。二環式環構造は、ビシクロ脂肪族(例えば、ビシクロアルキルまたはビシクロアルケニル)、ビシクロヘテロ脂肪族、二環式アリール、および二環式ヘテロアリールを含む。
【0051】
本明細書で用いる“炭素環”または“シクロ脂肪族”基は、“シクロアルキル”基および“シクロアルケニル”基(それぞれ、下記の通りに所望により置換されていてよい。)を含む。
【0052】
本明細書で用いる“シクロアルキル”基は、3−10個(例えば、5−10個)の炭素原子の飽和炭素環式単環式または二環式(縮合または架橋)環を意味する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボロニル、クビル、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2.]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルが含まれる。
【0053】
本明細書で用いる“シクロアルケニル”基は、1個以上の二重結合を有する3−10個(例えば、4−8個)の炭素原子の、非芳香族性炭素環式環を意味する。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニルまたはビシクロ[3.3.1]ノネニルが含まれる。
【0054】
シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は、所望により、ホスホ、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、シクロ脂肪族、(シクロ脂肪族)脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(シクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル]、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキル−SO−およびアリール−SO−]、スルフィニル[例えば、アルキル−S(O)−]、スルファニル[例えば、アルキル−S−]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0055】
本明細書で用いる用語“ヘテロ環”または“ヘテロシクロ脂肪族”は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基(それぞれ、下記の通りに所望により置換されていてよい。)を含む。
【0056】
本明細書で用いる“ヘテロシクロアルキル”基は、1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、Sまたはそれらの組合せ)である、3−10員の単環式または二環式(縮合または架橋)(例えば、5員ないし10員の単環式または二環式)飽和環構造を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4−ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、1,3−ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソキサゾリジル、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロチオクロメニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリンジニル(octahydropyrindinyl)、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェニル(thiopheneyl)、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが含まれる。単環式ヘテロシクロアルキル基は、フェニル部分と縮合してテトラヒドロイソキノリンのような構造を形成していてよく、それらはヘテロアリールとして分類され得る。
【0057】
本明細書で用いる“ヘテロシクロアルケニル”基は、1個以上の二重結合を有し、そして1個以上の環原子がヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)である、単環式または二環式(例えば、5員ないし10員の単環式または二環式)非芳香環構造を意味する。単環式および二環式ヘテロシクロ脂肪族は、標準化学命名法に従い命名される。
【0058】
ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル基は、ホスホ、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル]、シクロ脂肪族、(シクロ脂肪族)脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(芳香脂肪族)オキシ、(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、アミド[例えば、(脂肪族)カルボニルアミノ、(シクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(アリール)カルボニルアミノ、(芳香脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニルアミノ、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニルアミノ、(ヘテロアリール)カルボニルアミノ、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニルアミノ]、ニトロ、カルボキシ[例えば、HOOC−、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシ]、アシル[例えば、(シクロ脂肪族)カルボニル、((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、(芳香脂肪族)カルボニル、(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル、((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル、または(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、スルホニル[例えば、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル]、スルフィニル[例えば、アルキルスルフィニル]、スルファニル[例えば、アルキルスルファニル]、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0059】
本明細書で用いる“ヘテロアリール”基は、4ないし15個の環原子を有する単環式、二環式、または三環式環系を意味し、環原子の1個以上がヘテロ原子(例えば、N、O、S、またはそれらの組合せ)であり、そして単環式環系が芳香族性であるか、または二環式もしくは三環式環系の少なくとも1個の環が芳香族性である。ヘテロアリール基は、2〜3環を有するベンゾ縮合環系を含む。例えば、ベンゾ縮合基は、1個または2個の4員ないし8員のヘテロシクロ脂肪族部分と縮合したベンゾ(例えば、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、またはイソキノリニル)を含む。ヘテロアリールのいくつかの例は、アゼチジニル、ピリジル、1H−インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンズチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドール、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリル、シンノリニル、キノリル、キナゾリニル、フタラジル、キノキサリニル、イソキノリニル、4H−キノリジル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリル、または1,8−ナフチリジルである。
【0060】
単環式ヘテロアリールには、フリル、チオフェニル、2H−ピロリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、2H−ピラニル、4−H−ピラニル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラゾリル、ピラジル、または1,3,5−トリアジルが含まれるが、これらに限定されない。単環式ヘテロアリールは、標準化学命名法に従い命名される。
【0061】
二環式ヘテロアリールには、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリジル、イソインドリル、インドリル、ベンゾ[b]フリル、ベクソ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダジル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H−キノリジル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル(quinazolyl)、キノキサリル、1,8−ナフチリジル、またはプテリジルが含まれるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリールは、標準化学命名法に従い命名される。
【0062】
ヘテロアリールは、脂肪族[例えば、アルキル、アルケニル、またはアルキニル];シクロ脂肪族;(シクロ脂肪族)脂肪族;ヘテロシクロ脂肪族;(ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルコキシ;(シクロ脂肪族)オキシ;(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ;アリールオキシ;ヘテロアリールオキシ;(芳香脂肪族)オキシ;(ヘテロ芳香脂肪族)オキシ;アロイル;ヘテロアロイル;アミノ;(二環式または三環式ヘテロアリールの非芳香族性炭素環式またはヘテロ環式環上の)オキソ;カルボキシ;アミド;アシル[例えば、脂肪族カルボニル;(シクロ脂肪族)カルボニル;((シクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル;(芳香脂肪族)カルボニル;(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル;((ヘテロシクロ脂肪族)脂肪族)カルボニル;または、(ヘテロ芳香脂肪族)カルボニル];スルホニル[例えば、脂肪族スルホニルまたはアミノスルホニル];スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニル];スルファニル[例えば、脂肪族スルファニル];ニトロ;シアノ;ハロ;ヒドロキシ;メルカプト;スルホキシ;ウレア;チオウレア;スルファモイル;スルファミド;またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。あるいは、ヘテロアリールは非置換でもよい。
【0063】
置換ヘテロアリールの例には、(ハロ)ヘテロアリール[例えば、モノ−およびジ−(ハロ)ヘテロアリール];(カルボキシ)ヘテロアリール[例えば、(アルコキシカルボニル)ヘテロアリール];シアノヘテロアリール;アミノヘテロアリール[例えば、((アルキルスルホニル)アミノ)ヘテロアリールおよび((ジアルキル)アミノ)ヘテロアリール];(アミド)ヘテロアリール[例えば、アミノカルボニルヘテロアリール、((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール、((((アルキル)アミノ)アルキル)アミノカルボニル)ヘテロアリール、(((ヘテロアリール)アミノ)カルボニル)ヘテロアリール、((ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル)ヘテロアリール、および((アルキルカルボニル)アミノ)ヘテロアリール];(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシ)ヘテロアリール;(スルファモイル)ヘテロアリール[例えば、(アミノスルホニル)ヘテロアリール];(スルホニル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルスルホニル)ヘテロアリール];(ヒドロキシアルキル)ヘテロアリール;(アルコキシアルキル)ヘテロアリール;(ヒドロキシ)ヘテロアリール;((カルボキシ)アルキル)ヘテロアリール;(((ジアルキル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;(ヘテロシクロ脂肪族)ヘテロアリール;(シクロ脂肪族)ヘテロアリール;(ニトロアルキル)ヘテロアリール;(((アルキルスルホニル)アミノ)アルキル)ヘテロアリール;((アルキルスルホニル)アルキル)ヘテロアリール;(シアノアルキル)ヘテロアリール;(アシル)ヘテロアリール[例えば、(アルキルカルボニル)ヘテロアリール];(アルキル)ヘテロアリール、および(ハロアルキル)ヘテロアリール[例えば、トリハロアルキルヘテロアリール]が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で用いる“ヘテロ芳香脂肪族”基(例えば、ヘテロアラルキル基)は、ヘテロアリール基で置換されている脂肪族基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“脂肪族”、“アルキル”および“ヘテロアリール”は、上記で定義されている。
【0065】
本明細書で用いる“ヘテロアラルキル”基は、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)を意味する。“アルキル”および“ヘテロアリール”は両方とも上記で定義されている。ヘテロアラルキルは、所望により、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびトリフルオロメチルのようなハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0066】
本明細書で用いる“環式部分”および“環式基”は、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリールまたはヘテロアリール(それぞれ、上記で定義されている。)を含む、単環式、二環式、および三環式環系を意味する。
【0067】
本明細書で用いる“架橋二環式環系”は、二環式ヘテロ環式脂肪族環系または二環式シクロ脂肪族環系(該環は架橋されている。)を意味する。架橋二環式環系の例には、アダマンタニル、ノルボロニル(norbornanyl)、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル、2−オキサビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが含まれるが、これらに限定されない。架橋二環式環系は、所望によりアルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびのトリフルオロメチルようなハロアルキル)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルのような1個以上の置換基で置換されていてよい。
【0068】
本明細書で用いる“アシル”基は、ホルミル基またはR−C(O)−(例えば、−アルキル−C(O)−、“アルキルカルボニル”とも称する)を意味し、ここで、Rおよび“アルキル”は、上記に定義の通りである。アセチルおよびピバロイルは、アシル基の例である。
【0069】
本明細書で用いる“アロイル”または“ヘテロアロイル”は、アリール−C(O)−またはヘテロアリール−C(O)−を意味する。アロイルまたはヘテロアロイルのアリールおよびヘテロアリール部分は、上記の通り所望により置換されていてよい。
【0070】
本明細書で用いる“アルコキシ”基は、アルキル−O−基(“アルキル”は上記で定義の通りである。)を意味する。
【0071】
本明細書で用いる“カルバモイル”基は、構造−O−CO−NRまたは−NR−CO−O−R(式中、RおよびRは上記で定義の通りであり、そしてRは脂肪族、アリール、芳香脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、ヘテロアリール、またはヘテロ芳香脂肪族であり得る。)を有する基を意味する。
【0072】
本明細書で用いる“カルボキシ”基は、末端基として用いるとき、−COOH、−COOR、−OC(O)H、−OC(O)Rを意味し;または、内部基として用いるとき、−OC(O)−または−C(O)O−を意味する。
【0073】
本明細書で用いる“ハロ脂肪族“基は、1−3個のハロゲンで置換された脂肪族基を意味する。例えば、用語ハロアルキルは基−CFを含む。
【0074】
本明細書で用いる“メルカプト”基は、−SHを意味する。
【0075】
本明細書で用いる“スルホ”基は、末端に用いるとき−SOHまたは−SOを意味し、または内部に用いるとき−S(O)−を意味する。
【0076】
本明細書で用いる“スルファミド”基は、末端に用いるとき構造−NR−S(O)−NRを意味し、内部に用いるとき−NR−S(O)−NR−を意味する(式中、R、RおよびRは、上記で定義の意味を有する。)。
【0077】
本明細書で用いる“スルホンアミド”基は、末端に用いるとき構造−S(O)−NRまたは−NR−S(O)−Rを意味し;または、内部に用いるとき−S(O)−NR−もしくは−NR−S(O)−を意味する(式中、R、R、およびRは、上記で定義されている。)。
【0078】
本明細書で用いる“スルファニル”基は、末端に用いるとき−S−Rを意味し、内部に用いるとき−S−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。スルファニルの例は、脂肪族−S−、シクロ脂肪族−S−、アリール−S−等を含む。
【0079】
本明細書で用いる“スルフィニル”基は、末端に用いるとき−S(O)−Rを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。スルフィニル基の例は、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(シクロ脂肪族(脂肪族))−S(O)−、シクロアルキル−S(O)−、ヘテロシクロ脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−等を含む。
【0080】
本明細書で用いる“スルホニル”基は、末端に用いるとき−S(O)−Rを意味し、内部に用いるとき−S(O)−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。スルホニル基の例は、脂肪族−S(O)−、アリール−S(O)−、(シクロ脂肪族(脂肪族))−S(O)−、シクロ脂肪族−S(O)−、ヘテロシクロ脂肪族−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−、(シクロ脂肪族(アミド(脂肪族)))−S(O)−等を含む。
【0081】
本明細書で用いる“スルホキシ”基は、末端で用いるとき−O−SO−Rまたは−SO−O−Rを意味し、内部に用いるとき−O−S(O)−または−S(O)−O−を意味する(式中、Rは上記で定義されている。)。
【0082】
本明細書で用いる“ハロゲン”または“ハロ”基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0083】
本明細書で用いる、単独でまたは他の基と関連して用いられる、用語カルボキシを包含する“アルコキシカルボニル”は、アルキル−O−C(O)−のような基を意味する。
【0084】
本明細書で用いる“アルコキシアルキル”は、アルキル−O−アルキル−(ここで、アルキルは、上記で定義されている。)のようなアルキル基を意味する。
【0085】
本明細書で用いる“カルボニル”は−C(O)−を意味する。
【0086】
本明細書で用いる“オキソ”は=Oを意味する。
【0087】
本明細書で用いる“ホスホ”は、ホスフィナートおよびホスホナートを意味する。ホスフィナートおよびホスホナートの例には、−P(O)(R〔式中、Rは、脂肪族、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロ脂肪族またはアミノである。〕が含まれる。
【0088】
本明細書で用いる“アミノアルキル”は構造(RN−アルキル−を意味する。
【0089】
本明細書で用いる“シアノアルキル”は構造(NC)−アルキル−を意味する。
【0090】
本明細書で用いる“ウレア”基は、構造−NR−CO−NRを意味し、“チオウレア”基は、末端に用いるとき構造−NR−C(S)−NRを意味し、内部に用いるとき構造−NR−CO−NR−または−NR−CS−NR−を意味し、ここでR、R、およびRは、上記で定義されている。
【0091】
本明細書で用いる“グアニジン”基は、構造−N=C(N(R))N(R)または−NR−C(=NR)NR{式中、RおよびRは、上記で定義されている。}を意味する。
【0092】
本明細書で用いる用語“アミジノ”基は、構造−C=(NR)N(R){式中、RおよびRは、上記で定義されている。}を意味する。
【0093】
一般に、用語“ビシナル”は、複数の置換基が隣接炭素原子に結合している、2個以上の炭素原子を含む基上の置換基の配置を意味する。
【0094】
一般に、用語“ジェミナル”は、複数の置換基が同じ炭素原子に結合している、2個以上の炭素原子を含む基上の置換基の配置を意味する。
【0095】
用語“末端に”および“内部に”は、置換基内の基の位置を意味する。基は、該基が、置換基の末端に存在し、他の残りの化学構造にさらに結合しないとき“末端”である。カルボキシアルキル、すなわちRO(O)C−アルキルは、末端で用いるカルボキシ基の例である。基は、該基が、化学構造の置換基の中間に存在するとき“内部”である。アルキルカルボキシ(例えば、アルキル−C(O)O−またはアルキル−OC(O)−)およびアルキルカルボキシアリール(例えば、アルキル−C(O)O−アリール−またはアルキル−O(CO)−アリール−)は、内部で用いるカルボキシ基の例である。
【0096】
本明細書で用いる“脂肪族鎖”は、分枝鎖または直鎖脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基)を意味する。直鎖脂肪族鎖は、構造−[CH]−(ここで、vは1−12である。)を有する。分枝鎖脂肪族鎖は、1個以上の脂肪族基で置換されている直鎖脂肪族鎖である。分枝鎖脂肪族鎖は、構造−[CQQ]−(ここで、Qは、独立して、水素または脂肪族基である;しかしながら、Qは、少なくとも一例において、脂肪族基でなければならない。)を有する。用語脂肪族鎖は、アルキル鎖、アルケニル鎖、およびアルキニル鎖を含み、ここでアルキル、アルケニル、およびアルキニルは上記で定義されている。
【0097】
“所望により置換されていてよい”という記載は、“置換または非置換”という記載と互換的に用いられる。本明細書に記載の通り、本発明の化合物は、一般的に上記の説明または例示のように、本発明の特定のクラス、サブクラスおよび化学種により、所望により1個以上の置換基で置換されていてよい。本明細書に記載の通り、本明細書に記載の式に包含される可変基R、R、およびRならびに他の可変基は、アルキルおよびアリールのような特定の基を含む。他に特記されない限り、そこに包含される可変基R、R、およびR、ならびに他の可変基についての特定の基はそれぞれ、所望により本明細書に記載の1個以上の置換基で置換されていてよい。特定の基の置換基はそれぞれ、所望により1ないし3個の、ハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、ヘテロアリール、ハロアルキル、およびアルキルでさらに置換されていてよい。例えば、アルキル基は、アルキルスルファニルで置換されていてよく、該アルキルスルファニルは、所望により1ないし3個の、ハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキル、およびアルキルで置換されていてよい。さらなる例として、(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、所望により1ないし3個のハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキルおよびアルキルで置換されていてよい。2個のアルコキシ基が同じ原子または隣接原子に結合するとき、2個のアルコキシ基は、それらが結合する原子(複数可)と一体と成って環を形成し得る。
【0098】
一般に、用語“置換”は、用語“所望により”が前にあってもなくても、所定の構造上の水素ラジカルの、特定の置換基のラジカルでの置換を意味する。特定の置換基は、定義については上記の通りであり、各化合物およびその実施例については下記の通りである。他に特記しない限り、所望により置換されていてよい基は、該基の各置換可能な位置に置換基を有してよく、そして、所定の構造において2個以上の位置を、特定の基から選択された2個以上の置換基で置換されていてよく、該置換基は、全ての位置で同一であっても異なっていてもよい。ヘテロシクロアルキルのような環置換基は、シクロアルキルのような他の環と結合して、スピロ二環式環系を形成可能であり、例えば、両方の環が共通原子を共有する。当業者には理解され得る通り、本発明により想定される置換基の組合せは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらす組合せである。
【0099】
本明細書で用いる“安定なまたは化学的に実現可能な”という記載は、それらの製造、検出、および好ましくはそれらの回収、精製、および本明細書に開示の目的の1つ以上のための使用を可能にする条件に付されたときに、実質的に変わらない化合物を意味する。ある態様において、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、40℃以下の温度で、湿気または他の化学的反応条件の非存在下に維持したとき、少なくとも1週間実質的に変わらないものである。
【0100】
本明細書で用いる“有効量”は、処置する患者に対して治療的効果を与えるのに必要な量として定義され、典型的に患者の年齢、体表面積、体重、および状態に基づき決定される。動物およびヒトの投与量の相互関係(体表面積の平方メートルあたりのミリグラムに基づく)は、Freireich et al., Cancer Chemother. Rep., 50:219(1966) に記載されている。体表面積は、患者の身長および体重からおおよそ決定できる。例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardsley, New York, 537(1970)を参照のこと。本明細書で用いる“患者”は、ヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0101】
他に特記しない限り、本明細書に記載の構造は、該構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形態;例えば、各不斉中心に対するRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことも意図する。故に、本発明化合物の1個の立体化学的異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。他に特記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体形態は本発明の範囲内である。加えて、他に特記しない限り、本明細書に記載の構造はまた、1個以上の同位体富化原子の存在によってのみ異なる化合物を含むことも意図する。例えば、水素の重水素またはトリチウムによる置換、または炭素の13C−または14C−富化炭素による置換以外の本発明構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。かかる化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして、または治療剤として有用である。
【0102】
本発明の化合物は、ABC輸送体のモジュレーターとして有用であり、ABC輸送体仲介疾患の処置において有用である。
【0103】
II.化合物
本発明の化合物は、以下の化合物である。
【化7】


【化8】

【0104】
別の局面において、本発明は、(i)本発明の化合物;および、(ii)薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物に関する。別の態様において、該組成物は、粘液溶解薬、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、CFTR修正剤(corrector)、または栄養剤から選択される追加薬剤を含む。別の態様において、該組成物はさらに、2005年6月24日出願の米国公開特許公報2006/0074075として刊行された米国特許出願第11/165,818号であって、その内容全体が引用により本明細書に包含されるものに開示の化合物から選択される追加薬剤を含む。別の態様において、該組成物はさらに、N−(5−ヒドロキシ−2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−4−オキソ−1H−キノリン−3−カルボキサミドを含む。これらの組成物は、嚢胞性線維症を含む下記の疾患の処置に有用である。これらの組成物はまた、下記のキットに有用である。
【0105】
別の局面において、本発明は、細胞膜中の機能的ABC輸送体の数を増大する方法であって、該細胞と以下の化合物
【化9】


【化10】


を接触させる工程を含む方法に関する。
【0106】
本方法の一態様において、該状態、疾患または障害は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常(glycanosis)CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(di)、中枢性di、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー疾患、COPD、角膜乾燥症、およびシェーグレン症候群から選択される。
【0107】
別の局面において、本発明は、インビトロまたはインビボで生物学的試料におけるABC輸送体またはその断片の活性を測定するのに用いるためのキットであって、(i)以下から選択される化合物を含む第一の組成物
【化11】


【化12】


;ならびに、(ii)a)該組成物を生物学的試料と接触させるための指示書;および
b)該ABC輸送体またはその断片の活性を測定するための指示書
を含む、キットに関する。
【0108】
一態様において、該キットは、a)追加組成物を生物学的試料と接触させるための指示書;b)該ABC輸送体またはその断片の活性を、該追加化合物の存在下で測定するための指示書;および、c)追加化合物の存在下における該ABC輸送体の活性を、第一の組成物の存在下におけるABC輸送体の密度と比較するための指示書をさらに含む。
【0109】
一態様において、該キットをCFTRの密度を測定するために用いる。
【0110】
上記の全ての局面の任意の態様において、化合物は、
【化13】


である。
【0111】
上記の全ての局面の他の態様において、化合物は、
【化14】


である。
【0112】
上記の全ての局面のさらに他の態様において、化合物は、
【化15】


である。
【0113】
IV.一般的合成スキーム
本発明の化合物は、公知の方法により、市販されているかまたは公知の出発物質から容易に合成され得る。本発明の化合物を製造する合成方法の例を本明細書に記載する。
【0114】
V.製剤、投与、および使用
従って、本発明の別の局面において、薬学的に許容される組成物を提供し、これらの組成物は、本明細書に記載の何れかの化合物を含み、そして所望により薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含んでいてよい。任意の態様において、これらの組成物は、所望により1個以上の追加治療剤をさらに含んでいてよい。
【0115】
本発明の任意の化合物は、処置のために遊離形で存在し得るか、または適当なとき、その薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグとして存在し得ることも理解され得る。本発明に従い、薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグは、必要な患者への投与により、直接的または間接的に、他に本明細書に記載がない化合物、またはその代謝物もしくは残基を提供できる、薬学的に許容される塩、エステル、かかるエステルの塩、または何らかの他の付加物もしくは誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0116】
本明細書で用いる用語“薬学的に許容される塩”は、医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等を伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織との接触に用いるのに適し、適当な利益/リスク比に相応する塩を意味する。“薬学的に許容される塩”は、レシピエントへの投与により、本発明の化合物またはその阻害活性代謝物もしくは残基を直接的または間接的に提供できる、本発明の全ての非毒性塩またはエステルの塩を意味する。
【0117】
薬学的に許容される塩は、当技術分野でよく知られている。例えば、薬学的に許容される塩は、S. M. Bergeらの、引用により本明細書中に包含するJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1−19に詳細に記載される。本発明の化合物の薬学的に許容される塩類は、適当な無機および有機の酸および塩基由来のものを含む。薬学的に許容される、非毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸と、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸と形成されるアミノ基の塩、または当技術分野で用いられる他の方法、例えばイオン交換法を用いて形成される塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピコリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエン硫酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。適当な塩基由来の塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)塩を含む。本発明はまた、本発明の化合物の何れかの塩基性窒素含有基の四級化を想定している。水もしくは油可溶性または分散性生成物を、そのような四級化により得ることができる。典型的アルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。さらなる薬学的に許容される塩は、適当なとき、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩のような、対イオンを用いて形成されるアミンカチオンを含む。
【0118】
上記の通り、本発明の薬学的に許容される組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルをさらに含み、本明細書で用いる通り、それらは、何れかおよび全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散体または懸濁液助剤、所望の特定の投与量形態に適する、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑剤等を含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第6版、E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)は、薬学的に許容される組成物の製剤に用いる種々の担体およびそれらの製造のための公知の技術を開示する。何れかの常套的担体媒体の場合以外は、本発明の化合物と不適合であり、例えば何らかの望ましくない生物学的効果を生じるか、または他に、薬学的に許容される組成物の何らかの他の成分(複数可)と有害な方法で相互作用し、その使用は、本発明の範囲内に意図される。薬学的に許容される担体として機能し得る物質のいくつかの例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖類、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン類、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばカカオバターおよび坐薬ワックス;油類、例えばピーナッツ油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油およびダイズ油;グリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質不含有水;等張食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、ならびに他の非毒性適合性滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに製剤業者の判断に従い組成物中に存在してもよい着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料、防腐剤および抗酸化剤を含むが、これらに限定されない。
【0119】
さらに別の局面において、本発明は、ABC輸送体活性が関係する状態、疾患または障害の処置方法を提供する。任意の態様において、本発明は、ABC輸送体活性の欠失が関係する状態、疾患、または障害の処置方法であって、308−312、313、315、316、318、320および322から選択される化合物を含む組成物を、それを必要とする対象、好ましくは哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0120】
任意の好ましい態様において、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、中枢性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング異常による)、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー疾患、分泌性下痢、多嚢胞性腎臓疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、角膜乾燥症、およびシェーグレン症候群の処置方法であって、308−312、313、315、316、318、320および322から選択される化合物、または上記のその好ましい態様を含む組成物の有効量を、該哺乳動物に投与する工程を含む方法を提供する。
【0121】
別の好ましい態様に従い、本発明は、308−312、313、315、316、318、320および322から選択される化合物、または上記のその好ましい態様を含む組成物の有効量を該哺乳動物に投与する工程を含む、嚢胞性線維症の処置方法を提供する。
【0122】
本発明に従い、化合物または薬学的に許容される組成物の“有効量”は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、中枢性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー疾患、分泌性下痢、多嚢胞性腎臓疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、角膜乾燥症、およびシェーグレン症候群の1種以上の処置、またはその重症度の軽減に有効な量である。
【0123】
本発明の方法に従い、化合物および組成物を、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、中枢性DI、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー疾患、分泌性下痢、多嚢胞性腎臓疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、角膜乾燥症、およびシェーグレン症候群の1種以上の処置、または重症度の軽減に有効な何れかの量および何れかの投与経路を用いて投与し得る。
【0124】
必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与方法などによって、対象によって変わり得る。本発明の化合物は、好ましくは、投与を容易にするための単位投与量形態、および単一の投与量に製剤される。本明細書で用いる表現“単位投与量形態”は、処置すべき患者に適当な、物理的に別個の単位薬剤を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の一日の総利用量は、医学的判断の範囲内で担当医により決定され得ることが理解され得る。何れかの特定の患者または生物についての特定の有効投与量レベルは、処置される障害および障害の重症度;用いる特定の化合物の活性;用いる特定の組成物;患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別および食生活;投与時間、投与経路、および用いる特定の化合物の排出速度;処置期間;用いる特定の化合物と組合せで、または同時に使用する薬剤類、ならびに薬学分野で公知のそのような因子を含む種々の因子によって変化し得る。本明細書で用いる用語“患者”は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0125】
本発明の薬学的に許容される組成物は、ヒトおよび他の動物に、処置する感染の重症度に応じて、経口的、経直腸的、非経腸的、嚢内(intracisternally)、膣内、腹腔内、局所的(粉末、軟膏または液滴として)、頬内(bucally)に、口もしくは鼻スプレーなどとして投与され得る。任意の態様において、本発明の化合物を、所望の治療効果を得るために、1日当たり、対象の体重1kg当たり約0.01mgないし約50mg、好ましくは約1mgないし約25mgの投与量レベルで、1日1回以上、経口的または非経腸的に投与し得る。
【0126】
経口投与のための液体投与量形態は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含むが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投与量形態は、当技術分野で常用される不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤以外に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、香味料および香料を含み得る。
【0127】
注射可能調製物、例えば滅菌注射可能水溶液または油性懸濁液は、適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いる公知技術にしたがって製剤され得る。滅菌注射可能製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液でもあり得る。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、好都合には滅菌固定油が溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成モノ−またはジグリセリドを含む低刺激の固定油が使用され得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸が注射可能液の製造に使用される。
【0128】
注射可能製剤は、例えば、除菌フィルターでの濾過、または使用前に滅菌水または他の無菌注射可能媒体に溶解または分散され得る滅菌固体組成物形態で滅菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。
【0129】
本発明の化合物の効果を長引かせるために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせるのがしばしば望ましい。これは、水難溶性の結晶性またはアモルファス材料の液体懸濁液の使用により達成され得る。また、化合物の吸収速度は、その溶解速度に左右され、その溶解速度は結晶の大きさおよび結晶形態に左右され得る。あるいは、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することにより、経腸投与化合物形態の吸収を遅らせる。注射可能デポー形態は、生物分解性ポリマー、例えばポリラクチド−ポリグリコリドで化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させることにより製造される。ポリマーに対する化合物の割合および用いる特定ポリマーの性質によって、化合物の放出速度は制御され得る。他の生物分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)がある。デポー形注射可能製剤はまた、身体組織と適合し得るリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物を封入することにより製造される。
【0130】
直腸または膣投与用組成物は、好ましくは、環境温度では固体であるが体温では液体であるため、直腸または膣腔で溶解し、活性化合物を放出する、適当な非刺激性賦形剤または担体、例えばカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスと本発明化合物を混合することにより製造され得る坐薬である。
【0131】
経口投与用固体投与量形態は、カプセル剤、錠剤、丸薬、粉末剤および顆粒を含む。かかる固体投与量形態では、活性化合物を少なくとも1種の薬学的に許容される不活性賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムおよび/またはa)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴム、c)保湿剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセリンモノステアレート、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土、およびi)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物と混合する。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、投与量形態は緩衝剤も含み得る。
【0132】
類似タイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いる軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤としても使用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬および顆粒の固体投与量形態は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティングおよび製薬業界で公知の他のコーティングにより製造され得る。それらは、所望により乳白剤を含んでいてもよく、それらが活性成分(複数可)のみを、または優先的に腸管の任意の部分で、所望により遅延方法で放出する組成であり得る。使用可能な埋め込み組成物の例には、ポリマー物質および蜜蝋が含まれる。類似タイプの固体組成物はまた、賦形剤、例えばラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどを用いる軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤としても使用され得る。
【0133】
活性化合物はまた、上記の1種以上の賦形剤を含むマイクロカプセル形態でもあり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬および顆粒の固体投与量形態は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティング、放出制御型コーティングおよび製薬業界で公知の他のコーティングにより製造され得る。上記固体投与量形態では、活性化合物を、少なくとも1種の不活性希釈剤、例えばスクロース、ラクトースまたはデンプンと混合し得る。かかる投与量形態はまた、通常実施している通り、不活性希釈剤以外の付加物質、例えば錠剤滑剤および他の錠剤化助剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースを含み得る。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、該投与量形態は緩衝剤も含み得る。それらは、所望により乳白剤を含んでいてよく、それらが活性成分(複数可)のみを、または小腸管の任意の部分で優先的に、所望により遅延方法で放出する組成であり得る。使用可能な埋め込み組成物の例には、ポリマー物質および蜜蝋が含まれる。
【0134】
本発明化合物の局所または経皮投与用投与量形態には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入薬またはパッチが含まれる。滅菌条件下で、活性成分を薬学的に許容される担体および必要な防腐剤と、または必要に応じて緩衝剤と混合する。眼用製剤、点耳薬および点眼薬もまた、本発明の範囲内に含まれるものとする。さらに、本発明は、身体への化合物の制御送達という追加利点を有する経皮パッチの使用も包含する。かかる投与量形態は、化合物を適切な媒体に溶解または分散することにより製造される。吸収促進剤を用いることによっても、皮膚への化合物の浸透を高め得る。速度制御膜を設けるか、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることにより速度を制御し得る。
【0135】
概して本明細書に上記の通り、本発明の化合物は、ABC輸送体のモジュレーターとして有用である。故に、何らかの特定の理論にとらわれることなく、化合物および組成物は、特に、ABC輸送体の過剰活性または不活性が、疾患、状態または障害に関係するとき、該疾患、状態または障害の処置または重症度の軽減に有用である。ABC輸送体の過剰活性または不活性が、特定の疾患、状態または障害と関係するとき、該疾患、状態または障害は、“ABC輸送体仲介疾患、状態または障害”とも称され得る。従って、別の局面において、本発明は、ABC輸送体の過剰活性または不活性が疾患状態に関係するとき、該疾患、状態または障害の処置方法または重症度の軽減方法を提供する。
【0136】
本発明においてABC輸送体のモジュレーターとして用いる化合物の活性を、当技術分野で、および本明細書の実施例に一般的に記載の方法によりアッセイし得る。
【0137】
本発明の化合物および薬学的に許容される組成物を、併用療法に用いることができ、すなわち該化合物および薬学的に許容される組成物を、1種以上の他の所望の治療剤または医学的処置と同時に、先行して、または後続して投与し得ることも当然理解され得る。併用レジメンで用いる治療(治療剤または処置法)の特定の組合せでは、所望の治療剤および/または処置法の適合性および達成すべき所望の治療効果を考慮すべきである。また、用いる治療剤は、同じ障害に対して所望の効果を達成し得る(例えば、本発明化合物は、同じ障害の処置に使用される別の薬剤と同時に投与され得る)か、またはそれらは異なる効果(例えば、副作用の制御)を達成し得る。本明細書で用いる、特定の疾患または状態を処置または予防するために通常投与される追加治療剤は、「処置すべき疾患または状態に適当である」ものとして知られている。
【0138】
本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、唯一の活性成分としてその治療剤を含む組成物において通常投与される量を超えることはない。好ましくは、本発明で開示している組成物における追加治療薬の量は、唯一の治療的活性成分としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲であり得る。
【0139】
本発明の化合物またはその薬学的に許容される組成物はまた、移植可能な医療装置、例えばプロテーゼ(人工器官)、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルをコーティングする組成物に組み込まれ得る。従って、本発明は、別の局面において、一般的に上記の本発明の化合物、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスにおける化合物、ならびに上記の移植可能な装置のコーティングに適切な担体を含む移植可能な装置をコーティングする組成物を包含する。さらに別の局面において、本発明は、上記に一般的に記載の本発明の化合物、ならびに本明細書のクラスおよびサブクラスにおける化合物、ならびに上記の移植可能な装置のコーティングに適切な担体を含む組成物でコーティングされた移植可能な装置を包含する。適切なコーティングおよびコーティングされた移植可能な装置の一般的製法は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。コーティングは、典型的には生物適合性ポリマー材料、例えばヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびそれらの混合物である。コーティングは、所望により、組成物において放出制御特性を付与するためのフルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組合せの適切な保護膜によりさらに被覆され得る。
【0140】
本発明の別の局面は、生物学的試料または患者において(例えば、インビトロまたはインビボで)ABC輸送体活性を調節する方法であって、患者に投与すること、または該生物学的試料と式Iの化合物または該化合物を含む組成物を接触させることを含む方法に関する。本明細書で用いる用語“生物学的試料”には、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物;および、血液、唾液、尿、排泄物、精液、涙、または他の体液もしくはそれらの抽出物が含まれるが、これらに限定されない。
【0141】
生物学的試料におけるABC輸送体活性の調節は、当業者に公知の種々の目的に有用である。かかる目的の例には、生物学的および病理学的現象におけるABC輸送体の研究;ならびに、ABC輸送体の新規モジュレーターの比較評価が含まれるが、これに限定されない。
【0142】
さらに別の態様において、陰イオンチャネルと308−312、313、315、316、318、320および322から選択される化合物を接触させる工程を含む、インビトロまたはインビボでの該チャネルの活性の調節方法を提供する。好ましい態様において、陰イオンチャネルは、クロライドチャネルまたは重炭酸イオンチャネルである。他の好ましい態様において、該陰イオンチャネルはクロライドチャネルである。
【0143】
別の態様に従い、本発明は、細胞膜中の機能的ABC輸送体の数を増大する方法であって、該細胞と308−312、313、315、316、318、320および322から選択される化合物を接触させる工程を含む方法を提供する。本明細書で用いる用語“機能的ABC輸送体”は、輸送活性能力を有するABC輸送体を意味する。好ましい態様において、該機能的ABC輸送体はCFTRである。
【0144】
別の好ましい態様に従い、ABC輸送体の活性を、貫膜電位差を測定することにより測定する。生物学的試料における膜を越える電位差を測定する手段は、当技術分野で公知の方法、例えば光学的膜電位アッセイまたは他の電気生理的方法の何れかを用いることができる。
【0145】
光学的膜電位アッセイは、蛍光変化の測定装置、例えば電位差/イオンプローブリーダー(VIPR)(Gonzalez, J. E., K. Oades, et al. (1999) “Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets” Drug Discov Today 4(9): 431−439を参照のこと)と組み合わせて、GonzalezおよびTsienにより記載される膜電位感受性FRETセンサーを利用する(Gonzalez, J. E. and R. Y. Tsien (1995) “Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells” Biophys J 69(4): 1272−80、およびGonzalez, J. E. and R. Y. Tsien (1997) “Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer” Chem Biol 4(4): 269−77を参照のこと)。
【0146】
これらの電位感受性アッセイは、膜−可溶性の電位−感受性色素であるDiSBAC(3)と、蛍光リン脂質であるCC2−DMPE(それは、原形質膜の外側に結合して、FRET供与体として作用する。)の間の、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)における変化に基づく。膜電位(V)の変化は、負電荷のDiSBAC(3)が原形質膜を通過して再分布するのを誘発し、それによってCC2−DMPEからのエネルギー伝達量が変化する。蛍光放射の変化を、VIPR(登録商標)IIを用いて測定することができ、それは、96−または384−ウェルマイクロタイタープレートにおいて細胞ベースのスクリーニングを行うよう設計された、統合した液体処理システム(handler)および蛍光検出器である。
【0147】
別の局面において、本発明は、インビトロまたはインビボで生物学的試料におけるABC輸送体またはその断片の活性を測定するのに用いるための、(i)308−312、313、315、316、318、320および322から選択される化合物または上記態様の何れかを含む組成物;ならびに、(ii)a.)該組成物と生物学的試料を接触させるための指示書、および、b.)該ABC輸送体またはその断片の活性を測定するための指示書、を含むキットを提供する。一態様において、該キットは、a.)追加組成物と生物学的試料を接触させる指示書;b.)該ABC輸送体またはその断片の活性を該追加化合物の存在下で測定するための指示書、そしてc.)該追加化合物の存在下での該ABC輸送体の活性と、308−312、313、315、316、318、320および322から選択される化合物の存在下での該ABC輸送体の密度を比較するための指示書、をさらに含む。好ましい態様において、該キットは、CFTRの密度を測定するために用いられる。
【0148】
本明細書に記載の本発明をより一層理解し得るように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は説明のみを目的としており、いかなる方法によっても本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0149】
VI.製造法および実施例
一般的方法I:カルボン酸ブロック
【化16】

【0150】
ベンジルトリエチル塩化アンモニウム(0.025当量)および適当なジハロ化合物(2.5当量)を、置換フェニルアセトニトリルに添加した。混合物を70℃に加熱し、次いで50%水酸化ナトリウム(10当量)を該混合物にゆっくり添加した。反応液を70℃で12−24時間撹拌し、シクロアルキル部分の完全な形成を確認し、130℃で24−48時間加熱して、ニトリルからカルボン酸への完全な変換を確認した。暗褐色/黒色の反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出して、副生成物を除去した。塩基性水溶液を、濃塩酸でpH1未満まで酸性化し、pH4で形成し始めた沈殿を濾過して、1M塩酸で2回洗浄した。該固体物質をジクロロメタン中に溶解し、1M塩酸で2回抽出し、塩化ナトリウムの飽和水溶液で1回抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させて、蒸発乾固して、シクロアルキルカルボン酸を得た。収率および純度は、典型的に90%以上であった。
【0151】
実施例1:1−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−シクロプロパンカルボン酸
【化17】


2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)アセトニトリル(5.10g、31.7mmol)、1−ブロモ−2−クロロ−エタン(9.00mL、109mmol)、およびベンジルトリエチル塩化アンモニウム(0.181g、0.795mmol)の混合物を、70℃で加熱し、次いで50%(wt./wt.)水酸化ナトリウム水溶液(26mL)を該混合物にゆっくり添加した。反応液を70℃で24時間撹拌し、次いで130℃で48時間加熱した。暗褐色の反応混合物を水(400mL)で希釈し、等量の酢酸エチルで1回抽出し、等量のジクロロメタンで1回抽出した。塩基性水溶液を、濃塩酸でpH1未満まで酸性化し、沈殿を濾過し、1M塩酸で洗浄した。固体物質をジクロロメタン(400mL)中に溶解し、等量の1M塩酸で2回抽出し、塩化ナトリウムの飽和水溶液で1回抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して、白色から僅かにオフホワイト色−白色固体(5.23g、80%)を得た。ESI−MS m/z 計算値206.1、実測値207.1(M+1)。保持時間2.37分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 1.07−1.11 (m, 2H), 1.38−1.42 (m, 2H), 5.98 (s, 2H), 6.79 (m, 2H), 6.88 (m, 1H), 12.26 (s, 1H)。
【0152】
実施例2:1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸
【化18】

【0153】
2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル
【化19】


アセトニトリル(30mL)およびトリエチルアミン(10mL)を含むメタノール(20mL)中、5−ブロモ−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(11.8g、50.0mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh、5.78g、5.00mmol]の溶液を、一酸化炭素雰囲気(55PSI)下で、75℃(油浴温度)にて15時間撹拌した。冷却した反応混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、粗2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル(11.5g)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0154】
(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール
【化20】


20mLの無水テトラヒドロフラン(THF)中に溶解した粗2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸メチルエステル(11.5g)を、0℃にて、無水THF(100mL)中、水素化アルミニウムリチウム(4.10g、106mmol)の懸濁液にゆっくり添加した。次いで、混合物を室温まで温めた。室温で1時間撹拌後、反応混合物を0℃まで冷却し、水(4.1g)で処理し、次いで水酸化ナトリウム(10%水溶液、4.1mL)で処理した。得られるスラリーを濾過し、THFで洗浄した。合わせた濾液を蒸発乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール(7.2g、38mmol、2段階で76%)を無色油状物として得た。
【0155】
5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール
【化21】


塩化チオニル(45g、38mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中、(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−メタノール(7.2g、38mmol)の溶液に、0℃にて、ゆっくり添加した。得られる混合物を一晩室温で撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)とジクロロメタン(100mL)の間に分配させた。分離した水層をジクロロメタン(150mL)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、粗5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0156】
(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル
【化22】


ジメチルスルホキシド(50mL)中、粗5−クロロメチル−2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)およびシアン化ナトリウム(1.36g、27.8mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、氷中に注ぎ、酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して、粗(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル(3.3g)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0157】
1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリル
【化23】


水酸化ナトリウム(50%水溶液、10mL)を、70℃にて、粗(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−アセトニトリル、ベンジルトリエチル塩化アンモニウム(3.00g、15.3mmol)、および1−ブロモ−2−クロロエタン(4.9g、38mmol)の混合物にゆっくり添加した。
【0158】
混合物を70℃にて一晩撹拌し、その後、反応混合物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して、粗1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリルを得て、それを直接次工程に用いた。
【0159】
1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸
【化24】


1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボニトリル(最後の工程からの粗物質)を、10%水酸化ナトリウム水溶液(50mL)中、2.5時間還流した。冷却した反応混合物をエーテル(100mL)で洗浄し、水相を2M塩酸を用いてpH2まで酸性化した。沈殿した固体を濾過して、1−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−シクロプロパンカルボン酸を白色固体として得た(0.15g、4段階で1.6%)。ESI−MS m/z 計算値242.04、実測値241.58(M+1)1H NMR (CDCl3) δ 7.14−7.04 (m, 2H), 6.98−6.96 (m, 1H), 1.74−1.64 (m, 2H), 1.26−1.08 (m, 2H)。
【0160】
下記の表2は、市販されているか、または上記の3方法のうち1方法で製造される、カルボン酸ブロックのリストを含む:
【表1】

【0161】
実施例3:5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
【化25】

【0162】
2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン
【化26】


DMF(500mL)中、4−tert−ブチル−フェニルアミン(447g、3.00mol)の溶液に、DMF(500mL)中、NBS(531g、3.00mol)を室温で滴下した。添加の完了後、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をさらなる精製なしに次工程に用いた。
【0163】
2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン
【化27】


2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン(160g、0.71mol)を、HSO(410mL)に室温で滴下し、透明な溶液を得た。次いで、この透明溶液を−5ないし−10℃まで冷却した。HSO(410mL)中、KNO(83g、0.82mol)の溶液を滴下し、その間、温度を−5ないし−10℃に維持した。添加の完了後、反応混合物を氷/水中に注ぎ、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を5%NaCOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル1:10)により精製して、2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミンを黄色固体として得た(150g、78%)。
【0164】
4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミン
【化28】


トルエン(200mL)および水(100mL)中、2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン(27.3g、100mmol)の混合物に、EtN(27.9mL、200mmol)、Pd(PPhCl(2.11g、3.00mmol)、CuI(950mg、0.500mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(21.2mL、150mmol)を窒素雰囲気下で添加した。密閉した圧力フラスコ中で反応混合物を70℃で2.5時間加熱し、室温まで冷却し、そしてセライトの短いプラグを通して濾過した。濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を5%NHOH溶液および水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成をカラムクロマトグラフィー(0−10%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミンを褐色粘性液体として得た(25g、81%)。
【0165】
5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール
【化29】


DMF(100mL)中、4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミン(25g、86mmol)の溶液に、CuI(8.2g、43mmol)を窒素雰囲気下で添加した。混合物を、密閉した圧力フラスコ中で135℃にて一晩加熱し、室温まで冷却し、セライトの短いプラグを通して濾過した。濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10−20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドールを黄色固体として得た(13g、69%)。
【0166】
5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
【化30】


ラネーニッケル(3g)を、メタノール(100mL)中、5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール(15g、67mmol)に添加した。混合物を水素(1atm)下で30℃にて3時間撹拌した。触媒を濾過により除いた。濾液をNaSOで乾燥させ、濃縮した。粗暗褐色粘性油状物を、カラムクロマトグラフィー(10−20%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミンを灰色固体として得た(11g、87%)。1H NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ 10.3 (br s, 1H), 7.2 (s, 1H), 6.9 (m, 1H), 6.6 (s, 1H), 6.1 (m, 1H), 4.4 (br s, 2H), 1.3 (s, 9H)。
【0167】
実施例4:5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル
【化31】

【0168】
a)KCN、DMSO;b)Pd/C、EtOAc
工程a:2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール(4.0g、17mmol)のDMSO溶液(30mL)に、KCN(3.4g、51mmol)を添加した。混合物を70℃で3時間撹拌し、水(80mL)中に注ぎ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中、7%EtOAc)により精製して、2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(2.2g、53%)を得た。1H NMR (DMSO, 300 MHz) δ 12.23 (br s, 1 H), 8.09 (d, J=9.0 Hz, 1 H), 7.75 (d, J=9.0 Hz, 1 H), 6.50 (s, 1 H), 1.38 (s, 9 H). MS (ESI) m/z: 244.2 [M+H]。
【0169】
工程b:5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(550mg、2.3mmol)のEtOAc溶液(10mL)に、窒素雰囲気下でラネーNi(0.1g)を添加した。混合物を、室温にて1時間、水素雰囲気(1atm)下で撹拌した。触媒をセライトで濾取し、濾液を真空下で蒸発させて、5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル(250mg、51%)を得た。1H NMR (DMSO, 300 MHz) δ 10.93 (br s, 1 H), 7.25 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 6.49 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 5.94 (d, J=2.1 Hz, 1 H), 5.40 (br s, 2 H), 1.30 (s, 9 H). MS (ESI) m/z: 214.0 [M+H].
【0170】
実施例6:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化32】

【0171】
工程a:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボニルクロライド(26mg、0.1mmol)を、DMF(1mL)中、5−アミノ−2−tert−ブチル−1H−インドール−4−カルボニトリル(21mg、0.1mmol)およびトリエチルアミン(41.7μL、0.3mmol)の溶液に添加した。反応物を室温で一晩撹拌し、次いで濾過し、逆相HPLCで精製することにより生成物N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た。ESI−MS m/z 計算値 437.2、実測値 438.7 (M+1)。保持時間2.10分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 11.48 (s, 1H), 8.88 (s, 1H), 7.52 (d, J=8.5 Hz, 2H), 7.41 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.32 (dd, J=1.5, 8.3 Hz, 1H), 7.03 (d, J=8.6 Hz, 1H), 6.21 (d, J=1.8 Hz, 1H), 1.51−1.49 (m, 2H), 1.36 (s, 9H), 1.18−1.16 (m, 2H)。
【0172】
実施例7:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化33】

【0173】
工程a:2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(200mg、0.82mmol)、2−ヨードエタノール(77μL、0.98mmol)、炭酸セシウム(534mg、1.64mmol)およびDMF(1.3mL)の混合物を、一晩90℃に加熱した。次いで、さらに2−ヨードエタノール(77μL、0.98mmol)を添加し、反応物を90℃で3日間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで洗浄し、次いで合わせた酢酸エチル層を水(x3)および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50−100%CHCl−ヘキサン)により精製して、生成物を黄色固体として得た(180mg、NMRにより〜25%純度、インドール出発物質との共溶出生成物)。ESI−MS m/z 計算値 287.1、実測値 288.5 (M+1)。保持時間1.59分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 12.23 (s, 1H), 8.14 (d, J=9.1 Hz, 1H), 8.02 (d, J=9.1 Hz, 1H), 6.60 (s, 1H), 5.10 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.55 (t, J=6.3 Hz, 2H), 3.78−3.73 (m, 2H) および 1.49 (s, 9H) ppm。
【0174】
工程b:5−アミノ−2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−4−カルボニトリル
2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボニトリル(180mg、0.63mmol)のエタノール溶液(6mL)に、N雰囲気下で、Pd−C(5%重量、18mg)を添加した。反応物を、N(g)でフラッシュし、次いでH(g)でフラッシュし、H(atm)下で室温にて1.5時間撹拌した。反応物をセライトを通して濾過し、濃縮して、生成物を得た(150mg、93%)。ESI−MS m/z 計算値 257.2、実測値 258.5 (M+1)。保持時間1.26分。
【0175】
工程c:N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボニルクロライド(196mg、0.75mmol)を、5−アミノ−2−tert−ブチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−4−カルボニトリル(150mg、0.58mmol)およびトリエチルアミン(242μL、1.74mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)に添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1N HCl溶液(x2)、飽和NaHCO溶液(x2)、塩水で抽出し、MgSOで乾燥させて、濾過し、濃縮した。残渣をDMSO中に溶解し、逆相HPLCにより精製して、生成物N−(2−tert−ブチル−4−シアノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た。ESI−MS m/z 計算値 481.2、実測値 482.5 (M+1)。保持時間1.99分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.93 (s, 1H), 7.71 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.42 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.33 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.08 (d, J=8.8 Hz, 1H), 6.28 (s, 1H), 5.05 (t, J=5.6 Hz, 1H), 4.42 (t, J=6.8 Hz, 2H), 3.70−3.65 (m, 2H), 1.51−1.48 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.19−1.16 (m, 2H)。
【0176】
実施例8:2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライド
【化34】

【0177】
工程a:tert−ブチル 2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメート
塩化チオニル(81.28μL、1.117mmol)中、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(90.14mg、0.3722mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド(8.204μL、0.1064mmol)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、過剰な塩化チオニルおよびN,N−ジメチルホルムアミドを真空下で除去して、酸塩化物を得た。次いで、該酸塩化物をジクロロメタン(1.5mL)に溶解し、tert−ブチル 2−(5−アミノ−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメート(156.1mg、0.4467mmol)およびトリエチルアミン(155.6μL、1.117mmol)のジクロロメタン溶液(1.5mL)にゆっくり添加した。得られる反応混合物を室温で21時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(5mL)で希釈し、1N HCl水溶液(5mL)および飽和NaHCO水溶液(5mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、0−30%酢酸エチル)により精製して、tert−ブチル 2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメートを白色固体として得た(140mg、66%)。ESI−MS m/z 計算値 573.2、実測値 574.7 (M+1)。保持時間2.41分。1H NMR (400.0 MHz, DMSO) d 8.35 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.44−7.41 (m, 2H), 7.34−7.29 (m, 2H), 7.13−7.10 (m, 1H), 6.17 (s, 1H), 4.24−4.20 (m, 2H), 3.20−3.17 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.41 (s, 18H) および 1.15−1.12 (m, 2H) ppm。
【0178】
工程b:N−(1−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
tert−ブチル 2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)エチルカルバメート(137.5mg、0.24mmol)のジクロロメタン溶液(1.8mL)に、トリフルオロ酢酸(444μL、5.8mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応物をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO水溶液(3mL)および塩水(3mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中、0−10%メタノール)により精製して、N−(1−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを白色固体として得た(93.7mg、82%)。ESI−MS m/z 計算値 473.19、実測値 474.5 (M+1)。保持時間1.61分。
【0179】
工程c:2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライド
N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中、N−(1−(2−アミノエチル)−2−tert−ブチル−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(50mg、0.1056mmol)の透明溶液に、ヨウ化メチル(336.8mg、147.7μL、2.37mmol)およびトリエチルアミン(106.9mg、147.2μL、1.05mmol)を添加し、混合物を80℃で2時間加熱した。粗生成物を逆相分取HPLCにより精製した。この生成物22mgを、メタノール中、1.25M HCl(112μL、0.14mmol)に溶解し、60℃で1時間加熱した。反応物を室温まで冷却した。生成物をまず乾燥させ、次いでジクロロメタン中に溶解し、再び乾燥させた。この方法を4回繰り返して、2−(2−tert−ブチル−5−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−6−フルオロ−1H−インドール−1−イル)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロライドを得た。ESI−MS m/z 計算値 516.25、実測値 516.7 (M+1)。保持時間1.69分。1H NMR (400.0 MHz, DMSO) δ 8.43 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.45−7.41 (m, 2H), 7.36−7.31 (m, 2H), 6.27 (s, 1H), 4.74−4.70 (m, 2H), 3.57−3.53 (m, 2H), 3.29 (s, 9H), 1.48−1.42 (m, 11H), および 1.15 (dd, J=3.9, 6.8 Hz, 2H) ppm。
【0180】
実施例9:2−(4−(Tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
【化35】

【0181】
工程a:3−フルオロ−4−ニトロアニリン
CHCl(400mL)中、N−(3−フルオロ−4−ニトロ−フェニル)−2,2−ジメチル−プロピオンアミド(87.0g、0.36mol)および6N塩酸(800mL)の混合物を、2時間、加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した。反応混合物を1000mLの酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム(500.0g)を少しずつ添加した。水溶液を分離し、有機層を塩水で洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 30:1)により精製して、3−フルオロ−4−ニトロアニリン(56.0g、99%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.07 (t, J=8.7 Hz, 1 H), 7.86 (dd, J2.1, 13.2 Hz 1 H), 7.59 (brs, 2 H), 7.22 (s, 1 H)。
【0182】
工程b:2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン
3−フルオロ−4−ニトロアニリン(56g、0.36mol)の酢酸溶液(500mL)に、1時間かけて、臭素(17.7mL、0.36mol)を少しずつ添加した。反応混合物を、氷浴中、0−5℃で1時間撹拌した。反応混合物を飽和NaCOで塩基性にし、酢酸エチルで抽出した(200mLx3)。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させて、濾過し、減圧下で濃縮して、残渣を得て、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 10:1)により精製して、2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン(45.6g、84%)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.29 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 653 (d, J=12.4 Hz, 1 H), 4.94 (br s, 2 H)。
【0183】
工程c:エチル5−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−3,3−ジメチルペント−4−イノアート
2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン(45.7g、0.19mol)およびエチル3,3−ジメチルペント−4−イノアート(88.3g、0.57mol)のEtN溶液(700mL)に、N下、Pd(PPhCl(13.8g、0.02mol)およびCuI(3.6g、0.02mol)を添加した。反応混合物を、70℃で8時間撹拌した。反応混合物を、500mLの酢酸エチルおよび1500mLの水で希釈した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出し(500mL×3)、合わせた有機層を塩水で洗浄して、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 10:1)により精製して、エチル−5−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−3,3−ジメチルペント−4−イノアート(34.5g、57%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.05 (d, J=8.1Hz, 1 H), 6.36 (d, J=13.2 Hz, 1 H), 5.60 (brs, 2 H), 4.16 (q, J=7.2 Hz, 2 H), 2.51 (s, 2 H), 1.40 (s, 6 H), 1.28 (t, J=7.2 Hz, 3 H)。
【0184】
工程d:エチル3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタノエート
CHCN(350mL)中、エチル5−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−3,3−ジメチルペント−4−イノアート(34.5g、0.11mol)およびPdCl(10.4g、58.6nmol)の混合物を、1.5時間、加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した。酢酸エチル(300mL)を添加し、沈殿を濾取し、メタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 40:1)により精製して、エチル3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタノエート(34.0g、98%)を濃黄色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.11 (brs, 1 H), 8.30 (d, J=7.2 Hz, 1 H), 7.14 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.35 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 4.17 (q, J=7.2 Hz, 2 H), 2.69 (s, 2 H), 1.51 (s, 6 H), 1.25 (t, J=7.2 Hz, 3 H)。
【0185】
工程e:3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール
エチル3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタノエート(34g、0.11mol)の乾燥CHCl溶液(400mL)に、−78℃で、DIBAL−H(283.4mL、0.27mol)を2時間かけて少しずつ添加した。反応混合物を−78℃で10時間撹拌し、次いで水(200mL)を添加して急冷した。沈殿を濾取し、メタノールで洗浄した。濾液をCHCl(200mL×3)で抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 50:1)により精製して、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを得た(6.6g、22%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.35 (brs, 1 H), 8.30 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 7.11 (d, J=12.0 Hz, 1 H), 6.35 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 3.74 (t, J=6.4 Hz, 2 H), 1.9 (t, J=6.4 Hz, 2 H), 1.4 (s, 6 H)。
【0186】
工程f:2−(4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(6.6g、25mmol)のCHCl溶液(80mL)に、0℃で、TBSCl(3.7g、25nmol)およびイミダゾール(4.2g、62nmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。沈殿を濾取し、メタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 10:1)により精製して、所望の生成物を褐色固体として得た(5.0g、53%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.80 (brs, 1 H), 8.30 (d, J=7.2 Hz,1 H), 7.05 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.33 (t, J=1.2 Hz, 1 H), 3.7 (t, J=6.0 Hz, 2 H), 1.91 (t, J=6.0 Hz, 2 H), 1.42 (s , 6 H), 0.94 (s , 9 H), 0.12 (s , 6 H)。MS (ESI) m/z (M+H): 381.1。
【0187】
実施例10:ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアート
【化36】

【0188】
工程a:メチル2,2−ジメチル−3−オキソブタノエート
THF(270mL)中、NaH(28.5g、0.718mol、60%)の懸濁液に、0℃で、3−オキソ−酪酸メチルエステル(78.6g、0.677mol)のTHF溶液(70mL)を滴下した。混合物を0℃で0.5時間撹拌した。MeI(99.0g、0.698mol)を0℃で滴下した。得られた混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。NaH(28.5g、0.718mol、60%)を0℃で少しずつ添加し、得られる混合物を0℃で0.5時間撹拌し続けた。次いで、MeI(99.0g、0.698mol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。混合物を氷水に注いだ。有機層を分離した。水相をEtOAcで抽出した(300mL×3)。合わせた有機層を乾燥させ、減圧下で蒸発させて、メチル 2,2−ジメチル−3−オキソブタノエート(52g、53%)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0189】
工程b:メチル 3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアート
ジクロロメタン(600mL)中、PCl(161g、0.772mol)の懸濁液に、0℃で、メチル2,2−ジメチル−3−オキソブタノエート(52g、0.361mol、最後の工程からの粗物質)を少しずつ添加し、次いで、乾燥DMFを約20滴添加した。混合物を一晩、加熱還流した。冷却後、反応混合物を氷水にゆっくり注いだ。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(300mL×3)。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させて、生成物メチル3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアートを得て、それをさらに精製することなく用いた(47g、82%)。
【0190】
工程c:3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エン酸
水(300mL)中、メチル3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアート(42.0g、0.26mol)およびNaOH(12.4g、0.31mol)の混合物を、一晩、加熱還流した。冷却後、反応混合物をエーテルで抽出した。有機層は、20gのメチル3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エノアートを含んでいた(48%回収)。水層を冷20% HCl溶液で酸性化し、エーテルで抽出した(250mL×3)。合わせた有機層を乾燥させ、減圧下で蒸発させて、3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エン酸(17g、44%)を得て、それを直接次工程に用いた。
【0191】
工程d:2,2−ジメチルブタ−3−イン酸
三つ口フラスコ(500mL)に、NaNH(17.8g、0.458mmol、ペレット)およびDMSO(50mL)を添加した。混合物を、もはやNH(g)が放出されなくなるまで、室温で撹拌した。3−クロロ−2,2−ジメチルブタ−3−エン酸(17.0g、114mmol)のDMSO溶液(50mL)を0℃で滴下した。混合物を温め、50℃で5時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。混合物を冷20%HCl溶液に注ぎ、次いでエーテルで3回抽出した。エーテル抽出物を無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、6:1比で出発物質とアルキン産物を得た。残渣をエーテルおよびNaSOを用いて再び乾燥させて、上記の反応条件に再び反応させた。反応混合物を同様の方法で後処理し、2,2−ジメチルブタ−3−イン酸を得た(12.0g、94%)。
【0192】
ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアート
ジクロロメタン(800mL)中、2,2−ジメチルブタ−3−イン酸(87.7g、0.782mmol)およびベンジルアルコール(114.6g、0.938mol)の撹拌溶液に、−20℃で、DCC(193.5g、0.938mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤として、石油エーテル中、2%酢酸エチル)により精製して、ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアートを得た(100g、59%収率)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.37−7.36 (m, 5 H), 5.19 (s, 2 H), 2.28 (s, 1 H), 1.52 (s, 6 H)。
【0193】
実施例11:2−(1−(Tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
【化37】

【0194】
工程a:ベンジル4−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−2,2−ジメチルブタ−3−イノアート
2−ブロモ−5−フルオロ−4−ニトロアニリン(23.0g、0.1mol)のEtN溶液(250mL)に、ベンジル2,2−ジメチルブタ−3−イノアート(59.0g、0.29mol)、CuI(1.85g)およびPd(PPhCl(2.3g)を室温で添加した。混合物を80℃で一晩撹拌した。室温まで冷却後、反応物を水で急冷し、水層を酢酸エチルで抽出した(100mL×3)。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%酢酸エチル)により精製して、ベンジル4−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−2,2−ジメチルブタ−3−イノアートを得た(20.0g、56%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) 8.05 (d, J=8.4 Hz, 1 H), 7.39−7.38 (m, 5 H), 6.33 (d, J=13.2 Hz, 1 H), 5.20 (s, 2 H), 4.89 (br s, 2 H), 1.61 (s, 6 H)。
【0195】
工程b:ベンジル2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート
ベンジル4−(2−アミノ−4−フルオロ−5−ニトロフェニル)−2,2−ジメチルブタ−3−イノアート(20.0g、56mmol)のアセトニトリル溶液(100mL)に、室温で、PdCl(5.0g、28mmol)を添加した。混合物を80℃で一晩撹拌した。混合物を濾取し、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して、ベンジル2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートを得た(18.0g、90%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.96 (br s, 1 H), 8.33 (d, J=7.2 Hz, 1 H) 7.35−7.28 (m, 5 H) 7.08 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.47 (s, 1 H), 5.18 (s, 2 H) 1.69 (s, 6 H)。
【0196】
工程c:2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
ベンジル2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート(18.0g、0.05mol)のCHCl溶液(100mL)に、−78℃で、DIBAL−H(12mL)を添加した。混合物をその温度で1時間撹拌し、室温まで温めた。反応物を水で急冷し、水層をEtOAcで抽出した(100mL×3)。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して、2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールを得た(10.0g、77%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 9.37 (s, 1 H), 8.32 (d, J=7.2 Hz, 1 H), 7.11 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.36 (s, 1 H), 3.73 (d, J=5.1 Hz 2 H), 1.97 (t, J=5.1 Hz, 1 H), 1.39 (s, 6 H)。
【0197】
工程d:2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
CHCl中、2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(10.0g)の撹拌溶液に、室温で、TBSCl(8.9g)、イミダゾール(8.1g、0.12mol)を添加した。混合物を一晩撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10%EtOAc)により精製して、2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールを得た(5.3g、38%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 9.51 (s, 1 H), 8.31 (d, J=7.5 Hz, 1 H), 7.02 (d, J=11.7 Hz, 1 H), 6.32 (s, 1 H), 3.63 (s, 2 H), 1.35 (s, 6 H), 0.99 (s, 9 H), 0.11 (s, 6 H).
【0198】
実施例12:6−フルオロ−1,1−ジメチル−7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール、(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールおよび(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
【化38】

【0199】
工程a:6−フルオロ−1,1−ジメチル−7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール、(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールおよび(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール
DMF(10mL)中、2−(4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール(1.9g、5.0mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(2.86g、10.0mmol)の溶液に、CsCO(4.88g、15.0mmol)を添加した。混合物を90℃で24時間加熱した。反応物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒の除去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(10−50%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、6−フルオロ−1,1−ジメチル−7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドールを得た(600mg、48%)。ESI−MS m/z 計算値 248.1、実測値 249.2 (M+1)。保持時間2.00分;2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール(270mg、(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールを幾らか含む)。ESI−MS m/z 計算値 494.2および380.2、実測値 495.4および381.4 (M+1)。保持時間2.12および1.92分;(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(1.0g、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを含む)。ESI−MS m/z 計算値 380.2および266.1、実測値 381.2および267.2 (M+1)。保持時間1.74および1.48分。
【0200】
実施例13:(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールおよび3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール
【化39】

【0201】
(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールおよび3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールの混合物を、2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから出発して上記の方法に従って得た。(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール、ESI−MS m/z 計算値 366.2、実測値 367.2 (M+1)。保持時間1.71分;3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、ESI−MS m/z 計算値 252.1、実測値 253.4 (M+1)。保持時間1.42分。
【0202】
実施例14:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化40】

【0203】
工程a:(R)−3−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール
エタノール(10mL)中、3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(500mg、1.3mmol)を幾らか含む(R)−3−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールの溶液に、ギ酸アンモニウム(500mg、7.9mmol)およびPd/C(10%、139mg、0.13mmol)を添加した。混合物を5分間還流した。Pd触媒をセライト濾過により除去し、エタノールで洗浄した。濾液を蒸発乾固し、カラムクロマトグラフィー(30−50%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、(R)−3−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを得た(220mg、48%、3−(5−アミノ−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを幾らか含む)。ESI−MS m/z 計算値 350.2 実測値 351.4 (M+1)。保持時間0.94分。
【0204】
工程b:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
DMF(3.0mL)中、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(183mg、0.75mmol)、3−(5−アミノ−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール(220mg、0.63mmol)を幾らか含む(R)−3−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オール、ならびにHATU(287mg、0.75mmol)の混合物に、トリエチルアミンを添加した(0.21mL、1.5mmol)。反応物を室温で一晩撹拌し、次いで酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒の除去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(20−40%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た(315mg、87%、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを幾らか含む)。ESI−MS m/z 計算値 574.2、実測値 575.7 (M+1)。保持時間2.08分。
【0205】
工程c:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
メタノール(3mL)および水(0.3mL)中、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(315mg、0.55mmol)を幾らか含む(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドに、p−TsOH.HO(21mg、0.11mmol)を添加した。混合物を80℃で30分間加熱した。反応物を酢酸エチルと水の間に分配させて、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒の除去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(20−80%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た(92mg、31%)。ESI−MS m/z 計算値 534.2、実測値 535.5 (M+1)。保持時間1.72分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.32 (s, 1H), 7.53 (d, J=1.0 Hz, 1H), 7.43−7.31 (m, 4H), 6.17 (s, 1H), 4.97−4.92 (m, 2H), 4.41 (dd, J=2.4, 15.0 Hz, 1H), 4.23 (t, J=5.0 Hz, 1H), 4.08 (dd, J=8.6, 15.1 Hz, 1H), 3.87 (s, 1H), 3.48−3.44 (m, 1H), 3.41−3.33 (m, 1H), 3.20 (dd, J=7.4, 12.7 Hz, 2H), 1.94−1.90 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.42 (s, 3H), 1.41 (s, 3H) および 1.15−1.12 (m, 2H) ppm.
【0206】
実施例15:1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化41】

【0207】
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、(R)−2−(4−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール)を幾らか含む2−(4−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから出発して、上記の方法と同様にして製造した。1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−1−((R)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド、ESI−MS m/z 計算値 608.2、実測値 609.5 (M+1)。保持時間1.67分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.32 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.43−7.31 (m, 4H), 6.19 (s, 1H), 4.95−4.93 (m, 2H), 4.51 (d, J=5.0 Hz, 1H), 4.42−4.39 (m, 2H), 4.10−4.04 (m, 1H), 3.86 (s, 1H), 3.49−3.43 (m, 2H), 3.41−3.33 (m, 1H), 3.30−3.10 (m, 6H), 2.02−1.97 (m, 2H), 1.48−1.42 (m, 8H) および 1.13 (dd, J=4.0, 6.7 Hz, 2H) ppm;(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−(4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド、ESI−MS m/z 計算値 534.2、実測値 535.5 (M+1)。保持時間1.81分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 10.91 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.33 (m, 3H), 7.03 (d, J=10.9 Hz, 1H), 6.07 (d, J=1.6 Hz, 1H), 4.56 (d, J=5.0 Hz, 1H), 4.43 (t, J=5.7 Hz, 1H), 3.51−3.46 (m, 1H), 3.31−3.13 (m, 6H), 1.88 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.31 (s, 6H) および 1.15−1.12 (m, 2H) ppm。
【0208】
実施例16:1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化42】

【0209】
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールおよび3−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−3−メチルブタン−1−オールを含む混合物から出発して、上記の方法に従い製造した。ESI−MS m/z 計算値 446.2、実測値 447.5 (M+1)。保持時間1.88分。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.68 (s, 1H), 8.20 (d, J=7.7 Hz, 1H), 7.30−7.21 (m, 3H), 7.12 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.94 (d, J=11.2 Hz, 1H), 6.18 (s, 1H), 3.64 (s, 2H), 1.75 (dd, J=3.8, 6.8 Hz, 2H), 1.34 (s, 6H) および 1.14 (dd, J=3.9, 6.9 Hz, 2H) ppm。
【0210】
実施例17:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化43】

【0211】
工程a:(R)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートおよび((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート
炭酸セシウム(8.23g、25.3mmol)を、DMF(17mL)中、ベンジル 2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート(3.0g、8.4mmol)および(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホネート(7.23g、25.3mmol)の混合物に添加した。反応物を、窒素雰囲気下で、80℃にて46時間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して濃縮した。上記の生成物の両方を含む粘性の褐色油状物である粗生成物を、さらに精製することなく直接用いた。(R)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 470.2、実測値 471.5 (M+1)。保持時間2.20分。((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 494.5、実測値 495.7 (M+1)。保持時間2.01分。
【0212】
工程b:(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
工程(a)で得られた粗反応混合物をTHF(42mL)中に溶解し、氷浴中で冷却した。LiAlH(16.8mLの1M溶液、16.8mmol)を少しずつ添加した。添加の完了後、反応物をさらに5分間撹拌した。反応物を、水(1mL)、15%NaOH溶液(1mL)、その後、水(3mL)の添加により急冷した。混合物をセライト濾過し、固体をTHFおよび酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(30−60%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物を褐色油状物として得た(2.68g、2工程で87%)。ESI−MS m/z 計算値 366.4、実測値 367.3 (M+1)。保持時間1.68分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.34 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.65 (d, J=13.4 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 4.94 (t, J=5.4 Hz, 1H), 4.64−4.60 (m, 1H), 4.52−4.42(m, 2H), 4.16−4.14 (m, 1H), 3.76−3.74 (m, 1H), 3.63−3.53 (m, 2H), 1.42 (s, 3H), 1.38−1.36 (m, 6H) および 1.19 (s, 3H) ppm。
【0213】
工程c:(R)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
(R)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(2.5g、6.82mmol)を、エタノール(70mL)に溶解し、反応物をNでフラッシュした。次いで、Pd−C(250mg、5%重量)を添加した。反応物を再び窒素でフラッシュし、次いでH(atm)下で撹拌した。2.5時間後、生成物への部分的な変換がLCMSにより観察された。反応物をセライトを通して濾過した。残渣を、上記の条件に再び付した。2時間後、LCMSにより、生成物への完全な変換が示された。反応混合物をセライトを通して濾過した。濾液を濃縮して、生成物を黒色固体として得た(1.82g、79%)。ESI−MS m/z 計算値 336.2、実測値 337.5 (M+1)。保持時間0.86分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.17 (d, J=12.6 Hz, 1H), 6.76 (d, J=9.0 Hz, 1H), 6.03 (s, 1H), 4.79−4.76 (m, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.37−4.31 (m, 3H),4.06 (dd, J=6.1, 8.3 Hz, 1H), 3.70−3.67 (m, 1H), 3.55−3.52 (m, 2H), 1.41 (s, 3H), 1.32 (s, 6H) および 1.21 (s, 3H) ppm。
【0214】
工程d:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
DMF(3滴)を、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(1.87g、7.7mmol)および塩化チオニル(1.30mL、17.9mmol)の撹拌混合物に添加した。1時間後、透明溶液が形成された。該溶液を真空下で濃縮し、次いでトルエン(3mL)を添加し、混合物を再び濃縮した。トルエン工程をもう一度繰り返し、残渣を高真空下に10分間置いた。次いで、酸塩化物をジクロロメタン(10mL)中に溶解し、ジクロロメタン(45mL)中、(R)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(1.8g、5.4mmol)およびトリエチルアミン(2.24mL、16.1mmol)の混合物に添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を1N HCl溶液、飽和NaHCO溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、生成物を黒色泡状固体として得た(3g、100%)。ESI−MS m/z 計算値 560.6、実測値 561.7 (M+1)。保持時間2.05分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.40 (m, 2H), 7.34−7.30 (m, 3H), 6.24 (s, 1H), 4.51−4.48 (m, 1H), 4.39−4.34 (m,2H), 4.08 (dd, J=6.0, 8.3 Hz, 1H), 3.69 (t, J=7.6 Hz, 1H), 3.58−3.51 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.39 (s, 3H), 1.34−1.33 (m, 6H), 1.18 (s, 3H) および 1.14−1.12 (m, 2H) ppm。
【0215】
工程e:(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
(R)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(3.0g、5.4mmol)を、メタノール(52mL)中に溶解した。水(5.2mL)を添加し、次いでp−TsOH.HO(204mg、1.1mmol)を添加した。反応物を80℃で45分間加熱した。溶液を濃縮し、次いで酢酸エチルと飽和NaHCO溶液の間に分配させた。酢酸エチル層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50−100%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物をクリーム色の泡状固体として得た(1.3g、47%、SFCによりee>98%)。ESI−MS m/z 計算値 520.5、実測値 521.7 (M+1)。保持時間1.69分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.38 (m, 2H), 7.33−7.30 (m, 2H), 6.22 (s, 1H), 5.01 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.90 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.75 (t, J=5.8 Hz, 1H), 4.40 (dd, J=2.6, 15.1 Hz, 1H), 4.10 (dd, J=8.7, 15.1 Hz, 1H), 3.90 (s, 1H), 3.65−3.54 (m, 2H), 3.48−3.33 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.35 (s, 3H), 1.32 (s, 3H) および 1.14−1.11 (m, 2H) ppm。
【0216】
実施例18:(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化44】

【0217】
工程a:(S)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートおよび((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート
炭酸セシウム(2.74g、8.4mmol)を、DMF(5.6mL)中、ベンジル 2−(6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート(1.0g、2.8mmol)および(S)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 4−メチルベンゼンスルホネート(3.21g、11.2mmol)の混合物に添加した。反応物を、窒素雰囲気下で、80℃にて64時間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、濾過し、濃縮した。上記の生成物の両方を含む粘性の褐色油状物である粗生成物を、さらに精製することなく直接用いた。(S)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 470.2、実測値 471.5 (M+1)。保持時間2.22分。((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエート、ESI−MS m/z 計算値 494.5、実測値 495.5 (M+1)。保持時間2.03分。
【0218】
工程b:(S)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
(S)−ベンジル 2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートおよび((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル 2−(1−(((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパノエートの粗反応混合物の混合物を、THF(15mL)中に溶解し、氷水浴中で冷却した。LiAlH(2.8mLの1M溶液、2.8mmol)を滴下した。添加の完了後、反応物を5分間撹拌した。反応物を水(0.5mL)、15%NaOH溶液(0.5mL)、次いで水(1.5mL)の添加により急冷した。混合物をセライトで濾過し、固体をTHFおよび酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(30−60%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物を褐色油状物として得た(505mg、2工程で49%)。ESI−MS m/z 計算値 366.4、実測値 367.3 (M+1)。保持時間1.68分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.34 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.65(d, J=13.5 Hz, 1H), 6.57 (s, 1H), 4.94 (t, J=5.4 Hz, 1H), 4.64−4.60 (m, 1H), 4.52−4.42 (m, 2H), 4.14 (dd, J=6.2, 8.4 Hz, 1H), 3.74 (dd, J=7.0, 8.3 Hz, 1H), 3.63−3.53 (m,2H), 1.42 (s, 3H), 1.37 (m, 6H) および 1.19 (s, 3H) ppm。
【0219】
工程c:(S)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール
(S)−2−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(500mg、1.4mmol)を、エタノール(15mL)中に溶解し、反応物をNでフラッシュした。次いで、Pd−C(50mg、5%重量)を添加した。反応物を再び窒素でフラッシュし、次いでH(atm)下で撹拌した。1時間後、生成物への部分的な変換がLCMSにより観察された。反応物をセライトを通して濾過し濃縮した。残渣を、上記の条件に再び付した。1時間後、LCMSにより、生成物への完全な変換が示された。反応混合物をセライトを通して濾過した。濾液を濃縮して、生成物を黒色固体として得た(420mg、91%)。ESI−MS m/z 計算値 336.2、実測値 337.5 (M+1)。保持時間0.90分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.17 (d, J=12.6 Hz, 1H), 6.76 (d, J=9.0 Hz, 1H), 6.03 (s, 1H), 4.78 (br s, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.41−4.27 (m, 3H), 4.06(dd, J=6.1, 8.3 Hz, 1H), 3.70−3.67 (m, 1H), 3.53 (dd, J=10.7, 17.2 Hz, 2H), 1.40 (s, 3H), 1.32 (s, 6H) および 1.21 (s, 3H) ppm。
【0220】
工程d:(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
DMF(3滴)を、1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸(187mg、0.8mmol)および塩化チオニル(0.13mL、1.8mmol)の撹拌混合物に添加した。30分後、透明溶液が形成された。少量をピペリジンと混合して、酸塩化物が形成されたことを試験した。溶液をrotovap中で濃縮し、次いでトルエン(1mL)を添加し、混合物を再び濃縮した。トルエン工程をもう一度繰り返し、残渣を高真空下に10分間置いた。次いで、酸塩化物をジクロロメタン(2mL)中に溶解し、ジクロロメタン(4mL)中、(S)−2−(5−アミノ−1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール(200mg、0.6mmol)およびトリエチルアミン(0.25mL、1.8mmol)の混合物に添加した。反応物を室温で45分間撹拌した。反応物を1N HCl溶液、飽和NaHCO溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、生成物を黒色泡状固体として得た(320mg、96%)。ESI−MS m/z 計算値 560.6、実測値 561.5 (M+1)。保持時間2.05分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42−7.40 (m, 2H), 7.34−7.30 (m, 3H), 6.24 (s, 1H), 4.84 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.51−4.46 (m, 1H), 4.41−4.32 (m, 2H), 4.08 (dd, J=6.0, 8.3 Hz, 1H), 3.71−3.67 (m, 1H), 3.58−3.50 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.40 (s, 3H), 1.34−1.33 (m, 6H), 1.18 (s, 3H) および 1.14−1.12 (m, 2H) ppm。
【0221】
工程e:(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
(S)−1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル)−6−フルオロ−2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド(290g、0.5mmol)を、メタノール(5mL)中に溶解した。水(0.5mL)を添加し、次いでp−TsOH.HO(20mg、0.1mmol)を添加した。反応物を80℃で45分間加熱した。次いで、溶液を酢酸エチルと飽和NaHCO溶液の間に分配させた。酢酸エチル層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(50−100%酢酸エチル−ヘキサン)により精製して、生成物をクリーム色の泡状固体として得た(146mg、54%、SFCによりee>97%)。ESI−MS m/z 計算値 520.5、実測値 521.5 (M+1)。保持時間1.67分。1H NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 8.31 (s, 1H), 7.53 (d, J=1.1 Hz, 1H), 7.42−7.37 (m, 2H), 7.33−7.30 (m, 2H), 6.22 (s, 1H), 5.01 (d, J=5.0 Hz, 1H), 4.91 (t, J=5.5 Hz, 1H), 4.75 (t, J=5.8 Hz, 1H), 4.42−4.38 (m, 1H), 4.10 (dd, J=8.8, 15.1 Hz, 1H), 3.90 (s, 1H), 3.64−3.54 (m, 2H), 3.48−3.33 (m, 2H), 1.48−1.45 (m, 2H), 1.35 (s, 3H), 1.32 (s, 3H) および 1.14−1.11 (m, 2H) ppm。
【0222】
実施例19:(R)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化45】

【0223】
(R)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸および2−tert−ブチル−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから、実施例72と同様の実験方法を用いて製造した。
【0224】
実施例20:(S)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【化46】

【0225】
(S)−1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−tert−ブチル−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−1H−インドール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボン酸および2−tert−ブチル−6−フルオロ−5−ニトロ−1H−インドールから、実施例72と同様の実験方法を用いて製造した。
【0226】
化学分野の当業者は、下記の表3の化合物を含む本発明の化合物を合成するための公知の合成方法と合わせて、実施例およびスキームを用いることができる。
【0227】
【表2】


【表3】

【0228】
実施例21:化合物のΔF508−CFTR矯正(correction)特性を検出および測定するためのアッセイ
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための光学的膜電位方法
該アッセイは、NIH3T3細胞における機能的ΔF508−CFTRの増大を読み出すために、蛍光プレートレーダー(例えば、FLIPR III, Molecular Devices, Inc.)を用いて膜電位の変化を測定するために蛍光電圧検出色素を利用する。応答の駆動力は、細胞を予め化合物で処理し、その後、電圧検出色素を充填した後の、単回液体添加工程によるチャネル活性化と関連する塩化物イオン勾配の構築である。
【0229】
矯正化合物の同定
ΔF508−CFTRと関係する輸送障害を矯正する小分子を同定するため、単一付加(single−addition)HTSアッセイフォーマットを開発した。細胞を含むアッセイプレートを、37℃、5%CO、90%湿度で組織培養インキュベーター中、〜2−4時間インキュベートする。次いで、細胞を、アッセイプレートの底に接着後に、化合物暴露様に準備する。
【0230】
細胞を、血清不含有媒体中、試験化合物の存在または不存在下(陰性対照)で、37℃、5%CO、90%湿度の組織培養インキュベーター中、16−24時間インキュベートした。その後、細胞をクレブスリンゲル溶液で3回濯ぎ、電位感受性再分布色素を充填した。ΔF508−CFTRを活性化するため、10μMフォルスコリンおよびCFTR増強剤、ゲニステイン(20μM)を、各ウェルにCl不含有媒体と共に添加した。ΔF508−CFTR活性化に応答してCl排出を促進するCl不含有媒体の添加およびその結果の膜脱分極を、電位感受性色素を用いて光学的に測定した。
【0231】
増強化合物の同定
ΔF508−CFTRの増強剤を同定するため、二重付加(double−addition)HTSアッセイフォーマットを開発した。このHTSアッセイは、温度矯正ΔF508−CFTR NIH 3T3細胞において、ΔF508−CFTRの開閉(伝導性)の増強を測定するために、FLIPR III上で膜電位の変化を測定するための蛍光電位感受性色素を利用する。応答の駆動力は、細胞を予め増強化合物(または、DMSOビヒクル対照)で処理し、その後、再分配色素を充填した後の、FLIPR IIIのような蛍光プレートレーダーを用いる単回液体添加工程における、フォルスコリンでのチャネル活性化と関連する塩素イオン勾配である。
【0232】
溶液 浴溶液#1:NaCl 160mM、KCl 4.5mM、CaCl 2mM、MgCl 1mM、HEPES 10mM、NaOHでpH7.4。
塩化物不含有浴溶液:浴溶液#1中塩化物塩を、グルコン酸塩に置き換える。
【0233】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学的測定に用いた。細胞を、175cm培養フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを添加したダルベッコの修飾イーグルス媒体中で、37℃にて5%CO下で、90%湿度にて維持した。全ての光学アッセイに関して、細胞を、384ウェルマトリゲル−コートしたプレート中〜20,000/ウェルで播種し、37℃で2時間培養し、その後、増強剤アッセイのために27℃で24時間培養した。矯正アッセイに関して、細胞を16−24時間、化合物を含有または不含有下、27℃または37℃で培養した。
【0234】
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための電気生理的アッセイ
1.ユッシングチャンバーアッセイ
ユッシングチャンバー実験を、ΔF508−CFTRを発現する極性化上皮細胞で行い、光学的アッセイで同定したΔF508−CFTRモジュレーターをさらに特徴付けた。非CFおよびCF気道上皮細胞を、既報の培養された気管支組織から単離し(Galietta, L.J.V., Lantero, S., Gazzolo, A., Sacco, O., Romano, L., Rossi, G.A., & Zegarra−Moran, O. (1998) In vitro Cell. Dev. Biol. 34, 478−481)、NIH3T3−馴化培地で予めコーティングしたCostar(商標)Snapwell(登録商標)フィルター上にプレーティングした。4日後、頂端部媒体(apical media)を除去し、細胞を、使用前に>14日間、気液界面で増殖させた。この結果、繊毛化した完全分化したカラム化細胞の単層が得られ、それは気道上皮の特徴を示す。非CF HBEを、何らかの公知の肺疾患を有さない非喫煙者から単離した。CF−HBEを、ΔF508−CFTRのホモ接合体患者から単離した。
【0235】
Costar(商標)Snapwell(登録商標)細胞培養インサート上で増殖したHBEを、ユッシングチャンバー(Physiologic Instruments, Inc., San Diego, CA)中にマウントし、基底外側から頂端部のCl勾配(ISC)の存在下、経上皮抵抗性および短絡回路電流を、電圧固定システム(Department of Bioengineering, University of Iowa, IA)を用いて測定した。簡単には、HBEを、電圧固定記録条件(Vhold=0mV)下、37℃で調べた。基底外側溶液は、145mM NaCl、0.83mM KHPO、3.3mM KHPO、1.2mM MgCl、1.2mM CaCl、10mM グルコース、10mM HEPES(NaOHでpH7.35に合わせた)を含み、頂端部溶液は、145mM グルコン酸Na、1.2mM MgCl、1.2mM CaCl、10mM グルコース、10mM HEPES(NaOHでpH7.35に合わせた)を含んでいた。
【0236】
矯正化合物の同定
典型的なプロトコールは、基底側から頂端膜のCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するため、通常のリンゲル溶液を基底側膜に用い、一方、頂端NaClを、等モルのグルコン酸ナトリウムに置き換え(NaOHを用いてpH7.4に滴定)、上皮を横切る大きなCl濃度勾配を得た。全ての実験を、無傷の単層で行った。ΔF508−CFTRを完全に活性化するため、頂端側に、フォルスコリン(10μM)、PDE阻害物質、IBMX(100μM)およびCFTR増強剤、ゲニステイン(50μM)を添加した。
【0237】
他の細胞タイプにおける観察として、△F508−CFTRを発現する、FRT細胞およびCF罹患患者から単離したヒト気管支上皮細胞(CF−HBE)の低温でのインキュベートは、細胞膜でのCFTRの機能的密度を増大する。矯正化合物の活性を決定するため、細胞を試験化合物と共に24−48時間37℃にてインキュベートし、その後、3回洗浄して、記録した。化合物処理した細胞におけるcAMP−およびゲニステイン−仲介ISCを、37℃対照に標準化し、wt−HBEにおけるCFTR活性の活性%として現した。細胞と矯正化合物のプレインキュベーションは、37℃対照と比較して、cAMP−およびゲニステイン−仲介ISCを顕著に増大した。
【0238】
増強化合物の同定
典型的なプロトコールは、基底側から頂端膜のCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するため、通常のリンゲル溶液を基底側膜に用い、一方、頂端NaClを、等モルのグルコン酸ナトリウムに置き換え(NaOHを用いてpH7.4に滴定)、上皮を横切る大きなCl濃度勾配を得た。フォルスコリン(10μM)および全ての試験化合物を、頂端側の細胞培養インサートに添加した。推定上のΔF508−CFTR増強剤の効果を、公知の増強剤であるゲニステインのそれと比較した。
【0239】
2.パッチクランプ記録
ΔF508−NIH3T3細胞中、全Cl電流を、既報の有孔パッチ記録構成(Rae, J., Cooper, K., Gates, P., & Watsky, M. (1991) J. Neurosci. Methods 37, 15−26)を用いて測定した。電圧−クランプ記録を、Axopatch 200B パッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc., Foster City, CA)を用いて22℃で行った。ピペット溶液は、150mM N−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl、2mM MgCl、2mM CaCl、10mM EGTA、10mM HEPESおよび240μg/mlアンホテリシン−B(HClでpH7.35に合わせた)を含んでいた。細胞外培地は、150mM NMDG−Cl、2mM MgCl、2mM CaCl、10mM HEPES(HClでpH7.35に合わせた)を含んでいた。パルス発生、データ収集および分析を、Clampex 8に接続されたDigidata 1320 A/Dインターフェースを備えたPC(Axon Instruments Inc.)を用いて実施した。活性化するために、ΔF508−CFTR、10μM フォルスコリンおよび20μM ゲニステインを浴に添加し、電流電圧関係を30秒毎にモニターした。
【0240】
矯正化合物の同定
細胞膜における機能的△F508−CFTRの密度を増大するための矯正化合物の活性を決定するため、本発明者らは、上記の有孔パッチ−記録技術を矯正化合物で24時間処理後の電流密度を測定するために用いた。△F508−CFTRを完全に活性化するため、10μMフォルスコリンおよび20μMゲニステインを細胞に添加した。本発明の記録条件下で、27℃で24時間インキュベート後の電流密度は、37℃で24時間インキュベート後に観察される密度よりも高かった。これらの結果は、細胞膜における△F508−CFTRの密度に対する低温インキュベートの公知の効果と一致する。CFTR電流密度に対する矯正化合物の効果を決定するため、細胞を、37℃で24時間、10μMの試験化合物と共にインキュベートし、電流密度を27℃および37℃対照と比較した(%活性)。記録の前に、細胞を細胞外記録培地で3回洗浄して、残っている試験化合物を除去した。10μMの矯正化合物とのプレインキュベーションは、37℃対照と比較して、cAMP−およびゲニステイン−依存性電流を顕著に増大した。
【0241】
増強化合物の同定
△F508−CFTRを安定に発現するNIH3T3細胞における巨視的ΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増大するΔF508−CFTR増強剤の能力もまた、有孔パッチ−記録技術を用いて調査した。光学アッセイで同定された増強剤は、光学アッセイにおいて同様の効力および観察された効果を有するIΔF508において用量依存的増大を引き起こした。試験した全ての細胞において、増強剤適用前および適用中の逆転電位は、約−30mVであって、それは、計算されたEClである(−28mV)。
【0242】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、全細胞記録に用いた。該細胞を、175cm培養フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを添加したダルベッコの修飾イーグルス培地中、5%COおよび90%湿度にて、37℃で維持した。全細胞記録のために、2,500−5,000細胞を、ポリ−L−リシン−コートしたガラスのカバースリップ上に播種し、27℃にて24−48時間培養し、その後、増強剤の活性を試験するために用いた;そして、矯正体の活性を測定するために、37℃にて矯正化合物の有無においてインキュベートした。
【0243】
3.単一チャネル記録
NIH3T3細胞において安定に発現される温度修正ΔF508−CFTRの単一チャネル活性および増強化合物の活性を、Axopatch 200B patch−clamp amplifier (Axon Instruments Inc.)を用いて、既報(Dalemans, W., Barbry, P., Champigny, G., Jallat, S., Dott, K., Dreyer, D., Crystal, R.G., Pavirani, A., Lecocq, J-P., Lazdunski, M. (1991) Nature 354, 526−528)の通り切り離した内側−外側細胞膜パッチを用いて観察した。ピペットは、150mM NMDG、150mM アスパラギン酸、5mM CaCl、2mM MgCl、および10mM HEPES(トリス塩基でpH7.35に合わせた)を含んでいた。浴は、150mM NMDG−Cl、2mM MgCl、5mM EGTA、10mM TESおよび14mM トリス塩基(HClでpH7.35に合わせた)を含んでいた。切除後、野生型およびΔF508−CFTRの両方ともが、1mM Mg−ATP、75nM cAMP依存性タンパク質キナーゼの触媒サブユニット(PKA; Promega Corp. Madison, WI)、およびタンパク質ホスファターゼの阻害のための10mM NaFの添加により活性化され、それは電流低下を阻止した。ピペット電位は、80mVで維持した。チャネル活性を、≦2活性チャネルを含む膜パッチから分析した。同時に開く最大数が、実験コース中、活性チャネルの数を決定した。単一チャネル電位振幅を決定するため、120秒のΔF508−CFTR活性から記録されたデータを、100Hzで“オフライン”フィルター処理し、次いで、Bio−Patch Analysisソフトウェア(Bio−Logic Comp. France)を用いてマルチガウス関数に合わせた、全ての振幅点ヒストグラムを構築するために用いた。顕微鏡的総電位および開確率(P)が、120秒のチャネル活性から決定された。Pを、Bio−Patchソフトウェアを用いて決定するか、またはP=I/i(N)(式中、I=平均電流、i=単一チャネル電位振幅であり、N=パッチにおける活性チャネルの数である。)の関係から決定した。
【0244】
細胞培養
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切除した膜のパッチクランプ記録に用いた。該細胞を、175cm培養フラスコ中、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを添加したダルベッコの修飾イーグルス培地中、5%COおよび90%湿度で、37℃にて維持した。単一チャネル記録のため、2,500−5,000細胞を、ポリ−L−リシン−コートしたガラスのカバースリップ上に播種し、27℃で24−48時間インキュベートし、その後使用した。
【0245】
本発明の化合物は、上記のアッセイで測定された通り、矯正活性を示すことが見いだされた。
【0246】
本発明の化合物は、ATP結合カセット輸送体のモジュレーターとして有用である。上記の方法を用いて、本発明の化合物の活性、すなわちEC50は、約3.8nMないし約13.5μMであると測定された。さらに、上記の方法を用いて、本発明の化合物の効力は、約35%ないし約110%であると測定された。
【0247】
表4において、以下の意味が適用される:
EC50:“+++”は、<2uMを意味する;“++”は、2uMないし5uMを意味する;“+”は、5uMないし25uMを意味する。
%効果:“+”は、<25%を意味する;“++”は、25%ないし100%を意味する;“+++”は、>100%を意味する。
【表4】

【0248】
他の態様
本発明をその詳細な記載と関連して記載しているが、前記は説明を意図するものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、それは添付の特許請求の範囲により定義されるものであることは理解されるべきである。他の局面、利点および修飾は、特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】


【化2】


から選択される化合物。
【請求項2】
【化3】


で示される化合物。
【請求項3】
【化4】


で示される化合物。
【請求項4】
【化5】


で示される化合物。
【請求項5】
(i)請求項1記載の化合物;および
(ii)薬学的に許容される担体
を含む、医薬組成物。
【請求項6】
粘液溶解薬、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、CFTR修正剤、CFTR増強剤、または栄養剤から選択される追加薬剤をさらに含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
化合物が、
【化6】


である、請求項5または6記載の組成物。
【請求項8】
化合物が、
【化7】


である、請求項5または6記載の組成物。
【請求項9】
化合物が、
【化8】


である、請求項5または6記載の組成物。
【請求項10】
細胞膜中の機能的ABC輸送体の数を増大する方法であって、該細胞と、以下
【化9】


【化10】


【化11】


から選択される化合物を接触させる工程を含む、方法。
【請求項11】
ABC輸送体がCFTRである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
化合物が、
【化12】


である、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
化合物が、
【化13】


である、請求項10または11記載の方法。
【請求項14】
化合物が、
【化14】


である、請求項10または11記載の方法。
【請求項15】
ABC輸送体活性が関係する患者における状態、疾患、または障害の処置方法であって、該患者に、以下
【化15】


【化16】


から選択される化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項16】
状態、疾患、または障害が、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝血−線維素溶解欠損症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質代謝異常症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積疾患、例えばアイセル病/偽ハーラー病、ムコ多糖症、サンドホッフ/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカン糖鎖異常(glycanosis)CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(di)、中枢性di、腎性DI、シャルコー−マリー−トゥース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄性および延髄性筋萎縮症、淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに海綿状脳障害、例えば遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、角膜乾燥症またはシェーグレン病から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
化合物が、
【化17】


である、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
化合物が、
【化18】


である、請求項15または16記載の方法。
【請求項19】
化合物が、
【化19】


である、請求項15または16記載の方法。
【請求項20】
インビトロまたはインビボで、生物学的試料におけるABC輸送体またはその断片の活性の測定に用いるためのキットであって、下記:
(i)請求項1の化合物から選択される化合物を含む第一の組成物;ならびに
(ii)a)該組成物を生物学的試料と接触させるための指示書;および
b)該ABC輸送体またはその断片の活性を測定するための指示書
を含む、キット。
【請求項21】
a)追加組成物を生物学的試料と接触させるための指示書;
b)該ABC輸送体またはその断片の活性を、該追加化合物の存在下で測定するための指示書;および
c)追加化合物の存在下における該ABC輸送体の活性を、第一の組成物の存在下におけるABC輸送体の密度と比較するための指示書
をさらに含む、請求項20記載のキット。
【請求項22】
キットを、CFTRの密度を測定するために用いる、請求項20記載のキット。
【請求項23】
化合物が、
【化20】


である、請求項20−22のいずれか一項記載のキット。
【請求項24】
化合物が、
【化21】


である、請求項20−22のいずれか一項記載のキット。
【請求項25】
化合物が、
【化22】


である、請求項20−22のいずれか一項記載のキット。

【公表番号】特表2012−507580(P2012−507580A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535544(P2011−535544)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/012689
【国際公開番号】WO2010/053471
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】